説明

有機発光デバイス及びそれに用いるための物質

本発明はOLEDを提供し、そのOLEDにおいては、単一層又は複数層を含む有機薄膜層がカソードとアノードとの間に備えられ、その有機薄膜層が少なくとも1種の発光層を含み、その少なくとも1種の発光層が、(a)下記式(1):Ra−Ar−Ar−Rb(1)(式中、Ar、Ar、Ra、及びRbは置換又は非置換のベンゼン環、又は、置換もしくは非置換のナフタレン環、クリセン環、置換もしくは非置換のフルオロランテン環、トリフェニレン環、置換もしくは縮合したフェナントレン環、置換もしくは非置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のベンゾクリセン環、置換もしくは非置換のピセン環、及び置換もしくは非置換のベンゾフルオランテン環から選択される置換もしくは芳香族炭化水素基を表す)、及び(b)少なくとも1つの燐光物質であって、請求項1記載の部分化学構造のうちの1つで表される置換化学構造(式中、Rはそれぞれ独立に、水素又は1〜3の炭素原子を有するアルキル置換基であり、且つ式の少なくとも1つの環は前記のアルキル置換基1つ以上を有する)を有する燐光有機金属錯体を含むもの、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光デバイス(以下、OLEDと略記する)及びそのOLEDに用いることができる物質に関する。本発明は特に、赤色光を発する発光層を含むOLED、及びそのために用いられるOLEDのための物質に関する。
【背景技術】
【0002】
アノード、カソード、及びそのアノードとカソードとの間に配置された有機薄膜発光層を含むOLEDは当技術分野で公知である。そのようなデバイスにおいて、発光は、正孔(ホール)と電子との再結合によって生じる励起子のエネルギーから得ることができる。
【0003】
一般に、OLEDはいくつかの有機層を含んでなり、その層のすくなくとも1つはそのデバイスを通して電圧を印加することによって電界発光するように作ることができる(Tangら, Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 913、及びBurroughesら, Nature, 1990, 347, 359を参照されたい)。デバイスを通して電圧を印加した場合、カソードはそれに隣接する有機層を有効に還元し(すなわち、電子を注入する)、且つアノードはそれに隣接する有機層を有効に酸化する(すなわち、正孔を注入する)。正孔と電子はそれらと反対に帯電している電極にむかってデバイスを通って移動する。正孔と電子が同じ分子上で出合った場合、再結合が起こるといわれ、励起子が形成される。発光化合物における正孔と電子の再結合には発光(radiative emission)が伴い、それによって電界発光(エレクトロルミネッセンス)を生じる。
【0004】
正孔と電子のスピン状態に応じて、正孔と電子の再結合から生じる励起子は一重項又は三重項のスピン状態のいずれかを有することができる。一重項励起子からの発光は蛍光をもたらし、一方、三重項励起子からの発光は燐光をもたらす。統計的には、OLEDに通常用いられる有機物質については、励起子の四分の一が一重項であり、残りの四分の三が三重項である(Baldoら, Phys. Rev. B, 1999, 60, 14422を参照されたい)。実用的な電界燐光OLEDを作製するために用いることができるある種の燐光物質が存在するという発見(米国特許第6,303,238号明細書)とそれに続いてそのような電界燐光OLEDが最大100%の理論量子効率をもちうる(すなわち、一重項と三重項の両方全てを利用する)の実証までは、最も効率的なOLEDは、蛍光発光する物質に一般的に基づいていた。蛍光物質はわずか25%の最大理論量子効率でしか発光せず(ここで、OLEDの量子効率は、正孔と電子が再結合して発光を生じる効率をいう)、なぜなら、燐光発光における三重項から基底状態への遷移は形式的にはスピン禁制過程だからである。電界燐光OLEDは、電界蛍光OLEDと比較して、優れた全体でのデバイス効率を有することが今や示されている(例えば、Baldoら, Nature, 1998, 395, 151、及びBaldoら, Appl. Phys. Lett. 1999, 75(3), 4を参照されたい)。
【0005】
一重項−三重項状態の混合をもたらす強いスピン軌道カップリングによって、重金属錯体は、室温においてそのような三重項状態からの効率的な燐光発光をしばしば示す。したがって、そのような錯体を含むOLEDは75%より大きな内部量子効率を有することが示されている(Adachiら, Appl. Phys. Lett., 2000, 77, 904)。ある種の有機金属イリジウム錯体が強い燐光を有することが報告されており(Lamanskyら, Inorganic Chemistry, 2001, 40, 1704)、緑から赤色スペクトルで発光する効率的OLEDがこれらの錯体を用いて作成されている(Lamanskyら, J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 4304)。燐光重金属有機金属錯体とそれらそれぞれのデバイスは米国特許第6,830,828号及び同6,902,830号;米国特許出願公開第2006/0202194号及び同2006/0204785号;並びに米国特許第7,001,536号、同6,911,271号、同6,939,624号、及び同6,835,469号の主題である。
【0006】
上述したように、OLEDは、優れた電流効率、画像品質、電力消費、薄いデザインの製品、例えばフラットスクリーンへ組み込まれる可能性をもたらし、したがって、従来技術、例えば陰極線デバイスに対して多くの利点をもっている。
【0007】
しかし、例えば、より大きな電流効率を有するOLEDの調製を含めて、改善されたOLEDが望ましい。この点については、発光物質(燐光物質)が開発されており、このものでは内部量子効率を高めるために、発光は三重項励起子から得られる。
【0008】
上で議論したように、そのようなOLEDは、発光層にそのような燐光物質を用いること(燐光層)によって最大100%までの理論内部量子効率を有することができ、得られるOLEDは高い効率と低い電力消費を有する。そのような燐光物質は、そのような発光層に含まれるホスト物質中のドーパントとして用いてもよい。
【0009】
燐光物質などの発光物質でドーピングすることによって形成される発光層においては、励起子は、ホスト物質へ注入された電荷によって効率的に形成されうる。この場合、励起子はホスト物質上又は直接ドーパント上で形成されうる。
【0010】
高いデバイス効率を達成するために、ホスト物質の励起三重項エネルギーEgHは、燐光ドーパントの励起三重項エネルギーEgDよりも大きくなければならない。
【0011】
CBP(4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル)は、効率的且つ大きな励起三重項エネルギーを有する物質の代表例であることが知られている(例えば、米国特許第6,939,624号明細書を参照されたい)。
【0012】
国際特許出願公開WO2005/112519号は、カルバゾールなどの窒素含有環を有する縮合環誘導体などを、赤色燐光を示す燐光層のためのホスト物質として用いる方法を開示している。電流効率及び寿命は、前記の方法によって向上されるが、実際の使用のための特定の場合には不満足である。
【0013】
蛍光ホストの励起一重項エネルギーEg(S)は蛍光ドーパントのものよりも大きいが、そのようなホストの励起三重項エネルギーEg(T)はかならずしもより大きくはない。したがって、一般的には、蛍光ホストはホスト物質として燐光ホストの代わりに用いられて燐光発光層をもたらすことはできない。
【0014】
様々な芳香族炭化水素化合物が用いられるOLEDが、国際特許出願公開WO2007/046685号、特開2006−151966号公報、特開2005−8588号公報、特開2005−19219号公報、特開2004−75567号公報に開示されている。しかし、燐光ホストとしてのこれらの物質の効率は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献2】米国特許第6,830,828号明細書
【特許文献3】米国特許第6,902,830号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/0202194号
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0204785号
【特許文献6】米国特許第7,001,536号明細書
【特許文献7】米国特許第6,911,271号明細書
【特許文献8】米国特許第6,939,624号明細書
【特許文献9】米国特許第6,835,469号明細書
【特許文献10】米国特許第6,939,624号明細書
【特許文献11】国際特許出願公開WO2005/112519号
【特許文献12】国際特許出願公開WO2007/046685号
【特許文献13】特開2006−151966号公報
【特許文献14】特開2005−8588号公報
【特許文献15】特開2005−19219号公報
【特許文献16】特開2004−75567号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Tangら, Appl. Phys. Lett. 1987, 51, 913
【非特許文献2】Burroughesら, Nature, 1990, 347, 359
【非特許文献3】Baldoら, Phys. Rev. B, 1999, 60, 14422
【非特許文献4】Baldoら, Nature, 1998, 395, 151
【非特許文献5】Baldoら, Appl. Phys. Lett. 1999, 75(3), 4
【非特許文献6】Adachiら, Appl. Phys. Lett., 2000, 77, 904
【非特許文献7】Lamanskyら, Inorganic Chemistry, 2001, 40, 1704
【非特許文献8】Lamanskyら, J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 4304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
効率的な重金属燐光発光体の最近の発見とその結果によるOLED技術の進歩にもかかわらず、より大きな高温デバイス安定性に対する要求が残っている。より長い高温寿命を有するデバイスの作製は、新しいディスプレイ技術の発展に寄与し、平面状のフルカラー電子ディスプレイに向けた現在のゴールを実現するために役立つだろう。本明細書に記載したOLED、及びそのようなOLEDに含まれるホスト物質と燐光発光物質は、この目的を実現する助けになる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のOLEDは、カソードとアノードの間に単一層又は複数層を含む有機薄膜層を備え、この有機薄膜層がすくなくとも1つの発光層を含み、少なくとも1つの発光層がすくなくとも1種のホスト物質とすくなくとも1種の燐光発光体とを含み、そのホスト物質が下記式(I)で表される化学構造を有する置換もしくは非置換の炭化水素化合物を含むことを特徴とする。
Ra−Ar−Ar−Rb (1)
式(I)中、Ar、Ar、Ra、及びRbはそれぞれ独立に、置換もしくは非置換のベンゼン環、あるいは、ナフタレン環、クリセン環、フルオランテン環、トリフェニレン環、フェナントレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、ベンゾクリセン環、ピセン環、及びベンゾフルオランテン環から選択される環の置換もしくは非置換縮合芳香族炭化水素基を表し;
但し、Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合には、Ra及びArのそれぞれが異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基であり、Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合には、Rb及びArのそれぞれが異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基であり;且つ、Ra及びRbの置換基はアリール基ではないことを条件とする。
【0019】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質において、Ra、Rb、Ar、及びArのうち少なくとも1つが1つ以上の置換基を有し、且つRa及びRb置換基のそれぞれが独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、且つAr及びAr置換基のそれぞれは独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、又は6〜22の炭素原子を有するアリール基である。
【0020】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質において、Ra及びArが置換もしくは非置換のナフタレン環を表し;Rbが、置換もしくは非置換のフェナントレン環、置換もしくは非置換のトリフェニレン環、置換もしくは非置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、置換もしくは非置換のフルオランテン環、置換もしくは非置換のベンゾクリセン環、及び置換もしくは非置換のピセン環から選択される縮合芳香族炭化水素基を表し;且つArが、置換もしくは非置換のベンゼン環、置換もしくは非置換のナフタレン環、置換もしくは非置換のクリセン環、置換もしくは非置換のフルオランテン環、置換もしくは非置換のトリフェニレン環、置換もしくは非置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のベンゾトリフェニレン環、置換もしくは非置換のベンゾクリセン環、及び置換もしくは非置換のピセン環から選択される縮合芳香族炭化水素基を表す。
【0021】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質においてRa及びArがナフタレン環であり;且つRbが、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環からなる群から選択される。
【0022】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質においてAr及びArがナフタレン環であり、そのホスト物質は下記式(2)で表される化学構造を有する。
【化1】

式(2)中、Ra、Rb、Ar、及びArのうち少なくとも1つが1つ以上の置換基を有し、Ra及びRb置換基はそれぞれ独立に1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、且つAr及びAr置換基のそれぞれは独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子、又は6〜22の炭素原子を有するアリール基である。
【0023】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質においてAr及びArはナフタレン環であって、且つそのホスト物質は以下の式で表される化学構造を有する。
【化2】

式中、Ra及びRbはそれぞれ独立に、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環から選択される。
【0024】
別の態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質においてRa及びArのそれぞれがナフタレン環であり、Arがベンゼン環であり、且つRbがフェナントレン環であって、そのホスト物質は以下の式(3)で表される化学構造を有する。
【化3】

【0025】
本発明の一態様では、燐光発光体物質には、下記式(4a)、(4b)、及び(4c)によって表される下記部分化学構造の一つによって表される置換された化学構造を含む燐光有機金属錯体が含まれる。
【化4】

式中、各Rは独立に、水素又は1〜3の炭素原子を有するアルキル置換基であり、且つ、この式の少なくとも1つの環は1つ以上の前記のアルキル置換基を有する。
上記構造にしたがう燐光有機金属錯体は、任意の好適な数のメチル基で置換されていてもよい。一つの態様では、上記構造にしたがう燐光有機金属錯体は少なくとも2つのメチル基で置換されている。
【0026】
別な態様では、燐光発光体物質には、下記部分化学構造(5)によって表される置換された化学構造を含む燐光有機金属錯体が含まれる。
【化5】

【0027】
別の態様では、この燐光発光体物質には金属錯体が含まれ、その金属錯体はIr、Pt、Os、Au、Cu、Re、及びRuから選択される金属原子と配位子とを含む。なお別の態様では、この金属錯体はオルソ-金属結合を有する。好ましい態様では、Irがその金属原子である。
【0028】
別の態様では、燐光発光体物質には、下記化学構造(6)によって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物が含まれる。
【化6】

【0029】
別の態様では、本発明は、下記式:
【化7】

によって表される化学構造を有する非置換芳香族炭化水素化合物を含むホスト物質と、下記化学構造:
【化8】

によって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物を含む燐光発光体物質とを含むOLEDを包含する。
【0030】
一つの態様では、このOLEDはホスト物質を含み、そのホスト物質の三重項エネルギーが約2.0eV〜約2.8eVである。
【0031】
別の態様では、このOLEDは発光層中に少なくとも1種の燐光物質を含み、この燐光物質が、発光波長において、520nm以上且つ720nm以下に最大値を有する。別の態様では、このOLEDは、発光層と、カソードと発光層との間に電子輸送層又は電子注入層とを含み、且つ、その電子輸送層又は電子注入層が、窒素を含む6員環もしくは5員環骨格を有する芳香族環を含むか、あるいは窒素を含む6員環もしくは5員環骨格を有する縮合芳香族環化合物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明によるOLEDの一例の図式的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のOLEDはアノードとカソードとの間に配置された複数の層を含んでいることができる。本発明による代表的OLEDには以下に記載する構成の層を有する構造が含まれるが、これらに限定されない。
(1)アノード/発光層/カソード
(2)アノード/正孔注入層/発光層/カソード
(3)アノード/発光層/電子注入・輸送層/カソード
(4)アノード/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/カソード
(5)アノード/有機半導体層/発光層/カソード
(6)アノード/有機半導体層/電子阻止層/発光層/カソード
(7)アノード/有機半導体層/発光層/接着性改良層/カソード
(8)アノード/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/カソード
(9)アノード/絶縁層/発光層/絶縁層/カソード
(10)アノード/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/カソード
(11)アノード/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/カソード
(12)アノード/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/絶縁層/カソード、及び
(13)アノード/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/カソード
【0034】
上述したOLED構成構造の中では、(8)の構成が好ましい構造である。本発明はこれらの開示した構成の構造には限定されない。
【0035】
本発明の態様のOLEDの一例の模式的構成を図1に示している。
【0036】
本発明の代表的態様として、OLED1は、透明基板2、アノード3、カソード4、そのアノード3とカソード4の間に配置された有機薄膜層10を含む。
【0037】
有機薄膜層10は、燐光ホストと燐光ドーパントとを含む燐光発光層5を含み、且つ燐光発光層5とアノード3との間に正孔注入・輸送層6など、及び燐光発光層5とカソード4との間に電子注入・輸送層7などをそれぞれ備えることもできる。
【0038】
さらに、アノード3と燐光発光層5の間に配置された電子阻止層、及びカソード4と燐光発光層5の間に配置された正孔阻止層をそれぞれ備えていてもよい。
【0039】
これは、電子と正孔を燐光発光層5に閉じ込めて、燐光発光層5中での励起子の生成割合を高めることを可能にする。
【0040】
本明細書において、「蛍光ホスト」及び「燐光ホスト」の用語は、それぞれ、蛍光ドーパントと組み合わせた場合の蛍光ホスト、及び燐光ドーパントと組み合わせた場合の燐光ホストをいい、分子構造のみに基づくホスト物質の分類に制限されない。
【0041】
したがって、本明細書における蛍光ホストは、蛍光ドーパントを含む蛍光発光層を構成する物質を意味し、蛍光物質のホストのためにのみ用いることができる物質を意味しない。
【0042】
同様に、燐光ホストは、燐光ドーパントを含む燐光発光層を構成する物質を意味し、燐光物質のホストのためにのみ用いることができる物質を意味しない。
【0043】
本明細書中、「正孔注入・輸送層」は、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくともいずれか1つを意味し、「電子注入・輸送層」は、電子注入層及び電子輸送層の少なくともいずれか1つを意味する。
【0044】
〔基板〕
本発明のOLEDは基板上に作ることができる。この場合に言及される基板は、OLEDを支えるための基材であり、それは約400〜約700nmの可視領域の光が少なくとも約50%の透過率を有する平坦な基材であることが好ましい。
【0045】
基板にはガラス板、ポリマー板などが含まれる。特に、ガラス板には、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、バリウムボロシリケートガラス、石英などが含まれる。
【0046】
ポリマー板には、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、ポリスルホンなどが含まれる。
【0047】
〔アノード及びカソード〕
本発明のOLEDのアノードは、正孔を正孔注入層、正孔輸送層、又は発光層に注入する役割を担う。典型的には、アノードは4.5eV以上の仕事関数を有する。
【0048】
アノードとして用いるために適した物質の具体例には、インジウム錫酸化物アロイ(ITO)、酸化錫(NESA)、インジウム亜鉛酸化物、金、銀、白金、銅などが含まれる。
【0049】
アノードは、蒸着法、スパッタリング法などの方法によって、上で議論したものなどの電極物質から薄膜を形成することによって調製できる。
【0050】
光が発光層から発せられる場合、アノードでの可視光領域の光の透過率は、10%より大きなことが好ましい。アノードのシート抵抗は数百Ω/□(Ω/スクエア)以下であることが好ましい。アノードの膜厚はその物質に応じて選択され、典型的には約10nm〜約1μmの範囲であり、好ましくは約10nm〜約200nmである。
【0051】
カソードは、電子を電子注入層、電子輸送層、又は発光層に注入する目的のために小さな仕事関数を有する物質を含むことが好ましい。
【0052】
カソードとして用いるために適した物質には、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-スカンジウム-リチウム合金、マグネシウム-銀合金などが含まれるが、これらに限定されない。透明又は上面発光デバイスのために、例えば米国特許第6,548,956号明細書に開示されているTOLEDカソードが好ましい。
【0053】
カソードは、アノードでの場合のように、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの方法によって薄膜を形成させることによって調製できる。さらに、発光をカソード側から取り出す態様もまた採用することができる。
【0054】
〔発光層〕
OLEDの発光層は以下の機能を単独で又は組み合わせで行うことができる。
(1)注入機能:電場をかけて正孔をアノード又は正孔注入層から注入でき、電子をカソード又は電子注入層から注入できる機能;
(2)輸送機能:注入された電荷(電子及び正孔)が電場の力によって移動されることができる機能;
(3)発光機能:電子及び正孔の再結合のための領域を備え、これが発光をもたらすことができる機能。
【0055】
正孔の注入の容易性と電子の注入の容易性との間に差が存在しうるし、正孔及び電子の移動性によって示される輸送能に差が存在しうる。
【0056】
例えば、蒸着、スピンコーティング、ラングミュア・ブロジェット法などを含めた公知の方法を、発光層を調製するために用いることができる。発光層は、分子蒸着された膜であることが好ましい。これに関して、「分子蒸着された膜」の用語は、気相から化合物を堆積させることによって形成された薄膜、及び溶液状態又は液相状態にある材料化合物を固化させることによって形成された膜を意味し、通常、上記の分子堆積膜は、凝集構造の違い及び高次構造及びそれに由来する機能的な差によって、LB法によって形成された薄膜(分子蓄積膜)とは区別できる。
【0057】
好ましい態様では、発光層の膜厚は約5〜約50nmであることが好ましく、より好ましくは約7〜約50nmであり、最も好ましくは約10〜約50nmである。膜厚が5nmより薄い場合は、発光層を形成しその色度を制御することが難しくなりうる。一方で、膜厚が約50nmを超える場合は、駆動電圧が高くなりうる。
【0058】
本発明では、発光層が、燐光発光できる少なくとも1種の燐光物質と、下記式(1)で表されるホスト物質を含む。
Ra−Ar−Ar−Rb (1)
【0059】
上述した式(1)において、Ar、Ar、Ra、及びRbは、置換もしくは非置換のベンゼン環、又は置換もしくは非置換のナフタレン環、置換もしくは非置換のクリセン環、置換もしくは非置換のフルオランテン環、置換もしくは非置換のトリフェニレン環、置換もしくは非置換のフェナントレン環、置換もしくは非置換のベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のジベンゾフェナントレン環、置換もしくは非置換のベンゾトリフェニレン環、置換もしくは非置換のベンゾクリセン環、置換もしくは非置換のピセン環、及び置換もしくは非置換のベンゾフルオランテン環から選択される置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基を表す。
【0060】
Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合は、Ra及びArは互いに異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基である。
【0061】
Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合は、Rb及びArは互いに異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基である。
【0062】
Rb及びRbに対する置換基は、アリール基を含まない。
【0063】
上述した式(1)で表されるホスト物質は大きな励起三重項エネルギーギャップ(励起三重項エネルギー)を有し、したがってホスト物質はエネルギーを燐光ドーパントに移して燐光発光を行うことができる。
【0064】
周知の蛍光ホスト物質であるアントラセン誘導体は、赤色光発光のための燐光ドーパントのためのホスト物質としては一般的には適していない。しかし、本発明のホストは大きな励起三重項エネルギーギャップを有し、それによって赤色発光を示す燐光ドーパントが有効に発光することを可能にすることができる。
【0065】
燐光ホストとして周知であるCBPは、緑色光の波長よりも大きな波長を有する燐光ドーパントのためのホストとして機能する。本発明のホスト物質は、緑色光発光以下の波長での発光を示す燐光ドーパントの発光を可能にする。
【0066】
本発明においては、ホスト物質の骨格として窒素原子を含まない多環式縮合環を用いることが、ホスト分子の安定性を高め且つデバイス寿命を延ばすことを可能にする。
【0067】
この場合に、骨格部分の環の炭素原子の数が少な過ぎる場合、その分子の安定性が充分には高められないと考えられる。
【0068】
この場合に、ホスト物質の骨格部分の環炭素原子の数が少な過ぎる場合、その分子の安定性が充分には高められないおそれがある。一方、この多環式縮合環の環炭素原子が多すぎる場合は、HOMO−LUMOギャップが狭くなる可能性があり、励起三重項エネルギーギャップが、有用な発光波長を生み出せないおそれがある。本発明においては、上述した式(1)によって表されるホスト物質は、適切な数の環炭素原子を有し、したがって有用な発光波長を有し且つ高い安定性を特に高い駆動温度において有する燐光発光層のための燐光ホストとして用いるのに適した物質を提供する。
【0069】
緑から赤色の広い波長領域において燐光ドーパントに広く適用可能である燐光ドーパントに対応するホスト物質が公知であり、したがって、広い励起三重項エネルギーギャップをもつCBPなどはホスト物質に用いられてきた。CBPは広い励起三重項エネルギーギャップEg(T)を有するが、短い寿命をもちうるという問題を伴う。
【0070】
これに関して、本発明のホスト物質は、青い波長の光のギャップほど広いギャップを有する燐光ドーパントのためのホストには一般的には適用することができないが、例えば、赤又は緑色光の波長において燐光ドーパントのためのホストとして機能しうる。さらに、その励起三重項エネルギーギャップがCBPの場合のように広い場合には、エネルギーギャップの大きな差のために、エネルギーの分子間移動が赤色燐光ドーパントに対して有効に行われることができないおそれがあるという起こりうる問題が存在する。しかし、本明細書に記載したホスト物質においては、エネルギーギャップは赤又は緑色燐光ドーパントとの組み合わせで好ましく選択することができ、エネルギーが燐光ドーパントに有効に移されることができ、非常に高い効率を有する燐光発光層を構築できる。
【0071】
上述したように、高い効率と長寿命を有する燐光発光層が本発明の教示にしたがって調製でき、特に高い駆動温度で高い安定性がある。
【0072】
この点に関して、本発明のOLEDを構成する物質の励起三重項エネルギーギャップEg(T)は、その燐光発光スペクトルに基づいて示すことができ、エネルギーギャップが一般に用いられているように、以下のように示すことができることが本発明の例として示される。
【0073】
それぞれの物質をEPA溶媒(体積比で、ジエチルエーテル:イソペンタン:エタノール=5:5:2)に10μmol/Lの濃度で溶かして燐光を測定するための試料を調製する。
【0074】
この燐光を測定する試料を石英セルに入れ、77Kに冷やし、次に励起光で照射して、放射された燐光の波長を測定する。
【0075】
短波長側で得られた燐光発光の上昇に基づいて接線を引き、その接線とベースラインとの交点の波長の値をエネルギー値に変換し、これを励起三重項エネルギーギャップEg(T)として設定する。
【0076】
市販の測定装置F−4500(日立社によって製造されたもの)をその測定に使用することができる。
【0077】
しかし、三重項エネルギーギャップとして定義することができる値を、それが本発明の範囲から離れない限り、上の手順によることなく用いることができる。
【0078】
上述した式(1)中のRa、Rb、Ar、又はArが1つ又は複数の置換基を有する場合、上述した置換基は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましい。さらに、Ar又はArに対する置換基は、6〜22の炭素原子を有するアリール基であってもよい。
【0079】
この置換基は窒素原子を含まず、したがって、ホスト物質は増大した安定性及び延長された寿命を、特に高いデバイス駆動温度において示す。
【0080】
Ar及びArに対する複数のアリール置換基の数は2以下であることが好ましく、より好ましくはAr及びArに対してそれぞれ1以下である。
【0081】
1〜20の炭素原子を有するアルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル,n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、ネオペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−ペンチルへキシル、1−ブチルペンチル、1−ヘプチルオクチル、3−メチルペンチルなどが含まれる。
【0082】
1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基には、例えば、クロロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、2−クロロイソブチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジクロロイソプロピル、2,3−ジクロロ−t−ブチル、1,2,3−トリクロロプロピル、ブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2−ブロモイソブチル、1,2−ジブロモエチル、1,3−ジブロモイソプロピル、2,3−ジブロモ−t−ブチル、1,2,3−トリブロモプロピル、ヨードメチル、1−ヨードエチル、2−ヨードエチル、2−ヨードイソブチル、1,2−ジヨードエチル、1,3−ジヨードプロピル、2,3−ジヨード−t−ブチル、1,2,3−トリヨードプロピルなどが含まれる。
【0083】
5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル、3,5−テトラメチルシクロへキシルなどが含まれ、好ましくは、シクロへキシル、シクロオクチル、3,5−テトラメチルシクロへキシルが含まれる。
【0084】
3〜20の炭素原子を有するシリル基は、例えば、アルキルシリル基、アリールシリル基、又はアラルキルシリル基であることが好ましく、その例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、トリオクチルシリル、トリイソブチルシリル、ジメチルエチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジメチルプロピルシリル、ジメチルブチルシリル、ジメチルt−ブチルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルt−ブチルシリル、トリフェニルシリルなどが含まれる。
【0085】
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が含まれる。
【0086】
6〜22の炭素原子を有するアリール置換基は、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、クリセニル、フルオランテニル、9,10−ジアルキルフルオレニル、9,10−ジアリールフルオレニル、トリフェニレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、ジベンゾフェナントレニル、ベンゾトリフェニレニル、ベンゾクリセニル、及びジベンゾフラニルである。さらに好ましくは、6〜22の炭素原子を有するアリール置換基は、6〜18の炭素原子を有するフェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、クリセニル、フルオランテニル、9,10−ジメチルフルオレニル、トリフェニレニル、フェナントレニル、ベンゾフェナントレニル、及びジベンゾフラニルである。なおさらに好ましくは、6〜22の炭素原子を有するアリール置換基は、6〜14の炭素原子を有するフェニル、ビフェニル、ナフチル、フェナントレニル、及びジベンゾフラニルである。
【0087】
1つの好ましい態様では、上述した式(1)において、Ra及びArがナフタレン環であり、且つ、Rbが、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環から選択される基であることが好ましい。
【0088】
したがって、高効率及び長寿命を有するデバイスを提供するために、優れた安定性を示すOLED優れた安定性を実証するOLEDのための薄膜を、好適な環構造を選択し且つその環構造を赤色燐光物質とともに用いることによって形成することができる。
【0089】
上述した式(1)によって表される構造にしたがう好ましいホスト物質は、式(2)として表される以下の構造によって示される。
【化9】

【0090】
上記の式(2)によって表されるホスト物質及び燐光物質を用いることによって作成される燐光OLEDは、高効率と長寿命を示す。好ましくは、この燐光物質は赤色燐光物質である。
【0091】
上記の式(2)において、Ra及びRbは、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環から選択される基であることが好ましい。
【0092】
高効率及び長寿命を有するデバイスを提供するために、優れた安定性を示すOLEDのための薄膜は、好適な環構造を選択し且つその環構造を赤色燐光物質とともに用いることによって形成できる。
【0093】
上記式(2)においてRa、Rb、及びナフタレン環の1つが1つ以上の置換基を有する場合、各置換基は個別に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であることが好ましい。さらに、上記ナフタレン環のための置換基(Ra及びRbのためのものではない)は、6〜22の炭素原子を有するアリール基であることができる。
【0094】
この置換基は窒素原子を含まず、したがって、ホスト物質は増大した安定性と延長された寿命を示す。
【0095】
Ra及びArのそれぞれがナフタレン環であり、Arがベンゼン環であり、且つRbがフェナントレン環である最も好ましいホスト物質は、下記化学構造(3)で表される。
【化10】

【0096】
本発明においては、上述したホスト物質の励起三重項エネルギーは、約2.0eV〜約2.8eVであることが好ましい。
【0097】
約2.0eV以上の励起三重項エネルギーは、520nm以上且つ720nm以下の波長において発光する燐光物質にエネルギーを移すことを可能にする。約2.8eV以下の励起三重項エネルギーは、エネルギーギャップの大きな差によって赤色燐光ドーパントにおいて発光が有効に行われないという問題を避けることを可能にする。
【0098】
ホスト物質の励起三重項エネルギーは、より好ましくは約2.0eV〜約2.7eVであり、さらにより好ましくは約2.1eV〜約2.7eVである。
【0099】
本発明のホスト物質のために好適な化合物の具体例には、以下の化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
【化11】

【0101】
【化12】

【0102】
【化13】

【0103】
本発明のOLEDに用いることができる燐光発光体物質に関しては、Ir(2−フェニルキノリン)及びIr(1−フェニルイソキノリン)型の燐光物質が合成されており、ドーパント発光体としてそれらを組み込んだOLEDが作成されている。そのようなデバイスは有利なことには高い電流効率、高い安定性、狭い発光、高い加工性(例えば、高い溶解性及び低い蒸発温度)、高い発光効率及び/又は高い発光効率を示しうる。
【0104】
Ir(3−Meppy)の基本構造を用いて、様々なアルキル及びフッ素置換パターンが研究され、物質の加工性(蒸発温度、蒸発安定性、溶解性など)及びIr(2−フェニルキノリン)及びIr(1−フェニルイソキノリン)型の燐光物質のデバイス特性に関する構造と特性との関係が確立されている。アルキル及びフッ素置換基は特に重要であり、なぜならそれらは蒸発温度、溶解性、エネルギー準位、デバイス効率などに関して広い範囲の手堅さをもたらす。さらに、それらは化学的に及び適切に応用した場合にはデバイス駆動において、官能基として安定である。
【0105】
本発明の一態様では、燐光発光体物質には、下記式(4a)、(4b)、及び(4c)で表される下記の部分化学構造の1つによって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属錯体が含まれる。
【化14】

式中、各Rは独立に、水素又は1〜3の炭素原子を有するアルキル置換基であり、且つ式の少なくとも1つの環が1つ以上の前記アルキル置換基を有する。本明細書に含まれる化学構造において、特定の原子へ直接結合された置換基によってではなく、環構造の結合を通って引かれた線をもつ置換基、例えば上のR、を表す表記法は、その環上の利用可能な炭素原子のうち任意の1つ以上の炭素上に置換基が任意選択によって存在してもよいことに言及している。特に「置換された」構造には、すくなくとも1つのメチル置換基が含まれ、これは任意の一つの環の上に置換していることができる。上記構造にしたがう燐光有機金属錯体は、任意の好適な数のメチル基で置換されていることができる。好ましくは、上記構造にしたがう燐光有機金属錯体は少なくとも2つのメチル基で置換されている。
【0106】
好ましくは、上記構造にしたがう燐光有機金属錯体は少なくとも2つのメチル基で置換されている。最も好ましい態様では、燐光発光体物質は、下記部分化学構造(5)によって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属錯体を含む。
【化15】

【0107】
別の態様では、燐光発光体物質は金属錯体を含み、その金属錯体は、Ir、Pt、Os、Au、Cu、Re、及びRuから選択される金属原子と配位子とを含む。なお別の態様では、金属錯体はオルト金属結合を有する。この金属原子は好ましくはIrである。
【0108】
別の態様では、燐光発光体物質には下記化学構造(6)によって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物が含まれる。
【化16】

【0109】
好ましい態様では、本発明は、ホスト物質が下記式:
【化17】

によって表される化学構造を有する非置換芳香族炭化水素化合物(PHU−02)を含み、且つ、燐光発光体物質が下記化学構造:
【化18】

によって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物(RD−002)を含むOLEDに関する。
【0110】
本発明のOLEDは、正孔輸送層(正孔注入層)を含んでいてもよく、前記の正孔輸送層(正孔注入層)は本発明の物質を含むことが好ましい。さらに、本発明のOLEDは電子輸送層及び/又は正孔阻止層を含んでいてもよく、前記の電子輸送層及び/又は正孔阻止層は本発明の化合物を含むことが好ましい。
【0111】
本発明のOLEDは、カソードと有機薄膜層との間の中間層領域に還元剤ドーパントを含んでいてもよい。記載した構造的構成を有するそのようなOLEDは、向上した発光輝度及び延長された寿命を有することができる。
【0112】
還元剤ドーパントには、アルカリ金属、アルカリ金属錯体、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属錯体、アルカリ土類金属化合物、希土類金属、希土類金属錯体、希土類金属化合物などから選択されるすくなくとも1種のドーパントが含まれる。
【0113】
好適なアルカリ金属には、Na(仕事関数:2.36eV)、K(仕事関数:2.28eV)、Rb(仕事関数:2.16eV)、Cs(仕事関数:1.95eV)などが含まれ、2.9eV以下の仕事関数を有する化合物が特に好ましい。それらの中で、K、Rb、及びCsが好ましく、Rb又はCsがさらに好ましく、Csがなおさらに好ましい。
【0114】
アルカリ土類金属には、Ca(仕事関数:2.9eV)、Sr(仕事関数:2.0〜2.5eV)、Ba(仕事関数:2.52eV)などを含まれ、2.9eV以下の仕事関数を有する化合物が特に好ましい。
【0115】
希土類金属には、Sc、Y、Ce、Tb、Ybなどが含まれ、2.9eV以下の仕事関数を有する化合物が特に好ましい。
【0116】
上述した金属のなかでは、高い還元性を有する金属を選択することが好ましく、電子注入領域へのそれらの比較的少量の添加は、OLEDの発光輝度を高め且つ寿命を延ばすことを可能にしうる。
【0117】
アルカリ金属化合物には、アルカリ金属酸化物、例えば、LiO、CsO、KOなど、及びアルカリ金属ハロゲン化物、例えば、LiF、NaF、CsF、KFなどが含まれる。好ましい化合物には、LiF、LiO、及びNaFが含まれる。
【0118】
アルカリ土類金属化合物には、BaO、SrO、CaO、及びBaSr1−xO(0<x<1)、BaCa1−xO(0<x<1)、及び前記の化合物を混合することによって得られるものなどが含まれ、BaO、SrO、及びCaOが好ましい。
【0119】
希土類金属化合物には、YbF、ScF、ScO、Y、Ce、GdF、TbFなどが含まれ、YbF、ScF、及びTbFが好ましい。
【0120】
アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、及び希土類金属錯体は、それらがアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類金属イオンのうち少なくとも1つを含んでいる限り、特に限定されない。配位子は、好ましくは、キノリノール、ベンゾキノリノール、アクリジノール、フェナントリジノール、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジアリールオキサジアゾール、ヒドロキシジアリールチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシフルボラン、ビピリジル、フェナントロリン、フタロシアニン、ポリフィリン、シクロペンタジエン、β−ジケトン類、アゾメチン類、及びそれらの誘導体である。しかし、好適な物質は前記の化合物に限定されない。
【0121】
還元剤ドーパントは界面領域に形成することができ、層形態又は島状形態であることが好ましい。形成方法は、界面領域を形成する発光物質と電子注入物質に相当する有機物質とを同時に堆積させると同時に、抵抗加熱蒸着法によって還元剤ドーパントを堆積させ、それによってその有機物質中に還元剤ドーパントを分散させる方法であることができる。分散濃度はモル比で約100:1〜1:100、好ましくは約5:1〜1:5の有機物質対還元剤ドーパントの比を有する。
【0122】
還元剤ドーパントが層状に形成される場合は、界面領域における有機層である発光物質と電子注入物質は層状に形成され、次に還元剤ドーパントのみが抵抗加熱蒸着法によって蒸着され、層、好ましくは0.1〜15nmの層を形成することができる。
【0123】
還元剤ドーパントを島状に形成する場合、界面領域における有機層である発光物質と電子注入物質を島状に形成し、次に還元剤ドーパントだけを抵抗加熱蒸着法によって蒸着し、島、好ましくは0.05〜1nmの厚さの島を形成できる。
【0124】
本発明のOLEDにおける主成分と還元剤ドーパントとのモル比は、好ましくは、モル比で主成分:還元剤ドーパント=5:1〜1:5、より好ましくは2:1〜1:2である。
【0125】
本発明のOLEDは発光層とカソードとの間に電子注入層を有することが好ましく、前記のその電子注入層は主成分として窒素含有環誘導体を含むことが好ましい。これに関して、電子注入層は電子輸送層として機能する層であることができる。
【0126】
「主成分として」の用語は、電子注入層が50質量%以上の窒素含有環誘導体を含むことを意味する。
【0127】
電子注入層又は電子輸送層は、発光層への電子の注入を助けるための層であり、それは大きな電子移動度を有する。電子注入層は、エネルギー準位の突然の変化の緩和を含めてエネルギー準位を制御するために備えられる。
【0128】
電子注入層に好適に用いられる電子輸送物質は、分子内に少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族ヘテロ環式化合物であり、それは窒素含有環誘導体であることが特に好ましい。この窒素含有環誘導体は、窒素含有6員もしくは5員環骨格を有する芳香族環、又は窒素含有6員もしくは5員環骨格を有する縮合芳香族環であることが好ましい。
【0129】
上の窒素含有環誘導体は好ましくは、例えば、下記式(A)で表される窒素含有環金属キレート錯体である。
【化19】

【0130】
〜Rはそれぞれが独立に、水素原子、ハロゲン原子、オキシ基、アミノ基、1〜40の炭素原子を有する炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、又はヘテロ環基であり、それらは置換されていてもよい。
【0131】
ハロゲン原子には、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。置換されていてもよいアミノ基の例には、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、及びアラルキルアミノ基が含まれる。
【0132】
1〜40の炭素原子を有する炭化水素基には、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが含まれる。
【0133】
アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、ネオペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−ペンチルへキシル、1−ブチルペンチル、1−ヘプチルオクチル、3−メチルペンチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシイソブチル、1,2−ジヒドロキシエチル、1,3−ジヒドロキシイソプロピル、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、クロロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、2−クロロイソブチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジクロロイソプロピル、2,3−ジクロロ−t−ブチル、1,2,3−トリクロロプロピル、ブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2−ブロモイソブチル、1,2−ジブロモエチル、1,3−ジブロモイソプロピル、2,3−ジブロモ−t−ブチル、1,2,3−トリブロモプロピル、ヨードメチル、1−ヨードエチル、2−ヨードエチル、2−ヨードイソブチル、1,2−ジヨードエチル、1,3−ジヨードイソプロピル、2,3−ジヨード−t−ブチル、1,2,3−トリヨードプロピル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、2−アミノイソブチル、1,2−ジアミノエチル、1,3−ジアミノイソプロピル、2,3−ジアミノ−t−ブチル、1,2,3−トリアミノプロピル、シアノメチル、1−シアノエチル、2−シアノエチル、2−シアノイソブチル、1,2−ジシアノエチル、1,3−ジシアノイソプロピル、2,3−ジシアノ−t−ブチル、1,2,3−トリシアノプロピル、ニトロメチル、1−ニトロエチル、2−ニトロエチル、1,2−ジニトロエチル、2,3−ジニトロ−t−ブチル、1,2,3−トリニトロプロピルなどが含まれる。
【0134】
それらのなかでも、好ましいものは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、ネオペンチル、1−メチルペンチル、1−ペンチルへキシル又は1−ブチルペンチル、及び1−ヘプチルオクチルである。
【0135】
アルケニル基には、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1,3−ブタンジエニル、1−メチルビニル、スチリル、2,2−ジフェニルビニル、1,2−ジフェニルビニル、1−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、2−メチルアリル、1−フェニルアリル、2−フェニルアリル、3−フェニルアリル、3,3−ジフェニルアリル、1,2−ジメチルアリル、1−フェニル−1−ブテニル、2,2−ジフェニルビニル、1,2−ジフェニルビニルなどが含まれる。
【0136】
シクロアルキル基には、例えば、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロオクチル、3,5−テトラメチルシクロへキシルなどが含まれ、シクロへキシル、シクロオクチル、及び3,5−テトラメチルシクロへキシルが好ましい。
【0137】
アルコキシ基は−OYによって表される基であり、Yの具体例には上述したアルキル基で説明したものと同じ基が含まれる。それらの好ましい例には同じ基が含まれる。
【0138】
非縮合アリール基には、例えば、フェニル、ビフェニル−2−イル、ビフェニル−3−イル、ビフェニル−4−イル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル、o−クメニル、m−クメニル、p−クメニル、2,3−キシリル、3,4−キシリル、2,5−キシリル、メシチル、m−クォーターフェニル(quarterphenyl)などが含まれる。
【0139】
それらのなかでも、フェニル、ビフェニル−2−イル、ビフェニル−3−イル、ビフェニル−4−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、p−トリル、3,4−キシリル、及びm−クォーターフェニル−2−イルが好ましい。
【0140】
縮合アリール基には、例えば、1−ナフチル及び2−ナフチルが含まれる。
【0141】
ヘテロ環基は単環式又は縮合環であり、それは1〜20の環炭素原子、より好ましくは1〜12の環炭素原子、さらに好ましくは2〜10の環炭素原子を有するヘテロ環基であり、また、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びセレン原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族ヘテロ環基である。前記のヘテロ環基の例には、たとえば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、セレノフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾール、アゼピンなどから誘導される基が含まれる。それらは好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、及びキナゾリンから、より好ましくはフラン、チオフェン、ピリジン、及びキノリンから誘導される基であり、さらに好ましくはキノリニルである。
【0142】
アラルキル基には、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルイソプロピル、2−フェニルイソプロピル、フェニル−t−ブチル、α−ナフチルメチル、1−α−ナフチルエチル、2−α−ナフチルエチル、1−α−ナフチルイソプロピル、2−α−ナフチルイソプロピル、β−ナフチルメチル、1−β−ナフチルエチル、2−β−ナフチルエチル、1−β−ナフチルイソプロピル、2−β−ナフチルイソプロピル、p−メチルベンジル、m−メチルベンジル、o−メチルベンジル、p−クロロベンジル、m−クロロベンジル、o−クロロベンジル、p−ブロモベンジル、m−ブロモベンジル、o−ブロモベンジル、p−ヨードベンジル、m−ヨードベンジル、o−ヨードベンジル、p−ヒドロキシベンジル、m−ヒドロキシベンジル、o−ヒドロキシベンジル、p−アミノベンジル、m−アミノベンジル、o−アミノベンジル、p−ニトロベンジル、m−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、p−シアノベンジル、m−シアノベンジル、o−シアノベンジル、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル、1−クロロ−2−フェニルイソプロピルなどが含まれる。
【0143】
それらのなかでは、好ましいものは、ベンジル、p−シアノベンジル、m−シアノベンジル、o−シアノベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルイソプロピル、及び2−フェニルイソプロピルである。
【0144】
アリールオキシ基は−OY’で表され、Y’の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル(anthryl)、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イルなどが含まれる。
【0145】
アリールオキシ基のなかでも、ヘテロアリールオキシ基は−OZ’によって表され、Z’の例には、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、1−フェナントリジニル(phenanthridinyl)、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。
【0146】
アルコキシカルボニル基は−COOY’によって表され、Y’の例には、上述したアルキル基と同じ基が含まれる。
【0147】
アルキルアミノ基及びアラルキルアミノ基は、−NQ1Q2で表され、Q1及びQ2の具体例にはそれぞれ独立に、上述したアルキル基及びアラルキル基で説明したものと同じ基が含まれる。その好ましい例も同じである。Q1及びQ2のうち1つが水素原子であることもできる。
【0148】
アリールアミノ基は−NArArで表され、Ar及びArのそれぞれの具体例は独立に、上述した非縮合アリール基及び縮合アリール基で説明したものと同じ基が含まれる。Ar及びArのうちの1つが水素原子であることもできる。
【0149】
Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、又はインジウム(In)であり、好ましくはInである。
【0150】
上述した式(A)中のLは、以下の式(A’)又は(A’’)によって表される基である。
【化20】

【0151】
上述した式において、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、又は1〜40の炭素原子を有する置換もしくは非置換の炭化水素基であり、互いに隣接する基は環状構造を形成していてもよい。R13〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、又は1〜40の炭素原子を有する置換もしくは非置換の炭化水素基であり、互いに隣接する基は環状構造を形成していてもよい。
【0152】
上述した式(A’)及び(A’’)のR〜R12及びR13〜R27によって表される1〜40の炭素原子を有する炭化水素基には、R〜Rの具体例と同じ基が含まれる。
【0153】
互いに隣接するR〜R12及びR13〜R27の基によって形成される環状構造の二価の基には、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイルなどが含まれる。
【0154】
上述した式(A)で表される窒素含有環金属キレート錯体の具体例を以下に示すが、それらは例として示したこれらの化合物に限定されない。
【0155】
【化21】

【0156】
【化22】

【0157】
【化23】

【0158】
本発明においては、電子注入層及び電子輸送層が窒素含有ヘテロ環誘導体を含んでいてもよい。
【0159】
電子注入層又は電子輸送層は、電子を発光層に注入することを助けるための層であり、それは大きな電子移動度を有する。備えられた電子注入層は、エネルギー準位の突然の変化の緩和を含め、エネルギー準位を制御するためのものでありうる。電子注入層又は電子輸送層のために用いられる物質は、好適には8−ヒドロキシキノリン又はそれらの誘導体の金属錯体、オキサジアゾール誘導体、及び窒素含有ヘテロ環誘導体であることができる。前述した8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の例には、オキシン(一般的には、8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含めた金属キレートオキシノイド化合物、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが含まれる。オキサジアゾール誘導体には以下の化合物が含まれる。
【化24】

【0160】
上記式中、Ar17、Ar18、Ar19、Ar21、Ar22、及びAr25のそれぞれは置換基を有するか又は有しないアリール基を表し、Ar17及びAr18、Ar19及びAr21、Ar22及びAr25は互いに同じであるか又は異なり、Ar20、Ar23、及びAr24はそれぞれ、置換基を有するか又は有しないアリーレン基を表し、Ar23及びAr24は互いに同じであるか又は異なる。
【0161】
上記アリーレン基には、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、アントラニレン、ペリレニレン、ピレニレンなどが含まれる。それらへの置換基には、1〜10の炭素原子を有するアルキル基、1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基、又はシアノ基が含まれる。良好な薄膜形成性を有する化合物を上記の電子輸送化合物として用いることが好ましい。以下の化合物が、電子輸送化合物の具体例として挙げられる。
【化25】

【0162】
窒素含有ヘテロ環誘導体には、以下の式で表される有機化合物を含む窒素含有ヘテロ環誘導体である窒素含有化合物が含まれ、これらは金属錯体ではない。それらには、例えば、(A)によって表される骨格を有する5員環又は6員環、及び(B)によって表される構造を有する化合物が含まれる。
【化26】

【0163】
上記(B)において、Xは炭素原子又は窒素原子を表す。Z及びZはそれぞれ独立に窒素含有ヘテロ環を形成することができる原子団を表す。
【化27】

【0164】
それらは好ましくは、5員環又は6員環を含む窒素含有芳香族多環を有する有機化合物である。さらに、複数の窒素原子を有する窒素含有芳香族多環の場合は、それらは上述した(A)と(B)、又は(A)と(C)を結合することによって得られる骨格を有する窒素含有芳香族多環式有機化合物である。
【0165】
その窒素含有有機化合物の窒素含有基は、例えば、下記式によって表される窒素含有ヘテロ環基から選択される。
【0166】
【化28】

【0167】
上記の各式において、Rは、6〜40の炭素原子を有するアリール基、3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基であり;nは0〜5の整数であり、且つnが2以上の整数である場合には、複数のRは互いに同じか又は異なることができる。
【0168】
さらに、好ましい具体的な化合物には、下記式で表される窒素含有ヘテロ環誘導体が含まれる。
【化29】

【0169】
上述した式中、HArは置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有する窒素含有ヘテロ環であり;Lは単結合、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリーレン基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリーレン基であり;Arは置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有する二価の芳香族炭化水素基であり;Arは置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基である。
【0170】
HArは例えば以下の群から選択される。
【化30】

【0171】
は例えば以下の群から選択される。
【化31】

【0172】
Arは例えば以下の群から選択される。
【化32】

【0173】
Arは例えば以下のアリールアントラニル基から選択される。
【化33】

【0174】
上記式中、R〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は3〜40の炭素原子を有するヘテロアリールオキシ基であり;Arは置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は3〜40の炭素原子を有するヘテロアリールオキシ基である。
【0175】
それは、上記式によって表されるArにおいてR〜Rの全てが水素原子である窒素含有ヘテロ環誘導体である。
【0176】
それに加え、以下の化合物(特開平9−3448号公報を参照されたい)も好適に用いられる。
【化34】

【0177】
上記式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換の脂肪族基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の炭素環式芳香族環基、又は置換もしくは非置換のヘテロ環基、であり;X及びXはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又はジシアノメチレン基である。
【0178】
以下の化合物(特開2000−173774号公報を参照されたい)も好適に用いられる。
【化35】

【0179】
上記式中、R、R、R、及びRは互いに同じか又は異なり、下記式で表されるアリール基である。
【化36】

【0180】
上記式中、R、R、R、R、及びRは互いに同じか又は異なり、水素原子であるか、あるいはそれらの少なくとも1つが、飽和又は不飽和のアルコキシ基、アルキル基、アミノ基、又はアルキルアミノ基である。
【0181】
さらに、それは、上の窒素含有ヘテロ環基又は窒素含有ヘテロ環誘導体を含む高分子量化合物であることもできる。
【0182】
電子輸送層は以下の式(201)〜(203)によって表される少なくとも1つの窒素含有ヘテロ環誘導体を含むことが好ましい。
【化37】

【0183】
上記の式(201)〜(203)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基であり;nは0〜4の整数であり;Rは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基であり;R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基であり;Lは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、置換基を有していてもよいキノリニレン基、又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基であり;Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、又は置換基を有していてもよいキノリニレン基であり;Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0184】
Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、又は−Ar−Ar(Ar及びArはそれぞれ上述したものと同じである)で表される基である。
【0185】
上述した式(201)から(203)において、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0186】
上述した6〜60の炭素原子を有するアリール基は、好ましくは、6〜40の炭素原子を有するアリール基、さらに好ましくは6〜20の炭素原子を有するアリール基である。具体的にいえば、それには、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル、ビフェニル、ターフェニル、トリル、t−ブチルフェニル、(2−フェニルプロピル)フェニル、フルオランテニル、フルオレニル、スピロビフルオレンを含む一価の基、パーフルオロフェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロアントリル、パーフルオロビフェニル、9−フェニルアントラセンを含む一価の基、9−(1’−ナフチル)アントラセンを含む一価の基、9−(2’−ナフチル)アントラセンを含む一価の基、6−フェニルクリセンを含む一価の基、9−[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]アントラセンを含む一価の基などが含まれる。フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、9−(1−フェニル)アントリル、9−[10−(1’−ナフチル)アントリル、9−[10−(2’−ナフチル)アントリルなどが好ましい。
【0187】
1〜20の炭素原子を有するアルキル基は、1〜6の炭素原子を有するアルキル基が好ましい。具体的にいえば、それには、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシルなど、それらに加えて、ハロアルキル基、例えば、トルフルオロメチルなどが含まれ、3以上の炭素原子を有するアルキル基は直鎖状、環状、又は分枝状であることができる。
【0188】
1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基は、1〜6の炭素原子を有するアルコキシ基であることが好ましい。具体的にいえば、それには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、へキシルオキシなどが含まれ、3以上の炭素原子を有するアルコキシ基は直鎖状、環状、又は分枝状であることができる。
【0189】
Rによって表される、各基に対する置換基には、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基が含まれる。
【0190】
ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が含まれる。
【0191】
1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、及び6〜60の炭素原子を有するアリール基には、上述したものと同じ基が含まれる。
【0192】
6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基には、例えば、フェノキシ、ビフェニルオキシなどが含まれる。
【0193】
3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基には、例えば、ピロリル、フリル、チエニル、シロリル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、イミダゾリル、ピリミジル、カルバゾリル、セレノフェニル、オキサジアゾリル、トリアゾリルなどが含まれる。
【0194】
nは0〜4、好ましくは0〜2の整数である。
【0195】
上述した式(201)において、Rは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0196】
上の各基の具体例及びその好ましい炭素数及びそれらの置換基は、上述したRについて説明したものと同じである。
【0197】
上述した式(202)及び(203)において、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基である。
【0198】
上の各基の具体例及びその好ましい炭素数及びその置換基は、上述したRについて説明したものと同じである。
【0199】
上述した式(201)〜(203)において、Lは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素数を有するアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、置換基を有していてもよいキノリニレン基、又は置換基を有していてもよいフルオレニレン基である。
【0200】
6〜60の炭素原子を有するアリーレン基は、6〜40の炭素原子を有するアリーレンン基、より好ましくは6〜20の炭素原子を有するアリーレン基であり、具体的にいえば、それには、上述したRについて説明したアリール基から1つの水素原子を取り除くことによって形成される二価の基が含まれる。Lによって表される各基に対する置換基は、上述したRについて説明したものと同じである。
【0201】
Lは以下の基からなる群から選択される基であることが好ましい。
【化38】

【0202】
上述した式(201)中、Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリーレン基、置換基を有していてもよいピリジニレン基、又は置換基を有していてもよいキノリニレン基である。Ar及びArによって表される各基に対する置換基はそれぞれ上述したRについて説明したものと同じである。
【0203】
Arは、下記式(101)〜(110)によって表される縮合環基から選択される基であることが好ましい。
【化39】

【0204】
上記式(101)〜(110)において、各縮合環には、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基を含む結合基が結合していてもよく、複数の前記の結合基が存在する場合には、それらは互いに同じか又は異なっていてよい。上記各基の具体例には、上述したものと同じ基が含まれる。
【0205】
上述した式(110)において、Lは、単結合又は以下の基からなる群から選択される基である。
【化40】

【0206】
Arにおいて式(103)で表される基は、以下の式(111)〜(125)によって表される縮合環基であることが好ましい。
【化41】

【0207】
上述した式(111)〜(125)において、各縮合環には、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基を含む結合基が結合していてもよく、複数の前記の結合基が存在する場合には、それらは互いに同じか又は異なっていてよい。上記の各基の具体例は上述したものと同じである。
【0208】
上記式(201)において、Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素数を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよい1〜20の炭素数を有するアルコキシ基である。
【0209】
上記各基の具体例及び好ましい炭素数及びそれらの置換基は、上述したRについて説明したものと同じである。
【0210】
上述した式(202)及び(203)において、Arは、置換基を有していてもよい6〜60の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素数を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素数を有するアルコキシ基、又は−Ar−Ar(Ar及びArはそれぞれ上述したものと同じである)で表される基である。
【0211】
上記各基の具体例及びその好ましい炭素数及びその置換基は、上述したRについて説明したものと同じである。
【0212】
Arは、下記式(126)〜(135)によって表される縮合環基から選択される基であることが好ましい。
【化42】

【0213】
上述した式(126)〜(135)において、各縮合環には、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基を含む結合基が結合していてもよく、複数の前記の結合基が存在する場合には、それらは互いに同じか又は異なっていてよい。上記の各基の具体例には上述したものと同じ基が含まれる。
【0214】
上述した式(135)において、Lは上述したものと同じである。
【0215】
上述した式(126)〜(135)において、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基である。上記各基の具体例には、上述したものと同じ基が含まれる。
【0216】
Arにおいて式(128)によって表される基は、下記式(136)〜(158)によって表される縮合環基であることが好ましい。
【化43】

【0217】
上述した式(136)〜(158)において、各縮合環には、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルキル基、置換基を有していてもよい1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリールオキシ基、置換基を有していてもよい6〜40の炭素原子を有するアリール基、又は置換基を有していてもよい3〜40の炭素原子を有するヘテロアリール基を含む結合基が結合していてもよく、複数の前記の結合基が存在する場合には、それらは互いに同じか又は異なっていてよい。上記の各基の具体例には上述したものと同じ基が含まれる。Rは上述したものと同じである。
【0218】
好ましくは、Ar及びArはそれぞれ独立に、以下の基からなる群から選択される基である。
【化44】

【0219】
上述した式(201)〜(203)によって表される窒素含有ヘテロ環誘導体の具体例を以下に示すが、本発明は例として示したこれらの化合物に限定されない。
【0220】
以下の表において、HArは、式(201)〜(203)の式において以下の構造を表す。
【化45】

【0221】
【表1】

【0222】
【表2】

【0223】
【表3】

【0224】
【表4】

【0225】
【表5】

【0226】
【表6】

【0227】
【表7】

【0228】
【表8】

【0229】
【表9】

【0230】
【表10】

【0231】
【表11】

【0232】
【表12】

【0233】
【表13】

【0234】
【表14】

【0235】
【表15】

【0236】
【表16】

【0237】
【表17】

【0238】
上述した具体例のなかで、(1−1)、(1−5)、(1−7)、(2−1)、(3−1)、(4−2)、(4−6)、(7−2)、(7−7)、(7−8)、(7−9)、(9−1)、及び(9−7)が特に好ましい。
【0239】
電子注入層又は電子輸送層の膜厚は特に限定されず、約1〜約100nmであることが好ましい。
【0240】
上記窒素含有環誘導体に加えて無機化合物としての絶縁体又は半導体を、電子注入層の構成物質として用いることが好ましい。絶縁体又は半導体から構成される電子注入層は、電流が漏洩することを有効に防止し、電子注入特性を高めることを可能にする。
【0241】
上記絶縁体として好ましく用いられるのは、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属ハロゲン化物、及びアルカリ土類金属ハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物である。電子注入層が上記アルカリ金属カルコゲニドなどからなる場合には、電子注入特性をさらに高めることができるという視点から好ましい。具体的に言えば、好ましいアルカリ金属カルコゲニドには、例えば、LiO、KO、NaS、NaSe、及びNaOが含まれ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲニドには、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、及びCaSeが含まれる。また、好ましいアルカリ金属ハライドには、例えば、LiF、NaK、KF、LiCl、KCl、及びNaClが含まれる。さらに、好ましいアルカリ土類金属ハライドには、例えば、フッ化物、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、及びBeF、並びにフッ化物以外のハロゲン化物が含まれる。
【0242】
半導体には、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb、及びZnのうちのすくなくとも1種を含む酸化物、窒化物、又は窒化酸化物の単一種、又はそれらの2種以上の組み合わせが含まれる。電子注入層を構成する無機化合物は、微細結晶又は非晶質(アモルファス)の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層が上の絶縁性薄膜から構成されている場合、より均一な薄膜が形成され、それによって画素欠陥、例えば、暗点(ダークスポット)などを低減できる。上の無機化合物には、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属ハロゲン化物、及びアルカリ土類金属ハロゲン化物が含まれる。
【0243】
上の絶縁体又は半導体を用いる場合、関係する層の好ましい厚さは約0.1〜約15nmである。本発明における電子注入層は、上述した還元剤ドーパントを含むことが好ましい。
【0244】
芳香族アミン化合物、例えば、下記式(I)で表される芳香族アミン誘導体が、正孔注入層又は正孔輸送層(正孔注入輸送層を含めて)に好適に用いられる。
【化46】

【0245】
上述した式(I)において、Ar〜Arは6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリール基、又は5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリール基を表す。
【0246】
6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリール基には、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル(anthryl)、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントレニル、2−フェナントレニル、3−フェナントレニル、4−フェナントレニル、9−フェナントレニル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル、フルオランテニル、フルオレニルなどが含まれる。
【0247】
5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリール基には、例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、2−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フラニル、3−フラニル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、9−カルバゾリル、1−フェナントリジニル、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、10−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、10−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。それには好ましくは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントラニル、フェナントレニル、ピレニル、クリセニル、フルオランテニル、フルオレニルなどが含まれる。
【0248】
Lは連結基である。具体的に言えば、それは、5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換アリーレン基、5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリーレン基、又は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、1〜20の炭素原子を有するアルキレン基、2〜20の炭素原子を有するアルケニレン基、もしくはアミノ基によって2つ以上のアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基を結合することによって得られる二価の基である。6〜50の環炭素原子を有するアリーレン基には、例えば、1,4−フェニレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−ナフタレン、2,6−ナフタレン、1,5−ナフタレン、9,10−アントラニレン、9,10−フェナントレニレン、3,6−フェナントレニレン、1,6−ピレニレン、2,7−ピレニレン、6,12−クリセニレン、4,4’−ビフェニレン、3,3’ −ビフェニレン、2,2’ −ビフェニレン、2,7−フルオレニレンなどが含まれる。5〜50の環炭素原子を有するアリーレン基には、例えば、2,5−チオフェニレン、2,5−シロリレン、2,5−オキサジアゾリレンなどが含まれる。好ましいのは、1,4−フェニレン、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−ナフチレン、9,10−アントラニレン、6,12−クリセニレン、4,4’−ビフェニレン、3,3’−ビフェニレン、2,2’−ビフェニレン、及び2,7−フルオレニレンである。
【0249】
Lが2つ以上のアリーレン基又はヘテロアリーレン基を含む連結基である場合、隣接するアリーレン基又はヘテロアリーレン基は二価の基で互いに連結されて新しい環を形成してもよい。環を形成する二価の基の例には、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ジフェニルメタン−2,2’−ジイル、ジフェニルエタン−3,3’−ジイル、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイルなどが含まれる。
【0250】
Ar〜Ar及びLへの置換基は、6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリール基、5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリール基、1〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルキル基、3〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のシクロアルキル基、1〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシ基、7〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアラルキル基、6〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリールオキシ基、5〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリールオキシ基、6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリールチオ基、5〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリールチオ基、2〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基、6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリール基又は5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換されたアミノ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基などである。
【0251】
6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリール基には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル(anthryl)、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントレニル、2−フェナントレニル、3−フェナントレニル、4−フェナントレニル、9−フェナントレニル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル、フルオランテニル、フルオレニルなどが含まれる。
【0252】
5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリール基には、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、2−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フラニル、3−フラニル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、9−カルバゾリル、1−フェナントリジニル、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、10−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、10−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。
【0253】
1〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシイソブチル、1,2−ジヒドロキシエチル、1,3−ジヒドロキシイソプロピル、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、クロロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、2−クロロイソブチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジクロロイソプロピル、2,3−ジクロロ−t−ブチル、1,2,3−トリクロロプロピル、ブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2−ブロモイソブチル、1,2−ジブロモエチル、1,3−ジブロモイソプロピル、2,3−ジブロモ−t−ブチル、1,2,3−トリブロモプロピル、ヨードメチル、1−ヨードエチル、2−ヨードエチル、2−ヨードイソブチル、1,2−ジヨードエチル、1,3−ジヨードイソプロピル、2,3−ジヨード−t−ブチル、1,2,3−トリヨードプロピル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、2−アミノイソブチル、1,2−ジアミノエチル、1,3−ジアミノイソプロピル、2,3−ジアミノ−t−ブチル、1,2,3−トリアミノプロピル、シアノメチル、1−シアノエチル、2−シアノエチル、2−シアノイソブチル、1,2−ジシアノエチル、1,3−ジシアノイソプロピル、2,3−ジシアノ−t−ブチル、1,2,3−トリシアノプロピル、ニトロメチル、1−ニトロエチル、2−ニトロエチル、2−ニトロイソブチル、1,2−ジニトロエチル、1,3−ジニトロイソプロピル、2,3−ジニトロ−t−ブチル、1,2,3−トリニトロプロピルなどが含まれる。
【0254】
3〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、4−メチルシクロへキシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、1−ノルボルニル、2−ノルボルニルなどが含まれる。
【0255】
1〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシ基は−OYで表される基である。Yの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシイソブチル、1,2−ジヒドロキシエチル、1,3−ジヒドロキシイソプロピル、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、クロロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、2−クロロイソブチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジクロロイソプロピル、2,3−ジクロロ−t−ブチル、1,2,3−トリクロロプロピル、ブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2−ブロモイソブチル、1,2−ジブロモエチル、1,3−ジブロモイソプロピル、2,3−ジブロモ−t−ブチル、1,2,3−トリブロモプロピル、ヨードメチル、1−ヨードエチル、2−ヨードエチル、2−ヨードイソブチル、1,2−ジヨードエチル、1,3−ジヨードイソプロピル、2,3−ジヨード−t−ブチル、1,2,3−トリヨードプロピル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、2−アミノイソブチル、1,2−ジアミノエチル、1,3−ジアミノイソプロピル、2,3−ジアミノ−t−ブチル、1,2,3−トリアミノプロピル、シアノメチル、1−シアノエチル、2−シアノエチル、2−シアノイソブチル、1,2−ジシアノエチル、1,3−ジシアノイソプロピル、2,3−ジシアノ−t−ブチル、1,2,3−トリシアノプロピル、ニトロメチル、1−ニトロエチル、2−ニトロエチル、2−ニトロイソブチル、1,2−ジニトロエチル、1,3−ジニトロイソプロピル、2,3−ジニトロ−t−ブチル、1,2,3−トリニトロプロピルなどが含まれる。
【0256】
7〜50の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアラルキル基の例には、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルイソプロピル、2−フェニルイソプロピル、フェニル−t−ブチル、α−ナフチルメチル、1−α−ナフチルエチル、2−α−ナフチルエチル、1−α−ナフチルイソプロピル、2−α−ナフチルイソプロピル、β−ナフチルメチル、1−β−ナフチルエチル、2−β−ナフチルエチル、1−β−ナフチルイソプロピル、2−β−ナフチルイソプロピル、1−ピロリルメチル、2−(1−ピロリル)エチル、p−メチルベンジル、m−メチルベンジル、o−メチルベンジル、p−クロロベンジル、m−クロロベンジル、o−クロロベンジル、p−ブロモベンジル、m−ブロモベンジル、o−ブロモベンジル、p−ヨードベンジル、m−ヨードベンジル、o−ヨードベンジル、p−ヒドロキシベンジル、m−ヒドロキシベンジル、o−ヒドロキシベンジル、p−アミノベンジル、m−アミノベンジル、o−アミノベンジル、p−ニトロベンジル、m−ニトロベンジル、o−ニトロベンジル、p−シアノベンジル、m−シアノベンジル、o−シアノベンジル、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル、1−クロロ−2−フェニルイソプロピルなどが含まれる。
【0257】
6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリールアルコキシ基は−OY’で表され、Y’の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル(anthryl)、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イルなどが含まれる。
【0258】
5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリールオキシ基は−OZ’によって表され、Z’の例には、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、1−フェナントリジニル(phenanthridinyl)、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。
【0259】
6〜50の環炭素原子を有する置換又は非置換アリールチオ基は−SY’’で表され、Y’’の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イルなどが含まれる。
【0260】
5〜50の環炭素原子を有する置換又は非置換のヘテロアリールチオ基は−SZ’’で表され、Z’’の例には、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、1−フェナントリジニル、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。
【0261】
2〜50の炭素原子を有する置換又は非置換のアルコキシカルボニル基は−COOZで表され、Zの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシイソブチル、1,2−ジヒドロキシエチル、1,3−ジヒドロキシイソプロピル、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル、1,2,3−トリヒドロキシプロピル、クロロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、2−クロロイソブチル、1,2−ジクロロエチル、1,3−ジクロロイソプロピル、2,3−ジクロロ−t−ブチル、1,2,3−トリクロロプロピル、ブロモメチル、1−ブロモエチル、2−ブロモエチル、2−ブロモイソブチル、1,2−ジブロモエチル、1,3−ジブロモイソプロピル、2,3−ジブロモ−t−ブチル、1,2,3−トリブロモプロピル、ヨードメチル、1−ヨードエチル、2−ヨードエチル、2−ヨードイソブチル、1,2−ジヨードエチル、1,3−ジヨードイソプロピル、2,3−ジヨード−t−ブチル、1,2,3−トリヨードプロピル、アミノメチル、1−アミノエチル、2−アミノエチル、2−アミノイソブチル、1,2−ジアミノエチル、1,3−ジアミノイソプロピル、2,3−ジアミノ−t−ブチル、1,2,3−トリアミノプロピル、シアノメチル、1−シアノエチル、2−シアノエチル、2−シアノイソブチル、1,2−ジシアノエチル、1,3−ジシアノイソプロピル、2,3−ジシアノ−t−ブチル、1,2,3−トリシアノプロピル、ニトロメチル、1−ニトロエチル、2−ニトロエチル、2−ニトロイソブチル、1,2−ジニトロエチル、1,3−ジニトロイソプロピル、2,3−ジニトロ−t−ブチル、1,2,3−トリニトロプロピルなどが含まれる。
【0262】
6〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のアリール基又は5〜50の環炭素原子を有する置換もしくは非置換のヘテロアリール基で置換されたアミノ基は−NPQで表され、P及びQの例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−ナフタセニル、2−ナフタセニル、9−ナフタセニル、1−ピレニル、2−ピレニル、4−ピレニル、2−ビフェニルイル、3−ビフェニルイル、4−ビフェニルイル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、p−t−ブチルフェニル、p−(2−フェニルプロピル)フェニル、3−メチル−2−ナフチル、4−メチル−1−ナフチル、4−メチル−1−アントリル、4’−メチルビフェニルイル、4’’−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル、2−ピロリル、3−ピロリル、ピラジニル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル、1−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル、4−ベンゾフラニル、5−ベンゾフラニル、6−ベンゾフラニル、7−ベンゾフラニル、1−イソベンゾフラニル、3−イソベンゾフラニル、4−イソベンゾフラニル、5−イソベンゾフラニル、6−イソベンゾフラニル、7−イソベンゾフラニル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、1−カルバゾリル、2−カルバゾリル、3−カルバゾリル、4−カルバゾリル、1−フェナントリジニル、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル、4−フェナントリジニル、6−フェナントリジニル、7−フェナントリジニル、8−フェナントリジニル、9−フェナントリジニル、10−フェナントリジニル、1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,7−フェナントロリン−5−イル、1,7−フェナントロリン−6−イル、1,7−フェナントロリン−8−イル、1,7−フェナントロリン−9−イル、1,7−フェナントロリン−10−イル、1,8−フェナントロリン−2−イル、1,8−フェナントロリン−3−イル、1,8−フェナントロリン−4−イル、1,8−フェナントロリン−5−イル、1,8−フェナントロリン−6−イル、1,8−フェナントロリン−7−イル、1,8−フェナントロリン−9−イル、1,8−フェナントロリン−10−イル、1,9−フェナントロリン−2−イル、1,9−フェナントロリン−3−イル、1,9−フェナントロリン−4−イル、1,9−フェナントロリン−5−イル、1,9−フェナントロリン−6−イル、1,9−フェナントロリン−7−イル、1,9−フェナントロリン−8−イル、1,9−フェナントロリン−10−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−1−イル、2,9−フェナントロリン−3−イル、2,9−フェナントロリン−4−イル、2,9−フェナントロリン−5−イル、2,9−フェナントロリン−6−イル、2,9−フェナントロリン−7−イル、2,9−フェナントロリン−8−イル、2,9−フェナントロリン−10−イル、2,8−フェナントロリン−1−イル、2,8−フェナントロリン−3−イル、2,8−フェナントロリン−4−イル、2,8−フェナントロリン−5−イル、2,8−フェナントロリン−6−イル、2,8−フェナントロリン−7−イル、2,8−フェナントロリン−9−イル、2,8−フェナントロリン−10−イル、2,7−フェナントロリン−1−イル、2,7−フェナントロリン−3−イル、2,7−フェナントロリン−4−イル、2,7−フェナントロリン−5−イル、2,7−フェナントロリン−6−イル、2,7−フェナントロリン−8−イル、2,7−フェナントロリン−9−イル、2,7−フェナントロリン−10−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル、1−フェノキサジニル、2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、3−フラザニル、2−チエニル、3−チエニル、2−メチルピロール−1−イル、2−メチルピロール−3−イル、2−メチルピロール−4−イル、2−メチルピロール−5−イル、3−メチルピロール−1−イル、3−メチルピロール−2−イル、3−メチルピロール−4−イル、3−メチルピロール−5−イル、2−t−ブチルピロール−4−イル、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル、2−メチル−1−インドリル、4−メチル−1−インドリル、2−メチル−3−インドリル、4−メチル−3−インドリル、2−t−ブチル−1−インドリル、4−t−ブチル−1−インドリル、2−t−ブチル−3−インドリル、4−t−ブチル−3−インドリルなどが含まれる。
【0263】
上述した式(I)で表される化合物の具体例を以下に示すがそれらに限定されない。
【0264】
【化47】

【0265】
下記式(II)で表される芳香族アミンも、正孔注入層又は正孔輸送層を形成するために好適に用いられる。
【0266】
【化48】

【0267】
上記の式(II)において、Ar〜Arの定義は、上述した式(I)のAr〜Arの定義と同じである。式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すがそれらに限定されない。
【0268】
【化49】

【0269】
本発明は上に記載した説明に限定されず、本発明の範囲から離れない範囲内での変更は本発明に含まれる。
【0270】
例えば、以下の変更は本発明の適した変更例である。
【0271】
本発明のある態様では、上述した発光層は電荷注入性の補助物質を含んでもよい。
【0272】
広いエネルギーギャップを有するホスト物質が発光層を形成するために用いられる場合、そのホスト物質のイオン化ポテンシャル(Ip)と正孔注入・輸送層のIpとの間の差は広くなって、発光層に正孔を注入することを困難にするおそれがあり、満足できる発光を得るための駆動電圧おそらく高くなる。
【0273】
上の場合、正孔注入及び輸送性の電荷注入補助物質を発光層へ添加することは、発光層への正孔の注入を容易にし、駆動電圧を低くすることを可能にする。
【0274】
例えば、従来の正孔注入性及び正孔輸送性物質を電荷注入補助物質として用いることができる。
【0275】
その具体例には、トリアゾール誘導体(米国特許第3,112,197号明細書などを参照されたい)、オキサジアゾール誘導体(米国特許第3,189,447号明細書などを参照されたい)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報などを参照されたい)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許第3,615,402号明細書、同3,820,989号明細書、同3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報などを参照されたい)、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、特開昭49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報などを参照されたい)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報などを参照されたい)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同3,180,703号明細書、同3,240,597号明細書、同3,658,520号明細書、同4,232,103号明細書、同4,175,961号明細書、同4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、特公昭39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、ドイツ国特許第1,110,518号明細書などを参照されたい)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号公報などを参照されたい)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書などに開示されている)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報などを参照されたい)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報などを参照されたい)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報などを参照されたい)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報などを参照されたい)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系コポリマー(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示された導電性高分子量オリゴマー(特に、チオフェンオリゴマー)などが含まれる。
【0276】
上述した化合物は、正孔注入物質と認められ、好ましくは、ポルフィリン化合物(特開昭63−295695号公報などに開示されている)及び芳香族三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報などを参照されたい)であり、そして芳香族三級アミン化合物が特に好ましい。
【0277】
用いることができるさらなる化合物は、分子内に2つの縮合芳香族環を有しており、これは米国特許第5,061,569号明細書に記載されており、例えば、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(以下、NPDと略す)、及び4,4’,4’’−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下、MTDATAと略す)であり、この場合3つのトリフェニルアミン単位はスターバースト型の形状で連結されており、これは特開平4−308688号公報に記載されている。
【0278】
特許第3614405号明細書及び同3571977号明細書あるいは米国特許第4,780,536号明細書に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体なども、正孔注入物質として好適に用いることができる。
【0279】
さらに、p型Si、p型SiCなどの無機化合物も、正孔注入物質として用いることができる。
【0280】
本発明のOLEDにおける各層の形成方法は特に限定されず、これまでに公知の真空蒸着法、スピンコーティング法などによって行われる形成法を使用できる。本発明のOLEDに用いられる上記の式(1)によって表される化合物を含む有機薄膜層は、真空蒸着法、分子ビーム蒸発法(molecular beam evaporation, MBE)、ならびに、溶媒中に化合物を溶かすことによって調製した溶液をそれぞれ用いての、浸漬、スピンコーティング、キャスト、バーコーティング、及びロールコーティングなどによる公知の方法によって形成することができる。
【0281】
本発明のOLEDにおける各有機層の膜厚は特に限定されない。一般に、膜厚が薄すぎるとピンホールなどの欠陥を伴うおそれがあり、膜厚が厚すぎると高電圧の印加が必要となって効率を低下させるおそれがある。したがって、好ましい膜厚は一般には1〜数nmから1μmの範囲である。
【0282】
本発明がいかに機能するかの理論によって制限を受けることはない。本発明のホスト−ドーパントの組み合わせは、ホスト物質の三重項エネルギーギャップとドーパントの三重項エネルギーギャップが適切であることによって電流効率が高められ、且つホスト物質が窒素含有環、窒素原子などで置換されていないことによって発光物質が正孔及び電子に対する高い耐性を有し、それによって寿命が従来公知の組み合わせよりも長くなることを特徴とする。したがって、薄膜が良好な高温安定性を有し、それによって本発明は70℃で駆動した場合でさえ安定であるOLEDをもたらす。
【0283】
[産業上の利用可能性]
本発明は、高効率及び長寿命を有する燐光OLED、及び高効率及び長寿命を有する燐光OLEDをもたらすOLED用物質として用いることができる。
【0284】
以下の例は説明のみのためであり、限定することを意図していない。当業者は、本明細書に記載した具体的なもの及び方法と等価な多くのものを認識し、あるいは日常的な試験を通して確かめることができる。そのような等価物は本請求項に係る発明の範囲内にあると考えられる。本明細書に挙げた全ての参考資料を、参照により明示的且つ完全に援用する。
【実施例】
【0285】
表1には、本発明の、例示化合物並びにホスト物質及び燐光発光体物質を用いたデバイスを用いたデータを示す。
【0286】
【表18】

【0287】
表1に示した全てのデバイスは、高真空(<10−7Torr)の熱蒸着によって作製した。アノード電極は約120nmのインジウム錫オキシド(ITO)からなる。カソードは1nmのLiFとそれに続く100nmのAlからなる。全てのデバイスは、作製後直ちに窒素グローブボックス(<1ppmのHO及びO)中、エポキシ樹脂で封止されたガラス蓋で密封し、吸湿剤をそのパッケージ内部に組み込んだ。駆動寿命試験は、室温で一定の直流電流で行った。
【0288】
本発明のデバイス1〜9及び参照デバイスについては、有機積層体は、ITO表面から順に、正孔注入層としてHIL−1;正孔輸送層としてNPD;発光層(EML)として、6、9、又は12質量%のドーパント発光体RD−002でドーピングした30nmの本発明のホスト化合物PHU−02又は比較ホスト化合物であるアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)4−フェニルフェノレート(BAlq)、からなるように作製した。発光層に隣接しているのはトリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq)からなる電子輸送層、又はAlqの層及びBAlq(アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナト)4−フェニルフェノレート(BAlq))からなる第一及び第二電子輸送層、あるいはAlqの層及びPHU−02の層からなる第一及び第二電子輸送層であった。各デバイスについての具体的な層の物質及び層の厚さを表1に示している。PHU−02、RD−002、HIL−1、及びその他のデバイス用物質の構造を下の表2に示している。
【0289】
表1に示されているように、本発明のホスト物質及び燐光発光体物質は、参照例よりも良好な効率及び寿命を実証した。特に、70℃におけるデバイスの寿命についての結果は、本発明のホスト物質及び燐光発光体物質を組み込んだデバイスが、参照例と比較して少なくとも40%向上していることを示している。例えば、第1行目の最終欄の参照例と比較して、デバイスNo.1〜9の最終欄を参照されたい。
【0290】
【表19】

【0291】
【表20】

【符号の説明】
【0292】
1・・・OLED
2・・・基板
3・・・アノード
4・・・カソード
5・・・燐光発光層
6・・・正孔注入・輸送層
7・・・電子注入・輸送層
10・・・有機薄膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソード、及び発光層を含み、前記発光層が前記アノードと前記カソードとの間に配置されており、且つ前記発光層がホスト物質と燐光発光体物質とを含んでいる有機発光デバイスであって、
(a)前記ホスト物質が、下記式:
Ra−Ar−Ar−Rb
[式中、Ar、Ar、Ra、及びRbはそれぞれ独立に、置換もしくは非置換のベンゼン環、あるいは、ナフタレン環、クリセン環、フルオランテン環、トリフェニレン環、フェナントレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、ベンゾクリセン環、ピセン環、及びベンゾフルオランテン環から選択される環の置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基を表し;
但し、Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合には、Ra及びArのそれぞれが、異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基であり、Arが置換もしくは非置換のベンゼン環である場合には、Rb及びArのそれぞれが、異なる置換もしくは非置換の縮合芳香族炭化水素基であり;且つ、Ra及びRbの置換基はアリール基ではないことを条件とする。]
で表される化学構造を有する置換もしくは非置換の炭化水素化合物を含み;且つ
(b)前記燐光発光体物質が、下記式:
【化1】

[式中、各Rは独立に、水素又は1〜3の炭素原子を有するアルキル置換基であり、且つ、この式の少なくとも1つの環は1つ以上の前記のアルキル置換基を有する。]
で表される部分化学構造の一つによって表される置換された化学構造を有する燐光有機金属錯体を含む、
有機発光デバイス。
【請求項2】
前記ホスト物質において、Ra、Rb、Ar、及びArのうち少なくとも1つが1つ以上の置換基を有し、且つRa及びRb置換基が独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、且つAr及びAr置換基のそれぞれは独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、又は6〜22の炭素原子を有するアリール基である、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
前記ホスト物質において、Ra及びArがナフタレン環であり;且つRbが、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環からなる群から選択される、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
前記ホスト物質において、Ra及びArのそれぞれがナフタレン環であり、Arがベンゼン環であり、且つRbがフェナントレン環であって、前記ホスト物質が下記式:
【化2】

で表される化学構造を有する、請求項3に記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
前記ホスト物質において、Ar及びArのそれぞれがナフタレン環であり、且つ前記ホスト物質が下記式:
【化3】

で表される化学構造を有する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
Ra、Rb、Ar、及びArのうち少なくとも1つが1つ以上の置換基を有し、且つRa及びRb置換基のそれぞれは独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、又はハロゲン原子であり、且つAr及びAr置換基のそれぞれは独立に、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するハロアルキル基、5〜18の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜20の炭素原子を有するシリル基、シアノ基、ハロゲン原子、又は6〜22の炭素原子を有するアリール基である、請求項5に記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
Ra及びRbがそれぞれ独立に、フェナントレン環、トリフェニレン環、ベンゾフェナントレン環、ジベンゾフェナントレン環、ベンゾトリフェニレン環、フルオランテン環、ベンゾクリセン環、及びピセン環から選択される、請求項5に記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
前記ホスト物質の三重項エネルギーが約2.0eV〜約2.8eVである、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記燐光発光体物質が燐光有機金属錯体を含み、その置換化学構造は少なくとも2つのメチル基で置換されている、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記燐光発光体物質が、下記の部分化学構造:
【化4】

によって表される置換された化学構造を含む燐光有機金属錯体を含む、請求項9に記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記燐光発光体物質が金属錯体を含み、且つ前記金属錯体が、Ir、Pt、Os、Au、Cu、Re、及びRuから選択される金属原子と配位子とを含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
前記金属錯体がオルソ-金属結合を有する、請求項11に記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
前記金属原子がIrである、請求項11に記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
前記燐光発光体物質が、下記式:
【化5】

で表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物を含む、請求項11に記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
前記ホスト物質が、下記式:
【化6】

で表される化学構造を有する非置換の芳香族炭化水素化合物を含み、且つ前記燐光発光体物質が、下記の式:
【化7】

で表される置換された化学構造を有する燐光有機金属化合物を含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
前記発光層中に含まれる少なくとも1つの前記燐光発光体物質が、発光波長において、520nm以上且つ720nm以下に最大値を有する、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
前記発光層が、前記カソードと前記発光層との間に電子輸送層又は電子注入層とを含み、且つ、前記電子輸送層又は前記電子注入層が、窒素を含む6員環もしくは5員環骨格を有する芳香族環を含むか、あるいは窒素を含む6員環もしくは5員環骨格を有する縮合芳香族環化合物を含む、請求項16に記載の有機発光デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2012−506632(P2012−506632A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533147(P2011−533147)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080881
【国際公開番号】WO2010/047707
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(503055897)ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション (61)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】