説明

有機発光素子及びその製造方法

【課題】発光スペクトルの角度依存性が小さく、角度によらず所望の色調の発光を示す高品位発光を実現することができると共に、色調の調整が可能な有機発光素子を提供する。
【解決手段】一対の電極1,2の間に発光層3を備えて形成される第1の発光部4と、一対の電極5,6の間に発光層7を備えて形成される第2の発光部8とを積層して形成される有機発光素子に関する。上記の4つの電極のうち、外側に位置する電極の一方が光反射性を有する電極であると共に、他の総ての電極は光透過性であり、且つ、第1の発光部4と第2の発光部8の間に、光反射性の電極を有しない側の発光部4の発光層3で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、この発光層3で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層9を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットディスプレイパネル、液晶表示機用バックライト、照明用光源等に用いられる有機発光素子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)と称される有機発光素子は、陽極となる透明電極、ホール輸送層、有機発光層、電子注入層、陰極となる電極の順に、透明基板の片側の表面に積層した構成のものが、その一例として知られている。そして陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、電子注入層を介して発光層に注入された電子と、ホール輸送層を介して発光層に注入されたホールとが、発光層内で再結合し、励起状態が生成して発光が起こり、発光層で発光したこの光は透明電極及び透明基板を通して取り出されるようになっている。
【0003】
有機発光素子は、自発光であること、比較的高効率の発光特性を示すこと、各種の色調で発光可能であること等の特徴を有するものであり、表示装置、例えばフラットパネルディスプレイ等の発光体として、あるいは光源、例えば液晶表示機用バックライトや照明としての活用が期待されており、一部ではすでに実用化されている。しかし、有機発光素子は、その輝度と寿命とがトレードオフの関係にあり、より鮮明な画像、あるいは明るい照明光を得るために輝度を増大させると、寿命が短くなるという性質を有する。
【0004】
この問題を解決するものとして、近年、陽極と陰極の間に発光層を複数備え、かつ各発光層間に等電位面を形成する層、もしくは電荷発生層を設けるようにした有機発光素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図16はこのような有機発光素子の構造の一例を示すものであり、陽極となる電極20と陰極となる電極21の間に複数の発光層22を、隣接する発光層22の間に等電位面を形成する層もしくは電荷発生層23を介在させた状態で積層し、これを透明基板24の表面に積層したものであり、電極20は光透過性の電極として、電極21は光反射性の電極として形成してある。尚、図16において、発光層22の両側にはホール輸送層と電子注入層が設けられているが、ホール輸送層と電子注入層の図示は省略してある。そしてこのように複数層の発光層22を等電位面形成層もしくは電荷発生層23で仕切ることによって、電極20,21間に電圧を印加したとき、複数の発光層22があたかも直列的に接続された状態で同時に発光し、各発光層22からの光が合算されるため、一定電流通電時には従来型の有機発光素子よりも高輝度で発光させることができ、上記のような輝度−寿命のトレードオフを回避することが可能になるものである。
【0006】
しかしながら、有機発光素子において知られている、発光輝度、発光スペクトルの視野角依存性、膜厚依存性、及び光利用効率の低下等の問題は、有機発光素子が光学波長オーダーの膜厚を有する薄膜デバイスであることや、素子内に屈折率段差もしくは金属面等からなる反射面を有することや、高屈折率媒体中で光が発生することなどに由来する、光干渉効果、全反射による有機膜の発光層、基板、電極等の高屈折率媒体内への光閉じ込めなどの現象によるものであるため、上記のような複数の発光層を備える有機発光素子では、これらの問題がより顕著に発生することになる。
【0007】
光干渉効果は、それを適切に利用すれば、色純度の向上、指向性の制御等を実現することが可能であり、特にフラットパネルディスプレイ等の用途に有用である。例えば引用文献2には、発光層−光反射性の電極間の光学距離を1/4波長の奇数倍に調整することや、発光位置−最大屈折率段差位置間の光学距離を1/4波長の偶数倍に調整することで、この波長を強調することが可能であることが記載されており、特に発光層−光反射性の電極間の光学距離が発光スペクトルに与える影響が大きいことが知られている。さらに特許文献3には、複数の発光層のそれぞれの発光位置から光反射性の電極までの光学膜厚をすべて1/4波長の奇数倍にすることで、最も高効率の発光が得られると共に、発光スペクトル形状が細くなることが記載されている。
【0008】
しかし、上記のように発光層−光反射性の電極間の光学距離や、発光層−最大屈折率段差位置間の光学距離、つまり素子の膜厚の最適化によって色純度等の適正化を行なった有機発光素子では、膜厚が変化した際の発光輝度や発光色の変動が大きくなる。これはすなわち、有機発光素子の製造時の膜厚許容性が狭くなることを意味するものであり、生産性の問題に直結するものである。特に複数の発光層や等電位面形成層もしくは電荷発生層などを積層した構造の上記のような有機発光素子では、いずれかの層の光学特性のずれ(膜厚・屈折率の異常)が他の層の光学位置にさえも影響を及ぼすため、膜厚制御の精度や必然性がさらに増大することになる。
【0009】
さらに上記の特許文献3のものでは、発光層−光反射性の電極間の光学距離を1/4波長の奇数(2n+1)[n=0,1,2…]倍に設定することが効率の観点で好ましいとされているが、実際にはnの値が大きくなるに伴なって、輝度やスペクトルの角度依存性が大きくなるという問題が新たに生じる。すなわち、発光層を一層のみ有する有機発光素子では、概ねn=0に相当する光学長で膜厚設計がなされることが多いために、膜厚変化に対する発光輝度、発光色の変動は必ずしも大きくないが、上記のような複数層の発光層を備える有機発光素子においては、各発光層が1/4波長の(2n+1)[n=0,1,2…]倍の位置に必然的に位置するため、層数の増大に伴なって特定の波長がより顕著に強調され、発光層が本来有するスペクトルとは大きく異なる発光スペクトルを与えると同時に角度依存性が大きくなる問題を有するものである。よって、上記のような複数層の発光層を備える有機発光素子は、確かに従来型の有機発光素子では実現不可能であった高い電流効率、量子効率を実現することができるが、その発光スペクトル及び視野角依存性に関しては必ずしも好ましい特性を有するものではない。
【0010】
一方、前記の図16の構造を有する有機発光素子は、複数の各発光層が直列接続されているため、各発光層に供給される電流値は常に同一であり、各発光層の発光色を駆動時に個別にコントロールすることは実質的に不可能である。有機発光素子を製造する際に、所定の発光色を呈するように各発光層を選定して設計することで、各発光層が種々の発光色で発光する有機発光素子を得ることは可能であるが、一度発光色が決まったものを変えることはできない。また例えばRGBそれぞれの発光色を呈する複数の発光層を積層した場合には、その発光色の合算によって白色発光を得ることが可能であるが、各発光色を呈する発光層の輝度に対する発光特性挙動が異なる場合、各輝度における発光色が変化することになるという問題が生じる。さらに複数の各発光層の寿命が異なる場合、駆動に伴って、先に劣化した発光層からの発光色が減少するため、色ずれを生じるという問題もある。例えば有機発光素子をディスプレイの発光光源として用いた場合には、表示される発光色の色バランスが狂い、また照明の光源として用いた場合には、劣化が色ずれとして視認されるために好ましくない。
【0011】
また、特許文献4には、電極を有する発光層を複数積層した積層型有機発光素子が提案されている。この有機発光素子は、独立したもしくは一部を共通とした電極を備える複数の発光層を、必要に応じて絶縁層を介して積層したものであり、ディスプレイ用途に使用可能であるとされている。しかしこの構造の有機発光素子においても、発光層間の距離は、例え絶縁層が挿入されている場合にも小さいものであり、前記の光干渉の問題を回避することはできない。事実、光干渉があることを前提に、この特許文献4では、各発光層の位置をその発光波長に基づいて設定し、高色純度で発光する素子設計方針が提案されている。この提案内容は干渉設計を利用したものであり、その要点は前記の特許文献2の場合と同様に、発光層と光反射層との間の距離を所定の波長の光を強調する膜厚とすることであるため、発光波長の角度依存性の問題は依然として存在している。このように、この特許文献4の構造の有機発光素子は、駆動時に発光色を変更することが可能であるものの、それ以外の問題、特に発光層の積層数が増大した際の発光色の角度依存性に対する問題が解決されたものではない。
【特許文献1】特開平11−329748号公報
【特許文献2】特開2000−323277号公報
【特許文献3】特開2003−272860号公報
【特許文献4】特表2001−511296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、発光スペクトルの角度依存性が小さく、角度によらず所望の色調の発光を示す高品位発光を実現することができると共に、色調の調整が可能な有機発光素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る有機発光素子は、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの電極のうち、外側に位置する電極の一方が光反射性を有する電極であると共に、他の総ての電極は光透過性であり、且つ、第1の発光部と第2の発光部の間に、光反射性の電極を有しない側の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、この発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を備えて成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項2に係る有機発光素子は、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの総ての電極が光透過性であると共に、外側に位置する電極のうち一方の電極の外側に光反射性を有する光反射層を有し、且つ、第1の発光部と第2の発光部の間に、光反射層を有しない側の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、この発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を備えて成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項3に係る有機発光素子は、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの総ての電極が光透過性であり、且つ、外側に位置する電極のうち一方の電極の外側に、第1及び第2の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、これらの発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を介して、光反射性を有する光反射層を備えて成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、第1及び第2の発光部のうち少なくとも一方が、等電位面を形成する層もしくは電荷発生層を介して積層される複数の発光層を、電極間に備えて形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層、発光層で発光した光を散乱させる光透過性の絶縁層が、ガラス板もしくはフィルムで形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項6に係る有機発光素子の製造方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機発光素子を製造するにあたって、発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、発光層で発光した光を散乱させる、第1の光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか一方の発光部を形成する工程と、第2の光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか他方の発光部を形成する工程と、第1の光透過性基板に、第2の光透過性基板に形成した発光部を積層することによって、2つの発光部を第1の光透過性基板を介して積層する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項7に係る有機発光素子の製造方法は、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機発光素子を製造するにあたって、発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、発光層で発光した光を散乱させる、光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか一方の発光部を形成する工程と、上記光透過性基板の発光部を形成した反対側の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか他方の発光部を形成する工程と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、これらの発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を有するので、発光スペクトルの角度依存性が小さく、角度によらず所望の色調の発光を示す高品位発光を実現することができるものである。また、第1の発光部と第2の発光部の間に光透過性の絶縁層を有することによって、両発光部を電気的に切り離すことができ、各発光部を独立して駆動することができるものであり、必要に応じて各発光部の発光特性を変化させることができ、色調の調整が可能な有機発光素子を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
図1(a)は請求項1の発明の実施の形態の一例を示すものであり、第1及び第2の二つの電極1,2の間に第1の発光層3を積層して形成される第1の発光部4と、第3及び第4の二つの電極5,6の間に第2の発光層7を積層して形成される第2の発光部8とを、光透過性の絶縁層9を介して積層した構造に形成されており、これらを基板26の上に設けて有機発光素子(有機EL発光素子)として形成するようにしてある。第1の発光部4において、第1及び第2の電極1,2のうち、一方が陽極、他方が陰極となるものであり、また第2の発光部8において、第3及び第4の電極5,6のうち、一方が陽極、他方が陰極となるものである。また第1〜第4の電極1,2,5,6のち、第1の発光部4の外側に位置する第1の電極1あるいは第2の発光部8の外側に位置する第4の電極6のいずれか一方が光反射性電極として形成されるものであり、他の総ては光透過性電極として形成されるものである。
【0023】
図1(a)の実施の形態では、基板26の片面に、第1の電極1、第1の発光層3、第2の電極2、光透過性の絶縁層9、第3の電極5、第2の発光層7、第4の電極6をこの順に積層した構造に形成してあり、図1(a)の矢印のように発光層3,7で発光した光を基板26の側から取り出す場合には、基板26を透明樹脂板や透明樹脂シートなどで光透過性基板として形成すると共に、第1の電極1、第2の電極2、第3の電極5をそれぞれ光透過性の電極で形成し、また第4の電極6は光反射性を有する電極として形成してある。
【0024】
第1及び第2の発光部4,8を構成する第1及び第2の発光層3,7は、公知の任意の構造・組成のものを用いることができるものであり、例えば、単一の材料で発光する発光層、いわゆるホスト材料中にドーパントを導入したドープ型発光層、異なる組成からなる二層以上の発光層を積層もしくは併置した構造の発光層等として形成することができる。ここで、各発光層3,7と電極1,2,5,6の間には、必要に応じて、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層、キャリアブロック層等が積層されるが、図1(後述の各図においても同じ)にはこれらの各層の図示は省略してある。
【0025】
第1〜第4の電極1,2,5,6のうち、光透過性の電極の材料としては、有機発光素子の機能を損ねない限り特に限定されるものではないが、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO等の透明導電膜、Ag、Au、Al等の金属薄膜、導電性有機材料や、あるいはこれらを組み合わせたものを好適に用いることができる。光透過性の電極はその透過率が高いことが好ましい。また、光透過性の電極と隣接する層との界面および/または電極そのものの反射率が低い場合に、本発明の効果をより有効に得ることができる。光透過性の電極と隣接する層との界面に於ける反射率は、例えば、光透過性の電極と、光透過性の電極に隣接する層(空気層の場合も含む)との間に、いわゆる反射防止膜を形成することによって低減することが可能である。あるいは単純に両者の屈折率の間に位置する屈折率の層を設けてもよい。
【0026】
また光反射性の電極の材料としては、有機発光素子の機能を損ねずまた十分な光反射率を有していればよく、特に限定されるものではないが、Al、Ag、Au、Ni、Crその他の金属電極、もしくは前記の透明導電膜とこれらの金属電極もしくは誘電体多層膜等任意の反射層、導電性有機材料との組み合わせからなるものを好適に用いることができる。
【0027】
第1の発光部4と第2の発光部8の間に積層される光透過性の絶縁層9は、光反射性の電極6を有しない側の発光部4、すなわち光を取り出す側の発光部4の発光層3で発光した光が干渉を起こさない厚みの層、あるいは、この発光層3で発光した光を散乱させる層として形成されるものである。
【0028】
このような光を取り出す側の発光部4の発光層3で発光した光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層9としては、本発明の趣旨に反しない限り特に限定されるものではないが、例えばSiO、SiO、SiN、LiF、MgF等の蒸着、スパッタ、CVD等の手段で成膜が可能な光透過性材料や、無機系樹脂、有機系樹脂等のスピンコート、ディップコート、塗布、インクジェット、グラビア、スクリーンなど任意の印刷法・コート法で形成される光透過性の膜や、さらに有機材料や無機材料からなるシート、フィルム、ゲル、シール、板など貼付や配置することによって用いることができる材料で、形成することができるものである。また有機発光素子を保持する基板自体で形成することも可能である。ここで、光が干渉を起こさない厚みとは、一般に発光波長の数倍以上のオーダーであれば特に限定されるものではなく、例えば1μm〜3mm程度の厚みである。
【0029】
また光を取り出す側の発光部4の発光層3で発光した光を散乱させる光透過性の絶縁層9としては、上記の層中に光散乱成分、例えば層を形成する周辺材料とは屈折率の異なる粒子、箔などを含有するものや、異なる屈折率を有する界面を内部に備える組み合わせの、例えば凹凸を有する材料上に別の材料を積層したもの、周辺材料と相分離を起こすことによって散乱性を発現する材料の組み合わせからなるものや、層中に反射性を有する粒子、箔、面などを含むものなどで形成することができるものである。この光を散乱させる光透過性の絶縁層9の膜厚は特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に設定することができるものである。
【0030】
また、光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層9や、光を散乱させる光透過性の絶縁層9としては、ガラス板あるいはフィルムおよびこれに準じるもの、例えば樹脂板、プラスチックシート、ガラスとプラスチックの複合体、光透過性セラミック板、樹脂硬化体、有機・無機ハイブリッド材料からなるシート・フィルムなど、光透過性を有する基材を用いることもできる。この場合、ガラス板やフィルムの表面に電極1,2,5,6や発光層3,7を積層することによって、ガラス板やフィルムで絶縁層9を形成することができるものである。そしてガラス板やフィルムは基板としての機能も有するので、後述の図4や図5の製造方法で有機発光素子を製造する際に用いる光透過性基板12を、このガラス板やフィルムで形成することができるものである。
【0031】
図2(a)は請求項2の発明の実施の形態の一例を示すものであり、積層構成は図1(a)のものとほぼ共通するが、第1〜第4の電極1,2,5,6は総て光透過性の電極として形成してある。そして第1の発光部4の外側に位置する第1の電極1あるいは第2の発光部8の外側に位置する第4の電極6のいずれか一方の外側に、光反射性を有する光反射層10を積層して設けてある。図2(a)の矢印のように発光層3,7で発光した光を基板26の側から取り出す場合には、第4の電極6の外面に光反射層10が形成されるものである。
【0032】
この電極6の外側に形成される光反射層10は、いわゆる鏡面反射性を有するものであってもよいし、光散乱性・拡散反射性を有するものであってもよい。鏡面反射性を有するものとしては、例えば、Al、Ag等の金属膜、誘電体多層膜からなる反射膜など、実質的に鏡面反射を示す任意の反射体を用いることができる。また光散乱性・拡散反射性を有するものとしては、例えば、酸化バリウム、酸化チタン等の粒子の層からなる反射面や、凹凸形状を有する面の上に形成した金属膜や誘電体多層膜からなる反射膜や、鏡面反射性を有する層の上に、光散乱性、光拡散性、回折性を有する光透過性の層を設けたものなどで形成することができる。
【0033】
図3(a)は請求項3の発明の実施の形態の一例を示すものであり、第1及び第2の二つの電極1,2の間に第1の発光層3を積層して形成される第1の発光部4と、第3及び第4の二つの電極5,6の間に第2の発光層7を積層して形成される第2の発光部8とを積層した構造に形成されており、これらを基板26の上に設けて有機発光素子(有機EL発光素子)として形成するようにしてある。第1の発光部4において、第1及び第2の電極1,2のうち、一方が陽極、他方が陰極となるものであり、また第2の発光部8において、第3及び第4の電極5,6のうち、一方が陽極、他方が陰極となるものである。第1〜第4の電極1,2,5,6は総て光透過性の電極として形成してあり、そして第1の発光部4の外側に位置する第1の電極1あるいは第2の発光部8の外側に位置する第4の電極6のいずれか一方の外側に、第1及び第2の発光層3,4で発光した光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層9、あるいは、第1及び第2の発光層3,4で発光した光を散乱させる光透過性の絶縁層9を介して、光反射性を有する光反射層10を積層して設けてある。図3(a)の矢印のように発光層3,7で発光した光を基板26の側から取り出す場合には、第4の電極6の外面に光透過性の絶縁層9を介して、光反射性を有する光反射層10が形成されるものである。また図3(a)の実施の形態では、第1の発光部4と第2の発光部5の間に光透過性の絶縁層14が設けてあるが、この光透過性の絶縁層14は必要に応じて設けられるものであり、必ずしも必要なものではない。
【0034】
光透過性の電極1,2,5,6、発光層3、干渉を起こさない厚みのあるいは光散乱性の光透過性の絶縁層9の材料は、上記で用いたものと同じものを使用することが可能である。また第1の発光部4と第2の発光部5の間の光透過性の絶縁層14の厚みは特に限定されるものではなく、光散乱性の有無も特に問うものではない。この光透過性の絶縁層14を設けない場合、第1の発光部4と第2の発光部8の電極2,5を共用した一つの電極で形成することが可能になる。例えば、第1の発光部4のための陽極/第1の発光層3/第1の発光部4のための陰極兼第2の発光部8のための陰極/第2の発光層7/第2の発光部8のための陽極、というように、電極を形成することができるものである。
【0035】
尚、上記の各実施の形態にあって、発光部は第1の発光部4と第2の発光部8の2つの例を挙げているが、3つ以上の発光部の場合にも、こられの発光部のうち少なくとも隣合う2つの発光部が、上記のような第1の発光部4と第2の発光部8の構成を満たすものであればよい。
【0036】
図1(b)、図2(b)、図3(b)の各実施の形態は、等電位面を形成する層11もしくは電荷発生層11を介して積層した複数の発光層3,7で発光部4,8を形成し、いわゆる積層型、タンデム型、マルチフォトン型の発光部として形成するようにしたものである。第1及び第2の発光部4,8の両方をこのような複数の発光層3,7で形成するようにしてもよく、第1及び第2の発光部4,8のいずれか一方をこのような複数の発光層3,7で形成するようにしてもよい。等電位面形成層11もしくは電荷発生層11の材料としては、例えばAg、Au、Al等の金属薄膜、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステン等の金属酸化物、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO等の透明導電膜、いわゆるn型半導体とp型半導体の積層体、金属薄膜もしくは透明導電膜とn型半導体及び/またはp型半導体との積層体、n型半導体とp型半導体の混合物、n型半導体及び/またはp型半導体と金属との混合物、などを挙げることができる。n型半導体やp型半導体としては、無機材料であっても、有機材料であってもよく、あるいは有機材料と金属との混合物や、有機材料と金属酸化物や、有機材料と有機系アクセプタ/ドナー材料や、無機系アクセプタ/ドナー材料等の組合わせによって得られるものであってもよく、特に制限されることなく必要に応じて選定して使用することができる。
【0037】
上記のように形成される図1、図2、図3の有機発光素子にあって、第1の発光部4の発光層3や、第2の発光部8の発光層7で発光した光は、光透過性の基板26を通して取り出される。第1の発光部4の発光層3や、第2の発光部8の発光層7で発光した光の一部は、図1の実施の形態では光反射性を有する電極6で反射して、図2の実施の形態では光反射層10で反射して、図3の実施の形態では光反射層10で反射して、光透過性の基板26を通して取り出される。
【0038】
そして本発明のこれらの有機発光素子には、光が干渉を起こさない厚みの、あるいは光散乱性を有する光透過性の絶縁層9が設けられているので、発光スペクトルの角度依存性を低減することができるものである。発光スペクトルの角度依存性は、発光位置から発生した光と、その光が反射面で反射された光の干渉によって生じるものであるが、光の取り出し側に近い位置に存在する発光部と光反射面との距離を光学干渉が発生しない距離に設定することにより、角度依存性を低減することができるものである。光学干渉抑制効果は、図1や図2の実施の形態の場合には、第1及び第2の発光部4,8の間に設けられた、実質的に光学干渉が発生しない光学長に相当する厚みの光透過性絶縁層9あるいは光散乱性の光透過性絶縁層9によって発現し、図3の実施の形態の場合には、光の取り出し側から最も遠い位置にある光透過性の電極6の外側に設けられた、実質的に光学干渉が発生しない光学長に相当する厚みの光透過性絶縁層9あるいは光散乱性の光透過性絶縁層9によって発現するものである。尚、最も光反射面に近い発光部8の発光層7はその光学的設計によって、例えば、その発光部位と反射面との光学的距離が1/4波長の奇数倍の距離になるように設定することで、より好ましくは、発光部位と、発光部位に対して反射面とは反対側に位置する反射率段差が最も大きな界面との距離を1/4波長の整数倍に設定することで、好ましくない干渉効果をほぼ抑制することが可能であるため、必要に応じて、このような膜厚設計による光干渉効果の抑制方法を併用するようにしてもよい。また光の取り出し側に近い側の、すなわち反射面から遠い側の発光部4の発光層3に関しても、同様の膜厚設計をすることによって、好ましくない干渉効果を調整することが可能であるが、その効果は比較的低いことを認識して適用することが必要である。
【0039】
また、本発明に係る有機発光素子は、第1及び第2の複数の発光部4,8を有し、これらが異なる電極1,2及び5,6間に形成された構造を有するものである。そして図1、図2、図3のように第1の発光部4と第2の発光部8の間に光透過性の絶縁層9,14が介在していることによって、両発光部4,8は電気的に切り離されており、各発光部4,8をそれぞれ個別に駆動して発光させることが可能である。また図3において絶縁層14を備えない構造の場合、既述のように第1及び第2の発光部4,8に電極を共有させるようにしてもよい。このような電気的構造を有することで、第1の発光部4と第2の発光部8には必要に応じて異なる電界を印加して駆動し、必要に応じて発光特性を変化させることが可能である。
【0040】
例えば、本発明の有機発光素子で白色有機発光素子を形成してカラーフィルターと組み合わせて用いたディスプレイの場合、基本発光色である白の色ずれを、予め劣化の速い色調の光を発する発光部を白色の発光部以外に備えた素子構造としておくことによって、使用途中でも補正することが可能である。もしくは、同一の発光色を有する発光部を積層している場合、発光強度の低下に伴って、新たな発光部を発光させることで、強度補正も可能である。一方、照明用途では、上記のディスプレイの場合に挙げたように発光色の色ずれ、発光強度の低下の補正用に用いることも可能であるし、あるいは、例えば白色の発光部と赤色の発光部を用意しておくことによって、白色発光から赤色発光の範囲の光を調色することのできる光源を得るといった用途にも使用可能である。また必要に応じて、調整するための色調を用意しておき、2つの発光部での出力比で調色することも可能であるし、また発光部を3つ以上設け、各発光部の出力を調整することで、黒体軌跡に沿った調色も可能である。各発光部の発光色及び発光部の数は、上記のような用途・目的・必要性に応じて任意に設定することが可能である。
【0041】
第1と第2の各発光部4,8の駆動方法は、既存の任意の方法を組み合わせて行なうことができるものであり、各発光部4,8の発光出力の関係は適宜設定することができるものである。各発光部4,8の出力は、電圧、電流、電力のいずれによって制御してもよいし、あるいはパルスなど任意の電流/電圧波形で通電することによって調整してもかまわない。また各発光部4,8の出力は、各種の方法を用いて制御可能であり、各発光部4,8を独立に制御してもよく、あるいは、例えば黒体軌跡上を発光色が移動するように各発光部4,8の出力を所定の関係に従って制御するようにしてもよい。
【0042】
本発明の有機発光素子の製造は、任意の方法で行なうことができるが、例えば、透明基板26上に形成された透明導電膜を光透過性の第1の電極1とし、この上に第1の発光層3、次いで光透過性の第2の電極2を積層して第1の発光部4を形成し、この上に上記の光透過性の絶縁層9を積層した後、この上に光透過性の第3の電極5、第2の発光層7を積層し、さらにこの上に光反射性を有する第4の電極6を積層して第2の発光部8を形成することによって、図1のような有機発光素子を製造することができる。また光反射性を有する第4の電極6の代りに、光透過性の第4の電極6を形成すると共にその上に光反射層10を積層することによって、図2のような有機発光素子を製造することができる。また、透明基板26上に形成された透明導電膜を光透過性の第1の電極1とし、この上に第1の発光層3、次いで光透過性の第2の電極2を積層して第1の発光部4を形成し、必要に応じて上記の光透過性の絶縁層14を積層した後、この上に光透過性の第3の電極5、第2の発光層7、光透過性の第4の電極6を積層して第2の発光部8を形成し、さらにこの上に上記の光透過性の絶縁層9を積層した後、この上に光反射性層10を積層することによって、図3のような有機発光素子を製造することができる。
【0043】
図4は請求項6の製造方法の実施の形態の一例を示すものであり、図4(a)のように、光が干渉を起こさない厚みの、あるいは光散乱性の第1の光透過性基板12を用い、この第1の光透過性基板12の表面に、電極28、発光層29、電極30をこの順に積層して発光部31を形成する。また図4(b)のように、第2の光透過性基板13の表面に、電極32、発光層33、電極34をこの順に積層して発光部35を形成する。そして図4(c)のように、第1の光透過性基板12の発光部31を形成した面と反対側の表面に、第2の光透過性基板13に形成した発光部35の電極34を積層することによって、2つの発光部31,35を第1の光透過性基板12を介して積層した有機発光素子を得ることができるものである。
【0044】
ここで、電極28,32,34を光透過性の電極で形成すると共に電極30を光反射性を有する電極で形成することによって、電極32で第1の電極1、電極34で第2の電極2、発光層33で第1の発光層3、発光部35で第1の発光部4、電極28で第3の電極5、電極30で第4の電極6、発光層29で第2の発光層7、発光部31で第2の発光部8、第1の光透過性基板12で光透過性の絶縁層9、第2の光透過性基板13で基板26がそれぞれ形成される、図1の構成の有機発光素子を得ることができるものである。また、電極28,30,32,34をそれぞれ光透過性の電極で形成すると共に電極30の外側に光反射層10を形成することによって、同様に図2の構成の有機発光素子を得ることができるものである。
【0045】
図5は請求項7の製造方法の実施の形態の一例を示すものであり、図5(a)のように、光が干渉を起こさない厚みの、あるいは光散乱性の光透過性基板12を用い、この光透過性基板12の表面に、電極28、発光層29、電極30をこの順に積層して発光部31を形成する。次に、図5(b)のように、この光透過性基板12の発光部31を形成した側と反対側の表面に、電極32、発光層33、電極34をこの順に積層して発光部35を形成することによって、2つの発光部31,35を光透過性基板12を介して積層した有機発光素子を得ることができるものである。
【0046】
ここで、電極28,32,34を光透過性の電極で形成すると共に電極30を光反射性を有する電極で形成することによって、電極34で第1の電極1、電極32で第2の電極2、発光層33で第1の発光層3、発光部35で第1の発光部4、電極28で第3の電極5、電極30で第4の電極6、発光層29で第2の発光層7、発光部31で第2の発光部8、光透過性基板12で光透過性の絶縁層9がそれぞれ形成される、図1の構成の有機発光素子を得ることができるものである。また、電極28,30,32,34をそれぞれ光透過性の電極で形成すると共に電極30の外側に光反射層10を形成することによって、同様に図2の構成の有機発光素子を得ることができるものである。
【0047】
上記の図4や図5の実施の形態のように、光が干渉を起こさない厚みの、あるいは光散乱性の光透過性基板12を用い、この光透過性基板12に第1の発光部4や第2の発光部8を形成することによって、光が干渉を起こさない厚みの、あるいは光散乱性の光透過性の絶縁層9を別途特別に形成するような必要がなくなり、製造の工数を低減することができるものである。
【0048】
上記の図5の実施の形態では、一枚の光透過性基板12の両面に発光部31と発光部35をそれぞれ形成するようにした例を示したが、例えば,図6(a)のように、光透過性基板12aの上に発光部31を形成し、また図6(b)のように別の光透過性基板12bの上に発光部35を形成し、そして図6(c)のように光透過性基板12aの発光部31を形成した面と反対側の表面に、光透過性基板12bの発光部35を形成した面と反対側の表面を接触させることによって、有機発光素子を製造することもできる。このものでは、2枚の光透過性基板12a,12bで光透過性基板12が形成されるものであり、図5のものと光学的に類似のものと見なせるものである。この図6の場合、2つの光透過性基板12a,12bの発光部31,35と反対の面同士を近接して配設するようにしてもよい。この場合、光透過性基板12a,12bの間は、光透過性基板12a,12bと同等の屈折率を有する媒体で満たすかまたは接着するか、もしくは散乱性を有する媒体で満たすかまたは接着するのが好ましい。場合によっては、光透過性基板12a,12b同士を近接させるのみでもかまわない。この図6の方法によれば、一枚の光透過性基板12の両面にそれぞれ発光部31,35を形成するという、操作上困難なプロセスを採用するような必要がなくなり、光透過性基板12a,12bの各片面に発光部31,35をそれぞれ形成するという、操作が容易で一般的なプロセスを採用することが可能になるものである。
【実施例】
【0049】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0050】
(青色発光素子Aの作製)
厚み0.7mmのガラス基板の片面に1100Å厚のITO(シート抵抗12Ω/□)が形成されたITO付きガラス基板を用意した。このITO付きガラス基板40を、図7(a)の寸法で、ITO41をエッチングして残すと共に切断した。次いで、このITO付きガラス基板を純水、アセトン、イソプロピルアルコールで各10分間超音波洗浄した後、イソプロピルアルコール蒸気で2分間蒸気洗浄して、乾燥し、さらに10分間UVオゾン洗浄した。
【0051】
続いてこのITO付きガラス基板を真空蒸着装置にセットし、図7(b)の寸法の開口部42を設けたマスク43を用いて、5×10−5Paの減圧下、4,4′−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(e−Ray社製「α−NPD」)と酸化モリブデン(MoO)を3:1の成膜速度比で、合計成膜速度を1.3Å/sとして100Å厚に蒸着し、陽極となるITOの上にホール注入層を形成した。次いで、ホール注入層の上に「α−NPD」を1Å/sの蒸着速度で700Å厚に蒸着して、ホール輸送層を形成した。次いでホール輸送層の上に、ジナフチルアントラセン誘導体(コダック社製「BH−2」)にジスチリルアリーレン誘導体([化1])を4質量%ドープした層を500Å厚積層することによって、青色に発光する発光層を設けた。次にこの発光層の上に、バソクプロイン((株)同仁化学研究所製「BCP」)を100Å厚、「BCP」とCsをモル比1:1で100Å厚に共蒸着して電子注入層を設けた。さらにこの上に、「α−NPD」と酸化モリブデン(MoO)を3:1の成膜速度比で、合計成膜速度を1.3Å/sとして100Å厚に蒸着し、電荷発生層を形成した。この後、この上に、上記と同様にしてホール輸送層を700Å厚、発光層を500Å厚、電子輸送層を100Å厚、電子注入層を100Å厚で積層した。さらにこの上に、図7(c)の寸法の開口部44を設けたマスク45を用いて、アルミニウムを4Å/sの成膜速度で100Å厚積層して、光透過性の陰極を形成することによって、2層の青色に発光する発光層を電荷発生層を挟んで設けた、青色発光素子Aを得た。
【0052】
【化1】

【0053】
(黄色発光素子Bの作製)
150μm厚みのガラス板の片面に、厚み1100ÅのITO41を図7(a)の寸法で成膜した。
【0054】
このITO付きガラス板を真空蒸着装置にセットし、図7(b)のマスクを用いて、上記と同様にして、陰極となるITOの上に、電子注入層として「BCP」とCsのモル比1:1の共蒸着層を150Å厚、電子輸送層として「BCP」を50Å厚、発光層として「BH−2」に[化2]に示す材料を4質量%ドープしたものを500Å厚、ホール輸送層として「α−NPD」を400Å厚、ホール注入層として「α−NPD」と酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を200Å厚、それぞれこの順に形成し、最後に図7(c)のマスクを用いて、アルミニウムを4Å/sの成膜速度で800Å厚積層して、光反射性の陽極を形成することによって、黄色に発光する発光層を設けた黄色発光素子Bを得た。
【0055】
【化2】

【0056】
(白色発光素子Cの作製)
上記の(青色発光素子Aの作製)において、2層目の発光層を、「BH−2」に[化2]の化合物を1質量%ドープした50Å厚の層と、「BH−2」に[化1]の化合物を4質量%ドープした450Å厚の層とを積層したものに変更する他は、上記の(青色発光素子Aの作製)と同様にして、白色に発光する白色発光素子Cを得た。この白色発光素子Cの発光色度は(0.28,0.37)であった。
【0057】
(赤色発光素子Dの作製)
上記の(黄色発光素子Bの作製)において、発光層を、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)にDCJTBを2質量%ドープしたものを500Å厚に蒸着して形成するようにした他は、上記の(黄色発光素子Bの作製)と同様にして、赤色に発光する赤色発光素子Dを得た。
【0058】
(白色発光素子Eの作製)
上記の青色発光素子Aの作製で用いたのと同じITO付きガラス基板40の上に、図7(b)の寸法の開口部42を設けたマスク43を用いて、電子注入層としてBCPとCsのモル比1:1の共蒸着層を50Å厚、電子輸送層としてAlqを150Å厚、発光層としてBH−2に[化1]に示す材料を4質量%ドープしたものを500Å厚、ホール輸送層としてα−NPDを600Å厚、ホール注入層としてα−NPDと酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を150Å厚蒸着し、青色発光部を設けた。次いで、電子注入層としてBCPとCsのモル比1:1の共蒸着層を50Å厚、電子輸送層としてAlqを250Å厚、発光層としてBH−2に化2に示す材料を1.5質量%ドープしたものを500Å厚、ホール輸送層としてα−NPDを600Å厚、ホール注入層としてα−NPDと酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を150Å厚蒸着し、黄色発光部を設けた。さらに電子注入層としてBCPとCsのモル比1:1の共蒸着層を50Å厚、電子輸送層としてAlqを150Å厚、発光層としてBH−2に[化1]に示す材料を4質量%ドープしたものを500Å厚、ホール輸送層としてα−NPDを600Å厚、ホール注入層としてα−NPDと酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を200Å厚蒸着し、青色発光部を設けた。最後に図7(c)の寸法の開口部44を設けたマスク45を用いて厚み100Åの金を蒸着して陽極を形成し、また、厚み600ÅのLiFを保護層および電極と空気との中間的な屈折率を有する層として蒸着して、白色発光素子Eを得た。
【0059】
(白色発光素子Fの作製)
白色発光素子Eと同様に3種の発光層を形成し、最後の金電極の代わりに厚み800ÅのAlを蒸着して陽極を形成し、白色発光素子Fを得た。
【0060】
(実施例1)
上記の青色発光素子Aを真空蒸着装置にセットし、この青色発光素子Aの陰極の上に、図8(a)の寸法の開口部47を設けたマスク48を用いて、LiFを20μmの厚みで真空蒸着することによって、光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層を形成した。次に、この絶縁層の上に、図8(b)の寸法の開口部49を設けたマスク50を用いて金を100Åの厚みで成膜して透明の陽極を形成し、さらにこの上に、図7(b)の寸法の開口部42を設けたマスク43を用いて、ホール注入層として「α−NPD」と酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を1200Å厚、ホール輸送層として「α−NPD」を500Å厚、黄色発光の発光層として「BH−2」に[化2]に示す材料を4質量%ドープしたものを500Å厚、電子輸送層として「BCP」を50Å厚、電子注入層として「BCP」とCsのモル比1:1の共蒸着層を150Å厚、それぞれこの順に形成し、最後に図8(c)の寸法の開口部69を設けたマスク70を用いて、アルミニウムを800Å厚積層し、光反射性を有する陰極を形成することによって、青色発光素子Aの上に、光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層を介して、黄色発光の黄色発光素子Gを積層した構造の、有機発光素子を得た(図1の構造参照)。
【0061】
そしてこの有機発光素子において、図9のように、下の青色発光素子Aの陽極52と陰極53に電源54を接続し、また上の黄色発光素子Gの陽極55と陰極56に電源57を接続することによって、各素子A,Gの発光部にそれぞれ通電できるようにした。
【0062】
(実施例2)
図10(a)に示すように、青色発光素子Aの発光部59の上に、黄色発光素子Bのガラス板60を、その発光部61と反対側の面で重ねることによって、150μm厚みのガラス板60で形成される光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層を介して、青色発光素子Aと黄色発光素子Bを積層した構造の、有機発光素子を得た(図1の構造参照)。
【0063】
そしてこの有機発光素子において、図10(b)のように、青色発光素子Aの陽極52と陰極53に電源54を接続し、また黄色発光素子Bの陽極62と陰極63に電源64を接続することによって、各素子A,Bの発光部にそれぞれ通電できるようにした。
【0064】
(実施例3)
青色発光素子AのITO付きガラス板40の、ITO形成面と反対側の面(発光部59を形成しなかった側の面)に、実施例1における透明電極である金の蒸着以降を、実施例1と同様にして行ない、黄色の発光素子Hを形成し、0.7mm厚のガラス板で形成される光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層を介して、青色発光素子Aと黄色発光素子Hを積層した図11の構造の、有機発光素子を得た(図1の構造参照)。
【0065】
(実施例4)
白色発光素子Cと赤色発光素子Dを、実施例2と同様にして重ねることによって、150μm厚みのガラス板で形成される光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層を介して、白色発光素子Cと赤色発光素子Dを積層した構造の、有機発光素子を得た(図1の構造参照)。
【0066】
(実施例5)
実施例1において、LiFの絶縁層の代りに、CVDで形成した1000Å厚のSiON膜の上に、スリーボンド社製光硬化性樹脂「30Y−431」に粒径2μmと粒径4μmを1:1の重量比で混合した酸化チタン粒子を50質量%加えたものを、12μm厚でコートすると共に紫外線照射して硬化させて光散乱層を設けることによって、光散乱性の絶縁層を形成した。後は実施例1と同様にして、青色発光素子Aの上に、光散乱性の絶縁層を介して、黄色発光の発光素子Gを積層した構造の、有機発光素子を得た(図1の構造参照)。
【0067】
(実施例6)
青色発光素子Aを真空蒸着装置にセットし、図7(b)のマスクを用いて、青色発光素子Aの陰極の上に、電子注入層として「BCP」とCsのモル比1:1の共蒸着層を150Å厚、電子輸送層として「BCP」を50Å厚、発光層として「BH−2」に[化2]に示す材料を4質量%ドープしたものを500Å厚、ホール輸送層として「α−NPD」を400Å厚、ホール注入層として「α−NPD」と酸化モリブデンを3:1の割合で共蒸着した層を200Å厚、それぞれこの順に形成し、次いで図7(c)のマスクを用いて、800Å厚のIZOを光透過性の陽極として形成し、さらにこの上に500ÅのSiON膜をスパッタして光が干渉しない厚みの光透過性の絶縁層を形成すると共に、この上にスリーボンド社製光硬化性樹脂「30Y−431」を20μm厚でコートして硬化させ、最後に1000Å厚のAlを光反射層として設けることによって、青色発光素子Aと黄色発光素子Iを積層した、有機発光素子を得た(図3の絶縁層を設けていない構造参照)。尚、この有機発光素子において、青色発光素子Aと黄色発光素子Iの陰極は共通電極として用い、各素子の陽極にそれぞれ電源を接続した。
【0068】
(実施例7)
白色発光素子Eと赤色発光素子Dを、それぞれの基板面同士を屈折率1.5の接着剤を用いて発光面が重なる位置関係で積層して、有機発光素子を得た。
【0069】
そしてこの有機発光素子において、図12のように、赤色発光素子Dの陰極66と陽極67に電源68を接続し、また白色発光素子Eの陰極69と陽極70に電源71を接続することによって、各素子D,Eの発光部にそれぞれ通電できるようにした。なおこの時、発光は白色発光素子Eの陽極70である金電極を透過して得られる。
【0070】
(比較例1)
実施例1において、絶縁層であるLiFの膜厚を1000Åに設定するようにした他は、実施例1と同様にして有機発光素子を得た。
【0071】
(比較例2)
実施例1において、LiFの絶縁層を形成しないようにした他は、実施例1と同様にして有機発光素子を得た。この有機発光素子では、青色発光素子Aの陰極と黄色発光の発光素子Gの陽極は電気的に結合されるため、電源の結線は青色発光素子Aの陽極と黄色発光の発光素子Gの陰極に行なった。
【0072】
(比較例3)
白色発光素子Fを単独で用いて、白色発光を得た。
【0073】
上記のように実施例1〜7及び比較例1〜3で得た有機発光素子を、電源(KEITHLEY モデル2400)に接続して、定電流駆動を行ない、CIE色度をマルチチャンネルアナライザー(浜松ホトニクス社製「PMA−11」:測定距離25cm)を用いて測定した。実施例1〜6及び比較例1〜2においては、有機発光素子の正面からと、正面に対して45度の方向から、実施例7及び比較例3においては、有機発光素子の正面からと、正面に対して、20度、40度、60度の方向からスペクトル評価を行った。
【0074】
そして、実施例1で得た有機発光素子について、正面から観測した際の色度座標のX値が0.30となるように通電したときの発光スペクトルを、正面方向から観察したものと45度の角度から観察したものを併せて図13(a)に示す。また発光強度比を種々変更した際の正面発光スペクトルの変化を図13(b)に示す。正面と45度の角度から観察したスペクトルの差は比較的小さく、正面からの色度は(0.30,0.39)、45度からの色度は(0.31,0.40)であった。また図13(c)のように発光強度比を変化させることによって、青色発光素子Aの発光色と黄色発光素子Gの発光色を結ぶ線上の任意の色調での発光が可能であることがわかる。尚、実施例4の有機発光素子では、発光色は白色と赤色を結ぶ線上の任意のものとすることが可能であった。
【0075】
次に実施例7で得た有機発光素子において、白色発光素子Eのみを発光させたときの発光スペクトルを、正面、20度、40度、60度の方向から観測したものを図14(a)に示す。図14(a)にみられるように発光スペクトルの角度依存性が小さいことがわかる。また図14(b)に白色発光素子Eと赤色発光素子Dを任意の電流比で駆動した際の発光スペクトルの変化を示す。図14(b)にみられるように両者のスペクトルが任意に混合されたブロードな発光スペクトルが得られることがわかる。この時の発光色のCIE色度座標上での変化を図14(c)に示す。図14(c)にみられるように、発光色は、白色発光素子Eのそれと、赤色発光素子Dのそれとを結ぶ線近傍の任意のものを得ることが可能であった。
【0076】
また、実施例7の有機発光素子を0度から80度の範囲で回転させた際の各角度に於ける発光色のCIE色度座標上での変化を、比較のために、比較例3で用いた白色発光素子Fの発光色のCIE色度座標上での変化と併せて、図15に示す。図15において「▲」「△」は、実施例7の素子を各条件で駆動させた場合に観測角度0〜80度の範囲で示す色度範囲をそれぞれ示したものである。また、「◇」は、比較例3の白色発光素子が0〜80度の範囲で示す色度範囲を示したものである。図15にみられるように実施例7の有機発光素子の発光色の観測角度による変化は、どの発光色に於いても非常に小さいことがわかる。これに対して、比較例3の白色発光素子は発光色の観測角度による変化は非常に大きいものである。
【0077】
また、各実施例及び各比較例について、正面方向の色度と45度方向の色度の測定結果を表1にまとめて示す。尚、実施例7と比較例3については上記のように詳細に評価したので、表1には記載していない。
【0078】
【表1】

【0079】
表1の「色度の角度依存性」に評価を記すように、各実施例のものは発光色度の角度依存性は小さいが、各比較例のものは色度の角度依存性が大きいものであった。また表1の「色調調整」に評価を記すように、各実施例のものは積層された素子をそれぞれ駆動することができ、色調調整が可能であるが、比較例2のものは、2つの素子が電気的に接続されてしまうためにそれぞれの素子を駆動することができず、色調調整は不可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る有機発光素子の層構成の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図2】本発明に係る有機発光素子の層構成の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図3】本発明に係る有機発光素子の層構成の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図4】本発明に係る有機発光素子の製造方法の一例を示すものであり、(a)〜(c)はそれぞれ概略図である。
【図5】本発明に係る有機発光素子の製造方法の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ概略図である。
【図6】本発明に係る有機発光素子の製造方法の一例を示すものであり、(a)〜(c)はそれぞれ概略図である。
【図7】(a)は実施例に用いられるITO付きガラス基板の平面図、(b),(c)は実施例に用いられるマスクの平面図である。
【図8】(a),(b),(c)は実施例に用いられるマスクの平面図である。
【図9】実施例の有機発光素子の概略平面図である。
【図10】実施例の有機発光素子を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図11】実施例の有機発光素子を示す正面図である。
【図12】実施例の有機発光素子の概略平面図である。
【図13】(a)は実施例1の有機発光素子の発光スペクトルを示すグラフ、(b)は同上の発光強度比を種々変更した際の正面発光スペクトルの変化を示すグラフ、(c)は同上の発光強度比と色調の関係を示すグラフである。
【図14】(a)は実施例7の有機発光素子の発光スペクトルを示すグラフ、(b)は同上の白色発光素子と赤色発光素子を任意の電流比で発光させた際の発光スペクトルの変化を示すグラフ、(c)は同上の発光色のCIE色度座標上での変化を示すグラフである。
【図15】実施例7と比較例3の有機発光素子を0度から80度の範囲で回転させた際の各角度に於ける発光色のCIE色度座標上での変化を示すグラフである。
【図16】従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0081】
1 第1の電極
2 第2の電極
3 第1の発光層
4 第1の発光部
5 第3の電極
6 第4の電極
7 第2の発光層
8 第2の発光部
9 光透過性の絶縁層
10 光反射層
11 等電位面形成層・電荷発生層
12 第1の光透過性基板
13 第2の光透過性基板
14 光透過性の絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの電極のうち、外側に位置する電極の一方が光反射性を有する電極であると共に、他の総ての電極は光透過性であり、且つ、第1の発光部と第2の発光部の間に、光反射性の電極を有しない側の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、この発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を備えて成ることを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの総ての電極が光透過性であると共に、外側に位置する電極のうち一方の電極の外側に光反射性を有する光反射層を有し、且つ、第1の発光部と第2の発光部の間に、光反射層を有しない側の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、この発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を備えて成ることを特徴とする有機発光素子。
【請求項3】
一対の電極の間に発光層を備えて形成される第1の発光部と、一対の電極の間に発光層を備えて形成される第2の発光部とを積層して形成される有機発光素子であって、上記の4つの総ての電極が光透過性であり、且つ、外側に位置する電極のうち一方の電極の外側に、第1及び第2の発光部の発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、これらの発光層で発光した光を散乱させる、光透過性の絶縁層を介して、光反射性を有する光反射層を備えて成ることを特徴とする有機発光素子。
【請求項4】
第1及び第2の発光部のうち少なくとも一方が、等電位面を形成する層もしくは電荷発生層を介して積層される複数の発光層を、電極間に備えて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機発光素子。
【請求項5】
発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの光透過性の絶縁層、発光層で発光した光を散乱させる光透過性の絶縁層が、ガラス板もしくはフィルムで形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の有機発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の有機発光素子を製造するにあたって、発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、発光層で発光した光を散乱させる、第1の光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか一方の発光部を形成する工程と、第2の光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか他方の発光部を形成する工程と、第1の光透過性基板に、第2の光透過性基板に形成した発光部を積層することによって、2つの発光部を第1の光透過性基板を介して積層する工程と、を備えることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の有機発光素子を製造するにあたって、発光層で発光した光が干渉を起こさない厚みの、あるいは、発光層で発光した光を散乱させる、光透過性基板の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか一方の発光部を形成する工程と、上記光透過性基板の発光部を形成した反対側の表面に、電極、発光層、電極をこの順に積層して第1と第2のいずれか他方の発光部を形成する工程と、を備えることを特徴とする有機発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−115645(P2007−115645A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341222(P2005−341222)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構、「高効率有機デバイスの開発事業」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】