説明

有機物を熱分解するための触媒と方法と、そのような触媒を製造する方法

【課題】廃プラスチックや医療廃棄物に含まれる有機物と共に加熱し、効率よく分解して、ガス化させるため触媒と、そのような触媒を用いる上記有機物を熱分解する方法と、そのような触媒を製造するための方法を提供する。
【解決手段】酸化チタンで代表される無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径0.1〜1.2mm、細孔容積0.1〜0.3mL/g、タップ密度1.05〜1.4g/mLの範囲、磨耗率2重量%以下である球状の顆粒からなる有機物を熱分解するための触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を効率よく熱分解するための触媒と方法と、更には、そのような触媒を製造する方法に関し、詳しくは、有機物を熱分解するための触媒であって、代表的には、酸化チタンのようなある種の無機酸化物からなり、所定の粒子特性を有する球状の顆粒からなる触媒と、そのような触媒を用いて有機物を熱分解する方法と、更には、そのような触媒を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃プラスチックのような有機物を熱分解するための種々の触媒や方法が提案されている。例えば、微粉末状の酸化チタンを粒径2mm以上にまで焼結させた後、適当な粒度分布を有するように加工して、酸化チタン粒状物とし、これを廃プラスチックの熱分解触媒として用いることが提案されている。即ち、容器中に担体ガスを流通させながら、その容器中で上記酸化チタン粒状物と廃プラスチック片とを攪拌下に加熱し、廃プラスチックを熱分解し、ガス化し、容器外に排出するというものである(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、上述したようにして得られる酸化チタン粒状物は、十分な硬さをもたないために、磨耗しやすく、容易に微粉化し、従って、上述したような廃プラスチックの熱分解においては、微粉化した酸化チタンが熱分解による生成ガスと同伴して容器外に失われるので、時間の経過と共に熱分解効率が低下し、更には、酸化チタン粒状物の微粉化に伴って、その粒度分布が変化し、この点からも、廃プラスチックの熱分解効率が低下するという問題がある。
【0004】
反応容器から熱分解ガスを排出させるための管路にフィルターを取付ければ、微粉化した酸化チタンを回収することはできるが(特許文献2参照)、フィルターが容易に目詰まりを起こして、廃プラスチックの熱分解効率が時間と共に低下する。他方、酸化チタンの微粉化を避けるために、徒に粒径の大きいもののみを用いても、廃プラスチックの熱分解効率に劣る。
【0005】
そこで、これらの問題を解決するために、酸化チタンゾルを乾燥、焼成し、これを破砕した後、エッジ加工を施して、磨耗性と分解性能を両立させる方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法によれば、上述した問題は解消されるが、エッジ加工によって生じる微粉の処理に問題がある。即ち、微粉の再利用が困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−306697号公報
【特許文献2】特開2002−363337号公報
【特許文献3】特開2005−307007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、廃プラスチックを含む種々の有機物を触媒の存在下に加熱して分解するための触媒や方法における上述した問題を解決するためになされたものであって、有機物の熱分解の効率が著しく高く、しかも、熱分解触媒の微粉化による損失を最小限に抑えた有機物の熱分解触媒と、そのような触媒を用いて有機物を熱分解する方法と、そのような熱分解触媒を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物からなり、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなることを特徴とする有機物を熱分解するための触媒が提供される。
【0008】
以下、本発明においては、特に断りのない限り、上述した酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物を単に「(上記又は前記)無機酸化物」という。
【0009】
好ましくは、本発明による有機物を熱分解するための触媒は、上記無機酸化物の顆粒からなり、有機物を熱分解するための触媒であって、上記無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒である。
【0010】
特に好ましくは、本発明による有機物を熱分解するための触媒は、上記無機酸化物の顆粒からなり、有機物と共に攪拌しながら加熱して、その有機物を熱分解し、ガス化するための触媒であって、上記無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒である。
【0011】
また、本発明によれば、上述した触媒と共に有機物を攪拌しながら加熱して、熱分解し、ガス化することを特徴とする有機物を熱分解するための方法が提供される。
【0012】
好ましくは、本発明による有機物を熱分解するための方法は、上記無機酸化物の顆粒からなり、この無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒である触媒と共に有機物を攪拌しながら加熱して、熱分解し、ガス化するものである。
【0013】
更に,本発明によれば、上記無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、この後、篩分けによって粒径を0.1〜1.2mmの範囲とすることを特徴とする細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなり、有機物を熱分解するための触媒を製造する方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明による有機物を熱分解するための触媒は、上述した無機酸化物からなり、粒径、細孔容積及びタップ密度が上述した範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなるので、有機物と共に攪拌しながら加熱して、その有機物を熱分解する際に、流動性がよく、微粉化が生じ難く、磨耗が最小限に抑えられ、かくして、長期間にわたって安定して有機物を効率よく熱分解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明による有機物を熱分解するための触媒は、酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物からなる。
【0016】
本発明において、これら無機酸化物はすべて、既によく知られているように、光触媒活性を有する。酸化チタンに代表される光触媒活性を有する無機酸化物は、そのバンドギャップ以上の光エネルギーを受取ることによって励起されて電子を放出し、その結果として、光触媒活性、代表的には、強い酸化作用を有する。このような光触媒活性を有する無機酸化物は、熱エネルギーによっても、同様に、励起されて、その温度の上昇と共に、電子を放出して、強い酸化作用を発現する。従って、本発明において、上記無機酸化物は、酸化チタンと同様に熱分解触媒として有効に機能する。
【0017】
本発明による有機物を熱分解するための触媒は、上記酸化チタンに代表される上記無機酸化物からなり、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなるものである。
【0018】
本発明において、顆粒の粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあるということは、顆粒の100重量%が粒径0.1〜1.2mmの範囲にあるということであり、顆粒の粒径は、後述する方法によって測定するものとする。
【0019】
熱分解触媒としての顆粒が粒径0.1mmよりも小さい顆粒を含むときは、有機物の熱分解において、初期の分解性能は良好であるが、他方において、熱分解ガスに同伴して熱分解装置から流出し、失われるために、経時的に熱分解性能が低下する。しかし、熱分解触媒としての顆粒が粒径1.2mmよりも大きい顆粒を含むときは、熱分解装置内において、熱分解触媒としての顆粒を有機物と共に攪拌しながら加熱して有機物、例えば、廃プラスチック片を熱分解する間に、顆粒が分級されて、経時的に熱分解性能が低下する虞がある。即ち、顆粒が粒径の大きいものと粒径の小さいものとが相互に分離し、有機物と効率よく接触し難くなって、結果として、熱分解性能が低下する虞がある。
【0020】
本発明によれば、顆粒を球状とし、その粒径を0.1〜1.2mmの範囲とすることによって、分級が生じず、流動性や有機物との接触性にすぐれ、かくして、有機物の熱分解性能にすぐれる触媒を得ることができる。
【0021】
更に、本発明によれば、球状の顆粒からなる触媒のタップ密度と細孔容積をそれぞれ上記範囲とすることによって、有機物、例えば、廃プラスチック片と共に攪拌しながら加熱して、有機物を熱分解する間、一層、流動性と有機物との接触性にすぐれるのみならず、微粉化し難く、磨耗がよく抑えられて、有機物の熱分解性能にすぐれる触媒を得ることができる。
【0022】
本発明によれば、タップ密度と磨耗率は後述する方法によって測定するものとし、細孔容積は、最大圧力196.14MPaによる水銀圧入法によって測定するものとする。
【0023】
本発明による有機物を熱分解するための触媒は、前記無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、この後、得られた顆粒を篩分けによって粒径を0.1〜1.2mmに調整することによって得ることができる。
【0024】
前記無機酸化物のうち、チタン含有ぺロブスカイト化合物としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸カルシウムのほか、これらにおけるバリウム、ジルコニウム、ストロンチウム及び/又はカルシウムの一部をランタン、セリウム、イットリウム等で置換したもの等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明によれば、前記無機酸化物のなかでも、特に、酸化チタン、チタン/タングステン複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、チタン/モリブデン複合酸化物、チタン/ニオブ複合酸化物等が好ましく用いられる。
【0026】
攪拌造粒は、よく知られているように、粉体(本発明においては、前記無機酸化物の粉体)と液体バインダー(本発明においては、前述したゾル)を攪拌して、ゾルによる粉体の凝集と共に、高速の攪拌羽根によるせん断効果によって、上記粉体の圧密化された凝集体を得る造粒をいい、用いるゾルの量、攪拌羽根の回転数、造粒時間等によって、得られる凝集粒の圧密度や粒度を任意に調整することができる。また、攪拌造粒装置の造粒容器内の底盤を適宜に選択することによって、得られる凝集体の形状を、より一層、球状化することもできる。
【0027】
本発明において、このように、前記無機酸化物を攪拌造粒するための造粒機は、特に限定されるものではないが、例えば、(株)奈良機械製作所製混合造粒機NMGシリーズ、深江パウテック(株)製ハイスピードミキサーやハイフレックスグラル、日本アイリッヒ(株)製アイリッヒインテンシブミキサー(アイリッヒ逆流式高速混合機)、(有)G−LABO製高速攪拌造粒機HSGシリーズ、(株)ダルトン製混練・高速攪拌造粒機SPGシリーズや高速混合・細粒機スパルタン・リューザー、(株)パウレック製バーチカル・グラニュレータVG−CTシリーズ等が好ましく用いられる。
【0028】
本発明によれば、前記無機酸化物を前記ゾルの存在下に攪拌造粒し、かくして得られた顆粒の球状性を一層高めると共に、粒度分布を一層精密なものとするために、攪拌造粒して得られた顆粒を前記ゾルの存在下に転動造粒と流動層造粒から選ばれる少なくとも1種の方法にて更に造粒してもよい。
【0029】
この造粒に際して、得られる顆粒をより硬くして、その磨耗性を一層向上させるために、前記ゾルと共に、前記無機酸化物の粉砕物や前記ゾルを乾燥、焼成した後、粉砕して得られる粉砕物との混合物を用いてもよい。
【0030】
転動造粒は、既によく知られているように、粉体と液体バインダーの混合物に転動運動を与えて、凝集粒を得る造粒法をいい、流動層造粒も既によく知られているように、粉体の流動層に液体バインダーを供給して、粒子間のバインダーによる架橋を形成させて凝集粒を得る造粒法をいう。
【0031】
このようにして、前記無機酸化物を攪拌造粒し、更に、転動造粒と流動層造粒から選ばれる少なくとも1種の方法にて更に造粒した後、前述したように、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、この後、篩分けによって、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にある粒子を集めることによって、必要な粒度を有する顆粒を本発明による触媒として得ることができる。
【0032】
このような造粒のための転動造粒機や流動層造粒機(複合型造粒機)もまた、本発明においては、特に限定されるものではないが、例えば、(株)ダルトン製の流動層造粒装置「ニュー/マルメライザー」や球形整粒機「マルメライザー」、(株)パウレック製の流動層造粒装置や転動流動コーティング装置「マルチプレックス」シリーズ等を挙げることができる。
【0033】
本発明に従って、有機物を熱分解するための装置構成の一例を図1に示す。反応容器1は、有機物、例えば、廃プラスチック片をこの反応容器に投入するための投入口2と、担体ガス3を反応容器に導入し、生成する熱分解ガスを反応容器から搬出するための担体ガス管4を備えており、更に、反応容器中の熱分解触媒5と廃プラスチック片6を攪拌するための攪拌機7を備えている。また、反応容器中の熱分解触媒と廃プラスチック片を加熱するための加熱装置8を備えている。図示した装置においては、この加熱装置は反応容器外に配設されているが、反応容器内に配設されていてもよい。上記担体ガスとしては、通常、空気が用いられるが、必要に応じて、不活性ガスを用いてもよい。しかし、本発明に従って、廃プラスチックを熱分解するに際して、用いる装置は上記例示に限定されるものではなく、例えば、ロータリーキルンや流動床装置を用いることもできる。
【0034】
前述したように、本発明による触媒はいずれも、光触媒活性を有するので、触媒を有機物と共に攪拌しながら加熱して、有機物を熱分解するときに、必要に応じて、紫外線の照射下で触媒を有機物と共に攪拌しながら加熱してもよい。
【0035】
本発明による有機物の熱分解触媒は、上述したように、前記無機酸化物からなる球状の顆粒からなり、粒径、細孔容積及びタップ密度にて規定される所定の粒子特性と所定の磨耗率を有し、かくして、有機物と加熱下に攪拌混合しても、長期間にわたって上記粒子特性を保つことができ、従って、本発明による熱分解触媒を用いることによって、長時間にわたって有機物を高い効率にて熱分解することができる。
【0036】
本発明による触媒を用いて熱分解することができる有機物は、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用の熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂や医療廃棄物に含まれる有機物、例えば、ラテックスや、また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン等の種々のプラスチック、ガーゼ、脱脂綿等を挙げることができる。
【0037】
また、本発明において、熱分解すべき有機物が固体であるときは、これを破砕して、数mm角程度の大きさにしたものが好ましいが、特に、限定されるものではない。
【0038】
本発明において、熱分解触媒と有機物の加熱温度は、有機物の種類にもよるが、少なくとも、200℃であり、好ましくは、300℃以上であり、特に好ましくは、400〜600℃の範囲である。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
実施例1
硫酸法による酸化チタン製造工程のうち、加水分解工程から得られたチタン水酸化物のスラリーを濾過、水洗し、これをリパルプして、スラリーAを得た。このスラリーAにゾル化剤として硝酸を加え、チタン酸化物のゾルBを得た。更に、このゾルBの一部を100℃に加熱、乾燥し、乾燥ゲルとし、これを電気炉中、500℃で3時間焼成して、酸化チタン焼成物Cを得た。
【0041】
この酸化チタン焼成物Cを粉砕し、得られた粉砕物を((株)ダルトン製高速攪拌造粒機SPG−25型を用いて、攪拌羽根250rpm、高速チョッパ3000rpmの条件下、水で5倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら造粒して、酸化チタン粒子を得た。
【0042】
この酸化チタン粒子を100℃で3時間乾燥し、次いで、600℃で焼成し、目開き1.19mmと0.104mmの篩で篩分けして、粒径0.1〜1.2mmの顆粒を100重量%とした。
【0043】
本発明において、粒径0.1〜1.2mmの顆粒は、ステンレス製金網からなる標準篩15メッシュ(線径0.5mm、目開き1.19mm)と150メッシュ(線径0.065mm、目開き0.104mm)を用いて篩分けし、15メッシュ下(通過分)、150メッシュ上(残留分)をいうものとする。
【0044】
詳しくは、次のようにして、粒径0.1〜1.2mmの顆粒を得た。即ち、(株)吉田製作所製ロータップ式標準篩振盪機に上蓋に上記15メッシュ標準篩を取り付け、下受皿に上記150メッシュ標準篩を取り付け、15メッシュ標準篩上に酸化チタン顆粒100gを試料として供給し、振盪回転数300rpm、打数150回/分で3分間篩分けして、15メッシュ下(通過分)、150メッシュ上(残留分)を粒径0.1〜1.2mmの顆粒として得た。
【0045】
このようにして得られた酸化チタン顆粒は、BET法による比表面積60m2/gであり、水銀圧入法による細孔容積0.15mL/gであり、タップ密度1.16g/mLであった。また、摩耗率は0.3%であった。
【0046】
本発明において、顆粒のタップ密度は次のようにして測定した。即ち、顆粒約180gを200mLガラス製メスシリンダーに投入し、このメスシリンダーを厚み10mmのゴム製シート上に高さ50mmの位置から繰り返し10回自然落下させた後、50mmの距離から木製の板の側面に10回打ち当て、以上の操作を2回繰り返した後、メスシリンダーの目盛を読み取り、顆粒の容積V(mL)とし、別に、顆粒を110℃で3時間乾燥した後、その重量M(g)を測定、これらに基づいて、タップ密度を式M/Vから求めた。
【0047】
また、本発明において、顆粒の摩耗率は図2に示す摩耗率測定装置にて測定した。即ち、この摩耗測定装置は、内径63mm、深さ86mmの試料容器9に攪拌機10を取付けてなり、この攪拌機は、軸体11の下端部にそれぞれ長さ20mmの楕円形状の攪拌羽根12を3枚、60゜間隔で軸体から直径方向に延びるように取付けたものであって、攪拌羽根はそれぞれ水平に対して45゜の角度を有するように傾斜している。この攪拌羽根は、その最下縁が試料容器の底から8mmの距離に位置する。
【0048】
試料である顆粒の摩耗率の測定に際しては、その150mLを200mLメスシリンダーで計量し、重量を記録した後、試料容器に全量を投入し、300rpmで30分間上記攪拌機を用いて攪拌した後、試料容器から試料を取り出し、全量を目開き0.104mmの篩に移し、この篩を通過した試料の重量を測定した。ここに、試料の摩耗率Aは、目開き0.104mmの篩を通過した試料の重量をWとし、測定に供した試料の重量をW0 とするとき、A=(W/W0 )×100(%)である。
【0049】
次に、攪拌機と加熱装置を有する500mL容量ビーカーからなる熱分解装置のビーカー内に上で得た酸化チタンの顆粒50gと約5mm角に破砕したポリエチレン樹脂50gとを仕込み、攪拌しながら、400℃に加熱し、上記ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、9分であった。
【0050】
実施例2
実施例1で得られたチタン水酸化物のスラリーAを100℃で加熱、乾燥し、乾燥ゲルとし、これを電気炉中にて500℃で3時間焼成し、粉砕処理して、酸化チタン焼成物Dの粉砕物を得、この酸化チタン焼成物Dの粉砕物50重量部と前記酸化チタン焼成物Cの粉砕物50重量部を混合した。
【0051】
この酸化チタン焼成物Dの粉砕物50重量部と酸化チタン焼成物Cの粉砕物50重量部の混合物を実施例1におけると同様に処理し、得られた粒子を乾燥、焼成し、篩分けして、粒径0.1〜1.2mmの顆粒を得た。
【0052】
このようにして得られた酸化チタンの顆粒は比表面積62m2/g、細孔容積0.28mL/g、タップ密度1.06g/mL、摩耗率は1.0%であった。
【0053】
この酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、7分であった。
【0054】
実施例3
実施例1で得られた酸化チタンの顆粒に転動造粒機「マルメライザー」にて実施例1で得られた酸化チタンCの粉砕物と水で4倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら、より球状に整粒し、得られた粒子を実施例1におけると同様にして、粒径が0.1〜1.2mmの範囲の顆粒を得た。この酸化チタンの顆粒は、比表面積59m2/g、細孔容積0.17mL/g、タップ密度1.18g/mL、摩耗率0.3%であった。
【0055】
この酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、8分であった。
【0056】
実施例4
実施例1で得たチタン酸化物のゾルBとタングステン酸アンモニウムを混合した。この混合物を100℃に加熱、乾燥して、乾燥ゲルとし、これを電気炉中、500℃で3時間焼成して、チタン/タングステン複合酸化物(酸化チタン/酸化タングステン重量比90:10)の焼成物を得た。
【0057】
このチタン/タングステン複合酸化物Eの焼成物を粉砕して、粉砕物を得た。この粉砕物を((株)ダルトン製高速攪拌造粒機SPG−25型を用いて、攪拌羽根250rpm、高速チョッパ3000rpmの条件下、水で5倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら造粒して、チタン/タングステン複合酸化物顆粒を得た。
【0058】
次いで、この顆粒に球形整粒機「マルメライザー」にて上記チタン/タングステン複合酸化物Eの焼成物の粉砕物と水で4倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら、より球状に整粒し、得られた顆粒を実施例1におけると同様にして、粒径が0.1〜1.2mmの顆粒を得た。
【0059】
この顆粒の比表面積は69m2/gであり、細孔容積は0.2mL/gであり、タップ密度は1.20g/mLであり、摩耗率は0.5%であった。
【0060】
この顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、5分であった。
【0061】
比較例1
実施例1と同様にして、粒径が1.2mm以上の酸化チタンの顆粒を得た。実施例1と同様にして、上記酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、16分であった。
【0062】
比較例2
実施例1と同様にして、粒径が0.1mm以下の酸化チタンの顆粒を得た。この酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、10分であった。触媒性能の試験の後、装置内に残留した顆粒は、重量が50gから40gに減少していた。
【0063】
比較例3
実施例1において得られた酸化チタン顆粒を篩分けして、粒径0.1mm以下の顆粒と粒径0.1〜0.5mmの顆粒を調製し、前者20重量%と後者80重量%からなる酸化チタン顆粒を調製した。
【0064】
別に、実施例3におけると同様にして、上記0.1〜0.5mmの酸化チタン顆粒の一部を転動造粒機「マルメライザー」にて実施例1で得られた酸化チタンCの粉砕物と水で4倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら、より球状に整粒し、得られた粒子を篩分けして、粒径0.5〜1.2mmの顆粒40重量%と粒径1.2〜2.18mmの顆粒60重量%とからなる酸化チタン顆粒を得た。
【0065】
このように分級したそれぞれの酸化チタン顆粒を用いて、粒径0.1mm以下の顆粒が20重量%と、粒径0.1mm以上、1.2mm以下の顆粒50重量%と、粒径1.2mm以上、2.18mm以下の顆粒30重量%とからなる酸化チタン顆粒を調製した。この顆粒の比表面積は62m2/gであり、細孔容積は0.16mL/gであり、タップ密度は1.20g/mLであった。
【0066】
この酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、15分であった。この熱分解の後、装置内に残留している顆粒層を観察したところ、粒径の大きい顆粒が層の上部に偏在しており、粒径の小さい顆粒から分離していることが確認された。
【0067】
比較例4
前記チタン水酸化物のスラリーAを100℃で加熱、乾燥し、電気炉中にて500℃で3時間焼成し、粉砕処理して、酸化チタンDの粉砕物を得た。この酸化チタンDの粉砕物70重量部と前記酸化チタンCの粉砕物30重量部を混合し、ガス分解効率の向上を目的として、細孔容積を増加させるめに細孔付与剤として、上記酸化チタンDの粉砕物と酸化チタンCの粉砕物の合計量100重量部に対して、メラミン樹脂15重量部を加えた。
【0068】
このような酸化チタンの粉砕物とメラミン樹脂の混合物を((株)ダルトン製高速攪拌造粒機SPG−25型を用いて、攪拌羽根250rpm、高速チョッパ3000rpmの条件下、水で5倍希釈した前記ゾルBを噴霧しながら造粒して、酸化チタン粒子を得た。
【0069】
この酸化チタン粒子を100℃で3時間乾燥し、次いで、600℃で焼成した後、目開き1.19mmと0.104mmの篩で篩分けして、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にある顆粒を得た。この酸化チタン顆粒は比表面積62m2/g、細孔容積0.33mL/g、タップ密度1.01g/mL、摩耗率3.5%であった。
【0070】
この酸化チタン顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、12分であった。この触媒性能の試験の後、装置内に残留した顆粒は、重量が50gから38gに減少していた。
【0071】
比較例5
実施例3で得られた酸化チタン顆粒を水で4倍希釈した前記ゾルBに浸漬し、乾燥した後、再度、浸漬し、乾燥した後、電気炉中450℃で焼成し、前述したように篩分けして、粒径が0.1〜1.2mmの顆粒を得た。得られた顆粒は比表面積66m2/g、水銀圧入法による細孔容積0.08mL/g、タップ密度1.17g/mL、磨耗率0.4%であった。
【0072】
この酸化チタンの顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂がすべて熱分解されて、ガス化するまでの時間を測定したところ、15分であった。
【0073】
比較例6
実施例1において、アルミナの粉砕粉を((株)ダルトン製高速攪拌造粒機SPG−25型を用いて、攪拌羽根250rpm、高速チョッパ3000rpmの条件下、水で5倍希釈したアルミナゾルを噴霧しながら造粒して、アルミナ粒子を得た。このアルミナ粒子を100℃で3時間乾燥し、次いで、600℃で焼成し、目開き1.19mmと0.104mmの篩で篩分けして、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあるアルミナ顆粒を得た。
【0074】
このアルミナ顆粒を熱分解触媒として用いて、実施例1と同様にして、ポリエチレン樹脂の熱分解を試みたが、ポリエチレン樹脂は全く分解しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による触媒の触媒活性を評価するための装置構成を示す一部断面図である。
【図2】触媒の摩耗率を測定するための装置を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1…反応容器
2…廃プラスチック片投入口
3…担体ガス
4…担体ガス管
5…熱分解触媒
6…廃プラスチック片
7…攪拌機
8…加熱装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物からなり、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなることを特徴とする有機物を熱分解するための触媒。
【請求項2】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の顆粒からなり、有機物を熱分解するための触媒であって、上記無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜 1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒であることを特徴とする有機物を熱分解するための触媒。
【請求項3】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の顆粒からなる触媒であって、その触媒と共に有機物を攪拌しながら加熱して、その有機物を熱分解し、ガス化するための触媒であって、上記無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒であることを特徴とする有機物を熱分解するための触媒。
【請求項4】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、この顆粒を上記少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物を含む上記少なくとも1種のゾルの存在下に転動造粒と流動層造粒から選ばれる少なくとも1種の方法にて更に造粒した後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる請求項2又は3に記載の有機物を熱分解するための触媒。
【請求項5】
有機物が廃プラスチックである請求項1から4のいずれかに記載の有機物を熱分解するための触媒。
【請求項6】
有機物が医療廃棄物に含まれる有機物である請求項1から4のいずれかに記載の有機物を熱分解するための触媒。
【請求項7】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物からなり、粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなる触媒と共に有機物を攪拌しながら加熱して、熱分解し、ガス化することを特徴とする有機物を熱分解するための方法。
【請求項8】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の顆粒からなり、上記無機酸化物の顆粒がその無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られる粒径が0.1〜1.2mmの範囲にあり、細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒である触媒と共に有機物を攪拌しながら加熱して、熱分解し、ガス化することを特徴とする有機物を熱分解するための方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の有機物を熱分解するための方法において、触媒が酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、この顆粒を上記少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物を含む上記少なくとも1種のゾルの存在下に転動造粒と流動層造粒から選ばれる少なくとも1種の方法にて更に造粒した後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けすることによって得られるものである有機物を熱分解するための方法。
【請求項10】
有機物が廃プラスチックである請求項7から9のいずれかに記載の有機物を熱分解するための方法。
【請求項11】
有機物が医療廃棄物に含まれる有機物である請求項7から9のいずれかに記載の有機物を熱分解するための方法。
【請求項12】
担体ガスの流通下に有機物を触媒と共に加熱する請求項7から11のいずれかに記載の有機物を熱分解するための方法。
【請求項13】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とした後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、この後、篩分けによって粒径を0.1〜1.2mmの範囲とすることを特徴とする細孔容積が0.1〜0.3mL/gの範囲にあり、タップ密度が1.05〜1.4g/mLの範囲にあり、磨耗率が2重量%以下である球状の顆粒からなり、有機物を熱分解するための触媒を製造する方法。
【請求項14】
酸化チタン、チタン/ニオブ複合酸化物、チタン/ケイ素複合酸化物、ケイ素とタングステンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、ケイ素とモリブデンから選ばれる少なくとも1種とチタンとの複合酸化物、チタン/アルミニウム複合酸化物、酸化ジルコニウム、チタン/ジルコニウム複合酸化物及びチタン含有ぺロブスカイト化合物から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物をチタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル及びジルコニアゾルから選ばれる少なくとも1種のゾルの存在下に攪拌造粒して球状の顆粒とし、次いで、この顆粒を上記少なくとも1種の無機酸化物の粉砕物を含む上記少なくとも1種のゾルの存在下に転動造粒と流動層造粒から選ばれる少なくとも1種の方法にて更に造粒した後、400〜850℃の範囲の温度で焼成し、篩分けする請求項13に記載の有機物を熱分解するための触媒を製造する方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−46575(P2010−46575A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211286(P2008−211286)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【出願人】(000202420)草津電機株式会社 (10)
【Fターム(参考)】