説明

有機半導体化合物および、これを含むトランジスタと電子素子

【課題】低いバンドギャップと優れた電荷移動度を有し、しかも、溶液工程によって安価に製造し得る有機半導体化合物および、これを含むトランジスタと電子素子の提供。
【解決手段】下記の一般式で表される構造単位を含む有機半導体化合物。


上記の一般式中、Xは、それぞれ独立して、−CR3=N−、−N=N−、−CR4=CR5−、−O−、−S−、−Se−および−NR6−より、Yは、−CR7=CR8−、−O−、−S−、−Se−および−NR9−よりなる群から選ばれ、Zは、C1ないしC40のアリーレン基、C4ないしC14のヘテロ芳香族環基又はヘテロ芳香族環基を含むC6ないしC30の縮合多環基であり、pおよびqは、それぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は、0.5ないし0.95である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体化合物に係り、特に低いバンドギャップと高い電荷移動度を有する有機半導体化合物、およびこれを含むトランジスタと電子素子に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の情報化社会の発展には目を見張るものがあり、これに伴い、従来のCRT(Cathode Ray Tube)が有する高重量や高体積といった欠点を改善した新規な画像表示装置の開発が望まれている。これにより、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device;LCD)、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode;OLED)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;PDP)、SED(Surface−conduction Electron−emitter Display Device)などの種々のフラットパネル表示装置が注目を集めている。
【0003】
この種のフラットパネル表示装置のスイッチング素子として、アモルファスシリコン(amorphous silicon)を半導体層として用いた薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)がよく使用されている。
【0004】
アモルファスシリコン薄膜トランジスタは、良好な均一度を有し、しかも、ドープ状態では高い電気的特性を示しつつも、未ドープの状態では優れた絶縁性質を有することから、広く使用されている。
【0005】
しかしながら、従来、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを基板に蒸着するためには、通常、約300℃の高温環境下で工程を行うことを余儀なくされるという制限があり、フレキシブルディスプレイ(flexible display)を実現するためのポリマー基板(polymer substrate)などには適用困難であるという不都合があった。
【0006】
これを解消するために、有機半導体物質を用いた有機薄膜トランジスタ(Organic Thin Film Transistor;OTFT)が提案されている。
【0007】
有機薄膜トランジスタは、一般に、基板と、ゲート電極と、絶縁層と、ソース/ドレイン電極およびチャンネル領域を備えてなり、ソース電極及びドレイン電極の上にチャンネル領域が形成されるボトムコンタクト(BC)型の有機薄膜トランジスタと、マスク蒸着などの方法でチャンネル領域の上に金属電極が形成されるトップコンタクト(TC)型有機薄膜トランジスタとに大別できる。
【0008】
有機薄膜トランジスタ(OTFT)のチャンネル領域に満たされる低分子系もしくはオリゴマー有機半導体物質としては、メロシアニン、フタロシアニン、ペリレン、ペンタセン、C60、チオフェンオリゴマーなどが挙げられ、これらの低分子系もしくはオリゴマー有機半導体物質は、主として真空プロセスによって薄膜としてチャンネル領域に形成される。
【0009】
有機半導体高分子材料は、プリント技術などの溶液加工を用いて、安価に大面積を加工できて加工性の面でメリットがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態に係る目的は、低いバンドギャップと優れた電荷移動度を有し、しかも、溶液工程によって安価に製造し得る有機半導体化合物を提供することにある。
本発明の他の実施形態に係る目的は、前記有機半導体化合物を含むトランジスタを提供することにある。
本発明のさらに他の実施形態に係る目的は、前記有機半導体化合物を含む電子素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、下記の一般式1で表される構造単位を含む有機半導体化合物を提供する。
【化1】

上記の一般式1中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又はSiR5354−(ここで、R51〜R54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基またはC3〜C20のシクロアルキル基であり、但し、Rは水素ではなく、
Xは、それぞれ独立して、−CR=N−、−N=N−、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれ、
Yは、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれ、
前記R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又は−SiR5354−(ここで、R51〜R54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基またはC3〜C20のシクロアルキル基であり、又は
Xが−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環(fused ring)を形成してもよく、又は
Yが−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環を形成してもよく、
Zは、置換若しくは無置換のC1〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC4〜C14のヘテロ芳香族環基(heteroaromatic ring group)又はヘテロ芳香族環基を含む置換若しくは無置換のC6〜C30の縮合多環基であり、
pおよびqは、それぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は、0.5〜0.95である。
【0012】
前記有機半導体化合物は、下記の一般式2で表される構造単位を含んでいてもよい。
【化2】

上記の一般式2中、R、X、Y、Z、pおよびqは、一般式1の定義と同じ意味を有する。
【0013】
上記の一般式1および2中、p/(p+q)は、約0.6〜約0.9の範囲にあってもよい。
【0014】
上記の一般式1および2中、下記の一般式1Aで表される構造単位は、下記の一般式3の構造単位から選ばれてもよい。
【化1A】

【化3】

上記の一般式3のそれぞれの環に存在する水素は、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0015】
上記の一般式1および2中、−Z−構造単位は、下記の一般式4の構造単位のうちの少なくとも一つであってもよい。
【化4】

上記の一般式4中、QおよびQは、それぞれS、CR6465、NR66又はSiR6768であり、R60〜R68は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、
上記の一般式4のそれぞれの環に存在する水素は、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0016】
上記の一般式1の構造単位又は一般式2の構造単位を含む有機半導体化合物は、下記の一般式5の構造単位を含んでいてもよい。
【化5】

上記の一般式5中、
、R、X、Y、Z、pおよびqは、一般式1の定義と同じ意味を有し、
Z’は、上記の一般式4から選ばれる少なくとも一つの官能基であり、Z’はZとは異なり、
rは、r/(p+q+r)が0.2以下の範囲にあるように存在してもよく、好ましくは、0.05〜0.15の範囲にあってもよい。
【0017】
上記の一般式1中の一般式1Aの構造単位が、一般式3−1、一般式3−4および一般式3−7の構造単位のうちのいずれか一つであってもよく、上記の一般式1中の−Z−構造単位が、一般式4−1、一般式4−3、一般式4−5、一般式4−6、一般式4−8、一般式4−10、一般式4−11又は一般式4−12の構造単位のうちのいずれか一つであってもよい。
【0018】
上記の一般式1の構造単位を含む有機半導体化合物は、下記の一般式6の構造単位のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【化6】



上記の一般式6中、Ra〜Rgは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、p/(p+q)は約0.5〜0.95であり、r/(p+q+r)が約0.2以下である。
【0019】
前記有機半導体化合物は、約5、000〜200、000の数平均分子量(Mn)を有していてもよく、約10、000〜500、000の重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。
【0020】
前記有機半導体化合物は、p型有機半導体化合物であってもよい。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、前記有機半導体化合物を含むトランジスタを提供する。
【0022】
前記トランジスタは、基板の上に位置するゲート電極と、相対向するように位置してチャンネル領域を限定するソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極およびドレイン電極とゲート電極を電気的に絶縁させる絶縁層と、前記チャンネル領域に形成された、前記有機半導体化合物を含む活性層と、を備える。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記有機半導体化合物を含む電子素子を提供する。
【0024】
前記電子素子は、有機太陽電池であってもよい。
【0025】
その他の本発明の実施形態の詳細は、以下の詳細な説明の欄によって一層明らかになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による有機半導体化合物は、有機溶媒への優れた溶解性を有し、しかも、低いバンドギャップを実現し、優れた共平面性(coplanarity)を有することから、素子の電荷移動度(charge mobility)を改善できる。これにより、溶液工程によって薄膜を形成できて大面積の素子の製作に有利であり、しかも、素子の製作コストを節減できる。前記有機半導体化合物は、トランジスタ、太陽電池、メモリ素子、有機発光素子(OLED)、光センサー、レーザー素子などに好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態によるトランジスタの概略断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態によるトランジスタの概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による有機太陽電池の概略断面図である。
【図4】本発明の実施例1の一般式6−1(3)で表される有機半導体高分子のHNMRスペクトルである。
【図5】本発明の実施例2の一般式6−1(2)で表される有機半導体高分子のHNMRスペクトルである。
【図6】本発明の実施例1の一般式6−1(3)で表される有機半導体高分子を含むフィルムのUV−vis吸収(absorption)スペクトルである。
【図7】本発明の実施例2の 一般式6−1(2)で表される有機半導体高分子とPCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)との混合物(重量比=1:1)を含む有機太陽電池の電流密度−電圧(Current density−Voltage(Jsc−Voc))の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態につき、詳しく説明する。但し、これらの実施形態は単なる例示に過ぎず、これらによって本発明が制限されることはなく、本発明は後述する特許請求の範ちゅうによって定義される。
【0029】
層、膜、基板などの部分が他の構成要素の「上に」あるとしたとき、これは、他の構成要素の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の構成要素がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0030】
本明細書において、特に言及がない限り、「ヘテロ芳香族環基」とは、C2〜C30のヘテロアリール基、C3〜C30のヘテロシクロアルケニル基又はC3〜C30のヘテロシクロアルキニル基を意味する。「縮合多環基」とは、C3〜C30のシクロアルキル基、C3〜C30のシクロアルケニル基、C2〜C30のヘテロシクロアルキル基、C2〜C30のヘテロアリール基およびC3〜C30のヘテロシクロアルケニル基よりなる群から選ばれる1以上の環と前記ヘテロ芳香族環基とが互いに連結された融合環を意味する。
【0031】
前記「ヘテロ」とは、N、O、S、SiおよびPよりなる群から選ばれるヘテロ原子を含む化合物又は官能基を意味し、一つの環中に1〜4個のヘテロ原子が含まれる。
【0032】
本明細書において、「置換」とは、官能基や化合物中の水素が、フルオロ基、C1〜C30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C3〜C30のシクロアルキル基、C1〜C20のフルオロアルキル基、C1〜C20のペルフルオロアルキル基(C2n+1)、C1〜C30の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、C3〜C30のシクロアルコキシ基、C2〜C30の直鎖又は分岐鎖のアルコキシアルキル基、C4〜C30のシクロアルコキシアルキル基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる官能基で置換されることを意味する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、下記の一般式1で表される有機半導体化合物を提供する。
【化1】

【0034】
上記の一般式1中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又は−SiR5354−(ここで、R51〜R54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基またはC3〜C20のシクロアルキル基であり、但し、Rは水素ではない。
【0035】
また、Xは、それぞれ独立して、−CR=N−、−N=N−、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれ、Yは、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれる。
前記R〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(例えば、フルオロ基)、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(例えば、フルオロアルキル基)、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1〜C20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3〜C20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリール基、置換若しくは無置換のC6〜C30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又はSiR5354−(ここで、R51〜R54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のアルコキシ基またはC3〜C20のシクロアルキル基であり、又はXが−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環を形成してもよく、Yは、−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環を形成してもよい。
【0036】
また、Zは、置換若しくは無置換のC1〜C40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC4〜C14のヘテロ芳香族環基又はヘテロ芳香族環基を含む置換若しくは無置換のC6〜C30の縮合多環基である。
【0037】
さらに、pおよびqは、それぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は、約0.5〜0.95であり、好ましくは、約0.6〜約0.9の範囲にあり、さらに好ましくは、約0.7〜約0.8の範囲にある。pが前記範囲にある場合、有機半導体化合物の共平面性を維持しつつ、エネルギーバンドギャップを所望の範囲まで下げることができる。
【0038】
前記有機半導体化合物は、下記の一般式2で表される構造単位を含んでいてもよい。
【化2】

上記の一般式2中、R、X、Y、Z、pおよびqは、一般式1の定義と同じ意味を有する。
【0039】
上記の一般式1および2中、p/(p+q)は、約0.5〜約0.95の範囲にあってもよい。
【0040】
上記の一般式1中、R置換基を有するチオフェン構造単位、下記の一般式1Aで表される構造単位および−Z−構造単位は、前記モル比を満たしつつ交互に配列され、R置換基を有するチオフェン構造単位は、R置換基が片側に規則的に配列された位置規則性(regioregularity、Head−to−Tail構造)を有する。
【化1A】

【0041】
上記の一般式1中、R置換基を有するチオフェン構造単位は、構造単位の全量(p+q)に対して約0.5以上存在して化合物の共平面性を改善して電荷移動性(charge transfer)を高める。このように優れた共平面性を有する有機半導体化合物は良好な半導体特性を示すことから、トランジスタに好適に利用され得る。なお、R置換基が位置規則性をもって存在することから、n型構造との相互作用を改善し、分子間の相互作用を調節できる。
【0042】
かような有機半導体化合物は、カーボンナノチューブ(Carbon nanotube;CNT)、フラーレン(fullerene)、グラフェン(graphene)などとの混合性に優れていることから、有機太陽電池などに使用できる。
【0043】
上記の一般式1および2中、上記の一般式1Aで表される構造単位は、下記の一般式3の構造単位から選ばれ得る。上記の一般式1Aで表される構造単位は、有機半導体化合物のバンドギャップ(bandgap)を下げることができる。
【化3】

【0044】
上記の一般式3のそれぞれの環に存在する水素は、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0045】
前記−Z−構造単位は、UV吸光係数(absorption coefficient)を調節する。
上記の一般式1および2中、−Z−構造単位の例としては、下記の一般式4の構造単位が挙げられる。
【化4】

【0046】
上記の一般式4中、QおよびQは、それぞれS、CR6465、NR66又はSiR6768であり、R60〜R68は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる。
【0047】
上記の一般式4のそれぞれの環に存在する水素は、置換若しくは無置換のC1〜C15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3〜C15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1〜C15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6〜C15のアリール基、置換若しくは無置換のC2〜C15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0048】
上記の一般式1および2の構造単位を含む有機半導体化合物は、さらに一般式4(一般式4−1〜一般式4−13およびこれらの組み合わせ)から選ばれる官能基を追加の構造単位として含んでいてもよく、このような官能基は、一般式1又は2に含まれている−Z−構造単位とは異なる構造である。例えば、一般式1の構造単位に追加の構造単位(Z’)をさらに含む場合、下記の一般式5で表され得る。
【化5】

【0049】
上記の一般式5中、R、R、X、Y、Z、pおよびqは、一般式1の定義と同じ意味を有し、
Z’は、一般式4から選ばれる少なくとも一つの官能基であり、Z’はZとは異なり、
rは、r/(p+q+r)が約0.2以下の範囲にあるように存在してもよく、好ましくは、0.05〜0.2又は0.05〜0.15の範囲にあってもよい。
【0050】
前記官能基を含む−Z’−構造単位は、一般式1の構造単位100モルに対して約20.0モル以下の範囲で存在してもよく、5〜15モルの範囲で存在してもよい。前記範囲内において一般式4の官能基を含む追加の−Z’−構造単位がさらに含まれることにより、有機半導体化合物の物性を損なわないようにしながら、種々の構造単位を導入できる。
【0051】
上記の一般式1の一般式1Aの構造単位が、一般式3−1、一般式3−4および一般式3−7の構造単位のうちのいずれか一つであってもよく、上記の一般式1の−Z−構造単位が、一般式4−1、一般式4−3、一般式4−5、一般式4−6、一般式4−8、一般式4−10、一般式4−11又は一般式4−12の構造単位のうちのいずれか一つであってもよい。
【0052】
上記の一般式1の有機半導体化合物は、下記の一般式6のうちの少なくとも一つの構造単位を含んでいてもよい。
【化6】



【0053】
上記の一般式6中、Ra〜Rgは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは、置換若しくは無置換のC1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、p、qおよびrは、それぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は、約0.5〜0.95であり、好ましくは、約0.6〜約0.9であり、さらに好ましくは、約0.7〜約0.8であり、r/(p+q+r)が約0.2以下、好ましくは、0.05〜0.15の範囲にあるように存在してもよい。
【0054】
上記の一般式6の具体例としては、一般式6−1が挙げられる。
【化6−1】


【0055】
上記の一般式6−1中、p、qおよびrはそれぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は約0.5〜0.95であり、好ましくは、約0.6〜約0.9であり、さらに好ましくは、約0.7〜約0.8の範囲にある。rは、r/(p+q+r)が約0.2以下の範囲にあるように存在してもよく、好ましくは、約0.05〜約0.15の範囲にあってもよい。
【0056】
前記有機半導体化合物は、約5000〜約200、000の数平均分子量(Mn)を有していてもよく、約10、000〜約500、000の重量平均分子量(Mw)を有していてもよい。
前記有機半導体化合物は、p型有機半導体化合物であってもよい。
【0057】
前記置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基は、電子吸引性イミン窒素原子を少なくとも1以上含むC2〜C30のヘテロアリール基であってもよく、その具体例としては、下記の一般式7で表される官能基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化7】

【0058】
上記の一般式7中、Yは、水素、C1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、またはC3〜C20のシクロアルキル基、C6〜C30のアリール基、C1〜C16の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基またはC3〜C16のシクロアルコキシアルキル基である。上記の一般式7で表される置換基が一般式1の水素を置換して結合される位置は特に制限されないため、別途に表示しない。
【0059】
前記電子吸引性イミン窒素原子を少なくとも1以上含むC2〜C30のヘテロアリール基の具体例としては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリゾリル基、テトラゾリル基、ピリジン基、ピリダジン基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピリミドピリミジニル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾセレナジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナントリジニルなどが挙げられる。
【0060】
前記置換若しくは無置換のC2〜C30のヘテロアリール基は、硫黄原子を少なくとも1以上含むC2〜C30のヘテロアリール基であってもよく、下記の一般式8から選ばれ得る。
【化8】

【0061】
上記の一般式8中、Yは、水素、C1〜C20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、C3〜C20のシクロアルキル基、C6〜C30のアリール基、C1〜C16の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基またはC3〜C16のシクロアルコキシアルキル基である。なお、Yが複数存在する場合、互いに同一または異なり、てもよい。上記の一般式8で表される置換基が一般式1に結合される位置は特に制限されないため、別途に表示しない。
【0062】
上記の一般式1の構造単位を含む有機半導体化合物は、Stille etal(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1986, Vol. 25, pp. 508−524)、Suzuki et al(J. Am. Chem. Soc. 1989, Vol. 111, pp. 314−321)、McCullough et al (US 6,166,172, 1999)またはYamamoto et al.(Macromolecules 1992, Vol. 25, pp. 1214−1226)等によって合成され得る。例えば、上記の一般式1の構造単位を含む有機半導体化合物の場合、下記の反応式1から明らかなように、単量体を反応させて製造できる。
[反応式1]

【0063】
前記反応式1中、R、R、X、Y、Z、pおよびqは、一般式1の定義と同じ意味を有し、
〜Aは、それぞれ独立して、−Br、−I、−Clなどのハロゲン、トリアルキルスズ官能基およびボロラン官能基(borolane group)よりなる群から選ばれる反応性基(reactive group)であるが、これに限定されるものではなく、
前記トリアルキルスズ官能基は、下記の一般式9で表され、前記ボロラン官能基は、下記の一般式10又は11で表され得る。
【化9】

【0064】
上記の一般式9中、R31〜R33は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素又はC1〜C7のアルキル基であり、R31〜R33のうちの少なくとも一つはアルキル基である。
【化10】

【化11】

【0065】
上記の一般式11中、R34〜R37は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素又はC1〜C7のアルキル基であり、R34〜R37のうちの少なくとも一つはアルキル基である。
【0066】
前記反応式1の反応に供される触媒としては、下記の一般式12−1〜一般式12−4で表される有機金属触媒が挙げられる。
[化12−1]
Pd(L
[化12−2]
Pd(L4−yCl
【0067】
上記の一般式12−1および一般式12−2中、LおよびLは、トリフェニルホスフィン(PPh)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(1,1’−bis(diphenylphosphino)ferrocene(dppf)、アセテート(OAc)、トリフェニルアリシン(AsPh)およびトリフェニルホスファート(P(OPh))よりなる群から選ばれたリガンドであり、xは2〜4の整数であり、yは1〜3の整数である。
[化12−3]
Ni(L
[化12−4]
Ni(L3−yCl
【0068】
上記の一般式12−3および12−4中、LおよびLは、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,4−ジフェニルホスフィノブタン(dppb)などのジフェニルホスフィノアルカンおよびビス(1,5−シクロオクタジエン)(COD)などのシクロアルケンよりなる群から選ばれるリガンドであり、xは2又は3の整数であり、yは1又は2の整数である。
【0069】
パラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)化合物(Pd(PPh)のパラジウム(0)触媒が挙げられ、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(PdCl(PPh)、[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppb)Cl)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppf)Cl)、パラジウム(II)アセテート(Pd(OAc))などのパラジウム(II)触媒が挙げられる。
【0070】
ニッケル触媒の具体例としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)化合物(Ni(COD))のニッケル(0)触媒が挙げられ、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケル(II)ジクロリド(Ni(dppp)Cl)、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンニッケル(II)ジクロリド(Ni(dppe)Cl)などのニッケル(II)触媒が挙げられる。
【0071】
前記触媒の含量は、単量体の含量に応じて調節して使用でき、例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)化合物の場合、単量体に対して約0.2モル%〜約15モル%の範囲で使用でき、約2モル%〜約10モル%でも使用できる。
【0072】
重合溶媒としては、トルエン、ジメチルホルムアルデヒド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)などを使用できる。
前記反応式1の反応は、窒素雰囲気下、80〜120℃で6〜48時間行われる。
【0073】
前記有機半導体化合物は、トランジスタの活性層に使用できる。前記トランジスタは、基板の上に位置するゲート電極と、相対向するように位置してチャンネル領域を限定するソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極およびドレイン電極とゲート電極を電気的に絶縁させる絶縁層と、前記チャンネル領域に形成された前記有機半導体化合物を含む活性層と、を備える。
【0074】
前記活性層は、有機半導体化合物を含む組成物をスクリーン印刷法、印刷法、スピンコート法、ディップ法(dipping)、インクジェット法などの溶液工程によって形成できる。このように溶液工程によって活性層を形成する場合、工程コストを節減でき、大面積の素子の製造に有利である。
【0075】
図1および図2は、本発明の一実施形態によるトランジスタの概略断面図である。前記本発明の一実施形態によるトランジスタは、薄膜トランジスタであってもよい。前記本発明の一実施形態によるトランジスタが薄膜トランジスタである場合、薄膜の厚さは数nm〜数μmであってもよい。
【0076】
図1を参照すれば、トランジスタ10は、基板12の上にゲート電極14が形成され、その上に前記ゲート電極14を覆う絶縁層16が形成されている。前記絶縁層16にチャンネル領域を限定するソース電極17aおよびドレイン電極17bが形成されており、チャンネル領域に活性層18が形成され、この活性層18は有機半導体化合物を含む。
【0077】
図2を参照すれば、トランジスタ20は、基板22の上にチャンネル領域を限定するソース電極27aおよびドレイン電極27bが形成されており、チャンネル領域に活性層28が形成され、この活性層28は有機半導体化合物を含む。前記ソース電極27a、ドレイン電極27bおよび活性層28を覆うように絶縁層26が形成され、この上にゲート電極24が形成されている。
【0078】
前記基板12、22は、無機物、有機物、又は無機物と有機物との複合体を含むものであってもよい。前記有機物としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphtnalate、PEN)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate、PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリノルボルネン(polynorbornene)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)などのプラスチックが挙げられ、前記無機物としては、例えば、ガラス又は金属が挙げられる。
【0079】
また、前記ゲート電極14、24、ソース電極17a、27aおよびドレイン電極17b、27bとしては、通常の金属が使用でき、具体的には、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)インジウムスズ酸化物(ITO)などを使用できるが、これらに限定されない。
【0080】
前記絶縁層16、26としては、通常の高誘電率の絶縁体を使用でき、具体的には、BaO.33SrO.66TiO(BST、Barium Strontium Titanate)、Al、Ta、La、Y、TiOなどの強誘電性の絶縁体と、PbZrO.33TiO.66(PZT)、BiTi12、BaMgF、SrBi(TaNb)、Ba(ZrTi)O(BZT)、BaTiO、SrTiO、SiO、SiN、AlONなどの無機絶縁体と、ポリイミド(polyimide)、BCB(benzocyclobutane)、パリレン(parylene)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol)、ポリビニルフェノール(polyvinylphenol)などの有機絶縁体を使用できるが、これらに限定されない。以上に言及されてはいないが、米国特許第5、946、551号に記載の無機絶縁体と米国特許第6、232、157号に記載の有機絶縁体なども絶縁層16、26として使用できる。
【0081】
前記有機半導体化合物は、太陽電池、メモリ素子、有機発光素子(OLED)、光センサー、レーザー素子などに適用できる。
【0082】
以下、図3に基づき、本発明の一実施形態による有機太陽電池について説明する。図3は、本発明の一実施形態による有機太陽電池の概略断面図である。
図3を参照すれば、有機太陽電池30は、基板31の上にアノード(anode)32が位置する。
【0083】
前記基板31は、外部光が入射できるように透明性を有する物質であれば、特に制限なしに使用できる。これにより、前記透明基板10は、ガラス製又はプラスチック製のものであってもよい。前記プラスチックの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate、PEN)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリイミド(polyimide、PI)、トリアセチルセルロース(triacetylcellulose、TAC)又はこれらの共重合体などが挙げられる。
【0084】
前記アノード32は、正孔が注入できるように高い仕事関数(work function)を有する物質からなることが好ましいが、インジウムスズ酸化物(ITO)、フルオロスズ酸化物(fluorine tin oxide、FTO)、インジウム酸化物などの透明酸化物を使用できる。
【0085】
前記アノード32の上には、正孔輸送層33が位置していてもよい。前記正孔輸送層33は、ポリ(スチレンスルホネート)(PSS)でドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシ−チオフェン)(PEDOT)(PEDOT:PSS)、ポリ(スチレンスルホン酸)でドープされたポリアニリン(PAni:PSS)、ポリピロール、ポリ(p−フェニレンビニレン)、MEH−PPV(poly[2−methoxy−5−(2’−ethyl−hexyloxy)−1,4−phenylene vinylene)、MDMO−PPV(poly(2−methoxy−5−(3,7−dimethyloctyloxy)−1,4−phenylene−vinylene)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェンを含む伝導性ポリマー、ペンタセン、CuPc、又はトリフェニルジアミン誘導体(TPD)を含んでいてもよい。
【0086】
前記正孔輸送層33の上には、光活性層34が位置していてもよい。前記光活性層は、電子供与体(electron donor、p型半導体)物質および電子受容体(electron accepter、n型半導体)物質を含む。前記電子供与体としては、上述の有機半導体化合物が使用でき、電子受容体としては、高い電子親和度を有するフラーレン(C60、C70、C74、C76、C78、C82、C84、C720、C860)、1−(3−メトキシ−カルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)C61(1−(3−methoxy−carbonyl)propyl−1−phenyl(6,6)C61、PCBM)などのフラーレン誘導体、およびこれらの混合物よりなる群から選ばれるものが使用できる。
【0087】
前記有機半導体化合物および電子受容体は光活性層34に混合されて存在してもよく、別途の薄膜として形成されて二層膜(bilayer)構造の光活性層34を提供してもよい。前記有機半導体化合物および炭素系物質は、約1:0.5〜約1:4の重量比で混合されてもよい。前記混合範囲であれば、有機太陽電池の効率を高めることができる。前記光活性層14は、有機半導体化合物と電子受容体との混合物を、通常の塗布法、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、印刷法、ドクターブレード法、スパッターリング法などの方法を用いて塗布することにより形成でき、その厚さは、5nm〜2000nmであることが好ましい。
【0088】
前記光活性層34の上には、カソード35が位置する。前記カソード35としては、リチウム(Li)及びナトリウム(Na)を含むアルカリ金属、ベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)を含むアルカリ土類金属、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)を含む遷移金属、希土類元素、セレン(Se)を含む半金属、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム−インジウム合金、及びアルミニウム−リチウム合金を含む金属合金、LiF/Alのいずれかを使用できる。図示はしないが、前記光活性層34とカソード35との間には、さらに電子輸送層が位置していてもよい。
【0089】
前記光活性層34に吸収された光によって励起された電子−正孔対が拡散によって電子受容体と電子供与体との界面に達すると、その界面をなす両物質の電子親和度の違いによって電子と正孔とに分離され、電子は電子受容体を介してカソード35に移動し、正孔は電子供与体を介してアノード32に移動して光電流(photocurrent)を発生する。
【0090】
以下、本発明の実施例を例示する。但し、下記の実施例は本発明の単なる例示に過ぎず、本発明が下記の実施例によって限定されることはない。
[実施例]
[合成例1、単量体の合成]
【0091】
[合成例1−1]
2,3−ジ(3−ドデシロキシフェニル)−5,8−ジブロモピリド[3,4−b]ピラジン(2,3−di(3−dodecyloxylphenyl)−5,8−dibromopyrido[3,4−b]pyrazine)は、Macromolecules 1999, 32, 1375−1382、Bang−Lin Lee and Takakazu Yamamotoを参照して合成する。
H NMR (CDCl3, ppm): δ(ppm): 8.76 (s, 1H), 7.59−7.73 (m, Ph), 7.59−7.73 (m, Ph), 3.86 (t, 4H), 1.71 (m, 4H), 1.35 (m, 36H, (CH2)9), 0.88 (t, 6H, CH3).
【0092】
[合成例1−2]
(2,6−ジクロロ−4,8−ビス(N−オクチルアミノ)ピリミド[5,4−d]ピリミジン(2,6−dichloro−4,8−bis(N−octylamino)pyrimido[5,4−d]pyrimidine)は、Macromolecules 2002, 35, 2993−2999、Takakazu Yamamoto and Bang−Lin Leeを参照して合成する。
H NMR (CDCl3): δ(ppm): 6.86 (t, 2H, J = 5.37 Hz, NH), 3.57 (q, 4H, J = 6.25 Hz, N−CH2), 1.68 (m, 4H, CH2), 1.36 (m, 20H, (CH2)5), 0.88 (t, 6H, CH3). 13C{H} NMR (CDCl3): δ(ppm): 159.38 (4,8−C), 156.52 (2,6−C), 131.66 (4a, 8a−C), 41.20 (C1 of octyl group), 31.77 (C2), 29.18 (C3), 29.16 (C4), 28.99 (C5), 26.84 (C6), 22.64 (C7), 14.05 (C8).
【0093】
[合成例1−3]
2−ブロモ−3−ヘキシル−5−トリメチルスタンニルチオフェン(2−bromo−3−hexyl−5−trimethylstannylthiophene)は、下記のようにして合成する。
[反応式2]

【0094】
3−ヘキシルチオフェンと同量のN−ブロモスクシンイミド(以下、NBS)を室温下にてクロロホルムで15時間反応して得た2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン50mmolを、−80〜−90℃で、リチウムジイソプロピルアミン(以下、LDAと称する、2.0 M in mixture of THF/hexane)57mmolの無水THF40mLに攪拌しながら入れる。同じ温度で20〜30分間反応させた後、MeSnCl(50mmol)のTHF溶液を入れ、−50℃で1時間攪拌する。反応後にエーテルおよび水で抽出を行い、有機層を濃縮した後、蒸留して無色オイルの生成物を78%の収率で得る。
H NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm): 0.34 (9H, CH), 0.88 (3H, CH), 1.31 (broad, 2nH, −(CH)n−), 1.56 (m, 2H, −CH−), 2.55 (t, 2H, Thiophene−CH−), 6.84 (s, Thiophene−H).
【0095】
[合成例1−4]
2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(下記の反応式3中、m=1の場合)と、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)bithiophene)(下記の反応式3中、m=2の場合)は、J. Org. Chem., 1984, 49, 5250の合成方法を参照して合成する。
[反応式3]

【0096】
2,5−ビス(トリメチルスタンニル)チオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)thiophene)(上記の反応式3中、m=1の場合)は、下記のように合成する。
窒素雰囲気下で−50℃まで下げたジブロモチオフェン3.0g(12.4mmol)のテトラヒドロフラン(THF、50mL)溶液に、n−ブチルリチウム(1.63M n−BuLi in Hexane)18.4mL(30mmol)を入れ、同温度で30分間反応させた後、トリメチルスタンニルクロリド(以下、MeSnClと称する、5g、25mmol)を入れて−50℃で4〜5時間反応させる。次いで、水およびエーテルで分液して得た有機層を乾燥剤で乾燥させた後に溶媒を除去する。そして、エーテルを用いた2回の再結晶化により白色の結晶3.1gを得る(収率:60%)。
H−NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.38 (CH3, 18H), 7.38 (2H, Thiophene−H).
【0097】
[合成例1−5]
2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)bithiophene)(上記の反応式3中、m=2の場合)は、下記のように合成する。
ジブロモチオフェンに代えて、ジブロモビチオフェンを用いる以外は、前記合成例1−4の方法と同様にして、2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェン(2,5−bis(trimethylstannyl)bithiophene)を合成する。
H NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm): 0.38 (CH3, 18H), 7.08 (d, 2H, Thiophene−H), 7.27 (d, 2H, Thiophene−H).
【0098】
[実施例1:下記の一般式6−1(3)の有機半導体高分子の合成]
【化6−1(3)】

上記の一般式6−1(3)中、p/(p+q)=0.8であり、nは重合度を示す。
[反応式4]

【0099】
窒素雰囲気下、2,3−ジ(3−ドデシロキシフェニル)−5,8−ジブロモピリド[3,4−b]ピラジン(2,3−di(3−dodecyloxylphenyl)−5,8−dibromopyrido[3,4−b]pyrazine)(0.15g、0.2mmol)と、合成例1−3で合成された2−ブロモ−3−ヘキシル−5−トリメチルスタンニルチオフェン(0.33g、0.8mmol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF)に入れ、弱く加熱しつつ、合成例1−5で得られた2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェン(0.08g、0.2mmol)も加える。反応混合物を完全に溶解させた後に、重合触媒としてパラジウム(0)化合物であるPd(PPh(全体の単量体に対して7.0mol%、0.1g)を入れた後に、90℃で12時間反応させる。反応後に室温まで冷却された反応混合液をろ過して得た高分子固体を、塩酸水溶液/クロロホルムで2回、アンモニア水溶液/クロロホルムで2回、水/クロロホルムで2回の順に洗浄した後、メタノール、アセトン、メチレンクロリドおよびクロロホルムを用いたソックスレー抽出法(Soxhlet Extraction)で高分子を回収する。乾燥させて赤色を帯びる高分子を得る(収率=45%、数平均分子量=28、000、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)、ポリスチレン標準品)。
【0100】
上記の一般式6−1(3)で表される有機半導体高分子のHNMRスペクトルを図4に示す。
H NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm): 0.86−1.83 (alkyl−CH2), 2.60 (Th−CH2, Head−to−Head), 2.80 (Th−CH2, Head−to−Tail), 3.92 (b, −O−CH2−), 6.76 − 7.60(Th−H, Ph−H), 7.78 (b, Th−H), 8.52 (b, Th−H), 9.13 (s, pyrido[3,4−b]pyrazine−H).
【0101】
[実施例2:下記の一般式6−1(2)の有機半導体高分子の合成]
【化6−1(2)】

【0102】
上記の一般式6−1(2)中、p/(p+q)=0.8であり、nは重合度を示す。
前記実施例1で用いられた2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェンスタンニルに代えて、0.15g(0.2mmol)の2,6−ジトリメチルチン−4,8−ジエチルヘキシロキシ−ベンゾジチオフェンを用いる以外は、前記実施例1の方法と同様にして、6−1(2)で表される濃い紺色の高分子を合成する(収率=52%、数平均分子量=32、000、高温GPC、ポリスチレン標準品)。
【0103】
前記6−1(2)で表される有機半導体高分子のHNMRスペクトルを図5に示す。
H NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm) : 0.84−1.73 (alkyl−CH2), 2.60 (Th−CH2, Head−to−Head), 2.80 (Th−CH2, Head−to−Tail), 3.90 (b, −O−CH2−), 4.24 (b, −O−CH2−), 6.90 − 7.64(Th−H, Ph−H), 7.84 (b, Th−H), 8.55 (b, Th−H), 9.13 (s, pyrido[3,4−b]pyrazine−H).
【0104】
[実施例3:下記の一般式6−1(1)の有機半導体高分子の合成]
【化6−1(1)】

【0105】
上記の一般式6−1(1)中、p/(p+q)=0.7であり、nは重合度を示す。
前記実施例1で用いられた2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェンの代わりに、0.15g(0.2mmol)の2,6−ジトリメチルチン−4,8−ジエチルヘキシロキシ−ベンゾジチオフェンを用いる以外は、前記実施例1の方法と同様にして、一般式6−1(1)で表される濃い紺色の高分子を合成する(収率=42%、数平均分子量=28、000、高温GPC、ポリスチレン標準品)。
H NMR (300MHz, CDCl) δ(ppm): 0.92−1.67 (alkyl−CH2), 2.60 (Th−CH2, Head−to−Head), 2.80 (Th−CH2, Head−to−Tail), 4.21 (b, −O−CH2−),6.90 − 7.98 (Aromatic −H)
【0106】
[実施例4:下記の一般式6−1(15)の有機半導体高分子の合成]
【化6−1(15)】

【0107】
上記の一般式6−1(15)中、p/(p+q+r)=0.74であり、r/(p+q+r)=0.09であり、nは重合度を示す。
[反応式5]

【0108】
窒素雰囲気下、反応器に、合成例1−2で得られた2,6−ジクロロ−4,8−ビス(N−オクチルアミノ)ピリミド[5,4−d]ピリミジン(0.04g、0.1mmol)と、合成例1−3で合成された2−ブロモ−3−ヘキシル−5−トリメチルスタンニルチオフェン(0.41g、1.0mmol)、及び2,3−ジ(3−ドデシロキシフェニル)−5,8−ジブロモピリド[3,4−b]ピラジン(2,3−di(3−dodecyloxylphenyl)−5,8−dibromopyrido[3,4−b]pyrazine)(0.19g、0.25mmol)を無水DMFに入れ、弱く加熱しつつ、さらに合成例1−5で得られた2,5−ビス(トリメチルスタンニル)ビチオフェン(0.1g、0.25mmol)を加える。反応混合物を完全に溶解させた後、重合触媒としてパラジウム(0)化合物であるPd(PPh(全体の単量体に対して7.0mol%、0.1g)を入れ、その後、90℃で12時間反応させる。反応後に室温まで冷却された反応混合液をろ過して得た高分子固体を、塩酸水溶液/クロロホルムで2回、アンモニア水溶液/クロロホルムで2回、水/クロロホルムで2回の順に洗浄した後、メタノール、アセトン、メチレンクロリド、クロロホルムを用いたソックスレー抽出法で高分子を回収した。乾燥させて赤色を帯びる高分子を得た(収率=45%、数平均分子量=23、000、高温GPC、ポリスチレン標準品)。NMR分析を行ったところ、ヘキシルチオフェンのhead−to−tail(HT):head−to−head(HH)の比は0.89:0.11であり、相当の位置規則性を維持していることが分かる。
H NMR (300 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.92 (−CH3), 1.10−1.72 (alkyl−CH2), 2.60 (Th−CH2, Head−to−Head), 2.81 (Th−CH2, Head−to−Tail), 3.94 (b, −O−CH2−, −N−CH2−), 6.95−7.43 (Th−H, Ph−H), 7.80 (b, Th−H), 8.53 (b, Th−H), 9.13 (s, pyrido[3,4−b]pyrazine−H).
【0109】
前記実施例1〜4で得られた有機半導体高分子をそれぞれクロロベンゼンに1.0重量%の濃度で溶解させ、スピンコート法で塗布し、窒素雰囲気下、100℃で1時間ベークを行うことでフィルムを製造する。
【0110】
実施例1の有機半導体化合物のUV−Vis吸収スペクトルを図6に示す。図6から明らかなように、約400nm〜約800nmにおいてブロード(broad)な吸収スペクトルを示す。
【0111】
[有機半導体高分子を用いた有機薄膜トランジスタの製造]
まず、洗浄されたガラス基板に、ゲート電極としてのクロムをスパッターリング法で1000Åの厚さで蒸着した後、ゲート絶縁膜としてのSiOをCVD法で1000Åの厚さで蒸着する。その上に、ソース−ドレイン電極としてのAuをスパッターリング法で1200Åの厚さで蒸着する。基板は、有機半導体材料を蒸着する前に、イソプロピルアルコールを用いて10分間洗浄しかつ乾燥させて使用する。前記実施例1〜実施例4の有機半導体高分子をクロロホルムに10mMの濃度で希釈させたオクタデシルトリクロロシラン溶液に30秒間浸漬し、アセトンで洗浄して乾燥させた後に、前記実施例1〜実施例4で合成された有機半導体高分子をそれぞれクロロベンゼンに1.0重量%の濃度で溶解させてスピンコート法で塗布し、窒素雰囲気下、150℃で1時間ベークを行うことで有機薄膜トランジスタ(OTFT)素子を製作する。
【0112】
[有機半導体高分子を用いた有機太陽電池の製造]
前記実施例1〜実施例4で合成された有機半導体高分子をそれぞれPCBM(fullerene derivative[6,6]−phenyl−C61−butyric acid methylester)と1:1の重量比でクロロベンゼン溶媒の存在下で混合して、10mg/mLの濃度の溶液を製造する。ITOの表面を洗浄した後、PEDOT:PSS(Baytron P TP AI 4083、Bayer AG)を40nmの厚さでスピンコートした後、120℃で60分間ベークを行う。このようにして形成されたPEDOT:PSS層の上に前記溶液をそれぞれスピンコートして100nmの厚さの光活性層を形成し、1X10−6mbarの真空下でLiF(0.6nm)/Al(150nm)を熱蒸着してカソードを形成して有機太陽電池を製造する。
【0113】
前記有機太陽電池の電流密度−電圧特性(Current density−Voltage(Jsc−Voc))を測定する。Oriel 1KW solar simulatorを用いて、AM 1.5G太陽光を100mW/cmの強さ(intensity)で照射しつつ有機太陽電池を駆動する。Keithley 4200 source measurement unitで電流密度−電圧特性を測定する。前記太陽光の強さは、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL:National Renewable Energy Laboratory)で公認されたシリコン太陽電池(PVM132)を基準に補正する。
【0114】
このうち、実施例2による6−1(2)で表される有機半導体高分子と、PCBMとの混合物(重量比=1:1)を含む有機太陽電池の電流密度−電圧特性(Current density−Voltage(Jsc−Voc))の測定結果を図7に示す。図7の電流密度−電圧特性の曲線から、下記数式1を用いて有機太陽電池の効率(PCE;Power Conversion Efficiency)が得られる。
【数1】

【0115】
式中、Vocは太陽電池の開放電圧、Iscは短絡電流、FFはフィルファクター(fill factor)、Pinは入射する光の強さを示す。
前記数式1に従い計算された実施例2による6−1(2)で表される有機半導体高分子とPCBMとの混合物(重量比=1:1)を含む有機太陽電池の効率は、2.85%であった。
【0116】
本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、他の様々な実施形態によって製造でき、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な実施形態で実施可能であるということが理解できるであろう。よって、上述の実施例はあらゆる面で例示的なものであり、限定的なものであると理解されてはならない。
【符号の説明】
【0117】
10、20 トランジスタ
12、22 基板、
16、26 絶縁層
18、28 活性層
14、24 ゲート電極
17a、27a ソース電極
17b、27b ドレイン電極
30 有機太陽電池
31 基板
32 アノード
33 正孔輸送層
34 光活性層
35 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式1で表される構造単位を含むことを特徴とする、有機半導体化合物。
【化1】

ここで、上記の一般式1中、
およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1ないしC20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1ないしC20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3ないしC20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC30のアリール基、置換若しくは無置換のC6ないしC30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2ないしC30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又はSiR5354−(ここで、R51ないしR54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1ないしC15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1ないしC15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC15のアリール基、置換若しくは無置換のC2ないしC15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1ないしC20のアルキル基、C1ないしC20のアルコキシ基またはC3ないしC20のシクロアルキル基であり、但し、Rは水素ではなく、
Xは、それぞれ独立して、−CR=N−、−N=N−、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれ、Yは、−CR=CR−、−O−、−S−、−Se−および−NR−よりなる群から選ばれ、
前記RないしRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは無置換のC1ないしC20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の直鎖又は分岐鎖のC1ないしC20のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC3ないしC20のシクロアルキロキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC30のアリール基、置換若しくは無置換のC6ないしC30のアリーロキシ基、置換若しくは無置換のC2ないしC30のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、あるいは、選択的に、1又は隣接しない2以上のCH基が、−O−、−S−、−S(O)−、−CO−、−OCO−、−C(O)O−、−CR51=CR52−、−C≡C−又は−SiR5354−(ここで、R51ないしR54は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1ないしC15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1ないしC15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC15のアリール基、置換若しくは無置換のC2ないしC15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる)で置換されたC1ないしC20のアルキル基、C1ないしC20のアルコキシ基またはC3ないしC20のシクロアルキル基であり、又は
Xが−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環(fused ring)を形成してもよく、又は
Yは、−CR=CR−である場合に、隣り合うRおよびRは互いに連結されて融合環(fused ring)を形成してもよく、
Zは、置換若しくは無置換のC1ないしC40のアリーレン基、置換若しくは無置換のC4ないしC14のヘテロ芳香族環基(heteroaromatic ring group)又はヘテロ芳香族環基を含む置換若しくは無置換のC6ないしC30の縮合多環基であり、
pおよびqは、それぞれの構造単位のモル比を示し、p/(p+q)は、0.5ないし0.95である。
【請求項2】
下記の一般式2で表される構造単位を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【化2】

ここで、上記の一般式2中、
、X、Y、Z、pおよびqは各々、上記一般式1におけるR、X、Y、Z、pおよびqの定義と同じ意味を有する。
【請求項3】
上記一般式1中、p/(p+q)は、0.6ないし0.9の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【請求項4】
上記の一般式1中、下記の一般式1Aで表される構造単位は、下記の一般式3の構造単位から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【化1A】

【化3】

ここで、上記の一般式3のそれぞれの環に存在する水素は、選択的に、置換若しくは無置換のC1ないしC15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1ないしC15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC15のアリール基、置換若しくは無置換のC2ないしC15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換される。
【請求項5】
上記一般式1および一般式2中、−Z−構造単位は、下記の一般式4の構造単位のうちの少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【化4】

ここで、上記の一般式4中、QおよびQは、それぞれS、CR6465、NR66又はSiR6768であり、R60ないしR68は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1ないしC15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1ないしC15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC15のアリール基、置換若しくは無置換のC2ないしC15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれ、
上記の一般式4のそれぞれの環に存在する水素は、置換若しくは無置換のC1ないしC15の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、置換若しくは無置換のC3ないしC15のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC1ないしC15のアルコキシ基、置換若しくは無置換のC6ないしC15のアリール基、置換若しくは無置換のC2ないしC15のヘテロアリール基およびこれらの組み合わせよりなる群から選ばれる置換基で置換される。
【請求項6】
下記の一般式5の構造単位を含むことを特徴とする、有機半導体化合物。
【化5】

ここで、上記一般式5中、
、R、X、Y、Z、pおよびqは、請求項1の一般式1の定義と同じ意味を有し、
Z’は、請求項5の一般式4から選ばれる少なくとも一つの官能基であり、Z’はZとは異なり、
rは、r/(p+q+r)が0.2以下の範囲にあるような値である。
【請求項7】
上記一般式1中の一般式1Aの構造単位が、一般式3−1、一般式3−4および一般式3−7の構造単位のうちのいずれか一つであり、上記の一般式1中の−Z−構造単位が、一般式4−1、一般式4−3、一般式4−5、一般式4−6、一般式4−8、一般式4−10、一般式4−11又は一般式4−12の構造単位のうちのいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【請求項8】
上記一般式1の構造単位は、下記の一般式6の構造単位のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【化6】



ここで、上記一般式6中、RaないしRgは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは無置換のC1ないしC20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、あるいは、置換若しくは無置換のC1ないしC20の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、p/(p+q)は約0.5ないし0.95であり、r/(p+q+r)が約0.2以下である。
【請求項9】
前記有機半導体化合物は、5、000ないし200、000の数平均分子量(Mn)を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【請求項10】
前記有機半導体化合物は、10、000ないし500、000の重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【請求項11】
p型有機半導体化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体化合物。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の有機半導体化合物を含むことを特徴とする、トランジスタ。
【請求項13】
前記トランジスタは、基板の上に位置するゲート電極と、相対向するように位置してチャンネル領域を限定するソース電極およびドレイン電極と、前記ソース電極およびドレイン電極とゲート電極を電気的に絶縁させる絶縁層と、前記チャンネル領域に形成された活性層と、を備え、
前記活性層は、有機半導体高分子を含むものであることを特徴とする、請求項12に記載のトランジスタ。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれかに記載の有機半導体化合物を含むことを特徴とする、電子素子。
【請求項15】
前記電子素子は、有機太陽電池であることを特徴とする、請求項14に記載の電子素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−140624(P2012−140624A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−290399(P2011−290399)
【出願日】平成23年12月29日(2011.12.29)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】