説明

有機発光表示装置及びその製造方法

【課題】本発明の目的とするところは、外光反射を抑制して視認性を向上させた有機発光表示装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は有機発光表示装置及びその製造方法に関し、本発明の実施形態にかかる有機発光表示装置は基板部材、前記基板部材上に形成された複数の画素電極、前記画素電極を露出する複数の開口部を有し、前記基板部材上に形成された画素定義膜、前記画素電極上に形成された有機発光層、前記有機発光層及び前記画素定義膜上に形成された第1共通電極、前記第1共通電極上に形成された透過膜、そして前記透過膜上に形成された第2共通電極を含み、前記画素定義膜は前記開口部を有する画素定義部と、前記画素定義部から前記第1共通電極方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に関し、より詳しくは外光反射を抑制して視認性を向上させた有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は正孔注入電極と有機発光層及び電子注入電極を有する複数の有機発光素子(organic light emitting diode)を含む。有機発光層内部で電子と正孔が結合して生成された励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発生するエネルギーによって発光が行われ、これを利用して有機発光表示装置は画像を形成する。
【0003】
したがって、有機発光表示装置は自発光特性を有し、液晶表示装置とは異なって別途の光源を必要としないために厚さと重量を減らすことができる。また、有機発光表示装置は低い消費電力、高い輝度及び高い反応速度などの高品位特性を示すので、携帯用電子機器の次世代表示装置として注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、有機発光表示装置が有する多様な電極及び金属配線は外部から流入した光を反射する。このような外光反射によって有機発光表示装置は黒色の表現及び鮮明度が不良になって表示特性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、外光反射を抑制して視認性を向上させた有機発光表示装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明は、前記有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例による有機発光表示装置は、基板部材、前記基板部材上に形成された複数の画素電極、前記画素電極を露出する複数の開口部をもって前記基板部材上に形成された画素定義膜、前記画素電極上に形成された有機発光層、前記有機発光層及び前記画素定義膜上に形成された第1共通電極、前記第1共通電極上に形成された透過膜、そして前記透過膜上に形成された第2共通電極を含み、前記画素定義膜は前記開口部を有する画素定義部と、前記画素定義部から前記第1共通電極方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部を含む。
【0008】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記透過膜より高い高さで前記透過膜上に突出形成されることができる。
【0009】
前記第1共通電極と前記第2共通電極は前記画素定義膜の光散乱スペーサ部上で互いに接触することができる。
【0010】
前記第1共通電極及び前記第2共通電極のうちの1つ以上は半透過膜で形成されることができる。
【0011】
前記半透過膜はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で作られてもよい。
【0012】
前記有機発光表示装置で、前記画素定義膜を介して前記基板部材と対向配置された密封部材をさらに含み、前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記基板部材と前記密封部材間の間隔を維持することができる。
【0013】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は角錐台、角柱、円錐台、円柱、半球及び半偏球のうちの1種以上の形状を含むことができる。
【0014】
また、本発明の実施例による有機発光表示装置製造方法は、基板部材上に互いに離隔した複数の画素電極を形成する段階、前記画素電極上に感光物質層を塗布する段階、前記感光物質層をマスクを利用した写真工程でパターニングして画素定義膜を形成する段階、前記画素電極上に有機発光層を形成する段階、前記有機発光層上に第1共通電極を形成する段階、前記第1共通電極上に透過膜を形成する段階、そして前記透過膜上に第2共通電極を形成する段階を含み、前記画素定義膜は前記画素電極を露出する開口部を有して前記基板部材上に形成された画素定義部と、前記画素定義部から前記第1共通電極方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部を含むことができる。
【0015】
前記写真工程はハーフトーン(half−tone)露光工程を含むことができる。
【0016】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記透過膜より高い高さで前記透過膜上に突出するように形成することができる。
【0017】
前記第1共通電極と前記第2共通電極は前記画素定義膜の光散乱スペーサ部上で互いに接触することができる。
【0018】
前記第1共通電極及び前記第2共通電極のうちの1つ以上は半透過膜で形成されることができる。
【0019】
前記半透過膜はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で作られてもよい。
【0020】
前記有機発光表示装置製造方法で、前記画素定義膜を介して密封部材を前記基板部材と対向配置する段階をさらに含み、前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記基板部材と前記密封部材間の間隔を維持することができる。
【0021】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は角錐台、角柱、円錐台、円柱、半球及び半偏球のうちの1種以上の形状を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の効果は、外光反射を抑制して視認性を向上させた有機発光表示装置を提供し、前記有機発光表示装置の製造方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置を示す配置図である。
【図2】図1のII−II線による断面図である。
【図3】図1の有機発光表示装置の製造工程を順次に示す断面図である。
【図4】図1の有機発光表示装置の製造工程を順次に示す断面図である。
【図5】図1の有機発光表示装置の製造工程を順次に示す断面図である。
【図6】図1の有機発光表示装置の製造工程を順次に示す断面図である。
【図7】図1の有機発光表示装置の製造工程を順次に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付した図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様で相異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限られない。
【0025】
また、図面において、各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ず図示されたことに限られるわけではない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の符号を付けることにする。
【0027】
また、図面において多様な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるとする時、これは他の部分の“直上”にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分“直上”にあるとする場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0028】
また、添付図面において、1つの画素に2つの薄膜トランジスター(TFT)と1つの蓄電素子(capacitor)を備える2Tr−1Cap構造の能動駆動(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明がこれに限定されるわけではない。したがって、有機発光表示装置は1つの画素に3つ以上の薄膜トランジスターと2つ以上の蓄電素子を備えることが可能であり、別途の配線がさらに形成されて多様な構造を有するように形成することもできる。
【0029】
ここで、画素は画像を示す最小単位のことを言い、有機発光表示装置は複数の画素を通じて画像を表示する。
【0030】
以下、図1及び図2を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0031】
図1及び図2に示したように、本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置100は1つの画素にスイッチング薄膜トランジスター10、駆動薄膜トランジスター20、蓄電素子80、そして有機発光素子(OLED)70を含む。そして、有機発光表示装置100は一方向に沿って配置されるゲートライン151と、ゲートライン151と絶縁交差するデータライン171及び共通電源ライン172をさらに含む。ここで、一般に1つの画素はゲートライン151、データライン171及び共通電源ライン172を境界として定義することができる。しかし、画素が上述した定義に限定されることではない。
【0032】
有機発光素子70は画素電極710と、画素電極710上に形成された有機発光層720と、有機発光層720上に形成された共通電極730を含む。ここで、画素電極710は正孔注入電極としての正(+)極であり、共通電極730は電子注入電極としての負(−)極になる。しかし、本発明として開示される各実施形態が必ずこれに限定されることではなく、有機発光表示装置100の駆動方法に応じて画素電極710が負極になり、共通電極730が正極になることもできる。画素電極710及び共通電極730からそれぞれ正孔と電子が有機発光層720内部に注入される。注入された正孔と電子が結合したエキシトン(exiton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発光が行われる。ここで、画素電極710は各画素ごとに1つ以上ずつ形成されるので、有機発光表示装置100は互いに離隔した複数の画素電極710を有する。
【0033】
蓄電素子80はゲート絶縁膜140を介して配置された第1蓄電板158と第2蓄電板178を含む。
【0034】
スイッチング薄膜トランジスター10はスイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173及びスイッチングドレイン電極174を含み、駆動薄膜トランジスター20は駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177を含む。
【0035】
スイッチング薄膜トランジスター10は発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチングゲート電極152はゲートライン151に連結される。スイッチングソース電極173はデータライン171に連結される。スイッチングドレイン電極174はスイッチングソース電極173から離隔配置されて第1蓄電板158と連結される。
【0036】
駆動薄膜トランジスター20は選択された画素内の有機発光素子70の有機発光層720を発光させるための駆動電源を画素電極710に印加する。駆動ゲート電極155は第1蓄電板158と連結される。駆動ソース電極176及び第2蓄電板178はそれぞれ共通電源ライン172と連結される。駆動ドレイン電極177は接触孔182を通って有機発光素子70の画素電極710と連結される。
【0037】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスター10はゲートライン151に印加されるゲート電圧により作動して、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスター20に伝達する役割を果たす。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスター20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスター10から伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子80に貯蔵され、蓄電素子80に貯蔵された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスター20を通って有機発光素子70に流れて有機発光素子70が発光する。
【0038】
また、有機発光表示装置100は、図2に示したように、画素定義膜190と密封部材210をさらに含む。
【0039】
密封部材210は有機発光素子70を介して基板部材111と合着密封される。密封部材210は基板部材111上に形成された薄膜トランジスター(10、20)及び有機発光素子70などを外部から密封されるようにカバーして保護する。ここで、密封部材210を除いた構成を表示基板110と言う。密封部材210としては通常ガラスまたはプラスチックなどを素材として作られた絶縁基板を使用することができる。
【0040】
画素定義膜190は画素電極710を露出する開口部を有する画素定義部191と、画素定義部191から上部方向、つまり、共通電極730方向に突出した光散乱スペーサ部195を含む。各画素ごとに形成された複数の画素電極710Aは画素定義部191の開口部に対応する位置に形成される。
【0041】
画素定義膜190の画素定義部191と光散乱スペーサ部195は感光性物質を素材として写真工程によって一体に形成される。つまり、ハーフトーン露光工程によって露光量を調節して、画素定義部191と光散乱スペーサ部195を共に形成する。しかし、本発明による一実施形態がこれに限定されるわけではない。したがって、画素定義部191と光散乱スペーサ部195は順次にまたは別個に形成することができ、互いに異なる素材を使用して作ってもよい。
【0042】
画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は基板部材111と密封部材210間の間隔を維持する役割を果たす。また、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は光散乱スペーサ部195の下に配置された導電膜に反射される外部光を散乱させて外光反射を抑制する役割もする。ここで、導電膜はゲートライン151、データライン171及び共通電源ライン172などであってもよい。したがって、有機発光表示装置100は光散乱スペーサ部195によってさらに効果的に外光反射を抑制することができる。
【0043】
また、有機発光表示装置100の有機発光素子70は、図2に示したように、共通電極730上に形成された透過膜600と、透過膜600上に形成された追加の共通電極750をさらに含む。以下、共通電極730を第1共通電極と言い、追加の共通電極750を第2共通電極と言う。ここで、第1共通電極730は有機発光層720及び画素定義膜190上に形成される。そして透過膜600は第1共通電極730上に形成されるが、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195の高さよりは低く形成される。つまり、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は透過膜600より高い高さ(h)を有して透過膜600上に突出形成される。そして、第2共通電極750は透過膜600上に形成され、透過膜600上に突出した光散乱スペーサ部195上の接触領域CAで第1共通電極730と連結される。
【0044】
第1共通電極730及び第2共通電極750は半透過膜で形成される。しかし、本発明による一実施形態がこれに限定されるのではない。したがって、第1共通電極730又は第2共通電極750のうちのいずれか1つのみ半透過膜で形成することができ、他の1つは透明に形成されることができる。透過膜600は第1共通電極730及び第2共通電極750と両面でそれぞれ密着される。つまり、透過膜600と第1共通電極730及び第2共通電極750の間にはそれぞれ空気との界面が存在しない。これに、外部から流入した光IRの相当量は第1共通電極730と第2共通電極750の間で反射による相殺干渉で消滅する。この時、第1共通電極730及び第2共通電極750の間で光の相殺干渉が効果的に起こるためには透過膜600が適切な屈折率と厚さを有しなければならない。透過膜600が有する屈折率及び厚さについては後述する公式1を通じて具体的に説明する。
【0045】
このように、有機発光表示装置100は第1共通電極730、透過膜600及び第2共通電極750を通じて外光反射を抑制して視認性を向上させることができる。
【0046】
また、第2共通電極750は透過膜600上に突出された光散乱スペーサ部195上の接触領域CAで第1共通電極730と互いに連結されるので、第1共通電極730及び第2共通電極750間に電圧降下(IR drop)が発生することを抑制することができる。
【0047】
また、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は複数の画素電極710間の離隔空間上に形成される。これに、光散乱スペーサ部195を通じて連結された第1共通電極730及び第2共通電極750が有機発光表示装置100で表示する画像の品質に影響を与えることを防止することができる。
【0048】
また、第1共通電極730と第2共通電極750が画素電極710の間で互いに連結されるので、電圧降下(IR drop)によって有機発光素子70が放出する光が不良に且つ不均一になることをさらに効果的に抑制することができる。
【0049】
上述のように、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は第1共通電極730と第2共通電極750が互いに連結されるように補助し、基板部材111と密封部材210間の間隔を維持し、外部から流入して反射された光を散乱させて外光反射を抑制する役割を全て行う。したがって、有機発光表示装置100は効果的に外光反射を抑制することができる。
【0050】
以下、図2を参照して本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置100の構造について具体的に説明する。図2は駆動薄膜トランジスター20、有機発光素子70及び蓄電素子80を中心に有機発光表示装置100を示している。
【0051】
以下では駆動薄膜トランジスター20を持って薄膜トランジスターの構造について詳しく説明する。そして、スイッチング薄膜トランジスター10は駆動薄膜トランジスターとの差異点のみ簡略に説明する。
【0052】
基板部材111はガラス、石英、セラミック、プラスチックなどからなる絶縁性基板で形成される。しかし、本発明がこれに限定されるわけではない。したがって、基板部材111がステンレス鋼などからなる金属性基板で形成されてもよい。
【0053】
基板部材111上にバッファー層120が形成される。バッファー層120は不純元素の浸透を防止し、表面を平坦化する役割を果たすもので、このような役割を果たすことができる多様な物質で形成することができる。一例として、バッファー層120は窒化シリコン(SiNx)膜、酸化シリコン(SiO)膜、酸窒化シリコン(SiOxNy)膜のうちのいずれか1つを使用することができる。しかし、バッファー層120は必ず必要なものではなく、基板部材111の種類及び工程条件に応じて省略してもよい。
【0054】
バッファー層120上には駆動半導体層132が形成される。駆動半導体層132は多結晶シリコン膜で形成される。また、駆動半導体層132は不純物がドーピングされないチャンネル領域135と、チャンネル領域135の両側にp+ドーピングされて形成されたソース領域136及びドレイン領域137を含む。この時、ドーピングされるイオン物質はホウ素(B)のようなP型不純物であり、主にBが使用される。ここで、このような不純物は薄膜トランジスターの種類に応じて変わる。
【0055】
本発明の一実施形態では駆動薄膜トランジスター20としてP型不純物を用いたPMOS構造の薄膜トランジスターが使用されたが、これに限定されるわけではない。したがって、駆動薄膜トランジスター20としてNMOS構造またはCMOS構造の薄膜トランジスターとも使用することができる。
【0056】
また、図2に示された駆動薄膜トランジスター20は多結晶シリコン膜を含む多結晶薄膜トランジスターであるが、図2に示されていないスイッチング薄膜トランジスター10は多結晶薄膜トランジスターであっても、非晶質シリコン膜を含む非晶質薄膜トランジスターであってもよい。
【0057】
駆動半導体層132上には窒化シリコン(SiNx)または酸化シリコン(SiO)などで形成されたゲート絶縁膜140が形成される。ゲート絶縁膜140上に駆動ゲート電極155を含むゲート配線が形成される。ゲート配線はゲートライン151(図1に図示)、第1蓄電板158及びその他に配線をさらに含む。そして、駆動ゲート電極155は駆動半導体層132の少なくとも一部、特にチャンネル領域135と重なるように形成される。
【0058】
ゲート絶縁膜140上には駆動ゲート電極155を覆う層間絶縁膜160が形成される。ゲート絶縁膜140と層間絶縁膜160は駆動半導体層132のソース領域136及びドレイン領域137を露出する貫通孔を共に有する。層間絶縁膜160はゲート絶縁膜140と同様に、窒化シリコン(SiNx)または酸化シリコン(SiO)などで形成される。
【0059】
層間絶縁膜160上には駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177を含むデータ配線が形成される。データ配線はデータライン171(図1に図示)、共通電源ライン172、第2蓄電板178及びその他に配線をさらに含む。そして、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177はそれぞれ貫通孔を通って駆動半導体層132のソース領域136及びドレイン領域137と連結される。
【0060】
このように、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177を含む駆動薄膜トランジスター20が形成される。
【0061】
駆動薄膜トランジスター20の構成は上述した例に限定されず、当該技術分野の専門家が容易に実施できる公知の構成から多様に変形することが可能である。
【0062】
層間絶縁膜160上にはデータ配線(172、176、177、178)を覆う平坦化膜180が形成される。平坦化膜180はその上に形成される有機発光素子70の発光効率を上げるために段差をなくして平坦化させる役割を果たす。また、平坦化膜180はドレイン電極177の一部を露出させる接触孔182を有する。
【0063】
平坦化膜180はアクリル系樹脂(polyacrylates resin)、エポキシ樹脂(epoxyresin)、フェノール樹脂(phenolicresin)、ポリアミド系樹脂(polyamides resin)、ポリイミド系樹脂(polyimides rein)、不飽和ポリエステル系樹脂(unsaturated polyesters resin)、ポリフェニレン系樹脂(poly(phenylenethers)resin)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(poly(phenylenesulfides)resin)及びベンゾシクロブテン(benzocyclobutene、BCB)のうちの1種以上の物質で作ることができる。
【0064】
平坦化膜180上には有機発光素子70の画素電極710が形成される。画素電極710は平坦化膜180の接触孔182を通ってドレイン電極177と連結される。
【0065】
また、平坦化膜180上には画素定義膜190が形成される。画素定義膜190は画素電極710を露出する開口部を有する画素定義部191と、画素定義部191で上部、つまり、平坦化膜と反対方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部195を含む。つまり、画素電極710は画素定義部191の開口部に対応するように配置される。
【0066】
画素定義膜190はポリアクリル系及びポリイミド系などの樹脂で作ることができる。また、本発明の一実施形態では画素定義膜190の画素定義部191と光散乱スペーサ部195が一体に形成されたが、これに限定されるわけはない。したがって、画素定義部191と光散乱スペーサ部195が別個にそれぞれ形成されることもある。
【0067】
また、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は光散乱スペーサ部195の下に配置されたゲートライン151、データライン171及び共通電源ライン172などのような導電膜に反射される外部光を散乱させて外光反射を抑制する役割を果たす。
【0068】
画素定義部191の開口部内で画素電極710上には有機発光層720が形成され、画素定義膜190及び有機発光層720上には第1共通電極730が形成される。
【0069】
このように、画素電極710、有機発光層720及び第1共通電極730を含む有機発光素子70が形成される。また、本発明による一実施形態で、有機発光素子70は透過膜600及び第2共通電極750をさらに含む。
【0070】
第1共通電極730上には透過膜600が形成される。透過膜600としては有機膜または無機膜を使用することができる。本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置100では透過膜600として有機膜が使用される。そして、透過膜600は適切な範囲内の平均厚さを有する。この時、透過膜600の厚さは透過膜600が有する屈折率に応じて決められる。
【0071】
また、透過膜600は光散乱スペーサ部195より低く形成される。つまり、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は透過膜600上に突出形成される。
【0072】
透過膜600上には第2共通電極750が形成される。第2共通電極750は透過膜600上に突出された光散乱スペーサ部195上の接触領域CAで第1共通電極730と互いに連結される。
【0073】
第1共通電極730と第2共通電極750は半透過膜で形成される。第1共通電極730及び第2共通電極750として使用される半透過膜はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で形成される。
【0074】
また、第1共通電極730及び第2共通電極750は有機発光素子70で発生した光を効果的に放出させ、外部から流入した光IRの反射を最少化するために適切な反射率を有する。一例として、第1共通電極730は50%以下の反射率を有し、第2共通電極750は30%以下の反射率を有することができる。
【0075】
なお、透過膜600は第1共通電極730及び第2共通電極750と両面でそれぞれ密着される。つまり、透過膜600と第1共通電極730及び第2共通電極750の間のそれぞれには空気との界面が存在しない。
【0076】
また、透過膜600は第1共通電極730と第2共通電極750の間で光反射によって効果的に相殺干渉が起こるように適切な厚さと屈折率を有する。
【0077】
透過膜600が有する厚さ及び屈折率は反射光の相殺干渉条件から導出された下記の公式を通じて設定することができる。
(数式1)
d=λ/4ndcosθ ……公式1
【0078】
ここで、dは反射される二面の間の距離である。つまり、第1共通電極730と第2共通電極750間の離隔距離で、同時に透過膜600の厚さとなる。nは透過膜600の屈折率であり、θは光の入射角である。λは反射される光の波長である。
【0079】
このような公式に可視光の波長と透過膜600として使用された素材の屈折率を代入する。そして、平均的外光の入射角をほぼ30度乃至45度と見ると、透過膜600が有しなければならない平均厚さを算出することができる。つまり、透過膜600として使用された素材の種類に応じて透過膜600は適切な厚さを有するように設定される。反対に、透過膜600を所望の厚さに形成するために適切な屈折率を有する素材で透過膜600を形成することもできる。ただし、透過膜600は、上述のように、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195より低く形成されなければならない。
【0080】
このような構造によると、外部から第2共通電極750を経て第1共通電極730に向かう光IRは第1共通電極730で一部反射されて再び第2共通電極750に向かう。第2共通電極750に向かった光の一部は第2共通電極750を通過して外部に放出され、残りは再び反射されて第1共通電極730に向かう。このように、外部から流入された光IRが透過膜600を介して第1共通電極730と第2共通電極750の間で反射を繰り返しながら相殺干渉が起こって相当量消滅する。したがって、有機発光表示装置100は外光反射抑制によって視認性を向上させることができる。
【0081】
また、第1共通電極730と第2共通電極750は透過膜600上に突出された光散乱スペーサ部195上の接触領域CAで互いに連結されるので、第1共通電極730及び第2共通電極750間に電圧降下(IR drop)が発生することを抑制できる。
【0082】
また、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は複数の画素電極710相互間の離隔空間上に形成される。これに、光散乱スペーサ部195を通って連結された第1共通電極730及び第2共通電極750が有機発光表示装置100で表示する画像の品質に影響を与えることを防止できる。
【0083】
また、第1共通電極730と第2共通電極750が画素電極710相互間で互いに連結されるので、電圧降下(IR drop)によって有機発光素子70が放出する光が不良に且つ不均一になることをさらに効果的に抑制することができる。
【0084】
また、上述のように、第1共通電極730及び第2共通電極750は半透過型で形成できる。しかし、本発明として開示された各実施形態にかかる有機発光表示装置100がこれに限定されるわけではない。したがって、第1共通電極730又は第2共通電極750のうちのいずれか1つは透過型で形成することもできる。一方、画素電極710は透過型、半透過型又は反射型のうちのいずれか1つの型式で形成できる。
【0085】
画素電極710、第1共通電極730又は第2共通電極750を形成する物質の種類に応じて有機発光表示装置100は前面発光型、背面発光型または両面発光型になり得る。一方、本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置100は前面発光型に形成できる。つまり、有機発光素子70は第1共通電極730及び第2共通電極方向750に光を放出して画像を表示する。
【0086】
透明な導電性物質としてはITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)またはIn(Indium Oxide)などの物質を使用することができる。反射型物質としてはリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、または金(Au)などの物質を使用することができる。
【0087】
有機発光層720は低分子有機物または高分子有機物からなる。このような有機発光層720は正孔注入層(hole−injection layer、HIL)、正孔輸送層(hole−transporting layer、HTL)、発光層、電子輸送層(electron−transportiong layer、ETL)、そして電子注入層(electron−injection layer、EIL)を含む多重膜に形成される。つまり、正孔注入層は正極の画素電極710上に配置され、その上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順次に積層される。
【0088】
有機発光素子70の上に密封部材210が配置される。密封部材210は基板部材111と対向配置されて薄膜トランジスター20及び有機発光素子70をカバーする。また、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195によって基板部材111、つまり、表示基板110と密封部材210の間隔が維持される。
【0089】
このような構成によって、有機発光表示装置100は外光反射を抑制して向上した視認性を有することができる。
【0090】
以下、図3乃至図7を参照して、本発明の一実施形態にかかる有機発光表示装置100の製造方法を説明する。
【0091】
図3に示したように、基板部材111上に薄膜トランジスター20と、薄膜トランジスター20のドレイン電極177に連結された画素電極710を形成する。そして、画素電極710上に感光物質層199を塗布する。次に、マスク800を使用して写真工程を進める。マスク800はマスク基板810と、このマスク基板810上に形成された遮光パターン820を含む。そして、写真工程はスリットパターンを有するマスク800を通じて進められるハーフトーン(half−tone)露光を含む。
【0092】
感光物質層199は露光された部分は現像工程で除去され、露光されていない部分は現像工程を経て残る。この時、感光物質層199の種類に応じて露光された部分が残り、露光されていない部分が除去されることもできる。
【0093】
次に、図4に示したように、現像工程を経て画素定義部191と光散乱スペーサ部195を有する画素定義膜190を形成する。
【0094】
次に、図5に示したように、画素定義部191の開口部を通って露出された画素電極710上に有機発光層720及び第1共通電極730を順次に形成する。
【0095】
次に、図6に示したように、第1共通電極730上に透過膜600を形成する。この時、透過膜600は画素定義膜190の光散乱スペーサ部195の高さより低く形成される。つまり、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は透過膜600より高い高さ(h)を有し、透過膜600上に突出する。また、透過膜600は上述した公式1による適切な屈折率及び厚さを有するように形成される。
【0096】
次に、図7に示したように、透過膜600上に第2共通電極750を形成する。第2共通電極750は透過膜600上に突出した光散乱スペーサ部195上の接触領域CAで第1共通電極730と互いに連結される。
【0097】
ここで、第1共通電極730及び第2共通電極750のうちの1つ以上はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で形成された半透過膜である。
【0098】
次に、第2共通電極750上に密封部材210を配置して、前記図2で示したような有機発光表示装置100を形成する。この時、画素定義膜190の光散乱スペーサ部195は基板部材111と密封部材210間の間隔を維持する。
【0099】
このような製造方法によって外光反射を抑制して向上した視認性を有する有機発光表示装置100を製造することができる。
【0100】
本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範疇に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0101】
10 スイッチング薄膜トランジスター
20 駆動薄膜トランジスター
70 有機発光素子
80 蓄電素子
100 有機発光表示装置
110 表示基板
111 基板部材
120 バッファー層
132 駆動半導体層
135 チャンネル領域
136 ソース領域
137 ドレイン領域
140 ゲート絶縁膜
151 ゲートライン
152 スイッチングゲート電極
155 駆動ゲート電極
158 第1蓄電板
171 データライン
172 共通電源ライン
176 駆動ソース電極
177 ドレイン電極
178 第2蓄電板
180 平坦化膜
182 接触孔
190 画素定義膜
191 画素定義部
195 光散乱スペーサ部
199 感光物質層
210 密封部材
600 透過膜
710 画素電極
720 有機発光層
730 共通電極
750 共通電極
800 マスク
810 マスク基板
820 遮光パターン
CA 接触領域
IR 外部から流入した光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部材;
前記基板部材上に形成された複数の画素電極;
前記画素電極を露出する複数の開口部を有し、前記基板部材上に形成された画素定義膜;
前記画素電極上に形成された有機発光層;
前記有機発光層及び前記画素定義膜上に形成された第1共通電極;
前記第1共通電極上に形成された透過膜;そして
前記透過膜上に形成された第2共通電極
を含み、
前記画素定義膜は前記開口部を有する画素定義部と、前記画素定義部から前記第1共通電極方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部を含むことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記透過膜より高い高さを有し、前記透過膜上に突出形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1共通電極と前記第2共通電極は前記画素定義膜の光散乱スペーサ部上で互いに接触されたことを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1共通電極及び前記第2共通電極のうちの1つ以上は半透過膜で形成されたことを特徴とする、請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記半透過膜はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で作られたことを特徴とする、請求項4に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記画素定義膜を介して前記基板部材と対向配置された密封部材をさらに含み、
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記基板部材と前記密封部材間の間隔を維持することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は角錐台、角柱、円錐台、円柱、半球、及び半偏球のうちの1種以上の形状を含むことを特徴とする、請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
基板部材上に互いに離隔された複数の画素電極を形成する段階;
前記画素電極上に感光物質層を塗布する段階;
前記感光物質層をマスクを利用した写真工程でパターニングして画素定義膜を形成する段階;
前記画素電極上に有機発光層を形成する段階;
前記有機発光層上に第1共通電極を形成する段階;
前記第1共通電極上に透過膜を形成する段階;そして
前記透過膜上に第2共通電極を形成する段階
を含み、
前記画素定義膜は前記画素電極を露出する開口部を有し、前記基板部材上に形成された画素定義部と、前記画素定義部から前記第1共通電極方向に突出形成された複数の光散乱スペーサ部を含むことを特徴とする有機発光表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記写真工程はハーフトーン(half−tone)露光工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記透過膜より高い高さを有し、前記透過膜上に突出するように形成されることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1共通電極と前記第2共通電極は前記画素定義膜の光散乱スペーサ部上で互いに接触されることを特徴とする、請求項10に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1共通電極及び前記第2共通電極のうちの1つ以上は半透過膜で形成されることを特徴とする、請求項11に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記半透過膜はマグネシウム(Mg)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、リチウム(Li)、クロム(Cr)、及びアルミニウム(Al)のうちの1種以上の金属で作られることを特徴とする、請求項12に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記画素定義膜を介して密封部材を前記基板部材と対向配置する段階をさらに含み、
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は前記基板部材と前記密封部材間の間隔を維持することを特徴とする、請求項8乃至13のいずれかに記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記画素定義膜の光散乱スペーサ部は角錐台、角柱、円錐台、円柱、半球、及び半偏球のうちの1種以上の形状を含むことを特徴とする、請求項14に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−161050(P2010−161050A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52057(P2009−52057)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】