説明

有機性廃水の処理装置及び処理方法

【課題】アンモニア性窒素を含有する生物処理水を逆浸透膜装置によって処理する水処理装置において、逆浸透膜のバイオファウリングを低コストで予防すること。
【解決手段】アンモニア性窒素を含有する生物処理水に次亜塩素酸ナトリウムのような塩素系薬剤を添加し、貯水槽内で3分間以上アンモニア性窒素と塩素系薬剤を反応させる。そして、生物処理水中に有効塩素濃度2ppm以上となるようにクロラミンを生成させ、クロラミンを含有する生物処理水を逆浸透膜装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水又は産業廃水のような有機性廃水を生物処理等した後、逆浸透膜(RO膜)装置を用いて膜処理する水処理装置及び水処理方法であって、RO膜のバイオファウリング(生物的劣化)を低コストで予防し得る水処理装置及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水又は産業廃水のような有機物を含有する廃水(有機性廃水)は、活性汚泥法のような生物処理によって、含有される有機物を分解することが一般的な処理方法となっている。従来の活性汚泥法では、生物処理後の処理水は、固液分離手段として最終沈殿地において沈殿処理されることが一般的であったが、近年では、固液分離手段として膜分離装置を使用する方法も普及している。
【0003】
RO膜装置は、被処理水を脱塩することが可能であり、高品質の処理水を得ることが可能である。このため、膜分離装置としてRO膜装置を使用した場合、その処理水は飲料水、産業用水又は農業用水として利用されることが可能である。
【0004】
RO膜装置によって生物処理後の前処理水を処理する場合、処理水に含有される有機成分又は無機成分がRO膜を詰まらせるファウリングが問題となる。特に、生物処理後の処理水に含有される有機成分又は無機成分を栄養源とする微生物が増殖した場合には、RO膜表面に微生物又はその分泌物によって、バイオフィルムと呼ばれる構造体が形成される。このバイオフィルムは、RO膜表面に強固に付着しており、化学物質に対して耐性を持つため、完全な除去は困難とされる。
【0005】
RO膜装置のRO膜にバイオフィルムが形成されるバイオファウリングが発生した場合、膜差圧が上昇して送水ポンプの負担が増大し、RO膜の透過速度が減少する。このため、RO膜の薬液洗浄が必要となる。
【0006】
しかし、高濃度の次亜塩素酸ナトリウムは、RO膜の材質、特に、高性能RO膜として使用されるポリアミド系高分子RO膜は、次亜塩素酸ナトリウムによる劣化が生じやすいという問題があった。
【0007】
常時殺菌可能な殺菌剤として、被処理水にクロラミンのような有機結合塩素化合物を添加する技術も提案されている。例えば、特許文献1は、クロラミンによる微生物増殖抑制効果を利用して、RO膜装置の運転中にバイオファウリングを防止するために、前処理を経た前処理水を貯水槽に貯水する前のいずれかの流路にクロラミンを添加する水処理方法及び水処理方法を開示している。
【0008】
特許文献2は、膜分離装置の透過水中のアンモニア性窒素濃度を測定し、その濃度を指標として次亜塩素酸ナトリウム水溶液の希釈倍率を調整した上で、膜分離装置の膜を逆洗浄する洗浄方法及び洗浄装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−29963号公報
【特許文献2】特開2007−275870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示される発明では、外部からクロラミンを殺菌成分として添加するが、薬品メーカーによって市販されているクロラミンを主成分とするバイオファウリング防止剤は比較的高価な薬剤である。また、クロラミンは光によって分解し易いという性質もある。さらに、特許文献2に開示される発明は、逆洗浄に関する発明であり、RO膜装置の運転中にバイオファウリングを予防することはできない。
【0011】
本発明は、RO膜装置の運転中に、低コストでRO膜のバイオファウリングを予防し得る水処理装置及び水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
有機性廃水を前処理した後の前処理水にはアンモニア性窒素が残存している。本発明者等は、この前処理水に塩素系化合物を添加すれば、クロラミンを水処理装置内で生成させることが可能となり、逆浸透膜のバイオファウリング予防を、低コストで連続して行うことが可能であることを見出した。また、本発明者等は、前処理水中のアンモニア濃度が高い場合には、無機塩素系薬剤のみを被処理水に添加してクロラミンを生成させ、前処理水中のアンモニア濃度が低い場合には、さらにアンモニア系薬剤も添加すれば、使用する薬剤量を必要最低限に抑制しつつ、逆浸透膜のバイオファウリングの予防が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
具体的に、本発明の有機性廃水の処理装置は、
有機性廃水を処理する前処理装置と、
前記前処理装置によって処理された前処理水を貯水する貯水槽と、
前記貯水槽へと無機塩素系薬剤を供給する塩素供給装置と、
前記貯水槽へとアンモニア系薬剤を供給するアンモニア供給装置と、
前記貯水槽から供給される前処理水を膜分離する逆浸透膜装置とを備え、
前記貯水槽内の前処理水に無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤を供給することにより所定濃度でクロラミン類を生成させ、
前記クロラミン類を含む前処理水を前記逆浸透膜装置に供給することにより逆浸透膜のバイオファウリングを防止することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の有機性廃水の処理方法は、
有機性廃水を前処理する前処理工程と、
前処理された前処理水を貯水槽に貯水する貯水工程と、
前記貯水槽へと無機塩素系薬剤を供給する塩素供給工程と、
前記貯水槽へとアンモニア系薬剤を供給するアンモニア供給工程と、
前記塩素供給工程及び/又は前記アンモニア供給工程を実行して3分間以上経過させ、貯水された前処理水中に所定濃度でクロラミン類を生成させるクロラミン生成工程と、
前記クロラミン類を含む前処理水を逆浸透膜装置に供給して膜分離することにより逆浸透膜のバイオファウリングを予防するバイオファウリング防止工程と、
を有することを特徴とする。
【0015】
クロラミンと比較すると、次亜塩素酸ナトリウムのような無機塩素系薬剤、又は硫酸アンモニウムのようなアンモニウム塩は安価である。本発明では、前処理水に対して外部からクロラミンを添加するのではなく、前処理水に含有されているアンモニア性窒素と、前処理水に添加する無機塩素系薬剤とを反応させることによって、前処理水中にクロラミンを生成させるため、クロラミンの分解が問題とならず、しかも薬剤のコストが低い。
【0016】
アンモニア性窒素を含有する前処理水に無機塩素系薬剤を添加しても、すぐにはクロラミンが生成しないため、逆浸透膜装置に供給する直前に、前処理水に無機塩素系を添加しても、逆浸透膜のバイオファウリングを有効に予防することは困難である。しかし、本発明では、貯水槽に前処理水を貯水し、無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤を供給してから3分間以上経過させるため、前処理水中にクロラミン類を有効濃度で生成させることが可能である。このクロラミン類を含む前処理水を逆浸透膜装置に供給することで、逆浸透膜のバイオファウリングを有効に予防することが可能となる。
【0017】
本発明では、逆浸透膜装置に供給される前処理水中のクロラミン濃度を、有効塩素濃度として2ppm以上、より好ましくは5ppm以上とすることにより、微生物の増殖を抑制し、逆浸透膜のバイオファウリングを有効に予防し得る。
【0018】
本発明の有機性廃水の処理装置は、
前記貯水槽へと供給される前処理水の流量を測定する流量計と、
前記前処理水のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定装置と、
前記流量計及び前記アンモニア性窒素濃度測定装置の測定結果に基づいて、前記貯水槽への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御する制御装置とをさらに備えることが好ましい。
【0019】
同様に、本発明の有機性廃水の処理方法は、
前記貯水槽へと供給される前処理水の流量と、前記貯水槽へと供給される前処理水のアンモニア濃度とを測定する測定工程と、
前記測定工程によって測定された前処理水の流量及びアンモニア性窒素濃度に基づいて、前記貯水槽への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御する供給量制御工程とをさらに備えることが好ましい。
【0020】
前処理水中のアンモニア性窒素濃度が高い場合には、理論量の無機塩素系薬剤を添加すれば、前処理水中のクロラミン濃度を一定濃度以上に維持することが可能である。しかし、前処理水中のアンモニア性窒素濃度が低い場合には、無機塩素系薬剤の添加量を増やしても、貯水槽内の前処理水中のクロラミン濃度を一定濃度以上に維持することはできない。そこで、貯水槽へ供給される前処理水の流量及びアンモニア性窒素濃度を測定し、アンモニア性窒素濃度が低い場合には、アンモニア系薬剤を貯水槽に前処理水の流量に応じて添加し、貯水槽内の前処理水中のクロラミン濃度を一定濃度以上とすることが好ましい。
【0021】
本発明の有機性廃水の処理装置は、
前記逆浸透膜装置の濃縮水を前記前処理装置へと返送する返送経路をさらに備えることが好ましい。
【0022】
同様に、本発明の有機性廃水の処理方法は、
前記逆浸透膜装置の濃縮水を、前記前処理工程を行う前処理装置へと返送する回収工程をさらに有することが好ましい。
【0023】
逆浸透膜装置に供給されたクロラミンを含有する前処理水は、透過水と濃縮水とに分けられる。透過水は、飲料水、産業用水又は農業用水として利用されるが、濃縮水は、前処理装置へと返送される。
【0024】
本発明の処理装置及び処理方法において、
前記無機塩素系薬剤は、次亜塩素酸ナトリウムであることが好ましく、前記アンモニア系薬剤が硫酸アンモニウムであることが好ましい。
【0025】
これら薬剤は、クロラミンと比較して価格が安く、しかも入手が容易だからである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の処理装置及び処理方法によれば、逆浸透膜装置に供給される前処理水に含有されているアンモニアを利用してクロラミンを生成させるため、逆浸透膜装置のバイオファウリング予防のためのコストを低く抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の水処理装置の一例を説明する概略構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
【0029】
図1は、本発明の水処理装置の一例を説明する概略構成図を示す。生活廃水等の汚水(有機性廃水)は、経路1を経て生物処理装置2(前処理装置)へと供給され、前処理される。生物処理装置2の具体例は、活性汚泥槽、又は砂ろ過槽である。生物処理装置2によって、汚水中に含有される有機物が微生物によって好気的に分解される。生物処理装置2が活性汚泥槽の場合、余剰汚泥は、経路16から適宜外部へと排出される。
【0030】
生物処理装置2によって前処理された前処理水は、経路3を経て貯水槽7へと供給され、貯水される。経路3には、流量計4及びアンモニア性窒素濃度計5(アンモニア性窒素濃度測定装置)が設けられており、流量計4及びアンモニア性窒素濃度計5は、制御装置6と電気的に接続されている。制御装置6は、無機塩素系薬剤タンク8のポンプP1と電気的に接続されており、ポンプP1及びポンプP2のオン/オフ、又は出力を制御する。
【0031】
無機塩素系薬剤タンク8には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液のような無機塩素系薬剤が貯留されている。無機塩素系薬剤タンク8内の無機塩素系薬剤は、ポンプP1によって、経路10から貯水槽7へと注入される。塩素供給装置17は、無機塩素系薬剤が貯留される無機塩素系薬剤タンク8と、この無機塩素系薬剤を貯水槽7へと供給するポンプP1を有する。アンモニア系薬剤タンク9には、硫酸アンモニウム水溶液のようなアンモニア系薬剤が貯留されている。アンモニア系薬剤タンク9内のアンモニア系薬剤は、ポンプP2によって、経路11から貯水槽7へと注入される。アンモニア供給装置18は、アンモニア系薬剤が貯留されるアンモニア系薬剤タンク9と、このアンモニア系薬剤を貯水槽7へと供給するポンプP2を有する。
【0032】
貯水槽7内の前処理水にアンモニア性窒素が含有されていると、無機塩素系薬剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液を貯水槽7に添加した場合、下記化学式に示される反応によってクロラミンが生成する。この反応は、瞬時には完了しないため、本発明では、無機塩素系薬剤を貯水槽7へ注入し、3分間以上経過した後、貯水槽7内の前処理水を、経路12を経てRO膜装置13(逆浸透膜装置)へと供給する。このとき、貯水槽7内の前処理水を攪拌することが好ましい。経路12には、ポンプP3が設けられており、経路12内の前処理水を、RO膜装置13の運転条件に適合する水圧に昇圧して、RO膜装置13に供給する。
【0033】
【化1】

【0034】
上記化学式では、理論上、アンモニア1molと次亜塩素酸ナトリウム1molからクロラミン類1molが生成する。しかし、実用上は、次亜塩素酸ナトリウムが前処理水中に残存しないように、アンモニアのモル数を次亜塩素酸ナトリウムのモル数の2倍以上とすることが好ましい。
【0035】
RO膜装置13のRO膜のバイオファウリングを効果的に予防するためには、経路12を経て供給される前処理水中のクロラミン濃度を、有効塩素濃度として2ppm以上、より好ましくは5ppm以上とする。経路3を流れる前処理水中のアンモニア濃度が2ppm以上であれば、流量計4及びアンモニア性窒素濃度計5の測定値に基づいて、貯水槽7内の前処理水中の有効塩素濃度が2ppmとなるように、経路10から貯水槽7へと供給する無機塩素系薬剤量を、制御装置7がポンプP1のオン/オフ、又は出力を調整することによって制御する。
【0036】
RO膜装置13の透過水は、経路14から外部へと供給され、飲料水、工業用水又は農業用水として利用される。透過水の水質に応じて、さらなる高度処理を行うことも可能である。
【0037】
一方、RO膜装置13の濃縮水は、返送経路15を経て生物処理装置2へ返送される。
【0038】
返送される濃縮水には、無機塩類も含有されているため、水処理装置の運転を継続すると、生物処理装置2内の無機塩類濃度が上昇するが、余剰汚泥を経路16から外部に排出する際に、無機塩類も一緒に排出することが可能である。
【0039】
ここで、経路3を流れる生物処理水中のアンモニア性窒素濃度が2ppm未満であれば、貯水槽7へ無機塩素系薬剤タンク8から塩素系薬剤を供給しても、貯水槽内の前処理水のクロラミンを有塩素濃度2ppm以上とすることはできない。このような場合、流量計4及びアンモニア性窒素濃度計5の測定値に基づいて、貯水槽7内の前処理水中のアンモニア性窒素濃度が2ppm以上となるように、経路11から貯水槽7へと供給するアンモニア系薬剤量を、制御装置7がポンプP2のオン/オフ、又は出力を調整することによって制御する。
【0040】
同時に、貯水槽7内の前処理水中の有効塩素濃度が2ppm以上となるように、経路10から貯水槽7へと供給する無機塩素系薬剤量を、制御装置7がポンプP1のオン/オフ、又は出力を調整することによって制御する。
【0041】
なお、図1においては、ポンプP1及びポンプP2のオン/オフ、又は出力を制御することにより、貯水槽7への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御する場合について説明したが、経路10及び経路11にバルブを設け、バルブの開閉を制御することによって、貯水槽7への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御してもよい。
【0042】
(具体例)
RO膜装置に供給される生物処理水中の有効塩素濃度が2ppmとするとき、前処理水中のクロラミン類のモル濃度は、2/35.5×10-3=5.63×10-5 mol/Lとなる。この場合、生物処理水1m3当たりのクロラミン量は、5.63×10-2 molとなる。
【0043】
無機塩素系薬剤として次亜塩素酸ナトリウム、アンモニア系薬剤として硫酸アンモニウムを使用する場合、RO膜装置に供給される前処理水1m3当たりに使用される次亜塩素酸ナトリウムは5.63×10-2×(23+35.5+16)=4.20gとなり、硫酸アンモニウムは5.63×10-2×((14+1×4)×2+32+16×4)=7.44gとなる。1日の処理水量が1万tのRO処理設備における使用量は、次亜塩素酸ナトリウム42.0kg、硫酸アンモニウム74.4kgとなる。市場価格を12%次亜塩素酸ナトリウム28円/kg、硫酸アンモニウム30円/gとすると、1日当たりの薬剤コストは、(42.0/0.12×28)+(74.4×30)=12024円と算出される。なお、前処理水中のアンモニア濃度が1.5ppm以上であれば、硫酸アンモニウムの添加は不要である。
【0044】
一方、本発明では、前処理水に含有されるアンモニア(アンモニウム塩)を利用するため、RO膜装置に供給する生物処理水中のアンモニア濃度が3mg/Lとすれば、アンモニアのモル濃度は、3/1000/14=2.14×10-4mol/Lとなり、有効塩素濃度2ppmとするためのクロラミン類の必要濃度である5.63×10-2 mol/L以上の濃度であるため、硫酸アンモニウムの添加は不要となる。従って、この場合、1日の処理水量が1万tの処理設備における薬剤コストは、次亜塩素酸ナトリウムのコスト42.0/0.12×28=9800円のみと算出される。
【0045】
また、バイオファウリング防止剤として市販されているクロラミン製剤は、RO膜装置へ供給される前処理水の水質に応じて10〜20ppmの濃度で添加される。中間値である15ppm添加する場合、前処理水1m3当たりに使用されるクロラミン製剤は、15/1000×1000=15gとなる。1日の処理水量が1万tのRO処理設備における使用量は、150kgとなり、市販価格を300円/kgとすると、1日当たりの薬剤コストは、150×300=45000円となる。
【0046】
このように、本発明では、クロラミン製剤を外部から添加する場合と比較して、RO膜装置へ供給される前処理水中の有効塩素濃度を同じ2ppmとする場合に、薬剤コストを1/4以下に削減することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の有機性廃水の処理装置及び処理方法は、有機物を含有する廃水処理分野に置いて有用である。
【符号の説明】
【0048】
1,3,10,11,12,14:経路
2:生物処理装置(前処理装置)
4:流量計
5:アンモニア性窒素濃度計(アンモニア性窒素濃度測定装置)
6:制御装置
7:貯水槽
8:無機塩素系薬剤タンク
9:アンモニア系薬剤タンク
13:RO膜装置(逆浸透膜装置)
15:返送経路
17:塩素供給装置
18:アンモニア供給装置
P1,P2,P3:ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃水の処理装置であって、
有機性廃水を処理する前処理装置と、
前記前処理装置によって処理された前処理水を貯水する貯水槽と、
前記貯水槽へと無機塩素系薬剤を供給する塩素供給装置と、
前記貯水槽へとアンモニア系薬剤を供給するアンモニア供給装置と、
前記貯水槽から供給される前処理水を膜分離する逆浸透膜装置とを備え、
前記貯水槽内の前処理水に無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤を供給することにより所定濃度でクロラミン類を生成させ、
前記クロラミン類を含む前処理水を前記逆浸透膜装置に供給することにより逆浸透膜のバイオファウリングを防止することを特徴とする有機性廃水の処理装置。
【請求項2】
前記貯水槽へと供給される前処理水の流量を測定する流量計と、
前記前処理水のアンモニア性窒素濃度を測定するアンモニア性窒素濃度測定装置と、
前記流量計及び前記アンモニア性窒素濃度測定装置の測定結果に基づいて、前記貯水槽への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御する制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の有機性廃水の処理装置。
【請求項3】
前記逆浸透膜装置の濃縮水を前記前処理装置へと返送する返送経路をさらに備える、請求項1又は2に記載の有機性廃水の処理装置。
【請求項4】
前記無機塩素系薬剤が次亜塩素酸ナトリウムであり、前記アンモニア系薬剤が硫酸アンモニウムである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機性廃水の処理装置。
【請求項5】
有機性廃水の処理方法であって、
有機性廃水を前処理する前処理工程と、
前処理された前処理水を貯水槽に貯水する貯水工程と、
前記貯水槽へと無機塩素系薬剤を供給する塩素供給工程と、
前記貯水槽へとアンモニア系薬剤を供給するアンモニア供給工程と、
前記塩素供給工程及び/又は前記アンモニア供給工程を実行して3分間以上経過させ、貯水された前処理水中に所定濃度でクロラミン類を生成させるクロラミン生成工程と、
前記クロラミン類を含む前処理水を逆浸透膜装置に供給して膜分離することにより逆浸透膜のバイオファウリングを予防するバイオファウリング防止工程と、
を有することを特徴とする有機性廃水の処理方法。
【請求項6】
前記貯水槽へと供給される前処理水の流量と、前記貯水槽へと供給される前処理水のアンモニア濃度とを測定する測定工程と、
前記測定工程によって測定された前処理水の流量及びアンモニア性窒素濃度に基づいて、前記貯水槽への無機塩素系薬剤及び/又はアンモニア系薬剤の供給量を制御する供給量制御工程と、
をさらに備える、請求項5に記載の有機性廃水の処理方法。
【請求項7】
前記逆浸透膜装置の濃縮水を、前記前処理工程を行う前処理装置へと返送する回収工程をさらに有する、請求項5又は6に記載の有機性廃水の処理方法。
【請求項8】
前記無機塩素系薬剤が次亜塩素酸ナトリウムであり、前記アンモニア系薬剤が硫酸アンモニウムである、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の有機性廃水の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−78712(P2013−78712A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219127(P2011−219127)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】