説明

有機化合物

本発明は、カモスタットの新規な薬学的に許容される塩形、凍結乾燥方法、味を隠した製剤、噴霧製剤ならびに、呼吸器疾患、特に嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置における前記各々の使用を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機化合物、塩、製剤および製造法ならびに医薬としてのそれらの使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、一つの局面において、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患の処置用薬剤の製造のための、セリンプロテアーゼ阻害剤使用を提供する。本疾患は、適当には呼吸器疾患、より適当には嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される。
【0003】
その阻害剤が本発明の使用に関与する適当なセリンプロテアーゼの例は、トリプシン、マトリプターゼ、プロスタシン(PRSS8)、プラスミン、tPA、uPA、Xa、IXa、トロンビン、組織因子、補体因子(compliment factor)、トリプターゼ、HNE、カリクレイン(血漿および組織)、マトリプターゼおよびTRMPSS3および4を含む。
【0004】
故に、第一の局面として、本発明は、セリンプロテアーゼ阻害剤、例えばトリプシン、マトリプターゼ、プロスタシン(PRSS8)、プラスミン、tPA、uPA、Xa、IXa、トロンビン、組織因子、補体因子、トリプターゼ、HNE、カリクレイン(血漿および組織)、マトリプターゼおよびTRMPSS3および4から選択されるセリンプロテアーゼの阻害剤の、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における使用を提供する。
【0005】
本発明のさらなる局面として、本発明はチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における、第Xa因子阻害剤の使用を提供する。本発明において使用するために適当な第Xa因子阻害剤は、フォンダパリンナトリウム、リバロキサバン、イドラパリナックスナトリウム、アピキサバンおよびオタミキサバン(otamixaban)およびUS6469036に具体的におよび一般的に記載の化合物、特にRWJ-58643(J&J)、US6022861、US6211154に具体的におよび一般的に記載の化合物、特にMLN-1021(Millenium)、FR2773804に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばSR123781(Sanofi-Aventis)、DE19829964に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばタノギトラン(tanogitran)、US6469026、WO0001704に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBIBR-1109(Boehringer Ingelheim)、DE19829964に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBIBT-0871、BIBT-1011およびBIBT-0932CL(Boehringer Ingelheim)およびDE19816983に具体的におよび一般的に記載の化合物を含む。本発明において使用するためのさらなる第Xa因子阻害剤は、レビュー文献Expert Opin. Ther. Patents(2006) 16(2):119-145に具体的に開示の化合物、例えばDX-9065a、DPC-423、Razaxaban、BAY59-7938および化合物番号5−153を含む。
【0006】
本発明のさらなる局面として、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置用薬剤の製造におけるトロンビン阻害剤の使用を提供する。本発明において使用するための適当なトロンビン阻害剤は、アルガトロバン、グリチルリジン(リガンド)、オジパーシル(odiparcil)、コルトロンビン(corthrombin)、US5523308(J&J)、WO9102750に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばHirulog-1(Biogen)、DE19706229に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばダビガトラン(dabigratan)およびダビガトラン・エテキシレート、AU8551553に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えば硫酸エフェガトラン水和物、WO9311152に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばイノガトラン、US2003134801に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばLB-30870(LG Chem)、Org42675(Akzo Nobel)、EP559046に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばナプサガトラン、WO0170736に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばSSR-182289、EP615978に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばS-18326(Servier)、WO9513274に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばUK-156406(Pfizer)、EP0918768に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばAT-1362(C&C Research Labs)、WO0055156に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばAT-1459(C&C Research Labs)、JP1999502203に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBCH-2763(Nat Res Council of Canada)、EP623596に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBMS-189090(BMS)、CA2151412に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBMS-191032(BMS)、US5037819に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばBMY-43392-1(BMS)、GB2312674に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばCGH-1484A(Novartis)、EP739886に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばCI-1028、LB-30057およびPD-172524(LG Chem)、DE4115468に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばCRC-220(Dade Behring Marburg)、AU8817332に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばDuP-714(BMS)、JP96333287に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばF-1070(Fuji Yakuhin)、WO9701338に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばL-373890、L-374087およびL-375052(Merck)、WO9740024に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばL-375378(Merck)、WO9842342に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばL-376062(Merck)、WO0251824に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばLK-658およびLK-732(Lek)、WO9705160に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばLR-D/009(Guidotti)、EP479489に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばLY-293435(Lilly)、AU8945880に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばMDL-28050(Sanofi Avenits)、EP195212に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばMDL-73756(Sanofi Avenits)、AU9059742に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばMDL-74063(Sanofi Avenits)、JP90289598に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばCyclotheonamide A、WO9965934に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばNAPAP-PS(Organon)、EO858464に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばOrg-37432(Organon)、WO9847876に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばOrg-37476(Organon)、WO9807308に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばOrg-39430(Organon)、EP217286に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばOS-396、CA2152205に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばS-30266(Adir)、EP792883に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばS-31214およびS-31922(Servier)、EP471651に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばSDZ-217766およびSDZ-MTH-958(Novartis)、WO9513274に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばUK-179094(Pfizer)、WO9716444に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばUK-285954(Pfizer)、WO9801428に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばXU-817(BMS)、JP96020597、US5510369、WO9736580、WO9847876、WO9847876、WO9746553、WO9842342、WO9746553、EP863755、US5891909、WO9915169、EP0815103、US6117888、WO0075134、WO0075134、WO0138323、EP0944590、WO0264140、EP1117660、EP0944590およびEP0944590に具体的におよび一般的に記載の化合物を含む。
【0007】
本発明のさらなる局面として、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置用薬剤の製造における、トリプターゼ阻害剤の使用を提供する。本発明において使用するための適当な肥満細胞トリプターゼ阻害剤は、WO9420527に具体的におよび一般的に記載の化合物、特にAPC-366(Celera)、および化合物APC-2059(Bayer)、AVE-8923(Sanofi-Aventis)、MOL-6131(Molecumetics)およびM-58539(Mochida)を含む。
【0008】
本発明のさらなる局面として、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置用薬剤の製造における、カリクレイン阻害剤の使用を提供する。本発明において使用するための適当なカリクレイン阻害剤は、セトラキサートおよびエカランチド(ecallantide)を含む。
【0009】
本発明のさらなる局面として、チャネル活性化プロテアーゼ(CAP)の阻害が仲介する疾患、例えば呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置用薬剤の製造における、トリプシン阻害剤の使用を提供する。本発明において使用するための適当なトリプシン阻害剤は、メシル酸パタモスタット(patamostat)およびUS6469036に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばRWJ-58643(J&J)、EP556024に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばTO-195(Torii)、US6469036に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばRWJ-56423(Ortho-McNeil)、JP96020570に具体的におよび一般的に記載の化合物、例えばTT-S24(Teikoko Chemical)、EP588655およびWO0181314に具体的におよび一般的に記載の化合物を含む。
【0010】
本発明のセリンプロテアーゼ阻害剤は、好ましくはトリプシン、マトリプターゼまたはプロスタシン(PRSS8)阻害剤のようなトリプシン様セリンプロテアーゼ阻害剤である。
【0011】
プロスタシンは、種々の哺乳動物組織に存在するトリプシン様セリンプロテアーゼである。それは、細胞の細胞外膜上に発現するが、また、精液、尿および気道表面液体のような体液中に分泌される、膜固定プロテアーゼである。プロスタシンは、マトリプターゼ、mCAP2、mCAP3、トリプシンおよび好中球エラスターゼのようなプロテアーゼと一緒になって、アミロライド感受性上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の活性を刺激できる。これらの酵素の阻害は、上皮性イオン輸送、故に、上皮膜を通る液体の恒常性の変化を誘発できる。例えば、腎臓におけるCAP阻害は利尿を促進し、一方気道におけるCAP阻害は肺における粘液および痰の浄化を促進すると考えられている。腎臓におけるCAP阻害は、故に、高血圧の処置に治療的に使用され得る。気道におけるCAP阻害は、呼吸器分泌の停滞を防止し、これは、そうしなければ二次的細菌感染に罹りやすい傾向をもたらす。
【0012】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、イオンチャネル、とりわけ上皮性ナトリウムチャネルの活性を刺激するプロテアーゼの活性を阻害する化合物である。本発明のさらなる局面として、呼吸器疾患、最も適当には嚢胞性線維症またはCOPDの処置において使用するための、アンチパイン、アプロチニン、ベンズアミジン、カモスタット、ガベキサート、ロイペプチン、ナファモスタット、ペプスタチンA、リバビリン、セピモスタットおよびウリナスタチンのようなセリンプロテアーゼ阻害剤であるチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の使用を提供する。好ましいセリンプロテアーゼ阻害剤は、合成トリプシン様セリンプロテアーゼ阻害剤、とりわけカモスタット、ガベキサート、ナファモスタットおよびセピモスタットである。
【0013】
本発明は、さらなる局面において、チャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置用薬剤の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形の、式I
【化1】

〔式中、RおよびRは、同じでも異なってもよく、各々水素またはC−C−アルキルであり;そしてKは炭素−炭素共有結合、メチレン基、エチレン基またはビニレン基である〕
の化合物の使用を提供する。ここで使用する“C−C−アルキル”は、1個から3個の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖アルキルを意味する。
【0014】
可変基の性質および不斉中心の対応する数に、およびまた選択した出発物質および方法に依存して、式Iの化合物は立体異性体、例えばジアステレオ異性体混合物またはエナンチオマー混合物、例えばラセミ体の形で得ることができ、または恐らく純粋立体異性体の形でも得ることができる。本方法に従い、またはいくつかの他の方法により得られるジアステレオ異性体は、慣用の方法でエナンチオマー混合物に、例えばラセミ体に、または個々のジアステレオ異性体に、例えば既知の方法での構成成分の物理化学的差異に基づき、分別結晶、蒸留および/またはクロマトグラフィーにより、分離できる。有利には、より活性の異性体を単離する。
【0015】
式Iの化合物は、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩の形成が可能である。式Iの化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸、例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸またはヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸;および有機酸、例えば脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および酪酸、脂肪族ヒドロキシ酸、例えば乳酸、クエン酸、酒石酸またはリンゴ酸、ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはコハク酸、芳香族性カルボン酸、例えば安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、パラ−ビフェニル安息香酸またはトリフェニル酢酸、芳香族性ヒドロキシ酸、例えばo−ヒドロキシ−安息香酸、p−ヒドロキシ−安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸または3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸、ケイ皮酸、例えば3−(2−ナフタレニル)プロペン酸、パラ−メトキシケイ皮酸またはパラ−メチルケイ皮酸、およびスルホン酸、例えばメタンスルホン酸またはベンゼンスルホン酸の塩を含む。これらの塩は、式Iの化合物から、既知の塩形成法により製造できる。好ましい酸付加塩は、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、硝酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸との塩を含む。
【0016】
遊離または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、引用により本明細書に包含させる米国特許明細書US4,021,472に記載の方法を使用して、製造する。
【0017】
本発明において使用するための適当な式Iの化合物は:
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシベンゾエート;
N−メチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシベンゾエート;
N,N−ジ−n−プロピルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシベンゾエート;
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシフェニルアセテート;
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシシンナメート;
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシフェニルプロピオネート;
N−メチルカルバモイルメチル−p−ヒドロキシフェニルアセテート;
カルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾエート(とりわけメシル酸塩);
N−メチルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾエート(とりわけメシル酸塩);
N,N−ジ−n−プロピルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)ベンゾエート(とりわけトシル酸塩);
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテート(とりわけメシル酸塩);
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)−シンナメート(とりわけメシル酸塩);
N,N−ジメチルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジン−ベンゾイルオキシ)フェニルプロピオネート(とりわけメシル酸塩);および
N−メチルカルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテート(とりわけメシル酸塩)
を含む。
【0018】
とりわけ好ましい式Iの化合物は、N,N−ジメチル−カルバモイルメチル−p−(p−グアニジノベンゾイルオキシ)フェニルアセテートであり、それは一般名カモスタットを有する。メシル酸カモスタット(FoipanTM)がカモスタットの特に好ましい形であり、そして既知のトリプシン様セリンプロテアーゼ阻害剤であり、それは慢性膵炎の急性症状の処置に使用されている。この化合物は、米国特許明細書US4,021,472の実施例13に記載の方法を使用して製造する。
【0019】
本発明のさらなる局面として、特に本発明において、好ましくは呼吸器疾患、特に嚢胞性線維症またはCOPDの処置において使用するための、カモスタットの塩形が提供され、ここで、該塩形は、酢酸、アジピン酸、ガラクタル酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、ステアリン酸および1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、またはそれらの溶媒和物、特に水和物形から選択される酸から得られる。カモスタットの好ましい塩は、本発明のさらに好ましい局面によって、コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット半水化物、グリコール酸カモスタット、グリコール酸カモスタット半水化物、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタットから選択される。本好ましい塩は、異なる結晶形および物理化学特性、例えば融点、形態学などを有し、それらは優れた特性、例えば溶解性、バイオアベイラビリティ、安定性および取り扱いを有し得る。本塩はまた作用部位で刺激が低い傾向を示す。さらなる局面として、本発明の使用、組み合わせおよび製剤における、上記カモスタット塩の使用を提供する。
【0020】
本発明のさらに別の局面として、本発明者らは、カモスタットをエタノール/水(1/1)中、25℃で平衡化することにより形成した、以下に記載の実施例において特徴付けしたカモスタット遊離塩基の新規形態(いわゆる形II)を発見した。カモスタットの本新規形は、優れた特性、例えば溶解性、バイオアベイラビリティ、安定性および取り扱いを示し得る。故に、本発明の使用、組み合わせおよび製剤におけるカモスタット塩基形IIの使用を提供する。
【0021】
本発明は、さらなる局面において、処置を必要とする対象、特にヒト対象におけるチャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置方法であって、該対象に有効量のセリンプロテアーゼ阻害剤、とりわけ前記で定義の式Iの化合物を投与することを含む、方法を提供する。本セリンプロテアーゼ阻害剤は、好ましくは合成トリプシン様セリンプロテアーゼ阻害剤、とりわけプロスタシン阻害剤、例えばカモスタット、または適当なその塩である。
【0022】
本発明に従うチャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置は、予防的または対症的であり得る。
【0023】
本発明の一つの局面によって、本発明の化合物、塩および製剤を、チャネル活性化プロテアーゼ、とりわけプロスタシンのようなトリプシン様セリンプロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置に使用できる。このような疾患は、上皮膜を通過する液量の制御と関連する疾患を含む。例えば、気道表面液体の容量は、粘膜毛様体クリアランスおよび肺健康維持の重要なレギュレーターである。チャネル活性化プロテアーゼ阻害は、気道上皮の粘膜側への液体蓄積を促進し、それにより粘液クリアランスを促進し、呼吸器組織(肺気道を含む)への粘液および痰の蓄積を予防する。このような疾患は、呼吸器疾患、例えば嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染(急性および慢性;ウイルスおよび細菌、例えば咳および通常の風邪)および肺癌腫を含む。チャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患はまた、上皮を通過する異常液体制御が関連する、恐らく、それらの表面上の保護的表面液体の異常生理学が関与する呼吸器疾患以外の疾患、例えば口内乾燥(口渇)または乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)(ドライ・アイ)を含む。さらに、腎臓におけるENaCのCAP制御は利尿を促進し、故に血圧低下効果を誘発するために使用できる。本発明において使用する化合物は、高血圧、心不全および高血圧または心不全と関連する疾患の処置にも有用であり得る。
【0024】
本発明において使用する化合物は、上部呼吸器疾患、例えば副鼻腔炎またはアレルギー性鼻炎の処置にも有用であり得る。
【0025】
慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに他の薬剤治療、特に他の吸入薬治療の結果としての気道過敏症の悪化を含む。本発明はまた、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、どんな型または原因であれ気管支炎の処置にも適用できる。
【0026】
喘息は内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方、軽度喘息、中程度喘息、重度喘息、気管支喘息、運動誘発喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息を含む。喘息の処置はまた、主要な医学的懸念の確立された患者カテゴリーであり、喘鳴症状を示し、現在しばしば初期相または早期相喘息患者として同定される“喘鳴幼児(wheezy infants)”として診断されたまたは診断可能な、例えば、4歳または5歳未満の対象の処置を含むことも理解される。(簡便のために、この特定の喘息状態を、“喘鳴幼児症候群(wheezy-infant syndrome)”と呼ぶ。)
【0027】
チャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置のための、プロスタシン阻害剤のようなチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の適合性は、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の以下のものに対する阻害効果の決定により試験し得る:(1)Shipway et al. BiochemicalおよびBiophysical Research Communications 2004; 324(2):953-63)に記載の方法を使用した、適当な生化学アッセイ形式を使用した天然の、単離された、精製されたまたは組み換えチャネル活性化プロテアーゼ、および/または(2)Bridges et al., American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2001;281(1):L16-23およびDonaldson et al., Journal of Biological Chemistry 2002;277(10):8338-45に記載の方法を使用した適当な単離された細胞またはコンフルエント上皮におけるイオンチャネル/イオン輸送機能。
【0028】
式Iの化合物およびとりわけカモスタットまたは薬学的に許容されるその塩、例えばメシル酸塩または前記の結晶塩形を含むチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤はまた、特に嚢胞性線維症または前記のような閉塞性もしくは炎症性気道疾患の処置において、他の医薬物質、例えば抗炎症性、気管支拡張性、抗ヒスタミン性または鎮咳性医薬物質との組み合わせで、例えば、このような薬剤の治療活性の増強剤として、またはこのような薬剤の必要な投与量または可能性のある副作用を減らす手段として、共治療剤として有用である。
【0029】
本発明で使用する化合物は、固定された医薬組成物中に他の医薬物質と混合してよく、または、別々に、他の医薬物質の前に、同時にまたは後に投与してよい。
【0030】
従って、本発明はチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、好ましくはカモスタットまたは適当なその塩と、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNase医薬物質との組み合わせを含み、該チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤および該医薬物質は、同じまたは異なる医薬組成物中にある。
【0031】
適当な抗炎症剤は、ステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエート、または国際特許出願WO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(とりわけ実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載のステロイド;DE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載のような非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えばシロミラスト(Ariflo(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V-11294A(Napp)、BAY19-8004(Bayer)、SCH-351591(Schering-Plough)、アロフィリン(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD-12-281(Asta Medica)、CDC-801(Celgene)、SelCID(TM)CC-10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T-440(Tanabe)、KW-4490(Kyowa Hakko Kogyo)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載のもの;およびWO02/42298に記載のようなアデノシンA2B受容体アンタゴニストを含む。
【0032】
適当な気管支拡張剤は、ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、およびとりわけ、フォルモテロール、カルモテロールおよび薬学的に許容されるそれらの塩、および本明細書に引用により包含させるWO00/75114の式Iの化合物(遊離または塩もしくは溶媒和物形)、好ましくはその実施例の化合物、とりわけ化合物(5−[(R)−2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン)および薬学的に許容されるその塩、ならびにWO04/16601の式Iの化合物(遊離または塩もしくは溶媒和物形)、およびまたEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618、WO04/46083およびWO04/80964の化合物を含む。
【0033】
適当な気管支拡張性剤はまた抗コリンまたは抗ムスカリン剤、特にイプラトロピウムブロマイド、オキシトロピウムブロマイド、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、およびグリコピロレートだけでなく、またEP424021、US3714357、US5171744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285に記載のものも含む。
【0034】
適当な二重抗炎症性および気管支拡張性剤は、US2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に記載のような、二重ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニストを含む。
【0035】
適当な抗ヒスタミン医薬物質は、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン(loratidine)、デスロラタジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクティバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841に記載のものを含む。
【0036】
適当な抗生物質はマクロライド系抗生物質、例えばトブラマイシン(TOBITM)を含む。
【0037】
適当なDNase医薬物質は、DNAを選択的に開裂する非常に精製された組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の溶液であるドルナーゼ アルファ(PulmozymeTM)を含む。ドルナーゼ アルファは嚢胞性線維症の処置に使用される。
【0038】
抗炎症剤とのさらに適当な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering-PloughアンタゴニストSC-351125、SCH-55700およびSCH-D、Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK-770)、およびUS6166037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載のCCR−5アンタゴニストとの組み合わせである。
【0039】
本発明において使用するカモスタットおよび適当な塩ならびに本化合物、塩および製剤はまた、高張食塩水、マンニトールまたはデキストランのような吸入オスモライトとも組み合わせ得る。
【0040】
本発明において使用する化合物はまたP2Y2アンタゴニストまたはアゴニスト、CLC2アクティベーター、ENaC阻害剤またはPDE−5阻害剤とも組み合わせ得る。
【0041】
本発明において使用する化合物、塩および製剤はまたイブプロフェンのようなNSAIDとも組み合わせ得る。
【0042】
本発明に従うプロスタシンの阻害が仲介する疾患の処置において、遊離形または薬学的に許容される塩形の、化合物I、特にカモスタットを含むチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を、任意の適当な経路で、例えば経口で、例えば錠剤、カプセルまたは液体形態で、非経腸的に、例えば注射可能溶液または懸濁液の形で、または鼻腔内に、例えばエアロゾルまたは他の噴霧可能製剤の形で、適当な鼻腔内送達デバイス、例えば鼻腔内スプレー、例えば当分野で既知のものを使用して、または吸入により(これは、とりわけネブライザーでの使用に好ましい)投与できる。
【0043】
本チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に医薬組成物の形で投与し得る。このような組成物は、例えば乾燥粉末、錠剤、カプセルおよび液体だけでなく、注射溶液、輸液または吸入粉末、水性および噴射剤ベースの、溶液または懸濁液であり得て、これらは当分野で既知の他の製剤用成分および技術を使用して製剤できる。
【0044】
遊離形または薬学的に許容される塩形のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の投与量は、活性成分の活性および作用期間、処置すべき状態の重症度、投与形態、対象の種、性別、種族的出身、年齢および体重および/またはその個々の状態のような種々の因子に依存し得る。通常の場合、体重約75kgの温血動物、特にヒトに投与する、例えば経口投与するための1日量は、約0.7mgから約1400mg、とりわけ約5mgから約200mgである。この投与量を、例えば、1回量でまたは、例えば、5から200mgの数回分の投与量で投与し得る。
【0045】
本組成物がエアロゾル製剤を構成するとき、それは好ましくは、例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤、例えばHFA134aまたはHFA227またはそれらの混合物を含み、そして当分野で既知の1種以上の共溶媒、例えばエタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエート、および/または1種以上の充填剤、例えばラクトースを含み得る。本組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは好ましくは、例えば、10ミクロンまでの粒子径を有するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を、所望により望む粒子径分布のラクトースのような希釈剤または担体、および、例えばステアリン酸マグネシウムのような湿気による製品性能の劣化に対する保護を助ける化合物と共に含む。本組成物が噴霧可能製剤を構成するとき、それは好ましくは、例えば、水、共溶媒、例えばエタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤でもあり得る安定化剤を含む媒体に溶解または懸濁している、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を含む。
【0046】
本発明は、(A)吸入可能な形の、例えばエアロゾルまたは他の霧化可能な組成物または吸入可能な粒子、例えば微粉化された形の、式Iの化合物、とりわけカモスタット、または薬学的に許容されるその塩、(B)吸入可能な形の式Iの化合物を含む吸入可能な薬剤;(C)吸入可能な形の式Iの化合物を吸入デバイスと共に含む、医薬製品;および(D)吸入可能な形の式Iの化合物を含む吸入デバイスを含む。
【0047】
他の態様において、投与の吸入経路は粉末形である。本活性成分は、0.5から10マイクロメーター、好ましくは0.5−5マイクロメーターの粒子サイズの粒子サイズの粉末として使用でき、それは、ジェット・ミル、噴霧乾燥、溶媒沈殿などのような種々の慣用の技術により製造できる。一つの広く使用されている製剤アプローチは、微粉債活性剤薬剤と、10から500μmの粒子サイズの粗い増量粉末を混合することである。本増量粉末は、サッカライド、好ましくはラクトース、スクロース、グルコース、ガラクトース、フルクトース、トレハロースおよびラフィノースから選択され、最も好ましくはラクトースである。好ましくは微粉化された固体粉末の粒子サイズは、生理学的理由のために直径25ミクロン未満、好ましくは約10ミクロン未満でなければならない。吸入治療のための本粉末の粒子サイズは、最も好ましくは2から10ミクロンの範囲でなければならない。
【0048】
本発明の他の態様は、適当なエアロゾル噴射剤、例えばクロロフルオロ炭素(CFC)またはヒドロフルオロ炭素(HFC)に懸濁または溶解された活性成分を含む、エアロゾル製剤を含む。適当なCFC噴射剤は、トリクロロモノフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロテトラフルオロメタン(噴射剤114)、およびジクロロジフルオロメタン(噴射剤12)を含む。適当なHFC噴射剤は、テトラフルオロエタン(HFC−134a)およびヘプタフルオロプロパン(HFC−227)を含む。本噴射剤は、全吸入組成物の40から90重量%を構成する。さらにべつの適当な噴射剤はエタノールである。
【0049】
好ましくは、エアロゾル噴射剤中に包含させるために、活性成分、例えばカモスタットまたは薬学的に許容されるその塩を、乾燥粉末製剤について記載した通りの呼吸可能粒子に加工する。次いで、本粒子を、典型的にその分散特性を促進させるために界面活性剤で被覆されている噴射剤に懸濁させる。このような界面活性剤はソルビタントリオレエート、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチンまたは天然資源、例えばコーン油、オリーブ油、綿実油およびヒマワリ種子油から誘導された油分を含み、懸濁粒子が凝集しないようにするのに有用である。
【0050】
本発明のさらなる局面として、本発明において使用する化合物は、噴霧に適当な製剤として製剤できる。このような製剤は、通常共溶媒、防腐剤、キレート剤、pHおよび張性調節剤および界面活性剤を含む、気管支上皮と生理学的に適合する賦形剤を含む。適当な賦形剤は、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、塩化ベンザルコニウム、ナトリウム・エデンテート、アスコルビン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、オレイン酸、およびレシチンを含むが、これらに限定されない。噴霧可能製剤は、標準製剤技術により製剤できる。
【0051】
本発明のさらなる局面として、本発明において使用する化合物、好ましくはカモスタットまたは薬学的に許容されるその塩を、その後投与直前に生理学的に許容される媒体により再構成される凍結乾燥形に製剤できる。凍結乾燥製剤は、以下の所望の付加的賦形剤、ラクトース、マンニトールおよびグルコースを含み得る。本凍結乾燥製品は、無菌工程により、最初に活性成分および賦形剤を水性媒体に溶解することにより製造する。得られる溶液を、次いでガラスバイアルに入れ、続いて凍結乾燥する。凍結乾燥したカモスタットは、適当にはラクトースを、適当にはカモスタットまたは塩形:ラクトースが1:1から1:10の比率で含む。
【0052】
本発明のさらなる局面として、本発明において使用する製剤、好ましくはカモスタットまたは薬学的に許容されるその塩の噴霧製剤は、溶液製剤中または凍結乾燥形の成分もしくは再構成用媒体として、適当なさらなる賦形剤の添加を含む種々の方法により、味を隠し得る。本発明に従い味を隠すための適当な賦形剤は、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、メントールならびにソルビトールおよびキシリトールのようなポリアルコールを含むが、これらに限定されない。この味を隠した製剤は既知のおよび標準法により、例えばWO2005/037246およびManfred Keller, Antonio Manuel Fernandes Raposo et al. “Taste masking of a pentoxifylline formulation for pulmonary application”(特許出願)に記載の方法に従い、製造できる。カモスタットの味を隠した製剤は、的とにはサッカリンナトリウムを、適当には100:1から1:5のカモスタットまたは塩形:サッカリンナトリウム比で含む。
【実施例】
【0053】
生物学的実施例
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、メシル酸カモスタットはプロスタシン(ヒトおよびモルモット)およびマトリプターゼ(ヒト)を阻害し、培養ヒト気管支上皮細胞におけるアミロライド感受性、ENaC仲介短絡回路電流を減弱し、そして、モルモットにおける気管電位(tracheal potential)を減弱する。
【0054】
生化学アッセイ:組み換えヒトプロスタシンおよびマトリプターゼおよびモルモットプロスタシンを、Shipway et al., BiochemicalおよびBiophysical Research Communications 2004;324(2):953-63)に記載の方法により産生する。本組み換え酵素を、適当な多ウェルアッセイプレート、例えば96または384ウェルプレートで、試験化合物または媒体を含む電解質緩衝液中でインキュベートする。酵素と化合物または媒体を混合してから一定時間後、適当な蛍光ペプチド基質をアッセイ混合物に添加する。基質が活性酵素により開裂されると、蛍光(適当な蛍光プレートリーダーを使用して測定)が増加し、基質のターンオーバーの速度(すなわち酵素活性)が、故に、何らかの試験化合物の阻害効果が定量できる。試験化合物の効果を、酵素活性の50%減弱を誘発する濃度(K)として示す。
【0055】
上皮性イオン輸送:ヒト気管支上皮細胞を、Danahay et al., American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2002; 282(2):L226-36に記載の方法に従い、培養する。適当に分化したら(尖端−空気界面確立14−21日後)、上皮細胞を媒体、アプロチニン(200μg/ml)または試験化合物のいずれかで90分処理する。次いで、上皮の尖端側の媒体、アプロチニンまたは試験化合物の濃度を維持しながら、上皮をDanahay et al., American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2002; 282(2):L226-36に記載の通りUssing Chamberに入れる。次いで短絡回路電流(ISC)を、上皮を0ミリボルトで電圧固定することにより測定する。次いで、アミロライド感受性ISCを、上皮尖端表面にアミロライド(10μM)を添加することにより測定する。試験化合物の有効性を、アミロライド感受性ISCの全アプロチニン感受性成分の50%阻害を誘発する濃度として示す。
【0056】
気管電位差(インビボ):モルモットを、短時間作用型吸入麻酔、例えばハロタンおよびNOの使用により麻酔する。短時間作用型麻酔の下、胃ゾンデを、口腔咽頭(oropharangeal)経路を介して気管に挿入する。気管に入ったら、適当な水性ベースの希釈剤中の小量(50−200μl)の媒体または試験化合物を気道に滴下する。その後、動物は回復し、完全に歩ける。あるいは、試験化合物を、動物にエアロゾルまたは乾燥粉末投与を使用して投与できる。投与一定時間後に、動物を、適当な麻酔、例えばケタミンおよびキシラジンを使用して手術用麻酔する。次いで、気管を露出させ、プラスチック寒天架橋電極を気管管腔に挿入する。対照電極をまた動物の首の筋肉層に挿入する。次いで、気管電位差を、Takahashi et al., Toxicol Appl Pharmacol. 1995;131(1):31-6に記載の通り、適当な高インピーダンス電圧計を使用して測定する。試験化合物の効果を、気管電位差の感受性成分の50%減少を誘発する投与量として示す。
【0057】
結果を以下の表1および2に示す:
【表1】

【表2】

気管電位差の平均絶対値(±s.e.平均)を、媒体またはメシル酸カモスタット気管支内投与2または5時間後に示す。
【0058】
カモスタットの塩形の実施例
X線粉末回折パターンを、CuKアルファ放射線源と共にBruker STOE装置を使用して測定した。
FT−IRスペクトルを、Bruker IFS-55を使用して、2個のKBrプレート間のNujol mullで記録した。
【0059】
実施例1 コハク酸水素塩形A
50ml エタノール90%中の5.0g カモスタット塩基(12.55mmoles)および1.48g コハク酸(12.55mmoles)の懸濁液を約65℃に加熱する。10ml 水を、次いで65−70℃で滴下する。得られる透明溶液を冷却する。いくつかの種晶を50℃で添加し、結晶化がゆっくり起こる。懸濁液を17時間、室温で撹拌し、次いで濾過する。結晶を30ml エタノール90%で洗浄し、60℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:5.70g 白色粉末(87.9%)
純度HPLC:99.5%(a)
水アッセイ:<0.2%m/m
元素分析:
計算値:55.81%C;5.46%H;10.85%N;27.88%O
実測値:55.73%C;5.40%H;10.96%N;28.04%O
【0060】
コハク酸水素塩のXRPDを表3に要約する。
【表3】

FT−IR主IRバンド:3381;3119;1744;1729;1512;1729;1512;1463;1270;1220;1182;1158;1078;1020;760;704cm−1
【0061】
実施例2 コハク酸塩形A
30ml エタノール90%中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を75℃に加熱する。0.45g コハク酸(3.76mmoles)の3ml 水溶液を、次いで滴下し、次いで滴下漏斗を6ml エタノール90%で濯ぐ。透明溶液を冷却する。種晶を60℃で添加し、その後結晶化する。スラリーを一晩室温で撹拌し、次いで吸入により濾過する。残渣を30ml エタノール90%で洗浄し、60℃/約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:3.03g 白色結晶(88.0%)
HPLC純度:98.0%(a)
水アッセイ:<0.3%m/m
元素分析:
計算値:57.76%C;5.51%H;12.25%N;24.48%O
実測値:57.55%C;5.64%H;12.22%N;24.60%O
【0062】
コハク酸塩のXRPDを表4に要約する。XRPDは、強い回折ピークを17.5°に示す。
【表4】

FT−IR主IRバンド:3306;1747;1727;1651;1586;1555;1514;1465;1422;1266;1206;1173;1143;1074;878;853、743;694cm−1
【0063】
実施例3 リン酸塩形(同一のXRPDダイアグラムを有する2例)
3.1 リン酸塩(エタノール/水からの結晶化)
1,45g リン酸85%(12.55mmoles)の1ml 水溶液を、99ml エタノール中の5.0g カモスタット塩基(12.55mmoles)の懸濁液に室温で滴下する。混合物を75℃に加熱し、40ml 水を約5分にわたり添加する。得られる透明溶液を冷却する。結晶化が、55℃での種晶添加後に起こる。懸濁液を一晩r.t.で撹拌し、濾過する。固体を最初に30ml エタノール70%で、次いで10mlアセトンで洗浄する。結晶を60℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:4.70g 白色粉末(75.4%)
HPLC純度:99.8%(a)
水アッセイ:<0.2%m/m
元素分析:
計算値:48.39%C;5.08%H;11.29%N;29.01%O;6.24%P
実測値:48.28%C;5.02%H;11.32%N;28.83%O;6.01%P
【0064】
3.2 リン酸塩形(水から結晶化)
1,45g リン酸85%(12.55mmoles)の5ml 水溶液を、45ml 水中の5.0g カモスタット塩基(12.55mmoles)の懸濁液に50℃で滴下する。得られる透明溶液を冷却する。40℃で種晶添加後、結晶化が急速に起こる。非常に濃い懸濁液を20ml 水で希釈し、一晩r.t.で撹拌する。固体を濾過後、最初に20ml 水、次いで10mlアセトンで洗浄する。結晶を60℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:4.59g 白色粉末(73.7%)
HPLC純度:99.7%(a)
水アッセイ:<0.2%m/m
元素分析:
計算値:48.39%C;5.08%H;11.29%N;29.01%O;6.24%P
実測値:48.34%C;4.95%H;11.28%N;29.16%O;5.92%P
【0065】
リン酸塩のXRPDを表5に要約する。XRPDは、強い回折ピークを16.8°に示す。
【表5】

IR主IRバンド:3412;3230;1746;1729;1683;1648;1610;1570;1513;1463;1334;1272;1218、1202;1021;940cm−1
【0066】
実施例4 酢酸塩形A
0.457g 酢酸(7.53mmoles)を、28ml イソプロパノールおよび2ml 水中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液に室温で添加する。得られる溶液を45°に加熱する。次いで、結晶化が45℃で自発的に起こる。冷却後、スラリーを25℃で18時間撹拌する。塩を濾過を介して回収し、最初に30ml イソプロパノール/水 9/1、次いで14ml イソプロパノールで洗浄する。結晶を80℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:3.09g 白色粉末(89.5%)
HPLC純度:99.5%(a)
水アッセイ:<0.3%
元素分析:
計算値:57.64%C;5.72%H;12.22%N;24.43%O
実測値:57.49%C;5.83%H;12.08%N;24.48%O
【0067】
酢酸塩のXRPDを表6に要約する。XRPDは、強い回折ピークを19.0°に示す。
【表6】

FT−IR主IRバンド:3200;1749;1717;1687;1647;1576;1516;1411;1287;1195;1148;1049;1023;887;860;653cm−1
【0068】
実施例5 酒石酸水素塩半水化物形A
3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)および1.13g L(+)酒石酸(7.53mmoles)を28ml イソプロパノールおよび2ml 水に懸濁する。混合物を75℃に加熱する。加熱中、最初に粘性の半固体であった成分が、均質懸濁液に変わる。懸濁液を75℃で10分撹拌し、次いで冷却する。スラリーは急速に濃くなりすぎる。懸濁液を冷却中、6ml 水および84ml イソプロパノールで約30分にわたり徐々に希釈する。一晩、25℃で撹拌後、結晶を吸引により濾過し、27ml イソプロパノールと3ml 水の混合物、次いで30ml イソプロパノールで連続的に洗浄する。結晶を20時間、80℃および約10mbarで乾燥させる。
収量:4.16g 白色粉末(99.1%)
HPLC純度:99.2%(a)
水アッセイ:2.16%m/m
元素分析:
計算値:52.55%C;5.15%H;10.21%N;32.09%O
実測値:51.73%C;5.36%H;10.09%N;33.01%O
【0069】
酒石酸水素塩半水化物のXRPDを表7に要約する。XRPDは強い回折ピークを13.3°に示す。
【表7】

FT−IR主IRバンド:3404;1721;1660;1566;1518;1462、1377;1281;1202;1183;1169;1143;1083cm−1
【0070】
実施例6 グリコール酸塩半水化物形A
28ml イソプロパノールおよび2ml 水中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)および0.58g グリコール酸(7.53mmoles)の懸濁液を約45℃にゆっくり加熱する。透明溶液が最初に35℃で形成され、結晶化が45℃で自発的に始まる。混合物を冷却し、スラリーを一晩r.t.で撹拌する。固体を濾過により単離する。フィルター・ケーキを最初に20ml イソプロパノール/水=9/1(v/v)、次いで14ml イソプロパノールで洗浄する。塩を80℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:3.70g 白色粉末(95.3%)
元素分析:
計算値:54.65%C;5.63%H;11.59%N;28.13%O
実測値:54.54%C;5.85%H;11.40%N;28.06%O
水アッセイ:1.94%(m/m)
HPLC純度:99.4%(a)
【0071】
グリコール酸塩半水化物のXRPDを表8に要約する。XRPDは強い回折ピークを14.5°および22.6°に示す。
【表8】

FT−IR主IRバンド:3311;1732;1708;1574;1506;1410;1316;1267;1202;1194;1181;1166;1132;1065;1066;1016763;740cm−1
【0072】
実施例7 グリコール酸塩形A
50ml エタノール中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を70℃に加熱する。0.58g グリコール酸(7.53mmoles)の4ml エタノール溶液を滴下し、滴下漏斗を6ml エタノールで濯ぐ。得られる透明溶液をゆっくり冷却する。結晶化が、約50℃で自発的に起こる。白色懸濁液を室温で20時間撹拌し、濾過する。結晶を30ml エタノールで洗浄し、80℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:3.44g 白色粉末(96.3%)
元素分析:
計算値:55.69%C;5.52%H;11.81%N;26.98%O
実測値:55.53%C;5.74%H;11.76%N;27.04%O
HPLC純度:99.5%(a)
【0073】
グリコール酸塩のXRPDを表9に要約する。XRPDは、強い回折ピークを19.9°に示す。
【表9】

FT−IR主IRバンド:3345;3070;1729;1669;1636;1582;1515;1410、1317;1285;1265;1208;1129;1069;762cm−1
【0074】
実施例8 キシナホ酸形A
28ml イソプロパノールおよび2ml 水混合物中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を60℃に加熱する。27ml イソプロパノールおよび3ml 水中の1.44g 1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(7.53mmoles)の溶液を、10分にわたり一定流速で添加する。透明溶液が最初に観察され、次いで結晶化が急速に起こる。濃い懸濁液を冷却し、27ml イソプロパノールおよび3ml 水で徐々に希釈する。一晩、25℃で撹拌後、スラリーを濾過する。固体を最初に10ml イソプロパノール/水=9/1で、次いで10ml イソプロパノールで洗浄する。生成物を、最初に2時間、25℃/真空、次いで20時間、80℃および約10mbarで乾燥させる。
収量:4.38g 白色粉末(99.1%)
元素分析:
計算値:63.47%C;5.15%H;9.55%N;21.82%O
実測値:62.89%C;5.25%H;9.37%N;22.28%O
水アッセイ:0.42%(m/m)
HPLC純度:98.1%(a)
【0075】
キシナホ酸のXRPDを表10に要約する。XRPDは強い回折ピークを21.3°に示す。
【表10】

FT−IR主IRバンド:3440;1753;1738;1514;1464;1438;1401;1306;1260;1206;1172;1140;1075;1014;800;779;757cm−1
【0076】
実施例9 馬尿酸塩形A
76.5ml エタノール95%および8.5ml 水の混合物中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を、65℃に加熱する。1.35g 馬尿酸(7.53mmoles)を添加する。得られる透明溶液を冷却し、50℃で種晶添加する。懸濁液を一晩25℃で撹拌し、濾過する。フィルター・ケーキを30ml エタノール95%で洗浄し、80℃および約10mbarで20時間乾燥させる。
収量:3.63g 白色粉末(83.4%)
元素分析:
計算値:60.31%C;5.41%H;12.13%N;22.16%O
実測値:60.04%C;5.34%H;12.05%N;22.23%O
水アッセイ:<0.1%(m/m)
HPLC純度:99.4%
【0077】
馬尿酸塩のXRPDを表11に要約する。XRPDは強い回折ピークを21.1°に示す。
【表11】

主IRバンド:3378;1731;1718;1656;1572;1513;1458;1415;1380;1276;1202;1178;1168;1145;1080;765;720;693;673cm−1
【0078】
実施例10 アジピン酸塩形A
30ml エタノール中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を65℃で加熱する。次いで、1.10g アジピン酸(7.53mmoles)の10ml エタノール溶液を、約2分にわたり滴下する。滴下漏斗を5ml エタノールで濯ぐ。得られる溶液を冷却する。種晶を50℃で添加し、結晶化が始まる。懸濁液を室温で一晩撹拌する。結晶を吸引により濾過し、30ml エタノールで洗浄する。結晶を20時間、80℃および約10mbarで乾燥させる。
収量:3.48g 白色粉末(98%)
元素分析:
計算値:58.59%C;5.77%H;11.88%N;23.75%O
実測値:58.31%C;6.06%H;11.73%N;23.93%O
HPLC純度:99.2%(a)
【0079】
アジピン酸塩のXRPDを表12に要約する。XRPDは強い回折ピークを14.8°に示す。
【表12】

FT−IR主IRバンド:3100;1714;1649;1568;1516;1459;1409;1394;1282;1215;1193;1182;1173;1150;1090;1053;808;767cm−1
【0080】
実施例11 グルタル酸塩形A
50ml エタノール中の3.0g カモスタット塩基(7.53mmoles)の懸濁液を65℃で加熱する。次いで、1.0g グルタル酸(7.53mmoles)の10ml エタノール溶液を約2分にわたり滴下する。滴下漏斗を5ml エタノールで濯ぐ。得られる溶液を冷却する。種晶を60℃で添加し、結晶化が開始する。懸濁液を室温で一晩撹拌する。結晶を吸引により濾過し、30ml エタノールで洗浄する。結晶を20時間、80℃および約10mbarで乾燥させる。
収量:3.43g 白色粉末(98%)
元素分析:
計算値:58.18%C;5.64%H;12.06%N;24.11%O
実測値:58.27%C;5.86%H;11.76%N;23.88%O
HPLC純度:99.3%(a)
【0081】
グルタル酸塩のXRPDを表13に要約する。XRPDは強い回折ピークを19.1°に示す。
【表13】

FT−IR主IRバンド:3100、1744、1715、1649;1569;1516;1459;1409;1394;1282;1215;1193;1182;1173;1149;1089;1053;805;766cm−1
【0082】
実施例−カモスタット塩基形II
この形は、水またはエタノール/水(1/1)中、25℃で平衡化し、その後濾過した後に得られた。
カモスタット塩基形IIのX線回折パターンを表14に示す。XRPDは強い回折ピークを12.5°に示す。
【表14】

FT−IR主IRバンド:3435;3364;1725;1660;1616;1507;1445;1309;1266;1250;1202;1165;1139;1064;894;813;797;710cm−1
【0083】
医薬製剤実施例
以下は、噴霧に適した本発明の製剤の非限定的実施例である。疑いを避けるため、以下で使用する‘カモスタット’は、任意の形、例えば形IIのカモスタット遊離塩基、またはカモスタット塩を意味する。適当には、本カモスタット塩はメシル酸カモスタットまたはコハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット半水化物、グリコール酸カモスタット、グリコール酸カモスタット半水化物、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタットから選択される塩である。
【0084】
実施例1
カモスタット 25mg
ラクトース 125mg
サッカリンナトリウム 25mg
5ml 等張食塩水で再構成
【0085】
実施例2
カモスタット 2.5mg
ラクトース 125mg
サッカリンナトリウム 2.5mg
5ml 等張食塩水で再構成
【0086】
実施例3
カモスタット 25mg
ラクトース 125mg
5ml 等張食塩水で再構成+サッカリンナトリウム25mg
【0087】
実施例4
カモスタット 2.5mg
ラクトース 125mg
5ml 等張食塩水で再構成+サッカリンナトリウム2.5mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット、グリコール酸カモスタット、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタット、またはそれらの溶媒和物から成る群から選択される、薬学的に許容される塩形のカモスタット。
【請求項2】
コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット半水化物、グリコール酸カモスタット、グリコール酸カモスタット半水化物、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタットから選択される、請求項1記載の塩。
【請求項3】
嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における請求項1または2に記載の塩の使用。
【請求項4】
カモスタットの薬学的に許容される塩の凍結乾燥形を形成する方法であって、(i)該カモスタット塩を含む水性溶液を形成し、そして(ii)該水性溶液を凍結乾燥に付すことを含む、方法。
【請求項5】
水性溶液がラクトース、マンニトールおよびグルコースから選択される賦形剤を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
カモスタット塩がメシル酸カモスタットである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
カモスタット塩がコハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット、グリコール酸カモスタット、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタット、またはそれらの溶媒和物から選択される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
カモスタットの薬学的に許容される塩のネブライザー製剤を形成する方法であって、請求項4から7のいずれかの方法と、さらに(iii)該凍結乾燥形を水性媒体中で再構成することを含む、方法。
【請求項9】
請求項4から7のいずれかに記載の方法により製造した、カモスタットの薬学的に許容される塩の凍結乾燥形。
【請求項10】
請求項8に記載の方法により製造した、ネブライザー製剤。
【請求項11】
共溶媒、防腐剤、キレート剤、pHおよび張性調節剤および界面活性剤から成る群から選択される1種以上の賦形剤をさらに含む、請求項10記載のネブライザー製剤。
【請求項12】
嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における、請求項10または11に記載のネブライザー製剤の使用。
【請求項13】
カモスタットまたは薬学的に許容されるその塩および味を隠す賦形剤を含む、味を隠した製剤。
【請求項14】
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、メントールならびにソルビトールおよびキシリトールのようなポリアルコールから選択される1種以上の賦形剤を含む、請求項13に記載の味を隠した製剤。
【請求項15】
カモスタットがメシル酸カモスタット、コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット、グリコール酸カモスタット、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタットから選択される塩形、またはそれらの溶媒和物である、請求項13または14に記載の味を隠した製剤。
【請求項16】
嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における、請求項13から15のいずれかに記載の味を隠した製剤の使用。
【請求項17】
薬学的に許容される塩形のカモスタットおよび共溶媒、防腐剤、キレート剤、pHおよび張性調節剤および界面活性剤から選択される1種以上の賦形剤を含む、ネブライザー製剤。
【請求項18】
賦形剤がプロピレングリコール、エタノール、グリセリン、塩化ベンザルコニウム、ナトリウム・エデンテート、アスコルビン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、オレイン酸、およびレシチンの1種以上から選択される、請求項17記載の製剤。
【請求項19】
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、メントールならびにソルビトールおよびキシリトールのようなポリアルコールから選択される1種以上の味を隠す賦形剤を含む、請求項17または18に記載の製剤。
【請求項20】
カモスタットの塩形がメシル酸カモスタット、コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット、グリコール酸カモスタット、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタット、またはそれらの溶媒和物から選択される、請求項17から19のいずれかに記載の製剤。
【請求項21】
嚢胞性線維症またはCOPDの処置用薬剤の製造における、請求項17から20のいずれかに記載の製剤の使用。
【請求項22】
カモスタットの塩形がメシル酸カモスタット、コハク酸水素カモスタット、コハク酸カモスタット、リン酸カモスタット、酢酸カモスタット、酒石酸水素カモスタット、グリコール酸カモスタット、馬尿酸カモスタット、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)カモスタット、アジピン酸カモスタットおよびグルタル酸カモスタット、またはそれらの溶媒和物から選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
12.5°の強いXPRDピークにより特徴付けられる、カモスタット遊離塩基形II。

【公表番号】特表2008−537750(P2008−537750A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505811(P2008−505811)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003387
【国際公開番号】WO2006/108643
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】