説明

有機無機肥料混合物の製造のための方法

本発明は、農業の分野、より具体的には、廃水スラッジを含む有機無機肥料混合物を製造するための方法に関する。本方法は、廃水スラッジと、100ミクロンを越えない粒子サイズを有する微粉化した画分の形態のフミン酸ナトリウムをスラッジの質量の少なくとも10%の量で含有する解毒剤を混合することを含む。本発明は、廃水スラッジの重金属含有量を減少させることにより、肥料として廃水スラッジを使用することの有効性を増加させるために使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業及び、特に廃水スラッジに基づく肥料を製造するために使用される方法に関する。
【0002】
廃水スラッジから製造され、農業に用いられる肥料は、他の農業肥料の間で競争力を持つようになることができる。廃水スラッジは、糞便の有機物を30〜40%(無水ベース)、無機養素(Ntotal−0.6〜4.3%、РО−1.2〜4.5%等)を含み、高い施肥能力を有している。
【0003】
有機肥料としての廃水スラッジの使用は、土壌の無機及び有機バランスを回復することに寄与する。荒れた土地を再び耕すときのスラッジの使用は、肥沃な土壌層の課題を解決して、それらを経済循環に戻すことを可能にする。
【0004】
しかしながら、重金属及び他の毒性物質による廃水スラッジの汚染は、それらの利用を制限し、そしてそれらを国家経済において最も問題のある廃棄物の1つとする。
【0005】
活性スラッジバイオマス及び部分的に可溶性のカルシウムを含む無機物を用いて、それらに含まれる重金属を減少することによる、廃水スラッジに基づく肥料を製造するために用いられる公知の方法がある。重金属は、浄化方法を用いる混合及び相分離の結果として、水媒質から除去される。およそ10〜25kg/m3のカルシウム含有材料がスラッジに加えられ、そして、混合はエアレーションの助けを借りて1〜4時間以内で実施される(RF特許番号2209237 СО2F11/14)。しかしながら、重金属の除去の効率及び水媒質から分離される重金属の利用の双方に関して、著者はいかなる比較データをも提示していない。
【0006】
対応して、無水ベースで0.5〜5.0%のバイオマス濃度を有する活性スラッジ懸濁液と泥炭を、1:1〜1:8の「活性スラッジ−泥炭」比率で混合することを含む、肥料の製造のための他の公知の方法もある。活性スラッジは5〜15時間以内で培養され、そしてその灰分は15〜45%である(著者の証明書 N 1532551、СО 5F 7/00、 СО 5F 11/12)。
【0007】
しかしながら、廃水スラッジが土壌に加えられるときに、不安定な重金属は植物に移動することがある。上記の証明書には、泥炭によって吸収される重金属の結合力がどのくらい高いかという情報はない。
【0008】
該原型は、都市廃水スラッジと最高2mmの画分を有する、解毒剤として使用するモルデナイト含有凝灰岩を混合することを伴う、無機有機肥料混合物の製造方法を表す。したがって、最高5mmの画分を有する廃水スラッジは、1:1〜2の比率で凝灰岩と混合される(RP特許番号2197452 С 05 F 7/00)。都市廃水スラッジの解毒は、モルデナイト含有凝灰岩の高い収着特性のために起こる。そのうえ、この場合、スラッジ肥料を農地に適用するときに、重金属の脱着が、許容濃度限度の超過をもたらしうることは十分に可能である。未処理のスラッジ中の、及びモルデナイト含有凝灰岩が使用された後の重金属の存在について、著者はいかなるデータをも提供していない。植物中の重金属の存在に関しても、データはない。
【0009】
本発明の目的は、解毒剤と重金属との結合力をより高くすることで廃水スラッジの解毒効率を上昇させ、そして同時に肥料混合物の質をより高くすることである。
【0010】
廃水スラッジと解毒剤を混合することを含む方法において、技術的な結果は、100μmより大きくない粒子を有し、そしてスラッジ質量の少なくとも10%の量で高度に分散したフミン酸ナトリウムを用いて達成される。
【0011】
フミン酸ナトリウムを使用する有効性は、多数のそれらの反応性官能基を有するフミン酸が、重金属イオンとの反応を開始し、それらの不溶性安定化合物を形成するという事実に基づく。
【0012】
フミン酸の可溶性塩(フミン酸塩)は、以下に示されるように重金属カチオンと相互作用し、水溶性のフミン酸塩を形成する:
【化1】

【0013】
特定の相互作用は、集中的であり、そして不溶性安定化合物の形成をもたらす。最も危険な環境汚染物と考えられる重金属:亜鉛、ニッケル、銅、鉛、クロムなどの大多数について、そのような関係は一般的である。イオン交換相互作用に加えて、フミン酸は重金属と錯体化反応を始め、重金属をそれらの組成に強く固定する無機有機配位子を形成する。実験では、重金属及びフミン酸がもたらした化合物の高い時間安定性を確認した。
【0014】
フミン酸塩は無機肥料のより高い取り込み強度に寄与する、植物成長と発育のレギュレータであるので、肥料混合物にフミン酸塩を加えることは、後者の質を改善することも可能にする。
【0015】
請求された方法は、以下の実験例によって確認される:
【0016】
実施例N1
Dzerzhinsk(モスクワ州)のエアレーション・ステーションからの廃水スラッジが、原材料として用いられる。解毒するために、スラッジ質量の少なくとも10%の量で100μmの粒子を有するフミン酸ナトリウムが、任意のミキサー中に加えられ、そして混合されて、完全に均質な混合物を与える。混合するときに、フミン酸ナトリウムはスラッジからの重金属と相互作用し、移動することができなくなる。
【0017】
実施例N2
使用したフミン酸ナトリウムの量がスラッジ質量の20%である以外は実施例N1にて説明したものと同じ手順で行った。
【0018】
重金属の固定についてのフミン酸ナトリウムの影響を確認するための、実施された実験の結果は、下記の表に示される:
【0019】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
100μmより大きくない粒子を有し、そしてスラッジ質量の少なくとも10%の量で高度に分散したフミン酸ナトリウムが解毒剤として使われることを特徴とする、解毒剤を都市廃水スラッジと混合することを含む、無機有機肥料混合物の製造に用いられる方法。

【公表番号】特表2012−530043(P2012−530043A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516025(P2012−516025)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000308
【国際公開番号】WO2010/147503
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511154319)ザクルイトエ・アクツィオネルノエ・オブスチェストヴォ“ツイン・トレーディング・カンパニー” (8)
【氏名又は名称原語表記】ZAKRYTOE AKCIONERNOE OBSCHESTVO ‘TWIN TRADING COMPANY’
【Fターム(参考)】