説明

有機燐光材料および有機オプトエレクトロニクス素子

本発明は式(I)の構造を含むシクロメタル化錯体を提供する:式中、Mはd−ブロック遷移金属であり;Bは5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、それは場合によっては置換されていてもよく、そして場合によっては一つまたはそれ以上の別のアリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい;Aは少なくとも3個の窒素原子を含む5員または6員のヘテロアリール環であり;Rは水素以外の基であり;nは0であるか又は1以上の整数であり;そしてAとBは場合によっては縮合していてもよいし又は一つまたはそれ以上の共有結合によって結合していてもよい。本発明はまた、かかる錯体の、オプトエレクトロニクス素子での使用、特に有機発光素子での使用、を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機燐光材料(organic phosphorescent materials)、特に、青色有機燐光材料に関し、また、有機燐光材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子(organic electroluminescent device)に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子は2つの電極の間に置かれた有機エレクトロルミネッセンス材料(organic electroluminescent material)の層を含んでいる。2つの電極間に電流を印加することにより、有機材料にエレクトロルミネッセンス(electroluminescence)を起こさせる。有機エレクトロルミネッセンスの現象はディスプレイおよび照明の分野に多数の応用を有する。1980年代の末期に、効率的な有機エレクトロルミネッセンスは、WO90/13148に記載されているような共役ポリマーで、およびTang et al Applied Physics Letters 51, 913, (1987)に記載されているようなアルミニウム8−ヒドロキシキノレートの錯体で、観察された。かかるシステムにおけるエレクトロルミネッセンスは蛍光(fluorescence)と称され、ポリマーまたは分子の電気的励起によって生じた一重項励起状態(singlet excited states)からの放射発光(radiative emission)によって生じる。最近10年間の多数の研究はかかる蛍光システム(fluorescent system)の検討に関していた。
【0003】
1990年代には、電気的に励起された分子の三重項励起状態(triplet excited states)からの光の効率的発光が観察された:Baldo et al Applied Physics Letters 75, 4, (1999)。このエレクトロルミネッセンスシステム(electroluminescent system)は緑色の光を発するシクロメタル化されたイリジウムフェニルピリジン錯体を含んでおり、蛍光システムで従来観察されたものより高い効率を示した。この現象は燐光(phosphorescence)として知られ、広く検討されてきた。US2002/0134984は一連のイリジウム錯体を開示しており、そこではイリジウムは下記の化合物1のように2個の窒素原子を介して2座配位子(bidentate ligand)に配位されている。US2001/0019782は一連のイリジウム錯体を開示しており、そこではイリジウムは2座配位子に配位されており、その配位子は下記の化合物2のようにC−N結合によって結合された2個のアリール部分(aryl moieties)を含んでいる。US2002/0055014は一連のイリジウム錯体を開示しており、そこではイリジウムは下記の化合物3のようにフェニラゾール誘導体を含む配位子に配位されている。WO02/15645は、下記に示された、FirPicとして知られている青色燐光錯体(blue phosphorescent complex)4を開示している。
【0004】
【化1】

【0005】
上に引用されたシクロメタル化燐光錯体(cyclometallated phosphorescent complexes)はそれらが真空蒸着によって堆積されることを可能にするように揮発性であるべく設計されていた。真空蒸着はエレクトロルミネッセンス素子の製造において低分子量材料の層を堆積させるのに慣用されている技法である。他の研究はWO02/068435およびEP1245659に開示されているように燐光発光体(phosphorescent emitters)をポリマーの中に組み込むことに集中していた。ポリマーの中への燐光発光体の組み込みはインクジェット印刷やスクリーン印刷のような溶液加工技法(solution processing techniques)を使用して燐光システム(phosphorescent systems)が堆積されるのを可能にする。エレクトロルミネッセンスディスプレイ(electroluminescent displays)を製造するのに溶液加工を使用する利点はたとえばEP0880303に開示されているようにこの分野で広く認められてきた。
【0006】
溶液加工可能な燐光材料を提供する代替の手法はWO02/066552に開示されているように燐光発光体をデンドリマー(dendrimers)の中に組み込むことであった。デンドリマーは高度に枝分れした巨大分子であり、そこではデンドロン(dendrons)またはデンドライト(dendorites)として知られている枝分れ分子亜単位(branched molecular sub-units)がコアに結合している。WO02/066552に開示されたデンドリマーはシクロメタル化燐光コア(cyclometallated phosphorescent core)と一連の有機デンドロンを含んでいる。このようなデンドリマーの性質はそれらを溶液加工に理想的なものにさせる。エレクトロルミネッセンスデンドリマー(electroluminescent dendrimers)の更なるクラスが開発されており、それらには、WO02/067343に開示されているようなアリール−アリール部分を基本としたデンドロンを含むデンドリマーや、WO02/066575に開示されているような非対称デンドリマー(asymmetric dendrimers)が挙げられる。
【0007】
有機発光素子(organic light emitting devices)の開発の多くは移動体電話や大画面ディスプレイのようなディスプレイ用途におけるこれら素子の応用に向けられている。フルカラーディスプレイは電磁スペクトルの赤と緑と青の領域の光を発する発光材料を必要とする。赤、緑および青の光を発することができる蛍光性有機材料が開発されてきた。
【0008】
赤および緑の光を発する燐光材料は開発されたが、青の光を発生できる燐光材料の例は比較的少ない。上に言及したイリジウム錯体FirPicは青の光を発するが、これはフルカラーディスプレイに要求される深い青色ではなくライトブルーのものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この分野の最近の研究についての上記概説から明らかなように、高い効率を有しそしてディスプレイ応用での使用に適切な範囲の色に利用可能である燐光化合物の開発が必要とされている。特に、電磁スペクトルの青色域で発光する高効率の燐光錯体の範囲が必要とされている。さらに、溶液加工性の燐光発光性化合物の範囲が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明はエレクトロルミネッセンス素子に使用するのに適する燐光発光性化合物を提供する。
【0011】
第一の態様においては、本発明は式Iの錯体を提供する:
【0012】
【化2】

【0013】
式中、
Mはd−ブロック遷移金属であり;
Bは5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、それは場合によっては置換されていてもよく、そして場合によっては一つまたはそれ以上の別のアリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい;
Aは少なくとも3個の窒素原子を含む5員または6員のヘテロアリール環であり;
は水素以外の基であり;
nは0であるか又は1以上の整数であり;そして
AとBは場合によっては縮合していてもよいし又は一つまたはそれ以上の共有結合によって結合していてもよい。
【0014】
第二の態様においては、本発明は式IIの構造を含むシクロメタル化錯体を含む:
【0015】
【化3】

【0016】
式中、Aは、少なくとも3個のヘテロ原子を含みそして場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のヘテロアリール環であり、Bは、場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、nは1より大きく、そしてRはデンドロンまたは可溶化基である。
【0017】
第三の態様においては、本発明は式IIIの構造を含むシクロメタル化錯体を含むポリマーを含む:
【0018】
【化4】

【0019】
式中、Aは、少なくとも3個のヘテロ原子を含みそして場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のヘテロアリール環であり、Bは、場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、nは0であるか又は1より大きく、そしてRは水素以外の置換基である。
【0020】
本発明はまた、本発明のシクロメタル化錯体を含むオプトエレクトロニクス素子(optoelectronic device)に関する。好ましい態様においては、前記オプトエレクトロニクス素子は有機発光ダイオード(organic light emitting diode)である。
【0021】
本発明はさらに、本発明のシクロメタル化錯体と有機ホスト(organic host)を含むブレンドを含む有機発光素子に関する。理論的に拘束することを望むものではないが、有機ホストは電荷輸送体(charge transporter)として、および発光性シクロメタル化錯体へ移送される三重項励起子(triplet excitons)の源として、作用する。代わりに、正孔と電子の電荷担体を再結合して励起子を生成することは、電荷輸送体として作用するホストをもったシクロメタル化錯体で起こってもよい。好ましくは、有機ホストはカルバゾール部分またはトリアリールアミン部分を含んでいる。
【0022】
本発明はまた、本発明によるシクロメタル化錯体をオプトエレクトロニクス素子に使用することに関する。
【0023】
本発明はまた、前記燐光層を2つの電極の間に配置して含んでいる有機発光素子であって0.25未満のCIE−y座標(coordinate)を有する前記素子を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
言及されていない限り、用語アルキルは線状または枝分れアルキルの基または部分、好ましくは1〜6個の炭素原子を含有するもの、たとえばC1〜4アルキル基または部分、を表わす。C1〜4アルキル基および部分の例はメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルを包含する。疑問を回避するため、基の中に2個のアルキル部分が存在する場合、アルキル部分は同一であってもよいし又は異なっていてもよい。
【0025】
本明細書に使用されるとき、ハロゲンは代表的には、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素である。それは好ましくは、塩素、フッ素または臭素である。
【0026】
本明細書に使用されるとき、用語アミノは式−NHの基を表わす。用語C1〜6アルキルアミノは式−NHR’の基(ここで、R’は先に定義した通り、C1〜6アルキル基、好ましくはC1〜4アルキル基、である)を表わす。用語ジ(C1〜6アルキル)アミノは式−NR’R”の基(ここで、R’およびR”は同一または異なり、そして先に定義した通り、C1〜6アルキル基、好ましくはC1〜4アルキル基、を表わす)を表わす。本明細書に使用されるとき、用語アミドは式−C(O)NHの基を表わす。
【0027】
本明細書に使用されるとき、アリール基は代表的には、C6〜10アリール基たとえばフェニルまたはナフチルである。アリール基は非置換であってもよいし又はいずれかの位置において置換されていてもよい。代表的には、それは置換基を0個、1個、2個または3個、持っている。
【0028】
本明細書に使用されるとき、アリール基についての言及は、アリール基が炭素環式基、複素環式基またはヘテロアリール基に縮合している縮合環系も包含する。アリール基が縮合している炭素環式基、複素環式基またはヘテロアリール基はそれ自体が更なるアリール、ヘテロアリール、炭素環または複素環に縮合していてもよい。従って、用語アリールはフェニルのようなアリール基が他の単環式または多環式の環系に縮合している場合も包囲する。例示の縮合環系はそれ自体がフェニル環に縮合している単環式炭素環式環に更にフェニル環が縮合しているもの、たとえば、カルバゾリル基、を包含する。
【0029】
本明細書に使用されるとき、ヘテロアリール基は、代表的には、O、SおよびNから選ばれた少なくとも1個のヘテロ原子、たとえば1個、2個または3個のヘテロ原子を含有している、5員〜14員芳香族環、たとえば5員〜10員環、より好ましくは5員または6員環である。例はピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フラニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピロリル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、カルバゾリル、アクリジニル、プリニル(purinyl)、シンノリニル(cinnolinyl)、キノキサリニル(quinoxalinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリニル、キナゾリニルおよびイソキノリニルを包含する。
【0030】
本明細書に使用されるとき、ヘテロアリール基についての言及はヘテロアリール基がアリール基に縮合している縮合環系を包含する。ヘテロアリール基がかかる縮合ヘテロアリール環である場合には、好ましい例は5員〜6員ヘテロアリール基がフェニル基に縮合している縮合環系である。かかる縮合環系の例はベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、キノリニル、キナゾリニルおよびイソキノリニル部分である。
【0031】
ヘテロアリール基は非置換であってもよいし又はいずれかの位置において置換されていてもよい。代表的には、それは置換基を0個、1個、2個または3個持っている。
【0032】
本明細書に使用されるとき、アルコキシ基は代表的には、酸素原子に結合された前記アルキル基である。ハロアルキルまたはハロアルコキシ基は代表的には、一つまたはそれ以上の前記ハロゲン原子によって置換されている前記アルキルまたはアルコキシ基である。代表的には、それは1個、2個または3個の前記ハロゲン原子によって置換されている。ハロアルキルおよびハロアルコキシ基はペルハロアルキルおよびペルハロアルコキシ基たとえば−CXおよび−OCX(ここで、Xは前記ハロゲン原子、たとえば、塩素またはフッ素、である)を包含する。
【0033】
本発明のシクロメタル化錯体に適する配位子は、少なくとも3個のヘテロ原子を含む5員または6員のヘテロアリール環(Aと称される)と、5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環(Bと称される)を含んでいる。
【0034】
疑問を回避するにあたり、シクロメタル化錯体が式I、IIおよびIIIにおいて環AとBを含む一つの配位子を担持するものとして示されていても、錯体は平明にするために示さなかった更なる配位子を含んでいてもよい。たとえば、錯体は同じ構造の更なる配位子すなわち下記構造の更なる配位子を含んでいてもよい:
【0035】
【化5】

【0036】
錯体は代わりに又は加えて、異なる構造の更なる配位子を含んでいてもよい。これらオプションは本記載の中で後述される。
【0037】
式Iおよび次の定義によって表わされる態様においては、Aは少なくとも3個の窒素原子を含む。一態様によれば、式Iにおいて、Mがd−ブロック遷移金属であり、Bが場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員アリールまたはヘテロアリール環であり、そして、(i)Aが少なくとも3個の窒素原子を含む5員ヘテロアリール環であり、Rが水素以外の基であり、そしてnが0に等しいか又はそれより大きいか、又は(ii)Aが少なくとも3個の窒素原子を含む6員ヘテロアリール環であり、Rが水素以外の基であり、そしてnが2以上であるかのどちらかである、式Iのシクロメタル化錯体が提供される。
【0038】
環AとBは炭素−炭素結合によって結合されている。環Aはシクロメタル化錯体の金属に配位している窒素原子を含む。環Bはシクロメタル化錯体の金属への炭素−金属シグマ結合を形成している。この仕方で、中心金属原子と、環Aの窒素と、環Bの炭素原子と、環AとBの間に炭素結合を形成している2個の炭素原子とによって5員環が形成されている。環Aは5員環である場合には、それは適切には、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールまたはテトラゾールであってもよい。上述の環AとBの間の炭素−炭素結合に加えて、環は後述の通り縮合していてもよいし又は一つもしくはそれ以上の共有結合によって結合していてもよい。
【0039】
Aは環の中に少なくとも3個の窒素原子を有する5員または6員ヘテロアリール環である。ヘテロアリール環は場合によって置換されていてもよいし又は一つもしくはそれ以上のアリールもしくはヘテロアリール基に縮合していてもよい。適するA基は従って、トリアゾール、テトラゾールおよびトリアジンを包含する。
【0040】
A基は環内に一つまたはそれ以上のケトンまたはチオケトン基によって置換されていてもよい。従って、適するA基はトリアゾロン(triazolones)およびトリアゾールチオン(triazolethiones)、たとえば、下記式の基、を包含する:
【0041】
【化6】

【0042】
Aが5員環である態様においては、Aは好ましくは、トリアゾールまたはテトラゾールである。Aが6員環である態様においては、Aは好ましくはトリアジンである。Aが5員環であることが好ましい。
【0043】
環Aは非置換であってもよいし又は一つもしくはそれ以上のR基によって置換されていてもよい。適するR基はハロゲン原子およびC1〜6アルキル、アリール、C1〜6アルコキシ、アミノ、C1〜6アルキルアミン、ジ(C1〜6アルキル)アミノおよびカルバゾール基を包含する。これら置換基はそれ自体が置換されていてもよく、他の置換基の中でも、ハロゲン原子、C1〜6アルキル基およびC1〜6アルコキシ基によって置換されていてもよい。
【0044】
好ましくは、環Aの上の少なくとも一つのR基は電子供与性(electron-donating)である。より好ましくは、環Aの上の全てのR基が電子供与性である。特に好ましいR基はC1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、アリール、カルバゾール、アリールアミノおよびジアリールアミノを包含する。好ましいC1〜6アルコキシ基はC1〜4アルコキシ基、たとえば、メトキシまたはエトキシ、である。好ましいC1〜6アルキル基はエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルを包含する。好ましいジアリールアミノ基は−NPhPh(ここで、フェニル環はそれら自体が1個、2個または3個のアルコキシ基によって置換されていてもよい)を包含する。
【0045】
代替態様においては、R基は電子吸引基(electron-withdrawing groups)であってもよく、たとえば、一つまたはそれ以上のハロゲン原子、ハロアルキル基(ペルハロアルキル基たとえばペルフルオロアルキル基)またはアリール基によって置換されていてもよい。
【0046】
環Aは更に置換されていてもよい。好ましい態様においては、ヘテロアリール環Aは少なくとも一つのデンドロン(dendron)によって置換されていてもよい。かかる態様はCORE−[DENDRON]の形態の構造を有していてもよく、ここで、COREは本発明によるシクロメタル化錯体を表わし、mは1以上の整数を表わし、各DENDRONは同一であってもよいし異なっていてもよく樹枝状分子構造(dendritic molecular structure)を表わす。好ましくは、前記樹枝状分子構造はアリールおよび/またはヘテロアリール基または窒素を含んでおり、それらは好ましくは前記アリールまたはヘテロアリール基のspまたはsp混成炭素原子(hybridized carbon atoms)によって結合されているか又はNと前記アリールもしくはヘテロアリール基との間の単結合を介して結合されている。COREは、1個より多くの樹枝状分枝が結合している第一番目のアリールもしくはヘテロアリール基のsp混成環炭素原子または窒素に結合されている環Aからの単結合で末端となるとして定義され、前記環炭素原子またはNは前記DENDRONの部分を形成している。存在する場合には、DENDRONは連結基を介してCOREに結合されることが好ましく、より好ましくは、連結基は非共役連結基たとえばアルキレン基、特に、メチレンまたはエチレン基、である。
【0047】
nは好ましくは、0であるか又は1〜5の整数、適切には、1〜4の整数、である。より好ましくは、nは0、1、2または3であり、最も好ましくは、1、2または3である。
【0048】
Bは5員または6員アリールまたはヘテロアリール基である。アリールまたはヘテロアリール基はそれ自体が1個以上の更なるアリールまたはヘテロアリール基によって置換されていてもよいし又はそれらに縮合していてもよい。
【0049】
Bが5員または6員アリール基である場合には、それは好ましくは、場合によって他のアリールまたはヘテロアリール基に縮合していてもよいフェニル環から選ばれる。たとえば、適するアリール基はフェニル、フェナントレニル、ナフチル、ピレニルおよびフルオレニル基を包含する。最も好ましくは、Bはフェニル環である。
【0050】
Bが5員または6員ヘテロアリール基である場合には、環は好ましくは、独立に酸素、硫黄および窒素から選ばれた1個、2個または3個のヘテロ原子を含む。適するヘテロアリール基はピリジン、ピラジン、ピリミジン、チオフェン、フランおよびピロールを包含し、好ましくは、ピリジン、ピラジンおよびピリミジンである。ヘテロアリール基は場合によっては他のアリールまたはヘテロアリール基たとえばフェニル環に縮合していてもよい。たとえば、Bは、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、インドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリンから選ばれた基であってもよい。
【0051】
B基は非置換であってもよいし、又は一つもしくはそれ以上の置換基によって置換されていてもよい。適する置換基はハロゲン原子、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、スルホキシド、スルホン、=O基、アリール基たとえばフェニル環、およびヘテロアリール基を包含し、これら置換基はそれら自体が一つまたはそれ以上のハロゲン原子、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノまたはジ(C1〜4アルキルアミノ)基によって置換されていてもよい。好ましくは、B基は少なくとも一つの電子吸引基たとえばハロゲン原子、ハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホキシドまたはスルホン基によって置換されている。好ましいハロゲン原子は臭素、塩素およびフッ素を包含し、より好ましくは塩素およびフッ素であり、最も好ましくはフッ素である。特に好ましいハロアルキル基はフルオロアルキル基である。アルキル基は全ての位置においてハロゲン原子によって置換されていてもよい、たとえば、トリフルオロメチルまたは−CFCFを形成するために。代わりに、ハロアルキル基のアルキル部分はいくつかの位置だけで置換されていてもよい、たとえば、ジフルオロメチルまたはCFHCFHを形成するために。好ましいハロアルキル基は酸素原子を介して連結される前記ハロアルキル基、たとえば、−OCFまたは−OCFCF、を包含する。スルホキシド基は式−SOR’の基(ここで、R’は好ましくは水素またはC1〜6アルキル基である)である。スルホン基は式−SOR’の基(ここで、R’は好ましくは水素またはC1〜6アルキル基である)である。
【0052】
B基は好ましくは、一つまたはそれ以上の置換基によって置換されており、より好ましくは一つまたは2つの置換基によって置換されている。B基は、中心金属原子Mへの結合箇所に対してメタ位にある2個の電子吸引基によって置換されているならば、特に好ましい。これら位置における適する置換基はフッ素、およびペルフッ素化基たとえばトリフルオロメチル、を包含する。置換基はそれ自体が非置換であってもよいし又はたとえば一つもしくはそれ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、アミノ、C1〜4アルキルアミノまたはジ(C1〜4アルキル)アミノ基によって置換されていてもよい。
【0053】
環Bはまた、一つまたはそれ以上のデンドロンによって置換されていてもよい。かかる態様はCORE−[DENDRON]の形態の構造を有していてもよく、ここで、COREは本発明によるシクロメタル化錯体を表わし、mは1以上の整数を表わし、各DENDRONは同一であってもよいし異なっていてもよく樹枝状分子構造を表わす。好ましくは、前記樹枝状分子構造はアリールおよび/またはヘテロアリール基または窒素を含んでおり、それらは好ましくは前記アリールまたはヘテロアリール基のspまたはsp混成炭素原子によって結合されているか又はNと前記アリールもしくはヘテロアリール基との間の単結合を介して結合されている。COREは、1個より多くの樹枝状分枝が結合している第一番目のアリールもしくはヘテロアリール基のsp混成環炭素原子または窒素に結合されている環Bからの単結合で末端となるとして定義され、前記環炭素原子またはNは前記DENDRONの部分を形成している。存在する場合には、DENDRONは連結基を介してCOREに結合されることが好ましく、より好ましくは、連結基は非共役連結基たとえばアルキレン基、特に、メチレンまたはエチレン基、である。
【0054】
好ましくは、前記デンドロンはカルバゾール部分またはジアリールアミンもしくはトリアリールアミン部分を含む。好ましくは、前記デンドロンは1,3,5−置換フェニル部分を含む。
【0055】
本発明のシクロメタル化錯体の好ましい態様においては、Aは、電子供与基たとえばアルキルまたはアルキルアミン基によって置換されているトリアゾール基を含み、Bは、少なくとも1個のフッ素またはフッ素化基によって置換されているフェニル基を含み、そして前記d−ブロック遷移金属はイリジウムである。最も好ましくは、前記アルキル置換トリアゾールは1,2,4−トリアゾールを含む。
【0056】
本発明の全ての態様においては、基Mはd−ブロック遷移金属である。Mは好ましくは、イリジウム、ロジウム、パラジウム、白金、金、オスミウムおよびルテニウムから選ばれる。これら金属のシクロメタル化錯体は有機エレクトロルミネッセンス素子に使用するための燐光システムを提供することが明らかにされた。より好ましくは、Mはイリジウムおよび白金から選ばれ、両者は高効率の燐光システムを提供することが明らかにされた。
【0057】
別の態様においては、本発明は、本発明のシクロメタル化錯体を含むポリマーまたはオリゴマーを提供する。前記シクロメタル化錯体はポリマーまたはオリゴマーの主鎖の中に組み込まれていてもよいし、又は前記シクロメタル化錯体はポリマーまたはオリゴマーの主鎖にぶら下がっていてもよい。好ましくは、前記ポリマーまたはオリゴマーはさらにカルバゾールまたはトリアリールアミン基を含んでいる。
【0058】
以下に、本発明の更なる局面および好ましい特徴を具体的化合物に関して考察しよう。
【0059】
下記化合物A−1からA−7までは、環Aが5員環でありそして環Bがフェニル環である配位子の例である。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0060】
【化7】

【0061】
環Aは置換されていてもよく、そこでは環Aは窒素を含み、これも置換されていてもよい。適する置換基はアルキルおよびアリール基、アルキルオキシ基、アルキルアミン、アリールアミン、特にジアリールアミンまたはトリアリールアミン、カルバゾールおよびハロゲン原子特にフッ素または臭素、を包含する。電子供与基は特に適するクラスの置換基であり、そしてアルコキシ基、アルキル基、アルキルアミンおよびアリールアミンを包含する。化合物B−1からB−12までは環Aの上に置換基をもつ配位子の例である。
【0062】
【化8】

【0063】
代わりに、環Aは6員ヘテロ芳香族系たとえばトリアジンであってもよい。環Aが6員系である場合には、それは、アルキルもしくはアリール基、ハライドまたは電子供与基によって置換されていてもよい。化合物C−1からC−3までは環Aが6員環である適切な配位子の例を示している。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0064】
【化9】

【0065】
環Bは5員または6員環であってもよく、そして芳香族またはヘテロ芳香族の環、たとえば、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、チオフェン、フランおよびピロールおよびかかる基の誘導体、であってもよい。環Bは置換または縮合されていてもよい。化合物D−1からD−11までは環Aがトリアゾールである適切な配位子を示しているが、明らかに多数のその他のヘテロアリール基たとえば上記のものが環Aとして選択されてもよい。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0066】
【化10】

【0067】
環AとBは下記のE−1からE−4までに示されている通り縮合されていてもよい即ち共有結合によって結合されていてもよい。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0068】
【化11】

【0069】
環Bが電子吸引基たとえばフッ素、フルオロアルキル、フルオロアルコキシ、スルホキシドまたはスルホン基によって置換されている。化合物F−1からF−23までは電子吸引基によって置換されている配位子の例である。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0070】
【化12】

【0071】
金属Mへの配位子は、向上した溶液加工特性を付与するための及び配位子に更なる官能性(functionality)たとえば電荷輸送性官能性を導入するためのデンドロンによって置換されていてもよい。デンドロンは分枝構造(branching structure)であり、高密度の官能性を得られる金属錯体に導入するのを可能にする。本発明のシクロメタル化錯体においては、第一の配位領域(coordination sphere)を形成する中心金属イオンと配位子は、環A、Bまたは両者で置換されたデンドロンをもつデンドリマーのコアを形成するであろう。デンドロンが配位子の環Aで置換されていること及びデンドロンが環Aと共役でないことが好ましい。デンドロンと環Aの間にアルキレン連結基特にメチレンまたはエチレン連結基を設けることは特に有利であることが判明した。環Bがデンドロン置換基を有する場合には、これら置換基はシクロメタル化錯体の中で炭素−金属結合を形成するであろう環Bの炭素に対してパラ位にあることが好ましい。カルバゾール、トリアリールアミンおよび1,3,5−フェニル基を含むデンドロンは発光素子への応用に特に適している。化合物G−1からG−9までは、環Aにおいてデンドロンで置換されている本発明の配位子を示す。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンまたはアルキルオキシ基を表わす。
【0072】
【化13】

【0073】
環Aは複数のデンドロンによって置換されていてもよく、たとえば化合物H−1およびH−2は環Aにおいて1対のデンドロンによって置換されている配位子を示す。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0074】
【化14】

【0075】
本発明の配位子は下記の化合物I−1およびI−2によって示される通り、環Bにおいてデンドロンによって置換されていてもよい。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。
【0076】
【化15】

【0077】
代わりに、下記の化合物J−1からJ−4までによって示されている通り、環AおよびBの両方がデンドロンによって置換されていてもよい。Rは置換基たとえば水素、アルキルもしくはアリール基またはハロゲンを表わす。英国特許出願GB0219987.5は金属コアの周りに置換された複数のデンドロンを有することに関連した利点を記載している。
【0078】
【化16】

【0079】
本発明のシクロメタル化錯体はホモレプティック(homoleptic)またはヘテロレプティック(heteroleptic)であってもよい。ホモレプティック錯体においては、全ての配位子が同一であり、ヘテロレプティック錯体においては、異なる配位子が金属に結合されている。
【0080】
前記シクロメタル化錯体がヘテロレプティックである場合には、それは好ましくは、ピコリネート、アセチルアセテート、ホスフィン、ピリジンおよびピリジン誘導体、カルボニル、ニトリル、イソニトリルおよびハライドを含む群から選ばれた配位子を含む。最も好ましくは、前記シクロメタル化錯体がヘテロレプティックである場合には、それはピコリネートまたはテトラキス(1−ピラゾリル)ボレート共配位子(co-ligand)を含む。前記シクロメタル化錯体がヘテロレプティックである場合、それは同じ一般構造の更なる配位子(即ち、同じ仕方で連結された環AとBを有し、そして基Rによってn度置換された環Aを有する)を含んでいてもよいが、A、B、Rおよびnの定義が異なっていてもよい。適するホモレプティック錯体は下記のそれら化合物K−1からK−5までを包含する。
【0081】
【化17】

【0082】
本発明のシクロメタル化錯体は式Iの異なる配位子を含むヘテロレプティック錯体であってもよく、かかる錯体の例は下記の化合物L−1およびL−2によって示される。
【0083】
【化18】

【0084】
本発明のシクロメタル化錯体はまた、式Iの少なくとも一つの配位子と、異なる構造の他の配位子とを含むヘテロレプティック錯体であってもよい。本発明においてヘテロレプティック錯体を形成するのに使用されてもよい適切な配位子の例はフェニルピリジンおよび他の2−置換ピリジン、1,3−ジオンたとえばピコリネート、ホスフィンおよびジホスフィン、およびカルボキシレートを包含する。ピコリネートは特に好ましい共配位子である。1−ピラゾリルボレートたとえばテトラキス(1−ピラゾリル)ボレートは好ましいクラスの共配位子である。化合物M−1からM−15までは本発明のヘテロレプティック錯体の中に使用するための適する配位子の例である。
【0085】
【化19】

【0086】
上に例が示されている2座共配位子(bidentate co-ligands)の他に、1座配位子(monodentate ligands)も本発明のシクロメタル化錯体における共配位子として使用されてもよい。適する1座配位子の例はカルボニル、ニトリル、イソニトリルおよびアルキルイソニトリル、チオシアニド、アルキルホスフィンおよびアリールホスフィン特にトリフェニルホスフィン、ハライド特にクロライドまたはブロマイド、複素環式化合物たとえばピリジンおよび置換ピリジン、およびアルキンを包含する。好ましい1座配位子はカルボニル、ニトリル、イソニトリル、トリアリールホスフィンおよびハライドを包含する。
【0087】
式Iの配位子と、異なる構造の配位子とを含むヘテロレプティック錯体の例は下記の化合物N−1からN−9までによって示される。Xは金属錯体の電荷と釣り合わせるのに十分な電荷をもつ帯電部分を表わし、そして好ましくはクロライド、テトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートである。
【0088】
【化20】

【0089】
本発明のシクロメタル化錯体はポリマーの中に組み込まれてもよい。錯体はポリマーの主鎖の中に又は側鎖として組み込まれてもよい。本発明のシクロメタル化錯体を組み込んだポリマーはホモポリマーまたはコポリマーであってもよく、コポリマーはさらに、フルオレンたとえば9,9−ジ−n−オクチルフルオレン、トリアリールアミンたとえばN,N−ビス(フェニル)−4−sec−ブチルフェニルアミン、ベンゾチアジアゾールまたはフェニレンビニレンを含む群から選ばれたコモノマーを含んでもよい。かかる系の例は下記のO−1からO−4までのポリマーによって示される。
【0090】
【化21】

【0091】
コポリマーの特に有利なクラスは、本発明のシクロメタル化錯体と、ホスト材料として作用するのに適するコモノマー、たとえば、カルバゾール、カルバゾール誘導体およびトリアリールアミン、とを含むそれらコポリマーを包含する。
【0092】
本発明の代替態様においては、式II(式中、Aは少なくとも3個のヘテロ原子を含み、かつ、場合によって別の環に縮合していてもよい、5員または6員のヘテロアリール環であり、Bは、場合によって置換されていてもよく、かつ、場合によって別の環に縮合していてもよい、 5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、nは1より大きく、そしてRはデンドロンまたは可溶化基である)の構造を含むシクロメタル化錯体が提供される。環Aの中のヘテロ原子は好ましくは、酸素、硫黄および窒素から選ばれる。より好ましくは、環Aは少なくとも2個の窒素原子、より好ましくは少なくとも3個の窒素原子、を含有している。好ましくは、環Aは3個、4個または5個のヘテロ原子、より好ましくは3個または4個のヘテロ原子を含有する。この態様のAおよびBのための好ましい環、好ましいR置換基および好ましいnの値は本発明の第一の態様に関連して上記に定義されている通りである。
【0093】
好ましいデンドロンは式Iに言及して規定された本発明の第一の態様に関連して上に記載されている。好ましい可溶化基は炭素原子数3〜12のアルキル基、およびヘテロアルキル基たとえばアルコキシ基を包含する。適するアルコキシ基はC1〜6アルコキシ基を包含する。
【0094】
本発明の更なる態様においては、式III(式中、Aは少なくとも3個のヘテロ原子を含みそして別の環に縮合している5員または6員のヘテロアリール環であり、Bは場合によって置換されていてもよくそして場合によって別のアリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、nは0であるか又は1より大きく、そしてRは水素以外の置換基である)の構造を含むシクロメタル化錯体を含むポリマーが提供される。環Aの中のヘテロ原子は好ましくは、酸素、硫黄および窒素から選ばれる。より好ましくは、環Aは少なくとも2個の窒素原子、より好ましくは少なくとも3個の窒素原子を含有している。好ましくは、環Aは3個、4個または5個のヘテロ原子、より好ましくは3個または4個のヘテロ原子、を含有している。
【0095】
この態様のAおよびBのための好ましい環、好ましいR置換基および好ましいnの値は、本発明の第一の態様に関連して上に定義されている通りである。
【0096】
本発明の発明者らは驚くべきことには、式Iのシクロメタル化イリジウム錯体のクラスが青色の光を発することを見出した。式I(式中、Aは5員環でありそして電子供与基によって置換されており、そしてBはフェニル環でありそして少なくとも1個の電子吸引基によって置換されている)のシクロメタル化イリジウム錯体は青色の光を発することが明らかにされた。特に、式I(式中、環Aはアルキル基によって置換されたトリアゾールを含み、そして環Bはフッ素およびトリフルオロメタンから選ばれた2個の電子吸引基によって炭素−金属結合に対してメタ位を置換されているフェニル環を含む)のシクロメタル化イリジウム錯体は深い青色の光を発することが明らかにされた。好ましくは、本発明の錯体は0.30未満のCIE−y座標、好ましくは0.25未満の、より好ましくは0.15〜0.25の、CIE−y座標を有する。
【0097】
本発明の目的のためには、青色の光は0.30>x>0.05および0.3>y>0.01のCIE(国際照明委員会(Commission International de l'Eclairage))座標および430〜490nmの波長を有する光を含むと考えられており、そして深い青色は0.3>x>0.1および0.2>y>0.01のCIE座標および430〜470nmの波長を有する光を含むと考えられている。CIEは原色青(primary colour blue)を435.8nmの波長を有すると規定しており、そしてPALテレビジョンシステムはx=0.15、y=0.06のCIE座標をもつ青色光源を使用している。
【0098】
従来技術の青色燐光発光性イリジウム錯体(その例は先に言及したFirPicである)はx=0.16、y=0.29のCIE座標を有し470nmの波長に最大発光をもつライトブルーの色の光を発する。
【0099】
下記のシクロメタル化錯体P−1は図1に示されたフォトルミネッセンススペクトル(photoluminescent spectrum)を有し、450nmの波長にピーク発光を有し428nmと490nmに付随的発光を有し、そしてx=0.15、y=0.09のCIE座標を有する。明らかに、このシクロメタル化錯体のフォトルミネッセンスは従来技術の青色燐光発光体FirPicに比べて有意に青シフトされている。この錯体のCIE座標は従来技術の青色燐光システムよりも深い青色であり、そしてこのようなものはフルカラーディスプレイを製造するのにより適している。デンドロン置換錯体P−3はx=0.16、y=0.14のCIE座標を示す。
【0100】
【化22】

【0101】
上記青色発光性イリジウムシクロメタル化錯体の中に使用されている配位子と、錯体の発光の色をシフトさせることを知られている更なる配位子とを含むヘテロレプティック錯体も製造できる。かかる配位子の例はアニオン性配位子たとえばピコリネート、アセチルアセテート、テトラキス(1−ピラゾリル)ボレートおよびニトリルを包含する。上記配位子と青シフト共配位子との両方を組み込んであるシクロメタル化イリジウム錯体の例は下記に示された化合物Q−1からQ−2までである。
【0102】
【化23】

【0103】
深い青色を発光するシクロメタル化錯体を得るためには、環AおよびBの置換基は環と共役でないか又は環AもしくはBのπ−共役系を有意に拡張しないことが好ましい。かかる拡張されたいずれの共役もシクロメタル化錯体の中に導入されると発光を赤シフトさせる働きをする。テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート置換錯体Q−2はx=0.16、y=0.19のCIE座標を有する深い青色のフォトルミネッセンス発光を有する。
【0104】
本発明のシクロメタル化錯体、および本発明のシクロメタル化錯体の配位子は、標準合成技法に従って製造されてもよい。本発明のシクロメタル化錯体を製造するための代表的な合成スキームは下記のスキーム(Scheme)1に示されている。
【0105】
【化24】

【0106】
上記スキーム1においては、二臭素化トリアゾール1Aを塩基の存在下で過剰の臭化イソブチルと反応させて置換トリアゾール1Bを提供する。スズキカップリング(Suzuki coupling)を使用して、置換トリアゾール1Bを更にフェニル置換ボロン酸(phenyl substituted boronic acid)と反応させて化合物1Cを提供する。それから、化合物1Cをトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)((Pd(dba))の存在下でジプロピルアミンによって更に置換して配位子1Dを提供する。この合成法は広範囲の配位子を製造することを可能にする。この合成法の融通性はデンドロン置換配位子を包含する配位子の範囲の製造向けに下記に示された合成スキーム2および3によって際立たされる。
【0107】
【化25】

【0108】
【化26】

【0109】
配位子の金属錯体は特にInorganic Chemistry (1994), 33(3), 545-50に記載通りの標準合成技法によって製造できる。下記のスキーム4に示された手順においては、過剰のフェニルトリアゾール配位子1Cをプロトン性溶媒の中で塩化イリジウムと反応させる。反応混合物から二量体錯体4Aを単離し、そして銀トリフルオロメタンスルホネートの存在下で更なるフェニルトリアゾール配位子1Cと反応させてシクロメタル化イリジウム錯体4Bを生じる。代わりに、二量体錯体4Aを異なる共配位子と反応させ、4Cのようなヘテロレプティック錯体を生じてもよい。
【0110】
【化27】

【0111】
スキーム5はトリアゾール環を含むトリアゾール系配位子の製造に至る代替のそしてより好ましい手法を示す。
【0112】
【化28】

【0113】
スキーム6はシクロメタル化イリジウム錯体6B〜6Dに至る一般合成手法を示している。
【0114】
【化29】

【0115】
本発明のシクロメタル化錯体がデンドロンを含む場合には、金属による配位子の錯体化に先立って配位子の上にそれらを置換させてもよいし又は代わりにシクロメタル化錯体をまず形成しそしてデンドロンをシクロメタル化コアの上に置換させてもよい。
【0116】
本発明のシクロメタル化錯体は有機オプトエレクトロニクス素子への応用を有する。有機オプトエレクトロニクス素子には、エレクトロルミネッセンス、フォトルミネッセンス、蛍光および光導電性の有機デバイスおよび有機トランジスターが挙げられる。光導電性有機デバイスには、光起電力素子、フォトダイオードおよびフォトセンサーが挙げられる。特に、本発明のシクロメタル化錯体は有機発光ダイオードへの応用を有する。
【0117】
有機発光ダイオードは、基板の上に位置している下方電極と、有機発光材料の一層または複数層と、上方電極を含んでいる積層構造を成す。素子の電極間に電圧をかけたときに、反対電荷の担体すなわち電子と正孔が有機発光材料の中に注入される。電子と正孔は有機発光材料の層の中で再結合して、励起状態(または励起子)を形成し、放射的に(発光をもって)又は非放射的に減衰することができる。蛍光性有機発光体の場合には、放射的励起状態は一重項励起子であり、燐光性有機発光体の場合には、放射的励起状態は三重項励起子である。本発明のシクロメタル化錯体は燐光性有機発光体であり、そして特に、イリジウムと白金を含む本発明のシクロメタル化錯体は高度に効率的な燐光発光体を形成する。
【0118】
有機燐光発光素子の有機発光層は一般に、本発明のシクロメタル化錯体のような有機燐光発光体と有機ホストを含んでいる。有機ホストは電荷を燐光発光体へ輸送するように作用し且つ三重項源としても作用しそれによって三重項励起状態が有機ホストの中に形成され次いで燐光発光体へ移送されそこでそれらが発光をもって減衰する。燐光発光システムの中に使用される従来技術の有機ホストはカルバゾール、たとえば、PVKとして知られているポリビニルカルバゾール、CBPとして知られている4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、mCPとして知られているN,N−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン、UGH1およびUGH2としてそれぞれ知られてそしてHolmes et al. (Appl. Phys. Lett., 83, No. 18, 2003, 3818)に記載されているジフェニルジ(o−トリル)シランまたはp−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、およびTCTAとして知られている(4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン)を包含し、かかるホストはIkai et al. (Appl. Phys. Lett., 79, No. 2, 2001, 156)に記載されている。一つの特に適するホスト材料はジ(tert−ブチル)CBPであり、それは下記構造を有する:
【0119】
【化30】

【0120】
トリアリールアミン特にトリス−4−(N−3−メチルフェニル−N−フェニル)フェニルアミン(MTDATAとして知られている)もホスト材料として使用されてもよい。燐光発光体およびホストが両方とも可溶性である場合には、それらはブレンドとして、スピンコーティング、ドクターブレードコーティング、スクリーンプリンティングまたはインクジェットプリンティングのような溶液加工技法によって堆積させられてもよい。燐光発光体およびホストが不溶性でかつ揮発性である場合には、それらは真空蒸着によって堆積させられてもよい。燐光発光体とホストは好ましくはブレンドで存在し、5〜50モル%の燐光発光体、好ましくは10〜30モル%の燐光発光体、を含む。テトラアリールシランホストが好ましく、テトラアリールシランUGH1およびUGH2が特に好ましい。青色の光を発する本発明のシクロメタル化錯体のためのホストとしては広いバンドギャップのホストたとえばテトラアリールシランが特に好ましい。
【0121】
別々の発光体とホストを含んでいる有機燐光発光素子は先行技術において周知である。より最近は、燐光発光体とホストを単一の分子、デンドリマーまたはポリマーの中に組み合わせることが有利であることが判明し、かかるシステムの例はGB0206356.8の中に開示されている。かかるシステムの利点は素子の改善された膜安定性(相分離なし)、改善された電気化学的安定性、および改善された製造適性、特に改善された溶液加工性、および改善された発光が挙げられる。先に論じた通り、本発明のシクロメタル化錯体においては、ホスト成分は置換基としてアリールまたはヘテロアリール環Aおよび/またはBに直接、導入されることができる、それは、環Aおよび/またはBに結合したデンドロンの中にホスト成分を組み入れることによって又は本発明のシクロメタル化錯体のモノマーとホスト成分を組み込んだコモノマーとを含んでいるコポリマーを形成することによって行うことができる。
【0122】
本発明の発光素子の有機発光層はさらに希釈化合物を含んでもよい。特に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が本発明のシクロメタル化錯体およびホスト材料と混合されてもよい。場合によって存在してもよいこのPMMAは燐光層の中のホストおよびドーパント材料の濃度を、より高い濃度において起こり得るクエンチング効果(quenching effects)を防ぐために、希釈するのに使用される。PMMAは電荷輸送材料ではないので、使用される量は、クエンチングを最小にすることと燐光層における良好な伝導性を維持することとの間の釣り合いである。燐光層の中のPMMAの好ましいレベルは0〜90重量%、より好ましくは30〜80%、より好ましくは50〜80%、最も好ましくは50〜75%、である。
【0123】
量子効率を増大させることに加えて、PMMAは成膜を改善するのに寄与するかも知れない。
【0124】
発光性有機層は好ましくは5〜200nmの厚さ、より好ましくは10〜60nm、最も好ましくは20〜50nmの厚さを有する。燐光発光体とホストを組み入れた発光層は正孔輸送材料をも含有していてもよく、その例を以下に論じる。
【0125】
有機発光素子の電極の一方、陽極(anode)、は、有機発光材料の層の中に正孔を注入するのに適する高い仕事関数の材料を含んでおり、この材料は代表的には4.3eVより大きい仕事関数を有し、そしてインジウム−錫酸化物(indium-tin oxide)(ITO)、酸化錫、アルミニウムまたはインジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウム−インジウム酸化物、カドミウム−錫酸化物、金、銀、ニッケル、パラジウムおよび白金を含む群から選ばれてもよい。陽極材料は妥当なときにはスパッタリングまたは蒸着によって堆積させられる。薄層たとえば酸化ケイ素の薄層を陽極の表面上に、特にITOの上に、組み込むことは、WO02/093662に示されているように、有機発光素子の性能を改善することができる。
【0126】
他方の電極、陰極(cathode)、は、有機発光材料の層の中に電子を注入するのに適する低い仕事関数の材料を含んでいる。低い仕事関数の材料は代表的には、3.5eV未満の仕事関数を有し、そしてLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Yb、SmおよびAlを包含する群から選ばれてもよい。陰極は、かかる金属の合金またはかかる金属と他の金属との組合せにおける合金たとえば合金MgAgおよびLiAlを含んでもよい。陰極は好ましくは、多層、たとえば、Ca/Al、Ba/AlまたはLiAl/Al、を構成する。素子はさらに、WO97/42666に開示されているような、陰極と発光層の間に誘電体材料の層を含んでいてもよい。特に、陰極と発光材料の間の誘電体層としてアルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物を使用することが好ましい。特に好ましい陰極はLiF/Alを構成し、LiFの層は1〜10nmの厚さを有し、そしてAlの層は10〜500nmの厚さを有する。陰極材料は真空蒸着法によって堆積させられる。
【0127】
素子から発光が現われるためには、陰極、陽極のどちらか又はその両方が透明または半透明であることが好ましい。透明陽極に適する材料は、ITOと、白金のような金属の薄層、を包含する。透明陰極に適する材料は、有機発光材料の層に隣接した電子注入材料の薄層と、この電子注入材料の層の上の透明な伝導性材料のより厚い層、を包含する;たとえば、Ca/Auを構成する陰極構造。陰極も陽極も透明または半透明でない場合には、発光は素子の縁端を通して現われる。
【0128】
有機発光素子は電荷注入および素子効率を改善するために陽極と陰極の間に更なる有機層を含有してもよい。特に、正孔輸送材料の層を陽極の上に配置させてもよい。正孔輸送材料は素子を通しての電荷伝導を増大させるのに役立つ。この技術分野で使用される好ましい正孔輸送材料は伝導性有機ポリマーたとえばWO98/05187に開示されているようなポリスチレンスルホン酸をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)である。他の正孔輸送材料たとえばドープドポリアニリン、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)、NPD(4,4’−ビス[N−ナフチル−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)およびMIDATAも使用されてもよい。シクロメタル化錯体との組合せで使用されたときに特に有利であることが明らかにされた正孔輸送層はポリマー化されたジビニル−TPDを含んでいる。
【0129】
本発明のシクロメタル化錯体は正孔輸送成分を含んでもよい。正孔輸送機能をシクロメタル化錯体の中に組み込むことの利点は改善された膜安定性および改善された製造適性が挙げられる。正孔輸送基は、シクロメタル化錯体の中に直接に配位子上に置換基として、たとえば、デンドロンとして組み込まれてもよいし、又は本発明のシクロメタル化錯体を含むコポリマーの中にコモノマーとして存在することによって組み込まれてもよい。本発明のシクロメタル化錯体はまた、電子輸送成分を含んでもよい。
【0130】
電子輸送/正孔遮断(hole blocking)材料の層が発光材料の層と陰極との間に置かれてもよく、これは素子効率を改善することが判明した。電子輸送/正孔遮断層に適する材料は2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)および2−ビフェニル−5(4’−t−ブチルフェニル)オキサジアゾール(PBD)が挙げられる。発光層と陰極の間に電子輸送/正孔遮断層を設けることは素子効率と寿命の両方の意味で素子性能を有意に改善することが判明した。
【0131】
有機オプトエレクトロニクス素子の基板は素子に機械的安定性を付与しそして環境から素子を封止するバリヤとして作用するはずである。基板を通して光が素子に入る又は素子から出ることが必要とされる場合には、基板は透明または半透明であるべきである。ガラスはその優れたバリヤ特性と透明性のせいで基板として広く使用されている。他の適する基板はWO02/23579に開示されているようなセラミック、およびプラスチックたとえばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂および環式オレフィン樹脂が挙げられる。プラスチック基板はそれらが不浸透性を維持することを確実にするためにバリヤコーティングを必要とするかも知れない。基板はEP0949850に開示されているガラスとプラスチックの複合体のような複合材料を含んでいてもよい。
【0132】
環境保護のために、素子は封入される。封入(encapsulation)は低温フリット材料によって基板に結合されたガラスであるガラスシートの形態をとってもよい。素子を封入するのにガラスシートを使用する必要性を回避するために、素子の上に不動態化用材料(passivating material)の層を堆積させてもよい。適するバリヤ層はポリマー膜とセラミック膜とが交互に積層した積層構造を含み、そしてWO00/36665およびUS5,686,360に開示されているようなPECVDによって堆積させられてもよい。代わりに、素子を金属製の缶(can)の中に閉じ込めることによって封入してもよい。
【0133】
本発明の燐光発光性シクロメタル化錯体にとって好ましい素子構造は下記のものが挙げられる:
ガラス/ITO/PEDOT:PSS/CBP:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/ポリ(ビニル−TPD)/CBP:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/PEDOT:PSS/CBP:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/ポリ(ビニル−TPD)/CBP:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/PEDOT:PSS/PVK:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/ポリ(ビニル−TPD)/PVK:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/PEDOT:PSS/PVK:発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/ポリ(ビニル−TPD)/PVK:発光体/TPBI/LiF/Al
【0134】
燐光発光体が、青色の光を発する本発明のシクロメタル化錯体を含む場合には、広いバンドギャップのホスト材料たとえばテトラアリールシランを使用することが好ましい。
【0135】
最も好ましい態様においては、燐光発光体とホストは、小さな分子であってもよい分子、デンドリマーまたはポリマーの中において組み合わされている。
ガラス/ITO/PEDOT:PSS/組み合わされたホスト−発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/ポリ(ビニル−TPD)/組み合わされたホスト−発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/PEDOT:PSS/組み合わされたホスト−発光体/TPBI/LiF/Al
ガラス/ITO/SiO/ポリ(ビニル−TPD)/組み合わされたホスト−発光体/TPBI/LiF/Al
【0136】
有機オプトエレクトロニクス素子は当業者に知られているいずれの適する方法によって作製されてもよい。代表的には、基板はガラスシートを含むであろう、その上にはITOのような陽極材料の層がスパッタリングによって堆積させられてもよい。ITOまたはその他の陽極材料は必要ならばパターン化されてもよく、それは堆積中に加法(additive methods)たとえば印刷を使用するか又は堆積後に減法(subtractive methods)たとえばフォトリソグラフィーを使用するかどちらかによって行われてもよい。素子の有機層は蒸着によって堆積させられてもよく、これは低分子量の有機オプトエレクトロニクス材料を堆積させるのに特に適する方法である。
【0137】
有機オプトエレクトロニクス材料が可溶性である場合には、それらは溶液加工技法によって有利に堆積させられてもよい。溶液加工技法には、スクリーン印刷やインクジェット印刷のような堆積の選択的方法と、スピンコーティングやドクターブレードコーティングのような非選択的方法が包含される。ホスト成分を組み込んだ本発明のシクロメタル化錯体は特に溶液加工に適している、何故ならば、かかる材料はブレンドの形態で存在しているのではなく従って堆積時に相分離しないからである。
【0138】
陰極およびいずれかの追加の誘電体層または電子輸送/正孔遮断層は蒸着によって堆積させられてもよい。有機オプトエレクトロニクス素子の中には、素子の電荷注入を改善またはパターン化を促進するのに妥当なときには補助的な層および特徴を含有させてもよい。
実施例
【実施例1】
【0139】
3,5−ジブロモ−1−イソブチル−1H−[1,2,4]−トリアゾール(化合物1B)
3,5−ジブロモ−1H−[1,2,4]トリアゾール(Zumbrunn, Synthesis, 1998, 1357)(1A)(440mg、1.94ミリモル)と、炭酸カリウム(483mg、3.49ミリモル)と、臭化イソブチル(0.4mL、3.49ミリモル)と、N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)との混合物をアルゴン下で103℃で4時間加熱した。混合物を室温にまで冷却した。水(20mL)を加えそして混合物をエーテル(3×20mL)で抽出した。エーテル抽出物を合わせ、塩水(brine)(1×30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして溶媒を完全に除去した後に淡黄色(pale yellow)油状物(548mg、100%)として1Bが残された;
【0140】
【表1】

【実施例2】
【0141】
3−ブロモ−1−イソブチル−5−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール(化合物1C)
1B(6.80g、24.0ミリモル)と、2,4−ジフルオロフェニルボロン酸(6.07g、38.5ミリモル)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(833mg、0.721ミリモル)と、無水炭酸ナトリウム(2M、21mL)と、エタノール(21mL)と、トルエン(63mL)との混合物を脱酸素しそしてアルゴン下で103℃で19時間加熱した。混合物を室温に冷却した。有機層を分離した。水性層をエーテル(3×30mL)で抽出した。有機層とエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過した。溶媒を完全に除去して8.2mgの黄白色(light yellow)の油状物を生じた。油状物を、ジクロロメタン−軽質石油(light petroleum)混合物(1:100から1:10まで)を溶離剤として使用するシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製して、1C(900mg、12%)を生じた;
【0142】
【表2】

【実施例3】
【0143】
[BDFIBトリアゾール]Ir(化合物4B)
1C(470mg、1.49ミリモル)と、塩化イリジウム3水和物(131mg、0.371ミリモル)と、水(2.0mL)と、2−エトキシエタノール(6.0mL)との混合物を、アルゴン下で130℃で13時間加熱した後に冷却した。混合物から沈殿物を分離した。固体をエタノール(8×3mL)および軽質石油(5×8mL)で洗浄し、そして乾燥して淡黄色固体としてジクロロ架橋二量体(dichloro-bridged dimmer)4A(262mg、82%)を生じた;
【0144】
【表3】

【0145】
イリジウム錯体(4A)(180mg、0.210ミリモル)と1C(370mg、1.17ミリモル)と銀トリフルオロメタンスルホネート(108mg、0.420ミリモル)との混合物をアルゴン下で156〜160℃で38時間加熱した。それから、反応物を室温に冷却した。混合物をジクロロメタン(〜4mL)の中に溶解し、そして溶離剤としてジクロロメタン−軽質石油混合物(1:30から1:8まで)を使用するシリカゲルでカラムクロマトグラフィーによって精製して淡黄色固体の4Bを異性体の混合物(232mg、97%)として生じた;
【0146】
【表4】

【0147】
錯体4Bをクロロホルム中の9.5%溶液からスピンコーティングしたニート膜(neat film)のフォトルミネッセンススペクトルが図1に示されている。ニート膜は428nm、450nmおよび490nmにピークを与える明瞭な振電構造(vibronic structure)をもつ非常に良好な青色発光を示す。
【0148】
【化31】

【実施例4】
【0149】
(IBBrFPhトリアゾール)IrPic(上に示した化合物4C)
イリジウム錯体(4A)(28mg、0.033ミリモル)と、ピコリン酸(12mg、0.098ミリモル)と、炭酸ナトリウム(35mg、0.284ミリモル)と、1,2−ジクロロエタン(2mL)との混合物をAr(g)下で20時間加熱還流した。ジクロロメタン(3mL)と水(2mL)を加えた。有機層を分離しそして水性層をジクロロメタン(3×2mL)で抽出した。有機部分を合わせそして塩水(1×5mL)で洗浄し、そして溶媒を完全に除去した。残留物を、シリカゲル上で溶離剤として酢酸エチル−ジクロロメタン(0:1から2:1まで)を使用して精製して、黄色がかった固体4C(31mg、100%)を生じた;
【0150】
【表5】

【実施例5】
【0151】
3,5−ジブロモ−1−{3’,5’−ジ[4”−(2”’−エチルヘキシルオキシ)フェニル]ベンジル}−1H−[1,2,4]トリアゾール(スキーム3の化合物3A)
ジブロモトリアゾール1A(805mg、3.55ミリモル)と、3,5−ジ[4’−(2”−エチルヘキシルオキシ)フェニル]ベンジルブロマイド(WO0159030に開示されている通りに製造された)(2.67g、4.61ミリモル)と、KCO(896mg、6.48ミリモル)と、乾燥DMF(16cm)との混合物を脱酸素しそしてアルゴン下で98〜108℃の浴温度で46時間加熱した。混合物を室温に冷却し、そして70cmの水の中に注いだ。混合物をエーテル(4×30cm)で抽出した。エーテル抽出物を合わせ、水(2×40cm)および塩水(1×40cm)で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去して後に黄色油状物が残された。油状物を、溶離剤としてDCM−軽質石油(0:1から1:10まで)を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として1.82g(71%)の3Aを生じた;
【0152】
【表6】

【0153】
【化32】

【実施例6】
【0154】
3−ブロモ−1−{3’,5’−ジ[4”−(2”’−エチルヘキシルオキシ)フェニル]ベンジル}−5−(2’,4’−ジフルオロフェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール(上に示した化合物3B)
ジブロモトリアゾール3A(375mg、0.517ミリモル)と、2’,4’−ジフルオロフェニルボロン酸(146mg、0.93ミリモル)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(42mg、0.036ミリモル)と、2MのNaCO3(aq)(0.3cm)と、EtOH(0.3cm)と、トルエン(1.0cm)との混合物を、脱酸素しそしてアルゴン下で5日間(110℃の浴温度で)加熱還流した。混合物を冷却した。混合物に水(5cm)とエーテル(10cm)を加えた。有機層を分離した。水性層をエーテル(3×6cm)で抽出した。有機層とエーテル抽出物を合わせ、塩水(1×19cm)で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を完全に除去した。残留物を、溶離剤としてDCM−軽質石油(0:1から1:10まで)を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、無色油状物として187mg(48%)の3Bを生じた;
【0155】
【表7】

【0156】
【化33】

【実施例7】
【0157】
(MePrPhトリアゾール)IrCl(上に示した化合物6A)
トリアゾール配位子(MePrPhトリアゾール)(5C)(1.43g、7.09ミリモル)と、塩化イリジウム3水和物(1.00g、2.84ミリモル)と、水(14mL)と、2−EtOEtOH(40mL)との混合物を、N2(g)下で13時間加熱還流した。混合物を室温に冷却した。混合物に水(48mL)を加えて黄色固体を沈殿させた。固体を濾過しそして水で洗浄した。混合物を蒸発乾固して褐色がかった黄色固体の6Aが1.50g(84%)得られた;
【0158】
【表8】

【0159】
【化34】

【実施例8】
【0160】
(MePrPhトリアゾール)IrTBP(上に示した化合物6D)
イリジウム錯体(6A)(250mg、0.398ミリモル)と、テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(TPB)カリウム塩(250mg、0.786ミリモル)と、ジクロロメタン(25mL)との混合物を、N2(g)下で室温で23時間攪拌した。溶媒を除去し、そして混合物を、溶離剤として酢酸エチル−軽質石油(1:10から1:3まで)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、黄色粉末(6D)(206mg、59%)を生じた;
【0161】
【表9】

【0162】
6Dをクロロホルム中の溶液からスピンコーティングしたニート膜のフォトルミネッセンス量子収量(photoluminescence quantum yield)は1%であり、CIE座標x=0.16、y=0.19を有する。
【0163】
【化35】

【実施例9】
【0164】
(MePrPhトリアゾール)Ir(上に示した化合物6B)
イリジウム錯体(6A)(370mg、0.589ミリモル)と、トリアゾール配位子(MePrPhトリアゾール)(5C)(710mg、3.53ミリモル)と銀トリフレート(silver triflate)(303mg、1.18ミリモル)との混合物を、N2(g)下で170℃の油浴温度で19時間加熱した。混合物を室温に冷却しそして溶離剤として酢酸エチル−軽質石油(1:50から1:2まで)を使用してシリカゲル上で精製して黄色粉末の6B(450mg、96%)を生じた;
【0165】
【表10】

【0166】
6Bをクロロホルム中の溶液からスピンコーティングしたニート膜のフォトルミネッセンス量子収量は9%であり、CIE座標x=0.21、y=0.30を有する。
【実施例10】
【0167】
エレクトロルミネッセンス素子
ガラス基板/ITO/化合物6B(100nm)/TPBI(40nm)/LiF(5nm)/Ca(20nm)/Al(100nm)の構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を製造した。5Vの順バイアス(forward bias)下で操作したときに、素子はCIE座標x=0.21、y=0.31を有する青色光を発光した。
【実施例11】
【0168】
エレクトロルミネッセンス素子
ITO陽極を担持するガラス基板の上にスピンコーティングによってPEDT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート、独国レーバークーゼン(Leverkusen)のH. C. Starckから入手可能)の層を堆積させた。PEDT/PSSの上に、ホスト材料ジ(t−ブチル)CBPと燐光化合物6Bと場合によってはポリメチルメタクリレート(PMMA)とを含む燐光層を、それら燐光層成分の混合物をトルエン溶液からスピンコーティングすることによって、堆積させた。混合物中の化合物6Bの量は10重量%であった。
【0169】
それから、燐光層の上に、第一層フッ化リチウムと第二層アルミニウムを含む陰極を真空蒸着によって堆積させた。燐光層の中のPMMAのレベルは様々であった。
【実施例12】
【0170】
エレクトロルミネッセンス素子
PEDT/PSSの代わりに酸化ケイ素(SiO)の層を使用して実施例11に従って素子を作製した。
【実施例13】
【0171】
エレクトロルミネッセンス素子の発光特性
実施例11および12の素子を試験してCIEおよび量子効率(quantum efficiency)について測定した。結果は下記の第1表に示されている。ジ(t−ブチル)CBP:PMMA:6Bの比は重量比である。
【0172】
【表11】

【実施例14】
【0173】
エレクトロルミネッセンス層の真空蒸着
素子が下記構造を含む以外は実施例11のプロセスに従った:
ガラス/ITO/SiO/NPD(無くてもよい)/組み合わされたホスト−発光体6B/TPBI/LiF/Al
【0174】
正孔輸送性NPD層(存在する場合)および組み合わされたホスト−発光体の層は両方とも真空蒸着によって形成された。使用されたホスト材料はCBPおよびMTDATAであった。
【0175】
最良の結果(すなわち、ホスト材料からの発光が最小化されたとき)はNPD層の存在と共にmTDATAを使用して得られた。NPDの正孔輸送層と、mTDATA:化合物6B(9:1比)のエレクトロルミネッセンス層とを有する素子は0.44%の最大量子効率、CIE−x0.175、CIE−y0.232を与えた。
【0176】
ここでの教示が本発明のその他の多数の態様と有効な代替を当業者に明らかにさせることは疑問の余地がない。本発明はここに記載の具体的態様に限定されるものではなく、当業者に明らかになるであろう変更態様をも包囲し、そして添付の特許請求の範囲の精神および範囲と共にある。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明のシクロメタル化錯体のフォトルミネッセンススペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を含むシクロメタル化錯体:
【化1】


(式中、
Mはd−ブロック遷移金属であり;
Bは5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、それは場合によっては置換されていてもよく、そして場合によっては一つまたはそれ以上の別のアリールまたはヘテロアリール環に縮合していてもよい;
Aは少なくとも3個の窒素原子を含む5員または6員のヘテロアリール環であり;
は水素以外の基であり;
nは0であるか又は1以上の整数であり;そして
A及びBは、場合によっては縮合していてもよいし又は一つ若しくはそれ以上の共有結合によって結合していてもよい。)
【請求項2】
Aが5員環である、請求項1に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項3】
Aがトリアゾールおよびテトラゾールを含む群から選ばれる、請求項2に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項4】
Aが6員環である、請求項1に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項5】
Aがトリアジンである、請求項4に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項6】
Bが5員環である、前記請求項のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項7】
Bがチオフェン、フランおよびピロールを含む群から選ばれる、請求項6に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項8】
Bが6員環である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項9】
Bがベンゼン、ピリジン、ピラジンおよびピリミジンを含む群から選ばれる、請求項8に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項10】
Mがイリジウム、ロジウム、パラジウム、白金、金、オスミウムおよびルテニウムを含む群から選ばれる、いずれかの前記請求項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項11】
Mがイリジウムおよび白金を含む群から選ばれる、請求項10に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項12】
前記錯体がホモレプティックである、いずれかの前記請求項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項13】
前記錯体がヘテロレプティックである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項14】
前記錯体が、ピコリネート、アセチルアセテート、ホスフィン、ピリジンおよびピリジン誘導体、カルボニル、ニトリル、イソニトリル、ハライドおよびテトラキス(1−ピラゾリル)ボレートを含む群から選ばれた配位子を更に含み、好ましくは、前記錯体が、ピコリネートおよびテトラキス(1−ピラゾリル)ボレートを含む群から選ばれた配位子を更に含む、請求項13に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項15】
が1個以上であり、そして少なくとも一つのR基が電子供与基である、請求項1に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項16】
nが1より大きい、請求項15に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項17】
前記電子供与基がアルキルアミノ、アリールアミノ、アルキル、アルコキシ、アリールおよびカルバゾール基を含む群から選ばれる、請求項15または16に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項18】
前記環Bが少なくとも1個の電子吸引基によって置換されている、いずれかの前記請求項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項19】
前記電子吸引基がハロゲン原子、ハロアルキル基、スルホキシドおよびスルホンを含む群から選ばれる、請求項18に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項20】
前記電子吸引基がフッ素またはペルフッ素化C1〜6ハロアルキル基から選ばれる、請求項19に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項21】
Aが、電子供与基である少なくとも1個のR基によって置換されたトリアゾール基を含み、Bが、少なくとも1個のフッ素またはフッ素化基によって置換されたフェニル基を含み、そして前記d−ブロック遷移金属がイリジウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項22】
環Aが、デンドロンである少なくとも1個のR基によって置換されている、いずれかの前記請求項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項23】
環Bが少なくとも1個のデンドロンによって置換されている、いずれかの前記請求項に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項24】
前記デンドロンがカルバゾール部分またはトリアゾールアミン部分を含む、請求項22または23に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項23】
前記デンドロンが1,3,5−置換フェニル部分を含む、請求項20または21に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項24】
式IIの構造を含むシクロメタル化錯体:
【化2】


(式中、Mは、d−ブロック遷移金属であり、
Aは、少なくとも3個のヘテロ原子を含み、かつ、場合によって置換または縮合されていてもよい、5員または6員のヘテロアリール環であり、
Bは、場合によって置換または縮合されていてもよい、5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、
nは、1より大きく、そして
は、デンドロンまたは可溶化基である。)
【請求項25】
環AおよびB、置換基Rおよび下付符号nが請求項2〜23のいずれか一項に定義されている通りである、請求項24に記載のシクロメタル化錯体。
【請求項26】
前記請求項のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体を含むポリマー。
【請求項27】
式IIIの構造を含むシクロメタル化錯体を含むポリマー:
【化3】


(式中、Aは少なくとも3個のヘテロ原子を含みそして場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のヘテロアリール環であり、
Bは場合によって置換または縮合されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリール環であり、
nは0であるか又は1より大きく、そして
は水素以外の置換基である。)
【請求項28】
環AおよびB、置換基Rおよび下付符号nが請求項2〜23のいずれか一項に定義されている通りである、請求項27に記載のポリマー。
【請求項29】
前記シクロメタル化錯体がポリマーの主鎖の中に組み込まれている、請求項26〜28のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項30】
前記シクロメタル化錯体がポリマーの主鎖にぶら下がっている、請求項26〜28のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項31】
前記ポリマーが更にカルバゾールまたはトリアリールアミン基を含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項32】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体を含むオプトエレクトロニクス素子。
【請求項33】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体を含む有機発光素子。
【請求項34】
前記シクロメタル化錯体と有機ホストのブレンドを含む、請求項33に記載の有機発光素子。
【請求項35】
前記シクロメタル化錯体が有機ホストを含み、好ましくは前記有機ホストがカルバゾール部分またはトリアリールアミン部分を含む、請求項33に記載の有機発光素子。
【請求項36】
前記有機ホストがカルバゾール部分またはトリアリールアミン部分を含む、請求項34または35に記載の有機発光素子。
【請求項37】
請求項1〜25のいずれか一項に記載のシクロメタル化錯体の、オプトエレクトロニクス素子での使用。
【請求項38】
2つの電極の間に配置された燐光層を含む有機発光素子であって、0.25未満のCIE−y座標を有する有機発光素子。
【請求項39】
前記素子が0.15〜0.25の間のCIE−y座標を有する、請求項38に記載の有機発光素子。
【請求項40】
前記燐光層が、請求項1〜25のいずれか一項に規定された通りのシクロメタル化錯体または請求項26〜31のいずれか一項に規定された通りのポリマーを含む、請求項33〜36のいずれか一項、請求項38または39に記載の有機発光素子。
【請求項41】
燐光層が有機ホスト材料を含む、請求項33〜36または請求項38〜40のいずれか一項に記載の有機発光素子。
【請求項42】
有機ホスト材料がジ(t−ブチル)CBPである、請求項41に記載の有機発光素子。
【請求項43】
燐光層がさらに希釈化合物を含む、請求項41または42に記載の有機発光素子。
【請求項44】
希釈化合物がポリメチルメタクリレート(PMMA)である、請求項44に記載の有機発光素子。
【請求項45】
希釈化合物が30〜80重量%の量で存在する、請求項43または44に記載の有機発光素子。
【請求項46】
燐光層が組み込まれている有機発光素子の量子効率を増大させるための、燐光層の中でのポリメチルメタクリレートの使用。
【請求項47】
燐光層の膜形成を改善するためのポリメチルメタクリレートの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−504272(P2007−504272A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529359(P2006−529359)
【出願日】平成16年5月17日(2004.5.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002127
【国際公開番号】WO2004/101707
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(500189296)イシス イノベイション リミテッド (10)
【出願人】(504353877)ザ ユニバーシティ コート オブ ザ ユニバーシティ オブ セント アンドルーズ (6)
【Fターム(参考)】