説明

有機発光ダイオード(OLED)用のピレン系ポリマー

【化1】


本発明は、新規のピレン系ポリマー、その調製方法および特に電界発光デバイスでのその使用に関する。本発明の新規のポリマーは、以下の一般式(I)を有する:ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立して水素、ハロゲン、特にF、SiR100101102、または有機置換基であり、またはR6およびR7、R3およびR4、および/または置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7および/またはR8のうち互いに隣接するいずれかは、任意に置換されていてもよい芳香環、または複素芳香環、または環構造を共に形成し、n1およびn2は0、1、または2であり、R100、R101、およびR102は互いに独立してC1−C18アルキル、置換または非置換のC6−C18アリールであり、Ar1およびAr2は各々互いに独立して置換または非置換のアリーレン基、またはヘテロアリーレン基である。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
ピレンは最も重要で綿密に研究されている有機発色団の1つである。中でも、ピレンの魅力的な特徴はその並外れて長い蛍光寿命、その励起スペクトルの微小環境変化に対する感度、およびエキシマーを生ずるその高い傾向である。このエキシマー形成は、過去50年にわたって、蛍光ラベルポリマーにおいて群を抜いて最も頻繁に適用される色素であるピレンを作る水溶性ポリマーの研究において利用されてきた。
【0002】
その化学的安定性および高い量子収率にも拘わらず、エキシマーの形成は有機発光デバイス(OLED)における発光物質としてのその使用が妨げられてもいた。Kodak社による1987年の最初の二層薄膜OLEDの報告以降、OLEDは、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイおよび照明用途のためのそれらの高い技術的な将来性のおかげで、科学界において多くの注目を浴びてきた。ポリマーまたは小分子のいずれにせよ、今日までのところ、赤色および緑色の発光体のみが商業価値のある十分な効率および寿命を示している。
【0003】
近年、OLED用の発光物質および電荷輸送物質の合成におけるピレン単位の使用、たとえばピレン側鎖基または末端基を有するオリゴチオフェン、ビピレニルベンゼン分子、さらにはピレン−カルバゾールおよびピレン−フルオレン系などの関心が高まっている。しかしながら、OLED用途に有効な青色発光体であると今日のところ報告されているピレン誘導体は固体状態でいくらかの凝集度を示す。
【0004】
US 6,852,429 B1は、特許請求の範囲に、複数の嵩高い置換基を有する非ポリマー性のピレン系化合物と、有機発光デバイスにおけるその使用とを記載している。前記嵩高い置換基の存在により、1,3,5−トリピレンベンゼン(3TPB)と比べて分子間凝集が低減されると記載されている。US 2006/0113528 A1は有機発光デバイスを開示しており、ここでは、前記デバイスの少なくとも1つの層における発光領域がとりわけ錯体有機化合物を含み、この化合物は(さらに置換された)アントラセン単位に直接または橋かけ基を介して結合した3つまでのピレン単位を含んでいる。US 2008/0166595 A1は、電界発光4,9−二置換ピレンと、活性層がこのピレン組成物を含んでいる電子機器とを開示している。
【0005】
小分子における凝集の防止に最も成功した成果は、四置換の立体的に非常に密集したピレンによって達成され(Sotoyama ら, Tetra-substituted pyrenes: new class of blue emitter for organic light-emitting diodes. SID Digest 45, 1294-1297 (2003年))、最も周知されているケースは、OLED、有機電界効果トランジスタ(OFET)、さらには有機発光電界効果トランジスタ(OLEFET)で適用される1,3,6,8−テトラフェニルピレンである。異なるフェニル誘導体またはピリジル単位を1,3,6,8位に含むさらなる四置換体構造も報告されている。最近、本発明者らは、ピレン環の1,3,6,8位にあるピレン単位からもっぱら構成された強く捩じれた多発色団デンドリマーでの凝集の抑制を報告し、非置換ピレンに比べて非常に高い蛍光量子収率を明らかにした(Moellen et al., Polypyrene Dendrimers. Angew. Chem. Int. Ed. 47, 10175-10178 (2008年))。さらに、1,1'−ビピレニルおよび線状1,6−二置換オリゴピレンも研究された。
【0006】
小分子と比べると、共役有機ポリマーは、溶液を用いる堆積技術によって、より大きなディスプレーサイズおよび照明機器を遥かに低い製造コストで得ることができるという利点を有する。分子電子工学用の新たな材料としてのピレンのポリマー鎖への結合およびポリマー主鎖に沿ったピレンの使用に関する研究は極少数しか報告されていない。
【0007】
EP0964045は、式−Ar1−CR1=CR2−の高分子蛍光物質を記載しており、ここでAr1はピレン環の1,6位または1,8位が置換されたピレン単位でありうる。Schaefer、 Muellenらの最近の国際特許出願(WO 2008/012250)には、2,7−結合ピレン単位を含む蛍光ポリマーが開示されている。
【0008】
ピレンホモポリマーに関して特に、少数の文献がピレンの電気化学的重合によるポリピレンの調製を説明している(Bargonら、Electrochemical synthesis of electrically conducting polymers from aromatic compounds. IBM J. Res. Develop. 27, 330-341 (1983年);Hinoら、Ultraviolet photoelectron spectra of electropolymerized polymers: polyazulene, polypyrene and polycarbazole. Synt. Met. 64, 259-264 (1994年))が、生成物は極めて低い分子量しか示さなかった。1−1'カップリングによるピレンの電気化学的重合によって生じるポリピレンは、不溶性であり加工可能ではない膜を与えるか、あるいは少しの繰り返し単位しか持たない可溶性物質を与えると説明された。それに関して、この低い重合度は、ピレンセグメントの強い自己集合によってもたらされる低い溶解性の結果であると推測された。
【0009】
まとめると、ピレン繰り返し単位を含むまたはこれからなる従来技術のオリゴマーおよびポリマーのほとんどは所定の凝集度を示し、この凝集現象のせいで、発光量子収率は比較的低くレッドシフトする。
【0010】
したがって、本発明の1つの目的は、向上した性質、たとえば凝集がなく、電界発光が高く、量子収率が高く、有機発光ダイオード(OLED)および関連する電子機器に特に好適な色純度および溶解性を有する新規なピレン系ホモポリマーおよびコポリマー、ならびにその調製方法を提供することにある。
【0011】
前記目的は本発明によって、特に請求項1〜13に記載の化合物、請求項14〜16に記載の方法、ならびに請求項17〜21に記載の使用およびデバイスによって達成される。
【0012】
この新たな化合物は、以下の式Iに示した1種以上の1,3−置換(および結合)ピレン単位を特徴とし、この単位は互いに結合してもよいしまたはさらなるアリーレンもしくはヘテロアリーレン単位および/または他のコモノマー単位と結合してもよい。ピレン環の1,3−位における置換は驚くべきことに非常に捩じれた構造をもたらし、凝集を避け高い発光量子収率を提供する。
【0013】
本発明によるポリマーは高い化学的安定性、薄膜における電気的、光学的および形態学的性質の優れた制御を示し、高くて安定な電界発光をもたらす。特に、薄膜における不要な凝集の抑制は、ホモポリマーの場合、非常に効率的な有機電界発光および青色発光をもたらす。加えて、本発明によるポリマーがポリマー発光デバイス(PLED)で使用される場合、高い電荷キャリア移動性および発光色の高い温度安定性を観察できる。本発明のポリマーを含む有機発光ダイオード(OLED)は、色純度、デバイス効率および/または稼働寿命において大きな利点を示すことができる。加えて、このポリマーは、多くの有機溶媒中での優れた溶解特性および高いガラス転移温度を有することができ、熱的および機械的に安定で比較的欠陥を含まないコーティングおよび薄膜へのそれらの二次加工を容易にする。このポリマーが架橋することが可能な末端基を含有する場合、膜またはコーティングを形成した後のこれらの基の架橋はその耐溶媒性を高め、これは溶剤型の1層以上の材料の層をその上に堆積させる用途において有利である。
【0014】
請求項1に係る本発明の蛍光ポリマーは、以下の一般式(I)で示される1つ以上の繰り返し単位を含む。
【化1】

【0015】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立して水素、ハロゲン、SiR100101102、または有機置換基であり、または
6およびR7、R3およびR4、および/または置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7および/またはR8のうち互いに隣接するいずれかは、任意に置換されていてもよい芳香環、または複素芳香環、または環構造を共に形成し、n1およびn2は0、1、または2であり、
100、R101、およびR102は互いに独立してC1−C18アルキル、置換または非置換のC6−C18アリールであり、Ar1およびAr2は各々互いに独立して置換または非置換のアリーレン基、またはヘテロアリーレン基である。
【0016】
本発明による蛍光ポリマーのより具体的な実施形態では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立して水素、ハロゲン、特にF、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2−C20ヘテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシ、C7-C25アラルキル、CN、または−CO−R28であり、
Dは−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−O−;−NR25−;−SiR3031−;−POR32−;−CR23=CR24−;または−C≡C−であり;
Eは−OR29;−SR29;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;またはハロゲン、特にFであり;
GはE、C1−C18アルキル、Dで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C1−C18アルコキシ、またはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシであり;
23、R24、R25およびR26は互いに独立してH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
27はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;特にC1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
28はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
29はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
30およびR31は互いに独立してC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールであり、
32はC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールである。
【0017】
特に、R1はC1−C18アルキル、C6−C24アリール、または上で定義したGで置換されたC6−C24アリールである。好ましくは、R1はC1−C12アルキル基、より好ましくはC1−C8の分枝低級アルキル基、たとえばtert−アルキル基、特にtert−ブチル基である。
【0018】
3およびR4ならびにR6およびR7は互いに異なってもよいが、好ましくは同じである。最も好ましいR3、R4、R6およびR7は同じ意味を有する。
【0019】
3、R4、R6およびR7ならびにR2、R5、R8は好ましくはH、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル;C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシ;C1−C18パーフルオロアルキルまたは任意に置換されたC6−C24アリール、またはC2−C20ヘテロアリール基から選択される。
【0020】
本発明の1つの具体的な実施形態では、R3、R4、R6およびR7のうちの少なくとも1つ、より詳細には少なくとも2つはHと異なる。より詳細には、置換基R3、R4、R6およびR7の全てがHと異なる。本発明のもう1つの具体的な実施形態では、置換基R3、R4、R6およびR7のうちの少なくとも1つ、好ましくは2つが任意に置換されたC1−C18アルコキシ基である。より詳細には、R3、R4、R6およびR7の全てが任意に置換されたC1−C18アルコキシ基である。
【0021】
好ましくは、本発明のポリマーは式Iの繰り返し単位を含み、ここでR3、R4、R6およびR7は互いに独立してH、F、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2−C20ヘテロアリールであり;各基R5およびR6は互いに独立して出現毎にH、ハロゲン、特にF、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2−C20ヘテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシ、C7−C25アラルキル、CN、または−CO−R28であり、
Dは−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−O−;−NR25−;−SiR3031−;−POR32−;−CR23=CR24−;または−C≡C−であり;
Eは−OR29;−SR29;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;またはハロゲン、特にFであり;
GはE、C1−C18アルキル、Dで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C1−C18アルコキシ、またはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシであり;
23、R24、R25およびR26は互いに独立してH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
27はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;特にC1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
28はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
29はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
30およびR31は互いに独立してC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールであり、
32はC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールである。
【0022】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立してH、C1−C18アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−メチル−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、もしくはn−へプチル;Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、たとえば−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OCH2CH2OCH3、もしくは−CH2OCH2CH2OCH2CH3;C1−C18アルコキシ、たとえばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、もしくはn−ヘプチルオキシ;C6−C14アリール、たとえばフェニル、ナフチル、もしくはビフェニル、C5−C12シクロアルキル、たとえばシクロヘキシル、Gで置換されたC6−C14アリール、たとえば−C64OCH3、−C64OCH2CH3、−C63(OCH32、もしくは−C63(OCH2CH32、−C64CH3、−C63(CH32、−C62(CH33、−C64OtBu、もしくは−C64tBuである。
【0023】
Dは好ましくは−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−O−;−NR25−であり、ここでR25はC1−C12アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルもしくはsec−ブチル、またはC6−C14アリール、たとえばフェニル、ナフチル、もしくはビフェニルである。
【0024】
Eは好ましくは−OR29;−SR29;−NR2525;−COR28;−COOR27;−CONR2525;または−CNであり;ここでR25、R27、R28およびR29は互いに独立してC1−C12アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチル、もしくは2−エチルヘキシル、またはC6−C14アリール、たとえばフェニル、ナフチル、もしくはビフェニルである。
【0025】
GはEと同じものを指すか、またはC1−C18アルキル、特にC1−C12アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチル、1−(2−ヘキシル)デカン、もしくは2−エチルヘキシルである。
【0026】
特に、Ar1およびAr2は、置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のジフェニルアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のアセナフテン、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のフルオレン、置換もしくは非置換のカルバゾルイル、置換もしくは非置換のチオフェン、置換もしくは非置換の多縮合チオフェン、置換もしくは非置換のトリアゾール、置換もしくは非置換のチアジアゾール、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のトリフェニルアミン、または異種の発色団、たとえばペリレンジイミドもしくはペリレンモノイミド、またはこれらの高級リレン(rylene)同族体から選択される。
【0027】
より詳細には、Ar1およびAr2は以下の式:
【化2】

【化3】

【0028】
(ここで、変化しうるものは各々以下のように定義される:
L'は化学結合または1,4−フェニレンであり;
Z'は−O−、−S−、NR8`、または−CH2−であり、ここでR8`はC1−C18−アルキルであり;
IVはC4−C18−アルキル、C1−C18−アルコキシ、(ヘテロ)アリール、または−NR56であり、R5およびR6は独立して上で定義したものである)
または以下の式:
【化4】

【化5】

【0029】
(ここで、変化しうるものは各々以下のように定義される:
35はC4−C18−アルキルまたはC1−C18−アルコキシであり;
36はC3−C8−アルキル、好ましくは1位に二級炭素原子を有するものであり;
37はC4−C18−アルキル、好ましくは1位に三級炭素原子を有するもの、またはNR9`10`であり;
38はC1−C18−アルキルであり;
39は、L'が化学結合の場合フェニルであり;L'が1,4−フェニレンである場合C4−C18−アルキルであり;
L'は化学結合、1,4−フェニレンまたは2,5−チエニレンであり;
Z'は−O−;−S−、−NR8`−、または−CH2−であり、ここでR8`、R9`およびR10`はC1−C18−アルキルであり;
Zは−O−または−S−である)
または以下の式:
【化6】

【0030】
(ここで
44およびR41は水素、C1−C18アルキルまたはC1−C18アルコキシであり、
45はH、C1−C18アルキル、またはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、特に−O−で中断されたC1−C18アルキルであり、
116およびR117は互いに独立してH、ハロゲン、−CN、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、C7−C25アラルキル、−C(=O)−R127、−C(=O)OR127、または−C(=O)NR127126であり、
119およびR120は互いに独立してH、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、もしくはC7−C25アラルキルであるか、またはR119およびR120は共に式=CR121122の基(ここでR121およびR122は互いに独立してH、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、またはC2−C20へテロアリール、もしくはGで置換されたC2−C20へテロアリールである)を形成するか、またはR119およびR120は共に五員環または六員環(任意に、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、C7−C25アラルキル、または−C(=O)−R127で置換されていてもよい)を形成し、
126およびR127は互いに独立してH;C6−C18アリール;C1−C18アルキル、もしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり、
ここで、G、DおよびEは上で定義したものである)
から独立して選択されうる。
【0031】
また、本発明は、上述の本発明のポリマーを調製するためのモノマーを提供し、このモノマーは本発明のさらなる実施形態を形成する。このモノマーは以下の式によって表される:
【化7】

【0032】
(ここで、Ar1、Ar2、n1、n2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は上で定義したものである。X11は出現毎に独立してハロゲン原子、特にI、ClもしくはBr;−ZnX12、−SnR207208209(ここで、R207、R208およびR209は同一または互いに異なり、HまたはC1−C6アルキルであり、ここで2つの基は任意に共通の環を形成し、これらの基は任意に分枝または分枝でなく、X12はハロゲン原子、より詳細にはI、またはBrである);または−OS(O)2CF3、−OS(O)2−アリール、特に
【化8】

【0033】
、−OS(O)2CH3、−B(OH)2、−B(OY11)2
【化9】

【0034】
、−BF4Na、または−BF4Kであり、ここでY11は出現毎に独立してC1−C10アルキル基でありY12は出現毎に独立してC2−C10アルキレン基、たとえば−CY1314−CY1516−、もしくは−CY1718−CY1920−CY2122−であり、ここでY13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21およびY22は互いに独立して水素、またはC1−C10アルキル基、特に−C(CH3)2C(CH3)2−、もしくは−C(CH3)2CH2C(CH3)2−である)。
【0035】
1つ以上のアルキル鎖、たとえば分枝アルキル鎖のピレン環の特定の位置への結合は、種々の方法で行うことができ、たとえば本発明者らは、アルキル鎖をピレン環の2位および2,7位に結合する新たな方法を開発した。この方法は、Conventryら(Chem. Commun. 2005, 2172-2174)によって報告されたピレン−2−ボロネート(IIia)およびピレン−2,7−ビス(ボロネート)(IIia`)から出発し、概略的には以下のように表される:
【化10】

【化11】

【0036】
また、分枝アルキル鎖、たとえばnが0〜16個の炭素であるC(n、n)なども、以下に図示するのと同じ手順に従って結合できる:
【化12】

【0037】
驚くべきことに、モノアルキル化ピレンを、たとえば以下の一般スキームで表すようにさらに処理し重合させることができる。
【化13】

【0038】
特に、たとえば式IIictert(n1=n2=0;X11=Br;R1=tert−ブチル)の1,3−ジブロモピレンモノマーは、式IIibtertの対応するピレンをたとえばBr2またはNBSのそれぞれと反応させることによって生成できる。他のハロゲン、特にClまたはIで置換された類似の化合物は、適切な出発化合物および類似の反応もしくは他の反応またはこの技術において知られている他の方法を使用することによって調製できる。
【化14】

【0039】
1つの実施形態では、本発明によるポリマーは、1つ以上のタイプの式Iの繰り返し単位のみからなる。好ましい実施形態では、本発明によるポリマーは、まさに1つのタイプの式Iの繰り返し単位からなる(ホモポリマー)。本発明によると、用語「ポリマー」は通常の意味でのポリマーだけでなくオリゴマーも含み、ここでポリマーは高い相対分子量の分子であり、その構造が低い相対分子量の分子から実際にまたは概念的に得られる単位の繰り返しを本質的に含み、オリゴマーは中程度の分子量の分子であり、その構造がより低い相対分子量の分子から実際にまたは概念的に得られる少数の単位を本質的に含む。1つまたはいくつかの単位を除去しても性質が大きく変化しない場合、分子は高い相対分子量を有すると見なされる。1つまたはいくつかの単位を除去すると性質が大きく変化する場合、分子は中程度の分子量を有すると見なされる。
【0040】
本発明によると、ホモポリマーは、1種類の(実際の、潜在的なまたは仮想の)モノマーから得られるポリマーである。多くのポリマーは相補的なモノマーの相互反応によって作られる。これらのモノマーは、反応時に直ちに可視化して「潜在的なモノマー」を与え、ホモ重合は、「ホモポリマー」と見なすことができる実際の生成物を与えるであろう。いくつかのポリマーは他のポリマーの化学修飾によって得られ、それにより得られるポリマーを構成する巨大分子の構造は仮想モノマーのホモ重合によって形成されたものであると考えられうる。
【0041】
したがって、コポリマーは、1種類より多くのモノマーから得られるポリマー、たとえば二元重合体、三元重合体、四元重合体などである。本発明のコポリマーは、交互コポリマーでもよいし、ランダムコポリマーでもよいし、ブロックコポリマーでもよい。コポリマーは様々なピレンモノマーおよび/または他のモノマーを考えられる全ての割合で含むことができる。
【0042】
本発明のオリゴマーは<2,000ダルトンの重量平均分子量を有する。本発明のポリマーは好ましくは2,000ダルトン以上、特に2,000〜2,000,000ダルトン、より好ましくは10,000〜1,000,000および最も好ましくは20,000〜500,000ダルトンの重量平均分子量を有する。分子量は、ポリスチレンまたはポリ(パラ−フェニレン)標準試料を使用するゲル浸透クロマトグラフィに従って測定される。典型的には、本発明のポリマーは20を越える繰り返し単位、たとえば20−50000の繰り返し単位、好ましくは20−500の繰り返し単位を有し、一方で本発明のオリゴマーは20未満の繰り返し単位を有する。
【0043】
具体的な実施形態では、ポリマーは以下の式(III)のコポリマーである。
【化15】

【0044】
(ここで、X10は、Ar1、n1、Ar2、n2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8が上で定義したものである式Iの繰り返し単位であり、Tは置換または非置換のアリール基またはヘテロアリール基、特にWO06/097419で定義されたものを含む繰り返し単位であり、Ar3は置換または非置換のアリーレン基またはヘテロアリーレン基、特にWO06/097419で定義されたものであり、
a、b、c、d、e、fは0〜1の数または比であり、より詳細には、
aは1であり、
bは0、または1であり、
cは0.005〜1であり、
dは0、または1であり、
eは0、または1であり、dが0である場合にはeは1ではなく、
fは0.995〜0であり、cとfとの和は1である)。
【0045】
繰り返し単位Tは特に以下の基Ta-Tfから選択される:
【化16】

【化17】

【0046】
(ここで、
1は水素原子、またはシアノ基であり、
116およびR117は上で定義したものであり、
41は出現毎に同一でもよいしまたは異なってもよく、Cl、F、CN、N(R452、C1−C25アルキル基、C4−C18シクロアルキル基、C1−C25アルコキシ基(互いに隣接していない1つ以上の炭素原子が−NR45−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、または−O−C(=O)−O−で交換されていてもよい、および/または1個以上の水素原子がFで交換されていてもよい)、C6−C24アリール基、またはC6−C24アリールオキシ基(1個以上の炭素原子がO、S、またはNで交換されていてもよい、および/または1つ以上の非芳香族基R41で置換されていてもよい)であるか、または2つ以上の基R41が1つの環構造を形成しており;
45はH、C1−C25アルキル基、C4−C18シクロアルキル基(互いに隣接していない1個以上の炭素原子が−NR45'−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、または−O−C(=O)−O−で交換されていてもよい、および/または1個以上の水素原子がFで交換されていてもよい)、C6−C24アリール基、またはC6−C24アリールオキシ基(1個以上の炭素原子がO、S、またはNで交換されていてもよい、および/または1つ以上の非芳香族基R41で置換されていてもよい)であり、
45'はH、C1−C25アルキル基、またはC4−C18シクロアルキル基であり、
nは出現毎に同一でもよいしまたは異なってもよく、0、1、2または3であり、特に0、1または2であり、より詳細には0または1であり、uは1、2、3、または4であり;
4はC6−C24アリール基、C2−C30ヘテロアリール基、特にフェニル、ナフチル、アントリル、ビフェニル、2−フルオレニル、フェナントリル、またはペリレニルであり、1つ以上の非芳香族基R41で置換されていてもよい)。
【0047】
好ましくは、Tは式Ta、TbまたはTfの繰り返し単位である。
【0048】
詳細には、Ar3は置換もしくは非置換ベンゼン、置換もしくは非置換ナフタレン、置換もしくは非置換アントラセン、置換もしくは非置換ジフェニルアントラセン、置換もしくは非置換フェナントレン、置換もしくは非置換トリフェニレン、置換もしくは非置換アセナフテン、置換もしくは非置換ビフェニル、置換もしくは非置換フルオレン、置換もしくは非置換カルバゾルイル、置換もしくは非置換チオフェン、置換もしくは非置換多縮合チオフェン、置換もしくは非置換トリアゾール、置換もしくは非置換チアジアゾール、置換もしくは非置換ピレン、置換もしくは非置換トリフェニルアミン、または異種の発色団、たとえばペリレンジイミドもしくはペリレンモノイミド、またはこれらの高級リレン同族体から選択されうる。
【0049】
より詳細には、Ar3は以下の式:
【化18】

【化19】

【0050】
(ここで、変化しうるものは各々以下のように定義される:
L'は化学結合または1,4−フェニレンであり;
Z'は−O−、−S−、NR8`、または−CH2−であり、ここでR8`はC1−C18−アルキルであり;
IVはC4−C18−アルキル、C4−C18−アルコキシ、(ヘテロ)アリール、または−NR56であり、R5およびR6は独立して上で(たとえば第5頁〜第7頁に)定義したものである)
または以下の式:
【化20】

【化21】

【0051】
(ここで、変化しうるものは各々以下のように定義される:
35はC4−C18−アルキルまたはC1−C18−アルコキシであり;
36はC3−C8−アルキル、好ましくは1位に二級炭素原子を有するものであり;
37はC4−C18−アルキル、好ましくは1位に三級炭素原子を有するもの、またはNR9`10`であり;
38はC1−C18−アルキルであり;
39は、L'が化学結合の場合フェニルであり;L'が1,4−フェニレンである場合C4−C18−アルキルであり;
L'は化学結合、1,4−フェニレンまたは2,5−チエニレンであり;
Z'は−O−;−S−、−NR8`−または−CH2−であり、ここでR8`、R9`およびR10`はC1−C18−アルキルであり;
Zは−O−または−S−である)
または以下の式:
【化22】

【0052】
(ここで
44およびR41は水素、C1−C18アルキル、またはC1−C18アルコキシであり、
45はH、C1−C18アルキル、またはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、特に−O−で中断されたC1−C18アルキルであり、
116およびR117は互いに独立してH、ハロゲン、−CN、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、C7−C25アラルキル、−C(=O)−R127、−C(=O)OR127、または−C(=O)NR127126であり、
119およびR120は互いに独立してH、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、もしくはC7−C25アラルキルであるか、またはR119およびR120は共に式=CR121122の基(ここでR121およびR122は互いに独立してH、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、またはC2−C20へテロアリール、もしくはGで置換されたC2−C20へテロアリールである)を形成するか、
またはR119およびR120は共に五員環または六員環(任意に、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20へテロアリール、Gで置換されたC2−C20へテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDが介入したC1−C18アルコキシ、C7−C25アラルキル、または−C(=O)−R127で置換されていてもよい)を形成し、
126およびR127は互いに独立してH;C6−C18アリール;C1−C18アルキル、もしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり、
ここで、G、DおよびEは上で定義したものである)
から独立して選択できる。
【0053】
a=1、b=0、c=1、d=0、e=0、f=0である式III、すなわち−[−X10−]a(IIIa)のポリマーは、たとえば、以下に概略するようなニッケルカップリング反応、特に山本カップリングによって得られる。
【0054】
式Iおよび−Ar3−の繰り返し単位を含む(a=1、c=0.995〜0.005、b=0、d=1、e=0、f=0.005〜0.995である)式III、すなわち−[−X10−]c−[−Ar3−]f−(IIIb)のポリマーもニッケルカップリング反応によって得ることができる。
【0055】
ハロゲン官能基を2つ有する反応剤のみを必要とする重合プロセスはニッケルカップリング反応を使用して行うことができる。1つのこのような反応は、Colonらにより、J. Pol. Sci., Part A, Polymer Chemistry Edition 28 (1990) 367, and by Colon et al. in J. Org. Chem. 51 (1986) 2627において説明されている。この反応は、典型的には、極性の非プロトン性溶媒(たとえばジメチルアセトアミド)において、触媒量のニッケル塩と、相当量のトリフェニルホスフィンと、大過剰の亜鉛粉末とを用いて行われる。このプロセスの変形は、Ioydaらによって、Bull. Chem. Soc. Jpn, 63 (1990) 80において説明されており、ここでは有機可溶性ヨウ化物を促進剤として使用した。
【0056】
もう1つのニッケルカップリング反応は、Yamamotoによって、Progress in Polymer Science 17 (1992) 1153において説明されており、ここでは、ジハロ芳香族化合物の混合物を不活性溶媒中の過剰量のニッケル(1,5−シクロオクタジエン)錯体で処理した。全てのニッケルカップリング反応は、2種類以上の芳香族二ハロゲン化物の反応剤混合物に適用される場合、ランダムコポリマーを実質的にもたらす。このような重合反応は、少量の水を重合反応混合物に添加することによって止めることができ、これは末端ハロゲン基を水素基と交換するであろう。あるいは、単官能性ハロゲン化アリールをこれらの反応における連鎖停止剤として使用でき、これは末端アリール基の生成をもたらすであろう。
【0057】
ニッケルカップリング重合は、式Iの単位および他のコモノマーから得られる単位を含むホモポリマーまたはランダムコポリマーを実質的にもたらす。
【0058】
a=1、c=1、b=0、d=1、e=0、f=1である式III、すなわち−[−X10−]a(IIIc)のポリマーであって、X10およびAr3が上で定義したものであるポリマーは、たとえば、Suzuki反応によって得ることができる。
【0059】
一般に「Suzuki反応」と呼ばれている芳香族のボロナートおよびハロゲン化物、特に臭化物の縮合反応は、N. MiyauaおよびA. SuzukiによりChemical Reviews, Vol. 95, pp. 457-2483 (1995)で報告されたように、種々の有機官能基の存在を許容する。この反応は、高分子量ポリマーおよびコポリマーを調製するのに適用できる。好ましい触媒は、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2',6'−ジアルコキシビフェニル/パラジウム(II)アセタートである。特に好ましい触媒は2−ジシクロへキシルホスフィノ−2',6'−ジ−メトキシビフェニル(sPhos)/パラジウム(II)アセタートである。
【0060】
式IIIcに対応するポリマーを調製するために、二ハロゲン化物、たとえば二臭化物または二塩化物、特に式Br−X10−Brに対応する二臭化物を、当モル量のジボロン酸または式X11−[−Ar3−]−X11に対応するジボロナート(ここでX11は出現毎に独立して−B(OH)2、−B(OY112
【化23】

【0061】
であり、ここでY11は出現毎に独立してC1−C10アルキル基であり、Y12は出現毎に独立してC2−C10アルキレン基、たとえば−CY1314−CY1516−、または−CY1718−CY1920−CY2122−であり、ここでY13、Y14、Y15、Y16、Y17、Y18、Y19、Y20、Y21および22は互いに独立して水素、またはC1−C10アルキル基、特に−C(CH3)2C(CH3)2−、または−C(CH3)2CH2C(CH3)2−である)と、Pdおよびホスフィン配位子、特にトリフェニルホスフィンの触媒作用下で反応させる。この反応は典型的に約70℃〜180℃で芳香族炭化水素溶媒、たとえばトルエン中で行われる。また、他の溶媒たとえばジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランを単独でまたは芳香族炭化水素との混合物として使用することもできる。水性塩基、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、K3PO4、または重炭酸塩をHBr捕捉剤として使用する。反応体の反応性に応じて、重合反応は2〜10時間かかりうる。有機塩基、たとえばテトラアルキルアンモニウム水酸化物などおよび相間移動触媒、たとえばTBABなどは、ホウ素の活性を促進しうる(たとえばLeadbeater & Marco; Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 42 (2003) 1407およびそこで引用された引用文献を参照のこと)。反応条件の他の変形は、T. I. WallowおよびB. M. NovakによってJ. Org. Chem. 59 (1994) 5034-5037に;ならびにM. Remmers, M. Schulze, およびG. WegnerによってMacromol. Rapid Commun. 17 (1996) 239-252に示されている。所望される場合、一官能性ハロゲン化アリールまたはアリールボロナートをこれらの反応における連鎖停止剤として使用することができ、これは末端アリール基の生成をもたらす。Suzuki反応におけるモノマー供給物の順序および組成を制御することによって、得られるコンポリマー中の単量体単位の配列を制御できる。
【0062】
a=1、c=1、b=1、d=0、e=0、f=0である式III、すなわち−[X10−T]−(IIId)のホモポリマーであって、X10およびTが上で定義したものであるホモポリマーはたとえばHeck反応によって得ることができる:
ポリフェニレンエテニレン誘導体およびポリフェニレンエチニレンは、ジビニルまたはジエチニル化合物のジハロゲン化化合物を用いた重合により、Heck反応(R. F. Heck, Palladium Reagents in Organic Synthesis, Academic Press, New York 1985, pp. 179;L. S. Hegedus, Organometalics in Synthesis, Ed. M. Schlosser, Wiley, Chichester, UK 1994, pp. 383; Z. Bao, Y. Chen, R. Cai, L. Yu, Macromolecules 26 (1993) pp. 5281;W.-K. Chan, L. Yu, Macromolecules 28 (1995) pp. 6410; A. Hilberer, H. -J. Brouwer, B.-J. van der Scheer, J. Wildeman, G. Hadziioannou, Macromolecules 1995, 28, 4525)によって、およびSonogaschira反応(Dmitri Gelman and Stephen L. Buchwald, Angew. Chem. Int. Ed. 42 (2003) 5993 -5996;Rik R. Tykwinski, Angew. Chem. 115 (2003) 1604 - 1606;Jason M. Nolan and Daniel L. Comins, J. Org. Chem. 68 (2003) 3736-3738;Jiang Cheng et al., J. Org. Chem. 69 (2004) 5428-5432; Zolta´n Nova´k et al., Tetrahedron 59 (2003) 7509-7513)によって得ることができる:
【化24】

【0063】
Sonogashira反応は、銅(I)触媒、および/またはパラジウム(0)、たとえば、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)の存在下で、任意に溶媒中、たとえばトルエン、ジメチルホルムアミド、またはジメチルスルホキシド中で、および任意に塩基、たとえば、水素化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、またはアミン塩基、たとえばピペリジン中で行われる。特別なパラジウム触媒を用いるのであれば、銅触媒は必要ない(Angew. Chem. 2007, 119, 850 - 888)。反応時間および温度は出発物質および反応条件に依存する。通常、二臭素化合物を、50℃〜100℃、特に60℃〜80℃の温度で、1時間〜48時間にわたりアルキンと反応させる。この反応は、Sonogashira反応(末端アルキンを有する有機ハロゲン化物のPd/Cu触媒されたクロスカップリング)、Cadiot-ChodkiewiczカップリングまたはCastro-Stephens反応(Castro-Stephensカップリングは化学量論的な銅を使用し、一方Sonogashiraの変形は触媒的なパラジウムおよび銅を使用する)と呼ばれるこの反応は、Sonogashira K.; Tohda, Y.; Hagihara, N. Tetrahedron Lett. 1975, 4467;Richard Heck (パラジウムを使用するが銅を使用しない同様の変換を発見した) J. Organomet. Chem. 1975, 93, 259;McCrindle, R.;Ferguson, G.;Arsenaut, G. J.;McAlees, A. J.;Stephenson, D. K. J. Chem. Res. (S) 1984, 360;Sakamoto, T.; Nagano, T.; Kondo, Y.; Yamanaka, H. Chem. Pharm. Bull. 1988, 36, 2248;Rossi, R. Carpita, A.;Belina, F. Org. Prep. Proc. Int. 1995, 27, 129;Ernst, A.;Gobbi, L.;Vasella, A. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 7959;Campbell, I. B. In Organocopper Reagents;Taylor, R. J. K. Ed.;IRL Press: Oxford, UK, 1994, 217. (Review); Hundermark, T.; Littke, A.; Buchwald, S. L.; Fu, G. C. Org. Lett. 2000, 2, 1729;Dai, W.-M.; Wu, A. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 81;Alami, M.;Crousse, B.;Ferri, F. J. Organomet. Chem. 2001, 624, 114;Bates, R. W.;Boonsombat, J. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 2001, 654;Batey, R. A.;Shen, M.;Lough, A. J. Org. Lett. 2002, 4, 1411;Balova, I. A.;Morozkina, S. N.;Knight, D. W.;Vasilevsky, S. F. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 107;Garcia, D.;Cuadro, A. M.;Alvarez-Builla, J.;Vaquero, J. J. Org. Lett. 2004, 6, 4175;Li, P.; Wang, L.;Li, H. Tetrahedron 2005, 61, 8633, Lemhadri, M.;Doucet, H.;Santelli, M. Tetrahedron 2005, 61, 9839, Angew. Chem. 2007, 119, 8632 -8635, Angew. Chem. 2006, 118, 6335 -6339, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 9332-9333, およびAdv. Mater. 2007, 19, 1234-1238に記載されている。
【0064】
aが1であり、bが1であり、cが0.005〜0.995であり、dが1であり、eが1であり、fが0.995〜1であり、cおよびfの合計が1である式IIIの(ランダム)コポリマーも、Heck反応によって得ることができる:−[[X10a−[−T−]b−[[−Ar3−]d−[−T−]ef− (IIIe)(ここでa、b、c、d、e、f、X10、Ar3およびTは上で定義したものである)。
【0065】
式(I)の基を含有するポリマーは任意の好適なプロセスによって調製できるが、好ましくは上で説明したプロセスによって調製される。
【0066】
本発明のポリマーは任意に末端部分E1を含むことができ、ここでE1はアリール部分(鎖延長または架橋を受けることができる反応性基、またはトリ(C1−C18)アルキルシロキシ基で任意に置換されていてもよい)である。ここで使用する限りにおいては、鎖延長または架橋を受けることができる反応性基は、同じ基または異なる基と反応して、ポリマーを調製するための結合を形成することができる任意の基を指す。好ましくは、このような反応性基は、E1の芳香族環に融合した水酸基部分、グリシジルエーテル部分、アクリラートエステル部分、メタクリラートエステル部分、エテニル部分、エチニル部分、マレイミド部分、ナフチミド部分、オキセタン部分、トリフルオロビニルエーテル部分またはシクロブテン部分である。
【0067】
1が上で定義した反応性基である本発明のポリマーは、100℃以上、より好ましくは150℃以上で架橋して耐溶剤性の耐熱性膜を形成することができる。好ましくは、このような架橋は350℃以下、より好ましくは300℃以下および最も好ましくは250℃以下で起こる。本発明の架橋性ポリマーは100℃以上およびより好ましくは150℃以上で安定である。「安定」は、ここで使用する限りにおいては、このポリマーが言及した温度以下では架橋反応も重合反応も受けないことを意味する。架橋性材料が望まれる場合には、E1は好ましくはビフェニル、エチニルフェニル、または4−(または3−)ベンゾシクロブテニル基である。もう1つの実施形態では、E1は式−C64−O−Yのフェノール誘導体の群から選択され、ここでYは
【化25】

【0068】
である。
【0069】
望まれるのであれば、架橋結合性基はポリマー鎖の他の部分に存在することができる。たとえば、コモノマーの置換基Tのうちの1つは架橋結合性基E1でもよい。
【0070】
エンドキャッピング剤E1−X12(E1は上で定義したものであり、X12はClまたはBrのいずれかである)が、得られるポリマーが反応性基E1で実質的にキャッピングされる条件下で本発明のポリマーに組み込まれる。この目的にとって有用な反応は、上で説明したニッケルカップリング、Heck反応およびSuzuki反応である。
【0071】
平均重合度はモノマーのエンドキャッピング剤に対するモル比によって制御される。
【0072】
定義
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。
【0073】
1−C18アルキル(C1−C25アルキル)は典型的に線状または可能であれば分枝状である。例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシルまたはペンタコシルである。C1−C8アルキルは典型的にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシルである。C1−C4アルキルは典型的にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0074】
1−C25アルコキシ(C1−C18アルコキシ)基は直鎖または分枝のアルコキシ基、たとえばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミロキシ、イソアミロキシもしくはtert−アミロキシ、へプチロキシ、オクチロキシ、イソオクチロキシ、ノニロキシ、デシロキシ、ウンデシロキシ、ドデシロキシ、テトラデシロキシ、ペンタデシロキシ、ヘキサデシロキシ、ヘプタデシロキシおよびオクタデシロキシである。C1−C8アルコキシの例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチロキシ、2−ペンチロキシ、3−ペンチロキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキシロキシ、n−へプチロキシ、n−オクチロキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシおよび2−エチルヘキシルオキシである。C1−C4アルコキシの例はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシである。用語「アルキルチオ基」は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子と交換されていることを除いて、アルコキシ基と同じ基を意味する。
【0075】
C2−C25アルケニル(C2−C18アルケニル)基は直鎖または分枝のアルケニル基、たとえばビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソドデセニル、n−2−ドデセニルまたはn−4-オクタデセニルである。
【0076】
2−C24アルキニル(C2−C18アルキニル)は直鎖または分枝であり、好ましくは置換非置換C2−C18アルキニル、たとえばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、cis−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、trans−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル、または1−テトラコシン−24−イルである。
【0077】
1−C18パーフルオロアルキル、特にC1−C4パーフルオロアルキルは、分枝または分枝でない基、たとえば−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3、および−C(CF33である。
【0078】
用語「ハロアルキル、ハロアルケニルおよびハロアルキニル」は、上述のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基に一部または全体的にハロゲンを置換させることによって得られる基、たとえばトリフルオロメチルなどを意味する。「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基およびアミノ基」は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ環基を置換させたものを含み、ここでアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基およびヘテロ環基は置換または非置換でありうる。用語「シリル基」は式−SiR626364の基(ここでR62、R63、およびR64は互いに独立してC1−C8アルキル基、特にC1−C4アルキル基、C6−C24アリール基またはC7−C12アラルキル基である)を意味し、たとえばトリメチルシリル基である。
【0079】
用語「シクロアルキル基」は典型的にC4−C18シクロアルキル、特にC5−C12シクロアルキル、たとえばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルを指し、好ましくは置換または非置換でありうるシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルを指す。用語「シクロアルケニル基」は、1つ以上の二重結合を含有する、置換または非置換でありうる不飽和脂環式炭化水素基、たとえばシクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニルなどを意味する。シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C1−C4−アルキル、ハロゲンおよびシアノで1〜3回置換されうるフェニルで1回または2回縮合されうる。このような縮合シクロヘキシル基の例は:
【化26】

【0080】
であり、特に
【化27】

【0081】
であり、ここで、R51、R52、R53、R54、R55およびR56は互いに独立してC1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、ハロゲンおよびシアノ、特に水素である。
【0082】
アリールは通常C6−C30アリール、好ましくはC6−C24アリール(C6−C18アリール)(任意に置換されていてもよい)であり、たとえばフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、特に1−ナフチル、もしくは2−ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、ピレニル、2−もしくは9−フルオレニル、フェナントリル、アントリル、テトラシル、ペンタシル、ヘキサシル、クアデルフェニルイル、またはリレン誘導体、たとえばペリレン、ターリレンまたは高級リレンであり、置換または非置換でありうる。
【0083】
用語「アラルキル基」は典型的にC7−C25アラルキル、たとえばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、b−フェニル−エチル、a,a−ジメチルベンジル、w−フェニル−ブチル、w,w−ジメチル−w−フェニル−ブチル、w−フェニルドデシル、w−フェニル−オクタデシル、w−フェニル−エイコシルまたはw−フェニル−ドコシルであり、好ましくはC7−C18アラルキル、たとえばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、b−フェニル−エチル、a,a−ジメチルベンジル、w−フェニル−ブチル、w,w−ジメチル−w−フェニル−ブチル、w−フェニル−ドデシルまたはw−フェニル−オクタデシルであり、および特に好ましくはC7−C12アラルキル、たとえばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、b−フェニル−エチル、a,a−ジメチルベンジル、w−フェニル−ブチル、またはw,w−ジメチル−w−フェニル−ブチルであり、ここで脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の両方とも置換または非置換でありうる。
【0084】
用語「アリールエーテル基」は典型的にC6−C24アリールオキシ基、すなわちO−C6−C24アリール、たとえばフェノキシまたは4−メトキシフェニルを指す。用語「アリールチオエーテル基」は典型的にC6−C24アリールチオ基、すなわちS−C6−C24アリール、たとえばフェニルチオまたは4−メトキシフェニルチオを指す。用語「カルバモイル基」は典型的にC1−C18カルバモイル基、好ましくは置換または非置換のC1−C8カルバモイル基、たとえばカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイロキシ、モルフォリノカルバモイルまたはピロリジノカルバモイルを指す。
【0085】
アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、アリールアミノ基およびジアリール基における用語「アリール」および「アルキル」は典型的にC1−C25アルキルおよびC6−C24アリールをそれぞれ指す。
【0086】
アルキルアリールはアルキル置換アリール基、特にC7−C12アルキルアリールを指す。例はトルイル、たとえば3−メチル、もしくは4−メチルフェニル、またはキシリル、たとえば3,4−ジメチルフェニル、もしくは3,5−ジメチルフェニルである。
【0087】
ヘテロアリールは典型的にC2−C26ヘテロアリール(C2−C20へテロアリール)、すなわち5〜7個の環原子を有する環、または縮合環構造(ここで、窒素、酸素または硫黄が考えられるヘテロ原子である)であり、典型的には5〜30個の原子を有し少なくとも6つの共役p電子を持つ不飽和へテロ環基、たとえばチエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]−チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロルイル、イミダゾルイル、ピラゾルイル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾルイル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾルイル、カルボリニル、ベンゾトリアゾルイル、ベンゾキサゾルイル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾルイル、フェノチアジニル、イソキサゾルイル、フラザニルまたはフェノキサジニルであり、置換または非置換でありうる。上述の基の考えられる置換基はC1−C8アルキル、水酸基、メルカプト基、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1−C8アルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基またはシリル基であり、特にC1−C8アルキル、C1−C8アルコキシ、C1−C8アルキルチオ、ハロ−C1−C8アルキル、またはシアノ基である。
【0088】
置換基、たとえばR6が1つの基の中に1回よりも多く出現する場合、それは出現毎に異なってもよい。
【0089】
表現「Gで置換されている」は、1つ以上、特に1〜3つの置換基Gが存在しうることを意味する。
【0090】
上で説明したように、上述の基は、Eで置換されてもよいおよび/または、望まれるのであれば、Dが介在してもよい。介在はもちろん、単結合で互いに結合した少なくとも2つの炭素原子を含有する基の場合にのみ可能である;C6−C18アリールは介在を受けない;介在されたアリールアルキルまたはアルキルアリールはアルキル部分に単位Dを含有する。1つ以上のEで置換されたおよび/または1つ以上の単位Dで中断されたC1−C18アルキル基は、たとえば、(CH2CH2O)1-9−Rx(ここでRxはHまたはC1−C10アルキルまたはC2−C10アルカノイルである)(たとえばCO−CH(C25)C49)、CH2−CH(ORy')−CH2−O−Ry(ここでRyはC1−C18アルキル、C5−C12シクロアルキル、フェニル、C7−C15フェニルアルキルであり、Ry'はRyと同じ定義を包含するかまたはHである);C1−C8アルキレン−COO−Rz、たとえばCH2COORz、CH(CH3)COORz、C(CH32COORz(ここでRzはH、C1−C18アルキル、(CH2CH2O)1-9−Rxであり、Rxは上に示した定義を包含する);CH2CH2−O−CO−CH=CH2;CH2CH(OH)CH2−O−CO−C(CH3)=CH2である。
【0091】
好ましいアリーレン基は1,4−フェニレン、2,5−トリレン、1,4−ナフチレン、1,9アントラシレン、2,7−フェナントリレンおよび2,7−ジヒドロフェナントリレンである。
【0092】
好ましいヘテロアリーレン基は2,5−ピラジニレン、3,6−ピリダジニレン、2,5−ピリジニレン、2,5−ピリミジニレン、1,3,4−チアジアゾール−2,5−イレン、1,3−チアゾール−2,4−イレン、1,3−チアゾール−2,5−イレン、2,4−チオフェニレン、2,5−チオフェニレン、1,3−オキサゾール−2,4−イレン、1,3−オキサゾール−2,5−イレンおよび1,3,4−オキサジアゾール−2,5−イレン、2,5−インデニレンおよび2,6−インデニレンである。
【0093】
本発明によるポリマーは、たとえば、D. Braun, H. Cherdron, H. Ritter, Praktikum der makromolekularen Stoffe, 1st Edn., Wiley VCH, Weinheim 1999, p. 68-79またはR. J. Young, P. A. Lovell, Introduction to Polymers, Chapman & Hall, London 1991において説明されたような、当業者に知られた既知の方法によって作り上げることができる。
【0094】
たとえば、反応混合物をろ過し、水性の酸で希釈し、抽出することができるし、乾燥および溶媒の除去後に得られる粗生成物を沈殿剤の添加による好適な溶媒からの再沈殿によってさらに精製することができる。残留パラジウムは活性炭、クロマトグラフィーなどを使用することによって除去できる。有利には、残留パラジウムは、ポリマーを含有する粗有機溶媒層を室温〜有機溶媒の沸点においてL−システインの水溶液で洗浄することによって、特にはポリマーを含有するトルエン層を85〜90℃においてL−システインの水溶液で洗浄し、その後任意に78〜82℃においてL−システインおよびチオ硫酸ナトリウムの溶液で洗浄することによって<3ppmまで減少させることができる(Mahavir Prashad, Yugang Liu, Oljan Repicoe, Adv. Synth. Catal. 2003, 345, 533 - 536; Christine E. Garrett, Kapa Prasad, Adv. Synth. Catal. 2004, 346, 889 - 900)。加えて、Pdは、US-B-6,956,095で説明されているように、ポリマーをNaCN水溶液で洗浄することによって除去できる。ポリマーのさらなる機能付与のために、ポリマー類似物反応を続けて行うことができる。したがって、たとえば、末端ハロゲン原子は、たとえばLiAlH4での還元により還元的に除去できる(たとえば、J. March, Advanced Organic Chemistry, 3rd Edn. McGraw-Hill, p. 510を参照のこと)。
【0095】
本発明のさらなる態様は、式Iの単位を含むポリマーを含有した1〜99パーセントの少なくとも1種の成分を含有するポリマーブレンドに関する。ブレンドの1〜99パーセントの残部は1種以上のポリマー材料から構成され、このポリマー材料は鎖成長ポリマー、たとえばポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ(メチルメタクリラート)、およびポリ(エチレンオキシド);逐次重合ポリマー、たとえばフェノキシ樹脂、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリイミド;ならびに架橋ポリマー、たとえば架橋エポキシ樹脂、架橋フェノール樹脂、架橋アクリラート樹脂、および架橋ウレタン樹脂から選択される1種以上のポリマー材料からなる。これらのポリマーの例は、Preparative Methods of Polymer Chemistry, W. R. Sorenson and T. W. Campbell, Second Edition, Interscience Publishers (1968) に認められる。ポリ(フェニレンビニレン)、置換ポリ(フェニレンビニレン)、置換ポリフェニレンおよびポリチオフェンなどの共役ポリマーもブレンドにおいて有用である。これらの共役ポリマーの例は、Greenham and Friend in Solid State Physics, Vol. 49, pp. 1-149 (1995)に示されている。
【0096】
本発明のもう1つの態様は、本発明のポリマーから形成された膜である。このような膜は、ポリマー発光ダイオード(PLED)で使用できる。好ましくは、このような膜は発光層として使用される。また、これらの膜は電子機器用の保護コーティングとしておよび蛍光塗料としても使用しできる。コーティングまたは膜の厚さは最終的な用途に依存する。通常、この厚さは0.01〜200ミクロンでありうる。このコーティングを蛍光塗料として使用する実施形態では、コーティングまたは膜の厚さは10〜200ミクロンである。このコーティングを電子工学的保護層として使用する実施形態では、コーティングの厚さは5〜20ミクロンでありうる。このコーティングをポリマー発光ダイオードで使用する実施形態では、形成される層の厚さは0.01〜0.5ミクロンである。本発明のポリマーはピンホールおよび欠陥のない優れた膜を形成する。このような膜は、この技術において周知されている手段、たとえばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングおよびローラーコーティングなどによって製造できる。このようなコーティングは、組成物を基板に塗布することと塗布した組成物を膜が形成される条件に曝すこととを含むプロセスによって製造される。膜を形成する条件は塗布技術に依存する。好ましくは、溶液は0.1〜10重量%のポリマーを含有する。この組成物を所望の方法によって適切な基板に塗布し、溶媒を蒸発させる。残留溶媒は減圧および/または加熱乾燥によって除去できる。膜は好ましくは実質的に均一な厚さであり、実質的にピンホールを含まない。もう1つの実施形態では、ポリマーは部分的に硬化されてもよい。これはB段階として知られている。
【0097】
本発明のさらなる実施形態は、基板と本発明によるポリマーとを含む電子機器およびそのための構成部材を対象とする。
【0098】
このような電子機器では、本発明によるポリマーを電界発光材料として使用する。本発明の目的のために、用語「電界発光材料」は、電界発光デバイスにおける活性層としてまたはその中で使用できる材料を意味するように意図される。用語「活性層」は、電場をかけるとこの層が発光できること(発光層であること)および/またはそれが正電荷および/または負電荷の注入および/または輸送を向上させること(電荷注入または電荷輸送層であること)を意味する。それゆえに、本発明は、本発明によるポリマーの電界発光材料としての使用にも関する。さらに、本発明は本発明によるポリマーを含む電界発光材料に関する。
【0099】
電界発光デバイスは、たとえば、コントロールランプ、英数字表示装置、信号などの自己照明ディスプレイ素子として、および光電子カプラーにおいて使用される。
【0100】
本発明によるデバイスは、参照によりその内容がここに組み込まれるWO99/48160での開示に従って製造できる。本発明によるポリマーはデバイス内に唯一の発光層ポリマーとしてまたは正孔および/または電子輸送ポリマーをさらに含むブレンド中の一成分として存在しうる。あるいは、このデバイスは、本発明のポリマー、正孔輸送ポリマーおよび/または電子輸送ポリマーの別々の層を含んでもよい。
【0101】
1つの実施形態では、電子機器は、
(a)正電荷キャリアを注入するための電荷注入層と、
(b)負電荷キャリアを注入するための電荷注入層と、
(c)層(a)の間に位置する発光層と、
(d)本発明によるポリマーを含むものと
を含む電界発光デバイスを具備する。
【0102】
層(a)は発光層(c)とアノード電極層との間に位置する正電荷キャリア輸送層でもよいし、またはアノード電極層でもよい。
【0103】
層(b)は発光層(c)とカソード電極層との間に位置する負電荷キャリア輸送層でもよいし、またはカソード電極層でもよい。任意に、有機電荷輸送層を発光層(c)と電荷キャリア注入層(a)および(b)の一方との間に配置することができる。
【0104】
ELデバイスは、400nm〜780nmの間、青色の場合は好ましくは430nm〜470nmの間、緑色の場合は好ましくは520nm〜560nmの間、赤色の場合は好ましくは600nm〜650nmの間の可視電磁スペクトルの光を放射する。特定の繰り返し単位をポリマーの主鎖に組み込むことによって、発光を近赤外(NIR、>780nm)にさらにシフトさせることができる。
【0105】
発光層は本発明による1種以上のポリマー、および任意のさらなる他のポリマーを含む材料のブレンドまたは混合物から形成されてもよいことは明らかであろう。このさらなる他のポリマーはいわゆる正孔輸送ポリマー(すなわち、発光材料への正孔輸送の効率を高めるためのもの)または電子移動ポリマー(すなわち、発光材料への電子輸送の効率を高めるためのもの)でありうる。好ましくは、このブレンドまたは混合物は、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%の本発明によるポリマーを含むであろう。
【0106】
有機ELデバイスは典型的にはアノードとカソードとの間に挟まれた有機膜から構成されており、正バイアスをこのデバイスにかけると、正孔がアノードからこの有機膜に注入され、電子がカソードからこの有機膜に注入される。
【0107】
正孔と電子との結合はエキシトンを生じさせうるものであり、このエキシトンは、光子を遊離させることにより、基底状態への放射減衰を受けうる。実際には、アノードは通常、その導電性および透明性のために、錫とインジウムとの混合酸化物である。有機膜によって放出される光が観察できるように、この混合酸化物(ITO)をガラスまたはプラスチックなどの透明基板上に堆積させる。有機膜は、各々別々の機能のために設計された幾つかの別個の層の複合体でありうる。正孔はアノードから注入されるので、アノードの隣の層は正孔を輸送する機能を有する必要がある。
【0108】
同様に、カソードの隣の層は電子を輸送する機能を有する必要がある。多くの場合、正孔(電子)輸送層は発光層としても働く。いくつかの場合では、1つの層が正孔および電子の輸送と発光とを兼ね備えた機能を発揮することができる。有機膜の別々の層は、本質的に全て高分子でもよいし、またはポリマーの膜と熱蒸発によって堆積される小分子の膜との組み合わせでもよい。有機膜の合計の厚さは1000ナノメートル(nm)未満、特に500nm未満である。合計の厚さは300未満であることが好ましいが、活性層の厚さが40〜160nmの範囲内にあることがより好ましい。
【0109】
基板およびアノードとして働くITO−ガラスは、洗浄剤、有機溶媒およびUV−オゾン処理での通常の清浄化後にコーティングとして使用できる。また、正孔注入を促進するために、それに導電性基材の薄膜をまずコーティングしてもよい。このような基材としては銅フタロシアニン、ポリアニリン(PANI)およびポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる;後ろの2つは、たとえばFeCl3またはNa228がドープされたそれらの(ドープされた)導電性形態にある。それらは、水溶性を確保するために、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)を対イオンとして含有する。この層の厚さが200nm以下であることが好ましく;この厚さが100nm以下であることがより好ましい。
【0110】
正孔輸送層を使用する場合、米国特許第5,728,801号に記載された高分子アリールアミンを使用できる。他の知られている正孔伝達ポリマー、たとえばポリビニルカルバゾールを使用してもよい。多層デバイスの作製が成功するには、隣に塗布されるコポリマー膜の溶液による腐食に対してのこの層の耐性が明らかに重要である。この層の厚さは500nm以下、好ましくは300nm以下、最も好ましくは150nm以下でありうる。
【0111】
電子輸送層を使用する場合、それは、低分子量材料の熱蒸発によってまたは下の膜に大きなダメージを与えないであろう溶媒によるポリマーの溶液コーティングによって塗布できる。
【0112】
低分子量材料の例としては、8−ヒドロキシキノリンの金属錯体(BurrowsらによりAppl. Phys. Lett. 64 (1994) 2718-2720において説明されている)、10−ヒドロキシベンゾキノリンの金属錯体(HamadaらによってChem. Lett. (1993) 906-906において説明されている)、1,3,4−オキサジアゾール(HamadaらによってOptoelectronics-Devices and Technologies 7 (1992) 83-93において説明されている)、1,3,4−トリアゾール(KidoらによってChem. Lett. (1996) 47-48において説明されている)、およびペリレンのジカルボキシイミド(YoshidaらによってAppl. Phys. Lett. 69 (1996) 734-736において説明されている)が挙げられる。
【0113】
高分子電子輸送材料は、1,3,4−オキサジアゾール含有ポリマー(LiらによってJ. Chem. Soc. (1995) 2211-2212において、YangおよびPeiによってJ. Appl. Phys. 77 (1995) 4807-4809において説明されている)、1,3,4−トリアゾール含有ポリマー(StrukeljらによってScience 267 (1995) 1969-1972において説明されている)、キノキサリン含有ポリマー(YamamotoらによってJpn. J. Appl. Phys. 33 (1994) L250-L253において、O'BrienらによってSynth. Met. 76 (1996) 105-108において説明されている)、およびシアノ−PPV(WeaverらによってThin Solid Films 273 (1996) 39-47において説明されている)によって例証される。この層の厚さは500nm以下、好ましくは300nm以下、最も好ましくは150nm以下でありうる。
【0114】
カソード材料は熱蒸発によってまたはスパッタリングによって堆積させることができる。カソードの厚さは1nm〜10,000nm、好ましくは5nm〜500nmでありうる。
【0115】
本発明に従って作られるOLEDは、デバイスの発光層中に分散した、100%に達する内部量子効率を達成することができる燐光ドーパントを含んでもよい。ここで使用する限りにおいて、用語「燐光」は有機分子または金属−有機分子の三重項励起状態からの放射を意味する。燐光ドーパントを使用する高効率有機発光デバイスは、いくつかの様々な導電性ホスト材料を使用して説明されている(M. A. Baldoら, Nature,Vol 395, 151 (1998), C. Adachi et al., Appl. Phys. Lett., Vol. 77, 904 (2000))。
【0116】
好ましい実施形態では、電界発光デバイスは、少なくとも1つの正孔輸送ポリマー膜と、本発明のポリマーから構成されており、アノード材料とカソード材料との間に配置された発光ポリマー膜とを具備し、印加電圧下で、デバイスが正バイアスされると、正孔がアノード材料から正孔輸送ポリマー膜に注入され、電子がカソード材料から発光ポリマー膜に注入され、その結果、発光層からの発光が得られる。
【0117】
もう1つの実施形態では、正孔輸送ポリマーの層は、アノードに最も近い層が低い酸化電位を有し、隣接する層が漸次高い酸化電位を有するように配置される。これらの方法によって、単位電圧当たりの光出力が比較的高い電界発光デバイスを製造できる。
【0118】
用語「正孔輸送ポリマー膜」は、ここで使用する限りにおいて、電場が印加される2つの電極間に配置され、正孔がアノードから注入されたときに、発光ポリマーへの十分な正孔の輸送を可能にするポリマーの膜の層を指す。正孔輸送ポリマーは典型的にはトリアリールアミン部分から構成される。
【0119】
用語「発光ポリマー膜」は、ここで使用する限りにおいて、好ましくは可視領域の波長に対応する光子の放出により励起状態が基底状態へ緩和しうるポリマーの膜の層を指す。用語「アノード材料」は、ここで使用する限りにおいて、4.5電子ボルト(eV)〜5.5eVの仕事関数を有する半透明、または透明の導電膜を指す。例は金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、鉄、亜鉛、錫、クロム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、鉛、マンガン、タングステンなど、金属合金たとえばマグネシウム/銅、マグネシウム/銀、マグネシウム/アルミニウム、マグネシウム/インジウムなど、半導体たとえばSi、Ge、GaAsなど、金属酸化物たとえばインジウム−錫−酸化物(「ITO」)、ZnOなど、金属化合物たとえばCuIなど、ならびにさらには導電性ポリマーたとえばポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレンなどである。インジウムおよび錫の酸化物および混合酸化物、ならびに金が好ましい。最も好ましいのはITO、特に基板としてのガラス上、またはプラスチック材料、たとえばポリエステル、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)上のITOである。
【0120】
用語「カソード材料」は、ここで使用する限りにおいて、2,0eV〜4.5eVの仕事関数を有する導電膜を指す。例はアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、銀、および銅、ならびにこれらの合金または混合物、たとえばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、フッ化リチウム(LiF)、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、バリウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銅合金、マグネシウム−アルミニウム合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−酸化アルミニウム合金、アルミニウム−リチウム合金、インジウム、カルシウム、およびEP-A 499,011において例証された材料、たとえばポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーである。好ましくは、リチウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、銀、アルミニウム、または上述のブレンドおよび合金が使用される。金属または金属合金を電極用の材料として使用する場合、電極は減圧堆積方法によっても形成できる。金属または金属合金を電極を形成する材料として使用する場合、電極は、さらに、化学めっき法によっても形成できる(たとえば、Handbook of Electrochemistry, pp 383-387, Mazuren, 1985を参照のこと)。導電性ポリマーを使用する場合、電極は、導電性コーティングを予め設けた基板上での陽極酸化重合によりそれを膜にすることによって製造できる。
【0121】
前記薄膜を形成する方法としては、たとえば、減圧堆積法、スピンコーティング法、キャスティング法、ラングミュラー・ブロジェット(「LB」)法、インクジェット印刷法などがある。これらの方法の中で、減圧堆積法、スピンコーティング法、インクジェット印刷法およびキャスティング法が作業の容易さおよびコストの観点から特に好ましい。
【0122】
スピンコーティング法、キャスティング法およびインクジェット印刷法を使用して層を形成する場合、組成物を0.0001〜90重量%の濃度で適切な有機溶媒、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、アニソール、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシドおよびこれらの混合物中に溶解させることによって調製される溶液を使用してコーティングを行うことができる。
【0123】
大型の高解像度ディスプレイのためのアクティブマトリックスOLED(AMOLED)材料のパターニングは、レーザー誘起熱転写(LITI;Organic Light-Emitting Materials and Devices VII, edited by Zakya H. Kafafi, Paul A. Lane, Proceedings of SPIE Vol. 5519, 12-23)を使用して行うことができる。
【0124】
本発明の有機ELデバイスは、壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ、平らな発光デバイスたとえば壁紙、複写機またはプリンタの光源、液晶ディプレイまたはカウンターの光源、ディスプレイ掲示板および信号灯などのための他の代替技術と目され、さらには白熱灯および蛍光灯の代わりとなる。本発明のポリマーおよび組成物は有機ELデバイス、光電池デバイス、電子写真受光器、光電子変換器、太陽電池、撮像素子などの分野で使用できる。
【0125】
したがって、本発明は、本発明による1種以上のポリマーを含むOLED、PLED、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、熱電装置、または有機レーザーダイオオードにも関する。
【0126】
以下に、特に好ましい実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるべきでない。この実施形態では、ポリマーは以下の一般式IIのホモポリマーである。
【化28】

【0127】
ここで、Rは好ましくは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、およびポリマーの鎖長を決定するnは20〜500の範囲にある整数である。
【0128】
本発明のより具体的な実施形態では、Rはtert−ブチル基であり、これの使用が、所望される生成物を以下により詳細に示す非常に単純で効率的な3段階合成で提供することを可能にするという点で特に有利である。しかしながら、他の置換基を有する類似の化合物も以下に示す既知の方法によって作ることができるし、類似した有利な特性を示すであろう。加えて、構造式IIにおいて置換されていないピレン環の残りの位置のうちの1つ以上が、調製方法を妨害しないし以下に説明するポリマー分子の所望される捩じれ構造を妨げない残基で置換されていてもよいことも企図される。このような残基は、たとえば、上の式Iで定義した残基R2−R8を含んでもよい。特に、前記残基は、C1−C12アルキル基、たとえば好ましくは1〜3個の炭素原子を有する低級アルキル基を含んでもよい。
【0129】
1つの態様では、本発明は、ピレン環の7位にアルキル置換基を有する式II、特に7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンの、十分に溶解であり加工できるコポリマーであって、欠陥のない構造を有し、ピレン単位のみから作られたポリマーについて現在までに報告された最高の重合度を有するコポリマーを製造するための効率的な化学的経路を提供する。
【0130】
ピレン環へのアルキル鎖の添加は種々の手段によって、たとえば、以下に概略的に示すが、Conventryらが(Chem. Commun. 2005, 2172-2174で)報告したピレン−2−ボロナート出発化合物から行うことができる。
【化29】

【0131】
続いて、アルキル化ピレンを、以下の一般スキームで示すように、さらに処理し重合させることができる:
【化30】

【0132】
より詳細には、ポリ−7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンは、以下のスキームに従う単純な化学的3段階合成経路で非常に効率的に製造できる。
【化31】

【0133】
ポリ−7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンを調製する方法は少なくとも以下の工程を含む:
a)2−tert−ブチルピレンを提供するための、ピレンのモノ−tert−ブチル化の工程、
b)b)工程a)からの2−tert−ブチルピレンを臭素またはNBSと反応させて、1,3−ジブロモ−7−tert−ブチルピレンモノマーを提供する工程、
c)触媒の存在下でのYamamoto反応でのモノマーの重合の工程。
【0134】
好ましくは、工程c)での触媒はNi(0)触媒、たとえばNi(COD)2であるが、他の好適な触媒も利用可能であり、当業者であれば容易に分かるであろう。
【0135】
詳細には、本発明で使用するポリ−7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンの好ましい調製方法では、ピレンをまず、Miuraらの J. Org. Chem. 59, 3294-3300 (1994)のプロトコルに修正を加えたものを使用してモノ−tert−ブチル化して2−tert−ブチルピレンを得、これを次にCH2Cl2中で臭素(2等量)を用いて−78℃で処理して、1,3−ジブロモ−7−tert−ブチルピレンを89%の収率で提供した。tert−ブチル基の使用は、1,3−ジブロモ−7−tert−ブチルピレン誘導体を選択的に得るために戦略的に重要であった。1,3−ジブロモ−7−tert−ブチルピレンの重合は、Synlett 4, 425-450 (2003)でのYamamoto, T.に類似した、Ni(0)触媒、特にNi(COD)2を用いる山本カップリング反応によって行った。
【0136】
以下に詳述する実験データによって証明するように、得られたポリ−7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンは、青色発光を伴う高い固体状態量子収率を示し、優れた溶解性および安定性を示し、薄膜中での凝集がなく、単層PLEDにおいて優れた電気光学的性能を示す。
【0137】
特性評価
HClおよびメタノール(1:1)の混合物中での沈殿および続けてのアセトンでのソックスレー抽出による低分子量種の除去の後、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)分析(THF、PPP標準試料)は、Mw=29800g/mol、Mw=51500g/mol、およびPD=1.7を示した;これは約115の繰り返し単位の分子構造に対応する。得られたポリマーは通常の有機溶媒(たとえば、THF、トルエンおよび塩素化溶媒)中で高い溶解性を示し、1H−NMRおよび13C−NMR分光法によるポリマーの特性評価とさらには溶液中での光学的性質の研究とを可能にする。1H−NMRスペクトルは、正確な相対的信号強度で、芳香族プロトンに対応する8.7〜7.0ppmの間のブロードなバンドおよびtert−ブチル基に対応する1.57ppmを中心としたブロードなシグナルを示した。
【0138】
高い分子量に加えて、本発明のポリピレンは、ポリマー鎖の非常に捩じれた構造のおかげでこのピレン誘導体中において凝集がないことを初めて証明し、これは重要な利点、たとえば優れた溶解性および図1に示すようにφf=0.88(参照としてアントラセンを用い360nmで励起して計算した値)というTHF中での高い蛍光量子収率をもたらす。図1(の上部のパネル)は、薄膜および希THF溶液についての非常に類似したスペクトルを示す、UV−可視吸収および光ルミネセンス放出スペクトルを示している。この吸収スペクトルは約357nm付近のπ−π*遷移と約280nm付近により高いエネルギー吸収バンドとを示している。対照的に、溶液および薄膜の放出はどちらも、溶液中では441nmにおいて最大値を有し、固体状態では454nmへと僅かに長波長シフトしたブロードな非構造的バンドを特徴とする。加えて、固体状態での発光スペクトルの小さな広がりが認められる。
【0139】
膜および希薄溶液中での非常に類似した発光および吸収スペクトルの知見は励起状態における凝集がないことについての十分な証拠を既に提供しているが、図1の下のパネルに示したように、3桁をカバーする古典的な濃度依存分析を行うことによってその出現を排除しうる。このプロットから明らかに分かるように、溶解したポリマーの発光はエキシマー発光の兆候を示さない。所定の臨界濃度を越えたもののみポリマーの自己吸収が観察され、発光スペクトルの低波長の端部の除去が観察される。これらの所見は新たなポリマーにおける何らかのエキシマーの形成に対する直接的な反証である。さらに、凝集物からの発光も明確な濃度依存性を示すはずだが、これがはっきりと認められないので、我々は基底状態の凝集は起こらないとさらに結論付ける。これは、溶液中のポリマーをバンドエッジに近くそれ以下のエネルギーで(すなわち、370nmより高い波長で)励起した場合に、我々はさらなる発光バンドまたはさらには分子発光のシフトのいずれの証拠も発見できなかった事実によって裏付けされる。
【0140】
また、エキシマーおよび凝集物発光の非存在は、図2の挿入図に示したように、線状の1,3−ペンタマーモデル化合物(AM1)についての計算分子構造からも明らかになる。このモデリングは、約75°の二面角を与える、強い立体傷害の結果としての2つのピレン環の間の捩じれを明確に示す。1,3−ペンタマーの、および同様にポリマーの捩じれ構造は、ピレン単位のπ−スタッキングおよびその結果の自己消光効果のおかげにより、凝集物またはエキシマーの形成によってもたらされる自己凝集を劇的に減少させ、溶液中のそれに匹敵する固体状態性能をもたらす。前記ポリマーの吸収および発光特性と以前合成された1,3−トリマー(Muellen et al., Angew. Chem. Int. Ed. 47, 10175-10178 (2008))のそれらとの比較はこれらの所見をさらに裏付ける。1,3−トリマーは、溶液中では350nmに最大吸収を示し430nmに最大発光を示し、それに対しポリマーの場合にはそれぞれ357nmおよび441nmである。
【0141】
高温での形態安定性はデバイスの性能にとって重要な点であるので、ポリピレンの熱的特性評価を示差走査熱分析(DSC)および熱重量分析(TGA)を使用して行い、その光学特性に対する熱処理の影響を調べた。記録された高い形態安定性およびTgはポリマーの主鎖における堅牢なピレン単位の存在に起因しうる。さらに、図2は、アルゴン雰囲気下150℃で24時間に亘るアニーリングの前後でのポリピレン膜についての発光スペクトルを示している。アニーリング後に、固体発光収率の約8%の減少が伴う、最大発光の僅かなシフト(4nm)のみが観察されたことは驚くべきことである。同様の結果が周囲条件下でのアニーリング実験で得られた。この結果から、このポリマーが形態に関する顕著な熱的安定性を示すことだけでなく、高温での酸化によって化学的欠陥が生じることが十分に防止されることが分かる。
【0142】
図3に示すように、ITO/PEDOT:PSS/ポリピレン/CsF/Al OLED構造体は、465nmに最大値を有する明るい青色−ターコイズの電界発光と、固体状態の光ルミネセンス発光に非常に類似したプロファイルとを示す。300cd/m2の輝度が、8Vのバイアス電圧で観察され、CIE1931測色標準に従うx=0.15およびy=0.32の有利な青色の色座標であった。このデバイスは、グラフの挿入図で示したように、デバイスの動作による熱アニーリングの結果としてのスペクトルの非常に僅かな変化のみを有する、注目すべき経時的スペクトル安定性を示す。このデバイスは約3.5Vおよび約0.3cd/Aの最大効率で電界発光の検出可能な開始を示す。本発明のデバイスの性能は、全体的なデバイスの効率および輝度に関しては、類似したポリ(パラ−フェニレン)−タイプ系の材料から蒸着した輸送層なしに作製したデバイス(たとえば、J. Jacob et al., J. Am. Chem. Soc., 126, 6987 (2004)を参照のこと)に匹敵する。しかしながら、全体的なデバイスの安定性に関しては、本発明のポリマーはその分子デザインに基づく明らかな優位性を示す。加えて、この単純な3段階化学合成経路は高純度で欠陥のないポリマーの作製を可能にする。分子設計のおかげで、「脂肪族CH(光)酸化」などの非共役ポリマーセグメントの場合に知られているもの(M.R. Craig et al., J. Mater. Chem. 13, 286- (2003))およびポリフルオレンの9位で観察されるものなどの共役鎖セグメントの酸化(J. W.List et al., Adv. Mater. 14, 374- (2002))のような酸化劣化プロセスは、本発明のポリマーでは検出されない。
【0143】
結論として、ここで特許請求の範囲に記載する化合物、特にポリ−7−tert−ブチル−1,3−ピレニレンおよび関連する化合物は、非常に好適な青色発光の利点を提供し、これはピレン単位の間に大きな二面角をもたらし凝集物およびエキシマー発光を十分に抑える1,3−置換の結果である。最後に、単純な合成経路および薄膜における高い蛍光量子収率は、これらのポリピレンをPLED用の特に有望な材料にする。
【0144】
特許請求の範囲に記載したポリピレンの驚くべきおよび有利な特性ゆえに、本発明のさらなる態様は、その種々の用途に関する。
【0145】
たとえば、有利な用途は、特許請求の範囲に記載した化合物の電界発光材料としての使用および/または電子機器もしくはその構成部材における使用を含む。
【0146】
特に、ポリピレンはそれ自体でも使用できるし、デバイスの発光活性層中でも使用できる。本発明によるポリピレンは、デバイスにおいて、唯一の発光ポリマーとして、または正孔および/または電子輸送ポリマーをさらに含むブレンド中の一成分として存在できる。あるいは、このデバイスは、本発明のポリピレンポリマー、正孔輸送ポリマーおよび/または電子輸送ポリマーの別々の層を具備してもよい。
【0147】
本発明のポリピレンは、この技術において知られている任意の電子機器、たとえばWO99/48160に開示されたそれで使用できる。電界発光デバイスは、たとえば自己照明デバイス素子、たとえば制御ランプ、英数字表示装置、信号などとして、および光電子カプラーで使用される。
【0148】
特に好ましくは、本発明のポリピレンはポリマー発光ダイオード(PLED)で使用される。この目的のために、本発明のポリピレンは典型的に膜へと形成され、発光層として使用される。この層の厚さは典型的に0.01〜0.5μmであろう。
【0149】
この膜は、この技術で周知されている方法、たとえばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティングおよびローラーコーティングなどで調製することができる。このコーティングを調製するための組成物は典型的に0.1〜10重量%の前記ポリマーを含有する。この組成物を所望される方法によって適切な基板に塗布し、溶媒を蒸発させる。残った溶媒は、減圧および/または加熱乾燥により除去できる。具体的な実施形態では、組成物の一部の成分を部分的に硬化してもよい。
【0150】
それゆえに、他の関連する態様では、本発明は、本発明のポリピレンの1種以上を含む、光学的もしくは電気的デバイスまたはその構成部材、ならびにPLED、有機集積回路(O−Ic)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、熱電素子、エレクトロクロミック素子、または有機レーザーダイオードをさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】図1:(a)THF中および薄膜中のポリマーのUV−可視吸収および光ルミネセンス発光スペクトル;ならびに(b)0.1mg/l〜1000mg/lの範囲にある様々な濃度でのトルエン中の光ルミネセンス。(最高濃度でのスペクトルは、520nm未満の波長において、自己吸収による影響を受けていることに留意されたい)。
【図2】図2:アルゴン雰囲気下での150℃での24時間に亘る熱アニーリングの前後でのポリマー膜について得られた絶対的光ルミネセンス発光スペクトル。挿入図は、線状1,3−ペンタマーの分子モデルを示しており、大きな立体障害の結果としての明らかに同一平面上にない隣接するピレン環の配置を示している。
【図3】図3:ITO/PEDOT:PSS/ポリピレン/CsF/Alデバイスにおけるバイアス電流の関数としての電流密度(正方形を有する線)/輝度(円を有する線線)。挿入図は、このデバイスの1〜5分間の連続動作後のエレクトロルミネセンス発光スペクトルを示している。この発光スペクトルは、6Vのバイアスおよび約400mA/cm2で得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式Iで示される繰り返し単位を含む蛍光ポリマー:
【化1】

(ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立して水素、ハロゲン、特にF、SiR100101102、または有機置換基であり、または
6およびR7、R3およびR4、および/または置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7および/またはR8のうち互いに隣接するいずれかは、任意に置換されていてもよい芳香環、または複素芳香環、または環構造を共に形成し、
1およびn2は0、1、または2であり、
100、R101、およびR102は互いに独立してC1−C18アルキル、置換または非置換のC6−C18アリールであり、
Ar1およびAr2は各々互いに独立して置換または非置換のアリーレン基またはヘテロアリーレン基である)。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光ポリマーであって、
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立してH、ハロゲン、特にF、C1−C18アルキル、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C6−C24アリール、Gで置換されたC6−C24アリール、C2−C20ヘテロアリール、Gで置換されたC2−C20ヘテロアリール、C2−C18アルケニル、C2−C18アルキニル、C1−C18アルコキシ、Eで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシ、C7-C25アラルキル、CN、または−CO−R28であり;
Dは−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO2−;−O−;−NR25−;−SiR3031−;−POR32−;−CR23=CR24−;または−C≡C−であり;
Eは−OR29;−SR29;−NR2526;−COR28;−COOR27;−CONR2526;−CN;またはハロゲン、特にFであり;
GはE、C1−C18アルキル、Dで中断されたC1−C18アルキル、C1−C18パーフルオロアルキル、C1−C18アルコキシ、またはEで置換されたおよび/またはDで中断されたC1−C18アルコキシであり;
23、R24、R25およびR26は互いに独立してH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
27はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;特にC1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
28はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
29はH;C6−C18アリール;C1−C18アルキルもしくはC1−C18アルコキシで置換されたC6−C18アリール;C1−C18アルキル;または−O−で中断されたC1−C18アルキルであり;
30およびR31は互いに独立してC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールであり、
32はC1−C18アルキル、C6−C18アリール、またはC1−C18アルキルで置換されたC6−C18アリールである蛍光ポリマー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光ポリマーであって、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は互いに独立してH、F、C1−C18アルキル、−O−で中断されたC1−C18アルキル、C1−C18アルコキシ、または−O−で中断されたC1−C18アルコキシである蛍光ポリマー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光ポリマーであって、R1はC1−C18アルキルである蛍光ポリマー。
【請求項5】
請求項4に記載の蛍光ポリマーであって、R1は、好ましくは分枝の、C1−C8アルキル基である蛍光ポリマー。
【請求項6】
請求項5に記載の蛍光ポリマーであって、R1はtert−ブチル基である蛍光ポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光ポリマーであって、Ar1およびAr2は、置換もしくは非置換のベンゼン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のジフェニルアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のアセナフテン、置換もしくは非置換のビフェニル、置換もしくは非置換のフルオレン、置換もしくは非置換のカルバゾルイル、置換もしくは非置換のチオフェン、置換もしくは非置換の多縮合チオフェン、置換もしくは非置換のトリアゾール、置換もしくは非置換のチアジアゾール、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のトリフェニルアミン、ペリレンジイミドまたはペリレンモノイミド、またはこれらの高級リレン同族体から選択される蛍光ポリマー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光ポリマーであって、n1およびn2は0である蛍光ポリマー。
【請求項9】
請求項8に記載の蛍光ポリマーであって、R1はC1−C12アルキル基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は互いに独立して水素またはC1−C18アルキル、好ましくはC1−C3アルキルである蛍光ポリマー。
【請求項10】
請求項1〜9にいずれか1項に記載の蛍光ポリマーであって、20〜1000個の式Iの繰り返し単位含む蛍光ポリマー。
【請求項11】
請求項9に記載の蛍光ポリマーであって、以下の一般式IIを有する、非凝集性の青色発光ポリピレン化合物:
【化2】

(ここで、Rは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは20〜1000の範囲内の整数である)である蛍光ポリマー。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、Rはtert−ブチル基である化合物。
【請求項13】
請求項11または12に記載の化合物であって、nは20〜500の範囲内にある化合物。
【請求項14】
ピレン環を2位および/または7位においてアルキル化する方法であって、
a)ピレン−2−ボロナートまたはピレン−2,7−ビス(ボロナート)化合物を調製することと
b)工程a)の化合物をCuBr2と反応させて2位および/または7位において臭素化した対応するブロモピレン誘導体を得て、続けてパラジウム触媒の存在下でMgCl−RもしくはZnBr−Rのその場での形成を行って対応するモノアルキル化もしくはジアルキル化ピレンを得るか、または工程a)の化合物をR−Brと一段階鈴木カップリング反応で反応させて対応するモノアルキル化もしくはジアルキル化ピレンを得ることと
を含む方法。
【請求項15】
ポリ−7−アルキル−1,3−ピレニレンを調製する方法であって、以下の工程:
a)ピレンをモノアルキル化して、2−アルキルピレンを用意する工程と、
b)工程a)からの2−アルキルピレンを臭素化剤、たとえば臭素またはNBSと反応させて、1,3−ジブロモ−7−アルキルピレンモノマーを用意する工程と、
c)工程b)からのモノマーを山本カップリング反応で触媒、特にNi(0)触媒の存在下で重合させる工程と
を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記アルキル基はtert−ブチル基である方法。
【請求項17】
電界発光物質としての請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
電子機器またはその構成部材での請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
ポリマー発光ダイオード(PLED)での請求項17または18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物を含む電子デバイスまたはその構成部材。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の1種以上の化合物を含む、OLED、PLED、有機集積回路(O−Ic)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、熱電素子、エレクトロクロミック素子、または有機レーザーダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−530158(P2012−530158A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515366(P2012−515366)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002414
【国際公開番号】WO2010/145726
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(594056568)マツクス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フエルデルング デル ヴイツセンシャフテン エー フアウ (13)
【出願人】(511305542)テヒニシェ・ウニベルジテート・グラッツ (1)
【氏名又は名称原語表記】Technische Universitaet Graz
【住所又は居所原語表記】Rechbauerstrasse 12, A−8010 Graz, Austria
【Fターム(参考)】