説明

有機化合物

例えば、CYP2A、例えば、2A13および2A6など、ならびにCYP2B6などのシトクロムP450酵素を阻害する能力により、香料組成物を調節する、すなわち、改善し、増強し、および/または改変する能力を有する化合物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料組成物を調節する、すなわち、改善し、増強し、および/または改変する能力を有する化合物のクラスに関する。
香料産業における香料組成物を創出する慣用の方法は、当業者にそれ自体が明確なまたはいい匂いを有すると認識されるような化合物の添加によるものである。加えて、香料として適した化合物は、基準、例えば、低臭気しきい値などを満たさなければならない。
【背景技術】
【0002】
驚くべきことに、匂い化合物の知覚を調節する能力を有する、新規なクラスの化合物が見出された。調節剤は、匂い化合物の嗅覚知覚に影響を及ぼす化合物である。調節剤は、強度(概して、増強剤またはマスキング剤)、質(嗅覚ノートの変化、特定のノートの増強またはマスキング)、知覚の持続時間/寿命またはその組み合わせの変化を生じ得る。調節剤はまた、特定の匂い物質または匂い物質混合物あるいは特定の嗅覚的な質/ノートの全体的な知覚を増強し得る。
【0003】
理論に束縛されることなく、以下に記載する化合物の調節効果は、主にシトクロムP450酵素CYP2A13の阻害によるものと信じられている。この酵素は、ヒトの呼吸器(respiratory tract)、例えば肺組織、気管および嗅粘膜などにおいて主に発現する(Su et al., 2000, Cancer Res. 60: 5074-5079)。この酵素が、例えば、周知の匂い化合物であるクマリン、または潜在的なタバコ特定ニトロソアミンである、4−(メチルニトロソアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(NNK)などの多数の化合物の代謝に関与していることは、当該技術分野から既知である。
【0004】
NNKは、タバコ植物の加工および貯蔵(curing)中にニトロ化により生成し、ニコチンは内生的にNNKに変換されると考えられている。タバコ中ならびに主流煙および副流煙両方のタバコ煙中に存在する。NNKは、シトクロムP450活性により触媒されるアルファ−ヒドロキシ化によって代謝的に活性化される前発ガン物質であり、結果として生じる反応性求電子代謝物が最終的にDNAをアルキル化する。
【0005】
シトクロムP450酵素は、ヘム−チオレート酵素のサブファミリーを構成し、還元的代謝も既知であるが、主として、酸素分子の2段階還元およびそれに続く1酸素原子挿入を伴うモノ−オキシゲナーゼ反応を触媒する。触媒される反応は、ヒドロキシル化、エポキシ化、N−酸化、スルホキシド化、N−、S−およびO−脱アルキル化、脱硫酸化、脱アミノ化ならびにアゾ−、ニトロ−およびN−酸化基の還元を含んでいた。
【0006】
特に、CYP2A13の存在下で最も頻繁にヒドロキシル化が起こるが、C−メチルおよびN−メチルの脱メチル化ならびに二重結合のエポキシ化も起こることが見出された。CYP2A13は、ヒトの鼻および呼吸器において優性に発現するが、他のP450酵素も代謝に寄与する。特に、CYP2A6およびCYP2B6は、低分子量の基質を代謝する傾向がある。CYP2B6はまた、例えばNKKなどのタバコ特定ニトロソアミンを代謝的に活性化するCYP2A13に加えて、2番目に重要な触媒であるとして同定されている(Hecht, S.S. (2008) Chem. Res. Toxicol. 21:160-171. Progress and challenges in selected areas of tobacco carcinogenesis)。CYP2A13により触媒される生化学反応の例を、スキーム1に示す。
【0007】
【化1】

【0008】
CYP2A13は、3つのヒトCY2PAファミリーのうちの1つである。他の2つは、CYP2A6およびCYP2A7である。CYP2A6がヒトの主な肝臓代謝酵素であると見なされ、クマリンをヒドロキシル化し、ニコチンをコチニンに代謝するものでもある一方、CYP2A7については、触媒活性は現在知られておらず、偽遺伝子であると信じられている。CYP2A6はまた、ヒトの呼吸器においても検出されるが、CYP2A13が優性に発現するアイソフォームである。
【0009】
鼻で生じる匂い物質の代謝は、嗅覚に影響を及ぼし得、一般的に、例えば肺組織における呼吸器代謝は、鼻を含む呼吸器を通り抜ける空気の交換、これにより、肺酵素(lung enzyme)により生成する代謝物が、そこに局在する嗅粘膜および嗅覚受容体に到達し得る、により鼻後方の嗅覚に影響を及ぼし得る。例によってさらに詳細が示されるとおり、代謝に関与する酵素、特にCYP2A13の阻害により、鼻腔における匂い化合物の知覚の調節を達成することができる。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、その側面の1つにおいて
式(I)の化合物
【化2】

【0011】
式中、nは、0または1であり;
は、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル、例えば、Cアルキル(n−ブチル、tert.ブチル、2−メチル−(プロピル)、ブタ−2−イル)、Cアルキル(例えば、n−ペンチル、3−メチル(ブタ−1−イル))およびCアルキル(例えば、n−ヘキシル)など、ベンジルまたはピリジルメチルなどであり;
は、水素、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、またはC〜Cアルケニル(例えば、プロぺニルなど)であり;または
は、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し;
【0012】
I)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている(例えば、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル(例えば、ベンゾ−1,3−ジオキソ−5−イルなど)、ピリジル、イミダゾリルなど)、
であり;
【0013】
II)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられており、
前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン(例えば、F、Cl、Brなど)、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル(例えば、CFなど)、C〜Cアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、−COORおよび−OCOR、式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、
から選択される基で5個まで(例えば、1個または2個の基など)置換されている、
であり;
【0014】
III)Zは、C−3と一緒になって、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている(例えば、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル(例えば、ベンゾ−1,3−ジオキソ−5−イルなど)、ピリジル、イミダゾリルなど)、
を形成する2価の残基であり;
【0015】
IV)Zは、C−3と一緒になって、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられ(例えば、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル(例えば、ベンゾ−1,3−ジオキソ−5−イルなど)、ピリジル、イミダゾリルなど)、
前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン(例えば、F、Cl、Brなど)、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル(例えば、CFなど)、C〜Cアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、−COORおよび−OCOR、
式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、
から選択される基で5個まで(例えば、1個または2個の基など)置換されている、
を形成する2価の残基であり;あるいは
V)Zは、C〜Cアルコキシ(例えば、エトキシ、tert−ブトキシなど)であり;
【0016】
Xは、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびNR
式中、RおよびRは、独立して、水素およびC〜Cアルキルから選択される、であり;
および、Yは、以下の条件
I)X=NRについて、Yは、C原子を表し、
II)Y=Cについて、破線は、炭素−炭素結合と一緒になって、EまたはZ配置のいずれかの二重結合あるいは単結合を表す、
において、NまたはC原子を表す;
および
b)少なくとも1種の匂い化合物
を含む組成物に関する。
【0017】
本明細書中で用いられる用語「匂い化合物」は、香りの揮発性部分および芳香性分子の両方をいう。匂い化合物の例は、例えば、Allured Publishing Inc.より出版されているAllured's Flavor and Fragrance Materials 2004に見出せる。
非限定的な例は、Xが水素、メチルおよびメトキシから選択され、YがN原子を表す、式(I)の化合物である。
【0018】
さらなる非限定的な例は、YがN原子を表し、Zがシクロプロピル、フェニル、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよびイミダゾリルなど)から選択される、式(I)の化合物である。
さらなる非限定例は、Xが水素、メチルおよびメトキシから選択され、YがN原子を表し、Rが、直鎖状のC、C、C、C、またはCアルキル、あるいは分枝状のC、C、C、C、またはCアルキルである、式(I)の化合物である。
さらなる非限定的な例は、YがC原子を表し、XがNRであり、Zがフェニルおよびシクロプロピルから選択される、式(I)の化合物である。
【0019】
さらなる非限定的な例は、YがN原子を表し、Xが水素またはアルキルである、式(I)の化合物である。
さらなる非限定的な例は、Xがアルコキシであり、YがN原子を表す、式(I)の化合物である。
さらなる非限定的な例は、Rが、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、YがN原子を表す、式(I)の化合物である。
【0020】
さらなる非限定的な例は、Rが、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、YがN原子を表し、n=0であり、およびZがアルコキシである、式(I)の化合物である。
さらなる非限定的な例は、XがNRであり、YがC原子を表す、式(I)の化合物である。
【0021】
特定の態様において、式(I)の化合物は、N−ベンジル−N−ペンチルアセトアミド、N−ペンチル−N−フェニルアセトアミド, N−ブチル−N−フェニルアセトアミド、N−ペンチル−N−フェネチルアセトアミド、N−ペンチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート、N−ベンジル−N−ブチルアセトアミド、メチル ベンジル(ブチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−4−イルメチル)カルバメート、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミド、メチル シクロプロピルメチル(ペンチル)カルバメート、N,N−ビス(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド、メチル ビス(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート、N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド、メチル ビス(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−2−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−3−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−4−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート、N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−N−ペンチルアセトアミド、メチル 2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル(ペンチル)カルバメート、メチル ベンジル(ペンチル)カルバメート、N−アセチル−N−ペンチルシクロプロパンカルボキサミド、tert−ブチル アセチル(ペンチル)カルバメート、N−ベンジル−N−フェネチルアセトアミド、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルホルムアミド、(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド、(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド、(E)−2−ベンジリデン−N,N−ジメチルヘプタンアミド、(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N,N−ジメチルヘプタンアミドおよび(E)−2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタンアミドからなるリストから選択される。
【0022】
式(I)の化合物は1個または2個以上のキラル中心を含むため、立体異性体の混合物として存在してもよく、または、異性体的に純粋な形に分割されてもよい。立体異性体の分割は、この化合物の製造および精製の複雑さを高めることから、単に経済的理由から化合物をその立体異性体混合物として使用することが好ましい。
【0023】
しかしながら、個々の立体異性体を調製することを望む場合、これは当該技術分野で既知の方法、例えば、分取HPLCおよびGC、結晶化、あるいはキラル出発物質から出発すること、例えばテルペノイドなどのキラルプールからの鏡像異性的に純粋な、または豊富な原材料から開始することなどによって、および/または立体選択的な合成を適用することによって達成され得る。
【0024】
本発明の化合物は、香料の性能を改善するか、あるいは匂い化合物の所望されない嗅覚ノートの知覚を抑制するか、またはマスクする。オフノートなど、所望されないノートの形成を抑制することにより、匂いノートのよりすっきりとした全体的な印象が達成され得る。一般的に、式(I)の化合物は、ヒトの鼻に、特に嗅覚受容体に利用可能な場所である嗅上皮に存在する匂い化合物の組成物を変化させることにより、香料アコードの嗅覚的プロファイルを改変する。
【0025】
広範囲の研究により、多数の既知の匂い化合物が、CYP2A13の存在下で生化学的変換を経ることが示された。したがって、CYP2A2酵素基質が匂い化合物であり、代謝物が本質的に無臭の化合物、匂い化合物自身よりも弱い匂いの化合物または異なる匂い特性を有する化合物である場合には、酵素の阻害は、酵素が匂い化合物とよりゆっくり反応する結果となり、匂い全体の増大または特定の嗅覚ノートの変化をもたらす。
【0026】
したがって、式(I)の化合物は、例えば、
− アルコール類、例えば、ベータ−シトロネロール、セドロール、アンブリノール(1,2,3,4,4a,5,6,7−オクタヒドロ−2,5,5−トリメチル−2−ナフタレノール)およびノナ−2,6−ジエノールなど、
【0027】
− アルデヒド類およびケトン類、例えば、オクタヒドロ−7−メチル−1,4−メタノナフタレン−6(2H)−オン、アルファ−イオノン、ベータ−イオノン、セトン(Cetone)V(1−(2,6,6−トリメチル 2−シクロヘキセン−1−イル) −1,6−ヘプタジエン−3−オン)、アルファダマスコン、オリボン(4−(1,1−ジメチル−プロピル)−シクロヘキサノン)およびプレゴン(5−メチル−2−(プロパン−2−イリデン)シクロヘキサノン)など、
− エーテル類およびアセタール類、例えば、メチルパンプルムース(1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキセン)、1,4−シネオール(1,4−エポキシ−p−メンタン)およびローズオキシド(2−(2’−メチル−1’−プロぺニル)−4−メチルテトラヒドロピランなど、
【0028】
− エステル類およびラクトン類、例えば、メチル N−メチル アントラニラート、3−フェニルプロピル アセタート、エチル ライトン(8−エチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−2−オン)およびメチル ライトン(8−メチル−1−オキサスピロ[4.5]デカン−2−オン)など、
− マクロ環類、例えば、ベルビオン(商標)(シクロヘキサデカ−5−エン−1−オン)、ハバノリド(商標)(オキサシクロヘキサデカ−12−エン−2−オン)およびコスモン(商標)(3−メチル−5−シクロテトラデセン−1−オン)など、
− ヘテロ環類、例えば、イソプロピルキノリン、ピラロン(6−(1−メチルプロピル)キノリン)および2−イソプロピル−4−メチルチアゾールなど、
【0029】
− ニトリル類、例えば、シトロネリルニトリル、クミンニトリル(4−(1−メチルエチル)−ベンゾニトリル)、レモニル(3,7−ジメチル−2,6−ノナジエンニトリル)、テラニル(3−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−プロペンニトリル)、デカノニトリルおよびローズニトリル(3−(4,7,7−トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イリデン)−プロパンニトリル)など、
− 炭化水素類、例えば、アルファピネン、リモネン、テルピノレンおよびデルタ−3−カレンなど、
などの、生化学的変換を経る芳香性分子との組み合わせに特に好適である。
【0030】
香料組成物に応じて、式(I)の化合物の有効量の添加によって、かかる調節剤を含まない組成物と比較して全く異なった匂いノートが獲得できる。これは、さらに例により説明される。
【0031】
阻害剤、すなわち、式(I)の化合物は、それ自体が匂い物質であり、したがって、鼻のおよび/または呼吸器の代謝を阻害することに加えて、香料組成物の嗅覚プロファイルに寄与することができる。かかる阻害剤は、好ましくは、それが意識的に知覚できない、すなわち、それらの知覚しきい値濃度を下回る濃度で用いられる。したがって、高い知覚しきい値を有する化合物が好ましく;それらは、P450酵素、特にCYP2A13、CYP2A6およびCYP2B6の阻害による調節効果を依然として示す一方で、それら自体を香料アコードの嗅覚プロファイルに寄与させることのない、より高い濃度で用いることができる。
【0032】
知覚しきい値濃度は、刺激の検知確率が0.5である(すなわち、試験条件下で、所定の個体により50%より高い見込みとなる)匂い化合物の濃度として定義される。知覚しきい値濃度は、例えば、ASTM E1432−91などの標準的な方法により測定することができ、臭度測定手段によるか、またはスニッフボトルを用いることにより、パネリストに提示されたヘッドスペースを嗅がせて、測定する。連続的プロセスで、提示された匂いを嗅ぐこともまた可能である。
【0033】
式(I)の化合物が、CYP2A、例えば、CYP2A6およびCYP2A13、ならびにCYP2B6の酵素活性を阻害するという事実により、それらは、タバコ煙と一緒に吸入する場合には、呼吸器におけるNNKの代謝を減少させるか、または阻害するために、タバコ製品と組み合わせて用いてもよい。
【0034】
したがって、本発明は、さらなる側面において、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む、例えば、シガレット、噛みたばこ、嗅ぎたばこ、パイプたばこおよびシガーなどのタバコ製品に関する。タバコ製品に用いられる場合には、最終製品を基準にして、約0.1〜2重量%、例えば、0.3〜1重量%など、例えば、約1重量%の添加が、効果を得るために十分であり得る。
【0035】
CYP2AおよびCYP2Bの酵素阻害剤としての、それらの特性により、それらを、例えば、ニコチン置換療法などにおける、個体のニコチン代謝調節に用いてもよい。
したがって、本発明は、さらなる側面において、本明細書中で定義されるように、式(I)の化合物を含む、医薬組成物の調製に関する。
【0036】
本発明の化合物は、例えば、経口、経鼻、局所(topical)、非経口、局所(local)または吸入による使用のために投与されることができる。経口投与は、錠剤、カプセル、チューイングガム、およびスプレーの形態における投与を含む。
さらに、NNKを含むたばこ煙の存在下において吸入された場合、CYP2Aおよび/またはCYP2B酵素に対する阻害剤としてのそれらの特性により、式(I)の化合物はNNK代謝プロセスを減少させる。
【0037】
したがって、本発明は、さらなる側面において、上に定義したように、式(I)の化合物を、たばこ煙を含む空間に散布する工程を含む方法に関する。揮発性物質を雰囲気中に散布することができるいかなる方法を使用してもよい。本明細書における用語「手段」の使用は、あらゆるタイプのエアフレッシュナーデバイスを含んでよく、当該技術分野に周知のヒーターおよび/またはファンおよび噴霧システムを含んでも良い。
【0038】
いくつかの式(I)の化合物は既知であるが、他のものはこれまで全く文献に記載されていなかった。
【0039】
したがって、本発明は、さらなる側面において、式(I)
【化3】

式中、nは、0または1であり;
【0040】
は、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル、例えば、直鎖または分枝状のCアルキル(n−ブチル、tert.ブチル、2−メチル−(プロピル)、ブタ−2−イル)、直鎖または分枝状のCアルキル(例えば、n−ペンチル、3−メチル(ブタ−1−イル))および直鎖または分枝状のCアルキル(例えば、n−ヘキシル)など、ベンジルまたはピリジルメチルなどであり;
は、水素、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、またはC〜Cアルケニル(例えば、プロぺニルなど)であり;または
は、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し;
【0041】
Xは、水素、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、C〜CアルコキシおよびNR、式中、RおよびRは、独立して、水素およびC〜Cアルキルから選択される、から選択され;
ただし、Rが、ピリジルメチルである場合には、Xはメチルではなく;
I)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている(例えば、フラニル、チエニル、テトラヒドロフラニル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル(例えば、ベンゾ−1,3−ジオキソ−5−イルなど)、ピリジル、イミダゾリルなど)であり;
ただし、Z=ピリジルについては、Rはベンジルではなく;
【0042】
II)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、フェニル、ナフチルなど)、
ここで、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられており、
前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン(例えば、F、Cl、Brなど)、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル(例えば、CFなど)、C〜Cアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシなど)、C〜Cアルキル(例えば、エチルなど)、−COORおよび−OCOR、式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、
から選択される基で5個まで(例えば、1個または2個の基など)置換されている、
であり;
【0043】
III)Zは、C〜Cアルコキシ(例えば、エトキシ、tert−ブトキシなど)であり;
ただし、Z=エトキシについては、Rはベンジルではなく;
あるいは
IV)Zは、シクロプロピルであり;
およびYは、NまたはC原子を表し、ただし
XがNRについて、Y=Cであり、破線は、炭素−炭素結合と一緒になって、EまたはZ配置のいずれかの二重結合あるいは単結合を表す、
の化合物に関する。
【0044】
アミド類、すなわち、YがN原子を表し、Xが水素またはアルキルである式(I)の化合物を、適切な第二アミンのアシル化(例えば、アセチル化または当業者に既知の一般的手法に続くホルミル化など)により、または適切なN−一置換アミドのN−アルキル化により調製してもよい。
【0045】
カルバメート類、すなわち、Xがアルコキシであり、YがN原子を表す式(I)の化合物を、適切な第二アミンのアシル化により得てもよい(例えば、ClCOMeの存在下でなど)。
イミド類、すなわち、Rが、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、YがN原子およびN−アシルカルバメートを表す式(I)の化合物、すなわち、Rが、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し、YがN原子を表し、n=0およびZがアルコキシである式(I)の化合物を、適切なN−一置換アミドのアシル化により調製してもよい。
【0046】
α,β−不飽和アミド類、すなわち、XがNRであり、YがC原子を表す式(I)の化合物を、適切なα,β−不飽和エステルのアミノ分解により調製してもよい。
本発明を、ここで、下記の非限定的な例を参照してさらに説明する。これらの例は単に説明を目的とするものであり、当業者により変更および改変がなされ得ることが理解される。
【0047】
例1:N−ベンジル−N−ぺンチルアセトアミド
ベンジルアミン(15g、0.14mol)およびヨウ化n−ペンチル(7.1g、0.035mol)の混合物を、1時間還流し、冷却し、水に注ぎ、ジエチルエーテル(70ml)で3回抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で3回洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(12g)のボールトゥーボール蒸留(Ball-to-ball distillation)により、CHCl(30ml)中に溶解したN−ベンジル−N−ペンチルアミン(4.8g)を得、0℃に冷却し、CHCl(20ml)中のEtN(4.3ml、31.2mmol)で、および塩化アセチル(2.29g、28.6mmol)で処理した。
【0048】
得られた溶液を、20℃で2時間撹拌し、0℃に冷却し、NaHCO飽和水溶液および氷に注ぎ、ヘキサン(90ml)で3回抽出した。合わせた有機相を、飽和NaCl水溶液で2回洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(5.8g)のFC(フラッシュクロマトグラフィー)(300g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 1:1)により、N−ベンジル−N−ペンチルアセトアミド(3.4g、43%)を得た。沸点:137℃(0.08mbar)。
【0049】
【数1】

【0050】
例2:N−ペンチル−N−フェニルアセトアミド
DMSO(30ml)中のアセトアニリド(6g、44.4mmol)の混合物を、粉末のKOH(3g、53.3mmol)で処理した。得られた混合物を0℃に冷却し、ヨウ化n−ペンチル(10.85g、53.3mmol)で処理し、0℃で2時間、および20℃で2.5時間撹拌し、0℃に冷却し、氷水(100ml)に注ぎ、ヘキサン(100ml)で3回抽出した。合わせた有機相を、NaCl飽和水溶液で2回洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。
【0051】
粗生成物(9.8g)のボールトゥーボール蒸留、およびそれに続く、100〜110℃で蒸留した画分(7.2g)のFC(280g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 2:1)により、N−ペンチル−N−フェニルアセトアミド(4.97g、55%)を得た。沸点:100℃(0.08mbar)。
【数2】

【0052】
例3:N−ペンチル−N−フェネチルアセトアミド
THF(30ml)中の、N−アセチル−N−フェニルエチルアミン(3g、18mmol)、NaH(0.9g、20mmol)およびヨウ化n−ペンチル(7.3g、37mmol)を1時間還流し、0℃に冷却し、氷冷した(ice-cold)2M HCl水溶液(50ml)に注ぎ、MTBE(50ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(50ml)で洗浄し、NaCl飽和水溶液(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(7.8g)のFC(90g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 1:1)により、N−ペンチル−N−フェネチルアセトアミド(2.03g、47%)を得た。沸点:150℃(0.07mbar)。
【0053】
【数3】

【0054】
例4:N−ペンチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド
例1に記載したように、3−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した(58%、120℃、0.06mbarでの、粗生成物のボールトゥーボール蒸留後)。FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/メタノール 10:1)後のアセチル化により、N−ペンチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド(54%)を得た。沸点:184℃(0.06mbar)。
【0055】
【数4】

【0056】
例5:メチル ペンチル(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート
例4に記載したように、3−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 1:1)後に、メチル ペンチル(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート(75%)を得た。沸点:182℃(0.06mbar)。
【0057】
【数5】

【0058】
例6:N−ベンジル−N−ブチルアセトアミド
例1に記載したように、ベンジルアミンおよびヨウ化n−ブチルからN−ベンジル−N−ブチルアミンを経て調製した(50%、100℃、0.08mbarでの、粗生成物のボールトゥーボール蒸留後)。アセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/メタノール 1:1)後に、N−ベンジル−N−ブチルアセトアミド(73%)を得た。沸点:126℃(0.06mbar)。
【0059】
【数6】

【0060】
例7:メチル ベンジル(ブチル)カルバメート
例6に記載したように、ベンジルアミンおよびヨウ化n−ブチルからN−ベンジル−N−ブチルアミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/メタノール 3:7〜1:1)後に、メチル ベンジル(ブチル)カルバメート(38%)を得た。沸点:115℃(0.13mbar)。
【0061】
【数7】

【0062】
例8:N−ペンチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド
例1に記載したように、4−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化ペンチルからN−(ピリジン−4−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した(27%、120〜140℃、0.08mbarでの、粗生成物のボールトゥーボール蒸留後)。アセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/EtOAc 9:1)後に、N−ペンチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド(20%)を得た。沸点:150℃(0.09mbar)。
【0063】
【数8】

【0064】
例9:メチル ペンチル(ピリジン−4−イルメチル)カルバメート
例8に記載したように、4−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化ペンチルからN−(ピリジン−4−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 2:1)後に、メチル ペンチル(ピリジン−4−イルメチル)カルバメート(81%)を得た。沸点:140℃(0.09mbar)。
【0065】
【数9】

【0066】
例10:N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミド
DME(10ml)中の、N−(n−ペンチル)アセトアミド(0.6g、4.7mmol)およびNaH(0.23g、5.2mmol)の混合物を、DME(5ml)中のブロモメチルシクロプロパン(1g、7.1mmol)溶液を滴下して処理し、得られた溶液を60℃で19時間加熱し、0℃に冷却し、氷冷した2M HCl水溶液(20ml)に注ぎ、MTBE(30ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(30ml)、NaCl飽和水溶液(30ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(1.1g)のFC(100g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 1:1)により、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミド(0.76g、84%)を得た。沸点:120℃(0.11mbar)。
【0067】
【数10】

【0068】
例11:メチル シクロプロピルメチル(ペンチル)カルバメート
DME(40ml)中の、メチルペンチルカルバメート(2.0g、14mmol、ペンチルアミンおよびメチルクロロホルメートから調製)およびNaH(55%、0.6g、28mmol)の混合物を、DME(10ml)中のブロモメチルシクロプロパン(2.7g、19mmol)溶液を滴下して処理し、得られた溶液を60℃で5時間加熱し、ブロモメチルシクロプロパン(0.9g、7mmol)で処理し、60℃で2時間加熱し、0℃に冷却し、氷冷した2M HCl水溶液(20ml)に注ぎ、MTBE(70ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(70ml)、NaCl飽和水溶液(70ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(2.82g)のFC(90g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 5:1)により、メチル シクロプロピルメチル(ペンチル)カルバメート(1.8g、66%)を得た。沸点:150℃(0.09mbar)。
【0069】
【数11】

【0070】
例12:N,N−ビス(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド
ジクロロメタン(30ml)中の、3,3−ジピコリルアミン(1.2g、6.0mmol)およびEtN(1.0ml、7.2mmol)を塩化アセチル(0.52g、6.6mmol)で処理した。得られた混合物を、1時間撹拌し、2N NaOH水溶液(20ml)に注ぎ、AcOEt(30ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(20ml)、NaCl水溶液(20ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(1.6g)のFC(50g SiO、メチルt−ブチルエーテル/MeOH 2:1)により、N,N−ビス(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド(0.42g、29%)を得た。沸点:205℃(0.07mbar)。
【0071】
【数12】

【0072】
例13:メチル ビス(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート
0℃において、ジクロロメタン(15ml)中の、3,3−ジピコリルアミン(1.0g、4.9mmol)およびEtN(0.6g、5.8mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中のメチルクロロホルメート(0.5g、5.4mmol)溶液で処理した。得られた混合物を、20℃で24時間撹拌し、2N NaOH水溶液に注ぎ、AcOEt(80ml)で3回抽出した。合わせた有機相を、水(80ml)、NaCl水溶液(80ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(0.8g)のFC(60g SiO、メチルt−ブチルエーテル/MeOH 10:1)により、メチル ビス(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート(0.74g、57%)を得た。沸点:200℃(0.09mbar)。
【0073】
【数13】

【0074】
例14:N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド
例12に記載したような2,2−ジピコリルアミンのアセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/メタノール 13:1)後の55%の収率で調製した。沸点:185℃(0.07mbar)。
【数14】

【0075】
例15:メチル ビス(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート
例13に記載したような2,2−ジピコリルアミンのアシル化により、FC(SiO、AcOEt)後の39%の収率で調製した。沸点:185℃(0.07mbar)。
【数15】

【0076】
例16:N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)アセトアミド
例1に記載したように、2−(ピリジン−2−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した(20%、粗生成物)。アセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル)後に、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)アセトアミド(30%)を得た。沸点:160℃(0.08mbar)。
【0077】
【数16】

【0078】
例17:メチル ペンチル(2−(ピリジン−2−イル)エチル)カルバメート
例16に記載したように、2−(ピリジン−2−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアシル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 35:65)後に、メチル ペンチル(2−(ピリジン−2−イル)エチル)カルバメート(16%)を得た。沸点:150℃(0.08mbar)。
【0079】
【数17】

【0080】
例18:N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)アセトアミド
例1に記載したように、2−(ピリジン−3−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した(80%、粗生成物)。アセチル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル)後に、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)アセトアミド(55%)を得た。沸点:170℃(0.07mbar)。
【0081】
【数18】

【0082】
例19:メチル ペンチル(2−(ピリジン−3−イル)エチル)カルバメート
例16に記載したように、2−(ピリジン−3−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアシル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 2:1)後に、メチル ペンチル(2−(ピリジン−3−イル)エチル)カルバメート(40%)を得た。沸点:160℃(0.08mbar)。
【0083】
【数19】

【0084】
例20:N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)アセトアミド
例1に記載したように、2−(ピリジン−4−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した(80%、粗生成物)。アセチル化により、FC(SiO、AcOEt/イソプロパノール 85:15)後に、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)アセトアミド(55%)を得た。沸点:170℃(0.07mbar)。
【0085】
【数20】

【0086】
例21:メチル ペンチル(2−(ピリジン−4−イル)エチル)カルバメート
例16に記載したように、3−(ピリジン−4−イル)エタンアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアシル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 2:1)後に、メチル ペンチル(2−(ピリジン−4−イル)エチル)カルバメート(49%)を得た。沸点:160℃(0.07mbar)。
【0087】
【数21】

【0088】
例22:N−ペンチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド
例1に記載したように、2−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−2−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。アセチル化により、FC(SiO、エチルアセテート)後に、N−ペンチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド(39%)を得た。沸点:140℃(0.08mbar)。
【0089】
【数22】

【0090】
例23:メチル ペンチル(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート
例4に記載したように、2−(アミノエチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−2−イルメチル)ペンタン−1−アミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアシル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 1:2)後に、メチル ペンチル(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート(47%)を得た。沸点:155℃(0.08mbar)。
【0091】
【数23】

【0092】
例27:N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−N−ペンチルアセトアミド
出発のN−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−ペンタン−1−アミンを、文献(Young, R. C.; Ganellin, C. R.; Griffiths, R.; Mitchell, R. C.; Parsons, M. E.; Saunders, D.; Sore, N. E. Eur. J. Med. Chem. 1993, 28, 201-11)に従って、ヒスタミン二塩酸塩から7,8−ジヒドロイミダゾ[1,5−c]ピリミジン−5(6H)−オン(DMF中のカルボニルジイミダゾール)への変換、それに続く6−ペンチル−7,8−ジヒドロイミダゾ[1,5−c]ピリミジン−5(6H)−オンへアルキル化(ヨウ化n−ペンチル、NaH、DMF)、それに続くKOH水溶液(aqueous KOH)を用いた加水分解により、調製した。
例1に記載したように、アセチル化により、反応混合物のFC(90g SiO、AcOEt/イソプロパノール 9:1〜1:1)後に、N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−N−ペンチルアセトアミド(0.78g、70%)を得た。沸点:220℃(0.07mbar)。
【0093】
【数24】

【0094】
例28:メチル 2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル(ペンチル)カルバメート
例16に記載したように、メチルクロロホルメートを用いた、N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)ペンタン−1−アミン(例27に記載したように調製)のアシル化により、反応混合物のFC(90g SiO、AcOEt/イソプロパノール 9:1〜1:1)後に、メチル 2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル(ペンチル)カルバメート(0.89g、75%)を得た。沸点:200℃(0.07mbar)。
【0095】
【数25】

【0096】
例29:メチル ベンジル(ペンチル)カルバメート
例4に記載したように、ベンジルアミンおよびヨウ化n−ペンチルからN−ベンジル−N−ペンチルアミンを経て調製した。メチルクロロホルメートを用いたアシル化により、FC(SiO、メチルt−ブチルエーテル/ヘキサン 1:10)後に、メチル ベンジル(ペンチル)カルバメート(81%)を得た。沸点:125℃(0.09mbar)。
【0097】
【数26】

【0098】
例30:1,1−ジメチル−3−ペンチル−3−(ピリジン−3−イルメチル)尿素
例24に記載したように、3−(アミノエチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−1−アミン(例1に記載したように調製、58%、粗生成物の120℃、0.06mbarでのボールトゥーボール蒸留後)を経て調製した。ジメチルカルバモイルクロリドを用いたアシル化により、粗生成物のFC(150g SiO、AcOEt)後に、1,1−ジメチル−3−ペンチル−3−(ピリジン−3−イルメチル)尿素(0.77g、30%)を得た。沸点:170℃(0.09mbar)。
【0099】
【数27】

【0100】
例31:3−メチル−1−ペンチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)尿素
例25に記載したように、3−(アミノエチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−1−アミン(例1に記載したように調製、58%、粗生成物の120℃、0.06mbarでのボールトゥーボール蒸留後)を経て調製した。N,N−ジメチル尿素を用いたアシル化により、反応混合物のFC(90g SiO、AcOEt/イソプロパノール 1:0〜1:1)後に、3−メチル−1−ペンチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)尿素(0.84g、71%)を得た。沸点:200℃(0.08mbar)。
【0101】
【数28】

【0102】
例32:1−ペンチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)尿素
例26に記載したように、3−(アミノメチル)ピリジンおよびヨウ化n−ペンチルからN−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−1−アミン(例1に記載したように調製、58%、粗生成物の120℃、0.06mbarでのボールトゥーボール蒸留後)を経て調製した。尿素を用いたアシル化により、反応混合物のFC(90g SiO、メチルt−ブチルエーテル/AcOEt 10:0〜0:10)後に、1−ペンチル−1−(ピリジン−3−イルメチル)尿素(0.65g、58%)を得た。沸点:220℃(0.08mbar)。
【0103】
【数29】

【0104】
例33:N−アセチル−N−ペンチルシクロプロパンカルボキサミド
ピリジン(1.4g、17mmol)および1,2−ジクロロエタン(20ml)中の、N−(n−ペンチル)アセトアミド(2.0g、15.5mmol)溶液を、シクロプロパンカルボニルクロリド(1.8g、17mmol)を滴下して処理し、得られた溶液を2時間加熱して還流し、冷却し、氷冷した2M HCl水溶液(50ml)に注ぎ、MTBE(80ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(80ml)、NaCl飽和水溶液(80ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(4.2g)のFC(150g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 8:1)により、N−アセチル−N−ペンチルシクロプロパンカルボキサミド(1.4g、46%)を得た。沸点:137℃(0.08mbar)。
【0105】
【数30】

【0106】
例34:tert−ブチル アセチル(ペンチル)カルバメート
ジクロロメタン(50ml)中の、N−(n−ペンチル)アセトアミド(2.0g、15.5mmol)溶液を、EtN(1.6g、15.5mmol)、ジ−tert−ブチル ジカーボネート(6.8g、31mmol)およびDNAP(1.9g、15.5mmol)で処理した。得られた混合物を20℃で24時間撹拌し、溶媒を蒸発させた。粗生成物(5.3g)のFC(160g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 10:1)により、tert−ブチル アセチル(ペンチル)カルバメート(0.3g、9%)を得た。沸点:80℃(0.08mbar)。
【0107】
【数31】

【0108】
例35:N−ベンジル−N−フェネチルアセトアミド
20℃において、ジメトキシエタン(20ml)中の、N−アセチル−2−フェニルエチルアミン(2g、12.2mmol)およびNaH(0.51g、13.5mmol)の混合物を、DME(10ml)中の臭化ベンジル(3.1g、18.3mmol)溶液で処理した。得られた混合物を3.5時間撹拌し、氷冷した2M HCl水溶液(50ml)に注ぎ、MTBE(80ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(80ml)、NaCl飽和水溶液(80ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(4.25g)のFC(90g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 1:1)により、N−ベンジル−N−フェネチルアセトアミド(2.39g、77%)を得た。沸点:202℃(0.06mbar)。
【0109】
【数32】

【0110】
例36:N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルホルムアミド
DME(15ml)中の、N−(n−ペンチル)ホルムアミド(1.0g、8.7mmol)およびNaH(0.417g、9.6mmol)の混合物を、DME(10ml)中のブロモメチルシクロプロパン(1.83g、13.0mmol)溶液を滴下して処理し、得られた混合物を60℃で22時間加熱し、0℃に冷却し、氷冷した2M HCl水溶液(30ml)に注ぎ、MTBE(80ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(50ml)、NaCl飽和水溶液(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(1.64g)のFC(50g SiO、ヘキサン/メチル t−ブチルエーテル 1:1)により、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルホルムアミド(1.04g、68%)を得た。沸点:80℃(0.05mbar)。
【0111】
【数33】

【0112】
例37:(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド
5℃において、ベンゼン(20ml)中のメチルアミン塩酸塩(1.35g、20mmol)を、20分間以内で、トルエン(10ml、20mmol)中の2M トリメチルアルミニウム溶液を滴下して処理し、得られた混合物を次いで20℃で1.5時間撹拌した。得られた溶液(26ml、17.2mmol)の一部を、ベンゼン(40ml)中の(E)−メチル 2−ベンジリデンヘプタノエート(2g、0.86mmol、例38に記載したように、メチルヘプタノンおよびベンズアルデヒドから48%の収率で調製)に滴加し、得られた混合物を、次いで5時間還流し、冷却し、氷冷した2M HCl水溶液(80ml)に注ぎ、エチルアセテート(80ml)で2回抽出した。
【0113】
合わせた有機相を、水(80ml)、NaCl水溶液(80ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(2.26g)のFC(150g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 1:1)により、(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド(1.46g、73%)を得た。沸点:170℃(0.09mbar)。
【0114】
【数34】

【0115】
例38:(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N−メチルヘプタンアミド
a)−75℃において、テトラヒドロフラン(60ml)中のジイソプロピルアミン(7.7ml、54.1mmol)溶液を、ヘキサン(34ml、54.1mmol)中のn−ブチルリチウムの1.6M溶液で処理した。得られた溶液を、−75℃で30分間撹拌し、テトラヒドロフラン(20ml)中のメチルヘプタノエート(6.0g、41.6mmol)溶液で処理した。得られた溶液を、−75℃で30分間撹拌し、テトラヒドロフラン(20ml)中のシクロプロパンカルボキシアルデヒド(12.7ml、166.4mmol)溶液で処理した。−75℃で2時間撹拌後、反応混合物を、氷冷した2M HCl水溶液(50ml)に注ぎ、メチル tert−ブチルエーテル(100ml)で2回抽出した。
【0116】
合わせた有機相を、水(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させて油(9.66g)を得た。この残渣(4.83g)の一部を、無水酢酸(4.5ml、47.3mmol)および酢酸ナトリウム(2.04g、24.8mmol)で処理した。得られた溶液を、80℃で32時間、および20℃で65時間撹拌し、氷冷した2M NaOH溶液(50ml)に注ぎ、メチルtert−ブチルエーテル(50ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、NaHCO飽和水溶液(25ml)、水(25ml)、NaCl水溶液(25ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させて油(5.28g)を得た。
【0117】
トルエン(20ml)中の、この残渣(5.28g)の一部の溶液を、20℃で、トルエン(5ml)中のDBU(3.1ml、20.3mmol)溶液で処理した。得られた溶液を、20℃で1時間、50℃で1時間撹拌し、28時間還流し、氷冷した2M HCl水溶液(50ml)に注ぎ、メチル tert−ブチルエーテル(50ml)で2回抽出した。合わせた有機相を、水(50ml)、NaCl水溶液(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、溶媒を蒸発させた。粗生成物(2.1g)のFC(100g SiO、ヘキサン/メチルt−ブチルエーテル 60:1)により、(E)メチル 2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタノエート(0.6g、29%)を得た。沸点:95℃(0.07mbar)。
【0118】
【数35】

【0119】
b)例37に記載したように、(E)−メチル 2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタノエートを、ベンゼン中のメチルアミン塩酸塩およびトルエン中の2M トリメチルアルミニウム溶液の混合物で処理し、(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N−メチルヘプタンアミドを72%の収率で得た。沸点:145℃(0.07mbar)。
【0120】
【数36】

【0121】
例39:(E)−2−ベンジリデン−N,N−ジメチルヘプタンアミド
例37に記載したように、(E)−メチル 2−ベンジリデンヘプタノエートおよびジメチルアミン塩酸塩から、64%の収率で調製した。沸点:125℃(0.09mbar)。
【数37】

【0122】
例40:(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N,N−ジメチルヘプタンアミド
例38に記載したように、(E)−メチル 2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタノエートおよびジメチルアミン塩酸塩から、85%の収率で調製した。沸点:105℃(0.09mbar)。
【0123】
【数38】

【0124】
例41:(E)−2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタンアミド
例38に記載したように、(E)−メチル 2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタノエートおよび塩化アンモニウムから、89%の収率で調製した。沸点:150℃(1.2mbar)。
【数39】

【0125】
例42:CYP2A13阻害剤としての試験化合物の評価
CYP2A13活性を阻害する化合物は、酵素のために確立された標準反応を使用することにより特定される。既知の基質はクマリンであり、酵素反応による生成物は、強い蛍光性である7−ヒドロキシクマリン(ウンベリフェロン)である。化合物を標準反応に加え、ウンベリフェロン形成が減少した場合、その化合物は阻害剤として同定され、これはまた、酵素の競合的基質でもあり得る。その化合物は様々な濃度で使用され、ウンベリフェロン形成における濃度依存の減少により、酵素活性が50%レベルまで減少される濃度(IC50値)を決定することができる。
【0126】
試験化合物(詳細は表1参照)を、シトクロムP450レダクターゼの存在下でCYP2A13を用いてインキュベートした。CYP2A13およびP450レダクターゼを、ミクロソームの形態で用いた。Sf9細胞中で組み換えバキュロウィルスを用いて、例えばWO 2006/007751に記載されるような当業者に公知の条件下で、CYP2A13を作製した。P450レダクターゼは市販されている(BD Biosciences Gentest, USA)。好ましくは、2種の酵素を同一の昆虫細胞において共発現させ、両方の酵素を含むミクロソームを調製する。
【0127】
2種の酵素の共発現技術は公知であり、CYP2A13およびP450レダクターゼの共発現はWO 2006/007751に記載されている。高感染価組み換えウイルスバッチについて活性の変動性が観察されたので、当業者に公知であるように、最適な感染多重度(MOI)を決定しなければならない。MOIが4である組み換えCYP2A13バキュロウィルスとMOIが3.5である組み換えP450レダクターゼバキュロウィルスの組合せ、相当の活性を有するミクロソームを常に生成した。
【0128】
7pmolのCYP2A13を含むミクロソームが使用された。トリス緩衝液(1M、pH 7.6)および水を、緩衝液濃度が0.1Mとなるよう加えた。試験化合物を、アセトニトリル中50mMのストック溶液として調製した。標準基質クマリンの濃度は0.006mMであった。試験化合物のいくつかのサンプルを、反応において異なる最終濃度を与えるために様々な濃度で調製した:0、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1および0.2mMである。混合物を37℃で10分間インキュベートした後、水中50mMのNADPH溶液を0.005ml加えることによって酵素反応を開始させた。
【0129】
最終総体積は、マイクロタイタープレート測定に適した0.2mlであった。サンプルを37℃で60分間インキュベートした。60分後、50%冷却三塩化酢酸(TCA)を0.02ml加えることにより酵素反応を終了させ、4℃で15分間インキュベートした。水中50mMのNADPH溶液0.005mlを、試験化合物およびNADPHを含まない反応に相当するコントロール反応に加えたところ、結果として、ウンベリフェロンは形成されなかった。遠心分離(10分間、560×g、室温)により、変性タンパク質及び他の不溶性部分を分離した。
【0130】
サンプルを、蛍光光度により分析した。これは、励起波長340nmおよび発光波長480nmにおいて、クマリン酵素による生成物としてウンベリフェロン形成を検出することを可能とする。コントロールに関する480nmにおける蛍光シグナルの低下は、代謝物が全く検知されなかったため、試験化合物が酵素活性に影響を及ぼしたことを示し、阻害剤の性質を確認する。データのグラフ分析により、試験化合物が、最大活性の50%のレベルまで酵素を阻害する濃度(IC50値)を計算することができる。
【0131】
表1:CYP2A13阻害剤活性
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
例43:CYP2B6阻害剤としての試験化合物の評価
CYP2B6活性を阻害する試験化合物は、例42の第1段落と同一の原理を用いることにより同定される。
【0134】
試験化合物(詳細は表2を参照)を、シトクロームP450レダクターゼの存在下でCYP2B6と共にインキュベートした。CYP2B6およびP450レダクターゼは、例42において記載するように、組み換えバキュロウィルスを用いてSf9昆虫細胞中で2種類タンパク質を共発現させて生産される。あるいは、CYP2B6およびレダクターゼを含むミクロソームが市販されている(BD Biosciences Gentest, USA)。1.5ピコモルのCYP2B6を含むミクロソームを使用した。リン酸カリウム緩衝液の最終濃度は100mM(1Mストック、pH 7.4)であった。
【0135】
試験化合物をアセトニトリル中50mMのストック溶液として調製した。標準基質の7−エトキシ−4−トリフルオロメチル−クマリンの濃度は、6mMであった。試験化合物の何種類かのサンプルを、様々な濃度で調製し、反応における異なる最終濃度を得た:0、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1および0.2mMである。(当業者には明白であるように、極めて良好な阻害剤を試験した場合、試験ウェルにIC50濃度以上または以下の濃度を存在させるために、より低濃度ものもまた用いられた。)混合物を37℃で10分間インキュベートした後、水中50mMのNADPH溶液を0.005ml加えることによって酵素反応を開始させた。
【0136】
最終総体積は、マイクロタイタープレート測定に適した0.2mlであった。サンプルを37℃で40分間培養した。40分後、0.5M トリス−塩基/アセトニトリル(18:72)を75μl加えることにより酵素反応を停止させた。水中50mMのNADPH溶液0.005mlを、試験化合物および酵素を含むがNADPHを伴わない反応に相当するコントロール反応に加えたところ、結果として、4−トリフルオロメチル−ウンベリフェロンは形成されなかった。遠心分離(10分間、1800rpm、10℃)により、変性タンパク質および他の不溶性部分を分離した。
【0137】
サンプルを、蛍光光度により分析した。これは、励起波長410nmおよび発光波長510nmにおける酵素生成物として、4−トリフルオロメチル−ウンベリフェロン形成を検出することを可能にする。コントロールに関する510nmにおける蛍光シグナルの低下は、試験化合物が酵素活性に影響を及ぼしたことを示し、阻害剤の性質を確認する。これはまた代替基質にもなり得る。データのグラフ分析により、試験化合物が最大活性50%レベルまで酵素を阻害する濃度(IC50値)を計算することができる。結果を以下の表2に示す。
【0138】
表3:CYP2B6阻害剤活性
【表3】

【0139】
例44:CYP2A阻害剤の存在下における匂い化合物の調節
阻害剤による匂い調節効果を実証するために選択された10種の原料からなる香料アコード(accord)を創出した。各パネリストについて、阻害剤それ自体を試験し、所定の濃度において無臭であると評価されることを確認した。
【0140】
【表4】

【0141】
Chimia (2001) 55:401-405に記載されている、Virtual Aroma Synthesizer (VAS)などのオルファクトメーターを用いて感覚調査を行う。機器は、ヘッドスペースで生じる匂い混合物における効果を決定するために、種々の希釈度の異なる容器からの異なるサンプルの飽和ヘッドスペースを組み合わせることができる。特定の例としては、1つの容器では香料アコード(1グラム)をビーズ(4グラム)上で吸収させ、別の容器中では阻害剤N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミドをビーズ(4グラム)上で吸収させた。
【0142】
匂い物質、アコードおよび香料を、嗅いで、評価し、記述し、審査することにおいて、異なる経験レベルを有したパネリストを選択した。パネリストは、どれに阻害剤が存在しているかを知らずに、ランダムな順番で阻害剤が入っているか、または入っていないアコードの匂いを嗅いだ。セッションの前後で、阻害剤のみが無臭であることが確認された。パネリストは、心地よい強度を有する濃度のアコードを選択することができた。
【0143】
パネリストは、香料原材料についての経験とは無関係に、阻害剤の存在によると考えられる効果を報告した。効果は、アコードの果実の香り(fruitiness)を強化するか、または促進させるとして説明された。
結論として、本例は、鼻のCYP2A13阻害剤として同定された成分の使用は、香料アコードの嗅覚的な質を調節できることを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式(I)の化合物
【化1】

式中、nは、0または1であり;
は、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル、ベンジルまたはピリジルメチルであり;
は、水素、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルケニルであり;または
は、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し;
I)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている、
であり;
II)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられており、前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、−COORおよび−OCOR、式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、から選択される基で5個まで置換されている、であり;
III)Zは、C−3と一緒になって、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている、を形成する2価の残基であり;
IV)Zは、C−3と一緒になって、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、2個までの、すなわち、0、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられ、前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、−COORおよび−OCOR、式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、から選択される基で5個まで置換されている、を形成する2価の残基であり;あるいは
V)Zは、C〜Cアルコキシであり;
Xは、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびNR、式中、RおよびRは、独立して、水素およびC〜Cアルキルから選択される、であり;
および、Yは、以下の条件
I)X=NRについて、Yは、C原子を表し、
II)Y=Cについて、破線は、炭素−炭素結合と一緒になって、EまたはZ配置のいずれかの二重結合あるいは単結合を表す、
において、NまたはC原子を表す;
および
b)少なくとも1種の匂い化合物
を含む組成物。
【請求項2】
式(I)の化合物、式中、Xが水素、メチルおよびメトキシから選択され、YがN原子を表す、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(I)の化合物、式中、Zがシクロプロピル、フェニル、ピリジルおよびイミダゾリルから選択される、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)の化合物が、N−ベンジル−N−ペンチルアセトアミド、N−ペンチル−N−フェニルアセトアミド、N−ブチル−N−フェニルアセトアミド、N−ペンチル−N−フェネチルアセトアミド、N−ペンチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート、N−ベンジル−N−ブチルアセトアミド、メチル ベンジル(ブチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−4−イルメチル)カルバメート、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミド、メチル シクロプロピルメチル(ペンチル)カルバメート、N,N−ビス(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド、メチル ビス(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート、N,N−ビス(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド、メチル ビス(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−2−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−3−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)アセトアミド、メチル ペンチル(2−(ピリジン−4−イル)エチル)カルバメート、N−ペンチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド、メチル ペンチル(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート、N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−N−ペンチルアセトアミド、メチル 2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル(ペンチル)カルバメート、メチル ベンジル(ペンチル)カルバメート、N−アセチル−N−ペンチルシクロプロパンカルボキサミド、tert−ブチル アセチル(ペンチル)カルバメート、N−ベンジル−N−フェネチルアセトアミド、N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルホルムアミド、(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド、(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド、(E)−2−ベンジリデン−N,N−ジメチルヘプタンアミド、(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N,N−ジメチルヘプタンアミドおよび(E)−2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタンアミドからなるリストから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において定義される式(I)の化合物を含む、タバコ製品。
【請求項6】
タバコ煙の存在下において、室内に、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の式(I)の化合物を散布するステップを含む方法。
【請求項7】
式(I)の化合物を、エアフレッシュナーデバイスを用いて散布する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の式(I)の化合物の、医薬組成物の調製のための使用。
【請求項9】
式(I)
【化2】

式中、nは、0または1であり;
は、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル、ベンジルまたはピリジルメチルであり;
は、水素、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルケニルであり;または
は、それが結合した炭素原子と一緒になってカルボニル基を形成し;
Xは、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシおよびNR
式中、RおよびRは、独立して、水素およびC〜Cアルキルから選択される、
から選択され;ただし、Rが、ピリジルメチルである場合には、Xはメチルではなく;
I)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられている、であり;ただし、Z=ピリジルについては、Rはベンジルではなく;
II)Zは、3〜6員単環式または6〜10員二環式炭化水素環、ここで、1個または2個のC原子が、S、OおよびNから選択されるヘテロ原子により置き換えられており、前記環は、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、モノ−、ジ−およびトリハロゲノメチル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、−COORおよび−OCOR、式中、Rは、水素、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである、から選択される基で5個まで置換されている、であり;
III)Zは、C〜Cアルコキシであり、ただしZ=エトキシについては、Rはベンジルではなく;あるいは
IV)Zは、シクロプロピルであり;
およびYは、NまたはC原子を表し、ただしX=NRについて、Y=Cであり、破線は、炭素−炭素結合と一緒になって、EまたはZ配置のいずれかの二重結合あるいは単結合を表す、
の化合物。
【請求項10】
N−ペンチル−N−(ピリジン−3−イルメチル)アセトアミド;メチル ペンチル(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート;N−ペンチル−N−(ピリジン−4−イルメチル)アセトアミド;メチル ペンチル(ピリジン−4−イルメチル)カルバメート;N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルアセトアミド;メチル シクロプロピルメチル(ペンチル)カルバメート;メチル ビス(ピリジン−3−イルメチル)カルバメート;メチル ビス(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート;N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)アセトアミド;メチル ペンチル(2−(ピリジン−2−イル)エチル)カルバメート;N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−3−イル)エチル)アセトアミド;メチル ペンチル(2−(ピリジン−3−イル)エチル)カルバメート;N−ペンチル−N−(2−(ピリジン−4−イル)エチル)アセトアミド;メチル ペンチル(2−(ピリジン−4−イル)エチル)カルバメート;N−ペンチル−N−(ピリジン−2−イルメチル)アセトアミド;メチル ペンチル(ピリジン−2−イルメチル)カルバメート;N−(2−(1H−イミダゾール−4−イル)エチル)−N−ペンチルアセトアミド;N−アセチル−N−ペンチルシクロプロパンカルボキサミド;tert−ブチル アセチル(ペンチル)カルバメート;N−(シクロプロピルメチル)−N−ペンチルホルムアミド;(E)−2−ベンジリデン−N−メチルヘプタンアミド;(E)−2−(シクロプロピルメチレン)−N,N−ジメチルヘプタンアミド;および(E)−2−(シクロプロピルメチレン)ヘプタンアミドから選択される、請求項9に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−504558(P2012−504558A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529433(P2011−529433)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000311
【国際公開番号】WO2010/037244
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】