有機溶剤の脱溶剤による疎水性表面への溶解アナライトの付着の改良
本発明は、付着させる前に水性アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤することにより、疎水性表面、例えばDIOS−MS基板に、関心のあるアナライトを付着させる方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月21日に出願された米国特許仮出願第60/420391号(attorney docket no.WCZ−035−1)の特典を主張し、その内容全体は参考として本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
質量分析(「MS」)は、試料分子の分子量を、また、その試料を同定するために試料のフラグメンテーションの特徴を求めるために日常的に使用されている。気相においてMSを実施することができ、低い圧力の電気的に中性の試料が電子線の中を通過する。電子線は試料に衝突し、1つまたは複数の電子を放出させ、その後には、その試料は結果として正の電荷でイオン化されている。次に、イオン化された試料は、磁場内を通り、その場を通るイオン化試料の経路に応じて、分子の質量/イオン電荷が求められる。
【0003】
試料の質量を求める別の方法は、飛行時間(「TOF」)である。TOFにおいては、試料イオンが、既知の電圧により加速され、試料イオンまたはそのフラグメントが既知の距離を移動するのに要する時間が測定される。
【0004】
気相に容易に持ち込めない分子は、MSにより分析するのはより難しい。高分子量試料を揮発させるいくつかの方法が存在する。試料分子が基板(substrate)に付着している(deposited)場合、その試料はその基板に吸着されていると言われる。脱離は、基板に吸着されている分子が基板から離れる時に起こる。基本的なMSにおけるように、気相試料を用いて開始する代わりに、基板上に吸着された試料に脱離MSを適用することができる。
【0005】
脱離MS法の1つは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)である。この方法によれば、試料は、気化過程の一部として有機マトリックスから試料へプロトンを移動させることによりイオン化される。試料は電子線イオン化またはプロトン移動イオン化によりイオン化される。
【0006】
典型的なMALDI実験においては、試料は、レーザーのパルス照射により気化する光吸収性有機固体マトリックスに溶解され、試料は気化したマトリックスと共に運ばれる。これは広く使用されている強力な方法であるが、MALDIは、約700未満のm/Z(すなわち、質量と電荷の比)の測定をマトリックスが邪魔するために、一般に、小さな分子の研究には適切でない。MALDIはまた、例えば、マトリックスが試料イオンと付加物を生成して分析の邪魔をし得るので、大きな分子の分析においてもかなりの限界がある。
【0007】
より新しいMS法では、マトリックスのない直接レーザー脱離/イオン化法が可能である。このような方法には、アナライト担持基板を減圧下に照射することによる、多孔質光吸収性半導体上のアナライトのイオン化が含まれる。米国特許第6288390号と、対応する国際PCT出願WO 00/54309を参照。このような直接脱離MS法によれば、多孔質半導体基板、例えばシリコンは、疎水性の基(例えばエチルフェニル基)と結合する。試料は基板に乗せられ、次に、(場合によっては電圧を加えて)紫外線で照射される。このような方法の利点は、マトリックスを使用する必要がないので、この方法は小さな分子の分析により適っていることである。
【0008】
さらに、アナライトはマトリックスなしで直接検出され得る。基板を化学的または構造的に修飾して、基板の脱離/イオン化の特性を最適化することができる。多孔質シリコン上脱離/イオン化(「DIOS」)MS基板のいくつかの例が、Z.Shen、Anal.Chem.、73、612−19(2001);J.J.Thomas、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、98、4932−37(2001):および、R.A.Kruse、Anal.Chem、73、3639−45(2001)、に記載されている。DIOS−MSによる全細胞の分析もまた実際に行われた。R.A.Kruse、J.Mass Spectrom.、36、1317−32(2001)。
【0009】
DIOS−MS法の前途有望さにもかかわらず、この方法は、1つの基板に付けることができる試料の数により限界づけられている。典型的な実験条件では、アナライト溶液は、例えば、有機/水の混合溶剤系を用いてクロマトグラフィによる分離が実施されたHPLC画分であり、かなりの量の有機溶剤を含んでいる。これは、例えばアセトリニトリルのような有機溶剤を多量に含む試料を付けることが、しばしば望まれるという、DIOS−MSについての主な問題を象徴している。DIOS−MS基板は疎水性であるから、同じ様に疎水性の試料は、基板に乗せられた場合に広がるであろう。これらの溶液の接触角は90°未満であるから、ウィッキング(wicking)によりDIOSチップの広い部分に広がる。このために、基板上に乗せることができる試料の数が制限されるだけでなく、また、MS分析の感度を弱める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
DIOS−MSに使用される多孔質シリコン基板は疎水性である。DIOS−MSチップ上での水性試料の接触角は90°を超えるので、試料が付けられた時、水性試料は玉のようになり広がらないという理由で、水性試料が、DIOS−MSに使用された場合、特にうまく行く。本発明は、DIOS−MS基板への試料の付着の間に有機溶剤を除去することにより、従来技術における前記の問題を克服する。感度を低下させ、また1つのチップ上に付着させることができる試料の数を減少させる、広がる効果が、結果として、克服される。
【0011】
本発明は、LDI実験における試料の付着に使用される典型的な有機溶剤は、水よりも揮発性であるという事実を利用する。こうして、アナライトが有機溶剤と水を含む溶液に溶けていたら、この場合、試料の付着の間に迅速な脱溶剤を行えば、その有機溶剤は水より速く蒸発するであろう。この場合、アナライトは、概ね(primarily)水の性質をもち接触角が90°を超える溶剤混合物として、疎水性表面、例えば、DIOS−MSチップ上に付着する。水性溶液として疎水性表面に付着させることにより、疎水性ウィッキング効果が最少化され、アナライトをかなり小さい領域に集中させる(focus)ようにするので、感度と、表面の所定の領域に付着させ得る試料の数が増加する。本明細書における付着法は、有機溶剤を選択的に除去し、同時に、概ね水性の試料溶液を疎水性表面に付着させる独特の能力をもつ。
【課題を解決するための手段】
【0012】
こうして、本発明は、アナライトを疎水性表面に付着させる方法を提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明はまた、DIOSチップおよび/または質量分析装置と、上で要約された本発明の方法によるその使用説明書を備えるキットを提供する。
【0014】
さらに本発明は、アナライトを疎水性表面上に付着させることによる、質量分析用の試料調製方法もまた提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させることにより、質量分析のための試料を調製するステップと;を含む。
【0015】
本発明は、疎水性表面にアナライトを付着させる方法を提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;を含む。
【0016】
本発明によれば、アナライトは一般に、ヌクレオチドまたはヌクレオチドの混合物、タンパク質またはタンパク質の混合物、あるいは、ペプチドまたはペプチドの混合物を含めて(これらに限定はされないが)、生体試料のような、例えば、百万ダルトンまでの、広い範囲の分子量の如何なる実験試料であってもよい。同様に、アナライトは合成ポリマーまたは合成ポリマーの混合物であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態においては、疎水性表面には、例えば、シリコン、ガリウム砒素、または窒化ガリウム系の、多孔質半導体が含まれる。特定の実施形態においては、多孔質半導体は、シリコン上脱離/イオン化(Desorption/Ionization on Silicon、「DIOS」チップである。DIOSチップは、例えば、J.Wei、Nature、399、243−46(1999);G.E.SiuzdakのPCT W0 00/54309;および、G.E.Siuzdakの米国特許第6288390号;に記載されている。
【0018】
通常、有機溶剤を含む試料はDIOSチップ上で広い領域に広がる傾向があるので、感度が悪くなり、また所定のDIOSチップ上で試験できる試料の数が少なくなる。これは、有機溶液が90°未満の接触角を生成させる傾向があるという事実の結果である。水性溶剤はDIOSチップの広い領域に試料を広げさせない。
【0019】
本発明の方法は、脱溶剤により、試料の付着中に、水性溶剤よりも有機溶剤を優先的に除去する。「脱溶剤すること」および「脱溶剤」という用語は、本明細書では交換可能な仕方で使用されており、本発明に従って脱溶剤の後にアナライト溶液が概ね水性であるように、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含むアナライト溶液から1種または複数の有機溶剤を除去することを表そうとするものである。
【0020】
「概ね水性のアナライト溶液」におけるような「概ね水性」という用語は、疎水性表面に付着させた時に、アナライトの分析(例えば、質量分析)を難しくする(例えば、感度を低下させる)ように表面に沿ってウィッキングを起こさない、あるいは広がらないアナライト溶液を表す。手短に言えば、本発明に従って脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液は、分析の感度を上げることと、分析され得る試料の数を増やすことにより、従来技術の試料調製および付着の方法に伴う問題を回避する。
【0021】
本発明の一実施形態においては、脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液の有機溶剤含量は、疎水性表面に付着させた時に、その脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が約90°を超える表面との接触角をもつようなものである。例えば、Adamson、Arthur W.(カリフォルニア州、ロサンゼルスの南カリフォルニア大学、化学科)による「Physical Chemistry of Surface(表面の物理化学)」(Interscience Publishers、John Wiley and Sonsの一部門、ニューヨーク)の355頁「measurement of contact angle(接触角の測定)」に説明されるような、様々な標準的実験法を用いて、接触角を測定することができる。特定の実施形態においては、接触角は、約90°を超え、約115°までの範囲である。通常、本発明による、脱溶剤後の概ね水性のアナライト溶液の有機溶剤含量は、アナライト溶液の約5容量%から約10容量%の範囲である。
【0022】
一実施形態においては、アナライト溶液は、例えば、概ね水性のアナライト溶液が得られるのに十分な温度、圧力、流量で、K.Biemannの米国特許第4843243号、T.Prevostの米国特許第5772964号、K.Biemannの米国特許第5770272号に記載されるもののような、加熱されたキャピラリーネブライザーを通してアナライト溶液を素早く注ぐことによるサーモスプレ法により脱溶剤される。正確な条件は特定のアナライトにより決まり、最適な条件の決定は十分に当業者の理解の範囲内にあるであろう。溶液は、好ましくは、再現性のあるやり方で、それ程水を除去することも試料に熱劣化を引き起こすこともなしに有機溶剤が除去されるように、十分に迅速に加熱されるべきである。例として、温度は、約30〜200℃(あるいは30〜150℃)、圧力は、約10〜60PSI(あるいは10〜30PSI)、流量は、約0.05〜50μL/min(あるいは、0.1〜20μL/min)であり得る。
【0023】
加熱キャピラリーネブライザ−による付着の間の脱溶剤により、有機溶剤は優先的に除去され、概ね水性の溶液に溶けたアナライトが残される。概ね水性の溶液としてDIOSチップに付着する試料は、チップの限られた領域内に留まる傾向があり、チップの広い領域に広がらないであろうから、感度と、1つのBIOSチップに採集する(collect)ことができる試料の数が増大する。加熱キャピラリーネブライザーを使用する本発明の方法は、アナライトを約0.3mmのトラック幅(例えば、約1mmから約0.1mmのトラック幅)をもってDIOS表面上に付着させること、そして、2.5mmウェルへの従来のピペットによる付着法に比べて少なくとも2倍の領域集中における利得(gain in spatial focus)を得ること(より好ましくは、約2.5と約6.5倍の間の、付着領域集中の利得)ができる。このように、例えば、質量分析の試料の調製に本発明の方法を利用することができ、その場合には、試料を隣接する一連のトラックまたはスポットとして付着させることができる。
【0024】
脱溶剤される有機溶剤は、アセトニトリル、有機アルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノール)エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物であり得る。
【0025】
アナライト溶液はまた、イオンペア試薬、例えば、ギ酸、酢酸、およびトリフロオロ酢酸を含めて、HPLC溶剤系において通常使用されるものを含み得る。
【0026】
例示的な一実施形態において、アナライト溶液は、約10〜70%のアセトニトリル、約10〜70%の水、および、約0.1〜2.0%のトリフルオロ酢酸を含む。
【0027】
本発明はまた、DIOSチップおよび/または質量分析装置と、本発明の方法を実施するための使用説明書を備えるキットも提供する。本発明の方法において使用するのに適する質量分析装置は、LC−MALDIprep(商標)(Waters Corporation、マサチューセッツ州、Milford)である。
【0028】
本発明の付着方法は、ペプチドマスフィンガープリンティング分析を含めて、様々な分析法での、タンパク質および消化タンパク質のアナライトの付着において使用するのに適している。より詳細には、LC−MALDIまたはLC−MALDIprepにより得られる質量スペクトルのデータは、消化タンパク質分離物の取得および分析とペプチドマスフィンガープリンティング分析に適している。
【0029】
(実施例)
本発明は、本発明の方法の適用を説明する以下の非限定的実施例によりさらに例示される。
【実施例1】
【0030】
標準ペプチドを、LC−MALDIprep(Waters)に直接注入し(Harvardシリンジポンプ)、加熱キャピラリーネブライザ−を通過させ、それから、隣接する一連のトラック(間隔は4.5mm)としてDIOSチップ上に付着させた。この標準ペプチド(1pmol/μL)は、30%のアセトニトリル、70%の水、および0.1%のTFAの溶液として、10μL/minの流量で直接注がれた。脱溶剤の温度は55℃であり、ネブライザー窒素ガスを20PSIの圧力に保った。ノズルとBIOSチップの間の距離は10mmであった。試料採取中のステージ速度は10mm/minであった。質量スペクトル分析を、Micromass MALDI(登録商標)装置(Micromass UK,Ltd.)を用いて行った。トラックのY−方向を横切りレーザーをスキャンする(spep yscan tD d09)ことにより、トラックの幅を測定した(図1)。LC−MALDIprep(Waters)は、直径1mmの噴霧(spray)を生じる。
【0031】
データから、DIOSチップ上にスプレで吹き付けられた試料は、幅1.2mm(FWHM(半値全幅))の狭い試料トラックに集中していたことが示される。このトラックを横切るスキャンの中央および端からの4つの質量スペクトルが図2に示されている。各質量スペクトルは、注入されたペプチドの質量と、DIOSチップ上のどこにレーザーが照射されたかを示す位置、x、yを表示している。これらのデータから、トラックのベースライン幅は2mmであり、トラックのFWHM幅は1.2mmである。脱溶剤なしで、DIOSチップ上に滴下した同じ溶液(アセトニトリル30%)は、この溶液の接触角が90°未満であったという事実のために、スプレ試料で起こったよりもずっと広い領域に広がる。トラック幅が1.2mmであることにより、最初試料は30%アセトニトリルに溶けていたにもかかわらず、それがDIOS表面に付着した後、それ程ウィッキングを起こさなかったことを示している。10μL/minの流量と、10mm/minのステージ速度(採取速度)で、1μLのカラムが1mmのトラックに採取された。この試料付着方法は、有機溶剤含有溶液において試料付着中にDIOSチップで通常見られるウィッキング効果を最少化しながら、DIOSチップに試料のトラックまたはスポットを採集するのに使用され得る。
【実施例2】
【0032】
以下の例示的な本発明の方法を、試料調製と操作についての以下の技法と装置を用いて実施した。
【0033】
CapLC
CapLCを、典型的な、水/アセトニトリル/0.1%TFAの勾配クロマトグラフィにより、3μL/minで運転した。使用されたカラムは、粒径が5μmのSymmetry C18 0.32×150mmであった。
【0034】
LC−MALDIprep
LC−MALDIprepを、LCDIOS作業のために元々備わるステンレス鋼キャピラリーと、直接注出し付着領域を集中させる作業のための新しい石英ガラスのキャピラリーを用いて運転した。典型的なノズル温度は40から70℃であった。典型的なステージ速度は2.5から10mm/minの範囲であった。
【0035】
LC−MALDI−TOF/MS
Micromass MALDI−TOF/MS装置(Waters)を、ペプチドマスフィンガープリント用の、MassLynx4.0のSCN429のベータ5バージョンとMaldiAuto/PLGS2を用いて運転した。
【0036】
付着領域の集中
標準ペプチド、Glu−フィブリノペプチドBを、シリンジポンプを用いてDIOSチップに直接注いだ。トラックとスポットをレーザースキャンしてDIOS表面上の付着の幅を求めた。この幅はベースラインとFWHMとして、付着領域集中度を求めるために繰返し測定された。流量は、50%のアセトニトリル、50%の水、0.1%のTFAおよび10mMのクエン酸アンモニウムとして、(異なると指摘されない限り)2μL/minである。ステージは(異なると指摘されない限り)2.5mm/minで動かされる。領域集中についての比較となる付着点は、直径2.5mmの通常のウェルである。このウェルの面積は、従って4.91mm2である。
【0037】
picofritキャピラリー(75×15μm)を用いて、1μL/minで直接注がれたDIOS上のトラック幅は、平均で、FWHMが0.3mm、ベースラインが0.7mmである(表1)。1μL/minの流量と2.5mm/minのステージ速度で、1μLの容積は、2.5mmの長さのトラックに付着する。こうして、付着面積は、0.7×2.5mm、すなわち1.75mm2である。これは、4.91mm2のウェルの通常面積に対して、付着領域集中における、2.8倍の向上を示している。
【0038】
【表1】
【0039】
先端テーパー付き(taper−tip)キャピラリー(20×20μm)を用いて、2μL/minで直接注いだDIOS上のスポットの直径は、FWHMが0.4mm、ベースラインが1.0mmである(表1)。スポット時間は0.5分であるから、1μLが1スポットに付着する。付着スポットの面積は0.79mm2であり、領域集中における6.1倍の改善である。
【0040】
定量的DIOS
Glu−fibを内部標準として用い、100fmol/μLで一定に保った。アンギオテンシンIの濃度をほぼ2桁に渡り変化させた。LC−MALDIprepで試料を付着させたDIOSの定量的性質を評価するのに使用されるSICピークと比について、繰返し測定した。
【0041】
LC−MALD分析によるピークの積分で使用されるパラメータは次の値を含んでいた:平滑化と、ApexTrackピーク積分が可能であった;ApexTrackピーク検出パラメータは、peak−to−peak Baseline Noise of 7、0.544(最小)の5%高さでのピーク幅、0.00のベースライン開始点しきい値および0.50%のベースライン終了点しきい値を含んでいた;また、クロマトグラム平滑化は平均法(mean method)を用いた。
【0042】
データは半定量的であり、加熱キャピラリーネブライザーとDIOSチップの組合せがどの程度定量的であり得るかを決めるにはさらなる研究がなされねばならない。下の表に結果を要約する。
【0043】
【表2】
【0044】
LC−DIOS
トリプシンで消化された4種のタンパク質混合物の分離物を、加熱キャピラリーネブライザーを用いてDIOS表面に採集した。クロマトグラムとPMFの結果は次の通り。
【0045】
LC−MALDI分離物からの基準ピーク強度クロマトグラムが図6に示されており、タンパク質1種あたり300fmolの坦持でのLC−MALDI分離の2次元マッピングが図7に描かれている。複雑な混合物から複数のペプチドを分離し検出するLC−DIOSの能力は、図7に与えられる2次元スキャンにより示されている。質量と電荷の比の大部分は約2000Da未満である。各ピークまたは抽出イオンクロマトグラム(extracted ion chromatogram)は、ベースラインで約1.4mmの幅である(図8)。これは図7に示されているものと同じXICである。複数のXICスペクトルが図9に示されており、この図は、本発明の付着方法によりLC−MALDI分離からDIOSチップ上に付着させたアナライトのX方向での領域集中を示している。
【0046】
PMFの結果を調べるために、MaldiAutoソフトウェアとPLGS2を用いて、質量分析器による分離体を分析した。PMFの結果は、質量の正確さに優れ、予想されるように、m/zの小さいペプチドに大きく偏っていることを示している。
【0047】
参考としての組込み
本明細書において引用された特許、公開特許出願および他の参考文献のすべての全内容は、ここで明示的に、参考としてそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
均等物
当業者は、本明細書に記載された具体的な手順に対する多くの均等物を認める、あるいは、日常的な実験法にすぎないものを用いて確かめることができるであろう。このような均等物は本発明の範囲内にあると考えられており、また請求範囲により包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の方法によりDIOS基板上に付着した材料のY方向のプロットを示す図である。
【図2A】このトラックへの交線の端部の質量スペクトルを示す図である。
【図2B】このトラックへの交線の中央部の質量スペクトルを示す図である。
【図2C】このトラックへの交線の別の中央部の質量スペクトルを示す図である。
【図2D】このトラックへの交線の別の端部の質量スペクトルを示す図である。
【図3】prep−LC−MALDIによる一連の試料ウェルへの付着物のラスタープロフィール(一連のピークは一連のウェル:すなわち、A2、A3、A4など(4.5mmピッチ)を表す)を示す図である。
【図4】Glu−fib(100fmol/μL)からのSICピークのプロットを示す図である。
【図5】アンギオテンシンI(25、50、100、500、および1000fmol/μL)からのSICピークのプロットを示す図である。
【図6】4種のタンパク質のトリプシン消化物のCapLC−MALDI−MS基準ピーククロマトグラムを示す図である。
【図7】300fmol/タンパク質の担持での図6のタンパク質混合物についてのLC−MALDI分離の2次元マッピングである。
【図8】DIOSチップ上へのペプチドの付着の集中を示す抽出イオンクロマトグラムである。
【図9】LC−MALDI分離を用いてDIOSチップ上に付着させたアナライトの付着領域が分離されていることを示す様々なXICの抜粋である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月21日に出願された米国特許仮出願第60/420391号(attorney docket no.WCZ−035−1)の特典を主張し、その内容全体は参考として本明細書に明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
質量分析(「MS」)は、試料分子の分子量を、また、その試料を同定するために試料のフラグメンテーションの特徴を求めるために日常的に使用されている。気相においてMSを実施することができ、低い圧力の電気的に中性の試料が電子線の中を通過する。電子線は試料に衝突し、1つまたは複数の電子を放出させ、その後には、その試料は結果として正の電荷でイオン化されている。次に、イオン化された試料は、磁場内を通り、その場を通るイオン化試料の経路に応じて、分子の質量/イオン電荷が求められる。
【0003】
試料の質量を求める別の方法は、飛行時間(「TOF」)である。TOFにおいては、試料イオンが、既知の電圧により加速され、試料イオンまたはそのフラグメントが既知の距離を移動するのに要する時間が測定される。
【0004】
気相に容易に持ち込めない分子は、MSにより分析するのはより難しい。高分子量試料を揮発させるいくつかの方法が存在する。試料分子が基板(substrate)に付着している(deposited)場合、その試料はその基板に吸着されていると言われる。脱離は、基板に吸着されている分子が基板から離れる時に起こる。基本的なMSにおけるように、気相試料を用いて開始する代わりに、基板上に吸着された試料に脱離MSを適用することができる。
【0005】
脱離MS法の1つは、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(「MALDI」)である。この方法によれば、試料は、気化過程の一部として有機マトリックスから試料へプロトンを移動させることによりイオン化される。試料は電子線イオン化またはプロトン移動イオン化によりイオン化される。
【0006】
典型的なMALDI実験においては、試料は、レーザーのパルス照射により気化する光吸収性有機固体マトリックスに溶解され、試料は気化したマトリックスと共に運ばれる。これは広く使用されている強力な方法であるが、MALDIは、約700未満のm/Z(すなわち、質量と電荷の比)の測定をマトリックスが邪魔するために、一般に、小さな分子の研究には適切でない。MALDIはまた、例えば、マトリックスが試料イオンと付加物を生成して分析の邪魔をし得るので、大きな分子の分析においてもかなりの限界がある。
【0007】
より新しいMS法では、マトリックスのない直接レーザー脱離/イオン化法が可能である。このような方法には、アナライト担持基板を減圧下に照射することによる、多孔質光吸収性半導体上のアナライトのイオン化が含まれる。米国特許第6288390号と、対応する国際PCT出願WO 00/54309を参照。このような直接脱離MS法によれば、多孔質半導体基板、例えばシリコンは、疎水性の基(例えばエチルフェニル基)と結合する。試料は基板に乗せられ、次に、(場合によっては電圧を加えて)紫外線で照射される。このような方法の利点は、マトリックスを使用する必要がないので、この方法は小さな分子の分析により適っていることである。
【0008】
さらに、アナライトはマトリックスなしで直接検出され得る。基板を化学的または構造的に修飾して、基板の脱離/イオン化の特性を最適化することができる。多孔質シリコン上脱離/イオン化(「DIOS」)MS基板のいくつかの例が、Z.Shen、Anal.Chem.、73、612−19(2001);J.J.Thomas、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、98、4932−37(2001):および、R.A.Kruse、Anal.Chem、73、3639−45(2001)、に記載されている。DIOS−MSによる全細胞の分析もまた実際に行われた。R.A.Kruse、J.Mass Spectrom.、36、1317−32(2001)。
【0009】
DIOS−MS法の前途有望さにもかかわらず、この方法は、1つの基板に付けることができる試料の数により限界づけられている。典型的な実験条件では、アナライト溶液は、例えば、有機/水の混合溶剤系を用いてクロマトグラフィによる分離が実施されたHPLC画分であり、かなりの量の有機溶剤を含んでいる。これは、例えばアセトリニトリルのような有機溶剤を多量に含む試料を付けることが、しばしば望まれるという、DIOS−MSについての主な問題を象徴している。DIOS−MS基板は疎水性であるから、同じ様に疎水性の試料は、基板に乗せられた場合に広がるであろう。これらの溶液の接触角は90°未満であるから、ウィッキング(wicking)によりDIOSチップの広い部分に広がる。このために、基板上に乗せることができる試料の数が制限されるだけでなく、また、MS分析の感度を弱める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
DIOS−MSに使用される多孔質シリコン基板は疎水性である。DIOS−MSチップ上での水性試料の接触角は90°を超えるので、試料が付けられた時、水性試料は玉のようになり広がらないという理由で、水性試料が、DIOS−MSに使用された場合、特にうまく行く。本発明は、DIOS−MS基板への試料の付着の間に有機溶剤を除去することにより、従来技術における前記の問題を克服する。感度を低下させ、また1つのチップ上に付着させることができる試料の数を減少させる、広がる効果が、結果として、克服される。
【0011】
本発明は、LDI実験における試料の付着に使用される典型的な有機溶剤は、水よりも揮発性であるという事実を利用する。こうして、アナライトが有機溶剤と水を含む溶液に溶けていたら、この場合、試料の付着の間に迅速な脱溶剤を行えば、その有機溶剤は水より速く蒸発するであろう。この場合、アナライトは、概ね(primarily)水の性質をもち接触角が90°を超える溶剤混合物として、疎水性表面、例えば、DIOS−MSチップ上に付着する。水性溶液として疎水性表面に付着させることにより、疎水性ウィッキング効果が最少化され、アナライトをかなり小さい領域に集中させる(focus)ようにするので、感度と、表面の所定の領域に付着させ得る試料の数が増加する。本明細書における付着法は、有機溶剤を選択的に除去し、同時に、概ね水性の試料溶液を疎水性表面に付着させる独特の能力をもつ。
【課題を解決するための手段】
【0012】
こうして、本発明は、アナライトを疎水性表面に付着させる方法を提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明はまた、DIOSチップおよび/または質量分析装置と、上で要約された本発明の方法によるその使用説明書を備えるキットを提供する。
【0014】
さらに本発明は、アナライトを疎水性表面上に付着させることによる、質量分析用の試料調製方法もまた提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させることにより、質量分析のための試料を調製するステップと;を含む。
【0015】
本発明は、疎水性表面にアナライトを付着させる方法を提供する。この方法は、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;概ね水性のアナライト溶液となるのに十分な条件の下で、アナライト溶液から有機溶剤を脱溶剤するステップと;脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;を含む。
【0016】
本発明によれば、アナライトは一般に、ヌクレオチドまたはヌクレオチドの混合物、タンパク質またはタンパク質の混合物、あるいは、ペプチドまたはペプチドの混合物を含めて(これらに限定はされないが)、生体試料のような、例えば、百万ダルトンまでの、広い範囲の分子量の如何なる実験試料であってもよい。同様に、アナライトは合成ポリマーまたは合成ポリマーの混合物であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態においては、疎水性表面には、例えば、シリコン、ガリウム砒素、または窒化ガリウム系の、多孔質半導体が含まれる。特定の実施形態においては、多孔質半導体は、シリコン上脱離/イオン化(Desorption/Ionization on Silicon、「DIOS」チップである。DIOSチップは、例えば、J.Wei、Nature、399、243−46(1999);G.E.SiuzdakのPCT W0 00/54309;および、G.E.Siuzdakの米国特許第6288390号;に記載されている。
【0018】
通常、有機溶剤を含む試料はDIOSチップ上で広い領域に広がる傾向があるので、感度が悪くなり、また所定のDIOSチップ上で試験できる試料の数が少なくなる。これは、有機溶液が90°未満の接触角を生成させる傾向があるという事実の結果である。水性溶剤はDIOSチップの広い領域に試料を広げさせない。
【0019】
本発明の方法は、脱溶剤により、試料の付着中に、水性溶剤よりも有機溶剤を優先的に除去する。「脱溶剤すること」および「脱溶剤」という用語は、本明細書では交換可能な仕方で使用されており、本発明に従って脱溶剤の後にアナライト溶液が概ね水性であるように、水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含むアナライト溶液から1種または複数の有機溶剤を除去することを表そうとするものである。
【0020】
「概ね水性のアナライト溶液」におけるような「概ね水性」という用語は、疎水性表面に付着させた時に、アナライトの分析(例えば、質量分析)を難しくする(例えば、感度を低下させる)ように表面に沿ってウィッキングを起こさない、あるいは広がらないアナライト溶液を表す。手短に言えば、本発明に従って脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液は、分析の感度を上げることと、分析され得る試料の数を増やすことにより、従来技術の試料調製および付着の方法に伴う問題を回避する。
【0021】
本発明の一実施形態においては、脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液の有機溶剤含量は、疎水性表面に付着させた時に、その脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が約90°を超える表面との接触角をもつようなものである。例えば、Adamson、Arthur W.(カリフォルニア州、ロサンゼルスの南カリフォルニア大学、化学科)による「Physical Chemistry of Surface(表面の物理化学)」(Interscience Publishers、John Wiley and Sonsの一部門、ニューヨーク)の355頁「measurement of contact angle(接触角の測定)」に説明されるような、様々な標準的実験法を用いて、接触角を測定することができる。特定の実施形態においては、接触角は、約90°を超え、約115°までの範囲である。通常、本発明による、脱溶剤後の概ね水性のアナライト溶液の有機溶剤含量は、アナライト溶液の約5容量%から約10容量%の範囲である。
【0022】
一実施形態においては、アナライト溶液は、例えば、概ね水性のアナライト溶液が得られるのに十分な温度、圧力、流量で、K.Biemannの米国特許第4843243号、T.Prevostの米国特許第5772964号、K.Biemannの米国特許第5770272号に記載されるもののような、加熱されたキャピラリーネブライザーを通してアナライト溶液を素早く注ぐことによるサーモスプレ法により脱溶剤される。正確な条件は特定のアナライトにより決まり、最適な条件の決定は十分に当業者の理解の範囲内にあるであろう。溶液は、好ましくは、再現性のあるやり方で、それ程水を除去することも試料に熱劣化を引き起こすこともなしに有機溶剤が除去されるように、十分に迅速に加熱されるべきである。例として、温度は、約30〜200℃(あるいは30〜150℃)、圧力は、約10〜60PSI(あるいは10〜30PSI)、流量は、約0.05〜50μL/min(あるいは、0.1〜20μL/min)であり得る。
【0023】
加熱キャピラリーネブライザ−による付着の間の脱溶剤により、有機溶剤は優先的に除去され、概ね水性の溶液に溶けたアナライトが残される。概ね水性の溶液としてDIOSチップに付着する試料は、チップの限られた領域内に留まる傾向があり、チップの広い領域に広がらないであろうから、感度と、1つのBIOSチップに採集する(collect)ことができる試料の数が増大する。加熱キャピラリーネブライザーを使用する本発明の方法は、アナライトを約0.3mmのトラック幅(例えば、約1mmから約0.1mmのトラック幅)をもってDIOS表面上に付着させること、そして、2.5mmウェルへの従来のピペットによる付着法に比べて少なくとも2倍の領域集中における利得(gain in spatial focus)を得ること(より好ましくは、約2.5と約6.5倍の間の、付着領域集中の利得)ができる。このように、例えば、質量分析の試料の調製に本発明の方法を利用することができ、その場合には、試料を隣接する一連のトラックまたはスポットとして付着させることができる。
【0024】
脱溶剤される有機溶剤は、アセトニトリル、有機アルコール(例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノール)エーテル(例えば、ジエチルエーテル)、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物であり得る。
【0025】
アナライト溶液はまた、イオンペア試薬、例えば、ギ酸、酢酸、およびトリフロオロ酢酸を含めて、HPLC溶剤系において通常使用されるものを含み得る。
【0026】
例示的な一実施形態において、アナライト溶液は、約10〜70%のアセトニトリル、約10〜70%の水、および、約0.1〜2.0%のトリフルオロ酢酸を含む。
【0027】
本発明はまた、DIOSチップおよび/または質量分析装置と、本発明の方法を実施するための使用説明書を備えるキットも提供する。本発明の方法において使用するのに適する質量分析装置は、LC−MALDIprep(商標)(Waters Corporation、マサチューセッツ州、Milford)である。
【0028】
本発明の付着方法は、ペプチドマスフィンガープリンティング分析を含めて、様々な分析法での、タンパク質および消化タンパク質のアナライトの付着において使用するのに適している。より詳細には、LC−MALDIまたはLC−MALDIprepにより得られる質量スペクトルのデータは、消化タンパク質分離物の取得および分析とペプチドマスフィンガープリンティング分析に適している。
【0029】
(実施例)
本発明は、本発明の方法の適用を説明する以下の非限定的実施例によりさらに例示される。
【実施例1】
【0030】
標準ペプチドを、LC−MALDIprep(Waters)に直接注入し(Harvardシリンジポンプ)、加熱キャピラリーネブライザ−を通過させ、それから、隣接する一連のトラック(間隔は4.5mm)としてDIOSチップ上に付着させた。この標準ペプチド(1pmol/μL)は、30%のアセトニトリル、70%の水、および0.1%のTFAの溶液として、10μL/minの流量で直接注がれた。脱溶剤の温度は55℃であり、ネブライザー窒素ガスを20PSIの圧力に保った。ノズルとBIOSチップの間の距離は10mmであった。試料採取中のステージ速度は10mm/minであった。質量スペクトル分析を、Micromass MALDI(登録商標)装置(Micromass UK,Ltd.)を用いて行った。トラックのY−方向を横切りレーザーをスキャンする(spep yscan tD d09)ことにより、トラックの幅を測定した(図1)。LC−MALDIprep(Waters)は、直径1mmの噴霧(spray)を生じる。
【0031】
データから、DIOSチップ上にスプレで吹き付けられた試料は、幅1.2mm(FWHM(半値全幅))の狭い試料トラックに集中していたことが示される。このトラックを横切るスキャンの中央および端からの4つの質量スペクトルが図2に示されている。各質量スペクトルは、注入されたペプチドの質量と、DIOSチップ上のどこにレーザーが照射されたかを示す位置、x、yを表示している。これらのデータから、トラックのベースライン幅は2mmであり、トラックのFWHM幅は1.2mmである。脱溶剤なしで、DIOSチップ上に滴下した同じ溶液(アセトニトリル30%)は、この溶液の接触角が90°未満であったという事実のために、スプレ試料で起こったよりもずっと広い領域に広がる。トラック幅が1.2mmであることにより、最初試料は30%アセトニトリルに溶けていたにもかかわらず、それがDIOS表面に付着した後、それ程ウィッキングを起こさなかったことを示している。10μL/minの流量と、10mm/minのステージ速度(採取速度)で、1μLのカラムが1mmのトラックに採取された。この試料付着方法は、有機溶剤含有溶液において試料付着中にDIOSチップで通常見られるウィッキング効果を最少化しながら、DIOSチップに試料のトラックまたはスポットを採集するのに使用され得る。
【実施例2】
【0032】
以下の例示的な本発明の方法を、試料調製と操作についての以下の技法と装置を用いて実施した。
【0033】
CapLC
CapLCを、典型的な、水/アセトニトリル/0.1%TFAの勾配クロマトグラフィにより、3μL/minで運転した。使用されたカラムは、粒径が5μmのSymmetry C18 0.32×150mmであった。
【0034】
LC−MALDIprep
LC−MALDIprepを、LCDIOS作業のために元々備わるステンレス鋼キャピラリーと、直接注出し付着領域を集中させる作業のための新しい石英ガラスのキャピラリーを用いて運転した。典型的なノズル温度は40から70℃であった。典型的なステージ速度は2.5から10mm/minの範囲であった。
【0035】
LC−MALDI−TOF/MS
Micromass MALDI−TOF/MS装置(Waters)を、ペプチドマスフィンガープリント用の、MassLynx4.0のSCN429のベータ5バージョンとMaldiAuto/PLGS2を用いて運転した。
【0036】
付着領域の集中
標準ペプチド、Glu−フィブリノペプチドBを、シリンジポンプを用いてDIOSチップに直接注いだ。トラックとスポットをレーザースキャンしてDIOS表面上の付着の幅を求めた。この幅はベースラインとFWHMとして、付着領域集中度を求めるために繰返し測定された。流量は、50%のアセトニトリル、50%の水、0.1%のTFAおよび10mMのクエン酸アンモニウムとして、(異なると指摘されない限り)2μL/minである。ステージは(異なると指摘されない限り)2.5mm/minで動かされる。領域集中についての比較となる付着点は、直径2.5mmの通常のウェルである。このウェルの面積は、従って4.91mm2である。
【0037】
picofritキャピラリー(75×15μm)を用いて、1μL/minで直接注がれたDIOS上のトラック幅は、平均で、FWHMが0.3mm、ベースラインが0.7mmである(表1)。1μL/minの流量と2.5mm/minのステージ速度で、1μLの容積は、2.5mmの長さのトラックに付着する。こうして、付着面積は、0.7×2.5mm、すなわち1.75mm2である。これは、4.91mm2のウェルの通常面積に対して、付着領域集中における、2.8倍の向上を示している。
【0038】
【表1】
【0039】
先端テーパー付き(taper−tip)キャピラリー(20×20μm)を用いて、2μL/minで直接注いだDIOS上のスポットの直径は、FWHMが0.4mm、ベースラインが1.0mmである(表1)。スポット時間は0.5分であるから、1μLが1スポットに付着する。付着スポットの面積は0.79mm2であり、領域集中における6.1倍の改善である。
【0040】
定量的DIOS
Glu−fibを内部標準として用い、100fmol/μLで一定に保った。アンギオテンシンIの濃度をほぼ2桁に渡り変化させた。LC−MALDIprepで試料を付着させたDIOSの定量的性質を評価するのに使用されるSICピークと比について、繰返し測定した。
【0041】
LC−MALD分析によるピークの積分で使用されるパラメータは次の値を含んでいた:平滑化と、ApexTrackピーク積分が可能であった;ApexTrackピーク検出パラメータは、peak−to−peak Baseline Noise of 7、0.544(最小)の5%高さでのピーク幅、0.00のベースライン開始点しきい値および0.50%のベースライン終了点しきい値を含んでいた;また、クロマトグラム平滑化は平均法(mean method)を用いた。
【0042】
データは半定量的であり、加熱キャピラリーネブライザーとDIOSチップの組合せがどの程度定量的であり得るかを決めるにはさらなる研究がなされねばならない。下の表に結果を要約する。
【0043】
【表2】
【0044】
LC−DIOS
トリプシンで消化された4種のタンパク質混合物の分離物を、加熱キャピラリーネブライザーを用いてDIOS表面に採集した。クロマトグラムとPMFの結果は次の通り。
【0045】
LC−MALDI分離物からの基準ピーク強度クロマトグラムが図6に示されており、タンパク質1種あたり300fmolの坦持でのLC−MALDI分離の2次元マッピングが図7に描かれている。複雑な混合物から複数のペプチドを分離し検出するLC−DIOSの能力は、図7に与えられる2次元スキャンにより示されている。質量と電荷の比の大部分は約2000Da未満である。各ピークまたは抽出イオンクロマトグラム(extracted ion chromatogram)は、ベースラインで約1.4mmの幅である(図8)。これは図7に示されているものと同じXICである。複数のXICスペクトルが図9に示されており、この図は、本発明の付着方法によりLC−MALDI分離からDIOSチップ上に付着させたアナライトのX方向での領域集中を示している。
【0046】
PMFの結果を調べるために、MaldiAutoソフトウェアとPLGS2を用いて、質量分析器による分離体を分析した。PMFの結果は、質量の正確さに優れ、予想されるように、m/zの小さいペプチドに大きく偏っていることを示している。
【0047】
参考としての組込み
本明細書において引用された特許、公開特許出願および他の参考文献のすべての全内容は、ここで明示的に、参考としてそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
均等物
当業者は、本明細書に記載された具体的な手順に対する多くの均等物を認める、あるいは、日常的な実験法にすぎないものを用いて確かめることができるであろう。このような均等物は本発明の範囲内にあると考えられており、また請求範囲により包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の方法によりDIOS基板上に付着した材料のY方向のプロットを示す図である。
【図2A】このトラックへの交線の端部の質量スペクトルを示す図である。
【図2B】このトラックへの交線の中央部の質量スペクトルを示す図である。
【図2C】このトラックへの交線の別の中央部の質量スペクトルを示す図である。
【図2D】このトラックへの交線の別の端部の質量スペクトルを示す図である。
【図3】prep−LC−MALDIによる一連の試料ウェルへの付着物のラスタープロフィール(一連のピークは一連のウェル:すなわち、A2、A3、A4など(4.5mmピッチ)を表す)を示す図である。
【図4】Glu−fib(100fmol/μL)からのSICピークのプロットを示す図である。
【図5】アンギオテンシンI(25、50、100、500、および1000fmol/μL)からのSICピークのプロットを示す図である。
【図6】4種のタンパク質のトリプシン消化物のCapLC−MALDI−MS基準ピーククロマトグラムを示す図である。
【図7】300fmol/タンパク質の担持での図6のタンパク質混合物についてのLC−MALDI分離の2次元マッピングである。
【図8】DIOSチップ上へのペプチドの付着の集中を示す抽出イオンクロマトグラムである。
【図9】LC−MALDI分離を用いてDIOSチップ上に付着させたアナライトの付着領域が分離されていることを示す様々なXICの抜粋である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;
概ね水性のアナライトとするのに十分な条件の下で、前記アナライト溶液から前記有機溶剤を脱溶剤するステップと;
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;
を含む、アナライトを疎水性表面に付着させる方法。
【請求項2】
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が、前記疎水性表面に付着する時、約90°を超える前記表面との接触角をもつ請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触角が、約90°を超え、約115°未満の範囲である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アナライト溶液が、約1μm未満の厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アナライト溶液が、約0.1と約1μmの間の厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アナライト溶液が、約0.3μmの厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が、前記アナライト溶液の約5容量%から約10容量%の範囲の有機溶剤含量を備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アナライトが生体試料である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アナライトがタンパク質またはタンパク質の混合物である請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記アナライトがペプチドまたはペプチドの混合物である請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記アナライトが合成ポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記疎水性表面が多孔質半導体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質半導体が、シリコン、ガリウム砒素、または窒化ガリウム系である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記多孔質半導体が、シリコン上脱離/イオン化(DIOS)チップである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記有機溶剤が、アセトニトリル、有機アルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶剤が、アセトニトリル、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アナライト溶液が、イオンペア試薬をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記イオンペア試薬が、ギ酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アナライト溶液が、約10〜70%のアセトニトリル、約10〜70%の水、および、約0.1〜2.0%のトリフルオロ酢酸を含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記有機溶剤がサーモスプレ法により脱溶剤される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記有機溶剤が、概ね水性のアナライト溶液とするのに十分な温度、圧力、および流量で、キャピラリーネブライザーを通して前記アナライト溶液を素早く注ぐことにより、脱溶剤される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記温度が約30〜200℃であり、前記圧力が約10〜60PSIであり、また前記流量が約0.05〜50μL/minである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記温度が約30〜150℃であり、前記圧力が約10〜30PSIであり、また前記流量が約0.1〜20μL/minである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記の概ね水性のアナライト溶液を、隣接する一連のトラックまたはスポットとして付着させる請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記の概ね水性のアナライト溶液に、多くても約10容量%の有機溶剤しかない請求項1または21に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液に多くても約5容量%の有機溶剤しかない請求項25に記載の方法。
【請求項27】
DIOSチップまたは質量分析装置と、請求項1に記載の方法によるこれらの使用説明書を含むキット。
【請求項28】
水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;
概ね水性のアナライトとするのに十分な条件の下で、前記アナライト溶液から前記有機溶剤を脱溶剤するステップと;
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させることにより、質量分析のための試料を調製するステップと;
を含む、アナライトを疎水性表面に付着させることによる質量分析用試料の調製方法。
【請求項1】
水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;
概ね水性のアナライトとするのに十分な条件の下で、前記アナライト溶液から前記有機溶剤を脱溶剤するステップと;
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させるステップと;
を含む、アナライトを疎水性表面に付着させる方法。
【請求項2】
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が、前記疎水性表面に付着する時、約90°を超える前記表面との接触角をもつ請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触角が、約90°を超え、約115°未満の範囲である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アナライト溶液が、約1μm未満の厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アナライト溶液が、約0.1と約1μmの間の厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アナライト溶液が、約0.3μmの厚さをもつトラックとして前記疎水性表面上に付着する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液が、前記アナライト溶液の約5容量%から約10容量%の範囲の有機溶剤含量を備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アナライトが生体試料である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アナライトがタンパク質またはタンパク質の混合物である請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記アナライトがペプチドまたはペプチドの混合物である請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記アナライトが合成ポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記疎水性表面が多孔質半導体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔質半導体が、シリコン、ガリウム砒素、または窒化ガリウム系である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記多孔質半導体が、シリコン上脱離/イオン化(DIOS)チップである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記有機溶剤が、アセトニトリル、有機アルコール、エーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記有機溶剤が、アセトニトリル、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アナライト溶液が、イオンペア試薬をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記イオンペア試薬が、ギ酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アナライト溶液が、約10〜70%のアセトニトリル、約10〜70%の水、および、約0.1〜2.0%のトリフルオロ酢酸を含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記有機溶剤がサーモスプレ法により脱溶剤される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記有機溶剤が、概ね水性のアナライト溶液とするのに十分な温度、圧力、および流量で、キャピラリーネブライザーを通して前記アナライト溶液を素早く注ぐことにより、脱溶剤される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記温度が約30〜200℃であり、前記圧力が約10〜60PSIであり、また前記流量が約0.05〜50μL/minである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記温度が約30〜150℃であり、前記圧力が約10〜30PSIであり、また前記流量が約0.1〜20μL/minである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記の概ね水性のアナライト溶液を、隣接する一連のトラックまたはスポットとして付着させる請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記の概ね水性のアナライト溶液に、多くても約10容量%の有機溶剤しかない請求項1または21に記載の方法。
【請求項26】
前記溶液に多くても約5容量%の有機溶剤しかない請求項25に記載の方法。
【請求項27】
DIOSチップまたは質量分析装置と、請求項1に記載の方法によるこれらの使用説明書を含むキット。
【請求項28】
水と1種または複数の有機溶剤との混合物を含む溶剤にアナライトを溶かすことによりアナライト溶液を調製するステップと;
概ね水性のアナライトとするのに十分な条件の下で、前記アナライト溶液から前記有機溶剤を脱溶剤するステップと;
前記の脱溶剤された概ね水性のアナライト溶液を疎水性表面上に付着させることにより、質量分析のための試料を調製するステップと;
を含む、アナライトを疎水性表面に付着させることによる質量分析用試料の調製方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2006−504098(P2006−504098A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547098(P2004−547098)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033677
【国際公開番号】WO2004/038402
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504438255)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (80)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033677
【国際公開番号】WO2004/038402
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504438255)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (80)
【Fターム(参考)】
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