説明

有機発光ダイオード

第1及び第2バリアコーティングを含む有機発光ダイオードであって、前記バリアコーティングは、(i)アモルファスシリコンカーバイド、(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製されるコーティング、並びに(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層から選択される、有機発光ダイオード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は有機発光ダイオード(OLED)に関し、より詳細には第1及び第2バリアコーティングを含む有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
有機発光ダイオード(OLED)は、時計、電話、ラップトップコンピュータ、ページャ、携帯電話、デジタルビデオカメラ、DVDプレーヤ及び計算機などの種々の消費者製品において有用である。発光ダイオードを含むディスプレイは、従来の液晶ディスプレイ(LCD)よりも優れた数多くの利点を有する。例えば、OLEDディスプレイはLCDと比べてより薄型で、電力消費量が少なく、且つ明るい。また、LCDとは異なり、OLEDディスプレイは自己発光し、バックライトを必要としない。さらに、OLEDディスプレイは、明るい光の中であっても、広い視角を有する。これらの特徴が組み合わされた結果として、OLEDディスプレイは、LCDディスプレイよりも軽量であり、占有する空間が小さい。そのような利点にもかかわらず、大気中の水及び酸素などの環境要素にさらされることにより、OLEDの有効寿命は短くなる可能性がある。
【0003】
OLEDへの水及び酸素の浸透を減らすための1つの手法は、デバイスを封止又は封入することである。例えば、Jonesの米国特許第5,920,080号は、基板と、前記基板を覆う第1導体と、前記第1導体を覆う発光有機材料の層と、前記発光材料の層を覆う第2導体と、光放射を基板に対して平行な方向に制限するための手段と、前記第2導体を覆うバリア層とを含む有機発光デバイスを開示する。
【0004】
Jones等の米国特許第6,069,443号は、基板と;前記基板上に形成される少なくとも1つの導体と;前記少なくとも1つの導体及び前記基板上に形成される第1絶縁体層であって、前記絶縁体層は、その中に形成され、画素領域を画定する少なくとも1つの画素開口部を含む、第1絶縁体層と;前記第1絶縁体層上に形成される第2絶縁体層と;前記少なくとも1つの導体上の画素領域内に形成されるOLED層と;前記OLED層上に形成される封止構造とを含む有機発光デバイスを開示する。
【0005】
Affinitoの米国特許第6,268,695B1号は、(a)(i)第1ポリマー層と、前記第1ポリマー層上の第1セラミック層と、前記第1セラミック層上の第2ポリマー層とからなる最上面を有する基本構造(foundation)、(b)前記最上面の前記第2ポリマー層上に構成される有機発光デバイス、及び(c)その上に第2セラミック層を有する第3ポリマー層と、前記第2セラミック層上の第4ポリマー層とからなるカバーを含む、有機発光デバイスのための可撓性環境バリアを開示しており、前記カバーは前記有機発光デバイス上に堆積され、前記基本構造及びカバーは可撓性環境バリアとして有機発光デバイスを封入する。
【0006】
Ghosh等の米国特許出願第2001/0052752A1号は、基板と、その上に形成される少なくとも1つの有機発光ダイオードデバイスと、前記基板及び前記少なくとも1つの有機発光ダイオードデバイス上に形成される封入アセンブリとを含む有機発光ダイオードディスプレイデバイスを開示しており、前記封入アセンブリは、誘電性酸化物を含む第1封入酸化物層であって、前記封入酸化物層の誘電性酸化物は、前記基板及び前記少なくとも1つの有機発光ダイオードデバイスの両方の上に、且つ直に接触して存在する第1封入酸化物層と、前記第1封入層を覆う第2封入層とを含む。
【0007】
Sheats等の欧州特許出願第0977469A2号は、水又は酸素がその発生源からデバイスに達するのを防ぐ方法を開示しており、その方法は、前記デバイスと前記発生源との間に第1ポリマー層を堆積させる工程と、ECR−PECVDによって前記デバイスの前記第1ポリマー層上に無機層を堆積させる工程と、前記無機層上に第2ポリマー層を堆積させる工程とを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の引用文献は、様々な性能特性を有するOLEDを開示するが、水及び酸素に対して優れた耐性を有し、信頼性を改善したOLEDが引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[発明の概要]
本発明は、
(A)第1対向面及び第2対向面を有する基板と、
(B)前記基板の前記第1対向面上の第1バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂組成物を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第1バリアコーティングと、
(C)前記第1バリアコーティング上の第1電極層と、
(D)前記第1電極層上の発光素子と、
(D)前記発光素子上の第2電極層と、
(E)前記第2電極層上の第2バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(2)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第2バリアコーティング
を含む有機発光ダイオードであって、前記第1電極層及び前記第2電極層のうちの少なくとも一方は透明であり、前記第2電極層が不透明である場合には前記基板が透明である、有機発光ダイオードに関する。
【0010】
また、本発明は、
(A)第1対向面及び第2対向面を有する基板と、
(B)前記基板の第1対向面上の第1電極層と、
(C)前記第1電極層上の発光素子と、
(D)前記発光素子上の第2電極層と、
(E)前記第2電極層上の第1バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第1バリアコーティングと、
(F)前記基板の前記第2対向面上の第2バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第2障壁コーティング
を含む有機発光ダイオードであって、前記第1電極層及び前記第2電極層のうちの少なくとも一方は透明であり、前記第2電極層が不透明である場合には前記基板が透明である、有機発光ダイオードに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のOLEDは、磨耗、有機溶媒、湿気及び酸素に対して良好な耐性を示す。特に、該OLEDは、水蒸気及び酸素の浸透性が極めて低い。
【0012】
本発明の有機発光ダイオードを含むディスプレイは、薄い形状、低い消費電力、広い視角、軽量及び超小型などの数多くの利点を有する。さらに、該ディスプレイは、光学的に透明なプラスチックフィルムから反射性の金属箔までの範囲に及ぶ多様な可撓性基板上に製造することができる。ガラス基板上に製造される従来のOLEDディスプレイと比較すると、該OLEDディスプレイは可撓性であり、種々の形状に適合させることができる。また、薄いプラスチック基板は、ポータブルコンピュータ及び大画面テレビなどのデバイスにおいて考慮すべき重要な事項であるディスプレイの重量を低下させる。可撓性OLEDディスプレイは、同等のガラス製のディスプレイよりも破損を受けにくく、衝撃にも耐える。最後に、可撓性OLEDディスプレイは、ロール・ツー・ロール処理による製造の利点に起因して、その同等のガラス製のディスプレイよりも製造コストが安く済む可能性がある。
【0013】
本発明の有機発光ダイオードは、個別の発光デバイスとして、又はフラットパネルディスプレイなどの発光アレイ又はディスプレイの能動素子として有用である。OLEDディスプレイは、時計、電話、ラップトップコンピュータ、ページャ、携帯電話、デジタルビデオカメラ、DVDプレーヤ及び計算機などの数多くのデバイスにおいて有用である。
【0014】
本発明のここに述べられた、又はそれ以外の特徴、態様及び利点は、以下に記載される説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面を参照することにより、さらに理解を深められるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[発明の詳細な説明]
本明細書において用いられるとき、用語「透明」は、特定の構成要素(例えば、基板又は電極層)が電磁スペクトルの可視領域(〜400から〜700nmまで)の光に対して少なくとも30%、または少なくとも60%、あるいは少なくとも80%の透過率を有することを意味する。また、本明細書において用いられるときに、用語「不透明」は、該構成要素が電磁スペクトルの可視領域の光に対して30%未満の透過率を有することを意味する。
【0016】
図1に示されるように、本発明によるOLEDの第1の実施形態は、第1対向面100A及び第2対向面100Bを有する基板100と、前記基板100の前記第1対向面100A上の第1バリアコーティング102と、前記第1バリアコーティング102上の第1電極層104と、前記第1電極層104上の発光素子106と、前記発光素子106上の第2電極層108と、前記第2電極層108上の第2バリアコーティング110とを含む。
【0017】
基板には、2つの対向面を有する、硬質(rigid)又は可撓性の材料を用いることができる。さらに、該基板は電磁スペクトルの可視領域の光に対して透明にすることも、不透明にすることもできるが、第2電極層が不透明である場合には、基板が透明である。基板の例としては、ケイ素、二酸化ケイ素の表面層を有するケイ素及びガリウムヒ素のような半導体材料;石英;石英ガラス;酸化アルミニウム;セラミック;ガラス;金属箔;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリエチレンテレフタレートなどのポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン及びポリ弗化ビニルなどのフルオロカーボンポリマー;ナイロンなどのポリアミド;ポリイミド;ポリ(メチルメタクリレート)などのポリエステル;エポキシ樹脂;ポリエーテル;ポリカーボネート;ポリスルホン;並びにポリエーテルスルホンが挙げられるが、これに限定されない。
【0018】
第1バリアコーティングは、(i)アモルファスシリコンカーバイド、(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つの組み合わせによる多層から選択される。第1バリアコーティングは、0.1〜10μm、または0.1〜6μm、あるいは0.2〜4μmの厚さを典型的に有する。第1バリアコーティングの厚さが0.1μm未満であるとき、水又は酸素に対するバリアの浸透性は、中程度ないしは高い。
【0019】
バリアコーティング(i)、(ii)、(iii)(b)及び(iv)は、プラズマ化学気相成長(PECVD)、光化学気相成長、噴射蒸気堆積(jet vapor deposition)などの種々の化学気相成長(CVD)技法、並びにスパッタリング及び電子ビーム蒸着などの種々の物理気相成長によって堆積させることができる。該コーティングは、OLEDの基板及び/又は発光素子への損傷を避けるために、約100℃以下の温度において典型的に堆積される。個々の応用形態のために選択される方法は、OLED構成要素の熱安定性、及び反応気体又は副生成物による化学的攻撃に対する構成要素の影響の受けやすさなどのいくつかの要因による。
【0020】
PECVDでは、基板上を通るプラズマ場における気体反応物間の化学反応によってコーティングが堆積される。一般的に、PECVD法は、従来のCVDよりも低い基板温度で行われる。例えば、PECVD法では、およそ室温から約100℃までの基板温度を用いることができる。
【0021】
PECVD法において用いられるプラズマは、放電、無線周波数又はマイクロ波の範囲の電磁場、レーザ及び粒子ビームなどの種々の放射源から導出されるエネルギーを含むことができる。PECVD法では適度な電力密度(0.1〜5W/cm)での無線周波数(10kHz〜102MHz)又はマイクロ波(0.1〜10GHz)のエネルギーが典型的に用いられる。しかしながら、具体的な周波数、電力及び圧力は、前駆気体及び堆積システムの構成に典型的に依存している。
【0022】
当該技術分野において「水素化シリコンカーバイド」とも呼ばれる、本発明のアモルファスシリコンカーバイドは、ケイ素及び炭素に加えて水素を含む。例えば、アモルファスシリコンカーバイドは、一般式Siによって表すことができる(ここで、bはaよりも大きな値を有し、cは5〜45原子%の値を有し、a+b+cは100原子%である)。
【0023】
本発明のアモルファスシリコンカーバイドは、ケイ素に対して過剰の炭素を典型的に含む。例えば、炭素とケイ素との原子比は、典型的には1.1〜10:1、または1.1〜5:1、あるいは1.1〜2:1である。ケイ素に対する炭素の比が1.1:1未満であるとき、コーティングは極めて低い透明性を有する。該比が5:1よりも大きいとき、コーティングは高い応力を有し、そして剥離しやすい。
【0024】
適当な前駆気体の化学又は物理気相成長によってアモルファスシリコンカーバイドを調製する方法は、当該技術分野においてよく知られており、Loboda等の米国特許第5,818,071号、Tarhay等の米国特許第5,011,706号、Lobodaの米国特許第6,268,262B1号、Camilletti等の米国特許第5,693,565号、Camilletti等の米国特許第5,753,374号及びCamilletti等の米国特許第5,780,163号に例示される。適当な前駆気体の例としては、(1)シラン若しくはトリクロロシランのようなハロシランと、メタン、エタン、プロパンなどの1〜6個の炭素原子を有するアルカンとの混合物;(2)メチルシラン、ジメチルシラン及びトリメチルシランなどのアルキルシラン;又は(3)シラシクロブタン若しくはジシラシクロブタンが挙げられる。
【0025】
本発明のアモルファスシリコンカーバイド合金は、F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含む。例えば、アモルファスシリコンカーバイド合金は、一般式Siによって表すことができる(式中、Xは、F、N、B及びPのうちの少なくとも1つから選択され;CとSiとの原子比は1.1:1〜10:1、または1.1〜5:1、あるいは1.1〜2:1であり;fは5〜45原子%の値を有し;gは1〜20原子%、または1〜10原子%、あるいは5〜10原子%の値を有し;和d+e+f+g=100原子%である)。
【0026】
アモルファスシリコンカーバイド合金を調製する方法は、当該技術分野においてよく知られている。例えば、Lobodaの欧州特許出願第0771886A1号は、基板上にケイ素、炭素、窒素及び水素を含むアモルファスコーティングを堆積させる方法を開示しており、その方法は、有機ケイ素化合物と窒素の発生源とを含む反応気体混合物を、基板を含む堆積チャンバに導入すること、及び反応気体混合物の反応を引き起こし、アモルファスコーティングを形成することを含む。有機ケイ素化合物の例としては、メチルシラン、ジメチルシラン及びトリメチルシランなどのアルキルシラン;ヘキサメチルジシランなどのジシラン;オクタメチルトリシランなどのトリシラン;ジメチルポリシランなどの低分子量のポリシラン;低分子量のポリカルボシラン;並びにシラシクロブタン及びジシラシクロブタンなどのケイ素含有シクロアルカンが挙げられる。窒素の発生源の例としては、窒素;メチルアミンなどの第一級アミン;ジメチルアミンなどの第二級アミン;トリメチルアミンなどの第三級アミン;及びアンモニアが挙げられる。
【0027】
フッ素、ホウ素又はリンを含むアモルファスシリコンカーバイド合金は、それぞれフッ素含有気体、ホウ素含有気体又はリン含有気体を、アモルファスシリコンカーバイドを堆積するために典型的に用いられる反応気体混合物に導入することにより製造することができる。フッ素含有気体の例としては、F、SiF、CF、C及びCが挙げられる。ホウ素含有気体の例としては、ジボラン及び(CHBが挙げられる。リン含有気体の例としては、ホスフィン及びトリメチルホスフィンが挙げられる。
【0028】
本発明の水素化シリコンオキシカーバイドは、ケイ素、酸素、炭素及び水素を含む。例えば、水素化シリコンオキシカーバイドは、一般式Siによって表すことができる(式中、mは、10〜33原子%、または18〜20原子%の値を有し;nは、1〜66原子%、または18〜21原子%の値を有し;pは、1〜66原子%、または5〜38原子%の値を有し;qは、0.1〜60原子%、または25〜32原子%の値を有し;m+n+p+q=100原子%である)。
【0029】
水素化シリコンオキシカーバイドを調製する方法は、当該技術分野においてよく知られており、Loboda等の米国特許第6,159,871号、Lobodaの国際公開第02/054484A2号、Hu等の米国特許第5,718,967号、及びThomas等の米国特許第5,378,510号に例示される。例えば、米国特許第6,159,871号は、水素化シリコンオキシカーバイド薄膜を製造するための化学気相成長法を開示しており、その方法は、メチル含有シラン及び酸素供給気体を含む反応気体混合物を、基板を含む堆積チャンバに導入すること、並びに25〜500℃の温度において、メチル含有シランと酸素供給気体との間の反応を引き起こすことを含み、反応中に存在する酸素の量を制御して、3.6以下の誘電率を有する、水素、ケイ素、炭素及び酸素を含む薄膜が基板上に設けられる。メチル含有シランの例としては、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン及びテトラメチルシランが挙げられる。酸素供給気体の例としては、空気、オゾン、酸素、亜酸化窒素及び酸化窒素が挙げられるが、これに限定されない。
【0030】
堆積工程中に存在する酸素の量は、酸素供給気体のタイプ及び/又は量を選択することにより制御することができる。酸素供給気体の濃度は、典型的に、メチル含有シランの体積当たり5未満の割合(part)であり、または体積当たり0.1〜4.5の割合であり、または体積当たり1の割合である。酸素の濃度が高すぎるとき、その工程はSiOに近い化学量論を有する酸化ケイ素薄膜を形成する。酸素の濃度が低すぎるとき、その工程はSiCに近い化学量論を有するシリコンカーバイド薄膜を形成する。特定の応用のための酸素含有気体の最適な濃度は、型どおりの実験によって容易に決定することができる。
【0031】
反応気体混合物は、ヘリウム又はアルゴンなどのキャリアガス;ホスフィン及びジボランなどのドーパント;フッ素などのハロゲン;SiF、CF、C及びCなどのハロゲン含有気体;並びにコーティングに所望の特性を与える任意の他の材料;などの付加的な気体種を含むことができる。
【0032】
シリカを含むコーティングは、電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより調製することができる。本発明の水素シルセスキオキサン樹脂(H樹脂)は、一般式HSi(OH)(OR)z/2によって表すことができる。式中、各Rは、酸素原子を通してケイ素に結合されるときに、加水分解性置換基を形成する個別のヒドロカルビル基であり、x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3であり、x+y+z=3である。ヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのアルキル;フェニルなどのアリール;並びにアリル及びビニルなどのアルケニルが挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合される(HSiO3/2か、又は部分的に加水分解され(すなわち、いくつかのSi−OR基を含む)及び/若しくは部分的に縮合される(すなわち、いくつかのSi−OH基を含む)ことができる。上記式によっては表されないが、その樹脂は0個又は2個のいずれかの水素原子が結合される、少数(例えば、約10%未満)のケイ素原子を含むことができる。
【0033】
H樹脂を調製する方法は当該技術分野においてよく知られており、Collins等の米国特許第3,615,272号、Bank等の米国特許第5,010,159号、Frye等の米国特許第4,999,397号、Hanneman等の米国特許第5,063,267号、Frye等の米国特許第4,999,397号、公開特許第59−178749号、公開特許第60−86017号及び公開特許第63−107122号に例示される。
【0034】
組成物の表面への適用を容易にするために、有機溶剤又はシリコーン溶液などの溶媒でH樹脂を希釈することができる。有機溶剤の例としては、ベンゼン及びトルエンなどの芳香族炭化水素;n−ヘプタン及びドデカンなどのアルカン;ケトン;エステル;並びにエーテルが挙げられる。シリコーン溶液の例としては、直鎖、分岐鎖及び環式ポリジメチルシロキサンが挙げられる。溶媒の濃度は、組成物の全重量を基にして、典型的には約0.1〜50重量%である。
【0035】
H樹脂は、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング又はフローコーティングなどの従来の方法を用いて、基板の表面に適用することができる。H樹脂が溶媒において適用されるとき、その方法は、薄膜から溶媒の少なくとも一部を除去することをさらに含むことができる。例えば、溶媒は、周囲条件下での空気乾燥、真空の利用、又は弱い加熱(例えば、50℃未満)によって除去することができる。スピンコーティングが用いられるとき、回転することによって溶媒の除去が容易になるので、乾燥時間は最小限に抑えられる。
【0036】
一旦、H樹脂が基板に適用されると、Camilletti等の米国特許第5,609,925号に記載されるように、それを電子ビームに曝露することにより硬化させることができる。典型的には、加速電圧は約0.1〜100keVであり、真空は約10〜10−3Paであり、電子電流は約0.0001〜1アンペアであり、電力は約0.1ワット〜1キロワットまで変化する。照射量は、典型的には、約100マイクロクーロン〜約100クーロン/cmであり、または約1〜10クーロン/cmである。H樹脂は、シリカを含むコーティングにH樹脂を変換するのに必要とされる照射量を与えるだけの十分な時間にわたって、電子ビームに一般的に曝露される。電圧によるが、曝露時間は、典型的には約10秒〜1時間である。
【0037】
シリカを含むコーティングは、化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることによっても調製することができる。気化されたH樹脂からケイ素及び酸素を含むコーティングを製造する方法は、当該技術分野において知られており、Gentleの米国特許第5,165,955号に例示される。上記のように、H樹脂は、CVD法において気化することができる低分子量種を得るために精留される。堆積工程において広範な分子量を有するH樹脂を用いることができるが、そのような材料の揮発によって、不揮発性種を含む残留物がしばしば残留する。H樹脂の適当な留分(fraction)は、適度な温度及び/又は真空条件下で揮発することができるものを含む。一般的に、そのような留分は、該種の少なくとも約75%が、約2000未満、または約1200未満、あるいは約400〜1000の数平均分子量を有するものである。
【0038】
溶液精留、昇華及び超臨界流体抽出などの、ポリマーを精留する方法が当該技術分野において知られている。例えば、Hanneman等の米国特許第5,063,267号は、(1)H樹脂を、ポリマーの留分を溶解するのに十分な時間、その臨界点、臨界点付近又は臨界点よりも高い流体と接触させること、(2)留分を含む流体を残留ポリマーから分離すること、及び(3)所望の留分を回収することを含む工程を開示する。具体的には、その工程は、抽出容器をH樹脂のサンプルで満たし、その後、容器の中に抽出流体を通すことを含む。抽出流体及びその溶解性は、H樹脂の所望の分子量の留分のみが流体内に溶解されるように制御される。その後、H樹脂の所望の留分を含む溶液が容器から取り出されて、流体に溶解できないH樹脂の留分、並びにゲル又は汚染物などの任意の他の不溶性物質から留分が分離される。その後、溶媒の溶解性を変更し、所望の留分を沈殿させることにより、所望のH樹脂留分がその溶液から回収される。
【0039】
抽出流体には、H樹脂の所望の留分を溶解し、その流体の臨界点、臨界点付近、又は臨界点超過において残りの留分を溶解しない任意の化合物を用いることができる。抽出流体の例としては、二酸化炭素、並びにエタン及びプロパンなどの低分子量の炭化水素が挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
H樹脂の所望の留分は気化され、コーティングされるべき基板を含む堆積チャンバに導入される。気化は、気化温度(vaporization point)よりも高い温度にH樹脂サンプルを加熱することにより、真空を利用することにより、又はそれらの組み合わせにより達成することができる。一般的に、気化は、大気圧下において50〜300℃の温度で、又は真空下において、より低い温度(室温付近)で達成することができる。
【0041】
H樹脂蒸気の濃度は、所望のコーティングを堆積するのに十分な濃度である。その濃度は、所望のコーティングの厚さ、コーティングされるべき面積などの要因に応じて、広範囲にわたって変化させることができる。さらに、その蒸気は、空気、アルゴン又はヘリウムなどのキャリアガスと組み合わせることもできる。
【0042】
その後、気化されたH樹脂を反応させて、基板上にコーティングが堆積される。その反応は、プラズマ化学気相成長(PECVD)、光化学気相成長、及び噴射蒸気堆積などの種々の化学気相成長(CVD)技術を用いて行うことができる。
【0043】
第1バリアコーティングは、上記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層にすることもできる。多層の組み合わせの例としては、SiC:H/SiCO:H/SiC:H、SiC:H/SiCO:H、SiCO:H/SiC:H、及びSiCN:H/SiC:Hが挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
第1電極層は、OLEDのアノード又はカソードとして機能することができる。第1電極層は、可視光に対して透明又は不透明にすることができる。アノードは、高い仕事関数(>4eV)の金属、合金、又は酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛などの金属酸化物、ニッケル及び金から典型的に選択される。カソードには、Ca、Mg及びAlなどの低い仕事関数(<4eV)の金属;上記のような高い仕事関数(>4eV)の金属、合金又は金属酸化物;又はMg−Al、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg及びAl−Caなどの、低い仕事関数の金属と、高い仕事関数若しくは低い仕事関数を有する少なくとも1つの他の金属との合金であることができる。蒸着、共蒸着、DCマグネトロンスパッタリング又はRFスパッタリングなどの、OLEDの製造中にアノード及びカソード層を堆積する方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0045】
発光素子は、放出層と、1つ以上の付加的な有機層とを含む。OLEDに適当な電圧を印加するとき、注入された正及び負の電荷が放出層において再結合し、光を生じる(エレクトロルミネッセンス)。有機層は、放出層内の再結合過程を最大にし、それによりOLEDデバイスから放出される光を最大にするように選択される。放出層以外の有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層及び電子輸送層から典型的に選択される。しかしながら、OLEDにおいて、単一の正孔注入及び正孔輸送層、並びに単一の電子注入及び電子輸送層を用いることもできる。放出層は、電子注入及び電子輸送層として機能することもできる。発光素子の厚さは、典型的には5〜100nm、または25〜75nmである。
【0046】
発光素子において用いられる有機材料は、小さな分子又はモノマー、及びポリマーを含む。モノマーは、真空蒸着又は昇華などの標準的な薄膜技術によって堆積することができる。ポリマーは、スピンコーティング、ディッピング、スプレイング、ブラッシング及びスクリーン印刷などの従来の溶媒コーティング技術によって堆積することができる。発光素子の構成において用いられる材料及びそのような素子を調製する方法は、当該技術分野においてよく知られており、米国特許第4,356,429号、第4,720,432号、第5,593,788号、第5,247,190号、第4,769,292号、第4,539,507号、第5,920,080号、第6,255,774号、第6,048,573号、第5,952,778号、第5,969,474号、第6,262,441B1号、第6,274,979B1号、第6,307,528B1号及び第5,739,545号に例示される。
【0047】
発光素子の向きは、OLED内のアノード及びカソードの配列による。正孔注入及び正孔輸送層(複数可)はアノードと放出層との間に配置され、電子注入及び電子輸送層(複数可)は放出層とカソードとの間に配置される。
【0048】
第2電極層は、OLEDのアノード又はカソードのいずれかとして機能することができる。第2電極層は、可視領域の光に対して透明にすることも不透明にすることもできるが、第2電極層が不透明である場合には、基板が透明である。アノード及びカソード材料の例及びそれらを形成するための方法は、第1電極層の場合に先に説明されたのと同じである。
【0049】
第2バリアコーティングは、(i)アモルファスシリコンカーバイド、(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製されるコーティング、並びに(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層から選択される。ただし、(i)〜(v)は、第1バリアコーティングの場合に先に説明され、例示されたのと同じである。
【0050】
図2に示されるように、本発明によるOLEDの第2の実施形態は、第1対向面200A及び第2対向面200Bを有する基板200と、前記基板200の前記第1対向面200A上の第1バリアコーティング202と、前記第1バリアコーティング202上の第1電極層204と、前記第1電極層204上の発光素子206と、前記発光素子206上の第2電極層208と、前記第2電極層208上の第2バリアコーティング210と、前記基板200の前記第2対向面200B上の第3バリアコーティング212とを含む。第3バリアコーティング212は、第1及び第2バリアコーティングの場合に先に説明され、例示されたのと同じである。
【0051】
図3に示されるように、本発明によるOLEDの第3の実施形態は、第1対向面300A及び第2対向面300Bを有する基板300と、前記基板300の前記第1対向面300A上の第1電極層304と、前記第1電極層304上の発光素子306と、前記発光素子306上の第2電極層308と、前記第2電極層308上の第1バリアコーティング310と、前記基板300の前記第2対向面300B上の第2バリアコーティング312とを含む。
【0052】
本発明のOLEDは、磨耗、有機溶媒、湿気及び酸素に対して良好な耐性を示す。特に、OLEDは水蒸気及び酸素の浸透性が極めて低い。
【0053】
本発明の有機発光ダイオードは、個別の発光デバイスとして、又はフラットパネルディスプレイなどの発光アレイ又はディスプレイの能動素子として有用である。OLEDディスプレイは、時計、電話、ラップトップコンピュータ、ページャ、携帯電話、デジタルビデオカメラ、DVDプレーヤ及び計算機などの数多くのデバイスにおいて有用である。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は、本発明のバリアコーティングをさらにわかりやすく例示するために提供されるが、添付の特許請求の範囲において記述される本発明を制限するものと見なされるべきではない。
【0055】
コーティングの水蒸気透過率(WVTR)は、ASTN標準規格E96に準拠して、相対湿度100%でMOCON PERMATRAN浸透テストシステムを用いて決定された。
【0056】
(実施例1〜7)
各実施列では、基板温度45〜75℃、圧力0.17〜0.47Torr、及びDCバイアス150〜300Vで、表1に特定された気体混合物を、反応性イオンエッチング(RIE)モード(RFが下側電極に接続される)において作動する容量性結合平行板(capacitively coupled parallel plate)PECVDシステムに導入することによって、15.2cmの直径及び75μmの厚さを有するポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にバリアコーティングを堆積した。コーティング毎の工程パラメータ及び特性は表1に示される。
【0057】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明によるOLEDの第1の実施形態の断面図を示す。
【図2】図2は、本発明によるOLEDの第2の実施形態の断面図を示す。
【図3】図3は、本発明によるOLEDの第3の実施形態の断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1対向面及び第2対向面を有する基板と、
(B)前記基板の前記第1対向面上の第1バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第1バリアコーティングと、
(C)前記第1バリアコーティング上の第1電極層と、
(D)前記第1電極層上の発光素子と、
(D)前記発光素子上の第2電極層と、
(E)前記第2電極層上の第2バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(2)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第2バリアコーティングと
を含む有機発光ダイオードであって、前記第1電極層及び前記第2電極層のうちの少なくとも一方は透明であり、前記第2電極層が不透明である場合には前記基板が透明である、有機発光ダイオード。
【請求項2】
前記第1バリアコーティング及び前記第2バリアコーティングはそれぞれアモルファスシリコンカーバイドである、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
【請求項3】
前記アモルファスシリコンカーバイドは、式Si(式中、XはF、N、B及びPのうちの少なくとも1つから選択され;CとSiとの原子比は1.1:1〜10:1であり;fは5〜45原子%の値を有し;gは1〜20原子%の値を有し;和d+e+f+g=100原子%である)を有する、請求項2に記載の有機発光ダイオード。
【請求項4】
前記第1バリアコーティング及び前記第2バリアコーティングはそれぞれ、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層であり、多層の組み合わせはそれぞれアモルファスシリコンカーバイドを含む、請求項1に記載の有機発光ダイオード。
【請求項5】
(A)第1対向面及び第2対向面を有する基板と、
(B)前記基板の前記第1対向面上の第1電極層と、
(C)前記第1電極層上の発光素子と、
(D)前記発光素子上の第2電極層と、
(E)前記第2電極層上の第1バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第1バリアコーティングと、
(F)前記基板の前記第2対向面上の第2バリアコーティングであって、
(i)アモルファスシリコンカーバイド、
(ii)F、N、B及びPから選択される少なくとも1つの元素を含むアモルファスシリコンカーバイド合金、
(iii)水素化シリコンオキシカーバイド、
(iv)(a)電子ビームで水素シルセスキオキサン樹脂を硬化させることにより、又は(b)化学気相成長法を用いて水素シルセスキオキサン樹脂を反応させることにより調製される、シリカを含むコーティング、並びに
(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層
から選択される第2バリアコーティングと
を含む有機発光ダイオードであって、前記第1電極層及び前記第2電極層のうちの少なくとも一方は透明であり、前記第2電極層が不透明である場合には前記基板が透明である、有機発光ダイオード。
【請求項6】
前記第1バリアコーティング及び前記第2バリアコーティングはそれぞれアモルファスシリコンカーバイドである、請求項5に記載の有機発光ダイオード。
【請求項7】
前記アモルファスシリコンカーバイドは、式Si(式中、XはF、N、B及びPのうちの少なくとも1つから選択され;CとSiとの原子比は1.1:1〜10:1であり;fは5〜45原子%の値を有し;gは1〜20原子%の値を有し;和d+e+f+g=100原子%である)を有する、請求項6に記載の有機発光ダイオード。
【請求項8】
前記第1バリアコーティング及び前記第2バリアコーティングはそれぞれ、(i)、(ii)、(iii)及び(iv)のうちの少なくとも2つを組み合わせた多層であり、多層の組み合わせはそれぞれアモルファスシリコンカーバイドを含む、請求項5に記載の有機発光ダイオード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−519473(P2006−519473A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508811(P2006−508811)
【出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/005437
【国際公開番号】WO2004/079781
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】