説明

有機発光ダイオードカラー表示装置

【課題】有効寿命の長い有機発光ダイオードカラー表示装置を提供すること。
【解決手段】表示装置ピクセルが複数の色の異なるサブピクセルを有し、これらのサブピクセルの面積寸法が、当該発光要素の発光効率と目標表示白色点の色度とに基づき異なることにより、発光効率の低いサブピクセルの早期劣化を防止するようにした有機発光ダイオードカラー表示装置であって、該サブピクセルの相対寸法が該サブピクセルの相対経時輝度安定性に基づくことにより、表示装置の有効寿命を延長するように改良された有機発光ダイオードカラー表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命を向上させた有機発光ダイオード(OLED)カラー表示装置と、そのような表示装置の設計方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示技術に関する最近の進歩には、有機発光ダイオードを使用して構築されたフラットパネル表示装置の出現が含まれる。このフラットパネル表示技術は、より一般的な液晶表示技術に基づくフラットパネル表示装置よりも有利な点が多い。大規模な均一バックライトからの光を変調するために液晶材料の配向を利用する液晶表示装置とは異なり、OLED表示装置は、光を放出する材料を利用する。フルカラー表示装置は、典型的には、それぞれ色の異なる光を放出する3種類の材料を基板上に付着させることにより構築されるが、単一の発光材料とカラーフィルターアレイを使用して構築されることもできる。これらの独立した発光要素を異なる空間位置に付着させることにより、3原色の光が人間の目で統合されてこのような少ない原色から大きな色域が知覚されると、フルカラー表示装置の構築が可能となる。この付着に際しては、基板上に3原色の各々が、通常は等しい面積で付着される。
【0003】
残念ながら、現在利用可能なOLED材料を用いて、面積の等しいサブピクセルを利用して表示装置を構築すると、当該表示装置の寿命が、OLED材料の1種、典型的には青色材料の寿命によって制限されることが多い。すなわち、多色表示装置の実用品に組み込むと、典型的な青色材料の輝度がその初期輝度の半分にまで劣化するのに要する時間が、典型的な緑色又は赤色材料の輝度がその初期輝度の半分にまで劣化するのに要する時間の一部にすぎないことが多い。例えば、一般に利用可能なある一組の材料を使用し、標準的な色温度の表示装置とするのに必要な電流で各材料組を駆動した場合、赤色発光サブピクセルは青色発光サブピクセルの約5.5倍の寿命を示し、緑色発光サブピクセルは青色発光サブピクセルの約7倍の寿命を示すことがある。
【0004】
バランスのとれたフルカラー表示装置を維持するためには、当該表示装置の寿命を通して3色材料の相対輝度が維持されることが重要である。これらの相対輝度値が大幅に変化すると、画像の色バランスがとれなくなり、そのような表示装置にユーザーは満足しなくなり、その表示装置を寿命がきたものとみなすであろう。青色効率の低下については、青色サブピクセルを流れる電流密度を絶えず増大させることにより、ある程度は補償をすることが可能である。しかしながら、電流密度の増大は輝度減衰を加速させやすいことが知られている。このため、実際には問題は悪化し、表示装置の破損前寿命は一段と短くなる。別法として、赤色と緑色の輝度を低下させて青色とのバランスをとる方法もあるが、これでは表示装置全体の明るさが低下してしまう。表示装置が薄暗くなると、当該3色の相対輝度とは無関係に、ユーザーは、その表示装置をその有効寿命がきたものとみなすこともある。表示装置の有効寿命を最大限引き延ばすためには、絶対輝度の低下を極力抑えつつ3色要素の相対輝度を維持することができる時間を最大限延長することが重要である。
【0005】
2002年2月7日発行の米国特許出願公開第2002/0014837号明細書において、Kimらは、面積の等しくない発光材料を具備したフラットパネル表示装置について記述している。Kimらは、OLED表示装置に用いられる色材の発光効率に基づき赤色、緑色及び青色の各発光要素の相対面積を調整したOLED表示装置について記述している。一般に、利用可能な赤色OLED材料は、現存する緑色及び青色のOLED材料よりも発光効率が有意に低いことが知られている。現存する赤色OLED材料の効率が低いため、サブピクセルの寸法を同等に維持したい場合には、当該低発光効率材料に付与しなければならない平方面積当たりの電力を高めて所望の光出力を得る必要がある。この基準を採用し、Kimは、赤色発光面積が緑色及び青色の発光面積の2倍もあるOLED表示装置を提案している。赤色発光材料の面積を緑色又は青色材料よりも大きくした表示装置を創ることにより、平方面積当たりの相対出力を、異なる色材の全体にわたりある程度均展させることはできる。しかしながら、Kimらが提案した表示装置のレイアウトの最適化は、必ずしも、これらの材料の寿命が最適化される設計につながるものではない。
【0006】
2002年4月2日発行の米国特許第6366025号(Yamada)に、発光要素の面積が同等ではないOLED表示装置であって、該発光要素の面積を、OLED表示装置の寿命を延ばす目的で調整したものが記載されている。Yamadaは、目的の発光要素面積を決めようとする際、当該材料の発光効率、当該発光材料の各々の色度、及び目標表示装置の色度を考慮している。しかしながら、Yamadaは、装置寿命に影響を与えるOLED材料の他の重要な特性、例えば、材料が異なるとその固有の輝度の経時安定性が異なること、については議論していない。さらに、Yamadaは、それぞれがOLED材料の全体寿命に影響を及ぼす、目標表示装置の設計の重要な光学特性を考慮していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6366025号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0014837号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、OLED表示装置における発光要素の配置を、当該表示装置の構築に用いられる発色材料が異なることによる相対効率及び相対経時輝度安定性の相違を補償し、よって真に寿命の長い表示装置を提供することができるように改良することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の必要性は、表示装置ピクセルが複数の色の異なるサブピクセルを有するOLEDカラー表示装置であって、該サブピクセルの面積寸法が、当該発光要素の発光効率と、目標表示白色点の色度と、該サブピクセルの相対経時輝度安定性とに基づき異なることにより該表示装置の有効寿命が延びる、そのようなOLEDカラー表示装置を提供する本発明により満たされる。
【0010】
本発明によると、表示装置ピクセルが複数の色の異なるサブピクセルを有し、これらのサブピクセルの面積寸法が、当該発光要素の発光効率と目標表示白色点の色度とに基づき異なることにより、発光効率の低いサブピクセルの早期劣化を防止するようにした有機発光ダイオードカラー表示装置であって、該サブピクセルの相対寸法が該サブピクセルの相対経時輝度安定性に基づくことにより、表示装置の有効寿命を延長するように改良された有機発光ダイオードカラー表示装置が提供される。
また、本発明によると、該サブピクセルの相対寸法が下記方程式により決定される、上記のカラー表示装置が提供される。
=f(E,T,Y
(上式中、Aはサブピクセルの寸法であり、Eは色の異なるサブピクセルの材料効率であり、Tは色の異なるサブピクセルの経時輝度安定性であり、そしてYは、サブピクセルの所定の目標表示白色及びその色度座標に対する色の異なるサブピクセルの輝度である。)
さらに、本発明によると、該経時輝度安定性が下式で定義される、上記のカラー表示装置が提供される。
=cI
(上式中、c及びdは定数であり、そしてIはサブピクセルを流れる電流密度である。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の有利な効果は、表示装置に用いられる材料の相対効率及び経時輝度安定性の差異を考慮に入れることにより、フルカラーOLED表示装置の有効寿命が延びることである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術において知られている大きさの異なるサブピクセルを有するピクセルを示す略図である。
【図2】本発明による相対サブピクセル面積を決定するために用いられる反復プロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明による相対サブピクセル面積を決定するために用いられる別のプロセスを示すフローチャートである。
【図4】典型的な従来技術の有機発光表示装置構造を示す略横断面図である。
【図5】最大サブピクセルを2以上の発光領域に分割した、本発明の一態様によるOLED表示装置の表示ピクセルを示す略上面図である。
【図6】最終表示装置の寿命が最適化されるように多重堆積層数及びサブピクセルの大きさを選定した、本発明による有機発光表示装置構造を示す略図である。
【図7】色の異なる着色層を上下に堆積し、そして最終表示装置の寿命が最適化されるように各色の層数を選定した、本発明による有機発光表示装置構造を示す略図である。
【図8】1つのサブピクセルを第1層の上に設け、かつ、第2、第3のサブピクセルを第2層の上に設け、そして最終表示装置の寿命が最適化されるようにサブピクセルの相対的な大きさを選定した、本発明による有機発光表示装置構造を示す略図である。
【図9】赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ放出するOLED材料の輝度出力と電流密度との関係を示す、本発明を記述するのに有用なグラフである。
【図10】赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ放出するOLED材料の経時輝度安定性と電流密度との関係を示す、本発明を記述するのに有用なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「表示装置」は、ビデオ映像又はテキストを電子的に表示し得るスクリーンをさす。用語「ピクセル」は、当該技術分野で認識されている意味で用いられており、画像の一部を形成するためアドレスされ得る表示装置の要素をさす。用語「フルカラー」は、カラー画像を形成し得る多色表示装置をさす。一般に、赤、緑及び青が3原色を構成し、これらを適宜混合することによって他のすべての色を作り出すことができる。「フルカラー」表示装置は、4色以上からも形成し得ることが認識されている。用語「サブピクセル」は、フルカラー表示装置において使用され、特定の色を放出させるため独立してアドレス可能なピクセルの一部をさす。例えば、青色サブピクセルは、青色光を放出させるためアドレスされ得るピクセル部分である。フルカラー表示装置では、ピクセルは、一般に3原色のサブピクセル、すなわち青、緑及び赤、を含む。用語「ピクセル」又は「サブピクセル」は、一般に、表示装置におけるアドレス可能な最小単位をさす。本明細書では、用語「発光要素」と用語「サブピクセル」とを相互交換可能に使用する。
【0014】
本発明は、原色の発光要素(サブピクセル)の相対面積を、当該表示装置の有効寿命が改良されるように調整したフルカラーOLED表示装置に関する。本発明は、当該表示装置の有効寿命が最適化されるように、表示装置の要素(サブピクセル)を構成する発光材料の輝度効率のような他の因子に加え、相対的な輝度の経時安定性を考慮しつつ当該表示装置の各サブピクセルの全体面積を相対的に調整することによって達成される。本明細書中、表示装置の有効寿命とは、当該表示装置がその輝度出力及び/又は白色点安定性のような要件を満たすことができる時間数をさす。
【0015】
本発明は、ほとんどのOLEDデバイス構成に採用することができる。これらには、単一アノードと単一カソードを含む非常に簡素な構造から、より一層複雑なデバイス、例えば、複数のアノードとカソードを直交配列させてピクセルを形成してなる単純マトリックス式表示装置や、各ピクセルを、例えば薄膜トランジスタ(TFT)で独立制御する、アクティブマトリックス式表示装置が含まれる。例えば、米国特許第6366025号明細書(本明細書の一部とする)に記載されている構造を採用して、本発明により決定される相対的大きさのサブピクセルを有するアクティブマトリックス式電場発光表示装置を形成することができる。図1は、ピクセル12を配列したフルカラーOLED表示装置10の一部を示す略図である。各ピクセル12は、従来技術において知られているように大きさの異なるサブピクセル14を有する。サブピクセル14には、それぞれ赤色、緑色及び青色の各発光サブピクセルを表わす標識R、G及びBが付されている。
【0016】
図2を参照する。表示装置の赤色、緑色及び青色の各サブピクセルの相対的な大きさは、本発明の一態様により、赤色、緑色及び青色の各発光サブピクセルの色度座標;当該表示装置の目標白色点及び輝度;赤色、緑色及び青色の各サブピクセルのフィルファクター(fill factor);赤色、緑色及び青色の各サブピクセルの効率;最終表示装置構成内のサブピクセルの光透過特性;並びに赤色、緑色及び青色の各発光材料の経時輝度安定性を考慮することによって決定される。
【0017】
本発明により赤色、緑色及び青色サブピクセルの相対的な大きさを計算するため、最初に、赤色、緑色及び青色発光材料の色度座標を決定する(24)。次に、表示装置の目標白色点及び輝度を選定する(26)。次いで、これらの値から、各発光要素から必要な目標輝度を計算する(28)。当該表示装置が加法混色系によって特性決定される場合には、これらの値を下記の方程式で計算することができる。
【0018】
【数1】

【0019】
上式中、Yは、最終表示装置の、電源を入れてその最大値にした時の輝度を表わし、x及びyは、所望の表示白色点の色度座標を表わし、Y、Y及びYは、赤色、緑色及び青色の各発光要素をそれらの最大値ですべて駆動した時に、選ばれた目標白色点及び輝度を発生させるために表示装置から出力されなければならない輝度値を表わし、x、x及びxは、それぞれ赤色、緑色及び青色の各発光材料のx色度座標を表わし、そしてy、y及びyは、それぞれ赤色、緑色及び青色の各発光材料のy色度座標を表わす。
【0020】
次に、表示装置の各発光要素(サブピクセル)について、光透過係数を決定する(30)。この光透過係数は、各発光要素の輝度のうち当該表示装置が放出することとなる比率を示す。光透過係数には、表示装置構造内の偏光子その他の層において起こる吸収や、表示装置構造内の異なる光学層間の界面で起こる反射といったような因子が含まれ得る。次いで、先に計算した輝度値にこの比率の逆数を掛け算して、望ましくない吸収が起こる前の各発光要素の目標輝度を決定することにより、カラー発光要素の各々について輝度値を計算する(32)。
【0021】
次に、各発光要素についてフィルファクターを選定する(34)。このフィルファクターは、全ピクセル面積のうち赤色、緑色又は青色の発光要素の光を放出することとなる比率である。次いで、工程32で決定された輝度値にこのフィルファクターを掛け算することにより、各カラー発光要素について必要な表面輝度値を計算する(36)。
【0022】
次に、各サブピクセルに使用される発光材料について、出力輝度を入力電流密度に対して関係付ける特性曲線(図9参照)を入力する(38)。ほとんどのOLED材料について、この特性曲線は一次関数となり、電流密度を輝度の関数として計算することが可能である。これらの関数は下記の式で表わすことができる。
I=(L−b)/a (4)
上式中、Iは各サブピクセルを駆動するのに要する電流密度を表わし、Lは先に計算した表面輝度を表わし、そしてaとbは発光材料毎に異なる定数である。次いで、これらの関数を使用して、選ばれた目標白色点及び輝度を表示するために各サブピクセルを駆動するのに要する目標電流密度を計算する(40)。
【0023】
次に、各サブピクセルに使用される材料について、電流密度を発光材料の経時輝度安定性に対して関係付ける特性曲線(図10参照)を決定する(42)。例えば、下記の式:
T=cI (5)
の冪関数を使用して、発光要素の初期輝度が半減するに至るまでの時間を推定することができる。上式中、Tは時間であり、そしてcとdは材料毎に異なる定数である。これらの特性曲線は、表示装置を製造するのに用いられる方法を使用して作られた試験ピクセルからの光出力を測定することによって実験的に決定される。次いで、これらの特性関数を使用して、表示装置内のサブピクセルの有効寿命を計算する(44)。3種類すべての発光要素についてこれらの有効寿命を計算したら、当該3つのサブピクセルの有効寿命が実質的に(所定の許容差内で)等しいかどうかに基づき、判定を行う(46)。これらの有効寿命が等しくならない場合には、当該3種類の発光要素のフィルファクターを変更し(48)、有効寿命の長い発光要素の面積を減少し、かつ、有効寿命の短い発光要素の面積を増加する。変更後の発光要素面積について、再度、計算(36、40及び44)を実行する。有効寿命が相互に同等である場合には、本プロセスは完了し(50)、そして当該表示装置の目標フィルファクターを使用して最終的な相対的サブピクセル寸法を決定する。
【0024】
図3を参照する。本発明の別の態様によると、表示装置の目標有効寿命を特定することによって表示装置について発光要素の相対面積を直接計算することができる。OLED表示装置の輝度が電流と直線関係にある、すなわち、印加電流が2倍になると面積Aについて測定される輝度も2倍となる、ものと仮定すると、相対サブピクセル寸法を計算することができる。この計算は、まず、発光要素について色度座標を提供する(52)ことにより実行することができる。次いで、目標表示白色点の目標色度座標及び輝度を選定する(54)ことにより、上記方程式(1)、(2)、(3)を使用する目標表示装置の目標白色点及び輝度、サブピクセルに使用される発光材料の色度座標を使用して、各発光要素について測定面積Aの所要輝度を計算することができる(56)。
【0025】
次に、各発光原色の目標光透過係数を選定し(58)、そして輝度を光透過係数で割り算することにより、所要輝度を計算する(60)。次いで、表示装置を製造するのに用いられる方法を使用して作られた均一試験セルの材料の測定面積Aに供給される電流と、各発光原色について同一試験セルのAについて測定される輝度との間の関数関係を決定することができる(62)。
【0026】
この関数関係を使用して、各発光原色について所要輝度を得るのに必要な面積A当たりの電流を計算する(64)。次いで、数種の試験セルを異なる電流密度で照明させ、当該要素の輝度の経時減衰を測定することによって、各発光要素の経時輝度安定性と電流密度との間の関数関係を決定することができる(66)。これらの関係を用い、目標有効寿命を特定する(68)。発光要素の経時輝度安定性と電流密度との間の関数関係を使用して、各発光原色について選ばれた有効寿命が得られることとなる電流密度を計算する(70)。最後に、面積A当たりの所要電流を、それぞれ計算された電流密度で割り算することによって、各発光原色について面積分率を計算する(72)。当業者であれば、発光要素の面積分率の合計が、物理的に製造され得るものよりも大きくなる場合(例えば、当該表示装置の製造に用いられる製造プロセスにより決定される表示装置フィルファクターよりも大きくなる場合)のあることを認識することとなる。このことは、本計算について特性付けられる材料を使用して目標有効寿命を満たす単層型表示装置を構築することが不可能であることを示唆している。
【0027】
本発明を成功裏に実施することができる有機層の構成はいくつかある。典型的な従来構造は、図4に示したように、基板122、アノード層92、正孔注入層124、正孔輸送層126、発光層128、電子輸送層130及びカソード116を含む。これらの層については、以下に詳述する。別法として基板をカソードに隣接するように配置できること、また基板が実際にアノード又はカソードを構成し得ることに、留意されたい。アノードとカソードの間の有機層を、便宜上、有機EL要素と称する。当該有機層の全体厚は500nm未満であることが好ましい。
【0028】
本発明のOLEDデバイスは、カソード又はアノードのいずれが接触していてもよい支持基板122の上に設けられることが典型的である。基板に接している電極を、便宜上、底部電極と称する。底部電極をアノードにすることが慣例的であるが、本発明はそのような構成に限定されるものではない。基板は、意図される発光方向に依存して、透光性又は不透明のいずれかであることができる。基板を介してEL発光を観察する場合には透光性が望まれる。このような場合、透明なガラス又はプラスチックが通常用いられる。EL発光を上部電極を介して観察する用途の場合には、底部支持体の透過性は問題とならないため、透光性、吸光性又は光反射性のいずれであってもよい。この場合の用途向け支持体には、ガラス、プラスチック、半導体材料、シリコン、セラミックス及び回路基板材料が含まれるが、これらに限定はされない。もちろん、このようなデバイス構成には、透光性の上部電極を提供する必要はある。
【0029】
EL発光をアノード92を介して観察する場合には、当該アノードは当該発光に対して透明又は実質的に透明であることが必要である。本発明に用いられる一般的な透明アノード材料はインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)及び酸化錫であるが、例示としてアルミニウム又はインジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウムインジウム酸化物及びニッケルタングステン酸化物をはじめとする他の金属酸化物でも使用することができる。これらの酸化物の他、窒化ガリウムのような金属窒化物、セレン化亜鉛のような金属セレン化物、及び硫化亜鉛のような金属硫化物をアノードとして使用することもできる。EL発光をカソード電極のみを介して観察する用途の場合には、アノードの透過性は問題とならず、透明、不透明又は反射性を問わずいずれの導電性材料でも使用することができる。このような用途向けの導体の例として、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム及び白金が挙げられるが、これらに限定はされない。典型的なアノード材料は、透過性であってもそうでなくても、4.1 eV以上の仕事関数を有する。望ましいアノード材料は、一般に、蒸発法、スパッタ法、化学的気相成長(CVD)法又は電気化学法のような適当な手段のいずれかによって付着される。アノードは、周知のフォトリソグラフ法によってパターン化することもできる。
【0030】
アノード122と正孔輸送層126との間に正孔注入層124を設けることがしばしば有用となる。正孔注入性材料は、後続の有機層のフィルム形成性を改良し、かつ、正孔輸送層への正孔注入を促進するのに役立つことができる。正孔注入層に用いるのに好適な材料として、米国特許第4720432号明細書に記載されているポルフィリン系化合物、及び米国特許第6208075号明細書に記載されているプラズマ蒸着フルオロカーボンポリマーが挙げられる。有機ELデバイスに有用であることが報告されている別の代わりの正孔注入性材料が、欧州特許出願公開第0891121号及び同第1029909号明細書に記載されている。
【0031】
正孔輸送層126は、芳香族第三アミンのような正孔輸送性化合物を少なくとも一種含有する。芳香族第三アミン類は、少なくとも一つが芳香環の員である炭素原子にのみ結合されている3価窒素原子を少なくとも1個含有する化合物であると理解されている。一態様として、芳香族第三アミンはアリールアミン、例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又は高分子アリールアミン基であることができる。単量体トリアリールアミンの例がKlupfelらの米国特許第3180730号明細書に記載されている。Brantleyらの米国特許第3567450号及び同第3658520号明細書には、1個以上の活性水素含有基を含み、かつ/又は、1個以上のビニル基で置換されている、他の適当なトリアリールアミンが開示されている。
【0032】
より好ましい種類の芳香族第三アミンは、米国特許第4720432号及び同第5061569号に記載されているような芳香族第三アミン部分を2個以上含有するものである。正孔輸送層は、芳香族第三アミン化合物の単体又は混合物で形成することができる。以下、有用な芳香族第三アミンを例示する。
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン
4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル
ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-フェニルメタン
N,N,N-トリ(p-トリル)アミン
4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[4(ジ-p-トリルアミノ)-スチリル]スチルベン
N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラ-1-ナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラ-2-ナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル
N-フェニルカルバゾール
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ビフェニル
4,4”-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-p-ターフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(3-アセナフテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’-ビス[N-(9-アントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4”-ビス[N-(1-アントリル)-N-フェニルアミノ]-p-ターフェニル
4,4’-ビス[N-(2-フェナントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(8-フルオルアンテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ナフタセニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(1-コロネニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N’,N’-テトラ(2-ナフチル)-4,4”-ジアミノ-p-ターフェニル
4,4’-ビス{N-フェニル-N-[4-(1-ナフチル)-フェニル]アミノ}ビフェニル
4,4’-ビス[N-フェニル-N-(2-ピレニル)アミノ]ビフェニル
2,6-ビス[N,N-ジ(2-ナフチル)アミン]フルオレン
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
【0033】
別の種類の有用な正孔輸送性材料として、欧州特許第1009041号に記載されているような多環式芳香族化合物が挙げられる。さらに、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びPEDOT/PSSとも呼ばれているポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)のようなコポリマー、といった高分子正孔輸送性材料を使用することもできる。
【0034】
米国特許第4769292号及び同第5935721号に詳述されているように、有機EL要素の発光層(LEL)128は発光材料又は蛍光材料を含み、その領域において電子-正孔対が再結合する結果として電場発光が生じる。発光層は、単一材料で構成することもできるが、より一般的には、ホスト材料に単一又は複数種のゲスト化合物をドーピングしてなり、そこで主として当該ドーパントから発光が生じ、その発光色にも制限はない。発光層に含まれるホスト材料は、後述する電子輸送性材料、上述した正孔輸送性材料、又は正孔-電子再結合を支援する別の材料もしくはその組合せ、であることができる。ドーパントは、通常は高蛍光性色素の中から選ばれるが、リン光性化合物、例えば、国際公開第98/55561号、同第00/18851号、同第00/57676号及び同第00/70655号に記載されているような遷移金属錯体も有用である。ドーパントは、ホスト材料中、0.01〜10質量%の範囲内で塗被されることが典型的である。ホスト材料として、ポリフルオレンやポリビニルアリーレン(例、ポリ(p-フェニレンビニレン)、PPV)のような高分子材料を使用することもできる。この場合、高分子ホスト中に低分子量ドーパントを分子レベルで分散させること、又はホストポリマー中に二次成分を共重合させることによりドーパントを付加すること、が可能である。
【0035】
ドーパントとしての色素を選定するための重要な関係は、当該分子の最高被占軌道と最低空軌道との間のエネルギー差として定義されるバンドギャップポテンシャルの対比である。ホストからドーパント分子へのエネルギー伝達の効率化を図るためには、当該ドーパントのバンドギャップがホスト材料のそれよりも小さいことが必須条件となる。
【0036】
有用性が知られているホスト及び発光性分子として、米国特許第4769292号、同第5141671号、同第5150006号、同第5151629号、同第5405709号、同第5484922号、同第5593788号、同第5645948号、同第5683823号、同第5755999号、同第5928802号、同第5935720号、同第5935721号及び同第6020078号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0037】
8-ヒドロキシキノリン(オキシン)及び類似の誘導体の金属錯体は、電場発光を支援することができる有用なホスト化合物の一種である。以下、有用なキレート化オキシノイド系化合物の例を示す。
CO-1:アルミニウムトリスオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)〕
CO-2:マグネシウムビスオキシン〔別名、ビス(8-キノリノラト)マグネシウム(II)〕
CO-3:ビス[ベンゾ{f}-8-キノリノラト]亜鉛(II)
CO-4:ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
CO-5:インジウムトリスオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)インジウム〕
CO-6:アルミニウムトリス(5-メチルオキシン)〔別名、トリス(5-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)〕
CO-7:リチウムオキシン〔別名、(8-キノリノラト)リチウム(I)〕
CO-8:ガリウムオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)ガリウム(III)〕
CO-9:ジルコニウムオキシン〔別名、テトラ(8-キノリノラト)ジルコニウム(IV)〕
【0038】
有用なホスト材料の別の種類として、9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン及びその誘導体のようなアントラセン誘導体、米国特許第5121029号に記載されているジスチリルアリーレン誘導体、並びに2,2’,2”-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール]のようなベンズアゾール誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0039】
有用な蛍光性ドーパントとして、例えば、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン及びキナクリドンの各誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、並びにカルボスチリル化合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0040】
電子輸送層(ETL)
本発明の有機EL要素の電子輸送層130を形成するのに用いられる好適な薄膜形成性材料は、オキシン(通称8-キノリノール又は8-ヒドロキシキノリン)自体のキレートをはじめとする、金属キレート化オキシノイド系化合物である。当該化合物は、電子の注入・輸送を助長し、高い性能レベルを発揮すると共に、薄膜加工が容易である。オキシノイド系化合物の例は既述した通り。
【0041】
他の電子輸送性材料として、米国特許第4356429号明細書に記載されている各種ブタジエン誘導体、及び米国特許第4539507号明細書に記載されている各種複素環式蛍光増白剤が挙げられる。ベンズアゾール及びトリアジンもまた有用な電子輸送性材料である。
【0042】
場合によっては、必要に応じて、層130及び層128を、発光と電子輸送の両方を支援する機能を発揮する単一層にすることが可能である。これらの層は、低分子型OLEDシステム及び高分子型OLEDシステムのどちらにおいても一体化することが可能である。例えば、高分子型システムの場合、PEDOT-PSSのような正孔輸送層をPPVのような高分子発光層との組合せで採用することが通例である。このシステムにおいては、PPVが発光と電子輸送の両方を支援する機能を発揮する。
【0043】
発光をアノードのみを介して観察する場合には、本発明に用いられるカソード層116は、ほとんどすべての導電性材料を含んでなることができる。望ましい材料は、下部の有機層との良好な接触が確保されるよう良好なフィルム形成性を示し、低電圧での電子注入を促進し、かつ、良好な経時輝度安定性を有する。有用なカソード材料は、低仕事関数金属(<4.0eV)又は合金を含むことが多い。好適なカソード材料の1種に、米国特許第4885221号明細書に記載されているMg:Ag合金(銀含有率1〜20%)を含むものがある。別の好適な種類のカソード材料として、有機層(例、ETL)に接している薄い電子注入層(EIL)に、これより厚い導電性金属層をキャップしてなる二層形が挙げられる。この場合、EILは低仕事関数の金属又は金属塩を含むことが好ましく、その場合には、当該より厚いキャップ層は低仕事関数を有する必要はない。このようなカソードの一つに、米国特許第5677572号明細書に記載されている、薄いLiF層にこれより厚いAl層を載せてなるものがある。その他の有用なカソード材料のセットとして、米国特許第5059861号、同第5059862号及び同第6140763号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0044】
カソードを介して発光を観察する場合には、当該カソードは透明又はほぼ透明でなければならない。このような用途の場合、金属が薄くなければならないか、又は透明導電性酸化物もしくはこれら材料の組合せを使用しなければならない。透光性カソードについては、米国特許第4885211号、米国特許第5247190号、JP3,234,963、米国特許第5703436号、米国特許第5608287号、米国特許第5837391号、米国特許第5677572号、米国特許第5776622号、米国特許第5776623号、米国特許第5714838号、米国特許第5969474号、米国特許第5739545号、米国特許第5981306号、米国特許第6137223号、米国特許第6140763号、米国特許第6172459号、欧州特許第1076368号及び米国特許第6278236号に詳しく記載されている。カソード材料は、蒸発法、スパッタ法又は化学的気相成長法により付着させることが典型的である。必要な場合には、例えば、マスク介在蒸着法、米国特許第5276380号及び欧州特許出願公開第0732868号明細書に記載の一体型シャドーマスク法、レーザーアブレーション法及び選択的化学的気相成長法をはじめとする多くの周知の方法により、パターンを形成させてもよい。
【0045】
上述した有機材料は、昇華法のような蒸気相法により適宜付着されるが、流体から、例えば、フィルム形成性を高める任意のバインダーと共に溶剤から、付着させてもよい。当該材料がポリマーである場合には、溶剤付着法が好適であるが、スパッタ法やドナーシートからの感熱転写法のような別の方法を利用することもできる。昇華法により付着すべき材料は、例えば、米国特許第6237529号明細書に記載されているように、タンタル材料を含むことが多い昇華体「ボート」から気化させてもよいし、当該材料をまずドナーシート上にコーティングし、その後これを基板に接近させて昇華させてもよい。複数材料の混合物を含む層は、独立した複数の昇華体ボートを利用してもよいし、予め混合した後単一のボート又はドナーシートからコーティングしてもよい。パターン化付着は、シャドーマスク、一体型シャドーマスク(米国特許第5294870号明細書)、ドナーシートからの空間画定型感熱色素転写(米国特許第5851709号及び同第6066357号明細書)及びインクジェット法(米国特許第6066357号明細書)を利用して達成することができる。
【0046】
ほとんどのOLEDデバイスは湿分もしくは酸素又はこれら双方に対して感受性を示すため、窒素又はアルゴンのような不活性雰囲気において、アルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、クレー、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、スルフェート、金属ハロゲン化物及び金属過塩素酸塩のような乾燥剤と一緒に、封止されることが一般的である。封入法及び乾燥法として、米国特許第6226890号明細書に記載されている方法が挙げられるが、これらに限定はされない。さらに、当該技術分野では、封入用として、SiOx、テフロン(登録商標)及び無機/高分子交互層のようなバリア層が知られている。
【0047】
本発明によるOLEDデバイスは、所望によりその特性を高めるため、周知の各種光学効果を採用することができる。これには、透光性を極大化するための層厚の最適化、誘電体ミラー構造の付与、反射性電極の吸光性電極への交換、表示装置への遮光又は反射防止コーティングの付与、表示装置への偏光媒体の付与、又は表示装置への着色、中性濃度もしくは色変換フィルタの付与が包含される。具体的には、フィルタ、偏光子及び遮光又は反射防止コーティングを、カバーの上に、又はカバーの一部として、設けることができる。
【0048】
上述した装置構成に加え、各有機EL要素を、同時係属米国特許出願第10/077270号明細書(本明細書の一部とする)に記載されているような一連の有機堆積体として構成することもできる。
【0049】
この実施は、赤色、緑色及び青色という異なる発光材料で構成されたOLED表示装置に関して説明されているが、当業者であれば、これと同一の表示装置構成及びプロセスを、カラーフィルターを採用するOLED表示装置の構成に適用できることを認識することができる。しかしながら、カラーフィルターを採用する場合、各カラー発光要素の色度座標及び発光材料の各色の輝度は、全体表示装置輝度及び色度座標に寄与するので、当該発光材料の可視スペクトルにわたる分光放射輝度を決定し、これらのスペクトルに各波長における各カラーフィルター要素の透過率を掛け算し、そして得られたスペクトル値を、標準CIE規定を使用して標準化された輝度及び色度座標に変換することによって計算しなければならない。
【0050】
本発明の別の態様により、サブピクセルをさらに分割して、空間的に離隔した領域にすることができる。このような態様を図5に示す。図中、面積の最も大きなサブピクセル(例えば、青色サブピクセル14B)が2つの領域に分割されている。本例では、赤色サブピクセル14R及び緑色サブピクセル14Gは、それぞれ単一領域からなる。この態様では、青色サブピクセルの配列の空間パターンは、通常の観察距離から当該表示装置を観察した場合に視覚的には知覚されにくくなるため、本発明により寿命が向上しつつ表示装置の知覚品位が向上する。
【0051】
図6を参照する。本発明のさらなる態様によると、米国特許出願第10/077270号明細書に記載されているようにアノードとカソードとの間に複数の正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を堆積させることにより、サブピクセルの相対面積が達成される。換言すれば、青色発光ユニットを2段積み重ねることにより、青色サブピクセルの面積が効果的に倍加する。この態様によると、異なるサブピクセルについて、等しくない数の発光層を堆積させることができ、さらには、等しくない面積を組み合わせることにより、本発明により計算される相対サブピクセル面積を達成することができる。
【0052】
図6に示したように、基板154の上のアノード156とカソード158との間に複数の層を堆積させる。好ましい態様では、アノード156の上に正孔注入層160を堆積し、続いて正孔輸送層162.1、発光層164.1及び電子輸送層166.1を堆積する。次いで、ドープされた有機コネクタ168.1を堆積する。ドープされた有機コネクタ168.1は、隣接する有機発光ユニットへの電子及び正孔の効率的注入を提供するものであればどのような材料であってもよい。この種の材料については、米国特許出願第10/077270号明細書に詳細に記載されている。
【0053】
ドープされた有機コネクタ168.1の上に、別の正孔輸送層162.2、発光層164.2及び電子輸送層166.2を堆積する。所望の寿命特性を達成するのに必要な数のスタック(発光ユニット)を、図6に青色サブピクセルについて示したように、ドープされた有機コネクタ168.1、2及び3、正孔輸送層162.1、2、3及び4、発光層164.1、2、3及び4、並びに電子輸送層166.1、2、3及び4という複数の層を供給することにより製造することができる。図6には、赤色発光要素について2段のユニット、緑色発光要素について3段のユニット、そして青色発光要素について4段のユニットを具備する装置が示されている。適切な数のユニットを堆積した後、そのスタック全体の上に電子注入層169を堆積し、続いてカソード158を堆積する。
【0054】
緑色、赤色及び青色の各発光領域の面積の大きさの序列、並びに緑色、赤色及び青色の各発光領域の層数は、上述した本発明の方法により決定される。しかしながら、この態様の範囲内で、3種類の発光要素の寿命が等しくないと決定された場合、当該3つのサブピクセルの相対寸法及び/又は層数を変更し(48)、値の大きい材料の面積を減少し、かつ、値の小さい材料の面積を増加する。さらに、スタックにおける各層の光伝送特性が多少異なる場合があり、これを考慮して相対面積を決定すべきであることも認識される。
【0055】
本発明のさらなる態様によると、米国特許第6358631号明細書に記載されたタイプのRGBスタック型OLED表示装置内において発光材料の面積が大きくされる。この場合、スタックの各サブピクセルは、米国特許出願第10/077270号明細書に記載されているように実質的に同一の色の多重発光ユニットからなる。これにより、発光材料の全体面積が増加し、単位面積当たりの電流密度が低下する。一態様を図7に示す。この図は、米国特許第6358631号明細書(本明細書の一部とする)に記載されているスタック型OLED表示装置であって、米国特許出願第10/077270号明細書に記載されているように発光層の1つが実際に2層からなるものを示す。
【0056】
図7に示した態様では、色の異なるサブピクセルを上下に堆積し、そしてアノード170の上に正孔注入層172が堆積されている。次いで、この正孔注入層172の上に、正孔輸送層174.1、発光層176.1及び電子輸送層178.1を堆積する。次いで、ドープされた有機コネクタ180を堆積し、続いて正孔輸送層174.2、発光層176.2及び電子輸送層178.2を堆積する。次いで、任意の電子注入層(図示なし)を堆積してもよい。次いで、金属層182及びITO層184を堆積することによりカソードを創る。この態様では、番号172〜184を付した要素が、単色のアドレス可能な単一画素を構成する。
【0057】
次に、正孔注入層186、正孔輸送層188、発光層190、電子輸送層192、任意の電子注入層(図示なし)、金属層194及びITO層196を堆積することにより、第2の色のサブピクセルを形成する。最後に、正孔注入層198、正孔輸送層200、発光層202、電子輸送層204、任意の電子注入層(図示なし)、金属層206及びITO層208を堆積することにより、第3の色のサブピクセルを形成する。
【0058】
緑色、赤色及び青色の各発光領域G、R及びBの面積の序列、並びに緑色、赤色及び青色の各発光領域の層数は、図2又は図3を参照して上述したプロセスに基づき決定される。特定のサブピクセル上に配置された場合のサブピクセルのマスキング効果のため、当該スタックにおけるサブピクセルの堆積順序を考慮する必要はある。しかしながら、この態様において、3種の発光要素の寿命が等しくないことが決定された場合、当該3つのサブピクセルの堆積順序又は層数を変更し(48)、値の小さい材料の面積を増加し、かつ、値の大きい材料の面積を減少することができる。
【0059】
図8を参照する。本発明のさらなる態様によると、スタック型OLED表示装置において、最短寿命の発光要素の面積を大きくする。この態様では、2種のサブピクセル(例、赤色及び緑色)を3番目のサブピクセル(例、青色)の上に堆積する。最初のサブピクセルをアノード210から形成する。アノードの上には正孔注入層212を堆積する。次いで、この正孔注入層212の上に正孔輸送層214、発光層216及び電子輸送層218を堆積する。次いで、任意の電子注入層(図示なし)を堆積してもよい。次いで、金属層220、240及びITO層222、242を堆積することによりカソードを創る。金属層220、240及びITO層222、242は、第2及び第3のサブピクセルのアノードとしても作用する。この第1のサブピクセル224は、最短寿命の発光要素(例、青色)の光を提供し、かつ、第2サブピクセル226及び第3サブピクセル228の合計面積と実質的に同一の面積を有する。この第1サブピクセルは、単一発光要素として処理される複数領域からなることも、図8に示したように単一要素であることも可能である。第1サブピクセルを複数領域に分割することにより、第1サブピクセルの片側半分において発生した短絡又はダークスポットがその隣の領域へ進展しないようにすることができる。
【0060】
この第1サブピクセル224の上にサブピクセル226を形成する。この第2サブピクセル226は、正孔輸送層230、発光層232及び電子輸送層234を堆積することにより形成される。次いで、任意の電子注入層(図示なし)を堆積してもよい。次いで、金属層236及びITO層238を堆積することによりカソードを創る。
【0061】
さらに、第1サブピクセル224の上に第3サブピクセル228を形成する。この第3サブピクセル228は、正孔輸送層244、発光層246及び電子輸送層248から形成される。次いで、任意の電子注入層(図示なし)を堆積してもよい。次いで、金属層250及びITO層252を堆積することによりカソードを創る。また、本発明により計算された相対面積に依存して、第2サブピクセル及び第3サブピクセルの相対面積が等しくならない場合があり得ることに留意すべきである。
【0062】
上述したように、第1、第2及び第3の各サブピクセルの面積の序列は、図2又は図3に示したプロセスに基づき決定される。この同一の態様を、上述したように第1、第2及び/又は第3の発光要素内に複数の発光層を含むようにさらに変更できることを認識すべきである。
【実施例】
【0063】
例1(本発明)
本明細書に記載したシステム及び方法が従来技術とは異なることをさらに例証するため、一例を提供する。本例では、3種のカラーサブピクセルのうちのいずれかがその初期輝度の50%にまで減衰するのに要した時間を、寿命と定義するものと仮定する。本法を利用するためには、当該表示装置を構築する材料の具体的効率及び経時輝度安定性を確立し、かつ、表示装置の目標特性を確立することが重要である。
【0064】
本例では、表示装置に使用すべき発光材料を使用して調製されたいくつかのOLED試験セルが利用可能であるものと仮定する。これらの試験セルは、可能な限り最終表示装置と同様に駆動され、また構成される。各試験セルの効率及び色度座標は、一連の異なる電流密度で試験セルを駆動して各試験セルについて輝度及び色度座標を測定することによって決定される。測定データからこれらの試験セルの平均性能を計算して、赤色、緑色及び青色の各発光要素の効率を決定する。次いで、このデータに方程式を当てはめて、各材料について効率曲線を決定する。発光要素の一系統例について、試料データセット及び線形適合を図9に示す。本図に示した線形適合は、下記表1に示した材料効率の傾き及び偏りを使用して記述することができる。
【0065】
次に、各材料について試験セルのサブセットを選び、それらを単一の電流密度で駆動させながら当該材料の輝度の経時減衰を測定することによって、各発光要素の経時輝度安定性を決定することができる。もう一度、同一の発光材料を用いて調製し、可能な限り最終表示装置と同様に駆動し、構成した試験セルの一群から、平均性能を決定することができる。同一の系統例の発光材料について、試料データセット及びこのデータに当てはめた冪関数を図10に示す。経時輝度安定性の特性を決めるこれらの方程式の乗法及び指数因数を下記表1に示す。
【0066】
当該表示装置及び材料の残りの特性を、同様に実験的に決定した。発光要素の残りの特性を下記表1に示す。本例の表示特性を下記表2に示す。
【0067】
表1に、最終表示装置を構築する際に使用される赤色、緑色及び青色の各発光要素について重要な特性を記載する。この表に示したように、各発光要素について、色度座標、効率の特性、経時輝度安定性、及び光透過係数が含まれる。
【0068】
【表1】

【0069】
当該表示装置の輝度及び色度座標を表2に記載する。表2には、目標フィルファクター(最終表示装置において光を放出するピクセル面積の比率)をも示す。
【0070】
【表2】

【0071】
表1及び表2のデータを採用し、上述した本発明の方法を使用してサブピクセルの相対比率を計算したところ、赤色、緑色及び青色の各発光要素についてそれぞれ約0.125、0.125及び0.350となった。この場合、ピクセルの総面積は1である。すなわち、赤色:緑色:青色の発光要素の面積比は1:1:2.8となる。さらに、赤色、緑色及び青色の各発光要素について初期輝度が半減するまでにかかる予測時間は、それぞれ8285時間、8203時間及び8589時間となる。この方法により、表示装置の寿命として8203時間が提供される。
【0072】
従来技術の表示装置を使用したならば、利用可能な全表示フィルファクターの1/3が赤色、緑色及び青色の各発光要素に割り当てられることとなる。この従来法と、表1及び表2に示した表示装置及び材料の特性とを使用したならば、最終表示装置における各ピクセルの発光面積の20%が赤色光、緑色光及び青色光を放出することとなる。これらの表のデータと、本明細書に示した方程式とを使用すると、赤色、緑色及び青色の各発光要素について現行の駆動条件下で初期輝度が半減するまでに要する時間は、それぞれ16523時間、17941時間及び4115時間となる。この従来技術の構成では、3種のカラーサブピクセルのうちのいずれかがその初期輝度の50%にまで減衰するのに要した時間を寿命と定義した場合、当該表示装置の寿命は4115時間となることに着目されたい。
【0073】
本例において、米国特許第6366025号明細書に記載のYamadaの方法を使用して、赤色、緑色及び青色の相対面積を決定する。Yamadaは、所望の白色点を得るのに要する赤色、緑色及び青色の発光要素の輝度比を決定することによって個々の発光要素のフィルファクターを選定することについて議論している。次に、輝度1を達成するのに要する発光効率比を決定し、次いで、輝度比を最大発光効率比で割り算する。
【0074】
本例の範囲内で、方程式(1)、(2)及び(3)を使用して、表2に示した輝度及び色度座標を得るために必要な赤色、緑色及び青色の各輝度値を計算する。これらの値は、各値を、当該3つの値の最大値で割り算することにより正規化される。この計算により、R:G:Bの輝度比は0.62:1.0:0.69となる。
【0075】
次いで、発光効率を計算する。上述の材料の場合、各発光材料について、効率方程式の切片と傾きを使用して、輝度1を得るのに必要な電流密度を計算することができる。これらの計算を実行すると、発光効率比としてR:G:B=16.8:70.33:29.93が得られる。輝度比を発光効率比で割り算すると、R:G:B=0.62/16.8:1.0/70.33:0.69/29.93=0.0369:0.0142:0.0231となる。これらの値を、緑色値が1となるように正規化すると、赤色、緑色及び青色の各発光要素の相対面積は、R:G:B=2.6:1.0:1.6となる。このことは、赤色発光要素の寸法を緑色発光要素の2.6倍にし、かつ、青色発光要素の寸法を緑色発光要素の1.6倍にすべきことを示唆している。
【0076】
次に、本明細書に記載した方法を使用して、これらのピクセル寸法を有する表示装置の寿命を計算することができる。総合フィルファクターが全ピクセル面積の60%に制限にされると仮定し、かつ、上記のように計算された相対寸法を使用すると、この計算において使用すべきフィルファクターは、赤色サブピクセルが0.3、緑色サブピクセルが0.115、そして青色サブピクセルが0.185となる。これらの結果は、本発明の方法を使用して計算された相対面積とは有意に異なる。本例では、当該3種のサブピクセルについて現行の駆動条件下でそれらの初期輝度が半減するまでに要する時間は、赤色、緑色及び青色の各サブピクセルについてそれぞれ29972時間、7140時間及び3714時間となる。この従来技術の構成では、当該3種のカラーサブピクセルのうちのいずれかがその初期輝度の50%にまで減衰するのに要した時間を寿命と定義する場合、当該表示装置の寿命は3714時間となることに着目されたい。
【0077】
本例において、Kimらの方法を使用して、各サブピクセルの相対寸法を決定する。Kimらは、材料の輝度効率に基づき個々のサブピクセル寸法を選定することについて議論している。この方法を使用すると、輝度1を得るのに必要な電流密度の比率に基づき相対寸法を決定することとなる。赤色、緑色及び青色の各発光要素の相対面積は、効率が最も高い材料の発光効率を各発光材料の発光効率で割り算することによって達成される。これは、赤色発光要素の寸法を、青色発光要素の4.18倍にし、かつ、緑色発光要素の2.51倍にすべきことを示唆する。このことは、相対フィルファクターとしては、赤色発光要素が0.32であり、緑色発光要素が0.078であり、そして青色発光要素が0.19であることを示唆することとなる。Yamadaの場合と同様、Kimの方法は、非常に異なる比率のサブピクセル面積を教示する。赤色、緑色及び青色の各サブピクセルについて現行の駆動条件下でその初期輝度が半減するまでに要する時間は、それぞれ32952時間、3741時間及び3847時間となる。この従来技術の構成では、3種のカラーサブピクセルのうちのいずれかがその初期輝度の50%にまで減衰するのに要した時間を寿命と定義した場合、当該表示装置の寿命は3741時間となることに着目されたい。
【0078】
このように、本発明の方法によると、従来技術の方法と比べ、表示装置の有効寿命が実質的に改善されることが明白である。
【符号の説明】
【0079】
10 OLED表示装置
12 ピクセル
14 サブピクセル
24 決定ステップ
26 選定ステップ
28 計算ステップ
30 決定ステップ
32 計算ステップ
34 選定ステップ
36 計算ステップ
38 入力ステップ
40 計算ステップ
42 決定ステップ
44 計算ステップ
46 判定ステップ
48 変更ステップ
50 完了プロセスステップ
52 提供ステップ
54 選定ステップ
56 計算ステップ
58 選定ステップ
60 計算ステップ
62 決定ステップ
64 計算ステップ
66 決定ステップ
68 特定ステップ
70 計算ステップ
72 計算ステップ
92 アノード層
116 カソード層
122 基板
124 正孔注入層
126 正孔輸送層
128 発光層
130 電子輸送層
154 基板
156 アノード
158 カソード
160 正孔注入層
162.1,2,3,4 正孔輸送層
164.1,2,3,4 発光層
166.1,2,3,4 電子輸送層
168.1,2,3 有機コネクタ
169 電子注入層
170 アノード
172 正孔注入層
174.1,2 正孔輸送層
176.1,2 発光層
178.1,2 電子輸送層
180 有機コネクタ
182 金属層
184 ITO層
186 正孔注入層
188 正孔輸送層
190 発光層
192 電子輸送層
194 金属層
196 ITO層
198 正孔注入層
200 正孔輸送層
202 発光層
204 電子輸送層
206 金属層
208 ITO層
210 アノード
212 正孔注入層
214 正孔輸送層
216 発光層
218 電子輸送層
220 金属層
222 ITO層
224 第1サブピクセル
226 第2サブピクセル
228 第3サブピクセル
230 正孔輸送層
232 発光層
234 電子輸送層
236 金属層
238 ITO層
240 金属層
242 ITO層
244 正孔輸送層
246 発光層
248 電子輸送層
250 金属層
252 ITO層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置ピクセルが複数の色の異なるサブピクセルを有し、これらのサブピクセルの面積寸法が、当該発光要素の発光効率と目標表示白色点の色度とに基づき異なることにより、発光効率の低いサブピクセルの早期劣化を防止するようにした有機発光ダイオードカラー表示装置であって、該サブピクセルの相対寸法が該サブピクセルの相対経時輝度安定性に基づくことにより、表示装置の有効寿命を延長するように改良された有機発光ダイオードカラー表示装置。
【請求項2】
該サブピクセルの相対寸法が下記方程式により決定される、請求項1に記載のカラー表示装置:
=f(E,T,Y
上式中、Aはサブピクセルの寸法であり、Eは色の異なるサブピクセルの材料効率であり、Tは色の異なるサブピクセルの経時輝度安定性であり、そしてYは、サブピクセルの所定の目標表示白色及びその色度座標に対する色の異なるサブピクセルの輝度である。
【請求項3】
該経時輝度安定性が下式で定義される、請求項2に記載のカラー表示装置:
=cI
上式中、c及びdは定数であり、そしてIはサブピクセルを流れる電流密度である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−146394(P2011−146394A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45151(P2011−45151)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2003−295403(P2003−295403)の分割
【原出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】