説明

有機半導体とその製造

本発明は、式Iおよび式XXIの化合物を含む半導体素子(各記号は、本明細書中で定義された意味を有する)に関し、式Iおよび式XXIの新規な化合物に関し、電子素子、および別の化合物および素子、ならびに、本明細書で与えられた別の実施形態の作製のための、そのような化合物の、有機半導体としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ヘテロ原子を有する三環式または多環式の芳香族炭化水素主鎖を有し、主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに有機半導体として特定の点対称性群に属するという条件で、(式Iの環A、BおよびCで形成される環系を意味する)主鎖を構成する環が、それぞれ、多くて2個の共通に共有される環原子を介して互いにアニールされ、近接環の共通原子の数が、共通辺領域の数の2倍である(これは、環がオルトアニールされていることを意味する)、ビス(置換エチニル)化合物を含む半導体素子に関し、上記素子の製造工程に関し、上記工程および素子において特に有用として上記で定義された主鎖を有する新規なビス(置換エチニル)化合物に関し、そして、上記で定義されたように主鎖を有するビス(置換エチニル)化合物の使用(特に、電子素子の製造に用いられる有機半導体としての、新たな使用)に関する。本発明は更に、9,10−ビス−(ハロハイドロカルビル−エチニル)−アントラセンに関し、上記化合物アントラセンを含む半導体素子、上記化合物または素子の製造工程、およびこれらのアントラセンの半導体としての使用に関する。
【0002】
有機半導体素子(例えば、有機電界効果トランジスタ(OFET))は、今日では、従来の無機半導体に対する様々な優位性(例えば、低い製造コストや、フレキシブル基板との相性)が見込まれるとして、高い関心を集めている。特定のポリマー以外では、ペンタセンなどのいくつかの縮合芳香族化合物が、特に、高い電荷キャリア(電界効果)移動度、高いオン/オフ電流比、および/または低いサブスレショルド電圧で特徴づけられる、有用な半導体特性を示すことがわかっている。しかしながら、これらの有利な特徴は、薄膜素子の製造に蒸着が必要であること、あるいは、再結晶、相転移、または環境誘因による酸化性/加水分解性劣化のような作用のために安定性に欠けることなどの要因によって損なわれることが多い。
【0003】
理想的には、有機半導体は、スタンピング、スクリーン印刷、スピンコーティングなどのような廉価な方法による、広い面積の塗布に好適であるためには、有機(または無機)溶剤に溶けることが必要である。トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ピリジンなどのような、昔からある有機溶剤は、適切な溶剤である。
【0004】
有機半導体の特性を向上させるために、縮合芳香族の構造的修正が行われてきた。これは、主として、これらの化合物の可溶性を高めるためであり、その例が、ペンタセン(米国特許出願公開第2003/0144526号)、置換ペンタセン(米国特許出願公開第2003/0105365号、米国特許第6690029号)、ナフタレンのテトラカルボン酸ジイミド(米国特許第6252245号)、またはペリレン(米国特許第2002/0164835)に熱的に再変換されることが可能なDiels−Alder付加体である。国際公開第05/055248号も参照されたい。
【0005】
安定的で再現可能な電子的性能特性を提供することが可能であって、良好な電荷キャリア移動度を示し、同時に、低い製造コスト、または溶剤処理を可能にする有機半導体が必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、ヘテロ原子を有する三環式または多環式の芳香族炭化水素主鎖を有し、主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに(好ましくは)C2h、D2h、またはCの点対称性群に属するという条件で、主鎖を構成する環が、それぞれ、多くて2個の共通に共有される環原子を介して互いにアニールされ、近接環の共通原子の数が、共通辺領域の数の2倍である(これは、環がオルトアニールされていることを意味する)、ビス(置換エチニル)化合物が、良好な半導体特性を有し、したがって、ダイオード、太陽電池、OLED、または特に(薄膜トランジスタ(OTFT)として有利に製造される)有機電界効果トランジスタ(OFET)のような、対応する素子の中の有機半導体として利用されることが可能であることがわかった。明らかに、対象性は、(そのような説明が特になくても)良好なπスタッキングに起因する、特に興味深い特性、または他の、良好な半導体特性につながる特性をもたらす。やはり驚くべきことに、後述の式XXIのハロゲン化化合物も、良好な半導体特性を示す。
【0007】
したがって、本発明の対象は、主として、ヘテロ原子を有する三環式または多環式の芳香族炭化水素主鎖を有し、主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに、式Iを有する、(i)C2vと混合されたC2h、(ii)C2h、(iii)D2h、および/または(好ましくは、または)(iv)C点対称性群に属するという条件で、(式IまたはIAの環A、BおよびC、または式IBまたはICの中心環、およびその中の、それぞれ環BおよびCに対応する環から形成される主鎖全体の中に存在するアニールされた環(近接環)の各ペアまたは任意のペアの環を意味する(例えば、式IのA、BおよびCのそれぞれが単環式の環であれば、この種類のペアはCAおよびCB))主鎖を構成する環が、(それぞれが、上記で定義されたような環の各ペアの共通に共有される環原子を意味する)それぞれ、多くて2個の共通に共有される環原子を介して互いにアニールされ、(すべての環ペアのアニールされた環を意味する)近接環の共通原子の数が、共通辺領域の数の2倍である(これは、環がオルトアニールされていることを意味する)、ビス(置換エチニル)化合物を含む半導体素子に関し、
【0008】
【化20】


Aとラベル付けされた環は、6個の原子を有する芳香環であり、Bとラベル付けされた環は、部分式I(i)の、単環式または多環式(好ましくは、単環式、二環式、または三環式)の不飽和の環または環系またはフェロセノベンゾ(ferrocenobenzo)であり、
【0009】
【化21】


点線の結合は、式Iの中心環Aにアニールされたベンゾ環の辺を表し、それぞれが環Aにアニールされ、Cとマーキングされた環は、上記の部分式I(i)の、単環式または多環式(好ましくは、単環式、二環式、または三環式)の不飽和の環または環系またはフェロセノベンゾであり、それぞれが環Aにアニールされ、各々の環または環系BおよびCのそれぞれは、基=S、=O、または=C(NQを保持することも可能であり(これらの結束二重結合は、環二重結合との共役である)、各ケースにおいて「不飽和」に言及される場合、これは、最大限の数の共役二重結合を有することを意味し、環または環系BおよびCの少なくとも一方において、環Aに直接アニールされた(環または環系BおよびCを形成するか、その一部を形成する)各第1の環が6個の環原子を有する場合は、少なくとも1つの環原子が、P、Se、または好ましくは、N、NQ、OおよびSから選択されたヘテロ原子であり、
【0010】
Qは、水素および(好ましくは)非置換または置換ヒドロカルビル、非置換または置換ヒドロカルビルカルボニル、および非置換または置換ヘテロアリールから、独立して選択され、
【0011】
(置換しない限り環炭素原子に存在するであろう水素原子を置換する)置換基X、Y、およびZのうちの2つ(好ましくは、2つのY置換基)が置換エチニルであり、上記置換基は、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビル、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビルオキシ、最大40個の炭素原子を有するヒドロカルビルチオ、非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換ヘテロアリールオキシ、非置換または置換ヘテロアリールチオ、シアノ、カルバモイル(Halはハロゲン原子を表す)、置換アミノ、ハロ−C−C−アルキル(トリフルオロメチルなど)、ハロ、および置換シリルからなる群から選択され、
残りの置換基X、Y、および/またはZは、それらが存在する限り、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル、非置換または置換C−C14−アリール(特にフェニルまたはナフチル)、5〜14個の環原子を有する非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル(ベンジルなど))、非置換または置換ヘテロアリール−C−C20−アルキル(ヘテロアリールは5〜14個の環原子を有する)、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル(非置換またはペルフルオロC−C12−アルカノイルなど)、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイルおよび/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイルおよび/またはフェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、およびスルファモイルからなる群から選択される置換基であり、
(少なくとも、2つの置換エチニレン基が存在するように)m、nおよびpの和が少なくとも2であって、式Iの5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンが異性体的に純粋なC2h形式で存在するという条件で、nおよびpのそれぞれは0〜4であり、そして、mは0〜2である。
【0012】
好ましくは、前述の主鎖だけでなく、式I(特にIA、または、より好ましくは、後述のIBまたはIC)の分子全体が、C2h、D2h、またはC点対称性を有し、前述または後述の式I、IA、またはIBの分子の場合、C2h点対称性を有する化合物が、対応する、C2v対称性の異性体との混合のかたちで(例えば、重量比1:5〜5:1、好ましくは、1:2〜2:1で)存在することも可能であるが、C2h点対称性を有する、式I、IA、またはIBの化合物が、異性体的に純粋なC2h形式で、半導体素子内に存在することが好ましい。
【0013】
本発明のビス(置換エチニル)化合物は、[ビス(置換エチニル)]−置換化合物と呼ばれることも可能である。
【0014】
好ましい一実施形態では、nおよびpのそれぞれは0〜4であり、そして、mは2である。
【0015】
しかしながら、置換エチニルが、置換基Yおよび/またはZとして、それぞれ環または環系Bおよび/またはCに存在することも可能であり、その場合は、mがゼロであってもよい。このタイプの化合物は、本発明の別の好ましい実施形態を形成する。そのような化合物の例として、式IまたはI**の化合物がある。
【0016】
【化22】


ここで、XおよびZは、式Iの化合物に対して定義された置換エチニルである。
【0017】
好ましいのは、式IAの本発明に従う、式Iの(好ましくは異性体的に純粋な)ビス(置換エチニル)化合物である(これは、それ自体も本発明の実施形態であるが、特に、本発明による半導体素子の中において、本発明の実施形態である)。
【0018】
【化23】


ここで、
X、Z、並びにA、BおよびCとマーキングされた環、nおよびpは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、そして、YおよびY**は、前述または好ましくは後述の定義のように、置換エチニルから、独立して選択され、この化合物はまた、式Iの5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンが異性体的に純粋なC2h形式で存在するという条件で、式Iの化合物に対して既に与えられた点群および環結合の条件を満たす。
【0019】
本発明による、式Iの、更により好ましい(好ましくは異性体的に純粋な)ビス(エチニル)置換エチニル化合物が、式IBの化合物である。
【0020】
【化24】


ここで、DおよびEのそれぞれは、O、NQ、またはSからなる群から独立して選択されるヘテロ原子であり、X、Z、nおよびpは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、そして、YおよびY**は、置換エチニルから、独立して選択され、この化合物はまた、式Iの化合物に対して既に与えられた点群および環結合の条件を満たす。
【0021】
本発明による、式Iの、これも更により好ましい(好ましくは異性体的に純粋な)ビス(エチニル)置換エチニル化合物が、式ICの化合物である。
【0022】
【化25】


Gは、O、NQ、またはSからなる群から選択されるヘテロ原子であり、X、Z、nおよびpは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、そして、YおよびY**は、置換エチニルから、独立して選択され、この化合物はまた、式Iの化合物に対して既に与えられた点群および環結合の条件を満たす。
【0023】
有用な化合物、または本発明による化合物は、少なくとも三環式主鎖(すなわち、式IおよびIAの3つの環A、BおよびCが存在する主鎖)を有するが、これらは、より多くの環を含むことも可能であり、したがって、(例えば、式IBまたはICの化合物において示されるように)(例えば、最大12個、好ましくは最大8個、より好ましくは最大5個のアニールされた環を有する)多環式であることが可能である。
【0024】
これらの環は、すべての近接環ペアの共通原子の総数が共通辺領域の数の2倍になるように、式I、IA、IB、またはICの化合物の主鎖を構成する環ペアの1つに対し、多くて2個の炭素原子を介して、互いにアニールされる(そのような辺領域は、次の式では、式(AA)および式(BB)の矢印の先端で示され、共通環原子は文字Rで示される)。これは、例えば、式(AA)の化合物において示されるように(これが好ましい変形形態であることを意味しない)、これらすべての環が、オルトアニールされていることを意味し、
【0025】
【化26】


式(BB)の化合物におけるように、3個以上の共通環原子を介してアニールされるのではない(ここで、共通辺領域の数は、共通環原子の数の2倍より少ない)。
【0026】
【化27】

【0027】
置換エチニル基に言及される場合、これは、部分式−C≡C−Yaの基を意味するものとし、Yaは、置換エチニルについて前述または後述のように置換される。
【0028】
主鎖の点群の定義において、「非置換エチニル」に言及される場合、これは、部分式「−C≡C−H」の基を意味するものとする。
【0029】
主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに(好ましくは)C2h、またはD2hの点対称性群に属するという条件の意味は、以下のとおりである。
【0030】
(分子(好ましくは式I、IA、またはIBの分子全体)の(式Iの環A、BおよびCから、式IAおよびIBのBおよびCおよび中心環から形成される環系を意味する)主鎖ならびに(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基の最も好ましい対称性であり、そして、好ましくは式Iの分子全体の最も好ましい対称性である)クラスC2hの点対称性は、1つの2回対称回転軸と、この回転軸が垂直である鏡面とが存在することを意味する。例えば、下記の分子は、このタイプの対称性を示している(分子の中央の円矢印は、二価元素の中心軸のまわりの回転を示し、対称平面は、このページの面内にある)。
【0031】
【化28】

【0032】
(分子(好ましくは式I、IA、またはIBの分子全体)の(式Iの環A、BおよびCから、式IAおよびIBのBおよびCおよび中心環から形成される環系を意味する)主鎖ならびに(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基の別の非常に好ましい対称性であり、そして、好ましくは式Iの分子全体の別の非常に好ましい対称性である)クラスD2hの点対称性は、主軸である1つの2回対称回転軸、2回対称回転軸、主軸および主軸に垂直な1つの面を含む2つの鏡面が存在することを意味する。例えば、下記の分子は、このタイプの対称性を示している。
【0033】
【化29】

【0034】
(分子(好ましくは式I、IA、またはICの分子全体)の(式Iの環A、BおよびCから、式IAおよびICのBおよびCおよび中心環から形成される環系を意味する)主鎖ならびに(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基の更に別の非常に好ましい対称性であり、そして、好ましくは式Iの分子全体の更に別の非常に好ましい対称性である)クラスCの点対称性は、例えば、下記の分子におけるように、1つの鏡面だけが存在することを意味する。
【0035】
【化30】

【0036】
クラスC2vの点対称性は、1つの2回対称回転軸と、その2回対称回転軸を含む、2つの垂直な鏡面(すなわち、これらの面は回転軸と平行)とを有する分子を意味する。
【0037】
以下に記載の、式Iの化合物のいずれか1つ(式Iに対して定義されたシンボルを有するもので、好ましくは、好ましいものとして定義されたシンボルを有するもの)、それを含む半導体素子、または半導体におけるそれの使用が、本発明の特に好ましい実施形態を形成する。
− 前述または後述の、式I、IA、またはIBの分子の場合は、C2h点対称性を有する化合物が、対応するC2v対称性の異性体(ただし、異性体的に純粋なC2h形式で存在する、式Iの5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンを除く)との混合の形式で(例えば、重量比1:5〜5:1、好ましくは、1:2〜2:1で)存在する。
− 好ましいのは、異性体的に純粋な形式の、式I、IA、IBまたはICの化合物である。
より好ましいのは、以下のものである。
− 対応する、C2v点対称性の化合物(ただし、異性体的に純粋な、式Iの5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンを除く)との混合のかたちで、または、好ましくは異性体的に純粋な形式で、C2h対称性を有する、式Iの化合物、
− D2h対称性を有する、式Iの化合物、または
− C対称性を有する、式Iの化合物。
【0038】
本発明による分子が、(本質的に)異性体的に純粋な形式で存在すること、または異性体的に純粋であることは、式Iの(好ましくは式IAの、より好ましくは式IBまたはICの)化合物の、好ましくは構造異性に関する、より好ましくは構造異性および立体異性の両方に関する、最も好ましくは点対称性に関する、異性純度が、好ましくは、同じ分子の他の異性体の75%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更により好ましくは95%以上であり、最も好ましくは98%以上であることを意味する。本発明による半導体素子の他の部品(例えば、電極や基板など)は、もちろん、他の材料を含み、本質的な純度は、単に、そのような素子の特定の区画(例えば、膜層)に存在する、式Iの化合物に関するものにすぎない。式Iの化合物を有する半導体部品がそのような半導体素子内に複数存在する場合(例えば、異なる複数の層に存在する場合)、それらは、式Iの異なる化合物(例えば、導電性特性などが異なる)を含むことが可能である。
【0039】
一般に、5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェンが、異性体的に純粋なC2h形式で存在することは、この化合物が、C2v対称性を有する異性体(5,11−ビス(トリアルキルシリルエチニル)アントラ[2,3−b:7,6−b’]ジチオフェン)を不純物として、せいぜい25%、より好ましくは、せいぜい10%、更により好ましくは、せいぜい5%、更により好ましくは、2%以下、最も好ましくは、0.5%以下しか含まないことを意味する。対応する条件に言及される場合、これは、化合物が(それ自体で、または半導体素子のかたちで、またはその製造に関して)、(すぐ前の文で示されたように)C2v異性体を不純物として、ほとんど(または、実質的にまったく)含まない、異性体的に純粋なC2h形式で存在することを意味する。
【0040】
前または後の文(明細書および/または請求項)において式Iの化合物、式IAの化合物、式IBの化合物、または式ICの化合物が参照される場合、これは、好ましくは、前述または後述の、純度、点(対称性)群、および環のアニールのタイプの各条件を満たす化合物だけを含むものとする。
【0041】
式Iの化合物の環Aは、環炭素原子(好ましい。式IAを参照)のみを有するか、炭素原子の代わりに1つまたは複数の(例えば、最大2個の)Nヘテロ原子を含む、6個の原子を有し、かつ、最大限の数の共役二重結合(好ましくは、環または環系BおよびCにアニールされたベンゼン環)を有する、芳香環である。
【0042】
式IまたはIAにおいてBとマーキングされた環は、2個の共通環原子を介して環Aにアニールされた、単環式または多環式(好ましくは単環式または二環式)の不飽和の環または環系であり、これは、最大限の数の共役二重結合を保持し、その中には、環炭素原子の代わりに、好ましくは(ただし、必須ではなく)少なくとも1つのヘテロ原子が存在する。好ましくは、単環式または多環式の環または環系は、(それを介して環または環系が環Aにアニールされるところの環原子を含めて)4〜20個の、より好ましくは最大14個の環原子を有する。その1つまたは複数のヘテロ原子は(存在する場合には)、P、Se、または好ましくは、O、S、およびNまたはNQから選択される(Qは、式Iの化合物に対して定義されるとおりである)。
【0043】
式IまたはIAにおいてCとマーキングされた環または環系は、2個の共通環原子を介して環Aにアニールされた、単環式または多環式(好ましくは単環式または二環式)の不飽和の環または環系であり、これは、最大限の数の共役二重結合を保持し、その中には、少なくとも1つのヘテロ原子が存在する。好ましくは、単環式または多環式の環または環系は、(それを介して環または環系が環Aにアニールされるところの環原子を含めて)4〜20個の、より好ましくは最大14個の環原子を有する。その1つまたは複数のヘテロ原子は、P、Se、または好ましくは、O、S、およびNまたはNQから選択される(Qは、式Iの化合物に対して定義されるとおりである)。好ましい環は、式IまたはIAの、Aとマーキングされた環について前述された環であってよい。
【0044】
「環Aに直接アニールされた環または環系BおよびCを形成するか、その一部を形成する第1の環が、環または環系BおよびCの両方において6個の環原子を有する場合」という条件は、環Aに直接アニールされている(すなわち、融合している)BおよびCの両方の環が6個の環原子を有する場合には、前述の少なくとも1つのヘテロ環原子が、環または環系BまたはCの少なくとも一方に存在することを意味する。Bおよび/またはCが2個以上の環を含む場合、6個の環原子を有するこの環またはこれらの環は、Bおよび/またはCの、環Aに直接アニールされている部分である。これに対し、Aにアニールされているこれらの環の少なくとも1つが、7個、または、好ましくは5個の環原子を有する場合、BおよびCは、純粋に炭素環式であることができる(すなわち、ヘテロ原子の代わりにCQが存在することができる)。好ましいのは、Bおよび/またはCがヘテロ環原子を含む化合物である。
【0045】
好ましい単環式または多環式の環BおよびCの例を以下に示す(ここで、各環系の、点線の結合を有する辺は、環Aと共通の、環の辺を表し、式の下に点群クラスが与えられている場合、その点群クラスは、好ましい点群クラスであるにすぎず、環BおよびCは、同一であり、そして、中心環Aの対向する2つの辺と結合され、したがって、中心環Aは好ましい実施形態に関連付けられ、これらの単環式または多環式の環のそれぞれは、以下で定義されるように、非置換または置換であってよい)
【0046】
【化31】

【0047】
L=O、NH、NQ、SまたはCQであり、
【化32】


(後者は、本開示の命名法で言うところのフェロセノベンゾを表す)。
【0048】
更に、環Cが少なくとも1つのヘテロ原子を有する場合は、環Bも下記の式で表されることが可能である
【0049】
【化33】


(この場合も、破線は、分子の残り部分とアニールされた辺を表す)。
【0050】
Qに言及される場合、これは、Qおよび各環が、他とは独立して出現するたびに、XまたはZについての前述または後述の定義のように、水素または非置換または置換ヒドロカルビル、非置換または置換ヒドロカルビルカルボニル、または、非置換または置換ヘテロアリールに関連付けられる。好ましくは、Qは、水素、アリール(特にC−C14−アリール)、アリール−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル)、アルキル(特にC−C20−アルキル)、ヘテロアリール(特に、5〜14個の環原子を有し、N、OおよびSから選択される最大3個のヘテロ原子を有する、単環式、二環式、または三環式の環系の基)、ハロアルキル(特にペルフルオロ−C−C20−アルキル)から選択される。複数の部分Qが存在する場合、それぞれは、他と同じであっても異なっていてもよい。環または環系BおよびCは、非置換であっても、「置換部分」用置換基として後述される置換基から独立して選択される、1つまたは複数の(好ましくは最大3個の)置換基によって置換されてもよい。
【0051】
式Iまたは式IAでBおよびCとマーキングされた環は、同じであってもよく(好ましい。特に、C2hまたはD2h点対称性につながる)、異なっていてもよい(例えば、Cs対称性の場合)。
【0052】
各ケースにおいて、「不飽和」に言及された場合、これは、最大限の数の共役二重結合を有することを意味する。
【0053】
置換エチニルは、水素が前述の置換基のいずれかで置換されたエチニル(−C≡C−H)であり、好ましくは、一般的表現は、後述の、より詳細な定義で置き換えられることができる。
【0054】
(C−C40−ヒドロカルビルチオ、ヒドロカルビルオキシ、または(C−C40−)ヒドロカルビルカルボニル(=ヒドロカルビル−C(=O)−)にもある)C−C40−ヒドロカルビルは、好ましくは、(i)(完全に)不飽和、部分的に飽和(例えば、可能であれば、1つまたは複数の二重および/または三重結合を含む)、または完全に飽和であってよく、(ii)直鎖、分鎖、単環式または多環式(例えば、単環式、二環式、または三環式)、またはこれらの組み合わせであってよく、炭素を介して、またはオキソ基を保持する炭素を介して結合される、1〜40個の炭素原子を有する部分を意味し、特に、
−C40−アルキル(好ましくは、C−C20−アルキル)、
−C40−アルケニル(好ましくは、C−C20−アルケニル)、
−C40−アルキニル(好ましくは、C−C20−アルキニル)、
−C40−アルキルジエニル、
−C20−アリール(好ましくは、C−C14−アリール)、
−C40−(モノアルキル、ジアルキル、またはトリアルキル)−アリール、
−C40−アリールアルキル、
−C40−シクロアルキル、
−C40−シクロアルケニル、
フェロセニル
などからなる群から選択される非置換部分または置換部分から選択される部分を意味する。
【0055】
本開示において、(例えば、置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、またはヘテロアリールの)置換部分に言及された場合で、(例えば、後続の2つの段落におけるように)他の定義がなされない場合は、互いに独立して選択された1つまたは複数(特に、最大5個)が存在することが可能であり、あるいは、フッ素の場合には、対応する部分の最大ですべてのH原子がフッ素で置換されることが可能であり(例えば、ペルフルオロアルキルの場合)、置換基は、「一般的な置換基定義」が前述または後述される場合と同様に、好ましくは、置換シリル(後で定義される)、ホルミル、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル*、C−C20−アルキニル、C−C14−アリール(特に、フェニルまたはナフチル)、C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル)、5〜14個の環原子を有するヘテロアリール、ヘテロアリールが5〜14個の環原子を有するヘテロアリール−C−C20−アルキル、ハロ−C−C20−アルキル(例えば、ペルフルオロC−C20−アルキル)、C−C20−アルカノイル、ハロ−C−C20−アルキルカルボニル(=C−C20−C(=O)−)(例えば、ペルフルオロC−C20−アルキルカルボニル)、ハロ、ヒドロキシ、SH、C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、C−C20−アルクチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、C−C20−アルコキシ−カルボニル、フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ(あまり好ましくない)、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、ナフチル−C−C20−アルキル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、ナフチル−C−C20−アルキル、および/またはフェニル−C−C−アルキル)−カルバモイル、ニトロ、およびスルファモイルからなる群から選択される(アスタリスク()が付いた置換基は、Hの代わりに窒素と結合されることも可能である(例えば、ヘテロ環の環NHで置換することが可能である))。
【0056】
−C20−、C−C20−、またはC−C20−が使用される場合、これは、好ましくは、それぞれ、C−C−、C−C、またはC−C−に、あるいはC−C20−に関連付けられることが可能である。
【0057】
置換アミノの場合、置換基は、好ましくは、前述のように、それぞれが最大40個の炭素原子を有する、非置換または置換ヒドロカルビルから、または、カルボニル炭素に加えて最大40個の炭素原子を有する、非置換または置換ヒドロカルビルカルボニル(ヒドロカルビル−C(=O)−)から、または、非置換または置換ヘテロアリールから、または、非置換または置換ヘテロアリールカルボニルから選択される。
【0058】
置換シリルは、好ましくは、Siが、既に定義されたように、非置換または置換ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルオキシから選択された2つまたは好ましくは3つの部分によって置換されたものであるか(置換基は、好ましくは、置換シリル以外である)、非置換または置換ヘテロアリールによって置換されたものである。Siが置換基を2個だけ保持する場合、シリル基は、−SiH(R)のタイプであって、Rは、好ましくはヒドロカルビルである。より好ましいのは、3個のC−C20−アルキルまたは−アルコキシ置換基(特に、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、またはイソブチルのようなC−C−アルキル置換基)である。
【0059】
カルバモイルは、通常、残留−CO−NQを意味し、同様に、スルファモイルは、残留−S(O)−NQを意味する。
【0060】
エチニルを、非置換または置換C−C20−アルキル (1次、2次、または3次であってよい)、非置換または置換フェニル、非置換または置換(例えば、1−または2−)ナフチル、非置換または置換(例えば、1−、2−、または9−)アントラセニル、以下の表で与えられる中から選択された非置換または置換ヘテロアリール部分または置換シリル部分(各部分は、適切な任意の環原子を介して(好ましくは、アスタリスクが付いたもののいずれかによって)非置換エチニルの水素の代わりにエチニル部分に結合されることが可能である)で置換された置換エチニルが、特に好ましい。
【0061】
以下の表は、(前述のように、置換であっても非置換(好ましい)であってもよい)置換エチニルのためのいくつかの好ましい置換基を示す。
【0062】
【表2】



【0063】
この表では、Qは、式Iの化合物に対して既に定義されたとおりであり、特に、水素、アリール(特にC−C14−アリール)、アリールアルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル)、ヘテロアリール(特に、最大14個の環原子を有するヘテロアリール)、およびアルキル(特にC−C20−アルキル)から選択される。
【0064】
一般に、本発明による半導体素子の中には、バインダおよび/またはドーパントなどが存在することが可能であるが、好ましくは5%未満の量で(例えば、後で詳述される薄膜トランジスタの薄膜内に)存在することが可能である。可能なバインダについては、例えば、参照によって本明細書に組み込まれている国際公開第2005/055248号に、バインダおよび組成についての記載があり、そこでは、その中の式Aのポリアセンが、本明細書に記載されている式I(好ましくは、式IA、より好ましくは、式IBまたはIC)の化合物で置換される。
【0065】
本明細書で言及されるアルキル、アルケニル、またはアルキニルの部分は、直鎖であっても、(その中の炭素原子の数によって可能な範囲で)1回以上枝分かれしてもよい。好ましくは、それらは、最大20個の炭素原子を有し、別の好ましい実施形態では、最大8個の炭素原子を有する。
【0066】
したがって、アルキルという用語が使用される場合、これは、主にC−C20−アルキルを特に包含し、C−C20−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどである。アルコキシはアルキル−Oであり、アルキルチオはアルキル−S−である。
【0067】
アリールが(例えば、C−C14−アリールのかたちで)使用される場合、これは、好ましくは、最大限の数の二重結合を有する、単環式の環または多環式の環系(例えば、好ましくは、フェニル、ナフチル、アントラチニル(anthrachinyl)、アントラセニル、またはフルオレニル)を含む。
【0068】
ヘテロアリールは、好ましくは、P、Se、または好ましくは、N、NQ、OおよびSから選択される、1つまたは複数の(例えば、1〜3個の)ヘテロ環原子と、前述のように非置換であっても置換であってもよい最大20個の環原子(例えば、5〜14個の環原子)とを、後で定義されるQとともに有する、単環式または多環式(例えば、単環式、二環式、または三環式)の環または環系である。(前述のように、非置換であっても置換であってもよい)ヘテロアリールのいくつかの例を、以下の表に示す。
【0069】
【表3】




これらは、炭素環原子を介して結合されているか、
以下の部分から選択された部分を介して結合されている(好ましくは、アスタリスクが付いた炭素原子の1つを介して結合されている)。
【0070】
【化34】


(ここで、Qは、水素以外の、その意味のいずれかを有する)
【0071】
【化35】


(ここで、Qは、水素以外の、その意味のいずれかを有する)
【0072】
【化36】


(ここで、Qは、水素以外の、その意味のいずれかを有する)
【0073】
【化37】


ならびに、フェナントロリル、トリアジニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、またはチア−およびオキサジアゾリル
【0074】
【化38】


である。
【0075】
ハロゲンは(特に断らない限り)、I、Br、Cl、F、好ましくはCl、F、特にFを意味する。したがって、ハロは、ハロゲン置換基を意味する。ハロアルキルなどに言及された場合は、1つまたは複数のハロゲン置換基が(例えば、トリフルオロメチルのかたちで)存在することができる。
【0076】
本発明は、式XXIの化合物にも関する。
【0077】
【化39】


ここで、各Yは、他とは独立して、エチニルが、最大40個の炭素原子を有するハロ−置換ヒドロカルビルによって、またはヘテロアリールによって、置換されたものである。
【0078】
XおよびZは(それらが存在する場合には)、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル、非置換または置換C−C14−アリール(特にフェニルまたはナフチル)、5〜14個の環原子を有する非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル(ベンジルなど))、非置換または置換ヘテロアリール−C−C20−アルキル(ヘテロアリールは5〜14個の環原子を有する)、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル(非置換またはペルフルオロC−C12−アルカノイルなど)、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、およびスルファモイルからなる群から、互いに独立して、選択される置換基であり、
そして、nおよびpのそれぞれは、他とは独立して、0〜4、好ましくは0または1である。
【0079】
本発明は更に、式XXIの化合物を含む半導体素子と、式XXIの化合物の製造方法と、式XXIの化合物の使用を含む半導体素子の製造方法と、式Iの化合物の、半導体としての使用と、に関する。
【0080】
ヒドロカルビルおよびヘテロアリールは、好ましくは、式Iの化合物に対して既に定義されたとおりであり、より好ましくは、ヒドロカルビルはC−C14−アリール(例えば、フェニル、ナフチル、または9−フルオレニル)である。ハロ−置換は、ヒドロカルビル部分が1つまたは複数のハロゲン原子(クロロやブロモなど)を保持することを意味する。大いに好ましいのは、Yが4−ハロフェニル(4−クロロ−または4−ブロモフェニルなど)である、式Iの化合物である。
【0081】
非常に好ましいのは、実施例において与えられた、式Iの化合物または式XXIの化合物を含む半導体素子、ならびに、実施例において説明された、式Iまたは式XXIの化合物、または、半導体素子の製造におけるそれらの使用である。
【0082】
本発明の、式I、I**、およびI***の化合物、ならびに式XXIの化合物を含む、式IAの(そして特に、式IBまたはICの)新規な化合物は、前述および後述の有用性に加えて、蛍光染料として、または光(特に赤外線)を吸収する材料として、または太陽電池としても有用である。
【0083】
本明細書において式Iの化合物に言及される場合は、式IAの化合物、そして特に式IBまたはICの化合物が好ましい。
【0084】
本明細書または請求項において、より一般的な表現または記号が使用される場合、それらのそれぞれは、他とは独立して、前述または後述のより具体的な定義によって置き換えられても、置き換えられなくてもよい(1つまたは複数のそのような、より一般的な表現または記号が置き換えられる場合には、本発明の好ましい実施形態が得られる)。
【0085】
製造方法
式Iの化合物、および式XXIの化合物は、原理的には当技術分野において知られている方法と類似の方法によって得ることができる。
【0086】
例えば、式Iの化合物は、特に、W. Riedら(Chem. Ber. 1961, 94, 1051.)によって記載されている方法と類似の方法によって得ることができる。
【0087】
例えば、式IAの新規な化合物が、式IIの、対応する化合物を還元することによって得ることができ、
【0088】
【化40】


ここで、YおよびY**は、エチニルが、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビル、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビルオキシ、最大40個の炭素原子を有するヒドロカルビルチオ、非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換ヘテロアリールオキシ、非置換または置換ヘテロアリールチオ、シアノ、カルバモイル(Halはハロゲン原子を表す)、置換アミノ、ハロ−C−C−アルキル(トリフルオロメチルなど)、ハロ、または置換シリルによって、互いに独立して、置換されたものであり、AおよびBのラベルが付いた環または環系、ならびに記号X、Y、n、mおよびpは、式IAの化合物に対して定義された意味を有する。
【0089】
還元は、例えば、水の有無にかかわらず、酸(例えば、塩化水素酸または酢酸)が存在する中で、適切な溶剤(例えば、エーテル(ジオキサンなど)またはケトン(アセトンなど))の中で、金属塩(SnClなど)が還元剤として存在する中で、起こることが可能である。
【0090】
式IIの出発原料が、例えば、式IIIのキノイド化合物
【0091】
【化41】


を式IVの化合物
【0092】
【化42】


(Y***は、式IIの化合物に対して定義されたYおよびY**である)と、(例えば、0〜100℃(好ましくは10〜80℃)の範囲の温度で)適切な溶剤(例えば、テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジエトキシメタンまたはジメトキシメタン、グリム、ジグリム、トルエンまたはアニソール、またはこれらのうちの2つ以上の混合)の中で、アセチレンプロトンの除去に十分な強さの基剤(例えば、グリニャール試薬、アルカリ金属アルコラート(カリウムt−ブトキシドなど)、リチウムアミド(リチウムジイソプロピルアミドなど)など)が存在する中で、反応させることにより、式IIIのキノイド化合物から調製されることが可能である。
【0093】
環Bおよび環Cが同一であり、したがって、C2h対称性の化合物となる、式IIIの化合物が、例えば、式Vの化合物
【0094】
【化43】


(環C、X、およびnは、式Iの化合物に対して定義されたとおりであり、そして、RおよびRは、他とは独立してC−C−アルキルであるか、RがC−C−アルキルで、Rがより低いアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ(ワインレブアミド))である)を、好ましくは、C2h対称性を有する、式IIIの化合物への二量化が行われる、より低い温度(例えば、−100〜50℃の範囲(例えば、−80〜30℃))で、適切な溶剤(例えば、ジエチルエーテル、THF、または炭化水素(C−C−アルカンなど)、または更に、これらの溶剤の2つ以上の混合)の中で、リチオ化剤(例えば、n−ブチルリチウムまたはLDA)が存在する中で、反応させることによって得ることができる。
【0095】
代替として、式IIIの(好ましくは対称形の)化合物が、式VIIのジアルデヒド化合物
【0096】
【化44】


(環BC’は、式IIIの化合物の環または環系Cと環または環系Bとを完結させる環であり、そして、Xおよびnは、式Iの化合物に対して定義されたとおりである)と、式VIIIの化合物
【0097】
【化45】


との、式III(ただし、式IIIでは、Z=Xおよびp=n)の下に入る次式IIIAの化合物または(当てはまる場合には)化合物の(次に、対応する、異性体的に純粋な化合物を与える標準的な手順に従って分離されることが可能な)混合を与えるアルドール縮合条件の下での反応により、得ることができ、
【0098】
【化46】


BC’は、式IIIの化合物の環系BおよびCを完結させる(すなわち、アニールされたベンゾ環とともに環系BまたはCを形成する)環または環系であり、そして、Xおよびnは、式Iの化合物に対して定義されたとおりである。
【0099】
対応する、式IIIのフェロセノベンゾ化合物を製造する場合、式VIIの化合物として、式VIIの化合物
【0100】
【化47】


を用いることが可能であり、これは、nおよび/またはpが1以上の場合には、非置換であっても、XおよびZによって置換されてもよい。
【0101】
代替として、(好ましくは、非対称の環または環系BおよびCに関して)式IIIの化合物が、前述の式VIIのジアルデヒド化合物(環または環系BC’は、式IIIの化合物の環系Cを完結させる環であり、そして、Xおよびnは、式Iの化合物に対して定義されたとおりである)と式VIIIの化合物
【0102】
【化48】


(B’は式Iで定義された環または環系Bであり、そして、Zおよびpは、式Iの化合物に対して定義されたとおりである)との、例えば、式IIIの下に入る次式IIIAの化合物または(当てはまる場合には)化合物の(次に、対応する、異性体的に純粋な化合物を与える標準的な手順に従って分離されることが可能な)混合を与えるアルドール縮合条件の下での反応により、得ることができ、
【0103】
【化49】


ここで、環または環系BC’は、式IIIの化合物の環または環系Cを完結させる環であり、環または環系Bは、式Iの化合物に対して定義されたとおりであり、そして、X、Z、pおよびnは、式Iの化合物に対して定義されたとおりである。
【0104】
さらなる代替として、式(III)の化合物は、以下の一般スキームに従うフリーデル−クラフツアシル化によって得ることができる(B、C、X、Y、nおよびpは、式IAの化合物に対して定義されたとおりである)。
【0105】
【化50】

【0106】
この方法は、式IIIの対称化合物(環B=環C、X=Z、n=p)および非対称化合物の両方の合成を許容したものである。この反応(フリーデル−クラフツ環化)は、従来どおりの反応条件下で(例えば、1つまたは2つの手順においてルイス酸(特にAlCl)と硫酸またはポリリン酸とが存在する中で)起こり、式IXの無水物の代わりに、他の活性ジカルボン酸誘導体(例えば、混合無水物、カルボン酸ハロゲン化物、活性エステルなど)を使用することが可能である。溶剤としては、標準的な溶剤が使用される。可能な反応条件の例が、例えば、Zaniら(Bioorg. Med. Chem. 5, 2185 (1997))によって与えられている。例えば、式IIIの化合物であるナフサ[2,3−b]チオフェン−4,9−ジオンが、このように調製されることが可能である。
【0107】
式Iのいくつかの化合物、すなわち、以下の反応スキームで与えられる、式I***の化合物が、代替として、式XIの化合物から始まる薗頭カップリングによって製造されることが可能である。
【0108】
【化51】


ここで、Y***−Hは、既に定義された、式IVの化合物であり、B’およびC’は、対応する、式Iの化合物の、二環式または多環式の環BおよびCをそれぞれ完結させる環であり、そして、X、Z、nおよびpは、それぞれ、式Iの化合物に対して定義されたとおりである。
【0109】
式XIの化合物は、当技術分野で知られている方法で、例えば、ブロモ基を保持しない前駆物質の臭素化によって、または、還元により、対応する芳香族ニトロ化合物から、または、対応する抽出物のザントマイヤー反応によって、または、ホフマン転位により、対応する芳香族カルボン酸アミドから、調製される。
【0110】
以下の反応スキームにより、式XIIの化合物から、式I*の化合物が調製されることが可能であり、式XIIIの化合物から、式I**の化合物が調製されることが可能であり、
【0111】
【化52】


これは、式XIVの化合物
【0112】
【化53】


(X/Z−C≡Cは、式IまたはI**の化合物のXおよびZに対応する)との、例えば、0〜100℃(好ましくは10〜80℃)の範囲の温度で、例えば、適切な溶剤(例えば、テトラハイドロフラン、ジオキサン、ジエトキシメタンまたはジメトキシメタン、グリム、ジグリム、トルエンまたはアニソール、またはこれらのうちの2つ以上の混合)の中で、例えば、アセチレンプロトンの除去に十分な強さの基剤(例えば、グリニャール試薬、アルカリ金属アルコラート(カリウムtert−ブトキシドなど)、リチウムアミド(リチウムイソプロピルアミドなど)など)が存在する中での反応によって可能である。
【0113】
式Iの他の化合物、式IVの出発原料(これは、参照によって本明細書に組み込まれている独国特許第DE−OS−2320528号に記載されている方法(特にエチニル化合物とその調製に関する部分)と同様の方法で調製されることも可能である)、式VおよびVIの出発原料、式VIIおよびVIIIの出発原料、式IXおよびXの出発原料、式XII、XIII、およびXIVの出発原料、ならびに他の出発原料が当技術分野において知られており、これらは、当技術分野において知られている方法に従って得ることができるか、商業的に利用可能である。
【0114】
例えば、以下の方法により、式XXIの化合物を調製することが可能である。
a)式XXIIの9,10−ジブロモアントラセン化合物
【0115】
【化54】


(X、Z、nおよびpは、式XXIの化合物に対して定義されたとおりである)、または、それが保持する置換誘導体を、0℃から反応混合物の還流温度までの範囲の好ましい温度で、好ましくは、適切な溶剤(例えば、炭化水素(トルエンなど)および第3級窒素基剤(例えば、トリエチルアミン))の存在する中で、式XXIIIのエチニル化合物
【0116】
【化55】


(Yは、フルオロ−またはクロロ−置換ヒドロカルビル)と、薗頭カップリング条件などの下で(例えば、パラジウム(II)アセテート、トリフェニルホスフィン、および銅ヨウ化物の存在する中で)反応させる。または、
b)式XXIVの化合物
【0117】
【化56】


(Ya*はハロ(特にブロモまたはヨード)−置換ヒドロカルビルである)を、例えば、−90〜25℃の温度で、好ましくは、適切な溶剤(エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)および/または炭化水素(ヘキサンなど)など)が、アセチレンプロトンを除去して、対応する脱プロトン化化合物(アセチリド)にするのに十分な強さの基剤(例えば、グリニャール試薬、アルカリ金属アルコラート(カリウムt−ブトキシドなど)、リチウムアミド(リチウムジイソプロピルアミドなど)など)とともに存在する中で反応させ、次に、結果として得られる、アセチリドを含む混合物を、式XXVのアントラキノン
【0118】
【化57】


と、例えば、0〜50℃の範囲の温度で反応させ、結果として得られる(例えば、ケトン(例えば、アセトン)、水、および酸(塩化水素酸または酢酸など)の混合物の中に塩化スズ(II)を有する)ジオル化合物を、例えば、0〜50℃の範囲の温度で還元して、式XXIの化合物を得る。
【0119】
式XXIIIおよびXXIVの出発原料は、知られており、当技術分野において知られている方法に従って調製可能であるか、かつ/または、市販されており、それらは9,10−ジブロモアントラセンまたはアントラキノンである。式XXVのアントラキノンは、例えば、式VおよびVIの化合物の代わりに適切な構造を有するアミドを使用して、式Vの化合物および式VIの化合物から式IIIの化合物を製造する、前述の方法に従って、調製可能である。
【0120】
式I、IA、IB、IC、I、I**、またはXXIのすべての化合物において、異性体的に純粋な化合物を、直接得るか、標準的な分離方法(クロマトグラフィ、分配(distribution)、結晶化など)に従って最終生成物または任意の適切な前駆物質を分離した後に得ることが可能である。式Iの化合物の合成のための出発原料については、場合に応じて、同じ点対称性が、最終生成物についても当てはまる可能性がある。
【0121】
必要に応じて、反応後に除去可能な保護基を、出発原料または中間物の中に存在させることが可能であり、それによって、反応すべきでない反応に官能基が関与するのを防ぐことが可能である。従来どおりの反応基、それらの投入および除去については、T.W. Green and G.M. Wutsらの「Protective Groups in Organic Chemistry, 3rd ed.」(John Wiley & Sons, Weinheim 1999)および同等の標準的な教科書を参照されたい。
【0122】
本発明の別の目的は、前駆物質を有機溶剤に溶かした溶液を基板に塗布し、その後、その溶剤を除去することによって、有機溶剤に可溶な、式Iまたは式XXIの化合物の薄膜を調製することである。
【0123】
本発明の更に別の目的は、前述または後述のように定義される、式Iまたは式XXIの化合物の薄膜を、上記化合物膜がP型またはN型の半導体チャネルとして動作する薄膜トランジスタで使用することである。
【0124】
半導体素子
式Iの化合物またはそれらの好ましい変型(式IAの化合物、特に式IBまたはICの化合物)または式XXIの化合物を、半導体素子(特にFET)の半導体層として用いることが可能である。半導体素子には様々な種類がある。すべてに共通するのは、1つまたは複数の半導体材料が存在することである。半導体素子については、例えば、S. M. Szeの「Physics of Semiconductor Devices, 2.sup.nd edition」(John Wiley and Sons, New York (1981))に記載がある。そのような素子として、整流器、トランジスタ(PNPトランジスタ、NPNトランジスタ、薄膜トランジスタなど、様々な種類がある)、発光半導体素子(例えば、有機発光ダイオード)、光導電体、電流リミッタ、サーミスタ、P−N接続、電界効果ダイオード、ショットキーダイオードなどがある。各半導体素子において、半導体材料は、1つまたは複数の金属または絶縁体と結合して、素子を形成する。半導体素子は、既知の方法で作製または製造されることが可能であり、例えば、Peter Van Zantの「Microchip Fabrication, Fourth Edition」(McGraw-Hill, New York (2000))に記載されている方法で可能である。
【0125】
特に有用な種類のトランジスタ素子である薄膜トランジスタ(TFT)は、一般に、ゲート電極と、ゲート電極上のゲート誘電体と、ゲート誘電体に隣接するソース電極およびドレイン電極と、ゲート誘電体に隣接し、ソース電極およびドレイン電極に隣接する半導体層と、を含む(例えば、S. M. Szeの「Physics of Semiconductor Devices, 2nd.sup. edition」(John Wiley and Sons, page 492, New York (1981)を参照されたい)。これらの部品は、様々な構成に組み立てられることが可能である。より具体的には、有機薄膜トランジスタ(OTFT)が、有機半導体層を有する。
【0126】
製造時、検査時、および/または使用時にOTFTを支持するのは、典型的には、基板である。場合により、基板は、OTFTの電気的機能を提供することが可能である。有用な基板材料として、有機材料と無機材料とがある。例えば、基板は、無機ガラス、セラミックフォイル、ポリマー材料(例えば、アクリル、エポキシ、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリケトン、ポリ(オキシ−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンカルボニル−1,4−フェニレン)(ポリ(エーテルエーテルケトン)またはPEEKと呼ばれることもある)、ポリノルボルネン、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPS))、充填ポリマー材料(例えば、繊維強化プラスチック(FRP))、被覆金属フォイルなどを含むことが可能である。
【0127】
ゲート電極は、任意の有用な導電性材料であってよい。例えば、ゲート電極は、ドープシリコン、または金属(アルミニウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、タンタル、チタンなど)を含むことが可能である。導電性ポリマー(例えば、ポリアニリンまたはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルフォネイト)(PEDOT:PSS)を使用することも可能である。更に、これらの材料の合金、組み合わせ、および多層も有用たりえる。OTFTによっては、同じ材料が、ゲート電極機能を提供し、更に基板支持機能を提供することも可能である。例えば、ドープシリコンが、ゲート電極として機能し、かつ、OTFTを支持することが可能である。
【0128】
ゲート誘電体は、一般に、ゲート電極上に設けられる。ゲート誘電体は、ゲート電極を、OTFT素子の他の部分から電気的に絶縁する。ゲート誘電体の有用な材料は、例えば、無機電気絶縁材料またはポリマー誘電体層を含むことが可能である。
【0129】
ゲート誘電体に有用な材料の具体例として、ストロンチウム酸塩(strontiates)、タンタル酸塩、ジルコン酸塩、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化チタン、窒化シリコン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム酸バリウム、ジルコン酸チタン酸バリウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛などがある。更に、これらの材料の合金、組み合わせ、および多層をゲート誘電体に用いることも可能である。
【0130】
代替として、ゲート誘電体は、有機ポリマー誘電体層を含むことも可能である。多数の有機ポリマーが、誘電体材料として検討されてきた。これらには、ポリイミド、パリレンC、架橋シクロブテン(crosslinked cyclobutene)、シアノエチルプルランなどが含まれる。例えば、C.D. Sherawらの「Spin-on polymer gate dielectric for high performance organic thin film transistors」(Materials Research Society Symposium Proceedings v. 558, Materials Research Society, Warrendale, Pa.,, USA、403〜408頁(2000))、米国特許第6265243号明細書(Katz)、米国特許第5347144号明細書(Gamier)、およびJanos Veresらの「Gate Insulators in Organic Field-Effect Transistors」(Chem. Materials 2004)を参照されたい。
【0131】
ソース電極およびドレイン電極は、ゲート誘電体によってゲート電極から隔離されており、一方、有機半導体層は、ソース電極およびドレイン電極の上または下にあることが可能である。ソース電極およびドレイン電極は、任意の有用な導電性材料であってよい。有用な材料としては、ゲート電極に関して前述された材料のほとんどが含まれ、例えば、アルミニウム、バリウム、カルシウム、クロム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金、チタン、ポリアニリン、PEDOT:PSS、他の導電性ポリマー、これらの合金、これらの組み合わせ、これらの多層などである。当技術分野において知られているように、これらの材料には、N型半導体材料との使用に適切なものもあれば、P型半導体材料との使用に適切なものもある。
【0132】
薄膜電極(すなわち、ゲート電極、ソース電極、およびドレイン電極)は、任意の有用な手段(物理蒸着法(例えば、熱的蒸着法やスパッタリング)や印刷(例えば、インクジェット印刷)など)によって設けられることが可能である。これらの電極のパターニングは、知られている方法(シャドーマスキング、加法的フォトリソグラフィ、減法的フォトリソグラフィ、印刷、マイクロコンタクト印刷、パターン塗布、および/またはレーザ転写(LITI)など)によって達成可能である。
【0133】
本発明は更に、薄膜トランジスタ素子を提供し、この薄膜トランジスタ素子は、基板上に配列された、複数の導電性ゲート電極と、上記導電性ゲート電極上に配列されたゲート絶縁体層と、
上記ゲート電極とほぼ重なり合う上記絶縁体層の上に配置された有機半導体層と、
複数組の、導電性のソース電極およびドレイン電極であって、上記各組が上記各ゲート電極と一直線をなすように、上記有機半導体層上に配列された、複数組のソース電極およびドレイン電極と、を含み、
上記有機半導体層は、前述または後述のように、一般的に定義されたか、好ましくはより具体的に定義された、式Iの、または、より好ましくは式IAの、特に式IBまたはICの化合物から、または、前述または後述のように、一般的に定義されたか、好ましくはより具体的に定義された、式XXIの化合物から、形成される。
【0134】
本発明は更に、薄膜トランジスタ素子の作製方法を提供し、この作製方法は、
複数の導電性ゲート電極を基板上に堆積させるステップと、
上記導電性ゲート電極上にゲート絶縁体層を堆積させるステップと、
上記絶縁体層上に、式Iまたは式XXIの化合物の層を、上記ゲート電極とほぼ重なり合うように堆積させるステップと、
複数組の、導電性のソース電極およびドレイン電極を、上記各組が上記各ゲート電極と一直線をなすように、上記層上に堆積させ、それによって薄膜トランジスタ素子を生成するステップと、を含む。
【0135】
任意の好適な基板を用いて、本発明の式Iまたは式XXIの化合物の薄膜、ならびにその前駆物質の薄膜を作製することが可能である。例えば、上記薄膜の作製に用いられる基板は、金属、シリコン、プラスチック、ガラス、または被覆ガラスである。
【0136】
代替として、TFTの組み立ては、例えば、熱成長酸化物層で覆われた高ドープシリコン基板の上に式Iまたは式XXIの化合物を溶液堆積させ、その後に、ソース電極およびドレイン電極を真空堆積させ、パターニングすることによって行われる。
【0137】
更に別のアプローチでは、TFTの組み立ては、熱成長酸化物で覆われた高ドープシリコン基板の上にソース電極およびドレイン電極を堆積させ、その後に、式Iまたは式XXIの化合物を溶液堆積させて薄膜を形成することによって行われる。
【0138】
ゲート電極は、基板または導電性材料(導電性ポリマーなど)の上にパターニングされた金属ゲート電極に、絶縁体を、溶液塗布または真空堆積によって塗布したものであってもよい。この絶縁体は、酸化物や窒化物などの材料であってよく、あるいは、PbZrTi1−x(PZT)、BiTi12、BaMgF、Ba(Zr1−xTi)O(BZT)を含み、これらに限定されない強誘電性絶縁体の族から選択される材料であってよく、あるいは、有機ポリマー絶縁体であってよい。
【0139】
任意の好適な溶剤が、式Iまたは式XXIの化合物を、それが不活性である場合には、溶かすために用いられることが可能であり、材料の少なくとも一部を溶かすことが可能であり、従来の乾燥手段(例えば、熱印加、減圧、空気流など)により基板から除去されることが可能である。本発明の半導体を処理するのに好適な有機溶剤として、芳香族または脂肪族の炭化水素、ハロゲン化(例えば、塩素化)炭化水素、エステル、エーテルアミド(クロロホルムなど)、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、エチルアセテート、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジクロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、およびこれらの混合があり、これらに限定されない。次にこの溶液が、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、マイクロコンタクト印刷、ドクターブレード、または他の、当技術分野において知られている溶液塗布手法によって基板上に塗布されて、半導体材料またはその前駆物質の薄膜が得られる。
【0140】
好ましくは、有機半導体層の厚さは、約5nmから約200nmの範囲にあり、特に、その厚さは、約10nmから約30nmの範囲にある。
【0141】
本発明による半導体素子の有機半導体層は、任意の有用な手段(例えば、蒸着や印刷などの手法)によって設けられることが可能である。式IまたはXXIの化合物のいくつか(例えば、2つのドデシル置換基、ノニル置換基、またはヘキシル置換基のような、十分大きなアルキル基(特に、断続しない、枝分かれしない基)、または、枝分かれした、または枝分かれしない、断続した基(ヘテロ機能に対してα位置で枝分かれしたアルキルなど)を保持するもの)は、有機溶剤に十分に可溶であり、(例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェット印刷、鋳造、または他の知られた手法により)溶液堆積されることが可能である。
【0142】
式Iまたは式XXIの化合物は、複数のOTFTならびに様々な電子部品を含む集積回路で使用可能である。そのような部品として、例えば、無線周波数識別(RFID)タグ、(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ハンドヘルド装置などで使用される)フレキシブルディスプレイのバックプレーン、スマートカード、メモリ素子などがある。
【0143】
本発明は、特に、請求項における対象、本発明の好ましい実施形態を定義する従属項に関する。請求項は、参照によって本明細書に組み込まれている。本発明はまた、特に、実施例で言及された化合物、それらの化合物の半導体としての使用、およびそれらの化合物を含む半導体素子に関する。好ましいのは、式Iの化合物に言及された場合に(そのようであれば、半導体素子を使用するために、または半導体素子の部品として)、(本質的に)異性体的に純粋な、式Iの化合物が意図される、本発明の実施形態である。
【0144】
以下の各実施例は、例示のみを目的としたものであり、いかなるかたちでも本発明を限定するものとして解釈されてはならない。室温とは、20〜25℃の範囲の温度のことである。特に断らない限り、パーセンテージは重量パーセンテージである。
【0145】
実施例その他で使用される省略形を以下に示す。
Calc. 計算された(理論的な)
DMSO ジメチルスルホキシド
DSC 示差走査熱量測定
h 時間
LDA リチウムジイソプロピルアミド
min 分
m.p. 融点
MS 質量分析
NMR 核磁気共鳴
THF テトラヒドロフラン
【0146】
調製の実施例
析出物(Educt)1
ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン
【0147】
【化58】


ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボン酸ジエチルアミド(14.0g、60mmol)をジエチルエーテル(120ml)に溶かした溶液を、−78℃まで冷却した。次に、不活性雰囲気下で、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液41.3ml、66mmol)を、15分以内に加えた。わずかな温度上昇(3℃)があり、この混合液を、更に10分間、−78〜−75℃で撹拌した。次に、この混合液を周囲温度まで温めた。約1時間半後、赤茶色の懸濁液が形成され、これを更に17時間撹拌した。この混合液に水(150ml)を慎重に加え、更にクロロホルム(50ml)を加えた。この混合液を15分間急速に撹拌し、固形物を濾過して取り出し、水で洗浄し、乾燥させ、DMSO(50ml)から再結晶させて、生成物(融点315℃の橙褐色の針状物)を得た。
【0148】
析出物2
6,12−ビス−(4−tert−ブチル−フェニルエチニル)−6,12−ジヒドロジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル
【0149】
【化59】


火炎乾燥フラスコ内で、ジ−イソプロピルアミン(3.04g、30mmol)をTHF(80ml)に溶かした溶液を−78℃まで冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液14.1ml、22.5mmol)を、10分以内に加えた。この黄白色の溶液を、−78℃で更に10分間撹拌し、その後、周囲温度まで温め、更に15分間撹拌してLDAの溶液を得た。
別の火炎乾燥フラスコ内で、1−tert−ブチル−4−エチニル−ベンゼン(3.56g、22.5mmol)をTHF(20ml)に溶かした溶液を調製し、調製直後のLDAをこの溶液に、10分以内に加えた。冷却によって温度を23〜26℃の範囲に維持し、この溶液を、周囲温度で更に10分間撹拌した。次に、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(析出物1)(2.40g、7.5mmol)(固形物)を加え、この混合液を50℃まで加熱し、この温度で52時間撹拌した。この真っ赤な溶液を水(100ml)に慎重に注ぎ、クロロホルム(80ml)を用いて生成物を抽出した。もう一度クロロホルム(80ml)を用いて水性層を抽出し、結合有機層を塩水で洗浄し、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶剤を除去すると、粗生成物(薄茶色の結晶)が残った。この結晶をメタノール(50ml)中で還流させ(完全には溶けなかった)、この溶液を一晩おいて結晶化させた。得られた固形物を濾過して取り出し、メタノールで3回洗浄し(各回ごとに7ml)、真空乾燥させて、生成物(ベージュ色の結晶)を得た。
【0150】
【表4】

【0151】
実施例1
6,12−ビス−(4−tert−ブチル−フェニルエチニル)−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0152】
【化60】


塩化スズ(II)二水和物(1.82g、8.05mmol)を氷酢酸(30ml)に溶かした溶液を、10分以内に、6,12−ビス−(4−tert−ブチル−フェニルエチニル)−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル(析出物2)をアセトン(30ml)に溶かした溶液に加えた。わずかな温度上昇(8℃)があり、黄色の懸濁液が形成された。この懸濁液を周囲温度で一晩撹拌し、その後、固形物を濾過して取り出した。この固形物を水/氷酢酸で洗浄し(2回、30ml、1:1 v:v)、水で洗浄し(30mlで2回)、アセトン(30ml)で2回洗浄した。次に、その残留物を乾燥させ、アニソール(65ml)から再結晶させて粗生成物を得た。この生成物を濾過して取り出し、アニソール(8ml)で洗浄し、トルエン(2×8ml)で洗浄し、ヘキサン(2×約10ml)で洗浄し、乾燥させて、表題の生成物(黄色の結晶)を得た。融点(DSC)349〜350℃、MS(m/z 602(100%)、適正な同位体パターン)、元素分析:C 84.61%(計算値83.68%)、H 5.89%(計算値5.68%)。
【0153】
【表5】

【0154】
析出物3
6,12−ビス−[(トリイソプロピルシラニル)−エチニル]−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル
【0155】
【化61】


析出物2について記したように、ジ−イソプロピルアミン(1.62g、16mmol)およびn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液7.5ml、12.0mmol)をTHF(10ml)に溶かして、LDAを調製した。
【0156】
別の火炎乾燥フラスコ内で、トリ−イソプロピルシラン(2.19g、12mmol)をTHF(15ml)に溶かした溶液を調製し、調製直後のLDAをこの溶液に、10分以内に加えた。冷却によって温度を23〜26℃の範囲に維持し、この溶液を、周囲温度で更に10分間撹拌した。次に、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(析出物1)(1.28g、4mmol)(固形物)を加え、この混合液を50℃まで加熱し、この温度で52時間撹拌した。この濃い真っ黄色の溶液を水(50ml)に慎重に注ぎ、クロロホルム(40ml)を用いて生成物を抽出した。もう一度クロロホルム(40ml)を用いて水性層を抽出し、結合有機層を塩水で洗浄し、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶剤を除去すると、粗生成物(黄色の結晶)が残った。これは、NMRを用いた場合には、純粋(2つの立体異性体 1.0:0.95)である。
【0157】
【表6】

【0158】
実施例2
6,12−ビス−[(トリイソプロピルシラニル)−エチニル]ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0159】
【化62】


塩化スズ(II)二水和物(2.59g、11.5mmol)を50%酢酸(40ml)に溶かした溶液を、10分以内に、6,12−ビス−[(トリイソプロピルシラニル)−エチニル]−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル(析出物3)をアセトン(35ml)に溶かした溶液に加えた。わずかな温度上昇(2〜3℃)があり、黄色の懸濁液が形成された。この懸濁液を周囲温度で一晩撹拌し、その後、固形物を濾過して取り出した。この固形物を、50%酢酸(30ml)で洗浄し、水で洗浄し(40mlで2回)、およびアセトン(2×40ml)で洗浄した。次に、その残留物を乾燥させ、トルエン(15ml)から再結晶させて粗生成物を得た。この生成物を濾過して取り出し、トルエン(10ml)で洗浄し、ヘキサン(10ml)で洗浄した。乾燥させて、表題の生成物(黄白色の結晶)を得た。融点(DSC)155℃(幅広、恐らくは相転移)、208℃(鋭い、恐らくは融点)。
【0160】
【表7】

【0161】
析出物4
6,12−ビス−トリエチルシラニルエチニル−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル
【0162】
【化63】


析出物2について記したように、ジ−イソプロピルアミン(3.24g、32mmol)およびn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液15.0ml、24mmol)をTHF(20ml)に溶かして、LDAを調製した。
【0163】
別の火炎乾燥フラスコ内で、トリエチルシラン(3.37g、24mmol)をTHF(25ml)に溶かした溶液を調製し、調製直後のLDAをこの溶液に、15分以内に加えた。冷却によって温度を23〜30℃の範囲に維持し、この溶液を、周囲温度で更に10分間撹拌した。次に、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(析出物1)(2.56g、8mmol)(固形物)を加え、この混合液を50℃まで加熱し、この温度で20時間撹拌した。この、かすかに濁った橙色の溶液を水(100ml)に慎重に注ぎ、クロロホルム(100ml)を用いて生成物を抽出した。もう一度クロロホルム(40ml)を用いて水性層を抽出し、結合有機層を塩水で洗浄し、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶剤を除去すると、粗生成物(茶黄色の結晶)が残った。
【0164】
【表8】

【0165】
実施例3
6,12−ビス−トリエチルシラニルエチニル−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【0166】
【化64】


塩化スズ(II)二水和物(2.08g、9.2mmol)を50%酢酸(35ml)に溶かした溶液を、10分以内に、6,12−ビス−トリエチルシラニルエチニル−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル(析出物4)(2.40g、6mmol)をアセトン(30ml)に溶かした溶液に加えた。わずかな温度上昇(2〜3℃)があり、黄色の懸濁液が形成された。この懸濁液を周囲温度で一晩撹拌し、その後、固形物を濾過して取り出した。この固形物を、50%酢酸(30ml)で洗浄し、水で洗浄し(40mlで2回)、アセトン(2×40ml)で洗浄した。次に、その残留物を乾燥させ、粗生成物を得た。この粗生成物を、クロロホルムを用い、シリカ(60g)のパッドで濾過し、エチルアセテート(40ml)から再結晶させて生成物を得た。この生成物を濾過して取り出し、エチルアセテート(2×10ml)で洗浄し、ヘキサン(10ml)で洗浄した。乾燥させて、表題の生成物(黄色の結晶)を得た。融点(DSC)82℃および204℃。
【0167】
【表9】

【0168】
析出物5
6,12−ビス−トリメチルシラニルエチニル−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル
【0169】
【化65】


析出物2について記したように、ジ−イソプロピルアミン(2.42g、24mmol)およびn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液11.25ml、18.0mmol)をTHF(15ml)に溶かして、LDAを調製した。
【0170】
別の火炎乾燥フラスコ内で、トリメチルシラン(1.77g、18mmol)をTHF(25ml)に溶かした溶液を調製し、調製直後のLDAをこの溶液に、15分以内に加えた。冷却によって温度を23〜30℃の範囲に維持し、この溶液を、周囲温度で更に10分間撹拌した。次に、ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオン(析出物1)(1.92g、6mmol)(固形物)を加え、この混合液を50℃まで加熱し、この温度で52時間撹拌した。このベージュ色の懸濁液を水(50ml)に慎重に注ぎ、クロロホルム(50ml)を用いて生成物を抽出した。この有機層を水(50ml)で洗浄し、塩水(50ml)で洗浄し、乾燥させた(硫酸ナトリウム)。溶剤を除去すると、粗生成物(ベージュ色の結晶)が残った(過剰分はHN(i−Pr))。
【0171】
【表10】

【0172】
実施例4
6,12−ビス−トリメチルシラニルエチニル−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン
【化66】


塩化スズ(II)二水和物(3.11g、9.2mmol)を50%酢酸(50ml)に溶かした溶液を、10分以内に、6,12−ビス−トリメチルシラニルエチニル−6,12−ジヒドロ−ジベンゾ[d,d’]ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン−6,12−ジオル(析出物5)(3.1g、6mmol)をアセトン(45ml)に溶かした溶液に加えた。わずかな温度上昇(2〜3℃)があり、黄色の懸濁液が形成された。この懸濁液を周囲温度で一晩撹拌し、その後、固形物を濾過して取り出した。この固形物を、50%酢酸で洗浄し(30mlで2回)、水で洗浄し(40mlで2回)、アセトン(2×50ml)で洗浄した。次に、その残留物を乾燥させ、粗生成物を得た。この粗生成物を、クロロホルムを用い、シリカ(60g)のパッドで濾過し、クロロホルム(35ml)から再結晶させて生成物を得た。この生成物を濾過して取り出し、クロロホルム(10ml)で洗浄し、ヘキサン(20ml)で洗浄した。乾燥させて、表題の生成物(黄色の結晶)を得た。融点(DSC)278℃および285℃。
【0173】
【表11】

【0174】
析出物6
アントラ[2,3−b]ベンゾ[6,7−b’]チオフェン−5,11−ジオン
【0175】
【化67】


周囲温度で、1,4−ジヒドロキシアントラセン(4.2g、20mmol)およびチオフェン−2,3−ジカルボキシアルデヒドをエタノール(50ml)に溶かした溶液に、4MのNaOH水溶液(1ml)を加えた。この反応混合液を、周囲温度で16時間撹拌した。濾過により茶色の析出物を収集し、これを、水、エタノール、およびアセトン(各50ml)で順に洗浄し、乾燥させ、DMF(70ml)から再結晶させて、生成物(綿毛のような橙色の針状物)を得た。
【0176】
実施例5
5,11−ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラ[2,3−b]−ベンゾ[6,7−b’]チオフェン
【0177】
【化68】


トリエチルシリルアセチレン(2.69g、19.2mmol)と乾燥THF(100ml)とを火炎乾燥フラスコに入れ、−78℃まで冷却した。ブチルリチウムのヘプタン溶液(2.7M溶液6.3ml、17mmol)を加え、この混合液を、−78℃で45分間撹拌した。次に、アントラ[2,3−b]ベンゾ[6,7−b’]チオフェン−5,11−ジオン(析出物6)(1.00g、3.2mmol)(固形物)を、一気に加えた。この反応混合液を周囲温度までゆっくり温め、この温度で16時間撹拌した。次に、塩化スズ(II)(5g)を4MのHCI(12ml)に溶かした溶液を加え、この混合液を、50℃で1時間撹拌した。次に、飽和炭酸ナトリウム溶液(10ml)を加え、この反応混合液を、ハイフロのショートパッドで濾過した。この濾液を蒸発乾固させ、得られた暗紫色の固形物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン溶離液−DCM 4:1)により精製した。得られた結晶を、2回、アセトンから再結晶化させ、乾燥させて、表題の生成物(暗紫色の板)を得た。
【0178】
【表12】

【0179】
実施例6
式Iの別の化合物
例えば半導体素子に有用な、式Iの別の化合物:
以下の化合物は、これまで記載された方法と類似の方法で調製され、互いに独立して、半導体素子の半導体として使用される。
【0180】
【化69】



【0181】
実施例7
9,10−ビス−(4−クロロ−フェニルエチニル)−アントラセン
【0182】
【化70】


フラスコに、9,10−ジブロモアントラセン(3.36g、10mmol)と、トルエン/トリエチルアミン混合液(1:2 v:v、25ml)とを入れた。このフラスコをアルゴンで15分間パージし、この混合液を還流下で加熱した。次に、p−クロロフェニルアセチレン(3.42g、25mmol)を加え、この混合液を還流下に5分間置いた。得られた黄色の懸濁液を周囲温度まで冷却し、アルゴン雰囲気下で、酢酸パラジウム(II)(33.7mg、0.15mmol)、トリフェニルホスフィン(98.4mg、0.375mmol)、およびヨウ化銅(34.3mg、0.18mmol)の混合物を加えた。次に、この混合液(茶色の懸濁液)を、還流下で1時間、再度加熱した。この時間の間に、この混合液は粘度が非常に高くなった。更にトルエン/トリエチルアミン混合液を15ml加え、この混合液を周囲温度で更に3時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをエーテル(100ml)で洗浄した。この濾過ケーキを、還流メタノール(50ml)を用いて、砕いて粉末にし、この固形物を濾過して取り出し、メタノールで3回洗浄し(各回10ml)、トルエン(180ml)から再結晶化させて、橙色の結晶を得た。H−NMR(300MHz、DMSO−D) δ 7.62、7.93(p−クロロフェニル基)、7.81(m)、8.66(m)(アントラセン基)。DSC:融点=268℃、281℃で分解。MS:m=446(適正な同位体パターンで)、410、374、348、322、300、274、248(vw)、223、205(vw)、187。
トランジスタデータ:移動度4.10−4Vs/cm、しきい値電圧−12.3V、オン/オフ比9.9×10
【0183】
析出物7
9,10−ビス−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−9,10−ジヒドロ−アントラセン−9,10−ジオル
【0184】
【化71】


ジ−イソプロピルアミン(6.07g、60mmol)を乾燥THF(30ml)に溶かした溶液を−78℃まで冷却し、次に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6N溶液28.2ml、45mmol)を、12分以内に加えた。この混合液を−78℃で10分間撹拌し、次に、周囲温度まで温め、更に15分間撹拌した。この溶液を、4−ブロモフェニルアセチレン(8.14g、45mmol)を乾燥THF(30ml)に溶かした溶液に、室温で10分以内に加え、25℃まで再冷却した後、5分以内に、アントラキノン(3.12g、15mmol)(固形物)を加えた。この混合液を、周囲温度で2日間撹拌した。反応がまだ不完全であるため(TLCで、約25%のモノオル、75%のジオル)、この混合液を加熱して、更に6時間、50℃にした。次に、Rotavapor下で溶剤を除去し、残留物にクロロホルム(約150ml)および水(約150ml)を加え、この混合物を1時間撹拌した。次に、Rotavapor下でクロロホルムを除去し、得られた固形物を濾過して取り出し、クロロホルムで洗浄し(3×約15ml)、真空乾燥させて、表題の生成物(黄色の結晶)を得た。
【0185】
【表13】

【0186】
実施例8
9,10−ビス−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−アントラセン
【0187】
【化72】


9,10−ビス−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−9,10−ジヒドロ−アントラセン−9,10−ジオル(2.0g、3.5mmol)をアセトン(25ml)に溶かした懸濁液に、塩化スズ(II)二水和物(1.82g、8.05mmol)を水(15ml)および酢酸(15ml)の混合液に溶かした溶液を、15分以内に加えた。得られた懸濁液を、周囲温度で更に2時間半撹拌し、得られた固形物を濾過して取り出し、表題の化合物の最初の生成物を得た。一晩おいて、母液からさらなる生成物が結晶化された。これらの生成物を合わせてアニソール(30ml)から再結晶させ、表題の化合物(橙色の針状物)を得た。DSC:融点=305℃。MS:534(適正な同位体パターン)。元素分析:C 67.45(計算値67.19)、H 3.23%(計算値3.01)。
【0188】
応用例
半導体素子の作製および検査
すべての実験において、p−Siゲート(10Ωcm)を有するボトムゲート型薄膜トランジスタ(TFT)構造を用いた。厚さ300nmの高品質の熱SiO膜が、単位面積あたりのキャパシタンスC=11nF/cmのゲート絶縁体として動作した。ソース電極およびドレイン電極を、フォトリソグラフィにより、ゲート酸化物(ボトムコンタクト型構成)上に直接パターニングした。幅W=2mmおよび長さL=50μmのチャネルを定義する、金のソース電極およびドレイン電極を使用した。有機半導体を堆積させる前に、160℃で2時間、飽和シラン蒸気にさらして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用い、SiO面を誘導体化した。
【0189】
(特に、実施例1〜6のいずれか1つからの)式Iの化合物、または、(特に、実施例7または8からの)式XXIの化合物を、トレイン昇華法により、3ゾーン炉内で、キャリアガスとして使用したアルゴンの定常流(1×10−3Torr)の下で減圧された状態で精製した。精製した試料を、真空蒸着装置(Balzers)に入れ、抵抗加熱されるルツボから前述のシリコン酸化物ウェハ基板の上に、成長率0.1nm/sで蒸着させた。堆積開始時および終了時のチャンバ圧力は、典型的には、6×10−6Torrである。石英結晶モニタで膜厚を測定したところ、厚さの合計は50nmであった。半導体パラメータアナライザ(Hewlett Packard社(San Jose、Calif)製4155C型)を用いて、以下に示す結果を得た。
【0190】
実施例9
トランジスタの性能
(特に実施例1〜6のいずれか1つからの、式I、I、I**、V、またはVIの化合物、または(特に実施例7または8からの)式XXIの化合物を有する薄膜トランジスタは、明確なP型トランジスタ特性を示した。飽和転移特性の平方根に対する直線回帰から、電界効果移動度(cm/Vs)が求められる(IEEE規格1620)。300nmのゲート酸化物の単位面積あたりのキャパシタンスが11nF/cmであるため、このトランジスタのしきい値電圧は、約−12.5〜1.5Vであった。
このトランジスタのオン/オフ電流比は10〜10であり、良好であった。
【0191】
半導体パラメータアナライザ(Hewlett Packard社(San Jose、Calif)製4155C型)を用いて、以下に示す結果を得た。
【0192】
【表14】

【0193】
実施例10
実施例1の材料から作製したトランジスタ
300nmの熱成長SiOを有する高ドープSiウェハをカットし、高温のアセトンおよび高温のイソプロパノールで洗浄した。この試料を、ピラニア溶液(過酸化水素30%と硫酸70%の混合液)に10分間浸漬し、超純水(18.2MΩcm)で十分に洗浄した。その後、蒸気主処理(vapour prime process)により、SiO面をオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で処理した。この処理のために、試料およびOTS(約0.3ml)を、真空中で3時間、125℃まで加熱した。実施例1の化合物を、高真空(ベース圧力3×10−6mbar)中で、シャドーマスクを通して、試料に蒸着させた。堆積中は、基板を50℃の温度下に置いた。チャンバ内で、水で冷却された石英結晶を用いて、堆積速度および膜厚を測定した。0.1〜0.3Å/sの速度で、試料化合物が50nm堆積した。別のチャンバで試料の薄膜に金のコンタクトを真空蒸着して、試料上に、チャネル長50μmおよびチャネル幅14mmのトランジスタ検査構造を得た。
【0194】
HP 4155A半導体パラメータアナライザを用いて、乾燥He雰囲気下で、素子の転移特性およびゲート漏れ電流Iを測定した。転移特性を調べるために、ドレイン電圧Vを−50Vに保ち、ゲート電圧Vを0.5Vステップで+100Vから−100Vへ掃引して戻った。転移特性を、非接触補正された飽和電界効果移動度、オンセット電圧、しきい値電圧、オフ電流、およびオンオフ比に関して解析した。
【0195】
図1は、薄膜素子の転移特性(V=ゲート電圧、I=実線)、および更にゲート漏れ電流(I=点線)を示す。移動度μは8×10−6cm/Vsである。素子のオンセット電圧Vonは−15.4Vであり、しきい値電圧Vは−10.3Vである。オフ電流Ioffは約5×10−11Aであり、オンオフ電流比Ion/Ioffは1600である。
【0196】
実施例11
実施例2の材料から作製したトランジスタ
前述の構成を有するボトムコンタクト型素子を使用した。半導体層の作製に使用した溶液は、試料化合物の0.5wt%トルエン溶液からなる。この溶液を、使用前に、0.45μmフィルタで濾過した。周囲条件下で、第1のステップで、スピン速度200rpmのスピンコーティングを約5秒間実施し、その後、3000rpmで30秒間実施した。この素子を、評価前に、80℃で5分間乾燥させた。素子ごとに少なくとも16個のトランジスタから得られた平均特性を以下にまとめた。移動度:3.4×10−7cm/Vs、電流オンオフ比:2.2×10、しきい値電圧:−20.1V、サブスレショルド勾配(V/decade):2.2。
【0197】
実施例12
実施例3の材料から作製したトランジスタ
前述の構成を有するボトムコンタクト型素子を使用した。半導体層の作製に使用した溶液は、化合物の1wt%クロロホルム溶液からなる。この溶液を、使用前に、0.2μmフィルタで濾過した。周囲条件下で、スピン速度500rpmのスピンコーティングを約20秒間実施した。
【0198】
この素子を、評価前に、80℃で1時間乾燥させた。素子ごとに少なくとも16個のトランジスタから得られた平均特性を以下にまとめた。移動度:1×10−7cm/Vs、電流オンオフ比:0.8×10、しきい値電圧:−14.5V。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ原子を有する三環式または多環式の芳香族炭化水素主鎖を有し、前記主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに、式Iを有する、C2vと混合されたC2h、C2h、D2h、および/またはCs点対称性群に属するという条件で、前記主鎖を構成する環が、それぞれ、多くて2個の共通に共有される環原子を介して互いにアニールされ、近接環の前記共通原子の数が、共通辺領域の数の2倍である、ビス(置換エチニル)化合物を含む半導体素子であって、
【化1】


Aとラベル付けされた環は、6個の原子を有する芳香環であり、Bとラベル付けされた環は、部分式I(i)の、単環式または多環式(好ましくは、単環式、二環式、または三環式)の不飽和の環または環系またはアニールされたフェロセノベンゾであり、
【化2】


点線の結合は、式Iの中心環Aにアニールされたベンゾ環の辺を表し、それぞれが環Aにアニールされ、Cとマーキングされた環は、前記部分式I(i)の、単環式または多環式(好ましくは、単環式、二環式、または三環式)の不飽和の環または環系またはフェロセノベンゾであり、それぞれが環Aにアニールされ、各々の環または環系BおよびCのそれぞれは、基=S、=O、または=C(NQを保持することも可能であり、「不飽和」は、最大限の数の共役二重結合を有することを意味し、前記環または環系BおよびCの少なくとも1つにおいて、環Aに直接アニールされた(環または環系BおよびCを形成するか、その一部を形成する)前記第1の環が両方の環または環系BおよびCに6個の環原子を有する場合は、少なくとも1つの環原子が、N、NQ、OおよびSから選択されたヘテロ原子であり、
式Iの化合物においてBおよびCとマーキングされた環または環系は、それぞれ、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、合計で、好ましくは4〜20個の、より好ましくは最大で14個の環原子を有し、前記1つまたは複数のヘテロ原子は、N、NQ、S、およびOから選択され、場合に応じて置換される環BおよびCのそれぞれは、以下の部分から選択され、点線は、分子のその他の部分にアニールされた環または環系の辺を表し、
【化3】


L=O、NH、NQ、SまたはCQであり、
L’=O、NH、NQ、またはCQであり、
【化4】


または、環Cが前記部分から選択され、環Bが式
【化5】


の環であり、
Qは、Qおよび各環が、他とは独立して出現するたびに、XまたはZについて後で定義されるように、水素または非置換または置換ヒドロカルビル、非置換または置換ヒドロカルビルカルボニル、またはヘテロアリールであり、好ましくは、Qは、水素、C−C14−アリール、C−C14−アリール−C−C20アルキル、C−C20−アルキル、特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル、およびC−C20−アルキルから選択され、
およびZ**は、水素、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル、非置換または置換C−C14−アリール(特に、フェニルまたはナフチル)、5〜14個の環原子を有する非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル(ベンジルなど))、非置換または置換ヘテロアリールC−C20−アルキル(このヘテロアリールは5〜14個の環原子を有する)、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル(ペルフルオロC−C10−アルカノイルなど)、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、およびスルファモイルからなる群から独立して選択され、
式Iに存在する置換基X、Y、およびZのうちの2つは、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビル、最大40個の炭素原子を有する非置換または置換ヒドロカルビルオキシ、最大40個の炭素原子を有するヒドロカルビルチオ、非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換ヘテロアリールオキシ、非置換または置換ヘテロアリールチオ、シアノ、カルバモイル、置換アミノ、ハロ−C−C−アルキル(トリフルオロメチルなど)、および置換シリルからなる群から置換基が選択される置換エチニルであり、2つのY置換基が、好ましくは各Yが他とは独立して、より好ましくは同様に、非置換または置換C−C20−アルキル、非置換または置換フェニル、非置換または置換ナフチル、非置換または置換アントラセニル、(C−C20−アルキル、C−C20−アルコキシ、およびフェニル−またはナフチル−C−C20−アルキルから選択される2つまたは好ましくは3つの部分によってシリルが置換される)置換シリルから置換基が選択される置換エチニルから選択され、
一方、残りの置換基X、Y、および/またはZは、存在する場合には、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル(前述の置換エチニル以外)、非置換または置換C−C14−アリール、5〜14個の環原子を有する非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル、非置換または置換ヘテロアリール−C−C20−アルキル(このヘテロアリールは5〜14個の環原子を有する)、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−(C−C20−アルキル)アミノ、N,N−ジ−(C−C20−アルキル)アミノ、C−C20−アルカノイルアミノ、フェニル−(C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−(C−C20−アルキル)−カルバモイル、N,N−ジ−(C−C20−アルキル)−カルバモイル、C−C20−アルカノイル−カルバモイル、フェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、スルファモイル、N−モノ−(C−C20−アルキル)−スルファモイル、N,N−ジ−(C−C20−アルキル)−スルファモイル、C−C20−アルカノイル−スルファモイル、フェニル−C−C20−アルキル)−スルファモイルからなる群から選択される置換基であり、
m、nおよびpの和が少なくとも2であるという条件で、nおよびpのそれぞれは0〜4であり、そして、mは0〜2であり、
または、前記ビス(置換エチニル)化合物は、式VまたはVI
【化6】


の化合物から選択される化合物であるか、または式IまたはI**
【化7】


の化合物であり、
各R’は、C−C20アルキル、ベンジル、C−C12ペルフルオロアルキル、C−C12ペルフルオロアルカノイル、フルオロフェニル、およびSiRから独立して選択され、Rは独立してC−Cアルコキシであり、Rは水素またはR’であり、XおよびZは、既に定義されたように置換エチニルである、半導体素子。
【請求項2】
式Iの化合物が、式IA
【化8】


の1つであり、
X、Z、および、AおよびBとマーキングされた環、nおよびpは、式Iの化合物に対して定義されたとおりであり、YおよびY**は、請求項1において定義された置換エチニルから独立して選択され、式Iの化合物に対して、請求項1において与えられた点群および環結合の条件を満たす化合物である、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
式Iの化合物における各Y、または式IAの化合物におけるYおよびY**は、以下の表で与えられる各部分から、他とは独立して、好ましくは同様に、選択され、
【表1】




アスタリスクで示された原子の1つによって、各部分がエチニル部分に結合され、Qは、請求項1において定義されたとおりであり、
Lは、O、S、NQであり、
L’は、OまたはSであり、
L”は、O、S、NQ、CQ、SiQであり、
Rは、独立してC−Cアルキルであり、
R”は、独立してHまたはC−Cアルキルであり、
前記表で与えられたフェニル部分、ナフチル部分、アントラセニル部分、またはヘテロアリール部分の置換基は、後で定義される置換シリル、ホルミル、C−C20−アルキル、C−C20−アルケニル、C−C20−アルキニル、C−C12−アリール、C−C12−アリール−C−C20−アルキル、5〜14個の環原子を有するヘテロアリール、ヘテロアリールが5〜14個の環原子を有するヘテロアリールC−C20−アルキル、ハロ−C−C20−アルキル(例えば、ペルフルオロC−C20−アルキル)、C−C20−アルカノイル、ハロ−C−C20−アルキルカルボニル、ハロ、ヒドロキシ、C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、C−C20−アルクチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、C−C20−アルコキシ−カルボニル、フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル)、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C−アルキル)−カルバモイル、ニトロ、およびスルファモイルからなる群から選択され、シャープ()が付いた置換基は、Hの代わりに窒素に結合されることも可能であり、例えばヘテロ環の環NHで置換され、
置換シリルに言及される場合、置換シリルは、C−C20−アルキル、C−C20−アルコキシ、およびフェニル−またはナフチル−C−C20−アルキルから選択される2つまたは好ましくは3つの部分によって置換されるシリルであり、
X、Z、Z、およびZ**は、存在する場合には、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル、非置換または置換C−C14−アリール(特に、フェニルまたはナフチル)、(5〜14個の環原子を有する)非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル(ベンジルなど))、(ヘテロアリールが5〜14個の環原子を有する)非置換または置換ヘテロアリールC−C20−アルキル、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル(ペルフルオロC−C10−アルカノイルなど)、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、およびスルファモイルからなる群から独立して選択され、置換された形式に言及される各場合において、置換基は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、またはヘテロアリールの置換基として、前述の置換基から選択され、nおよびpのそれぞれは、0〜2である、請求項1または2に記載の半導体素子。
【請求項4】
式IまたはIAの化合物において、環BおよびCのそれぞれは、場合に応じて置換され、以下の各部分から選択される環であり、点線の結合は、式IまたはIAの中心環Aにアニールされた環または環系の辺を表し、
【化9】


L=S、NQ、Oであり;L’=NQ、Oであり、
【化10】


L’=OまたはNQであり;L=O、NQまたはSであり、
【化11】


または、環BまたはCの一方が、前述の各部分から選択され、他方が式
【化12】


であり、
Qは、Qおよび各環が、他とは独立して出現するたびに、水素、C−C20−アルキル、フェニル−C−C20−アルキル、C−C20−アルキルフェニル−C−C20−アルキル、またはハロ−C−C20−アルキルカルボニル、特に、ベルフルオロ−C−C20−アルキルカルボニルであり、
各Y、またはYおよびY**は、他とは独立して、好ましくは同様に、C−C20−アルキル、非置換またはC−C20−アルキル−置換フェニル(3,5−ジメチルフェニルまたは4−tert−ブチルフェニルなど)、ハロフェニル(ペンタフルオロフェニルなど)、ナフチル、アントラセニル、トリ−(C−C20−アルキル)−シリル、および非置換であるか、C−C20−アルキル、フェニル、またはナフチルによって置換されることができる、以下の式の各部分から選択される部分から、置換基が選択される置換エチニルから選択され、
【化13】


これらは、好ましくは、アスタリスクが付いた原子の1つを介して結合され、
XおよびZは、任意選択の置換基として存在する場合には、C−C20−アルキル、フェニル、C−C20−アルキル−置換フェニル(3,5−ジメチルフェニルまたは4−tert−ブチルフェニルなど)、ナフチル、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル、およびハロ−C−C20−アルキルカルボニル(ペルフルオロ−C−CH20−アルキルカルボニルなど)からなる群から選択され、
nおよびpのそれぞれは、他とは独立して、0、1、または2であり、mは2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項5】
式IまたはIAの化合物が式IB
【化14】


の化合物であり、
各Dは、Gは、NHまたはSまたはOからなる群から選択されるヘテロ原子であり、X、Z、nおよびpは、式IまたはIAの化合物に対して定義されているとおりであり、YおよびY**は、置換エチニルから独立して選択され、式IまたはICの化合物に対して、請求項1において与えられた点群および環結合の条件を満たす化合物でもあり、
【化15】


Gは、OまたはNQであり、X、Z、nおよびpは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、YおよびY**は、置換エチニルから独立して選択され、式Iの化合物に対して既に与えられた点群および環結合の条件を満たす化合物でもある、請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項6】
式Iの化合物、特に、請求項2において与えられた式IAの化合物、更に特に、請求項5において与えられた式IBの化合物が、C2h点対称性を有するか、式Iの化合物、特に、式IAの化合物が、D2h点対称性を有し、
または、式Iの化合物、特に、式IAの化合物、更に特に、請求項5において与えられた式ICの化合物が、C点対称性を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項7】
式Iの化合物が、式IまたはI**
【化16】


の化合物であり、
XおよびZは、請求項1において式Iの化合物に対して定義された置換エチニルであるか、請求項3においてYに対して定義された置換エチニルである、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項8】
式Iの化合物が、式
【化17】




の化合物から選択される化合物であり、
各R’は、C−C20アルキル、ベンジル、C−C12ペルフルオロアルキル、C−C12ペルフルオロアルカノイル、フルオロフェニル、およびSiR(Rは独立してC−Cアルキル、C−Cアルコキシ)から独立して選択され、
R”、R、およびR**は、独立して、水素またはR’であり、
Lは、OまたはSである、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項9】
式Iの化合物が、式
【化18】


の化合物から選択される化合物であり、
各R’は、C−C20アルキル、ベンジル、C−C12ペルフルオロアルキル、C−C12ペルフルオロアルカノイル、フルオロフェニル、およびSiR(Rは独立してC−Cアルコキシ)から独立して選択され、
は、水素またはR’である、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項10】
ダイオード、有機電界効果トランジスタまたはダイオードおよび/もしくは特に有機電界効果トランジスタを含む素子である、請求項1から9または17のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の、式I、I、I**、V、VI、IA、IBまたはICの化合物。
【請求項12】
式IAの主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに(好ましくは)C2h、D2h、またはCの点対称性群に属するという条件で、請求項1において与えられた式I、I、またはI**の、本質的に異性体的に純粋な化合物であって、特に、各記号が請求項1から9のいずれか一項に記載の意味を有する、請求項2において与えられた式IAの化合物であって、前記主鎖を構成する、A、BおよびCとマーキングされた環はオルトアニールされている、化合物、または、前記主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに、または好ましくは分子全体が、C2hの点対称性群に属するという条件で、各記号が請求項1から9のいずれか一項に記載の意味を有する、請求項5において与えられた式IBの、本質的に異性体的に純粋な化合物、または、前記主鎖が(この定義を非置換と仮定するための)エチニル基とともに、または好ましくは分子全体が、Cの点対称性群に属するという条件で、各記号が請求項1から9のいずれか一項に記載の意味を有する、請求項5において与えられた式ICの、本質的に異性体的に純粋な化合物。
【請求項13】
半導体材料の90重量パーセント以上、好ましくは95重量パーセント以上、特に99重量パーセント以上が、請求項12において定義された式I、IA、IB、IC、I、またはI**の、異性体的に純粋な化合物であることを特徴とする、半導体層の配合、または半導体素子の半導体層。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項において定義された式I、I、I**、V、またはVIの化合物から、好ましくは、請求項2に記載の式IAの化合物から、または、好ましくは、請求項5に記載の式IBまたはICの化合物から、または、好ましくは、請求項7に記載の式IまたはI**の化合物から、薄膜トランジスタ素子を作製する方法であって、
複数の導電性ゲート電極を基板上に堆積させるステップと、
前記導電性ゲート電極上にゲート絶縁体層を堆積させるステップと、
式I、V、VI、好ましくはIA、または好ましくはIB、または好ましくはIまたはI**の化合物、またはこれらの前駆物質の層を、式I、V、VI、好ましくはIA、または好ましくはIBまたはIC、または好ましくはIまたはI**の化合物の前記層が前記ゲート電極とほぼ重なり合うように、前記絶縁体層に堆積させるステップと、
複数組の、導電性のソース電極およびドレイン電極を、前記各組が前記各ゲート電極と一直線をなすように、前記層上に堆積させ、それによって薄膜トランジスタ素子を生成するステップと、を含む方法。
【請求項15】
有機薄膜トランジスタを作製する方法であって、厚さが5〜200nmの範囲にある、式I、V、VI、好ましくはIA、または好ましくはIBまたはIC、または好ましくはIまたはI**の化合物の膜が形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の式I、I、I**、V、VIの化合物、好ましくは、請求項2に記載の式IAの化合物、または、好ましくは、請求項5に記載の式IBまたはICの化合物、または、好ましくは、請求項7に記載の式IまたはI**の化合物、または請求項17または18に記載の式XXIの化合物の、電子素子を作製するための有機半導体としての使用。
【請求項17】
式XXIの化合物を含む半導体素子であって、
【化19】


各Yは、他とは独立して、エチニルが、最大40個の炭素原子を有するヒドロカルビルまたは好ましくはハロ−ヒドロカルビルによって、置換されたものであり、
XおよびZは(それらが存在する場合には)、非置換または置換C−C20−アルキル(ハロ−C−C20−アルキルなど)、非置換または置換C−C20−アルケニル、非置換または置換C−C20−アルキニル、非置換または置換C−C14−アリール(特にフェニルまたはナフチル)、5〜14個の環原子を有する非置換または置換ヘテロアリール、非置換または置換C−C14−アリール−C−C20−アルキル(特に、フェニル−またはナフチル−C−C20−アルキル(ベンジルなど))、非置換または置換ヘテロアリール−C−C20−アルキル(ヘテロアリールは5〜14個の環原子を有する)、非置換または置換フェロセニル、非置換または置換C−C20−アルカノイル(非置換またはペルフルオロC−C12(これらが、2つの共通に共有される環原子を介してリンクされることを意味する)−アルカノイルなど)、ハロ、非置換または置換C−C20−アルコキシ、C−C20−アルケニルオキシ、C−C20−アルキニルオキシ、非置換または置換C−C20−アルキルチオ、C−C20−アルケニルチオ、C−C20−アルキニルチオ、カルボキシ、非置換または置換C−C20−アルコキシ−カルボニル、非置換または置換フェニル−C−C20−アルコキシ−カルボニル、アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−アミノ、シアノ、カルバモイル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C20−アルキル、C−C20−アルカノイル、および/またはフェニル−C−C20−アルキル)−カルバモイル、およびスルファモイルからなる群から、互いに独立して、選択される置換基であり、
nおよびpのそれぞれは、他とは独立して、0〜4、好ましくは0または1である、半導体素子。
【請求項18】
式XXIの化合物において、
Yは、ハロ−(フェニル、ナフチル−、またはアントラセニル)−エチニル(特に、ブロモ−またはクロロフェニル)であり、
XおよびZのそれぞれは(存在する場合には)、C−C20−アルキル、フェニル、ナフチル、C−C20−アルキルフェニルまたは−ナフチル(3,5−ジメチルフェニルなど)、フェニル−C−C20−アルキル、およびハロ−C−C20−アルキルカルボニル(ペルフルオロ−C−C20−アルキルカルボニルなど)から選択され、
nおよびpのそれぞれは、他とは独立して、0〜4、より好ましくは0である、請求項17に記載の半導体素子。
【請求項19】
9,10−ビス−(4−クロロ−フェニルエチニル)−アントラセンおよび
9,10−ビス−(4−ブロモ−フェニルエチニル)−アントラセン
という名前を有する化合物を含む、請求項17または18のいずれか一項に記載の半導体素子。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか一項において定義された式XXIの化合物から薄膜トランジスタ素子を作製する方法であって、
複数の導電性ゲート電極を基板上に堆積させるステップと、
前記導電性ゲート電極上にゲート絶縁体層を堆積させるステップと、
式XXIの化合物の層を、式XXIの化合物の前記層が前記ゲート電極とほぼ重なり合うように、前記絶縁体層に堆積させるステップと、
複数組の、導電性のソース電極およびドレイン電極を、前記各組が前記各ゲート電極と一直線をなすように、前記層上に堆積させ、それによって薄膜トランジスタ素子を生成するステップと、を含む方法。
【請求項21】
有機薄膜トランジスタを作製する方法であって、
厚さが5〜200nmの範囲にある、式XXIの化合物の膜が形成される、請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2009−519595(P2009−519595A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544954(P2008−544954)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069281
【国際公開番号】WO2007/068618
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】