説明

有機太陽電池及び有機光検出器のための光活性層を製造するための混合物

本発明は、成分(K1)として、電子ドナーないし電子アクセプターとしての、本願明細書中で厳密に定義されている通りの一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及びIIbの化合物群から選択された1つ以上のメロシアニン、及び、成分(K2)として、成分(K1)に対して相応して電子アクセプターないし電子ドナーとして作用する1つ以上の化合物を含有する混合物の、有機太陽電池及び有機光検出器のための光活性層を製造するための使用、光活性層、相応する有機太陽電池及び有機光検出器の製造法、並びに、成分として本願明細書中で厳密に定義されている通りの成分(K1)の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物と成分(K2)の1つ以上の化合物とを含有する混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分として、以下:
K1)電子ドナーないし電子アクセプターとしての、一般式
【化1】

【0002】
【化2】

[式中、
Aは、2つ又は3つのsp3混成炭素原子からなる架橋を表し、ここで、各炭素原子は付加的にそれぞれ1つの置換基R101で置換されているか又はベンゾ縮合されていてよく、
B、Cはそれぞれ、2つ又は3つのsp2及び/又はsp3混成炭素原子からなる架橋を表し、ここで、該炭素原子は付加的にそれぞれ1つの置換基R101で置換されていてよく、
Wは、O、S、N−CN、N−R110、C(CN)2、C(CO21102、C(CN)COR110又はC(CN)CO2110、C(CN)CONR110を表し、
Lは、二価の、場合により1回以上縮合した炭素環又は複素環を表し、
nは、0又は1を表し、
100は、CH、N又はC(CN)を表し、
200は、C(R1112、O、S、SO2又はNR110を表し、
201は、CR111を表すか、又は、X201が架橋B又はCのsp2混成炭素原子と結合している場合にはsp2混成非置換炭素原子を表し、
100は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110、SR110、ヘタリール、ハロゲン、NO2又はCNを表し、
101は、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
110は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル又はアリールを表し、
111は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
ここで、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素鎖は、1つ又は2つの非隣接酸素原子により中断されていてよく、かつ、上記変数は、該変数が1回を上回って現れる場合には同じか又は相互に異なっていてよい]
の化合物群から選択された1つ以上の化合物、
及び、
K2)成分K1)に対して相応して電子アクセプターないし電子ドナーとして作用する、1つ以上の化合物
を含有する混合物の、有機太陽電池及び有機光検出器のための光活性層を製造するための使用、光活性層の製造法、相応する有機太陽電池及び有機光検出器、並びに、成分として成分K1の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物と成分K2の1つ以上の化合物とを含有する混合物に関する。
【0003】
将来的に、エレクトロニクス産業の多くの分野では、古典的な無機半導体に加えて、低分子又はポリマー材料をベースとする有機半導体もますます使用されていくことが予想される。これらの有機半導体は、しばしば古典的な無機半導体に対して、例えばより良好な基板適合性及びそれらをベースとする半導体部品のより良好な加工性といった利点を有する。有機半導体はフレキシブルな基板での加工を可能にし、その界面軌道エネルギーは、分子モデリングの方法によりそれぞれの利用分野に厳密に適合させることができる。このような部品の明らかに低減された費用は、有機エレクトロニクスの研究分野にルネサンスをもたらした。「有機エレクトロニクス」は、主に有機半導体層をベースとする電子部品を製造するための新規の材料及び製造方法の開発に関心を寄せている。これには特に、有機電界効果トランジスター(OFET)及び有機発光ダイオード(OLED:例えばディスプレーに使用されるもの)並びに有機光起電装置が含まれる。
【0004】
太陽電池における太陽エネルギーから電気エネルギーへの直接的な変換は、半導体材料の内部光効果、即ち光子の吸収による電子・正孔ペアの生成及びp−n遷移又はショットキー接触での負電荷キャリアと正電荷キャリアとの分離に基づく。こうして生成される光電圧は外部回路に光電流をもたらすことができ、これを通じて太陽電池はその電力を送達する。
【0005】
ここで、半導体はそのバンドギャップより大きいエネルギーを有する光子のみを吸収することができる。従って、半導体バンドギャップのサイズが、電気エネルギーに変換できる太陽光の割合を決定する。将来的に、有機太陽電池は、より低い費用、より低い重量、フレキシブル及び/又は着色された電池の製造可能性、バンドギャップの厳密な調節のより良好な可能性に基づき、シリコンベースの古典的な太陽電池をしのぐものと予想される。従って、有機太陽電池の製造に適した有機半導体には多くの要求が課せられている。
【0006】
太陽エネルギーを可能な限り効率的に利用するために、有機太陽電池は、通常は、異なる電子親和力又は異なるイオン化挙動を有する二つの吸収性材料からなる。この場合、一方の材料はp型導電体(電子ドナー)として、他方はn型導電体(電子アクセプター)として作用する。最初の有機太陽電池は、p型導電体としての銅フタロシアニンとn型導電体としてのPTCBIとからの二層系からなり、1%の効率を示した。可能な限り多くの入射光子を利用するために、比較的高い層厚が用いられる(例えば100nm)。しかしながら、電流を生じさせるためには吸収された光子により生じた励起状態がpn界面層(「pn接合」)に到達して正孔及び電子が生成され、これがアノード及びカソードに流れる必要がある。しかし、有機半導体の多くは励起状態の拡散距離が10nmまでしかない。現在まで知られている最良の製造方法によっても、励起状態が伝播される必要がある距離を最小で10〜30nmまでにしか低減することができない。
【0007】
有機光起電装置の最近の開発はいわゆる「バルクヘテロ接合」を対象としており、ここで、光活性層はアクセプター化合物及びドナー化合物を共連続相として含む。励起状態のドナー化合物からアクセプター化合物への光誘起電荷移動によって、化合物の空間的近接性に基づき、他の緩和過程と比較して急速な電荷分離が生じ、生成された正孔及び電子が相応する電極を通じて取り出される。このような電池の効率向上のために、電極と光活性層との間にはしばしば更なる層、例えば正孔輸送層又は電子輸送層が施与される。
【0008】
従来、このようなバルクヘテロ接合型電池におけるドナー材料として、通常はポリマー、例えばポリビニルフェニレンもしくはポリチオフェン、又はフタロシアニンの種類からの色素、例えばZnフタロシアニンもしくはバナジルフタロシアニンが使用され、アクセプター材料として、フラーレン及びフラーレン誘導体、並びに種々のペリレンが使用されてきた。ドナー/アクセプターペアのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(「P3HT」)/[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(「PCBM」)、ポリ(2−メトキシ−5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(「OC110−PPV」)/PCBM及びZnフタロシアニン/フラーレンからの光活性層は、集中的に研究がなされてきている。
【0009】
メロシアニンを用いた有機太陽電池は、刊行物WO2009/007340A1に記載されている。
【0010】
従って本発明の課題は、容易に製造可能であり、工業用途での光エネルギーから電気エネルギーへの変換に十分な効率を有する、電子部品、特に有機太陽電池及び有機光検出器に使用される更なる光活性層を提供することであった。
【0011】
それに応じて、冒頭に記載した有機太陽電池及び有機光検出器のための光活性層を製造するための混合物の使用が見出された。
【0012】
上記変数の定義は以下に説明され、以下のように理解されるべきである。
【0013】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、特にフッ素及び塩素を表す。
【0014】
アルキルとは、置換又は非置換のC1〜C20アルキル基と理解されるべきである。有利なものは、C1〜C10アルキル基、特に有利にC1〜C6アルキル基である。アルキル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。さらに、アルキル基は1つ以上の置換基で置換されていてよく、該置換基はC1〜C20アルコキシ、ハロゲン、有利にF、及び、またも置換されているか又は非置換であってよいC6〜C30アリールからなる群から選択される。好適なアリール置換基並びに好適なアルコキシ−及びハロゲン置換基は後に記載する。好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチル、並びに、C6〜C30アリール、C1〜C20アルコキシ及び/又はハロゲン、特にFで置換された上記アルキル基の誘導体、例えばCF3である。ここで、上記基のn異性体のみならず、分枝鎖異性体、例えばイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチル、3−エチルヘキシル等も含まれる。有利なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、tert−ブチル及びCF3である。
【0015】
シクロアルキルとは、置換又は非置換のC3〜C20アルキル基と理解されるべきである。有利なものはC3〜C10アルキル基であり、特に有利なものはC3〜C8アルキル基である。シクロアルキル基は、アルキル基に関して挙げられた置換基を1つ以上有してよい。同様に非置換であるか又はアルキル基に関して上で挙げられた基で置換されていてよい好適な環式アルキル基(シクロアルキル基)の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシルである。場合により、多環式環系、例えばデカリニル、ノルボルニル、ボルナニル又はアダマンチルであってもよい。
【0016】
1つ又は2つの非隣接酸素原子により中断されているアルキルには、例えば、3−メトキシエチル、2−及び3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル、2−及び3−エトキシプロピル、2−プロポキシエチル、2−及び3−プロポキシプロピル、2−ブトキシエチル、2−及び3−ブトキシプロピル、3,6−ジオキサヘプチル、並びに3,6−ジオキサオクチルが挙げられる。
【0017】
アリールとして、環ヘテロ原子を含まない単環式、二環式又は三環式の芳香族化合物から誘導されたC6〜C30アリール基が好適である。単環式の系でない場合には、第二の環についてのアリールという表記において、飽和形(ペルヒドロ形)又は部分不飽和形(例えばジヒドロ形又はテトラヒドロ形)も、それぞれの形が公知でありかつ安定であれば可能である。即ち、アリールという表記には、本発明においては例えば、二つ及び三つの基全てが芳香族である二環式又は三環式の基も、一つの環のみが芳香族である二環式又は三環式の基も、二つの環が芳香族である三環式の基も包含される。アリールについての例は、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2−ジヒドロナフテニル、1,4−ジヒドロナフテニル、インデニル、アントラセニル、フェナントレニル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフチルである。特に好ましいのは、C6〜C10アリール基、例えばフェニルもしくはナフチルであり、極めて特に好ましいのはC6アリール基、例えばフェニルである。
【0018】
アリール基は、非置換であってもよいし、1つ以上の他の基で置換されていてもよい。好適な他の基は、C1〜C20アルキル、C6〜C30アリール、又は、ドナーもしくはアクセプターの作用を有する置換基からなる群から選択されており、ここで、ドナーもしくはアクセプターの作用を有する好適な置換基は、以下のものである:
1〜C20アルコキシ、C6〜C30アリールオキシ、C1〜C20アルキルチオ、C6〜C30アリールチオ、Si(R)3、ハロゲン基、ハロゲン化C1〜C20アルキル基、カルボニル(−CO(R))、カルボニルチオ(−C=O(SR))、カルボニルオキシ(−C=O(OR))、オキシカルボニル(−OC=O(R))、チオカルボニル(−SC=O(R))、アミノ(−NR2)、OH、擬ハロゲン基、アミド(−C=O(NR))、−N(R)C=O(R)、ホスホナート(−P(O)(OR)2)、ホスファート(−OP(O)(OR)2)、ホスフィン(−PR2)、ホスフィンオキシド(−P(O)R2)、スルファート(−OS(O)2OR)、スルホキシド(−S(O)R)、スルホナート(−S(O)2OR)、スルホニル(−S(O)2R)、スルホンアミド(−S(O)2NR2)、NO2、ホウ酸エステル(−OB(OR)2)、イミノ(−C=NR2))、ボラン基、スタナン基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、オキシム基、ニトロソ基、ジアゾ基、ビニル基(=スルホナート)及びホウ酸基、スルホキシミン、アラン、ゲルマン、ボロキシム及びボラジン。
【0019】
ドナーもしくはアクセプターの作用を有する有利な置換基は、以下のものからなる群から選択されている:
1〜C20アルコキシ、有利にはC1〜C6アルコキシ、特に有利にはエトキシ又はメトキシ:C6〜C30アリールオキシ、有利にはC6〜C10アリールオキシ、特に有利にはフェニルオキシ;SiR3(ここで、3つの基Rは、有利には相互に無関係に、置換もしくは非置換アルキル又は置換もしくは非置換フェニルを表す)、ハロゲン基、有利にはF、Cl、Br、特に有利にはF又はCl、極めて特に有利にはF、ハロゲン化C1〜C20アルキル基、有利にはハロゲン化C1〜C6アルキル基、極めて特に有利にはフッ素化C1〜C6アルキル基、例えばCF3、CH2F、CHF2又はC25;アミノ、有利にはジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はジフェニルアミノ:OH、擬ハロゲン基、有利にはCN、SCN又はOCN、特に有利にはCN、−C(O)OC1〜C4アルキル、有利には−C(O)OMe、P(O)R2、有利にはP(O)Ph2又はSO22、有利にはSO2Ph。
【0020】
Rは、上記基において特にC1〜C20アルキル又はC6〜C30アリールを表す。
【0021】
1〜C6アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6アルキレン−O−CO−アルキル及びC1〜C6アルキレン−O−CO−O−アルキルは、上記アルキル基から、C1〜C6アルキレン−COO、C1〜C6アルキレン−O−CO及びC1〜C6アルキレン−O−CO−Oの基への結合により誘導され、ここで、C1〜C6アルキレン単位は有利には直鎖である。特に、C2〜C4アルキレン単位が挙げられる。
【0022】
アリールアルキルには特に、アリールC1〜C20アルキル基が挙げられる。該基は、上記アルキル−及びアリール基から、直鎖又は分枝鎖アルキル基の水素原子をアリール基で形式的に置換することによって誘導される。例えば有利なアリールアルキル基としてベンジル基が挙げられる。
【0023】
ヘタリールとは、単環式、二環式又は三環式であってよい、5〜30個の環原子を有する非置換又は置換ヘテロアリール基と解釈され、該基は部分的に上記アリールから誘導されていてよく、アリール基本骨格中で少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されている。有利なヘテロ原子は、N、O及びSである。特に有利に、ヘタリール基は5〜13個の環原子を有する。特に有利なものは、例えばピリジン及び5員複素芳香族化合物、例えばチオフェン、ピロール、イミダゾール又はフランといった系から選択されたヘテロアリール基の基本骨格である。該基本骨格は場合により1つ又は2つの6員芳香族基と縮合されていてよい。好適な縮合ヘテロ芳香族化合物は、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチオフェニルである。該基本骨格は1つ、それを上回る、又は全ての置換可能な位置で置換されていてよく、その際、その好適な置換基は、すでにC6〜C30アリールの定義で挙げられたものである。しかしながら有利には、ヘタリール基は非置換である。好適なヘタリール基は、例えばピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル及びイミダゾール−2−イル並びに相応するベンゾ縮合基、特にカルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル又はジベンゾチオフェニルである。
【0024】
光活性層において成分K1は電子ドナーの役割を担うことができ、その場合相応して成分K2は電子アクセプターの役割を担うことができる。しかしまた成分K1が電子アクセプターの役割を担うこともでき、その場合には相応して成分K2が電子ドナーとして作用する。それぞれの成分がどのように作用するかは、成分K2のHOMOないしLUMOのエネルギーに対する成分K1のHOMOないしLUMOのエネルギーによって決定される。成分K1の化合物は典型的にはメロシアニンであり、これは通常は電子ドナーとして現れる。このことは特にK2としてリレン誘導体又はフラーレン誘導体に成分を使用する場合に当てはまり、これらは一般に電子アクセプターとして作用する。しかしながら、具体的な個々のケースではこれらの役割が入れ替わることがある。成分K2も同様に成分K1の構造定義に従う可能性があり、その結果、式Ia、Ib、Ic又はIdの一方の化合物が電子ドナーの役割を担い、かつ式Ia、Ib、Ic又はIdの他方の化合物が電子アクセプターの役割を担うことがある点に留意すべきである。
【0025】
有利な本発明により使用可能な成分K1における式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの化合物は、nが1である場合、Lが以下
【化3】

【0026】
【化4】

[ここで、
102は、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
112は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110又はSR110を表し、
113は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘタリール、NH−アリール、N(アリール)2、NHCO−R101又はN(CO−R1012を表し、
114は、H、アルキル又は部分フッ素化もしくは過フッ素化アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル又はC1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキルを表し、
115は、H、アルキル、部分フッ素化もしくは過フッ素化アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、NHCO−R101又はN(CO−R1012を表し、
116は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、CO2110又はCNを表し、
117は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110、SR110ハロゲン又はヘタリールを表し、
212は、H、CN、CONR110又はCOR101を表し、
202は、2つのH、O又はSであり、
ここで、*及び**は単位X100ないしWへの結合を表し、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素鎖は、1つ又は2つの非隣接酸素原子により中断されていてよく、かつ、
残りの変数は請求項1と同じ意味を有し、かつ、上記の、及び請求項1で挙げられた変数は、該変数が1回を上回って現れる場合には同じか又は相互に異なっていてよい]
の群から選択された部分を表すことにより傑出している。
【0027】
上記の有利な態様も考慮して、さらに有利に使用可能な混合物は、成分K2が、以下
a)フラーレン及びフラーレン誘導体、
b)多環式芳香族炭化水素及びその誘導体、特にナフタレン及びその誘導体、リレン、特にペリレン、テリレン及びクアテリレン及びその誘導体、アセン、特にアントラセン、テトラセン、特にルブレン、ペンタセン及びその誘導体、ピレン及びその誘導体、コロネン及びヘキサベンゾコロネン及びその誘導体、
c)キノン、キノンジメタン及びキノンジイミン及びその誘導体、
d)フタロシアニン及びサブフタロシアニン及びその誘導体、
e)ポルフィリン、テトラアザポルフィリン及びテトラベンゾポルフィリン及びその誘導体、
f)チオフェン、オリゴチオフェン、縮合チオフェン、例えばチエノチオフェン及びビチエノチオフェン及びその誘導体、
g)チアジアゾール及びその誘導体、
h)カルバゾール及びトリアリールアミン及びその誘導体、
i)インダントロン、ビオラントロン及びフラバントン及びその誘導体、
j)フルバレン、テトラチアフルバレン及びテトラセレナフルバレン及びその誘導体、及び
k)ジケトピロロピロール及びその誘導体
の群から選択された1つ以上の化合物であることにより傑出している。
【0028】
特に、上記の有利な態様も考慮して、成分K2が1つ以上のフラーレン及び/又はフラーレン誘導体であることにより傑出している混合物によって、本発明による使用が見出された。
【0029】
容易に入手可能なフラーレン誘導体として、特に一般式k2
【化5】

[式中、
Qは、C1〜C10アルキレンを表し、
は、アリール又はアリールアルキルを表し、
かつ
’’は、アルキルを表す]の化合物が該当する。
【0030】
アリール、アリールアルキル及びアルキルの定義については、既に上記になされている記述が参照される。
【0031】
1〜C10アルキレンとは、特に直鎖−(CH2m−(但し、mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である)であると理解されることができる。
【0032】
特に本発明によれば、RがC1〜C4アルキル基、特にメチル基を表し、Qがプロピレン鎖−(CH2−を表し、かつR’’が、場合により置換されているフェニル又は2−チエニルを表すフラーレン誘導体が使用される。有利に、フラーレン誘導体は[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(「PCBM」)である。
【0033】
特に有利に、上記の有利な態様も考慮して、成分K2が1つ以上のフラーレンである混合物が使用される。
【0034】
考えられるフラーレンとして、C60、C70、C76、C80、C82、C84、C86、C90及びC94、特にC60及びC70を挙げることができる。本発明により使用可能なフラーレンについての概観は、例えばA. Hirsch, M. Brettreichによる小論"Fullerenes: Chemistry and Reactions", Wiley-VCH, Weinheim 2005により与えられる。
【0035】
特に、成分K2は式k2
【化6】

のC60フラーレンである。
【0036】
本発明により使用可能な混合物は、成分K1が10〜90質量%、特に20〜80質量%の割合で、かつ成分K2が90〜10質量%、特に80〜20質量%の割合で存在しており、ここで、それぞれ成分K1及びK2の全質量に対する成分K1及びK2の割合が補い合って100質量%となることにより傑出している。
【0037】
製造に条件付けられて、個々のケースにおいて明示されている式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa又はIIbの化合物ではなくその異性体化合物が得られることがあり、また異性体の混合物が得られることもある。それに応じて本発明によれば、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及びIIbの異性体化合物、及び、相応する有利な化合物の異性体並びに異性体の混合物も含まれるべきである。
【0038】
一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及びIIbの化合物の合成は、当業者に公知であるか、又は公知の合成法に準拠して製造することができる。
【0039】
例えば、相応する合成に関して以下の刊行物が挙げられる:
DE19502702A1、EP416434A2、EP509302A1、EP291853A2、US5,147,845、US5,703,238;
"ATOP Dyes. Optimization of a Multifunctional Merocyanine Chromophore for High Refractive Index Modulation in Photorefractive Materials", F. Wuerthner, S. Yao, J. Schilling, R. Wortmann, M. Redi- Abshiro, E. Mecher, F. Gallego-Gomez, K. Meerholz, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 2810-2814;
"Merocyaninfarbstoffe im Cyaninlimit: eine neue Chromophorklasse fuer photorefraktive Materialien; Merocyanine Dyes in the Cyanine Limit: A New Class of Chromophores for Photorefractive Materials", F. Wuerthner, R. Wortmann, R. Matschiner, K. Lukaszuk, K. Meerholz, Y. De Nardin, R. Bittner, C. Braeuchle, R. Sens, Angew. Chem. 1997, 109, 2933-2936; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997, 36, 2765-2768;
"Electrooptical Chromophores for Nonlinear Optical and Photorefractive Applications", S. Beckmann, K.-H. Etzbach, P. Kraemer, K. Lukaszuk, R. Matschiner, A. J. Schmidt, P. Schuhmacher, R. Sens, G. Seybold, R. Wortmann, F. Wuerthner, Adv. Mater. 1999, 11, 536-541;
"DMF in Acetic Anhydride: A Useful Reagent for Multiple-Component Syntheses of Merocyanine Dyes", F. Wuerthner, Synthesis 1999, 2103-2113;
Ullmanns' Encyclopedia of industrial Chemistry, Vol. 16, 5th Edition (Ed. B. Elvers, S. Hawkins, G. Schulz), VCH 1990, "Methine Dyes and Pigments"の章, p.487-535, R. Raue(Bayer AG)
【0040】
特に、式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及びIIbの化合物の合成に関して以下の刊行物が挙げられる:
T. Zimmermann, J. Heterocycl. Chem., 2000, 37, 1571;(化合物Ia)
T. Zimmermann and O. Brede, J. Heterocycl. Chem., 2004, 41, 103;(化合物Ia)
M. Kullich, H. Balli, Helvetica Chimica Acta, 70, 1987; 1583-1595;(化合物Ib)
A. V. Kulinich et al, Russian Chemical Bulletin, 54, 12, 2005; 2820-2830;(化合物Ib)
M. Henary et al. Journal of Heterocyclic Chemistry, 46, 1, 2009; 84-87;(化合物Ib)
H. Fritz, Chemische Berichte 92, 1959, p.1809-1817;(化合物Ie)
Tsotinis et al. Farmaco, 56, 9, 2001; 725-730;(化合物IIa)
FR 1520818 (Eastman Kodak Co.);(化合物IIb)
E. Desarbre et al, Heterocycles 41, 9, 1995; 1987-1998;(化合物IIb)
【0041】
以下に例示的に、本発明により使用可能な一般式Iaの化合物を示す:
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
式Ia(但し、単位Lが欠損している(n=0))の化合物を例示的に以下に示す:
【化11】

【0046】
式Ib(但し、単位Lが欠損している(n=0))の化合物を例示的に以下に示す:
【化12】

【0047】
式Ibの他の化合物は以下のものである:
【化13】

【0048】
式Ieの化合物を例示的に以下にそのS−及びR−立体配位で示す:
【化14】

【0049】
式Ieの他の化合物を以下に示す:
【化15】

【0050】
例示的に、さらに以下の化合物が挙げられる:
IIaに関して:
【化16】

及びIIbに関して:
【化17】

【0051】
さらに、本発明の範囲内で特に、その有利な態様の考慮下に冒頭に示した成分K1の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物と、同様にその有利な態様の考慮下に成分K2の1つ以上の化合物とを、同時に、逐次的に、又は交互の順序で真空昇華により基板上に蒸着させることを特徴とする、光活性層の製造法が特許請求の範囲に記載される。
【0052】
特に該方法は、成分K1が10〜90質量%、特に20〜80質量%の割合で、かつ成分K2が90〜10質量%、特に80〜20質量%の割合で基板上に蒸着されて存在しており、ここで、それぞれ成分K1及びK2の全質量に対する成分K1及びK2の割合が補い合って100質量%となる点で傑出している。
【0053】
さらに本発明の範囲内で、上記の成分K1及びK2を含有する混合物の使用下に、もしくは、同様に上記の混合物の有利な態様の使用下に製造された光活性層を含む、有機太陽電池及び有機光検出器が特許請求の範囲に記載される。
【0054】
有機太陽電池は一般に層状に構成されており、通常少なくとも以下の層を含む:電極、光活性層及び対電極。これらの層は一般に、このために慣用の基板上に存在する。適切な基板は、例えば、酸化物材料、例えばガラス、石英、セラミック、SiO2等、ポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアルキル(メタ)アクリラート、ポリスチレン及びその混合物及び複合体、並びに上記基板の組み合わせである。
【0055】
一方の電極用の材料として、特に、金属、例えばアルカリ金属のLi、Na、K、Rb及びCs、アルカリ土類金属のMg、Ca及びBa、Pt、Au、Ag、Cu、Al、In、金属合金、例えばPt、Au、Ag、Cu等をベースとする合金、特にMg/Ag合金、またさらにアルカリ金属フッ化物、例えばLiF、NaF、KF、RbF及びCsF、並びにアルカリ金属フッ化物とアルカリ金属との混合物が好適である。有利に、電極として入射光を実質的に反射する材料が使用される。これには、例えばAl、Ag、Au、In、Mg、Mg/Al、Ca等からの金属膜が挙げられる。
【0056】
対電極は、入射光に対して実質的に透明な材料、例えばITO、ドープITO、ZnO、TiO2、Cu、Ag、Au及びPtからなり、その際、後者の材料は相応して薄膜状で存在する。
【0057】
ここで、光活性層が放射線を吸収する波長領域内で放射線強度の少なくとも50%が透過する場合に、電極/対電極は「透明」であると見なされる。複数の光活性層がある場合には、複数の光活性層が放射線を吸収する波長領域内で放射線強度の少なくとも50%が透過する場合に、電極/対電極は「透明」であると見なされる。
【0058】
光活性層に加えて、1つ以上の更なる層が本発明による有機太陽電池及び光検出器内に存在することが可能であり、例えば電子輸送層(「ETL」)及び/又は正孔輸送層(「HTL」)及び/又は阻止層、例えば一般に入射光を吸収しない励起子阻止層(「EBL」)、あるいは電荷輸送層として作用すると同時に太陽電池の一方又は双方の電極への接触を改善する層である。ETL及びHTLはドープされていてもよく、それにより例えば刊行物J. Drechsel et al., Thin Solid Films 451-452(2004), 515-517に記載されているp−i−n型の電池が生じる。
【0059】
太陽電池の一般的な構造A)、B)及びC)を以下に記載する:
A)二層型構造:
該構造は以下の層を含む:
16 金属電極(カソード)
(15 任意のEBL及び/又はETL)
14 電子アクセプター層
13 電子ドナー層
(12 任意のHTL)
11 透明電極(アノード)
【0060】
層11は透明な伝導性層、例えばITO、FTO又はZnOであり、該層は場合により例えば酸素プラズマ、UV/オゾン洗浄等により前処理されている。該層は、一方では生じる光吸収がわずかとなるような薄さでなければならないが、他方では該層の内部での満足のいく横方向の電荷輸送を保証するのに十分な厚さでなければならない。通常、該層の厚さは20〜200nmであり、該層は例えばガラス又は可撓性ポリマー(例えばPET)のような基板上に施与される。
【0061】
層12は、高いイオン化エネルギー(>5.0eV、有利に5.5eV)を有する1つ以上のHTLからなる。該層は有機材料、例えばポリ(スチレンスルホナート)がドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)又は例えばIr−DPBIC(トリス−N,N’−ジフェニルベンゾイミダゾール−2−イリデン−イリジウム(III))、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)及び/又は2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−MeOTAD)から、又は無機材料、例えばWO3、MoO3等からなることができる。通常、層厚は0〜150nmである。層12が有機材料から構成されている場合には、該層は、LUMOエネルギーがHTLのHOMOと同じか又は低いエネルギー範囲にあるp型ドーパントと混合されてよい。そのようなドーパントは、例えば2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、WO3、MoO3又は刊行物WO2007/071450A1に記載されている物質である。
【0062】
層13は電子ドナーからなる。通常、該層は、該層が可能な限り多くの光を吸収する厚さであることが望ましいが、しかしながら他方では生じた電荷を効率的に散逸し得るのに十分な薄さであることが望ましい。通常、厚さは5〜200nmである。
【0063】
層14は電子アクセプターからなる。層13と同様に、ここでも可能な限り多くの光を吸収するのに十分な厚さであることが望ましいが、しかしながら他方では生じた電荷が効率的に散逸されねばならない。通常、該層は同様に5〜200nmの厚さを有する。
【0064】
層15はEBL/ETLであり、励起子を反射するために層14の材料よりも大きな光学バンドギャップを有するが、しかしながらなおも十分な電子輸送特性を有することが望ましい。好適な化合物は、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)1,3,4−オキサジゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)、ZnO、TiO2等である。有機層の場合、該層は、HOMOが電子輸送層のLUMOと類似又はこれよりも低いエネルギーを有するn型ドーパントと混合されてよい。好適な材料は、例えば刊行物WO2003/070822A2に記載されているCs2CO3、ピロニンB(PyB)、例えば刊行物WO2005/036667A1に記載されているローダミンB、コバルトセン、及び刊行物WO2007/071450A1において言及されている化合物である。層厚は通常0〜150nmである。
【0065】
層16(カソード)は低い仕事関数を有する金属からなる。例えば、Ag、Al、Ca、Mgといった金属又はその混合物である。層厚は通常50〜1000nmであり、350〜1200nmの波長領域内の大部分の光が反射されるのに十分であるように選択されることが望ましい。
【0066】
気相蒸着の間の通常の圧力は、10-4〜10-9ミリバールである。蒸着速度は通常0.01nm/秒〜10nm/秒で変動する。相応する層のモルホロジーに意図的に影響を与えるために、蒸着の間の基板の温度は−100℃〜200℃の温度範囲内で変動してよい。蒸着速度は通常0.1nm/秒〜2.0nm/秒である。
【0067】
層の蒸着のために、同様にWO1999/025894A1に記載された方法を用いることができる。
【0068】
活性層(層13及び14)の蒸着後に、又は電池全体の完成後に、即ち層16の蒸着後に、60℃〜100℃で数分〜数時間にわたる温度処理が続いてよく、これにより層のより緊密な接触が達成される。同様にこの目的で、溶剤、例えばトルエン、キシレン、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エチルアセタート、クロロベンゼン及びジクロロメタン又は他の溶剤の蒸気で、相応する期間にわたって処理を行うことができる。
【0069】
B)バルクヘテロ接合型(BHJ)構造:
該構造は以下の層を含む:
26 金属電極(カソード)
(25 任意のEBL及び/又はETL)
24 ETL
23 電子アクセプター・電子ドナー層
(22 任意のHTL)
21 透明電極(アノード)
【0070】
層21及び22は構造A)からの層11及び12に相応する。
【0071】
層23は共蒸着により、又は慣用の溶剤を用いた溶液プロセスにより −これについては以下でさらに検討する− 製造することができる。電子ドナーの割合は、どちらの場合にも有利に10〜90質量%、特に20〜80質量%である。電子アクセプターの割合は、補い合って100質量%となる。ここでも、層は十分に光を吸収するほどの厚さでなければならないが、しかしながら依然として電荷キャリアが効率的に散逸され得るほどの薄さでなければならない。通常、該層は5〜500nmの厚さである。
【0072】
ETL層24は、低いLUMOエネルギー(<3.5eV)を有する材料の1つ以上の層からなることができる。該層は有機化合物、例えばC60フラーレン、BCP、Bphen又はBPY−OXDからなることもできるし、無機化合物、例えばZnO、TiO2等からなることもでき、通常0nm〜150nmの厚さである。有機層の場合、該層はすでに上記したドーパントと混合されていてよい。
【0073】
層25及び26は構造A)からの層15及び16に相応する。同様に、蒸着速度及び後処理は構造A)からのものに相応する。
【0074】
C)タンデム型電池
該構造は以下の層を含む:
36 金属電極(カソード)
(付加的な再結合層及びサブセル)
34 第二のサブセル
33 再結合層
32 第一のサブセル
31 透明電極(アノード)
【0075】
タンデム電池は2つ以上のサブセルを含んでおり、該サブセルは通常は直列接続されており、各サブセル間には再結合層が配置されている。
【0076】
層31は、構造に関して上記の構造A)及びB)からの層11及び21に相応する。
【0077】
層32及び34は独立したサブセルであり、その機能に関しては構造A)及びB)のような単セルに相応しているが、但し電極11/16ないし21/26を含まないという点で相違している。従ってこれらのサブセルは、構造A)の層12〜15ないし構造B)の22〜25からなる。
【0078】
サブセルは成分K1ないしK2として全てメロシアニンを含有することもでき、また、1つのサブセルが1つ以上のメロシアニンを含有して残りのサブセルが他の材料、例えばC60フラーレン/Zn−フタロシアニン、オリゴチオフェン(例えばDCV5T)/C60フラーレン(例えばWO2006/092134A1に記載されている)の組合せを含有することもでき、また、サブセルのうち1つが色素増感型太陽電池(DSSC)又はポリマー電池、例えばP3HT/PCBMの組合せであることもできる。さらに、構造A)の電池に加えて構造B)の電池もサブセルとして含まれていてよい。上記の場合、金属/サブセルの組合せを、サブセルの光吸収が重複し過ぎることなく全体として太陽光のスペクトルが網羅され、これにより発電量の増大がもたらされるように選択すると極めて有利である。さらに、電池内で生じる光学干渉を考慮して、比較的長波長領域での吸収を伴うサブセルよりも、比較的短波長領域での吸収を伴うサブセルを電極36の近傍に配置することが有利である。
【0079】
再結合層33により、隣接するサブセル内で反対の電荷を有する電荷キャリアの再結合が生じる。再結合層における活性成分として、例えばAg又はAuからの金属クラスターが作用することができ、また、再結合層は高ドーピングされたn型導電性層とp型導電性層との組合せからなることもできる(例えばWO2004/083958A2に記載されている)。金属クラスターを使用する場合、一般に層厚は0.5〜20nmに調節され、ドーピング層を組み合わせる場合には層厚は5〜150nmに調節される。サブセル34上にさらなるサブセルを施与することもでき、その場合には同様に層33のようなさらなる再結合層が存在していなければならない。
【0080】
電極36用の材料はサブセルの極性に依存する。標準極性の場合にはすでに記載した低い仕事関数を有する金属、例えばAg、Al、Mg及びCaが挙げられる。逆極性の場合には、一般に高い仕事関数を有する材料、例えばAu、Pt、PEDOT−PSSが用いられる。
【0081】
直列接続されたサブセルを含むタンデム型電池の場合、部分電圧は加算されるが、全電流は最も低い電流の強さ/電流密度を伴うサブセルにより制限される。従って、個々のサブセルは、その個々の電流の強さ/電流密度が類似の値を示すように最適化されることが望ましい。
【0082】
有機太陽電池の構造は、さらに例えば刊行物WO2004/083958A2、US2005/0098726A1及びUS2005/0224905A1に記載されており、ここで該刊行物は全面的に本願明細書に援用される。
【0083】
光検出器は本質的に有機太陽電池と類似の構造を有するが、但し適切なバイアス電圧で動作し、放射エネルギーの作用下に測定応答として相応する電流を生じる。
【0084】
光活性層の処理は溶液から行うことができる。ここで、成分K1及びK2は既に溶解し合うが、成分K1の溶液及び成分K2の溶液として別々に存在することもでき、後者の場合には、相応する溶液の混合は下の層に施与する直前に行われる。成分K1及びK2の濃度は、通常、数g/溶剤lないし数十g/溶剤lに達する。
【0085】
溶剤として、残渣なく蒸発し、かつ成分K1及びK2に対して十分な溶解性を有する全ての液体が好適である。これには例えば、芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン、トリアルキルアミン、窒素含有複素環、N,N−二置換脂肪族カルボキサミド、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はジメチルブチルアミド、N−アルキルラクタム、例えばN−メチルピロリドン、直鎖及び環状ケトン、例えばメチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン、環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン、又はアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はブタノールが挙げられる。
【0086】
さらに、前述の溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0087】
本発明による光活性層を液相から施与する適切な方法は、当業者に公知である。ここで特に、スピンコーティングによる処理が有利であると判明した。それというのも、光活性層の厚さを、使用する溶液の量及び/又は濃度により、また回転速度及び/又は回転時間により容易に制御することができるためである。溶液の処理は、通常室温で行われる。
【0088】
しかしながら有利に、成分K1及びK2は、気相から、特に真空昇華により蒸着される。式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの化合物は通常、昇華により精製可能であるため、これからすでに気相蒸着のための出発パラメータを導出することができる。通常、蒸着のために100〜200℃の温度が用いられるが、成分K1及びK2の化合物の安定性に応じて300〜400℃の範囲内にまで高めることもできる。
【0089】
本発明の範囲内で、成分として、記載された有利な態様も考慮して、冒頭に示した成分K1の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物と、同様にその記載された有利な態様を考慮して、成分K2の1つ以上の化合物とを含有する混合物も、特許請求の範囲に記載される。
【0090】
特に本発明による混合物は、成分K1が10〜90質量%、特に20〜80質量%の割合で、かつ成分K2が90〜10質量%、特に80〜20質量%の割合で存在しており、ここで、それぞれ成分K1及びK2の全質量に対する成分K1及びK2の割合が補い合って100質量%となることにより傑出している。
【0091】
以下に本発明を実施例をもとに詳説するが、この実施例により本発明の範囲が限定されるものではないと理解されるべきである。
【実施例】
【0092】
I.本発明により使用可能な化合物の合成
一般式Iaに相当する化合物Ia−1〜Ia−4:
【化18】

【0093】
【化19】

【0094】
化合物ED2−Ia−1〜ED2−Ia−4の製造に関する一般的規定:
無水エタノール(EtOH)15〜20当量中の相応する塩ED1−Ia−1〜ED1−Ia−4 1当量を、KOH 1.1当量と混合した。この溶液を室温で3時間撹拌し、その後、溶剤を真空下に除去した。水を添加した後、ジエチルエーテルで振盪抽出した。真空下に溶剤を再度除去した後に油状物が得られ、これを直接さらに反応させた。
【0095】
特性決定:
1,1−ジメチル−2−メチレン−1,2,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]−インドール(ED2−Ia−1)
【化20】

【0096】
1,1−ジメチル−2−メチレン−1,2,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]−キノリン(ED2−Ia−2)
【化21】

【0097】
1−エチル−1−メチル−2−メチレン−1,2,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]−インドール(ED2−Ia−3)
【化22】

【0098】
1−エチル−1−メチル−2−メチレン−1,2,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2,1−hi]−キノリン(ED2−Ia−4)
【化23】

【0099】
化合物Ia−1〜Ia−4の製造に関する一般的規定:
1mL/当量エタノール中の、ED2−Ia−1〜ED2−Ia−4 1当量、2−(3−オキソ−インダン−1−イリデン)−マロノニトリル1当量及びオルトギ酸トリエチルエステル1.5当量を還流下に1時間加熱した。溶剤を除去した後、生成物をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)及びCH2Cl2/n−ヘキサンからの再沈殿により精製した。
【0100】
特性決定:
2−{2−[2−(1,1−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−イリデン)−エチリデン]−3−オキソ−インダン−1−イリデン}−マロノニトリル(Ia−1)
【化24】

【0101】
2−{2−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−3−オキソ−インダン−1−イリデン}−マロノニトリル(Ia−2)
【化25】

【0102】
2−{2−[2−(1−エチル−1−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−イリデン)−エチリデン]−3−オキソ−インダン−1−イリデン}−マロノニトリル(Ia−3)
【化26】

【0103】
2−{2−[2−(1−エチル−1−メチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−3−オキソ−インダン−1−イリデン}−マロノニトリル(Ia−4)
【化27】

【0104】
一般式Iaに相応する化合物Ia−5〜Ia−12:
【化28】

【0105】
【化29】

【0106】
【化30】

【0107】
【化31】

【0108】
2−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−インダン−1,3−ジオン(Ia−5)の製造:
無水酢酸(Ac2O)1.5ml、化合物ED2−Ia−5(341mg、1.5ミリモル)及びインダンジオン3(219mg、1.5ミリモル)からの溶液を30分間90℃に加熱し、その後、溶剤を真空下に除去した。カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)後、得られた固形物をCH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させた。
【0109】
【化32】

【0110】
1−ブチル−5−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−4−メチル−2,6−ジオキソ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボニトリル(Ia−6)の製造:
Ac2O 1.5ml、化合物ED2−Ia−5(341mg、1.5ミリモル)及びピリドン誘導体(309mg、1.5ミリモル)からの溶液を30分間90℃に加熱し、その後、溶剤を真空下に除去した。残留物をCH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させ、その後カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)を実施した。得られた固形物を再度CH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させた。
【0111】
【化33】

【0112】
2−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−[1,2’]ビインデニリデン−3,1’,3’−トリオン(Ia−7)の製造:
EtOH 7.0ml、化合物ED2−Ia−7(370mg、2.0ミリモル)、インダンジオン誘導体(548mg、2.0ミリモル)及びオルトギ酸トリエチルエステル(430mg、2.9ミリモル)からの溶液を還流下に1時間加熱し、その後、溶剤を真空下に除去した。カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)の後、得られた固形物をCH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させた。
【0113】
【化34】

【0114】
1−ブチル−5−[2−(1,1−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2,1−hi]インドール−2−イリデン)−エチリデン]−4−メチル−2,6−ジオキソ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボニトリル(Ia−8)の製造:
Ac2O 5.0ml、化合物ED2−Ia−7(926mg、5ミリモル)、ピリドン誘導体(1.03g、5ミリモル)及びジメチルホルムアミド(DMF;550mg、7.5ml)からの溶液を1時間90℃に加熱し、その後、溶剤を真空下に除去した。残留物をCH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させ、その後、カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH=98:2)を実施した。得られた固形物を再度CH2Cl2中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させた。
【0115】
【化35】

【0116】
化合物Ia−9〜Ia−12の製造に関する一般的規定:
1ml/当量Ac2O中のアクセプター分子1当量及びドナー分子ED2−Ia−5 1当量を1時間90℃に加熱した。溶剤を除去した後、析出した固形物をn−ヘキサン及びイソパノールで洗浄し、必要に応じてカラムクロマトグラフィーで精製し、生成物をCH2Cl2/n−ヘキサン混合物から再沈殿させた。
【0117】
特性決定:
2−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−[1,2’]ビインデニリデン−3,1’,3’−トリオン(Ia−9)
【化36】

【0118】
5−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−1,4−ジメチル−2,6−ジオキソ−1,2,5,6−テトラヒドロ−ピリジン−3−カルボニトリル(Ia−10)
【化37】

【0119】
2−{4−tert−ブチル−5−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−5H−チアゾール−2−イリデン}−マロノニトリル(Ia−11)
【化38】

【0120】
2−{5−[2−(1,1−ジメチル−5,6−ジヒドロ−1H,4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−2−イリデン)−エチリデン]−4−フェニル−5H−チアゾール−2−イリデン}−マロノニトリル(Ia−12)
【化39】

【0121】
一般式Ieに相当する化合物Ie−1及びIe−2
【化40】

【0122】
前駆体ED1−Ie−1をH. Fritz, Chemische Berichte 92, 1959, p.1809-1817に準拠して製造した。化合物Ie−1及びIe−2の合成を、化合物ED1−Ie−1と化合物ED2−Ie−1との縮合(化合物Ie−1)、ないし、ED1−Ie−1と化合物ED2−Ie−2との縮合(化合物Ie−2)により行った。
【0123】
【化41】

【0124】
化合物Ie−1の製造:
化合物ED1−Ie−1 1.1g及びED2−Ie−1 1.0gを、無水酢酸15ml中で50〜55℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、析出沈殿した色素を吸引分離し、メタノール10mlで洗浄し、その後水100mlで洗浄した。真空中で60℃で乾燥した後、該色素をメチレンクロリド中に溶解させ、n−ヘキサンで析出沈殿させた。吸引分離後、n−ヘキサンで複数回洗浄し、残留物を真空中で60℃で乾燥させた。収量:1.02g(50.6%)、UV/VIS 572nm(25200)。
【0125】
化合物Ie−2の製造:
化合物ED1−Ie−1 1.1g及びED2−Ie−2 1.0gを上記の通りに反応させ、精製した。収量:0.87g(42%)、UV/VIS:626nm(113000)
【0126】
II.太陽電池の例
記載する全ての太陽電池は、以下の工程に従って製造したものである:
【0127】
メロシアニンの昇華:
冒頭に記載した材料をゾーン昇華により精製し、その際、圧力を昇華全体にわたって1×10-5ミリバールに保った。各材料に関する昇華精製の収率を第2表に列挙する。
【0128】
材料:
メロシアニン(以下でMcyとも称する)を、合成から得られたままか、又は上記の通りに後精製した状態で使用した。
【0129】
NPD:Alfa Aesar社製;1回昇華
C60:Alfa Aesar社製;昇華による純度(+99.92%);さらなる精製なしで使用
Bphen:Alfa Aesar社製;さらなる精製なしで使用
基板の準備:
ITOをスパッタリングによりガラス基板上に140nmの厚さで施与した。比抵抗は200μΩcmであり、平均粗さ(RMS;roughness mean square、二乗平均粗さ)は<5nmであった。この基板を、他の層の蒸着前にUV光下に20分間オゾン処理した。
【0130】
電池の製造:
構造A)及びB)の電池を高真空(<10-6ミリバールの圧力)中で作製した。
【0131】
ITO基板上にメロシアニン及びC60を逐次的に蒸着させることによって、構造A)の電池(ITO/メロシアニン/C60/Bphen/Ag)を製造した。蒸着速度はどちらの層についても0.1nm/秒であった。メロシアニンの蒸発温度を第1表に示す。C60は400℃で蒸着させた。Bphen層を施与した後、引き続き100nm厚のAg層をトップ電極として蒸着させた。この電池は0.031cm2の面積を有していた。
【0132】
構造B)(ITO/(メロシアニン:C60 質量に対して1:1)/C60/Bphen/Ag)の電池の製造のために、メロシアニン及びC60を共蒸発させ、0.1nm/秒の蒸着速度でITO上に施与したところ、混合活性層中での質量比は1:1であった。Bphen層及びAg層は構造A)の相応する層と同一であった。
【0133】
ドーピングされたHTL(層22)上にBHJ層を有する電池のデータを第3表に示す。NPD及びF4−TCNQをHTL及びドーパントとして20:1の質量比で蒸着させた。HTL層により開放電圧Voc(oc:open circuit)が改善され、かつより高い効率がもたらされた。
【0134】
測定:
キセノンランプを備えたSolar Light Co. Inc.社製AM1.5シミュレータ(モデル16S−150 V3)を用いた。415nm未満のUV領域をフィルターによりカットし、電流電圧測定を周囲条件下に行った。ソーラーシミュレータの強度を単結晶FZ太陽電池(Fraunhofer ISE)を用いてキャリブレーションし、偏差係数をほぼ1.0と決定した。
【0135】
太陽電池の結果:
【表1】

【0136】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分として、以下:
K1)電子ドナーないし電子アクセプターとしての、一般式
【化1】

【化2】

[式中、
Aは、2つ又は3つのsp3混成炭素原子からなる架橋を表し、ここで、各炭素原子は付加的にそれぞれ1つの置換基R101で置換されているか又はベンゾ縮合されていてよく、
B、Cはそれぞれ、2つ又は3つのsp2及び/又はsp3混成炭素原子からなる架橋を表し、ここで、該炭素原子は付加的にそれぞれ1つの置換基R101で置換されていてよく、
Wは、O、S、N−CN、N−R110、C(CN)2、C(CO21102、C(CN)COR110又はC(CN)CO2110、C(CN)CONR110を表し、
Lは、二価の、場合により1回以上縮合した炭素環又は複素環を表し、
nは、0又は1を表し、
100は、CH、N又はC(CN)を表し、
200は、C(R1112、O、S、SO2又はNR110を表し、
201は、CR111を表すか、又は、X201が架橋B又はCのsp2混成炭素原子と結合している場合にはsp2混成非置換炭素原子を表し、
100は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110、SR110、ヘタリール、ハロゲン、NO2又はCNを表し、
101は、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
110は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル又はアリールを表し、
111は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
ここで、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素鎖は、1つ又は2つの非隣接酸素原子により中断されていてよく、かつ、上記変数は、該変数が1回を上回って現れる場合には同じか又は相互に異なっていてよい]
の化合物群から選択された1つ以上の化合物、
及び、
K2)成分K1)に対して相応して電子アクセプターないし電子ドナーとして作用する、1つ以上の化合物
を含有する混合物の、有機太陽電池及び有機光検出器のための光活性層を製造するための使用。
【請求項2】
請求項1の式Ia、Ib、Ic、Id、IIa及びIIbにおいて、nが1である場合、Lが以下
【化3】

【化4】

【化5】

[ここで、
102は、アリールアルキル、アリール又はヘタリールを表し、
112は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110又はSR110を表し、
113は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、ヘタリール、NH−アリール、N(アリール)2、NHCO−R101又はN(CO−R1012を表し、
114は、H、アルキル、又は、部分フッ素化もしくは過フッ素化アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル又はC1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキルを表し、
115は、H、アルキル、部分フッ素化もしくは過フッ素化アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、NHCO−R101又はN(CO−R1012を表し、
116は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、CO2110又はCNを表し、
117は、H、アルキル、C1〜C6−アルキレン−COO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−アルキル、C1〜C6−アルキレン−O−CO−O−アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリール、OR110、SR110ハロゲン又はヘタリールを表し、
212は、H、CN、CONR110又はCOR101を表し、
202は、2つのH、O又はSであり、
ここで、*及び**は単位X100ないしWへの結合を表し、アルキル基及びシクロアルキル基の炭素鎖は、1つ又は2つの非隣接酸素原子により中断されていてよく、かつ、
残りの変数は請求項1と同じ意味を有し、かつ、上記の、及び請求項1で挙げられた変数は、該変数が1回を上回って現れる場合には同じか又は相互に異なっていてよい]
からなる群から選択された部分を表す、請求項1記載の使用。
【請求項3】
成分K2が、以下
a)フラーレン及びフラーレン誘導体、
b)多環式芳香族炭化水素及びその誘導体、特にナフタレン及びその誘導体、リレン、特にペリレン、テリレン及びクアテリレン及びその誘導体、アセン、特にアントラセン、テトラセン、特にルブレン、ペンタセン及びその誘導体、ピレン及びその誘導体、コロネン及びヘキサベンゾコロネン及びその誘導体、
c)キノン、キノンジメタン及びキノンジイミン及びその誘導体、
d)フタロシアニン及びサブフタロシアニン及びその誘導体、
e)ポルフィリン、テトラアザポルフィリン及びテトラベンゾポルフィリン及びその誘導体、
f)チオフェン、オリゴチオフェン、縮合チオフェン、例えばチエノチオフェン及びビチエノチオフェン及びその誘導体、
g)チアジアゾール及びその誘導体、
h)カルバゾール及びトリアリールアミン及びその誘導体、
i)インダントロン、ビオラントロン及びフラバントン及びその誘導体、
j)フルバレン、テトラチアフルバレン及びテトラセレナフルバレン及びその誘導体、及び
k)ジケトピロロピロール及びその誘導体
の群から選択された1つ以上の化合物である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
成分K2が1つ以上のフラーレン及び/又はフラーレン誘導体である、請求項1又は2記載の使用。
【請求項5】
成分K2が1つ以上のフラーレンである、請求項1又は2記載の使用。
【請求項6】
成分K2が式k2
【化6】

のC60フラーレンである、請求項1又は2記載の使用。
【請求項7】
成分K1が10〜90質量%、特に20〜80質量%の割合で、かつ成分K2が90〜10質量%、特に80〜20質量%の割合で存在しており、ここで、それぞれ成分K1及びK2の全質量に対する成分K1及びK2の割合は補い合って100質量%となる、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
光活性層の製造法において、請求項1又は2記載の成分K1の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物、及び、請求項3、4、5又は6記載の成分K2の1つ以上の化合物を、同時に、逐次的に、又は交互の順序で真空昇華により基板上に蒸着させることを特徴とする方法。
【請求項9】
成分K1及びK2が、該成分の蒸着後に請求項7記載の比で基板上に存在する、請求項9記載の方法。
【請求項10】
請求項1から6までのいずれか1項記載の混合物の使用下に製造されたか又は請求項8又は9記載の方法により得ることができる光活性層を含む、有機太陽電池及び有機光検出器。
【請求項11】
成分として、請求項1又は2記載の成分K1の一般式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、IIa及び/又はIIbの1つ以上の化合物と、請求項3、4、5又は6記載の成分K2の1つ以上の化合物とを含有する、混合物。
【請求項12】
成分K1が10〜90質量%、特に20〜80質量%の割合で、かつ成分K2が90〜10質量%、特に80〜20質量%の割合で存在しており、ここで、それぞれ成分K1及びK2の全質量に対する成分K1及びK2の割合は補い合って100質量%となる、請求項11記載の混合物。

【公表番号】特表2013−507780(P2013−507780A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533591(P2012−533591)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065152
【国際公開番号】WO2011/045253
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】