有機材料の評価装置及び評価方法
【課題】有機材料の内部の欠陥情報などを知る。
【解決手段】有機材料の評価装置であって、有機デバイスへ所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射部26と、所定のタイミングと電圧強度で電圧を印加する電圧パルス発生部20と、所定のタイミングで有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測部22を備える。装置制御部40が、それらの各部での条件、測定を制御し、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する。例えば、入射光のエネルギに対する有機材料のキャパシタンスの変化量を求めることで有機材料のバンドギャップ内準位の欠陥などに起因した深い準位を評価でき、デバイスの特性・信頼性を評価することが可能となる。
【解決手段】有機材料の評価装置であって、有機デバイスへ所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射部26と、所定のタイミングと電圧強度で電圧を印加する電圧パルス発生部20と、所定のタイミングで有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測部22を備える。装置制御部40が、それらの各部での条件、測定を制御し、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する。例えば、入射光のエネルギに対する有機材料のキャパシタンスの変化量を求めることで有機材料のバンドギャップ内準位の欠陥などに起因した深い準位を評価でき、デバイスの特性・信頼性を評価することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機材料や、有機材料を用いたデバイスの特性評価を行うための装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光材料や、有機半導体材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスや、有機半導体デバイスなどが注目され、盛んに研究開発が行われている。これらのデバイスは、有機材料に起因した劣化などが知られており、その信頼性を評価することは重要であるが、その評価は、各有機デバイスの出力を測定する方法が採用されている。すなわち、有機デバイスに駆動装置などの周辺部品を組み付けた後、これを実際に駆動させ、出力測定器を用いて各有機デバイスの出力を測定している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、有機ELディスプレイの信頼性の評価として一般的な手法として、作製したELディスプレイの発光輝度を測定することで、必要な輝度が得られない初期劣化ディスプレイを検出したり、輝度の経時変化から経時劣化ディスプレイを検出することが紹介されている。さらに、特許文献1では、評価をより簡易に実行するために、作製した有機EL素子の電流−電圧特性を計測し、その結果からEL素子の劣化状態を判断することが提案されている。
【0004】
特許文献2では、有機電子素子の特性を評価する方法として、スラブ型光導波路を利用したスペクトル測定手段と他の分析手段とを用い、両者の経時的な測定結果を対比して膜界面の化学状態を解析する方法が提案されている。
【0005】
特許文献3では、複数光励起の方法を用いて多層構成を持つ試料からの発光データを測定することにより、試料の各層からの発光や深さ方向の層欠陥や結晶性、不純物等のデータを正確かつ効率的に測定できることが記載されている。また、多層構造として、有機EL素子が適用できることが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4では、有機材料の数ナノメートルオーダーでの情報を光電子分光法で得ており、このような方法により、有機デバイスでの異種物質を接合したときの界面状態の評価への応用が指摘されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−348861号公報
【特許文献2】特開2005−77246号公報
【特許文献3】特開2004−85416号公報
【特許文献4】特開2004−279407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の手法では、測定時の有機デバイスの電流−電圧特性からデバイスの電気的な状態を把握することは可能であるが、有機膜内の詳細な状態、例えば有機材料のバンドギャップ内の欠陥準位等を評価することはできない。したがって、長期的な有機デバイスの信頼性を判断することはできない。
【0009】
特許文献2は、材料開発には適応できるが、有機材料を用いてデバイスを作製した後、提案された方法を採用してデバイス評価することはできない。特許文献3のような光学的な測定では、電気的な手法より感度が悪く、有機材料内のより詳細な状態を知ることはできない。また、特許文献4に提案された方法は、その方法によって予め接合状態を予測した有機材料を用いて有機デバイスを設計する場合に有意義であるが、実際に作製した有機デバイスの評価に用いることはできない。
【0010】
このように従来の提案では、予測される有機材料の特性を考慮して有機デバイスを設計し、そして、作製した有機デバイスについては、発光輝度、電流、電圧特性、寿命などを測定しているに過ぎない。このため、かなりの余裕を持たせて良品を選別しているのが現状である。
【0011】
そこで、本発明は、有機デバイス等に用いられる有機材料の中の状態を検出し、長期的な信頼性等の評価を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、有機材料の評価装置であって、有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射手段と、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加するための電圧パルス発生手段と、前記有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測手段と、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する対応関係検出手段と、を有し、検出した対応関係に基づき有機材料を評価する。
【0013】
本発明の他の態様では、有機材料の評価方法であって、単色光照射手段により、前記有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射し、電圧パルス発生手段により、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加し、インピーダンス計測手段により、前記有機材料のインピーダンスを検出し、前記パルス電圧印加後の所定波長の単色光照射環境下での前記インピーダンスに基づいて、照射した前記単色光の波長と、キャパシタンス又はコンダクタンスの変化率との対応関係に基づいて前記有機材料の特性を評価する。
【0014】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、所定タイミングで印加する前記パルス電圧による有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンスあるいはコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求める。
【0015】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、有機材料のキャリア追随性に応じて、100kHz以下の低周波の測定周波数で前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスを測定する。
【0016】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスの測定時に、前記電圧パルス発生手段から前記有機材料に印加される測定電圧は、有機材料の絶縁特性に応じたゼロバイアスレベル又はゼロバイアスレベル近傍とする。
【0017】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、前記照射する単色光は、その波長を長波長から短波長の順に変更し、前記有機材料のバンドギャップ内準位を、エネルギー的に浅い方向から深い方向へ順次検出する。
【0018】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、高速測定モードと、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モードとを有し、前記高速測定モードにおける長波長から短波長への波長ステップ幅は、前記詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく、前記高速測定モードにおいて、得られた入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、前記詳細測定モードでは、前記決定した分光波長領域に対し、長波長から短波長への波長ステップ幅を詳細モード用に切り替え、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の評価を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る評価装置および評価方法により、有機材料の中のダングリングボンドや欠陥のエネルギー準位、不純物準位(ドーピング準位)を検出することが可能となる。
【0020】
有機デバイスに用いる有機材料膜は、キャリア濃度やキャリア移動度が極めて小さく、また、エネルギーギャップが広く絶縁体に近い材料が多い。このため、通常の電気的あるいは物理的測定では、バンドギャップ内のダングリングボンドや欠陥のエネルギー準位及び不純物のドーピング準位に関する評価ができなかった。また、従来、有機材料中の深い準位を測定することの必要性について示唆もない。
【0021】
しかし、本発明によれば、単色光として、例えば、十分に波長分解能の高い単色光を照射し、インピーダンスを測定することで、バンドギャップ内欠陥準位、ドーピング準位などの光学励起に応じた、キャパシタンスあるいはコンダクタンスの過渡応答特性を求め、バンドギャップ内の欠陥準位やドーピング準位などを正確かつ確実に測定することが可能となる。
【0022】
さらに、有機材料やデバイスの通電劣化についても、バンドギャップ内の深い準位が主な原因と推測されるが、本発明の評価装置及び評価方法は、非破壊での測定が可能であり、有機デバイス完成後のバンドギャップ内の深い準位を実測することができる。駆動中に膜内に深い準位が増えるデバイスは、信頼性が乏しく規定のデバイス寿命を満足することができないが、本発明により、有機デバイス駆動前後のギャップ内の深い準位の変化(濃度、エネルギー位置)を検出することで、有機デバイスの高信頼品と低信頼品を選別することも容易となる。
【0023】
また、有機材料は、金属や半導体などと比べて絶縁性が高く、このような有機材料のキャリア追随性、或いは絶縁特性に応じてキャパシタンス等の測定周波数を100kHz以下に設定したり、電圧パルス発生手段が印加する信号の測定電圧をゼロバイアス付近とすることで、有機材料のバンドギャップ内準位を、正確に測定することができる。
【0024】
また、測定は、短時間内に実行することができ、特に、照射する単色光の分光強度を有機材料の光学励起特性に応じて調整したり、詳細測定モードにで測定する前に照射単色光の変更ピッチの大きい高速測定モードを実施する等により、無駄なく、かつ正確に有機材料のバンドギャップ内準位を測定することができる。さらに、通電劣化などの長期信頼性の観点から、材料選択・材料設計の指針を得ることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態)について説明する。
【0026】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る有機材料の評価装置及び評価方法は、有機ELや有機トランジスタなどの有機エレクトロニクス・デバイス全般に適用可能であるが、以下では有機EL素子に適用した場合の例を挙げて説明する。実施形態1では、有機材料の初期特性について評価している。
【0027】
図1は、本発明の実施形態1に係る評価装置の概略構成を示し、図2は、実施形態1に係る測定装置において実行される電圧パルス、分光照射、インピーダンス計測のタイミングを示している。
【0028】
まず、測定対象である有機EL素子10は、ガラス基板12上に、透明の金属酸化物電極(ITO:Indium Tin Oxide)14、Alq3を含む有機膜16、Al金属電極18を積層して形成されている。なお、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などと多層構造とした他の構造の有機EL素子を採用してもよい。
【0029】
評価装置は、電圧パルス発生部20、インピーダンス計測部22、単色光照射部26、装置制御部40を備える。電圧パルス発生部20は、所定の電圧パルスを金属電極18と透明電極14の間に印加し、インピーダンス計測部22は、所定のタイミングで走査電極18とデータ電極14の間のインピーダンスを計測する。単色光照射部26は、シャッターを備えており、この例では有機EL素子のガラス基板12側から透明電極14を透過して、有機膜16に、所定の波長強度の光を所定のタイミングで照射する。シャッターは、この有機膜16への照射タイミング(照射マスクタイミング)を制御している。
【0030】
電圧パルス発生部20、インピーダンス計測部22、単色光照射部26は、装置制御部(CPU)40によって制御されている。装置制御部40は、条件設定部/測定制御部42、対応関係演算部44、測定結果表示制御部46等を備える。
【0031】
条件設定部/測定制御部42が、単色光照射部26に対しては光照射のタイミング、波長、強度を設定制御し、電圧パルス発生部20に対しては電圧パルスの強度(電圧)、パルス期間、印加タイミングを制御する。また、インピーダンス計測部22に対しては、インピーダンス計測のタイミング等を制御する。この条件設定部/測定制御部42により所望の条件での測定が可能である。なお、測定条件の設定などは図示しない入力手段(キーボードなど)から指定することができる。対応関係演算部44は、インピーダンス計測部で計測されたインピーダンスの値を収集し、また、照射光データ(エネルギ換算値)、電圧パルスの印加タイミング、強度などのデータを得て、インピーダンスとの対応関係を演算・検出する。演算結果は、測定結果として表示制御部46の制御の下、例えば、図示しないモニターなどに表示することができ、また印刷することもできる。
【0032】
ここで、測定に用いた有機EL素子10は、以下のようにして形成した。まず、透明電極であるITO層14が、ガラス基板12上に形成されている基板を用意した。このような基板は市販されている。有機膜(発光層)16のAlq3の層と金属電極18のAl層は、真空蒸着法で形成した。
【0033】
また、有機膜(発光層)16として、Alq3に、ジメチル化キナクリドン(DMQd)をドープした有機EL素子も作製した。このドープ型の発光層は、Alq3とDMQdをそれぞれ別個のるつぼからレートモニタで蒸着速度をコントロールしながら真空蒸着を行う共蒸着法により形成する。Alq3:DMQdのレート比は、例えば100:1である。なお、電極は、所定の方法でパターニングする。例えば、金属電極18については蒸着時に蒸着マスクを用いて所望形状にすることができる。なお、図4には、本実施形態において、有機層の材料として用いたAlq3とDMQdの分子構造を示す。
【0034】
このようにして作製された有機EL素子10に対し、図2に示すようなタイミングで測定を実行する。まず、シャッターにより光を遮断した暗中状態で、透明電極14と金属電極18との間に順方向電圧パルスを数マイクロ秒から数十秒印加することで、有機膜16のバンドギャップ内準位に電荷注入を行う。ここで、有機EL素子10は電気的には電流駆動型のダイオード構造を備えており、一例として透明電極14を陽極とし、金属電極18を陰極とし、この陽極陰極間に図2(a)のような順方向の電圧パルスを印加する。パルスの電圧値Vp、パルス幅Wpは、測定対象である有機材料への電荷注入性に応じて設定することができる。なお、実際に有機材料に印加される電圧値Vpは、本実施形態においては、測定電圧に対して負極性である。
【0035】
パルス電圧印加後、透明電極14と金属電極18に印加する電圧を測定電圧とし、その後、シャッターを開けて、所定の波長の単色光を有機膜16に一定時間照射する。単色光を照射することで有機層の有機材料は、図3に示すようなバンドギャップ内で、LUMOレベルに近い浅い準位が非常に短時間に熱励起し、続いて光学励起が発生する。この光学励起は、本実施形態において測定しようとするバンドギャップの深い準位からの励起を含んでいる。インピーダンス計測部22は、この熱励起及び光励起に基づく有機膜16のキャパシタンスCの時間応答(変化量)を計測する(図2(d)参照)。
【0036】
ここで、インピーダンスの測定周波数と、測定電圧は、測定対象である有機材料(ここではAlq3、DMQd)のキャリア追随性や絶縁性を考慮し、測定周波数は1kHz程度以下の低周波とし、測定電圧はゼロバイアスまたはゼロバイアス付近とすることが好適である。
【0037】
以上のような測定により、所定の波長の光照射に対するキャパシタンスの比の関係が得られる。この測定を、照射する単色光の波長を図2(b)に示すように、所望のステップ幅だけ長波長側から低波長側に変更して、順次繰り返すことで、対応関係演算部44は、有機材料への入射光のエネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を得ることができる。
【0038】
図5は、このようにして得られる入射光エネルギー(eV)とキャパシタンス(ΔC/C[10-3])の変化量の関係を示す。なお、キャパシタンスCは、基準状態(暗状態かつ、非電荷注入状態)での値であり、ΔCは、光学励起時におけるキャパシタンス変化量である。
【0039】
図5(a)は有機層をAlq3単独で構成した場合、図5(b)は、Alq3にDMQdをドープした場合のそれぞれの関係図であり、キャリア注入量を、電圧パルスのパルス幅Wpを10ms、100msとした場合の特性を示している。
【0040】
まず図5(a)に示すように、Alq3の場合、ダブルキャリア(陽極からの正孔、陰極からの電子)の注入量(Wp:10ms、100ms)に依存せず、ミッドギャップ位置に再結合中心Dが存在する。つまり、電気的に中性のダングリングボンド欠陥準位が存在することが理解できる。また、図5(a)より、このDで示されるAlq3のギャップ内の深い準位が、伝導帯下1.4eVにあることがわかる。
【0041】
これに対し、図5(b)に示すようにAlq3にDMQd(Qa)をドープすると、Qa特有のドーピング準位(E2:HOMO)が現れることがわかる。また、ダングリングボンド(再結合中心)Dは、図5(a)と比較してE2準位(HOMO)側、つまり浅い準位へと若干シフトする。具体的には、この再結合中心Dの準位は、Alq3膜に比べて、DMQd特有のドーピング準位E2(伝導体下2.4eV)側へ若干深くなっている(1.5eV)。また、このシフト量は、ダブルキャリア注入量に依存しており注入量が多くなるとシフト量が大きくなっている。
【0042】
このように、本実施形態の評価方法により、有機材料を用いた有機膜内の再結合中心や欠陥に起因した深い準位の検出ができ、またドーパントとの相互作用(ドーピング効果)の検証が可能となることがわかる。もちろん、このような測定は非破壊で、かつデバイスを作製した状態で実行することができる。
【0043】
[実施形態2]
図6に、実施形態2に係る測定対象及び評価装置の構成を示す。評価装置の構成は実施形態1と同じであるが、測定対象を有機ELディスプレイ30とした。また、実施形態2では、このようなディスプレイの通電劣化前後の特性を評価しており、図7は、このディスプレイ30の通電劣化前後の特性評価結果を示す。なお、初期特性は、実施形態1と同様にして測定できる。
【0044】
有機ELディスプレイ30は、各画素に実施形態1で説明したような有機EL素子10が構成されており、この例では、この有機ELディスプレイ30は、パッシブ駆動型で、透明の酸化物電極(ITO)とAl金属電極が互いに直交し、128×64の発光画素が形成されている。なお、図6に示す交差するデータ電極34、走査電極32は、どちらが上記透明電極、金属電極でも良いが、ここでは、データ電極34を透明電極、走査電極32を金属電極とした。実施形態1と同様、一例としてダイオード構造の有機EL素子の透明電極を陽極、金属電極を陰極としている。有機EL素子の構成は、図1と同じであり説明を省略する。ディスプレイとして、図1と相違する点は、主として、データ電極34(透明電極)、走査電極32(金属電極)を互いに直交するストライプ形状にパターニングする点である。なお、各画素に有機EL素子と、これを制御するトランジスタなどを備えるいわゆるアクティブマトリクス駆動型のディスプレイの評価も可能である。
【0045】
電圧パルス発生部20は、有機ELディスプレイ30の走査電極32とデータ電極34の間に所定の電圧パルスを印加し、インピーダンス計測部22が、この電極間(有機層)のインピーダンスを所定のタイミングで計測する。このときに、任意の走査電極32とデータ電極34を順次切り替えることによって、有機ELディスプレイ30の全ての画素の有機膜を評価することができる。シャッター付きの単色光照射部26は、有機ELディスプレイ30の有機層に、例えばそのガラス基板側から透明なデータ電極34を透過して、所定の波長強度の単色光を照射する。また、シャッターにより、照射タイミングを制御する。なお、この照射部26は、有機ELディスプレイ30の表示部(画素部)の全面に光が均一強度で照射されるようにレンズ機構などにより調整されている。
【0046】
装置制御部40は、実施形態1と同様、条件設定部/測定制御部42が、単色光照射部26に対しては光照射のタイミング、波長、強度を設定制御し、電圧パルス発生部20に対しては電圧パルスの強度(電圧)、パルス期間、印加タイミングを制御する。また、インピーダンス計測部22に対しては、インピーダンス計測のタイミング等を制御する。この条件設定部/測定制御部42により所望の条件での測定が可能である。測定条件の設定などは図示しない入力手段(キーボードなど)から指定することができる。対応関係演算部44は、インピーダンス計測部22で計測されたインピーダンスの値を収集し、また、照射光データ(エネルギ換算値)、電圧パルスの印加タイミング、強度などのデータを得て、インピーダンスとの対応関係を演算する。演算結果は、測定結果として表示制御部46の制御の下、例えば、図示しないモニターなどに表示等される。
【0047】
この評価を任意の走査電極32とデータ電極34を順次切り替えることによって、有機ELディスプレイ30の全ての画素の評価を行う。さらに、得られた対応関係から、バンドギャップ内の準位を求め、信頼性に悪影響を与える深い準位があるディスプレイを、良品判断部48が選別することができる。なお、装置オペレータがこの良品判定を実行しても良い。
【0048】
次に図7を参照して、このような有機ELディスプレイ30の通電劣化前後の特性評価結果について説明する。図7は、ディスプレイ30のある画素の初期状態(before)と、電圧を印加し画素に電流(電荷注入)の負荷をかけたとき(after: 通電劣化後)における、入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示している。なお、パルス電圧は、測定時のレベル0Vに対し、パルス電圧値Vpを−5V、パルス幅Wpを10msとした。また、データ電極34と走査電極32の間に−10Vの電圧を順方向となるように印加することで通電劣化させた。なお、図7(a)は、有機層をAlq3単独のディスプレイ、図7(b)はAlq3にDMQdをドープしたディスプレイの特性である。
【0049】
図7(b)に示すように、DMQdドープのAlq3発光層を有する有機ELディスプレイにおいて、Alq3発光層にDMQdをドーピングすると、光励起しきい値から再結合中心Dまでのキャパシタンス変化量で表されるダングリング欠陥濃度は増加する(weak bonds切断)。しかし、ダングリングボンド(再結合中心)の準位が、電流(電荷注入)の負荷をかけると(通電劣化後)、ドーピング準位E2側に大きくシフトする(伝導帯下2eV)。ドーピング準位E2は変化せず、Dのエネルギー位置がこのE2準位側に大きくシフトし、Alq3:DMQdの再結合効率、つまり欠陥などによるキャリアのトラップ確率が低下することがわかる。
【0050】
一方、図7(a)に示すように、Alq3発光層のみのディスプレイでは、電流(電荷注入)の負荷をかけても、ダングリングボンド(再結合中心)の準位は変化せず、キャパシタンス変化量に相当する欠陥濃度のみが増加することがわかる。つまり、欠陥エネルギ位置は、通電劣化させても変化せず深い準位のままである一方で、weak bondsの切断により欠陥濃度のみ増加し、再結合率が極めて高くなり、発光効率が低下することが理解できる。
【0051】
ここで、Alq3発光層のみの有機EL素子は、DMQdドープの素子に比べて素子の寿命が短いことが知られているが、これは、図7の結果より、電流(電荷注入)の負荷をかけた場合に、ダングリングボンド(再結合中心)のエネルギー準位が変化しない画素では、長期的な信頼性が乏しいことになる。つまり、Alq3等の有機発光材料について、その発光効率の長期信頼性は、ダングリングボンド欠陥の特徴(ドーピング効果)により決定されていることが図7からわかる。
【0052】
従って、本実施形態のような評価を行うことで、有機材料膜において、電流(電荷注入)の負荷をかけたときのダングリングボンド準位(再結合中心)の変化(濃度、エネルギー位置、ドーピング準位)から、そのような有機材料の薄膜を用いた有機デバイスの信頼性を判断できることがわかる。もちろん、上述のように、ドービングによる効果も確実かつ簡単に評価することが可能となる。
【0053】
[実施形態3]
次に、図8を参照して、より高速に有機材料を評価するための方法について説明する。この方法では、高速測定モード(S1〜S6)と、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モード(S7〜S11)とを設け、高速測定モード(前測定)での波長ステップ幅を詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく設定し、まず、測定対象である有機材料のエネルギー−変化率の全体スペクトルを取得するのである。そして、有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、この分光波長領域に対し、詳細測定モード(本測定)にて測定を実行する。なお、上記実施形態1、2において説明した測定に適用することができる。
【0054】
具体的には、以下の通りである。
【0055】
まず、分光照射の測定開始波長と終了波長を例えばオペレータなどが設定する(S1)。ここで、波長領域は、有機半導体のバンドギャップに相当する広い範囲を指定する。分光照射波長範囲が設定されると、例えば条件設定部/測定制御部42が、その範囲をエネルギー値に換算し、例えば0.2eVの等間隔になるように各掃引波長(波長ステップ幅)を決定する(S2)。なお、間隔は分光照射波長範囲などに応じて決定する。また、例えば条件設定部/測定制御部42が、分光照射時の静電容量/コンダクタンスの測定時間を例えば30秒に設定する(S3)。この測定時間は、測定対象となる有機材料の予想されるバンドギャップ幅にもよるが、少なくとも熱励起の後に起こる光学励起がある程度発生する程度の短時間とする。
【0056】
上記の条件で、インピーダンス計測部22は、インピーダンスを計測し、対応関係演算部44は、各波長における分光照射時の静電容量/コンダクタンスの変化率を求め(S4)、分光照射エネルギー−変化率の全体スペクトルを取得する(S5)。そして、その全体スペクトルは、表示又は印刷され、また、装置制御部40が自動的に、又はオペレータが所望のエネルギー準位範囲を抽出する(S6)。
【0057】
次に、詳細測定モードを実行する。まず、所望のエネルギー範囲に相当する分光照射の測定開始波長と終了波長を設定する(S7)。この所望のエネルギ準位範囲は、分光照射エネルギー−変化率の全体スペクトルから予想される光励起しきい値から再結合準位までを少なくとも含むように設定することができる(図5,7参照)。設定後、例えば条件設定部/測定制御部42が、分光照射波長範囲をエネルギー値に換算し、例えば十分な測定精度が達成される0.01eVの等間隔になるように各掃引波長を決定する(S8)。また、分光照射時の静電容量/コンダクタンスの測定時間は、電荷注入後に図2(d)に示すように光励起が発生し、励起が停止するまでの期間(有機材料の絶縁特性などに応じて異なる)に設定することが好適であり、例えば300秒に設定する(S9)。次に、上記の条件で、インピーダンス計測部22はインピーダンスを計測し、対応関係演算部44は、各波長における分光照射時の静電容量/コンダクタンスの変化率を求め(S10)、所望のエネルギー準位に関する分光照射エネルギー−変化率の詳細スペクトルを取得する(S11)。
【0058】
以上のように本測定の前に、大まかなスペクトルを得ることで再結合中心準位等を重点的に詳細に測定すれば短時間に有機材料の評価を実行できる。有機材料は、上述のように絶縁性が高いため、光励起の停止までの時間が、例えば無機半導体などの場合と比較して長く、このような多段階の測定を実行することは非常に有効である。
【0059】
また、有機材料に照射する単色光の分光強度についても、照射部26のレンズ機構などによって可変とし、有機材料の光学励起特性(絶縁特性に関連する)に応じて強度を変更することでより高速測定が可能となる。光学励起特性、つまり、励起の開始から終了までの期間が長い有機材料に対しては分光強度を高めれば測定の高速化を実現できる。
【0060】
[実施形態4]
次に、有機材料に対する注入電荷エネルギを変更した場合の評価の例を示す。図9は、実施形態1の有機EL素子において、有機層としてAlq3発光層を用い、パルス電圧のパルス幅Wpは10msで一定とし、電圧値Vpを0V、−1V、−3V、−5V、−7Vに設定した特性を示している。図10は、図9の有機材料のバンドギャップ準位内における様子を説明している。
【0061】
図9からは、パルス電圧値0V、つまり、電荷を注入しない状況下でも、単なるキャリア・トラップではなく再結合中心(RGcenter)として振る舞うD準位が存在していることが理解できる。つまり、このD準位は、Alq3膜にホールを注入したことに起因した劣化現象により新たに形成されたのではなく、Alq3膜に存在するintrinsicな欠陥、言い換えると、これは、電気的に中性なダングリングボンド欠陥準位である。この結果から、本実施形態のような評価方法を採用することで有機材料に本来的な(intrinsicな)劣化現象を検討できることがわかる。
【0062】
次に、さらに、別の評価方法を説明する。測定対象は実施形態1と同様の有機EL素子であり、透明電極14には、厚さ150nmのITOを用い、有機膜16にはDMQdをドープしたAlq3膜(厚さ100nm)を用い、有機膜16と金属電極18の間に電子注入層としてLiFを0.5nm形成し、金属電極18にはAlを2.5mmの厚さに形成した。
【0063】
まず、図11は、上記図9に示すように注入電圧(バイアス電圧)を変化させた場合のインピーダンス変化(図11(a))、バイアス電圧(V)とキャパシタンスとの関係を示す。また図11(c)は、この場合のエネルギギャップを示している。なお、インピーダンス測定周波数は、1kHzとした。
【0064】
インピーダンスは、傾きは維持したまま(0.5)、バイアス電圧の上昇に従って低下している。図11(b)に示されるように、有機膜へのバイアス電圧が4V〜−1Vの範囲では有機膜のキャパシタンスは、ほとんど変化しないが、−1Vより低くなるとAl電極からの電子の注入が起き、キャパシタンスが少し上昇する。−3V程度より低くなるとITOから有機層への正孔注入が起き(ダブルキャリア注入)、電荷が中和されてキャパシタンスは低下する。−5Vで最小値となり、それより低くなると再びキャパシタンスは上昇している。このようなキャパシタンス特性図により、この有機EL素子への電荷注入モードなどの電気特性を評価することができる。
【0065】
図12は、実施形態2において説明した有機EL素子(ディスプレイ)に対し、−10Vのバイアス電圧により通電劣化させる前後におけるインピーダンス特性を示している。なお、図12(a)は、有機層として、Alq3単独、図12(b)は、Alq3にDMQdをドープした時のインピーダンス特性である。図12の結果から、Alq3にDMQdをドープすることで、通電劣化前後におけるインピーダンス特性についても、Alq3単独有機膜の場合に対して特性が変化していることがわかる。つまり、図7に示したような入射エネルギーに対するキャパシタンス変化率だけでなく、インピーダンスからも有機材料、ドープ材料に固有の特性を判断できる。
【0066】
図13は、実施形態2において説明した有機EL素子(ディスプレイ)に対し、−10Vのバイアス電圧により通電劣化させる前後で、パルス電圧の電圧値Vp(注入電荷)を変えたときのキャパシタンス特性を示している。また、図14は同様の条件で測定した時のコンダクタンス特性を示している。なお、図13(a)、図14(a)は、有機膜としてAlq3単独、図13(b)、図14(b)は、有機膜としてAlq3にDMQdをドーブした場合の特性であり、何れもインピーダンス測定周波数は、1kHzである。
【0067】
これら図13,14の結果からも、有機層として、Alq3単独の場合のときと、Alq3にDMQdをドープしたときに、パルス電圧値の変化に対する特性が異なることが評価できる。また、通電劣化させた場合における特性もそれぞれ異なる変化を示している。以上のことから、有機材料への注入電荷と、キャパシタンスと対応関係、及び注入電荷とコンダクタンスとの対応関係からも、有機材料の特性を評価することができ、さらに、上記実施形態1,2で説明したようなキャパシタンスの変化量と照射エネルギとの関係をさらに参照することで、有機半導体内部の欠陥などのエネルギ状態を様々な観点で評価できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態1に係る評価装置、評価対象を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る測定のタイミングを示す図である。
【図3】有機材料のバンドギャップ準位の概念図である。
【図4】有機材料として用いるAlq3,DMQdの分子構造を示す図である。
【図5】入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る評価装置及び評価対象を示す図である。
【図7】画素の初期状態と、通電劣化後の、入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態3に係る測定手順を示す図である。
【図9】本発明の実施形態において通電劣化状態を変えたときの入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示す図である。
【図10】図9のエネルギー準位の概念図である。
【図11】本発明の実施形態において有機層への注入電荷を変化させたときのインピーダンス、キャパシタンス特性を示す図である。
【図12】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のインピーダンス特性を示す図である。
【図13】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のキャパシタンス特性を示す図である。
【図14】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のコンダクタンス特性を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 有機EL素子、12 ガラス基板、14 透明電極、16 有機膜、18 金属電極、20 電圧パルス発生部、22 インピーダンス計測部、26 (シャッター付き)単色光照射部、30 有機ELディスプレイ、32 走査電極、34 データ電極、40 装置制御部(CPU)、42 条件設定部/測定制御部、44 対応関係演算部、46 測定結果表示制御部、48 良品判断部。
【技術分野】
【0001】
有機材料や、有機材料を用いたデバイスの特性評価を行うための装置、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光材料や、有機半導体材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスや、有機半導体デバイスなどが注目され、盛んに研究開発が行われている。これらのデバイスは、有機材料に起因した劣化などが知られており、その信頼性を評価することは重要であるが、その評価は、各有機デバイスの出力を測定する方法が採用されている。すなわち、有機デバイスに駆動装置などの周辺部品を組み付けた後、これを実際に駆動させ、出力測定器を用いて各有機デバイスの出力を測定している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、有機ELディスプレイの信頼性の評価として一般的な手法として、作製したELディスプレイの発光輝度を測定することで、必要な輝度が得られない初期劣化ディスプレイを検出したり、輝度の経時変化から経時劣化ディスプレイを検出することが紹介されている。さらに、特許文献1では、評価をより簡易に実行するために、作製した有機EL素子の電流−電圧特性を計測し、その結果からEL素子の劣化状態を判断することが提案されている。
【0004】
特許文献2では、有機電子素子の特性を評価する方法として、スラブ型光導波路を利用したスペクトル測定手段と他の分析手段とを用い、両者の経時的な測定結果を対比して膜界面の化学状態を解析する方法が提案されている。
【0005】
特許文献3では、複数光励起の方法を用いて多層構成を持つ試料からの発光データを測定することにより、試料の各層からの発光や深さ方向の層欠陥や結晶性、不純物等のデータを正確かつ効率的に測定できることが記載されている。また、多層構造として、有機EL素子が適用できることが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4では、有機材料の数ナノメートルオーダーでの情報を光電子分光法で得ており、このような方法により、有機デバイスでの異種物質を接合したときの界面状態の評価への応用が指摘されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−348861号公報
【特許文献2】特開2005−77246号公報
【特許文献3】特開2004−85416号公報
【特許文献4】特開2004−279407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の手法では、測定時の有機デバイスの電流−電圧特性からデバイスの電気的な状態を把握することは可能であるが、有機膜内の詳細な状態、例えば有機材料のバンドギャップ内の欠陥準位等を評価することはできない。したがって、長期的な有機デバイスの信頼性を判断することはできない。
【0009】
特許文献2は、材料開発には適応できるが、有機材料を用いてデバイスを作製した後、提案された方法を採用してデバイス評価することはできない。特許文献3のような光学的な測定では、電気的な手法より感度が悪く、有機材料内のより詳細な状態を知ることはできない。また、特許文献4に提案された方法は、その方法によって予め接合状態を予測した有機材料を用いて有機デバイスを設計する場合に有意義であるが、実際に作製した有機デバイスの評価に用いることはできない。
【0010】
このように従来の提案では、予測される有機材料の特性を考慮して有機デバイスを設計し、そして、作製した有機デバイスについては、発光輝度、電流、電圧特性、寿命などを測定しているに過ぎない。このため、かなりの余裕を持たせて良品を選別しているのが現状である。
【0011】
そこで、本発明は、有機デバイス等に用いられる有機材料の中の状態を検出し、長期的な信頼性等の評価を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、有機材料の評価装置であって、有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射手段と、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加するための電圧パルス発生手段と、前記有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測手段と、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する対応関係検出手段と、を有し、検出した対応関係に基づき有機材料を評価する。
【0013】
本発明の他の態様では、有機材料の評価方法であって、単色光照射手段により、前記有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射し、電圧パルス発生手段により、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加し、インピーダンス計測手段により、前記有機材料のインピーダンスを検出し、前記パルス電圧印加後の所定波長の単色光照射環境下での前記インピーダンスに基づいて、照射した前記単色光の波長と、キャパシタンス又はコンダクタンスの変化率との対応関係に基づいて前記有機材料の特性を評価する。
【0014】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、所定タイミングで印加する前記パルス電圧による有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンスあるいはコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求める。
【0015】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、有機材料のキャリア追随性に応じて、100kHz以下の低周波の測定周波数で前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスを測定する。
【0016】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスの測定時に、前記電圧パルス発生手段から前記有機材料に印加される測定電圧は、有機材料の絶縁特性に応じたゼロバイアスレベル又はゼロバイアスレベル近傍とする。
【0017】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、前記照射する単色光は、その波長を長波長から短波長の順に変更し、前記有機材料のバンドギャップ内準位を、エネルギー的に浅い方向から深い方向へ順次検出する。
【0018】
本発明の他の態様では、上記装置又は方法において、高速測定モードと、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モードとを有し、前記高速測定モードにおける長波長から短波長への波長ステップ幅は、前記詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく、前記高速測定モードにおいて、得られた入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、前記詳細測定モードでは、前記決定した分光波長領域に対し、長波長から短波長への波長ステップ幅を詳細モード用に切り替え、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の評価を行う。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る評価装置および評価方法により、有機材料の中のダングリングボンドや欠陥のエネルギー準位、不純物準位(ドーピング準位)を検出することが可能となる。
【0020】
有機デバイスに用いる有機材料膜は、キャリア濃度やキャリア移動度が極めて小さく、また、エネルギーギャップが広く絶縁体に近い材料が多い。このため、通常の電気的あるいは物理的測定では、バンドギャップ内のダングリングボンドや欠陥のエネルギー準位及び不純物のドーピング準位に関する評価ができなかった。また、従来、有機材料中の深い準位を測定することの必要性について示唆もない。
【0021】
しかし、本発明によれば、単色光として、例えば、十分に波長分解能の高い単色光を照射し、インピーダンスを測定することで、バンドギャップ内欠陥準位、ドーピング準位などの光学励起に応じた、キャパシタンスあるいはコンダクタンスの過渡応答特性を求め、バンドギャップ内の欠陥準位やドーピング準位などを正確かつ確実に測定することが可能となる。
【0022】
さらに、有機材料やデバイスの通電劣化についても、バンドギャップ内の深い準位が主な原因と推測されるが、本発明の評価装置及び評価方法は、非破壊での測定が可能であり、有機デバイス完成後のバンドギャップ内の深い準位を実測することができる。駆動中に膜内に深い準位が増えるデバイスは、信頼性が乏しく規定のデバイス寿命を満足することができないが、本発明により、有機デバイス駆動前後のギャップ内の深い準位の変化(濃度、エネルギー位置)を検出することで、有機デバイスの高信頼品と低信頼品を選別することも容易となる。
【0023】
また、有機材料は、金属や半導体などと比べて絶縁性が高く、このような有機材料のキャリア追随性、或いは絶縁特性に応じてキャパシタンス等の測定周波数を100kHz以下に設定したり、電圧パルス発生手段が印加する信号の測定電圧をゼロバイアス付近とすることで、有機材料のバンドギャップ内準位を、正確に測定することができる。
【0024】
また、測定は、短時間内に実行することができ、特に、照射する単色光の分光強度を有機材料の光学励起特性に応じて調整したり、詳細測定モードにで測定する前に照射単色光の変更ピッチの大きい高速測定モードを実施する等により、無駄なく、かつ正確に有機材料のバンドギャップ内準位を測定することができる。さらに、通電劣化などの長期信頼性の観点から、材料選択・材料設計の指針を得ることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態)について説明する。
【0026】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る有機材料の評価装置及び評価方法は、有機ELや有機トランジスタなどの有機エレクトロニクス・デバイス全般に適用可能であるが、以下では有機EL素子に適用した場合の例を挙げて説明する。実施形態1では、有機材料の初期特性について評価している。
【0027】
図1は、本発明の実施形態1に係る評価装置の概略構成を示し、図2は、実施形態1に係る測定装置において実行される電圧パルス、分光照射、インピーダンス計測のタイミングを示している。
【0028】
まず、測定対象である有機EL素子10は、ガラス基板12上に、透明の金属酸化物電極(ITO:Indium Tin Oxide)14、Alq3を含む有機膜16、Al金属電極18を積層して形成されている。なお、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などと多層構造とした他の構造の有機EL素子を採用してもよい。
【0029】
評価装置は、電圧パルス発生部20、インピーダンス計測部22、単色光照射部26、装置制御部40を備える。電圧パルス発生部20は、所定の電圧パルスを金属電極18と透明電極14の間に印加し、インピーダンス計測部22は、所定のタイミングで走査電極18とデータ電極14の間のインピーダンスを計測する。単色光照射部26は、シャッターを備えており、この例では有機EL素子のガラス基板12側から透明電極14を透過して、有機膜16に、所定の波長強度の光を所定のタイミングで照射する。シャッターは、この有機膜16への照射タイミング(照射マスクタイミング)を制御している。
【0030】
電圧パルス発生部20、インピーダンス計測部22、単色光照射部26は、装置制御部(CPU)40によって制御されている。装置制御部40は、条件設定部/測定制御部42、対応関係演算部44、測定結果表示制御部46等を備える。
【0031】
条件設定部/測定制御部42が、単色光照射部26に対しては光照射のタイミング、波長、強度を設定制御し、電圧パルス発生部20に対しては電圧パルスの強度(電圧)、パルス期間、印加タイミングを制御する。また、インピーダンス計測部22に対しては、インピーダンス計測のタイミング等を制御する。この条件設定部/測定制御部42により所望の条件での測定が可能である。なお、測定条件の設定などは図示しない入力手段(キーボードなど)から指定することができる。対応関係演算部44は、インピーダンス計測部で計測されたインピーダンスの値を収集し、また、照射光データ(エネルギ換算値)、電圧パルスの印加タイミング、強度などのデータを得て、インピーダンスとの対応関係を演算・検出する。演算結果は、測定結果として表示制御部46の制御の下、例えば、図示しないモニターなどに表示することができ、また印刷することもできる。
【0032】
ここで、測定に用いた有機EL素子10は、以下のようにして形成した。まず、透明電極であるITO層14が、ガラス基板12上に形成されている基板を用意した。このような基板は市販されている。有機膜(発光層)16のAlq3の層と金属電極18のAl層は、真空蒸着法で形成した。
【0033】
また、有機膜(発光層)16として、Alq3に、ジメチル化キナクリドン(DMQd)をドープした有機EL素子も作製した。このドープ型の発光層は、Alq3とDMQdをそれぞれ別個のるつぼからレートモニタで蒸着速度をコントロールしながら真空蒸着を行う共蒸着法により形成する。Alq3:DMQdのレート比は、例えば100:1である。なお、電極は、所定の方法でパターニングする。例えば、金属電極18については蒸着時に蒸着マスクを用いて所望形状にすることができる。なお、図4には、本実施形態において、有機層の材料として用いたAlq3とDMQdの分子構造を示す。
【0034】
このようにして作製された有機EL素子10に対し、図2に示すようなタイミングで測定を実行する。まず、シャッターにより光を遮断した暗中状態で、透明電極14と金属電極18との間に順方向電圧パルスを数マイクロ秒から数十秒印加することで、有機膜16のバンドギャップ内準位に電荷注入を行う。ここで、有機EL素子10は電気的には電流駆動型のダイオード構造を備えており、一例として透明電極14を陽極とし、金属電極18を陰極とし、この陽極陰極間に図2(a)のような順方向の電圧パルスを印加する。パルスの電圧値Vp、パルス幅Wpは、測定対象である有機材料への電荷注入性に応じて設定することができる。なお、実際に有機材料に印加される電圧値Vpは、本実施形態においては、測定電圧に対して負極性である。
【0035】
パルス電圧印加後、透明電極14と金属電極18に印加する電圧を測定電圧とし、その後、シャッターを開けて、所定の波長の単色光を有機膜16に一定時間照射する。単色光を照射することで有機層の有機材料は、図3に示すようなバンドギャップ内で、LUMOレベルに近い浅い準位が非常に短時間に熱励起し、続いて光学励起が発生する。この光学励起は、本実施形態において測定しようとするバンドギャップの深い準位からの励起を含んでいる。インピーダンス計測部22は、この熱励起及び光励起に基づく有機膜16のキャパシタンスCの時間応答(変化量)を計測する(図2(d)参照)。
【0036】
ここで、インピーダンスの測定周波数と、測定電圧は、測定対象である有機材料(ここではAlq3、DMQd)のキャリア追随性や絶縁性を考慮し、測定周波数は1kHz程度以下の低周波とし、測定電圧はゼロバイアスまたはゼロバイアス付近とすることが好適である。
【0037】
以上のような測定により、所定の波長の光照射に対するキャパシタンスの比の関係が得られる。この測定を、照射する単色光の波長を図2(b)に示すように、所望のステップ幅だけ長波長側から低波長側に変更して、順次繰り返すことで、対応関係演算部44は、有機材料への入射光のエネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を得ることができる。
【0038】
図5は、このようにして得られる入射光エネルギー(eV)とキャパシタンス(ΔC/C[10-3])の変化量の関係を示す。なお、キャパシタンスCは、基準状態(暗状態かつ、非電荷注入状態)での値であり、ΔCは、光学励起時におけるキャパシタンス変化量である。
【0039】
図5(a)は有機層をAlq3単独で構成した場合、図5(b)は、Alq3にDMQdをドープした場合のそれぞれの関係図であり、キャリア注入量を、電圧パルスのパルス幅Wpを10ms、100msとした場合の特性を示している。
【0040】
まず図5(a)に示すように、Alq3の場合、ダブルキャリア(陽極からの正孔、陰極からの電子)の注入量(Wp:10ms、100ms)に依存せず、ミッドギャップ位置に再結合中心Dが存在する。つまり、電気的に中性のダングリングボンド欠陥準位が存在することが理解できる。また、図5(a)より、このDで示されるAlq3のギャップ内の深い準位が、伝導帯下1.4eVにあることがわかる。
【0041】
これに対し、図5(b)に示すようにAlq3にDMQd(Qa)をドープすると、Qa特有のドーピング準位(E2:HOMO)が現れることがわかる。また、ダングリングボンド(再結合中心)Dは、図5(a)と比較してE2準位(HOMO)側、つまり浅い準位へと若干シフトする。具体的には、この再結合中心Dの準位は、Alq3膜に比べて、DMQd特有のドーピング準位E2(伝導体下2.4eV)側へ若干深くなっている(1.5eV)。また、このシフト量は、ダブルキャリア注入量に依存しており注入量が多くなるとシフト量が大きくなっている。
【0042】
このように、本実施形態の評価方法により、有機材料を用いた有機膜内の再結合中心や欠陥に起因した深い準位の検出ができ、またドーパントとの相互作用(ドーピング効果)の検証が可能となることがわかる。もちろん、このような測定は非破壊で、かつデバイスを作製した状態で実行することができる。
【0043】
[実施形態2]
図6に、実施形態2に係る測定対象及び評価装置の構成を示す。評価装置の構成は実施形態1と同じであるが、測定対象を有機ELディスプレイ30とした。また、実施形態2では、このようなディスプレイの通電劣化前後の特性を評価しており、図7は、このディスプレイ30の通電劣化前後の特性評価結果を示す。なお、初期特性は、実施形態1と同様にして測定できる。
【0044】
有機ELディスプレイ30は、各画素に実施形態1で説明したような有機EL素子10が構成されており、この例では、この有機ELディスプレイ30は、パッシブ駆動型で、透明の酸化物電極(ITO)とAl金属電極が互いに直交し、128×64の発光画素が形成されている。なお、図6に示す交差するデータ電極34、走査電極32は、どちらが上記透明電極、金属電極でも良いが、ここでは、データ電極34を透明電極、走査電極32を金属電極とした。実施形態1と同様、一例としてダイオード構造の有機EL素子の透明電極を陽極、金属電極を陰極としている。有機EL素子の構成は、図1と同じであり説明を省略する。ディスプレイとして、図1と相違する点は、主として、データ電極34(透明電極)、走査電極32(金属電極)を互いに直交するストライプ形状にパターニングする点である。なお、各画素に有機EL素子と、これを制御するトランジスタなどを備えるいわゆるアクティブマトリクス駆動型のディスプレイの評価も可能である。
【0045】
電圧パルス発生部20は、有機ELディスプレイ30の走査電極32とデータ電極34の間に所定の電圧パルスを印加し、インピーダンス計測部22が、この電極間(有機層)のインピーダンスを所定のタイミングで計測する。このときに、任意の走査電極32とデータ電極34を順次切り替えることによって、有機ELディスプレイ30の全ての画素の有機膜を評価することができる。シャッター付きの単色光照射部26は、有機ELディスプレイ30の有機層に、例えばそのガラス基板側から透明なデータ電極34を透過して、所定の波長強度の単色光を照射する。また、シャッターにより、照射タイミングを制御する。なお、この照射部26は、有機ELディスプレイ30の表示部(画素部)の全面に光が均一強度で照射されるようにレンズ機構などにより調整されている。
【0046】
装置制御部40は、実施形態1と同様、条件設定部/測定制御部42が、単色光照射部26に対しては光照射のタイミング、波長、強度を設定制御し、電圧パルス発生部20に対しては電圧パルスの強度(電圧)、パルス期間、印加タイミングを制御する。また、インピーダンス計測部22に対しては、インピーダンス計測のタイミング等を制御する。この条件設定部/測定制御部42により所望の条件での測定が可能である。測定条件の設定などは図示しない入力手段(キーボードなど)から指定することができる。対応関係演算部44は、インピーダンス計測部22で計測されたインピーダンスの値を収集し、また、照射光データ(エネルギ換算値)、電圧パルスの印加タイミング、強度などのデータを得て、インピーダンスとの対応関係を演算する。演算結果は、測定結果として表示制御部46の制御の下、例えば、図示しないモニターなどに表示等される。
【0047】
この評価を任意の走査電極32とデータ電極34を順次切り替えることによって、有機ELディスプレイ30の全ての画素の評価を行う。さらに、得られた対応関係から、バンドギャップ内の準位を求め、信頼性に悪影響を与える深い準位があるディスプレイを、良品判断部48が選別することができる。なお、装置オペレータがこの良品判定を実行しても良い。
【0048】
次に図7を参照して、このような有機ELディスプレイ30の通電劣化前後の特性評価結果について説明する。図7は、ディスプレイ30のある画素の初期状態(before)と、電圧を印加し画素に電流(電荷注入)の負荷をかけたとき(after: 通電劣化後)における、入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示している。なお、パルス電圧は、測定時のレベル0Vに対し、パルス電圧値Vpを−5V、パルス幅Wpを10msとした。また、データ電極34と走査電極32の間に−10Vの電圧を順方向となるように印加することで通電劣化させた。なお、図7(a)は、有機層をAlq3単独のディスプレイ、図7(b)はAlq3にDMQdをドープしたディスプレイの特性である。
【0049】
図7(b)に示すように、DMQdドープのAlq3発光層を有する有機ELディスプレイにおいて、Alq3発光層にDMQdをドーピングすると、光励起しきい値から再結合中心Dまでのキャパシタンス変化量で表されるダングリング欠陥濃度は増加する(weak bonds切断)。しかし、ダングリングボンド(再結合中心)の準位が、電流(電荷注入)の負荷をかけると(通電劣化後)、ドーピング準位E2側に大きくシフトする(伝導帯下2eV)。ドーピング準位E2は変化せず、Dのエネルギー位置がこのE2準位側に大きくシフトし、Alq3:DMQdの再結合効率、つまり欠陥などによるキャリアのトラップ確率が低下することがわかる。
【0050】
一方、図7(a)に示すように、Alq3発光層のみのディスプレイでは、電流(電荷注入)の負荷をかけても、ダングリングボンド(再結合中心)の準位は変化せず、キャパシタンス変化量に相当する欠陥濃度のみが増加することがわかる。つまり、欠陥エネルギ位置は、通電劣化させても変化せず深い準位のままである一方で、weak bondsの切断により欠陥濃度のみ増加し、再結合率が極めて高くなり、発光効率が低下することが理解できる。
【0051】
ここで、Alq3発光層のみの有機EL素子は、DMQdドープの素子に比べて素子の寿命が短いことが知られているが、これは、図7の結果より、電流(電荷注入)の負荷をかけた場合に、ダングリングボンド(再結合中心)のエネルギー準位が変化しない画素では、長期的な信頼性が乏しいことになる。つまり、Alq3等の有機発光材料について、その発光効率の長期信頼性は、ダングリングボンド欠陥の特徴(ドーピング効果)により決定されていることが図7からわかる。
【0052】
従って、本実施形態のような評価を行うことで、有機材料膜において、電流(電荷注入)の負荷をかけたときのダングリングボンド準位(再結合中心)の変化(濃度、エネルギー位置、ドーピング準位)から、そのような有機材料の薄膜を用いた有機デバイスの信頼性を判断できることがわかる。もちろん、上述のように、ドービングによる効果も確実かつ簡単に評価することが可能となる。
【0053】
[実施形態3]
次に、図8を参照して、より高速に有機材料を評価するための方法について説明する。この方法では、高速測定モード(S1〜S6)と、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モード(S7〜S11)とを設け、高速測定モード(前測定)での波長ステップ幅を詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく設定し、まず、測定対象である有機材料のエネルギー−変化率の全体スペクトルを取得するのである。そして、有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、この分光波長領域に対し、詳細測定モード(本測定)にて測定を実行する。なお、上記実施形態1、2において説明した測定に適用することができる。
【0054】
具体的には、以下の通りである。
【0055】
まず、分光照射の測定開始波長と終了波長を例えばオペレータなどが設定する(S1)。ここで、波長領域は、有機半導体のバンドギャップに相当する広い範囲を指定する。分光照射波長範囲が設定されると、例えば条件設定部/測定制御部42が、その範囲をエネルギー値に換算し、例えば0.2eVの等間隔になるように各掃引波長(波長ステップ幅)を決定する(S2)。なお、間隔は分光照射波長範囲などに応じて決定する。また、例えば条件設定部/測定制御部42が、分光照射時の静電容量/コンダクタンスの測定時間を例えば30秒に設定する(S3)。この測定時間は、測定対象となる有機材料の予想されるバンドギャップ幅にもよるが、少なくとも熱励起の後に起こる光学励起がある程度発生する程度の短時間とする。
【0056】
上記の条件で、インピーダンス計測部22は、インピーダンスを計測し、対応関係演算部44は、各波長における分光照射時の静電容量/コンダクタンスの変化率を求め(S4)、分光照射エネルギー−変化率の全体スペクトルを取得する(S5)。そして、その全体スペクトルは、表示又は印刷され、また、装置制御部40が自動的に、又はオペレータが所望のエネルギー準位範囲を抽出する(S6)。
【0057】
次に、詳細測定モードを実行する。まず、所望のエネルギー範囲に相当する分光照射の測定開始波長と終了波長を設定する(S7)。この所望のエネルギ準位範囲は、分光照射エネルギー−変化率の全体スペクトルから予想される光励起しきい値から再結合準位までを少なくとも含むように設定することができる(図5,7参照)。設定後、例えば条件設定部/測定制御部42が、分光照射波長範囲をエネルギー値に換算し、例えば十分な測定精度が達成される0.01eVの等間隔になるように各掃引波長を決定する(S8)。また、分光照射時の静電容量/コンダクタンスの測定時間は、電荷注入後に図2(d)に示すように光励起が発生し、励起が停止するまでの期間(有機材料の絶縁特性などに応じて異なる)に設定することが好適であり、例えば300秒に設定する(S9)。次に、上記の条件で、インピーダンス計測部22はインピーダンスを計測し、対応関係演算部44は、各波長における分光照射時の静電容量/コンダクタンスの変化率を求め(S10)、所望のエネルギー準位に関する分光照射エネルギー−変化率の詳細スペクトルを取得する(S11)。
【0058】
以上のように本測定の前に、大まかなスペクトルを得ることで再結合中心準位等を重点的に詳細に測定すれば短時間に有機材料の評価を実行できる。有機材料は、上述のように絶縁性が高いため、光励起の停止までの時間が、例えば無機半導体などの場合と比較して長く、このような多段階の測定を実行することは非常に有効である。
【0059】
また、有機材料に照射する単色光の分光強度についても、照射部26のレンズ機構などによって可変とし、有機材料の光学励起特性(絶縁特性に関連する)に応じて強度を変更することでより高速測定が可能となる。光学励起特性、つまり、励起の開始から終了までの期間が長い有機材料に対しては分光強度を高めれば測定の高速化を実現できる。
【0060】
[実施形態4]
次に、有機材料に対する注入電荷エネルギを変更した場合の評価の例を示す。図9は、実施形態1の有機EL素子において、有機層としてAlq3発光層を用い、パルス電圧のパルス幅Wpは10msで一定とし、電圧値Vpを0V、−1V、−3V、−5V、−7Vに設定した特性を示している。図10は、図9の有機材料のバンドギャップ準位内における様子を説明している。
【0061】
図9からは、パルス電圧値0V、つまり、電荷を注入しない状況下でも、単なるキャリア・トラップではなく再結合中心(RGcenter)として振る舞うD準位が存在していることが理解できる。つまり、このD準位は、Alq3膜にホールを注入したことに起因した劣化現象により新たに形成されたのではなく、Alq3膜に存在するintrinsicな欠陥、言い換えると、これは、電気的に中性なダングリングボンド欠陥準位である。この結果から、本実施形態のような評価方法を採用することで有機材料に本来的な(intrinsicな)劣化現象を検討できることがわかる。
【0062】
次に、さらに、別の評価方法を説明する。測定対象は実施形態1と同様の有機EL素子であり、透明電極14には、厚さ150nmのITOを用い、有機膜16にはDMQdをドープしたAlq3膜(厚さ100nm)を用い、有機膜16と金属電極18の間に電子注入層としてLiFを0.5nm形成し、金属電極18にはAlを2.5mmの厚さに形成した。
【0063】
まず、図11は、上記図9に示すように注入電圧(バイアス電圧)を変化させた場合のインピーダンス変化(図11(a))、バイアス電圧(V)とキャパシタンスとの関係を示す。また図11(c)は、この場合のエネルギギャップを示している。なお、インピーダンス測定周波数は、1kHzとした。
【0064】
インピーダンスは、傾きは維持したまま(0.5)、バイアス電圧の上昇に従って低下している。図11(b)に示されるように、有機膜へのバイアス電圧が4V〜−1Vの範囲では有機膜のキャパシタンスは、ほとんど変化しないが、−1Vより低くなるとAl電極からの電子の注入が起き、キャパシタンスが少し上昇する。−3V程度より低くなるとITOから有機層への正孔注入が起き(ダブルキャリア注入)、電荷が中和されてキャパシタンスは低下する。−5Vで最小値となり、それより低くなると再びキャパシタンスは上昇している。このようなキャパシタンス特性図により、この有機EL素子への電荷注入モードなどの電気特性を評価することができる。
【0065】
図12は、実施形態2において説明した有機EL素子(ディスプレイ)に対し、−10Vのバイアス電圧により通電劣化させる前後におけるインピーダンス特性を示している。なお、図12(a)は、有機層として、Alq3単独、図12(b)は、Alq3にDMQdをドープした時のインピーダンス特性である。図12の結果から、Alq3にDMQdをドープすることで、通電劣化前後におけるインピーダンス特性についても、Alq3単独有機膜の場合に対して特性が変化していることがわかる。つまり、図7に示したような入射エネルギーに対するキャパシタンス変化率だけでなく、インピーダンスからも有機材料、ドープ材料に固有の特性を判断できる。
【0066】
図13は、実施形態2において説明した有機EL素子(ディスプレイ)に対し、−10Vのバイアス電圧により通電劣化させる前後で、パルス電圧の電圧値Vp(注入電荷)を変えたときのキャパシタンス特性を示している。また、図14は同様の条件で測定した時のコンダクタンス特性を示している。なお、図13(a)、図14(a)は、有機膜としてAlq3単独、図13(b)、図14(b)は、有機膜としてAlq3にDMQdをドーブした場合の特性であり、何れもインピーダンス測定周波数は、1kHzである。
【0067】
これら図13,14の結果からも、有機層として、Alq3単独の場合のときと、Alq3にDMQdをドープしたときに、パルス電圧値の変化に対する特性が異なることが評価できる。また、通電劣化させた場合における特性もそれぞれ異なる変化を示している。以上のことから、有機材料への注入電荷と、キャパシタンスと対応関係、及び注入電荷とコンダクタンスとの対応関係からも、有機材料の特性を評価することができ、さらに、上記実施形態1,2で説明したようなキャパシタンスの変化量と照射エネルギとの関係をさらに参照することで、有機半導体内部の欠陥などのエネルギ状態を様々な観点で評価できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態1に係る評価装置、評価対象を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る測定のタイミングを示す図である。
【図3】有機材料のバンドギャップ準位の概念図である。
【図4】有機材料として用いるAlq3,DMQdの分子構造を示す図である。
【図5】入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る評価装置及び評価対象を示す図である。
【図7】画素の初期状態と、通電劣化後の、入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態3に係る測定手順を示す図である。
【図9】本発明の実施形態において通電劣化状態を変えたときの入射光エネルギーとキャパシタンスの変化量の関係を示す図である。
【図10】図9のエネルギー準位の概念図である。
【図11】本発明の実施形態において有機層への注入電荷を変化させたときのインピーダンス、キャパシタンス特性を示す図である。
【図12】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のインピーダンス特性を示す図である。
【図13】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のキャパシタンス特性を示す図である。
【図14】本発明の実施形態において有機EL素子の通電劣化前後のコンダクタンス特性を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
10 有機EL素子、12 ガラス基板、14 透明電極、16 有機膜、18 金属電極、20 電圧パルス発生部、22 インピーダンス計測部、26 (シャッター付き)単色光照射部、30 有機ELディスプレイ、32 走査電極、34 データ電極、40 装置制御部(CPU)、42 条件設定部/測定制御部、44 対応関係演算部、46 測定結果表示制御部、48 良品判断部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料の評価装置であって、
有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射手段と、
前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加するための電圧パルス発生手段と、
前記有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測手段と、
入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する対応関係検出手段と、を有し、
検出した対応関係に基づき有機材料を評価することを特徴とする有機材料の評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置において、
前記対応関係検出手段は、
所定のタイミングで印加する前記パルス電圧による前記有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンス又はコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求めることを特徴とする有機材料の評価装置。
【請求項3】
有機材料の評価方法であって、
単色光照射手段により、前記有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射し、
電圧パルス発生手段により、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加し、
インピーダンス計測手段により、前記有機材料のインピーダンスを検出し、
前記パルス電圧印加後の所定波長の単色光照射環境下での前記インピーダンスに基づいて、
照射した前記単色光の波長と、キャパシタンス又はコンダクタンスの変化率との対応関係に基づいて前記有機材料の特性を評価することを特徴とする有機材料の評価方法。
【請求項4】
請求項3に記載の評価方法において、
所定タイミングで印加する前記パルス電圧による有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンスあるいはコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求めることを特徴とする有機材料の評価方法。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
有機材料のキャリア追随性に応じて、100kHz以下の低周波の測定周波数で前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスを測定することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスの測定時に、前記電圧パルス発生手段から前記有機材料に印加される測定電圧は、有機材料の絶縁特性に応じたゼロバイアスレベル又はゼロバイアスレベル近傍であることを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記照射される単色光の分光強度は、レンズ機構によって可変であり、
前記有機材料の光学励起特性に応じて前記分光強度を増加させ、測定に要する光学励起時間を変更することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記照射する単色光は、その波長を長波長から短波長の順に変更し、
前記有機材料のバンドギャップ内準位を、エネルギー的に浅い方向から深い方向へ順次検出することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項9】
請求項8に記載の装置又は方法において、
高速測定モードと、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モードとを有し、
前記高速測定モードにおける長波長から短波長への波長ステップ幅は、前記詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく、
前記高速測定モードにおいて、得られた入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、
前記詳細測定モードでは、前記決定した分光波長領域に対し、長波長から短波長への波長ステップ幅を詳細モード用に切り替え、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の評価を行うことを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記対応関係から、前記有機材料中の欠陥準位又は不純物準位の両方又は一方を求め前記有機材料を評価することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項1】
有機材料の評価装置であって、
有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射する単色光照射手段と、
前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加するための電圧パルス発生手段と、
前記有機材料のインピーダンスを検出するインピーダンス計測手段と、
入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係を検出する対応関係検出手段と、を有し、
検出した対応関係に基づき有機材料を評価することを特徴とする有機材料の評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置において、
前記対応関係検出手段は、
所定のタイミングで印加する前記パルス電圧による前記有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンス又はコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求めることを特徴とする有機材料の評価装置。
【請求項3】
有機材料の評価方法であって、
単色光照射手段により、前記有機材料に対し所定の波長の単色光を所定のタイミングと強度で照射し、
電圧パルス発生手段により、前記有機材料に所定のタイミングで所定電圧強度のパルス電圧を印加し、
インピーダンス計測手段により、前記有機材料のインピーダンスを検出し、
前記パルス電圧印加後の所定波長の単色光照射環境下での前記インピーダンスに基づいて、
照射した前記単色光の波長と、キャパシタンス又はコンダクタンスの変化率との対応関係に基づいて前記有機材料の特性を評価することを特徴とする有機材料の評価方法。
【請求項4】
請求項3に記載の評価方法において、
所定タイミングで印加する前記パルス電圧による有機材料への電荷注入と、前記単色光の分光照射による光学励起と、に基づくキャパシタンスあるいはコンダクタンスの変化率を所定の間隔で測定し、前記対応関係を求めることを特徴とする有機材料の評価方法。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
有機材料のキャリア追随性に応じて、100kHz以下の低周波の測定周波数で前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスを測定することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記キャパシタンス又は前記コンダクタンスの測定時に、前記電圧パルス発生手段から前記有機材料に印加される測定電圧は、有機材料の絶縁特性に応じたゼロバイアスレベル又はゼロバイアスレベル近傍であることを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記照射される単色光の分光強度は、レンズ機構によって可変であり、
前記有機材料の光学励起特性に応じて前記分光強度を増加させ、測定に要する光学励起時間を変更することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記照射する単色光は、その波長を長波長から短波長の順に変更し、
前記有機材料のバンドギャップ内準位を、エネルギー的に浅い方向から深い方向へ順次検出することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項9】
請求項8に記載の装置又は方法において、
高速測定モードと、前記高速測定モードに続いて実行される詳細測定モードとを有し、
前記高速測定モードにおける長波長から短波長への波長ステップ幅は、前記詳細測定モードにおける前記波長ステップ幅よりも大きく、
前記高速測定モードにおいて、得られた入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の測定目標のバンドギャップ内準位を含む分光波長領域を決定し、
前記詳細測定モードでは、前記決定した分光波長領域に対し、長波長から短波長への波長ステップ幅を詳細モード用に切り替え、入射単色光と印加パルス電圧とインピーダンスとの対応関係に基づいて、前記有機材料の評価を行うことを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の装置又は方法において、
前記対応関係から、前記有機材料中の欠陥準位又は不純物準位の両方又は一方を求め前記有機材料を評価することを特徴とする有機材料の評価装置又は評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−14668(P2008−14668A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183587(P2006−183587)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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