説明

有機発光ダイオードのための材料

【課題】有機発光ダイオードのための材料を提供する。
【解決手段】フェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に2つの炭素原子を介して連結したキノリン又はイソキノリンを有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物。これらの化合物はまた、そのキノリン、イソキノリン、又は連結基上に水素及び重水素以外の置換基をも含む。これらの化合物は燐光OLED中の赤色発光体として用いることができる。特に、これらの化合物は、安定で、狭く且つ効率的な赤色発光をもたらしうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求の範囲に記載した発明は、共同の大学・企業研究契約に関わる1つ以上の以下の団体:ミシガン大学評議員会、プリンストン大学、サザン・カリフォルニア大学、及びユニバーサル・ディスプレイ・コーポレーションにより、1つ以上の団体によって、1つ以上の団体のために、及び/又は1つ以上の団体と関係して行われた。上記契約は、特許請求の範囲に記載された発明がなされた日及びそれ以前に発効しており、特許請求の範囲に記載された発明は、前記契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。
【0002】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)に関する。より具体的には、本発明は、それぞれそのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンを有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物に関する。この配位子は、そのキノリン、イソキノリン、又は2つの炭素原子の連結基上の嵩高い置換基をも含む。これらの化合物はOLEDに用いられて、向上した寿命及び色をもつデバイスをもたらすことができる。特に、これらの化合物は、安定で、狭く且つ効率的な赤色発光化合物として特に有用でありうる。
【背景技術】
【0003】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの理由によりますます望ましいものとなってきている。そのようなデバイスを作るために用いられる多くの物質はかなり安価であり、そのため有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコスト上の優位性について潜在力をもっている。加えて、有機物質固有の特性、例えばそれらの柔軟性は、それらを柔軟な基材上への製作などの特定用途に非常に適したものにしうる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例には、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池、及び有機光検出器が含まれる。OLEDについては、有機物質は、従来の物質に対して性能上優位性をもちうる。例えば、有機発光層が発光する波長は、一般に、適切なドーパントで容易に調節することができる。
【0004】
OLEDは、そのデバイスを横切って電圧を印加した場合に光を発する薄い有機膜(有機フィルム)を用いる。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明、及びバックライトなどの用途で用いるためのますます興味ある技術となってきている。いくつかのOLEDの物質と構成が、米国特許第5,844,363号明細書、同6,303,238号明細書、及び同5,707,745号明細書に記載されており、これらの明細書はその全体を参照により本明細書に援用する。
【0005】
燐光発光分子の一つの用途はフルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイのための工業規格は、「飽和」色といわれる特定の色を発光するように適合された画素(ピクセル)を要求している。特に、これらの規格は、飽和の赤、緑、及び青の画素を必要としている。色はCIE座標を用いて測定でき、CIE座標は当分野で周知である。
【0006】
緑色発光分子の一例は、Ir(ppy)と表されるトリス(2-フェニルピリジン)イリジウムであり、これは以下の式Iの構造を有する。
【化1】

【0007】
この式及び本明細書の後の図で、窒素から金属(ここではIr)への供与結合は直線で表す。
【0008】
本明細書で用いるように、「有機」の用語は、有機オプトエレクトロニクスデバイスを製作するために用いることができるポリマー物質並びに小分子有機物質を包含する。「小分子(small molecule)」とは、ポリマーではない任意の有機物質をいい、「小分子」は、実際は非常に大きくてもよい。小分子はいくつかの状況では繰り返し単位を含んでもよい。例えば、置換基として長鎖アルキル基を用いることは、分子を「小分子」の群から排除しない。小分子は、例えばポリマー主鎖上のペンダント基として、あるいは主鎖の一部として、ポリマー中に組み込まれてもよい。小分子は、コア残基上に作り上げられた一連の化学的殻からなるデンドリマーのコア残基として働くこともできる。デンドリマーのコア残基は、蛍光性又は燐光性小分子発光体であることができる。デンドリマーは「小分子」であることができ、OLEDの分野で現在用いられている全てのデンドリマーは小分子であると考えられる。
【0009】
本明細書で用いるように「トップ」は、基材から最も遠くを意味する一方で、「ボトム」は基材に最も近いことを意味する。第一の層が第二の層の「上に配置される」と記載した場合は、第一の層は基材から、より遠くに配置される。第一の層が第二の層と「接触している」と特定されていない限り、第一の層と第二の層との間に別な層があってよい。例えば、カソードとアノードとの間に様々な有機層があったとしても、カソードはアノードの「上に配置される」と記載できる。
【0010】
本明細書で用いるように、「溶液処理(加工)可能」とは、溶液もしくは懸濁液の形態で、液体媒体中に溶解され、分散され、又は液体媒体中で輸送され、及び/又は液体媒体から堆積されうることを意味する。
【0011】
配位子が発光物質の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合は、その配位子は「光活性」ということができる。配位子が発光物質の光活性特性に寄与していないと考えられる場合は、配位子は「補助」ということができるが、補助配位子は光活性配位子の特性を変えうる。
【0012】
本明細書で用いるように、かつ当業者によって一般に理解されているように、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)のエネルギー準位は、その第一のエネルギー準位が真空のエネルギー準位により近い場合には、第二のHOMO又はLUMOよりも「大きい」あるいは「高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は真空準位に対して負のエネルギーとして測定されるので、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつIPに対応する(より小さな負のIP)。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さな絶対値をもつ電子親和力(EA)に対応する(より小さな負のEA)。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、物質のLUMOエネルギー準位はその同じ物質のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりも、そのような図のトップのより近くに現れる。
【0013】
本明細書で用いるように、また当業者によって一般に理解されるように、第一の仕事関数は、その第一の仕事関数がより高い絶対値を有する場合には、第二の仕事関数よりも「大きい」あるいは「高い」。仕事関数は通常、真空準位に対して負の値として測定されるので、このことは「より高い」仕事関数は、より負であることを意味する。上(トップ)に真空準位をもつ従来のエネルギー準位図の上では、「より高い」仕事関数は真空準位から下向きの方向へさらに離れて図示される。したがって、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に従う。
【0014】
OLEDについてのさらなる詳細及び上述した定義は、米国特許第7,279,704号明細書に見ることができ、その全体を参照により本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998
【非特許文献2】Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に炭素連結基を介して連結したキノリン又はイソキノリンをそれぞれ有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物を提供する。この化合物は、そのキノリン、イソキノリン、又は連結基上の嵩高い置換基をも含む。この化合物は、式M(L(L(Lを有する。
【0018】
配位子Lは、
【化2】

である。
【0019】
配位子Lは、
【化3】

である。
【0020】
配位子Lは第三の配位子である。
【0021】
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができる。Mは40よりも大きな原子番号を有する金属である。好ましくは、MはIrである。xは、1、2、又は3である。yは、0、1、又は2である。zは、0、1、又は2である。x+y+zは金属Mの酸化状態である。Rは、ピリジン環に縮合した炭素環又はヘテロ環である。Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよい。A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R、R、R、R、R′、R、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。いずれか2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【0022】
一つの側面では、R、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つはアルキルである。別の側面では、R′は水素ではなく、重水素でもない。好ましくは、R、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つは、2つより多い炭素原子を有するアルキルである。さらに好ましくは、R、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つはイソブチルである。
【0023】
一つの側面では、Lはモノアニオン性の二座配位子である。
【0024】
別の側面では、Lは、
【化4】

であり、R′、R′、及びR′はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、R′は水素である。さらに好ましくは、R′、R′、及びR′のうち少なくとも1つは、そのカルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐している分岐アルキル基を含む。さらに好ましくは、R′及びR′のうち少なくとも1つはイソブチルである。
【0025】
一つの側面では、上記化合物は下記式を有する。
【化5】

【0026】
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。mは、1、2、又は3である。
【0027】
別の側面では、上記化合物は下記式を有する。
【化6】

【0028】
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。mは、1、2、又は3である。
【0029】
一つの側面では、上記化合物はホモレプティックである。別の側面では、上記化合物はヘテロレプティックである。
【0030】
そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンをそれぞれ有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物の具体的な非限定的例を提供する。これらの化合物は、キノリン、イソキノリン、又は連結基上に嵩高い置換基をも有する。一つの側面では、この化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

【0033】
【化9】

【0034】
【化10】

【0035】
【化11】

【0036】
【化12】

【0037】
好ましくは、上記化合物は、
【化13】

である。
【0038】
さらに、第一の有機発光デバイスを含む第一のデバイスを提供する。この有機発光デバイスは、アノード、カソード、及びそのアノード及びカソードの間に配置された有機層をさらに含む。この有機層は、さらに、上述した式M(L(L(Lを有する化合物を含む。
【0039】
配位子Lは、
【化14】

である。
【0040】
配位子Lは、
【化15】

である。
【0041】
配位子Lは第三の配位子である。
【0042】
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができる。Mは40よりも大きな原子番号を有する金属である。xは、1、2、又は3である。yは、0、1、又は2である。zは、0、1、又は2である。x+y+zは金属Mの酸化状態である。Rは、ピリジンに縮合した炭素環又はヘテロ環である。Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよい。A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R、R、R、R、R′、R、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。いずれか2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【0043】
式M(L(L(Lを有する化合物について上で論じた様々な具体的側面は、上記第一のデバイスに用いられるM(L(L(Lを有する化合物にも適用できる。特に、式M(L(L(Lを有する化合物のL、L、L、A、B、C、R、R、R、R、R、R′、R、R、R、R、R、R、R′、R′、R′、M、m、式III、及び式IVの具体的な側面は、上記第一のデバイスに用いられるM(L(L(Lを有する化合物にも適用できる。
【0044】
一つの側面では、第一のデバイスは消費者製品である。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。なお別の側面では、第一のデバイスには照明パネルが含まれる。
【0045】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、上記化合物は発光ドーパントである。別の側面では、有機層はさらにホストを含む。好ましくは、ホストは金属8−ヒドロキシキノレートである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は有機発光デバイスを示す。
【図2】図2は、別個の電子輸送層をもたない倒置型有機発光デバイスを示す。
【図3】図3は、そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンをそれぞれ有し且つ嵩高い置換基を含むフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を示す。
【図4】図4は、そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンをそれぞれ有し且つ嵩高い置換基を含むフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[詳細な説明]
一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され且つそれらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が流された場合、有機層(1又は複数)にアノードは正孔を注入し、カソードは電子を注入する。注入された正孔と電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在化された電子−正孔対である「励起子」が形成される。励起子が発光機構によって緩和するときに光が発せられる。いくつかの場合には、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在化されうる。非放射機構、例えば、熱緩和も起こりうるが、通常は好ましくないと考えられる。
【0048】
初期のOLEDは、一重項状態から光を発する(「蛍光」)発光性分子を用いており、例えば、米国特許第4,769,292号明細書(この全体を参照により援用する)に記載されているとおりである。蛍光発光は、一般に、10ナノ秒よりも短いタイムフレームで起こる。
【0049】
より最近、三重項状態から光を発する(「燐光」)発光物質を有するOLEDが実証されている。Baldoら,“Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices”, Nature, vol. 395, 151-154, 1998 (“Baldo-I”);
及び、Baldoら,“Very high-efficiency green organic light-emitting devices based on electrophosphorescence”, Appl. Phys. Lett., vol. 75, No. 3, 4-6 (1999) (“Baldo-II”)、これらを参照により全体を援用する。燐光は、米国特許第7,279,704号明細書の第5〜6欄に、より詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0050】
図1は有機発光デバイス100を示している。この図は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子阻止層130、発光層135、正孔阻止層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、およびカソード160を含み得る。カソード160は、第一導電層162および第二導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記載した層を順次、堆積させることによって作製できる。これらの様々な層の特性及び機能、並びに例示物質は、米国特許第7,279,704号明細書の第6〜10欄により詳細に記載されており、これを参照により援用する。
【0051】
これらの層のそれぞれについてのより多くの例が得られる。例えば、可撓性且つ透明な基材−アノードの組み合わせが米国特許第5,844,363号明細書に開示されており、参照により全体を援用する。p型ドープ正孔輸送層の例は、50:1のモル比で、F−TCNQでドープしたm−MTDATAであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。発光物質及びホスト物質の例は、Thompsonらの米国特許第6,303,238号明細書に開示されており、その全体を参照により援用する。n型ドープ電子輸送層の例は、1:1のモル比でLiでドープされたBPhenであり、これは米国特許出願公開第2003/0230980号公報に開示されているとおりであり、その全体を参照により援用する。米国特許第5,703,436号明細書及び同5,707,745号明細書(これらはその全体を参照により援用する)は、上に重ねられた透明な電気導電性のスパッタリングによって堆積されたITO層を有するMg:Agなどの金属の薄層を有する複合カソードを含めたカソードの例を開示している。阻止層の理論と使用は、米国特許第6,097,147号明細書及び米国特許出願公開第2003/0230980号公報に、より詳細に記載されており、その全体を参照により援用する。注入層の例は、米国特許出願公開第2004/0174116号公報に提供されており、その全体を参照により援用する。保護層の記載は米国特許出願公開第2004/0174116号公報にみられ、その全体を参照により援用する。
【0052】
図2は倒置型(inverted)OLED200を示している。このデバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、およびアノード230を含む。デバイス200は記載した層を順に堆積させることによって製造できる。最も一般的なOLEDの構成はアノードの上方に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下方に配置されたカソード215を有するので、デバイス200を「倒置型」OLEDとよぶことができる。デバイス100に関して記載したものと同様の物質を、デバイス200の対応する層に使用できる。図2は、デバイス100の構造からどのようにいくつかの層を省けるかの1つの例を提供している。
【0053】
図1および2に例示されている簡単な層状構造は非限定的な例として与えられており、本発明の実施形態は多様なその他の構造と関連して使用できることが理解される。記載されている具体的な物質および構造は事実上例示であり、その他の物質および構造も使用できる。設計、性能、およびコスト要因に基づいて、実用的なOLEDは様々なやり方で上記の記載された様々な層を組み合わせることによって実現でき、あるいは、いくつかの層は完全に省くことができる。具体的に記載されていない他の層を含むこともできる。具体的に記載したもの以外の物質を用いてもよい。本明細書に記載されている例の多くは単一の物質を含むものとして様々な層を記載しているが、物質の組合せ(例えばホストおよびドーパントの混合物、または、より一般的には混合物)を用いてもよいことが理解される。また、層は様々な副層(sublayer)を有してもよい。本明細書において様々な層に与えられている名称は、厳格に限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し且つ発光層220に正孔を注入するので、正孔輸送層として、あるいは正孔注入層として説明されうる。一実施形態において、OLEDは、カソードとアノードとの間に配置された「有機層」を有するものとして説明できる。この有機層は単一の層を含むか、または、例えば図1および2に関連して記載したように様々な有機物質の複数の層をさらに含むことができる。
【0054】
具体的には説明していない構造および物質、例えばFriendらの米国特許第5,247,190号(これはその全体を参照により援用する)に開示されているようなポリマー物質で構成されるOLED(PLED)、も使用することができる。さらなる例として、単一の有機層を有するOLEDを使用できる。OLEDは、例えば、Forrestらの米国特許第5,707,745号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているように積み重ねられてもよい。OLEDの構造は、図1および2に示されている簡単な層状構造から逸脱していてもよい。例えば、基板は、光取出し(out-coupling)を向上させるために、Forrestらの米国特許第6,091,195号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているメサ構造、および/またはBulovicらの米国特許第5,834,893号(これはその全体を参照により援用する)に記載されているピット構造などの、角度の付いた反射表面を含みうる。
【0055】
特に断らないかぎり、様々な実施形態の層のいずれも、何らかの適切な方法によって堆積されうる。有機層については、好ましい方法には、熱蒸着(thermal evaporation)、インクジェット(例えば、米国特許第6,013,982号および米国特許第6,087,196号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、有機気相成長(organic vapor phase deposition、OVPD)(例えば、Forrestらの米国特許第6,337,102号(その全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびに有機気相ジェットプリンティング(organic vapor jet printing、OVJP)による堆積(例えば、米国特許出願第10/233,470号(これはその全体を参照により援用する)に記載されている)が含まれる。他の適切な堆積方法には、スピンコーティングおよびその他の溶液に基づく方法が含まれる。溶液に基づく方法は、好ましくは、窒素または不活性雰囲気中で実施される。その他の層については、好ましい方法には熱蒸着が含まれる。好ましいパターニング方法には、マスクを通しての蒸着、圧接(cold welding)(例えば、米国特許第6,294,398号および米国特許第6,468,819号(これらはその全体を参照により援用する)に記載されている)、ならびにインクジェットおよびOVJDなどの堆積方法のいくつかに関連するパターニングが含まれる。その他の方法も用いることができる。堆積される物質は、それらを特定の堆積方法に適合させるために改変されてもよい。例えば、分枝した又は分枝していない、好ましくは少なくとも3個の炭素を含むアルキルおよびアリール基などの置換基が、溶液加工性を高めるために、小分子に用いることができる。20個又はそれより多い炭素を有する置換基を用いてもよく、3〜20炭素が好ましい範囲である。非対称構造を有する物質は対称構造を有するものよりも良好な溶液加工性を有しうるが、これは、非対称物質はより小さな再結晶化傾向を有しうるからである。デンドリマー置換基は、小分子が溶液加工を受ける能力を高めるために用いることができる。
【0056】
本発明の実施形態により製造されたデバイスは多様な消費者製品に組み込むことができ、これらの製品には、フラットパネルディスプレイ、コンピュータのモニタ、テレビ、広告板、室内もしくは屋外の照明灯および/または信号灯、ヘッドアップディスプレイ、完全に透明な(fully transparent)ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンタ、電話機、携帯電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダ、ビューファインダー、マイクロディスプレイ、乗り物、大面積壁面(large area wall)、映画館またはスタジアムのスクリーン、あるいは標識が含まれる。パッシブマトリクスおよびアクティブマトリクスを含めて、様々な制御機構を用いて、本発明にしたがって製造されたデバイスを制御できる。デバイスの多くは、18℃から30℃、より好ましくは室温(20〜25℃)などの、人にとって快適な温度範囲において使用することが意図されている。
【0057】
本明細書に記載した物質及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有しうる。例えば、その他のオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、有機太陽電池及び有機光検出器は、これらの物質及び構造を用いることができる。より一般には、有機デバイス、例えば、有機トランジスタは、これらの物質及び構造を用いることができる。
【0058】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロ環基、アリール、芳香族基、及びヘテロアリールの用語は、当分野で公知であり、米国特許第7,279,704号明細書の第31〜32欄で定義されており、これを参照により援用する。
【0059】
新規な群の有機金属化合物を提供する。これらの化合物には、そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に2つの炭素原子を介して連結したキノリン又はイソキノリンをそれぞれ有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子、例えば、(図3に示したように)連結されたフェニルキノリン又は連結されたフェニルイソキノリンが含まれる。さらに、その配位子は、キノリン、イソキノリン、あるいはそのキノリン又はイソキノリンを芳香族環に連結している2つの炭素原子上に、水素及び重水素以外の少なくとも1つの置換基、すなわち嵩高い置換基をも含む。これらの化合物は、リン光OLED中の赤色発光体として用いることができる。特に、これらの化合物は、その剛性化及び嵩高い置換基の付加の結果として、安定で、狭く且つ効率的な赤色発光をもたらしうる。
【0060】
本明細書に開示した化合物は、剛直化の結果として狭い赤色発光をもたらすことができ、これはそのELスペクトルを狭くしうる。有機分子の半値幅(FWHW)でのスペクトルは、その分子がより剛直(rigid)になるにつれて狭くなりうる。本明細書に開示した化合物は、配位子の上の部分、例えばキノリン又はイソキノリンを、配位子の下の部分、例えばフェニル環に連結することによってより剛直にされる。例えば、これらの化合物は、連結されたフェニルキノリン又は連結されたフェニルイソキノリンを含みうる。特に、そのキノリンがフェニル環に連結されている2−フェニルキノリン配位子を含む化合物は、より狭いELスペクトルを有しうる。狭いELスペクトルは、OLEDに用いるためのエレクトロルミネッセンス物質の望ましい特性である。
【0061】
上で論じたように、2つの炭素原子の連結基(リンカー)が、そのキノリン又はイソキノリンを、そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結している。理論に縛られないが、連結基として炭素原子のみを用いることは、その他の連結基、例えば酸素原子をもつ連結基と比較した場合に、より良好なデバイス安定性、すなわち、より長いデバイス寿命をもたらしうると考えられる。さらに、連結基の骨格中の2つの原子は、1つの原子よりも望ましいと考えられる。1つの原子の連結基は小さすぎ、配位子の片側での配位子から金属への増大した配位結合角をもたらし、これが金属から配位子への結合強度を低下させ、次にその金属錯体の安定性を低下させうる。
【0062】
さらに、本明細書に開示した化合物は、連結された配位子中のキノリン、イソキノリン、又は2つの炭素原子上に水素及び重水素以外の置換基を有する結果として、安定且つ効率的な赤色発光をもたらしうる。理論に縛られないが、連結された配位子に嵩高い置換基を付加することは、その化合物における凝集及び自己消光を防ぎ、それによってより高いデバイス効率をもたらすことができると考えられる。
【0063】
理論に縛られないが、連結した配位子上の嵩高い基としてアルキル置換基を有することは特に有利であり、なぜなら、アルキルは広い範囲の調節可能性をもたらすからである。特に、アルキル置換基は、化合物の蒸発温度、溶解性、エネルギーレベル、デバイス効率、及び発光スペクトルの狭さを調節するために有用でありうる。さらに、アルキル基は、化学的に、及びデバイス駆動において安定な官能基であることができる。例えば、キノリン上のアルキル置換基を含む連結した配位子は、増大した効率をもたらしうる。
【0064】
それぞれ、2つの炭素原子を介して、そのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンを含んでいるフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物を提供する(図4に示す)。これらの化合物は、キノリン、イソキノリン、又は連結基(リンカー)上に、嵩高い置換基(すなわち、水素又は重水素ではない)をも含む。これらの化合物は、式M(L(L(Lを有する。
【0065】
配位子Lは、
【化16】

である。
【0066】
配位子Lは、
【化17】

である。
【0067】
配位子Lは第三の配位子である。
【0068】
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができる。Mは40よりも大きな原子番号を有する金属である。好ましくは、MはIrである。xは、1、2、又は3である。yは、0、1、又は2である。zは、0、1、又は2である。x+y+zは金属Mの酸化状態である。Rは、そのピリジンに縮合した炭素環又はヘテロ環である。Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよい。A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R、R、R、R、R′、R、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。いずれか2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【0069】
本明細書に開示した化合物については、嵩高い置換基は、その連結した配位子中のキノリン、イソキノリン、又は2つの炭素原子上に存在する。この嵩高い基は、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせであることができ、すなわち、嵩高い基は水素又は重水素以外の置換基である。理論に縛られないが、嵩高い置換基がR、R、R、R、及びR′の位置の1つ以上に配置されている場合、その嵩高い置換基はその化合物の発光色に影響を及ぼすことはほとんどありそうにないと考えられる。
【0070】
一つの側面では、R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つはアルキルである。別の側面では、R′は水素でも、重水素でもない。好ましくは、R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは、2つより多い炭素原子を有するアルキルである。さらに好ましくは、R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つはイソブチルである。
【0071】
一つの側面では、Lはモノアニオン性二座配位子である。
【0072】
別の側面では、Lは、
【化18】

であり、R′、R′、及びR′はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、R′は水素である。さらに好ましくは、R′、R′、及びR′のうち少なくとも1つは、そのカルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐している分岐アルキル基を含む。さらに好ましくは、R′及びR′のうち少なくとも1つはイソブチルである。
【0073】
一つの側面では、この化合物は下記式を有する。
【化19】

【0074】
及びRは、モノ、ジ、トリ、及びテトラ置換を表しうる。R及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つは水素でも、重水素でもない。mは、1、2、又は3である。
【0075】
別の側面では、上記化合物は下記式を有する。
【化20】

【0076】
及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表わすことができる。R及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、水素でも、重水素でもない。mは、1、2、又は3である。
【0077】
一般に、赤色発光を維持するとともに、これらの化合物のその他の特性、例えば、蒸発温度及び溶解性を向上させることが望ましい。ある場合には、上記化合物が環A上に、より嵩高くない置換基を有することが望ましい。環A、例えば、ベンゼンは、上で論じたとおり、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせで置換されていることができる。しかし、環A上に嵩高い置換基を配置することは、化合物の発光色に明確なシフトを引き起こしうると考えられる。いくつかの側面では、環Aを、より嵩高くない化学置換基で置換して、良好な赤色発光を維持させるとともに、その化合物のその他の特性、例えば、蒸発温度及び溶解性を向上させることが好ましい。
【0078】
一つの側面では、上記化合物はホモレプティックである。別の側面では、上記化合物はヘテロレプティックである。
【0079】
2つの炭素原子の連結基を介してそれぞれそのフェニルキノリン又はフェニルイソキノリンのフェニル環に連結したキノリン又はイソキノリンを有するフェニルキノリン又はフェニルイソキノリン配位子を含む有機金属化合物の具体的な、非限定的な例を提供する。これらの化合物はさらに、そのキノリン、イソキノリン、又は連結基上に、嵩高い置換基を含む。一つの側面では、上記化合物は以下のものからなる群から選択される。
【0080】
【化21】

【0081】
【化22】

【0082】
【化23】

【0083】
【化24】

【0084】
【化25】

【0085】
【化26】

【0086】
好ましくは、上記化合物は、
【化27】

である。
【0087】
さらに、第一の有機発光デバイスを含む第一のデバイスを提供する。さらに、この有機発光デバイスは、アノード、カソード、及びそのアノードとカソードの間に配置された有機層を含む。さらに、この有機層は、式M(L(L(Lを有する化合物を含む。
【0088】
配位子Lは、
【化28】

である。
【0089】
配位子Lは、
【化29】

である。
【0090】
配位子Lは第三の配位子である。
【0091】
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができる。Mは40よりも大きな原子番号を有する金属である。xは、1、2、又は3である。yは、0、1、又は2である。zは、0、1、又は2である。x+y+zは金属Mの酸化状態である。Rは、そのピリジン環に縮合した炭素環又はヘテロ環である。Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよい。A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環である。R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができる。R、R、R、R、R′、R、R、R、及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。R、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもない。いずれか2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【0092】
式M(L(L(Lを有する化合物について上で論じた様々な具体的側面は、上記の第一のデバイスに用いられるM(L(L(Lを有する化合物にも適用できる。特に、式M(L(L(Lを有する化合物のL、L、L、A、B、C、R、R、R、R、R、R′、R、R、R、R、R、R、R′、R′、R′、M、m、式III、及び式IVの具体的な側面は、上記の第一のデバイスに用いられるM(L(L(Lを有する化合物にも適用できる。
【0093】
一つの側面では、第一のデバイスは消費者製品である。別の側面では、第一のデバイスは有機発光デバイスである。なお別の側面では、第一のデバイスは照明パネルを含む。
【0094】
一つの側面では、上記有機層は発光層であり、上記化合物は発光ドーパントである。別の側面では、有機層はさらにホストを含む。好ましくは、ホストは金属8−ヒドロキシキノレートである。
【0095】
[その他の物質との組み合わせ]
有機発光デバイス中の具体的な層に有用として本明細書に記載した物質は、そのデバイス中に存在するその他の広範囲にわたる物質と組み合わせて用いることができる。例えば、本明細書に開示した発光ドーパントは、存在してもよい広い範囲のホスト、輸送層、阻止層、注入層、電極、及びその他の層と組み合わせて用いることができる。以下に記載乃至言及した物質は、本明細書に記載した化合物と組み合わせて有用でありうる物質の非限定例であり、当業者は組み合わせて有用でありうるその他の物質を特定するために文献を容易に参考にすることができる。
【0096】
〔HIL/HTL〕
【0097】
本発明に用いられる正孔注入/輸送物質は特に限定されず、その化合物が通常、正孔注入/輸送物質として用いられる限り任意の化合物を用いることができる。この物質の例には以下のものが含まれるがそれらに限定されない:
フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フルオロ炭化水素を含むポリマー;導電性ドーパントを伴うポリマー;導電性ポリマー、例えば、PEDOT/PSS;ホスホン酸及びシラン誘導体などの化合物から誘導される自己組織化モノマー;金属酸化物誘導体、例えば、MoO;p型半導体有機化合物、例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル;金属錯体、及び架橋性化合物。
【0098】
HIL又はHTLに用いられる芳香族アミン誘導体の例には以下の構造のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化30】

【0099】
Ar〜Arのそれぞれは、芳香族炭化水素環式化合物からなる群、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;及び、前記の芳香族炭化水素環式基及び前記の芳香族ヘテロ環式基から選択された同じ種類又は異なる種類の基である2〜10の環状構造単位からなり、互いに直接又は少なくとも1つの酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環式基を介して結合された基、から選択される。式中、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0100】
一つの側面では、Ar〜Arは以下のものからなる群から独立に選択される。
【化31】

【0101】
kは1〜20の整数であり;X〜XはC(CHも含めて)又はNであり;Arは上で定義したものと同じ基を有する。
【0102】
HIL又はHTLに用いる金属錯体の例には以下の一般式のものが含まれるがそれらに限定されない。
【化32】

【0103】
Mは40より大きな原子量を有する金属であり;(Y−Y)は二座配位子であり、Y及びYは独立に、C、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0104】
一つの側面では、(Y−Y)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0105】
別の側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0106】
別の側面では、Mは、Ir、Pt、Os、及びZnから選択される。
【0107】
さらなる側面では、この金属錯体は、溶液中でFc/Fcカップルに対して約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
【0108】
〔ホスト〕
【0109】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光物質として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、その金属錯体をドーパント物質として用いるホスト物質を含んでいてもよい。ホスト物質の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントの三重項エネルギーよりも大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0110】
ホストとして用いられる金属錯体の例は、以下の一般式を有することが好ましい。
【化33】

【0111】
Mは金属であり;(Y−Y)は二座配位子であって、Y及びYは独立にC、N、O、P、及びSから選択され;Lは補助配位子であり;mは1からその金属に結合しうる配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nはその金属に結合しうる配位子の最大数である。
【0112】
一つの側面では、金属錯体は、
【化34】

である。
【0113】
(O−N)は二座配位子であり、金属をO及びN原子に配位させている。
【0114】
別の側面では、MはIr及びPtから選択される。
【0115】
さらなる側面では、(Y−Y)はカルベン配位子である。
【0116】
ホストとして用いられる有機化合物の例は、以下のものからなる群から選択される:芳香族炭化水素環状化合物、例えば、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン;芳香族ヘテロ環状化合物からなる群、例えば、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン、及びセレノフェノジピリジン;並びに、前記の芳香族炭化水素環状基及び前記の芳香族ヘテロ環状基から選択される同じか又は異なる種類の基であり、且つ酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位、及び脂肪族環状基のうちの少なくとも1つを介して又は直接、互いに結合されている2〜10の環状構造単位からなる群。ここで各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基でさらに置換されている。
【0117】
一つの側面では、ホスト化合物はその分子内に以下の基のうちの少なくとも1つを含む:
【化35】

【0118】
〜Rは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0119】
kは0〜20の整数である。
【0120】
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0121】
〔HBL〕
【0122】
正孔阻止層(HBL)は、発光層を離れる正孔及び/又は励起子の数を減らすために用いることができる。デバイスにおけるそのような阻止層の存在は、阻止層をもたない類似のデバイスと比較して実質的に高い効率をもたらしうる。また、阻止層は、OLEDの所望の領域に発光を閉じ込めるために用いることもできる。
【0123】
一つの側面では、HBLに用いられる化合物は、上述したホストして用いられるものと同じ分子を含む。
【0124】
別の側面では、HBLに用いられる化合物は、その分子中に以下の基のうち少なくとも1つを含む:
【化36】

【0125】
kは0〜20の整数であり;Lは補助配位子であり、mは1〜3の整数である。
【0126】
〔ETL〕
【0127】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送できる物質を含むことができる。電子輸送層はその本来的性質(非ドープ)であるか、あるいはドープされていてもよい。ドーピングは導電性を高めるために用いることができる。ETL物質の例は特に限定されず、それらが電子を輸送するために通常用いられる限り、任意の金属錯体又は有機化合物を用いることができる。
【0128】
一つの側面では、ETLに用いる化合物は、その分子内に以下の基のうち少なくとも1つを含む。
【化37】

【0129】
は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合には、それは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0130】
Ar〜Arは上述したAr類と同様の定義を有する。
【0131】
kは0〜20の整数である。
【0132】
〜XはC(CHも含めて)又はNから選択される。
【0133】
別の側面では、ETLに用いられる金属錯体には以下の一般式のものが含まれるがこれらには限定されない。
【化38】

【0134】
(O−N)又は(N−N)は二座配位子であり、金属をO,N、又はN,N原子に配位させ;Lは補助配位子であり;mは、1からその金属に結合できる配位子の最大数までの整数値である。
【0135】
OLEDデバイスの各層に用いられる任意の上述した化合物においては、その水素原子は部分的に又は完全に重水素化されていることができる。
【0136】
本明細書に開示した物質に加えて、及び/又はそれと組み合わせて、多くの正孔注入物質、正孔輸送物質、ホスト物質、ドーパント物質、励起子/正孔阻止層物質、電子輸送及び電子注入物質をOLEDに用いてもよい。本明細書に開示した物質と組み合わせてOLEDに用いてもよい物質の非限定的な例を以下の表1に列挙している。表1には、非限定的な物質群、各群についての錯体の非限定的な例、及びその物質を開示している参考文献を挙げている。
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【0141】
【表5】

【0142】
【表6】

【0143】
【表7】

【0144】
【表8】

【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
【表12】

【0149】
【表13】

【0150】
【表14】

【0151】
【表15】

【0152】
【表16】

【0153】
【表17】

【0154】
【表18】

【0155】
【表19】

【0156】
【表20】

【0157】
【表21】

【0158】
【表22】

【0159】
【表23】

【実施例】
【0160】
例1.化合物9の合成
【化39】

【0161】
(2−アミノ−6−クロロフェニル)メタノールの合成
2−アミノ−6−クロロ安息香酸(25.0 g, 143 mmol)を500mLの二口丸底フラスコ中で120mLの無水THFに溶かした。この溶液を氷水浴中で冷やした。215mLの1.0Mリチウムアルミニウムヒドリド(LAH)のTHF溶液を次に滴下して添加した。全てのLAHを添加した後、反応混合物を室温まで温まるようにさせておき、夜通し室温で撹拌した。約10mLの水を反応混合物に添加し、次に7gの15%NaOHを添加した。さらに20gの水を反応混合物に添加した。有機THF層をデカンテーションし、固体を酢酸エチル約200mLとともに添加し、酢酸エチル有機部分及びTHF部分を一緒にし、そしてNaSO乾燥剤を添加した。その混合物を濾過して、蒸発させた。約20gの黄色固体が得られ、さらなる精製なしに次のステップの反応に用いた。
【0162】
【化40】

【0163】
8−クロロ−2,4−ジメチル−5,6−ジヒドロベンゾ[c]アクリジンの合成
(2−アミノ−6−クロロフェニル)メタノール(16 g, 101 mmol)、5,7−ジメチル−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(20.0 g, 111 mmol)、RuCl(PPh(0.971 g, 1.01 mmol)、及びKOH(5.7 g, 101 mmol)を200mLのトルエン中で12時間還流させた。ディーン・スタークトラップを使用して反応物から水を集めた。その反応混合物を室温まで冷えるようにし、シリカゲルの詰め物を通して濾過し、ジクロロメタンで溶離させた。生成物をメタノールで洗い、ヘキサンから再結晶させて、約20gの所望の生成物を得て、これはGC−MSで確認した。
【0164】
【化41】

【0165】
8−イソブチル−2,4−ジメチル−5,6−ジヒドロベンゾ[c]アクリジンの合成
8−クロロ−2,4−ジメチル−5,6−ジヒドロベンゾ[c]アクリジン(15.0 g, 51.1 mmol)、イソブチルボロン酸(7.8 g, 77 mmol)、ジシクロへキシル(2′,6′−ジメトキシ−[1,1′−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(1.6 g, 4.08 mmol)、リン酸カリウム一水和物(41.2 g, 179 mmol)を300mLのトルエン中で混ぜた。この系を20分間脱ガスした。Pd(dba)(0.93 g, 1.02 mmol)を次に添加し、その系を夜通し還流させた。室温に冷やした後、セライト(登録商標)の詰め物を通して反応混合物を濾過し、トルエン中30%酢酸エチルで溶離させた。約19.5gの粗製液体が得られた。この粗生成物をヘキサン中5%アセトンから再結晶させて約14.9gの純粋な生成物を得て(99.6%)、これはGC−MSによって確認した。
【0166】
【化42】

【0167】
イリジウムダイマーの合成
8−イソブチル−2,4−ジメチル−5,6−ジヒドロベンゾ[c]アクリジン(11.5 g, 36.5 mmol)、IrCl・4HO(4.5 g, 12.2 mmol)、2−エトキシエタノール(90 mL)、及び水(30 mL)の混合物を窒素下で夜通し還流させた。その反応混合物を濾過し、MeOH(3×20 mL)で洗った。約9gのダイマーが、真空乾燥後に得られた。このダイマーはさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0168】
【化43】

【0169】
化合物9の合成
ダイマー(3.5 g, 2.07 mmol)、ペンタン−2,4−ジオン(2.07 g, 20.7 mmol)、NaCO(2.19 g, 20.7 mmol)、及び2−エトキシエタノール(100 mL)を室温で24時間撹拌した。沈殿物を濾過し、メタノールで洗った。この固体を、(ヘキサン中15%のTEAで前処理した)シリカゲルの詰め物を通し、メチレンクロライドで溶出することによってさらに精製した。0.6gの生成物である化合物9を精製後に得た。この化合物はLC−MSで確認した。
【0170】
例2.化合物10の合成
【0171】
化合物10を化合物9と同様の方法で合成し、LC−MSで確認した。
【0172】
[デバイス例]
全てのデバイス例は、高真空(<10−7Torr)熱蒸着(VTE)によって作製した。アノード電極は、1200Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAlからなる。全てのデバイスは、作製後直ちに窒素グローブボックス(<1ppmのHO及びO)中でエポキシ樹脂を用いてシールしたガラス蓋で密封し、吸湿剤をそのパッケージ内に組み込んだ。
【0173】
デバイス例の有機積層部はITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として100Åの化合物A、正孔輸送層(HTL)として300Åの4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、発光層(EML)として、4、6、又は8質量%のIr燐光化合物とともにホストとしてBAlq中にドープした本発明の化合物300Å、そしてETLとして500又は550ÅのAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)、からなっていた。
【0174】
化合物Bを用いる比較デバイス例を、化合物BをEML中の発光体として用いることを除いて上記デバイス例と同様にして作製した。
【0175】
本明細書で用いるとおり、上記デバイス例に用いた化合物A、化合物B、及びその他の化合物は以下の構造を有する。
【化44】

【0176】
デバイス構造を表2にまとめており、デバイスデータは表3にまとめている。
【0177】
【表24】

【0178】
【表25】

【0179】
表3はデバイスデータのまとめである。発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)、及び電力効率(PE)は、1000nitsにおいて測定し、一方、寿命(LT97%)は、一定の電流密度のもとで、2000nitsにおいてその初期輝度の97%にそのデバイスが低下するのに要した時間として定義した。
【0180】
表3からわかるように、化合物10を含むデバイスについて1000nitsで測定したEQEは、化合物Bを含むデバイスについて測定したEQEよりも17%高い。さらに、化合物10のELスペクトルの半値全幅(FWHM)はまた、化合物BのFWHMよりも狭く、すなわち、化合物10のFWHMが54nmである一方、化合物BのFWHMは60nmである。しかし、化合物9のFWHMは、化合物BのFWHMに類似している。狭いFWHMを有することは望ましいデバイス特性である。これらの結果は、化合物10は化合物Bよりも効率的な赤色発光体であり、より狭い望ましいFWHMをもつことを示している。
【0181】
化合物10はまた、化合物Bよりも長い寿命を有し、すなわち、化合物10について室温で測定したLT97%は、化合物Bについて室温で測定したLT97%の約3倍の長さである。化合物10は、それがキノリン環上により嵩高い置換基を有する点で化合物Bと異なる。したがって、キノリン環上に置換基をもつ化合物を含むデバイスは、顕著に向上した性能を有しうる。
【0182】
本明細書に記載した様々な態様は例示の目的であり、本発明の範囲を限定することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した多くの物質及び構造は、本発明の精神から離れることなく、その他の物質及び構造で置き換えることができる。特許請求の範囲に記載した本発明は、したがって、本明細書に記載した具体的な例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、それは当業者には明らかである。本発明が何故機能するのかについての様々な理論は限定することを意図していないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式M(L(L(Lを有する化合物:
式中、配位子Lは、
【化1】

であり;
配位子Lは、
【化2】

であり;
配位子Lは第三の配位子であり;
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができ;
Mは40よりも大きな原子番号を有する金属であり;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは金属Mの酸化状態であり;
Rは、ピリジン環に縮合した炭素環又はヘテロ環であり;
Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよく;
A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
、R、R、R、R′、R、R、R、及びRは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、重水素でもなく;且つ、
いずれかの2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【請求項2】
MがIrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つは、2つより多い炭素原子を有するアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、R、及びR′のうち少なくとも1つはイソブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R′が水素でも、重水層でもない、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がモノアニオン性二座配位子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、
【化3】

であり、R′、R′、及びR′はそれぞれ独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
′、R′、及びR′のうち少なくとも1つが、そのカルボニル基のα位よりも遠い位置で分岐している分岐アルキル基を含む、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
′及びR′のうち少なくとも1つがイソブチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
′が水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
下記式を有する請求項1記載の化合物。
【化4】

式中、R及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つは水素ではなく、また重水素でもなく;
mは、1、2、又は3である。
【請求項13】
下記式を有する請求項1記載の化合物。
【化5】

式中、R及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
及びRのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
、R、R、R、及びRのうち少なくとも1つは水素ではなく、また重水素でもなく;
mは、1、2、又は3である。
【請求項14】
ホモレプティックである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
ヘテロレプティックである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
以下のものからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【請求項17】
以下のものからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化14】

【請求項18】
第一の有機発光デバイスを含み、さらに、
アノード;
カソード、及び;
前記アノード及びカソードの間に配置された有機層をさらに含み、前記有機層が式M(L(L(Lを有する化合物を含む、第一のデバイスであって、
式M(L(L(L中、
配位子Lは、
【化15】

であり;
配位子Lは、
【化16】

であり;
配位子Lは第三の配位子であり;
、L、及びLのそれぞれは、同じであるか又は異なることができ;
Mは40よりも大きな原子番号を有する金属であり;
xは、1、2、又は3であり;
yは、0、1、又は2であり;
zは、0、1、又は2であり;
x+y+zは金属Mの酸化状態であり;
Rは、ピリジン環に縮合した炭素環又はヘテロ環であり;
Rは任意選択により場合によってはR′でさらに置換されていてもよく;
A、B、及びCはそれぞれ独立に、5又は6員の炭素環又はヘテロ環であり;
R′、R、R、R、及びRは、モノ、ジ、トリ、又はテトラ置換を表すことができ;
、R、R、R、R′、R、R、R、及びRはのそれぞれは独立に、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
、R、R、R、及びR′のうちの少なくとも1つは水素ではなく、また重水素でもなく;且つ、
いずれか2つの隣接するR、R、R、R、及びR′は、任意選択により場合によっては連結してアルキル環を形成していてもよい。
【請求項19】
前記第一のデバイスが消費者製品である、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項20】
前記第一のデバイスが有機発光デバイスである、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項21】
前記第一のデバイスが照明パネルを含む、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項22】
前記有機層が発光層であり、且つ前記化合物が発光ドーパントである、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項23】
前記有機層がさらにホストを含む、請求項18に記載の第一のデバイス。
【請求項24】
前記ホストが金属8−ヒドロキシキノレートである、請求項23に記載の第一のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−56880(P2013−56880A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−169324(P2012−169324)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【Fターム(参考)】