説明

有機無機ハイブリッド

【課題】 加工性に優れ、得られる製品の物性にも優れる有機無機ハイブリッドを提供すること
【解決手段】 木材などを処理して得られるリグノフェノール誘導体(例えば、リグノクレゾール)とシランカップリング剤とを混合し、平面上に塗布するなどの方法により所望の形状に成形し、その後加熱して硬化反応を行うことにより、透明耐熱性材料が得られる。特にシランカップリング剤としてエポキシ基およびアルコキシ基を有するものを用いれば、極めて耐熱性、硬度、透明性などの各種物性に優れた成形品が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の一構成成分であるリグニンをフェノール誘導体化して得られるリグノフェノール誘導体を利用する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、埋蔵量に限りのある化石資源に代わって、自然界に豊富に存在し再生可能である天然資源の循環利用に対する期待が高まりつつある。
【0003】
森林資源、すなわち、リグノセルロース系資源は、セルロースやヘミセルロース等の親水性炭水化物と疎水性のリグニン(ポリフェノール)とから構成され、これらは細胞壁中で相互侵入高分子網目(IPN)構造をとり、複雑に絡みあって複合体をなした状態となっている。リグノセルロース系資源には、かかる複合体の構造によって各種素材としての有用性が付与されている。
【0004】
しかしながら、リグニンは構造の複雑さと化学的安定性の高さから工業的利用は困難であった。そこで、本発明者は、従来から、リグニンの複合体構成材料としての機能に着目し、リグノセルロース系資源から、リグノフェノール誘導体の形態で抽出する技術を既に開発している。
【0005】
国際公開WO99/14223号公報(特許文献1)は、リグニンをフェノール誘導体化してリグノフェノール誘導体を得る方法を開示する。また、特開2003−268116号公報(特許文献2)は、木粉等からリグノフェノール誘導体を得る方法を開示する。しかし、リグノフェノール誘導体の分子量は一般的に数千程度であって、単独では成形性が悪く、その形状を維持することができないという欠点があり、用途が限定されていた。例えば、リグノフェノールをフィルムの形状に成形しても、直ぐにその形状が崩れてしまうために、工業的にはフィルムとして利用することができなかった。
【特許文献1】国際公開WO99/14223号公報
【特許文献2】特開2003−268116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、形状を維持することが可能なリグノフェノール材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の材料および方法などによって上記課題が解決されることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
【0008】
(1) リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを含む、成形材料。
【0009】
(2) 前記シランカップリング剤が、エポキシ基またはメタクリロキシ基と、アルコキシル基とを有する化合物である、上記項1に記載の材料。
【0010】
(3) 前記シランカップリング剤が、エポキシ基を有する化合物である、上記項1に記載の材料。
【0011】
(4) 前記シランカップリング剤が、エポキシ基およびアルコキシル基を有する化合物である、上記項1に記載の材料。
【0012】
(5) 前記シランカップリング剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、上記項1に記載の材料。
【0013】
(6) 前記リグノフェノール誘導体が、リグニンに1価のフェノール誘導体が付加した化合物である、上記項1に記載の材料。
【0014】
(7) 前記リグノフェノール誘導体が、p−リグノクレゾールである、上記項1に記載の材料。
【0015】
(8) 前記シランカップリング剤の量が、前記リグノフェノール誘導体100重量部に対して、100重量部〜500重量部である、上記項1に記載の材料。
【0016】
(9) 前記シランカップリング剤の量が、前記リグノフェノール誘導体100重量部に対して、150重量部〜400重量部である、上記項1に記載の材料。
【0017】
(10) フィルム状の成形品を成形するために使用される、上記項1に記載の材料。
【0018】
(11) リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを反応させて得られる、透明耐熱性材料。
【0019】
(12) 硬化成形品の製造方法であって、
リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを混合する工程、
得られた混合物を成形する工程、および
成形された混合物を加熱して、硬化反応させる工程、
を包含する、方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルム形状を維持することが可能なリグノフェノールハイブリッド材料が提供される。本発明の材料は、硬度、透明度、強度、耐熱性および耐溶剤性に優れた高分子材料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
(リグノフェノール誘導体)
本願明細書において、リグノフェノール誘導体とは、リグニンにフェノールまたはフェノール誘導体が付加された化合物をいう。
【0023】
以下に、本発明に使用可能なリグノフェノール誘導体の一例の部分構造式を示す。
【0024】
【化1】


リグノフェノール誘導体中のリグニンとしては、任意のリグノセルロース系材料中に存在するリグニンが使用可能である。例えば、植物の木質化した部分(例えば、木材)またはその加工製品(例えば、紙)中に存在するリグニンなどが使用可能である。
【0025】
木材を用いる場合、その樹木の種類は特に限定されない。針葉樹であってもよく、広葉樹であってもよい。また、イネ、トウモロコシ、サトウキビ等の各種草本植物をリグノセルロース系材料の原料として用いることもできる。
【0026】
また、リグノセルロース系材料は、リグノセルロース系材料の廃材、端材であってもよく、リグノセルロース系材料からなる飼料や農産廃棄物等も用いることができる。
【0027】
なお、リグノセルロース系材料は、粉状、チップ状等形態を問わずに用いることができるが、粉状のものが、リグノフェノール誘導体を効率的に抽出するのに都合がよい。
【0028】
フェノール誘導体とは、1価フェノール誘導体、2価フェノール誘導体または3価フェノール誘導体をいう。
【0029】
1価フェノール誘導体とは、フェノールまたはフェノールのベンゼン環に置換基を有する化合物をいう。具体的には、フェノール、クレゾール等が挙げられる。
【0030】
2価フェノール誘導体とは、2価フェノールまたはそのベンゼン環に置換基を有する化合物をいう。具体例としては、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等が挙げられる。
【0031】
3価フェノール誘導体とは、3価フェノールまたはそのベンゼン環に置換基を有する化合物をいう。具体的には、フロログルシノール、ヒドロキシヒドロキノン、ピロガロール等が挙げられる。
【0032】
1価、2価、3価フェノール誘導体の中では、1価フェノール誘導体が好ましい。クレゾールがより好ましい。
【0033】
クレゾールは、o−クレゾールであってもよく、m−クレゾールであってもよく、p−クレゾールであってもよい。p−リグノクレゾールが最も好ましい。
【0034】
フェノール誘導体におけるベンゼン環上の置換基の数は、任意に選択できるが、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、さらに好ましくは1である。
【0035】
フェノール誘導体におけるベンゼン環上の置換基としては、任意のものが使用可能である。好ましくは、アルキル基である。このアルキル基は直鎖であってもよく分岐鎖であってもよい。このアルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、さらに好ましくは1である。
【0036】
リグノフェノール誘導体の分子量は、特に限定されない。ただし、物性などの点から、分子量500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また、取り扱い易さなどから、分子量10万以下であることが好ましく、1万以下であることがより好ましい。
【0037】
(リグノフェノール誘導体の製造方法)
リグノフェノール誘導体は、リグニンにフェノール誘導体を付加させることによって得ることができる。
【0038】
リグノセルロース系材料にフェノール誘導体を反応させると、リグノセルロース系材料中のリグニンがフェノール誘導体でグラフト化されて、リグニンの基本骨格であるフェニルプロパン単位の専ら側鎖α位(ベンジル位)にフェノール誘導体が導入されたリグノフェノール誘導体が得られる。
【0039】
リグニンにフェノール誘導体が付加される際の構造変化の1例を以下に示す。
【0040】
【化2】


リグノセルロース系材料は、一般に、リグニン以外の成分を多量に含むので、リグノセルロース系材料をフェノール誘導体で処理した場合の生成物は、通常、リグノフェノール誘導体以外の化合物を多量に含むことになる。このため、これらの不純物を除去することにより、純度の高いリグノフェノール誘導体が得られる。
【0041】
リグノフェノール誘導体の具体的な製造方法としては、従来公知の各種の方法を使用することが可能である。その公知の方法で製造されたリグノフェノール誘導体が本発明に使用可能である。
【0042】
例えば、第1の具体的方法として、国際公開WO99/14223号公報に記載された、リグノセルロース系材料をフェノール誘導体で処理し、濃酸を添加して2相の生成物を得、上層(有機層)にフェノール誘導体を得る方法が使用可能である。この場合、必要に応じて、国際公開WO99/14223号公報に図4に記載されているように、濃酸を添加して得られた2相のうちの上層(有機層)に過剰のエチルエーテルを加えて溶解物と不溶物とに分離し、得られる不溶物にアセトンを加えて溶解物と不溶物とに分離し、その溶解物に過剰のエチルエーテルを加えて溶解物と不溶物とに分離し、不溶物として精製されたフェノール誘導体を得ることができる。
【0043】
木粉等のリグノセルロース系材料に液体状のフェノール誘導体(クレゾール等)を浸透させ、リグニンをフェノール誘導体により溶媒和させた後、次に、リグノセルロース系材料を濃酸(一例として72%硫酸)を添加し混合して、セルロース成分を溶解する。この方法によると、リグニンを溶媒和したフェノール誘導体と、セルロース成分を溶解した濃酸とが2相分離系を形成する。フェノール誘導体により溶媒和されたリグニンは、フェノール誘導体相が濃酸相と接触する界面においてのみ、酸と接触し、酸との接触により生じたリグニン基本構成単位の高反応サイトである側鎖α位(ベンジル位)のカチオンが、同時にフェノール誘導体により攻撃されることになる。この結果、前記α位にフェノール誘導体がC−C結合で導入される。また、ベンジルアリールエーテル結合が解裂することにより低分子化される。この結果、リグニンが低分子化され、かつ、その基本構成単位のベンジル位にフェノール誘導体が導入されたリグノフェノール誘導体がフェノール誘導体相に生成される。このフェノール誘導体相から、リグノフェノール誘導体が抽出される。リグノフェノール誘導体は、リグニン中のベンジルアリールエーテル結合が解裂して低分子化されたリグニンの低分子化体の集合体の一部として得られる。なお、ベンジル位へのフェノール誘導体の導入形態は、そのフェノール性水酸基を介して導入されているものもあることが知られている。
【0044】
フェノール誘導体相からのリグノフェノール誘導体の抽出は、例えば、次の方法で行うことができる。すなわち、フェノール誘導体相を大過剰のエチルエーテルに加えて得た沈殿物を集めて、アセトンに溶解する。アセトン不溶部を遠心分離により除去し、アセトン可溶部を濃縮する。このアセトン可溶部を、大過剰のエチルエーテルに滴下し、沈殿区分を集める。この沈殿区分から溶媒を留去した後、五酸化リン入りデシケータ中で乾燥し、リグノフェノール誘導体を得る。なお、粗リグノフェノール誘導体は、フェノール誘導体相を単に減圧蒸留により除去することによって得ることもできる。なお、アセトン可溶部を、そのままリグノフェノール誘導体溶液として、二次誘導体化処理に用いることもできる。
【0045】
第2の具体的方法は、国際公開WO99/14223号公報の図5に示されるように、リグノセルロース系材料に、固体状あるいは液体状のフェノール誘導体を溶解した溶媒(例えば、エタノールあるいはアセトン)を浸透させた後、溶媒を留去する(フェノール誘導体の収着工程)。次に、このリグノセルロース系材料に濃酸を添加してセルロース成分を溶解する。この結果、第1の方法と同様、フェノール誘導体により溶媒和された状態のリグニンは、濃酸と接触して生じたリグニンの高反応サイト(側鎖α位)のカチオンがフェノール誘導体により攻撃され、フェノール誘導体が導入される。また、ベンジルアリールエーテル結合が解裂してリグニンが低分子化される。得られるリグノフェノール誘導体の特性は、第1の方法で得られるものと変わりはない。そして、リグノフェノール誘導体を液体フェノール誘導体にて抽出する。液体フェノール誘導体相からのリグノフェノール誘導体の抽出も、第1の方法と同様にして行うことができる。あるいは、濃酸処理後の全反応液を過剰の水中に投入し、不溶区分を遠心分離にて集め、透析し、乾燥する。この乾燥物にアセトンあるいはアルコールを加えてリグノフェノール誘導体を抽出する。さらに、この可溶区分を第1の方法と同様に、過剰のエチルエーテル等に滴下して、リグノフェノール誘導体を不溶区分として得る。
この方法においても、同様に、アセトン可溶部をリグノフェノール誘導体溶液として、2次誘導体化処理に用いることもできる。
【0046】
これらの2種類の方法においては、第2の方法が、なかでも特に後者、すなわち、リグノフェノール誘導体をアセトンあるいはアルコールにて抽出分離する方法が、フェノール誘導体の使用量が少なくてすむため、経済的である。また、この方法が、少量のフェノール誘導体で、多くのリグノセルロース系材料を処理できるため、リグノフェノール誘導体の大量合成に適している。
【0047】
第3の具体的方法は、特開2003−268116号公報に記載されているように、リグニンにフェノール誘導体を添加し、酸を添加し、過剰の水を加えて可溶区分と不溶区分とに分離し、不溶区分を乾燥し、酸化防止剤およびアルカリ水溶液を添加し、その後個液分離(例えば、遠心分離など)を行ってリグノフェノール誘導体を得る方法である。
【0048】
上述した方法のいずれで得られたリグノフェノール誘導体も、本発明に好ましく使用可能である。
【0049】
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤とは、ケイ素を含む親水性の部分構造と、炭素を含む親油性の部分構造との両方を同一分子内に有する化合物をいい、以下の一般式を有する。
【0050】
SiX(4−n)
式中、Rは有機基である。Rは炭化水素のみから構成されてもよく、官能基を含んでもよい。官能基を含むことが好ましい。
【0051】
好ましくは、Rは、官能基(R−)(例えば、アミノ基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基など)と連結基(−R−)(例えば、アルキレン基)とが結合した構造(R−R−)を有する基(例えば、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基)である。ここで、連結基の長さは、炭素鎖の長さとして、炭素数1〜5であることが好ましく、2〜4がより好ましく、最も好ましくは3である。
【0052】
Rの具体例としては、例えば、ビニル基、3−メタクリロキシプロピル基、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)基、3−グリシドキシプロピル基、3−アミノプロピル基などが挙げられる。3−メタクリロキシプロピル基および3−グリシドキシプロピル基が好ましい。
【0053】
Xは親水性の無機官能基である。好ましくは加水分解性の官能基である。好ましい実施形態では、塩素またはアルコキシ基である。アルコキシ基がより好ましい。さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。アルコキシ基は、水分の存在下で容易に加水分解して、シラノール基(SiOH)を生成することが周知である。
【0054】
nは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2であり、より好ましくは1である。
【0055】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
ビニルトリクロロシラン
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン
ビニルトリエトキシシラン
ビニルトリメトキシシラン
フェニルトリメトキシシラン
メチルトリメトキシシラン
3−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン
N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン
3−アミノプロピルトリエトキシシラン
3−アミノプロピルトリメトキシシラン
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
3−クロロプロピルトリメトキシシラン。
【0056】
上記シランカップリング剤の具体例の中では、3−グリシドキシトリメチルシラン(GPTMS)および3−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(MPTMS)が好ましい。
【0057】
エポキシ基含有のシランカップリング剤を用いた場合には特に耐熱性に優れた透明なハイブリッド材料が得られる。3−グリシドキシトリメチルシラン(GPTMS)が最も好ましい。エポキシ基含有シランカップリング剤(例えば、3−グリシドキシトリメチルシラン(GPTMS))を用いた場合、ハイブリッド化によりリグノフェノールとGPTMSのエポキシ基間の反応が起こり、有機成分と無機成分が共有結合で介するため、透明かつ耐熱性に優れたハイブリッド材料が生成する。
【0058】
(その他の成分)
本発明の材料には、シランカップリング剤およびリグノフェノール誘導体に加えて、必要に応じて、公知の添加剤等を適当量を配合してもよい。
【0059】
具体的には、たとえば、触媒、充填材、着色料(顔料または染料)、補強剤(例えば、繊維)、酸化防止剤、離型剤、溶媒、増粘剤などを用途に応じて添加することができる。
【0060】
本発明の材料においては、特に触媒を使用する必要はない。しかし、必要に応じて、触媒を使用してもよい。そのような触媒としては、シランカップリング剤のアルコキシシラン部位の重合を促進させるものを使用することが出来る。具体的にはプロトン酸、ルイス酸などが挙げられる。
【0061】
また本発明の材料には、必要に応じて、樹脂材料(熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂)をブレンドして用いてもよい。
【0062】
(成形方法および硬化反応)
本発明の材料は、各種の方法で成形して所望の形状とすることが可能である。有機材料の成形方法として公知の各種の方法が利用可能である。例えば、型へ材料を流し込んで硬化反応させた後に脱型する注型成形、塗工機などにより平面上に材料を所定の厚みに塗布するキャスティング成形などが使用可能である。具体的には、例えば、シランカップリング剤およびリグノフェノール誘導体の混合物を型に入れ、加熱して硬化させれば、その型の形状を有する硬化物を得ることができる。また例えば、シランカップリング剤およびリグノフェノール誘導体の混合物を平滑な平面上に塗布して所定の厚みのフィルム状として、その後加熱して硬化させれば、フィルム状の硬化物を得ることが可能である。
【0063】
従来、リグノフェノール誘導体は、特に、フィルム状に成形することが困難であったという欠点があったが、本発明の材料は、フィルム状に成形することも可能であり、この点で産業的に非常に有利である。このようなフィルムの厚みとしては、そのフィルムの用途などに応じて任意に設計できるが、一般的には、0.001mm(1ミクロン)以上であることが好ましく、より好ましくは0.003mm(3ミクロン)以上であり、さらに好ましくは0.005mm(5ミクロン)以上であり、特に好ましくは0.01mm(10ミクロン)以上である。特に厚みに上限はないが、コストなどの観点から、厚み1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6mm(600ミクロン)以下であり、さらに好ましくは0.4mm(400ミクロン)以下であり、特に好ましくは0.2mm(200ミクロン)以下である。
【0064】
(硬化反応条件)
硬化反応の条件は特に限定されない。ただし、温度が低すぎる場合には、硬化反応に極めて長時間を有するので、加熱を行うことが好ましい。硬化反応の際の温度は、好ましくは、30℃以上であり、より好ましくは、50℃以上であり、さらに好ましくは、80℃以上であり、いっそう好ましくは、110℃以上であり、特に好ましくは、140℃以上である。また、好ましくは、250℃以下であり、より好ましくは、200℃以下であり、さらに好ましくは、170℃以下である。
【0065】
硬化反応の際の加熱時間は、硬化を十分に行うためには、好ましくは、30分以上であり、より好ましくは、1時間以上であり、さらに好ましくは、2時間以上であり、いっそう好ましくは、5時間以上であり、特に好ましくは、10時間以上である。ただし、プロセス全体の長さを短縮するためには、好ましくは、3日以下であり、より好ましくは、2日以下であり、さらに好ましくは、1日以下である。
【0066】
加熱は、多段階の加熱工程による加熱であってもよい。例えば、比較的低温での第1段の加熱工程を行い、その後比較的高温で第2段の加熱工程を行うことが可能である。このように、前半の加熱工程を比較的低温で行えば、塗膜のひび割れを防げるという利点、および均一なフィルムが得られるという利点がある。この場合、第1段の加熱工程の温度は、好ましくは、30℃以上であり、より好ましくは、40℃以上であり、さらに好ましくは、50℃以上である。また、好ましくは、100℃以下であり、より好ましくは、90℃以下であり、さらに好ましくは、70℃以下である。第1段の加熱時間は、好ましくは、30分間以上であり、より好ましくは、1時間以上であり、さらに好ましくは、2時間以上であり、いっそう好ましくは、5時間以上であり、特に好ましくは、10時間以上である。また、好ましくは、3日以下であり、より好ましくは、2日以下であり、さらに好ましくは、1日以下である。第2段の加熱温度は、好ましくは、80℃以上であり、より好ましくは、110℃以上であり、さらに好ましくは、125℃以上であり、いっそう好ましくは、140℃以上である。また、好ましくは、250℃以下であり、より好ましくは、200℃以下であり、さらに好ましくは、170℃以下である。第2段の加熱時間は、好ましくは、15分間以上であり、より好ましくは、30分間以上であり、さらに好ましくは、1時間以上であり、いっそう好ましくは、2時間以上であり、特に好ましくは、3時間以上である。また、好ましくは、1日以下であり、より好ましくは、12時間以下であり、さらに好ましくは、6時間以下である。
【0067】
(性能)
本発明の材料は、硬化させた後に、優れた硬度、耐熱性、耐溶剤性を示す。特に、シランカップリング剤として環状エーテル基を有するものを用いた場合には、ひときわ優れた硬度、耐熱性を有する均一で透明な硬化物が得られる。
【0068】
(用途)
本発明ハイブリッド材料は環境調和型の新規高分子材料として幅広い分野における応用が期待される。従来から樹脂材料が用いられていた成形品およびコーティングなどにおいて本発明の材料は使用可能である。特に優れた耐熱性および硬度を有することから、熱硬化性樹脂材料が用いられていた用途において有用である。例えば、塗装などのコーティング材料として使用することも可能であり、コンピューター関連などの電気・電子機械の部品、建材、家庭用品など各種製品を構成する材料として有用である。また、強アルカリ水溶液に可溶性であるので、リサイクル材料としても有用である。
【0069】
(リサイクル方法)
本発明の材料はまた、リサイクル可能であるという特徴を有する。すなわち、硬化後の本発明の材料を強アルカリ水溶液に浸漬すれば、可溶化されるので、容易に材料を回収することが可能であり、回収された材料は、再利用することが可能である。
【0070】
可溶化のための強アルカリ水溶液の例としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。このような強アルカリ水溶液中のアルカリの濃度としては、0.1M以上が好ましく、0.3M以上がより好ましく、0.5M以上がさらに好ましい。濃度に特に上限はないが、取り扱い時の作業者の危険性などの観点から、5M以下が好ましく、より好ましくは3M以下である。可溶化のために材料を強アルカリ水溶液に浸漬する時間は、硬化物を十分に可溶化するための観点から、好ましくは、10分以上であり、より好ましくは、20分以上である。また、作業効率の観点から、好ましくは、2時間以下であり、より好ましくは1時間以下である。
【実施例】
【0071】
(実施例1)
(リグノクレゾールの調製)
リグノクレゾールを以下のとおりに調製した。
【0072】
針葉樹(ヒノキ)の木粉を、p−クレゾールを含むアセトン溶液に浸漬して、木粉にp−クレゾールを吸着させた。吸着後の木粉に72%硫酸を添加した。室温で攪拌を行った後、放置して2相分離系を形成した。上層(クレゾール層)に過剰のエチルエーテルを加えて、溶解物と不溶物とに分離した。不溶物を乾燥した後、ピロガロールを加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を加え、遠心分離を行って、その不溶物からリグノクレゾールを得た。具体的な手順としては、特開2003−268116号公報の0017段落および0018段落に記載された手順と同様に行った。得られたサンプルを、針葉樹由来のリグノクレゾールのサンプルとして以後の実験に用いた。
【0073】
原料として広葉樹(ブナ)の木粉を用いた以外は同様にして、リグノクレゾールを得た。得られたサンプルを、広葉樹由来のリグノクレゾールのサンプルとして以後の実験に用いた。
【0074】
(塗工および硬化反応)
リグノフェノールとシランカップリング剤を混合し、加熱処理により有機無機ハイブリッドを合成した。
【0075】
p−リグノクレゾール(針葉樹由来および広葉樹由来)とシランカップリング剤を以下の配合(重量部)で混合した。
(配合)
p−リグノクレゾール(針葉樹)/MPTMS=10/30 (重量/重量)
p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/30
p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20
p−リグノクレゾール(広葉樹)/GPTMS=10/20
得られた混合物をガラス板上にアプリケータで塗布した後、60℃で12時間加熱し、さらにその後150℃で5時間加熱した。その結果、いずれの配合比においても、およそ厚み0.1mmのフィルム状の良好な硬化物が得られた。
【0076】
用いたシランカップリング剤の構造式を以下に示す。
【0077】
【化3】


エポキシ基含有のシランカップリング剤を用いた場合には特に耐熱性に優れた透明なハイブリッド材料が得られた。
【0078】
(比較例1)
p−リグノクレゾール(針葉樹由来)をアセトンに溶解させ、凹型のテフロン(登録商標)型(深さ1mm、幅17mm、長さ50mm)に流し込み乾燥させたところ、細かく割れてしまい、均質な塗膜を得ることはできなかった。
【0079】
(比較例2)
シランカップリング剤(GPTMS)1gに対して、熱潜在性酸発生剤(三新化学(株)製、SI−60L)を60μl含む液体をガラス板上にアプリケータで塗布、あるいは、上述の凹型テフロン(登録商標)型に流し込み、熱処理(150℃、2時間)を行ったところ、硬化反応は進行するが、得られた硬化物は収縮し、ひび割れが発生するため、シランカップリング剤単独では均質な塗膜を得ることはできなかった。
【0080】
(評価例)
(透明度の評価)
得られた硬化物について、以下のとおり透明度を評価した。
【0081】
白い紙におよそ5mm×5mm程度の大きさの黒い文字を印刷した。その紙の上に、厚みおよそ0.1mmの板状の硬化物を乗せ、その硬化物の上から紙の文字を明確に読み取ることができるものを「○」、読み取れるが明確ではないものを「△」、読み取れないものを「×」とした。
【0082】
結果を以下の表に示す。
【0083】
(表1:硬化物の透明度)
【0084】
【表1】


(IR測定)
p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20 ハイブリッドとp−リグノクレゾール(広葉樹)/GPTMS =10/20 ハイブリッドのIR 測定を行った。その結果を図1および図2に示す。
【0085】
図1の(a)は、p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMSの硬化前の混合物のFT−IRスペクトルである。図1の(b)は、p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMSハイブリッドの硬化後のFT−IRスペクトルである。
【0086】
図2の(a)は、p−リグノクレゾール(広葉樹)/GPTMSの硬化前の混合物のFT−IRスペクトルである。図2の(b)は、p−リグノクレゾール(広葉樹)/GPTMSハイブリッドの硬化後のFT−IRスペクトルである。
【0087】
硬化前後のそれぞれにおいて、1100〜1110cm−1付近におけるSi−O−Me 逆対称伸縮由来ピークを、3400cm−1付近における−O−H由来ピークと比較した。その結果、硬化後のサンプルにおいて、Si−O−Me 逆対称伸縮由来ピークの著しい減少が見られ、また硬化後のチャートにおいて1100〜1110cm−1付近におけるSi−O−Si 逆対称伸縮ピークが見られ、このことから無機ネットワークの形成が確認された。
【0088】
(物性の測定)
得られた硬化物の物性を測定した。硬度測定の結果を以下の表に示した。なお、表中、We/Wtotは、貫入体の押し込みの際に費やされる機械的仕事量(Wtot)に対する弾性復元仕事量(We)の割合であり、この値が大きいほど、貫入体が押し込まれて変形した固体が元の形状に復元しやすいことを示す。
(表2:硬化物の物性)
【0089】
【表2】


また、GPTMSを用いて得られた硬化物について、引っかき硬度を評価した。測定方法としては、鉛筆硬度試験法を用いた。すなわち、ガラス基板上に作製した厚み0.1mmの硬化物の表面上に各種硬度(6B〜6H)の鉛筆を乗せ、硬化物の表面上を45度の角度で鉛筆を移動させた後に表面状態を観察し、表面に傷が残らない最高の鉛筆の硬度を引っかき硬度として記録した。その結果を以下の表に示す。
(表3:硬化物の硬度)
【0090】
【表3】


一般的にガラスの引っかき硬度は5H〜7Hであるので、5Hという硬度値は有機材料としては非常に高い値である。
【0091】
(動的粘弾性測定)
ガラス板上に形成させた水溶性多糖類皮膜形成物質であるKM−55 皮膜上にハイブリッド前駆体を塗布して硬化を行った後に、多糖皮膜を水中で溶解させハイブリッドフィルムを得た。均一で透明な硬化膜を形成したp−リグノクレゾール/GPTMS ハイブリッドの動的粘弾性測定の結果を図3および図4に示した。
【0092】
図3は、縦軸に貯蔵弾性率E’を示す。(a)は、針葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/30)の硬化物を示す。(b)は、針葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/20)の硬化物を示す。(c)は、広葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/20)の硬化物を示す。
【0093】
図4は、縦軸にtanδを示す。(a)は、針葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/30)の硬化物を示す。(b)は、針葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/20)の硬化物を示す。(c)は、広葉樹由来のp−リグノクレゾール/GPTMS(10/20)の硬化物を示す。
【0094】
GPTMSの割合を多くすると貯蔵弾性率が減少し、GPTMSの割合が同じ場合、針葉樹ハイブリッドの方が広葉樹ハイブリッドよりも大きな貯蔵弾性率を示した。GPTMSの割合を多くするとtanδのピークは低温側へシフトし、GPTMSの割合が同じ場合、針葉樹ハイブリッドのほうが広葉樹ハイブリッドよりも高温側にtanδのピークを確認した。
【0095】
(耐溶剤性試験)
p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20ハイブリッド硬化物の耐溶剤性を評価した(表4)。
【0096】
具体的には、各種溶剤7ml中に、およそ4mgのフィルム状の試料を浸漬し、30分間室温で攪拌して試料が溶解するか否かを目視で評価した。
【0097】
比較として、各種溶剤7ml中に、およそ20mgの粉末状の針葉樹由来のp−リグノクレゾールを浸漬し、30分間室温で攪拌して試料が溶解するか否かを目視で評価した。
【0098】
その結果、ハイブリッドはp−リグノクレゾール(針葉樹)よりも優れた耐溶剤性を示した。これは、p−リグノクレゾールがGPTMSと架橋反応により結合したためだと考えられる。
【0099】
また、本ハイブリッドは、p−リグノクレゾール(針葉樹)と同様に、2M NaOH水溶液中で分解し可溶化し、回収できるため、循環型材料として有用である。すなわち、本発明の材料は、一般的な有機溶剤に対して高度の耐溶剤性を有するという、p−リグノクレゾールにはない顕著な効果を有するのにもかかわらず、リサイクルにも適するというp−リグノクレゾールの利点を維持することができる。
【0100】
(表4:耐溶剤性)
【0101】
【表4】


(熱重量測定)
p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20 ハイブリッドの熱重量測定を行い、その結果を図5に示した。このハイブリッドは窒素気流下1000℃まで加熱しても、約50%の重量損失しか示さなかった。すなわち、高い耐熱性を有するハイブリッドであることがわかる。
【0102】
(リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤との反応の確認)
針葉樹および広葉樹由来p−リグノフェノール/GPTMS系硬化体のIRスペクトルを測定したところ、硬化前のIRスペクトルに比べて、以下のような特徴的な変化が認められた。
(1) 脂肪族C−H結合に由来する吸収帯(2935, 2839cm−1付近)の減少
(2) Si−O−CH結合に由来する吸収帯(1075cm−1付近)の減少
(3) Si−O−Si結合に由来する吸収帯(1075cm−1付近)の存在
(4) エポキシ環に由来する吸収帯(907cm−1)の減少
(5) アルコキシシラン類に特徴的に認められる吸収帯(860〜737cm−1付近)の減少
これらの結果から、リグノフェノールとシランカップリング剤との間に結合が生成していることが確認された。ここで、針葉樹および広葉樹由来p−リグノフェノール/GPTMS系は、加熱処理により、(a) エポキシ基の開環反応、および、(b) Si−O−CHの開裂とSi−O−Si結合の生成反応が起こり、硬化しているものと推測される。
【0103】
(反応式1:p−リグノクレゾール/GPTMS系の硬化反応)
【0104】
【化4】



以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
再生可能資源の有効利用は社会的に重要なテーマであり、その中でも木質系材料(セルロース、リグニン)は天然に極めて豊富にあることから、リグニンフェノール誘導体の材料原料としての利用はカーボンニュートラル、地球温暖化防止に大きく寄与する。そのため、リグノフェノール誘導体からフィルム材料が得られたことは、リグニン系素材の用途開発を大きく拡張する潜在性を高く示すものである。
【0106】
このハイブリッド材料は環境調和型の新規高分子材料として幅広い分野における応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20 ハイブリッドの硬化前後のFT−IR測定を示す。
【図2】p−リグノクレゾール(広葉樹)/GPTMS=10/20 ハイブリッドの硬化前後のFT−IR測定を示す。
【図3】p−リグノクレゾール/GPTMS ハイブリッドの動的粘弾性測定の結果を示す。
【図4】p−リグノクレゾール/GPTMS ハイブリッドの動的粘弾性測定の結果を示す。
【図5】p−リグノクレゾール(針葉樹)/GPTMS=10/20 ハイブリッドの熱重量測定の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを含む、成形材料。
【請求項2】
前記シランカップリング剤が、エポキシ基またはメタクリロキシ基と、アルコキシル基とを有する化合物である、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記シランカップリング剤が、エポキシ基を有する化合物である、請求項1に記載の材料。
【請求項4】
前記シランカップリング剤が、エポキシ基およびアルコキシル基を有する化合物である、請求項1に記載の材料。
【請求項5】
前記シランカップリング剤が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランである、請求項1に記載の材料。
【請求項6】
前記リグノフェノール誘導体が、リグニンに1価のフェノール誘導体が付加した化合物である、請求項1に記載の材料。
【請求項7】
前記リグノフェノール誘導体が、p−リグノクレゾールである、請求項1に記載の材料。
【請求項8】
前記シランカップリング剤の量が、前記リグノフェノール誘導体100重量部に対して、100重量部〜500重量部である、請求項1に記載の材料。
【請求項9】
前記シランカップリング剤の量が、前記リグノフェノール誘導体100重量部に対して、150重量部〜400重量部である、請求項1に記載の材料。
【請求項10】
フィルム状の成形品を成形するために使用される、請求項1に記載の材料。
【請求項11】
リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを反応させて得られる、透明耐熱性材料。
【請求項12】
硬化成形品の製造方法であって、
リグノフェノール誘導体とシランカップリング剤とを混合する工程、
得られた混合物を成形する工程、および
成形された混合物を加熱して、硬化反応させる工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−342270(P2006−342270A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170164(P2005−170164)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】