説明

有機半導体素子の作製方法

【課題】効率のよいフォトエレクトロニクスデバイスを提供する。
【解決手段】陽極と陰極との間に、電流を流すことで発光する1番目からn番目(nは2以上の整数)の機能性有機薄膜層と、1番目からk番目(kは1≦k≦(n−1)の整数)の導電体薄膜層と有するエレクトロルミネッセンス素子を提供する。このエレクトロルミネッセンス素子において、機能性有機薄膜層と、導電体薄膜層とは交互に設けられている。また、1番目の機能性有機薄膜層は陽極に接し、前記n番目の機能性有機薄膜層は陰極に接している。導電体薄膜層は、クラスター状であり、P型半導体とルイス酸とを含む第1の層と、第1の層よりも陽極側に設けられ、N型半導体と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2の層とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体を用いたエレクトロニクスデバイスに関する。中でも特に、光電
変換素子やEL素子などのフォトエレクトロニクスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物は無機化合物に比べて、材料系が多様であり、適した分子設計により様々な
機能を有する材料を合成できる可能性がある。また、膜等の形成物が柔軟性に富み、さら
には高分子化することにより加工性にも優れるという特長もある。これらの利点から、近
年、機能性有機材料を用いたフォトニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
【0003】
有機材料の光物性を利用したフォトニクスは、現在の工業技術において既に重要な役割
を果たしている。例えば、フォトレジストなどの感光材料は、半導体の微細加工に用いら
れるフォトリソグラフィ技術にとって欠かせない材料である。加えて、有機化合物自体、
光の吸収およびそれに伴う発光(蛍光や燐光)という性質を有しているため、レーザー色
素等の発光材料としての用途も大きい。
【0004】
一方、有機化合物はそれ自身キャリアを持たない材料であるため、本質的には優れた絶
縁性を有する。従って、有機材料の電気物性を利用したエレクトロニクスに関しては、旧
来は絶縁体としての機能を利用することが主であり、絶縁材料、保護材料、被覆材料とし
て使用されてきた。
【0005】
しかしながら、本質的には絶縁体である有機材料に大量の電流を流す手段は存在し、エ
レクトロニクスの分野でも実用されつつある。この手段は、大きく分けると二通りに分け
られる。
【0006】
そのうちの一つは、導電性高分子に代表されるように、π共役系有機化合物にアクセプ
タ(電子受容体)またはドナー(電子供与体)をドープすることにより、そのπ共役系有
機化合物にキャリアを持たせる手段である(非特許文献1参照)。ドープ量を増やすこと
によってキャリアはある程度の領域まで増加していくため、暗導電率もそれに伴い上昇し
、多くの電流が流れるようになる。
【0007】
【非特許文献1】Hideki Shirakawa, Edwin J. Louis, Alan G. MacDiarmid, Chwan K. Chiang, and Alan J. Heeger, "Synthesis of Electrically Conducting Organic Polymers : Halogen Derivatives of Polyacetyrene, (CH)x", Chem. Comm., 1977, 16, 578-580
【0008】
その電流量は、通常の半導体かそれ以上のレベルにまで到達できるため、このような挙
動を示す材料の一群は、有機半導体(場合によっては有機導電体)と呼ぶことができる。
【0009】
このように、アクセプタまたはドナーをドープすることによって暗導電率を向上させ、
有機材料に電流を流す手段は、一部では既にエレクトロニクスの分野で応用されている。
例えば、ポリアニリンやポリアセンを用いた充電可能な二次電池や、ポリピロールを用い
た電界コンデンサなどがある。
【0010】
有機材料に大量の電流を流すもう一つの手段は、空間電荷制限電流(SCLC;Space Charg
e Limited Current)を利用する手段である。SCLCとは、外部から空間電荷を注入して移
動させることにより流れる電流であり、その電流密度はチャイルドの法則、すなわち下記
式(1)で表される。Jは電流密度、εは比誘電率、ε0は真空誘電率、μはキャリア移動
度、Vは電圧、dはVが印加されている電極間の距離(以下、「厚さ」と記す)である。
【0011】
(数1)
J = 9/8・εε0μ・V2/d3 (1)
【0012】
なお、上記式(1)で表されるSCLCは、SCLCが流れる際のキャリアのトラップを一切仮
定しない式である。キャリアのトラップによって制限される電流はTCLC(Trap Charge Li
mited Current)と呼ばれ、電圧のべき乗に比例するが、これらはどちらもバルク律速の
電流であるので以下では同様の扱いとする。
【0013】
ここで、対比のために、オームの法則に従うオーム電流が流れる際の電流密度を表す式
を、下記式(2)に示す。σは導電率、Eは電界強度である。
【0014】
(数2)
J = σE = σ・V/d (2)
【0015】
式(2)中の導電率σは、σ = neμ(nはキャリア密度、eは電荷)で表されるため、キ
ャリア密度が流れる電流量の支配因子に含まれる。したがって、ある程度のキャリア移動
度を持つ有機材料に対し、先に述べたようなドーピングによるキャリア密度の増大を図ら
ない限り、通常キャリアがほとんど存在しない有機材料にはオーム電流は流れない。
【0016】
ところが、式(1)を見てわかるとおり、SCLCを決定する因子は、誘電率、キャリア移
動度、電圧、および厚さであり、キャリア密度は関係ない。すなわち、キャリアを持たな
い絶縁体である有機材料であっても、厚さdを十分薄くし、キャリア移動度μが大きい材
料を選ぶことにより、外部からキャリアを注入して電流を流すことができるのである。
【0017】
この手段を用いた場合でも、その電流量は、通常の半導体かそれ以上のレベルにまで到
達できるため、キャリア移動度μが大きい有機材料、言い換えれば潜在的にキャリアを輸
送できる有機材料は有機半導体と呼ぶことができる。
【0018】
ところで、このようなSCLCを利用した有機半導体素子の中でも特に、機能性有機材料の
光物性・電気物性の両方を活かしたフォトエレクトロニクスデバイスとして、有機エレク
トロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記す)が近年めざましい発展を見せて
いる。
【0019】
有機EL素子の最も基本的な構造は、1987年にC.W.Tang等によって報告されている(非特
許文献2参照)。非特許文献2で報告されている素子は、正孔輸送性の有機化合物と電子
輸送性の有機化合物とを積層させた合計約100 nm程度の有機薄膜を電極で挟んだダイオー
ド素子の一種であり、電子輸送性の化合物として発光性の材料(蛍光材料)を用いている
。このような素子に電圧を印加することにより、発光ダイオードのように発光を取り出す
ことができる。
【0020】
【非特許文献2】C.W.Tang and S.A.Vanslyke, "Organic electroluminescent diodes" , Applied Physics Letters,Vol.51, No.12, 913-915 (1987)
【0021】
その発光機構は、電極で挟んだ有機薄膜に電圧を加えることにより、電極から注入され
た正孔および電子が有機薄膜中で再結合して励起状態の分子(以下、「分子励起子」と記
す)を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際に光が放出されると考えられている。
【0022】
なお、有機化合物が形成する分子励起子の種類としては一重項励起状態と三重項励起状
態が可能であり、基底状態は通常一重項状態であるため、一重項励起状態からの発光は蛍
光、三重項励起状態からの発光は燐光と呼ばれる。本明細書中においては、はどちらの励
起状態が発光に寄与する場合も含むこととする。
【0023】
このような有機EL素子において、通常、有機薄膜は100〜200nm程度の薄膜で形成される
。また、有機EL素子は、有機薄膜そのものが光を放出する自発光型の素子であるため、従
来の液晶ディスプレイに用いられているようなバックライトも必要ない。したがって、有
機EL素子は極めて薄型軽量に作製できることが大きな利点である。
【0024】
また、例えば100〜200nm程度の有機薄膜において、キャリアを注入してから再結合に至
るまでの時間は、有機薄膜のキャリア移動度を考えると数十ナノ秒程度であり、キャリア
の再結合から発光までの過程を含めてもマイクロ秒オーダー以内で発光に至る。したがっ
て、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。
【0025】
こういった薄型軽量・高速応答性などの特性から、有機EL素子は次世代のフラットパネ
ルディスプレイ素子として注目されている。また、自発光型であり視野角が広いことから
、視認性も比較的良好であり、携帯機器の表示画面に用いる素子として有効と考えられて
いる。
【0026】
また、有機EL素子の他にも、潜在的にキャリアを輸送できる、すなわちある程度のキャ
リア移動度を有する有機材料(有機半導体)を用いた有機半導体素子の代表例として、有
機太陽電池が挙げられる。
【0027】
これは言わば、有機EL素子と逆の機構を利用するものである。すなわち、最も基本的な
構成は有機EL素子と同様であり、二層構造の有機薄膜を電極で挟んだ構造である(非特許
文献3参照)。光をその有機薄膜に吸収させることによって生じる光電流を利用し、起電
力を得ることができる。このとき流れる電流は、光によって生じたキャリアが有機材料の
キャリア移動度を利用して流れるものと考えてよい。
【0028】
【非特許文献3】C.W.Tang, "Two-layer organic photovoltaic cell", Applied Physics Letters, vol.48, No.2, 183-185(1986)
【0029】
このように、エレクトロニクスの分野においては本来絶縁体としての用途しか考えられ
なかった有機材料は、有機半導体をうまく工夫することによって、様々なエレクトロニク
スデバイス、フォトエレクトロニクスデバイスの中心的機能を担わせることができるため
、有機半導体の研究が現在盛んに行われている。
【0030】
以上では、本質的には絶縁体である有機材料に電流を流す手段として、有機半導体を用
いた二通りの手法を先に述べた。しかしながら、その二通りの手法は、いずれもそれぞれ
異なる欠点を有している。
【0031】
まず、有機半導体にアクセプタやドナーをドープすることによってキャリア密度を増大
させる場合、確かに導電性は向上するものの、その有機半導体自身がもともと持っていた
固有の物性(光吸収特性、蛍光特性など)が失われる。例えば、蛍光を発するπ共役系の
高分子材料に対してアクセプタやドナーをドープすると、導電性は上昇するが発光しなく
なるのである。したがって、導電性という機能を得る代わりに、有機材料が持っている他
の多様な機能は犠牲にされてしまうと言ってもよい。
【0032】
また、アクセプタやドナーのドープ量を調節することによって様々な導電率を達成でき
るというメリットはあるが、どれほどアクセプタやドナーをドープしてキャリアを増やし
ても、金属や金属に準ずる無機化合物(窒化チタンなどの無機化合物導電体)ほどのキャ
リア密度を安定に得ることは困難である。つまり、導電率に関して無機材料の導電体を上
回ることは幾つかの例を除いて極めて困難であり、加工性や柔軟性に富むとことしかメリ
ットが残らなくなってしまう。
【0033】
一方、SCLC(以下では光電流も含める)を有機半導体に流す場合、有機半導体自身がも
ともと持っていた固有の物性は失われることはない。代表的な例はまさに有機EL素子であ
り、電流を流しつつも、蛍光材料(あるいは燐光材料)の発光を利用している。有機太陽
電池も、有機半導体の光吸収という機能を利用している。
【0034】
ところが、式(1)を見てわかるとおり、SCLCは厚さdの3乗に反比例するため、極めて
薄い膜の両面に電極を挟んだ構造でしか流すことができない。より具体的には、有機材料
の一般的なキャリア移動度を考えると、100nm〜200nm程度の超薄膜にしなければならない

【0035】
確かに、上記のような超薄膜とすることによって、低い電圧で多くのSCLCが流せる。非
特許文献2で述べたような有機EL素子も、有機薄膜の厚みを100nm程度の均一な超薄膜と
したことが成功の要因の一つである。
【0036】
しかしながら、この厚みdを極めて薄くしなければならないということ自体が、SCLCを
流す際の最大の問題点となってくる。まず、100nm程度の薄膜では、ピンホールなどの欠
陥が生じやすく、それを起点にショートなどの不良が発生して歩留まりが悪くなる恐れが
ある。また、薄膜の機械的な強度も低くなる上に、超薄膜であるがゆえに作製プロセスも
自ずと限られてきてしまう。
【0037】
また、SCLCを電流として利用する場合、有機半導体自身がもともと持っていた固有の物
性は失われることはなく、様々な機能が発現できることがメリットであるが、SCLCが流れ
ることによってその有機半導体の機能の劣化は促進される。例えば有機EL素子を例にとっ
てみれば、初期輝度にほぼ反比例、言い換えれば流す電流の量に反比例する形で素子寿命
(発光輝度の半減期)が悪くなることが知られている(非特許文献4参照)。
【0038】
【非特許文献4】佐藤佳晴、「応用物理学会 有機分子・バイオエレクトロニクス分科会 会誌」、Vol.11, No.1 (2000)、86-99
【0039】
以上で述べたように、アクセプタないしはドナーをドープして導電性を発現させるデバ
イスは、導電性以外の機能を消失してしまう。また、SCLCを利用して導電性を発現させる
デバイスは、超薄膜に大量の電流を流すことが原因で素子の信頼性などに問題点が生じて
いるのである。
【0040】
ところで、有機EL素子や有機太陽電池のような有機半導体を用いたフォトエレクトロニ
クスデバイスは、その効率にも問題を抱えている。
【0041】
例えば有機EL素子を例にとってみる。有機EL素子の発光機構は先に述べた通り、注入さ
れた正孔と電子が再結合することで光に変換される。従って理論的には、一個の正孔およ
び一個の電子の再結合から、最大で一個のフォトンを取り出すことができることになり、
複数のフォトンを取り出すことはできない。つまり、内部量子効率(注入されたキャリア
の数に対して放出されるフォトンの数)は最大で1である。
【0042】
しかしながら現実的には、内部量子効率を1に近づけることさえ困難である。例えば発
光体として蛍光材料を用いた有機EL素子の場合、一重項励起状態(S*)と三重項励起状態
(T*)の統計的な生成比率がS*:T*=1:3であると考えられている(非特許文献5参照)
ため、その内部量子効率の理論的限界は0.25となる。さらに、その蛍光材料の蛍光量子収
率φfが1でない限り、内部量子効率は0.25よりもさらに下がる。
【0043】
【非特許文献5】筒井哲夫、「応用物理学会有機分子・バイオエレクトロニクス分科会・第3回講習会テキスト」、P.31(1993)
【0044】
近年は、燐光材料を用いることで三重項励起状態からの発光を利用し、内部量子効率の
理論的限界を0.75〜1に近づけようという試みがなされており、実際に蛍光材料を超える
効率が達成されている。しかしながら、これも燐光材料の燐光量子収率φpが高い材料を
用いなければならないため、材料の選択幅がどうしても限られてしまう。室温で燐光を放
出できる有機化合物が、極めてまれなためである。
【0045】
つまり、有機EL素子の電流効率(流した電流に対して生じる輝度)を向上させる手段を
講じることができれば、極めて大きな革新になるのである。電流効率が向上すれば、より
少ない電流で多くの輝度を出せる。逆に言えば、ある輝度を達成するのに流す電流を少な
くすることができるため、先に述べたような超薄膜に大量の電流を流すことで生じる劣化
も小さくなる。
【0046】
有機EL素子とは逆の機構、すなわち有機太陽電池のような光電変換に関しても、効率が
悪いのが現状である。従来の有機半導体を用いた有機太陽電池の場合、先に述べたように
超薄膜を用いなければ電流が流れず、従って起電力も生じない。しかしながら超薄膜にし
てしまうと、光の吸収効率がよくない(光を吸収しきれない)という問題が生じる。この
ことが効率が悪い大きな要因であると思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
以上のことから、有機半導体を用いたエレクトロニクスデバイスにおいて、有機材料固
有の物性を活かしつつ大量の電流を流そうとすると、信頼性や歩留まりに悪影響を与えて
しまうという欠点がある。さらに、特にフォトエレクトロニクスデバイスにおいては、そ
のデバイスの効率もよくない。これらの問題点は基本的に、従来の有機半導体素子の「超
薄膜」構造に由来するものであると言ってもよい。
【0048】
従って本発明では、従来の有機半導体素子の構成に新規な概念を導入することで、従来
の超薄膜を用いることなく、より信頼性が高い上に歩留まりも高い有機半導体素子を提供
することを課題とする。また、特に有機半導体を用いたフォトエレクトロニクスデバイス
においては、その効率も向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、アクセプタないしはドナーをドープして導電性を
発現させる有機半導体と、SCLCを利用して導電性を発現させる有機半導体とを組み合わせ
ることにより、上記課題を解決できる手段を考案した。その最も基本的な構成を図1に示
す。
【0050】
図1は、SCLCを流すことにより様々な機能を発現する有機薄膜層(本明細書においては
、「機能性有機薄膜層」と記す)と、アクセプタまたはドナーをドープするなどの手法で
暗導電性を発現させたフローティング状の導電体薄膜層を交互に積層した有機構造体を、
陽極と陰極との間に設けた有機半導体素子である。
【0051】
ここで重要なことは、導電体薄膜層は機能性有機薄膜層に対し、ほぼオーミックに接続
できるような構成が好ましいことである(この場合の導電体薄膜層を特に、「オーミック
導電体薄膜層」と記す)。言い換えれば、導電体薄膜層と機能性有機薄膜層との間の障壁
をなくすか、あるいは極めて小さくするということである。
【0052】
このような構成とすることにより、各オーミック導電体薄膜層から各機能性有機薄膜層
に対し、正孔と電子が容易に注入される。例えば、図1でn=2とした素子における、そ
の概念図を図2に示す。図2において、陽極と陰極との間に電圧を印加した場合、1番目
のオーミック導電体薄膜層から1番目の機能性有機薄膜層に対しては電子が、1番目のオ
ーミック導電体薄膜層から2番目の機能性有機薄膜層に対しては正孔が、容易に注入され
る。外部回路から見れば、陽極から陰極に向かって正孔が、陰極から陽極に向かって正孔
が流れている(図2(a))わけだが、オーミック導電体薄膜層から電子と正孔の両方が逆
方向へ向けて流れ出ているという見方もできる(図2(b))。
【0053】
ここで、各機能性有機薄膜層を100nm〜200nm、あるいはそれ以下とすることにより、各
機能性有機薄膜層に注入されたキャリアはSCLCとして流れることができる。すなわち、各
機能性有機薄膜層においては、有機材料固有の物性に由来する機能(発光など)を発現す
ることができる。
【0054】
しかも、本発明の基本構造を適用すれば、有機構造体をいくらでも厚くすることができ
るため、極めて有用である。つまり、従来の素子(陽極301と陰極302との間に機能性有機
薄膜層303を挟んだ素子)が、ある電圧Vをdの膜厚に印加することでJの電流密度を得られ
るとする(図3(a))。ここで、同様にdの膜厚を持つn個の機能性有機薄膜層303とn−1個
のオーミック導電体薄膜層304とを交互に積層した本発明の場合(図3(b))、これまでは
dの膜厚(従来であれば100nm〜200nm)にしかSCLCが流せなかったものが、見かけ上は、n
dの膜厚に対して図3(a)と同様Jの電流密度を持つSCLCを流しているかのようになる。つ
まり、見かけ上は図3(c)のようになるわけだが、これは従来の素子では不可能なことで
ある(どんなに電圧を印加しても、SCLCは膜厚が大きくなると急激に流れなくなるため
)。
【0055】
無論この場合、単純に考えて、電圧はnVだけ必要となる。しかしながら、有機半導体を
用いたエレクトロニクスデバイスにおいて、有機材料固有の物性を活かしつつ大量の電流
を流そうとすると信頼性や歩留まりに悪影響を与えてしまうという欠点を、容易に克服す
ることができる。
【0056】
このように、機能性有機薄膜層と導電体薄膜層とを交互に積層した有機構造体を陽極と
陰極との間に設けることにより、有機半導体素子において従来よりも厚い膜厚でSCLCを流
すことができるという概念は、これまで存在しなかった。この概念は、SCLCを流して発光
を取り出す有機EL素子や、その逆の機構とも言える光電流を利用する有機太陽電池はもち
ろんのこと、その他の有機半導体素子にも広く応用することが可能である。
【0057】
そこで本発明では、陽極と陰極との間に、1番目からn番目(nは2以上の整数)までの
n個の機能性有機薄膜層を順次積層してなる有機構造体が設けられた有機半導体素子にお
いて、k番目(kは、1≦k≦(n−1)なる整数)の機能性有機薄膜層とk+1番目の
機能性有機薄膜層との間には全て、フローティング状の導電体薄膜層が設けられており、
前記導電体薄膜層は、前記機能性有機薄膜層に対してオーム接触していることを特徴とす
る。
【0058】
この場合、前記導電体薄膜層として、金属や導電性無機化合物を用いるのではなく、有
機化合物とする方が好ましい。特に透明性が必要となるフォトエレクトロニクスデバイス
の場合は、有機化合物の方が好適である。
【0059】
従って本発明では、陽極と陰極との間に、1番目からn番目(nは2以上の整数)までの
n個の機能性有機薄膜層を順次積層してなる有機構造体が設けられた有機半導体素子にお
いて、k番目(kは、1≦k≦(n−1)なる整数)の機能性有機薄膜層とk+1番目の
機能性有機薄膜層との間には全て、有機化合物を含むフローティング状の導電体薄膜層が
設けられており、前記導電体薄膜層は、前記機能性有機薄膜層に対してオーム接触してい
ることを特徴とする。
【0060】
また、前記導電体薄膜層と機能性有機薄膜層とをオーミック接触またはそれに近い接触
をさせるため、先に述べたように、前記導電体薄膜層を有機化合物で形成し、アクセプタ
またはドナーをドープすることが重要な手段となる。
【0061】
従って本発明では、陽極と陰極との間に、1番目からn番目(nは2以上の整数)までの
n個の機能性有機薄膜層を順次積層してなる有機構造体が設けられた有機半導体素子にお
いて、k番目(kは、1≦k≦(n−1)なる整数)の機能性有機薄膜層とk+1番目の
機能性有機薄膜層との間には全て、有機化合物を含むフローティング状の導電体薄膜層が
設けられており、前記導電体薄膜層には、前記有機化合物に対するアクセプタまたはドナ
ーの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする。
【0062】
また本発明では、陽極と陰極との間に、1番目からn番目(nは2以上の整数)までのn
個の機能性有機薄膜層を順次積層してなる有機構造体が設けられた有機半導体素子におい
て、k番目(kは、1≦k≦(n−1)なる整数)の機能性有機薄膜層とk+1番目の機
能性有機薄膜層との間には全て、有機化合物を含むフローティング状の導電体薄膜層が設
けられており、前記導電体薄膜層には、前記有機化合物に対するアクセプタおよびドナー
の両方が含まれていることを特徴とする。
【0063】
なお、導電体薄膜層にアクセプタやドナーをドープする際、機能性有機薄膜層に用いら
れている有機化合物と、導電体薄膜層に用いられている有機化合物とを同一のもので接続
する(つまり、機能性有機薄膜層に用いている有機化合物を導電体薄膜層に含有させ、導
電体薄膜層にはアクセプタやドナーをドープする)ことにより、より簡単なプロセスで素
子を作製することができる。
【0064】
ところで、導電体薄膜層にアクセプタとドナーの両方が含まれる場合、前記導電体薄膜
層は、有機化合物にアクセプタを添加した第一の層と、前記有機化合物と同一の有機化合
物にドナーを添加した第二の層と、を積層してなる構造であり、前記第一の層が前記第二
の層よりも陰極側に位置する構造が好適である。
【0065】
また、そのような場合も、機能性有機薄膜層に用いられている有機化合物と、導電体薄
膜層に用いられている有機化合物とを同一のもので接続することが好ましい。
【0066】
ところで、導電体薄膜層にアクセプタとドナーの両方が含まれる場合、前記導電体薄膜
層は、第一の有機化合物にアクセプタを添加した第一の層と、前記第一の有機化合物とは
異なる第二の有機化合物にドナーを添加した第二の層と、を積層してなる構造であり、前
記第一の層が前記第二の層よりも陰極側に位置する構造も好適である。
【0067】
この場合も、機能性有機薄膜層に用いられている有機化合物と、前記第一の層に用いら
れている有機化合物とを同一のもので接続することが好ましい。また、機能性有機薄膜層
に用いられている有機化合物と、前記第二の層に用いられている有機化合物とを同一のも
ので接続することが好ましい。
【0068】
機能性有機薄膜層の構成としては、バイポーラ性の有機化合物を用いて作製してもよい
し、正孔輸送層と電子輸送層を積層するなどモノポーラ性の有機化合物を組み合わせて用
いてもよい。
【0069】
以上で述べたような素子構造は、有機半導体素子の中でも特に、発光や光吸収に関連す
るフォトエレクトロニクスの分野において効率を高めることができるため、極めて有用で
ある。つまり、機能性有機薄膜層を、電流を流すことで発光を呈する有機化合物で構成す
ることで、信頼性が高く、効率のよい有機EL素子とすることができる。また、機能性有機
薄膜層を、光を吸収することで光電流が生じる(起電力を生じる)有機化合物で構成する
ことで、信頼性が高く、効率のよい有機太陽電池とすることができる。
【0070】
従って本発明では、以上で述べた機能性有機薄膜層を、有機EL素子の機能や有機太陽電
池の機能を発現できる構成とした有機半導体素子に関しても、全て含むものとする。
【0071】
なお、特に有機EL素子において、機能性有機薄膜層をバイポーラ性の有機化合物で構成
する場合、前記バイポーラ性の有機化合物はπ共役系を有する高分子化合物を含むことが
好適である。またその際、導電体薄膜層に対しても前記π共役系を有する高分子化合物を
用い、アクセプタやドナーをドープして暗導電率を向上させる手法が好ましい。あるいは
、導電体薄膜層として、アクセプタまたはドナーを添加した導電性高分子化合物を用いて
もよい。
【0072】
また、有機EL素子において、正孔輸送材料からなる正孔輸送層と電子輸送材料からなる
電子輸送層を積層するなど、モノポーラ性の有機化合物を組み合わせて機能性有機薄膜層
を構成する場合、導電体薄膜層に対しても、前記正孔輸送材料または前記電子輸送材料の
うち少なくとも一方を用い、アクセプタやドナーをドープして暗導電率を向上させる手法
が好ましい。あるいは、前記正孔輸送材料および前記電子輸送材料の両方を用いてもよい
。具体的には、機能性有機薄膜層に用いている電子輸送材料にドナーをドープした層と、
機能性有機薄膜層に用いている正孔輸送材料にアクセプタをドープした層とを積層した構
造を、導電体薄膜層として用いるなどの手法である。
【0073】
機能性有機薄膜層の構成としては、有機太陽電池においても有機EL素子と同様である。
すなわち、有機太陽電池において、機能性有機薄膜層をバイポーラ性の有機化合物で構成
する場合、前記バイポーラ性の有機化合物はπ共役系を有する高分子化合物を含むことが
好適である。またその際、導電体薄膜層に対しても前記π共役系を有する高分子化合物を
用い、アクセプタやドナーをドープして暗導電率を向上させる手法が好ましい。あるいは
、導電体薄膜層として、アクセプタまたはドナーを添加した導電性高分子化合物を用いて
もよい。
【0074】
また、有機太陽電池において、正孔輸送材料からなる層と電子輸送材料からなる層を積
層するなど、モノポーラ性の有機化合物を組み合わせて機能性有機薄膜層を構成する場合
、導電体薄膜層に対しても、前記正孔輸送材料または前記電子輸送材料のうち少なくとも
一方を用い、アクセプタやドナーをドープして暗導電率を向上させる手法が好ましい。あ
るいは、前記正孔輸送材料および前記電子輸送材料の両方を用いてもよい。具体的には、
機能性有機薄膜層に用いている電子輸送材料にドナーをドープした層と、機能性有機薄膜
層に用いている正孔輸送材料にアクセプタをドープした層とを積層した構造を、導電体薄
膜層として用いるなどの手法である。
【0075】
なお、以上で述べたような全ての導電体薄膜層(オーミック導電体薄膜層)は、キャリ
アを注入できればよいためシート抵抗を低くする必要はない。従ってその導電率は、10-1
0S/m2以上程度であれば十分である。
【発明の効果】
【0076】
本発明を実施することで、従来の超薄膜を用いることなく、より信頼性が高い上に歩留
まりも高い有機半導体素子を提供することができる。また、特に有機半導体を用いたフォ
トエレクトロニクスデバイスにおいては、その効率も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
以下、本発明の実施形態について、有機EL素子や有機太陽電池を例として詳細に説明す
る。なお、有機EL素子は、発光を取り出すために少なくとも陽極、または陰極の一方が透
明であれば良いが、本実施例の形態では、基板上に透明な陽極を形成し、陽極側から光を
取り出す素子構造を記述する。実際は陰極を基板上に形成して陰極から光を取りだす構造
や、基板とは逆側から光を取り出す構造、電極の両側から光を取り出す構造にも適用可能
である。有機太陽電池についても、光を吸収させるため、素子の両面のうちどちらか一方
が透明であればよい。
【0078】
まず、有機EL素子において、超薄膜に由来する信頼性の悪さを克服し、さらには流れる
電流に対して放出される光の割合(すなわち電流効率)を向上させる手段として、単純な
デバイス構造の観点からは、例えば有機EL素子を直列に接続すればよい。このことは以下
のように説明される。
【0079】
図4(a)に示すように、ある電圧V1を印加することによってJ1の電流密度を有する電流
が流れ、単位面積当たりL1の光エネルギー(あるエネルギーをもったフォトンが放出され
たとして、そのエネルギーとフォトン数との積に相当する)で発光する有機EL素子D1
あるとする。この時のパワー効率φe1(与えられた電気エネルギー(電力)に対する発光
のエネルギーのことであり、エネルギー変換効率と同義である)は、以下の式で与えられ
る。
【0080】
(数3)
φe1 = L1/(J1・V1) (3)
【0081】
次に、このD1と全く等価な有機EL素子D2を、D1と直列に繋いだ場合を考える(図4(b
))。なお、この時の接点C1は、D1とD2とをオーミックに接続しているものとする。
【0082】
ここで、素子全体(すなわちD1とD2とを接続した構造を有する素子Dall)に、図4(a)
で印加した電圧に比べて2倍の電圧V2(=2V1)を印加したとする。すると、D1とD2とが
等価であるため、図4(b)に示したようにD1およびD2にはそれぞれV1ずつの電圧が印加さ
れ、共通の電流密度J1の電流が流れる。従って、D1およびD2はそれぞれL1ずつの光エネル
ギーで発光するため、素子全体Dallからは2倍の光エネルギー2L1を得ることができるの
である。
【0083】
この時のパワー効率φe2は、以下の式で与えられる。
(数4)
φe2 = 2L1/(J1・2V1) = L1/(J1・V1) (4)
【0084】
上記式(3)と上記式(4)を比較してわかるとおり、パワー効率で考えれば図4(a)
と図4(b)では変化はなく、V1とJ1からL1に変換されるというエネルギー保存則は守られ
ている。しかしながら電流効率は、見かけ上2倍、すなわちL1/J1から2 L1/J1に増加す
る。これは有機EL素子にとって重要な意味を持つ。つまり、直列に接続する有機EL素
子を増やし、その数を増やした分だけ電圧をより多く印加し、電流密度は一定に保ってお
くことで、電流効率は高めることができるのである。
【0085】
この概念をより一般化すると、全く等価な有機EL素子をn個直列にオーミック接続し
た場合、電流密度を一定に保ったまま、電圧をn倍にすることでn倍の輝度を得ることがで
きる。この性質は、有機EL素子において輝度と電流密度が比例関係にあることに起因して
いる。
【0086】
もちろん、異なる有機EL素子を直列に接続した場合でも、各々の有機EL素子から放
出される輝度は異なるが、電圧を多く印加することで一つの有機EL素子よりは多くの輝
度を取り出すことができる。その概念図を図5に示す。
【0087】
図5で示したとおり、異なる有機EL素子D1とD2を直列に接続し、一つの有機EL素子
(D1ないしはD2)にJ1の電流を流すのに必要な電圧(V1ないしはV2)よりも高い電圧V1+V
2を印加すると、J1の電流でL1+L2(>L1, L2)の輝度を取り出すことができる。
【0088】
このとき、例えばD1を青色発光素子、D2を黄色発光素子とすることで、混色できれば白
色発光となるので、従来よりも電流効率の高い、ひいては素子の寿命も長い白色発光素子
も可能となる。
【0089】
このように、素子を直列にオーミック接続させることで、見かけの電流効率を向上させ
、より少ない電流で大きな輝度を得ることができる。このことはすなわち、同じ輝度の光
を放出させるのに必要な電流を、従来よりも小さくすることができることを意味する。し
かも、電圧さえ多く印加してもよいのであればいくらでも有機EL素子を接続することが
でき、全体の膜厚は厚くすることができる。
【0090】
しかしながら、上記のように、単純に有機EL素子を直列に接続する場合にも、問題点
が存在する。これは有機EL素子の電極および素子構造に由来する問題であるが、図6を
用いて説明する。図6(a)は図4(a)の有機EL素子D1の断面図、図6(b)は図4(b)の素子
全体Dallの断面図を模式的に表したものである。
【0091】
通常の有機EL素子の基本構造(図6(a))は、基板601上に透明電極602(ここでは陽
極であり、一般にはITOなどが用いられる)を設け、電流を流すことで発光を呈する機能
性有機薄膜層(以下、「有機EL層」と記す)604を成膜し、陰極603を形成することで作製
されている。この場合、光は透明電極(陽極)602から取り出される。陰極603は、通常仕
事関数の低い金属電極、あるいは電子注入を補助する陰極バッファ層と金属導電膜(アル
ミニウムなど)を併用したものを用いる。
【0092】
このような有機EL素子を単純に二つ直列に接続する場合(図6(b))、一番目の透明電
極(陽極)602a上に一番目の有機EL層604a、一番目の陰極603a、二番目の透明電極(陽極
)602b、二番目の有機EL層604b、二番目の陰極603bが順次積層される構造になる。すると
、二番目の有機EL層604bで放出される光は、一番目の陰極603aが金属であるために透過で
きず、素子の外に取り出すことができない。したがって、上下の有機EL素子の発光を混色
し、白色光にするなどの工夫もできなくなる。
【0093】
例えば、陽極、陰極両方に透明電極であるITOを用いる技術も報告されている(非特許
文献6:G. Parthasarathy, P. E. Burrows, V. Khalfin, V. G. Kozlov, and S. R. For
rest, "A metal-free cathode for organic semiconductor devices", J. Appl. Phys.,
72, 2138-2140 (1998))。これを用いれば第一の陰極603aを透明にできるため、第二の有
機EL層604bから放出される光を取り出すこともできる。しかしながら、ITOは主としてス
パッタリングによって形成されるため、有機EL層604aに対するダメージが懸念される。ま
た、プロセス的にも、蒸着による有機EL層の成膜とスパッタリングによるITOの成膜を繰
り返さなければならず、煩雑になってしまう。
【0094】
そこで、直列に素子を接続することで電流効率を向上できるという概念と同様に電流効
率を向上できる上に、素子の透明性も問題なくクリアできるより好ましい形態は、例えば
図7のような構成である。
【0095】
図7は、基板701に設けた透明電極(陽極)702上に、一番目の有機EL層704a、一番目の
導電体薄膜層705a、二番目の有機EL層704b、陰極703が順次積層された構造である。この
場合、一番目の導電体薄膜層705aは、有機半導体にアクセプタやドナーをドープしたもの
を適用することにより、有機EL層とほぼオーミックに接続できる(正孔・電子両キャリア
を注入できる)上に、透明性もほぼ維持できる。したがって、二番目の有機EL層703bで生
じる発光も取り出すことができ、単純には電圧を二倍にすることで電流効率を二倍にする
ことができる。
【0096】
しかも、プロセスは全て一貫(例えば、低分子を用いるのであれば真空蒸着のようなド
ライプロセス、高分子を用いるのであればスピンコートのような湿式プロセス)で作製で
きるため、煩雑さは存在しない。
【0097】
なお、図7では二つの有機EL層を設けた構造であるが、先に述べたとおり、電圧さえ多
く印加してもよいのであれば、多層とすることができる(無論、各有機EL層と有機EL層と
の間は、導電体薄膜層が挿入されている)。したがって、超薄膜に由来する有機半導体素
子の信頼性の悪さを克服できる。
【0098】
この思想は、有機EL素子と逆の機構とも言える有機太陽電池にも、当然当てはまる。こ
のことは以下のように説明される。
【0099】
ある光エネルギーL1により電流密度J1の光電流が生じ、V1の起電力が生じる有機太陽電
池S1があったとする。このS1をn個直列にオーミック接続し、そこにnL1の光エネルギーを
照射した時、もし仮に、n個全ての太陽電池S1に対して等価な光エネルギー(=nL1/n=L
1)を供給することができれば、n倍の起電力(=nV1)を得ることができる。要は、直列
に繋いだ複数の有機太陽電池がどれも光吸収できるのであれば、その分起電力は増えるの
である。
【0100】
例えば、二つの有機太陽電池を直列に繋ぐことで、起電力が向上する報告がある(非特
許文献7:Masahiro HIRAMOTO, Minoru SUEZAKI, and Masaaki YOKOYAMA, "Effect of Th
in Gold Interstitial-layer on the Photovoltaic Properties of Tandem Organic Sola
r Cell", Chemistry Letters, pp.327-330, 1990)。非特許文献7では、二つの有機太陽
電池(front cellおよびback cell)の間に金の薄膜を挿入することにより、光照射によ
る起電力が向上する結果を得ている。
【0101】
しかしながら、非特許文献7においても、光の透過性の観点から金の薄膜の厚みは3nm
以下としている。すなわち、金を光が透過できるほどの超薄膜とし、back cellまで光が
到達できるよう設計しなければならないのである。しかも、数nmオーダーの超薄膜では、
その再現性にも問題がある。
【0102】
このような問題点も、本発明を適用することにより解決することができる。すなわち、
非特許文献7のような有機太陽電池の構造において、金の薄膜の部分に、本発明を適用す
ればよいのである。そうすることにより、二つの素子を直列に繋ぐのではなく、従来より
も膜厚の厚い上に効率の高い、一つの有機太陽電池として利用することができる。
【0103】
以上では、有機EL素子および有機太陽電池を例に、本発明の基本的な概念および構成を
述べた。以下では、本発明に用いる導電体薄膜層の構成として好ましいものを列挙する。
ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0104】
まず、導電性を有する、すなわち多数のキャリアを有するという観点から、種々の金属
薄膜を用いることができる。具体的には、Au、Al、Pt、Cu、Niなどが挙げられる。なお、
これらの金属を導電体薄膜層として適用する場合には、可視光を透過できる程度の超薄膜
(数nm〜数十nm程度)であることが好ましい。
【0105】
また、特に可視光透過性の観点からは、種々の金属酸化物薄膜を用いることができる。
具体的には、ITO、ZnO、CuO、SnO2、BeO、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化チタン
、酸化ニオブ、酸化ニッケル、酸化ネオジウム、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化ベ
ルリウムアルミニウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ランタン
、酸化リチウム、酸化ルテニウム、などが挙げられる。また、化合物半導体薄膜を用いる
ことも可能であり、ZnS、ZnSe、GaN、AlGaN、CdSなどがある。
【0106】
本発明では特に、導電体薄膜層を有機化合物で構成できることが特徴的である。例えば
、p型有機半導体とn型有機半導体を混合し、導電体薄膜層を形成する手法がある。
【0107】
p型有機半導体の代表例としては、下記式(1)で表されるCuPcの他、他の金属フタロ
シアニンや無金属フタロシアニン(下記式(2))が挙げられる。また、TTF(下記式(
3))、TTT(下記式(4))、メチルフェノチアジン(下記式(5))、N−イソプロピ
ルカルバゾール(下記式(6))などもp型有機半導体として利用可能である。さらに、T
PD(下記式(7))、α−NPD(下記式(8))、CBP(下記式(9))といったような、
有機EL等で用いられる正孔輸送材料を適用してもよい。
【0108】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【0109】
n型有機半導体の代表例としては、下記式(10)で表されるF16-CuPcの他、PV(下記
式(11))、Me−PTC(下記式(12))、PTCDA(下記式(13))のような3,4,
9,10−ペリレンテトラカルボン酸誘導体や、ナフタレンカルボン酸無水物(下記式(
14))、ナフタレンカルボン酸時イミド(下記式(15))などが挙げられる。また、
TCNQ(下記式(16)、TCE(下記式(17))、ベンゾキノン(下記式(18))、2
,6−ナフトキノン(下記式(19))、DDQ(下記式(20))、p−フルオラニル(
下記式(21))、テトラクロロジフェノキノン(下記式(22))、ニッケルビスジフ
ェニルグルオキシム(下記式(23))などもn型有機半導体として利用可能である。さ
らに、Alq3(下記式(24))、BCP(下記式(25))、PBD(下記式(26))といっ
たような、有機EL等で用いられる電子輸送材料を適用してもよい。
【0110】
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【0111】
また特に、有機化合物のアクセプタ(電子受容体)と有機化合物のドナー(電子供与体
)を混合し、電荷移動錯体を形成することにより導電性を持たせ、導電体薄膜層とする手
法が好ましい。電荷移動錯体は、結晶化しやすく成膜性の悪いものもあるが、本発明の導
電体薄膜層は薄層ないしはクラスター状に形成されてもよい(キャリアが注入できればよ
い)ので、大きな問題は生じない。
【0112】
電荷移動錯体の組み合わせとしては、下記式(27)で表されるTTF−TCNQを始め、K−
TCNQやCu−TCNQなどの金属−有機アクセプタ系が代表的である。その他、[BEDT-TTF]−TC
NQ(下記式(28))、(Me)2P−C18TCNQ(下記式(29))、BIPA−TCNQ(下記式(3
0))、Q−TCNQ(下記式(31))などがある。なお、これらの電荷移動錯体薄膜は、
蒸着膜、スピンコート膜、LB膜、ポリマーバインダーに分散させた膜など、いずれも用い
ることができる。
【0113】
【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【0114】
さらに導電体薄膜層の構成例として、有機半導体にアクセプタやドナーをドープして暗
導電性を持たせる手法が好適である。有機半導体としては導電性高分子などに代表される
ような、π共役系を有する有機化合物を用いればよい。導電性高分子の例としては、ポリ
(エチレンジオキシチオフェン)(略称:PEDOT)、ポリアニリン、ポリピロールのよう
に実用化されている材料の他、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(パ
ラフェニレンビニレン)誘導体などがある。
【0115】
また、アクセプタをドープする場合、有機半導体としてはp型の材料を用いることが好
ましい。p型有機半導体の例は、上述の化学式(1)〜(9)などが挙げられる。この時
、アクセプタとしては、FeCl3(III)、AlCl3、AlBr3、AsF6やハロゲン化合物のようなルイ
ス酸(強酸性のドーパント)を用いればよい(ルイス酸はアクセプタとして作用できる)

【0116】
また、ドナーをドープする場合、有機半導体としてはn型の材料を用いることが好まし
い。n型有機半導体の例は、上述の化学式(10)〜(26)などが挙げられる。この時
、ドナーとしては、Li、K、Ca、Csなどに代表されるアルカリ金属やアルカリ土類金属の
ようなルイス塩基を用いればよい(ルイス塩基はドナーとして作用できる)。
【0117】
さらに好ましい形態としては、以上で述べたいくつかの構成を組み合わせて導電体薄膜
層とすることもできる。すなわち、例えば、上述の金属薄膜・金属酸化物薄膜・化合物半
導体薄膜のような無機薄膜の片側あるいは両側に、p型有機半導体とn型有機半導体を混合
した薄膜、あるいは電荷移動錯体薄膜、あるいはドープされた導電性高分子薄膜、あるい
はアクセプタがドープされたp型有機半導体薄膜、あるいはドナーがドープされたn型有機
半導体薄膜を形成した構造が好適である。この時、無機薄膜の替わりに、電荷移動錯体薄
膜を用いることも有効である。
【0118】
また特に、ドナーがドープされたn型有機半導体薄膜と、アクセプタがドープされたp
型有機半導体薄膜とを積層させて導電体薄膜層とすることにより、正孔および電子両方を
効率よく機能性有機薄膜層に注入できる構成になるため、非常に有効である。さらには、
p型有機半導体とn型有機半導体を混合した薄膜の片側あるいは両側に、ドナーがドープ
されたn型有機半導体薄膜、あるいはアクセプタがドープされたp型有機半導体薄膜を積
層させて導電体薄膜層とする手法も考えられる。
【0119】
なお、上述の導電体薄膜層の構成として挙げている各種薄膜は全て、膜状に形成する必
要はなく、島状(アイランド状)に形成されたものでもよい。
【0120】
上記のような導電体薄膜層を本発明に適用することで、信頼性が高い上に歩留まりもよ
い有機半導体素子を作製することができる。
【0121】
例えば、本発明における有機薄膜層を、電流を流すことで発光が得られる構成とするこ
とで有機EL素子が得られるが、本発明の有機EL素子は効率も向上させることができるため
有効である。
【0122】
その際の有機薄膜層(すなわち有機EL層)の構造としては、一般的に利用されている有
機EL素子の有機EL層の構造および構成材料を利用すればよい。具体的には、非特許文献2
で述べられているような正孔輸送層と電子輸送層の積層構造や、高分子化合物を用いた単
層構造、三重項励起状態からの発光を利用した高効率素子など、バリエーションは多岐に
わたる。また、先に述べたように、各有機EL層を異なる発光色として混色することにより
、高効率で素子寿命の長い白色発光素子とする、といったような応用も可能である。
【0123】
有機EL素子の陽極に関しては,陽極から光を取り出すのであれば、ITO(インジウム錫
酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明導電性無機化合物がよく用いられる
。金などの超薄膜も可能である。非透明でよい場合(陰極側から光を取り出す場合)は、
光を透過しないものの仕事関数がある程度大きい金属・合金や導電体を用いてもよく、W
、Ti、TiNなどが挙げられる。
【0124】
有機EL素子の陰極は、通常仕事関数の小さい金属あるいは合金が用いられ、アルカリ金
属やアルカリ土類金属、あるいは希土類金属が用いられ、それら金属元素を含む合金など
も利用される。例としては、Mg:Ag合金、Al:Li合金、Ba、Ca、Yb、Erなどが利用できる。
また、陰極から光を取り出す場合は、これら金属・合金の超薄膜を適用すればよい。
【0125】
また、例えば、本発明における有機薄膜層を、光を吸収することで起電力を生じる構成
とすることで有機太陽電池が得られるが、本発明の有機太陽電池は効率も向上させること
ができるため有効である。
【0126】
その際の機能性有機薄膜層の構造としては、一般的に利用されている有機太陽電池の機
能性有機薄膜層の構造および構成材料を利用すればよい。具体的には、非特許文献3で述
べられているようなp型有機半導体とn型有機半導体の積層構造などが挙げられる。
【実施例1】
【0127】
本実施例では、導電体薄膜層として電荷移動錯体を用いた本発明の有機EL素子を、具体
的に例示する。その素子構造を図8に示す。
【0128】
まず、陽極802であるITOを100 nm程度成膜したガラス基板801に、正孔輸送材料であるN
, N'−ビス(3−メチルフェニル)−N, N'−ジフェニル−ベンジジン(略称:TPD)を50
nm蒸着し、正孔輸送層804aとする。次に、電子輸送性発光材料であるトリス(8−キノ
リノラト)アルミニウム(略称:Alq)を50nm蒸着し、電子輸送層兼発光層805aとする。
【0129】
このようにして、1番目の有機EL層810aを形成したあと、導電体薄膜層806としてTTFと
TCNQとを1:1の比率になるよう共蒸着し、この層を10 nmとする。
【0130】
その後、また正孔輸送層804bとしてTPDを50 nm蒸着し、その上に電子輸送層兼発光層80
5bとしてAlqを50 nm蒸着する。こうして、2番目の有機EL層810bが形成される。
【0131】
最後に、陰極803としてMgとAgを原子比が10:1になるように共蒸着を行い、陰極803を15
0 nm成膜することで、本発明の有機EL素子が得られる。
【実施例2】
【0132】
本実施例では、有機EL層で用いる有機半導体と同じものを導電体薄膜層に含有させ、ア
クセプタおよびドナーをドープすることで導電性を持たせた本発明の有機EL素子を、具体
的に例示する。その素子構造を図9に示す。
【0133】
まず、陽極902であるITOを100 nm程度成膜したガラス基板901に、正孔輸送材料であるT
PDを50 nm蒸着し、正孔輸送層904aとする。次に、電子輸送性発光材料であるAlqを50nm蒸
着し、電子輸送層兼発光層905aとする。
【0134】
このようにして、1番目の有機EL層910aを形成したあと、ドナーであるTTFが2 mol %の
比率になるようにAlqと共蒸着した層906を5 nm蒸着する。その後、アクセプタであるTCNQ
が2 mol %の比率になるようにTPDと共蒸着した層907を5nm蒸着することにより、導電体薄
膜層911とする。
【0135】
その後、また正孔輸送層904bとしてTPDを50 nm蒸着し、その上に電子輸送層兼発光層90
5bとしてAlqを50 nm蒸着する。こうして、2番目の有機EL層910bが形成される。
【0136】
最後に、陰極903としてMgとAgを原子比が10:1になるように共蒸着を行い、陰極903を15
0 nm成膜することで、本発明の有機EL素子が得られる。この素子は、導電体薄膜層の構成
材料として、有機EL層に用いている有機半導体をそのまま適用し、ドナーやアクセプタを
混合するだけで作製できるため、非常に簡便で有効である。
【実施例3】
【0137】
本実施例では、有機EL層に電気発光性のポリマーを用い、導電体薄膜層を導電性ポリマ
ーで形成するような、湿式法の有機EL素子を具体的に例示する。素子構造を図10に示す

【0138】
まず、陽極1002であるITOを100 nm程度成膜したガラス基板1001に、スピンコートによ
りポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT/PSS)の混
合水溶液を塗布し、水分を蒸発させることで、正孔注入層1004を30 nm成膜する。次に、
ポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチル−ヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン
)(略称:MEH-PPV)をスピンコートで100 nm成膜し、発光層1005aとする。
【0139】
このようにして1番目の有機EL層1010aを形成したあと、導電体薄膜層1006として、PED
OT/PSSをスピンコートで30 nm成膜する。
【0140】
その後また、発光層1005bとして、MEH-PPVをスピンコートで100 nm成膜する。なお、導
電体薄膜層が正孔注入層と同じ材料であるため、この2番目の有機EL層1010bは正孔注入
層を形成する必要がない。したがって、もし3番目、4番目と有機EL層を積層していく場
合も、非常に簡単な操作で、導電体薄膜層のPEDOT/PSSと発光層のMEH-PPVとを交互に重ね
ていくだけである。
【0141】
最後に陰極としてCaを150 nm蒸着を行い、その上にCaの酸化を防ぐためキャップとして
Alを150 nm蒸着する。
【実施例4】
【0142】
本実施例では、導電体薄膜層として、p型有機半導体とn型有機半導体を混合したものを
適用した、本発明の有機太陽電池を具体的に例示する。
【0143】
まず、透明電極であるITOを100 nm程度成膜したガラス基板に、p型の有機半導体である
CuPcを30 nm蒸着する。次に、n型の有機半導体であるPVを50 nm蒸着し、CuPcとPVを用い
て有機半導体におけるp-n接合をつくる。これが1番目の機能性有機薄膜層となる。
【0144】
その後、導電体薄膜層として、CuPcとPVが1:1の比率になるよう共蒸着し、10 nm形成す
る。さらに、CuPcを30 nm蒸着し、その上にPVを50 nm蒸着することで、2番目の機能性有
機薄膜層とする。
【0145】
最後に電極としてAuを150 nm成膜する。このようにして構成された有機太陽電池は、有
機化合物として最終的に二種類を用いるだけで本発明を実現できるため、非常に有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の基本的構成を示す図。
【図2】本発明の概念を示す図。
【図3】本発明の効果を示す図。
【図4】電流効率が向上する理論を示す図。
【図5】電流効率が向上する理論を示す図。
【図6】従来の有機EL素子を示す図。
【図7】本発明の有機EL素子を示す図。
【図8】本発明の有機EL素子の具体例を示す図。
【図9】本発明の有機EL素子の具体例を示す図。
【図10】本発明の有機EL素子の具体例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に、電流を流すことで発光する1番目からn番目(nは2以上の整数)の機能性有機薄膜層と、1番目からk番目(kは1≦k≦(n−1)の整数)の導電体薄膜層と、を有し、
前記機能性有機薄膜層と、前記導電体薄膜層とは交互に設けられ、
前記1番目の機能性有機薄膜層は前記陽極に接し、
前記n番目の機能性有機薄膜層は前記陰極に接し、
前記導電体薄膜層は、クラスター状であり、P型半導体とルイス酸とを含む第1の層と、前記第1の層よりも前記陽極側に設けられ、N型半導体と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2の層とを有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
陽極と陰極との間に、電流を流すことで発光する1番目からn番目(nは2以上の整数)の機能性有機薄膜層と、1番目からk番目(kは1≦k≦(n−1)の整数)の導電体薄膜層と、を有し、
前記機能性有機薄膜層と、前記導電体薄膜層とは交互に設けられ、
前記1番目の機能性有機薄膜層は前記陽極に接し、
前記n番目の機能性有機薄膜層は前記陰極に接し、
前記導電体薄膜層は、クラスター状であり、正孔輸送材料とルイス酸とを含む第1の層と、前記第1の層よりも前記陽極側に設けられ、電子輸送材料と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とを含む第2の層とをすることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記正孔輸送材料は、TPD、α−NPD、またはCBPであり、前記電子輸送材料はAlq、BCP、またはPBDであることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記ルイス酸は、FeCl(III)、AlCl、AlBr、またはAsFのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記機能性有機薄膜層は正孔輸送層および電子輸送層を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−27141(P2007−27141A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265113(P2006−265113)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【分割の表示】特願2004−360375(P2004−360375)の分割
【原出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】