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有機導電膜形成用組成物及び有機導電膜
説明

有機導電膜形成用組成物及び有機導電膜

【課題】導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能な導電膜形成用組成物を提供する。
【解決手段】[A]共役系高分子、及び[B]式(1)で表される構造単位(I)を含む共重合体を含有する有機導電膜形成用組成物である。式(1)中、Rはメチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数4〜20の2価の脂環式基、フェニレン基又はナフチレン基である。Rは、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基又はこれらの基の塩である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機導電膜形成用組成物及び有機導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化インジウムスズ(ITO)導電性膜は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス素子等の電極用材料として広く使用されている。ITO導電性膜は、一般的に金属系材料を真空蒸着法やスパッタリング法等によって、基板上に製膜して形成される。
【0003】
近年、ITOの主成分であるインジウムは、希少金属であることから資源枯渇問題が深刻化している。一方、インジウムに代わる導電性材料として導電性ポリマーが知られている。この導電性ポリマーを含有する組成物としては、ポリアニオンをドープしたポリチオフェンが開発されている(特開2005−350622号公報及び特開2009−238394号公報参照)。かかる組成物は比較低安価であり、かつ蒸着法によらず塗布によって大面積の基板に有機導電膜を形成することができるため有利であるとされている。
【0004】
しかしながら、従来の導電性ポリマーは溶媒に分散し難く、導電性ポリマーを含有する組成物から形成される塗膜は均一性に乏しい。また、形成される有機導電膜の導電率、耐熱性及び耐光性は、十分に満足できるものではない。
【0005】
このような状況から、導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能な導電膜形成用組成物の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−350622号公報
【特許文献2】特開2009−238394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能な導電膜形成用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]共役系高分子、及び
[B]少なくとも下記式(1)で表される構造単位(I)を含む共重合体(以下、「[B]共重合体」とも称する)
を含有する有機導電膜形成用組成物である。
【化1】

(式(1)中、Rは、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数4〜20の2価の脂環式基、フェニレン基又はナフチレン基である。Rは、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基又はこれらの基の塩である。)
【0009】
当該有機導電膜形成用組成物が含有する[B]共重合体は、上記特定構造の構造単位(I)を有することから優れたドーパントとして機能し、導電性を有する高分子である[A]共役系高分子をドーピングし、[A]共役系高分子の導電性を飛躍的に向上させることができる。結果として、当該有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜は、優れた導電率、耐熱性及び耐光性を有し、表示素子、タッチパネル等に好適に用いることができる。
【0010】
[A]共役系高分子は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−アルキルピロール)、ポリ(3−アルキルチオフェン)又はポリ(3−アルコキシチオフェン、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)であることが好ましく、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることがより好ましい。これらの特定化合物は、共役系高分子としてさらに優れた導電性及び重合性を有することから、形成される有機導電膜は、導電率、耐熱性及び耐光性により優れる。
【0011】
[B]共重合体は、下記式(2)で表される構造単位(II)をさらに含む共重合体であることが好ましい。
【化2】

(式(2)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。nは、0〜4の整数である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。)
【0012】
[B]共重合体が構造単位(II)をさらに含むことで、さらに導電性に優れるドーパントとすることができ、形成される有機導電膜の導電率をより向上することができる。
【0013】
[B]共重合体における構造単位(I)の含有率は、10モル%以上であることが好ましい。構造単位(I)の含有率を上記特定範囲とすることで、形成される有機導電膜の導電率、耐熱性及び耐光性をより向上することができる。
【0014】
当該有機導電膜形成用組成物は、[C]メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒(以下、「[C]溶媒」とも称する)をさらに含有することが好ましい。当該有機導電膜形成用組成物が、上記特定の[C]溶媒をさらに含有することで、各成分の分散性及び溶解性、並びに塗布均一性をより向上することができる。また、形成される有機導電膜の導電率をより向上することができる。
【0015】
本発明には、当該有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜が好適に含まれる。当該有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜は、導電率、耐熱性及び耐光性に優れる。
【0016】
なお、本明細書における「共役系高分子」とは、炭素−炭素の二重結合と単結合とが交互に結合した構造を有する高分子である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明は導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能な導電膜形成用組成物を提供することができる。従って、当該有機導電膜形成用組成物は、表示素子、タッチパネル等に用いられる有機導電膜の形成材料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<有機導電膜形成用組成物>
本発明の有機導電膜形成用組成物は、[A]共役系高分子及び[B]共重合体を含有する。また、当該有機導電膜形成用組成物は、好適成分として[C]溶媒を含有してもよい。さらに、当該有機導電膜形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0019】
<[A]共役系高分子>
[A]共役系高分子は、上述のように炭素−炭素の二重結合と単結合とが交互に発達した構造を有する高分子であるが、本明細書の[A]共役系高分子は、π結合由来の共役系高分子である。
【0020】
[A]共役系高分子としては、例えば
ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン、ポリアズレン、ポリ(p−フェニレンサルファイド)、ポリイソチアナフテン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリ(N−アルキルピロール)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−アルコキシチオフェン)、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン);
ポリペリナフタレン等の複鎖型共役系高分子;
金属フタロシアニン系高分子;
ポリ(p−キシリレン)、ビポリ[α−(5,5’−ビチオフェンジイル)ベンジリデン]等のその他の共役系高分子が挙げられる。
【0021】
これらのうち[A]共役系高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−アルキルピロール)、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−アルコキシチオフェン、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)が好ましく、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)がより好ましい。これらの特定化合物は、共役系高分子としてさらに優れた導電性及び重合性を有することから、形成される有機導電膜は、導電率、耐熱性及び耐光性により優れる。
【0022】
<[A]共役系高分子の合成方法>
[A]共役系高分子の合成方法としては、公知の方法を適用することができるが、例えば上記特許文献1に記載されている方法が挙げられる。導電性を向上する観点から、後述する[B]共重合体の存在下、酸化重合法により[A]共役系高分子を与える化合物を重合することが好ましい。
【0023】
酸化重合法を行う際の酸化剤としては、公知の酸化剤を使用することができるが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、無機酸化第二鉄塩、有機酸化第二鉄塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、過ホウ酸アルカリ塩、酸化銀、酸化セシウム、過酸化水素、オゾン、過酸化ベンゾイル、酸素、上記金属塩の水和物等が挙げられる。
【0024】
酸化剤の使用量としては、[A]共役系高分子を与える化合物1モルに対して、0.1モル当量〜20モル当量が好ましく、1モル当量〜10モル当量がより好ましい。
【0025】
重合反応に用いられる溶媒としては水系溶媒であり、水が好ましい。また、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、プロピレングリコールメタノール等の水溶性の有機溶媒を水に添加して用いることもできる。このような水溶性の有機溶媒を添加することで、[A]共役系高分子の分子量を増大することができると共に、導電性を向上することができる。
【0026】
<[B]共重合体>
[B]共重合体は、少なくとも上記式(1)で表される構造単位(I)を含む共重合体である。また、[B]共重合体は、上記式(2)で表される構造単位(II)をさらに含む共重合体であることが好ましい。なお、[B]共重合体は、各構造単位を2種以上含んでいてもよい。以下、各構造単位を詳述する。
【0027】
[構造単位(I)]
上記式(1)中、Rはメチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数4〜20の2価の脂環式基、フェニレン基又はナフチレン基である。Rは、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基又はこれらの基の塩である。
【0028】
上記Rで表される炭素数2〜12のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。
【0029】
上記Rで表される炭素数4〜20の2価の脂環式基としては、例えばシクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等が挙げられる。
【0030】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えばN置換マレイミド化合物が挙げられる。N置換マレイミド化合物としては、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基を有する化合物が好ましい。具体例としては、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシブチル)マレイミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)マレイミド、N−エタン酸マレイミド、N−ペンタン酸マレイミド、N−ヘキサン酸マレイミド、N−オクタン酸マレイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(エタンスルホン酸)マレイミド、N−(ブタンスルホン酸)マレイミド、N−(ヘキサンスルホン酸)マレイミド、N−(オクタンスルホン酸)マレイミド、N−(エタンホスホン酸)マレイミド、N−(ブタンホスホン酸)マレイミド、N−(ヘキサンホスホン酸)マレイミド、N−(オクタンホスホン酸)マレイミド、N−(4−スルホフェニル)マレイミド等が挙げられる。
【0031】
[B]共重合体における構造単位(I)の含有率としては、全構造単位に対して、好ましくは10モル%〜100モル%、より好ましくは20モル%〜80モル%である。構造単位(I)の含有率を上記特定範囲とすることで、形成される有機導電膜の導電率、耐熱性及び耐光性をより向上することができる。
【0032】
[構造単位(II)]
[B]共重合体は、上記式(2)で表される構造単位(II)をさらに含む共重合体であることが好ましい。[B]共重合体が構造単位(II)をさらに含むことで、さらに導電性に優れるドーパントとすることができ、形成される有機導電膜の導電率をより向上することができる。
【0033】
上記式(2)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。nは、0〜4の整数である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
上記Rで表される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
【0035】
上記Rで表される炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0036】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−メチル−4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−エチル−4−ビニルベンゼンスルホン酸、2,3−ジメチル−4−ビニルベンゼンスルホン酸、2,3−ジエチル−4−ビニルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0037】
[B]共重合体における構造単位(II)の含有率としては、全構造単位に対して、好ましくは10モル%〜100モル%、より好ましくは20モル%〜80モル%である。構造単位(II)の含有率を上記特定範囲とすることで、形成される有機導電膜の導電率をより向上することができる。
【0038】
<[B]共重合体の合成方法>
[B]共重合体の合成方法としては、例えば各構造単位を与える単量体を溶媒中、ラジカル重合開始剤を使用して重合すること、又は各構造単位を与える単量体の塩を重合し、イオン交換樹脂を用いてイオン交換することにより合成することができる。
【0039】
上記単量体の塩としては金属との塩が好ましく、金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム、鉄、銅が好ましい。
【0040】
ラジカル重合開始剤としては、使用される単量体の種類に応じて適宜選択されるが、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0041】
これらのうち、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好ましい。ラジカル重合開始剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。ラジカル重合開始剤の使用量としては、単量体100質量%に対して、通常0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%である。
【0042】
重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エーテル類、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素類、ケトン類、他のエステル類等が挙げられる。
【0043】
[B]共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜300,000が好ましく、10,000〜200,000がより好ましい。[B]共重合体のMwを上記特定範囲とすることで、当該有機導電膜形成用組成物の硬度等を高めることができる。なお、本明細書における重合体のMwは下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリエチレングリコール換算重量平均分子量である。
【0044】
装置:Waters Corporation製GPCクロマトグラフWaters2695(東ソー製 TSKgel α−M 1本)
検出器:Waters2414
流量:1.0mL/分
溶出溶媒:0.1M NaCl水溶液/アセトニトリル=80/20(v/v)
カラム温度:40℃
【0045】
当該有機導電膜形成用組成物における[A]共役系高分子と[B]共重合体の含有量比としては、好ましくは、1:10〜1:1、より好ましくは1:6〜1:2([A]共役系高分子:[B]共重合体)(モル比)である。
【0046】
<その他の任意成分>
当該有機導電膜形成用組成物は、[A]共役系高分子、[B]共重合体及び後述する[C]溶媒に加え、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて[D]重合性不飽和化合物、[E]感放射線性重合開始剤等を含有できる。これらの各任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。以下、各任意成分を詳述する。
【0047】
<[D]重合性不飽和化合物>
[D]重合性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物であれば特に限定されないが、例えばω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート等の他、直鎖アルキレン基及び脂環式構造を有し、かつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し、かつ3個〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0048】
[D]重合性不飽和化合物の市販品としては、例えば
アロニックスM−400、同M−402、同M−405、同M−450、同M−1310、同M−1600、同M−1960、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同M−8100、同M−8530、同M−8560、同M−9050、アロニックスTO−1450、同TO−1382(以上、東亞合成社);
KAYARAD DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同MAX−3510(以上、日本化薬社);
ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業社);
ウレタンアクリレート系化合物として、ニューフロンティア R−1150(第一工業製薬社);
KAYARAD DPHA−40H、UX−5000(以上、日本化薬社);
UN−9000H(根上工業社);
アロニックスM−5300、同M−5600、同M−5700、M−210、同M−220、同M−240、同M−270、同M−6200、同M−305、同M−309、同M−310、同M−315(以上、東亞合成社);
KAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、同HX−620、同R−526、同R−167、同R−604、同R−684、同R−551、同R−712、UX−2201、UX−2301、UX−3204、UX−3301、UX−4101、UX−6101、UX−7101、UX−8101、UX−0937、MU−2100、MU−4001(以上、日本化薬社);
アートレジンUN−9000PEP、同UN−9200A、同UN−7600、同UN−333、同UN−1003、同UN−1255、同UN−6060PTM、同UN−6060P(以上、根上工業社);
SH−500Bビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業社)等が挙げられる。
【0049】
[D]重合性不飽和化合物としては、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する重合性不飽和化合物が好ましい。当該有機導電膜形成用組成物における[D]重合性不飽和化合物の含有量としては、[A]共役系高分子100質量部に対して、10質量部〜150質量部が好ましく、15質量部〜100質量部がより好ましい。[D]重合性不飽和化合物の含有割合を上記特定範囲とすることで、当該有機導電膜形成用組成物は十分な硬度を有する有機導電膜を形成することができる。
【0050】
<[E]感放射線性重合開始剤>
当該有機導電膜形成用組成物に含有される[E]感放射線性重合開始剤は、放射線に感応して[D]重合性不飽和化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような[E]感放射線性重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0051】
O−アシルオキシム化合物としては、例えばエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。これらのうち、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)又はエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0052】
アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
【0053】
α−アミノケトン化合物としては、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0054】
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0055】
これらのアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン又は2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンがより好ましい。
【0056】
ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール又は2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
【0057】
[E]感放射線性重合開始剤としては、市販品を使用してもよく、例えば2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02)、1−〔4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)〕(イルガキュアOXE01)、ビス(2,4,6トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア819)(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)等が挙げられる。
【0058】
当該有機導電膜形成用組成物における[E]感放射線性重合開始剤の含有量としては、[A]共役系高分子100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。[E]感放射線性重合開始剤の含有割合を上記特定範囲とすることで、当該有機導電膜形成用組成物は十分な硬度を有する有機導電膜を形成することができる。
【0059】
<有機導電膜形成用組成物の調製方法>
当該有機導電膜形成用組成物は、[A]共役系高分子及び[B]共重合体に加え、必要に応じてその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製される。当該有機導電膜形成用組成物は、好ましくは[C]溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。
【0060】
当該有機導電膜形成用組成物の調製に用いられる[C]溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し、各成分と反応しないものであれば特に限定されないが、各成分の分散性、溶解性、塗布均一性等の観点から、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒を含有することが好ましい。当該有機導電膜形成用組成物が、上記特定の[C]溶媒をさらに含有することで、各成分の分散性及び溶解性、並びに塗布均一性をより向上することができる。また、形成される有機導電膜の導電率をより向上することができる。
【0061】
<有機導電膜の形成方法>
本発明には、当該有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜が好適に含まれる。当該有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜は、導電率、耐熱性及び耐光性に優れる。
【0062】
本発明の有機導電膜の形成方法は、
(1)当該有機導電膜形成用組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する工程、及び
(2)上記塗膜を焼成する工程
を有する。以下、各工程を詳述する。
【0063】
[工程(1)]
本工程は、当該有機導電膜形成用組成物を基板に塗布し、塗膜を形成する工程である。基板としては、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板等が挙げられる。なお、上記基板は、予め紫外線表面改質装置等を用いて表面親水化処理を施しておいてもよい。
【0064】
当該有機導電膜形成用組成物の塗布方法としては、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリット塗布法(スリットダイ塗布法)、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法が採用できる。
【0065】
[工程(2)]
本工程は、上記工程(1)で形成された塗膜をオーブン等の適当な加熱装置により焼成し、有機導電膜を形成する工程である。焼成温度としては、50℃〜200℃が好ましい。焼成時間としては、30秒〜10分間が好ましい。
【実施例】
【0066】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例に本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0067】
<[B]共重合体を与える単量体の合成>
[合成例1]
還流冷却管及び温度計を備えた3つ口フラスコに、グリシン10g(和光純薬工業社、、133mmol)、無水マレイン酸13.06g(和光純薬工業社、133mmol)及び酢酸380mL(和光純薬工業社)を入れ、マグネティックスターラーを用いて、大気下、室温にて15時間攪拌した後、8時間加熱還流した。酢酸を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を分離し、再結晶することにより下記式で表されるN−エタン酸マレイミド(b−1)(11.5g、収率56%)を得た。化合物の同定はプロトン核磁気共鳴分光法により行った。
【0068】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)=8.70(1H,bs,CO)、6.79(2H,s,2×C),4.32(2H,s,CH
【0069】
【化3】

【0070】
[合成例2]
グリシンの代わりに5−アミノ吉草酸を用いた以外は合成例1と同様に操作して、下記式で表されるN−ペンタン酸マレイミド(b−2)を得た。
【0071】
【化4】

【0072】
[合成例3]
グリシンの代わりに4−アミノ安息香酸を用いた以外は合成例1と同様に操作して、下記式で表されるN−(4−カルボキシフェニル)マレイミド(b−3)を得た。
【0073】
【化5】

【0074】
[合成例4]
グリシンの代わりに2−アミノエタンスルホン酸を用いた以外は合成例1と同様に操作して、下記式で表されるN−(エタンスルホン酸)マレイミド(b−4)を得た。
【0075】
【化6】

【0076】
[合成例5]
グリシンの代わりに4−アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を用いた以外は合成例1と同様に操作して、下記式で表されるN−(4−スルホフェニル)マレイミドナトリウム塩(b−5)を得た。
【0077】
【化7】

【0078】
<[B]共重合体の合成>
[合成例6]
300mLのセパラブルフラスコに、スチレンスルホン酸ナトリウム20.3g(98.5mmol、東ソー有機化学社)、過硫酸アンモニウム1.4g(5.9mmol、和光純薬工業社)及び超純水161.4gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。75℃に達した後、構造単位(I)を与える化合物(b−1)6.6g(42.2mmol)を超純水80.7gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。その後75℃で5時間攪拌を続けた。これを陽イオン交換樹脂(オルガノ社、IR−120H)に通液することで構造単位(II)を生成し、共重合体(B−1)の溶液を得た。共重合体(B−1)のMwは、68,000、固形分濃度は8.5%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=30:70(モル%)であった。13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子製、JNM−ECX400)を使用した。
【0079】
[合成例7]
300mLのセパラブルフラスコ中に、スチレンスルホン酸ナトリウム15.4g(74.6mmol)、過硫酸アンモニウム0.54g(2.4mmol)及び超純水161.4gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。75℃に達した後、構造単位(I)を与える化合物(b−1)11.6g(74.6mmol)を超純水80.8gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。その後75℃で5時間攪拌を続けた。室温まで冷却し、共重合体(B−2)の溶液を得た。共重合体(B−2)のMwは107,000、固形分濃度は9.4%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=50:50(モル%)であった。
【0080】
[合成例8]
スチレンスルホン酸ナトリウム11.1g(53.6mmol)、過硫酸アンモニウム1.08g(4.8mmol)及び構造単位(I)を与える化合物(b−2)を15.9g(80.4mmol)用いた以外は合成例6と同様に操作して、共重合体(B−3)の溶液を得た。共重合体(B−3)のMwは、98,000、固形分濃度は8.1%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=60:40(モル%)であった。
【0081】
[合成例9]
スチレンスルホン酸ナトリウム23.8g(115.4mmol)、過硫酸アンモニウム1.35g(5.9mmol)及び構造単位(I)を与える化合物(b−3)を3.1g(12.8mmol)用いた以外は合成例6と同様に操作して、共重合体(B−4)の溶液を得た。共重合体(B−4)のMwは、145,000、固形分濃度は7.6%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=10:90(モル%)であった。
【0082】
[合成例10]
スチレンスルホン酸ナトリウム2.7g(13.1mmol)、過硫酸アンモニウム1.1g(4.8mmol)及び構造単位(I)を与える化合物(b−4)を24.2g(117.9mmol)用いた以外は合成例6と同様に操作して、共重合体(B−5)の溶液を得た。共重合体(B−5)のMwは、52,000、固形分濃度は8.1%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=90:10(モル%)であった。
【0083】
[合成例11]
スチレンスルホン酸ナトリウム9.0g(43.6mmol)、過硫酸アンモニウム0.26g(1.2mmol)及び構造単位(I)を与える化合物(b−5)を18.0g(65.4mmol)用いた以外は合成例6と同様に操作して、共重合体(B−6)の溶液を得た。共重合体(B−6)のMwは、181,000、固形分濃度は7.9%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=60:40(モル%)であった。
【0084】
[合成例12]
300mLのセパラブルフラスコに構造単位(I)を与える化合物(b−4)26.8g(130.8mmol)、過硫酸アンモニウム1.61g(7.1mmol)及び超純水241.6gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。その後75℃で5時間攪拌を続けた。これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(B−7)の溶液を得た。共重合体(B−7)のMwは、43,000、固形分濃度は6.9%であった。
【0085】
[合成例13]
300mLのセパラブルフラスコに、スチレンスルホン酸ナトリウム14.0g(67.8mmol)、メタリルスルホン酸ナトリウム2.38g(旭化成ファインケム社、15.1mmol)、過硫酸アンモニウム1.08g(4.8mmol)及び超純水161.4gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。75℃に達した後、構造単位(I)を与える化合物(b−1)10.5g(67.8mmol)を超純水80.7gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。その後75℃で5時間攪拌を続けた。これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(B−8)の溶液を得た。共重合体(B−8)のMwは、28,000、固形分濃度は9.2%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=45:55(モル%)であった。
【0086】
[合成例14]
300mLのセパラブルフラスコに、スチレンスルホン酸ナトリウム10.2g(49.5mmol)、過硫酸アンモニウム0.81g(3.5mmol)及び超純水161.4gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。75℃に達した後、構造単位(I)を与える化合物(b−1)10.5g(67.8mmol)及び化合物(b−5)26.8g(130.8mmol)を超純水80.7gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。その後75℃で5時間攪拌を続けた。これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(B−9)の溶液を得た。共重合体(B−9)のMwは、195,000、固形分濃度は8.6%であった。また、13C−NMR分析の結果、各構造単位の含有率は、構造単位(I):構造単位(II)=60:40(モル%)であった。
【0087】
[合成例15]
300mLのセパラブルフラスコに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸18.0g(86.6mmol)、過硫酸アンモニウム0.72g(3.1mmol)及び超純水251.3gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。その後75℃で5時間攪拌を続けた。これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(CB−1)の溶液を得た。共重合体(CB−1)のMwは、114,000、固形分濃度は6.7%であった。
【0088】
[合成例16]
300mLのセパラブルフラスコに、スチレンスルホン酸ナトリウム17.3g(82.6mmol)、N−シクロヘキシルマレイミド9.87g(55.1mmol)、アゾビスイソブチロニトリル1.08g(6.6mmol)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル242.3gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。その後75℃で5時間攪拌を続けた。溶媒を留去した後、固形分濃度が6質量%となるよう超純水に溶解させ、これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(CB−2)の溶液を得た。共重合体(CB−2)のMwは、69,000、固形分濃度は5.2%であった。
【0089】
[合成例17]
300mLのセパラブルフラスコに、メタクリロニトリル9.7g(144.2mmol)、N−シクロヘキシルマレイミド17.2g(96.1mmol)、アゾビスイソブチロニトリル1.08g(6.6mmol)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル242.0gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、攪拌しながら75℃に昇温した。その後75℃で5時間攪拌を続けた。溶媒を留去した後、固形分濃度6質量%となるよう超純水に溶解させ、これを陽イオン交換樹脂に通液し、共重合体(CB−3)の溶液を得た。共重合体(CB−3)のMwは、131,000、固形分濃度は4.9%であった。
【0090】
<有機導電膜形成用組成物の調製>
実施例及び比較例としての有機導電膜形成用組成物の調製に用いた各成分の詳細を下記に示す。
【0091】
<[A]共役系高分子を与える化合物>
a−1:3,4−エチレンジオキシチオフェン(アルドリッチ社)
a−2:3−ヘキシルチオフェン(東京化成工業社)
a−3:アニリン(和光純薬工業社)
a−4:ピロール(和光純薬工業社)
【0092】
<[B]共重合体に相当する成分>
CB−4:ポリスチレンスルホン酸(アルドリッチ社)
<[C]溶媒>
C−1:ジメチルスルホキシド
C−2:N,N−ジメチルホルムアミド
C−3:エチレングリコール
【0093】
[実施例1]
250mLのセパラブルフラスコに、[A]共役系高分子を与える化合物としての化合物(a−1)0.91g、[B]共重合体としての(B−1)水溶液(固形分濃度8.5%)57.3g及び超純水125.0gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、過硫酸ナトリウム(和光純薬工業社)3.4g及び硫酸第二鉄・n水和物(和光純薬工業社)0.91gを超純水62.5gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。室温で24時間撹拌を続けた後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社、IR−120H)及び陰イオン交換樹脂(オルガノ社、IRA−400OH)に通液することで無機塩成分を除去し、固形分濃度が1.2%となるよう超純水で希釈し、分散液を得た。この分散液全量に対して[C]溶媒としての(C−1)5質量%を添加し、有機導電膜形成用組成物を調製した。
【0094】
[実施例2〜13及び比較例1〜4]
表1に示す種類、量の各成分を含有したこと以外は実施例1と同様に操作して各有機導電膜形成用組成物を調製した。なお、表1には有機導電膜形成用組成物が、結果として含有する[A]共役系高分子と[B]共重合体の含有量のモル比を示す。
【0095】
[実施例14]
300mLのセパラブルフラスコ中に、[A]共役系高分子を与える化合物としての化合物(a−2)を1.10g、共重合体(B−2)の水溶液(固形分濃度9.4%)76.9g及び超純水125.0gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、過硫酸ナトリウム(和光純薬工業社)3.4g及び硫酸第二鉄・n水和物(和光純薬工業社)0.91gを超純水62.5gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。室温で24時間撹拌を続けた後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社、IR−120H)及び陰イオン交換樹脂(オルガノ社、IRA−400OH)に通液することで無機塩成分を除去し、固形分濃度1.2%となるよう超純水で希釈し、分散液を得た。分散液を得た。この分散液全量に対して[C]溶媒としての(C−1)5質量%を添加し、有機導電膜形成用組成物を調製した。
【0096】
[実施例15]
300mLのセパラブルフラスコ中に、0.5M塩酸40mLを入れ、[A]共役系高分子を与える化合物としての化合物(a−3)を0.59g徐々に滴下し、そのまま1時間撹拌した。ここに、共重合体(B−2)の水溶液(固形分濃度9.4%)49.1g、及び超純水99.5gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、過硫酸ナトリウム(和光純薬工業社)2.0g超純水62.5gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で徐々に加えた。室温で12時間撹拌を続けた後、上記陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂に通液することで無機塩成分を除去し、固形分濃度1.2%となるよう超純水で希釈し、分散液を得た。この分散液全量に対して[C]溶媒としての(C−1)5質量%を添加し、有機導電膜形成用組成物を調製した。
【0097】
[実施例16]
300mLのセパラブルフラスコ中に、[A]共役系高分子を与える化合物としての化合物(a−4)を0.54g、共重合体(B−2)の水溶液(固形分濃度9.4%)61.5g及び超純水128.0gを入れ、10分間窒素ガスでバブリングした後、−20℃に冷却し、1時間撹拌した。過硫酸ナトリウム(和光純薬工業社)3.8gを超純水40.5gに溶解させた溶液を、窒素雰囲気下で−20℃に保ちながら徐々に加えた。−20℃で12時間撹拌を続けた後、上記陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂に通液することで無機塩成分を除去し、固形分濃度1.2%となるよう超純水で希釈し、分散液を得た。この分散液全量に対して[C]溶媒としての(C−1)5質量%を添加し、有機導電膜形成用組成物を調製した。
【0098】
<評価>
調製した各有機導電膜形成用組成物を用いて、下記のように有機導電膜を形成し、以下の評価を実施した。結果を表1にあわせて示す。なお、表1中の「−」は、測定不能であったことを示す。
【0099】
<有機導電膜の形成>
厚み50μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(東洋紡績社、A4100)に紫外線表面改質装置(セン特殊光源社)を用いて表面親水化処理(照射量:0.5J/cm)を施した。次いで、このフィルムに各有機導電膜形成用組成物を滴下し、バーコーター(テスター産業社、WET膜厚22.9μm)を用いて塗り広げ、オーブンで焼成(100℃で3分間)することにより有機導電膜を形成した。
【0100】
[導電率(S/cm)]
4端子4探針法(JIS−K7194準拠)により、抵抗率計ロレスタMCP−T610(ダイヤインスツルメンツ社)を用いて各有機導電膜の電気伝導度(S/cm)を測定し、これを導電率とした。この値が大きいほど、導電率に優れると判断した。
【0101】
[耐熱性(%)]
各有機導電膜を100℃のオーブンに入れ、200時間後の導電率を測定した。オーブンに入れる前、即ち上記導電率(%)測定の結果と加熱後の導電率とから導電率の維持率を算出し、耐熱性(%)とした。この値が大きいほど、耐熱性に優れると判断した。
【0102】
[耐光性(%)]
各有機導電膜に、400nm以下の光をフィルターによりカットした超高圧水銀ランプ光(500W)を15cmの距離から照射し、50時間後の導電率を測定した。照射前、即ち上記導電率(%)測定の結果と照射後の導電率とから導電率の維持率を算出し、耐光性(%)とした。この値が大きいほど、耐光性に優れると判断した。
【0103】
【表1】

【0104】
表1の結果から当該有機導電膜形成用組成物は、導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能なことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は導電率、耐熱性及び耐光性に優れる有機導電膜を形成可能な導電膜形成用組成物を提供することができる。従って、当該有機導電膜形成用組成物は、表示素子、タッチパネル等に用いられる有機導電膜の形成材料として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]共役系高分子、及び
[B]少なくとも下記式(1)で表される構造単位(I)を含む共重合体
を含有する有機導電膜形成用組成物。
【化1】

(式(1)中、Rは、メチレン基、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数4〜20の2価の脂環式基、フェニレン基又はナフチレン基である。Rは、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基又はこれらの基の塩である。)
【請求項2】
[A]共役系高分子が、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−アルキルピロール)、ポリ(3−アルキルチオフェン)又はポリ(3−アルコキシチオフェン、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)である請求項1に記載の有機導電膜形成用組成物。
【請求項3】
[A]共役性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である請求項2に記載の有機導電膜形成用組成物。
【請求項4】
[B]共重合体が、下記式(2)で表される構造単位(II)をさらに含む共重合体である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の有機導電膜形成用組成物。
【化2】

(式(2)中、Rは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。nは、0〜4の整数である。但し、Rが複数の場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
[B]共重合体における構造単位(I)の含有率が、10モル%以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機導電膜形成用組成物。
【請求項6】
[C]メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の溶媒
をさらに含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機導電膜形成用組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機導電膜形成用組成物から形成される有機導電膜。

【公開番号】特開2013−36013(P2013−36013A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175784(P2011−175784)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】