説明

有機物醗酵用撹拌装置

【課題】
付着等悪条件な下水汚泥の、堆肥化を可能とし、衛生的、省力的で、操作性、安全性、経済性に富む有機物醗酵用撹拌装置を提供する。
【解決手段】
下水汚泥の醗酵堆肥化は、処理コストや二酸化炭素発生ゼロによる、地球温暖化防止等環境面も含めその効果は、多大である。ところが、下水汚泥の醗酵堆肥化には醗酵促進と付着防止を目的に、多くの木片チップの混合を必要とする。近年木片チップはボイラー等の燃料活用で価格は高騰し、地域によっては入手困難な事が多い、混合用木片チップが入手困難な場合は、機械装置ではなく自然堆積式で3〜4ヶ月長期間掛けるために、膨大な施設が必要であるが、本発明は、木片チップ混合割合が極めて少ない場合でも汚泥付着除去装置によって、撹拌掻揚げ板からは汚泥は連続的に除去されるために、順調な撹拌切り替えし作業を行い20〜40日間の短時間で良質な完熟堆肥の生産が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥・畜糞・動植物残渣等、有機物の醗酵用撹拌装置の醗酵を目的とし、撹拌作業中の有機物の付着を防止して、醗酵撹拌を促進する装置。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥・畜糞・動植物残渣等、有機物は広く公害の元と成っているが、本来大切な資源であり、好気性微生物によって醗酵分解を行う事により、有機物は限りなく無機化され安定化する為に、公害も無くなり、安心安全な飼料又は堆肥となる。農産物は無機物を吸収し太陽の光を浴びて、安心安全な有機農業の食物となる。公害防止と安心安全な有機農業の為に、醗酵分解を大量に短時間に行う事を目的に、機械装置を活用して、人為的に微生物を活性化させる為の条件作りと、醗酵・分解を促進する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−145687号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機物の醗酵方法は、多くの方法が用いれられ、例えば、約1年間掛けて行う堆積醗酵方式や、金属容器の中で行う容積式及び、耕運機類似方法と、本発明の元となるスクープ式撹拌装置がある。スクープ式撹拌装置は、醗酵堆肥作りには理論的にも現実的にも最も適した物であるが、理想に近づける為に、構造が複雑となっている。その為、特に下水汚泥等は、付着が激しく優秀なスクープ式とは言え、多大な費用を掛けて、粉砕木片等を混合しない限りスクープ式撹拌装置でも、醗酵は困難である。下水汚泥の発生場所によっては、重金属混入等の問題もあるが、下水汚泥の多くは焼却処分が多い。下水汚泥は特に水分85%以上で、重油等化石燃料を多大に使用する為に、二酸化炭素発生の大きな原因と成っている。醗酵堆肥化はコンベアモーター等電気エネルギーを使用するが、燃焼用エネルギーに比較した場合そのエネルギー消費量は数百分の一と微小である。乾燥に付いても醗酵熱による自然エネルギーであり、二酸化炭素発生もゼロであり、処理コストも焼却処分の1万5千円〜2万円に対し、醗酵堆肥化は5千円程度と安価であり、重金属当の管理は必要であるが、安心・安全な有機農業の拡大につながる。
【0005】
本発明は、上記のような課題を鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、有機物の不適正処理による、山・川・海そして空気の汚染を防止して、安心安全な有機農業の拡大と、二酸化炭素の大きな減少により、地球温暖化防止に大きく寄与できる有機物醗酵用撹拌装置を提供することである。

【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、次ぎの技術手段を講じた。すなわち、被醗酵堆肥の撹拌切り替えしを目的とする有機物醗酵用撹拌装置において、一端が天井走行台車に装着された掻揚げ撹拌コンベアに揚げ板を間隔を有して連続的に突設すると共に、前記掻揚げ撹拌コンベアに相対して付着汚泥除去ブラシを配設し、加えて、掻揚げ撹拌コンベアの切込み側を基点とし、水平面に対して後方側に50度以下に傾斜させたことを特徴とする有機物醗酵用撹拌装置である。さらに掻き揚げ撹拌コンベアに突設した掻き揚げ板に粉砕刃を前記掻き揚げ撹拌コンベアの幅方向に間隔を有して対称に複数本突設するとともに、上記粉砕刃を上流側の掻き揚げ板よりも、下流側の掻き込み掻き揚げ板の粉砕刃を掻き揚げ撹拌コンベアの幅中心方向に漸次配置した。また、粉砕刃の長さを50mm〜100mmとした有機物醗酵用撹拌装置である。従って、付着し易い構造のスクープ式撹拌装置による、付着性が高い下水汚泥の堆肥化においても、本発明の汚泥剥離除去回転羽根によって、掻き揚げ板に加わる不可を最小にして汚泥の付着を解決して、従来困難であった汚泥も、スクープ式撹拌装置によって、良質な完熟堆肥の生産を可能にした。
【0007】
上記方法を好適に実施することができる本発明の装置は、撹拌コンベアの排出部に附着汚泥の剥離除去装置を配置した有機物醗酵用撹拌装置である。
【0008】
本発明は、次のa、コンベアの掻揚げ板に対し、b、の剥離除去装置によってコンベア機能を順調に行うものである。
【0009】
a、約50度傾斜したコンベアフレームに両端部2列の、コンベアーチェーンに固定され等間隔に取り付けられた、複数の各揚げ板によって堆肥原料である、汚泥は醗酵槽底部より掻き揚げられて、後方に落下して、撹拌・天地入れ替え切り替えしが行はれるが、汚泥等の水分の状態や、醗酵促進を目的とする木質系副資材不足等状態によっては、掻き揚げ板や掻き揚げ板に取り付けられた櫛状の粉砕刃に、汚泥が付着して、掻揚げ板上には付着汚泥で一杯になり、新たな汚泥を掻き揚げる事が不能になる。
【0010】
b、コンベア最上部に取り付けられた、金属製等のブラシをコンベアと同方向に、コンベアより速い速度で回転するブラシ状の刃で附着した汚泥を強制的に剥離除去させる事により、撹拌・切り替えし作業を可能にする。
【0011】
本発明の好ましい実施例は、行政機関の下水処理場にて多くの凝集剤使用の為に固 液分離後汚泥の粘性が強く撹拌切り替えし装置の運転開始5〜6分後には掻き板上に汚泥が付着堆積して、たちまち掻揚げ不能に成った。剥離除去装置設置後は、6〜7時間連続運転を行っている。
【0012】
その他、本発明の好ましい実施例は、汚泥等の醗酵堆肥化時には、微生物が活性化し易い通気度が高い、汚泥の含水率を50〜60%を目的と、付着防止の為に、通常では木質系の粉砕チップを混合するが、近年チップや大鋸屑は、製紙工場の燃料等に活用され、価格が高騰して、堆肥化の副資材としては採算が取れず、使用が困難な状況に成っている。木質系チップ使用無しで、短期間で完熟堆肥が生産可能に成れば、大量の下水汚泥のリサイクルが可能となる。
【0013】
すなわち、下水汚泥が低コストで、化石燃料等を使用せずに、完熟堆肥としてリサイクルが可能になれば、地球温暖化の原因である二酸化炭素の発生を低減させる事が可能に成る。
【0014】
他に、活用の方法が少ない、剪定生枝・刈り草・農産廃棄物等も下水汚泥と混合して堆肥化を行う事により、公害防止に効果をもたらす事できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の醗酵堆肥化装置は、衛生的で、省力的、操作性、安全性に富む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】撹拌装置の全体を示す側面図、
【図2】撹拌装置の撹拌コンベアに突設した粉砕刃の配置を示す、図1のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図2を参照して、本発明の具体的実施例を以下説明する。
【実施例】
【0018】
本実施例では、図1に図示する如く有機物醗酵用の撹拌装置1に一端が天井走行台車8に装着され、チエーン2を介して撹拌装置1の駆動機構3で駆動する掻揚げ用の撹拌コンベア4に、複数の揚げ板6を所定間隔で連続的に突設すると共に、掻揚げ用の撹拌コンベア4に相対して付着汚泥除去ブラシ5を配設した。更に、本実施例では、掻揚げ用の撹拌コンベア4の切込み側を基点とし、水平面に対して後方側に45度に傾斜させたが、撹拌コンベア4の傾斜角度eは、50度以上になると、前方より掻揚げ、下流側に落下堆肥した下水汚泥等の処理物を戻り下側の掻揚げ板に巻き込む不具合が懸念される。
本実施例では、図2に図示する如く粉砕刃7を掻き揚げ撹拌コンベア4の掻き揚げ板6に、掻き揚げ撹拌コンベア4の幅方向に間隔を有して左右対称にそれぞれ3本突設した。粉砕刃7は必要に応じ4本や5本に調整して取り付けることができる。粉砕刃7を上流側の掻き揚げ板6よりも、下流側の掻き込み掻き揚げ板6の粉砕刃4を掻き揚げ撹拌コンベアの幅中心方向に漸次配置した。
さらに、粉砕刃7の長さを本実施例では70mmとしたが、必要に応じて50mm〜100mmに適宜調整した。なお、粉砕刃7の長さが50mm以下では、堆積した下水汚泥をほぐす効果が不足して掻揚げが不具合となる。また、100mm以上では掻揚げ撹拌コンベアの最下点では粉砕刃とコンクリート床面のすき間を50mmとする。100mmでは床面の掻き残しが増える等不具合がある。
次に、図1に示す本発明の装置を用いて、含水率70%前後の下水汚泥の撹拌切り替えしを行った。通常50〜60%まで含水率を落として行うが、含水率70%にも拘らず、撹拌装置進行速度標準の毎時20mの進行速度で良好な撹拌が出来た。
【産業上の利用可能性】
【0019】
下水汚泥の多くは、焼却処分が行はれている、処理コストも高い上に温暖化の原因である、二酸化炭素を大量に発生させている。以上の公害と処理費用の問題解決と、重金属の検査管理を行う事により、有機農業による田畑の土壌改良を行う事ができる。
【符号の説明】
【0020】
1 撹拌装置
2 撹拌装置駆動用のチエーン
3 撹拌装置の駆動機構
4 撹拌コンベア
5 付着汚泥除去ブラシ
6 掻揚げ板
7 粉砕刃
8 天井走行台車
θ 撹拌コンベアの水平面に対する傾斜角度



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被醗酵堆肥の撹拌切り替えしを目的とする有機物醗酵用撹拌装置において、一端が天井走行台車に装着された掻揚げ撹拌コンベアに、掻き揚げ板を間隔を有して連続的に突設すると共に、前記掻き揚げ撹拌コンベアに相対して付着汚泥除去ブラシを配設したことを特徴とする有機物醗酵用撹拌装置。
【請求項2】
上記掻き揚げ撹拌コンベアの切込み側を基点とし、水平面に対して後方側に50度以下に傾斜させたことを特徴とする請求項1に記載の有機物醗酵用撹拌装置。
【請求項3】
上記掻き揚げ撹拌コンベアに突設した掻き揚げ板に粉砕刃を前記掻き揚げ撹拌コンベアの幅方向に間隔を有して対称に複数本突設したことを特徴とする請求項1に記載の有機物醗酵用撹拌装置。
【請求項4】
上記粉砕刃を上流側の掻き揚げ板よりも、下流側の掻き込み掻き揚げ板の粉砕刃を掻き揚げ撹拌コンベアの幅中心方向に漸次配置したことを特徴とする請求項3に記載の有機物醗酵用撹拌装置。
【請求項5】
上記粉砕刃の長さが50mm〜100mmからなることを特徴とする請求項3、若しくは、請求項4に記載の有機物醗酵用撹拌装置。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−207657(P2011−207657A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76597(P2010−76597)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(592205160)菱興産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】