説明

有機化合物

式IまたはIIの化合物、それらの製造方法、医薬としてのそれらの使用、ならびにそれらを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年12月6日出願の米国仮特許出願第61/120,444号に基づく優先権を主張し、その内容は、引用によりその全体を本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、下記の式Iの化合物、それらの製造方法、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。特に興味深いのは、例えば、パーキンソン病、鬱病、ナルコレプシー、および例えば統合失調症における認知機能の損傷のようなドーパミンD1受容体の細胞内経路の障害、または増強したプロゲステロン−シグナル伝達経路を介して改善され得る障害、例えば女性性機能障害、を伴う疾患の処置において、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)の阻害剤として有用な新規の化合物である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ホスホジエステラーゼ(PDE)の11ファミリーが同定されているが、ファミリーIのPDEであるCa2+−カルモジュリン−依存性ホスホジエステラーゼ(CaM−PDE)のみが、カルシウムおよび環状ヌクレオチド(例えば、cAMPおよびcGMP)シグナル伝達経路の両方を仲介することが示されている。3個の既知のCaM−PDE遺伝子であるPDE1A、PDE1B、およびPDE1Cは全て、中枢神経系組織で発現される。PDE1Aは脳全体で発現され、海馬のCA1からCA3層および小脳で高レベルであり、線条体で低レベルである。PDE1Aはまた、肺および心臓でも発現される。PDE1Bは、主に線条体、歯状回、嗅索、および小脳で発現され、その発現は、高レベルのドーパミン作動性神経支配を有する脳領域と相関する。PDE1Bは主に中枢神経系で発現されるが、心臓においても検出され得る。PDE1Cは主に嗅上皮、小脳顆粒細胞および線条体で発現される。PDE1Cはまた、心臓および血管平滑筋でも発現される。
【0004】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼは、これらの環状ヌクレオチドをそれぞれの不活性な5’−モノホスフェート(5’AMPおよび5’GMP)に加水分解することにより、細胞内cAMPおよびcGMPシグナル伝達を下方制御する。CaM−PDEは、特に基底核または線条体として公知の脳領域内での脳細胞におけるシグナル伝達の仲介に重要な役割を果たす。例えば、NMDA型グルタミン酸受容体活性化および/またはドーパミンD2受容体活性化は、増大した細胞内カルシウム濃度をもたらし、カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)およびカルシニューリンのようなエフェクターの活性化ならびにCaM−PDEの活性化をもたらし、結果として減少したcAMPおよびcGMPをもたらす。一方、ドーパミンD1受容体活性化は、ヌクレオチドシクラーゼの活性化をもたらし、結果として増加したcAMPおよびcGMPをもたらす。これらの環状ヌクレオチドは、次に、DARPP−32(ドーパミンおよびcAMPにより調節されるホスホタンパク質)およびcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)のような下流のシグナル伝達経路要素をリン酸化する、タンパク質キナーゼA(PKA;cAMP依存性タンパク質キナーゼ)および/またはタンパク質キナーゼG(PKG;cGMP依存性タンパク質キナーゼ)を活性化する。リン酸化DARPP−32は、次に、リン酸化タンパク質−1(PP−1)の活性を阻害し、それによりプロゲステロン受容体(PR)のような基質タンパク質のリン酸化状態を増大させ、生理的応答の減少をもたらす。げっ歯動物での実験は、ドーパミンD1またはプロゲステロン受容体の活性化を介するcAMPおよびcGMP合成の低下が、いくつかのげっ歯動物における交尾受容性と関係する脊柱前弯応答(lordosis response)を含む、種々の生理的応答と関係するプロゲステロンシグナル伝達を増強することを示唆している。引用によりその内容を本明細書中に包含させるMani, et al., Science (2000) 287: 1053を参照。
【0005】
CaM−PDEは、故に、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタミン酸(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)、DARPP−32、およびエンドルフィン細胞内シグナル伝達経路を含むが、これらに限定されない、基底核(線条体)におけるドーパミンにより調節されたシグナル伝達経路および他の細胞内シグナル伝達経路に影響を与え得る。
【0006】
ホスホジエステラーゼ(PDE)活性、特にホスホジエステラーゼ1(PDE1)活性は、脳組織内で自発運動および学習および記憶の調節因子として機能する。PDE1は、ドーパミンD1受容体、ドーパミンD2受容体、一酸化窒素、ノルアドレナリン、ニューロテンシン、CCK、VIP、セロトニン、グルタミン酸(例えば、NMDA受容体、AMPA受容体)、GABA、アセチルコリン、アデノシン(例えば、A2A受容体)、カンナビノイド受容体、ナトリウム利尿ペプチド(例えば、ANP、BNP、CNP)、エンドルフィン細胞内シグナル伝達経路およびプロゲステロンシグナル伝達経路を含むが、これらに限定されない、好ましくは神経系における細胞内シグナル伝達経路の調節のための治療標的である。例えば、PDE1Bの阻害は、分解からcGMPおよびcAMPを保護することによりドーパミンD1アゴニスト作用を増強するように作用し、同様にPDE1活性を阻害することによりドーパミンD2受容体シグナル伝達経路を阻害するはずである。細胞内カルシウムレベルの慢性的上昇は、多くの障害、特にアルツハイマー、パーキンソン病およびハンチントン病のような神経変性疾患、ならびに卒中および心筋梗塞をもたらす循環系の障害における細胞死と関係がある。故に、PDE1阻害剤は、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、鬱病、ナルコレプシーおよび認知障害のような、低下したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる疾患において有用な可能性がある。PDE1阻害剤はまた、女性性機能障害のようなプロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減され得る疾患においても有用である。
【0007】
故に、PDE1活性、とりわけPDE1Aおよび/またはPDE1B活性を選択的に阻害する化合物が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
第一の態様において、本発明は、遊離形または塩形態の、式II:
【化1】


[式中、
(i)Lは、S、SOまたはSOであり;
(ii)Rは、HまたはC1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
【0009】
(iii)Rは、
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル){ここで、該アルキル基は、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシで置換されていてよい。}、例えば、1−ヒドロキシプロパン-2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、
所望により1個以上のアミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシル{ここで、該シクロアルキルは、所望によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチル)で置換されていてよい。}、
所望によりC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−3−イル、
3−8シクロアルキル−C1−6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル)、
−N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−アミノプロピル)、
ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、1−ヒドロキシプロプ−2−イル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、ベンジル)、
ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル);
−G−J〔式中、
Gは、単結合、またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。〕であり;
【0010】
(iv)Rは、式IIのピラゾロ部分上の窒素の1つに結合し、式A
【化2】


〔式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R、R、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして、R10は、
ハロゲン、
1−6アルキル、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、または
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
好ましくは、R10は、フェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により1個以上のハロ(例えば、FまたはCl)、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、および/または−SHで置換されていてよい。
ただし、X、YまたはZが窒素であるとき、R、RまたはR10は、それぞれ存在しない。〕
で示される部分であり;
【0011】
(v)Rは、
H、
1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)、
3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)、
アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル,ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル){ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよい。}であり;
(vi)R14およびR15は、独立して、HまたはC1−6アルキルである。]
で示される化合物を提供する。
【0012】
さらに別の態様において、本発明は、遊離形または塩形態の、上記の式II[式中、
が、
1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)、
3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)、
アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル,ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル){ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよい。}であり;
そして
が、式IIのピラゾロ部分上の窒素の1つに結合し、式A
【化3】


〔式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R、R、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして、R10は、
3−8シクロアルキル
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)
アリール(例えば、フェニル)、または
ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)であり、
ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望により1個以上のハロ(例えば、FまたはCl)、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、および/または−SHで置換されていてよい。
ただし、X、YまたはZが窒素であるとき、R、RまたはR10は、それぞれ存在しない。]
で示される化合物を提供する。
【0013】
本発明はまた、遊離形または塩形態の、式I
【化4】


[式中、
(i)Lは、S、SOまたはSOであり;
(ii)Rは、HまたはC1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
【0014】
(iii)Rは、
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル){ここで、該アルキル基は、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシで置換されていてよい。}、例えば、1−ヒドロキシプロパン-2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、
所望により1個以上のアミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシル{ここで、該シクロアルキルは、所望によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチル)で置換されていてよい。}、
所望によりC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−3−イル、
3−8シクロアルキル−C1−6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル)、
−N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−アミノプロピル)、
ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、1−ヒドロキシプロプ−2−イル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、ベンジル)、
ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル);
−G−J〔式中、
Gは、単結合、またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。〕であり;
【0015】
(iv)Rは、
1)−D−E−F〔式中、
Dは、単結合、C1−6アルキレン(例えば、メチレン)、またはアリールアルキレン(例えば、ベンジレンまたは−CH−)であり;
Eは、
単結合、
1−4アルキレン(例えば、メチレン、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、
−C0−4アルキルアリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−、−ベンジレン−または−CH−){ここで、該アリーレン基は、所望によりハロ(例えば、ClまたはF)で置換されていてよい。}、
ヘテロアリーレン(例えば、ピリジニレンまたはピリミジニレン)、
アミノC1−6アルキレン(例えば、−CHN(H)−)、
アミノ(例えば、−N(H)−);
所望によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよいC3−8シクロアルキレン(例えば、ピペリジニレン)であり、
Fは、
H、
ハロ(例えば、F、Br、Cl)、
1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
所望によりNまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、またはモルホリニル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル、
所望によりC1−6アルキル(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)で置換されていてよいヘテロアリール{ここで、該ヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキルで置換されていてよい。};
アミノ(例えば、−NH)、
1−6アルコキシ、
−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)、
1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニルまたは−S(O)CH)、
−C(O)−R13
−N(R14)(R15)である。〕であるか;または
【0016】
2)例えば、ハロアルキルで置換された、置換ヘテロアリールアルキルであるか;または
3)式Iのピラゾロ部分上の窒素のうち1個と結合し、そして式A:
【化5】


〔式中、
X、YおよびZは独立して、NまたはCであり、そしてR、R、R11およびR12は独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして
10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、またはヘテロアリールカルボニル、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、アミノカルボニルであり;
好ましくは、フェニルまたはピリジル、例えば2−ピリジルである。;
ただし、X、YまたはZが窒素であるとき、R、RまたはR10はそれぞれ、存在しない。〕
で示される部分であり、
【0017】
(v)Rは、以下:
H、
1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)、
3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)、
アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル、ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル){ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよい。}から選択され;
(vi)R13は、−、−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、またはヘテロアリールであり;そして、
(vii)R14およびR15は、独立して、HまたはC1−6アルキルである。]
で示される化合物を提供する。
【0018】
本発明はさらに、遊離形または塩形態の、以下の式Iの化合物を提供する:
1.1 式I(式中、Rは、−D−E−Fである。);
1.2 式1.1(式中、Dは、単結合、C1−6アルキレン(例えば、メチレン)またはアリールアルキレン(例えば、ベンジレンまたは−CH−)である。);
1.3 式1.1(式中、Dは単結合である。);
1.4 式1.1(式中、Dは、C1−6アルキレン(例えば、メチレン)である。);
1.5 式1.1(式中、Dはメチレンである。);
1.6 式1.1(式中、Dは、アリールアルキレン(例えば、ベンジレンまたは−CH−)である。);
1.7 式1.1(式中、Dは、ベンジレンまたは−CH−である。);
1.8 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、単結合、C2−4アルキレン(例えば、メチレン、エチニレン、プロプ−2−イニ−1−イレン)、−C0−4アルキルアリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−、−ベンジレン−または−CH−){ここで、該アリーレン基は、所望によりハロ(例えば、ClまたはF)、ヘテロアリーレン(例えば、ピリジニレンまたはピリミジニレン)、アミノC1−6アルキレン(例えば、−CHN(H)−)、アミノ(例えば、−N(H)−)で置換されていてよい。};所望によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよいC3−8シクロアルキレン(例えば、ピペリジニレン)である。);
1.9 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、単結合である。);
【0019】
1.10 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、C2−4アルキレン(例えば、メチレン、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)である。);
1.11 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、メチレンである。);
1.12 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、エチニレンである。);
1.13 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、プロプ−2−イン−1−イレンである。);
1.14 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、−C0−4アルキルアリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−、−ベンジレン−または−CH−){ここで、該アリーレン基は、所望によりハロ(例えば、ClまたはF)で置換されていてよい。}である。);
1.15 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、フェニレンまたは−C−である。);
1.16 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、ヘテロアリーレン(例えば、ピリジニレンまたはピリミジニレン)である。);
1.17 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、ピリジニレンである。);
1.18 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、ピリミジニレンである。);
1.19 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、アミノC1−6アルキレン(例えば、−CHN(H)−)である。);
1.20 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、アミノ(例えば、−N(H)−)である。);
1.21 式1.1−1.7の何れか(式中、Eは、所望によりNまたはOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよいC3−8シクロアルキレン(例えば、ピペリジニレン)である。);
【0020】
1.22 式1.1−1.21の何れか(式中、Fは、H、ハロ(例えば、F、Br、Cl)、C1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、所望によりNまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、またはモルホリニル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イル;所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、アミノ(例えば、−NH)、C1−6アルコキシ、−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)、C1−6アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニルまたは−S(O)CH)、C(O)−R13または−N(R14)(R15)である。);
【0021】
1.23 式1.1−1.22の何れか(式中、FはHである。);
1.24 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、ハロ(例えば、F、Br、Cl)である。);
1.25 式1.1−1.22の何れか(式中、Fはフルオロである。);
1.26 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、C1−6アルキル(例えば、イソプロピルまたはイソブチル)である。);
1.27 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、イソプロピルである。);
1.28 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、イソブチルである。);
1.29 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。);
1.30 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、トリフルオロメチルである。);
1.31 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、アリール(例えば、フェニル)である。);
1.32 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、フェニルである。);
【0022】
1.33 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、所望によりNまたはOからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、メチルまたはイソプロピル)で置換されていてよいC3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジニル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル、モルホリニル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピペリジン−2−イル、1−メチルピペリジン−2−イル、1−エチルピペリジン−2−イルである。);
1.34 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。);
1.35 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、1−メチルピロリジン−2−イルである。);
1.36 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル)、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル){ここで、該ヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはハロC1−6アルキルで置換されていてよい。}である。);
1.37 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、所望によりハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてよいピリド−2−イルである。);
【0023】
1.38 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、6−フルオロ−ピリド−2−イルである。);
1.39 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、ピリミジニル(例えば、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル)である。);
1.40 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)である。)、
1.41 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)である。);
1.42 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、ジアゾリル(例えば、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)またはイミダゾリル(例えば、イミダゾール−1−イル、4−メチルイミダゾリル、1−メチルイミダゾール−2−イル)である。);
1.43 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、C−1−6アルキル−オキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾリル)である。);
1.44 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、アミノ(例えば、−NH)である。);
1.45 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、C1−6アルコキシである。);
1.46 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、−O−ハロC1−6アルキル(例えば、−O−CF)である。);
1.47 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、−C(O)−R13である。);
1.48 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、−N(R14)(R15)である。);
1.49 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、C1−6アルキルスルホニルである。);
1.50 式1.1−1.22の何れか(式中、Fは、メチルスルホニルまたは−S(O)CHである。);
1.51 式Iまたは1.1−1.21の何れか(式中、Rは、例えば、ハロアルキルで置換された、置換ヘテロアリールアルキルである。);
【0024】
1.52 式Iまたは1.1−1.21の何れか(式中、Rは、式Iのピラゾロ部分上の窒素のうち1個と結合し、そして式A:
【化6】


〔式中、X、YおよびZは独立して、NまたはCであり、そしてR、R、R11およびR12は独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして
10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、またはヘテロアリールカルボニル、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、アミノカルボニルであり;
好ましくは、フェニルまたはピリジル、例えば2−ピリジルである。;
ただし、X、YまたはZが窒素であるとき、R、RまたはR10はそれぞれ、存在しない。〕で示される部分である。);
【0025】
1.53 式1.52(式中、Rは、式Aの部分であり、R、R、R11およびR12は、それぞれHであり、そしてR10はフェニルである。);
1.54 式1.52(式中、Rは、式Aの部分であり、R、R、R11およびR12は、それぞれHであり、そしてR10は、ピリジルまたはチアジアゾリルである。);
1.55 式1.52(式中、Rは、式Aの部分であり、R、R、R11およびR12は、それぞれHであり、そしてR10は、所望によりハロ(例えば、フルオロ)で置換されていてよいピリド−2−イルである。);
1.56 式1.52(式中、Rは、式Aの部分であり、そしてX、YおよびZは全てCである。);
1.57 式1.52(式中、R10は、ピリミジニルである。);
1.58 式1.52(式中、R10は、5−フルオロピリミジニルである。);
1.59 式1.52(式中、R10は、ピラゾール−1−イルである。);
1.60 式1.52(式中、R10は、1,2,4−トリアゾール−l−イルである。);
1.61 式1.52(式中、R10は、アミノカルボニルである。);
1.62 式1.52(式中、R10は、メチルスルホニルである。);
1.63 式1.52(式中、R10は、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルである。);
1.64 式1.52(式中、R10は、5−フルオロピリミジン−2−イルである。);
1.65 式1.52(式中、R10は、トリフルオロメチルである。);
1.66 式1.52(式中、Rは、式Aの部分であり、XおよびZは、Cであり、そしてYはNである。);
【0026】
1.67 式Iまたは1.1−1.66の何れか(式中、Rは、H;C1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン-2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよい。);所望により1個以上のアミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシル(ここで、該シクロアルキルは、所望によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよい(例えば、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチル));所望によりC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−3−イル;C3−8シクロアルキル−C1−6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル);ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル);−N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−アミノプロピル);ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、1−ヒドロキシプロプ−2−イル);アリールC0−6アルキル(例えば、ベンジル);ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル);C1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル);−G−J(式中、Gは、単結合、またはアルキレン(例えば、メチレン)であり、Jは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。)である。);
【0027】
1.68 式1.66(式中、RはHである。);
1.69 式1.66(式中、Rは、C1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)(ここで、該アルキル基は、所望によりハロ(例えば、トリフルオロエチル)またはヒドロキシ(例えば、1−ヒドロキシプロパン-2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)で置換されていてよい。)である。);
1.70 式1.66(式中、Rは、イソブチルである。);
1.71 式1.66(式中、Rは、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピルである。);
1.72 式1.66(式中、Rは、1−ヒドロキシプロパン−2−イルである。);
1.73 式1.66(式中、Rは、所望により1個以上のアミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシルであり、ここで、該シクロアルキルは、所望によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキルで置換されていてよい(例えば、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチル)。);
【0028】
1.74 式1.66(式中、Rは、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチルである。);
1.75 式1.66(式中、Rは、所望によりC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−3−イルである。);
1.76 式1.66(式中、Rは、1−メチルピロリジン−3−イルである。);
1.77 式1.66(式中、Rは、C3−8シクロアルキル−C1−6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル)である。);
1.78 式1.66(式中、Rは、−N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−アミノプロピル)である。);
1.79 式1.66(式中、Rは、ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)である。);
1.80 式1.66(式中、Rは、C1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル)である。);
1.81 式1.66(式中、Rは、アリールC0−6アルキル(例えば、ベンジル)である。);
1.82 式1.66(式中、Rは、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。);
1.83 式Iまたは1.1−1.66の何れか(式中、Rは、−G−J;Gは、単結合、またはアルキレン(例えば、メチレン)であり、そしてJは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。);
【0029】
1.84 式1.83(式中、Gは、アルキレン(例えば、メチレン)である。);
1.85 式1.83(式中、Gはメチレンである。);
1.86 式1.83(式中、Jは、所望によりアルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。);
1.87 式1.83(式中、Jは、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イルである。);
1.88 式1.83(式中、Jは、1−メチルピロリジン−2−イルである。);
1.89 上記の式の何れか(式中、Rは、H、C1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)、C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、C3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)、またはアリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル,ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル)(ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルコキシC1−6アルキル、またはC1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよい。)である。);
【0030】
1.90 式1.89(式中、RはHである。);
1.91 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、C1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)である。);
1.92 式1.89(式中、Rは、イソプロピルである。);
1.93 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)である。);
1.94 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、C3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)である。);
1.95 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよいアリール(例えば、フェニル)である。);
1.96 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、4−ヒドロキシフェニルである。);
1.97 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、4−フルオロフェニルである。);
1.98 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよいヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル、ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル)である。);
1.99 式1.89(式中、RまたはRの何れかは、フェニルである。);
1.100 上記の式の何れか(式中、R13は、−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル、アリール(例えば、フェニル)、またはヘテロアリールである。);
【0031】
1.101 式1.100(式中、R13は、−N(R14)(R15)である。);
1.102 式1.100(式中、R13は、−NHである。);
1.103 式1.100(式中、R13は、C1−6アルキル(例えば、メチル)である。);
1.104 式1.100(式中、R13は、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)である。);
1.105 式1.100(式中、R13は、−OCHである。);
1.106 式1.100(式中、R13は、ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)である。);
1.107 式1.100(式中、R13は、トリフルオロメチルである。);
1.108 式1.100(式中、R13は、アリール(例えば、フェニル)である。);
1.109 式1.100(式中、R13は、ヘテロアリール(例えば、ピリジル)である。);
1.110 上記の式の何れか(式中、R14およびR15は、独立して、HまたはC1−6アルキル(例えば、メチル)である。);
1.111 式Iまたは1.1−1.110の何れか(式中、R14またはR15の何れかは、独立して、Hである。);
1.112 式Iまたは1.1−1.110の何れか(式中、R14またはR15の何れかは、C1−6アルキル(例えば、メチル)である。);
1.113 式Iまたは1.1−1.110の何れか(式中、R14またはR15の何れかは、メチルである。);
1.114 式Iまたは1.1−1.110の何れか(式中、R14およびR15は、メチルである。);
【0032】
1.115 上記の式の何れか(式中、Rは、4−(ピリミジン−2−イル)ベンジル、4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル、4−(1−メチルピロリジン−2−イル)ベンジル、4−(1−メチルピペリド−2−イル)ベンジル、4−(ピリド−2−イル)ベンジル、4−(ピラゾール−1−イル)ベンジル、4−(ピロリジン−3−イル)ベンジル、(6−クロロピリジン−3−イル)メチル、(6−フルオロピリジン−3−イル)メチル、4−(イミダゾール−1−イル)ベンジル、4−(ピリミジン−4−イル)ベンジル)、4−(オキサゾール−2−イル)ベンジル、4−(ジメチルアミノ)ベンジル、4−(メチルスルホニル)ベンジル、4−(ピロリジン−3−イル)ベンジル、(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)メチル、および−CH−C−C(O)−NHからなる群から選択される。);
1.116 式1.115(式中、Rは、4−(ピリミジン−2−イル)ベンジルである。);
1.117 式1.115(式中、Rは、4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジルである。);
1.118 式1.115(式中、Rは、4−(1−メチルピロリジン−2−イル)ベンジルである。);
1.119 式1.115(式中、Rは、4−(1−メチルピペリド−2−イル)ベンジルである。);
1.120 式1.115(式中、Rは、4−(ピリド−2−イル)ベンジルである。);
1.121 式1.115(式中、Rは、4−(ピラゾール−1−イル)ベンジルである。);
1.122 式1.115(式中、Rは、4−(ピロリジン−3−イル)ベンジルである。);
【0033】
1.123 式1.115(式中、Rは、(6−クロロピリジン−3−イル)メチルまたは(6−フルオロピリジン−3−イル)メチルである。);
1.124 式1.115(式中、Rは、4−(イミダゾール−1−イル)ベンジルである。);
1.125 式1.115(式中、Rは、4−(ピリミジン−4−イル)ベンジル)である。);
1.126 式1.115(式中、Rは、4−(オキサゾール−2−イル)ベンジルである。);
1.127 式1.115(式中、Rは、4−(ジメチルアミノ)ベンジルである。);
1.128 式1.115(式中、Rは、4−(メチルスルホニル)ベンジルである。);
1.129 式1.115(式中、Rは、4−(ピロリジン−3−イル)ベンジルである。);
1.130 式1.115(式中、Rは、(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)メチルである。);
1.131 式1.115(式中、Rは、−CH−C−C(O)−NHである。);
【0034】
1.132 式Iの化合物が以下である、上記の式の何れか。
【化7】


1.133 式Iの化合物が以下である、上記の式の何れか。
【化8】

【0035】
1.134 式Iの化合物が以下からなる群から選択される、上記の式の何れか:
【化9】


【化10】

【0036】
1.135 上記の式の何れか(化合物は、ホスホジエステラーゼにより仲介される(例えば、PDE1により、とりわけPDE1Bにより仲介される)cGMPの加水分解を、例えば、実施例16に記載の通り、固定化金属親和性粒子試薬PDEアッセイにおいて、例えば1μM未満、好ましくは500nM未満、より好ましくは200nM未満のIC50で阻害する。)。
【0037】
さらなる態様において、本発明の化合物は、式Iの化合物(式中、Rは、所望によりハロ、C1−6アルキルで置換されていてよいC5−6ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、(6−フルオロピリド−3−イル)メチル、(6−クロロピリド−3−イル)メチル)である。)である。
【0038】
別の態様において、本発明の化合物は、式Iの化合物(式中、Rは、所望によりハロ、ハロアルキル、アルキルスルホニル、−C(O)N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾール、イミダゾール、トリアゾリル、ピラゾリル)、アミノ、C1−6アルキルアミノ、およびヘテロシクロアルキル(例えば、ピペリジニル、ピロリジニル)で置換されていてよいピリジルC1−6アルキル(例えば、ピリジルメチル)であり、ここで、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールは、所望によりC1−6アルキルまたはハロでさらに置換されていてよい。)である。
【0039】
さらに別の態様において、本発明の化合物は、式Iの化合物(式中、Rは、アリール、ヘテロアリール(例えば、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾール、イミダゾール、トリアゾリル、ピラゾリル)、C3−7シクロアルキル、ヘテロC3−7シクロアルキル(例えば、ピペリジニル、ピロリジニル)、アルキルスルホニル、−C(O)N(C0−6アルキル)(C0−6アルキル)、アミノ、C1−6アルキルアミノで置換されたベンジルであり、ここで、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールは、所望によりC1−6アルキルまたはハロで置換されていてよい。)である。
【0040】
別の態様において、本発明の化合物は、遊離形または塩形態の、式Iの化合物であって、式中、
(ii)Rは、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
(iii)Rは、H、アルキル(例えば、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル)、アルキルアミノアルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル)、ヒドロキシアルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、またはアルコキシアリールアルキル(例えば、4−メトキシベンジル)であり;
(iv)Rは、例えば、ハロアルキルで置換された、置換ヘテロアリールアルキルであるか、または
【0041】
は、式Iのピラゾロ部分上の窒素の1つに結合し、式A
【化11】


〔式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、そしてR、R、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして、R10は、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、またはヘテロアリールカルボニル、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、アミノカルボニル;好ましくは、フェニルまたはピリジル、例えば、2−ピリジルである。ただし、X、YまたはXが窒素であるとき、R、RまたはR10は、それぞれ存在しない。〕
で示される部分であり、
(v)Rは、アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリールであり;
(vi)Rは、H、アルキル、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、ヘテロアリール、アリール、p−ベンジルアリール(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)であり;
(vii)Rは、H、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり;
(viii)R13は、−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリールであり;そして
(vii)R14およびR15は、独立して、HまたはC1−6アルキルである、
化合物(以下、式I(i)の化合物)である。
【0042】
さらに別の態様において、本発明の化合物は、遊離形または塩形態の、式Iの化合物であって、式中、
(i)Rは、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
(ii)Rは、H、アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル)、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル)、アルキルアミノアルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル)、ヒドロキシアルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリールアルキル(例えば、ピリジルメチル)、またはアルコキシアリールアルキル(例えば、4−メトキシベンジル)であり;
(iii)Rは、D−E−F〔式中、
1.Dは、単結合、アルキレン(例えば、メチレン)、またはアリールアルキレン(例えば、ベンジレンまたは−CH−)であり;
2.Eは、アルキレン(例えば、メチレン、エチニレン、プロプ−2−イン−1−イレン)、アリーレン(例えば、フェニレンまたは−C−)、アルキルアリーレン(例えば、−ベンジレン−または−CH−)、アミノアルキレン(例えば、−CHN(H)−)またはアミノ(例えば、−N(H)−)であり;そして
3.Fは、アルキル(例えば、イソブチル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリド−2−イル、1,2,4−トリアゾリル)、ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジン−1−イル)、アミノ(例えば、−NH)、C1−6アルコキシ、または−O−ハロアルキル(例えば、−O−CF)である。〕であり;
(iv)Rは、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル、ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル)またはヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)であり;そして
(v)Rは、H、アルキル、シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、ヘテロアリール、アリール、p−ベンジルアリール(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)であり;
(vi)Rは、H、C1−6アルキル(例えば、メチル)またはC3−8シクロアルキルであり;
(vii)R13は、−N(R14)(R15)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、−OC1−6アルキル(例えば、−OCH)、ハロC1−6アルキル(トリフルオロメチル)、アリール(例えば、フェニル)、またはヘテロアリールであり;そして
(viii)R14およびR15は、独立して、Hまたはアルキルである、
(ここで、他に特に記載されない限り、“alk”、“アルキル”、“ハロアルキル”または“アルコキシ”は、C1−6アルキルを意味し、“シクロアルキル”は、C3−8シクロアルキルを意味する。)
化合物(以下、式I(ii)の化合物)である。
【0043】
他に具体的に記載がないか、または文脈から明らかでないとき、本明細書中、下記の用語は、以下の意味を有する:
(a)本明細書で用いる“アルキル”は、飽和または不飽和の、好ましくは飽和の、好ましくは1ないし6個の炭素原子を有する炭化水素部分であって、直鎖または分枝鎖であってよく、そして所望により、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで、一、二または三置換されていてよい。
【0044】
(b)本明細書で用いる“シクロアルキル”は、飽和または不飽和の、好ましくは飽和の、好ましくは3ないし8個の炭素原子を含み、それらの少なくとも数個が、非芳香族性単もしくは二環式、または架橋環状構造を形成する、非芳香族性炭化水素部分であって、そして所望により、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されていてよい。該シクロアルキルは、所望により、N、Oおよび/またはSから選択される1個以上の原子を含んでいてよく、該シクロアルキルは、所望により、ヘテロシクロアルキルであってよい。
【0045】
(c)“ヘテロシクロアルキル”は、他に特記しない限り、飽和または不飽和の、好ましくは飽和の、好ましくは3ないし9個の炭素原子を含み、それらの少なくとも数個が、非芳香族性単もしくは二環式、または架橋環状構造を形成する、非芳香族炭化水素部分(ここで、少なくとも1個の炭素原子は、N、OまたはSで置換される。)であって、該ヘテロシクロアルキルは、所望により、例えばハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ヒドロキシ、またはカルボキシで置換されていてよい。
【0046】
(d)本明細書で用いる“アリール”は、単もしくは二環式芳香族炭化水素、好ましくはフェニルであり、所望により、例えばアルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、クロロまたはフルオロ)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ヒドロキシ、カルボキシ、またはさらにアリールもしくはヘテロアリール(例えば、ビフェニルまたはピリジルフェニル)で置換されていてよい。
【0047】
(e)本明細書で用いる“ヘテロアリール”は、芳香族部分(ここで、芳香環を構成する原子の1個以上が、炭素ではなく硫黄または窒素である。)、例えばピリジルまたはチアジアゾリルであり、それは、所望により、例えばアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されていてよい。
【0048】
(f)式中、Eはフェニレンであって、番号付けは以下の通りである:
【化12】

【0049】
(g)置換基末端が“ene”、例えばアルキレン、フェニレンまたはアリールアルキレンであるとき、該置換基は、架橋を意味するか、または2個の他の置換基と結合していることを意味する。故に、メチレンは、−CH−であることを意図し、フェニレンは、−C−であることを意図し、そしてアリールアルキレンは、−C−CH−または−CH−C−であることを意図する。
【0050】
本発明の化合物は、遊離形または塩形態、例えば酸付加塩として存在していてよい。本明細書中、他に特記しない限り、“本発明の化合物”のような語句は、全ての形態の、例えば遊離形または酸付加塩形態の式Iの化合物、または1.1−1.135の何れか、式I(i)またはI(ii)の化合物、または該化合物が酸性置換基を含むとき、塩基付加塩形態の化合物を包含すると理解されるべきである。本発明の化合物は、医薬として使用するためのものであり、故に薬学的に許容される塩が好ましい。薬学的使用に適さない塩類は、例えば、遊離形の本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩類の単離または精製に有用であり得て、そのためそれらも包含される。
【0051】
本発明の化合物は、いくつかの場合に、プロドラッグ形態でも存在していてよい。プロドラッグ形態は、体内で本発明の化合物に変換される化合物である。例えば、本発明の化合物がヒドロキシまたはカルボキシ置換基を含むとき、これらの置換基は、生理学的に加水分解性の、かつ許容されるエステルを形成し得る。本明細書で用いる通り、“生理学的に加水分解性の、かつ許容されるエステル”は、生理学的条件下で加水分解されて、投与されるべき用量でそれ自体生理学的に許容される酸(ヒドロキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)またはアルコール(カルボキシ置換基を有する本発明の化合物の場合)を生じる本発明の化合物のエステルを意味する。故に、本発明の化合物がヒドロキシ基を含むとき、例えば化合物−OHであるとき、かかる化合物のアシルエステルプロドラッグ、すなわち、化合物−O−C(O)−C1−4アルキルは、体内で加水分解されて、一方で、生理学的に加水分解性のアルコール(化合物−OH)を、他方で酸(例えば、HOC(O)−C1−4アルキル)を形成し得る。あるいは、本発明の化合物がカルボン酸を含むとき、例えば化合物−C(O)OHであるとき、かかる化合物の酸エステルプロドラッグ(化合物−C(O)O−C1−4アルキル)は、加水分解されて、化合物−C(O)OHおよびHO−C1−4アルキルを形成し得る。上記より明らかである通り、該用語は慣用の薬学的プロドラッグ形態を包含する。
【0052】
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法、および下記の疾患および障害の処置(とりわけ、パーキンソン病、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、ADHD、下肢静止不能症候群、鬱病、統合失調症における認知障害、ナルコレプシー、ならびに女性性機能障害のような増強したプロゲステロン−シグナル伝達経路を介して改善され得る疾患のような、または精神病もしくは緑内障のような疾患もしくは障害のような、低下したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる疾患の処置)のための本発明の化合物の使用方法を提供する。このリストは、包括的であることを意図せず、以下に記載の他の疾患および障害を包含し得る。
【0053】
別の態様において、本発明はさらに、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば、式Iの化合物、または1.1−1.135の何れか、または式I(i)もしくはI(ii)の化合物、または本明細書に記載の化合物の何れかを、薬学的に許容される担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0054】
本発明の詳しい説明
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、本明細書に記載および例示の方法を用いて、それと同様の方法により、また化学分野で公知の方法により製造され得る。かかる方法には、下記の方法が包含されるが、これらに限定されない。これらの方法のための出発物質が市販されていないとき、それらは、化学分野から選択される方法により、公知の化合物の合成法と同様または類似の技術を用いて製造され得る。特に、本発明の化合物の中間体および/または出発物質は、PCT/US2007/070551に記載の方法および手段を用いて製造され得る。本明細書中に引用される全ての文献は、引用によりその内容を本明細書中に包含させる。
【0055】
本発明の化合物は、それらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体およびラセミ体、ならびにそれらの多形体である水和物、溶媒和物および複合体を包含する。本発明の範囲内のいくつかの個々の化合物は、二重結合を包含し得る。本発明において二重結合の記載は、二重結合のEおよびZ異性体の両方を包含することを意味する。さらに、本発明の範囲内のいくつかの化合物は、1個以上の不斉中心を含み得る。本発明は、光学的に純粋な立体異性体の何れかならびに立体異性体の何れかの組合せの使用を包含する。
【0056】
本発明の化合物は、それらの安定および不安定同位体を包含することも意図される。安定同位体は、豊富な同種の核種(すなわち、元素)に比べてさらに1個多い中性子を含む非放射性同位体である。かかる同位体を含む化合物の活性は保持され得て、かつかかる化合物は、非同位性類似体の薬物動態を測定するのにも有用であり得ることが予期される。例えば、本発明の化合物のある位置の水素原子は、重水素(非放射性の安定同位体)で置換され得る。公知の安定同位体の例には、重水素、13C、15N、18Oが含まれるが、これらに限定されない。あるいは、豊富な同種の核種(すなわち、元素)に比べて複数のさらなる中性子を含む放射性同位体である不安定同位体、例えば、123I、131I、125I、11C、18Fは、対応する豊富な種のI、CおよびFと置換できる。本発明の化合物の有用な同位体の別の例は、11C同位体である。これらの放射性同位体は、本発明の化合物の放射性イメージングおよび/または薬物動態学的研究に有用である。
【0057】
融点は補正されておらず、(dec)は分解を示す。温度は、摂氏(℃)で示し;他に特記しない限り、操作は室温または環境温度、すなわち18−25℃の範囲の温度で行う。クロマトグラフィーは、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味し;薄層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲルプレート上で行う。NMRデータは、主要構造プロトンのデルタ値であり、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で示す。シグナル形について常套の略語を用いる。結合定数(J)は、Hzで示す。質量スペクトル(MS)について、同位体分裂により複数の質量スペクトルピークが得られるとき、最低質量の主要イオンを分子について報告する。溶媒混合物組成は、容量パーセントまたは容量比として示される。NMRスペクトルが複雑なとき、特徴的シグナルのみを記載する。
【0058】
用語および略語:
BuLi=n−ブチルリチウム
BuOH=tert−ブチルアルコール、
CAN=硝酸セリウム(IV)アンモニウム、
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、
DMF=N,N−ジメチルforアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
EtO=ジエチルエーテル、
EtOAc=酢酸エチル、
equiv.=当量、
h=時間、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
MeOH=メタノール、
NBS=N−ブロモスクシンイミド
NCS=N−クロロスクシンイミド
NaHCO=重炭酸ナトリウム、
NHOH=水酸化アンモニウム、
Pd(dba)=トリス[ジベンジリデンアセトン]ジパラジウム(0)
PMB=p−メトキシベンジル、
POCl=オキシ塩化リン、
SOCl=塩化チオニル、
TFA=トリフルオロ酢酸、
THF=テトラヒドロフラン。
【0059】
本発明の合成方法を以下に説明する。R基の意味は、他に特記しない限り、式Iで上記の通りである。
【0060】
本発明の一局面において、式IIbの中間体化合物は、式IIaの化合物を、ジカルボン酸、無水酢酸および酢酸と、約3時間加熱しながら混合して反応させ、次いで冷却して合成され得る。
【化13】


(式中、Rは、HまたはC1−4アルキル[例えば、メチル]である。)
【0061】
中間体IIcは、例えば、IIbの化合物を、例えば、POClのような塩素化化合物と、時には少量の水とともに、約4時間加熱しながら反応させて、次いで冷却して製造され得る。
【化14】

【0062】
中間体IIdは、IIcの化合物を、例えば、DMFのような溶媒中、P−XおよびKCOのような塩基と、室温で、または加熱しながら反応させて形成され得る。
【化15】


(式中、Pは保護基[例えば、p−メトキシベンジル基(PMB)]であり;Xは、ハロゲン、メシレートまたはトシレートのような脱離基である。)
【0063】
中間体IIeは、IIdの化合物を、メタノールのような溶媒中、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物と、約4時間還流して反応させて、次いで冷却して製造され得る。
【化16】

【0064】
あるいは、中間体IIIaは、IIcの化合物を、例えば、DMFのような溶媒中、R−X(式中、ハロゲン、メシレートまたはトシレートのような脱離基である。)およびKCOのような塩基と、室温で、または加熱しながら反応させて形成され得る。
【化17】

【0065】
中間体IIIbは、IIIaの化合物を、メタノールのような溶媒中、数時間加熱しながら、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物と反応させて、次いで冷却して製造され得る。
【化18】

【0066】
中間体IVaは、例えば、IIIbの化合物を、POClおよびDMFと反応させて、形成され得る。
【化19】

【0067】
中間体IVbは、IVaの化合物を、例えば、DMFのような溶媒中、KCOのような塩基と共に、室温で、または加熱しながら、R−X(式中、Xは、ここでは脱離基、例えば、ハロゲン、メシレートまたはトシレートである。)と反応させて、形成され得る。
【化20】

【0068】
本発明のチオ化合物、例えば、式I(式中、Lは、Sである。)、または化合物(I)−Eは、化合物(IVb)を、THFのような溶媒中、リチウム反応材(例えば、LiHMDS)の強塩基の存在下、ジスルフィドR−L−L−RまたはチオールR−LHと反応させて、製造され得る。
【化21】

【0069】
スルフィニルまたはスルホニル誘導体、例えば、式I(式中、Lは、SOまたはSOである。)は、3−チオ化合物(I)−Eを、アセトニトリルおよびメタノールのような溶媒中、室温で、過酸化物(例えば、過酸化オキソンまたは過酸化水素)のような酸化剤と反応させて形成され得る。
【0070】
あるいは、式(I)−Eの化合物は、例えば、化合物1−Aを、例えば、DMFのような溶媒中、KCOのような塩基と共に、室温で、または加熱しながら、R−Xと反応させて製造され得る。
【化22】


(式中、全ての置換基は、上記に定義の通りであり;Xは、ハロゲン、メシレートまたはトシレートのような脱離基である。)
【0071】
本発明の化合物の使用方法
本発明の化合物は、例えば、ドーパミンおよび一酸化窒素(NO)のような環状ヌクレオチド合成の誘導因子の阻害または低下レベルにより増大したPDE1発現または減少したcAMPおよびcGMP発現がもたらされるような、cAMPおよびcGMP仲介経路の崩壊または損傷により特徴付けられる疾患の処置に有用である。cAMPおよびcGMPの分解をPDE1Bにより阻止することにより、cAMPおよびcGMPの細胞内レベルが増大するため、本発明の化合物は、環状ヌクレオチド合成誘導物質の活性を増強する。
【0072】
本発明は、以下の状態:
(i)パーキンソン病、下肢静止不能症、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬剤誘発性運動障害を含む神経変性疾患;
(ii)鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、不安、睡眠障害、例えばナルコレプシー、認知障害、認知症(dementia)、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬の使用中止、および薬物中毒を含む精神障害;
(iii)脳血管疾患、卒中、鬱血性心疾患、高血圧、肺高血圧および性機能障害を含む、循環器および心血管障害;
(iv)喘息、慢性閉塞性肺疾患、およびアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患を含む、呼吸器および炎症性障害;
(v)PDE1発現細胞における、cAMPおよび/またはcGMPの低レベル(または、cAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)により特徴付けられる何らかの疾患または状態;および/または
(vi)低下したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる何らかの疾患または状態、
の1種以上の処置方法であって、有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば、式Iまたは1.1−1.135の何れかの化合物、または本発明の化合物を含む組成物、例えば、式Iまたは1.1−1.135の何れかの化合物、または本明細書に記載の何れかの化合物を含む組成物を、それを必要とするヒト患者または動物に投与することを含む方法を提供する。別の局面において、本発明は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物を、それを必要とするヒト患者または動物に投与することを含む、上記の状態の処置方法を提供する。
【0073】
とりわけ好ましい態様において、本発明は、ナルコレプシーの処置または予防方法を提供する。この態様において、PDE1阻害剤は、単一の治療剤として用いられてよく、別の活性剤と併用または共投与して用いられてもよい。故に、本発明は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の、
(i)本発明のPDE1阻害剤、例えば、式Iまたは1.1−1.135の何れか、またはI(i)もしくはI(ii)、または本明細書に記載の何れかの化合物、および
(ii)例えば、(a)中枢神経系刺激剤−アンフェタミンおよびアンフェタミン様化合物、例えばメチルフェニデート、デキストロアンフェタミン、メタンフェタミン、およびペモリン;(b)モダフィニル、(c)抗鬱剤、例えば三環系薬(イミプラミン、デシプラミン、クロミプラミン、およびプロトリプチリンを含む)および選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルオキセチンおよびセルトラリンを含む);および/または、(d)ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)から選択される、覚醒を促進するか、または睡眠を調節する化合物
を、それを必要とするヒト患者または動物に同時、逐次または共投与することを含む、ナルコレプシーの処置法をさらに含む。別の態様において、本発明は、該PDE1阻害剤が医薬組成物の形態である、上記のナルコレプシーの処置または予防方法を提供する。さらに別の態様において、上記のナルコレプシーの処置または予防方法は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の上記式IIの化合物を、単一の治療剤として、または別の活性剤と併用投与または共投与することを含む。
【0074】
別の態様において、本発明は、有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物、例えば、式1.1−1.135の何れかまたは式I、I(i)もしくはI(ii)の化合物、または本明細書に記載の化合物のいずれかを、それを必要とするヒト患者または動物に投与することを含む、プロゲステロンシグナル伝達の増強により軽減され得る状態の処置または予防方法をさらに提供する。本発明はまた、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物を投与することを含む、本明細書に記載の処置方法も提供する。プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る疾患または状態には、女性性機能障害、続発性無月経(例えば、運動性無月経(exercise amenorrhoea)、無排卵、閉経、更年期症状、甲状腺機能低下症)、月経前緊張症、早産、不妊症、例えば反復流産による不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、自己免疫疾患、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、および甲状腺機能低下症が含まれるが、これらに限定されない。例えば、プロゲステロンシグナル伝達の増強により、PDE1阻害剤は、子宮粘膜への影響を介して卵の着床を促進するため、および妊娠に対する免疫反応または低プロゲステロン機能により流産しやすい女性における妊娠の維持を補助するために用いられ得る。例えば本明細書に記載の新規のPDE1阻害剤はまた、例えば、閉経後の女性、ならびにエストロゲン誘導性子宮内膜増殖症および癌腫において、エストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチンと併用して投与されて、ホルモン補充療法の効果を増強するのにも有用であり得る。本発明の方法はまた、家畜動物に、例えば、飼育された非ヒトメス哺乳動物に性的受容性(sexual receptivity)および/または発情を誘発するのに有用である。
【0075】
この態様において、PDE1阻害剤は、単一の治療剤として上記の処置または予防方法に用いられてよく、他の活性剤と組み合わせて、または共投与して、例えばホルモン補充療法と併用して用いられてもよい。故に、本発明は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の、
(i)PDE1阻害剤、例えば、式I、1.1−1.135の何れかまたはI(i)もしくはI(ii)の化合物、または本明細書に記載の何れかの化合物、および
(ii)例えば、エストロゲンおよびエストロゲン類似体(例えば、エストラジオール、エストリオール、エストラジオールエステル)、ならびにプロゲステロンおよびプロゲステロン類似体(例えば、プロゲスチン)から選択される、ホルモン
を、それを必要とするヒト患者または動物に同時、逐次または共投与することを含む、プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る障害の処置方法をさらに含む。別の態様において、本発明は、PDE1阻害剤が、遊離形または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物である、上記の方法を提供する。
【0076】
本発明はまた、細胞または組織をPDE1B活性の阻害に十分な量の本発明の化合物と接触させることを含む、該細胞または組織におけるドーパミンD1細胞内シグナル伝達活性を増強または促進する方法も提供する。
【0077】
本発明はまた、細胞または組織をPDE1B活性の阻害に十分な量の本発明の化合物と接触させることを含む、該細胞または組織におけるプロゲステロンシグナル伝達活性を増強または促進する方法も提供する。
【0078】
本発明はまた、PDE1関連障害、とりわけPDE1B関連障害、ドーパミンD1受容体細胞内シグナル伝達経路障害、またはプロゲステロンシグナル伝達経路の増強により軽減され得る障害の処置方法であって、PDE1Bを阻害する(ここで、PDE1B活性は、DARPP−32および/またはGluR1 AMPA受容体のリン酸化を調節する。)本発明の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法も提供する。
【0079】
別の局面において、本発明はまた、眼科適合性の担体中、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の、本発明のホスホジエステラーゼ タイプI(PDE1)阻害剤を、それを必要とする患者の眼に局所投与することを含む、緑内障または高眼圧の処置方法を提供する。しかしながら、該処置は、別法として全身的治療を含み得る。全身的治療には、例えば、血流に直接達し得る処置、または経口投与方法が含まれる。
【0080】
本発明はさらに、PDE1阻害剤を含む局所的眼科使用のための医薬組成物;例えば、本発明の、遊離形または眼科的に許容される塩形態の、PDE1阻害剤を、眼科的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは共同して含む、点眼剤、懸濁液、クリームまたは軟膏、を提供する。
【0081】
所望により、PDE1阻害剤は、緑内障または高眼圧の処置に有用な第二の薬剤と連続してまたは同時に投与され得る。2個の活性剤が投与されるとき、治療的有効量の各薬剤は、単剤としての活性に必要とされる量以下であり得る。従って、閾値以下の量(すなわち、単剤としての効果に必要なレベル以下の量)が、治療的に有効であると考えられ、また、それを有効量と呼ぶこともあり得る。実際、異なる作用機序および異なる副作用プロファイルを有する異なる薬剤を投与することの利点は、何れかまたは両方の薬剤の投与量および副作用を低下させ、ならびに単剤療法としてそれらの活性を増強または促進し得る。
【0082】
故に、本発明は、緑内障および高眼圧から選択される状態の処置方法であって、それを必要とする患者に、組合せ剤中、眼圧を低下させることが公知の薬剤の量およびPDE1阻害剤の量は、該状態の処置に有効であるように、有効量の、例えば、眼圧を低下させることが公知の薬剤の閾値以下の量を、例えば、遊離形または薬学的に許容される塩形態の、有効量の本発明のPDE1阻害剤の閾値以下の量と、併用、同時または連続投与することを含む方法を提供する。
【0083】
一態様において、薬剤の一方または両方を眼へ局所的に投与する。故に、本発明は、眼圧を低下させることが公知の薬剤の低用量を、有効量のPDE1阻害剤と併用、同時または連続投与することにより、緑内障または高眼圧の処置の副作用を低減する方法を提供する。しかしながら、全身的治療投与のような局所投与以外の方法も利用可能である。
【0084】
PDE1阻害剤と併用するための任意のさらなる1個または複数の薬剤は、例えば、一般的に、プロスタグランジン、ピロカルピン、エピネフリンの注入、または例えばチモロールでの局所ベータ−ブロッカー処置、ならびに炭酸脱水酵素阻害剤、例えばアセタゾラミドの阻害剤の全身投与を含む、既存薬剤から選択される。フィゾスチグミンおよびエコチオパートのようなコリンエステラーゼ阻害剤も利用可能であり、ピロカルピンの効果と同様の効果を有する。故に、緑内障の処置に現在用いられる薬剤には、以下のものが含まれる。例えば、
1.房水(aqueous humor)のぶどう膜強膜流出を増加させる、ラタノプラスト(キサラタン)、ビマトプラスト(ルミガン)およびトラボプラスト(トラバタン)のようなプロスタグランジン類似体。ビマトプラストはまた、索状流出も増加させる。
2.毛様体による房水産生を減少させる、チモロール、レボブノロール(ベタガン)およびベタキソロールのような局所ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニスト。
3.体液産生を減少させ、ぶどう膜強膜流出を増加させる二重機序で作用する、ブリモニジン(アルファガン)のようなα−アドレナリンアゴニスト。
4.小柱網および場合により恐らくβ−アゴニスト作用によるぶどう膜強膜流出経路を介する体液の流出を増大する、エピネフリンおよびジピベフリン(プロピン)のような低選択性(less−selective)交感神経刺激剤。
5.毛様筋の収縮、小柱網の引き締め、および房水の流出増大によって作用する、ピロカルピンのような縮瞳薬(副交感神経興奮薬)。
6.毛様体における炭酸脱水酵素の阻害により房水の分泌を低下させる、ドルゾラミド(トルソプト)、ブリンゾラミド(エイゾプト)、アセタゾラミド(ダイアモックス)のような炭酸脱水酵素阻害剤。
7.緑内障および胃排出遅延の処置にも用いられる、フィゾスチグミン。
【0085】
例えば、本発明は、本発明のPDE1阻害剤、ならびに(i)プロスタノイド、ウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプラスト、またはビマトプラスト;(ii)ブリモニジン、アプラクロニジン、またはジピベフリンのようなアルファアドレナリンアゴニスト、および(iii)ピロカルピンのようなムスカリンアゴニストから選択される薬剤、を含む医薬組成物を提供する。例えば、本発明は、遊離形または眼科的に許容される塩形態の、本発明のPDE−1阻害剤をビマトプラスト、アブリモニジン(abrimonidine)、ブリモニジン、チモロール、またはそれらの組合せと共に、眼科的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連して含む、眼科用製剤を提供する。しかしながら、組合せの選択に加えて、当業者は、適当な選択的受容体サブタイプアゴニストまたはアンタゴニストを選択し得る。例えば、αアドレナリンアゴニストに関して、当業者は、αアドレナリン受容体に選択的なアゴニスト、または例えばブリモニジンのようなαアドレナリン受容体に選択的なアゴニストを選択し得る。βアドレナリン受容体アンタゴニストに関して、当業者は、適当な治療用途に応じてβ、β、またはβの何れかに選択的なアンタゴニストを選択し得る。当業者はまた、M−Mのような特定の受容体サブタイプに選択的なムスカリンアゴニストを選択し得る。
【0086】
PDE1阻害剤は、点眼液、クリームまたは軟膏を含む、眼科用組成物の形態で投与され得る。該眼科用組成物は、眼圧低下剤をさらに含み得る。
【0087】
さらに別の例において、開示したPDE−1阻害剤は、閾値以下の量の、ビマトプラスト点眼液、酒石酸ブリモニジン点眼液、または酒石酸ブリモニジン/マレイン酸チモロール点眼液であり得る眼圧低下剤を組み合わされ得る。
【0088】
上記の方法に加えて、PDE1阻害剤が、精神病、例えば、幻覚、偏執性妄想または異常な妄想、または支離滅裂な会話および思考、例えば、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病のような精神病的症状により特徴付けられる何れかの状態の処置に有用であることもまた、驚くべきことに発見されている。理論に捕らわれることなく、クロザピンのような定型および非定形の抗精神病薬は、主にドーパミンD2受容体でそれらのアンタゴニスト活性を有すると考えられている。しかしながら、PDE1阻害剤は、主として、ドーパミンD1受容体でのシグナル伝達の増強に作用する。D1受容体シグナル伝達の増強により、PDE1阻害剤は、種々の脳領域、例えば、側坐核ニューロンおよび前頭前皮質においてNMDA受容体機能を増強し得る。この機能強化は、例えば、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体で見られ、例えば、Srcおよびキナーゼのタンパク質キナーゼAファミリーの活性化により起こり得る。
【0089】
故に、本発明は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明のホスホジエステラーゼ−1(PDE1)阻害剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、精神病、例えば、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病の新規な処置方法を提供する。
【0090】
PDE1阻害剤は、単一治療剤として上記の予防的処置法に用いられ得るが、他の活性剤と組み合わせて、または同時に投与しても用いられ得る。故に、本発明は、治療的有効量の、以下:
(i)遊離形または薬学的に許容される塩形態の、本発明のPDE1阻害剤;ならびに
(ii)抗精神病薬、例えば、
定型の抗精神病薬、例えば、
ブチロフェノン、例えば、ハロペリドール(Haldol, Serenace)、ドロペリドール(Droleptan);
フェノチアジン、例えば、クロルプロマジン(Thorazine, Largactil)、フルフェナジン(Prolixin)、ペルフェナジン(Trilafon)、プロクロルペラジン(Compazine)、チオリダジン(Mellaril, Melleril)、トリフルオペラジン(Stelazine)、メソリダジン、ペリシアジン、プロマジン、トリフルプロマジン(Vesprin)、レボメプロマジン(Nozinan)、プロメタジン(Phenergan)、ピモジド(Orap);
チオキサンテン、例えば、クロルプロチキセン、フルペンチキソール(Depixol, Fluanxol)、チオチオチキセン(Navane)、ズクロペンチキソール(Clopixol, Acuphase);
非定型の抗精神病薬、例えば、
クロザピン(クロザリル)、オランザピン(ジプレキサ)、リスペリドン(リスパダール)、クエチアピン(セロクエル)、ジプラシドン(ジオドン)、アミスルプリド(ソリアン)、パリペリドン(インヴェガ)、アリピプラゾール(エビリファイ)、ビフェプルノックス;ノルクロザピン、
を、それを必要とする患者に、同時、逐次または共投与することを含む、精神病、例えば、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、または躁病の処置法をさらに含む。
【0091】
特定の態様において、本発明の化合物は、特に統合失調症の処置または予防に有用である。
【0092】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の、本発明の化合物は、特にパーキンソン病、統合失調症、ナルコレプシー、緑内障および女性性機能障害の処置に有用である。
【0093】
さらに別の局面において、本発明は、有効量のプロスタグランジン類似体、例えばビマトプラストを、有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明のPDE1阻害剤と、一時に、同時に、または連続して、それを必要とする患者の眼に投与することにより、まつげの伸張または成長促進の方法を提供する。
【0094】
さらに別の局面において、本発明は、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、外傷性脳傷害の処置方法を提供する。外傷性脳傷害(TBI)には、局所性およびびまん性脳損傷の両方を含む、原発性傷害ならびに続発性傷害が含まれる。続発性損傷は、炎症性応答により起こされるか、または悪化され、かつ最初の(原発性)傷害の後に進行する、別個の細胞内過程(例えば、活性酸素種による毒性、グルタミン酸受容体の過剰刺激、カルシウムの過剰流入ならびに炎症性上方制御)から生じる生物学的反応の、複数の、並列の、相互作用および相互依存的カスケードである。異常なカルシウムホメオスタシスは、灰白質および白質の両方における続発性傷害の進行の重要な要素であると考えられている。TBIに関しては、引用によりその全体が本明細書中に包含されるPark et al., CMAJ (2008) 178(9):1163−1170を参照のこと。研究は、cAMP−PKAシグナル伝達カスケードが、TBI後に下方制御され、cAMPレベルを上昇または回復するロリプラムのようなPDE−IV阻害剤の処置が、組織病理学的結果を改善し、TBI後の炎症を減少させることを明らかにした。本発明の化合物はPDE1阻害剤であるため、これらの化合物はまた、例えば、外傷性脳傷害後のcAMPレベルおよび/またはカルシウムホメオスタシスの回復により、TBIの処置にも有用であると考えられる。
【0095】
本発明はまた、
(i)医薬としての使用のための、例えば、何れかの方法または上記の何れかの疾患もしくは状態の処置における使用のための、本発明の化合物
(ii)上記の何れかの疾患または状態の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、
(iii)本発明の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と組合せて、または関連させて含む医薬組成物、および
(iv)上記の何れかの疾患または状態の処置に用いるために、本発明の化合物を薬学的に許容される希釈剤または担体と組合せて、または関連させて含む医薬組成物
を提供する。
【0096】
故に、本発明は、以下の疾患:パーキンソン病、下肢静止不能症、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬剤誘発性運動障害;鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知障害、認知症(dementia)、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬の使用中止および/または薬物中毒;脳血管疾患、卒中、鬱血性心疾患、高血圧、肺高血圧および/または性機能障害;喘息、慢性閉塞性肺疾患、および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または、女性性機能障害、運動性無月経(exercise amenorrhoea)、無排卵、閉経、更年期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘導性子宮内膜増殖症または癌腫;および/または、PDE1発現細胞における、cAMPおよび/またはcGMPの低レベル(または、cAMPおよび/もしくはcGMPシグナル伝達経路の阻害)および/または減少したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる何らかの疾患または状態;および/または、プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る何らかの疾患もしくは状態の、有効量の本発明の化合物、または本発明の化合物を含む医薬組成物を、かかる処置を必要とする患者に投与することを含む、処置または予防のための医薬の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物の使用を提供する。
【0097】
本発明はまた、以下:
a)緑内障または高眼圧、
b)精神病、例えば、幻覚、偏執性妄想または異常な妄想、または支離滅裂な会話および思考、例えば、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病のような精神病的症状により特徴付けられる何れかの状態、または
c)外傷性脳傷害
の処置または予防的処置のための医薬の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物の使用を提供する。
【0098】
用語“本発明の化合物”または“本発明のPDE1阻害剤”は、本明細書に記載の何れか、および全ての化合物を包含する。
【0099】
用語“処置”および“処置する”は、疾患の症状の予防および処置または改善ならびに疾患の原因の処置を包含することが理解されるべきである。
【0100】
処置方法に関して、用語“有効量”は、特定の疾患または障害を処置するために治療的有効量を含むことを意図する。
【0101】
用語“肺高血圧”とは、肺動脈高血圧を含むことを意図する。
【0102】
用語“患者”は、ヒトまたは非ヒト(すなわち、動物)患者が含まれる。特定の態様において、本発明は、ヒトおよび非ヒトの両方を包含する。別の態様において、本発明は、非ヒトを含む。他の態様において、該用語はヒトを包含する。
【0103】
本明細書に用いる用語“含む”は、それに制限されないことを意図し、さらなる記載されていない要素または工程を除くことを意図しない。
【0104】
本発明の化合物は、特に、パーキンソン病、ナルコレプシーおよび女性性機能障害の処置に有用である。
【0105】
本発明の化合物は、単一の治療剤として用いられ得るが、他の活性剤と併用して、または同時投与でも用いられ得る。例えば、本発明の化合物は、ドーパミンのようなD1アゴニストの活性を増強するため、それらは、例えば、パーキンソン病罹患患者の処置において、レボドパおよびレボドパ補助薬(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミンアゴニスト、ならびに抗コリン剤のような常用のドーパミン作動薬と同時に、連続して、または一時に投与され得る。加えて、新規の本発明のPDE1阻害剤、例えば、本明細書に記載の本発明の化合物もまた、エストロゲン/エストラジオール/エストリオールおよび/またはプロゲステロン/プロゲスチンと併用投与されて、ホルモン補充療法またはエストロゲン誘発性子宮内膜増殖症もしくは癌腫の処置の有効性を増強し得る。
【0106】
本発明の実施に用いられる投与量は、もちろん、例えば処置すべき特定の疾患または状態、用いられる特定の本発明の化合物、投与方法、および所望の治療によって変わり得る。本発明の化合物は、経口的、非経腸的、経皮的、または吸入を含む何らかの適当な経路で投与されてよく、好ましくは経口投与される。一般的に、例えば上記の疾患の処置について満足のいく結果は、約0.01ないし2.0mg/kg量の投与量で経口投与して得られることが示される。従って、より大型哺乳動物、例えばヒトにおいて、経口投与のための表示される1日投与量は、約0.75ないし150mgの範囲で、都合よくは1日1回もしくは分割用量で2ないし4回、または持続放出形態で投与され得る。故に、経口投与のための単回投与量形態は、例えば、約0.2ないし75または150mg、例えば約0.2または2.0から、50、75または100mgまでの本発明の化合物を、その薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含み得る。
【0107】
本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤および製剤分野で公知の技術を用いて製造され得る。故に、経口投与量形態には、錠剤、カプセル剤、溶液、懸濁液などが含まれ得る。
【実施例】
【0108】
実施例
本発明の種々の化合物の合成方法を以下に記載する。他の本発明の化合物およびそれらの塩は、以下の方法と同様の方法を用いて、および/または発明の詳細な説明に一般的に記載の方法と同様の方法および化学分野で公知の方法により、製造され得る。
【0109】
実施例1:
2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化23】

【0110】
1)2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
5−メチル−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(200mg、0.847mmol)、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(202mg、0.847mmol)およびKCO(117mg、0.847mmol)を、5mLの無水DMF中に懸濁する。反応混合物を、室温で5時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発乾固させる。残渣を水で処理し、次いでジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次いで蒸発乾固させて、337mgの粗生成物を得て、それをさらなる精製なしに次工程に用いる。MS (ESI) m/z 394.2 [M+H]
【0111】
2)2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(52mg、0.132mmol)および二硫化メチル(12μL、0.13mmol)を、2mLの無水CHCl中に溶解し、次いで、THF中、1.0M LiHMDS(190μL、0.19mmol)を滴下する。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチする。常套の後処理後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物をオフホワイト色固体として得る。MS (ESI) m/z 440.2 [M+H]
【0112】
実施例2:
5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化24】


この化合物の合成方法は、実施例1と同様であり、工程1で、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに1−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いる。MS (ESI) m/z 441.2 [M+H]
【0113】
実施例3:
5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化25】


この化合物の合成方法は、実施例1と同様であり、工程1で、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに1−(ブロモメチル)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンを用い、そして工程2で、二硫化メチルの代わりに二硫化フェニルを用いる。MS (ESI) m/z 503.2 [M+H]
【0114】
実施例4:
2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化26】


この化合物の合成方法は、実施例1と同様であり、工程1で、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに4−メトキシ臭化ベンジルを用い、そして工程2で、二硫化メチルの代わりに二硫化フェニルを用いる。MS (ESI) m/z 465.2 [M+H]
【0115】
実施例5:
2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化27】


2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(2.7g、5.9mmol)を、TFA(4.2mL)およびTFMSA(1.0mL)を含むCHCl(20mL)中に溶解する。混合物を、室温で一晩撹拌する。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(250mL)中に溶解し、次いで飽和NaHCOおよび水で順に洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、有機層を蒸発乾固させる。得られた粗生成物を、さらに精製することなく次工程に用いる。
【0116】
粗5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(40mg、0.12mmol)、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール(28mg、0.12mmol)およびKCO(16mg、0.12mmol)を、5mLの無水DMF中に懸濁する。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで減圧下で蒸発乾固させる。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を白色固体として得る。MS (ESI) m/z 502.2 [M+H]
【0117】
実施例6:
2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化28】


この化合物の合成方法は、実施例1と同様であり、工程1で、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに4−メトキシ臭化ベンジルを用いる。MS (ESI) m/z 403.2 [M+H]
【0118】
実施例7:
2−(4−(1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化29】


この化合物の合成方法は、実施例5と同様であり、ここで、2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンの代わりに2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンを用い、そして1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−ピラゾールを用いる。MS (ESI) m/z 439.2 [M+H]
【0119】
実施例8:
5−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化30】


この化合物の合成方法は、実施例5と同様であり、ここで、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに1−(ブロモメチル)−4−(メチルスルホニル)ベンゼンを用いる。MS (ESI) m/z 513.2 [M+H]
【0120】
実施例9:
5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2−(4−(ピリジン−2−イル)ベンジル)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化31】


この化合物の合成方法は、実施例1と同様であり、工程1で、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに2−(4−(ブロモメチル)フェニル)ピリジンを用い、工程2で、二硫化メチルの代わりに二硫化フェニルを用いる。MS (ESI) m/z 512.3 [M+H]
【0121】
実施例10:
5−メチル−2−(4−(1−メチルピペリジン−2−イル)ベンジル)−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化32】


この化合物の合成方法は、実施例5と同様であり、ここで、1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに2−(4−(クロロメチル)フェニル)−1−メチルピペリジンを用いる。MS (ESI) m/z 532.3 [M+H]
【0122】
実施例11:
5−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化33】


この化合物の合成方法は、実施例5と同様であり、ここで、2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンの代わりに2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンを用い、そして1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに1−(ブロモメチル)−4−(メチルスルホニル)ベンゼンを用いる。MS (ESI) m/z 451.1 [M+H]
【0123】
実施例12:
5−メチル−3−(メチルスルフィニル)−2−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化34】


5−メチル−2−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(11.4mg、0.022mmol)を、CHCl(200μL)およびCHCN(100μL)中に溶解し、次いで、30% H水溶液(75μL、0.66mmol)を添加し、次いで酢酸(6.6mg、0.11mmol)を添加する。反応混合物を室温で週末中撹拌し、次いで準分取HPLCにより精製して、6mgの生成物を白色固体として得る。MS (ESI) m/z 467.1 [M+H]
【0124】
実施例13:
2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルスルフィニル)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化35】


2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン(16mg、0.036mmol)を、CHCl(500μL)およびMeOH(500μL)中に溶解し、次いで、オキソン水溶液(22.4mg、0.036mmol)を添加する。反応混合物を室温で2日間撹拌し、次いで準分取HPLCにより精製して、8mgの生成物をオフホワイト色固体として得る。MS (ESI) m/z 456.2 [M+H]
【0125】
実施例14:
2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルスルホニル)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化36】


この化合物の合成方法は、実施例13と同様である。2−(4−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ベンジル)−5−メチル−3−(メチルスルホニル)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンが、その反応の微量生成物として得られる。MS (ESI) m/z 472.2 [M+H]
【0126】
実施例15:
5−メチル−2−(4−(1−メチルピペリジン−2−イル)ベンジル)−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオン
【化37】


この化合物の合成方法は、実施例5と同様であり、ここで、2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−7−ネオペンチル−3−(フェニルチオ)−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンの代わりに2−(4−メトキシベンジル)−5−メチル−3−(メチルチオ)−7−ネオペンチル−2H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6(5H,7H)−ジオンを用い、そして1−(4−(ブロモメチル)フェニル)−1H−1,2,4−トリアゾールの代わりに2−(4−(クロロメチル)フェニル)−1−メチルピペリジンを用いる。MS (ESI) m/z 439.2 [M+H]
【0127】
実施例16
IMAPホスホジエステラーゼアッセイキットを用いる、インビトロでのPDE1B阻害の測定
ホスホジエステラーゼ1B(PDE1B)は、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を5’−グアノシン一リン酸(5’−GMP)に変換するカルシウム/カルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼ酵素である。PDE1Bはまた、蛍光分子cGMP−フルオレセインのような修飾cGMP基質を、対応するGMP−フルオレセインに変換し得る。cGMP−フルオレセインからのGMP−フルオレセインの産生は、例えばIMAP(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)固定化金属親和性粒子試薬を用いて定量され得る。
【0128】
簡単には、IMAP試薬は、GMP−フルオレセインに見出され、cGMP−フルオレセインに見出されない、遊離5’−ホスフェートに高親和性で結合する。得られるGMP−フルオレセイン−IMAP複合体は、cGMP−フルオレセインに大きく相関する。大きな、ゆっくり崩壊する複合体中に結合された小さいフルオロフォアは、それらが発光するとき放出される光子が、蛍光を励起するのに用いられるのと同じ極性を有するため、非結合フルオロフォアと区別され得る。
【0129】
ホスホジエステラーゼアッセイにおいて、IMAPと結合不可能であり、故に、ほとんど蛍光偏光を有しないcGMP−フルオレセインは、IMAPと結合したとき、GMP−フルオレセインに変換され、蛍光偏光(Δmp)の大幅な増加が得られる。故に、ホスホジエステラーゼの阻害は、Δmpの減少として検出される。
【0130】
酵素アッセイ
材料:全ての化学物質は、Molecular Devices(Sunnyvale, CA)により市販されるIMAP試薬(反応緩衝液、結合緩衝液、FL−GMPおよびIMAPビーズ)を除いて、Sigma−Aldrich(St. Louis, MO)により市販される。
アッセイ:3’,5’−環状ヌクレオチド特異的ウシ脳ホスホジエステラーゼ(Sigma, St. Louis, MO)は、50%グリセロールで2.5U/mlに再構成される。1ユニットの酵素は、pH7.5、30℃で、1分当たり、1.0μmoleの3’,5’−cAMPを5’−AMPに加水分解し得る。1部の酵素を1999部の反応緩衝液(30μM CaCl、10U/mlのカルモジュリン(Sigma P2277)、10mM Tris−HCl pH7.2、10mM MgCl、0.1%BSA、0.05%NaN)に添加して、最終濃度1.25mU/mlを得る。99μlの希釈した酵素溶液を平底96ウェルのポリスチレンプレートの各ウェルに添加し、そこに100%DMSO中に溶解した1μlの試験化合物を添加する。選択した本発明の化合物を酵素と混合し、室温で10分間、予めインキュベートする。
【0131】
FL−GMP変換反応は、384ウェルマイクロタイタープレート中、4部の酵素および1部の基質溶液(0.225μM)中、阻害剤混合物を合わせて開始される。反応液は、暗所にて室温で15分間インキュベートする。反応を、384ウェルプレートの各ウェルに60μlの結合試薬(1:1800希釈の消泡剤を添加した結合緩衝液中、1:400希釈のIMAPビーズ)を添加して停止させる。プレートを室温で1時間インキュベートし、IMAP結合を完了まで促進させ、次いで、Envisionのマルチモードマイクロプレートリーダー(PerkinElmer, Shelton, CT)に入れて、蛍光偏光(Δmp)を測定する。
【0132】
低下したΔmpとして測定されるGMP濃度の減少は、PDE活性の阻害の指標である。IC50値は、0.0037nMないし80,000nMの範囲の8ないし16種の濃度での化合物の存在下で酵素活性を測定し、次いで、IC50値を非線形回帰ソフトウェア(XLFit; IDBS, Cambridge, MA)を用いて概算するのを可能にする、ΔmPに対する薬剤濃度をプロットして決定される。
【0133】
本発明の化合物は、PDE1阻害活性に関して、本明細書に記載のアッセイまたはそれと同様のアッセイで試験され得る。本発明の例示的化合物は、一般的に、PDE1Aに対して、5μM未満、1μM未満、250nM未満のIC50を有する。
【0134】
実施例17
雌ラットにおける性反応に対するPDE1阻害剤の効果
雌ラットにおける脊柱前弯応答に対するPDE1阻害剤の効果は、Mani, et al., Science(2000) 287: 1053に記載の通りに測定される。卵巣摘除し、挿管した野生型ラットを2μgのエストロゲンで刺激し、次いで24時間後に、プロゲステロン(2μg)、本発明のPDE1阻害剤(0.1mg、1.0mgまたは2.5mg)またはゴマ油ビヒクル(対照)を脳室内(icv)注入して刺激する。該ラットを雄ラットの存在下で脊柱前弯応答について試験する。脊柱前弯応答を、前弯指数(lordosis quotient)(LQ=前弯症数/10マウント×100)により定量する。0.1mgの本発明の化合物を投与されたエストロゲン前処理雌ラットのLQは、プロゲステロンを投与されたエストロゲン前処理ラットと同程度であり、ビヒクルを投与されたエストロゲン前処理ラットよりも高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離形または塩形態の、式II:
【化1】


[式中、
(i)Lは、S、SOまたはSOであり;
(ii)Rは、HまたはC1−6アルキル(例えば、メチルまたはエチル)であり;
(iii)Rは、
H、
1−6アルキル(例えば、イソプロピル、イソブチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル){ここで、該アルキル基は、所望によりハロ(例えば、フルオロ)またはヒドロキシで置換されていてよい。}、例えば、1−ヒドロキシプロパン-2−イル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、
所望により1個以上のアミノ(例えば、−NH)で置換されていてよい−C0−4アルキル−C3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、例えば、2−アミノシクロペンチルまたは2−アミノシクロヘキシル{ここで、該シクロアルキルは、所望によりNおよびOから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、かつ所望によりC1−6アルキル(例えば、1−メチル−ピロリジン−2−イル、1−メチル−ピロリジン−3−イル、1−メチル−ピロリジン−2−イル−メチルまたは1−メチル−ピロリジン−3−イル−メチル)で置換されていてよい。}、
所望によりC1−6アルキル(例えば、メチル)で置換されていてよいC3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、例えば、ピロリジン−3−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−3−イル、
3−8シクロアルキル−C1−6アルキル(例えば、シクロプロピルメチル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル)、
−N(R14)(R15)−C1−6アルキル(例えば、2−(ジメチルアミノ)エチル、2−アミノプロピル)、
ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、1−ヒドロキシプロプ−2−イル)、
アリールC0−6アルキル(例えば、ベンジル)、
ヘテロアリールC1−6アルキル(例えば、ピリジニルメチル)、
1−6アルコキシアリールC1−6アルキル(例えば、4−メトキシベンジル);
−G−J〔式中、
Gは、単結合、またはアルキレン(例えば、メチレン)であり;
Jは、所望によりC1−6アルキルで置換されていてよいシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル(例えば、オキセタン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリジン−2−イル)、例えば、1−メチルピロリジン−2−イルである。〕であり;
(iv)Rは、式IIのピラゾロ部分上の窒素の1つに結合し、式A
【化2】


〔式中、X、YおよびZは、独立して、NまたはCであり、R、R、R11およびR12は、独立して、Hまたはハロゲン(例えば、ClまたはF)であり;そして、R10は、
ハロゲン、
1−6アルキル、
3−8シクロアルキル、
ヘテロC3−8シクロアルキル(例えば、ピロリジニルまたはピペリジニル)、
ハロC1−6アルキル(例えば、トリフルオロメチル)、
アリール(例えば、フェニル)、
ヘテロアリール(例えば、ピリジル(例えば、ピリド−2−イル)または例えば、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾール−4−イル)、ジアゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル)、テトラゾリル(例えば、テトラゾール−5−イル)、アルコキサジアゾリル(例えば、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール)、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−1−イル)、
アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル)、
アリールカルボニル(例えば、ベンゾイル)、または
ヘテロアリールカルボニル、
アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)、
アミノカルボニルであり;
好ましくは、R10は、フェニル、ピリジル、例えば、2−ピリジル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり、
ここで、該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは、所望により1個以上のハロ(例えば、FまたはCl)、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、および/または−SHで置換されていてよい。
ただし、X、YまたはZが窒素であるとき、R、RまたはR10は、それぞれ存在しない。〕
で示される部分であり;
(v)Rは、
H、
1−6アルキル(例えば、メチル、イソプロピル)、
3−8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル)、
3−8ヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジン−3−イル)、
アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリド−4−イル,ピリド−2−イルまたはピラゾール−3−イル){ここで、該アリールまたはヘテロアリールは、所望によりハロ(例えば、4−フルオロフェニル)、ヒドロキシ(例えば、4−ヒドロキシフェニル)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは別のアリール基(例えば、ビフェニル−4−イルメチル)で置換されていてよい。}であり;
(vi)R14およびR15は、独立して、HまたはC1−6アルキルである。]
で示される化合物。
【請求項2】
遊離形または塩形態の、以下
【化3】


【化4】


から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
遊離形または塩形態の、以下:
【化5】


【化6】


の何れかから選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と混合して含む、医薬組成物。
【請求項5】
以下の状態:パーキンソン病、下肢静止不能症、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬剤誘発性運動障害;鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬の使用中止、および/または薬物中毒;脳血管疾患、卒中、鬱血性心疾患、高血圧、肺高血圧、および/または性機能障害;喘息、慢性閉塞性肺疾患、および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または、女性性機能障害、運動性無月経、無排卵、閉経、更年期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘導性子宮内膜増殖症もしくは癌腫;および/または、PDE1発現細胞における、cAMPおよび/もしくはcGMPの低レベル(または、cAMPおよび/もしくはcGMPシグナル伝達経路の阻害)、および/または減少したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる何らかの疾患または状態;および/または、プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る何らかの疾患もしくは状態の何れかの処置方法であって、有効量の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物または請求項4記載の医薬組成物を、かかる処置を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項6】
該状態がパーキンソン病である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
該状態が認知障害である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
該状態がナルコレプシーである、請求項5記載の方法。
【請求項9】
中枢神経系刺激剤、モダフィニル、抗鬱剤、およびガンマヒドロキシ酪酸から選択される1個または複数個の化合物を、それを必要とする患者に投与することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
該状態が女性性機能障害である、請求項5記載の方法。
【請求項11】
エストラジオール、エストリオール、エストラジオールエステル、プロゲステロンおよびプロゲスチンからなる群から選択される1個または複数個の化合物を、それを必要とする患者に投与することをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
眼科用に適合性の担体中、治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を、かかる処置を必要とする患者の眼に局所投与することを含む、緑内障または高眼圧の処置方法。
【請求項13】
治療的有効量の、遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、精神病、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病の処置のための方法。
【請求項14】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の、請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、外傷性脳損傷の処置のための方法。
【請求項15】
有効量のプロスタグランジン類似体、例えばビマトプラストを、有効量の、遊離形または塩形態の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物と、一時に、同時に、または連続して投与することによる、まつげの伸張または成長促進方法。
【請求項16】
以下の疾患:パーキンソン病、下肢静止不能症、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬剤誘発性運動障害;鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬の使用中止、および/または薬物中毒;脳血管疾患、卒中、鬱血性心疾患、高血圧、肺高血圧、および/または性機能障害;喘息、慢性閉塞性肺疾患、および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または、女性性機能障害、運動性無月経、無排卵、閉経、更年期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘導性子宮内膜増殖症もしくは癌腫;および/または、PDE1発現細胞における、cAMPおよび/もしくはcGMPの低レベル(または、cAMPおよび/もしくはcGMPシグナル伝達経路の阻害)、および/または減少したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる何らかの疾患または状態;および/または、プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る何らかの疾患もしくは状態、の処置または予防的処置のための医薬の製造のための、請求項1−3のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項17】
緑内障または高眼圧;
精神病、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病;
外傷性脳損傷;
から選択される疾患または状態の処置または予防的処置のための医薬の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物または請求項4記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
パーキンソン病、下肢静止不能症、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬剤誘発性運動障害;鬱病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、双極性障害、不安、睡眠障害、ナルコレプシー、認知障害、認知症、トゥーレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬の使用中止、および/または薬物中毒;脳血管疾患、卒中、鬱血性心疾患、高血圧、肺高血圧、および/または性機能障害;喘息、慢性閉塞性肺疾患、および/またはアレルギー性鼻炎、ならびに自己免疫性および炎症性疾患;および/または、女性性機能障害、運動性無月経、無排卵、閉経、更年期症状、甲状腺機能低下症、月経前緊張症、早産、不妊症、不規則な月経周期、異常子宮出血、骨粗鬆症、多発性硬化症、前立腺肥大、前立腺癌、甲状腺機能低下症、エストロゲン誘導性子宮内膜増殖症もしくは癌腫;および/または、PDE1発現細胞における、cAMPおよび/もしくはcGMPの低レベル(または、cAMPおよび/もしくはcGMPシグナル伝達経路の阻害)、および/または減少したドーパミンD1受容体シグナル伝達活性により特徴付けられる何らかの疾患または状態;および/または、プロゲステロンシグナル伝達の増強により改善され得る何らかの疾患もしくは状態、
緑内障または高眼圧;
精神病、統合失調症、統合失調性情動障害、統合失調症様障害、精神異常、妄想性障害、ならびに急性躁病的症状および双極性障害のような躁病;ならびに
外傷性脳損傷;
から選択される何れかの疾患または状態の処置における使用のための、遊離形または薬学的に許容される塩形態の請求項1−3のいずれか一項記載の化合物を、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて、または関連して含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2012−510995(P2012−510995A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539522(P2011−539522)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/006443
【国際公開番号】WO2010/065152
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(507401225)イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
【Fターム(参考)】