説明

有機排水処理における曝気槽の酸化分解方法

【課題】有機排水の処理効率を向上可能な有機排水処理方法を提供する。
【解決手段】被処理水として有機排水を曝気槽11に導入し、発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に光触媒を担持させた光触媒担持体13を被処理水24中で流動させながら有機排水24に曝気処理を行うこと、及び、曝気槽11の側面及び/又は底面に形成された光入射口から光ダクト12を用いて曝気槽11の内部に光を照射することを含む。曝気処理は、曝気槽11の底面に配置された散気管14を通じて行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機排水処理における曝気槽の酸化分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭排水、家畜排水、工場排水、下水等の有機物を含む排水(以下、「有機排水」を処理する方法として様々な方法が提案されている。例えば、生物学的硝化槽内に微生物の付着機能を有し、粒径が0.1〜1000μmの生物固定化微粒子担体を混入し、硝化処理の処理効率を向上する方法(例えば、特許文献1)や、多孔質担体に光触媒を固定した光触媒担持体を用いて水に含まれる有害物を分解する方法(例えば、特許文献2)等が提案されている。
【特許文献1】特開2005−230783号公報
【特許文献2】特開2008−43833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法では処理効率が十分とはいえず、さらなる処理効率の向上が求められている。そこで、本発明は、有機排水の処理効率を向上可能な有機排水処理方法及び有機排水処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の有機排水処理方法は、被処理水として有機排水を曝気槽に導入し、被処理水中で光触媒担持体を流動させながら曝気処理を行うこと、及び、前記曝気槽の側面及び/又は底面に形成された光入射口から光ダクトを用いて曝気槽の内部に光を照射することを含み、前記光触媒担持体は、発泡体樹脂組成物と前記発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に担持された光触媒とを含む光触媒担持体である、有機排水処理方法である。
【0005】
また、本発明の有機排水処理装置は、本発明の有機排水処理方法を行うための有機排水処理装置であって、側面及び/又は底面に光入射口を有する曝気槽と、光ダクトとを備え、前記光ダクトは、前記曝気槽の光入射口から曝気槽の内部に光を照射可能なように配置されている、有機排水処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有機排水の処理効率を向上可能な有機排水処理方法及び有機排水処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[有機排水処理方法]
本発明の有機排水処理方法は、被処理水として有機排水を曝気槽に導入し、被処理水中で、発泡体樹脂組成物と前記発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に担持された光触媒とを含む光触媒担持体を流動させながら曝気処理を行うこと、及び、前記曝気槽の側面及び/又は底面に形成された光入射口から光ダクトを用いて曝気槽の内部に光を照射することを含む。本発明の有機排水処理方法によれば、曝気槽の側面及び/又は底面から光を照射可能であるため、好ましくは、光触媒担持体表面の光触媒と被処理水中との有機物との反応効率を向上させることができ、より好ましくは、有機排水の浄化効率を向上させることができ、さらに好ましくは、有機排水の脱色や、生物化学的酸素要求量(BOD)及び/又は化学的酸素要求量(COD)等を低減することができる。
【0008】
また、本発明の有機排水処理方法によれば、光触媒担持体を曝気槽内の被処理水中で流動させながら曝気処理を行うため、好ましくは、光触媒担持体と被処理水とを均一に接触させることができ、より好ましくは、被処理水中の有機物と光触媒との接触面を向上させることができる。このため、本発明の有機排水処理方法によれば、好ましくは、光触媒と被処理水中との有機物との反応効率を向上させることができ、より好ましくは、有機排水の浄化効率を向上させることができる。さらに、本発明の有機排水処理方法によれば、曝気槽において、曝気処理と光触媒処理との双方を行うことができるため、好ましくは、曝気槽内における余剰汚泥の発生を抑制することができる。本発明の有機排水処理方法は、後述する本発明の有機排水処理装置を使用して行うことができる。
【0009】
本発明において「被処理水」とは、曝気槽における曝気処理及び光触媒処理の処理対象となる液体のことをいい、例えば、有機排水のみならず、有機排水を生物処理したもの、生物処理後に発生した汚泥を含む有機排水等を含む。有機排水としては、例えば、し尿、生活雑排水、都市下水、農業集落排水、畜産排水、食品加工工場等の工場排水、大型水槽、緩衝池、プール、風呂、スーパー銭湯及び温泉等の循環水(湯)等が挙げられる。中でも、本発明の有機排水処理方法は、食品加工工場等の工場排水、プール、風呂、スーパー銭湯及び温泉等の循環水(湯)等の有機排水や、生物処理されたこれらの有機排水の処理に適している。
【0010】
本発明において「曝気処理」とは、被処理水中に空気(酸素)を注入することをいい、好適には微生物、とりわけ好気性微生物を活性化させ、好気性微生物により被処理水中の有機物の酸化、分解及び吸着等を行うこと、より好適には被処理水の有機物の濃度、生物化学的酸素要求量(BOD)及び/又は化学的酸素要求量(COD)等を低減させることをいう。なお、一般的には、曝気処理は、曝気槽に配置された散気管や散気板等の散気手段を通じて被処理水に空気(酸素)を供給することにより行われる。
【0011】
本発明において「光触媒担持体の流動」とは、光触媒担持体が被処理水中で動き回ることができることをいい、好適には、曝気処理により供給される空気(酸素)により曝気槽の底面から浮遊した状態で有機排水中を動くことができることをいう。
【0012】
[光触媒担持体]
本発明において光触媒担持体は、発泡体樹脂組成物と前記発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に担持された光触媒とを含む。光触媒担持体は、曝気槽の有機排水中で流動可能であれば良く、曝気処理により供給される空気(酸素)により曝気槽の底面から浮遊した状態で有機排水中を動くことができることが好ましく、有機排水の水面から浮上することなく有機排水中で動くことができることがより好ましい。発泡体樹脂組成物は、吸水性及び適度な浮遊性の点から、連続気泡構造の発泡体樹脂組成物であることが好ましく、連続気泡スポンジが好ましい。本発明において、連続気泡構造の発泡体樹脂組成物とは、組成物の内部に気泡が存在し、かつ、それらの気泡同士がつながっている構造を有する樹脂組成物をいい、独立気泡が混在していても良い。好適には、気泡同士の壁の小さな孔によって樹脂組成物の外部と内部とがつながっている気泡を含む樹脂組成物であり、より好適には、液体の吸収及び空気の通過が可能な発泡体樹脂組成物である。発泡体樹脂組成物は、吸水率が5%以上であることが好ましい。発泡体樹脂組成物としては、例えば、台所用スポンジ等が使用できる。
【0013】
発泡体樹脂組成物の材質としては、例えば、ポリウレタン、尿素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、シリコンポリマー等が挙げられる。光触媒担持体の形状としては、球、直方体等が挙げられ、有機排水との接触面の点から、球状であることが好ましい、光触媒担持体の大きさは、球状である場合、有機排水との接触面及び流動性の点から、平均粒径が1.5〜15cmであることが好ましく、光触媒担持体の回収の点から5〜10cmがより好ましい。光触媒担持体が直方体である場合、一辺が1.5〜15cmであることが好ましく、5〜10cmがより好ましい。気泡の大きさは、特に制限されないが、例えば、0.1〜1.0mmであり、微生物による目詰まり防止の点から0.3〜0.8mmが好ましい。
【0014】
光触媒としては、例えば、酸化チタン等が挙げられる。酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナタース型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタン等が挙げられ、中でも、触媒反応効率の点からアナタース型酸化チタンが好ましい。光触媒は、例えば、光触媒材料を、練りこみ、吹き付け、溶射、塗布等することによって発泡体樹脂組成物に担持させることができる。
【0015】
光触媒担持体は、有機排水中の有機物と微生物とを均一に接触させ、微生物処理の処理効率を向上させる点から、微生物を担持可能であることが好ましい。また、光触媒担持体を曝気槽内で流動させると、微生物が光触媒担持体の気泡の内部で繁殖できることから、光触媒担持体に、予め微生物を担持させていても良いし、担持させていなくても良い。
【0016】
本発明の有機排水処理方法は、光触媒担持体の一部を処理水とともに曝気槽から排出することをさらに含むことが好ましい。処理水及び光触媒担持体の排出は、例えば、被処理水を曝気槽に導入することによるオーバーフローや、ポンプによる吸引等によって行うことができ、光触媒担持体の回収とともに処理水を回収しても良い。光触媒担持体の回収は、定期的に行っても良いし、有機排水の処理速度の応じて適宜行っても良い。また、光触媒担持体の回収は、被処理水の回収と同時に行っても良い。本発明において処理水とは、曝気槽において曝気処理された被処理水のこという。
【0017】
本発明の有機排水処理方法は、排出された処理水と光触媒担持体とを分離すること、及び、分離した光触媒担持体を曝気槽に導入することをさらに含むことが好ましい。また、処理効率の向上の点から、光触媒担持体から付着物を取り除くことをさらに含み、取り除いた光触媒担持体を曝気槽に導入することがさらに好ましい。処理水と光触媒担持体との分離及び付着物の除去は、例えば、ハイドロサイクロン(液体サイクロン)で行うことができる。ハイドロサイクロンを用いることで、例えば、処理水と光触媒担持体との分離と、光触媒担持体からの付着物の除去とを同時に行うことができる。前記付着物としては、例えば、微生物、その死骸及び活性汚泥等が挙げられる。付着物を取り除いた光触媒担持体の曝気槽への導入は、例えば、ブロア等により行うことができる。
【0018】
本発明の有機排水処理方法は、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0019】
まず、被処理水として有機排水を曝気槽に導入する。そして、曝気槽内において、被処理水中で光触媒担持体を流動させながら曝気処理を行い、かつ、曝気槽の側面及び/又は壁面に形成された光入射口から光ダクトを用いて曝気槽の内部に光を照射する。これにより、曝気槽内において、有機排水の曝気処理と光触媒処理とを行うことができ、例えば、曝気槽上面からの光照射のみでは光が十分に照射されなかった光触媒担持体においても、光触媒担持体の流動及び光ダクトを用いた光の照射によって光触媒処理を行うことができる。また、光ダクトを用いることによって、例えば、太陽光を光源とする光を曝気槽の底面及び/又は側面から曝気槽内に照射することができる。
【0020】
本発明において光触媒処理とは、光触媒を活性化できる光の照射下で、光触媒担持体に有機排水を接触させることをいう。上記光照射下で、光触媒と有機排水を接触させることにより、例えば、有機排水中の有機物や汚泥等を光触媒により酸化・分解することができ、より好ましくは有機排水中の有機物の濃度、生物化学的酸素要求量(BOD)及び/又は化学的酸素要求量(COD)、臭気等を低減させることができる。光触媒を活性化できる光としては、例えば、太陽光及び紫外光等が挙げられ、中でも、エネルギーコストの点から、太陽光が好ましい。
【0021】
光触媒担持体は、予め曝気槽に導入していても良いし、有機排水を導入と同時又はその後に導入しても良い。光触媒担持体の添加量は、有機排水の処理量及び有機排水中の有機物濃度によって適宜決定できるが、例えば、曝気槽体積の5〜40%であることが好ましく、10〜20%がより好ましい。
【0022】
曝気処理は、例えば、曝気槽内に配置された散気管や散気板を通じて行うことができ、光触媒担持体の流動の点から、曝気槽の底面に配置された散気管や散気板を通じて行うことが好ましい。
【0023】
曝気槽内への光の照射は、曝気槽の底面に形成された光入射口から光ダクトを通じて行うことが好ましい。これにより、例えば、曝気槽上面からの光が届き難い曝気槽の底部付近に位置する光触媒担持体に光を照射でき、光触媒処理効率を向上できるからである。また、光ダクト内へ照射する光源としては、例えば、太陽光、紫外光を含む光を照射可能な光源等が挙げられる。中でも、エネルギーコストの点から、太陽光が好ましい。
【0024】
本発明の有機排水処理方法によれば、例えば、曝気槽内の光触媒担持体に紫外線(例えば、太陽光)を照射することにより、曝気槽内において有機排水中の有機物を酸化的に分解することができる。このため、本発明は、その他の態様として、曝気槽における酸化分解方法であって、曝気槽内において、有機物を含む被処理水中で光触媒担持体を流動させながら前記曝気槽の側面及び/又は底面に形成された光入射口から光ダクトを用いて曝気槽の内部に光を照射することを含み、前記光触媒担持体は、発泡体樹脂組成物と前記発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に担持された光触媒とを含む光触媒担持体である、酸化分解方法を提供しうる。本発明の酸化分解方法によれば、光触媒を使用することから、例えば、紫外線と酸化剤とを使用して有機物を酸化分解させるAOP(促進酸化法)のように酸化剤等の薬剤を使用することなく、有機排水中の有機物を酸化分解させることができる。本発明の酸化分解方法は、中でも、有機排水処理に適していることから、有機排水処理における曝気槽での酸化分解方法であることが好ましい。本発明の酸化分解方法は、本発明の有機排水処理方法と同様に行うことができる。
【0025】
[有機排水処理装置]
本発明の有機排水処理装置は、本発明の有機排水処理方法を行うための有機排水処理装置であって、側面及び/又は底面に光入射口を有する曝気槽と、曝気槽の光入射口から曝気槽の内部に光を照射可能なように配置されている光ダクトとを備える。
【0026】
[曝気槽]
曝気槽は、側面及び/又は底面に光入射口を有する。曝気槽底部付近に光の照射し、浄化効率を向上させる点から、少なくとも底面に光入射口を有することが好ましい。曝気槽は、少なくとも光入射口が光透過性であればよく、光入射口が光透過性樹脂で形成されていることが好ましい。また、製造が容易となることから、曝気槽の壁面及び/又は底面の全体が光透過性の同一の素材で形成されていても良く、少なくとも底面全体が光透過性樹脂で形成されていることが好ましい。光透過性樹脂としては、例えば、光透過性を有する強化繊維プラスチック(FRP)等が挙げられ、中でも、強度の点から光透過性を有するFRPが好ましい。FRPとしては、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ボロン繊維強化プラスチック(BFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP,KFRP)及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等が挙げられる。本発明において光透過性は、紫外光(例えば、波長:380nm)における透過率が、例えば、50%以上であり、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である場合をいう。
【0027】
光入射口は、光ダクトから放光される光を曝気槽の内部に導光可能な位置に形成されていればよい。効率的に光を照射する点から、光ダクトの放光部に対応する位置に光入射口が形成されていることが好ましい。
【0028】
曝気槽の内部には、曝気槽内で曝気処理を行うために、散気管及び/又は散気板が配置されていることが好ましい。光触媒担持体を効率よく流動させることから、散気管及び/又は散気板は、曝気槽の底面に配置されていることが好ましい。
【0029】
曝気槽の上面は、開放されていても良いし、光透過性の蓋によって被蓋されていても良く、効率よく太陽光を受光できる点から、開放されていることが好ましい。
【0030】
曝気槽の壁面にはパイプが接続可能な導入口及び排出口が形成されていることが好ましい。排出口の位置(高さ)は、特に制限されないが、排出口の位置によって曝気槽内の有機排水の液面を調節する点から、例えば、曝気処理を効率よく行うことができる十分な有機排水量を確保できる位置であることが好ましい。
【0031】
[光ダクト]
光ダクトは、前記曝気槽の光入射口から曝気槽の内部に光を照射可能なように配置されており、照射効率の点から、光ダクトは曝気槽の側面及び/又は底面と密接して配置されていることが好ましく、曝気槽の一つの側面から底面を経て前記側面に対向する側面に沿うようにU字形に配置されていることがより好ましい。すなわち、光ダクトの形状は、屈曲した形状であっても良く、U字形が好ましい。光ダクトの形状が屈曲した形状である場合、照射効率の向上の点から、光ダクトの内部に反射板が配置されていることが好ましく、屈曲した部分に配置されていることがより好ましい。
【0032】
光ダクトは壁面に放光部を有し、その放光部から曝気槽の内部に光を導光可能であり、照射効率の点から、光ダクトの放光部と曝気槽の光入射口とが一致するように光ダクトが曝気槽に配置されていることが好ましい。
【0033】
光ダクトの端部の少なくとも一方には採光部が形成されており、照射効率の点から端部の双方に採光部が形成されていることが好ましい。採光部は、光透過性の材料で形成されており、汚れ等の付着抑制の点から、酸化チタンでコーティングされたガラスによって形成されていることが好ましい。採光部は、傾斜して形成されていても良く、より多くの太陽光を入射できることから、太陽光の入射角に正対するように傾斜して形成されていることが好ましい。
【0034】
光ダクトの数は、曝気槽の大きさ等に応じて適宜決定でき、1本でも良いし、複数本であっても良く、複数個の光ダクトが曝気槽の側面を取り囲むように配置されていることが好ましい。光ダクトは、曝気槽内への均一な光照射の点から、等間隔で配置されていることが好ましい。
【0035】
本発明の有機排水処理装置は、処理効率の向上の点から、処理水を光触媒担持体の一部とともに曝気槽から排出し、排出した処理水と光触媒担持体とを分離するためのハイドロサイクロンをさらに備えることが好ましく、ハイドロサイクロンにより好ましくは付着物を取り除くことができる。ハイドロサイクロンは、曝気槽の排出口に接続されたパイプを介して曝気槽と接続していることが好ましい。付着物としては、例えば、微生物、その死骸及び活性汚泥等が挙げられる。ハイドロサイクロンは、光触媒担持体の回収を容易にするために、内部に光触媒担持体と処理水とを分離するためのフィルタを備えることが好ましい。フィルタとしては、例えば、金網等が挙げられる。また、ハイドロサイクロンは、付着物を除去した光触媒担持体を外部に排出する排出口を備えることが好ましく、その排出口と有機排水処理装置の導入口とがパイプによって接続されていることが好ましい。これにより、光触媒担持体を再利用することができる。
【0036】
本発明の有機排水処理装置は、光触媒担持体を効率的に曝気槽に導入するために、ハイドロサイクロンにより回収した光触媒担持体を曝気槽に導入するための送風機をさらに備えることが好ましい。
【0037】
つぎに、本発明の有機排水処理方法及び有機排水処理装置の例について図面を用いて説明する。但し、本発明は以下の例に制限されない。
【0038】
図1は、本発明の有機排水処理方法に使用する有機排水処理装置の構成の一例を概略的に示す図面であって、図1が概略構成図である。
【0039】
図1に示す有機排水処理装置1は、曝気槽11、光ダクト12及びハイドロサイクロン18を備え、光ダクト12は曝気槽11の側面及び底面から曝気槽11内に光を照射可能なように曝気槽11の壁面及び底面に沿ってU字状に配置されている。
【0040】
光ダクト12は、採光部15及び反射板16を備え、採光部15は、光ダクト12の端部に形成されており、曝気槽11の上面側から入射される光、例えば、太陽光を導入可能なように形成されている。反射板16は、光ダクト12の内部であって、屈曲部分に配置されている。反射板16により、採光部15を通じて垂直方向に(曝気槽11の側面に沿って)入射した光が曝気槽11の底面に向かって反射できる。
【0041】
曝気槽11は、散気管14を備え、散気管14は曝気槽11の底面に配置されている。曝気槽11の上面は開放されている。曝気槽11には、排出口17と導入口20とが曝気槽11の対向する側面にそれぞれ形成されている。曝気槽11は、曝気槽11の排出口17及び導入口20にそれぞれ接続されたパイプを介してハイドロサイクロン18と連結されている。ハイドロサイクロン18と曝気槽11の導入口20とを連結するパイプ19にはブロア(送風機)21が接続されている。パイプ19は、パイプ19内での光触媒担持体13の移動を容易にする点から、水平面に対して傾斜させていても良い。パイプ19は、被処理水を曝気槽11に導入するパイプと接続していても良いし、接続していなくても良い。
【0042】
ハイドロサイクロン18は、フィルタ22とバルブ23を備える。フィルタ22は、ハイドロサイクロン18の内部であって、曝気槽11の導入口20とを連結するパイプ19に回収した光触媒担持体を導入できるように配置されている。バルブ23は、ハイドロサイクロン18の下部の排出口に形成されている。
【0043】
図1に示す有機排水処理装置1を用いた有機排水処理方法の一例について説明する。
【0044】
まず、曝気槽11内に、光触媒担持体13を充填する。ついで、曝気槽11の導入口20を通じて被処理水を曝気槽11に導入し(矢印E及びD)、曝気槽11の底面に配置された散気管14を通じて曝気処理を行う。これにより、曝気槽11内の被処理水24中で光触媒担持体13が流動する。また、曝気槽11内には、開放された上面からのみならず、光ダクトを通じ曝気槽11の側面及び底面からも光が照射される。この状態で光触媒担持体13表面の光触媒と被処理水中の有機物とを接触させることにより、曝気槽11の上面に存在する光触媒担持体13のみならず、光が届き難い曝気槽11の底面に位置する光触媒担持体13においても光触媒処理が行われる。この曝気処理及び光触媒処理によって、被処理水(有機排水)を浄化することができる。
【0045】
そして、曝気槽11の導入口20から被処理水を導入すること等により、排出口17から光触媒担持体13及び処理水が排出され、ハイドロサイクロン18に導入される(矢印A)。導入された光触媒担持体13と処理水とはハイドロサイクロン18において分離される。光触媒担持体13は、ハイドロサイクロン18の内部に形成されたフィルタ22により回収され、中央部付近の排出口から排出される。また、ハイドロサイクロン18の下部の排出口からは、分離した処理水が、光触媒担持体13から取り除かれた付着物とともに回収される。処理水及び付着物の回収は、ハイドロサイクロン18の下部の排出口に形成されたバルブ23により行うことができる。
【0046】
ハイドロサイクロン18から排出された光触媒担持体13は、ブロア21からの送風力によりパイプ19を通じて曝気槽11の導入口20から曝気槽11内に導入される。このように、曝気槽11からの光触媒担持体13の回収、付着物の除去及び光触媒担持体13の曝気槽11への導入を行うことにより、被処理水の浄化効率をより一層向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の有機排水処理方法及び有機排水処理装置は、例えば、し尿、生活雑排水、都市下水、農業集落排水、畜産排水、食品加工工場等の工場排水、大型水槽、緩衝池、プール、風呂、スーパー銭湯及び温泉等から排出される有機排水の浄化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明に使用する有機排水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・有機排水処理装置
11・・曝気槽
12・・光ダクト
13・・光触媒担持体
14・・散気管
15・・採光部
16・・反射板
17・・排出口
18・・ハイドロサイクロン
19・・パイプ
20・・導入口
21・・ブロア
22・・フィルタ
23・・バルブ
24・・被処理水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機排水の処理方法であって、
被処理水として有機排水を曝気槽に導入し、被処理水中で光触媒担持体を流動させながら曝気処理を行うこと、及び、
前記曝気槽の側面及び/又は底面に形成された光入射口から光ダクトを用いて曝気槽の内部に光を照射することを含み、
前記光触媒担持体は、発泡体樹脂組成物と前記発泡体樹脂組成物の少なくとも表面に担持された光触媒とを含む光触媒担持体である、有機排水処理方法。
【請求項2】
前記光触媒担持体は、球状であり、平均粒径が1.5〜15cmである、請求項1記載の有機排水処理方法。
【請求項3】
前記光触媒担持体の一部を処理水とともに曝気槽から排出することを含む、請求項1又は2記載の有機排水処理方法。
【請求項4】
前記排出された処理水と光触媒担持体とを分離すること、及び、分離した光触媒担持体を前記曝気槽に導入することを含む、請求項3記載の有機排水処理方法。
【請求項5】
前記排出された処理水と光触媒担持体との分離を、ハイドロサイクロンで行う、請求項4記載の有機排水処理方法。
【請求項6】
前記光触媒担持体は、微生物を担持可能である、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機排水処理方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の有機排水処理方法を行うための有機排水処理装置であって、
側面及び/又は底面に光入射口を有する曝気槽と、
光ダクトとを備え、
前記光ダクトは、前記曝気槽の光入射口から曝気槽の内部に光を照射可能なように配置されている、有機排水処理装置。
【請求項8】
前記曝気槽は、少なくとも底面に光入射口を有する、請求項7記載の有機排水処理装置。
【請求項9】
前記曝気槽から排出された処理水と光触媒担持体の一部とを分離するためのハイドロサイクロンをさらに備える、請求項7又は8記載の有機排水処理装置。
【請求項10】
前記ハイドロサイクロンにより回収した光触媒担持体を前記曝気槽に導入するための送風機を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の有機排水処理装置。
【請求項11】
発泡体樹脂組成物である光触媒担持体をさらに備える、請求項7から10のいずれか一項に記載の有機排水処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−285580(P2009−285580A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141452(P2008−141452)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】