説明

有機材料の切断、浸漬、および/または洗浄などの処理

本発明は、材料の切断、浸漬および/または洗浄によって材料を処理するための装置に関連し、装置は、容器(10)と、渦発生器および流体および材料を容器(10)から渦発生器へポンプ送りするよう配置されたポンプ手段(22)を有する排出要素(20)とを備え、渦発生器およびポンプ手段(22)の組み合わせは、容器内に延在する流体内に円錐らせんの形の渦を生成するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料の処理のための装置およびその方法に関連し、処理は、例えば材料の切断、浸漬、洗浄および必要であれば化学物質および熱による加工を備える。処理される材料は、粒子状有機材料、好ましくは発酵性成分を備える有機材料であり、かつ本発明による処理は、材料をバイオエタノール製造設備におけるさらなる処理の影響を受けやすくさせる工程の一部の形成に特に少なくとも関する―このようなさらなる処理は、通常例えばリグニンを放出するためのわらの分解のような分解を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
バイオエタノールを生産するよう適合された発酵工程において、有機材料の最初の加工は、発酵の前に要求されることが多い。しばしばこのような加工は、例えば有機材料の浸漬(例えばケイ酸、塩および例えば石、砂利、砂および粘土などの無機物要素を除去するため、および/または含水量を上げるため)、切断、酸化、脱水のような異なる目的を有し、かつこれらは順次実行される。したがって枠組み全体に見られるように、有機材料は、発酵の影響を受けやすく作られるといえる。
【0003】
有機材料を発酵の影響を受けやすくさせることに関する特に重要な態様は、有機材料の浸漬、切断および/または洗浄である。さらに、他の態様は、化学的におよび/または酵素的に材料を処理する有機材料の処理に関連する。もちろんこのような態様は、浸漬、切断および/または洗浄を組み合せることができる。
【0004】
本明細書における「浸漬」とは、通常(所望の液体量に関して)乾燥していると考えられる有機材料が流体、好ましくは例えば水道水などの水に浸かる必要があることを好ましく意味する。また浸漬は、汚染物質の放出、および/または溶解に使用されることもできる。場合によっては乾燥材料は、非浸漬材料と呼ばれることもある。
【0005】
本明細書における「切断」とは、有機材料を部分、例えば(切断される前の)最初の大きさより小さい部分に切断することを好ましく意味する。
【0006】
本明細書における「洗浄」とは、汚染物質が有機材料から分離されることを好ましく意味し、通常第一に液体に放出され、および/または、液体に溶解し、および第二に分離される。汚染物質は、石、砂利、金属粒子、ケイ酸、塩、一般の無機要素、砂、粘土またはこれらの組み合わせとすることができる。汚染物質は、粒子状物質であることが多く、かつ物質の表面上に位置することが多い。
【0007】
特許文献1は、細断する材料を受容するためのタンクを有するパルパーを開示している。ローターは、駆動部の回転出力部に固定され、かつローターは、環状の回転可能なハブおよびハブから略軸方向に突出した複数の羽根を備える。少ないエネルギー必要量での材料の急速な細断を提供するために、羽根は軸方向に面した側端を有し、かつ羽根の側端に複数の歯が設けられている。
【0008】
特許文献2は、穴を有するスクリーニングプレートに隣接する管に取り付けられたローターを含むパルパーを開示する。ローターは、その直径がローターの外側の端へ向かって減少するらせん状の羽根を含んでいる。ローターの羽根は、スクリーニングプレートの近くに、半径方向かつ外向きに突出した肩状の要素を持つ。要素は、ローターが回転するとパルプに交互効果をもたらす圧力発生および派生圧力発生装置を形成し、これによりスクリーニングプレートの穴の目詰まりを防止する。
【0009】
これら両方の装置は、タンクの中の流れがタンク内にある液体のタンク内での再循環を備えることにあり、これによりパルプ化される材料の保持時間は制御不能となる。制御不能な保持時間は、パルプ化においては一番の関心事ではなく、細断されたパルプのサイズ分布が重大なパラメータである。したがって上記の文献はまた、パルプ化室を出るすべてのパルプが定義された大きさより小さくなることをフィルタリングによって確実にするために再循環が利用され、かつフィルタの目詰まりを回避するために再循環が使用されるパルパーを開示する。
【0010】
開示されたパルパーはパルプ化の目的のために有効であり、材料が何度もローターに接触するように、または接触しないように、流れのパターンは内部の再循環を含み、それによってパルパーの液体内に含まれた材料はさまざまな種類のサイズ分布を有する材料から成り、これは例えば次々に目詰まりをもたらしうる堆積を生じさせることがある。さらに、液体内の材料の保持時間は、少なくとも再循環の理由により制御不能と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0054108号明細書
【特許文献2】米国特許第6234415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような再循環に関するさらなる問題は、液体内の材料の保持時間が不明および制御不能となりうることにある。これは、例えばある水準(材料の含水量)までの浸漬を目指す場合、浸漬工程を支配するパラメータの1つが保持時間であるので問題になる場合があるこれは、例えば塩のような材料の溶解を目的とする場合に特に問題となる場合がある。
【0013】
特別な問題は、処理材料を液体に同化させることに関連する。処理される材料は、液体の密度よりも著しく低い密度を有することが多く、かつこのような場合、材料は液体の表面上部に「ふた」のように浮く傾向があり、材料を浸漬させるのが非常に難しい状態になる。特に非常に疎水性の材料、例えば穀物のわら、トウモロコシの廃棄材料、おがくず、稲の廃棄材料、木材チップ、エネルギーサトウキビ、ソルガム、茅草、スイッチグラス等を扱っている場合である。
【0014】
さらなる問題は、例えば石および金属片が刃先を有する場合があるといった、汚染粒子の破壊的な性質に関する。
【0015】
したがって本発明の目的は、既知の装置および方法に関するいくつか、またはそれ以上の問題を少なくとも軽減する装置および方法を提供することである。
【0016】
さらなるおよび多くの場合の本発明の重要な目的は、初期の乾燥した材料をポンプ送り可能にすることであり、それによって材料は下流工程システムへポンプ送りされることができ、かつ水封止として使用される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、上述の目的および他のいくつかの目的は、材料を処理するための装置を提供する本発明の第1の態様において得られることを意図し、前記処理は、−これに限定されないが−材料の切断、浸漬および/または洗浄を備え、前記装置は、
−流体および処理される材料を収容するよう構成された入れ物を形成する壁要素を備える容器と、
−上流にて容器内部に流体連結し、かつ下流にて流体接続部に流体連結する排出要素と、を備え、
該排出要素は、
−渦発生器と、
−容器から渦発生器へおよび下流の流体接続部の中へ材料と共に流体をポンプ送りするために配置されたポンプ手段と、を備え、
−渦発生器およびポンプ手段の組み合わせは、流体中に円錐らせんの形の渦を生成するよう構成され、渦は容器内に延在している。
【0018】
したがって本発明によると、流体、好ましくは例えば水のような液体への材料の同化を制御するために渦が使用される装置が提供され、それによって少なくとも容器内の材料の保持時間を滑らかな物質で制御することができる。
【0019】
装置から出る材料は、材料が液体に同化しているという意味では流体化されていると言える。材料が流体化されているので、−例えばポンプ手段により、および/またはさらなる加圧手段により−例えば下流工程システムへ加圧およびポンプ送りすることができる。さらに材料が当初の乾燥した形である場合には可能であったが、ガス状または液状の流体が容易に(または全く)材料を伴う液体を通過することができなくなるという意味において、流体化により液体を伴う材料が液体封止を提供できるようになる。
【0020】
本発明に関連して得られる特定の特徴は、円錐らせんの形の渦の発生である。本明細書における円錐らせんは、流体要素の軌跡がアルキメデスの渦巻きおよびらせんの重ね合わせをたどる渦を好ましく意味する。アルキメデスの渦巻きおよびらせんの数学は円錐らせんの漸進的変化を厳密に規定しているが、このような流れパターンを狙いとしているものの本発明における円錐らせんはこのような数学的な説明から逸脱させることができることが言及されるべきであろう。しかし、「円錐らせん」は、らせん状の動きおよび中心軸に沿った動きにて流体要素が中心軸に向かう経路をたどる、少なくとも円錐らせん状の流路を集めるために使用されている。
【0021】
生成された渦は通常、渦の回転軸に関して軸方向および半径方向に変化する角速度を備える。これは通常とりわけ流体内部の粘性結合および減衰、境界条件および渦発生器に基づいて得られる。
【0022】
さらに、二次渦、つまり好ましくは容器内の大部分の空間を占め、かつ渦発生器およびポンプ手段の組み合わせにより生成される主の円錐らせんとは別の渦が回避されることが多い。ポンプ手段を制御することにより、渦の軸の流れ成分は好都合に制御される。多くの実施例においてポンプ手段は、渦発生器に向かう方向に「渦の中を引っ張る」手段とすることができる。
【0023】
本明細書において、多様な技術的な言い回しが使用されている。これらの言い回しは当業者にとって通常の意味で使用されているが、いくつかの言い回しについての簡単な説明を下記に示す。
【0024】
「渦発生器」は、流体内に渦を作る要素の意味として好ましく使用される。ここで考えられる渦発生器の典型的な例は、半径方向に延在するローターアームを備える回転可能な要素である。
【0025】
「逆流」は、好ましくは入口から出口へ形成された主の流れ方向と逆の方向に行く流れが存在する流れの型を示すことに好ましく使用される。本明細書において逆流は、第1の流れパターンが円錐らせんであるところ、例えば二次渦のような第2の流れパターンと好ましく取ることができる。
【0026】
装置において非浸漬材料は、例えば容器内の流体中に沈んだ管から排出されるなどして、適合された手段によって渦内に好ましく配置されることができる。
【0027】
非浸漬材料を渦中に配置するのに適合したこのような手段については、例えば本発明の特定の実施形態に関して下記に詳細に言及される。例えば非浸漬材料の配置に適合した手段は、例えば下記に開示されるような流体噴流を提供する流体供給を備えることができる。
【0028】
ポンプ手段を渦発生器の下流に好ましく配置することができ、かつ多くの好ましい実施形態において、ポンプ手段および渦発生器は例えば1つの構造要素として作られた同じ要素とすることができる。
【0029】
多くの好ましい実施形態において排出要素は、容器から外に延在する流路を好ましく備える。このような実施形態において、渦発生器は、流路の入口から見て流路の下流に好ましく配置される。排出要素の流路は、好都合かつ好ましく渦発生器に向かって先細の漏斗の形をしている。あるいは排出要素の流路は、一定の横断面積を好ましく有することができる。
【0030】
装置は、排出要素を通過してきた材料を含む流体の水流および処理された材料をほとんど含まない流体の残留水流を分けるための分離器を好ましく備えることができる。排出要素の下流、および好ましくはポンプ手段の下流に、分離器を好ましく配置することができる。
【0031】
分離器は、例えば1つまたは複数の遠心分離機などの脱水手段、または処理された材料の沈殿のための手段を好ましく備えることができる。
【0032】
装置の好ましい実施形態は、容器から抽出された流体を容器へ供給する再循環流れラインを備えることができる。このような流体再循環流れラインは、残留流体が容器へ再循環するような方法により分離器に好ましく接続されることができる。
【0033】
容器の底部を構成する壁要素は少なくとも、丸みを帯びた内部の形、例えば円柱を縦に切ったような形を好ましく有する。さらに、容器の側面を構成する壁要素は平らな部材とすることができる。しかし、容器内での渦の維持を補助できるように、壁要素の他の形、例えば丸みを帯びた形を使用することができる。
【0034】
容器は、内部に1つまたは複数の回転可能な要素を好ましく、および好都合に備え、および/または、入れ物を形成する1つまたは複数の壁要素は、回転可能である。それにより容器内の流れの境界条件を、例えば渦を強めるように制御することができる。
【0035】
装置の好ましい実施形態は、ただ1つの排出要素を備えることができる。あるいは装置は、2つ以上の排出要素を好ましく備えることができる。2つ以上の排出要素を備える実施形態において、排出要素を同じ壁要素内に互いに隣接して好ましく配置することができる。あるいは、またはそれに組み合わせて、排出要素を反対の壁要素に互いに対向して好ましく配置させることができる。
【0036】
装置は、処理された材料の加圧された水流を提供するのに好ましくおよび好都合に構成されることが可能である。
【0037】
好ましくは、渦発生器は回転可能な切断要素を備えることができ、かつ切断要素は、切断要素へ向かって流体内を流れる材料を切断するように好ましく構成されることができる。切断要素は、回転方向を指す刃先を有する半径方向に延在する複数の腕を好ましく備えることができる。
【0038】
上記に開示されるように、本発明の好ましい実施形態は、非浸漬材料を渦に配置するのに適合した手段を備えることができる。それに応じて装置の好ましい実施形態は、装置の運転中に入れ物内に収容されている流体に現れる好ましくは噴流の、流体の流れを生成するよう適合された流体供給を備えることができる。流体供給の出口を流体表面の下に好ましく配置することができる。好都合に流体供給は、再循環流れラインの一部を好ましく形成することができる。流体供給は、流体の供給点における容器内の渦の速度と実質的に平行の方向に流体を供給するように好ましく構成させることができる。
【0039】
容器の底部を構成する壁要素は、好ましくは水平方向に対して傾斜し、かつ底部の内部で最も低い部分を有する位置に追加的におよび好ましく物質出口を設けることができる。
【0040】
装置は、容器に収容されている流体に処理される材料を供給するための送り込み装置を好ましくまたはさらに備えることができる。好ましくは送り込み装置は、処理される材料を容器に収容されている流体に運ぶためのコンベヤ手段を、好ましくは流体表面より下の位置に備えることができる。このようなコンベヤ手段は、コンベヤベルトまたはスクリューコンベヤを備えることができる。
【0041】
送り込み装置は、供給点における容器内の渦の速度に実質的に平行な方向に処理される材料を供給するように好ましく構成されることが可能である。さらに送り込み装置は、材料容器の供給位置における流体速度の少なくとも50%、好ましくは略同じ速度にて材料を供給するように好ましく構成されることができる。
【0042】
好ましくは送り込み装置は、流体が容器内にある場合に流体表面より下に材料を供給するように構成されることができる、またはさらに構成される。主としてかつ好ましくは送り込み装置は、流体が容器内にある場合に流体表面より少なくとも100mm下に材料を供給するよう構成されることができる、またはさらに構成される。
【0043】
装置は、容器に供給されている材料の質量および/または材料の含水量を好ましくは連続的な方法にて測定するための測定デバイスを好ましくさらに備えることができる。好ましくは、測定デバイスを送り込み装置内に配置することができる。
【0044】
本発明による装置は、わら、草、トウモロコシの軸、木材等、またはこれらの組み合わせからなるグループから選択された材料を処理するように好ましくかつ好都合に構成される。好ましくは材料の処理は、材料を発酵の影響を受け易い状態にするよう少なくとも補助する処理または処理の組み合わせとすることができる。
【0045】
第2の態様において本発明は、本発明の第1の態様による装置の運転方法に関連する。このような方法は、容器内において円錐らせんの形に渦を確立するためのポンプおよび渦発生器の制御を好ましく備える。
【0046】
方法は、好ましくは容器内にある流体の表面より下に流体を容器に追加するステップを好ましく備えることができる。好ましくは、容器への流体の追加は、容器にある流体の表面下に延在する噴流の形をとることができる。
【0047】
好ましく、かつ好都合に方法は、容器内の流体の水準を調整するステップを備えることができ、その結果流体は表面下に追加される、または好ましくは容器に追加される流体である流体の噴流が容器にある流体の表面下に延在するようになる。
【0048】
方法は、排出要素を通り容器から抽出される少なくともごく一部の流体を再循環させるステップを好ましく備えることができる。再循環されたごく一部の流体は、流体が容器にある場合に流体にある材料から好ましく解放されることができる。
【0049】
そのうえ方法は、少なくとも容器内の水位の検出、容器に供給される水、容器に供給される材料の質量および材料の含水量に基づき、容器から出る材料の含水量を決定するステップを好ましく備えることができる。
【0050】
本発明の第1および第2態様は、それぞれ任意の他の態様と組み合わせることができる。本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載された実施形態の参照により明らかになり、かつ説明されるであろう。
【0051】
本発明の特に好ましい実施形態は、酸を含む水への材料の浸漬に関連する。
【0052】
有機材料を発酵の影響を受けやすい状態にさせる補助をする以外の他の状況における材料の処理に関連して本発明が有用であることが判明したとしても、ここでの説明はこの目的に焦点を合わせる。これは、本発明の範囲をバイオエタノールの製造だけの装置および方法に限定するものではない。
【0053】
本発明および特に好ましい実施形態は、添付の図に関連して開示される。
【0054】
図は本発明を実施する方法を示し、かつ添付の特許請求の範囲内に収まる他の可能な実施形態に限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による第1実施形態を示す。
【図2】本発明による排出要素の横断面図を示す。
【図3】渦発生器の実施形態を示す。
【図4a】送り込み装置が適用された本発明による装置の実施形態を示す。
【図4b】送り込み装置が適用された本発明による装置の実施形態を示す。
【図5a】代替形の送り込み装置が適用された本発明による装置の実施形態を示す。
【図5b】代替形の送り込み装置が適用された図5aに示す本発明による装置の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明による材料を処理するための装置の第1実施形態を示す。図1aは装置の端面投影図を、図1bは側面投影図を、および図1cは上面投影図を示す。装置は、開口した上端部および湾曲した底部14を有する入れ物形状の容器10を備える。容器の側壁16および端壁18は平らな部材であり、かつ様々な壁および底部は共に溶接され、流体密封の−上端部開口の入れ物を形成する。
【0057】
処理される材料は、わら、トウモロコシの軸、草、木材および同様のものからなるグループから選択された1つまたは複数の材料が好ましいが、少なくとも原則として各粒子状有機物が考えられる。材料の組み合わせもまた考えられる。材料は主として、小さい一片に望ましく切断されるべき粒子状物質である。本明細書で使用される流体は、好ましくは水であるが、装置の特定の使用に従って他の流体も使用および選択することができる。
【0058】
端壁18(図1の右に示されているもの)に1つにおいて、排出要素20が配置される。この排出要素20は、図1に示されるように容器内に渦流パターンを発生させ、かつ同時に排出要素20へ流れる材料をより小さい一片に切断するよう構成されている。下記に開示される代替構成においては、切断が行われず、かつ排出要素は切断動作を伴わずに排出を提供する。さらなる詳細が下記に開示されるように、切断は例えば回転切断要素によって提供されることができ、該回転切断要素は、切断端を有する半径方向に延在する腕を備える。このような切断要素の回転により、材料は切断され、かつ流体内の渦が生成される。したがって、切断動作および渦発生機構は、1つの要素に組み合わされるが、これは必ずしもそうする必要はなく、2つの個別の手段、例えばカッターおよび渦発生器を適用することができる。
【0059】
図1に見えるように、底部14は湾曲し、図示された実施形態においては円柱を縦に切ったような形となるように湾曲して示される。この外形は、渦中の回転流を反射、および補助するという意味では好都合であり、その結果、流れが二次渦を作る可能性がわずかだけ得られる。側面要素16は−流れの観点から見て−二次渦の生成をさらに回避するために有益に湾曲させることができるが、処理される材料を容器に導入し易くするよう平らな部材として作られている。
【0060】
排出要素20の下流にはポンプ22が配置され、該ポンプは、切断材料を伴う流体を排出要素20を通じて分離器24へポンプで送り、該分離器は実質的にすべての切断材料を備える流体の流れを流体から分離する。ポンプは容器10の排出要素20を介して吸引をさらに提供する。残留流れと呼ばれる実質的に切断材料を含まず、同様に分離器24内で分離される流体は、再循環流れライン26によって容器に送り返される。最適な分離工程においては、残留流れはどんな材料も含まない。しかし、多くの実際の実施形態において、分離はこのような理想より少ない場合があり、かつ残留流れ内の材料の量は分離器の効率に依存する。したがってこの文脈において実質的にとは、分離器の効率を反映した状況という意味で好ましく使用される。
【0061】
ポンプ22は、さらなる処理24のために材料が同化した流体としての媒体を移動させ、かつまた加圧する可能性を与える。さらなる処理は、例えば材料が流体から分離され、かつ流体が例えば入れ物へ戻される分離工程とすることができる。
【0062】
さらなる処理が分離の場合、例えばスクリュープレス、フィルタ、または遠心分離機または処理物の沈殿のための手段の形で具現化することができる。
【0063】
したがって分離器24における分離は、全体量に対する切断材料の量が増えるような切断材料を有する流体の流れを提供する。濃度を上昇させた切断材料のこの流れは、発酵準備ができた状態になるようにさらなる処理に供給される。
【0064】
容器10内に生成された渦流パターンは、好ましくは容器内部に再循環が生成されないことを特徴とする。したがって流体要素は、再循環流れライン26の出口からの進路において、−再循環を伴わない−水平軸の回りの渦巻き状の動きに絶えず追従し、排出要素20に向かい、通るよう流体要素を進める。このような流れパターンは、円錐らせんと考えられる。このような流れパターンにより、渦によって「捕捉された」材料は、必然的に一度だけ排出要素内に行きつき、かつ排出要素が材料の切断を実行すると、材料は一度だけ切断される。
【0065】
したがって円錐らせんは3次元の渦であり、その中の水平軸方向(または通常排出要素へ向かう)における速度は、ポンプを制御することにより制御可能である。ポンプを通る高い貫流は、ポンプを通る比較的より低速の貫流よりも、排出要素へ向かう比較的より高い速度を生成する。壁部分が動かない場合、壁部分に近づけば速度はゼロになるということを言及されるべきであろう。
【0066】
ポンプおよび(刃先速度の設定により)排出要素20の切断要素の切断速度を制御することにより、排出要素20へ向かって進む材料の速度を制御することが可能であるため、材料を切断する大きが制御可能である高度に制御可能な切断工程が可能となる。
【0067】
特定の実施形態において、処理される材料は容器に導入される前に切断され、かつ材料は選択的に渦の中心から引き出される。
【0068】
図2は、図1の実施形態の排出要素20の横断面図を図式的に示す。排出要素は、容器10から外に延在し、かつ広い端部32にて端壁18に取り付けられた漏斗30の形の流路を備え、それによって排出要素20は、容器10の内部に流体連結する。漏斗30は、切断要素36へ向かって次第に細くなり、その結果漏斗30の狭い端部34は、容器から図2に示す距離[δ]後ろ側に配置されている。狭い端部34にて、切断要素36は、電気モーター(図示せず)に接続された軸38上に配置される。
【0069】
切断要素36は、ポンプ22へ向かって延在する流体接続部40の前に配置される。流体接続部40は、通常パイプの形である。切断要素36は軸38の回転軸と一致する中心から半径方向に延在する腕の形状をとり、かつ回転方向を指す刃先を有する。
【0070】
切断要素の回転によって、容器および流体接続部40にわたって延在する渦が生成される。したがって、切断要素もまた渦発生器を具体化したものである。ポンプは、容器から切断要素36への流体の流れを生成する。それにより流れパターンは、ポンプ22によって生成された切断要素へ向かう非回転の流れと、回転する切断要素36によって生成された渦との重ね合わせによって作られたように見える。したがって、容器内の流体に含まれる材料は切断要素36へ移送され、切断要素によって切断され、チャネル40を通り分離要素24へ向かう。
【0071】
ポンプ22および切断要素が2つの異なる要素として具現化されているが、これらの要素は、1つの要素として作ることもできる。このような実施形態において、切断要素および特に刃先を有する腕は、流体の全体の圧力が増えるように形成される。このような実施形態の例は、その入口に配置された切断手段を有する遠心羽根車である。
【0072】
漏斗30の使用により、排出要素内の−および通常容器内の−逆流が最小となり、かつ主として完全に回避される。それにより、切断される材料が容器へ戻ることなく、切断される材料の大部分が一度だけ切断要素を通過することが保証される。これは主として容器内に切断される材料が堆積し、および/または材料が制御不能な大きさに切断される結果となる。
【0073】
図3は、とりわけ材料を切断し、かつ渦を生成する切断要素を示す。漏斗30は、フランジ58にボルト締めされている。図1に関連して開示されているように、流体および切断される材料は開口部を通じてポンプ22(図示せず)へ向かう。切断要素は、電気モーター62から延在する軸上に配置される。
【0074】
図1に戻り、装置内で行われる汚染物質の分離が開示される。汚染物質は、主として否定的な意味で有機材料のさらなる処理および/または発酵を妨げうる物質と考えられ、かつ例えば石、砂利、金属粒子等を含む。図1および特に図1bに示すように、容器の底部14は、排出要素20から離れて(水平方向に対して)下方に傾いている。
【0075】
汚染物質は主として、粒子の密度が実質的に流体および切断される材料の両方の密度とは異なることを特徴とする。それに応じて、および渦が容器内に存在すると、例えば粒子の形の汚染物質は重力により直接底部14へ落ちる、または重力作用と相まって、渦のらせん状の動きに少なくともある程度追随する粒子由来の遠心力との組み合わせにより底部へ向かわされる。物質出口42は、図1に示す実施形態において傾斜した底部の最も低い位置部分に配置されている。これは、図1bに示す容器の左隅である。
【0076】
いったん、汚染物質が傾斜した底部の面上に位置すると、重力が物質出口42へ向かわせる、または少なくとも向かわせるよう補助する。容器からどのように物質が引き出されるかにより、流体の一部は物質とともに容器から出ることがある。しかし、物質とともに容器から引き出される流体の量は、容器内部の渦流パターンが壊されないよう通常小さく選択される。
【0077】
本発明による装置内で材料の切断および浸漬の両方が起こることが上記から示される。さらなる態様によると、装置は切断機構が省略されて、浸漬が行われるよう構成される。この態様は、上記に開示した同じ要素を含むことにより具体化されるが、ローターアームおよび材料の間の接点が材料の切断を生じないように、回転切断要素は鋭い刃を有するローターアームを備えるローターにより置換される。回転ローターアームによってある種の引き裂き、破れ、または類似の動作が材料に実行されうることが言及されるべきであろう。しかし、このような動作は最小にされるべきであり、かつある種の刃先を必要とするこのような動作は切断動作とは考えられない。
【0078】
ローターまたは回転切断要素によって生成された容器内部の渦は、いくつかの異なる手段によって強化される。例えば、排出要素20と反対の端壁18−または端壁18に隣接して内部に配置された分離壁要素−は、渦の回転と同じ方向に回転可能に作られる。これは端壁における渦の境界条件を速度ゼロからゼロと異なる速度へ変え、それにより渦が強化される。同様に、またはこれと組み合わせて、排出要素20における端壁(または分離壁要素)を回転可能に作ることが可能である。
【0079】
渦を強化する他の例は、1つ以上、例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の排出要素を適用することである。例えば同じ壁要素内にて互いに隣接して配置された2つの排出要素は、容器へ延在する漏斗内にそれぞれ渦を作る。漏斗からの渦は、容器内で1つの渦に統合される。排出要素が容器の反対の端壁に互いに対向して配置されている場合、同様の結果が達成されるが、このような構成は(1つの方向から見た場合)同じ方向に回転する切断要素またはローターアームを必要とし、その結果作られた渦は同じ方向に回転する。そうでなければ、渦は互いに打ち消しあう傾向にあるだろう。したがって、好ましい構成は、2つの対向端壁18上に複数の排出要素を、または1つの端壁18のみに配置された複数の排出要素を備える。これらの構成は、例えば洗浄、浸漬、切断またはそれらの組み合わせに関する実施形態に組合せ可能、かつ適用できることが強調されるべきであろう。
【0080】
本発明の1つの特徴は、材料の浸漬に関する。通常、浸漬される材料は、当初容器内の流体の表面を流れるような密度を有する。一旦このような材料が渦によって捕えられると、渦流は材料を渦の中心へ移送するということが本発明に関連してわかっている。材料によって浸漬される流体の量は、とりわけ流体内での材料の保持時間に関連し、材料は渦の中心に向かい、かつ排出手段へ向かう方向の流速はポンプ22により制御可能であるため、材料の保持時間は制御可能となる。
【0081】
−他の手段がとられなければ液体表面上を流れることが多い−材料の供給は、材料の加速によって好都合、かつ好ましく提供され、および渦によって材料に働く粘性の力によって浮力が上回っているのでより遠くに渦に加速された材料を供給する。材料の導入によって渦の速度が落ちないように、材料の加速がしばしばなされる。これは多くの場合同じ半径方向の位置にて、材料が渦の動きに沿って引きずられる結果となる。この動きの間、材料は徐々に液体を吸引し結果的に材料の浮力特性が変化し、今度は材料は渦の中心に向かって流れるようになる。多くの実際の実施形態において、渦は渦の中心へ向かう方向の半径方向の速度成分を備え、かつ半径方向の速度成分は少なくとも材料を渦の中心へ向かうように補助する。
【0082】
渦への材料の供給は、流体供給52(図4a)によって容器に加えられた再循環流体の流れを利用することにより好都合、かつ好ましく実行される。容器に存在する流体の自由表面の下に、好ましくは上記に概説されたような噴流の形で再循環流体が導入されるように、流体供給52は好ましく位置づけられる。図1に示す実施形態において、流体供給52は、容器内の流体へ延在する再循環流れライン26の端部にある。上記に概説したように供給点において容器内に立っている渦の回転運動速度に実質的に平行な方向に、流体が導入される位置および方向が選択される。これは図1に示す実施形態においては容器の角部分の表面の下である。浸漬、切断および/または洗浄される材料は、再循環流体の噴流が少なくとも渦への材料の導入を補助するような方法にて、自由表面の下に導入される。
【0083】
再循環流体の噴流への材料の導入は、適した運搬手段、例えばコンベヤベルト、コンベヤ・スクリューまたは同様のものを備える材料入口により好ましくなされる。図4を参照すると、送り込み装置の1つの実施形態が開示される。送り込み装置はコンベヤを備え、かつ実質的に速度の差がない状態で材料が渦に導入されるように、コンベヤ速度は渦の回転速度に整合するよう好ましく設定される。
【0084】
さらに容器に供給される流体の量に関して、容器から排出される流体の量および容器に導入される材料の量を決定することができ、少なくとも浸漬後の材料の水分含有量の推定を確立することができる。推定は、容器10に入り、かつ出ていく様々な量の測定を含む連続性の原理に基づくことができる。それに応じて、流体供給52を通じて容器に供給される液体の量を制御することにより容器内の液体の水位を調整することができる。
【0085】
さらなる実施形態において、本発明による装置は、切断を実行しない材料の洗浄に使用することができる。これに関連して洗浄は、汚染物質を分離するまたは少なくとも材料からほぐすということを好ましく意味する。このような場合、浸漬の問題は重要でないと考えられ、かつ保持時間は所定の水分含有量に合致するように調整されない。このような場合保持時間は、例えば汚染物質をほぐし、解くために十分な時間を許容するように調整される。その代り、所望の洗浄処理を提供するように、装置を通る流れおよび渦の特性が制御される。
【0086】
したがって本発明は切断された材料の浸漬、および材料の浸漬および切断、ならびに浸漬および/または切断とは別の作業、または組み合わせの作業である材料の洗浄の両方に適している。
【0087】
本発明はまた、材料に化学物質を沈着させることを可能にする浸漬、洗浄および/または切断の組み合わせに適し、これは例えば熱加水分解を促進するような材料の深さ全体への酸含有量の一様な沈着といったものである。
【0088】
上述のように排出要素20は、流路30を好ましく備える。しかし、流路を除外してもよく、かつ渦発生器は容器内部に配置されることが想定される。
【0089】
図4は、本発明による装置の実施形態を示す。図4の部品は、図1、図2の部品に対応し、かつ同じ符号が提供されている。簡素化するためにいくつかの要素(例えば分離器24および再循環流れライン26)は除外されている。図4aは、図1aのように端壁18から見た実施形態を示し、かつ図4bは図1bのような側面図で実施形態を示す。
【0090】
図4に示される実施形態は、送り込み装置62を備え、送り込み装置を通じて材料48が容器に収容されている流体に供給される。送り込み装置は、コンベヤベルト44および46を備える。コンベヤベルトの速度は、液体の表面より100mm下の位置における渦の速度に実質的に等しい。さらに渦の速度が下方を向いる場所に材料が供給されるように、送り込み装置が配置されている。
【0091】
装置はまた測定装置−好ましくは送り込み装置に具体化される−を好ましく備える。測定装置は、好ましくは連続的な方法によって材料の質量および/または材料の含水量を計測する。このような測定、および容器内の水位および容器へ供給される水の検出に基づき、容器を出る材料の含水量を確立することができる(容器内で質量の蓄積が起こらず、容器に入る質量および出る質量は必ず等しいと定めた連続性の原理から)。
【0092】
送り込み装置62、および特に処理される材料を移送するコンベヤベルト44は、流体表面50の下の位置にて材料を流体に導入する。再循環流体52は、(上記に開示されるように)材料と同じ位置に、供給点における渦54の速度と実質的に平行な方向で容器10に導入される。この方法での再循環流体の導入により、導入が渦の流れを刺激することができる。同様に送り込み装置62は、供給点における渦54の速度と実質的に平行な方向に材料を供給する。それにより、渦54、コンベヤベルト44および再循環流体52の組み合わせは、渦流内に材料を捕捉し、その結果材料はドットライン56によって図式的に示されるように排出要素へ向かう渦流に追随する。上記の実施形態において、再循環流体を新鮮な流体によって置換することができることを言及されるべきであろう。
【0093】
図5aは、代替の送り込み装置62が容器10に適用された本発明による装置の実施形態を示す。送り込み装置は、渦に材料を配置するように構成され、かつ送り込み装置は供給点における渦速度に実質的に平行な方向に材料を供給するよう構成されている。この実施形態において送り込み装置62は、乾燥した物質を送るのに特に好都合なスクリューコンベヤである。非浸漬材料48を渦54内に導入するためにスクリューコンベヤを使用することにより、導入される材料がポンプ送り可能でないことに関わらず、非浸漬材料の適切な速度および方向を得ることができる。
【0094】
図5bは、代替の送り込み装置62が適用された本発明による図5aの装置の実施形態を示す。図5bは、装置の縦方向に垂直に送り込み装置62を通る横断面図を示す。
【0095】
図5による装置は、容器10内部の流体表面で、または図5bに示されるように流体表面50が容器10の上部表面より上になるように流体によって満たされた状態で使用することができることを述べるべきであろう。
【0096】
上記に開示された実施形態において、容器は自由表面が存在する容器として開示される多くの例をとることができるが、本発明はまた例えば図5に示す円柱のような円形容器として具体化することができる。
【0097】
上記に示されるように、本発明は浸漬および/または切断とは異なる他の処理を含むことができる。例えば、1つまたは複数の酵素によって、および/または1つまたは複数の酸を含む反応のような1つまたは複数の化学反応によって材料を処理することができる。このような処理は、酵素および/または化学物質を容器にある流体に加えることにより達成することができる。酵素の例は、フェルロイルエステラーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ベータグルカナーゼ、キシラナーゼ等である。化学物質の例は、硫酸または水酸化ナトリウムである。
【0098】
本明細書内−および特に本発明の背景の部分−で使用される浸漬は、材料内に、または材料の穴または隙間を通るかのように流体を吸収する効果と好ましく呼ばれる。したがって浸漬は、非浸漬材料が流体に接触させられた時間および非浸漬材料が完全に流体等により浸漬される、つまり流体で飽和した時間の間に生じる工程である。したがって浸漬は、時間の関数によって非浸漬材料の静水特性を動的に変化させる。例えば洗浄機械の回転などの機械的な作用、またはボイラでの加熱などの熱伝導などによりエネルギーを加えることによって浸漬率を増加させることができる。本発明は、完全に材料を浸漬することに限定されないことに留意すべきである。
【0099】
最も効率的な方法によって疎水性の材料を浸漬させようとする場合の重要な制御パラメータは、保持時間、つまり非浸漬材料が容器に入る時間から材料が容器を出るまでの時間である。実質的に再循環が容器に発生しないため、本発明による装置により保持時間を高精度に制御することができる。したがって、容器を通るほぼ一定の流れにより全ての非浸漬材料が同じ保持時間を経験することを保証する。一般のパルパーと比較すると、パルプの大きい一片が長い保持時間を経験するのに対して、パルプの小さい一片は短い保持時間を経験する。例えばバイオマス分解のような利用において、酵素および/または化学物質の組み合わせで流体の侵入度を制御し、それにより分解を制御するため、保持時間は重大なパラメータとなる。保持時間を制御できない場合に、材料の異なる部分では非常に異なる侵入度となるだろう。
【0100】
容器内の渦流状態を最適化するために、異なるエネルギーを入力することができ、これは周囲の面への損失を最小限にすることにより渦流を安定させようとする。好ましい実施形態において、これは渦発生器と反対の壁を回転させることにより完成することができ、摩擦損失を最小化することができる。それに追加して、または単体の使用で、渦発生器を配置することができる容器から外に延在する流路を回転させることができ、これにより流路は渦発生器と共に共通の軸回りに回転し、それにより流路の内表面近くの境界層における流体摩擦を最小限にする。
【0101】
さらに、中心らせん渦の回転シリンダのような容器内に導入されたさらなる手段による容器内の渦へのエネルギー入力は、渦にエネルギーを加えるために使用されてもよい。
【0102】
また材料を容器の所定の位置にて所定の位置および速度および方向に導入することにより、上述したような非浸漬材料によって容器内の渦へエネルギーを入力することができる。非浸漬材料を渦へ配置させるよう構成されたさらなる手段はまたそれ自体、追加的なエネルギーを渦へ導入する能力を所有するように構成されることが可能であり、これは例えば渦にエネルギーを追加するプーリを有するまたは有さないコンベヤベルト(例えばコンベヤベルトについては図4参照)である。非浸漬材料の導入による、または非浸漬材料を渦に配置するよう構成された手段による渦の状態の最適化は、供給点における渦速度と実質的に平行に好ましくなされる。
【0103】
渦発生器が容器の外側、例えば流路内に配置される場合、容器内の流体は、容器内の流体および流路内の流体の間を流体継手を通じて渦中に強制的に流れ、流体継手によって接続されたこれら2つの流体の量、つまり流体間の面が決められている場合、流体接続は容器内の渦発生器と定義されることができる。
【0104】
本発明は特定の実施形態に関連して説明されているが、説明された例に限定された方法として解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって提示される。特許請求の範囲に照らして、「備えている」または「備える」という語句は、他の可能な要素またはステップを排除しない。また単数の記載は複数の形を排除していると解釈されるべきではない。図に示される要素に関する特許請求の範囲内での符号の使用も本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。さらに、異なる請求項に述べる個々の特徴は、好都合かつ好ましく組み合わせることが可能であり、かつ異なる請求項におけるこれらの特徴の記載は、特徴の組み合わせが不可能、および好都合でないことを排除するものではない。
【符号の説明】
【0105】
10 容器
14 底部
16 側壁
18 端壁
20 排出要素
22 ポンプ
24 分離器
26 再循環流れライン
30 漏斗
32 広い端部
34 狭い端部
36 切断要素
38 軸
40 流体接続部
42 物質出口
44 コンベヤベルト
46 コンベヤベルト
48 材料
52 流体供給
62 送り込み装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を処理するための装置であって、前記処理は、前記材料の切断、浸漬および/または洗浄を備え、前記装置は、
− 流体および処理される材料を収容するよう構成された入れ物を形成する壁要素を備える容器と、
− 上流にて前記容器の内部に流体連結し、かつ下流にて流体接続部に流体連結する排出要素と、を備え、
前記排出要素は、
− 渦発生器と、
− 前記容器から前記渦発生器へおよび前記下流の流体接続部の中へ材料と共に流体をポンプ送りするために配置されたポンプ手段と、を備え、
前記渦発生器およびポンプ手段は、組み合わせて前記流体内に円錐らせんの形の渦を生成するよう構成され、前記渦は前記容器内に延在する、装置。
【請求項2】
非浸漬材料を前記渦に配置するよう構成された手段を備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポンプ手段が前記渦発生器の下流に配置されている請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプ手段および前記渦発生器が同じ要素である請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記排出要素は、前記容器から外に延在する流路を備え、前記渦発生器は、前記流路の入口から見て前記流路内の下流に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記排出要素の前記流路が前記渦発生器へ向かって先細の漏斗形状である請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記排出要素の前記流路が一定の断面積を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
装置が、前記排出要素を通過した材料を含む流体の水流、および処理された材料をほとんど含まない流体の残留水流を分けるための分離器を備え、前記分離器は排出要素の下流、好ましくは前記ポンプ手段の下流に配置される請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記分離器が例えば1つまたは複数の遠心分離機のような脱水手段、または前記処理された材料を沈殿させるための手段を備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が前記容器から抽出された流体を前記容器へ供給する再循環流れラインを備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記残留流体が前記容器へ再循環されるような方法によって、前記流体の再循環流れラインが前記分離器に接続されている請求項7または8に従属する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも前記容器の前記底部を構成する前記壁要素が丸みを帯びた内部の形、例えば円柱を縦に切断したような形を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記容器の側面を構成する前記壁要素が平らな部材である請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記容器が内部に1つまたは複数の回転可能な要素を備え、および/または収納を形成する1つまたは複数の前記壁要素が回転可能である請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が1つの排出要素を備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が2つ以上の排出要素を備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記排出要素が同じ前記壁要素に互いに隣接して配置される請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記排出要素が反対の壁要素に互いに対向して配置される請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が処理された材料の加圧された水流を提供するよう構成されている請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記渦発生器が回転可能な切断要素を備え、前記切断要素は前記切断要素へ向かって流体内を流れる材料を切断するよう構成されている請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記切断要素が回転方向を指す刃先を有する半径方向に延在する複数の腕を備える請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の運転中に前記入れ物に収容される流体内に現れる、好ましくは噴流の、流体の流れを生成するよう構成された流体供給をさらに備える請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記流体供給の前記出口が前記流体の表面より下に配置された請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記流体供給が前記再循環流れラインの一部を形成する請求項10〜21のいずれか一項に従属する請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
前記流体供給が供給点における前記容器内の前記渦の速度に実質的に平行な方向に前記流体を供給するよう構成されている請求項22〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記容器の前記底部を構成する壁要素が水平方向に対して傾斜している請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記底部が内部で最も低い部分を有する位置に物質出口が設けられている請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記装置が、前記容器に収容される流体に処理される材料を供給するための送り込み装置をさらに備える請求項1〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記送り込み装置が前記容器に収容される流体へ処理される材料を、好ましくは前記流体の表面より下の位置に運ぶためのコンベヤ手段を備える請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記送り込み装置が、供給点における前記容器内の前記渦の速度に実質的に平行な方向に前記処理される材料を供給するよう構成されている請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記送り込み装置が、前記材料の前記容器内の供給点における前記流体の速度の少なくとも50%の速度、好ましくは実質的に同じ速度にて前記材料を供給するよう構成されている請求項28〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記送り込み装置が、前記流体が前記容器内にある場合に前記流体の表面より下に材料を供給するよう構成されている、またはさらに構成されている請求項28〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記送り込み装置が、前記流体が前記容器内にある場合に流体の前記表面より少なくとも100mm下に前記材料を供給するように構成されている、またはさらに構成されている請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記装置が、前記容器に供給されている前記材料の質量および/または前記材料の含水量を好ましくは連続的な方法により測定するための測定デバイスを備える請求項1〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記測定デバイスが前記送り込み装置内に配置されている、請求項28〜33のいずれか一項に従属する請求項34に記載の装置。
【請求項36】
処理される前記材料が、わら、草、トウモロコシの軸、木材等またはこれらの組み合わせからなるグループから選択される請求項1〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記材料の前記処理が、前記材料を発酵の影響を受けやすい状態にするよう少なくとも補助する処理または処理の組み合わせである請求項1〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか一項に記載の装置を運転する方法であって、
前記容器内の渦を円錐らせんの形に確立するように前記ポンプおよび前記渦発生器を制御するステップを備える方法。
【請求項39】
前記方法が、好ましくは前記容器内にある前記流体の表面より下に流体を前記容器に追加するステップを備える請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、前記容器内にある前記流体の表面より下に延在する噴流にて流体を前記容器に追加するステップを備える請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、前記流体が前記表面より下に追加されるように、または前記容器に追加される前記流体である流体の噴流が前記容器にある前記流体の表面より下に延在するように前記容器内の前記流体の水準を調整するステップを備える請求項38〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記方法が、前記排出要素を通り前記容器から抽出される流体の少なくともごく一部を再循環させるステップを備える請求項38〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記流体が前記容器内にあった場合に、再循環された前記ごく一部の流体が前記流体内にある材料から分離される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも前記容器内の水位の検出、前記容器に供給される水、前記容器に供給される前記材料の質量および前記材料の含水量に基づき前記容器から出る前記材料の含水量を決定するステップを備える請求項38〜43のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図1】
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【公表番号】特表2012−515070(P2012−515070A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544790(P2011−544790)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/DK2010/050005
【国際公開番号】WO2010/081478
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511169829)
【Fターム(参考)】