説明

有機化合物変換方法

【課題】触媒の存在する有機化合物変換条件下で、有機化物を含む原料を所望の変換生成物に変換するための方法を提供。
【解決手段】酸性細孔性結晶性物質を含み、約1.0より大きく、例えば、1.0より大きく約2.0までの、例えば、約1.01乃至約1.85のプロトン密度指数を有する触媒の提供。酸性細孔性結晶性物質は細孔性の結晶性物質又はゼオライトベータ、MWW構造体タイプの物質、例えば、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56又はこれらの混合物を有するモレキュラーシーブを含む。触媒は、エチルベンゼン及びクメンのような、アルキル芳香族化合物を製造するための方法を提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機化合物を含む原料の変換に関する。本発明の1の態様は、例えば、エチルベンゼン及びクメンのような、アルキル芳香族化合物を製造するための方法を含む。本発明の他の態様は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン又はこれらの混合物のような、オレフィンのダイマー、トライマー、又はテトラマー等のオレフィンオリゴマーを製造するための方法を含む。
【背景技術】
【0002】
エチルベンゼン及びクメンのようなアルキル化芳香族化合物は、それぞれ、スチレンモノマーの工業的製造並びにフェノール及びアセトンの工業的製造に用いられている価値のある化学製品である。実際には、フェノール製造の共通の反応経路は、ベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを製造し、後に前記クメンを対応する過酸化物に酸化し、前記過酸化物を分解して等モル濃度のフェノールとアセトンを製造する工程を含む。エチルベンゼンは数多くの異なる化学的な工程により製造されるが、市販製品のレベルの製造物を得るために重要な工程の1つは、固形かつ酸性のZSM−5ゼオライト触媒の存在下で、気相中で、エチレンを用いてベンゼンをアルキル化することである。そのようなエチルベンゼンの製法は米国特許Nos.3,751,504(Keown)、4,547,605(Kresge)、及び4,016,218(Haag)に記載されている。
【0003】
ベンゼン及びエチレンからエチルベンゼンを液相で製造するに当たって、液相法は対応する気相工程よりも低い温度で操作し、副生成物の生産量が少ないことから、商業的に成功している方法の1つである。例えば、米国特許No.4,891,548(Innes)はゼオライトベータを用いたエチルベンゼンの液相合成法を開示する。一方、米国特許No.5,334,795(Chu)はMCM−22を用いたエチルベンゼンの液相合成を開示する。
【0004】
クメンは長年にわたり、フリーデルクラフト(Friedel−Craft)触媒、特に固形リン又は塩化アルミニウム、を用いてベンゼンをプロピレンでアルキル化することにより、工業的に製造してきた。しかしながら、近年、ゼオライトベータ触媒システムが、ベンゼンをクメンにプロピル化するのに、より活性があり、選択性も良いことが分かってきた。例えば、米国特許No.4,992,606(Kushnerick)はプロピレンを用いたベンゼンのアルキル化を液相で行う際に、MCM−22を使用することを開示している。
【0005】
近年用いられている触媒の存在下で、エチルベンゼン及びクメン製造のためのアルキル化法を行うと、モノアルキル化生成物の他に、ポリアルキル化生成物が必ず得られる。通常、このポリアルキル化生成物を例えば、ベンゼンでトランスアルキル化して、追加的なモノアルキル化生成物、例えば、エチルベンゼン又はクメン、を製造するために、前記ポリアルキル化生成物はアルキル化反応器に再循環される。あるいは、むしろより頻繁に、トランスアルキル化触媒を有する他のトランスアルキル化反応器に供給して、前記ポリアルキル化生成物を再循環している。エチレン又はプロピレンでベンゼンをアルキル化するような芳香族化合物のアルキル化及びポリエチルベンゼン及びポリプロピルベンゼン等のポリアルキル化生成物のトランスアルキル化に用いられている触媒は、米国特許No.5,557,024(Cheng)に記載されており、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトベータ、酸性脱アルミニウムモルデナイト、及びTEA−モルデナイトを含む。TEA−モルデナイトの小さな(<0.5ミクロン)結晶形態上でのトランスアルキル化を行うことも米国特許No.6,984,764に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アルキル化工程が液体相中で行われるときは、トランスアルキル化工程も液相条件下で行われることが好ましい。しかしながら、液相工程は相対的に低い温度で操作するので、好ましくない副生成物を生成せずに、嵩高いポリアルキル化生成物を追加的なモノアルキル化生成物に変換しなければならないという技術的要求が、特にトランスアルキル化工程において用いられる触媒に対して課せられている。副生成物の問題は、クメン製造の場合に深刻な問題となっている。クメン製造においては、既存の触媒が所望の活性を欠くに至るか、又はエチルベンゼン及びn−プロピレルベンゼン等の副生成物を多く生成するという問題がある。
【課題を解決しようとする手段】
【0007】
本発明において、本明細書で定義されるプロトン密度インデックス(PDI)が1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85となるように製造された触媒の存在下で行われる有機化合物変換が、活性、及び重要なことには、選択性の独特の組合せを示すことが発見された。このことは、特に液相でベンゼンをエチルベンゼン、クメン、又はsec−ブチルベンゼンにアルキル化する、モノアルキル化生成物を液相で製造する場合に有用である。このことにより、好ましくない嵩高いポリアルキル化生成物の変換のためのトランスアルキル化反応における技術的困難性を取り除くか軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は本発明を含む実施例で用いるシャローベッド(shallow bed)CAVERNデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明により、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85のPDIを有する触媒が存在する有機化合物変換条件下で、有機化合物を含む原料を変換して所望の変換生成物を製造する方法が提供される。本発明の他の側面により、少なくとも部分的に液相である条件において、触媒の存在下、アルキル化可能な芳香族化合物をアルキル化剤に接触させる工程を含む、所望のモノアルキル化芳香族化合物を選択的に製造する方法が提供される。前記触媒は、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85のPDIを有する。本発明の他の側面は、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85のPDIを有している前記アルキル化触媒が存在するアルキル化条件下で、アルキル化剤とベンゼンを反応させる工程を含むモノアルキルベンゼンを選択的に製造するための改良されたアルキル化方法である。本発明の更なる側面は、オリゴマー化反応条件において、エチレン、プロピレン、又はブテン等のオレフィンを触媒と接触させることを含む、改良されたオリゴマー化方法である。前記触媒は、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85のPDIを有している。本発明の方法に用いる触媒は、例えば、酸性でゼオライトベータ構造を有する結晶性モレキュラーシーブ、又は1.24±0.25、9.6±0.15、3.57±0.07、及び3.24±0.07オングストロームの格子面間隔最大値(d−spacing maxima)を示すX線回折パターンを有するものを含む。前記触媒は、1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0まで、例えば、約1.01乃至約1.85のPDIを有している。より具体的には、前記触媒は、ゼオライトベータ構造、MCM−22等のMWW構造、又はこれらの混合物を有する酸性結晶性モレキュラーシーブを含む。
【0010】
本発明に好適な触媒は、例えば、MCM−22、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ITQ−30、MCM−36,MCM−49、MCM−56、及びこれらの混合物の構造を有する酸性結晶性シリケート等のMWW構造タイプの物質を含むことが好ましい。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は有機化合物を含む原料の変換方法に関する。そのような方法の一つは、アルキル化可能な芳香族化合物、特にベンゼンをアルキル化することによるモノアルキル化芳香族化合物、特にエチルベンゼン、クメン、及び/又はsec−ブチルベンゼンの製造を含む。他のそのような方法は、オレフィンからオリゴマーを製造する、特に低分子量オリゴマーを製造する方法を含む。より具体的には、本発明の方法は、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きいPDI、例えば、1.0より大きく約2.0までの、例えば、約1.01乃至約1.85までの、PDIを有するように製造された触媒組成物を用いる。
【0012】
本明細書において、前記PDIは、特定の触媒組成物に関して用いられる場合、所与の温度で測定される、新たに処理された触媒組成物のプロトン密度を、同じ所与の温度で測定される、オリジナルの未処理の触媒組成物のプロトン密度で割った値と定義する。
【0013】
本明細書において「プロトン密度」の語は、触媒組成物1グラム当たりの酸性プロトン及び/又は非酸性プロトンのミリモル(mmol)数を意味する。新たな処理された触媒組成物のプロトン密度、及びオリジナルの未処理の触媒組成物の両方のプロトン密度は、例えば、約20℃乃至約25℃のような、室温で測定される。
【0014】
本明細書で定義される触媒サンプル上の酸性プロトン及び非酸性プロトンの量を特徴づけるために、固形状態核磁気共鳴法により触媒サンプル上のプロトン量を測定することができる。これらの酸性及び非酸性プロトンはH、H、OH、OH、及び他のものを含むがこれらに限定されない、任意の水素含有部分、又はプロトン含有部分として存在している。核磁気共鳴法は、マジックアングルスピニング(MAS)NMR法を含むがこれらに限定されない。触媒サンプル上のプロトン量をNMRで測定するときには、サンプル調製が重要である。微量の水が、ブロンステッド酸部位及び水分子を含む高速H化学交換に影響して、H NMR強度を大きく歪める。
【0015】
本発明に用いる触媒の製造方法は、以下の工程を含む。(a);未処理の触媒、すなわち本発明の工程(b)及び(c)により処理されていないものであり、酸性細孔性結晶性物質を含む第一触媒を提供する工程。前記第一触媒は触媒1グラム当たりのプロトンミリモル数で測定される第一水和状態を有している。(b);前記工程(a)の第一触媒と水とを、液相又は気相において、約1℃乃至約500℃、好ましくは約1℃乃至約99℃等の約500℃までの一定の温度において、少なくとも1秒、好ましくは約1秒乃至約60秒の一定の時間接触させて、触媒1グラム当たりのプロトンミリモル数で測定して第二の水和状態を有する第二触媒を生成する工程。前記第二の水和状態は前記第一の水和状態よりも大きい。すなわち、工程(b)における生成物は、工程(a)の触媒よりも高いプロトン密度を有している。(c);工程(b)で得られた第二触媒を、好ましくは約20℃乃至約550℃、より好ましくは約100℃乃至約200℃のような、約500℃までの乾燥温度、少なくとも約0.01時間、好ましくは約0.1乃至約24時間、より好ましくは約1乃至約6時間の乾燥時間で、前記第一及び第二水和状態の間の、触媒1グラム当りのプロトンミリモル数で測定される第三の水和状態を有する触媒組成物を生成する工程を含む。前記工程(c)の生成物は1.0より大きい、例えば、1.0より大きく約2.0までの、例えば、約1.01乃至約1.85のプロトン密度指数を有する。
【0016】
乾燥工程(c)の間、工程(b)で形成された液体又は気体状の水と接触させた触媒から、酸性プロトン及び/又は非酸性プロトンを除去する。しかしながら、工程(b)で得られた触媒の実質的に全ての酸性及び/又は非酸性プロトンを除去しないように工程(c)を行う。工程(c)の生成物の水和状態は開始工程(a)の触媒よりも高く、工程(b)の生成物よりも低い。プロトン密度が高くなったということは、単にルイス酸がブロンステッド酸に変換したことを意味するものではない。本発明に関する作用を任意の理論に拘束することを意図するものではないが、酸性細孔性結晶性物質を含み、第一水和状態を有する触媒を、特定の温度及び時間、液体又は気体の水と接触させることで、第一水和状態よりも高い第二水和状態を有する触媒を生成すると考えられえる。これに続いて、制御された乾燥時間及び乾燥条件下での乾燥工程が、化学反応に関係して、そのような触媒上の、性質、タイプ、及び/又は酸性及び/又は非酸性プロトンの量を変化させて、第一水和状態及び第二水和状態の間の第三水和状態を有する触媒組成物を生成し、前記触媒組成物は約1.0より大きいプロトン密度指数を有することとなる。すわなち、酸性細孔性結晶性物質を含み、前述の方法で処理されたそのような触媒組成物は、そのような方法で処理されていない、同じ組成の触媒と比較して、より大きなプロトン密度を有し、及び/又は酸性及び非酸性プロトンの数が多い。他の言葉で言えば、PDIは、同じ方法で調製され、同じように測定された、第一水和状態における触媒のプロトン密度で第三水和状態の触媒組成物のプロトン密度を割った値であると定義される。
【0017】
「芳香族」の語は、本発明の触媒を用いることが有利な本発明の原料として有用な、アルキル化可能な芳香族化合物を意味するということが、本発明の属する技術分野において理解されている。前記芳香族化合物はアルキル置換及び/又は未置換の単環式又は多環式(polynuclear)化合物を含む。ヘテロアトムを有する芳香性の化合物も有用である。
【0018】
本明細書においてアルキル化されるのに好適な芳香族化合物は芳香族環に直接結合している少なくとも1つの水素原子を有している。芳香族環は1つ以上のアルキル、あるいはアリール、アルカリル、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハライド、及び/又はアルキル化反応を妨げない他の基で置換されていてもよい。
【0019】
好適な芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、及びフェナントレンを含み、ベンゼンが好ましい。
【0020】
一般的に、芳香族化合物上に置換基として存在するアルキル基は、1乃至約22の炭素原子、及び通常約1乃至約8炭素原子、最も一般的には約1乃至約4炭素原子を含む。
【0021】
好適なアルキル置換芳香族化合物は、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、アルファ−メチルナフタレン、エチルベンゼン、メスチレン、ジュレン、シメン、ブチルベンゼン、プソイドクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−メチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−エチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントレン、及び3−メチル−フェナントレンを含む。高分子量アルキル芳香族化合物も開始物質として使用することができ、芳香族炭化水素をオレフィンオリゴマーでアルキル化して生成した芳香族炭化水素を含む。そのような生成物は、当業者において、アルキレートと呼ばれており、ヘキシルベンゼン、ノニル(nonyl)ベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニル(nonyl)トルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。非常に一般的なアルキレートは、芳香族環に付加されるアルキル基が約C乃至約C20のサイズで変化し得る、高沸点分画として得られるものである。クメン又はエチルベンゼンが所与の生成物である場合、本発明の方法では、エチレン等の副生成物を許容可能な程度か、又はほとんど生成しない。かかる場合に生成する、キシレンの含量は約500ppm未満である。
【0022】
ベンゼン、トルエン、及び/又はキシレンの混合物を含むリフォメートは本発明のアルキル化工程に特に有用な原料である。
【0023】
本発明の方法に有用なアルキル化剤は、通常、好ましくは1乃至5炭素原子を有するアルキル基を有する、アルキル化可能な芳香族化合物と反応することができる、1つ以上の利用可能なアルキル化脂肪族基を有する、任意の脂肪族又は芳香族化合物を含む。好適なアルキル化剤の例としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン、(1−ブテン、2−ブテン、及びこれらの混合物を含む)ブテン類及びペンテン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びペンタノール等の(モノアルコール、ジアルコール、トエイアルコールを含む)アルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びn−バレルアルデヒド等のアルデヒド、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、及びペンチルクロライド等のアルキルハライドを含む。
【0024】
軽質オレフィンの混合物は、本発明のアルキル化工程におけるアルキル化剤として有用である。軽質オレフィンの混合物も本発明のオリゴマー化プロセスにおける反応物として有用である。従って、各種精製流れ、例えば、燃料ガス、エチレン、プロピレン等を含むガスプラントのオフガス、軽質オレフィンを含むナフサ分解のオフガス、精製FCCプロパン/プロピレン流れ等の主要構成成分である、エチレン、プロピレン、ブテン、及び/又はペンテンの混合物も有用なアルキル化剤及びオリゴマー化反応物である。例えば、典型的なFCC軽質変換オレフィン流れは以下の成分を含んでいる:
【表1】

【0025】
本発明の方法により得られた生成物は、ベンゼンをエチレンと反応させて得たエチルベンゼン、ベンゼンをプロピレンと反応させて得たクメン、トルエンをエチレンと反応させて得たエチルトルエン、トルエンをプロピレンと反応させて得たシメン、及びベンゼンと、n−ブテン(類)、軽質オレフィンのオリゴマーから得られた重質オレフィンの混合物との反応生成物からのsec−ブチルベンゼンを含む。本発明の特に好適な方法は、プロピレンを用いてベンゼンをアルキル化したクメンの製造、エチレンを用いてベンゼンをアルキル化することによるエチルベンゼンの製造、ブテンを用いてベンゼンをアルキル化することによるsec−ブチルベンゼンの製造、及びエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物のオリゴマー化に関する。
【0026】
本発明が意図する有機変換方法は、芳香族化合物のアルキル化及びオレフィンのオリゴマー化を含むがこれらに限定されない。前記有機変換プロセスは前記反応物質を、例えば、効果的な転化条件下で、触媒組成物の固定床を含む流動床反応器等の好適な反応ゾーンで、必要とされる触媒を用いて接触させることにより行われる。このような条件は、約0℃乃至約1000℃、好ましくは約0℃乃至約800℃の温度、約0.1気圧乃至約1000気圧、好ましくは約 0.125気圧乃至約 500気圧の圧力、及び約0.01乃至500hr−1、好ましくは約0.1乃至約100hr−1の原料の重量空間速度(WHSV)を含む。バッチ反応器を用いる場合、反応時間は約1分乃至約100時間、好ましくは約1時間乃至約10時間である。
【0027】
反応物質は、気相あるいは部分的又は完全に液相中に存在させることができ、そのままの、即ち、他の物質により混合又は希釈をしていなものである。又は前記反応物質は、例えば、水素又は窒素等の担体ガス又は希釈剤を用いて、アルキル化触媒組成物と接触させてもよい。
【0028】
本発明のアルキル化プロセスは、有機反応物、即ちアルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を、好適なアルキル化条件で、例えば、触媒組成物の固定床を含む、流動反応器のような好適な反応器中で、好適なアルキル化触媒と接触させることを含む。前記アルキル化触媒は酸性細孔性結晶性物質又はゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト、又はMWW構造タイプの構造を有するモレキュラーシーブの1つ又はこれらの混合物を含む。そのような好適なアルキル化条件は、約0℃乃至約500℃、好ましくは約10℃乃至約260℃の温度、約0.2気圧乃至約250気圧、好ましくは約1気圧乃至約5,55気圧の圧力、約0.1:1乃至約50:1、好ましくは約0.5:1乃至約10:1のアルキル化可能な芳香族化合物対アルキル化剤のモル比、及び約0.1乃至約500hr−1、好ましくは約0.5乃至約100hr−1のアルキル化剤に基づく原料の重量空間速度を含む。
【0029】
ベンゼンをエチレンでアルキル化してエチルベンゼンを生成する場合、アルキル化反応は、好ましくは、約150℃乃至約300℃、より好ましくは約170℃乃至約260℃の温度、約200気圧までの圧力、より好ましくは約20気圧乃至約55気圧、約0.1乃至約20hr−1、より好ましくは約0.5乃至約6hr−1のエチレンアルキル化剤に基づいた重量空間速度(WHSV)、及び約0.5:1乃至約30:1、より好ましくは約1:1乃至約10:1の反応器内におけるベンゼンに対エチレンモル比を含む、液相において行われることが好ましい。
【0030】
ベンゼンをプロピレンでアルキル化してクメンを生成する場合、反応は、約250℃までの、好ましくは約150℃までの、例えば、約10℃乃至約125℃の温度、約250気圧以下、例えば、約1気圧乃至約30気圧の圧力、約0.1hr−1又は約250hr−1、好ましくは約1hr−1乃至約50hr−1のプロピレンアルキル化剤に基づく重量空間速度(WHSV)、及び約0.5:1乃至約30:1、より好ましくは約1:1乃至約10:1のベンゼン対プロピレンモル比を含む液相下で行われる。
【0031】
ベンゼンを1−ブテン、2−ブテン、及びこれらの混合物から成る群より選択されるアルキル化剤でアルキル化してsec−ブチルベンゼンを生成する場合、反応は、約50℃乃至約250℃、好ましくは約100℃乃至約200℃の温度、約3.5乃至約35気圧、好ましくは約7気圧乃至約27気圧の圧力、約0.1乃至約20hr−1、好ましくは約1乃至約10hr−1のプロピレンアルキル化剤に基づく重量空間速度(WHSV)、及び約1:1乃至約10:1、好ましくは約1:1乃至約4:1のベンゼン対ブテンアルキル化剤のモル比を含む液相下で行われる。
【0032】
本発明に用いる触媒は1以上の酸性細孔性結晶性物質、又はゼオライトベータ(米国特許No.3,308,069に記載)、又は例えば、12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、及び3.42±0.07オングストロームにおける格子面間隔最大値を含むX線回折パターンを含む、MWW構造タイプ、の構造の有するモレキュラーシーブを含む。
【0033】
本明細書において「酸性細孔性結晶性物質」の語は、細孔性の結晶性物質又は炭化水素変換反応を促進するのに十分な酸性プロトンを含む細孔性結晶性物質又はモレキュラーシーブを意味する。
【0034】
MWW構造タイプの物質はMCM−22(米国特許No.4,954,325に記載)、PSH−3(米国特許No.4,439,409に記載)、SSZ−25(米国特許No.4,826,667に記載)、ERB−1(欧州特許No.0293032に記載)、ITQ−1(米国特許No.6,077,498に記載)、ITQ−2(米国特許No.6,231,751に記載)、ITQ−30(WO2005/118476に記載)、MCM−36(米国特許No.5,250,277に記載)、MCM−49(米国特許No.5,236,575に記載)、及びMCM−56(米国特許No.5,362,697に記載)を含む。前記触媒は未結合又は自己結合型の酸性細孔性結晶性物質又はモレキュラーシーブを含んでいても良く、あるいは、前記モレキュラーシーブは以下で詳述するように、従来のように、酸化バインダーを用いて結合されていてもよい。前記触媒の特定の製品において、前記触媒又は酸性細孔性結晶性物質又はモレキュラーシーブ成分の平均粒子サイズは約0.05乃至約200ミクロン、例えば、20乃至200ミクロンである。
【0035】
本発明の反応機構がアルキル化である場合、アルキル化反応器の排出液は過剰の芳香族原料、モノアルキル化生成物、ポリアルキル化生成物、及び各種不純物を含む。前記芳香族原料は蒸留により回収され、アルキル化反応器に再循環される。通常、再循環流れを一部除去して、ループからの無反応性の不純物を除去する。蒸留部分の下部の物質を更に蒸留して、ポリアルキル化生成物及び他の重質分からモノアルキル化生成物を分離する。
【0036】
アルキル化反応器の排出液から分離されたポリアルキル化生成物はトランスアルキル反応器において、好適なトランスアルキル化触媒上で、追加の芳香族原料と反応させられ、アルキル化反応器から分離される。前記トランスアルキル化触媒は1つ以上の、酸性細孔性結晶性物質の混合物、又はゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト、又は12.4±0.25、6.9±0.15、3.57±0.07、及び3.42±0.07オングストロームにおける格子面間隔最大値を含むX線回折パターンを含む、MWW構造タイプ、の構造の有するモレキュラーシーブを含む。
【0037】
前記触媒構造を特徴付けるために用いるX線回折データは、入射放射線として銅のK−アルファダブレット(doublet)、並びにシンチレーションカウンターと(データ)収集システムとして関係するコンピューターとを備えた解析装置を用いた従来の方法により得ることができる。上記X線回折ラインを有する物質は、例えば、MCM−22(米国特許No.4,954,325に記載)、PSH−3(米国特許No.4,439,409に記載)、SSZ−25(米国特許No.4,826,667に記載)、ERB−1(欧州特許No.0293032に記載)、ITQ−1(米国特許No.6,077,498に記載)、ITQ−2(米国特許No.6,231,751に記載)、ITQ−30(WO2005−118476に記載)、MCM−36(米国特許No.5,250,277に記載)、MCM−49(米国特許No.5,236,575に記載)、及びMCM−56(米国特許No.5,362,697に記載)を含み、MCM−22が特に好ましい。
【0038】
ゼオライトベータは米国特許No.3,308,069に記載されている。ゼオライトY及びモルデナイトは天然のものでもよいが、米国特許No.3,449,070に記載のUltrastable Y(USY)、米国特許No.4,415,438に記載のRare earth exchanged Y(REY)及び米国特許Nos.3,766,093及び3,894,104に記載のTEA−モルデナイト(即ち、テトラエチルアンモニウム指向剤を含む反応混合物から調製された合成モルデナイト)等の合成形態のうちの1つを用いてもよい。しかしながら、トランスアルキル化触媒としてTEA−モルデナイトを用いる場合には、前述の特許で説明されている特定の合成システムは、1ミクロンより大きい、通常5乃至10ミクロンの大きな結晶を主に含むモルデナイト生成物を生成する結果となる。得られたTEA−モルデナイトが0.5ミクロン未満の平均結晶サイズを有するように合成を制御すると、液相におけるトランスアルキル化に対して実質的に高められた活性を有するトランスアルキル化触媒を生成する。
【0039】
トランスアルキル化に必要とされる小さい結晶のTEA−モルデナイトは以下の範囲のモル組成物を有する合成混合物から結晶化により生成することができる。
【表2】

【0040】
結晶化は90乃至200℃の温度で、例えば、6乃至180時間行われる。
【0041】
本発明に有用な触媒は、有機酸化物質基質又はバインダーを含んでいても良い。そのような基質物質は、クレイ、アルミナ、シリカ、及び/又は酸化金属等の有機物質の他に、合成物質又は天然物質を含む。前者は、天然のもの、あるいはシリカ及び金属酸化物の混合物のゼラチン状の沈殿物の形状又はゲルのいずれかである。有機酸化物質から構成されている天然のクレイは、モントモリロナイト及びカオリンファミリーを含む。これらは、Dixie、McNamee、Georgia、及びFroridaクレイとして知られているもの、又は主要成分がハロサイト、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、又はアナキサイトである他のものである、サブベントナイト及びカオリン(類)を含むファミリーである。そのようなクレイは採掘されたままの状態で、又は焼成、酸処理、又は化学修飾をして用いることができる。
【0042】
本明細書で用いられる特定の有用な触媒マトリックス又はバインダー物質は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、シリカ−チタニアのほかに、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシア、及びシリカ−マグエシア−ジルコニア等の三成分物質を含む。前記基質はコゲル(cogel)形状のものでもよい。これらの成分の混合物も用いることができる。
【0043】
前記酸性細孔性結晶性物質又はモレキュラーシーブ並びにバインダー又は基質が存在する場合、その相対的な割合は大きく変動し、触媒全体に対する前記結晶性物質又はモレキュラーシーブの含量は約1乃至約99重量パーセント、より一般的には約30乃至約80重量パーセントである。もちろん、前記触媒は自己結合型物質、又は自己結合型モレキュラーシーブ、又は未結合型物質又は未結合型モレキュラーシーブを含んでいてもよく、それゆえ、酸性細孔性結晶性物質又はモレキュラーシーブの含量が約100%であってもよい。
【0044】
本発明に有用な触媒、又は酸性細孔性結晶性物質、又はモレキュラーシーブ成分は例えば、VI族金属(例えば、Cr及びMo)、VII族金属(例えば、Mn及びRe)、又はVIII族金属(例えば、Co、Ni、Pd、及びPt)又はリン等の追加的な機能付与を含んでいてもいなくてもよい。
【0045】
試験方法
本発明の非限定的な実施例に用いた装置及び原料の予備処理方法を以下で説明する。
【0046】
装置
撹拌棒及び固定された触媒バスケットを備えた300mlのパー(Parr)バッチ反応管を活性及び選択性の測定のために用いた。反応管は、ベンゼン及びプロピレンをそれぞれ導入するための2つのリムーバブル管が取り付けられていた。
【0047】
原料の前処理
市販グレードのベンゼンをモレキュラーシーブ13X、モレキュラーシーブ4A、Engelhard F−24クレイ、及びSelexsorb CDを用いて調製した。市販の特定の気相源から得られたポリマーグレードのプロピレンをモレキュラーシーブ5A及びSelexsorb CDを用いて調製した。市販の特定の気相源から得られた超高純度の窒素をモレキュラーシーブ5A及びSelexsorb CDを用いて調製した。全ての原料処理物質は使用する前に260℃で12時間乾燥させた。以下でいうベンゼン、プロピレン、及び窒素は、それぞれ、市販グレードのベンゼンポリマーグレードのプロピレン、及び超高純度の窒素を意味し、本明細書に記載のように前処理されたものを意味する。
【0048】
プロトン密度を決定するための以下のNMR法を本発明の非限定的な実施例に用いた。
【0049】
プロトン密度を決定するためのNMR法
本発明において、触媒サンプルのプロトン密度を決定するためのNMR法を以下のように行った。触媒サンプルのプロトン密度は、図1に示すようなシャローベッド(shallow bed)CAVERNデバイスを用いて決定した。図1のように、CAVERNデバイスは、上部ハウジング5及び下部ハウジング6からなり、ジョイント12で結合されており、触媒床14の上にガラスのトラップドア16を持ち上げるための機構11、バキュームライン20に用いる装置、及びサーモカップル13を介した加熱手段を有する。外径5mmのガラスチューブ17を3mmのステンレススチロールロッド15上にスライドして、該ロッドを覆うようにし、エンドキャップ18とガラスのトラップドア16の間に位置させる。ステンレススチールロッド15は機構11の回転により後退し、それによりガラスチューブ17が触媒床14の上に、ガラスのトラップドア16を持ち上げる。CAVERNデバイスを緩やかに回転又は振ることにより、触媒サンプル(示さず)がMASローター19の中に落ちる。この方法はゼオライト及び酸化金属の粉末に有効である。CAVERNデバイスの操作に関しての詳細は、Xu,T.、Haw,J.F.Top.Catal.1997,4,109−118に記載されている。該文献を参照により本明細書に援用する。
【0050】
触媒サンプルのプロトン密度を決定するために、触媒サンプルを薄くCAVERNデバイスの触媒床14の中に敷き、サーモカップル13を介して触媒サンプルの温度を触媒サンプルの評価に適した温度(特定のNMR前処理温度)まで上昇させ、バキュームライン20により触媒サンプル上に吸収された水分を十分に除去した。通常、MNRの測定前にそのようなバキューム下で2時間、適した温度で前記触媒サンプルを前処理する。
【0051】
このように調製された触媒サンプルをMASローター19等の5mmのNMRローターにのせ、CAVERNデバイスを操作し、Kel−Fエンドキャップでこのローターを密封する。触媒サンプルをバキュームしている間に全ての操作を行い、NMR試験のためにサンプルを完全な状態にする。好適なNMRスペクトルが得られた後に、触媒サンプル、及びエンドキャップ18を含むMAS19ローターの重量を測定し、ローター及びパッキングされていない触媒サンプル上のエンドキャップの重量を決定した。2つの重量の差がMASローター19の中の触媒サンプルの量となる。
【0052】
Hに対して399.8MHzで操作する400MHz固形状態NMRスペクトロメーター上でH NMR試験を行った。Hスペクトルの定量化は8乃至12kHzのスピン速度を用いたローターシンクロナイズドスピンエコーシークエンス(π/2−tD1−π−tD2−Echo)を使用することにより得られる。通常、9kHzのスピンスピードに対して、3.5−μs π/2パルス、125−μsのtD1、及び113.1μsのtD2を用いる。固形エコーシークエンスを用いて得られたスペクトルはスピニングモジュール及びMASローター19のエンドキャップ18に起因するいくらかのバックグラウンドシグナルを示す可能性がある。DEPTHを用いた固形エコーシークエンスによりこのスペクトルからバックグラウンドノイズを除去する。前記DEPTHシークエンスはまず、90°パルス(3.5−μs)、後に2つの180°パルスからなる。DEPTH配列の説明は、Corey,D.G.;Ritchey,W.M. J.Magn.Reson.1998,80,128に記載されている。該文献を参照により本明細書に援用する。10秒のパルスの遅延は試験される触媒サンプルのプロトン密度の定量化に十分である。Hシフト(2.1ppm)の第二標準としてアセトンを用いた。記録された全てのシフトは0ppmのテトラメチルシランを参考にした。
【0053】
各種「合成されたままの」酸性細孔性結晶性物質は、本発明の方法により処理されていないものであり、従って、本発明の第一水和状態にあるものであり、そのプロトン密度はは以下のようになる
【表3】

【0054】
もちろん、本発明の方法で処理した第三水和状態におけるこれらの酸性細孔性結晶性物質は、上記第一水和状態にある、同じ物質のプロトン密度よりも大きなプロトン密度を有している。
【0055】
プロトン密度指数(PDI)を決定するための以下の方法を本発明の非限定的な実施例を説明するために用いた。
【0056】
プロトン密度指数の決定
特定の触媒組成物のPDIは、元の未処理の触媒組成物のプロトン密度に対する新たに処理された触媒組成物のプロトン密度の比で決定される。そのような新たに処理された触媒組成物は本明細書で説明するプロトン調節技術又はプロトン密度を変更することができる他の技術を用いて処理される。オリジナルの未処理の触媒組成物は、本明細書で説明するプロトン隣接技術又はプロトン密度を変更することができる他の技術を用いて処理されていてもよく、処理されていなくてもよい。前述のように、「プロトン密度」の語は触媒組成物1グラム当たりの酸性プロトン及び/又は非酸性プロトンのミリモル(mmol)数を意味する。新たに処理された触媒組成物のプロトン密度及びオリジナルの未処理の触媒組成物のプロトン密度は同じ温度、例えば、約20℃乃至約25℃の室温で測定される。それゆえ、特定の触媒組成物のPDIは、所与の温度で測定された新たに処理された触媒組成物を、同じ所与の温度で測定されたオリジナルの未処理の触媒組成物のプロトン密度で割って決定される。
【0057】
プロトン密度を決定するのに用いるNMRスペクトロメーターはOxford AS400マグネットを有するVarian Infinity Plus 400MHz固形状態NMRである。
【0058】
本発明の非限定的な実施例において、以下の触媒活性測定方法を用いた。
【0059】
触媒活性試験方法
反応性試験のための触媒組成物を調製するために、特定量の触媒サンプルを、空気の存在下、ex−situ乾燥温度(以下、「特定のEx−suit乾燥温度」という)のオーブン内で2時間乾燥させた。この触媒サンプルをオーブンから出し、重量を測定した。水晶チップをバスケットの下に敷き、触媒サンプルを水晶の第一層の上のバスケットに入れた。次いで、水晶チップを触媒サンプルの上においた。触媒サンプル及び水晶を含む前記バスケットを空気存在下、特定のEx−situ乾燥温度のオーブン内で16時間乾燥させた。
【0060】
反応器及び全てのラインを各試験の前に(トルエン等の)好適な溶媒で洗浄した。反応器及び全てのラインを風乾して洗浄溶媒を全て除去した。触媒サンプル及び水晶を含むバスケットをオーブンからとりだし、ただちに反応器の中に入れ、この反応器を組み立てた。反応器温度を、in−suit乾燥温度(以下、「特定のIn−suit乾燥温度」という)に設定し、2時間の間に100SCCMの窒素でパージした。
【0061】
前記反応器温度をその後、130℃に低下させ、窒素パージを停止し、反応器の通気口を閉じた。156.1グラムのベンゼンを300ml(cc)の輸送管に添加し、閉鎖系で試験を行った。窒素源から790kPa−a(100psig)の圧力をベンゼンの管に加えた後、ベンゼンを反応器に移した。撹拌スピードを500rpmにセットして、反応器を1時間平衡化させた。
【0062】
75ccHoke輸送管を28.1グラムの液体プロピレンで満たし、反応管につなげ、2.69kPa−a(300psig)の窒素源をつなげた。1時間のベンゼン撹拌時間が経過した後、前記プロピレンをHoke輸送管から反応器に輸送した。2.69kPa−a(300psig)窒素源をプロピレン管に結合したままにしておき、試験時間の間反応器を開いて圧力を2.69kPa−a(300psig)に維持した。プロピレンの添加後、30、60、120、150、180、及び240分後に液体生成物サンプルをサンプリングした。これらのサンプルをその後、フレームイオナイゼーションデテクター(Flame Ionization Detector)を有するガスクロマトグラフィーで当業者に既知の方法で解析した。
【0063】
これらの実施例において、所望のイソプロピルベンゼン(クメン)生成物に対する触媒サンプルの選択性(以下、「触媒選択性」という)はプロピレン変換が100%に達した後のジイソプロピルベンゼンに対するイソプロピルベンゼン(IPB/DIPB)の比として計算される。より高いIPB/DIPB比は触媒サンプルがイソプロピレンベンゼン(クメン)に対してより高い選択性を有することを意味する。これらの実施例において、触媒サンプルの触媒活性(以下、「触媒活性」という)は当業者に良く知られている数学的技術を用いた2次的動的速度係数を計算することにより決定した。
【0064】
本発明の非限定的な実施例で説明される試験に、以下のプロトン含量調節技術を用いた。
【0065】
プロトン含量調節技術
A.プロトン含量調節技術#1
本発明の1つの態様において、酸性細孔性結晶性物質を含み、触媒1グラム当たりのプロトンのミリモル数で測定される第一水和状態を有する触媒サンプルを適したコンテナ内に置く。液体の水、特に脱イオン水をコンテナ内に下からゆっくりと入れ、触媒サンプルから空気を抜いた。サンプルが水に完全に浸るまで水を入れ、水のレベルが触媒サンプルの上方約1/4”(0.635cm)に達した。前記触媒サンプル及び水を、少なくとも約1秒、好ましくは約1分乃至約60分、又は以上の特定の接触時間(以下、「接触時間」という)静置して、第二水和状態を有する触媒サンプルを生成した。前記第二水和状態は(触媒1グラム当たりのプロトンのミリモル数で測定して)前記第一水和状態よりも高い値を有する。前記接触時間の後、前記水を別の容器に注ぎ、前記触媒サンプルを少なくとも8時間室温で風乾し、(触媒サンプル1グラム当たりのミリモル数で測定される)第三水和状態を有する触媒サンプルを得た。
【0066】
B.プロト含量調節技術#2
触媒のサンプルは気相(窒素等の適切な担体を含んでいてもいなくてもよい)中で、特定の接触温度(以下、「接触温度」という)及び特定の接触圧力(以下、「接触圧力」という)において、水に接触させられる。
【0067】
本発明の更なる態様においては、触媒サンプルを先ずプロトン含量調節技術#1で処理した後、プロトン含量調節技術#2で処理する。
【0068】
本発明の更なる他の態様において、プロトン含量調節技術#2で処理された触媒サンプルをその後、プロトン含量調節技術#1で処理する。
【実施例】
【0069】
前述の方法で生成された触媒サンプルの非限定的な例及びそのような触媒サンプルをアルキル化試験に使用することは以下の実施例を参照することにより、説明する。
【0070】
実施例1
実施例1の触媒サンプルは80重量%のMCM−49及び20重量%のアルミナ(Al)から成る。このプロトン密度は250℃の特定のNMR前処理温度で、前述のプロトン密度測定のためのNMR手順で決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり1.71mmol(第一水和状態)であった。
【0071】
実施例1の触媒サンプルのである0.5グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はイソプロピルベンゼン対ジイソプロピルベンゼン(IPB/DIPB)で測定して5.92であった。この触媒サンプルの触媒活性は363であった。
【0072】
実施例2
実施例1の触媒サンプルの別の一部分を約1時間の特定の接触時間でプロトン含量調節技術#1を用いて処理をして、第三水和状態を有する実施例2の処理された触媒サンプルを生成した。この処理された触媒サンプルの第三水和状態のプロトン密度は、250℃の特定のNMR前処理温度において、前述の方法でプロトン密度を決定するためのNMR方法を用いて測定して、触媒1グラム当たり1.85mmol(第三水和状態)であった。
【0073】
実施例2の処理された触媒サンプルの0.5グラム部分を250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBで測定して6.94であった。この触媒サンプルの触媒活性は383であった。
【0074】
実施例2の触媒サンプルのPDIは1.08であり、実施例1の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)8%存在するプロトン含量が増えていた。実施例1の触媒サンプルと比較して、実施例2の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は17%増加し、触媒活性は5.5%増加していた。
【0075】
実施例3
実施例3の触媒サンプルは80重量%のゼオライトベータ及び20重量%のアルミナからなる。このプロトン密度は250℃の特定のNMR処理温度で、前述のプロトン密度測定のためのNMR手順で決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり2.48mmol(第一水和状態)であった。
【0076】
実施例3の触媒サンプルの1.0グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBで測定して5.62であった。この触媒サンプルの触媒活性は23であった。
【0077】
実施例4
実施例3の触媒サンプルの別の一部分について、約1時間の特定の接触時間でプロトン含量調節技術#1を用いて試験を行い、第三水和状態を有する実施例4の処理された触媒サンプルを得た。この処理された触媒サンプルのプロトン密度は、250℃の特定のNMR前処理温度において、前述の方法でプロトン密度を決定するためのNMR方法を用いて測定して、触媒1グラム当たり2.77mmol(第三水和状態)であった。
【0078】
実施例4の触媒サンプルの1.0グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBで測定して9.35であった。この触媒サンプルの触媒活性は4であった。
【0079】
実施例4の触媒サンプルのPDIは1.12であり、実施例3の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)12%プロトン含量が増えていた。実施例3の触媒サンプルと比較して、実施例4の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は66%増加し、触媒活性は実施例3の触媒サンプルの17.4%であった。
【0080】
実施例5
実施例1の触媒サンプルを、200℃の接触温度及び445kPa−a(50psig)の接触圧力で、プロトン含量調節技術#2に従って、水蒸気で飽和された窒素で処理した。得られた触媒をプロトン含量調節技術#1で処理し、第三水和状態を有する実施例5の処理された触媒サンプルを得た。この処理された触媒サンプルのプロトン密度は、250℃の特定のNMR前処理温度において、前述の方法でプロトン密度を決定するためのNMR方法を用いて測定して、触媒1グラム当たり1.76mmol(第三水和状態)であった。
【0081】
実施例5の処理された触媒サンプルの0.5グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBで測定して6.80であった。この触媒サンプルの触媒活性は377であった。
【0082】
実施例5の触媒サンプルのPDIは1.03であり、実施例1の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)3%プロトン含量が増えていた。実施例1の触媒サンプルと比較して、実施例5の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は15%増加し、触媒活性は4%増加していた。
【0083】
実施例6
実施例6の触媒サンプルは80重量%のMCM−49及び20重量%のアルミナから成る。このプロトン密度は150℃の特定のNMR前処理温度で、前述のプロトン密度測定のためのNMR手順で決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり2.59mmol(第一水和状態)であった。
【0084】
実施例6の処理された触媒サンプルの0.5グラム部分について、150℃の特定のEx−situ乾燥温度及び150℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はイソプロピルベンゼン対ジイソプロピルベンゼンの重量比(IPB/DIPB)で測定して5.92であった。この触媒サンプルの触媒活性は275であった。
【0085】
実施例7
実施例6の触媒サンプルの別の一部分について、約1時間の特定の接触時間でプロトン含量調節技術#1を用いて試験を行い、第三水和状態を有する実施例7の処理された触媒サンプルを得た。この処理された触媒サンプルの第三水和状態のプロトン密度は、150℃の特定のNMR前処理温度において、前述の方法でプロトン密度を決定するためのNMR方法を用いて測定して、触媒1グラム当たり3.16mmol(第三水和状態)であった。
【0086】
実施例7の処理された触媒サンプルの0.5グラム部分について、150℃の特定のEx−situ乾燥温度及び150℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBの重量比で測定して7.81であった。この触媒サンプルの触媒活性は251であった。
【0087】
実施例7の触媒サンプルのPDIは1.22であり、実施例6の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)22%プロトン含量が増えていた。実施例6の触媒サンプルと比較して、実施例7の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は32%増加し、触媒活性は実施例6の触媒サンプルの91%であり、わずかに低下していた。
【0088】
実施例8
この実施例の触媒サンプルは65重量%のMCM−22及び35重量%のアルミナからなる。このプロトン密度は250℃の特定のNMR処理温度で、前述のプロトン密度測定のためのNMR手順で決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり1.46mmol(第一水和状態)であった。
【0089】
実施例8の触媒サンプルの1.0グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はイソプロピルベンゼン対ジイソプロピルベンゼン(IPB/DIPB)の重量比で測定して5.46であった。この触媒サンプルの触媒活性は272であった。
【0090】
実施例9
少なくとも1部分を失活させた実施例8のサンプルの一部分を以下の2工程で再生した。第一に、前記触媒サンプルを2.0容量%の水素及び炭化水素を有する雰囲気下で385℃の温度で加熱した。酸素濃度を最初に0.4容量%に増やし、その後、触媒温度が最高で467℃に達する間に、再度0.7容量%に増やした。次に、0.7容量%の酸素濃度を有する101kPa−a(1気圧)中で触媒を450℃に加熱し、最大触媒温度を510℃に維持する間に酸素濃度を7.0容量%に増やした。
【0091】
この触媒サンプルを約1時間の接触時間でプロトン含量調節技術#1に従って処理し、第三の水和状態を有する実施例9の処理された触媒を得た。この処理された触媒のプロトン密度は、250℃の特定のNMR処理温度で、上で説明したように、プロトン密度を決定するためのMNR方法を用いて決定して、触媒1グラム当たり1.97mmol(第三水和状態)であった。
【0092】
実施例9の処理された触媒サンプルの1.0グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、前述の触媒反応性試験方法を用いて試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPB重量比で測定して6.29であった。この触媒サンプルの触媒活性は174であった。
【0093】
実施例9の触媒サンプルのPDIは1.35であり、実施例8の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)35%プロトン含量が増えていた。実施例8の触媒サンプルと比較して、実施例9の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は15%増加し、触媒活性は実施例8の触媒サンプルの64%であった。
【0094】
実施例10
実施例6の触媒サンプルを水蒸気で飽和した窒素中で、220℃の接触時間及び445kPa−a(50psig)の接触圧力で、プロトン含量調節技術#2に従って処理した。得られた触媒サンプルをプロトン含量調節技術#1で処理し、第三水和状態を有する実施例10の処理された触媒サンプルを得た。前記処理された触媒サンプルのプロトン密度は150℃の特定のNMR前処理温度で、前述のプロトン密度を調節するためのNMR手順を用いて決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり2.19mmolであった(第三水和状態)。
【0095】
実施例10の処理された触媒サンプルの0.5グラム部分について、150℃のEx−situ乾燥温度及び150℃のIn−situ乾燥温度で、触媒反応性試験方法に従って試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性はIPB/DIPBで測定して7.90であった。この触媒サンプルの触媒活性は244であった。
【0096】
実施例10の触媒サンプルのPDIは1.03であり、実施例6の触媒サンプルと比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmolで測定される)3%プロトン含量が増えていた。実施例6の触媒サンプルと比較して、実施例10の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は20%増加し、触媒活性は実施例6の触媒サンプルの80%となり、僅かに減少した。
【0097】
実施例11(比較例)
実施例11の触媒サンプルは非結晶性のタングステンジルコニア(WZrO)からなる。250℃の特定のNMR前処理温度で、前述のように、プロトン密度を決定するためのNMR方法に従ってこのプロトン密度を決定した。前記プロトン密度は触媒1グラム当たり0.37mmolであった(第一水和状態)。
【0098】
実施例11の触媒サンプルの0.5グラム部分について、250℃の特定のEx−situ乾燥温度及び170℃の特定のIn−situ乾燥温度で、触媒反応性試験方法に従って試験した。前記触媒活性は、イソプロピルベンゼン対ジイソプロピルベンゼン(IPD/DIPB)の重量比で決定して、13.70であった。この触媒サンプルの触媒活性は1であった。
【0099】
実施例12(比較例)
実施例11の触媒サンプルを約1時間の接触時間で、プロトン含量調節技術#1に従って、処理して、第三の水和状態を有する実施例12の処理された触媒サンプルを生成した。処理されたサンプルのプロトン密度は250℃の特定のNMR前処理温度で、前述のように、プロトン密度を決定子するためのNMR方法に従って決定して、触媒1グラム当たり0.41mmolであった(第三水和状態)。
【0100】
実施例12の処理された触媒の0.5グラム部分について、250℃のEx−situ乾燥温度及び170℃のIn−situ乾燥温度で、触媒反応性試験方法に従って試験を行った。この触媒サンプルの触媒選択性は、IPB/DIPBの重量比で測定して9.62であった。この触媒サンプルの触媒活性は1であった。
【0101】
実施例12の触媒サンプルのPDIは1.11であり、実施例11の触媒と比較して(触媒1グラム当たりのプロトンのmmol数で測定して)プロトン含量が11%増加していた。しかしながら、実施例12の触媒サンプルの触媒選択性(IPB/DIPB)は、実施例11の触媒サンプルと比較して29.8%減少した。触媒活性は実施例11の触媒サンプルの100%相当であった。
【0102】
オリゴマー化反応を含む本発明の非限定的な実施例を以下のように行った。
【0103】
実施例1の触媒サンプル(第一水和状態)の0.5グラム部分について、ベンゼンを用いずにプロピレン含量を増やした以外は前述の触媒反応性試験方法と同様に、バッチ反応器内に入れた。Ex−situ乾燥温度は250℃で、In−situ乾燥温度は170℃であった。25℃の温度及び300psigの圧力で、触媒サンプルを56.2グラムのプロピレンと接触させた。4時間の反応時間の後、オリゴマー生成物を収集し、GC法で分析したところ、生成物の平均分子量は161.3であり、1.01重量%のC6オリゴマー、34.24重量%のC9オリゴマー、32.45重量%のC12オリゴマー、及び他の反応副生成物を含んでいた。
【0104】
実施例14
実施例2の処理された触媒サンプル(第二水和状態)0.5グラム部分を、ベンゼンを用いずにプロピレン含量を増やした以外は、前述の触媒反応性試験方法と同様に、バッチ反応器内に入れた。Ex−situ乾燥温度は250℃で、In−situ乾燥温度は170℃であった。25℃の温度及び300psigの圧力で、触媒サンプルを56.2グラムのプロピレンと接触させた。4時間の反応時間の後、オリゴマー生成物を収集し、GC法で分析したところ、生成物の平均分子量は152.2であり、11.02重量%のC6オリゴマー、34.99重量%のC9オリゴマー、26.74重量%のC12オリゴマー、及び他の反応副生成物を含んでいた。
【0105】
本明細書において引用する特許、特許出願、試験方法、優先権書類、文献、刊行物、マニュアル等は、制度上に認められている場合には、参照により本明細書に援用される。
【0106】
本明細書において、複数の下限値及び上限値が記載されている場合には、任意の下限値及び上限値から成る範囲も意図するものである。
【0107】
本発明の例示的な態様を特に説明してきたけれども、当業者により容易になされるであろう、本発明の精神と範囲内における他の変更も本発明の範囲内である。従って、添付の特許請求の範囲を実施例や発明の詳細な説明の記載に限定することは意図しない。むしろ、本発明の属する当業者により均等であるとされる全ての技術的特徴を含む、本発明が有する特許可能性の全ての特徴を包含すると考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物を含む原料を変換生成物に触媒変換する方法であって、0℃乃至1000℃の温度、0.1大気圧乃至1000大気圧の圧力、及び0.01乃至500hr−1の原料の重量空間速度(WHSV)、又は1分乃至100時間の反応時間を含む触媒変換条件下で、前記原料を、酸性細孔性結晶性物質を含み、1.0より大きいプロトン密度指数を有する触媒組成物と接触させる工程を含み、
前記触媒組成物が、
(a)第一プロトン密度を有する、酸性細孔性結晶性物質を含む第一触媒を提供する工程、
(b)工程(a)の第一触媒を1℃乃至99℃までの接触温度で、液体状の水と接触させて、プロトンを追加し、同じ条件下で測定される、第一プロトン密度よりも大きい第二プロトン密度を有する第二触媒を生成する工程、及び、
(c)20℃乃至550℃までの乾燥温度で工程(b)の第二触媒を乾燥させて、前記第二触媒から前記プロトンの少なくとも一部分を除去して、同じ条件下で測定される、前記第一及び第二プロトン密度の間の大きさの第三プロトン密度を有する触媒組成物を生成する工程を含む方法で得られ
さらに当該変換方法は、下記の反応条件(1)、(2)、(3)のいずれかで行われるものであり、

(1) 前記原料の芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がエチレンであり、前記変換生成物がエチルベンゼンを含み、前記変換条件が150℃乃至300℃の温度、200気圧までの圧力、0.1乃至20hr−1のエチレンアルキル化剤に基づく重量空間速度(WHSV)、及び0.5:1乃至30:1のベンゼン対エチレンのモル比である条件、
(2) 前記原料芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤がプロピレンであり、前記変換生成物がクメンを含み、前記変換条件が250℃までの温度、250気圧以下の圧力、0.1hr−1乃至250hr−1のプロピレンアルキル化剤に基づく重量空間速度、0.5:1乃至30:1モルのアルキル化反応器内のベンゼン対プロピレンの比である条件、
(3) 前記原料芳香族化合物がベンゼンであり、前記アルキル化剤が1−ブテン、2−ブテン、及びこれらの混合物からなる群より選択され、前記変換生成物がsec−ブチルベンゼンを含み、前記変換条件が50乃至250℃の温度、3.5乃至35気圧の圧力、0.1乃至20hr−1のアルキル化剤に基づく重量空間速度(WHSV)、1:1乃至10:1のアルキル化反応器内のベンゼン対アルキル化剤のモル比である条件、

当該転換生成物はさらに、ポリアルキル芳香族化合物を含有し、当該方法はさらに当該ポリアルキル芳香族化合物をトランスアルキル化条件において、トランスアルキル化触媒の存在下、ベンゼンと接触させエチルベンゼン、クメン、又はsec-ブチルベンゼンをさらに生成するものであり、当該トランスアルキル化触媒は、ゼオライトベータ、ゼオライトY、モルデナイト、TEA-モルデナイト、MCM−22,PSH−3、SSZ−25、ERB-1、ITQ-1、ITQ-2、ITQ-30、MCM-36、MCM-49、MCM-56及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである、方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−49695(P2013−49695A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−236790(P2012−236790)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2009−509519(P2009−509519)の分割
【原出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】