有機発光パネルおよびそれを用いた照明装置
【課題】 照明装置に用いる有機発光パネルにおいて有機発光素子の電極と照明装置の給電ラインとの接続に1枚の基板を挟持するクリップ状の電極を採用する構造の場合、基板の薄化に伴い基板の機械的強度が不足するおそれがある。
【解決手段】 第1基板1と、第1基板1上に設けられ、第1電極2と有機発光層3と第2電極4とを有する有機発光素子5と、第1基板1と対向配置されて有機発光素子5を封止する第2基板6と、第2基板6から露出する第1基板1の周辺部に配置され、第1電極2および第2電極4にそれぞれ接続する配線接続部7,8と、第1基板1および第2基板6の端部を被覆する導電性被覆材10と、を具備し、導電性被覆材10の内側に接続部11を設け、接続部11と配線接続部7,8とを電気的に接続する。
【解決手段】 第1基板1と、第1基板1上に設けられ、第1電極2と有機発光層3と第2電極4とを有する有機発光素子5と、第1基板1と対向配置されて有機発光素子5を封止する第2基板6と、第2基板6から露出する第1基板1の周辺部に配置され、第1電極2および第2電極4にそれぞれ接続する配線接続部7,8と、第1基板1および第2基板6の端部を被覆する導電性被覆材10と、を具備し、導電性被覆材10の内側に接続部11を設け、接続部11と配線接続部7,8とを電気的に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光パネルおよびそれを用いた照明装置に係り、特に取扱いが容易な有機発光パネル及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(有機エレクトロルミネッセンスデバイス(Organic Electro-Luminescence Device)は、適当な直流電流を流すと有機材料が発光する素子であり、これをパネル状に構成した有機発光パネルでは面光源を実現でき、照明分野に於いて環境に配慮した次世代光源として注目されている。
【0003】
有機発光パネルを照明装置として用いる場合、一般的には給電ラインと接続する自立型の、あるいは天井や壁面などに固定される照明装置筐体としての保持部に有機発光パネルを取り付ける構成が一般的である。
【0004】
図12は従来の有機発光パネル100を説明する図であり、図12(A)が有機発光パネル100全体の斜視図であり、図12(B)は外部接続端子部分の拡大断面図、図12(C)(D)は異方性導電フィルムのそれぞれ平面図、および断面図である。
【0005】
有機発光パネル100は、例えばガラス基板101上の破線で示す発光領域ERに陽極、有機EL(Electro-Luminescence)層および陰極(いずれも不図示)をこの順で積層し、封止基板103で封止したものである。尚図12では光の放出方向(矢印)を上方として記載しており、上記の積層順はガラス基板101から封止基板103に向かう方向を上方としたものである。陽極は発光領域ER周囲のたとえば3辺に沿って設けられた陽極配線104を介して外部接続端子(陽極端子)106に接続する。また陰極は発光領域ER周囲の他の1辺に沿って設けられた陰極配線105を介して外部接続端子(陰極端子)107に接続する。
【0006】
外部接続端子106、107は、それぞれ、有機発光パネルに異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)で接着されたFPC(FlexiblePrintedCircuit:フレキシブル基板)120であり、これらが照明装置の給電ラインと接続する。
【0007】
図12(B)を参照して、有機発光パネル100の端部では、ガラス基板101上にパターンニングされた陽極配線104(陰極配線105側も同様)の一部が封止基板103から露出しており、そこにテープ状のACF110を接着し、これにFPC120を当接し、熱圧着で固着している。
【0008】
図12(C)(D)を参照して、ACF110は接着フィルム(シート)111に、フィルム111の厚みと同等の粒径の金属めっきされたビーズ(金属ビーズ)112を散乱させたものであり、フィルム111の両主面で金属ビーズ112を介して接触することにより導通させるものである。
【0009】
このような有機発光パネルの照明装置筐体への取り付け方法としては、枠状の筐体に有機発光パネルを落とし込み、筐体を天井等の埋込孔に設置し板バネで固定する構造(たとえば特許文献1参照)が知られている。
【0010】
また、周辺部に凹部を有して有機発光パネルを収納する筐体を外部接続部材の凸部に嵌合する構造(例えば特許文献2参照)も知られており、この場合、有機発光パネルの電極と筐体の外部接続部はFPCなどの接続手段を介さずに直接接続されている。
【0011】
更に、有機発光パネルの外側端部に発光層に給電するための補助電極を設けた構造も知られている(例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5参照。)。
【0012】
図13は補助電極205を有する有機発光パネル200の一例を示す側面図である。有機発光パネル200は、発光層206が設けられる基板201と、発光層206を封止する封止基板203と、基板201に配置された電極204(陽極204a及び陰極204b)と、電極204に接続する配線(陽極配線及び陰極配線)204wと、配線204wと当接して外部から電力を供給する補助電極205とを備える。補助電極205は、基板201および配線204wとそれぞれ当接する矩形の金属板からなる。補助電極205は基板201と保護部材208を所定の押圧力で挟持し、外部電源からの配線と接続して電源供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4389839号公報
【特許文献2】特許第4432846号公報
【特許文献3】特開2010−257723公報
【特許文献4】特開2010−192819公報
【特許文献5】特開2008−269988公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図12(A)の如く、外部接続端子106、107としてFPC120を用いる場合、そのコスト、および、FPC120を基板101に取り付ける接続手段(ACF110など)のコストが掛かる。
【0015】
また、通常は図12(B)の如く、ACF110などでFPC120と陽極配線104および陰極配線105を圧着して取り付けるため、この取り付け部分の溶着の信頼性が問題となる。
【0016】
更に、陽極配線104(陰極配線105も同様)、ACF110およびFPC120の電気的な接合部CP(丸印)は外部に晒されており、長期間の使用において陽極配線104の腐食や接合部CPからの水分の侵入などが生じ、信頼性が劣化するおそれがある。
【0017】
加えて、図12(C)の如く、ACF110は例えば1mm2当たりのフィルム111に9個程度の金属ビーズ112を散乱させているため、導電体である金属ビーズ112の数によって電流容量が決まる。つまり例えば半田の溶融などによる固着と比較して、電流容量が小さい問題がある。
【0018】
これに対し、図13の構成では有機発光パネルの配線204wが直接、金属の補助電極205と接触しており、ACFやFPCを採用しない構造であるので、図12の構造と比較してこれらに起因するコストや信頼性の低下、あるいは電流容量が小さいという問題は改善できる。またネジ等の固定手段によらず、基板201を補助電極205自体で挟持することで部品点数や組立工数の削減を実現している。
【0019】
しかし図13に示す構造においては、基板201の薄化が進んだ場合、基板201の強度不足が懸念される。
【0020】
具体的には、基板201としてガラス等の透明絶縁材料が採用される。そして補助電極205は1つのモジュール(完成品)として有機発光パネル200(基板201)と一体的に取り扱われることから、基板201から離脱しないよう、弾性の高い保護部材208を介在させて基板201を挟持している。あるいは、補助電極5にクリップ状のバネ性を持たせて(弾性応力を持って)基板201を挟持している(特許文献3から特許文献5参照。)。
【0021】
現在では有機発光パネルの基板201となるガラス基板はその1枚の厚みが1mm以下、具体的には、0.5mmから0.3mmと薄化が進む方向にある。そうなると補助電極205を1枚のガラス基板に取り付ける(ガラス基板を弾性応力を持って挟持する)製造工程中や、製品としての取り扱い中に補助電極205付近に力が加わることによって、基板201の機械的破壊に対する強度が不足し、基板201の割れ、欠け等の不良が増加するおそれがある。
【0022】
また、有機発光パネルの配線204wと補助電極205とは導電性固着材で固着させるが、この場合もその接合部CP(丸印)は外部に晒されている。導電性固着材は一般に絶縁性樹脂(シール材)より水分等の浸入が生じやすいため、接続部CPでは外部からの封止が十分に成されないおそれがあり、この構造においても長期間の使用において配線204wの腐食や接続部CPからの水分の侵入などが生じ、信頼性が劣化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明はかかる課題に鑑みてなされ、第1に、第1基板と、該第1基板に設けられ、第1電極と有機発光層と第2電極とを有する有機発光素子と、前記第1基板と対向配置されて前記有機発光素子を封止する第2基板と、前記第2基板から露出する前記第1基板の周辺部に配置され、前記第1電極および前記第2電極にそれぞれ接続する配線部と、前記第1基板および前記第2基板の端部を被覆する導電性被覆材と、を具備し、該導電性被覆材は内側に接続部が設けられ、該接続部と前記配線部とが電気的に接続される有機発光パネルを提供することにより解決するものである。
【0024】
第2に、上記の有機発光パネルと、前記導電性被覆材と当接して前記有機発光パネルを保持する保持部と、該保持部が固定され該保持部に給電する配線が設けられた保持基板とを有する照明装置を提供することにより解決するものである。
【0025】
これにより、筐体・ケース等への取り付け・取り換えを簡便に、かつ、低コストに行うことができる有機発光パネル、及びそれを用いた照明装置を実現できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、有機発光素子を支持し封止する第1基板および第2基板の端部を、キャップ状の導電性被覆材で一体的に被覆し、導電性被覆材の内部で有機発光素子の配線部と接続する構成とすることにより、両基板の機械的破壊を回避しつつ、低コストで信頼性を向上できる外部接続端子を備えた有機発光パネルを実現できる。
【0027】
キャップ状の導電性被覆材は両基板の端部に殆ど変形しない状態で差込まれ、シール材で密封固定される。これにより製造工程中やエンドユーザーにおける製品の取扱い中における基板の割れや欠けを抑制できる。
【0028】
また、有機発光素子の配線部と外部接続端子との接合部は、導電性被覆材の内側に設けられ、導電性被覆材はシール材にて両基板と固着されるので接合部が外部に露出せず、接続部の金属の腐食や水分の侵入を防止でき、信頼性を高めることができる。
【0029】
このように、取扱いが容易で、低コスト、高性能で信頼性の高い有機発光パネルおよびそれを用いた照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)斜視図、(B)平面図、(C)断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)平面図、(B)斜視図、(C)斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の照明装置の構造を説明する斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施形態の照明装置の構造を説明する斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施形態の照明装置の構造を説明する(A)平面図、(B)斜視図、(C)側面図、(D)側面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態の照明装置の構造を説明する(A)斜視図、(B)斜視図、(C)側面図である。
【図12】従来技術を説明するための(A)斜視図、(B)断面図、(C)平面図、(D)断面図である。
【図13】従来技術を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図11を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施形態の有機発光パネル50の構造を示す図であり、図1(A)が全体の斜視図である。図1(B)は平面図、図1(C)が図1(B)のX−X線断面図である。
【0033】
図1(A)を参照して、有機発光パネル50は、第1基板1と第2基板6と、これらの間に設けられた有機発光素子(ここでは不図示)と、第1基板1と第2基板6の端部に設けられた導電性被覆材10とを有する。有機発光パネル50は、一例として第1基板1側(放出面ES)から外部に向かって光が放出される。ここでは有機発光パネル50は対向する2辺に、大きさ及び形状が同等の導電性被覆材10A、10Bを備えている。以下特に区別する必要がない場合は、両者を導電性被覆材10と総称する。
【0034】
図1(B)は主に第1基板1にパターンニングされる構成要素を説明するための図であり、第1基板1の光の放出面ES側から見た(透視した)平面図である。
【0035】
第1基板1は平面視において例えば矩形状のガラスまたはプラスチックなどの絶縁性の透明基板である。第1基板1のほぼ中央に発光領域ERが設けられる。発光領域ERは有機発光素子5が配置され、面発光する領域である。また第1基板1の放出面ESの裏面側の周辺部には、導電材料(例えばアルミニウム(Al)層などの金属層)を発光領域ERの外側を囲むようにパターンニングして第1配線17および第2配線18が設けられる。第1配線17は平面視において例えば、第1基板1の3辺に沿ってコの字(U字)状にパターンニングされ、第2配線18は第1基板1の他の1辺に沿って短冊状にパターンニングされる。破線の領域にシール材(絶縁性樹脂接着材)21が設けられ不図示の第2基板と第1基板1とが固着される。
【0036】
第1配線17の端部(ここでは矩形の第1基板1の1つの短辺に沿う端部)はシール材21の外側に露出して第1配線接続部7となる。同様に、第2配線18の端部(ここでは第1基板1の他の短辺に沿う端部)はシール材21の外側に露出して第2配線接続部8となる。
【0037】
図1(C)は有機発光パネル50の主要な構造を説明するための断面図であって、ここでも導電性被覆材10の図示は省略しているが、導電性被覆材10は破線の領域に取り付けられている。発光領域ERは、厚みが例えば0.7mm程度の第1基板1の第1主面S11上(図示の状態では下側)に、有機発光素子5が設けられた領域である。
【0038】
尚、本発明の各実施形態で説明する有機発光パネルは、その製造工程においては第1基板1の第1主面S11を上方に向け、その上に有機発光素子5を順次積層形成し、その後第2基板6を形成するものであって、完成品の状態では第1基板1の放出面ESから外部に光を放出するボトムエミッション構造となる。そして本明細書で参照する各図面(断面図、斜視図)においては、完成した有機発光パネルは図(紙面)の上方を光の放出面ESとして記載している。そのため以下の説明において、例えば、有機発光パネル50の内部構造を説明する場合などに有機発光パネルの形成順に従って、第1基板1側を下(方)、第2基板6側を上(方)と称する場合があるが、それは図示(紙面)の上下と逆になっている場合がある。
【0039】
有機発光素子5は、第1電極2と有機EL(エレクトロルミネッセンス:Electro-Luminescence)層3と第2電極4を有する。第1電極2は、有機発光素子5の陽極となる透明電極(例えばインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)膜)である。ITO膜は第1基板1の第1主面S11上(図示では下側)の発光領域ERの全面に配置されるようにパターンニングされる。第1電極2は一部が第1配線17と重畳してこれと電気的にコンタクトする。第1配線17は第1電極2と接続してこれを外部電源(不図示)に接続するための配線である。
【0040】
第1電極2上には有機EL層3が積層される。有機EL層3は、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層および電子輸送層などの有機薄膜層からなる。有機EL層3の上には、第2電極4が積層される。
【0041】
第2電極4は有機発光素子5の陰極となり、例えばAl層あるいは銀(Ag)層や合金層である。第2電極4は、周辺部の第2配線18と電気的に接続する。第2配線18は第2電極4と接続してこれを外部電源(不図示)に接続するための配線である。
【0042】
第2基板6は第1基板1に対向して設けられる。第1基板1と第2基板6とはシール材21にて固着され、これにより発光領域ER内の有機発光素子5が密封される。尚、図示は省略するが、第2基板6の第2主面S22(有機発光素子5側)には吸湿材(乾燥剤)が設けられてもよい。
【0043】
封止基板となる第2基板6は厚みが例えば0.7mm程度でその面積が第1基板1より小さい。従ってこれらを対向配置した場合、第1基板1の周辺部の一部は第2基板6から露出する。第2基板6から露出した第1基板1の第1主面S11上には第1配線17および第2配線18の一部、すなわち第1配線接続部7および第2配線接続部8が露出する。
【0044】
有機発光素子5は、第1電極2から注入されたホールと、第2電極4から注入された電子とが有機EL層3の内部で再結合し、有機EL層3を形成する有機分子を励起して励起子が生じる。この励起子が放射失活する過程で有機EL層3から光が放たれ、この光が矢印の如く透明な第1電極2から第1基板1を介して外部へ放出されて発光する。本実施形態では一例として、第1基板1の放出面ESからの放出光(矢印)は白色である。
【0045】
本実施形態では、第1基板1および第2基板6の、平面視において対向する2辺の端部をそれぞれ導電性被覆材10で一体的に被覆する(図1(A)参照。)。
【0046】
図2および図3を参照して導電性被覆材10について説明する。図2は導電性被覆材10の組立例を示す図であり、図2(A)が組み立て前の平面展開図、図2(B)が組立途中の斜視図、図2(C)が組立後の斜視図であり、図1(A)の矢印方向の視点からの図である。図3は導電性被覆材10を設けた有機発光パネル50の端部の拡大断面図である。
【0047】
図2(A)を参照して、導電性被覆材10は、厚み0.3mm程度の1枚の金属材料を第1基板1および第2基板6の端部の形状に沿う形状に組立てたものである。金属材料は、電気的特性、耐腐食性および価格の観点から、ステンレスやアルミニウム(Al)などの素材が好適である。
【0048】
一例として導電性被覆材10は、長辺と短辺を有する矩形状のa面と、a面の1つの長辺から互いの長辺を順次隣接させて設けられたb面、c面、d面およびe面と、a面の1つの短辺から互いの長辺または短辺をそれぞれ順次隣接させて設けられたf面、h面およびa面の他の短辺から互いの長辺又は短辺を順次隣接して設けられたg面、i面の9面からなる1枚の金属板である。
【0049】
図2(B)を参照して、導電性被覆材10は、e面を内側に巻き込むようにa面からe面を立体的に順次折り曲げ、f面およびg面を側面として、i面とh面をそれぞれc面に接するように折り曲げて箱状としたものである。尚、a面〜i面は表裏面の総称である。c面とh面およびi面の一部は重畳し、b面とd面、f面とg面、c面(h面、i面)とe面、e面とa面はそれぞれ対向面となる。
【0050】
d面はb面に対向する面であるが、b面よりその高さは低く、c面とd面の間の折り曲げ位置は図2(A)において一直線状に配置されるh面、f面、a面、g面、i面の端部より内側(b面側)に位置する。a面、e面、c面、i面、h面は略水平に配置される。尚、e面の端部とb面は接触していてもよい。
【0051】
図2(C)を参照して、組立後の導電性被覆材10の形状は外観においてはa面、b面、h面、i面、g面、f面で構成される。すなわち図示のa面、b面およびg面とこれらの対向面で構成される直方体形状から1つの面(b面の対向面)を除いた5面体形状を有しており、以下この形状および、この形状から更にf面またはg面を除いた形状をキャップ形状と称する。
【0052】
図3は、例えば図1(A)の導電性被覆材10A側の断面図であり、図1(B)ではY―Y線の断面に相当する。
【0053】
図3を参照して、導電性被覆材10のa面は、第1基板1の第2主面S12(第1主面S11の対向面)と当接してこれを覆う第1被覆部91となる。またh面およびi面は第2基板6の第1主面S21(第2主面S22の対向面)と当接してこれを覆う第2被覆部92となる。
【0054】
またb面は第1被覆部91(a面)と第2被覆部92(h面、i面)とを連結し第1基板1および第2基板6の側面(厚み方向の端面)を連続して覆う第3被覆部93となる。
【0055】
そしてc面、d面およびe面は導電性被覆材10の内側に周回するように折り曲げられ、e面は、第2基板6から露出して第1基板1の第1主面S11に設けられた第1配線17の一部(第1配線接続部7)と例えば導電性固着材20にて固着される。すなわちe面は、第1配線接続部7と電気的に接続する接続部11となる。尚、ここでは第1配線接続部7と実質的に接触するのはe面のみであるが、本実施形態では第1被覆部91から第3被覆93部とは別体でe面を支持するc面およびd面も含めて接続部11とする。また、導電性固着材20はここでは電気的な接続が可能な接着(固着)材料を意味し、導電性固着材20による固着とは、無鉛はんだや導電性ペースト、あるいは導電性接着材などを供給し、これらを介して電気的接続を可能に固着することをいう。
【0056】
尚、ここでは一例として図2の如く、1枚のT字型の金属板を組み立ててキャップ形状の導電性被覆材10を構成する場合を示したが、最終形状において図3と同様にキャップ形状の被覆部(a面、b面、f面、g面、h面およびi面で構成される5面体)の内側に、被覆部に電気的に接続する接続部11(c面、d面およびe面)が備えられた構成であれば組立方法はこれに限らない。例えば、複数枚の金属板から組み立てるものであってもよいし、金型等により一体的に成形されたものであってもよい。またh面またはi面はa面と同面積の1つの面であってもよいし、互いにa面と同面積でh面とi面を2重に重ねる構造であってもよい。
【0057】
このように、導電性被覆材10は第1基板1および第2基板6の端部を一体的に被覆するキャップ形状の被覆部を有し、その内側に有機発光パネル50の第1配線接続部7と接続する接続部11が設けられる。すなわち導電性被覆材10は、有機発光パネル50の金属キャップ型の外部接続端子として機能する。従って、以下の説明において導電性被覆材10を外部接続端子と称する場合がある。
【0058】
図1の如く、有機発光パネル50は、有機発光素子5の陽極(第1電極2)に接続する第1配線17と陰極(第2電極4)に接続する第2配線18とを備える。つまり、図3で示す導電性被覆材10は、有機発光パネル50の一辺に設けられた陽極用の第1外部接続端子10Aであり、これと対向する有機発光パネル50の他の辺にも同様の形状の陰極用の第2外部接続端子10B(導電性被覆材10)が設けられる(図1(A)参照。)。第2外部接続端子10Bは外形がキャップ形状の被覆部と、その内部に設けられた接続部11を有し、当該接続部11が、第1基板1の第1主面S11の第2基板6から露出する領域に設けられた第2配線18の一部(第2配線接続部8)と接続する。
【0059】
本実施形態の導電性被覆材10は、第1基板1および第2基板6の側面方向から差し込んで、これらを一体的に被覆する。つまり、第1被覆部91と第2被覆部92間の厚みD(a面とi面の内壁間の距離)は、第1基板1の厚みD1および第2基板6の厚みD2の合計と同等以上である。より詳細には、導電性被覆材10は、有機発光素子5を内在させて封止した後の両基板(第1基板1および第2基板6)の厚み(第1基板1の第2主面S12から第2基板6の第1主面S21までの厚み)に両基板の端部へのスムーズな差込を可能とする(例えば外形として外部接続端子10を変形させずに差し込みを可能とする)最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。
【0060】
そして接続部11は、導電性被覆材10を差し込んだ状態で、e面が第1配線接続部7(第2配線接続部8)と電気的接続(接触)が可能なように適切な寸法で折り曲げ加工される。
【0061】
また、第1被覆部91の端部は、シール材(絶縁性樹脂接着材)22によって第1基板1の第2主面S12に固着され、第2被覆部92の端部は、シール材22によって第2基板6の第1主面S21に固着される。
【0062】
導電性被覆材10は、第1基板1と第2基板6を一体的に被覆する。つまり、2枚の基板に差し込む構造であるので、1枚の基板の厚みが同じ場合に、1枚の基板のみを挟持する構造(例えば図13)と比較して、基板側の機械的破壊に対する強度を高めることができる。
【0063】
例えば、機械的特性を示す曲げ応力の大きさは応力が作用する方向の厚みの2乗に反比例し、たわみは厚みの3乗に反比例する。つまり厚みが大きいほど曲げ応力もたわみも小さくなり、単純に2枚の基板で厚みが2倍になれば曲げ応力には4倍強くなり、たわみには8倍強くなる。
【0064】
また、導電性被覆材10が基板の支持部材ともなるので、この被覆幅Wを広く(発光領域ERに達しない程度に広く)設けることで、第1基板1および第2基板6の機械的破壊に対する強度が確保でき、好適である。
【0065】
更に、本実施形態の導電性被覆材10は両基板の端部へのスムーズな差込が可能な(例えば外形として導電性被覆材10を変形させることなく差し込み可能な)厚みD(形状)を有している。つまり、両基板に対して負荷を与えずに差し込むことができる。そして導電性被覆材10は、シール材22にて第1基板1および第2基板6に固定される。従って、従来技術の如くクリップ状のバネ性を持たせて(弾性応力を持って)、基板に所定の押圧力を加えるように挟持する必要がない。従って、導電性被覆材(外部接続端子)10を装着することによる両基板へのストレスも緩和できる。
【0066】
更に平坦面である第1基板1の第2主面S12および第2基板6の第1主面S21に同じくほぼ平坦面の第1被覆部91および第2被覆部92を差し込む構造であるので、差し込みも容易となる。
【0067】
これらのことから、有機発光パネル50の製造工程中やエンドユーザーが有機発光パネルを取り扱う際における、基板(第1基板1および第2基板6)の破損を大幅に抑制することができ、利便性が向上する。
【0068】
更に、導電性被覆材10と基板はシール材22にて固着する。このシール材22は第1基板1と第2基板6を固着するシール材21と同様の材料である。これにより導電性被覆材10の内部は密封状態とすることができる。従って、第1配線接続部7(第2配線接続部8)と接続部11(e面)の実質的な固着部となる接合部CP(第1配線接続部7と接続するe面の両主面及びその周囲)を導電性被覆材10内に密封できる。これにより接合部CPが外部に晒されることが無くなるので、長期間の使用においてもこれらの金属の腐食や水分の浸入を防止でき、信頼性の劣化を防止できる。
【0069】
ここで、本実施形態の有機発光パネルの製造方法の一例について、主に接続部11と第1配線接続部7との接続方法を中心に説明する。尚第2配線接続部8側も同様である。
【0070】
まず、第1基板1の第1主面S11に第1配線接続部7を含む第1配線17および第2配線接続部8を含む第2配線18をパターンニングし、既知の方法により有機発光素子5を積層形成し、第2基板6で封止する(図1(B)、(C)参照。)。
【0071】
その後、導電性被覆材10を第1基板1および第2基板6の対向する両端に差込み、接続部11と、第1配線接続部7および第2配線接続部8とをそれぞれ接続する。
【0072】
この接続の第1の方法は、図2(A)の金属板の状態で、接続部11となるe面に、導電性固着材20として予め無鉛はんだのめっき層を形成した後キャップ形状に組み立てた導電性被覆材10を準備する。
【0073】
そして図3の如く、有機発光パネル50の第1配線接続部7側の端部に第1基板1と第2基板6を一体で被覆するように導電性被覆材10(10A)を差し込む。このとき導電性被覆材10はその外形を殆ど変形させずに差し込むことができ、第1配線接続部7と接続部11(e面)とが当接する。そして、第1配線接続部7と接続部11(e面)と当接した状態で導電性被覆材10を外側から加熱し、無鉛はんだのめっき層を溶融させて固着する。
【0074】
第2の方法は、e面の第1配線接続部7側に導電性固着材20として導電性ペースト(例えば銀(Ag)ペーストや無鉛はんだペースト)を塗布する。そして、キャップ形状に組立後、有機発光パネル50の第1配線接続部7側の第1基板1と第2基板6を一体で被覆するように導電性被覆材10(10A)を差し込む。そして、第1配線接続部7と接続部11(e面)が重畳した状態で加熱し、導電性ペーストを溶融させて固着する。
【0075】
第3の方法は、導電性固着材20として導電性接着材(例えば樹脂接着材料に導電材料を混入させたもの)を用いる場合であり、上記の第2の方法と略同様であるが、この場合溶融させるための加熱処理は不要である。
【0076】
この様な方法で第1配線接続部7と接続部11の接続を行い、電気的接続を確認した後、シール材22を用いて導電性被覆材10と第1基板1および第2基板6を固着し、接続部11(e面)と第1配線接続部7との接合部CPを導電性被覆材10の内部に密封する。する。
【0077】
導電性被覆材10の差込工程からシール材22による密封工程までは、窒素などの不活性ガス雰囲気中で行うと好適である。これにより導電性被覆材10を装着する際の(特に接続部11およびその近傍への)水分や、金属の腐食にかかわる物質の付着を防止できる。
【0078】
また、低価格な金属板を使用した場合に、接続部11(c面からe面)を防錆あるいは低接触抵抗化するためのめっき処理することも好適である。例えば、銅(Cu)板を用いた場合は、防錆のため金(Au)めっき処理を施すとよい。この場合、第2または第3の方法で、接続部11を固着する。
【0079】
次に図4を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は接続部12の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0080】
第2の実施形態の接続部12は、第1配線接続部7を弾性変形が可能なように(折り)曲げ加工される。すなわちバネ状の接続部12によって、第1配線接続部7(第2配線接続部8も同様)を第1基板1の厚みD1方向に押圧することで、両者を電気的に接続する。尚接続部12は第1配線接続部7と電気的接続ができればよく、第1基板1を押圧するためのものではない。つまりその押圧力は、接合部CPにおいてe面と第1配線接続部7との常時の接触(当接)が維持できる程度の(小さい)力で十分である。
【0081】
導電性被覆材10は、第1の実施形態と同様にシール材22にて第1基板1および第2基板6と固着され、接続部12が導電性被覆材10内に密封される。
【0082】
尚、接続部12の断面形状は、図4の如く明らかに複数の平面が認識される形状でなくてもよく、例えば円弧状でもよい。その場合は例えばc面全体を湾曲面として第1配線接続部7と電気的に接続する。つまり、導電性被覆材10の接続部とは、第1配線接続部7(第2配線接続部8)との接合部CPが、導電性被覆材10の内側に密閉されるように、導電性被覆材10(被覆部)の内側に設けられた導電体であればよい。
【0083】
これにより、導電性被覆材10を第1基板1および第2基板6の端部に差し込むだけで、導電性固着材を用いることなく、接続部12と第1配線接続部7を接続でき、導電性固着材の供給(めっき処理)工程や、溶融固着工程が不要となる。これ以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0084】
尚、第2の実施形態において、接続部12と第1配線接続部7の接続に導電性固着材を更に用いてもよい。
【0085】
以上、第1の実施形態の接続部11および第2の実施形態の接続部12は、導電性被覆材10の一部を周回させるように曲げ加工を施した場合を例に示したが、第1配線接続部7と電気的接続が可能な形状であれば、例えばジャバラ状の折りたたみ形状にするなど、曲げ加工の形状は、図示したものに限らない。また、第2被覆部92とは別体の例えばT字状などの導電材料で接続部を形成し、第2被覆部92に固着したものであってもよい。また接続部11にc面が含まれなくてもよく、例えば第2被覆部92(i面、h面)からd面およびe面が突出するような構成であってもよい。
【0086】
すなわち、導電性被覆材10の形状は、第1基板1と第2基板を一体で被覆するキャップ形状の被覆部(a面、b面、f面、g面、h面およびi面で構成される5面体)の内側に、被覆部に電気的に接続する接続部11が設けられる構成であればよく、平面展開形状および組立方法は図2、図3および図4に示すものに限らない。またb面は湾曲面であってもよい。
【0087】
次に、図5および図6を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態の有機発光パネル51を示す図であり、図5(A)が有機発光パネル51の平面図、図5(B)から図5(D)が図5(A)のそれぞれZ1−Z1線、Z2−Z2線、Z3−Z3線の断面図であり、いずれも導電性被覆材10の図示は省略している。
【0088】
図5を参照して、有機発光パネル51は、第1基板1の一つの端部(一辺)側に陽極用の第1配線接続部7および陰極用の第2配線接続部8が設けられる。より詳細には例えば第1配線17は平面視において櫛歯状に設けられる。第1配線17の複数の櫛歯は矩形状の第1基板1の短辺に沿って延在し、それらの一端が第1基板1の長辺に沿って延在する連結部にて連結される。そして一つの短辺側においてシール材21の外側に第1配線17の一部を露出させて第1配線接続部7を設けている。
【0089】
これに対し、第2配線18は、第1配線17が配置される長辺と対向する長辺に沿って直線状に配置され、第1基板1の一つの短辺側においてシール材21の外側に第2配線18の一部を露出させて第2配線接続部8を設けている。これにより第2基板6から露出する第1基板1の一つの短辺側に、第1配線接続部7と第2配線接続部8が並んで配置される。第1基板1上(図示では下側)に第1電極2、有機EL層3および第2電極4を積層した有機発光素子5が設けられ第2基板6で封止される構造(図5(C)参照)は、第1の実施形態の有機発光パネル50と同様である。
【0090】
図6は、第3の実施形態の導電性被覆材15を説明するための斜視図であり、図6(A)(B)が導電性被覆材15の斜視図であり、図6(C)が導電性被覆材15を取り付けた有機発光パネル51の斜視図である。尚、図6(A)(B)においてそれぞれ左図と右図は同じ構成について視点を変えて図示したものであり、それぞれ左図はa面の上方から見た斜視図であり、右図はh面またはi面の下方から見た斜視図である。また図6(B)は図6(A)の絶縁補強板15Cを破線で示した図である。
【0091】
図6(A)(B)を参照して、導電性被覆材15は、第1配線接続部7と第2配線接続部8の大きさに合わせて2つ(第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15B)設けられる。第1導電性被覆材15Aは例えば図2(A)に示す金属板からf面とh面を省き、i面をa面と同等の面積に形成したパターンの金属板を組み立てて得られ、外形は、直方体を構成する6面からb面の対向面およびg面の対向面を省いた形状、すなわちa面、b面、i面、g面からなるキャップ形状を有する。
【0092】
本実施形態では図2(A)に示したa面からe面の長辺側の長さは、第1の実施形態より短い。すなわち第1の実施形態ではこれらの長さは、第1基板1の一辺(短辺)と同等の長さであったが、本実施形態では、第1基板1の短辺の長さの例えば2分の1より小さい長さである。これ以外の各面の構成は第1の実施形態と同様である。
【0093】
また第2導電性被覆材15Bは例えば図2(A)に示す金属板からg面とi面を省き、h面をa面と同等の面積に形成したパターンの金属板を組み立てて得られ、外形は、直方体を構成する6面からb面の対向面およびf面の対向面を省いた形状、すなわちa面、b面、h面、f面からなるキャップ形状を有する。これ以外は第1導電性被覆材15Aと同様である。
【0094】
第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15Bは1つの絶縁性補強板15Cの両端に取り付けられる。絶縁性補強板15Cは例えばベーク基板・ガラスエポキシ基板もしくはプラスチック素材などである。絶縁性補強板15Cは長さL1が有機発光パネル51の第1配線接続部7が設けられる辺の長さL2と同等であり、厚みD3が第2基板6の厚みD2と略同等である。そして例えば、その周囲に図3におけるc面、d面、e面からなる接続部11が密着するような直方体(柱)形状である。
【0095】
そして図6(C)のごとく、導電性被覆材15を第1基板1および第2基板6の一辺の端部に取り付ける。
【0096】
端部の拡大断面図は図3(A)と同様であるが、第3の実施形態では分離された第1導電性被覆材15Aおよび第2導電性被覆材15Bは絶縁性補強板15Cで保持される。また図3(A)を参照して、第2基板6は第1基板1より面積が小さく、断面構造において第2基板6の厚みD2と同等のギャップが生じている。本実施形態では、絶縁性補強板15Cにより第1基板1と第2基板6間のギャップを充填しつつその周囲を覆う接続部11(c面、d面およびe面)を第1配線接続部7および第2配線接続部8にそれぞれ接合できる。すなわち絶縁性補強板15Cの形状は、このギャップを充填し、第1配線接続部7および第2配線接続部8に接合するのに適切な形状(サイズ)が適宜選択される。これにより、第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15Bを容易かつ正確に装着することができる。
【0097】
尚、第1の実施形態においてc面、d面およびe面で構成される接続部11を絶縁性補強板に巻きつけるような構成としてもよい。
【0098】
絶縁補強板15Cを使用しない場合は、第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材215B間は絶縁性・防水性を併せ持つシール材で充填することが好適である。
【0099】
複数の導電性被覆材15を離間して配置し、これらを絶縁性補強板で支持するかあるいはシール材でこれらの間を充填することにより、第1配線接続部7および第2配線接続部8を一つの辺に集約させる構造に限らず、基板の周囲に離散している場合も同様に実施できる。これ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0100】
次に図7を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。図7(A)(B)はいずれも、封止基板となる第2基板6が透明な絶縁性フィルムまたは固体層の場合である。
【0101】
図7(A)を参照して、絶縁性フィルムの場合は例えばポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)またはアクリル樹脂に高度に防水・防ガスコーティングなどを施した物であり、厚みD2は第1基板1より薄く、例えば0.1mm程度である。固体層の場合は、例えば酸化ケイ素(SiOx)や窒化ケイ素(SiNx)などの層で厚みD2は例えば2μm〜10μm程度である。
【0102】
また導電性被覆材10は、図2に示す金属板からe面およびd面を省いた構成で、この場合c面が第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)との接続部13となる。そして接続部13は、導電性固着材20を介して、第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)と電気的に接続する。
【0103】
これ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。このように接続部13がi面より上方に突出した構造でなくても(第2被覆部92と重なる平板状であっても)、i面と接続部であるc面を重畳させることで、接合部CP(第1配線接続部7と接続するc面の両主面)は導電性被覆材10の内側に密封される。
【0104】
また第2基板6に絶縁性フィルムを用いた場合はその厚みD2は一般にはガラスの厚みに比べて薄く、可撓性を有するため、導電性被覆材10が例えばクリップ状に教示する構造では取り扱いが困難である。しかし本実施形態では、導電性被覆材10は第1基板1の厚みD1と第2基板6の厚みD2の合計厚み以上で、第1基板1および第2基板の端部へのスムーズな差込を可能とする最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。このため、導電性被覆材10の取り付け時の取り扱いが容易となる。
【0105】
図7(B)は図7(A)の構造にさらに第3基板9を設けるものである。例えば図7(A)の構造で第2基板6に厚みD2が薄い絶縁性フィルム、または、厚みD2が非常に薄い固体層を採用し、第2基板6の強度不足が懸念される場合は、これに当接する第3基板9を設けて補強してもよい。第3基板9は例えば、PET、アクリル樹脂あるいはポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料や、絶縁塗装された金属板(アルミニウムまたはステンレス)などで、厚みD3は0.3mm程度であり、第2主面S32が第2基板6の第1主面S21と当接する。
【0106】
この場合、導電性被覆材10の第2被覆部92は、第3基板9の第1主面S31と当接し、これらはシール材22にて固着される。これにより第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)と接続部13(c面)との接合部CPは、導電性被覆材10の内側に密封される。
【0107】
図7(C)の導電性被覆材10は、第1基板1、第2基板6および第3基板9の側面方向から差し込んで、これらを一体的に被覆する。つまり、導電性被覆材10は、有機発光素子5を封止した後の3つの基板(第1基板1、第2基板6および第3基板9)の厚み(第1基板1の第2主面S12から第3基板9の第1主面S31までの厚み)に両基板の端部へのスムーズな差込を可能とする最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。これにより、第1の実施形態と同様に、導電性被覆材10の取り付け時に基板の割れや欠け等の発生を防止し、エンドユーザーにおける取扱の容易性も向上する。
【0108】
これ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0109】
尚、第1基板1も上記の絶縁性フィルム又は固体層で構成してもよい。
【0110】
図8から図11を参照して、上記の有機発光パネル50、51を用いた照明装置70、71、72について説明する。
【0111】
図8は、第5の実施形態となる照明装置70およびこれに第1または第2の実施形態の有機発光パネル50を取り付ける方法を説明する斜視図である。
【0112】
照明装置70は第1の実施形態の有機発光パネル50と、保持部(ソケット)61(61A、61B)と保持基板62とを有する。保持基板62と保持部61は例えばアクリル樹脂素材やプラスチック素材などにより構成され、保持基板62の一主面に2つの保持部61が対向するように配置、固定される。保持部61は保持基板62と別体に準備され固定されてもよいし、一体的に成形されてもよい。保持部61を保持基板62と別体とした場合は、保持部61を金属材料で構成してもよい。
【0113】
保持部61A、61Bはそれぞれ有機発光パネル50の第1外部接続端子10Aおよび第2外部接続端子10Bに当接するようにこれらに対応する位置に、すなわち有機発光パネル50の対向する2辺に沿って設けられ、有機発光パネル50を保持する。
【0114】
保持基板62は、保持部61に給電する配線(不図示)や所望の制御回路(不図示)が内蔵される。
【0115】
保持部61はそれぞれ、有機発光パネル50の第1基板1および第2基板6を厚みD方向に挟み、有機発光パネル50の発光面ESを水平方向に移動(スライド)させて着脱可能とする開口部OPが設けられる。すなわち、2つの保持部61はそれぞれ、これを6面からなる直方体形状とした場合の長手方向の1つの側面とそれに隣接する短手方向の2つの側面(スライド方向の両端(手前、奥)の側面)の3面が開放され、図8の矢印方向から見た側面の形状としてコの字(Uの字)状に開口部OPが設けられる。また保持部61の内壁には押圧部材63が設けられる。押圧部材63は例えば板バネなどである。また、押圧部材63は、ある程度押圧力があり弾性変形可能な樹脂(例えばゴムなど)であってもよい。開口部OPの開口高さh2は有機発光パネル50の厚みDより大きく、これにより、有機発光パネル50を発光面ESに対して水平方向に移動させてスムーズに着脱することができる。
【0116】
一方で有機発光パネル50を取り付けた後(図8(B)参照)は、マージンが大きくなるため、押圧部材63によって押圧し、誤った脱落を防止する。押圧部材63は保持部61の上面61uの内壁に設けられても良い。
【0117】
本実施形態では有機発光パネル50の2枚の基板(第1基板1および第2基板6)を一括して被覆するキャップ状の外部接続端子10とすることにより、基板の機械的強度を高めており、照明装置に着脱する際、基板の破損を防止できる。
【0118】
また、外部接続端子10の外表面は平坦面であり、有機発光パネル50を水平に移動させての装着が容易に、スムーズに行える。
【0119】
押圧部材63によって、図示の場合では上方向に有機発光パネル50は押圧され、保持部61の上面61uと当接する。上面61uには給電ラインの接続端が設けられ、これを介して不図示の給電装置(電源装置)に接続される。2つのうち、第1外部接続端子10Aと当接する保持部61Aは陽極用の給電ラインと接続し第2外部接続端子10Bと当接する保持部61Bは陰極用の給電ラインと接続する。尚、押圧部材63に給電ラインの接続端を設けてもよい。
【0120】
保持基板62は、室内の天井、壁面等に取り付けられる。また保持基板62の一端に脚部を設け自立型としてもよい。
【0121】
図9を参照して、第6の実施形態として、第2の実施形態の有機発光パネル51を備える照明装置71を説明する。この場合、外部接続端子15(15A、15B)が設けられる有機発光パネル51の一方の端部を保持する保持部61Aに陽極用および陰極用の給電ラインの接続端が配置される。第1外部接続端子15Aおよび第2外部接続端子15B間の絶縁のため、保持部61Aには分離した2つの押圧部材63A、63Bが設けられる。これらにそれぞれ陽極用および陰極用の給電ラインの接続端が配置されてもよい。尚、押圧部材を絶縁材料で構成する場合は、連続した1つの押圧部材としてもよい。
【0122】
他方の保持部61Bはその外形は保持部61Aと同様であるが、給電ラインの接続端は不要であり、有機発光パネル51の他の端部を保持する。これ以外の構成は図8に示す照明装置と同様であるので説明は省略する。
【0123】
図10を参照して、第7の実施形態の照明装置72を説明する。図10(A)は第7の実施形態の照明装置72に用いる有機発光パネル50の平面図であり、図10(B)は保持部61(61A、61B)の斜視図、図10(C)は保持部61Aを視点V1、V2、およびV3方向から見た側面図であり、図10(D)は保持部61Bを視点V1、V2、およびV3方向から見た側面図である。視点V2は保持部61A、61Bそれぞれの開口部OP側からの視点である。
【0124】
この照明装置72は有機発光パネル50の逆差し防止手段と、飛び出し防止手段を備えるものである。
【0125】
有機発光パネル50は平面視において左右ほぼ対称の構造であり、保持部61に装着する(差し込む)方向を誤ると、陽極である第1外部接続端子10Aと陰極である第2外部接続端子10Bが保持部61の陽極用および陰極用給電ラインの接続端と逆に接続されるおそれがある。
【0126】
これを防止するために、図10(A)の如く、有機発光パネル50の一方の外部接続端子10(例えば第1外部接続端子10A)に着脱の際の挿入方向の誤認を防止するための逆差し防止突起部81を設ける。
【0127】
図10(B)を参照して、2つの保持部61はそれぞれ、6面体で構成される直方体形状の長手方向の1つの側面とそれに隣接する短手方向の1つの側面(スライド方向の一端(手前の側面)の2面が開放されるように開口部OPが設けられた形状を有する。つまりスライド方向の他端(奥)の側面61AS、61BSは開放されていない。
【0128】
図10(C)(D)を参照して、第1外部接続端子10Aを保持する保持部61Aの側面61ASにのみ、逆差し防止突起部81が嵌合する逆差し防止溝82が設けられる。第2外部接続端子10Bを保持する保持部61Bの側面61BSは平坦面とする。
【0129】
また、2つの保持部61A、61Bの短手方向の開口部OP端部の保持基板62に、段差部83を設ける。段差部83は保持基板62の表面を保持基板62の厚み方向に突出させたものである。段差部83の下段側の平坦面(保持部61の下面61d)の距離L3は、有機発光パネル50の(ここでは)短辺方向の長さL2より若干長く、短辺方向の逆差し防止突起部81を含めた最長部の長さL4より短い。
【0130】
図11を参照して、有機発光パネル50は矢印方向にスライドさせて第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bをそれぞれ保持部61A、62Bで保持する。このとき、第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bのスライド方向の先端(奥の端部)はそれぞれ保持部61A、61Bの側面61AS,61BSと当接し、それより先(奥)への移動が阻まれる。その状態で、有機発光パネル50を保持部61の下面61dに当接させるように配置する(押圧手段63により下面61d方向に押圧される)ことで、第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bのスライド方向の後端(手前の端部)はそれぞれ段差部83の内側(下側)に収納される。このようにして保持された有機発光パネル50は、外部接続端子10のスライド方向の後端が段差部83により移動が規制され、誤った離脱(飛び出し)を防止できる。保持部61A,61Bの下面61uの長さL3は、有機発光パネル50の長さL2より長いものの、最長部の長さL4よりは短く、そのマージンは、有機発光パネル50が保持された状態で水平にスライドして着脱することができない程度に小さいものとする。
【0131】
また、有機発光パネル50を図10(A)の平面視から左右を反転させて(逆差しで)保持部61に挿入した場合には逆差し防止突起部81が平坦な側面61BSと当接するとともに、第1外部接続端子10Aのスライド方向の後端が(保持部61B側の)段差部83の内側(下段側)に収納できなくなる。これにより逆差しを認識でき、逆差しの状態で通電されることを防止できる。尚、これにより、図10(A)の平面図において上下を反転させて挿入する場合も保持部61への収納、保持が不可となり、これを防止できる。
【0132】
さらに、逆差し防止溝82にスイッチ(不図示)を設け、逆差し防止突起部81が逆差し防止溝82に適切に挿入された時のみ、電源をオンにする機構を取り付けることで、有機発光パネル50を無理に挿入した不安定な状態での、逆電圧印加による有機発光パネル50の破壊や誤取り付け時の感電事故を防ぐことが出来る。
【0133】
有機発光パネル50を取り外す場合は、有機発光パネル50の一端を保持部61の上面61u方向に押し上げ、矢印と逆方向にスライドさせる。
【0134】
また、段差部83によって、装着後の有機発光パネル50の飛び出しを防止することもできる。
【0135】
これにより、電球交換と同様に、知識の無いエンドユーザーにとっても簡単に交換が可能となる照明装置を提供できる。
【0136】
このように本実施形態の照明装置72は、有機発光パネル50の一方の外部接続端子に逆差し防止突起部81を設け、これに対応する保持部61の突き当て側の側面61AS(または61BS)に突起が収まる逆差し防止溝82を設け、他方の外部接続端子側の保持部61の突き当て側の側面61BS(または61AS)にはこれらを設けない構造とすることにより、有機発光パネル50の左右反転または上下反転による挿入(陽極・陰極を逆にした場合、また、有機発光パネル50の上下を反対にした場合の挿入)を不可とし、保持部61からの有機発光パネル50の誤った離脱を回避するものである。
【0137】
従って、逆差し防止突起部81、逆差し防止溝83および段差部83の形状、サイズは図示したものに限らず、誤挿入が防止できるよう、適宜選択される。
【0138】
尚、上記の実施形態では図2(A)の展開図を組み立たてた場合に、i面とh面の端部が重畳する場合を例に示したが、これらは互いの全面が重畳するように形成されてもよいい。また図3および図4の構造の場合はi面とh面は必ずしも重畳しなくてよい。つまり、これらの場合、i面とh面が重畳せず先端が離間した場合であっても、c面と重畳することによってキャップ形状は維持され、接続部11、12、13は被覆部の内側に密封できる。一方、図7の構造の場合には、c面すなわち接合部CPの一部が外部に晒されることになるので、c面の両主面が露出しないようにi面とh面は一部を重畳させるように形成するとよい。
【0139】
以上、本実施形態では、有機発光パネル50、51の短辺に沿ってキャップ状の外部接続端子10、15が設けられる場合を例に説明したが、有機発光パネル50、51の長辺に沿って設けられるものであってもよい。当然ながらその場合、照明装置の保持部61は、有機発光パネル50、51の長辺に沿ってこれらを保持するように設けられる。
【0140】
また、照明装置70、71、72は保持基板62の主面に保持部61が設けられる場合を例に説明したが、保持基板62は壁面や、天井面の一部であってもよい。又壁面や天井面の一部に本実施形態の保持部61が埋め込まれる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 第1基板
5 有機発光素子
6 第2基板
7 第1配線接続部
8 第2配線接続部
10、10A、10B、15、15A、15B 外部接続端子
11、12、13 接続部
50、51 有機発光パネル
61 保持部
70、71、72 照明装置
CP 接合部
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光パネルおよびそれを用いた照明装置に係り、特に取扱いが容易な有機発光パネル及びそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(有機エレクトロルミネッセンスデバイス(Organic Electro-Luminescence Device)は、適当な直流電流を流すと有機材料が発光する素子であり、これをパネル状に構成した有機発光パネルでは面光源を実現でき、照明分野に於いて環境に配慮した次世代光源として注目されている。
【0003】
有機発光パネルを照明装置として用いる場合、一般的には給電ラインと接続する自立型の、あるいは天井や壁面などに固定される照明装置筐体としての保持部に有機発光パネルを取り付ける構成が一般的である。
【0004】
図12は従来の有機発光パネル100を説明する図であり、図12(A)が有機発光パネル100全体の斜視図であり、図12(B)は外部接続端子部分の拡大断面図、図12(C)(D)は異方性導電フィルムのそれぞれ平面図、および断面図である。
【0005】
有機発光パネル100は、例えばガラス基板101上の破線で示す発光領域ERに陽極、有機EL(Electro-Luminescence)層および陰極(いずれも不図示)をこの順で積層し、封止基板103で封止したものである。尚図12では光の放出方向(矢印)を上方として記載しており、上記の積層順はガラス基板101から封止基板103に向かう方向を上方としたものである。陽極は発光領域ER周囲のたとえば3辺に沿って設けられた陽極配線104を介して外部接続端子(陽極端子)106に接続する。また陰極は発光領域ER周囲の他の1辺に沿って設けられた陰極配線105を介して外部接続端子(陰極端子)107に接続する。
【0006】
外部接続端子106、107は、それぞれ、有機発光パネルに異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)で接着されたFPC(FlexiblePrintedCircuit:フレキシブル基板)120であり、これらが照明装置の給電ラインと接続する。
【0007】
図12(B)を参照して、有機発光パネル100の端部では、ガラス基板101上にパターンニングされた陽極配線104(陰極配線105側も同様)の一部が封止基板103から露出しており、そこにテープ状のACF110を接着し、これにFPC120を当接し、熱圧着で固着している。
【0008】
図12(C)(D)を参照して、ACF110は接着フィルム(シート)111に、フィルム111の厚みと同等の粒径の金属めっきされたビーズ(金属ビーズ)112を散乱させたものであり、フィルム111の両主面で金属ビーズ112を介して接触することにより導通させるものである。
【0009】
このような有機発光パネルの照明装置筐体への取り付け方法としては、枠状の筐体に有機発光パネルを落とし込み、筐体を天井等の埋込孔に設置し板バネで固定する構造(たとえば特許文献1参照)が知られている。
【0010】
また、周辺部に凹部を有して有機発光パネルを収納する筐体を外部接続部材の凸部に嵌合する構造(例えば特許文献2参照)も知られており、この場合、有機発光パネルの電極と筐体の外部接続部はFPCなどの接続手段を介さずに直接接続されている。
【0011】
更に、有機発光パネルの外側端部に発光層に給電するための補助電極を設けた構造も知られている(例えば特許文献3、特許文献4、特許文献5参照。)。
【0012】
図13は補助電極205を有する有機発光パネル200の一例を示す側面図である。有機発光パネル200は、発光層206が設けられる基板201と、発光層206を封止する封止基板203と、基板201に配置された電極204(陽極204a及び陰極204b)と、電極204に接続する配線(陽極配線及び陰極配線)204wと、配線204wと当接して外部から電力を供給する補助電極205とを備える。補助電極205は、基板201および配線204wとそれぞれ当接する矩形の金属板からなる。補助電極205は基板201と保護部材208を所定の押圧力で挟持し、外部電源からの配線と接続して電源供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4389839号公報
【特許文献2】特許第4432846号公報
【特許文献3】特開2010−257723公報
【特許文献4】特開2010−192819公報
【特許文献5】特開2008−269988公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図12(A)の如く、外部接続端子106、107としてFPC120を用いる場合、そのコスト、および、FPC120を基板101に取り付ける接続手段(ACF110など)のコストが掛かる。
【0015】
また、通常は図12(B)の如く、ACF110などでFPC120と陽極配線104および陰極配線105を圧着して取り付けるため、この取り付け部分の溶着の信頼性が問題となる。
【0016】
更に、陽極配線104(陰極配線105も同様)、ACF110およびFPC120の電気的な接合部CP(丸印)は外部に晒されており、長期間の使用において陽極配線104の腐食や接合部CPからの水分の侵入などが生じ、信頼性が劣化するおそれがある。
【0017】
加えて、図12(C)の如く、ACF110は例えば1mm2当たりのフィルム111に9個程度の金属ビーズ112を散乱させているため、導電体である金属ビーズ112の数によって電流容量が決まる。つまり例えば半田の溶融などによる固着と比較して、電流容量が小さい問題がある。
【0018】
これに対し、図13の構成では有機発光パネルの配線204wが直接、金属の補助電極205と接触しており、ACFやFPCを採用しない構造であるので、図12の構造と比較してこれらに起因するコストや信頼性の低下、あるいは電流容量が小さいという問題は改善できる。またネジ等の固定手段によらず、基板201を補助電極205自体で挟持することで部品点数や組立工数の削減を実現している。
【0019】
しかし図13に示す構造においては、基板201の薄化が進んだ場合、基板201の強度不足が懸念される。
【0020】
具体的には、基板201としてガラス等の透明絶縁材料が採用される。そして補助電極205は1つのモジュール(完成品)として有機発光パネル200(基板201)と一体的に取り扱われることから、基板201から離脱しないよう、弾性の高い保護部材208を介在させて基板201を挟持している。あるいは、補助電極5にクリップ状のバネ性を持たせて(弾性応力を持って)基板201を挟持している(特許文献3から特許文献5参照。)。
【0021】
現在では有機発光パネルの基板201となるガラス基板はその1枚の厚みが1mm以下、具体的には、0.5mmから0.3mmと薄化が進む方向にある。そうなると補助電極205を1枚のガラス基板に取り付ける(ガラス基板を弾性応力を持って挟持する)製造工程中や、製品としての取り扱い中に補助電極205付近に力が加わることによって、基板201の機械的破壊に対する強度が不足し、基板201の割れ、欠け等の不良が増加するおそれがある。
【0022】
また、有機発光パネルの配線204wと補助電極205とは導電性固着材で固着させるが、この場合もその接合部CP(丸印)は外部に晒されている。導電性固着材は一般に絶縁性樹脂(シール材)より水分等の浸入が生じやすいため、接続部CPでは外部からの封止が十分に成されないおそれがあり、この構造においても長期間の使用において配線204wの腐食や接続部CPからの水分の侵入などが生じ、信頼性が劣化するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明はかかる課題に鑑みてなされ、第1に、第1基板と、該第1基板に設けられ、第1電極と有機発光層と第2電極とを有する有機発光素子と、前記第1基板と対向配置されて前記有機発光素子を封止する第2基板と、前記第2基板から露出する前記第1基板の周辺部に配置され、前記第1電極および前記第2電極にそれぞれ接続する配線部と、前記第1基板および前記第2基板の端部を被覆する導電性被覆材と、を具備し、該導電性被覆材は内側に接続部が設けられ、該接続部と前記配線部とが電気的に接続される有機発光パネルを提供することにより解決するものである。
【0024】
第2に、上記の有機発光パネルと、前記導電性被覆材と当接して前記有機発光パネルを保持する保持部と、該保持部が固定され該保持部に給電する配線が設けられた保持基板とを有する照明装置を提供することにより解決するものである。
【0025】
これにより、筐体・ケース等への取り付け・取り換えを簡便に、かつ、低コストに行うことができる有機発光パネル、及びそれを用いた照明装置を実現できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、有機発光素子を支持し封止する第1基板および第2基板の端部を、キャップ状の導電性被覆材で一体的に被覆し、導電性被覆材の内部で有機発光素子の配線部と接続する構成とすることにより、両基板の機械的破壊を回避しつつ、低コストで信頼性を向上できる外部接続端子を備えた有機発光パネルを実現できる。
【0027】
キャップ状の導電性被覆材は両基板の端部に殆ど変形しない状態で差込まれ、シール材で密封固定される。これにより製造工程中やエンドユーザーにおける製品の取扱い中における基板の割れや欠けを抑制できる。
【0028】
また、有機発光素子の配線部と外部接続端子との接合部は、導電性被覆材の内側に設けられ、導電性被覆材はシール材にて両基板と固着されるので接合部が外部に露出せず、接続部の金属の腐食や水分の侵入を防止でき、信頼性を高めることができる。
【0029】
このように、取扱いが容易で、低コスト、高性能で信頼性の高い有機発光パネルおよびそれを用いた照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)斜視図、(B)平面図、(C)断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)平面図、(B)斜視図、(C)斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の有機発光パネルの構造を説明する断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の照明装置の構造を説明する斜視図である。
【図9】本発明の第6の実施形態の照明装置の構造を説明する斜視図である。
【図10】本発明の第7の実施形態の照明装置の構造を説明する(A)平面図、(B)斜視図、(C)側面図、(D)側面図である。
【図11】本発明の第7の実施形態の照明装置の構造を説明する(A)斜視図、(B)斜視図、(C)側面図である。
【図12】従来技術を説明するための(A)斜視図、(B)断面図、(C)平面図、(D)断面図である。
【図13】従来技術を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から図11を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明の第1の実施形態の有機発光パネル50の構造を示す図であり、図1(A)が全体の斜視図である。図1(B)は平面図、図1(C)が図1(B)のX−X線断面図である。
【0033】
図1(A)を参照して、有機発光パネル50は、第1基板1と第2基板6と、これらの間に設けられた有機発光素子(ここでは不図示)と、第1基板1と第2基板6の端部に設けられた導電性被覆材10とを有する。有機発光パネル50は、一例として第1基板1側(放出面ES)から外部に向かって光が放出される。ここでは有機発光パネル50は対向する2辺に、大きさ及び形状が同等の導電性被覆材10A、10Bを備えている。以下特に区別する必要がない場合は、両者を導電性被覆材10と総称する。
【0034】
図1(B)は主に第1基板1にパターンニングされる構成要素を説明するための図であり、第1基板1の光の放出面ES側から見た(透視した)平面図である。
【0035】
第1基板1は平面視において例えば矩形状のガラスまたはプラスチックなどの絶縁性の透明基板である。第1基板1のほぼ中央に発光領域ERが設けられる。発光領域ERは有機発光素子5が配置され、面発光する領域である。また第1基板1の放出面ESの裏面側の周辺部には、導電材料(例えばアルミニウム(Al)層などの金属層)を発光領域ERの外側を囲むようにパターンニングして第1配線17および第2配線18が設けられる。第1配線17は平面視において例えば、第1基板1の3辺に沿ってコの字(U字)状にパターンニングされ、第2配線18は第1基板1の他の1辺に沿って短冊状にパターンニングされる。破線の領域にシール材(絶縁性樹脂接着材)21が設けられ不図示の第2基板と第1基板1とが固着される。
【0036】
第1配線17の端部(ここでは矩形の第1基板1の1つの短辺に沿う端部)はシール材21の外側に露出して第1配線接続部7となる。同様に、第2配線18の端部(ここでは第1基板1の他の短辺に沿う端部)はシール材21の外側に露出して第2配線接続部8となる。
【0037】
図1(C)は有機発光パネル50の主要な構造を説明するための断面図であって、ここでも導電性被覆材10の図示は省略しているが、導電性被覆材10は破線の領域に取り付けられている。発光領域ERは、厚みが例えば0.7mm程度の第1基板1の第1主面S11上(図示の状態では下側)に、有機発光素子5が設けられた領域である。
【0038】
尚、本発明の各実施形態で説明する有機発光パネルは、その製造工程においては第1基板1の第1主面S11を上方に向け、その上に有機発光素子5を順次積層形成し、その後第2基板6を形成するものであって、完成品の状態では第1基板1の放出面ESから外部に光を放出するボトムエミッション構造となる。そして本明細書で参照する各図面(断面図、斜視図)においては、完成した有機発光パネルは図(紙面)の上方を光の放出面ESとして記載している。そのため以下の説明において、例えば、有機発光パネル50の内部構造を説明する場合などに有機発光パネルの形成順に従って、第1基板1側を下(方)、第2基板6側を上(方)と称する場合があるが、それは図示(紙面)の上下と逆になっている場合がある。
【0039】
有機発光素子5は、第1電極2と有機EL(エレクトロルミネッセンス:Electro-Luminescence)層3と第2電極4を有する。第1電極2は、有機発光素子5の陽極となる透明電極(例えばインジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)膜)である。ITO膜は第1基板1の第1主面S11上(図示では下側)の発光領域ERの全面に配置されるようにパターンニングされる。第1電極2は一部が第1配線17と重畳してこれと電気的にコンタクトする。第1配線17は第1電極2と接続してこれを外部電源(不図示)に接続するための配線である。
【0040】
第1電極2上には有機EL層3が積層される。有機EL層3は、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層および電子輸送層などの有機薄膜層からなる。有機EL層3の上には、第2電極4が積層される。
【0041】
第2電極4は有機発光素子5の陰極となり、例えばAl層あるいは銀(Ag)層や合金層である。第2電極4は、周辺部の第2配線18と電気的に接続する。第2配線18は第2電極4と接続してこれを外部電源(不図示)に接続するための配線である。
【0042】
第2基板6は第1基板1に対向して設けられる。第1基板1と第2基板6とはシール材21にて固着され、これにより発光領域ER内の有機発光素子5が密封される。尚、図示は省略するが、第2基板6の第2主面S22(有機発光素子5側)には吸湿材(乾燥剤)が設けられてもよい。
【0043】
封止基板となる第2基板6は厚みが例えば0.7mm程度でその面積が第1基板1より小さい。従ってこれらを対向配置した場合、第1基板1の周辺部の一部は第2基板6から露出する。第2基板6から露出した第1基板1の第1主面S11上には第1配線17および第2配線18の一部、すなわち第1配線接続部7および第2配線接続部8が露出する。
【0044】
有機発光素子5は、第1電極2から注入されたホールと、第2電極4から注入された電子とが有機EL層3の内部で再結合し、有機EL層3を形成する有機分子を励起して励起子が生じる。この励起子が放射失活する過程で有機EL層3から光が放たれ、この光が矢印の如く透明な第1電極2から第1基板1を介して外部へ放出されて発光する。本実施形態では一例として、第1基板1の放出面ESからの放出光(矢印)は白色である。
【0045】
本実施形態では、第1基板1および第2基板6の、平面視において対向する2辺の端部をそれぞれ導電性被覆材10で一体的に被覆する(図1(A)参照。)。
【0046】
図2および図3を参照して導電性被覆材10について説明する。図2は導電性被覆材10の組立例を示す図であり、図2(A)が組み立て前の平面展開図、図2(B)が組立途中の斜視図、図2(C)が組立後の斜視図であり、図1(A)の矢印方向の視点からの図である。図3は導電性被覆材10を設けた有機発光パネル50の端部の拡大断面図である。
【0047】
図2(A)を参照して、導電性被覆材10は、厚み0.3mm程度の1枚の金属材料を第1基板1および第2基板6の端部の形状に沿う形状に組立てたものである。金属材料は、電気的特性、耐腐食性および価格の観点から、ステンレスやアルミニウム(Al)などの素材が好適である。
【0048】
一例として導電性被覆材10は、長辺と短辺を有する矩形状のa面と、a面の1つの長辺から互いの長辺を順次隣接させて設けられたb面、c面、d面およびe面と、a面の1つの短辺から互いの長辺または短辺をそれぞれ順次隣接させて設けられたf面、h面およびa面の他の短辺から互いの長辺又は短辺を順次隣接して設けられたg面、i面の9面からなる1枚の金属板である。
【0049】
図2(B)を参照して、導電性被覆材10は、e面を内側に巻き込むようにa面からe面を立体的に順次折り曲げ、f面およびg面を側面として、i面とh面をそれぞれc面に接するように折り曲げて箱状としたものである。尚、a面〜i面は表裏面の総称である。c面とh面およびi面の一部は重畳し、b面とd面、f面とg面、c面(h面、i面)とe面、e面とa面はそれぞれ対向面となる。
【0050】
d面はb面に対向する面であるが、b面よりその高さは低く、c面とd面の間の折り曲げ位置は図2(A)において一直線状に配置されるh面、f面、a面、g面、i面の端部より内側(b面側)に位置する。a面、e面、c面、i面、h面は略水平に配置される。尚、e面の端部とb面は接触していてもよい。
【0051】
図2(C)を参照して、組立後の導電性被覆材10の形状は外観においてはa面、b面、h面、i面、g面、f面で構成される。すなわち図示のa面、b面およびg面とこれらの対向面で構成される直方体形状から1つの面(b面の対向面)を除いた5面体形状を有しており、以下この形状および、この形状から更にf面またはg面を除いた形状をキャップ形状と称する。
【0052】
図3は、例えば図1(A)の導電性被覆材10A側の断面図であり、図1(B)ではY―Y線の断面に相当する。
【0053】
図3を参照して、導電性被覆材10のa面は、第1基板1の第2主面S12(第1主面S11の対向面)と当接してこれを覆う第1被覆部91となる。またh面およびi面は第2基板6の第1主面S21(第2主面S22の対向面)と当接してこれを覆う第2被覆部92となる。
【0054】
またb面は第1被覆部91(a面)と第2被覆部92(h面、i面)とを連結し第1基板1および第2基板6の側面(厚み方向の端面)を連続して覆う第3被覆部93となる。
【0055】
そしてc面、d面およびe面は導電性被覆材10の内側に周回するように折り曲げられ、e面は、第2基板6から露出して第1基板1の第1主面S11に設けられた第1配線17の一部(第1配線接続部7)と例えば導電性固着材20にて固着される。すなわちe面は、第1配線接続部7と電気的に接続する接続部11となる。尚、ここでは第1配線接続部7と実質的に接触するのはe面のみであるが、本実施形態では第1被覆部91から第3被覆93部とは別体でe面を支持するc面およびd面も含めて接続部11とする。また、導電性固着材20はここでは電気的な接続が可能な接着(固着)材料を意味し、導電性固着材20による固着とは、無鉛はんだや導電性ペースト、あるいは導電性接着材などを供給し、これらを介して電気的接続を可能に固着することをいう。
【0056】
尚、ここでは一例として図2の如く、1枚のT字型の金属板を組み立ててキャップ形状の導電性被覆材10を構成する場合を示したが、最終形状において図3と同様にキャップ形状の被覆部(a面、b面、f面、g面、h面およびi面で構成される5面体)の内側に、被覆部に電気的に接続する接続部11(c面、d面およびe面)が備えられた構成であれば組立方法はこれに限らない。例えば、複数枚の金属板から組み立てるものであってもよいし、金型等により一体的に成形されたものであってもよい。またh面またはi面はa面と同面積の1つの面であってもよいし、互いにa面と同面積でh面とi面を2重に重ねる構造であってもよい。
【0057】
このように、導電性被覆材10は第1基板1および第2基板6の端部を一体的に被覆するキャップ形状の被覆部を有し、その内側に有機発光パネル50の第1配線接続部7と接続する接続部11が設けられる。すなわち導電性被覆材10は、有機発光パネル50の金属キャップ型の外部接続端子として機能する。従って、以下の説明において導電性被覆材10を外部接続端子と称する場合がある。
【0058】
図1の如く、有機発光パネル50は、有機発光素子5の陽極(第1電極2)に接続する第1配線17と陰極(第2電極4)に接続する第2配線18とを備える。つまり、図3で示す導電性被覆材10は、有機発光パネル50の一辺に設けられた陽極用の第1外部接続端子10Aであり、これと対向する有機発光パネル50の他の辺にも同様の形状の陰極用の第2外部接続端子10B(導電性被覆材10)が設けられる(図1(A)参照。)。第2外部接続端子10Bは外形がキャップ形状の被覆部と、その内部に設けられた接続部11を有し、当該接続部11が、第1基板1の第1主面S11の第2基板6から露出する領域に設けられた第2配線18の一部(第2配線接続部8)と接続する。
【0059】
本実施形態の導電性被覆材10は、第1基板1および第2基板6の側面方向から差し込んで、これらを一体的に被覆する。つまり、第1被覆部91と第2被覆部92間の厚みD(a面とi面の内壁間の距離)は、第1基板1の厚みD1および第2基板6の厚みD2の合計と同等以上である。より詳細には、導電性被覆材10は、有機発光素子5を内在させて封止した後の両基板(第1基板1および第2基板6)の厚み(第1基板1の第2主面S12から第2基板6の第1主面S21までの厚み)に両基板の端部へのスムーズな差込を可能とする(例えば外形として外部接続端子10を変形させずに差し込みを可能とする)最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。
【0060】
そして接続部11は、導電性被覆材10を差し込んだ状態で、e面が第1配線接続部7(第2配線接続部8)と電気的接続(接触)が可能なように適切な寸法で折り曲げ加工される。
【0061】
また、第1被覆部91の端部は、シール材(絶縁性樹脂接着材)22によって第1基板1の第2主面S12に固着され、第2被覆部92の端部は、シール材22によって第2基板6の第1主面S21に固着される。
【0062】
導電性被覆材10は、第1基板1と第2基板6を一体的に被覆する。つまり、2枚の基板に差し込む構造であるので、1枚の基板の厚みが同じ場合に、1枚の基板のみを挟持する構造(例えば図13)と比較して、基板側の機械的破壊に対する強度を高めることができる。
【0063】
例えば、機械的特性を示す曲げ応力の大きさは応力が作用する方向の厚みの2乗に反比例し、たわみは厚みの3乗に反比例する。つまり厚みが大きいほど曲げ応力もたわみも小さくなり、単純に2枚の基板で厚みが2倍になれば曲げ応力には4倍強くなり、たわみには8倍強くなる。
【0064】
また、導電性被覆材10が基板の支持部材ともなるので、この被覆幅Wを広く(発光領域ERに達しない程度に広く)設けることで、第1基板1および第2基板6の機械的破壊に対する強度が確保でき、好適である。
【0065】
更に、本実施形態の導電性被覆材10は両基板の端部へのスムーズな差込が可能な(例えば外形として導電性被覆材10を変形させることなく差し込み可能な)厚みD(形状)を有している。つまり、両基板に対して負荷を与えずに差し込むことができる。そして導電性被覆材10は、シール材22にて第1基板1および第2基板6に固定される。従って、従来技術の如くクリップ状のバネ性を持たせて(弾性応力を持って)、基板に所定の押圧力を加えるように挟持する必要がない。従って、導電性被覆材(外部接続端子)10を装着することによる両基板へのストレスも緩和できる。
【0066】
更に平坦面である第1基板1の第2主面S12および第2基板6の第1主面S21に同じくほぼ平坦面の第1被覆部91および第2被覆部92を差し込む構造であるので、差し込みも容易となる。
【0067】
これらのことから、有機発光パネル50の製造工程中やエンドユーザーが有機発光パネルを取り扱う際における、基板(第1基板1および第2基板6)の破損を大幅に抑制することができ、利便性が向上する。
【0068】
更に、導電性被覆材10と基板はシール材22にて固着する。このシール材22は第1基板1と第2基板6を固着するシール材21と同様の材料である。これにより導電性被覆材10の内部は密封状態とすることができる。従って、第1配線接続部7(第2配線接続部8)と接続部11(e面)の実質的な固着部となる接合部CP(第1配線接続部7と接続するe面の両主面及びその周囲)を導電性被覆材10内に密封できる。これにより接合部CPが外部に晒されることが無くなるので、長期間の使用においてもこれらの金属の腐食や水分の浸入を防止でき、信頼性の劣化を防止できる。
【0069】
ここで、本実施形態の有機発光パネルの製造方法の一例について、主に接続部11と第1配線接続部7との接続方法を中心に説明する。尚第2配線接続部8側も同様である。
【0070】
まず、第1基板1の第1主面S11に第1配線接続部7を含む第1配線17および第2配線接続部8を含む第2配線18をパターンニングし、既知の方法により有機発光素子5を積層形成し、第2基板6で封止する(図1(B)、(C)参照。)。
【0071】
その後、導電性被覆材10を第1基板1および第2基板6の対向する両端に差込み、接続部11と、第1配線接続部7および第2配線接続部8とをそれぞれ接続する。
【0072】
この接続の第1の方法は、図2(A)の金属板の状態で、接続部11となるe面に、導電性固着材20として予め無鉛はんだのめっき層を形成した後キャップ形状に組み立てた導電性被覆材10を準備する。
【0073】
そして図3の如く、有機発光パネル50の第1配線接続部7側の端部に第1基板1と第2基板6を一体で被覆するように導電性被覆材10(10A)を差し込む。このとき導電性被覆材10はその外形を殆ど変形させずに差し込むことができ、第1配線接続部7と接続部11(e面)とが当接する。そして、第1配線接続部7と接続部11(e面)と当接した状態で導電性被覆材10を外側から加熱し、無鉛はんだのめっき層を溶融させて固着する。
【0074】
第2の方法は、e面の第1配線接続部7側に導電性固着材20として導電性ペースト(例えば銀(Ag)ペーストや無鉛はんだペースト)を塗布する。そして、キャップ形状に組立後、有機発光パネル50の第1配線接続部7側の第1基板1と第2基板6を一体で被覆するように導電性被覆材10(10A)を差し込む。そして、第1配線接続部7と接続部11(e面)が重畳した状態で加熱し、導電性ペーストを溶融させて固着する。
【0075】
第3の方法は、導電性固着材20として導電性接着材(例えば樹脂接着材料に導電材料を混入させたもの)を用いる場合であり、上記の第2の方法と略同様であるが、この場合溶融させるための加熱処理は不要である。
【0076】
この様な方法で第1配線接続部7と接続部11の接続を行い、電気的接続を確認した後、シール材22を用いて導電性被覆材10と第1基板1および第2基板6を固着し、接続部11(e面)と第1配線接続部7との接合部CPを導電性被覆材10の内部に密封する。する。
【0077】
導電性被覆材10の差込工程からシール材22による密封工程までは、窒素などの不活性ガス雰囲気中で行うと好適である。これにより導電性被覆材10を装着する際の(特に接続部11およびその近傍への)水分や、金属の腐食にかかわる物質の付着を防止できる。
【0078】
また、低価格な金属板を使用した場合に、接続部11(c面からe面)を防錆あるいは低接触抵抗化するためのめっき処理することも好適である。例えば、銅(Cu)板を用いた場合は、防錆のため金(Au)めっき処理を施すとよい。この場合、第2または第3の方法で、接続部11を固着する。
【0079】
次に図4を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は接続部12の構成が第1の実施形態と異なっている。
【0080】
第2の実施形態の接続部12は、第1配線接続部7を弾性変形が可能なように(折り)曲げ加工される。すなわちバネ状の接続部12によって、第1配線接続部7(第2配線接続部8も同様)を第1基板1の厚みD1方向に押圧することで、両者を電気的に接続する。尚接続部12は第1配線接続部7と電気的接続ができればよく、第1基板1を押圧するためのものではない。つまりその押圧力は、接合部CPにおいてe面と第1配線接続部7との常時の接触(当接)が維持できる程度の(小さい)力で十分である。
【0081】
導電性被覆材10は、第1の実施形態と同様にシール材22にて第1基板1および第2基板6と固着され、接続部12が導電性被覆材10内に密封される。
【0082】
尚、接続部12の断面形状は、図4の如く明らかに複数の平面が認識される形状でなくてもよく、例えば円弧状でもよい。その場合は例えばc面全体を湾曲面として第1配線接続部7と電気的に接続する。つまり、導電性被覆材10の接続部とは、第1配線接続部7(第2配線接続部8)との接合部CPが、導電性被覆材10の内側に密閉されるように、導電性被覆材10(被覆部)の内側に設けられた導電体であればよい。
【0083】
これにより、導電性被覆材10を第1基板1および第2基板6の端部に差し込むだけで、導電性固着材を用いることなく、接続部12と第1配線接続部7を接続でき、導電性固着材の供給(めっき処理)工程や、溶融固着工程が不要となる。これ以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0084】
尚、第2の実施形態において、接続部12と第1配線接続部7の接続に導電性固着材を更に用いてもよい。
【0085】
以上、第1の実施形態の接続部11および第2の実施形態の接続部12は、導電性被覆材10の一部を周回させるように曲げ加工を施した場合を例に示したが、第1配線接続部7と電気的接続が可能な形状であれば、例えばジャバラ状の折りたたみ形状にするなど、曲げ加工の形状は、図示したものに限らない。また、第2被覆部92とは別体の例えばT字状などの導電材料で接続部を形成し、第2被覆部92に固着したものであってもよい。また接続部11にc面が含まれなくてもよく、例えば第2被覆部92(i面、h面)からd面およびe面が突出するような構成であってもよい。
【0086】
すなわち、導電性被覆材10の形状は、第1基板1と第2基板を一体で被覆するキャップ形状の被覆部(a面、b面、f面、g面、h面およびi面で構成される5面体)の内側に、被覆部に電気的に接続する接続部11が設けられる構成であればよく、平面展開形状および組立方法は図2、図3および図4に示すものに限らない。またb面は湾曲面であってもよい。
【0087】
次に、図5および図6を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態の有機発光パネル51を示す図であり、図5(A)が有機発光パネル51の平面図、図5(B)から図5(D)が図5(A)のそれぞれZ1−Z1線、Z2−Z2線、Z3−Z3線の断面図であり、いずれも導電性被覆材10の図示は省略している。
【0088】
図5を参照して、有機発光パネル51は、第1基板1の一つの端部(一辺)側に陽極用の第1配線接続部7および陰極用の第2配線接続部8が設けられる。より詳細には例えば第1配線17は平面視において櫛歯状に設けられる。第1配線17の複数の櫛歯は矩形状の第1基板1の短辺に沿って延在し、それらの一端が第1基板1の長辺に沿って延在する連結部にて連結される。そして一つの短辺側においてシール材21の外側に第1配線17の一部を露出させて第1配線接続部7を設けている。
【0089】
これに対し、第2配線18は、第1配線17が配置される長辺と対向する長辺に沿って直線状に配置され、第1基板1の一つの短辺側においてシール材21の外側に第2配線18の一部を露出させて第2配線接続部8を設けている。これにより第2基板6から露出する第1基板1の一つの短辺側に、第1配線接続部7と第2配線接続部8が並んで配置される。第1基板1上(図示では下側)に第1電極2、有機EL層3および第2電極4を積層した有機発光素子5が設けられ第2基板6で封止される構造(図5(C)参照)は、第1の実施形態の有機発光パネル50と同様である。
【0090】
図6は、第3の実施形態の導電性被覆材15を説明するための斜視図であり、図6(A)(B)が導電性被覆材15の斜視図であり、図6(C)が導電性被覆材15を取り付けた有機発光パネル51の斜視図である。尚、図6(A)(B)においてそれぞれ左図と右図は同じ構成について視点を変えて図示したものであり、それぞれ左図はa面の上方から見た斜視図であり、右図はh面またはi面の下方から見た斜視図である。また図6(B)は図6(A)の絶縁補強板15Cを破線で示した図である。
【0091】
図6(A)(B)を参照して、導電性被覆材15は、第1配線接続部7と第2配線接続部8の大きさに合わせて2つ(第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15B)設けられる。第1導電性被覆材15Aは例えば図2(A)に示す金属板からf面とh面を省き、i面をa面と同等の面積に形成したパターンの金属板を組み立てて得られ、外形は、直方体を構成する6面からb面の対向面およびg面の対向面を省いた形状、すなわちa面、b面、i面、g面からなるキャップ形状を有する。
【0092】
本実施形態では図2(A)に示したa面からe面の長辺側の長さは、第1の実施形態より短い。すなわち第1の実施形態ではこれらの長さは、第1基板1の一辺(短辺)と同等の長さであったが、本実施形態では、第1基板1の短辺の長さの例えば2分の1より小さい長さである。これ以外の各面の構成は第1の実施形態と同様である。
【0093】
また第2導電性被覆材15Bは例えば図2(A)に示す金属板からg面とi面を省き、h面をa面と同等の面積に形成したパターンの金属板を組み立てて得られ、外形は、直方体を構成する6面からb面の対向面およびf面の対向面を省いた形状、すなわちa面、b面、h面、f面からなるキャップ形状を有する。これ以外は第1導電性被覆材15Aと同様である。
【0094】
第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15Bは1つの絶縁性補強板15Cの両端に取り付けられる。絶縁性補強板15Cは例えばベーク基板・ガラスエポキシ基板もしくはプラスチック素材などである。絶縁性補強板15Cは長さL1が有機発光パネル51の第1配線接続部7が設けられる辺の長さL2と同等であり、厚みD3が第2基板6の厚みD2と略同等である。そして例えば、その周囲に図3におけるc面、d面、e面からなる接続部11が密着するような直方体(柱)形状である。
【0095】
そして図6(C)のごとく、導電性被覆材15を第1基板1および第2基板6の一辺の端部に取り付ける。
【0096】
端部の拡大断面図は図3(A)と同様であるが、第3の実施形態では分離された第1導電性被覆材15Aおよび第2導電性被覆材15Bは絶縁性補強板15Cで保持される。また図3(A)を参照して、第2基板6は第1基板1より面積が小さく、断面構造において第2基板6の厚みD2と同等のギャップが生じている。本実施形態では、絶縁性補強板15Cにより第1基板1と第2基板6間のギャップを充填しつつその周囲を覆う接続部11(c面、d面およびe面)を第1配線接続部7および第2配線接続部8にそれぞれ接合できる。すなわち絶縁性補強板15Cの形状は、このギャップを充填し、第1配線接続部7および第2配線接続部8に接合するのに適切な形状(サイズ)が適宜選択される。これにより、第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材15Bを容易かつ正確に装着することができる。
【0097】
尚、第1の実施形態においてc面、d面およびe面で構成される接続部11を絶縁性補強板に巻きつけるような構成としてもよい。
【0098】
絶縁補強板15Cを使用しない場合は、第1導電性被覆材15A、第2導電性被覆材215B間は絶縁性・防水性を併せ持つシール材で充填することが好適である。
【0099】
複数の導電性被覆材15を離間して配置し、これらを絶縁性補強板で支持するかあるいはシール材でこれらの間を充填することにより、第1配線接続部7および第2配線接続部8を一つの辺に集約させる構造に限らず、基板の周囲に離散している場合も同様に実施できる。これ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0100】
次に図7を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。図7(A)(B)はいずれも、封止基板となる第2基板6が透明な絶縁性フィルムまたは固体層の場合である。
【0101】
図7(A)を参照して、絶縁性フィルムの場合は例えばポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET)またはアクリル樹脂に高度に防水・防ガスコーティングなどを施した物であり、厚みD2は第1基板1より薄く、例えば0.1mm程度である。固体層の場合は、例えば酸化ケイ素(SiOx)や窒化ケイ素(SiNx)などの層で厚みD2は例えば2μm〜10μm程度である。
【0102】
また導電性被覆材10は、図2に示す金属板からe面およびd面を省いた構成で、この場合c面が第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)との接続部13となる。そして接続部13は、導電性固着材20を介して、第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)と電気的に接続する。
【0103】
これ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。このように接続部13がi面より上方に突出した構造でなくても(第2被覆部92と重なる平板状であっても)、i面と接続部であるc面を重畳させることで、接合部CP(第1配線接続部7と接続するc面の両主面)は導電性被覆材10の内側に密封される。
【0104】
また第2基板6に絶縁性フィルムを用いた場合はその厚みD2は一般にはガラスの厚みに比べて薄く、可撓性を有するため、導電性被覆材10が例えばクリップ状に教示する構造では取り扱いが困難である。しかし本実施形態では、導電性被覆材10は第1基板1の厚みD1と第2基板6の厚みD2の合計厚み以上で、第1基板1および第2基板の端部へのスムーズな差込を可能とする最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。このため、導電性被覆材10の取り付け時の取り扱いが容易となる。
【0105】
図7(B)は図7(A)の構造にさらに第3基板9を設けるものである。例えば図7(A)の構造で第2基板6に厚みD2が薄い絶縁性フィルム、または、厚みD2が非常に薄い固体層を採用し、第2基板6の強度不足が懸念される場合は、これに当接する第3基板9を設けて補強してもよい。第3基板9は例えば、PET、アクリル樹脂あるいはポリ塩化ビニルなどのプラスチック材料や、絶縁塗装された金属板(アルミニウムまたはステンレス)などで、厚みD3は0.3mm程度であり、第2主面S32が第2基板6の第1主面S21と当接する。
【0106】
この場合、導電性被覆材10の第2被覆部92は、第3基板9の第1主面S31と当接し、これらはシール材22にて固着される。これにより第1配線接続部7(第2配線接続部8側も同様)と接続部13(c面)との接合部CPは、導電性被覆材10の内側に密封される。
【0107】
図7(C)の導電性被覆材10は、第1基板1、第2基板6および第3基板9の側面方向から差し込んで、これらを一体的に被覆する。つまり、導電性被覆材10は、有機発光素子5を封止した後の3つの基板(第1基板1、第2基板6および第3基板9)の厚み(第1基板1の第2主面S12から第3基板9の第1主面S31までの厚み)に両基板の端部へのスムーズな差込を可能とする最小限のクリアランスを確保した厚みD(形状)を有している。これにより、第1の実施形態と同様に、導電性被覆材10の取り付け時に基板の割れや欠け等の発生を防止し、エンドユーザーにおける取扱の容易性も向上する。
【0108】
これ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0109】
尚、第1基板1も上記の絶縁性フィルム又は固体層で構成してもよい。
【0110】
図8から図11を参照して、上記の有機発光パネル50、51を用いた照明装置70、71、72について説明する。
【0111】
図8は、第5の実施形態となる照明装置70およびこれに第1または第2の実施形態の有機発光パネル50を取り付ける方法を説明する斜視図である。
【0112】
照明装置70は第1の実施形態の有機発光パネル50と、保持部(ソケット)61(61A、61B)と保持基板62とを有する。保持基板62と保持部61は例えばアクリル樹脂素材やプラスチック素材などにより構成され、保持基板62の一主面に2つの保持部61が対向するように配置、固定される。保持部61は保持基板62と別体に準備され固定されてもよいし、一体的に成形されてもよい。保持部61を保持基板62と別体とした場合は、保持部61を金属材料で構成してもよい。
【0113】
保持部61A、61Bはそれぞれ有機発光パネル50の第1外部接続端子10Aおよび第2外部接続端子10Bに当接するようにこれらに対応する位置に、すなわち有機発光パネル50の対向する2辺に沿って設けられ、有機発光パネル50を保持する。
【0114】
保持基板62は、保持部61に給電する配線(不図示)や所望の制御回路(不図示)が内蔵される。
【0115】
保持部61はそれぞれ、有機発光パネル50の第1基板1および第2基板6を厚みD方向に挟み、有機発光パネル50の発光面ESを水平方向に移動(スライド)させて着脱可能とする開口部OPが設けられる。すなわち、2つの保持部61はそれぞれ、これを6面からなる直方体形状とした場合の長手方向の1つの側面とそれに隣接する短手方向の2つの側面(スライド方向の両端(手前、奥)の側面)の3面が開放され、図8の矢印方向から見た側面の形状としてコの字(Uの字)状に開口部OPが設けられる。また保持部61の内壁には押圧部材63が設けられる。押圧部材63は例えば板バネなどである。また、押圧部材63は、ある程度押圧力があり弾性変形可能な樹脂(例えばゴムなど)であってもよい。開口部OPの開口高さh2は有機発光パネル50の厚みDより大きく、これにより、有機発光パネル50を発光面ESに対して水平方向に移動させてスムーズに着脱することができる。
【0116】
一方で有機発光パネル50を取り付けた後(図8(B)参照)は、マージンが大きくなるため、押圧部材63によって押圧し、誤った脱落を防止する。押圧部材63は保持部61の上面61uの内壁に設けられても良い。
【0117】
本実施形態では有機発光パネル50の2枚の基板(第1基板1および第2基板6)を一括して被覆するキャップ状の外部接続端子10とすることにより、基板の機械的強度を高めており、照明装置に着脱する際、基板の破損を防止できる。
【0118】
また、外部接続端子10の外表面は平坦面であり、有機発光パネル50を水平に移動させての装着が容易に、スムーズに行える。
【0119】
押圧部材63によって、図示の場合では上方向に有機発光パネル50は押圧され、保持部61の上面61uと当接する。上面61uには給電ラインの接続端が設けられ、これを介して不図示の給電装置(電源装置)に接続される。2つのうち、第1外部接続端子10Aと当接する保持部61Aは陽極用の給電ラインと接続し第2外部接続端子10Bと当接する保持部61Bは陰極用の給電ラインと接続する。尚、押圧部材63に給電ラインの接続端を設けてもよい。
【0120】
保持基板62は、室内の天井、壁面等に取り付けられる。また保持基板62の一端に脚部を設け自立型としてもよい。
【0121】
図9を参照して、第6の実施形態として、第2の実施形態の有機発光パネル51を備える照明装置71を説明する。この場合、外部接続端子15(15A、15B)が設けられる有機発光パネル51の一方の端部を保持する保持部61Aに陽極用および陰極用の給電ラインの接続端が配置される。第1外部接続端子15Aおよび第2外部接続端子15B間の絶縁のため、保持部61Aには分離した2つの押圧部材63A、63Bが設けられる。これらにそれぞれ陽極用および陰極用の給電ラインの接続端が配置されてもよい。尚、押圧部材を絶縁材料で構成する場合は、連続した1つの押圧部材としてもよい。
【0122】
他方の保持部61Bはその外形は保持部61Aと同様であるが、給電ラインの接続端は不要であり、有機発光パネル51の他の端部を保持する。これ以外の構成は図8に示す照明装置と同様であるので説明は省略する。
【0123】
図10を参照して、第7の実施形態の照明装置72を説明する。図10(A)は第7の実施形態の照明装置72に用いる有機発光パネル50の平面図であり、図10(B)は保持部61(61A、61B)の斜視図、図10(C)は保持部61Aを視点V1、V2、およびV3方向から見た側面図であり、図10(D)は保持部61Bを視点V1、V2、およびV3方向から見た側面図である。視点V2は保持部61A、61Bそれぞれの開口部OP側からの視点である。
【0124】
この照明装置72は有機発光パネル50の逆差し防止手段と、飛び出し防止手段を備えるものである。
【0125】
有機発光パネル50は平面視において左右ほぼ対称の構造であり、保持部61に装着する(差し込む)方向を誤ると、陽極である第1外部接続端子10Aと陰極である第2外部接続端子10Bが保持部61の陽極用および陰極用給電ラインの接続端と逆に接続されるおそれがある。
【0126】
これを防止するために、図10(A)の如く、有機発光パネル50の一方の外部接続端子10(例えば第1外部接続端子10A)に着脱の際の挿入方向の誤認を防止するための逆差し防止突起部81を設ける。
【0127】
図10(B)を参照して、2つの保持部61はそれぞれ、6面体で構成される直方体形状の長手方向の1つの側面とそれに隣接する短手方向の1つの側面(スライド方向の一端(手前の側面)の2面が開放されるように開口部OPが設けられた形状を有する。つまりスライド方向の他端(奥)の側面61AS、61BSは開放されていない。
【0128】
図10(C)(D)を参照して、第1外部接続端子10Aを保持する保持部61Aの側面61ASにのみ、逆差し防止突起部81が嵌合する逆差し防止溝82が設けられる。第2外部接続端子10Bを保持する保持部61Bの側面61BSは平坦面とする。
【0129】
また、2つの保持部61A、61Bの短手方向の開口部OP端部の保持基板62に、段差部83を設ける。段差部83は保持基板62の表面を保持基板62の厚み方向に突出させたものである。段差部83の下段側の平坦面(保持部61の下面61d)の距離L3は、有機発光パネル50の(ここでは)短辺方向の長さL2より若干長く、短辺方向の逆差し防止突起部81を含めた最長部の長さL4より短い。
【0130】
図11を参照して、有機発光パネル50は矢印方向にスライドさせて第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bをそれぞれ保持部61A、62Bで保持する。このとき、第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bのスライド方向の先端(奥の端部)はそれぞれ保持部61A、61Bの側面61AS,61BSと当接し、それより先(奥)への移動が阻まれる。その状態で、有機発光パネル50を保持部61の下面61dに当接させるように配置する(押圧手段63により下面61d方向に押圧される)ことで、第1外部接続端子10Aと第2外部接続端子10Bのスライド方向の後端(手前の端部)はそれぞれ段差部83の内側(下側)に収納される。このようにして保持された有機発光パネル50は、外部接続端子10のスライド方向の後端が段差部83により移動が規制され、誤った離脱(飛び出し)を防止できる。保持部61A,61Bの下面61uの長さL3は、有機発光パネル50の長さL2より長いものの、最長部の長さL4よりは短く、そのマージンは、有機発光パネル50が保持された状態で水平にスライドして着脱することができない程度に小さいものとする。
【0131】
また、有機発光パネル50を図10(A)の平面視から左右を反転させて(逆差しで)保持部61に挿入した場合には逆差し防止突起部81が平坦な側面61BSと当接するとともに、第1外部接続端子10Aのスライド方向の後端が(保持部61B側の)段差部83の内側(下段側)に収納できなくなる。これにより逆差しを認識でき、逆差しの状態で通電されることを防止できる。尚、これにより、図10(A)の平面図において上下を反転させて挿入する場合も保持部61への収納、保持が不可となり、これを防止できる。
【0132】
さらに、逆差し防止溝82にスイッチ(不図示)を設け、逆差し防止突起部81が逆差し防止溝82に適切に挿入された時のみ、電源をオンにする機構を取り付けることで、有機発光パネル50を無理に挿入した不安定な状態での、逆電圧印加による有機発光パネル50の破壊や誤取り付け時の感電事故を防ぐことが出来る。
【0133】
有機発光パネル50を取り外す場合は、有機発光パネル50の一端を保持部61の上面61u方向に押し上げ、矢印と逆方向にスライドさせる。
【0134】
また、段差部83によって、装着後の有機発光パネル50の飛び出しを防止することもできる。
【0135】
これにより、電球交換と同様に、知識の無いエンドユーザーにとっても簡単に交換が可能となる照明装置を提供できる。
【0136】
このように本実施形態の照明装置72は、有機発光パネル50の一方の外部接続端子に逆差し防止突起部81を設け、これに対応する保持部61の突き当て側の側面61AS(または61BS)に突起が収まる逆差し防止溝82を設け、他方の外部接続端子側の保持部61の突き当て側の側面61BS(または61AS)にはこれらを設けない構造とすることにより、有機発光パネル50の左右反転または上下反転による挿入(陽極・陰極を逆にした場合、また、有機発光パネル50の上下を反対にした場合の挿入)を不可とし、保持部61からの有機発光パネル50の誤った離脱を回避するものである。
【0137】
従って、逆差し防止突起部81、逆差し防止溝83および段差部83の形状、サイズは図示したものに限らず、誤挿入が防止できるよう、適宜選択される。
【0138】
尚、上記の実施形態では図2(A)の展開図を組み立たてた場合に、i面とh面の端部が重畳する場合を例に示したが、これらは互いの全面が重畳するように形成されてもよいい。また図3および図4の構造の場合はi面とh面は必ずしも重畳しなくてよい。つまり、これらの場合、i面とh面が重畳せず先端が離間した場合であっても、c面と重畳することによってキャップ形状は維持され、接続部11、12、13は被覆部の内側に密封できる。一方、図7の構造の場合には、c面すなわち接合部CPの一部が外部に晒されることになるので、c面の両主面が露出しないようにi面とh面は一部を重畳させるように形成するとよい。
【0139】
以上、本実施形態では、有機発光パネル50、51の短辺に沿ってキャップ状の外部接続端子10、15が設けられる場合を例に説明したが、有機発光パネル50、51の長辺に沿って設けられるものであってもよい。当然ながらその場合、照明装置の保持部61は、有機発光パネル50、51の長辺に沿ってこれらを保持するように設けられる。
【0140】
また、照明装置70、71、72は保持基板62の主面に保持部61が設けられる場合を例に説明したが、保持基板62は壁面や、天井面の一部であってもよい。又壁面や天井面の一部に本実施形態の保持部61が埋め込まれる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 第1基板
5 有機発光素子
6 第2基板
7 第1配線接続部
8 第2配線接続部
10、10A、10B、15、15A、15B 外部接続端子
11、12、13 接続部
50、51 有機発光パネル
61 保持部
70、71、72 照明装置
CP 接合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
該第1基板に設けられ、第1電極と有機発光層と第2電極とを有する有機発光素子と、
前記第1基板と対向配置されて前記有機発光素子を封止する第2基板と、
前記第2基板から露出する前記第1基板の周辺部に配置され、前記第1電極および前記第2電極にそれぞれ接続する配線部と、
前記第1基板および前記第2基板の端部を被覆する導電性被覆材と、を具備し、
該導電性被覆材は内側に接続部が設けられ、該接続部と前記配線部とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光パネル。
【請求項2】
前記導電性被覆材は、第1被覆部と第2被覆部と第3被覆部を有し、前記第1被覆部は第1基板の主面と当接し、前記第2被覆部は前記第2基板の主面と当接し、前記第3被覆部は前記第1被覆部と前記第2被覆部とを連結し前記第1基板および前記第2基板の側面を連続して覆うことを特徴とする請求項1に記載の有機発光パネル。
【請求項3】
前記導電性被覆材は金属材料をキャップ形状に成形してなり、前記第1基板および前記第2基板のそれぞれの少なくとも1つの端部を一体に覆うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機発光パネル。
【請求項4】
前記導電性被覆材の厚みは、前記第1基板および前記第2基板の厚みの合計と同等以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項5】
前記接続部は導電性固着材にて前記配線部と固着されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項6】
前記接続部は金属材料を弾性変形可能に加工してなり前記配線部を前記第1基板方向に押圧することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項7】
前記第1被覆部および前記第2被覆部はシール材にて前記第1基板および前記第2基板とそれぞれ固着されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項8】
前記第2基板に当接する第3基板を有し、前記導電性被覆材は、前記第1基板の主面と当接する第1被覆部と、前記第3基板の主面と当接する第2被覆部を有し、前記第1被覆部および前記第2被覆部はシール材にてそれぞれ前記第1基板および前記第3基板に固着されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光パネル。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機発光パネルと、
前記導電性被覆材と当接して前記有機発光パネルを保持する保持部と、
該保持部に給電する配線とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
前記保持部が固定され前記配線が設けられた保持基板を有することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記保持部は前記有機発光パネルの対向する2辺に沿って設けられ、前記有機発光パネルの発光面を水平方向に移動させて着脱可能とする開口部が設けられることを特徴とする請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記有機発光パネルは一の辺に突起部が設けられ、前記保持部は前記突起部が嵌合する溝が設けられることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記保持基板は前記開口部端部に段差が設けられることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の照明装置。
【請求項1】
第1基板と、
該第1基板に設けられ、第1電極と有機発光層と第2電極とを有する有機発光素子と、
前記第1基板と対向配置されて前記有機発光素子を封止する第2基板と、
前記第2基板から露出する前記第1基板の周辺部に配置され、前記第1電極および前記第2電極にそれぞれ接続する配線部と、
前記第1基板および前記第2基板の端部を被覆する導電性被覆材と、を具備し、
該導電性被覆材は内側に接続部が設けられ、該接続部と前記配線部とが電気的に接続されることを特徴とする有機発光パネル。
【請求項2】
前記導電性被覆材は、第1被覆部と第2被覆部と第3被覆部を有し、前記第1被覆部は第1基板の主面と当接し、前記第2被覆部は前記第2基板の主面と当接し、前記第3被覆部は前記第1被覆部と前記第2被覆部とを連結し前記第1基板および前記第2基板の側面を連続して覆うことを特徴とする請求項1に記載の有機発光パネル。
【請求項3】
前記導電性被覆材は金属材料をキャップ形状に成形してなり、前記第1基板および前記第2基板のそれぞれの少なくとも1つの端部を一体に覆うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機発光パネル。
【請求項4】
前記導電性被覆材の厚みは、前記第1基板および前記第2基板の厚みの合計と同等以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項5】
前記接続部は導電性固着材にて前記配線部と固着されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項6】
前記接続部は金属材料を弾性変形可能に加工してなり前記配線部を前記第1基板方向に押圧することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項7】
前記第1被覆部および前記第2被覆部はシール材にて前記第1基板および前記第2基板とそれぞれ固着されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機発光パネル。
【請求項8】
前記第2基板に当接する第3基板を有し、前記導電性被覆材は、前記第1基板の主面と当接する第1被覆部と、前記第3基板の主面と当接する第2被覆部を有し、前記第1被覆部および前記第2被覆部はシール材にてそれぞれ前記第1基板および前記第3基板に固着されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光パネル。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の有機発光パネルと、
前記導電性被覆材と当接して前記有機発光パネルを保持する保持部と、
該保持部に給電する配線とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
前記保持部が固定され前記配線が設けられた保持基板を有することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記保持部は前記有機発光パネルの対向する2辺に沿って設けられ、前記有機発光パネルの発光面を水平方向に移動させて着脱可能とする開口部が設けられることを特徴とする請求項10に記載の照明装置。
【請求項12】
前記有機発光パネルは一の辺に突起部が設けられ、前記保持部は前記突起部が嵌合する溝が設けられることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記保持基板は前記開口部端部に段差が設けられることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−65523(P2013−65523A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204801(P2011−204801)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(311013775)株式会社イー・エル・テクノ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(311013775)株式会社イー・エル・テクノ (1)
【Fターム(参考)】
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