説明

有機化合物の組合せ剤

本発明は、組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤であって、各々、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩を含んでなり、そして少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩を含んでなる組合せ剤に関する。そのうえ、本発明は、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延、処置のための、そのような組合せ剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延または処置のための、カンナビノイド受容体−1(CB1)アンタゴニストおよびレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬を含んでなる医薬組合せ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満および過体重は、高血圧;2型糖尿病;異脂肪血症;冠動脈心疾患;脳卒中;胆嚢疾患;変形性関節症;睡眠時無呼吸および他の呼吸問題といったような、多くの疾患の危険性を非常に増大させる。
【0003】
糖尿病、肥満および過体重の個体の場合、減量が望ましい。減量は、特に糖尿病および心血管疾患(CVD)に関して、これらの有害な結果の多くを予防するのに役立ち得る。減量はまた、過体重による高血圧の個体と非高血圧の個体との両方における血圧;血清トリグリセリド値を低下させて、有益な高密度リポタンパク質(HDL)型のコレステロールを増大させ得る。減量はまた、一般的には、総血清コレステロールおよび低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール値を幾分低下させる。減量はまた、過体重および肥満の人々において血糖値を低下させ得る。
【0004】
減量および食欲の抑制は望ましいが、達成するのは困難である。食欲、過体重および肥満の管理、並びに減量の維持のために多くの処置が存在する。しかしながら、常習性が蔓延する。約40パーセントの女性および24パーセントの男性は、常に積極的に体重を減らそうとしている。これらの処置には、限定されるものではないが、低カロリー食および低脂肪食;身体運動の増大;食物摂取を減少させることを目的とした行動治療;薬物療法;手術;および上記処置の組み合わせが含まれる。
【0005】
薬物類での減量は、比較的僅かである。体重を減らすための好ましい方法は、食物およびカロリー飲料に対する食欲を減退させることである。シブトラミン、デクスフェンフルラミン、オーリスタット、フェニルプロパノールアミン、フェンテルミン(phenteramine)、またはフェンフルラミンといったような薬物は、長期間使用する場合、肥満の成人において減量を容易にすることができる。通例、しかしながら、薬物療法的減量剤の長期投与の安全性は知られていない。例えば、最近、患者において観察される心臓弁膜症に関する懸念により、フェンフルラミンおよびデクスフェンフルラミンは市場から回収されている。少ない薬物類並びに肥満および過体重の高い有病率に直面して、糖尿病、肥満、欲求障害または物質乱用障害の処置または予防のための、減量を促進して維持する新たな薬学的方法および組成物が必要とされている。
【0006】
高血圧は、患者が糖尿病、肥満または代謝障害といったようなさらなる併存症を呈する場合、処置するのがますます困難となる。共存する危険因子または状態を伴う患者において目指す血圧目標を達成するために、多剤併用療法を必要とすることが多い。もし血圧または他の併存症が十分に緩和されないなら、その患者は、心筋梗塞、脳卒中および進行性臓器損傷といったような、より多くの重篤な有害事象の危険に晒される。
【0007】
さらに、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)またはアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)のいずれかを使用してのレニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断は、血圧上昇を低下させるのに非常に有効な方法であることが証明されているが、多くの患者、例えば、肥満または過体重の個体は、特定の目指す血圧目標を達成するために、さらなる治療的介入を必要とし得る。そのうえ、肥満または過体重の患者は、この代謝表現型の原因となる主要経路を妨げることを特に意図した薬物での処置を必要とし得る。
【0008】
肥満の被験者が心血管および代謝疾患の危険性を増大させるという証拠は集まっている(Montani JP, Antic V, Yang Z. Pathways from obesity to hypertension: from the perspective of a vicious triangle. Internat J Obesity 26(Suppl 2):S28-S38, 2002)。そしてまた、体重と血圧との間の強い相関関係はヒトにおいて実証されている(Jones DW, Kim JS, Andrew ME, Kim SJ, Hong YP. Body mass index and blood pressure in Korean men and women: the Korean National Blood Pressure Survey. J Hypertens 12:1433-1437, 1994)。短期間の研究において、過体重または肥満のヒト被験者における減量は、最高血圧と最低血圧との両方における低下をもたらすことが示されている(Aucott L, Poobalan A, Smith WCS, Avenell A, Jung R, Broom J. Effects of weight loss in overweight/obese individuals and long-term hypertension outcomes. Hypertension 45:1035-1041, 2005)。この関係の基礎を成す正確な機序は知られていないが、しかしながら、体重増加と交感神経系の活性化との間の明らかな関係性は示されている(Masuo K, Mikami H, Ogihara T, Tuck ML. Weight gain-induced blood pressure elevation. Hypertension 35:1135-1140, 2000)。交感神経活動の増大は結果的に、全身血圧における上昇の直接的な原因となる2つの要因である、血管収縮およびナトリウム貯留をもたらす。イヌにおける食餌誘発性肥満の動物モデルにおいて、体重増加は結果的に、血圧、心拍数および血漿インシュリンにおける増大をもたらす(Hall JE, Brands MW, Dixon WN, Smith MJ Jr. Obesity-induced hypertension. Renal function and systemic hemodynamics. Hypertension 22:292-299, 1993)。これらの結果は、動物およびヒトにおいて同様の因果関係が存在し得ることを示唆しており、従って、適当な動物種におけるこの条件セットの研究が可能である。レプチン、遊離脂肪酸およびインシュリンを含め、幾つかのさらなる要因もまた、動物および人間において体重増加と血圧との間で見られる関連性に関与し得る。レプチンおよび遊離脂肪酸は、体脂肪蓄積が増大するにつれ次第に上昇して、内臓脂肪細胞により放出される。これらのメディエーターは単独で、または同時に作用して、交感神経の緊張および血管収縮を増大させ、それによって、血圧の増大をもたらし得る(Montaniら, 2002)。レプチンの放出は中枢神経系内で絶大な効果を有しており、満腹感を引き起こして、交感神経系を活性化し得ることから、脂肪組織は内分泌器官とみなすことができる(Pantanetti P, Garrapa GGM, Mantero F, Boscaro M, Faloia E, Venarucci D. Adipose tissue as an endocrine organ? A review of recent data related to cardiovascular complications of endocrine dysfunctions. Clin Exper Hypertens 26(4):387-398, 2004)。肥満のヒトにおいて、レプチンは血漿中で上昇するにもかかわらず、これらの個体は、このホルモンに対する正常な満腹感反応を有していないと考えられる。選択的レプチン抵抗性の概念を取り入れて、視床下部はレプチンの満腹感効果に対して不反応性となるが、中枢神経系は交感神経系(SNS)の刺激に対して十分な反応性を保持するという現象を説明している。その結果、レプチンは満足感反応を誘起することができないため、肥満または過体重の表現型は長引く。加えて、SNSの慢性過活動が持続して、全身血圧の増大をもたらす(Mark AL, Correia MLG, Rahmouni K, Haynes WG. Selective leptin resistance: a new concept in leptin physiology with cardiovascular implications. J Hypertens 20:1245-1250, 2002)。従って、ヒトの肥満は何らかによりレプチン抵抗性状態であると考えられる。アグーチの黄色肥満マウスモデルは、この表現型に類似し得る(Correia MLG, Haynes WG, Rahmouni K, Morgan DA, Sivitz WI, Mark AL. The concept of selective leptin resistance. Diabetes 51:439-442, 2002)。
【0009】
最近、脂肪組織は、RASの成分を全て含むことが実証されている(Goossens GH, Blaak EE, van Baak MA. Possible involvement of the adipose tissue renin-angiotensin system in the pathophysiology of obesity and obesity-related disorders. Obesity Reviews 4:43-55, 2003)。従って、脂肪細胞内にそっくりそのまま含まれるRASは、主要な心血管制御系と肥満および肥満関連疾患との間の重要な関連性を提供し得る。げっ歯類における高脂肪食は、脂肪細胞におけるアンジオテンシノーゲンおよびアンジオテンシンIIの産生の増大をもたらす。アンジオテンシンIIは、脂肪細胞の増殖を促進する。脂肪細胞を誘導するアンジオテンシンII、または血漿中で形成されるアンジオテンシンIIはいずれも、脂肪細胞に対して直接的に、または循環で到達可能な末梢細胞型において、絶大な効果を有し得る。明らかに、アンジオテンシンIIは結果的に強力な血管収縮効果およびナトリウム貯留をもたらして、動脈血圧を増大させ得る。脂肪組織内のRASおよび/または脂肪組織から放出されるRASの成分に関する発見は、動物モデルおよびヒトにおいて不確かである(Engeli S, Schling P, Gorzeiniak K, Boschmann M, Janke J, Ailhaud G, Teboul M, Massiera F, Sharma AM. The adipose-tissue renin-angiotensin-aldosterone system: role in the metabolic syndrome? Internat J Biochem Cell Biol 35:807-825, 2003)。
【0010】
体重と血圧との間の関係性は密接に関連しているが、研究は、人間を含め、幾つかの種、並びに様々な動物モデル、細胞株およびアッセイ条件の使用に頼っていることから、この関係の基礎を成す特異的な機序の指定を証明することはより困難である。
【発明の開示】
【0011】
従って、本発明の目的は、より有効な抗肥満および/または心血管障害を処置するための組成物、並びに心血管障害、異脂肪血症または肥満、およびそれらと関係のある状態を処置するまたは予防するための、副作用が少ないかまたは全くなく、そして毒性が低い、新たな治療方法を提供することである。
【0012】
現在、少なくとも1つのCB1アンタゴニスト(例えば、以下に定義する通りである。)、および補助薬として、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬(例えば、以下に定義する通りである。)を含んでなる組合せ剤は、有益な効果を有し、そして肥満、欲求障害、物質乱用障害、またはレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る状態/障害の処置において有用であることが見出されている。
【0013】
従って、本発明は、組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤であって、各々、
i)レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および
ii)少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩
を含んでなる組合せ剤に関する。
【0014】
好ましくは、本発明は、組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤(医薬組合せ剤)であって、各々、
i)レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および
ii)少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩
および少なくとも1つのさらなる薬学的に許容され得る担体を含んでなる組合せ剤に関する。
【0015】
好ましくは、該組合せ剤は、医薬組成物または組み合わせ医薬製剤である。
【0016】
この医薬組成物において、組み合わせパートナー(i)および(ii)は、1つに組み合わせた単位投薬形態で、または2つに分かれた単位投薬形態で、一緒に、順々に、または個別に投与することができる。該単位投薬形態はまた、固定組合せ剤であってもよい。
【0017】
本発明はさらに、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延または処置のための薬物の製造に関しての、そのような組合せ剤の使用に関する。
【0018】
本発明はまた、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延、処置のための方法であって、その必要がある、ヒトを含め、温血動物に、上記組合せ剤の有効量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0019】
本発明のある態様を記載するために本明細書中で使用する様々な付加的用語の定義の幾つかを以下に挙げる。しかしながら、本明細書中で使用する定義は、当業界で一般的に知られている定義(例えば、高血圧、心不全およびアテローム性動脈硬化症)であって、特に具体例で限定しない限り、明細書中で使用する用語に適用される。
【0020】
“少なくとも1つのCB1アンタゴニスト”という用語は、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬に加えて、1つまたはそれ以上、例えば、2つ、さらには3つの、本発明により詳述する活性成分を組み合わせ得ることを意味するものである。好ましくは、1つまたは2つのCB1アンタゴニストを使用する。
【0021】
“レニン−アンジオテンシン系(RAS)”という用語は、次の現象が含まれることを意味する:循環量および血圧の低下に反応しての、腎臓によるレニンの分泌;不活性デカペプチドであるアンジオテンシンIを形成するための、基質であるアンジオテンシノーゲンの切断;アンジオテンシン変換酵素(ACE)による、アンジオテンシンIの、活性オクタペプチドであるアンジオテンシンIIへの変換;並びに血管収縮、副腎髄質および接合部前神経終末からのカテコールアミンの放出を誘発し、アルドステロンの分泌およびナトリウム再吸収を促進して、レニン放出を阻害する、アンジオテンシンIIの、AT1受容体といったような細胞受容体との相互作用。
【0022】
“RASに対して作用する治療薬”という用語は、レニン−アンジオテンシン系をいずれかの特定のレベルで遮断する、あらゆる薬剤が含まれることを意味する。結果として、血圧および血液量の恒常性は正に調節され得る。アンジオテンシンII受容体遮断薬またはアンジオテンシンIIアンタゴニストは、アンジオテンシンIIとAT1受容体との間の相互作用を阻害することにより、RASに対して作用する。それらは、AT1受容体サブタイプに結合するが、結果的に該受容体の活性化はもたらさない活性薬剤であると理解される。ACE阻害剤は、アンジオテンシンIのアンジオテンシンIIへの変換を遮断して、ブラジキニンを増強する。レニン阻害剤は、レニンを遮断すること、従って、アンジオテンシンIの形成を妨げることにより、RASに対して初期段階で作用する。結果として、少量のアンジオテンシンIIが産生される。
【0023】
“CB1アンタゴニスト”という用語は、CB1カンナビノイド受容体のアンタゴニストを示すことを意味する。これは、該受容体に結合して、該受容体自体を活性化する、いずれかの実質的な能力を欠く化合物である。それによって、アンタゴニストは、アゴニストが存在する場合、機能的活性化またはアナンダミドといったようなアゴニストによる受容体の占拠を妨げるまたは減少させることができる。幾つかの態様において、該アンタゴニストは、約1μM〜約1nMのIC50を有する。他の態様において、該アンタゴニストは、約0.1μM〜0.01μM、1.0μM〜0.1μM、または0.01μM〜1nMのIC50を有する。幾つかの態様において、該アンタゴニストは、該受容体上の共有結合部位への結合に関してアゴニストと競合する。
【0024】
“予防”という用語は、本明細書中で言及する状態の発生を予防するための、健康な患者への予防的投与を示す。さらに、“予防”という用語は、処置すべき状態の前段階にある患者への予防的投与を意味する。
【0025】
本明細書中で使用する“進行の遅延”という用語は、処置すべき疾患の前段階または初期段階にある患者への該組合せ剤の投与を意味し、ここで、当該患者は例えば、対応する疾患の前形態と診断されるか、または当該患者は、例えば医学的処置中の状態、もしくは対応する疾患が発現する可能性がある事象に起因する状態にある。
【0026】
“処置”という用語は、疾患、状態または障害と闘うことを目的とした患者の管理および世話と理解される。
【0027】
“治療的に有効な量”という用語は、研究者または臨床医により求められている組織、系または動物(人間を含む)の、要求される生物学的または医学的反応を引き出すであろう薬物または治療薬の量を示す。
【0028】
本明細書中で使用する“相乗的な”という用語は、本発明の方法、組合せ剤および医薬組成物で得られる効果が、本発明の活性成分を個別に含んでなる個々の方法および組成物の結果として生ずる効果の合計より大きいことを意味する。
【0029】
“温血動物または患者”という用語は、本明細書中で互換的に使用され、そして限定されるものではないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、マウスおよび実験動物が含まれる。好ましい哺乳動物はヒトである。
【0030】
“薬学的に許容され得る塩”という用語は、製薬産業において一般に使用される無毒塩を示し、これは、当業界で十分知られている方法により製造され得る。
【0031】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害には、限定されるものではないが、
(a)高血圧、うっ血性心不全、腎不全、とりわけ慢性腎不全、経皮経管的血管形成術後の再狭窄、および冠動脈バイバス術後の再狭窄;
(b)例えば、オキシダントストレスの減少、脂質に対する直接的な効果、または該組合せ剤の1つもしくは全ての成分の抗炎症性効果によるアテローム性動脈硬化症;
(c)インシュリン抵抗性およびシンドロームX/メタボリックシンドローム、2型真性糖尿病、肥満、腎症、腎不全、例えば、慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の生存、冠動脈心疾患、高齢者における高血圧、家族性異脂肪血症高血圧、コラーゲン形成の増加、線維症、例えば、心臓、腎臓または肝臓の線維症、リモデリング(血管)後の高血圧および/または高脂血症(脂質に対する作用に依存し得るまたは依存し得ない該組合せ剤の抗増殖性効果)、および一部分は抗炎症性効果によるものであり得る血管リモデリング、および高血圧と関係のあるまたは関係のないこれら全ての疾患または状態;
(d)高血圧を伴うまたは伴わない内皮機能障害;
(e)高脂血症、高リポタンパク血症、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症;
(f)緑内障;
(g)収縮期高血圧(ISH);
(h)糖尿病性網膜症;並びに
(i)末梢血管疾患
が含まれる。
【0032】
高血圧と関係のある2型糖尿病が含まれる“2型糖尿病”という用語は、膵臓ベータ細胞機能障害により膵臓が十分なインシュリンを分泌しない疾患、および/または産生されたインシュリンに対して非感受性(インシュリン抵抗性)である疾患を示す。通常、空腹時血糖値は126mg/dL未満であるが、前糖尿病は、例えば、次の状態の1つにより特徴付けられる状態である:空腹時血糖異常(110−125mg/dL)並びに耐糖能異常(126mg/dL未満の空腹時血糖値および140mg/dL〜199mg/dLの間の食後血糖値)。2型真性糖尿病は、高血圧と関係があり得るかまたはあり得ない。真性糖尿病は、例えば、アフリカ系アメリカ人、ラテン/ヒスパニック系アメリカ人、先住アメリカ人、先住アメリカ人、アジア系アメリカ人および太平洋諸島系島民において頻繁に発生する。インシュリン抵抗性の指標には、HbA1C、HOMA IR、コラーゲン断片を測定すること、尿中のTGF−β、PAI−1およびプロレニンが含まれる。
【0033】
“高血圧”という用語は、血管内の血液の圧力が体中を循環する際の標準より高い状態を示す。長期間にわたり、収縮期圧が150mmHgを越える、または拡張期圧が90mmHgを越える場合、身体に損傷が与えられる。例えば、過度の収縮期圧は血管をどこでも破裂させ得て、それが脳内で発生する場合、結果として脳卒中が起こる。高血圧はまた、血管の肥厚および狭窄の原因となり得、これは最終的にアテローム性動脈硬化症をもたらし得るであろう。
【0034】
“重症高血圧”という用語は、180mmHg以上の収縮期血圧および110mmHg以上の拡張期血圧により特徴付けられる高血圧を示す。
【0035】
“肺高血圧(PH)”という用語は、例えば、肺に血液を供給する小血管が収縮するまたは引き締まることから、肺動脈における圧力が25/10以下の正常値以上に上昇する、肺の血管障害(とりわけ原発性および二次性PH)を示す。WHOによれば、PHは5つのカテゴリーに分類することができる:肺動脈高血圧(PAH)、知られている原因がない時に発生するPHは原発性肺高血圧と呼ばれるのに対し、二次性PHは、例えば、気腫;気管支炎;強皮症、クレスト症候群または全身性エリテマトーデス(SLE)といったような膠原血管病;呼吸器系の障害と関係のあるPH;慢性血栓性または塞栓性疾患によるPH;肺血管に直接影響を及ぼす障害によるPH;および肺静脈高血圧(PVH)から選択される状態により引き起こされる。
【0036】
“悪性高血圧”という用語は、通常、乳頭浮腫と呼ばれる、眼の奥にある視神経の腫脹を伴う、非常に高い血圧として定義される(IV度 Keith-Wagner 高血圧性網膜症)。これにはまた、小児期の悪性HTNも含まれる。
【0037】
“収縮期高血圧”という用語は、140mmHg以上の収縮期血圧および90mmHg未満の拡張期血圧により特徴付けられる高血圧を示す。
【0038】
“家族性異脂肪血症高血圧”という用語は、混合性異脂肪血症障害により特徴付けられる。バイオマーカーには、酸化LDL、HDL、グルタチオンおよびホモシステインLPaが含まれる。
【0039】
“腎血管性高血圧”(腎動脈狭窄)という用語は、腎動脈の狭窄が著しい状態を示し、これは、腎臓により発せられるシグナルの結果として生ずる血圧の増大をもたらす。バイオマーカーには、レニン、PRAおよびプロレニンが含まれる。
【0040】
高血圧を伴うまたは伴わない“内皮機能障害”という用語は、内皮由来の血管拡張物質の欠乏により、正常な血管拡張が損なわれる状態を示す。バイオマーカーには、CRP、IL6、ET1、BIG−ET1、VCAMおよびICAMが含まれる。MI後の生存バイオマーカーには、BNPおよびプロコラーゲン因子が含まれる。
【0041】
“拡張機能障害”という用語は、心臓の筋肉(心筋)の異常な機械的特性を示し、そして駆出率が正常であるかまたは低下するかどうか、そして患者が無症状であるか症状を示すかどうかは関係なく、異常な左室(LV)拡張伸展性、充満障害、および緩慢または遅延弛緩が含まれる。無症候性拡張機能障害は、例えば、高血圧性心疾患を伴う患者において見られることの多い、LV充満の正常な駆出率および異常なエコー−ドップラーパターンを伴う無症状の患者を示すために使用する。従って、高血圧性左室肥大および正常な駆出率および異常な左室充満を示す心エコー図を伴う無症状の患者は、拡張機能障害を有すると言うことができる。もしそのような患者が労作性不耐および呼吸困難の症状を示すならば、とりわけもし静脈性うっ血および肺水腫の兆候があるならば、拡張期心不全という用語を使用するのがより適当であろう。この専門用語は、無症状の患者および症状を示す患者においてLV収縮機能障害で使用されるものに類似しており、そして患者が症状を有していようがなかろうが、LV機能障害を伴う全ての患者が含まれる、病態生理学的、診断的、および治療的枠組みの使用を容易にする(William H. Gaasch および Michael R. Zile, Annu. Rev. Med. 55:373-94, 2004; Gerard P. Aurigemma, William H. Gaasch, N. Engl. J. Med. 351:1097-105, 2004)。
【0042】
“心臓線維症”という用語は、コラーゲンおよび他の細胞外基質タンパク質の産生増加または分解減少により、これらのタンパク質の異常に高い蓄積として定義される。バイオマーカーには、BNP、プロコラーゲン因子、LVH、AGE RAGEおよびCAGEが含まれる。
【0043】
“末梢血管疾患(PVD)”という用語は、末梢血管の損傷または機能障害を示す。末梢血管疾患には2つのタイプがある:罹患末梢動脈を示す末梢動脈疾患(PAD)および末梢静脈障害、これらは、足関節・上腕血圧指数により測定することができる。PADは、プラークの漸次蓄積により、動脈を次第に硬化して狭窄する状態であって、心臓外部の身体の、動脈、静脈および毛細血管といったような血管に生ずる状態を示す。これもまた、末梢静脈障害として知られている。
【0044】
“アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)”という用語は、athero(粥またはペーストを意味する)およびsclerosis(硬さ)というギリシャ語に由来する。それは、脂肪性物質、コレステロール、細胞老廃物、カルシウムおよび他の物質の堆積物が動脈の内層に蓄積する過程の名称である。この蓄積はプラークと呼ばれる。それは、普通、大動脈および中動脈に影響を及ぼす。人々は年を取ると、幾つかの動脈硬化が発生することが多い。プラークは、動脈を通る血液の流れを著しく減少させるほど十分大きくなり得る。しかし、損傷の大半は、それらが脆弱となって破裂する場合に発生する。破裂するプラークは血餅を形成し、これは血流を遮断するか、または剥がれて、身体の別の部分へと運ばれ得る。もしどちらか一方が起こって、心臓に供給する血管を遮断するならば、それは心臓発作の原因となる。もしそれが脳に供給する血管を遮断するならば、それは脳卒中の原因となる。そして、もし腕または脚への血液供給が減少するならば、それは歩行困難および最終的には壊疽の原因となり得る。
【0045】
“冠動脈疾患(CAD)”という用語もまた、プラークの漸次蓄積により、動脈を次第に硬化して狭窄する状態であって、心臓内部の動脈といったような血管に生ずる状態を示す。CADは、酸素の豊富な血液を心筋に供給する3つの小動脈において発生する、特異型のアテローム性動脈硬化症である。バイオマーカーには、CPKおよびトロポニンが含まれる。
【0046】
“脳血管疾患”という用語は、塞栓性および血栓性脳卒中;大血管血栓症および小血管疾患;並びに出血性脳卒中といったような脳卒中状態を含んでなる。
【0047】
“塞栓性脳卒中”という用語は、血餅が脳における血流によって下方へと運ばれる場合、例えば、心臓における血餅の形成により特徴付けられる状態を示す。これは、小血管の遮断をもたらして、脳卒中の原因となり得る。
【0048】
“血栓性脳卒中”という用語は、血液を脳に供給する1つまたはそれ以上の動脈に対する遮断から、血流が損なわれる状態を示す。この過程は、通常、血栓性脳卒中の原因となる血栓症をもたらす。バイオマーカーには、PAI 1、TPAおよび血小板機能が含まれる。
【0049】
“メタボリックシンドローム”(シンドロームX)という用語は、次の基準:
1.腹部肥満:ウエスト周囲が、男性では102cm以上、そして女性では88cm以上;
2.高トリグリセリド血症:150mg/dL(1.695mmol/L)以上;
3.低いHDLコレステロール:男性では40mg/dL(1.036mmol/L)未満、そして女性では50mg/dL(1.295mmol/L)未満;
4.高血圧:130/85mmHg以上;および
5.高い空腹時血糖:110mg/dL(6.1mmol/L)以上
の3つまたはそれ以上により特徴付けられる全身状態を示す。
【0050】
メタボリックシンドロームはまた、次の基準の3つまたはそれ以上により特徴付けられ得る:トリグリセリドが150mg/dL以上、収縮期血圧(BP)が130mmHg以上もしくは拡張期BPが85mmHg以上、または抗高血圧処置に関して、高密度リポタンパク質コレステロールが40mg/dL未満、空腹時血糖(FBS)が110mg/dL以上、およびボディ・マス・インデックス(BMI)が28.8k/m超過。
【0051】
メタボリックシンドロームはまた、次の異常:
1.高血圧:160/90mmHg以上;
2.高脂血症:トリグリセリド濃度が150mg/dL(1.695mmol/L)以上、および/またはHDLコレステロールが、男性では35mg/dL(0.9mmol/L)未満、そして女性では39mg/dL(1.0mmol/L)未満;
3.中心性肥満:ウエスト対ヒップ比が、男性では0.90超過、そして女性では0.85超過、および/またはBMIが30kg/m以上;および
4.微量アルブミン尿:尿中アルブミン排泄率が20μg/分以上またはアルブミン対クレアチニン比が20mg/g以上
の2つまたはそれ以上に加えて、糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、またはインシュリン抵抗性により特徴付けられ得る。バイオマーカーには、タンパク尿、TGF−β、TNF−αおよびアディポネクチンが含まれる。
【0052】
バイオマーカーには、LDL、HDL、および全ての内皮機能障害指標が含まれる。
【0053】
“心房細動(AF)”という用語は、血液を心臓に集めて、血餅を形成させる可能性があり得る、不規則なまたはドキドキする(racing)心拍の1つのタイプを示し、この血餅が脳へと運ばれ得て、脳卒中の原因となり得る。
【0054】
“腎不全”という用語、例えば、慢性腎不全は、例えば、タンパク尿および/または血漿クレアチニン濃度の僅かな上昇(1.2−2.0mg/dLに相当する106−177mmol/L)により特徴付けられる。
【0055】
“糸球体腎炎”という用語は、ネフローゼ症候群、高血圧および腎機能低下、巣状の、分節性糸球体腎炎、微小変化型ネフローゼ、ループス腎炎、連鎖球菌感染後GN並びにIgA腎症と関係があり得る状態を示す。
【0056】
“ネフローゼ症候群”という用語は、大量のタンパク尿、浮腫および中枢神経系(CNS)異常が含まれる状態の寄せ集め(compilation)を示す。バイオマーカーには、尿タンパク質排泄物が含まれる。
【0057】
“プラーク安定化”という用語は、線維性皮膜の菲薄化/破壊、平滑筋細胞消失および炎症細胞蓄積を予防することにより、プラークをより危険でないものにすることを意味する。
【0058】
“腎線維症”という用語は、腎機能の喪失をもたらす、コラーゲンおよび他の細胞外基質タンパク質の異常蓄積を示す。バイオマーカーには、尿中のコラーゲン断片およびTGF−βが含まれる。
【0059】
“末期腎疾患(ESRD)”という用語は、透析または腎置換を必要とする程度までの腎機能の喪失を示す。バイオマーカーには、糸球体濾過率およびクレアチニンクリアランスが含まれる。
【0060】
“多発性嚢胞腎(PKD)”という用語は、腎臓における多数の嚢胞の増殖により特徴付けられる遺伝性障害を示す。PKDの嚢胞は、腎臓の塊の多くをゆっくりと減少させ、腎機能を低下させて、腎不全をもたらし得る。PKDは、常染色体優性PKDおよび常染色体劣性PKDという、PKDの2つの主要な遺伝型として分類することができ、一方、非遺伝性PKDは後天性嚢胞腎と呼ぶことができる。バイオマーカーには、非侵襲的画像診断による腎嚢胞の減少が含まれる。
【0061】
本明細書中で使用するような“肥満”という用語は、過剰の体脂肪が存在する状態である。肥満の機能上の定義はボディ・マス・インデックス(BMI)に基づき、これは、体重/身長(m単位)の二乗(kg/m)として計算される。“肥満”は、他の点では健康な被験者が30kg/m以上のボディ・マス・インデックス(BMI)を有するという状態、または少なくとも1つの共存症を伴う被験者が27kg/m以上のBMIを有するという状態を示す。“肥満の被験者”は、ボディ・マス・インデックス(BMI)が30kg/m以上であって他の点では健康な被験者、またはBMIが27kg/m以上であって少なくとも1つの共存症を伴う被験者である。“肥満の危険性がある被験者”は、BMIが25kg/m〜30kg/m未満であって他の点では健康な被験者、またはBMIが25kg/m〜27kg/m未満であって少なくとも1つの共存症を伴う被験者である。肥満と関係のある危険性の増大は、アジア人においてより低いボディ・マス・インデックス(BMI)で発生する。日本を含め、アジア諸国において、“肥満”は、体重減少を必要とする、または体重減少により改善されるであろう、肥満が誘発する共存症または肥満に関連した共存症を少なくとも1つ伴う被験者が、25kg/m以上のBMIを有するという状態を示す。日本を含め、アジア諸国において、“肥満の被験者”は、BMIが25kg/m以上であって、体重減少を必要とする、または体重減少により改善されるであろう、肥満が誘発する共存症または肥満に関連した共存症を少なくとも1つ伴う被験者を示す。アジア太平洋において、“肥満の危険性がある被験者”は、BMIが23kg/m以上〜25kg/m未満の被験者である。
【0062】
本明細書中で使用する場合、“肥満”という用語は、上記の肥満に関する定義を全て包含することを意図する。
【0063】
肥満が誘発する共存症または肥満に関連した共存症には、限定されるものではないが、糖尿病、インシュリン非依存性真性糖尿病−2型、肥満と関係のある糖尿病、耐糖能異常、空腹時血糖異常、インシュリン抵抗性症候群、異脂肪血症、高血圧、肥満と関係のある高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝、脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血発作、整形外科的障害、変形性関節炎、腰痛(lumbodynia)、月経異常、および不妊症が含まれる。特に、共存症には、高血圧、高脂血症、異脂肪血症、耐糖能障害、心血管疾患、睡眠時無呼吸、真性糖尿病、および他の肥満に関連した状態が含まれる。
【0064】
“体脂肪減少”という用語は、体脂肪の一部の減少を意味する。
【0065】
“筋細胞”という用語は、筋組織の主要細胞から得られる細胞を示す。筋細胞は、筋組織から新たに単離し得るか、または細胞株を確立し得る。
【0066】
“減量”という用語は、全体重の一部の減少を示す。
【0067】
本明細書および特許請求の範囲において、“欲求障害”は、その起源に関係なく、物質と関係のある障害、そしてとりわけ物質の乱用および/または物質に対する依存、食物行動の障害、とりわけ過剰体重の原因になりやすい食物行動の障害、例えば、過食症、糖類に対する欲求、インシュリン非依存性糖尿病を意味するものとして理解される。従って、食欲をそそる物質は、食欲またはそのような消費に対する渇望のため、いずれかの摂取経路により身体内へ取り込まれる物質を意味するものとして理解される。食欲をそそる物質には、限定されるものではないが、食物、および糖類、炭水化物、または脂肪といったような、それらの食欲をそそる成分、さらにはまた、乱用または過剰消費のアルコール飲料または薬物が含まれる。“食欲”は、食物、糖類、炭水化物、脂肪、さらにはまた、乱用または中毒または過剰消費のエタノールまたは薬物(例えば、タバコ、CNS抑制薬、CNS刺激薬)といったような物質に対して向けられ得る。一態様において、該障害は、ニコチン離脱または禁煙と関係のある食欲を増大させる。従って、“欲求障害”という用語はまた、哺乳動物(例えば、ヒト、ネコまたはイヌ)において、体重を減らす、または体脂肪を減少させる、または食物に対する食欲を減退させる、または食物摂取もしくは消費を減少させる、または食欲不振を引き起こすための処置も包含する。“欲求障害”という用語はまた、食物に対する食欲を減退させるための処置も包含し得る。
【0068】
本明細書中で使用する場合、“物質乱用障害”という用語には、生理的依存を伴うまたは伴わない物質依存または乱用が含まれる。これらの障害と関係のある物質は、アルコール、アンフェタミン(またはアンフェタミン様物質)、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、マリファナ、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン(またはフェンシクリジン様化合物)、鎮静催眠剤またはベンゾジアゼピン系薬剤、並びに他の(または未知の)物質および上記全ての組合せ剤である。特に、“物質乱用障害”という用語には、知覚障害を伴うもしくは伴わないアルコール離脱;アルコール離脱せん妄;アンフェタミン離脱;コカイン離脱;ニコチン離脱;オピオイド離脱;鎮静、催眠;または知覚障害を伴うもしくは伴わない抗不安薬離脱;鎮静剤、催眠剤もしくは抗不安薬離脱せん妄;および他の物質による離脱症状といったような薬物離脱障害が含まれる。従って、“物質乱用障害”という用語はまた、ニコチン離脱もしくは禁煙と関係のある食欲の増大を抑制するための処置、または麻薬、CNS刺激薬、CNS抑制薬、および抗不安薬といったような精神活性物質に対する中毒の処置も包含する。ニコチン離脱の処置に対する参考には、禁煙と関係のある症状の処置が含まれることが理解されるであろう。他の“物質乱用障害”には、離脱の間に発症する物質誘発性不安障害;離脱の間に発症する物質誘発性気分障害;および離脱の間に発症する物質誘発性睡眠障害が含まれる。
【0069】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩を含んでなる“組合せ剤”という用語は、該成分を、医薬組成物として、またはその一部として、単位投薬形態で一緒に投与し得ることを意味する。組合せ剤にはまた、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩を、各々個別にではあるが同じ治療レジメンの一部として投与することも含まれる。該成分を、もし個別に投与するなら、必ずしも基本的には同時に投与する必要があるわけではないが、もしそのように望まれるなら、該成分を同時に投与することができる。従って、組合せ剤はまた、例えば、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩を、個別の投薬量または投薬形態としてではあるが同時に投与することも示す。組合せ剤にはまた、異なる時間での、そしていずれかの順序での個別投与も含まれる。
【0070】
本発明が適用されるレニン阻害剤は、インビボでのレニン阻害活性を有するもの、並びに従って、例えば、高血圧(悪性、本態性、腎血管性、糖尿病性、収縮期、または他の二次性タイプの高血圧に関してであろうとなかろうと)、拡張期およびうっ血性心不全(急性および慢性)といったような心不全、左室機能障害、内皮機能障害、拡張機能障害、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、上室性および心室性不整脈、心房細動(AF)、心臓線維症、心房粗動、有害な血管リモデリング、プラーク安定化、心筋梗塞(MI)およびその後遺症、冠動脈疾患(CAD)が含まれるアテローム性動脈硬化症、狭心症(不安定であろうと安定であろうと)、腎不全(糖尿病性および非糖尿病性)、腎線維症、多発性嚢胞腎(PKD)、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、続発性アルドステロン症、原発性および二次性肺高血圧、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、強皮症、糸球体硬化、原発性腎疾患のタンパク尿、腎血管性高血圧、糖尿病性網膜症および末期腎疾患(ESRD)といったような腎不全状態の予防のための、発症を遅延させるための、および/または処置のための、片頭痛、末梢血管疾患(PVD)、レイノー病、管腔過形成、認知機能障害(アルツハイマー病といったような)、緑内障、および例えば塞栓性または血栓性脳卒中のような脳血管疾患といったような他の血管障害の管理のための、治療薬としての医薬有用性を有するもののいずれかである。
【0071】
特に、本発明は、米国特許第5,559,111号;第6,197,959号;および第6,376,672号(この全内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。)に開示されているレニン阻害剤に関する。
【0072】
適当なレニン阻害剤には、様々な構造的特徴を有する化合物が含まれる。例えば、ディテキレン(ditekiren)(化学名:[1S−[1R,2R,4R(1R,2R)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−アルファ−メチル−L−ヒスチジンアミド);テルラキレン(terlakiren)(化学名:[R−(R,S)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);およびザンキレン(zankiren)(化学名:[1S−[1R[R(R)],2S,3R]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−アルファ−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、好ましくは、各々の場合において、その塩酸塩よりなる群から選択される化合物について言及することができる。
【0073】
本発明の好ましいレニン阻害剤には、各々、式(I)および(II):
【化1】

のRO 66−1132およびRO 66−1168、またはその薬学的に許容され得る塩が含まれる。
【0074】
特に、本発明は、式:
【化2】

[式中、
は、ハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
は、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;
およびRは独立して、分岐鎖状のC3−6アルキルであり;そして
は、シクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである。]
のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体またはその薬学的に許容され得る塩であるレニン阻害剤に関する。
【0075】
アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは1個〜6個のC原子、とりわけ1個または4個のC原子を含んでなる。例は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチル並びにヘキシルである。
【0076】
ハロゲンアルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは1個〜4個のC原子、とりわけ1個または2個のC原子を含んでなる。例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2−クロロエチルおよび2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0077】
アルコキシの場合、RおよびRは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなる。例は、メトキシ、エトキシ、n−およびi−プロピルオキシ、n−、i−およびt−ブチルオキシ、ペンチルオキシ並びにヘキシルオキシである。
【0078】
アルコキシアルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよい。そのアルコキシ基は、好ましくは1個〜4個、そしてとりわけ1個または2個のC原子を含んでなり、またそのアルキル基は、好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなる。例は、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、6−エトキシヘキシル、プロピルオキシメチル、ブチルオキシメチル、2−プロピルオキシエチルおよび2−ブチルオキシエチルである。
【0079】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよい。そのアルコキシ基は、好ましくは1個〜4個、そしてとりわけ1個または2個のC原子を含んでなり、またそのアルキルオキシ基は、好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなる。例は、メトキシメチルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、5−メトキシペンチルオキシ、6−メトキシヘキシルオキシ、エトキシメチルオキシ、2−エトキシエチルオキシ、3−エトキシプロピルオキシ、4−エトキシブチルオキシ、5−エトキシペンチルオキシ、6−エトキシヘキシルオキシ、プロピルオキシメチルオキシ、ブチルオキシメチルオキシ、2−プロピルオキシエチルオキシおよび2−ブチルオキシエチルオキシである。
【0080】
好ましい態様において、Rは、メトキシ−またはエトキシ−C1−4アルキルオキシであり、そしてRは、好ましくはメトキシまたはエトキシである。Rが3−メトキシプロピルオキシであり、そしてRがメトキシである、式(III)の化合物が特に好ましい。
【0081】
分岐鎖状のアルキルの場合、RおよびRは、好ましくは3個〜6個のC原子を含んでなる。例は、i−プロピル、i−およびt−ブチル、並びにペンチルおよびヘキシルの分岐鎖状の異性体である。好ましい態様において、式(III)の化合物におけるRおよびRは、各々の場合において、i−プロピルである。
【0082】
シクロアルキルの場合、Rは、好ましくは3個〜8個の環炭素原子を含んでなるのがよく、3個または5個がとりわけ好ましい。幾つかの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルである。そのシクロアルキルは、場合により、アルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、ヘテロサイクリル等といったような、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0083】
アルキルの場合、Rは、アルキルの形で直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは1個〜6個のC原子を含んでなる。本明細書中、アルキルの例を先に挙げる。メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチルが好ましい。
【0084】
1−6ヒドロキシアルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは2個〜6個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−、3−または4−ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシルである。
【0085】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよい。そのアルコキシ基は、好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなり、またそのアルキル基は、好ましくは2個〜4個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、2−、3−または4−メトキシブチル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、および2−、3−または4−エトキシブチルである。
【0086】
1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよい。そのアルカノイルオキシ基は、好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなり、またそのアルキル基は、好ましくは2個〜4個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、ホルミルオキシメチル、ホルミルオキシエチル、アセチルオキシエチル、プロピオニルオキシエチルおよびブチロイルオキシエチル(butyroyloxyethyl)である。
【0087】
1−6アミノアルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そして好ましくは2個〜4個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、2−アミノエチル、2−または3−アミノプロピルおよび2−、3−または4−アミノブチルである。
【0088】
1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルおよびC1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよい。そのアルキルアミノ基は、好ましくはC1−4アルキル基を含んでなり、またそのアルキル基は、好ましくは2個〜4個のC原子を有する。幾つかの例は、2−メチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチルおよび4−ジメチルアミノブチルである。
【0089】
HO(O)C−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そしてそのアルキル基は、好ましくは2個〜4個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピルおよびカルボキシブチルである。
【0090】
1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そしてそのアルキル基は互いに独立して、好ましくは1個〜4個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、メトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、4−メトキシカルボニルブチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−エトキシカルボニルプロピル、および4−エトキシカルボニルブチルである。
【0091】
N−C(O)−C1−6アルキルの場合、Rは、直鎖状であってもまたは分岐鎖状であってもよく、そしてそのアルキル基は、好ましくは2個〜6個のC原子を含んでなる。幾つかの例は、カルバミドメチル、2−カルバミドエチル、2−カルバミド−2,2−ジメチルエチル、2−または3−カルバミドプロピル、2−、3−または4−カルバミドブチル、3−カルバミド−2−メチルプロピル、3−カルバミド−1,2−ジメチルプロピル、3−カルバミド−3−エチルプロピル、3−カルバミド−2,2−ジメチルプロピル、2−、3−、4−または5−カルバミドペンチル、4−カルバミド−3,3−または−2,2−ジメチルブチルである。好ましくは、Rは2−カルバミド−2,2−ジメチルエチルである。
【0092】
従って、アリスキレンとしてもまた知られており、2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)フェニル]オクタンアミドとして化学的に定義される、式:
【化3】

[式中、
は3−メトキシプロピルオキシであり;
はメトキシであり;そして
およびRはイソプロピルである。]
を有する、式(III)のδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体またはその薬学的に許容され得る塩が好ましい。
【0093】
“アリスキレン”という用語は、もし具体的に定義されていないならば、遊離塩基とその塩、とりわけその薬学的に許容され得る塩、最も好ましくはそのヘミフマル酸塩との両方として理解されるべきである。
【0094】
本発明の組合せ剤において使用することができる適当なアンジオテンシンII受容体遮断薬には、様々な構造的特徴を有するAT1受容体アンタゴニストが含まれ、非ペプチド性構造をもつものが好ましい。例えば、バルサルタン(欧州特許第443983号)、ロサルタン(欧州特許第253310号)、カンデサルタン(欧州特許第459136号)、エプロサルタン(欧州特許第403159号)、イルベサルタン(欧州特許第454511号)、オルメサルタン(欧州特許第503785号)、タソサルタン(欧州特許第539086号)、テルミサルタン(欧州特許第522314号)、式:
【化4】

のE−4177という名称をもつ化合物、次の式:
【化5】

のSC−52458という名称をもつ化合物、および式:
【化6】

の化合物 ZD−8731という名称をもつ化合物、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される化合物について言及することができる。
【0095】
好ましいAT1受容体アンタゴニストは、市場に達している薬剤であり、最も好ましくは、バルサルタンまたはその薬学的に許容され得る塩である。
【0096】
本発明の組合せ剤において使用することができるACE阻害剤群は、様々な構造的特徴を有する化合物を含んでなる。例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート(enaprilat)、ホシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル (moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリルおよびトランドラプリル、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される化合物について言及することができる。
【0097】
好ましいACE阻害剤は、市販されている薬剤であり、最も好ましくは、ベナゼプリルおよびエナラプリルである。
【0098】
CB1カンナビノイド受容体のアンタゴニストは、該受容体に結合して、該受容体自体を活性化する、いずれかの実質的な能力を欠く化合物である。それによって、アンタゴニストは、アゴニストが存在する場合、機能的活性化またはアナンダミドといったようなアゴニストによる受容体の占拠を妨げるまたは減少させることができる。幾つかの態様において、該アンタゴニストは、約1μM〜約1nMのIC50を有する。他の態様において、該アンタゴニストは、約0.1μM〜0.01μM、1.0μM〜0.1μM、または0.01μM〜1nMのIC50を有する。幾つかの態様において、該アンタゴニストは、該受容体上の共有結合部位への結合に関してアゴニストと競合する。
【0099】
適当なカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストの第1群は、ピラゾール誘導体である。特許出願EP−A−576 357およびEP−A−658 546は、カンナビノイド受容体に対して親和性を有する典型的なピラゾール誘導体を記載している。より詳細には、特許出願EP−A−656 354は、典型的なピラゾール誘導体を開示しており、そして主要なカンナビノイド受容体に対して非常に良好な親和性を有する、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド、またはSR 141716、およびその薬学的に許容され得る塩を特許請求している。さらなる典型的なCB1受容体アンタゴニストは、哺乳動物においてカンナビノイド受容体を遮断するまたは阻害するためのアリールベンゾ[b]チオフェンとベンゾ[b]フラン化合物との両方を開示する、米国特許第5,596,106号に開示されている。好ましくは、そのようなカンナビノイドアンタゴニストは、CB1受容体に対して選択的であって、CB1受容体に関するIC50がCB2受容体のIC50より4分の1以下であり、またはより好ましくは、CB2受容体に関するIC50より10分の1以下であり、またはさらにより好ましくは、CB1受容体に関してのIC50がCB2受容体に関するIC50の100分の1である。上記参考文献は各々、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。
【0100】
別の代表的な例は、1995年に導入されたヨードプラバドリン(Iodopravadoline)(AM−630)である。AM−630は、CB1受容体アンタゴニストであるが、時に弱い部分アゴニストとして作用することがある(Hosohata, K.; Quock, R. M.; Hosohata, Y.; Burkey, T. H.; Makriyannis, A.; Consroe, P.; Roeske, W. R.; Yamamura, H. I. Life Sc. 1997, 61, PL115)。より最近では、Eli Lillyからの研究者がアリールアロイル置換ベンゾフランを選択的CB1受容体アンタゴニストとして記載した(例えば、LY−320135)(Felder, C. C.; Joyce, K. E.; Briley, E. J.; Glass, M.; Mackie, K. P.; Fahey, K. J.; Cullinan, G. J.; Hunden, D. C.; Johnson, D. W.; Chaney, M. O.; Koppei, G. A.; Brownstein, M. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1998, 284, 291)。最近では、3−アルキル−5,5’−ジフェニルイミダゾリジンジオンがカンナビノイド受容体リガンドとして記載され、これがカンナビノイドアンタゴニストであると示された(Kanyonyo, M.; Govaerts, S. J.; Hermans, E.; Poupaert, J. H.; Lambert, D. M. Biorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 2233)。興味深いことに、多くのCB1受容体アンタゴニストがインビトロでは逆アゴニストとして作用すると報告されている(Landsman, R. S.; Burkey, T. H.; Consroe, P.; Roeske, W. R.; Yamamura, H. I. Eur. J. Pharmacol. 1997, 334, R1)。最近のレビューは、カンナビノイド研究分野における現状の適切な概要を提供する(Mechoulam, R.; Hanus, L.; Fride, E. Prog. Med. Chem. 1998, 35, 199。Lambert, D. M. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635。Mechoulam, R.; Fride, E.; Di Marzo, V. Eur. J. Pharmacol. 1998, 359, 1)。国際特許出願WO 01/70700から、4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール化合物は、強力で選択的な大麻CB受容体アンタゴニスト活性を示すことが知られている。
【0101】
式:
【化7】

[式中、置換基R、R、R、R、およびRは、米国特許第5,596,106号(この米国特許は、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。)に詳述されている通り定義される。]
のカンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト化合物もまた有用である。関連参考文献である米国特許第5,747,524号もまた、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。この参考文献は、本発明による使用のためのさらなる典型的なアリールベンゾ[b]チオフェンおよびアリールベンゾ[b]フラン誘導体を開示する。
【0102】
本発明により、次の式:
【化8】

[式中、
は、水素、フッ素、ヒドロキシル、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、基 −NR1011、シアノ、(C−C)アルキルスルホニルまたは(C−C)アルキルスルフィニルであり;
およびRは、(C−C)アルキルであるか、またはそれらが結合する窒素原子と一緒に、置換されていないか、または(C−C)アルキルもしくは(C−C)アルコキシで一置換もしくは多置換されている、飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式基を形成し;
、R、R、R、RおよびRは各々独立して、水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、そして、もしRがフッ素であるならば、置換基 RまたはRの少なくとも1つは水素以外であるという条件の下、R、R、R、R、Rおよび/またはRはまた、フルオロメチルであり得;そして
10およびR11は各々独立して、水素もしくは(C−C)アルキルであるか、またはR10およびR11は、それらが結合する窒素原子と一緒に、置換されていないか、または(C−C)アルキルで置換されている、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イルおよびピペラジン−1−イルから選択される複素環式基を形成する。]
のカンナビノイドアンタゴニスト、並びにそれらの塩およびそれらの溶媒和物もまた特に有用である。
【0103】
本発明に関連して有用である選択的CBアンタゴニスト化合物の他の例には(それらに限定されるものではない。)、以下のものが含まれる。
【0104】
1)Sanofiにより選択的CB受容体アンタゴニストとして開示されているジアリールピラゾール同族体、例えば、代表的な例として、化合物 SR−141716A、SR−147778、SR−140098およびリモナバン、並びに、例えば、欧州特許第0969835号または欧州特許第1150961号に記載されている関連化合物(Central mediation of the cannabinoid cue: activity of a selective CB1 antagonist, SR 141716A Perio A, Rinaldi-Carmona M, Maruani J Behavioural Pharmacology 1996, 7:1(65-71));Sanofi-Winthropにより開示されているWIN−54461(Cannabinoid receptor ligands: Clinical and neuropharmacological considerations relevant to future drug discovery and development. Pertwee R G, Expert Opinion on Investigational Drugs 1996, 5:10(1245-1253))。欲求障害の処置において有用な薬物の製造に関して、N−ピペリジノ−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチルピラゾール−3−カルボキサミド(SR 141616−CASナンバー:168273−06−1)、その薬学的に許容され得る塩およびそれらの溶媒和物が記載された。SR 141616(pINN:リモナバン)は、式:
【化9】

により表される。リモナバンは、EP−B−656 354またはM. Rinaldi-Carmonaらによる論文(FEBS Lett., 1994, 350, 240-244)に具体的に記載されている。EP1446384 A1は、新たな多形のリモナバンを記載しており、リモナバンを含んでなる製剤は、WO 2003082256に記載されており、そして食欲障害におけるリモナバンの使用は、WO 99/00119に記載されている。
【0105】
2)CB1受容体アンタゴニストとして開示されているアミノアルキルインドール、例えば、代表的な例として、化合物 ヨードプラバドリン(Iodopravadoline)(AM−630)。
【0106】
3)Eli Lillyにより選択的CB1受容体アンタゴニストとして記載されたアリール−アロイル置換ベンゾフラン、例えば、LY−320135(Cannabinoid receptor ligands: Clinical and neuropharmacological considerations relevant to future drug discovery and development. Pertwee R G, Expert Opinion on Investigational Drugs 1996, 5:10(1245-1253))。
【0107】
4)Merck & Coにより記載されている化合物、例えば、AM 251およびAM 281(Conference: 31st Annual Meeting of the Society for Neuroscience, San Diego, USA, 10-15.11.2001)、並びに、例えば、米国特許第2003−114495号またはWO 03/007887に開示されている置換イミダゾリル誘導体。
【0108】
5)Aventis Pharmaにより、例えば、WO 02/28346または欧州特許第1328269号に記載されているアゼチジン誘導体。
【0109】
6)Pfizer Inc.からのCP−55940(Comparison of the pharmacology and signal transduction of the human cannabinoid CB1 and CB2 receptors, Felder C C, Joyce K E, Briley E M, Mansouri J, Mackie K, Blond O, Lai Y, Ma A L, Mitchell R L, Molecular Pharmacology 1995, 48:3(443))。
【0110】
7)例えば、WO 03/051851に記載されているAstra Zenecaからのジアリール−ピラジン−アミド誘導体。
【0111】
8)Med. Coll. Wisconsin(アバディーン大学)からのACPAおよびACEA、(“Effects of AM 251 & AM 281, cannabinoid CB1 antagonists, on palatable food intake in lewis rats” J. Pharmacol. Exp. Ther. 289, No 3, 1427-33, 1999)。
【0112】
9)コネチカット大学により、例えば、WO 01/29007に記載されているピラゾール誘導体。
【0113】
10)HU−210(国際疼痛学会−第9回 世界大会(第2部),ウィーン,オーストリア,Dickenson A H, Carpenter K, Suzuki R, IDDB MEETING REPORT 1999年,8月22−27日)およびYissum R&D Co エルサレム・ヘブライ大学からのHU−243(Cannabinoid receptor agonists and antagonists, Barth F, Current Opinion in Therapeutic Patents 1998, 8:3(301-313))。
【0114】
11)Organix Inc.からのO−823(Drug development pipeline:O−585,O−823,O−689,O−1072,ノンアミン(nonamines),Orgaix, Altropane Organix Inc, Company Communication 1999年,8月10日;IDDb データベース)およびConsiglio Nazionale delle RicercheからのO−2093(“A structure/activity relationship study on arvanil, endocannabinoid and vanilloid hybrid.”, Marzo DV, Griffin G, Petrocellis L, Brandi I, Bisogno T, Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 2002, 300:3(984-991))。
【0115】
12)カンナビノイド受容体リガンドとして記載された3−アルキル−5,5’−ジフェニルイミダゾリジンジオン。
【0116】
13)現在、Bayer AGにより開発中のCBアンタゴニスト化合物(IDDb データベース: company communication 2002年,2月28日)。
【0117】
14)CB1受容体アンタゴニストは、米国特許第6,028,084号(この米国特許は、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。)の式(I)によるピラゾール誘導体である。
【0118】
15)米国特許第6,017,919号は、本発明による使用のための別の適当なカンナビノイド受容体アンタゴニスト群を開示している。これらのアンタゴニストは、次の一般式:
【化10】

[式中、置換基は、米国特許第6,017,919号(この米国特許は、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。)に定義される通りである。]
のものである。
【0119】
16)CB1カンナビノイドアンタゴニストは、米国特許第5,747,524号および2001年12月20日に公開された米国特許出願第2001/0053788A1号に教示されているような、CB1アンタゴニスト活性を有する4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体である。
【0120】
17)CB1受容体アンタゴニストは、米国特許出願第2001/0053788A1号に教示されており、そして特にその中で式(I)により開示されているような、CB1アンタゴニスト活性を有する4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体である。2001年12月20日に公開された米国特許出願第2001/0053788A1号は、参照によりそっくりそのまま組み込まれる。
【0121】
18)WO 2005049615に記載されているCB1受容体アンタゴニスト、とりわけ実施例1〜8の化合物。
【0122】
19)WO 2005047285に記載されているCB1受容体アンタゴニスト、とりわけ実施例1〜99の化合物。
【0123】
20)Solvay会社により開発されたCB1受容体アンタゴニストである(4R)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−メチル−4−フェニル−N’−[[4−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル]−1H−ピラゾール−1−カルボキシミドアミド(SLV 326-34th Neuroscience, Abs 1009.4, 2004年10月)(WO 0170700A1)。
【化11】

SolvayのCB1受容体アンタゴニストは、特許出願WO 2005040130A1、WO 2005028456A1、WO 2005020988A1、WO 2004026301A1、WO 2003078413A1、WO 2003027076A2、WO 2003026648A1、WO 2003026647A1、WO 2002076949A1、WO 0170700A1の実施例に記載されている。
【0124】
リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV326およびSR147778、好ましくはリモナバン、AM251もしくはSR147778、より好ましくはリモナバン、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択されるCB1受容体アンタゴニストが特に好ましい。
【0125】
参照により本明細書中に含まれる上述の特許文献または科学出版物に開示されているような各群に関する物質はいずれも、本発明を行う際に使用することが潜在的に有用であると考えられる。
【0126】
各々の場合において、特に、特許請求する化合物および実際に役立つ実施例の最終生成物において、最終生成物、医薬製剤および特許請求の範囲の内容は、これらの出版物を参照することにより本出願へと組み込まれる。
【0127】
組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤であって、各々、レニン阻害剤、例えば、アリスキレンを、とりわけそのヘミフマル酸塩の形で、および第二活性薬剤として、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される活性薬剤を含んでなる組合せ剤が好ましい。
【0128】
組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤であって、各々、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、例えば、バルサルタンまたはその薬学的に許容され得る塩、および第二活性薬剤として、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される活性薬剤を含んでなる組合せ剤が好ましい。
【0129】
組み合わせ製剤または医薬組成物といったような組合せ剤であって、各々、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、ベナゼプリルまたはその薬学的に許容され得る塩、および第二活性薬剤として、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される活性薬剤を含んでなる組合せ剤が好ましい。
【0130】
対応する活性成分またはその薬学的に許容され得る塩はまた、水和物といったような溶媒和物の形で使用しても、または結晶化のために使用される他の溶媒が含まれていてもよい。
【0131】
組み合わせるための化合物は、薬学的に許容され得る塩として存在し得る。もしこれらの化合物が、例えば、少なくとも1つの塩基性中心を有するならば、それらは酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩はまた、所望により、加えて存在する塩基性中心を有して形成され得る。酸性基(例えば、COOH)を有する化合物はまた、塩基との塩も形成し得る。
【0132】
これらの市販製品は全て、本発明による組み合わせ療法のためにそれ自体で利用することができる。
【0133】
一般名または商標名により識別される活性薬剤の構造は、現行版の標準一覧“メルクインデックス”から、またはデータベース、例えば、国際特許(例えば、IMS世界公開)から引用することができる。その対応する内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。当業者なら誰でも、活性薬剤を識別することが十分可能であって、これらの参考文献に基づき、同様に製造して、標準的な試験モデルにおける医薬効能および特性をインビトロとインビボとの両方で試験することが可能である。
【0134】
だからこそ、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩と、少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその塩との組み合わせ投与が結果的に、有益な、とりわけ相乗的な治療効果だけでなく、組み合わせ処置の結果として生ずるさらなる利益、および本明細書中に開示する組合せ剤において使用する薬学的に活性な化合物の1つのみを適用する単剤療法に比べてさらに驚くべき有益な効果をももたらすという実験的発見は驚くべきことである。
【0135】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬と少なくとも1つのCB1アンタゴニストとの組合せ剤が結果的に、以下に詳述する疾患のより有効な予防または好ましくは処置をもたらすということは、確立された試験モデル、そしてとりわけ本明細書中に記載する試験モデルにより示され得る。特に、本発明の組合せ剤が結果的に、後に詳述する疾患のより有効な予防または好ましくは処置をもたらすということは、確立された試験モデル、そしてとりわけ本明細書中に記載する試験モデルにより示され得る。
【0136】
もし同時に服用するならば、これは結果的に、本明細書中に記載するような多数の組合せ剤に対して、さらに増強された有益な、とりわけ相乗的な治療効果だけでなく、驚くべき有効性の延長、より広範で様々な治療処置、並びにレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害、特に肥満または欲求障害に対する驚くべき有益な効果といったような、同時処置の結果として生ずるさらなる利益をももたらす。
【0137】
さらに、ヒトの患者にとって、とりわけ高齢者にとって、時間内に、すなわち、より複雑な処置スケジュールにより、時間をずらして服用するよりは、例えば、食事前に、忘れずに2つの錠剤を同時に服用するほうがより便利であってより容易である。より好ましくは、本明細書中に記載する全ての場合において、両方の活性成分を、固定組合せ剤として、すなわち、単一の錠剤として投与する。単一の錠剤を服用するのは、2つの錠剤を同時に服用するよりずっと扱いやすい。そのうえ、パッケージングをより少ない労力で成し遂げることができる。
【0138】
関連技術に長けた人々は、関連があって標準的な動物試験モデルを選択して、本明細書に示す治療適応および有益な効果を証明することが十分可能である。
【0139】
本発明により使用する活性薬剤の組合せ剤の投与により生ずるような医薬活性は、例えば、関連技術において知られている対応する薬理学的モデルを使用することにより実証することができる。
【0140】
従って、本発明による組合せ剤は、例えば、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、および/または欲求障害もしくはニコチン中毒の予防、進行の遅延または処置のために使用することができる。
【0141】
従って、さらなる態様において、本発明は、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延または処置のための薬物の製造に関しての、上記組合せ剤の使用に関する。
【0142】
そのうえ、本発明は、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延、処置のための方法であって、その必要がある、人間を含め、温血動物に、上記組合せ剤の有効量を投与することを含んでなる方法に関する。
【0143】
先に記載したような方法または使用では、該疾患または状態が、肥満、欲求障害および物質乱用障害から選択されるか、または体脂肪減少に関するものである。
【0144】
より好ましくは、該疾患または状態が、欲求障害もしくは物質乱用障害であるか、または体脂肪減少に関するものである。
【0145】
最も好ましくは、該疾患または状態は、肥満または欲求障害から選択される。
【0146】
さらなる一態様において、本明細書中に記載する方法、使用および組成物を、ニコチン離脱または禁煙と関係のある食欲の増大を抑制するために使用する。
【0147】
さらなる一態様において、本明細書中に記載する方法、使用および組成物を、体脂肪減少のために使用する。
【0148】
記載した使用または方法のための好ましい組合せ剤を本明細書中に記載する。
【0149】
好ましくは、本発明の組合せ剤による活性薬剤の共同での治療上有効な量を、同時に、またはいずれかの順序で連続して、例えば、個別に(組み合わせ医薬製剤)または固定組合せ剤で投与することができる。
【0150】
一定の状況下、様々な作用機序を伴う薬物を組み合わせることができる。しかしながら、様々な作用方式を有するが同様の分野で作用する薬物の幾つかの組み合わせをまさに考えると、必ずしも組み合わせに有利な効果をもたらすわけではない。
【0151】
だからこそ、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬と、本発明によるCB1アンタゴニストとの(または各々の場合において、その薬学的に許容され得る形)組み合わせ投与が結果的に、有益な、とりわけ増強するまたは相乗的な治療効果をもたらすだけではないという実験的発見は驚くべきことである。それとは関係なく、驚くべき有効性の延長、より広範で様々な治療処置、並びに糖尿病と関係のある疾患および状態に対する驚くべき有益な効果(例えば、より少ない食欲、より少ない体重増加、またはより少ない心血管の副作用)といったような、組み合わせ処置の結果として生ずるさらなる利益が達成され得る。
【0152】
さらなる利益は、本発明により組み合わせるための低用量の個々の薬物が、投薬量を減少させるために使用され得ること(例えば、投薬量はより少ないことが必要であることが多いだけでなく、あまり頻繁に適用しない。)、または副作用の発生を減らすために使用され得ることである。これは、処置すべき患者の要望および要求と一致している。
【0153】
例えば、本発明による組合せ剤は、とりわけ高血圧患者の処置(例えば、負の心血管事象の危険性を減少させること、副作用の危険性を減少させること、体重増加を抑制すること(糖尿病の患者において))において、または胃腸運動の変化、感受性および/または分泌障害を患っている患者において、利益を提供することが分かっている。
【0154】
本発明により使用するレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはCB1アンタゴニストの用量の減少から考えて、それを第一選択療法に適当とする組合せ剤の相当な安全性プロフィールがある。
【0155】
本明細書中で先にそして後に記載するような本発明による医薬組成物は、同時使用またはいずれかの順序での連続使用のために、個別使用のために、または固定組合せ剤として使用することができる。
【0156】
先に記載したような方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬およびCB1アンタゴニストを、固定組合せ剤または組み合わせ製剤またはパーツのキットといったような、本発明の組合せ剤の形態で投与する。
【0157】
本明細書中に記載するような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がアリスキレンであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0158】
先に記載したような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がアリスキレンであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩である。
【0159】
本明細書中に記載するような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がバルサルタンであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0160】
先に記載したような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がバルサルタンであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩である。
【0161】
本明細書中に記載するような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がベナゼプリルであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、AM−630、AM251、AM281、LY−320135、HU−210、HU−243、O−823、O−2093、SLV 326、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0162】
先に記載したような“パーツのキット”、組合せ剤、方法または使用では、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がベナゼプリルであって、CB1アンタゴニストが、リモナバン、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩である。
【0163】
本発明により、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬およびCB1アンタゴニストを一緒に投与する場合、そのような投与は、時間内に連続してか、または同時になし得、一般的には、同時方法が好ましい。
【0164】
連続投与に関して、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬およびCB1アンタゴニストは、いずれかの順序で投与することができる。一般的には、そのような投与は経口であるのが好ましい。その投与は経口であって同時であるのがとりわけ好ましい。しかしながら、もし処置する被験者が嚥下することができない、または経口吸収がその他の点では損なわれるかまたは望ましくないならば、非経口または経皮投与が適当であろう。レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬およびCB1アンタゴニストを連続して投与する場合、各々の投与は、同じ方法によってか、または違う方法によりなし得る。
【0165】
本発明のさらなる態様は、本発明による疾患または状態の予防、進行の遅延、処置のための、
(a)第一の単位投薬形態での、ある量のレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩;
(b)第二等の単位投薬形態での、ある量の少なくとも1つのCB1アンタゴニスト、または各々の場合において、適当な場合には、その薬学的に許容され得る塩;および
(c)該第一、第二等の単位形態を入れるための容器
を含んでなるキットである。
【0166】
その変形において、本発明は同様に、例えば、本発明により組み合わせるべき成分を、独立して、または区別された成分量での様々な固定組合せ剤の使用により、すなわち、同時に、または異なる時点で投薬することができるという意味での“パーツのキット”に関する。次いで、該パーツのキットのパーツを、例えば、同時に、または経時的にずらして、すなわち、パーツのキットのいずれかのパーツに関して、異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で投与することができる。好ましくは、該部分の組み合わせ使用での処置する疾患または状態に対する効果が、いずれか1つの成分のみの使用により得られるであろう効果より大きくなるよう、時間間隔を選択する。
【0167】
従って、本発明はまた、とりわけ本発明による疾患または状態の予防、進行の遅延、処置のための、
(a)第一の単位投薬形態での、ある量のレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩;
(b)ある量の少なくとも1つのCB1アンタゴニスト、または各々の場合において、適当な場合には、その薬学的に許容され得る塩;
を含んでなる、成分(a)〜(b)の2つまたは3つ以上に分かれた単位形態でのパーツのキットに関する。
【0168】
さらに、本発明は、同時、個別または連続使用に関する説明書と一緒に、本発明による組合せ剤を含んでなる商用パッケージに関する。
【0169】
好ましい態様において、(市販の)製品は、本明細書中で言及するような疾患の進行の遅延または処置における、同時、個別もしくは連続使用、またはそのいずれかの組み合わせに関する説明書と一緒に、本発明による組合せ剤を(成分(a)または(b)の2つまたは3つ以上に分かれた単位形態で)活性成分として含んでなる商用パッケージである。
【0170】
本明細書中で言及する好ましいものは全て、本発明の組合せ剤、組成物、使用、処置方法、“パーツのキット”および商用パッケージに適用される。
【0171】
これらの医薬製剤は、薬理学的に活性な化合物を含んでなる製剤を単独で、または通常の医薬補助物質と一緒に用いての、恒温動物への、経口投与といったような腸内投与、そしてまた直腸投与または非経口投与のためのものである。例えば、該医薬製剤は、約0.1%〜90%、好ましくは約1%〜約80%の活性化合物からなる。腸内投与または非経口投与のための、そしてまた眼球投与のための医薬製剤は、例えば、コーティング錠剤、錠剤、カプセル剤または坐剤、そしてまたアンプル剤といったような単位用量形態である。これらは、本質的に知られている方法で、例えば、従来の混合、造粒、コーティング、可溶化または凍結乾燥過程を使用して製造される。従って、活性化合物を固形の賦形剤と組み合わせ、所望により、得られた混合物を造粒して、必要とされるまたは必要ならば、適当な補助物質を加えた後、その混合物を処理するか、または錠剤へと造粒するか、または核錠をコーティングすることにより、経口使用のための医薬製剤を得ることができる。
【0172】
活性化合物の投薬量は、投与方法、恒温動物種、年齢および/または個体の状態といったような、様々な因子に依存し得る。
【0173】
本発明による医薬組合せ剤の活性成分に関する好ましい投薬量は、治療上有効な投薬量、とりわけ商業的に利用可能な投薬量である。
【0174】
通常、経口投与の場合には、例えば、体重約75kgの患者に関して、おおよその一日用量は約1mg〜約360mgと推定され得る。
【0175】
活性化合物の投薬量は、投与方法、恒温動物種、年齢および/または個体の状態といったような、様々な因子に依存し得る。
【0176】
先に記載したような本発明による医薬組成物は、同時使用またはいずれかの順序での連続使用のために、個別使用のために、または固定組合せ剤として使用することができる。
【0177】
従って、さらなる態様により、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬を、好ましくは薬学的に許容され得る担体、ビヒクルまたは希釈剤を含んでなる固定医薬組成物の形態で、CB1アンタゴニストと共に投与する。従って、本発明のレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬を、いずれかの従来の経口、非経口または経皮投薬形態で、固定組合せ剤としてCB1アンタゴニストと共に投与することができる。
【0178】
例えば、体重約70kgの温血動物、例えば、人間に投与すべきレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬の用量は、一般的には、処置する被験者の健康状態、要求される処置の範囲、併用療法の性質および種類、もしあれば、並びに処置の頻度および要求される効果の性質に依存するであろう。通例、薬剤の投薬量は、一般的には、1日あたり約0.001〜約50mg/kg(被験者の体重)、好ましくは1日あたり約0.1〜約10mg/kg(被験者の体重)の範囲内であり、単回用量または分割用量として投与する。しかしながら、年齢、体重、および患者の種類、意図する投与経路、並びに処置する疾患または状態の進行および重症度により、一般的な投薬量範囲における幾つかの変動性もまた要求され得る。
【0179】
本発明の方法を実施する際に必要とされるレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬の一日投薬量は、例えば、投与方法および処置すべき状態の重症度により様々であろう。指示される一日用量は、経口使用に関して、活性薬剤が約1〜約500mg、例えば、1〜100mgの範囲内であり、一回でまたは分割投薬量で投与するのが便利である。通常、経口投与の場合には、例えば、体重約75kgの患者に関して、おおよその一日用量は約1mg〜約360mgと推定され得る。
【0180】
例えば、血圧を低下させる際、例えば、体重約75kgの、人間を含め、温血動物に投与すべきアリスキレンの用量、とりわけレニン活性の阻害に有効な用量は、約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1g、例えば、5〜500mg、好ましくは20〜200mg/人/日であり、例えば、同じサイズのものであってよい1〜4つの単回用量に分割するのが好ましい。通常、子供は成人用量のおよそ半分が投与される。例えば、活性成分の血清濃度を測定することにより、各々の個体に必要な用量をモニターして、最適なレベルに調節することができる。単回用量は、成人患者一人あたり、例えば、75mg、150mgまたは300mgを含んでなる。
【0181】
アンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、バルサルタンは、適当な投薬単位形態、例えば、カプセル剤または錠剤の形態で与えられて、治療上有効な量のアンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、約20〜約320mgのバルサルタンを含んでなり、これを患者に適用することができる。活性成分の適用は1日3回まで行うことができ、例えば、一日用量の20mgまたは40mgのアンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、バルサルタンで始め、1日80mgを経て、さらには1日160mgまで、そして最終的には1日320mgまで増大させる。好ましくは、アンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、バルサルタンを、1日1回または1日2回、各々80mgまたは160mgの用量で適用する。単回用量は、成人患者一人あたり、例えば、40mg、80mgまたは160mgを含んでなる。対応する用量を、例えば、朝に、昼間に、または晩に服用してもよい。
【0182】
ACE阻害剤の場合には、ACE阻害剤の好ましい投薬単位形態は、例えば、3〜40mg、好ましくは約5mg〜約20mg、好ましくは5mg、10mg、20mgもしくは40mgのベナゼプリル;約6.5mg〜100mg、好ましくは6.25mg、12.5mg、25mg、50mg、75mgもしくは100mgのカプトプリル;約2.5mg〜約20mg、好ましくは2.5mg、5mg、10mgもしくは20mgのエナラプリル;約10mg〜約20mg、好ましくは10mgもしくは20mgのホシノプリル;約2.5mg〜約4mg、好ましくは2mgもしくは4mgのペリンドプリル;約5mg〜約20mg、好ましくは5mg、10mgもしくは20mgのキナプリル;または約1.25mg〜約5mg、好ましくは1.25mg、2.5mgもしくは5mgのラミプリルを含んでなる、例えば、錠剤またはカプセル剤である。1日3回の投与が好ましい。
【0183】
投与するCB1アンタゴニストの投薬量もまた、一般的には、処置する被験者の健康状態、要求される処置の範囲、併用療法の性質および種類、もしあれば、並びに処置の頻度および要求される効果の性質に依存するであろう。通例、薬剤の投薬量は、一般的には、1日あたり約0.001〜約50mg/kg(被験者の体重)、好ましくは1日あたり約0.1〜約10mg/kg(被験者の体重)の範囲内であり、単回用量または分割用量として投与する。しかしながら、年齢、体重、および患者の種類、意図する投与経路、並びに処置する疾患または状態の進行および重症度により、一般的な投薬量範囲における幾つかの変動性もまた要求され得る。
【0184】
本発明の方法を実施する際に必要とされるCB1アンタゴニストと相互作用する薬剤の一日投薬量は、例えば、投与方法および処置すべき状態の重症度により様々であろう。指示される一日用量は、経口使用に関して、活性薬剤が約1〜約500mg、例えば、1〜100mgの範囲内であり、一回でまたは分割投薬量で投与するのが便利である。
【0185】
本明細書中および先行技術で既に記載したように、本明細書中で言及する好ましいCB1アンタゴニストは、適当な投薬単位形態、例えば、カプセル剤または錠剤の形態で与えられて、治療上有効な量、例えば、約2〜約200mgを含んでなるであろう。活性成分の適用は1日3回まで、好ましくは1日1回または2回行うことができる。同じ好ましい投薬量が固定組合せ剤に関して選択される。
【0186】
本発明の方法を実施する際に必要とされるリモナバンの一日投薬量は、例えば、投与方法および処置すべき状態の重症度により様々であろう。指示される一日用量は、経口使用に関して、活性薬剤が約1〜約100mg、例えば、5〜40mg、または5〜20mgの範囲内であり、一回でまたは分割投薬量で投与するのが便利である。
【0187】
対応する用量を、例えば、朝に、昼間に、または晩に服用してもよい。
【0188】
好ましい態様において、本発明は、
i)50〜500mgのアリスキレン;および
ii)5〜50mgもしくは5〜20mgの間のリモナバン;
または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩を含んでなる、または連日投与する、本明細書中に記載するような“パーツのキット”、組合せ剤、使用または方法に関する。
【0189】
好ましい態様において、本発明は、
i)75、150もしくは300mgのアリスキレン;および
ii)5、10もしくは20mgのリモナバン;
または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩を含んでなる、または連日投与する、本明細書中に記載するような“パーツのキット”、組合せ剤、または使用もしくは方法に関する。
【0190】
好ましくは、自由な組合せ剤の場合には、認可されて市販されている発売中の製品に関する投薬量が好ましい。
【0191】
低用量の組合せ剤がとりわけ好ましい。
【0192】
本発明をさらに説明するために、限定しようとするものではないが、次の実施例を提供する。
【0193】
A)食欲、体脂肪減少、体重、および脂質代謝に対する化合物および組み合わせ療法の効果を評価するためのバイオアッセイ法
動物に投与する用量は、該化合物または組み合わせ療法が所望の効果(例えば、食欲、体重、体脂肪、および/または経時的な脂肪酸酸化)を有するかどうかを決定するのに十分である。そのような用量は、使用する特定の候補化合物の有効性および動物の状態、さらにはまた、動物の体重または表面積により決定することができる。用量のサイズもまた、候補化合物または組合せ剤の投与に伴う、幾つかの有害な副作用の存在、性質、および程度;候補化合物または組合せ剤のLD50;並びに様々な濃度での候補化合物または組合せ剤の副作用により決定されるであろう。化合物または組合せ剤および上記要因により、例えば、初期試験投薬量は、各々の化合物または組合せ剤に関して、例えば、0.1−50mg/kg、好ましくは1−25mg/kg、最も好ましくは1−20mg/kg(体重)に及び得る。用量反応関係の決定は、当業者に十分知られている。
【0194】
試験動物の被験者は、例えば、肥満または正常な哺乳動物(例えば、ヒト、霊長類、モルモット、ラット、マウス、またはウサギ)であり得る。適当なラットには、限定されるものではないが、ズッカーラットが含まれる。適当なマウスには、限定されるものではないが、例えば、食餌誘発性肥満を伴う、ALS/LtJ、C3.SW−H−2b/SnJ、(NON/LtJ x NZO/HIJ)F1、NZO/H1J、ALR/LtJ、NON/LtJ、KK.Cg−AALR/LtJ、NON/LtJ、KK.Cg−Ay/J、B6.HRS(BKS)−Cpefat/+、B6.129P2−Gcktm/Efr、B6.V−Lepob、BKS.Cg−m+/+Leprdb、およびC57BL/6Jが含まれる。
【0195】
A.食物消費を含め、食欲に対する効果の評価
食欲をそそる物質(例えば、糖類、エタノール、ニコチン、麻薬、アヘン剤、CNS刺激薬または抑制薬、抗不安薬といったような精神活性物質)に向けられる食欲に対する、候補化合物および組合せ剤(すなわち、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬(アリスキレン)およびCB1アンタゴニスト(リモナバン)またはそのような化合物の組合せ剤)の効果は、例えば、試験被験者による該物質の消費(例えば、消費した、または使用した、または消費していない、または使用していない量を(例えば、体積または重量により)測定すること、消費日記の使用)または食欲に関する物質もしくはその代謝産物の組織レベル(例えば、血液、血漿)もしくは排泄レベル(例えば、尿、糞便レベル)をモニターすることにより、または食欲に関する物質を探索する行動をモニターすることにより評価され得る。食欲に対する該化合物および組合せ剤の効果もまた、ヒト被験者による食欲または渇望レベルに関してのアンケートが含まれる主観的手法により評価され得る。これらの評価技術は、当業者に十分知られている。その研究は、投与期間および/または投与効果のフォローアップに関して、急性、亜急性、慢性、または亜慢性であり得る。米国特許第6,344,474号もまた参照されたい。
【0196】
食物に向けられる食欲に対する、または食欲不振もしくは食物摂取の減少を誘発する際の、候補化合物および組合せ剤(すなわち、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬(アリスキレン)およびCB1アンタゴニスト(リモナバン)またはそのような化合物の組合せ剤)の効果は、例えば、試験被験者の食物消費をモニターすること(例えば、食物重量またはカロリー含有量に換算して、被験者により食べられたまたは食べられていない量を測定すること)により直接的に評価され得る。食物消費に対する効果は、体重をモニターすることにより間接的に測定され得る。食欲に対する該化合物の効果もまた、食物消費日記、またはヒト被験者による食欲もしくは食物渇望レベルに関してのアンケートが含まれる主観的手法により評価され得る。これらの評価技術は、当業者に十分知られている。その研究は、投与期間および/または投与効果のフォローアップに関して、急性、亜急性、慢性、または亜慢性であり得る。
【0197】
B.体脂肪減少に対する効果の評価
体脂肪に対する効果は、当業者に十分知られている動物バイオアッセイ技術を使用して、インビボで確認され得る。体脂肪減少は、通常、体脂肪における変化の直接測定により、または体重の減少により測定される。候補化合物または組合せ剤を投与する前、投与している間、そして投与した後に、動物の体脂肪および/または体重を測定する。試験化合物(レニン−アンジオテンシン系に対して作用する治療薬(アリスキレン)およびCB1アンタゴニスト(リモナバン))またはその組合せ剤、および適当なビヒクルまたはカロリーコントロールは、多数の経路(例えば、経口経路、非経口経路)のいずれかにより実験の被験者に投与され得て、その被験者の体重は、全治療経過にわたりモニターされ得る。その実験の被験者は、ヒト、さらにはまた、代用試験動物(例えば、ラット、マウス)であり得る。
【0198】
体脂肪における変化は、例えば、カリパスでの脂肪層(fold)測定、生体電気インピーダンス、静水圧計量、または二重X線吸収測定法(absorbiometry)といったような、当業界で知られているいずれかの方法により測定される。好ましくは、動物は、少なくとも2%、5%、8%、または10%の体脂肪減少を実証する。体重における変化は、例えば、ポータブルスケールで、デジタルスケールで、バランススケールで、フロアスケールで、またはテーブルスケールでといったような、当業界で知られているいずれかの方法により測定され得る。好ましくは、動物は、少なくとも2%、5%、10%、または15%の体重減少を実証する。候補化合物または組合せ剤を投与する前に、そして投与している間は一定間隔で、また処置した後に、体重減少を測定する。好ましくは、5日毎、より好ましくは4日毎、さらにより好ましくは3日毎、いっそうより好ましくは2日毎、最も好ましくは毎日、体重を測定する。
【0199】
例えば、全体脂肪に対する候補化合物および組合せ剤の効果は、皮膚層カリパスを使用してラットの体脂肪の直接測定を行うことにより測定され得る。被験者の背中、腹部、胸部、前肢および後肢の皮膚をカリパスで挟んで、試験化合物を投与する前の、そして投与している間は毎日またはより長い間隔(例えば、48時間毎)での、また候補化合物および組合せ剤を投与した後での測定値を得ることができる。1箇所またはそれ以上の“挟まれた”部位における測定値の差は、ラットの全体脂肪における変化を示す。動物は、限定されるものではないが、哺乳動物、マウス、ラット、モルモット、またはウサギを含め、いずれかの試験種から選択され得る。該動物はまた、ob/obマウス、db/dbマウス、もしくはズッカーラット、または体重関連疾患のための他の動物モデルであってもよい。ヒトにおける臨床研究もまた行うことができる。ヒトにおいて、体脂肪パーセントの身体密度測定値または推定値をまた使用して、体脂肪減少を評価することもできる。
【0200】
C.脂質代謝に対する効果の評価
候補化合物および組合せ剤、すなわち、レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬(アリスキレン)およびCB1アンタゴニスト(リモナバン)またはそのような化合物の組合せ剤はまた、脂肪酸代謝に対するそれらの効果に関してアッセイすることもできる。例えば、2002年5月27日提出されて、本出願と同一の出願人に譲渡され、そして参照により組み込まれる、米国特許出願第10/112,509号に教示されているように、脂肪酸代謝に対する候補化合物および組合せ剤の効果は、肝細胞の初代培養における脂肪酸酸化の測定値により測定され得る。
【0201】
例えば、脂肪酸代謝における変化は、例えば、肝臓(Beynenら, Diabetes, 28:828(1979))、筋肉(ChiassonLab. Anat. of Rat(1980))、心臓(Flinkら, J. Biol. Chem., 267:9917(1992))、および脂肪細胞(Rodbell, J. Biol. Chem., 239:375(1964))といったような主要脂肪燃焼組織由来の細胞における脂肪酸酸化を調べることにより測定され得る。細胞は、初代培養由来または細胞株由来であり得る。初代培養に関して、細胞は、例えば、酵素消化および切離(dissection)が含まれる、当業界で知られているいずれかの方法により調製され得る。適当な細胞株は、当業者に知られている。適当な肝細胞株は、例えば、Fao、MH1C1、H−4−II−E、H4TG、H4−II−E−C3、McA−RH7777、McA−RH8994、N1−S1 Fudr、N1−S1、ARL−6、Hepa 1−6、Hepa−1c1c7、BpRc1、tao BpRc1、NCTCクローン 1469、PLC/PRF/5、Hep 3B2.1−7[Hep 3B]、Hep G2[HepG2]、SK−HEP−1、WCH−17である。適当な骨格筋細胞株は、例えば、L6、L8、C8、NOR−10、BLO−11、BC3H1、G−7、G−8、C2C12、P19、Sol8、SJRH30[RMS 13]、QM7である。適当な心臓細胞株は、例えば、H9c2(2−1)、P19、CCD−32Lu、CCD−32Sk、Girardi、FBHEである。適当な脂肪細胞株は、例えば、NCTCクローン 929[L株の誘導体;L−929;L細胞]、NCTC 2071、L−M、L−M(TK−)[LMTK−;LM(tk−)]、A9(APRTおよびHPRT L株の負の誘導体)、NCTCクローン 2472、NCTCクローン 2555、3T3−L1、J26、J27−ネオ、J27−B7、MTKP 97−12 pMp97B[TKMp97−12]、L−NGC−5HT2、Ltk−11、L−アルファ−1b、L−アルファ−2A、L−アルファ−2C、B82である。
【0202】
脂肪酸酸化率は、ケトン体への14C−オレイン酸塩酸化(GuzmanおよびGeelen Biochem. J. 287:487(1982))および/またはCOへの14C−オレイン酸塩酸化(Fruebis, PNAS, 98:2005(2001); Blazquezら, J. Neurochem, 71:1597(1998))により測定され得る。脂肪分解(Lypolysis)は、適当な標識前駆体または分光光度アッセイを使用することによって、脂肪酸またはグリセロール遊離により測定され得る(Serradeil-Le Gal, FEBS Lett, 475:150(2000))。ケトン体への14C−オレイン酸塩酸化分析のために、新鮮分離細胞または培養細胞株を、例えば、30分、60分、90分、120分、または180分といったような適当な時間、14C−オレイン酸と共に培養し得る。培養培地における14C放射能量を測定して、それらのオレイン酸塩酸化率を決定し得る。オレイン酸塩酸化は、細胞1gあたりx分で産生されるオレイン酸塩(nmol)として表され得る。脂肪分解/グリセロール遊離分析のために、新鮮分離細胞または培養細胞株を洗浄した後、適当な時間培養し得る。培養培地へ遊離したグリセロールの量は、脂肪分解に関する指標を提供し得る。
【0203】
D)カンナビノイド受容体活性スクリーニング
本発明による化合物を確認するために、様々な手法を使用して、カンナビノイドCB1受容体活性をスクリーニングすることができる。様々なそのような方法は、米国特許第5,747,524号および米国特許第6,017,919号に教示されている。
【0204】
本発明による組合せ剤の降圧活性を評価するために、例えば、Lovenberg W: Animal models for hypertension research. Prog. Clin. Biol. Res. 1987, 229, 225-240により記載されているような方法論を適用することができる。本発明による組合せ剤は、うっ血性心不全の処置のために使用され得るという評価のために、例えば、Smith HJ, Nuttall A: Experimental models of heart failure. Cardiovasc Res 1985, 19, 181-186により開示されているような方法を適用することができる。トランスジェニック法といったような分子手法もまた、例えば、Luftら: Hypertension-induced end-organ damage, “A new transgemic approach for an old problem”, Hypertension 1999, 33, 212-218により記載されている。
【0205】
関連技術に長けた人々は、関連のある試験モデルを選択して、先にそして後に示す治療適応における本発明の組合せ剤の有効性を証明することが十分可能である。ヒトのレニン阻害剤、例えば、アリスキレンは、通常、最も著しくはヒトのレニンに対して高い種特異性を有する。意外なことに、アリスキレンは、イヌおよびマウスのレニンに対して適度な効力を保持するが、ラットのレニン阻害剤としては10−100倍弱い。その結果、ラットのモデルは好ましい種ではないが、もしより高用量のアリスキレン(または別のレニン阻害剤)を使用するか、またはRASを特に活性化するもしくは人工的に“過度に活性化する”動物種を使用するならば、使用することができる。レニン阻害剤と肥満を処置するための薬物との組合せ剤の効果を評価することに関連があって有用なモデルは、肥満を誘発するよう高脂肪食を与えられたイヌである。これらの動物は、高血圧および過体重であって、全身性障害の代謝パラメーターを有する(Hall JE, Brands MW, Dixon WN, Smith MJ Jr. Obesity-induced hypertension. Renal function and systemic hemodynamics. Hypertension 22:292-299, 1993)。アグーチの黄色い肥満のマウス(Correia MLG, Haynes WG, Rahmouni K, Morgan DA, Sivitz WI, Mark AL. The concept of selective leptin resistance. Diabetes 51:439-442, 2002)または褐色脂肪を減少させたトランスジェニックマウス(Cittadini A, Mantzoros CS, Hampton TG, Travers KE, Katz SE, Morgan JP, Flier JS, Douglas PS. Cardiovascular abnormalities in transgenic mice with reduced brown fat. Circulation 100:2177-2183, 1999)といったような幾つかのマウスのモデルは、高血圧を併発したヒトの肥満の有用なモデルとして役立ち得る。あまり好ましくないが、さらに有用な動物モデルは、Zuckerの肥満(ZF)(fa/fa)ラットと交配させて、SHRSP肥満(fa/fa)ラットを生ずる、脳卒中を起こしやすい自然発症高血圧のラット(Izumo株)である(Hiraoka-Yamamotoら, 2004)。加えて、Zuckerのラット(OZRまたはfa/fa)またはその糖尿病の類縁体、Zuckerの糖尿病の肥満ラット(ZDF)もまた利用され得る。これらの動物モデルは、高血圧、肥満、インシュリン抵抗性/耐糖能異常(OZR)または糖尿病(ZDF)および高脂血症により特徴付けられる(Toblli JE, DeRosa G, Rivas C, Cao G, Piorno P, Pagano P, Forcada P. Cardiovascular protective role of a low-dose antihypertensive combination in obese Zucker rats. J Hypertens 21:611-620, 2003; van Zwieten PA. Diabetes and hypertension: experimental models for pharmacological studies. Clin Exp Hypertens 21:1-6, 1999, Mizuno M, Sada T, Kato M, Koike H. Renoprotective effects of blocakde of angiotensin II AT1 receptors in an animal model of type 2 diabetes. Hypertens Res 25(2):271-278, 2002)。該組合せ剤の効果は、いずれかの年齢のOZRにおいて評価され得るが、代謝パラメーターは、動物の年齢により様々であろう。高齢の動物は、長期にわたる代謝障害および全疾患過程でのこれらの変化の影響により、若年のラットより実質的な構造的および機能的変化を呈し得る。従って、動物が研究に使用される時点での年齢により、結果は研究室ごとに様々であり得る。実験を開始する場合、動物は、通常、生後10−20週間である。通常、血漿脂質、血漿グルコース、耐糖能、血漿インシュリン、体重、および血圧を含め、広範囲にわたる様々な代謝および機能パラメーターの測定がなされる。内皮機能、酸化ストレス、臓器重量測定、心筋重量の評価、心機能および腎機能、並びに形態計測分析を評価するために、他のより特異的な測定もまた行われ得る。これらの測定の幾つかの記述に関して、Zhou MS, Jaimes EA, Raij L. Atorvastatin prevents end-organ injury in salt-sensitive hypertension. Hypertens 44:186-190, 2004を参照されたい。以下に記載するようなラジオテレメトリーを使用して、血圧をまた慢性的にそしてより優れた一貫性をもってモニターする。
【0206】
ラジオトランスミッターを少なくとも生後7週間のラットまたは体重が200グラムを超えるラットのどちらかに埋め込む。マウスにおいて、テレメトリーを埋め込んだ時点で、体重は20グラムを超えるべきである。薬物処置は、手術から2週間の回復期間後のいずれかの時点で開始することができる。薬物を1日1回強制経口投与するが、他の経路(例えば、腹腔内、静脈内、または皮下)により与えてもよい。ラットまたはマウスを無作為に選んで、ビヒクル対照を含め、様々な処置の1つを施す。薬物を数週間〜2または3ヶ月間1日1回朝に強制経口投与する。特別な場合には、薬物を晩にまたは1日複数回投与してもよい。そしてまた、摂食または行動の効果に注目すべき幾つかの研究に関して、ラットまたはマウスを逆明暗スケジュールに置いて、飲食パターンにおける日中変化を誘発することができる。ラジオテレメトリーの手順を使用して、血圧(平均、収縮期、および拡張期)および心拍数を全研究期間にわたり1日24時間連続してモニターする。数値は全て、各々の動物に関する24時間の平均応答を表すが、データ要約はまた、他の時間間隔、例えば、時間平均化を使用しても行われ得る。体重は週1回の間隔で記録され、または幾つかの研究において、毎日モニターされ得る。研究が完了したら、ラットまたはマウスを全て屠殺して、心臓を摘出し、切片として、重量を量る。処置グループ内の各々の動物に関して、心筋重量を体重に対する左室重量の比率として測定した。組織損傷の程度を評価するための生化学的マーカーの測定のために(組織学、免疫組織化学等)、そして遺伝子発現プロファイリングのために、限定されるものではないが、腎臓を含め、他の組織を屠殺した時点で摘出してもよい。グルコース、インシュリン、脂質または代謝機能の他の生化学的マーカーの測定のための採血は、様々な時点で行い得るが、種により具体的に限定される(血液量および頻度)。従って、イヌのモデルでは、より頻繁な採血およびより多容量が可能であって、その結果、より広範囲にわたる生化学的マーカー分析を行うことができる。
【0207】
組み合わせ療法の投薬量の決定
組み合わせ療法において使用すべきCB1アンタゴニストおよびレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬の好ましい投薬量は、使用すべきCB1アンタゴニストおよびレニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬に関する別々の用量応答研究を最初に実施することにより、実験的に決定することができる。試験種または意図する被験者の種(例えば、ヒト)においてそのような用量応答研究を行う方法は、当業者に十分知られている。該研究の評価項目は、重要な効果もしくは評価項目(例えば、食欲減退、減量、体脂肪減少、脂質代謝における変化、食物探索行動の変化)または基礎を成す作用機序の用量応答(例えば、受容体活性化またはアンタゴニズム)により選択されるのが好ましい。あるいはまた、もし薬剤が用量応答に関して既に十分特徴付けられているならば、確立された用量応答関係を使用してもよい。好ましいバイオアッセイ法には、先に記載した方法および実施例に提示する方法が含まれる。
【実施例1】
【0208】
実施例1:
アリスキレン150mg(遊離塩基)のコーティングしていない錠剤の組成(mg/単位)
【表1】

【0209】
アリスキレン150mg(遊離塩基)のコーティングしていない錠剤の組成(重量%)
【表2】

【0210】
アリスキレン150mg(遊離塩基)のコーティングしていない錠剤の組成(mg/単位)
(内層/外層に分けた)
【表3】

【0211】
アリスキレン150mg(遊離塩基)のコーティングしていない錠剤の組成(重量%)
(内層/外層に分けた)
【表4】

【実施例2】
【0212】
実施例2:
アリスキレン(投薬形態3)のフィルムコーティングした錠剤の組成(mg/単位)
【表5】

【0213】
投薬形態1、2および3は、例えば、次のようにして製造することができる。
1)活性成分と添加剤を混合して、該成分を造粒液と共に造粒し;
2)その結果得られる造粒物を乾燥させ;
3)乾燥させた造粒物を外層賦形剤と混合し;
4)その結果得られる混合物を圧縮して、固形の経口投薬量を核錠として形成し;そして
5)場合により、その結果得られる核錠をコーティングして、フィルムコート錠を得る。
【0214】
該造粒液は、エタノール、エタノールと水との混合物、エタノール、水およびイソプロパノールの混合物、または先に言及した混合物中のポリビニルピロリドン(PVP)の溶液であり得る。エタノールと水との好ましい混合物は、約50/50〜約99/1(% w/w)に及び、最も好ましくは約94/6(% w/w)である。エタノール、水およびイソプロパノールの好ましい混合物は、約45/45/5〜約98/1/1(% w/w/w)、最も好ましくは約88.5/5.5/6.0〜約91.5/4.5/4.0(% w/w/w)に及ぶ。先に挙げた混合物中の好ましいPVP濃度は、約5〜約30重量%、好ましくは約15〜約25%、より好ましくは約16〜約22%に及ぶ。
【0215】
当業界で使用される造粒、乾燥および混合の多数の既知方法、例えば、流動床での噴霧造粒、高せん断混合機での湿式造粒、溶融造粒、流動床乾燥機での乾燥、自由落下または回転式ブレンダーでの混合、単発式または回転式錠剤プレスでの錠剤への圧縮に注目が集まる。
【0216】
造粒物の製造は、有機造粒過程に適当な標準設備で行うことができる。最終混合物の製造および錠剤の圧縮もまた標準設備で行うことができる。例えば、工程(1)は、高せん断造粒機、例えば、Collette Gralにより行うことができ;工程(2)は、流動床乾燥機で行うことができ;工程(3)は、自由落下混合機(例えば、容器ブレンダー、回転式ブレンダー)により行うことができ;そして工程(4)は、乾燥圧縮方法、例えば、回転式錠剤プレスを使用して行うことができる。
【0217】
本発明をそのある好ましい態様に関してかなり詳細に記載しているが、本明細書中に含まれる好ましい態様の精神および範囲から逸脱することなく、他の態様が可能である。本明細書中に引用した参考文献および特許(米国および他国)は全て、本明細書中に全て詳述するように、参照によりそっくりそのまま本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬またはその薬学的に許容され得る塩、および
ii)少なくとも1つのCB1アンタゴニストまたはその薬学的に許容され得る塩
を含んでなる組合せ剤。
【請求項2】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬が、レニン阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤よりなる群から選択される、請求項1に記載の組合せ剤。
【請求項3】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がレニン阻害剤であり、好ましくは、RO 66−1132、RO 66−1168、および式:
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
は、ハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;
およびRは独立して、分岐鎖状のC3−6アルキルであり;そして
は、シクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである。]
の化合物またはその薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項1または2に記載の組合せ剤。
【請求項4】
レニン阻害剤が、式:
【化2】

[式中、
は3−メトキシプロピルオキシであり;
はメトキシであり;そして
およびRはイソプロピルである。]
を有する式(III)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項3に記載の組合せ剤。
【請求項5】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)であり、好ましくは、バルサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、式:
【化3】

のE−4177という名称をもつ化合物、次の式:
【化4】

のSC−52458という名称をもつ化合物、および式:
【化5】

のZD−8731という名称をもつ化合物、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項1または2に記載の組合せ剤。
【請求項6】
アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)がバルサルタンまたはその薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項1または5に記載の組合せ剤。
【請求項7】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対して作用する治療薬がアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤であり、好ましくは、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート(enaprilat)、ホシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリルおよびトランドラプリル、またはその薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項1または2に記載の組合せ剤。
【請求項8】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤がベナゼプリルおよびエナラプリルまたはその薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項7に記載の組合せ剤。
【請求項9】
CB1アンタゴニストが、リモナバン、AM−251およびSR147778、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩よりなる群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項10】
CB1アンタゴニストが、リモナバン(rimanobant)、または各々の場合において、その薬学的に許容され得る塩である、請求項1〜9のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項11】
アリスキレンまたはその薬学的に許容され得る塩が、1日あたり50〜500mg、例えば、75mg、150mgまたは300mgの量で存在する、請求項1〜10のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項12】
バルサルタンまたはその薬学的に許容され得る塩が、1日あたり20〜320mg、例えば、40mg、800mgまたは160mgの量で存在する、請求項1〜11のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項13】
ベナゼプリルまたはその薬学的に許容され得る塩が、1日あたり3〜40mg、例えば、5mg、10mgまたは20mgの量で存在する、請求項1〜12のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項14】
リモナバンまたはその薬学的に許容され得る塩が、1日あたり5〜40mg、または5〜20mgの間の量で存在する、請求項1〜13のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項15】
i)アリスキレンを1日あたり50〜500mgの量で投与し、そして
ii)リモナバンを1日あたり5〜40mgの間もしくは5〜20mgの間の量で投与し、
またはいずれの場合においても、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1〜14のいずれかに記載の組合せ剤、方法または使用。
【請求項16】
i)アリスキレンを1日あたり75、150もしくは300mg投与し、そして
ii)リモナバンを1日あたり5、10もしくは20mg投与し、
またはいずれの場合においても、またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1〜15のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項17】
少なくとも1つのさらなる薬学的に許容され得る担体をさらに含んでなる、請求項1〜16のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項18】
組み合わせ製剤または固定組合せ剤の形態である、請求項1〜17のいずれかに記載の組合せ剤。
【請求項19】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延または処置用薬物の製造に関しての、請求項1〜18のいずれかに記載の組合せ剤の使用。
【請求項20】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患または障害が、
(a)高血圧、うっ血性心不全、腎不全、とりわけ慢性腎不全、経皮経管的血管形成術後の再狭窄、および冠動脈バイバス術後の再狭窄;
(b)例えば、オキシダントストレスの減少、脂質に対する直接的な効果、または該組合せ剤の1つもしくは全ての成分の抗炎症性効果によるアテローム性動脈硬化症;
(c)インシュリン抵抗性およびシンドロームX/メタボリックシンドローム、2型真性糖尿病、肥満、腎症、腎不全、例えば、慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の生存、冠動脈心疾患、高齢者における高血圧、家族性異脂肪血症高血圧、コラーゲン形成の増加、線維症、例えば、心臓、腎臓または肝臓の線維症、リモデリング(血管)後の高血圧および/または高脂血症(脂質に対する作用に依存し得るまたは依存し得ない該組合せ剤の抗増殖性効果)、および一部分は抗炎症性効果によるものであり得る血管リモデリング、および高血圧と関係のあるまたは関係のないこれら全ての疾患または状態;
(d)高血圧を伴うまたは伴わない内皮機能障害;
(e)高脂血症、高リポタンパク血症、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症;
(f)緑内障;
(g)収縮期高血圧(ISH);
(h)糖尿病性網膜症;並びに
(i)末梢血管疾患
よりなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
該疾患または障害が、肥満、欲求障害または物質乱用障害よりなる群から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
ニコチン離脱または禁煙と関係のある食欲の増大を抑制するための、請求項19に記載の使用。
【請求項23】
体脂肪減少のための、請求項19に記載の使用。
【請求項24】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患および障害、肥満、欲求障害または物質乱用障害の予防、進行の遅延、処置のための方法であって、その必要がある、人間を含め、温血動物に、請求項1〜23のいずれかに記載の該組合せ剤の有効量を投与することを含んでなる方法。
【請求項25】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)に対する作用により調節され得る疾患または障害が、
(a)高血圧、うっ血性心不全、腎不全、とりわけ慢性腎不全、経皮経管的血管形成術後の再狭窄、および冠動脈バイバス術後の再狭窄;
(b)例えば、オキシダントストレスの減少、脂質に対する直接的な効果、または該組合せ剤の1つもしくは全ての成分の抗炎症性効果によるアテローム性動脈硬化症;
(c)インシュリン抵抗性およびシンドロームX/メタボリックシンドローム、2型真性糖尿病、肥満、腎症、腎不全、例えば、慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の生存、冠動脈心疾患、高齢者における高血圧、家族性異脂肪血症高血圧、コラーゲン形成の増加、線維症、例えば、心臓、腎臓または肝臓の線維症、リモデリング(血管)後の高血圧および/または高脂血症(脂質に対する作用に依存し得るまたは依存し得ない該組合せ剤の抗増殖性効果)、および一部分は抗炎症性効果によるものであり得る血管リモデリング、および高血圧と関係のあるまたは関係のないこれら全ての疾患または状態;
(d)高血圧を伴うまたは伴わない内皮機能障害;
(e)高脂血症、高リポタンパク血症、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症;
(f)緑内障;
(g)収縮期高血圧(ISH);
(h)糖尿病性網膜症;並びに
(i)末梢血管疾患
よりなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該疾患または障害が、肥満、欲求障害または物質乱用障害よりなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ニコチン離脱または禁煙と関係のある食欲の増大を抑制するための、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
体脂肪減少のための、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2009−525977(P2009−525977A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553420(P2008−553420)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/003195
【国際公開番号】WO2007/092469
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】