説明

有機発光ダイオードランプ

【課題】製造が簡易で安価な高輝度OLED面照明光源を提供すること。
【解決手段】有機発光ダイオード(OLED)ランプであって、a)基板、b)該基板上に形成された非ピクセル化OLEDであって、該OLEDが1)該基板上に形成され、該基板の第1縁部から該基板の向かい合う第2縁部の方向に延在する第1電極と、2)該第1電極の上に、該第1電極の該基板の第1縁部に近い部分を露出させたままにして形成されたOLED発光構造体と、3)該OLED発光構造体の上に形成され、該基板の第2縁部にまで延在する第2電極とを含む非ピクセル化OLED、及びc)該非ピクセル化OLEDの上に、該第1電極及び該第2電極の該ランプに電気接続するための部分を露出させたままにして配置された封入カバーを含んで成るOLEDランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)を面照明に使用することに関する。より詳細には、本発明は、OLED面照明ランプの構造及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)を使用する固体素子型(solid-state)照明装置は、丈夫で長持ちすることが要求される用途に対する有用性が増しつつある。例えば、今日の自動車用途には固体素子型LEDが採用されている。これらの装置は、典型的には、多数の小型点光源LEDを組み合わせ、特定用途向けに光を制御するため適宜設計されたガラスレンズと共に単一モジュール化したものである(例えば、1999年11月11日発行の国際公開第99/57945号パンフレットを参照されたい)。これらの多重装置は高価である上、単一の面照明装置にするための製造・集積が複雑である。さらに、従来のLEDは点光源を提供するものであり、面照明のためにはそれが複数使用される。
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)は、基板上で電極間に有機半導体材料を付着させることによって製造される。このプロセスによると、単一基板上に拡張された表面積を有する光源を作ることができる。従来技術に、常用の照明に対する付属物として電場発光材料を使用するものがある(例えば、2001年1月2日発行のChienの米国特許第6168282号明細書)。この場合、電場発光材料からの発光量が限られているため、主照明としては有用ではない。2001年8月1日発行の欧州特許出願公開第1120838号明細書に、面照明光源を製造するため搭載用基板上に多数の有機発光デバイスを搭載する方法が記載されている。しかしながら、この基板上に多数の光源を搭載する方法では複雑さが増し、面照明用光源の製造コストも高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6168289号明細書
【特許文献2】米国特許第5276380号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1120838号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0732868号明細書
【特許文献5】国際公開第99/57945号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、堅牢な高輝度照明が得られ、製造プロセスも簡略化されるように改良された固体素子型フラットパネル面照明装置に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のニーズは、有機発光ダイオード(OLED)ランプであって、
a)基板、
b)該基板上に形成された非ピクセル化OLEDであって、該OLEDが
1)該基板上に形成され、該基板の第1縁部から該基板の向かい合う第2縁部の方向に延在する第1電極と、
2)該第1電極の上に、該第1電極の該基板の第1縁部に近い部分を露出させたままにして形成されたOLED発光構造体と、
3)該OLED発光構造体の上に形成され、該基板の第2縁部にまで延在する第2電極とを含む非ピクセル化OLED、及び
c)該非ピクセル化OLEDの上に、該第1電極及び該第2電極の該ランプに電気接続するための部分を露出させたままにして配置された封入カバー
を含んで成るOLEDランプを提供する本発明によって満たされる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、製造が簡易で安価な高輝度OLED面照明光源が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面は一定の尺度に従ってないことを理解されたい。各層は極めて薄く、それらの厚さの差が極めて大きいため、一定比率で描写することができないからである。
【図1】従来型OLEDを示す部分横断面図である。
【図2】本発明の一態様によるOLEDランプを示す横断面図である。
【図3】本発明の別態様によるOLEDランプを示す横断面図である。
【図4】本発明の別態様によるOLEDランプを示す横断面図である。
【図5】本発明の一態様によるOLEDランプを複数有するウェブを示す上面図である。
【図6】本発明によるOLEDランプの製造方法を示す略図である。
【図7】従来型OLEDを示す略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、従来技術のOLEDであって、二つの電極14及び16、例えばカソードとアノード、の間に有機発光層12が挟み込まれているものを示す略図である。有機発光構造体12は、構造体内に複数の層を含み、そして当該電極間に電源17から電圧が印加されると発光する。OLED発光体は、典型的には、ガラス又はプラスチックのような基板20を含む。アノードとカソードの相対位置は、有機発光層12の複数層からなる構造を同様に反転する場合には、基板20に関して反転させ得ることが理解されよう。
【0010】
図2を参照する。本発明の一態様によるOLEDランプ10は、基板20の上に形成された非ピクセル化OLEDを含む。該OLEDは、該基板上に形成され、該基板の第1縁部22から基板20の向かい合う第2縁部26の方向に延在する第1電極14を含む。第1電極は、基板20の第1縁部の全体に延在していてもよいが、必ずしもその必要はない。第1電極14の上には、該第1電極の該基板の第1縁部22に近い部分を露出させたままにして、OLED発光構造体12が形成される。第2電極16は、OLED発光構造体12の上に形成され、該基板の第2縁部26の方向に延在する。第2電極は、該基板の第2縁部の全体に延在していてもよいが、必ずしもその必要はない。封入カバー18は、非ピクセル化OLEDの上に、第1電極14及び第2電極16の該ランプに電気接続するための部分を露出させたままにして、配置されている。封入カバー18は、被覆層又は気密封止カバーであることができ、また縁部22及び26の全体に延在していてもよいが、電極14及び16の少なくとも一部を、該電極への電気接続が可能となるように露出しなければならない。本明細書中の用語「非ピクセル化」とは、OLED発光層並びに第1及び第2電極が基板の拡張領域全体にわたって連続しており、画像形成のため独立して活性化され得る多数の小区分、すなわち画素に分割されていないことを意味する。上述した構造を有するOLEDランプは、連続組立ラインでの製造が容易となる。なぜなら、一連の蒸着ステーションにおいて、これらステーションを通過する基板の移動方向に対して直交配置される線形蒸着源によって、移動する基板に各種層を適用することができるからである。構造がシンプルであるため、各ステーションにおいて基板をマスクする必要が少なく、また蒸着ステーションの一部である固定マスクを用いて適当なマスキングを行うことができる。
【0011】
動作に際して、本発明のOLEDランプは、部分22及び26のそれぞれ左側及び右側にある露出した電極14及び16を電源(図示なし)に接続することにより電力を受ける。電力が印加されると、電極を介して封入カバー18の下方に電流が流れて、OLED発光構造体12が発光する。
【0012】
本発明は、マルチスタック型OLED発光構造体12を含むように拡張することができる。マルチスタック型OLED構造体を採用することにより、当該構造体の数を乗じた分だけ総光出力が増大するが、OLEDランプ10の所要電流も増大する。OLED発光構造体の数は、電極14及び16の実用導電容量が限界に達するか、又は電極14及び16もしくはOLED発光層12の透明性が不完全であるために層の追加が実用的でなくなるまで、増加することができる。
【0013】
図3を参照する。多層型OLEDランプにおいて、第2電極16の上に第2OLED発光構造体12’が配置されている。第2OLED発光構造体12’の上には、第1電極14と電気接触している第3電極14’が配置され、これらの多重層が、図2におけるように、カバー18で封入されている。この多層配置は、図4に示したように、さらに多数の層へ拡張することができる。図4を参照する。第3電極14’の上に第3OLED発光構造体12”が配置されている。第3OLED発光構造体12”の上には、第2電極16と電気接触している第4電極16’が配置されている。封入カバー18は第4電極16’の上に配置されている。電極対14及び16を交互させ、対をなす各電極を共通に接続し、それらの間にOLED発光構造体12を繰り返し配置する本プロセスは、任意に拡張することができる。直流で動作させる場合、OLED発光構造体の極性は隣接する構造体間で交互し、OLED構造体のすべてが同時に発光する。この配置では、OLED層は並列に電気接続されており、OLEDのすべてが同一方向にアラインされる。この配置は、OLED発光構造体の1つが破損して欠落しても、その他の部分が動作し続け得る点で有利である。OLEDランプの光出力の方向性は、OLED発光構造体の極性には影響されない。
【0014】
上述した配置を有するOLEDランプを交流で駆動すると、OLED発光構造体は、すべてが同時に、交流の半サイクル毎しか発光しなくなる。このため、実質的なフリッカーをもたらし得る。フリッカーを減少させる方法は、交流の各半サイクル中にOLED発光構造体の一部が発光するように、該構造体の極性を配置する方法である。この方法は、OLED発光構造体のすべてをスタック内で同一となるように構築することによって達成される。この配置は、OLED発光構造体の1つが破損して欠落しても、その他の部分が動作し続け得る点で、同様に有利である。交流で駆動させることにより、OLEDランプの寿命が延びるという別の利点が得られることが認められた。
【0015】
多層型OLEDランプの色温度は、OLED発光構造体に使用される材料を、異なる色の光を放出するように選択することによって、調整することができる。
【0016】
上述したように、光源10は、通常、基板20と封入カバー18の双方を通して光を放出する。本発明の別の態様として、基板20又は封入カバー18のいずれかに反射層を設けることにより、光を、それぞれ封入カバー又は基板を通るように方向付け、光源が片側のみから発光するようにし、よって光源の方向性を制御することもできる。別法として、基板上に付着した電極又は封入カバーに隣接する電極のいずれかを反射性にしてもよい。
【0017】
図5及び図6を参照する。本発明は、簡易な製造プロセスに特によく適している。基板の左側と中央部分のみ、中央部分のみ又は中央と右側部分のみに材料を付着する付着装置を用意することにより、簡易な製造プロセスを構築することができる。図6に示したように、マルチ蒸着ステーション70をウェブ搬送72に沿って配置することにより、基板20の上に材料74を逐次付着させ、一連のOLEDランプを逐次製造することができる。
【0018】
本発明は、複数のOLEDランプを連続ウェブ基板の上に形成する連続ウェブプロセスに適用することができる。図5に示したように、電極及び発光材料の付着を周期的に中断することによって、基板上に個々のOLEDランプを形成する。封入カバー材料の付着は連続的にしてもよく、そして、OLEDランプ間の基板を切断することにより、個々のOLEDランプ56を連続基板50から分離することができる。ランプ間の分離60を、切り目又は有孔ラインによって設けることができ、個々のランプを使用直前まで連結させたまま保持し、使用時に切り目又は有孔ラインに沿って引き裂くことによりスタック又はロール体から手動で又は機械的に分離することもできる。このように、複数のランプをアコーディオン形のスタック又はロール体として経済的かつ便利に提供し、使用に際してそこから個々のランプを取り出すことができる。
【0019】
本発明の有利な効果は、領域内の十分な付着を達成するために必要なマスキングが非常に限られていることである。例えば、封入コーティングを、それぞれ電極14及び16の部分52及び54を露出させたまま、連続リボンとして適用することができる。このようなマスキングは、マスク介在蒸着法、米国特許第5276380号及び欧州特許出願公開第0732868号明細書に記載の一体型シャドーマスク法、レーザーアブレーション法及び選択的化学的気相成長法をはじめとする多くの周知方法で達成することができる。一般に、付着させたくない領域を覆い隠す簡易なシャドーマスクで十分である。従来技術で知られているように、基板の移動方向に対して直交配置された蒸着スリットを有する線形蒸着源を使用して材料を付着させることができる。封入カバーは、例えば、既知のコーティング技法によって適用することができる。
【0020】
別法として、OLEDランプの層をウェブ上に連続的に付着させ、そしてそのウェブから個々のランプを切断することができる。この場合、OLEDランプの層は、ウェブの搬送方向の縁部にまでずっと延在する。ウェブの露出された縁部は、例えば、封入カバーを形成するのに使用した材料と同じ材料中に該縁部を浸漬することにより、封止することができる。
【0021】
基板20は硬質であっても軟質であってもよい。硬質基板、例えばガラスは、より高い構造的強度を提供し、また一般に平面状であるが、本発明はまた、曲げて各種形状にすることができる軟質基板、例えばプラスチック、で使用することもできる。
【0022】
本発明は、当該光源がコンパクトな平面形状を有するため、効率的な保存、充填及び輸送を可能にするという追加の利点を有する。
【0023】
本発明は、多種多様な従来用途に、例えば、机上ランプ、フロアランプ又はシャンデリアとして使用することができる。別法として、本発明は、従来の吊天井用のフラットパネル照明装置として使用することができる。本発明はまた、DC電源を使用する携帯式照明装置に用いることもできる。
【0024】
好ましい態様において、OLED発光構造体12は、例えば1988年9月6日発行のTangらの米国特許第4769292号明細書及び1991年10月29日発行のVanSlykeらの米国特許第5061569号明細書に開示されているような、低分子型又は高分子型OLED材料を含む。
【0025】
本発明を成功裏に実施することができる有機層の構成はいくつかある。典型的な構造は、図7に示したように、基板101、アノード103、正孔注入層105、正孔輸送層107、発光層109、電子輸送層111及びカソード113を含む。これらの層については、以下に詳述する。別法として基板をカソードに隣接するように配置できること、また基板が実際にアノード又はカソードを構成し得ることに、留意されたい。アノードとカソードの間の有機層を、便宜上、有機EL要素と称する。当該有機層の全体厚は500nm未満であることが好ましい。
【0026】
OLEDのアノードとカソードは、電気導体260を介して電源250に接続されている。アノードとカソードの間に、アノードがカソードより正極となるように電位差を印加することによりOLEDを動作させる。アノードから正孔が有機EL要素に注入され、また、カソードから電子が有機EL要素に注入される。サイクル中の一定期間電位差バイアスを逆方向にして電流を流さないようにするACモードでOLEDを動作させると、デバイスの安定性が向上する場合がある。AC駆動式OLEDの一例が米国特許第5552678号明細書に記載されている。
【0027】
本発明のOLEDデバイスは、カソード又はアノードのいずれが接触していてもよい支持基板の上に設けられることが典型的である。基板に接している電極を、便宜上、底部電極と称する。底部電極をアノードにすることが慣例的であるが、本発明はそのような構成に限定されるものではない。基板は、意図される発光方向に依存して、透光性又は反射性のいずれかであることができる。このような場合、透明なガラス又はプラスチックが通常用いられる。EL発光を上部電極を介して観察する用途の場合には、底部支持体の透過性は問題とならないため、透光性又は光反射性のいずれであってもよい。この場合の用途向け支持体には、ガラス、プラスチック、半導体材料、シリコン、セラミックス及び回路基板材料が含まれるが、これらに限定はされない。もちろん、このようなデバイス構成には、透光性の上部電極を提供する必要はある。
【0028】
EL発光をアノード103を介して観察する場合には、当該アノードは当該発光に対して透明又は実質的に透明であることが必要である。本発明に用いられる一般的な透明アノード材料はインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)及び酸化錫であるが、例示としてアルミニウム又はインジウムをドープした酸化亜鉛、マグネシウムインジウム酸化物及びニッケルタングステン酸化物をはじめとする他の金属酸化物でも使用することができる。これらの酸化物の他、窒化ガリウムのような金属窒化物、セレン化亜鉛のような金属セレン化物、及び硫化亜鉛のような金属硫化物をアノードとして使用することもできる。EL発光をカソード電極のみを介して観察する用途の場合には、アノードの透過性は問題とならず、透明又は反射性を問わずいずれの導電性材料でも使用することができる。このような用途向けの導体の例として、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム及び白金が挙げられるが、これらに限定はされない。典型的なアノード材料は、透過性であってもそうでなくても、4.1eV以上の仕事関数を有する。望ましいアノード材料は、一般に、蒸発法、スパッタ法、化学的気相成長(CVD)法又は電気化学法のような適当な手段のいずれかによって付着される。必要に応じて、他の層を適用する前に、アノードに研磨処理を施して表面粗さを抑えることにより、短絡を極力減らし、或いは反射能を高めることができる。
【0029】
常に必要であるわけではないが、アノード103と正孔輸送層107との間に正孔注入層105を設けることがしばしば有用となる。正孔注入性材料は、後続の有機層のフィルム形成性を改良し、かつ、正孔輸送層への正孔注入を促進するのに役立つことができる。正孔注入層に用いるのに好適な材料として、米国特許第4720432号明細書に記載されているポルフィリン系化合物、米国特許第6208075号明細書に記載されているプラズマ蒸着フルオロカーボンポリマー、及びある種の芳香族アミン、例えばm-MTDATA(4,4’,4”-トリス[(3-メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン)、が挙げられる。有機ELデバイスに有用であることが報告されている別の正孔注入性材料が、欧州特許出願公開第0891121号及び同第1029909号明細書に記載されている。
【0030】
正孔輸送層107は、芳香族第三アミンのような正孔輸送性化合物を少なくとも一種含有する。芳香族第三アミン類は、少なくとも一つが芳香環の員である炭素原子にのみ結合されている3価窒素原子を少なくとも1個含有する化合物であると理解されている。一態様として、芳香族第三アミンはアリールアミン、例えば、モノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン又は高分子アリールアミン基であることができる。単量体トリアリールアミンの例がKlupfelらの米国特許第3180730号明細書に記載されている。Brantleyらの米国特許第3567450号及び同第3658520号明細書には、1個以上の活性水素含有基を含み、かつ/又は、1個以上のビニル基で置換されている、他の適当なトリアリールアミンが開示されている。
【0031】
より好ましい種類の芳香族第三アミンは、米国特許第4720432号及び同第5061569号に記載されているような芳香族第三アミン部分を2個以上含有するものである。正孔輸送層は、芳香族第三アミン化合物の単体又は混合物で形成することができる。以下、有用な芳香族第三アミンを例示する。
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン
4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル
ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-フェニルメタン
N,N,N-トリ(p-トリル)アミン
4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[4(ジ-p-トリルアミノ)-スチリル]スチルベン
N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラ-1-ナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル
N,N,N’,N’-テトラ-2-ナフチル-4,4’-ジアミノビフェニル
N-フェニルカルバゾール
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ビフェニル
4,4”-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-p-ターフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(3-アセナフテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’-ビス[N-(9-アントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4”-ビス[N-(1-アントリル)-N-フェニルアミノ]-p-ターフェニル
4,4’-ビス[N-(2-フェナントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(8-フルオルアンテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ナフタセニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
4,4’-ビス[N-(1-コロネニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ]ナフタレン
2,6-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ナフタレン
N,N,N’,N’-テトラ(2-ナフチル)-4,4”-ジアミノ-p-ターフェニル
4,4’-ビス{N-フェニル-N-[4-(1-ナフチル)-フェニル]アミノ}ビフェニル
4,4’-ビス[N-フェニル-N-(2-ピレニル)アミノ]ビフェニル
2,6-ビス[N,N-ジ(2-ナフチル)アミン]フルオレン
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン
4,4’,4”-トリス[(3-メチルフェニル)フェニルアミノ]トリフェニルアミン
【0032】
別の種類の有用な正孔輸送性材料として、欧州特許第1009041号に記載されているような多環式芳香族化合物が挙げられる。アミン基を3個以上有する第3芳香族アミンを、オリゴマー材料を含め、使用することができる。さらに、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン及びPEDOT/PSSとも呼ばれているポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)のようなコポリマー、といった高分子正孔輸送性材料を使用することもできる。
【0033】
米国特許第4769292号及び同第5935721号に詳述されているように、有機EL要素の発光層(LEL)109は発光材料又は蛍光材料を含み、その領域において電子-正孔対が再結合する結果として電場発光が生じる。発光層は、単一材料で構成することもできるが、より一般的には、ホスト材料に単一又は複数種のゲスト化合物をドーピングしてなり、そこで主として当該ドーパントから発光が生じ、その発光色にも制限はない。発光層に含まれるホスト材料は、後述する電子輸送性材料、上述した正孔輸送性材料、又は正孔-電子再結合を支援する別の材料もしくはその組合せ、であることができる。ドーパントは、通常は高蛍光性色素の中から選ばれるが、リン光性化合物、例えば、国際公開第98/55561号、同第00/18851号、同第00/57676号及び同第00/70655号に記載されているような遷移金属錯体も有用である。ドーパントは、ホスト材料中、0.01〜10質量%の範囲内で塗布されることが典型的である。ホスト材料として、ポリフルオレンやポリビニルアリーレン(例、ポリ(p-フェニレンビニレン)、PPV)のような高分子材料を使用することもできる。この場合、高分子ホスト中に低分子量ドーパントを分子レベルで分散させること、又はホストポリマー中に二次成分を共重合させることによりドーパントを付加すること、が可能である。
【0034】
ドーパントとしての色素を選定するための重要な関係は、当該分子の最高被占軌道と最低空軌道との間のエネルギー差として定義されるバンドギャップポテンシャルの対比である。ホストからドーパント分子へのエネルギー伝達の効率化を図るためには、当該ドーパントのバンドギャップがホスト材料のそれよりも小さいことが必須条件となる。リン光性発光体の場合には、ホストの三重項エネルギー準位が、ホストからドーパントへのエネルギー移動を可能ならしめるに十分なほど高いことも重要となる。
【0035】
有用性が知られているホスト及び発光性分子として、米国特許第4769292号、同第5141671号、同第5150006号、同第5151629号、同第5405709号、同第5484922号、同第5593788号、同第5645948号、同第5683823号、同第5755999号、同第5928802号、同第5935720号、同第5935721号及び同第6020078号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0036】
8-ヒドロキシキノリン(オキシン)及び類似の誘導体の金属錯体は、電場発光を支援することができる有用なホスト化合物の一種である。以下、有用なキレート化オキシノイド系化合物の例を示す。
CO-1:アルミニウムトリスオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)〕
CO-2:マグネシウムビスオキシン〔別名、ビス(8-キノリノラト)マグネシウム(II)〕
CO-3:ビス[ベンゾ{f}-8-キノリノラト]亜鉛(II)
CO-4:ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
CO-5:インジウムトリスオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)インジウム〕
CO-6:アルミニウムトリス(5-メチルオキシン)〔別名、トリス(5-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)〕
CO-7:リチウムオキシン〔別名、(8-キノリノラト)リチウム(I)〕
CO-8:ガリウムオキシン〔別名、トリス(8-キノリノラト)ガリウム(III)〕
CO-9:ジルコニウムオキシン〔別名、テトラ(8-キノリノラト)ジルコニウム(IV)〕
【0037】
有用なホスト材料の別の種類として、米国特許第5935721号に記載されている9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセン及びその誘導体のようなアントラセン誘導体、米国特許第5121029号に記載されているジスチリルアリーレン誘導体、並びに2,2’,2”-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンズイミダゾール]のようなベンズアゾール誘導体が挙げられるが、これらに限定はされない。リン光性発光体のホストとして特に有用なものはカルバゾール誘導体である。
【0038】
有用な蛍光性ドーパントとして、例えば、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン及びキナクリドンの誘導体、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンボロン化合物、ビス(アジニル)メタン化合物並びにカルボスチリル化合物が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0039】
本発明の有機EL要素の電子輸送層111を形成するのに用いられる好適な薄膜形成性材料は、オキシン(通称8-キノリノール又は8-ヒドロキシキノリン)自体のキレートをはじめとする、金属キレート化オキシノイド系化合物である。当該化合物は、電子の注入・輸送を助長し、高い性能レベルを発揮すると共に、薄膜加工が容易である。オキシノイド系化合物の例は既述した通り。
【0040】
他の電子輸送性材料として、米国特許第4356429号明細書に記載されている各種ブタジエン誘導体、及び米国特許第4539507号明細書に記載されている各種複素環式蛍光増白剤が挙げられる。ベンズアゾール及びトリアジンもまた有用な電子輸送性材料である。
【0041】
発光をアノードのみを介して観察する場合には、本発明に用いられるカソード113は、ほとんどすべての導電性材料を含んでなることができる。望ましい材料は、下部の有機層との良好な接触が確保されるよう良好なフィルム形成性を示し、低電圧での電子注入を促進し、かつ、良好な安定性を有する。有用なカソード材料は、低仕事関数金属(<4.0eV)又は合金を含むことが多い。好適なカソード材料の1種に、米国特許第4885221号明細書に記載されているMg:Ag合金(銀含有率1〜20%)を含むものがある。別の好適な種類のカソード材料として、有機層(例、ETL)に接している薄い電子注入層(EIL)に、これより厚い導電性金属層をキャップしてなる二層形が挙げられる。この場合、EILは低仕事関数の金属又は金属塩を含むことが好ましく、その場合には、当該より厚いキャップ層は低仕事関数を有する必要はない。このようなカソードの一つに、米国特許第5677572号明細書に記載されている、薄いLiF層にこれより厚いAl層を載せてなるものがある。その他の有用なカソード材料のセットとして、米国特許第5059861号、同第5059862号及び同第6140763号明細書に記載されているものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0042】
カソードを介して発光を観察する場合には、当該カソードは透明又はほぼ透明でなければならない。このような用途の場合、金属が薄くなければならないか、又は透明導電性酸化物もしくはこれら材料の組合せを使用しなければならない。透光性カソードについては、米国特許第4885211号、米国特許第5247190号、JP3,234,963、米国特許第5703436号、米国特許第5608287号、米国特許第5837391号、米国特許第5677572号、米国特許第5776622号、米国特許第5776623号、米国特許第5714838号、米国特許第5969474号、米国特許第5739545号、米国特許第5981306号、米国特許第6137223号、米国特許第6140763号、米国特許第6172459号、欧州特許第1076368号、米国特許第6278236号及び米国特許第6284393号に詳しく記載されている。カソード材料は、蒸発法、スパッタ法又は化学的気相成長法により付着させることが典型的である。
【0043】
場合によっては、必要に応じて、層109及び層111を、発光と電子輸送の両方を支援する機能を発揮する単一層にすることが可能である。当該技術分野では、ホストとして機能し得る正孔輸送層に発光性ドーパントを添加してもよいことも知られている。例えば、青色発光性材料と黄色発光性材料、シアン発光性材料と赤色発光性材料、又は赤色発光性材料と緑色発光性材料と青色発光性材料、を組み合わせることにより、複数種のドーパントを1又は2以上の層に添加して白色発光性OLEDを創り出すことができる。白色発光性デバイスについては、例えば、欧州特許出願公開第1187235号、米国特許出願公開第20020025419号、欧州特許出願公開第1182244号、米国特許第5683823号、米国特許第5503910号、米国特許第5405709号及び米国特許第5283182号に記載されている。
【0044】
本発明の装置において、当該技術分野で教示されている電子又は正孔阻止層のような追加の層を採用してもよい。正孔阻止層は、例えば米国特許出願公開第2002/0015859号に記載されているように、一般にリン光性発光体デバイスの効率を高めるために使用される。
【0045】
上述した有機材料は昇華法のような気相法により適宜付着されるが、流体から、例えばフィルム形成性を高める任意のバインダーを含む溶剤から、付着させてもよい。当該材料がポリマーである場合には、溶剤付着法が有用であるが、スパッタ法やドナーシートからの熱転写法のような別の方法を利用することもできる。昇華法により付着すべき材料は、例えば、米国特許第6237529号明細書に記載されているように、タンタル材料を含むことが多い昇華体「ボート」から気化させてもよいし、当該材料をまずドナーシート上にコーティングし、その後これを基板に接近させて昇華させてもよい。複数材料の混合物を含む層は、独立した複数の昇華体ボートを利用してもよいし、予め混合した後単一のボート又はドナーシートからコーティングしてもよい。
【0046】
ほとんどのOLEDデバイスは湿分もしくは酸素又はこれら双方に対して感受性を示すため、窒素又はアルゴンのような不活性雰囲気において、アルミナ、ボーキサイト、硫酸カルシウム、クレー、シリカゲル、ゼオライト、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、スルフェート、金属ハロゲン化物及び金属過塩素酸塩のような乾燥剤と一緒に、封止されることが一般的である。封入法及び乾燥法として、米国特許第6226890号明細書に記載されている方法が挙げられるが、これらに限定はされない。さらに、当該技術分野では、封入用として、SiOx、テフロン(登録商標)及び無機/高分子交互層のようなバリア層も知られている。
【0047】
本発明によるOLEDデバイスは、所望によりその特性を高めるため、周知の各種光学効果を採用することができる。これには、透光性を極大化するための層厚の最適化、誘電体ミラー構造の付与、ランプ上への遮光又は反射防止コーティングの付与、ランプ上への偏光媒体の付与、又はランプ上への着色、中性濃度もしくは色変換フィルタの付与が包含される。具体的には、フィルタ、偏光子及び遮光又は反射防止コーティングを、カバーの上に、又はカバーの一部として、設けることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 OLEDランプ
12 有機発光構造体
12’ 第2有機発光構造体
12” 第3有機発光構造体
14 第1電極
14’ 第3電極
16 第2電極
16’ 第4電極
17 電源
18 封入カバー
20 基板
22 基板の第1縁部
26 基板の向かい合う第2縁部
50 連続ウェブ
52 縁部
54 向かい合う縁部
56 単一OLEDランプ
60 OLEDランプ間のウェブ部分
70 蒸着ステーション
72 ウェブ搬送
74 材料
101 基板
103 アノード
105 正孔注入層
107 正孔輸送層
109 発光層
111 電子輸送層
113 カソード
250 電源
260 電気導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオード(OLED)ランプであって、
a)基板、
b)該基板上に形成された非ピクセル化OLEDであって、該OLEDが
1)該基板上に形成され、該基板の第1縁部から該基板の向かい合う第2縁部の方向に延在する第1電極と、
2)該第1電極の上に、該第1電極の該基板の第1縁部に近い部分を露出させたままにして形成されたOLED発光構造体と、
3)該OLED発光構造体の上に形成され、該基板の第2縁部にまで延在する第2電極とを含む非ピクセル化OLED、及び
c)該非ピクセル化OLEDの上に、該第1電極及び該第2電極の該ランプに電気接続するための部分を露出させたままにして配置された封入カバー
を含んで成るOLEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−187994(P2011−187994A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133378(P2011−133378)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【分割の表示】特願2003−337242(P2003−337242)の分割
【原出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】