説明

有機溶媒に再分散可能な塊状組成物、その製造方法および該塊状組成物を再分散させた有機溶媒分散ゾル

【課題】 本発明は、主として改質チタニウム化合物粒子からなる、有機溶媒に再分散可能な特性を備えた塊状組成物に関する。
【解決手段】 チタニウム化合物粒子の表面を、特定のアルコキシシラン、特定のハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子とn-ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物並びにその製造方法、および該塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなる有機溶媒分散ゾル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として改質チタニウム化合物粒子からなる、有機溶媒に再分散可能な特性を備えた塊状組成物、その製造方法および該塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなる有機溶媒分散ゾルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸化チタン粒子や改質酸化チタン粒子等の無機酸化物微粒子を、メタノール、エタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル等のエーテル類、或いは酢酸エチル等のエステル類から選ばれた有機溶媒中に分散させた有機溶媒分散ゾルは広く知られている。
しかし、使用される有機溶媒の種類と量によっては危険物扱いとなるため、その貯蔵や輸送に十分な注意を払う必要があるばかりなく、これを長期間保管すると、前記有機溶媒分散ゾル中に含まれる無機酸化物微粒子が凝集または自然沈降して保管容器の下部に堆積したりすることがあった。
【0003】
さらに、前記有機溶媒分散ゾルを様々な用途に使用するため、分散媒としての前記有機溶媒を他の有機溶媒と置換することが要求される場合があった。しかし、これを行うことは、これらの有機溶媒の種類などによっても異なるが、必ずしも容易ではなかった。たとえ、その溶媒置換が可能であっても、前記無機酸化物微粒子が均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾル(溶媒置換ゾル)を得ることができない場合が多々あった。
そこで、これらの問題を解決するため、所望する有機溶媒に再分散可能な前記無機酸化物微粒子の乾燥粉体や塊状物を開発するか、或いは該微粒子を有機溶媒中に再分散させるための手段を開発することが求められていた。
【0004】
前記の有機溶媒分散ゾルの製造方法としては、(1)有機溶媒中に様々な分散剤を加える方法や、(2)様々な改質剤で表面処理した改質無機酸化物微粒子を用いる方法などが挙げられ、中には有機溶媒に再分散可能な前記無機酸化物微粒子を提供するものもある。
例えば、特許文献1には、直流アークプラズマ法で気化させたチタン蒸気を酸化・冷却して得られる二酸化チタン超微粒子を、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、イミノ基、第4アンモニウム塩基などの官能基を有する各種の分散剤の存在下で、有機溶媒中に分散させる方法が開示されており、また特許文献2には、ケイ素または金属の酸化物、水酸化物または酸水酸化物で被覆された酸化チタン粒子を、ポリオキシエチレン化アルキルエーテルホスフェートから選択される両親媒性化合物(親水性と親油性を兼ね備える)の存在下で、有機溶媒中に分散させる方法が開示されている。
【0005】
しかし、これらの方法から得られる酸化チタン粒子等の有機溶媒分散ゾルの場合は、特別な分散剤を使用しているため、その使用用途が限定され、さらに分散媒として使用された有機溶媒を他の有機溶媒に置換することは困難であった。また、特許文献2の明細書中には、前記の酸化チタン粒子と両親媒性化合物との混合物からなる固体化合物は再分散性を有するとの記載が認められるが、有機溶媒中に均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾルを得ることは難しかった。
【0006】
また、特許文献3には、R1xSi(OR2)4-xの一般式(ただし、R1は炭素数4〜10のアルキル基であり、R2は炭素数1〜3の直鎖または側鎖をもつアルキル基であり、xは1〜3である。)で表されるアルコキシシランを、酸化チタン等の微粒子粉体に対して窒素、不活性ガス、乾燥空気の雰囲気下で加熱反応させた改質微粒子粉体と、球状樹脂ビーズとをメカノケミカル的に複合化した、油に対する分散性や再分散性に優れた改質粉体が開示されている。
しかし、この方法から得られる改質粉体をn−ブタノール等の有機溶媒中に如何に分散させても、該粉体が均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾルを得ることはできなかった。
【0007】
さらに、特許文献4には、金属微粒子または酸化金属微粒子(核部分は金属微粒子)の表面を、アミノ基、ヒドロキシル基、エーテル型のオキシ基、スルファニル基、スルフィド型のスルファンジル基などを有する化合物で被覆した、有機溶媒に分散可能な前記微粒子、および該微粒子をアルコール溶媒、ニトリル溶媒、ケトン溶媒等の有機溶媒に分散させてなる有機溶媒分散液が開示されている。また、前記酸化金属微粒子を均一に分散させてなる有機溶媒分散液を調製するためには、該微粒子を再分散させることによって得られるが、再分散に使用される溶媒は100〜300℃の高沸点溶媒であり、しかも前記微粒子の含有濃度と分散液の粘度を特定の範囲に維持する必要があるとの記載が認められる。
しかし、この方法から得られる酸化金属微粒子は、上記のような高沸点溶媒を使用してその調製条件を特定の範囲に維持しなければ、該微粒子が均一に分散された有機溶媒分散液を得ることができないため、その使用用途は極めて限られるものであった。即ち、任意の有機溶媒(例えば、沸点100℃未満の有機溶媒)を用いて、金属酸化物微粒子を均一に再分散させてなる透明な有機溶媒分散ゾルを得ることはできなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平11−278844号公報
【特許文献2】特表2002−542311号公報
【特許文献3】特開平8−117589号公報
【特許文献4】再公表WO2005/037465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、上記のような問題点を解決することを目的として鋭意研究を続けたところ、特定のシラン系改質剤で表面改質した改質チタニウム化合物粒子と一定量のn−ブタノールとを含む塊状組成物であれば、各種の有機溶媒中に容易に再分散させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、前記改質チタニウム化合物粒子とn−ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な特性を備えた塊状組成物、およびその製造方法を提供することを目的としている。さらに、本発明は、前記塊状組成物を各種の有機溶媒中に再分散させてなる有機溶媒分散ゾルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る有機溶媒に再分散可能な塊状組成物は、
2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含むことを特徴としている。
1nSi(OR2)(4-n) … (1)
1mSiR3(4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。)
【0011】
前記チタニウム化合物粒子は、チタニウムの酸化物粒子、またはチタニウムとケイ素、ジルコニウム、錫およびアンチモンから選ばれた1種または2種以上の元素とを含む複合酸化物粒子であることが好ましい。
さらに、前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径は、5〜20nmの範囲にあることが好ましい。
【0012】
前記改質チタニウム化合物粒子は、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。)
さらに、前記改質チタニウム化合物粒子は、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。)
【0013】
さらに、前記改質チタニウム化合物粒子は、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。)
また、前記n―ブタノールの含有量は、1〜15重量%の範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明に係る有機溶媒に再分散可能な塊状組成物の製造方法は、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む塊状組成物を得ることを特徴としている。
【0015】
前記n―ブタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
【0016】
前記メタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら 1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
【0017】
本発明に係る有機溶媒分散ゾルは、
前記の有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなるものであることを特徴としている。
ここで、前記有機溶媒は、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
【0018】
前記炭化水素類からなる有機溶媒は、n-ヘキサン、トルエン、キシレンまたはシクロヘキサンであることが好ましく、前記アルコール類からなる有機溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノールまたはn−ブタノールであることが好ましく、また前記ケトン類からなる有機溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンまたはジアセトンアルコールであることが好ましい。
【0019】
さらに、前記エーテル類からなる有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブまたはテトラヒドロフランであることが好ましく、また前記エステル類からなる有機溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルであることが好ましい。
また、前記有機溶媒分散ゾル中には、前記有機溶媒中に再分散させてなる前記塊状組成物を、1〜50重量%含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る、特定のシラン系改質剤で表面処理した改質チタニウム化合物粒子と一定量のn−ブタノールとを含む塊状組成物は、上記のような分散剤などを用いなくとも、各種の有機溶媒中に容易に再分散させることができる。さらに、前記チタニウム化合物粒子の表面処理に用いられる改質剤は、全てシラン系のものであるため、得られる改質チタニウム化合物粒子の物性に大きな影響を及ぼすこともない。
【0021】
また、本発明に係る塊状組成物は、危険物としての特別な管理をしなくとも、その貯蔵や輸送を容易に行うことができる。
さらに、この塊状組成物を長期間保管しても、該組成物中に含まれるn−ブタノールが蒸発しない限り、粒子同士が凝集したり、あるいは凝結したりすることがなく、またその保管スペースも、該塊状組成物を分散させた有機溶媒分散ゾルに較べて、かなり少なくて済むという利点を有している。
【0022】
また、本発明に係る塊状組成物は、各種の有機溶媒や樹脂の中に再分散させて使用することができるため、顧客が所望する様々な用途に適用可能であるという利点を有している。
さらに、本発明に係る塊状組成物を使用すれば、有機溶媒中に均一に分散された透明な有機溶媒分散ゾルを得ることができるので、その用途はかなり広がることが予想される。
なお、現時点で考えられる用途としては、顔料、化粧料、紫外線吸収剤、防腐剤、防汚材、殺菌剤、脱臭剤、油剤、粘剤、隠蔽材、導電材、高屈折率材、反射材、封止材、充填材、包装材、光触媒、反射防止膜材、ハーフミラー膜材、レンズ材、繊維材、電極材などが挙げられる。さらに、その使用目的によっても異なるが、各種の塗料、樹脂、建材、紙などに混合、添加または塗布して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る塊状組成物並びにその製造方法、および該塊状組成物を再分散させてなる有機溶媒分散ゾルについて具体的に説明する。
【0024】
[塊状組成物]
本発明による塊状組成物は、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物であって、
2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含むものである。
1nSi(OR2)(4-n) … (1)
1mSiR3(4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。)
【0025】
ここで、前記チタニウム化合物粒子は、チタニウムの酸化物粒子、またはチタニウムとケイ素、ジルコニウム、錫およびアンチモンから選ばれた1種または2種以上の元素とを含む複合酸化物粒子であることが好ましい。
前記チタニウム酸化物粒子は、化学式TiO2で表される化合物の粒子であるが、前記複合酸化物粒子としては、チタニウムと前記元素とを組み合わせて得られる様々な化合物の粒子がある。これらの化合物の化学式を模式的に例示すれば、以下の通りである。また、その結晶構造は、該化合物の調製条件(使用元素や各元素の含有量等を含む)によっても異なるが、主にアナターゼ型、ルチル型またはその混在型に分類される。
【0026】
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−O−Ti−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Zr−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−
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【0027】
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−O−Ti−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Zr−O−
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【0028】
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sb−O−Zr−O−Si−O−
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−O−Ti−O−Sn−O−Zr−O−Si−O−Sb−O−
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【0029】
さらに、前記チタニウム化合物粒子を核粒子としてその表面を、例えばシリカとジルコニウムおよび/またはアルミニウムとからなる酸化物または複合酸化物で被覆したものを使用することもできる。特に、チタニウム酸化物の光触媒活性によって被膜の耐候性に悪影響を及ぼすような用途(例えば、プラスチックレンズのハードコート膜)に使用する場合には、このような被覆層を有するチタニウム化合物粒子を用いることが好ましい。これは、この被覆層によって、前記の光触媒活性が抑えられるためである。
前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径は、2〜30nm、好ましくは5〜15nmの範囲にあることが望まれる。ここで、前記平均粒子径が2nm未満であると、再分散安定性が著しく劣るため、得られた塊状組成物を有機溶媒中に再分散させることが困難となり、また前記平均粒子径が30nmを超えると、たとえ得られた塊状組成物を有機溶媒中に再分散できても、再分散ゾルの透明性が低くなるので、好ましくない。
【0030】
前記チタニウム化合物粒子は、i)水分散ゾルからメタノール分散ゾルを調製する過程や、ii)メタノール分散ゾルからn−ブタノール分散ゾルを調製する過程でも、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で必要に応じて表面処理されるが、iii)n−ブタノール分散液から前記塊状組成物を調製する過程では、少なくとも1回、上記一般式(1)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤で表面処理される。
【0031】
ここで、前記iii)では、前記改質剤の中でも下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましい。
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。)
さらに、前記ii)では、前記改質剤の中でも下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましく、また前記i)では、前記改質剤の中でも下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましい。
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。)
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。)
【0032】
これに伴って、前記改質チタニウム化合物粒子は、前記iii)において、上記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。
また、前記改質チタニウム化合物粒子は、前記ii)において、上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
さらに、前記改質チタニウム化合物粒子は、前記i)において、上記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることが好ましい。しかし、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】
本発明に係る塊状組成物中に含まれる前記n―ブタノールの含有量は、0.5〜25重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲にあることが望まれる。ここで、前記含有量が0.5重量%未満であると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となり、また前記含有量が25重量%を超えると、有機溶媒の種類(特に、n―ブタノールと相性の悪い有機溶媒)によっては、再分散させることが困難となる場合があり、またその荷姿が塊状でなくペースト状や液状となるので、好ましくない。
すなわち、前記n―ブタノールは、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を製造する上で重要な役割を果たしているので、本発明においては必須の構成成分である。さらに付言すれば、前記含有量が比較的少ないと、小さい塊状組成物(例えば、粒状物)が得られ、また前記含有量が比較的多いと、大きい塊状組成物が得られる。
【0034】
[塊状組成物の製造方法]
本発明に係る塊状組成物は、2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含む混合物を調製することによって得られる。
さらに具体的に述べれば、 前記改質チタニウム化合物粒子は、i)水分散ゾルからメタノール分散ゾルを調製する過程およびii)メタノール分散ゾルからn−ブタノール分散ゾルを調製する過程で、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で必要に応じて表面処理され、さらにiii)n−ブタノール分散液から前記塊状組成物を調製する過程で、上記一般式(1)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤で表面処理されたものを使用することが望ましい。
【0035】
上記でも述べたように、前記iii)では、前記改質剤の中でも上記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましい。さらに、前記ii)では、前記改質剤の中でも上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましく、また前記i)では、前記改質剤の中でも上記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤を使用することが望ましい。
以下に、これらの最適な方法に基づき、本発明に係る再分散可能な塊状組成物の製造方法を説明する。
【0036】
本発明に係る塊状組成物の製造方法は、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%、好ましくは1〜15 重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む塊状組成物を製造するものである。
【0037】
前記工程(a)において、上記一般式(3)で表されるアルコキシシランは、式中のxが2〜18の範囲にあるものから適宜、選択して使用することができるが、この中でも、n−C817Si(OC253やn−C1837Si(OC253などを使用することが好ましい。
さらに、前記工程(a)において、上記一般式(4)で表されるアルコキシシランは、式中のxが2〜18の整数であり、yが0あるいは1〜7の整数であり、zが1〜3の整数の範囲にあるものから適宜、選択して使用することができるが、この中でも、CF3CH2CH2Si(OC253、CF3(CF25CH2CH2Si(OC253、CF3(CF27CH2CH2Si(OC253などを使用することが好ましい。
【0038】
前記工程(a)において、前記n−ブタノール分散液中に混合される前記改質剤の量は、SiO2換算基準で、前記チタニウム化合物粒子の重量に対し1〜15重量%、好ましくは 2〜10重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記混合量が1重量%未満であると、n−ブタノール分散液中でのチタニウム化合物粒子の安定性が悪化して粒子同士が凝集したりする場合があり、また前記混合量が15重量%を超えると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となるので、好ましくない。
【0039】
前記工程(b)において、前記処理温度が30℃未満であると、改質剤がチタニウム化合物粒子とその表面付近で充分に反応しなくなり、また前記処理温度が90℃を超えると、改質剤同士が反応しやすくなったり、粒子同士が結合して凝集したりするので、好ましくない。また、前記処理時間が1時間未満であると、改質剤がチタニウム化合物粒子と充分に反応することができない場合(すなわち、所望量の改質剤がチタニウム化合物粒子と反応していない)があり、また前記処理時間が24時間を超えると、粒子同士が結合して凝集したりするので、好ましくない。
さらに、前記工程(c)において、前記処理時間が1時間未満であると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となり、また前記処理時間が24時間を超えると、粒子同士が結合して凝集したりするとなるので、好ましくない。
また、前記工程(d)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は、70〜150℃、好ましくは90〜110℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.0346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
【0040】
前記n―ブタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
【0041】
前記工程(a)において、上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランは、トリメチルクロロシランまたはトリエチルクロロシランであることが好ましい。
また、前記工程(a)において、前記メタノール分散液中に混合される前記改質剤の量は、SiO2換算基準で、前記チタニウム化合物粒子の重量に対し0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記混合量が0.5重量%未満であると、溶媒としてのメタノールをn−ブタノールに溶媒置換する際に、チタニウム化合物粒子の凝集が起こりやすくなり、また前記混合量が5.0重量%を超えると、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させることが困難となる場合があるので、好ましくない。
【0042】
前記工程(b)における処理温度並びに処理時間、さらには前記工程(c)における処理時間は、上記と同様な理由から、前記の範囲に維持することが好ましい。
さらに、前記工程(d)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は、40〜80℃、好ましくは50〜70℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.00346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
【0043】
また、本発明においては、前記工程(a)で使用される改質剤を混合することなく、前記n―ブタノール分散ゾルを調製してもよい。
即ち、前記n―ブタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、n−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(b)前記工程(a)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであってもよい。
ここで、前記工程(b)において、前記ロータリーエバポレーターの操作は40〜80℃、好ましくは50〜70℃の温度条件下、および−0.0013〜0.0532MPa、好ましくは−0.0027〜0.00346MPaの減圧条件下で行うことが好ましい。
【0044】
前記メタノール分散ゾルは、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃、好ましくは45〜55℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、好ましくは5〜20時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることが好ましい。
【0045】
前記工程(a)において、上記一般式(6)で表されるアルコキシシランは、テトラメメトキシシランまたはテトラエトキシシランであることが好ましい。
また、前記工程(a)において、前記メタノール中に混合される前記改質剤の量は、SiO2換算基準で、前記チタニウム化合物粒子の重量に対し1〜10重量%、好ましくは
2〜5重量%の範囲にあることが望ましい。ここで、前記混合量が1重量%未満であると、メタノール分散ゾルの段階でチタニウム化合物粒子の凝集が起こり易くなり、また前記混合量が10重量%を超えると、溶媒置換して得られるn−ブタノール分散ゾルの段階でチタニウム化合物粒子の凝集が起こり易くなるので、好ましくない。
【0046】
前記工程(b)における処理温度並びに処理時間、さらには前記工程(c)における処理時間は、上記と同様な理由から、前記の範囲に維持することが好ましい。
さらに、前記工程(d)において、前記限外濾過装置の操作は、限外濾過膜モジュールを使用して、圧力0.1〜0.2MPa、温度20〜60℃、pH 2〜10の操作条件下で行うことが好ましい。
ただし、場合によっては、前記工程(a)で使用される改質剤を混合することなく、前記メタノール分散ゾルを調製してもよい。
【0047】
なお、前記チタニウム化合物粒子並びにその平均粒子径、および前記n−ブタノールの含有量については、上記の「塊状組成物」の欄で説明したので、ここではその説明を省略する。
また、上記において、前記メタノール分散ゾルや前記n−ブタノール分散ゾルに含まれるチタニウム化合物粒子は、それ以前に上記一般式(6)で表されるアルコキシシラン、上記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた改質剤などで表面処理されているものもあるが、ここでは、「改質チタニウム化合物粒子」とは云わず、単に「チタニウム化合物粒子」と云うことにする。さらに、前記チタニウム化合物粒子を改質剤で表面処理すると、それに伴って平均粒子径は増大する傾向にあるが、その増大幅は差程大きくなく、また使用される改質剤の種類や改質回数などによっても異なるので、全ての過程で使用されるチタニウム化合物粒子の平均粒子径を、単に「2〜30nm」と表記する。
【0048】
[有機溶媒分散ゾル]
本発明に係る有機溶媒分散ゾルは、上記で得られた塊状組成物、即ち有機溶媒に再分散可能な塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなるものである。
ここで、前記有機溶媒は、特に限定されるものではないが、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
【0049】
前記炭化水素類からなる有機溶媒としては、n-ヘキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなど挙げられ、前記アルコール類からなる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノール、n−ブタノールなどが挙げられ、また前記ケトン類からなる有機溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。
さらに、前記エーテル類からなる有機溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフランなどが挙げられ、また前記エステル類からなる有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
【0050】
また、前記有機溶媒分散ゾル中には、前記有機溶媒中に再分散させてなる前記塊状組成物を、1〜50重量%、好ましくは10〜30重量%含むことが好ましい。ここで、前記濃度が1重量%であると、前記チタニウム化合物粒子による所定の効果を引き出すことが困難となり、また前記濃度が50重量%を超えると、粒子同士が凝集して再分散ゾルの透明性が悪化したりするので、好ましくない。ただし、透明性が要求されない有機溶媒分散ゾルを調製する場合には、この限りではない。
【0051】
[測定方法]
次に、本発明の実施例その他で使用された測定方法を具体的に述べれば、以下の通りである。
(1)チタニウム化合物粒子の平均粒子径
透過型電子顕微鏡((株)日立製作所製、H−800)を用いて、試料ゾル0.05g中に含まれるチタニウム化合物粒子を倍率25万倍で写真撮影して得られた写真投影図から、任意の100個の粒子を選択して、それぞれの粒子径を測定した。次いで、それらの平均値を算出して前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径とした。
【0052】
(2)n−ブタノールの含有量
FIDガスクロマトグラフ(ジーエルサイエンス社製 GC−353B)を用いて、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させて固形分濃度を20重量%に調整した有機溶媒分散ゾル10.0gから0.2μLを取得して、これを分析した。次いで、ピーク面積比にて計算されたn−ブタノール含有値より前記塊状組成物中のn−ブタノール含有量を算出した。
(3)有機溶媒分散ゾルの透明性
色差・濁度測定器(日本電色工業(株)製、COH−300A)を用いて、得られた塊状組成物を有機溶媒に再分散させて固形分濃度を20重量%に調整した有機溶媒分散ゾル20.0gを光路長33mmの石英セルに収納して、前記有機溶媒分散ゾルの濁度(Hz)を測定した。
【0053】
[実施例]
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載された範囲に限定されるものではない。
【実施例1】
【0054】
水分散ゾルの調製(1)
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
【0055】
メタノール分散ゾルの調製(1)
上記で得られたチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.4kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
【0056】
n−ブタノール分散ゾルの調製(1)
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン(n-C817Si(OC25320.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.0kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。
【0057】
塊状組成物の調製(1)
上記の改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は78.2重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.9重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は24であった。
【実施例2】
【0058】
水分散ゾルの調製(2)
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製))中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
【0059】
次に、オキシ塩化ジルコニウム(大洋鉱工(株)製)5.3kgを純水9.5kgに溶解した、ZrO2濃度が2.0重量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に濃度15%のアンモニア水を添加して加水分解し、pH8.5のスラリーを得た。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
【0060】
上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
【0061】
メタノール分散ゾルの調製(2)
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75.0gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
【0062】
n−ブタノール分散ゾルの調製(2)
トリメチルクロロシラン30.0gに純水120.0gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
【0063】
塊状組成物の調製(2)
上記の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.7重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gをトルエン7.5gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は29であった。
【実施例3】
【0064】
実施例2で得られた改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物を再分散させる有機溶媒をトルエンからn−ヘキサンに変更した以外は、実施例2と同様な方法で再分散液を調製して測定を行った。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたn−ヘキサン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は39であった。
【実施例4】
【0065】
実施例2で得られた改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物を再分散させる有機溶媒をトルエンからメチルイソブチルケトン(MIBK)に変更した以外は、実施例2と同様な方法で再分散液を調製して測定を行った。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたMIBK再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は34であった。
【実施例5】
【0066】
実施例2で得られた改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物を再分散させる有機溶媒をトルエンからメチルエチルケトン(MEK)に変更した以外は、実施例2と同様な方法で再分散液を調製して測定を行った。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたMEK再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は18であった。
【実施例6】
【0067】
実施例2で得られた改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物を再分散させる有機溶媒をトルエンからテトラヒドロフラン(THF)に変更した以外は、実施例2と同様な方法で再分散液を調製して測定を行った。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたTHF再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は35であった。
【実施例7】
【0068】
実施例2で得られた改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物を再分散させる有機溶媒をトルエンからメタノールに変更した以外は、実施例2と同様な方法で再分散液を調製して測定を行った。
その結果、FIDガスクロマトグラフィーの分析によるn−ブタノールの含有値は0.7重量%であった。また、この含有値より算出された、前記塊状組成物中に含まれるn−ブタノールの含有量は、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたメタノール再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は19であった。
【実施例8】
【0069】
実施例2の「n−ブタノール分散ゾルの調製(2)」で使用された改質剤(n-オクチルトリエトキシシラン)の代わりに、改質剤としてn-C1225Si(OC253を21.5g使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は76.9重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.8重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は32であった。
【実施例9】
【0070】
実施例2の「n−ブタノール分散ゾルの調製(2)」で使用された改質剤(n-オクチルトリエトキシシラン)の代わりに、改質剤としてn-C1837Si(OC253を27.1g使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.4重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は37であった。
【実施例10】
【0071】
実施例2の「n−ブタノール分散ゾルの調製(2)」で使用された改質剤(n-オクチルトリエトキシシラン)の代わりに、改質剤としてCF3CH2CH2Si(OC253を17.2g使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
次いで、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は74.5重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.7gをトルエン7.3gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は43であった。
【実施例11】
【0072】
実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度86℃、圧力1.1Paの付近で35分間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は71.1重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.8gをトルエン7.2gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は2.0重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、10.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は19であった。
【実施例12】
【0073】
水分散ゾルの調製(3)
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、この過酸化チタン酸水溶液に、SnO2に換算して90.9gとなるように、濃度1.02重量%のスズ酸カリウム水溶液8.9kgを添加して混合撹拌した後、陽イオン交換樹脂にて脱アルカリ処理を行い、チタン酸・スズ酸の複合水溶液を得た。
次いで、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウム、スズおよびケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル3.2kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。なお、このチタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子は、ルチル型の結晶構造を有するものであった。
【0074】
次に、オキシ塩化ジルコニウム(大洋鉱工(株)製)5.3kgを純水9.5kgに溶解した、ZrO2濃度が2.0重量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に濃度15%のアンモニア水を添加して加水分解し、pH8.5のスラリーを得た。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
【0075】
上記のチタニウム・スズ・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウム、スズおよびケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、スズ、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.5kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
【0076】
メタノール分散ゾルの調製(3)
上記で得られたチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgに陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)75gを加えて撹拌して、脱アルカリ処理されたチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを得た。
次いで、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに上記の水分散ゾルをそれぞれ添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
【0077】
n−ブタノール分散ゾルの調製(3)
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は12nmであった。
【0078】
塊状組成物の調製(3)
上記の改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・スズ・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.8重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.8重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、4.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は31であった。
【実施例13】
【0079】
水分散ゾルの調製(4)
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)750gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で170℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.3kgを調製した。この水分散ゾルの外観は透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は8nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
【0080】
次に、オキシ塩化ジルコニウム(大洋鉱工(株)製)5.3kgを純水9.5kgに溶解した、ZrO2濃度が2.0重量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に濃度15%のアンモニア水を添加して加水分解し、pH8.5のスラリーを得た。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
【0081】
上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5kgに、純水20kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は9nmであった。
【0082】
次に、純水9.0kgに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)0.3kgを溶解した水溶液中に、三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製、ATOX−R)0.6kgを懸濁させた。この懸濁液を100℃に加熱し、これに濃度4.1重量%の過酸化水素水溶液を14時間かけて添加してアンチモン酸化合物水溶液を調製した。さらに、このアンチモン酸化合物水溶液9.1kgに純水15.9kg加えて、Sb25に換算した濃度が2重量%のアンチモン酸化合物水溶液を得た。
次いで、前記チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.0kgに、純水20kgを加えて固形分濃度2重量%に調整した水分散ゾルに、前記アンチモン酸化合物水溶液5.7kgを添加して十分に撹拌した後、陽イオン交換樹脂で脱アルカリ処理を行った。
【0083】
次に、この混合溶液に純水を加えて、固形分濃度が1.0重量%になるように調整し、これをオートクレーブに入れて、98℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、前記チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(核粒子)の表面にアンチモン酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素、ジルコニウムおよびアンチモンを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜法装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子の水分散ゾル5.2kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡青白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
【0084】
メタノール分散ゾルの調製(4)
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子の水分散ゾル3.0kgを、正珪酸エチル(多摩化学工業(株)製)0.07kgを溶解したメタノール溶液3.0kgに添加した後、50℃の温度で3時間加熱した。
次に、この水分散ゾルを室温まで冷却してから、限外濾過膜装置を用いて分散媒を水からメタノールに置換した。
さらに、得られたメタノール分散液を限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.2kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
【0085】
n−ブタノール分散ゾルの調製(4)
トリメチルクロロシラン30gに純水120gを添加して混合攪拌した後、上澄み液としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を得た。
次いで、上記のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、前記トリメチルクロロシラン加水分解物0.03kgを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
次に、このメタノール分散ゾルを室温まで冷却してから、ロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。このn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡青白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
次いで、前記n−ブタノール分散ゾルにn-オクチルトリエトキシシラン20.0gを添加して混合攪拌した後、50℃の温度で24時間加熱した。
さらに、得られたn―ブタノール分散液をロータリーエバポレーターで濃縮して、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は10nmであった。
【0086】
塊状組成物の調製(4)
上記の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で1時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム・アンチモン複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.2重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明な淡青白色であり、その濁度は30であった。
【比較例1】
【0087】
水分散ゾルの調製(5)
TiO2に換算して濃度が7.75重量%の四塩化チタン(住友チタニウム(株)製)の水溶液93.7kgと、濃度15重量%のアンモニア水36.3kgとを混合して中和したのち、純水によって洗浄し、54.6kgの含水チタン酸ケーキを得た。
次いで、このケーキ5.55kgに、濃度35重量%の過酸化水素水(三菱ガス化学(株)製)6.1kgと、水13.4kgとを加えた後、80℃で5時間加熱し、TiO2として2.0重量%の過酸化チタン酸水溶液25.0kgを得た。なお、この過酸化チタン酸水溶液は、透明な黄褐色でpHは8.1であった。
次に、平均粒子径が7nmのシリカ微粒子を含む、SiO2濃度が15重量%のシリカゾル(触媒化成工業(株)製)180gと、前記過酸化チタン酸水溶液22.5kgと、純水27.3kgとを混合し、オートクレーブ((株)菱化製作所製)中で200℃、20時間加熱した。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の水分散ゾル5.1kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。なお、このチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子は、アナターゼ型の結晶構造を有するものであった。
【0088】
次に、オキシ塩化ジルコニウム(大洋鉱工(株)製)5.3kgを純水9.5kgに溶解した、ZrO2濃度が2.0重量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に濃度15%のアンモニア水を添加して加水分解し、pH8.5のスラリーを得た。
さらに、このスラリーを濾過して洗浄し、ZrO2濃度が10.0重量%のケーキを得た。
次いで、このケーキ1.2kgに純水3.1kgを加え、さらにKOH純度86重量%の水酸化カリウム(関東化学(株)製)0.23kgを加えてアルカリ性にしたのち、これに35重量%の過酸化水素9.0kgを加えて、50℃の温度で加熱して溶解し、ZrO2としての濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液6.1kgを調製した。
さらに、市販の水ガラス(AGCエスアイテック(株)製)1.4kgを純水で希釈したのち、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製)で脱アルカリし、SiO2濃度が2重量%のケイ酸液18.9kgを調製した。
【0089】
上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5kgに、純水20kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
上記のチタニウム・ケイ素複合酸化物粒子の分散ゾル5.0kgに、純水20.0kgを加えて固形分濃度を2重量%に調整したのち、90℃の温度に加熱し、これに上記のZrO2濃度が2重量%の過酸化ジルコン酸水溶液1.5kgと上記のSiO2濃度が2重量%のケイ酸液4.7kgを添加した。
次いで、この混合溶液をオートクレーブに入れて、170℃の温度で18時間、加熱処理を行った。その結果、チタニウムとケイ素からなる複合酸化物粒子(核粒子)の表面にジルコニウムとケイ素の複合酸化物を被覆してなる、チタニウム、ケイ素およびジルコニウムを含む複合酸化物粒子(以下、「チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子」という。)のゾルを得た。
次いで、得られたゾルを限外濾過膜装置で濃縮して、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾル5.7kgを調製した。この水分散ゾルの外観は淡乳白色であり、また該水分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
【0090】
メタノール分散ゾルの調製(5)
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が20重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル1.5kgを調製した。このメタノール分散ゾルの外観は透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
【0091】
n−ブタノール分散ゾルの調製(5)
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含むn−ブタノール分散ゾルの外観は、透明な淡乳白色であり、また該分散ゾル中に含まれる複合酸化物粒子の平均粒子径は50nmであった。
【0092】
塊状組成物の調製(5)
上記で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子の水分散ゾルを使用した以外は、実施例2と同様な方法で、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は77.7重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.6gをトルエン7.4gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.6重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は、透明性がない乳白色であり、その濁度は92であった。
【比較例2】
【0093】
実施例2の「メタノール分散ゾルの調製(2)」で得られたチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のメタノール分散ゾル0.8kgに、改質剤としてのトリメチルクロロシラン加水分解物を加えないで、そのままロータリーエバポレーターを用いて分散媒をメタノールからn−ブタノールに置換し、さらにn−オクチルトリエトキシシランを加えないで濃縮した以外は、実施例2の「n−ブタノール分散ゾルの調製(2)」と同様な方法で、固形分濃度が10重量%のチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾルを調製した。すなわち、ここで得られるn−ブタノール分散ゾル中に含まれるチタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子は、前記の改質剤によって表面改質されていないものである。
【0094】
次いで、実施例2の「塊状組成物の調製(2)」と同様な方法で、チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子を含む塊状組成物0.15kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は80.3重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gを、固形分濃度が20重量%となるようにトルエン7.5gに再分散させようとしたが、再分散せずに塊状物のままであった。参考までに、その上澄み液をFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.7重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、3.5重量%であった。また、その上澄み液は透明で再分散していない残渣もあったので、濁度は測定しなかった。
【比較例3】
【0095】
実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度90℃、圧力1.1Paの付近で2時間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含む塊状組成物0.12kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は80.3重量%であった。さらに、前記塊状組成物2.5gをトルエン7.5gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は0.05重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、0.25重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は透明性のない乳白色で再分散していない残渣もあったが、その濁度は79であった。
【比較例4】
【0096】
実施例2と同様な方法で、固形分濃度が10重量%の改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル1.1kgを調製した。
次いで、この改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子のn−ブタノール分散ゾル0.5kgをロータリーエバポレーターに供して、温度86℃、圧力1.1Paの付近で15分間、処理してn−ブタノールを蒸発させることにより、改質チタニウム・ケイ素・ジルコニウム複合酸化物粒子(すなわち、改質チタニウム化合物粒子)を含むペースト状組成物0.2kgを得た。
この塊状組成物の固形分濃度は50.2重量%であった。さらに、前記ペースト状組成物4.0gをトルエン6.0gに再分散させた再分散ゾル(固形分濃度:20重量%)から2μLを取得して、これをFIDガスクロマトグラフィーを用いて分析して得られたピーク面積比から計算されたn−ブタノール含有値は8.0重量%であった。この含有値より、前記塊状組成物に含まれるn−ブタノールの含有量を算出すると、40.0重量%であった。
また、前記塊状組成物を再分散させたトルエン再分散液は透明な乳白色であり、その濁度は64であった。
【0097】
本発明に係る実施例および比較例は以上の通りであるが、理解を容易にするため、これらを集約した結果を表1に示す。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子の表面を、下記一般式(1)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物から選ばれた1種または2種以上の改質剤で表面処理して得られる改質チタニウム化合物粒子と、0.5〜25重量%のn-ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物。
1nSi(OR2)(4-n) … (1)
1mSiR3(4-m) … (2)
(式中、R1は炭素数3〜18のアルキル基、アリール基またはフッ素置換アルキル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基またはアルキレン基、R3は炭素数1〜3のアルキル基、X1はクロル基またはフッ素基を表す。また、nは0〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。)
【請求項2】
前記チタニウム化合物粒子が、チタニウムの酸化物粒子、またはチタニウムとケイ素、ジルコニウム、錫およびアンチモンから選ばれた1種または2種以上の元素とを含む複合酸化物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の塊状組成物。
【請求項3】
前記チタニウム化合物粒子の平均粒子径が、5〜20nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の塊状組成物。
【請求項4】
前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。)
【請求項5】
前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。)
【請求項6】
前記改質チタニウム化合物粒子が、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物で少なくとも1回、表面処理されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塊状組成物。
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。)
【請求項7】
前記n―ブタノールの含有量が、1〜15重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の塊状組成物。
【請求項8】
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をn−ブタノールに分散させてなるn―ブタノール分散ゾルに、下記一般式(3)で表されるアルコキシシラン、下記一般式(4)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
x(2x+1) Si(OC25)3 … (3)
3C(CF2y24Si(OCZ2Z+1)3 … (4)
(式中、xは2〜18の整数であり、yは0あるいは1〜7の整数であり、zは1〜3の整数である。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜90℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理して改質チタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却し、さらに撹拌しながら1〜24時間、放置して、前記改質チタニウム化合物粒子を熟成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるn−ブタノールをその含有量が0.5〜25重量%になるまで蒸発させる工程
に処することによって、前記改質チタニウム化合物粒子と前記n−ブタノールとを含む、有機溶媒に再分散可能な塊状組成物の製造方法。
【請求項9】
前記n―ブタノール分散ゾルが、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子をメタノールに分散させてなるメタノール分散ゾルに、下記一般式(5)で表されるハロゲン化シランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
1SiR33 … (5)
(式中、R3はメチル基またはエチル基、X1はクロル基を表す。);
(b)前記工程(a)で得られた混合液を30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;
(c)前記工程(b)で得られた混合液を室温まで冷却した後、これにn−ブタノールを撹拌下で混合する工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液をロータリーエバポレーターに供して、該混合液中に含まれるメタノールを蒸発させてn―ブタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることを特徴とする請求項8に記載の塊状組成物の製造方法。
【請求項10】
前記メタノール分散ゾルが、
(a)2〜30nmの平均粒子径を有するチタニウム化合物粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを陽イオン交換樹脂で処理してイオン交換水分散ゾルを調製する工程;
(b)メタノールに、下記一般式(6)で表されるアルコキシシランまたはその加水分解物からなる改質剤を撹拌下で混合する工程、
Si(OR44 … (6)
(式中、R4はメチル基またはエチル基を表す。);
(c)前記工程(a)で得られたイオン交換水分散ゾルと、前記工程(b)で得られた混合液とを撹拌下で混合した後、30〜60℃の温度に加熱し、この温度に保ちながら 1〜24時間、撹拌して、前記チタニウム化合物粒子を前記改質剤で表面処理したチタニウム化合物粒子を生成させる工程;および
(d)前記工程(c)で得られた混合液を室温まで冷却し、これを限外濾過膜装置に供して、該混合液中に含まれる水とメタノールとの溶媒置換を行う工程
に処して得られたものであることを特徴とする請求項9に記載の塊状組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の塊状組成物を有機溶媒に再分散させてなる有機溶媒分散ゾル。
【請求項12】
前記有機溶媒が、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エーテル類およびエステル類から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項11に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項13】
前記炭化水素類からなる有機溶媒が、n-ヘキサン、トルエン、キシレンまたはシクロヘキサンであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項14】
前記アルコール類からなる有機溶媒が、メタノール、エタノール、1−プロバノール、2−プロパノールまたはn−ブタノールであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項15】
前記ケトン類からなる有機溶媒が、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンまたはジアセトンアルコールであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項16】
前記エーテル類からなる有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブまたはテトラヒドロフランであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項17】
前記エステル類からなる有機溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルであることを特徴とする請求項12に記載の有機溶媒分散ゾル。
【請求項18】
前記有機溶媒中に再分散させてなる前記塊状組成物を、1〜50重量%含むことを特徴とする請求項11〜17のいずれかに記載の有機溶媒分散ゾル。

【公開番号】特開2009−73685(P2009−73685A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243181(P2007−243181)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】