有機無機複合増粘体及びその調製方法並びにゲル状化粧料又は外用剤用基材
【課題】高いチキソトロピー性を有する有機無機複合増粘体及びその調製方法並びに該増粘体を含有するゲル状化粧料又は外用剤用基材を提供する。
【解決手段】カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、(a)と(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
上記(a)の水溶液に、割合(a)/(b)が上記範囲となるように(b)の水溶液を添加するか、又は上記(b)の水溶液に、割合(a)/(b)が上記範囲となるように(a)の水溶液を添加する有機無機複合増粘体の調製方法。
上記有機無機複合増粘体を含有するゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【解決手段】カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、(a)と(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
上記(a)の水溶液に、割合(a)/(b)が上記範囲となるように(b)の水溶液を添加するか、又は上記(b)の水溶液に、割合(a)/(b)が上記範囲となるように(a)の水溶液を添加する有機無機複合増粘体の調製方法。
上記有機無機複合増粘体を含有するゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性高分子物質及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムにより形成される有機無機複合増粘体及びその調製方法並びにゲル状化粧料又は外用剤用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤や口腔薬、洗顔料、整髪料のようなペースト状の製剤は、バリアー性の確保、及び歯ブラシ等のアプリケーターや手にのせる際などの使用性を確保する上で、チューブ容器に充填し用いることが有用である。特に使用性を確保する上では、曳糸性が少なく、歯ブラシ等から垂れることのない良好な保型性を有する上に、製剤を用いる際の短時間の行為において、保型性とは相反する機能である製剤の広がりの良さを有する、即ちチキソトロピー性を有することが有用である。
【0003】
例えば歯磨剤のような口腔用組成物においては、使用性向上に繋がるチキソトロピー性を付与する手段として、従来からポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸又はそのアルカリ金属塩を含有する口腔用組成物(特許文献1参照)、火成性シリカを配合した練歯磨組成物(特許文献2参照)、カルボキシビニルポリマーを含有するジェル状歯磨剤(特許文献3参照)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する口腔用組成物(特許文献4参照)などが提案され、更には合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムや合成ヘクトライトのような粘土剤を用いることが有効な手段であることが知られている。
【0004】
特に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムや合成ヘクトライトのような粘土剤の高い保型性を活用する手段としては、合成ヘクトライトとシリカや水和アルミナ、保湿剤とを配合したペルオキシジホスフェート配合練歯磨組成物(特許文献5参照)、粘土剤とカゼインプロテインとを配合したバイオ活性成分の搬送のためのカゼイン組成体(特許文献6参照)、親水性粘土剤とフィチン酸化合物とを配合した研磨剤を含まない歯磨剤組成物(特許文献7参照)、親水性粘土剤と変性セルロースポリマー、カルボキシビニルポリマー及び天然ゴム由来アニオン性ポリマー類とを配合した歯磨剤組成物(特許文献8参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−143530号公報
【特許文献2】特開昭60−1116号公報
【特許文献3】特開平6−183937号公報
【特許文献4】特開2003−252737号公報
【特許文献5】特公平3−36803号公報
【特許文献6】特表2002−521415号公報
【特許文献7】特表2009−513695号公報
【特許文献8】特表2009−519235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、チキソトロピー性向上効果はこれら従来技術においてもなお十分ではなく、更にチキソトロピー性を高めることのできる手段が望まれた。
本発明はかかる要望に応えたもので、高いチキソトロピー性を有する有機無機複合増粘体及びその調製方法並びに該増粘体を含有するゲル状化粧料又は外用剤用基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを混合すること、この場合、前記水溶性高分子物質と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムとの割合を質量比として5/1〜2/1とすることにより、高いチキソトロピー性を有することを知見した。
【0008】
即ち、後述する実施例、比較例に示した通り、上記合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムは、低濃度水溶液では実質的にチキソトロピー性を示さず、一方、上記水溶性高分子物質の水溶液はある程度のチキソトロピー性を示すが、その値は小さいものであるにも拘わらず、上記水溶性高分子物質の水溶液と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを併用混合した水溶液のチキソトロピー性は、これら両成分の水溶液が互いに相乗的に作用し、上記水溶性高分子物質水溶液のチキソトロピー性の1.1倍以上、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液、ヒドロキシエチルセルロース水溶液、キサンタンガム水溶液の場合は約2倍以上のチキソトロピー性を与えること、従って、このようにして得られる有機無機複合増粘体が化粧料、外用剤の増粘基材として有効であることを知見した。またこの場合、上記チキソトロピー性の向上効果は、上記水溶性高分子物質の水溶液及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液を使用、混合することによって得られるものであり、これら成分を互いに水溶液でない状態で混合しても、あるいは混合したものを水に溶解し、水溶液としても上記のようなチキソトロピー性向上効果は得られないものである。
【0009】
従って、本発明は、下記の有機無機複合増粘体及びその調製方法並びにゲル状化粧料又は外用剤用基材を提供する。
請求項1:
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
請求項2:
水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000である請求項1記載の有機無機複合増粘体。
請求項3:
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
請求項4:
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
請求項5:
請求項1又は2記載の有機無機複合増粘体を含有することを特徴とするゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機無機複合増粘体は、高いチキソトロピー性を与え、化粧料又は外用剤の基材に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図2】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図3】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図4】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図5】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図6】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図7】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図8】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図9】実験例におけるアルギン酸ナトリウム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図10】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図11】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図12】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図13】実験例におけるキサンタンガム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図14】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体の上記粘弾性測定装置による測定結果を示すグラフである。
【図15】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図16】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図17】実験例におけるカラギーナン水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図18】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図19】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図20】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の有機無機複合増粘体は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体である。
【0013】
本発明は、かかる有機無機複合増粘体及びこれを配合した化粧料又は外用剤用基材等に係わるものであるが、これらは通常の化粧料や外用剤用の基材と比較した場合、チキソトロピー性が高い、即ち保型性が高い割に降伏値が低く、保型性と広がりの良さを兼ね備えるものである。一般に水溶性高分子物質を含有する製剤は、非ニュートン流体のうち、降伏値をもった擬塑性流体であり、静止状態では、分子間応力、粒子間応力による強い結合作用が働き、液体であってもある種の固体のような性質を示す。外力が物質内部で作用している応力よりも小さい場合、その物質は弾性変形のみを生じる。外力が物質内部で作用している応力よりも大きくなると、内部応力による結合が破壊され、物質内の分子や粒子が不規則に運動、移動し始め、液体の性質に変化する。即ち、降伏値とは固体と液体の両方の性質を有する物質が、固体から液体へ変化する時点、つまり外力と内部応力が等しくなった時の外部応力の値である。本発明の有機無機複合増粘体は、通常では保型性を上げるために降伏値が高くなる、即ち広がりの良さを損なう結果となるものが、チキソトロピー性を高めることによりそれらを両立することができるものである。
【0014】
本発明の有機無機複合増粘体において、(a)成分の水溶性高分子物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれるもので、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムが好適に使用できる。
【0015】
これらの水溶性高分子物質は、化粧料や外用剤に通常使用されるものでよく、市販品を用いることができる。カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、例えばCMCダイセル(ダイセル化学工業(株)製)、ヒドロキシエチルセルロースとしては、例えばHECダイセル(ダイセル化学工業(株)製)、アルギン酸ナトリウムとしては、例えばダックアルギン(紀文フードケミファ(株)製)、キサンタンガムとしては、例えばケルデント(CPケルコ社製)、カラギーナンとしては、例えばカラギーナン(CPケルコ社製)などの市販品を用いることができる。
【0016】
(b)成分としては、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムが用いられ、例えばラポナイト(ロックウッド社製)等の市販品を用いることができる。なお、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムは、近似質量%でSiO2:58.0%、MgO:25.4%、Na2O:3.1%、Li2O:1.0%であり、その他成分としては若干の水と微量金属を含む合成粘土剤である。完全な合成品であり、ナトリウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩にケイ酸ナトリウムを混合し、反応させることで製造される。ベントナイトやヘクトライトのような天然の粘土剤も結晶構造としては類似のものであるが、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムはこれら天然の粘土剤に比べ、一次粒子の大きさがごく小さく、層状の構造を有することが特長である。
【0017】
本発明で、上記(a)成分と(b)成分とは、(a)/(b)の比率(質量比)が5/1〜2/1であることが必要であり、好ましくは5/1〜3/1、より好ましくは4/1〜3/1であることが、チキソトロピー性付与効果、相液分離、広がりの良さの点から有効である。
【0018】
本発明において、(a)、(b)成分の含有量は、(a)/(b)の比率が上記範囲内であれば適宜調整できるが、(a)成分の含有量は、組成中に0.1〜5%(質量%、以下同様)が好ましく、0.3〜3%がより好ましい。0.1%未満では十分な相液分離抑制効果が満足に発揮されない場合があり、3%を超えると広がりの良さを損なうおそれがある。
【0019】
また、(b)成分の含有量は特に制限されないが、チキソトロピー性付与効果、相液分離や広がりの良さの点から、組成中に0.01〜2%が好ましく、0.1〜1.5%がより好ましい。0.01%未満では十分なチキソトロピー性付与効果が発揮されない場合があり、2%を超えると相液分離を生じる場合や広がりの良さを損ねる場合がある。
【0020】
なお、組成中の水分量は15〜50%、特に20〜45%、とりわけ25〜45%が好ましい。水分量が少なすぎると広がりの良さが損なわれる場合があり、多すぎると経時保型性や相液分離安定性、保持性が損なわれる場合がある。
【0021】
本発明の有機無機複合増粘体は、上記(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを混合することにより形成されるものであり、(a)成分の水溶性高分子物質の水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを別途調製しておき、それらを混合することにより製造される。この場合、(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とは、(a)成分の水溶液に(b)成分の水溶液を加えても、(b)成分の水溶液に(a)成分の水溶液を加えてもよい。
【0022】
(a)成分の水溶液の濃度は0.1〜10%、特に0.2〜6%が好ましく、また(b)成分の水溶液の濃度は0.3〜10%、特に0.4〜6%が好ましい。このような(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを質量比5:1〜1:5、特に1:1で混合し、(a)/(b)の比率が上記範囲である増粘体を得ることが望ましい。
【0023】
本発明では、このように(a)、(b)成分の水溶液を混合することにより、良好なチキソトロピー性を与え、特に(a)成分と(b)成分とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計、具体的にはコーンプレート型粘弾性測定装置であるRheo Stress RS50(HAAKE社製)で、センサーC35/4度、γ=0〜50(1/s)、120s、25℃で測定した場合の、ヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率〈チキソトロピー性〉((S1/S0)×100)が130〜1,000、特に150〜1,000、とりわけ200〜800である増粘体が得られる。
【0024】
なお、(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを混合する場合、その混合条件は特に限定されず、通常の方法を採用できるが、室温下、具体的には15〜30℃程度の温度条件で3〜20分間撹拌することが好ましい。
【0025】
本発明の有機無機複合増粘体は、ゲル状の化粧料又は外用剤の基材として使用することができる。この場合、化粧料としては、皮膚用、毛髪用、口腔用等のいずれのものであってもよく、ゲル状形態を有するいずれのものに対しても好適に用いられる。具体的には乳液、クリーム、美容液、整髪料、歯磨剤等のゲル状形態を有する化粧料のゲル状基材を形成するために使用される。また、外用剤としては、手指消毒剤、ハップ剤、水性軟膏等のゲル状形態を有する外用剤に用いられる。本発明の増粘体は、このような化粧料や外用剤のゲル基材として用いられて、高いチキソトロピー性を発揮し、良好な保持性と広がりの良さを与える。なお、これら化粧料、外用剤を構成する他の成分としては、その種類に応じた常用成分を用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実験例、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、水溶性高分子物質及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムとしては、下記のものを用いた。
水溶性高分子物質(a)
カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMCダイセル、ダイセル化学工業(株)製
ヒドロキシエチルセルロース:HECダイセル、ダイセル化学工業(株)製
アルギン酸ナトリウム:ダックアルギン、紀文フードケミファ(株)製
キサンタンガム:ケルデント、CPケルコ社製
カラギーナン:カラギーナン、CPケルコ社製
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム:ラポナイトD、ロックウッド社製
【0027】
〔実験例〕
前記の水溶性高分子物質(a)の10質量%水溶液と、(a)/(b)=5/1、4/1、3/1用合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)(ラポナイト)水溶液をそれぞれ2質量%水溶液、2.5質量%水溶液、3.3質量%水溶液として調製し、水溶性高分子物質の水溶液50mlにラポナイトの水溶液50mlを室温下で添加し、10分間撹拌を行って、(a)/(b)の質量比が表1に示す割合で各増粘体を得た。
この増粘体について、コーンプレート型粘弾性測定装置(RheoStress RS50(HAAKE社製))を用い、センサーC35/4度、シアレート0〜50(1/s)、測定時間120秒、25℃にて測定した。
【0028】
結果を表1、2に示す。また、各増粘体のコーンプレート型粘弾性測定装置による測定で得られたヒステリシスループ曲線を図1〜20に示す。
表1の絶対値(Pa・s)は、コーンプレート型回転粘度計による測定で得られたヒステリシスループ曲線で囲まれた面積を示す。表2の対ブランク(%)は、各増粘体のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率((S1/S0)×100)を示す値である。
なお、図中、ラポナイトはLAPONITE、カルボキシメチルセルロースナトリウムはCMC、ヒドロキシエチルセルロースはHEC、アルギン酸ナトリウムはAR、キサンタンガムはXG、カラギーナンはKGと略記した。
【0029】
【表1】
なお、ラポナイト単独では、チキソトロピー性はなく絶対値が0になった。
【0030】
【表2】
【0031】
表1、2及び図1〜20の結果より、本発明によれば、(a)成分の水溶性高分子物質の水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを混合して(a)、(b)成分と水からなる増粘体を形成することにより、チキソトロピー性が高い有機無機複合増粘体が得られることが確認された。この増粘体は、(a)成分の水溶性高分子物質の3.3%水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの10%水溶液とを容量比1:1で混合し、(a)/(b)=3/1(質量比)の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000となることがわかった。
【0032】
次に、本発明の有機無機複合増粘体を配合した製剤の処方例を示す。これら製剤は、保型性と広がりの良さとを兼備したものであった。
【0033】
[処方例1]ゲル状歯磨
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.3質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
無水ケイ酸(研磨性シリカ) 18.0
無水ケイ酸(増粘性シリカ) 3.0
プロピレングリコール 3.0
ソルビット液(70質量%) 45.0
サッカリンナトリウム 0.2
酸化チタン 0.4
香料 0.5
精製水 27.4
合計 100.0質量%
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液を調製し、この水溶液と、アニオン性界面活性剤、研磨性シリカ及び香料を除く組成物中の他の所用成分を残りの水に溶解させた液に水溶性高分子物質を溶解させた水溶液とを室温下に混合し、10分間撹拌して増粘体を調製した後、更にアニオン性界面活性剤、研磨性シリカ、香料を練合してゲル状歯磨剤組成物を調製した。
得られたゲル状歯磨は高いチキソトロピー性を有していた。
【0034】
[処方例2]美容液
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.4質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5
スクワラン 1.5
流動パラフィン 1.0
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル 1.2
グリセリン 5.0
エタノール 8.0
香料 0.5
精製水 80.9
合計 100.0質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムの5質量%水溶液(24ml)に合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液(8ml)を室温で添加し、10分間撹拌を行って増粘体を調製した。残りの水にグリセリン、エタノールを加えて混合溶解後、70℃に加温し、油分と界面活性剤を添加して乳化したのち、香料を加えて冷却し、更に前記増粘体を添加して撹拌混合して美容液を調製した。
得られた美容液は高いチキソトロピー性を有していた。
【0035】
[処方例3]乳液
(I)増粘体
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.5質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.6
(II)油相部
シリコンKF56(商品名、信越化学工業(株)製) 2.0
ミリスチン酸イソプロピル 3.0
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(2)セチルエーテル
1.0
エチルパラベン 0.1
(III)水相部
グリセリン 3.0
エタノール 3.0
精製水 85.4
メチルパラベン 0.1
(IV)香料 0.3
合計 100.0質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムの4質量%水溶液(40ml)に合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液(10ml)を室温で添加し、10分間撹拌を行って増粘体を調製した。(III)成分を混合溶解後、70℃に加温し、(II)成分を加熱溶解したものを添加して乳化したのち、(IV)成分を加えて冷却し、更に前記増粘体を添加して十分に撹拌混合して乳液を調製した。
得られた乳液は高いチキソトロピー性を有していた。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性高分子物質及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムにより形成される有機無機複合増粘体及びその調製方法並びにゲル状化粧料又は外用剤用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
歯磨剤や口腔薬、洗顔料、整髪料のようなペースト状の製剤は、バリアー性の確保、及び歯ブラシ等のアプリケーターや手にのせる際などの使用性を確保する上で、チューブ容器に充填し用いることが有用である。特に使用性を確保する上では、曳糸性が少なく、歯ブラシ等から垂れることのない良好な保型性を有する上に、製剤を用いる際の短時間の行為において、保型性とは相反する機能である製剤の広がりの良さを有する、即ちチキソトロピー性を有することが有用である。
【0003】
例えば歯磨剤のような口腔用組成物においては、使用性向上に繋がるチキソトロピー性を付与する手段として、従来からポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸又はそのアルカリ金属塩を含有する口腔用組成物(特許文献1参照)、火成性シリカを配合した練歯磨組成物(特許文献2参照)、カルボキシビニルポリマーを含有するジェル状歯磨剤(特許文献3参照)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有する口腔用組成物(特許文献4参照)などが提案され、更には合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムや合成ヘクトライトのような粘土剤を用いることが有効な手段であることが知られている。
【0004】
特に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムや合成ヘクトライトのような粘土剤の高い保型性を活用する手段としては、合成ヘクトライトとシリカや水和アルミナ、保湿剤とを配合したペルオキシジホスフェート配合練歯磨組成物(特許文献5参照)、粘土剤とカゼインプロテインとを配合したバイオ活性成分の搬送のためのカゼイン組成体(特許文献6参照)、親水性粘土剤とフィチン酸化合物とを配合した研磨剤を含まない歯磨剤組成物(特許文献7参照)、親水性粘土剤と変性セルロースポリマー、カルボキシビニルポリマー及び天然ゴム由来アニオン性ポリマー類とを配合した歯磨剤組成物(特許文献8参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−143530号公報
【特許文献2】特開昭60−1116号公報
【特許文献3】特開平6−183937号公報
【特許文献4】特開2003−252737号公報
【特許文献5】特公平3−36803号公報
【特許文献6】特表2002−521415号公報
【特許文献7】特表2009−513695号公報
【特許文献8】特表2009−519235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、チキソトロピー性向上効果はこれら従来技術においてもなお十分ではなく、更にチキソトロピー性を高めることのできる手段が望まれた。
本発明はかかる要望に応えたもので、高いチキソトロピー性を有する有機無機複合増粘体及びその調製方法並びに該増粘体を含有するゲル状化粧料又は外用剤用基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを混合すること、この場合、前記水溶性高分子物質と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムとの割合を質量比として5/1〜2/1とすることにより、高いチキソトロピー性を有することを知見した。
【0008】
即ち、後述する実施例、比較例に示した通り、上記合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムは、低濃度水溶液では実質的にチキソトロピー性を示さず、一方、上記水溶性高分子物質の水溶液はある程度のチキソトロピー性を示すが、その値は小さいものであるにも拘わらず、上記水溶性高分子物質の水溶液と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを併用混合した水溶液のチキソトロピー性は、これら両成分の水溶液が互いに相乗的に作用し、上記水溶性高分子物質水溶液のチキソトロピー性の1.1倍以上、特にカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液、ヒドロキシエチルセルロース水溶液、キサンタンガム水溶液の場合は約2倍以上のチキソトロピー性を与えること、従って、このようにして得られる有機無機複合増粘体が化粧料、外用剤の増粘基材として有効であることを知見した。またこの場合、上記チキソトロピー性の向上効果は、上記水溶性高分子物質の水溶液及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液を使用、混合することによって得られるものであり、これら成分を互いに水溶液でない状態で混合しても、あるいは混合したものを水に溶解し、水溶液としても上記のようなチキソトロピー性向上効果は得られないものである。
【0009】
従って、本発明は、下記の有機無機複合増粘体及びその調製方法並びにゲル状化粧料又は外用剤用基材を提供する。
請求項1:
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
請求項2:
水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000である請求項1記載の有機無機複合増粘体。
請求項3:
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
請求項4:
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
請求項5:
請求項1又は2記載の有機無機複合増粘体を含有することを特徴とするゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機無機複合増粘体は、高いチキソトロピー性を与え、化粧料又は外用剤の基材に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図2】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図3】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図4】実験例におけるカルボキシメチルセルロースナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図5】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図6】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図7】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図8】実験例におけるヒドロキシエチルセルロース/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図9】実験例におけるアルギン酸ナトリウム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図10】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図11】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図12】実験例におけるアルギン酸ナトリウム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図13】実験例におけるキサンタンガム水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図14】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体の上記粘弾性測定装置による測定結果を示すグラフである。
【図15】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図16】実験例におけるキサンタンガム/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図17】実験例におけるカラギーナン水溶液のみを用いて得た増粘体(ブランク)のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図18】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=5/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図19】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=4/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【図20】実験例におけるカラギーナン/合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム=3/1の増粘体のヒステリシスループ曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の有機無機複合増粘体は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体である。
【0013】
本発明は、かかる有機無機複合増粘体及びこれを配合した化粧料又は外用剤用基材等に係わるものであるが、これらは通常の化粧料や外用剤用の基材と比較した場合、チキソトロピー性が高い、即ち保型性が高い割に降伏値が低く、保型性と広がりの良さを兼ね備えるものである。一般に水溶性高分子物質を含有する製剤は、非ニュートン流体のうち、降伏値をもった擬塑性流体であり、静止状態では、分子間応力、粒子間応力による強い結合作用が働き、液体であってもある種の固体のような性質を示す。外力が物質内部で作用している応力よりも小さい場合、その物質は弾性変形のみを生じる。外力が物質内部で作用している応力よりも大きくなると、内部応力による結合が破壊され、物質内の分子や粒子が不規則に運動、移動し始め、液体の性質に変化する。即ち、降伏値とは固体と液体の両方の性質を有する物質が、固体から液体へ変化する時点、つまり外力と内部応力が等しくなった時の外部応力の値である。本発明の有機無機複合増粘体は、通常では保型性を上げるために降伏値が高くなる、即ち広がりの良さを損なう結果となるものが、チキソトロピー性を高めることによりそれらを両立することができるものである。
【0014】
本発明の有機無機複合増粘体において、(a)成分の水溶性高分子物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれるもので、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムが好適に使用できる。
【0015】
これらの水溶性高分子物質は、化粧料や外用剤に通常使用されるものでよく、市販品を用いることができる。カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、例えばCMCダイセル(ダイセル化学工業(株)製)、ヒドロキシエチルセルロースとしては、例えばHECダイセル(ダイセル化学工業(株)製)、アルギン酸ナトリウムとしては、例えばダックアルギン(紀文フードケミファ(株)製)、キサンタンガムとしては、例えばケルデント(CPケルコ社製)、カラギーナンとしては、例えばカラギーナン(CPケルコ社製)などの市販品を用いることができる。
【0016】
(b)成分としては、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムが用いられ、例えばラポナイト(ロックウッド社製)等の市販品を用いることができる。なお、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムは、近似質量%でSiO2:58.0%、MgO:25.4%、Na2O:3.1%、Li2O:1.0%であり、その他成分としては若干の水と微量金属を含む合成粘土剤である。完全な合成品であり、ナトリウム塩、マグネシウム塩及びリチウム塩にケイ酸ナトリウムを混合し、反応させることで製造される。ベントナイトやヘクトライトのような天然の粘土剤も結晶構造としては類似のものであるが、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムはこれら天然の粘土剤に比べ、一次粒子の大きさがごく小さく、層状の構造を有することが特長である。
【0017】
本発明で、上記(a)成分と(b)成分とは、(a)/(b)の比率(質量比)が5/1〜2/1であることが必要であり、好ましくは5/1〜3/1、より好ましくは4/1〜3/1であることが、チキソトロピー性付与効果、相液分離、広がりの良さの点から有効である。
【0018】
本発明において、(a)、(b)成分の含有量は、(a)/(b)の比率が上記範囲内であれば適宜調整できるが、(a)成分の含有量は、組成中に0.1〜5%(質量%、以下同様)が好ましく、0.3〜3%がより好ましい。0.1%未満では十分な相液分離抑制効果が満足に発揮されない場合があり、3%を超えると広がりの良さを損なうおそれがある。
【0019】
また、(b)成分の含有量は特に制限されないが、チキソトロピー性付与効果、相液分離や広がりの良さの点から、組成中に0.01〜2%が好ましく、0.1〜1.5%がより好ましい。0.01%未満では十分なチキソトロピー性付与効果が発揮されない場合があり、2%を超えると相液分離を生じる場合や広がりの良さを損ねる場合がある。
【0020】
なお、組成中の水分量は15〜50%、特に20〜45%、とりわけ25〜45%が好ましい。水分量が少なすぎると広がりの良さが損なわれる場合があり、多すぎると経時保型性や相液分離安定性、保持性が損なわれる場合がある。
【0021】
本発明の有機無機複合増粘体は、上記(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを混合することにより形成されるものであり、(a)成分の水溶性高分子物質の水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを別途調製しておき、それらを混合することにより製造される。この場合、(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とは、(a)成分の水溶液に(b)成分の水溶液を加えても、(b)成分の水溶液に(a)成分の水溶液を加えてもよい。
【0022】
(a)成分の水溶液の濃度は0.1〜10%、特に0.2〜6%が好ましく、また(b)成分の水溶液の濃度は0.3〜10%、特に0.4〜6%が好ましい。このような(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを質量比5:1〜1:5、特に1:1で混合し、(a)/(b)の比率が上記範囲である増粘体を得ることが望ましい。
【0023】
本発明では、このように(a)、(b)成分の水溶液を混合することにより、良好なチキソトロピー性を与え、特に(a)成分と(b)成分とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計、具体的にはコーンプレート型粘弾性測定装置であるRheo Stress RS50(HAAKE社製)で、センサーC35/4度、γ=0〜50(1/s)、120s、25℃で測定した場合の、ヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率〈チキソトロピー性〉((S1/S0)×100)が130〜1,000、特に150〜1,000、とりわけ200〜800である増粘体が得られる。
【0024】
なお、(a)成分の水溶液と(b)成分の水溶液とを混合する場合、その混合条件は特に限定されず、通常の方法を採用できるが、室温下、具体的には15〜30℃程度の温度条件で3〜20分間撹拌することが好ましい。
【0025】
本発明の有機無機複合増粘体は、ゲル状の化粧料又は外用剤の基材として使用することができる。この場合、化粧料としては、皮膚用、毛髪用、口腔用等のいずれのものであってもよく、ゲル状形態を有するいずれのものに対しても好適に用いられる。具体的には乳液、クリーム、美容液、整髪料、歯磨剤等のゲル状形態を有する化粧料のゲル状基材を形成するために使用される。また、外用剤としては、手指消毒剤、ハップ剤、水性軟膏等のゲル状形態を有する外用剤に用いられる。本発明の増粘体は、このような化粧料や外用剤のゲル基材として用いられて、高いチキソトロピー性を発揮し、良好な保持性と広がりの良さを与える。なお、これら化粧料、外用剤を構成する他の成分としては、その種類に応じた常用成分を用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下、実験例、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、水溶性高分子物質及び合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムとしては、下記のものを用いた。
水溶性高分子物質(a)
カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMCダイセル、ダイセル化学工業(株)製
ヒドロキシエチルセルロース:HECダイセル、ダイセル化学工業(株)製
アルギン酸ナトリウム:ダックアルギン、紀文フードケミファ(株)製
キサンタンガム:ケルデント、CPケルコ社製
カラギーナン:カラギーナン、CPケルコ社製
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム:ラポナイトD、ロックウッド社製
【0027】
〔実験例〕
前記の水溶性高分子物質(a)の10質量%水溶液と、(a)/(b)=5/1、4/1、3/1用合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)(ラポナイト)水溶液をそれぞれ2質量%水溶液、2.5質量%水溶液、3.3質量%水溶液として調製し、水溶性高分子物質の水溶液50mlにラポナイトの水溶液50mlを室温下で添加し、10分間撹拌を行って、(a)/(b)の質量比が表1に示す割合で各増粘体を得た。
この増粘体について、コーンプレート型粘弾性測定装置(RheoStress RS50(HAAKE社製))を用い、センサーC35/4度、シアレート0〜50(1/s)、測定時間120秒、25℃にて測定した。
【0028】
結果を表1、2に示す。また、各増粘体のコーンプレート型粘弾性測定装置による測定で得られたヒステリシスループ曲線を図1〜20に示す。
表1の絶対値(Pa・s)は、コーンプレート型回転粘度計による測定で得られたヒステリシスループ曲線で囲まれた面積を示す。表2の対ブランク(%)は、各増粘体のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率((S1/S0)×100)を示す値である。
なお、図中、ラポナイトはLAPONITE、カルボキシメチルセルロースナトリウムはCMC、ヒドロキシエチルセルロースはHEC、アルギン酸ナトリウムはAR、キサンタンガムはXG、カラギーナンはKGと略記した。
【0029】
【表1】
なお、ラポナイト単独では、チキソトロピー性はなく絶対値が0になった。
【0030】
【表2】
【0031】
表1、2及び図1〜20の結果より、本発明によれば、(a)成分の水溶性高分子物質の水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの水溶液とを混合して(a)、(b)成分と水からなる増粘体を形成することにより、チキソトロピー性が高い有機無機複合増粘体が得られることが確認された。この増粘体は、(a)成分の水溶性高分子物質の3.3%水溶液と、(b)成分の合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの10%水溶液とを容量比1:1で混合し、(a)/(b)=3/1(質量比)の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000となることがわかった。
【0032】
次に、本発明の有機無機複合増粘体を配合した製剤の処方例を示す。これら製剤は、保型性と広がりの良さとを兼備したものであった。
【0033】
[処方例1]ゲル状歯磨
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.3質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
無水ケイ酸(研磨性シリカ) 18.0
無水ケイ酸(増粘性シリカ) 3.0
プロピレングリコール 3.0
ソルビット液(70質量%) 45.0
サッカリンナトリウム 0.2
酸化チタン 0.4
香料 0.5
精製水 27.4
合計 100.0質量%
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液を調製し、この水溶液と、アニオン性界面活性剤、研磨性シリカ及び香料を除く組成物中の他の所用成分を残りの水に溶解させた液に水溶性高分子物質を溶解させた水溶液とを室温下に混合し、10分間撹拌して増粘体を調製した後、更にアニオン性界面活性剤、研磨性シリカ、香料を練合してゲル状歯磨剤組成物を調製した。
得られたゲル状歯磨は高いチキソトロピー性を有していた。
【0034】
[処方例2]美容液
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.4質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5
スクワラン 1.5
流動パラフィン 1.0
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル 1.2
グリセリン 5.0
エタノール 8.0
香料 0.5
精製水 80.9
合計 100.0質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムの5質量%水溶液(24ml)に合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液(8ml)を室温で添加し、10分間撹拌を行って増粘体を調製した。残りの水にグリセリン、エタノールを加えて混合溶解後、70℃に加温し、油分と界面活性剤を添加して乳化したのち、香料を加えて冷却し、更に前記増粘体を添加して撹拌混合して美容液を調製した。
得られた美容液は高いチキソトロピー性を有していた。
【0035】
[処方例3]乳液
(I)増粘体
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.5質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.6
(II)油相部
シリコンKF56(商品名、信越化学工業(株)製) 2.0
ミリスチン酸イソプロピル 3.0
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(2)セチルエーテル
1.0
エチルパラベン 0.1
(III)水相部
グリセリン 3.0
エタノール 3.0
精製水 85.4
メチルパラベン 0.1
(IV)香料 0.3
合計 100.0質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウムの4質量%水溶液(40ml)に合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウムの5質量%水溶液(10ml)を室温で添加し、10分間撹拌を行って増粘体を調製した。(III)成分を混合溶解後、70℃に加温し、(II)成分を加熱溶解したものを添加して乳化したのち、(IV)成分を加えて冷却し、更に前記増粘体を添加して十分に撹拌混合して乳液を調製した。
得られた乳液は高いチキソトロピー性を有していた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
【請求項2】
水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000である請求項1記載の有機無機複合増粘体。
【請求項3】
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
【請求項4】
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の有機無機複合増粘体を含有することを特徴とするゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【請求項1】
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液と、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液とを混合することにより形成される増粘体であって、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1であることを特徴とする有機無機複合増粘体。
【請求項2】
水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)とを質量比として(a)/(b)=3/1の比率で用いて形成された増粘体を、コーンプレート型回転粘度計で測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S1と、前記水溶性高分子物質のみを用いて同様に粘度測定した場合のヒステリシスループ曲線で囲まれた面積S0との比率(S1/S0)×100が130〜1,000である請求項1記載の有機無機複合増粘体。
【請求項3】
カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液に、合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
【請求項4】
合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)の水溶液に、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンから選ばれる1種以上の水溶性高分子物質(a)の水溶液を、水溶性高分子物質(a)と合成層状ケイ酸ナトリウム・マグネシウム(b)との割合(a)/(b)が質量比として5/1〜2/1となるように添加することを特徴とする有機無機複合増粘体の調製方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の有機無機複合増粘体を含有することを特徴とするゲル状化粧料又は外用剤用基材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−240966(P2012−240966A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112720(P2011−112720)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】
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