説明

有機及び無機顔料からなる顔料組成物

本発明は、C.I.Pigment Yellow(213)、Pigment Yellow(214)及び式(I)のジスアゾ顔料の群から選択される、一又は複数の有機黄色顔料と、一又は複数の無機顔料とを含有する顔料組成物に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機顔料とともに有機黄色顔料を含む顔料組成物、及び高分子量材料を着色するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の有機材料を着色するために顔料が使用される場合には、分散の容易さ、用途に適合した、コーティング材料の流動性、高い色度、上塗り堅牢度、溶媒堅牢度、アルカリ及び酸に対する耐性、耐光堅牢度及び耐候性特性、並びに色合いの美しさなど、顔料の性能上の特性に関して厳格な要件が課される。さらに望まれることは、顔料が、例えば、プラスチック及び印刷用インクなどの他の高分子量系を着色するのに、可能な限り普遍的に有用なことである。この場合、例えば、滲み堅牢度及び耐温性特性のような高い堅牢度特性など、さらなる要件が存在し、そのうち幾つかはコーティング材料に対しても要求される。コーティング材料及び印刷用インクの場合、水性及び溶剤ベースの系での実用性が望まれている。顔料懸濁液の調製に関しては、顔料濃度が高い傾向があり、その結果、顔料が多量に含まれているにもかかわらず、粘度が低い塗料及び印刷用インク濃縮物又はミルベースが求められている。
【0003】
無機顔料は、しばしば、高い不透明性を特徴とする。しかしながら、例えば、色度又は色合いの美しさの点では、無機顔料は、列記した要件を一般に満たさない。
【0004】
EP−A−816 440は、C.I.Pigment Yellow 184の、様々な有機顔料との混合物を開示している。
【0005】
EP−A−985 712は、複数の無機顔料の、顆粒形態の複数の有機顔料との混合物を開示している。
【0006】
WO 02/055610は、黄色のチタン酸ニッケルと有機黄色ベンズイミダゾロン顔料の混合物を開示している。これらの混合物も、幾つかの面で、前記要件を満たしていない。
【0007】
公知の顔料組成物の欠点を克服し、上記要件を充足する顔料組成物に対する必要が存在した。
【発明の開示】
【0008】
本発明は、C.I.Pigment Yellow 213、Pigment Yellow 214及び式(I)
【0009】
【化2】

のジスアゾ顔料の群から得られる、一又は複数の、例えば、1、2又は3個の有機黄色顔料と、一又は複数の、例えば、1、2又は3個の無機顔料とを含む顔料組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
適切な無機顔料には、Pigment White 6などの二酸化チタン顔料及びバナジウム酸ビスマス顔料;C.I.Pigment Yellow 34若しくは104又はC.I.Pigment Orange 21などのクロム酸鉛顔料;C.I.Pigment Red 104などのモリブデン酸赤又はモリブデン酸オレンジ顔料;C.I.Pigment Orange 75又はC.I.Pigment Red 265などの硫化セリウム顔料;C.I.Pigment Yellow 53、118、119、157、158、159、160、161、162、163、164又は189などの複合無機有色顔料;C.I.Pigment Brown 24、33、34、35、37、39又は40、C.I.Pigment Green 50又はC.I. Pigment Blue 28、36又は72;並びにC.I.Pigment Blue 29、C.I.Pigment Violet 15又はC.I.Pigment Red 259などのケイ酸顔料が含まれる。
【0011】
黄色の色合いを有する複合無機有色顔料を使用することが好ましく、同様に、黄色のバナジウム酸ビスマス顔料を使用することも好ましい。
【0012】
黄色の色合いを有する好ましい複合無機有色顔料は、C.I.Pigment Brown 24などのクロムチタン黄、C.I.Pigment Yellow 162などのチタン酸クロムニオブ、C.I.Pigment Yellow 163などのクロムタングステンチタン黄、C.I.Pigment Yellow 53、C.I.Pigment Yellow 118及びC.I.Pigment Yellow 161などのニッケルチタン黄などの、ルチル型構造を有する顔料である。バナジウム酸ビスマスには、C.I.Pigment Yellow 184などの、バナジウム酸/モリブデン酸ビスマスも含まれる。
【0013】
本発明の顔料組成物では、前記有機顔料は、とりわけ、3つの無機顔料C.I.Pigment Yellow 53、C.I.Pigment Brown 24又はC.I.Pigment Yellow 184のうちの1つであり、特にC.I.Pigment Yellow 184が好ましい。
【0014】
本発明の顔料組成物では、前記有機黄色顔料は、好ましくは、C.I.Pigment Yellow 213又は式(I)のジスアゾ顔料であり、特にC.I.Pigment Yellow 213である。
【0015】
特に好ましいのは、C.I.Pigment Yellow 231及びC.I.Pigment Yellow 184を含む顔料組成物である。
【0016】
本発明の顔料組成物は、黄色、橙色、赤色、青色及び緑色の色合い域に対して特に興味深く、このため、2以上の黄色顔料の混合物又は黄色顔料と橙色顔料、赤色顔料、緑色顔料、茶色顔料及び/又は青色顔料との混合物を一般に含む。特に、本発明の顔料組成物は、黄色の色合い域に対して興味深い。本発明の顔料組成物は、好ましくは、2又は3つの異なる顔料を含み、特に、無機顔料と組み合わせた前記有機顔料のうちの一つを含む。本発明の顔料組成物では、無機顔料に対する有機黄色顔料の重量比は、0.1:99.9から99.9:0.1、好ましくは1:99から99:1、より好ましくは5:95から95:5、特に10:90から90:10であり得る。
【0017】
本発明の顔料組成物は、様々な方法で調製することが可能であり、例えば、粉砕の前若しくは後に、顆粒若しくは粉末形態の乾燥成分を混合することによって、又は他方の成分を調製するための操作の間に、湿った若しくは乾燥した形態の一方の成分を他方の成分に添加することによって(例えば、湿ったプレスケーキの形態の成分を混合することによって)調製することが可能である。有機黄色顔料を調製する操作の間に、無機顔料を添加することが特に適切である。有機黄色顔料を調製する操作は、親芳香族アミン(塩基)のジアゾ化を含み、必要に応じてカップリング成分の溶解と、必要に応じてその沈殿と、2つの反応対(ジアゾニウム塩とカップリング成分)の混合(これは、カップリング成分をジアゾニウム塩に添加することによって、又はその逆によって行うことができ;あるいは、連続的なアゾカップリングも実施し得る。)も含む。前記調製は、溶媒を加えて又は加えずに、所望であれば超大気圧下で、即時使用のカップリング懸濁液を熱処理することと、カップリング産物を単離することと、所望であれば、高温で、所望に応じて大気圧以外の条件下において、水性媒体、水性−有機媒体又は有機媒体中でその後処理を行うことと、引き続き、有機黄色顔料をプレスケーキとして単離し、これを乾燥することと、適宜、顆粒産物を粉末に粉砕することとをさらに含むことができる。原則として、無機顔料は、任意の所望の時点で添加し得るが、その最終単離の前に、有機黄色顔料の懸濁液に添加されることが好ましい。
【0018】
乾燥は、乾燥オーブン、バケット・ホイール乾燥機、回転式乾燥機、接触式乾燥機(contact dryer)、並びに、特に、スピンフラッシュ乾燥機及びスプレー乾燥機などの公知の乾燥装置を使用して実施され得る。適切な乾燥装置の選択を通じて、低粉塵及び自由流動性粉末又は顆粒を製造することも可能である。高分子量有機媒体中への取り込みの最中のみに顔料組成物を調製することも可能である。従って、本発明は、同様に、C.I.Pigment Yellow 213、C.I.Pigment Yellow 214及び式(I)のジスアゾ顔料の群から得られる一又は複数の有機黄色顔料の着色有効量と、一又は複数の無機顔料、好ましくは既述の種類の顔料混合物とを含む高分子量有機媒体を提供する。
【0019】
本発明の顔料組成物の調製に関して、さらに、シェーディング着色剤(shading colorant)、並びに、例えば、界面活性剤、顔料及び非顔料分散剤、充填剤、標準化剤(standardizer)、樹脂、蝋、消泡剤、防塵剤、増量剤、静電防止剤、防腐剤、乾燥遅延剤、流動調節添加物、湿潤剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤又はこれらの組み合わせなどの補助剤を使用することが可能である。シェーディング成分は、通常、最大10重量%の量で、補助剤は最大40重量%の量で使用され、何れの場合も、本発明において使用される有機黄色顔料及び無機顔料の総量を基準とする。しかしながら、例外的な事例では、これより多い量に遭遇することもあり得る。
【0020】
充填剤及び/又は増量剤とは、DIN 55943及びDIN EN 971−1に係る複数の物質を意味し、例は、様々な種類の滑石、カオリン、雲母、白雲石、石灰又は硫酸バリウムである。この点に関して、本発明の顔料組成物の粉砕の前に添加することが特に適切であることが明らかとなっている。
【0021】
本発明の顔料組成物は、好ましくは、水性プレスケーキ又は湿潤顆粒として使用することも可能であるが、一般的には、自由流動性の粉末種または顆粒の固体系である。
【0022】
本発明の顔料組成物は、例えば、プラスチック、樹脂、ワニス、塗料、電子写真トナー及び現像液、エレクトレット材料、カラーフィルター及びインク(印刷用インクを含む。)、並びにシードなどの、天然又は合成由来の高分子量有機材料を着色するために使用することができる。
【0023】
本発明の顔料組成物によって着色することができる高分子量有機材料は、単独又は混合物の、例えば、セルロース化合物(エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース又は酪酸セルロースなどのセルロースエーテル及びセルロースエステルなど)、脂肪酸、脂肪油などの天然の結合剤、重凝集物、重付加化合物、付加重合体及び共重合体などの、樹脂及びそれらの変換産物又は合成樹脂、例えば、アミノ樹脂、特に尿素及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ノボラック又はレゾールなどのフェノール樹脂、尿素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル又はポリビニルエーテルなどのポリビニル類、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリルエステル又はポリアクリロニトリルなどのポリ(メタ)アクリレート及びその共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、クマロン−インデン樹脂及び炭化水素樹脂、エポキシ樹脂、異なる硬化機構を有する不飽和合成樹脂(ポリエステル、アクリルレート)、蝋、アルデヒド樹脂及びケトン樹脂、ゴム、ラテックス及びその誘導体及び複数のラテックス、カゼイン、シリコーン及びシリコーン樹脂である。
【0024】
先述した高分子量有機化合物が、プラスチックの塊、溶解物の形態であるかどうか、又は回転する溶液、分散液、ワニス、塗料若しくは印刷用インクの形態であるかどうかは重要ではない。所期の用途に応じて、混合物の形態で、又は調製された産物若しくは分散物の形態で、本発明の顔料組成物を使用することが有利であることが明らかとなる。着色されるべき高分子量有機材料に基づいて、本発明の顔料組成物は、0.01重量%から30重量%、好ましくは0.1重量%から15重量%の量で使用される。
【0025】
ある種の事例では、粉砕された及び/又は完成された、本発明の顔料組成物ではなく、2m/gより大きな、好ましくは5m/gより大きなBET表面積を有する、対応する未精製物を使用することも可能である。この未精製物は、5重量%から99重量%の濃度で液体又は固体形態のカラーコンセントレートを製造するために、単独で、又は適宜、他の未精製物若しくは即時使用顔料との混合物中で使用することができる。
【0026】
本発明の顔料組成物は、例えば、1又は2成分粉末トナー(1又は2成分現像液とも称される。)、磁性トナー、液体トナー、重合トナー及び特殊トナーなどの、電子写真トナー及び現像液中での着色剤としての使用にも適している。典型的なトナー結合剤は、個別の又は組み合わされた、スチレン、スチレン−アクリレート、スチレン−ブタジエン、アクリレート、ポリエステル及びフェノール系エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンなど、並びにポリエチレン及びポリプロピレン(電荷制御剤、蝋若しくは流動補助剤などの、さらなる成分を含むこともでき、又はこれらの添加された成分でその後修飾することもできる。)などの、付加−重合樹脂、重付加樹脂及び重縮合樹脂である。
【0027】
さらに、本発明の顔料組成物は、粉末及び粉末コーティング材料中で、特に、例えば、金属、木、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙又はゴムから作られた物品の表面をコートするために使用される、摩擦電気的に又は動電的に噴霧可能な粉末コーティング材料中で、着色剤として使用するのに適している。
【0028】
粉末コーティング樹脂として、典型的には、慣用の硬化剤とともに、エポキシ樹脂、カルボキシル及びヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂及びアクリル樹脂が使用される。樹脂の組み合わせも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、しばしば、カルボキシル及びヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。典型的な硬化剤成分(樹脂系による)は、例えば、酸無水物、イミダゾールであり、また、ジシアンジアミド及びその誘導体、マスクされたイソシアネート、ビスアシルウレタン、フェノール系樹脂及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリン及びジカルボキシル酸である。
【0029】
本発明の顔料組成物は、インクジェットインク又は水性基剤及び非水性基剤中、並びに熱融解工程に従って機能するインク中での着色剤としても有用である。インクジェットインクは、一般に、本発明の顔料組成物の一又は複数の計0.5重量%から15重量%、好ましくは1.5重量%から8重量%(乾燥状態をベースとして計算)を含有する。
【0030】
ミクロエマルジョンインクは、有機溶媒、水、及び、所望であれば、追加の屈水性物質(インターフェース媒介物質)をベースとする。
【0031】
ミクロエマルジョンインクは、一般的に、0.5重量%から15重量%、好ましくは1.5から8重量%の一又は複数の本発明の顔料組成物と、5重量%から99重量%の水、及び0.5重量%から94.5重量%の有機溶媒及び/又は屈水性化合物とを含有する。溶媒をベースとしたインクジェットインクは、好ましくは、0.5重量%から15重量%の一又は複数の本発明の顔料組成物と、85重量%から99.5重量%の有機溶媒及び/又は屈水性化合物とを含有する。
【0032】
熱融解インクは、大部分は、室温で固体であり、加熱すると液状化する、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール又はスルホンアミドをベースとし、好ましい融解域は約60℃と約140℃の間である。熱融解インクジェットインクは、例えば、実質的に、20重量%から90重量%の蝋と、1重量%から10重量%の一又は複数の本発明の顔料組成物とからなる。さらに存在し得るのは、0重量%から20重量%の追加のポリマー(「顔料溶解物質」として)、0重量%から5重量%の分散剤、0重量%から20重量%の粘度調整剤、0重量%から20重量%の可塑剤、0重量%から10重量%の粘着付与剤、0重量%から10重量%の透明性安定剤(例えば、蝋の結晶化を抑える。)及び0重量%から2重量%の抗酸化剤であり得る。さらに、本発明の顔料組成物は、加法及び減法的色生成のためのカラーフィルター用の着色剤としても適しており、電子インク(又はe−インク)又は電子紙(e−paper)用の着色剤としても適している。
【0033】
本発明の顔料組成物は、傑出した色及び流動特性、特に高い凝集安定性、分散のし易さ、流動性及び優れた色度が注目に値する。本発明の顔料組成物は、容易に分散することができ、多くの塗布媒体中で高レベルの精細さまで分散することができる。このような顔料分散物は、塗料濃縮物の高レベルの着色においても、傑出した流動特性を示す。優れた上塗り堅牢度、溶媒堅牢度、耐アルカリ性、耐光堅牢度及び耐候性特性、並びに極めて美しい色合いなど、他の上記特性も極めて優れている。さらに、本発明の顔料組成物には、特にこれらの顔料で着色された基材が焼却される場合に、塩素化された分解産物から有害物質が発生しないというさらなる利点を有する無塩素顔料組成物も含まれる。
【0034】
溶媒をベースとした無水コーティング系の中で、コーティング分野における本顔料の特性を評価するために、複数の公知のコーティング材料の中から、ミディアム−オイルアルキド樹脂及びブタノール−エーテル化メラミン樹脂(AM)をベースとするアルキド−メラミン樹脂ワニスを選択した。
【0035】
水性コーティング系の中で、コーティング分野における本顔料の特性を評価するために、複数の公知のコーティング系の中から、ポリウレタン(PU)をベースとした水性ワニスを選択した。
【0036】
着色特性は、DIN 55986に従って決定した。分散後のミルベース流動性は、以下の5点尺度に基づいて、視覚的に評価した。
【0037】
5 極めて高い流動性
4 液体
3 粘性
2 ほとんど動かない
1 動かない
【0038】
上塗り堅牢度は、DIN 53221に従って決定した。ミルベースを最終顔料濃度に希釈した後、Erichsen製のRossmann粘性スパチュラ タイプ301を用いて粘度を決定した。
【0039】
以下の実施例では、パーセント及び部は、別段の記載がなければ、重量パーセント及び重量部である。
【実施例1】
【0040】
80部のP.Y.184及び20部のP.Y.213をAMワニス系の中に組み込む。緑がかった黄色の、きれいな色合いを有する隠蔽コーティングが得られる。
【実施例2】
【0041】
27部のP.Y.53及び3部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、緑がかった濃黄色の、光沢のある隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好であり、上色ワニスの粘度は低い。耐アルカリ及び耐候性は極めて良好である。
【実施例3】
【0042】
15部のP.Y.53及び15部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。PUワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった濃黄色の、明るい色の隠蔽コーティングを与える。重ね塗りに対する堅牢度は極めて良好である。
【実施例4】
【0043】
12部のP.Y.53及び18部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。PUワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった濃黄色の、明るい色の隠蔽コーティングを与える。重ね塗りに対する堅牢度は極めて良好である。
【実施例5】
【0044】
10.5部のアミノジメチルテレフタレートを、水及び塩酸中で攪拌し、亜硝酸ナトリウムでジアゾ化する。100部のP.Y.184を添加し、酢酸ナトリウムを用いて、pHを4.5に調整する。250部の水と10mLの水酸化ナトリウム水溶液中の15.3部のアセトアセチルアミノメトキシキノキサリンジオンの溶液を、約40分で添加する。カップリングが完了した時点で、懸濁液を吸引してろ過し、プレスケーキを洗浄して、塩を除去した。600mLのN−メチルピロリドン中にプレスケーキを導入し、懸濁液を150℃まで加熱し、150℃で10分間攪拌する。冷却後、これを吸引によりろ過し、固体産物をN−メチルピロリドンで洗浄した後、水で洗浄し、乾燥する。これにより、P.Y.213及びP.Y.184を含有する118部の顔料組成物が得られる。AMワニスでは、緑がかった濃黄色の、きれいな色合いと高い光沢を有する隠蔽コーティングが得られる。ミルベースの流動性は極めて良好であり、上色ワニスの粘度は低い。
【実施例6】
【0045】
26部のP.Y.184及び4部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。PUワニスでは、顔料組成物は、緑がかった濃黄色の隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好である。重ね塗りに対する堅牢度及び耐候性は極めて良好である。
【実施例7】
【0046】
3部のP.Y.184及び27部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった濃黄色の、光沢のある隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好である。上色ワニスの粘度は低い。
【実施例8】
【0047】
28.5部のP.Y.184及び1.5部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった淡黄色の、光沢のある隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好である。上色ワニスの粘度は低い。
【実施例9】
【0048】
18部のP.B.24及び12部のP.Y.213を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、淡黄色の隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好である。上色ワニスの粘度は低い。耐候性は極めて良好である。
【実施例10】
【0049】
24部のP.Y.184及び6部の式(I)のジスアゾ顔料を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった濃黄色の、光沢のある隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好であり、上色ワニスの粘度は低い。耐候性は極めて良好である。
【実施例11】
【0050】
6部のP.Y.184及び24部の式(I)のジスアゾ顔料を、機械的に、互いによく混合する。AMワニスでは、顔料組成物は、きれいな色合いを有する、緑がかった濃黄色の、光沢のある隠蔽コーティングを与える。ミルベースの流動性は極めて良好であり、上色ワニスの粘度は低い。耐候性は極めて良好である。
【実施例12】
【0051】
10部のP.Y.53及び10部のP.Y.214を、機械的に、互いによく混合する。プラスチック部門における本顔料の特性を評価するために、複数の公知のプラスチックの中から、ポリエチレン(PE)を選択し、射出成形を作製した。顔料組成物の耐温性が極めて良好であり、260℃を上回る。260℃でのデルタEは、1.0未満である。色合いの色度、きれいさ及び明度は高く、反り(すなわち、経年に起因する射出成形の寸法の変化)は低い。
【実施例13】
【0052】
20部のP.Y.53及び2部のP.Y.214を、機械的に、互いによく混合する。プラスチック部門における本顔料の特性を評価するために、複数の公知のプラスチックの中から、ポリエチレン(PE)を選択し、射出成形を作製した。顔料組成物の耐温性が極めて良好であり、260℃を上回る。260℃でのデルタEは、1.0未満である。色合いの色度、きれいさ及び明度は高く、反り(すなわち、経年に起因する射出成形の寸法の変化)は低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.Pigment Yellow 213、Pigment Yellow 214及び式(I)
【化1】

のジスアゾ顔料の群から得られる、一又は複数の有機黄色顔料と、一又は複数の無機顔料とを含む顔料組成物。
【請求項2】
無機顔料が、二酸化チタン顔料、バナジウム酸ビスマス顔料、クロム酸鉛顔料、モリブデン酸赤顔料、モリブデン酸オレンジ顔料、硫化セリウム顔料、ケイ酸顔料又は複合無機有色顔料である、請求項1に記載の顔料組成物。
【請求項3】
無機顔料が、クロムチタン黄、チタン酸クロムニオブ、クロムタングステンチタン黄、ニッケルチタン黄、バナジウム酸ビスマス、バナジウム酸/モリブデン酸ビスマス又はこれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の顔料組成物。
【請求項4】
無機顔料が、C.I.Pigment Brown 24、C.I.Pigment Yellow 162、C.I.Pigment Yellow 163、C.I.Pigment Yellow 53、Pigment Yellow 118、C.I.Pigment Yellow 161、C.I.Pigment Yellow 184又はこれらの組み合わせである、請求項1から3の一以上に記載の顔料組成物。
【請求項5】
無機顔料が4)C.I.Pigment Yellow 184であり、前記有機黄色顔料がC.I.Pigment Yellow 213である、請求項1から4の少なくとも1つに記載の顔料組成物。
【請求項6】
無機顔料に対する有機黄色顔料の重量比が0.1:99.9から99.9:0.1、特に10:90から90:10である、請求項1から5の少なくとも1つに記載の顔料組成物。
【請求項7】
シェーディング着色剤と、界面活性剤、顔料及び非顔料分散剤、充填剤、標準化剤、樹脂、蝋、消泡剤、防塵剤、増量剤、防腐剤、乾燥遅延剤、流動調節添加物、湿潤剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤又はこれらの組み合わせの群から得られる補助剤とをさらに含む、請求項1から6の少なくとも1つに記載の顔料組成物。
【請求項8】
前記有機黄色顔料を前記無機顔料と混合することによって、請求項1から7の少なくとも1つに記載の顔料組成物を調製する方法。
【請求項9】
ジアゾ化、カップリング成分の溶解、カップリング成分の沈殿、アゾカップリング、溶媒処理及び単離を含む、有機黄色顔料の一又は複数の合成工程の間に、一又は複数の無機顔料を添加することを含む、請求項1から7の少なくとも1つに記載の顔料組成物を調製する方法。
【請求項10】
プラスチック、樹脂、ワニス、塗料、電子写真トナー及び現像剤、並びにエレクトレット材料、カラーフィルター、インク(印刷用インクを含む。)、インクジェットインク、及び電子インク及びシードなどの、天然又は合成源の高分子量有機材料を着色するための、請求項1から7の一又は複数に記載されている顔料組成物の使用。
【請求項11】
請求項1から7の一又は複数に記載されている顔料組成物の着色有効量を含む高分子量有機媒体。

【公表番号】特表2007−505177(P2007−505177A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525668(P2006−525668)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009241
【国際公開番号】WO2005/028564
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】