説明

有機発光表示装置及びその製造方法

【課題】共通電極の配線抵抗を低め、共通電極を保護するための有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】有機発光表示装置は、基板1と、基板1上に備えられた薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタを覆う第1絶縁膜218と、第1絶縁膜218上に形成され、薄膜トランジスタと電気的に連結された第1電極221と、第1電極221を覆うように第1絶縁膜218上に形成され、第1電極221の一部を露出させる開口219aを持つ第2絶縁膜219と、第2絶縁膜219上の一部及び第1電極221上に形成された有機発光層と、第2絶縁膜219及び有機発光層上に形成された第2電極222と、第2電極222上の第1領域上に形成されて第1エッジ224aを持つキャッピング層224と、第2電極222上の第1領域以外の領域である第2領域上に形成され、キャッピング224層の第1エッジ224aの側面とその側面が互いに当接する第2エッジ223aを持つ第3電極223と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、パネルの大型化が可能な有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、有機化合物を電気的に励起して発光させる自発光型ディスプレイであって、低電圧で駆動可能かつ薄型化が容易で、広視野角、速い応答速度など、液晶表示装置において問題点として指摘された欠点を解決できる次世代ディスプレイとして注目されている。
【0003】
最近は、これらの有機発光表示装置を用いて大型ディスプレイを具現しようとする試みが多くなっている。ところが、この場合には、あらゆるピクセルを覆う共通電極の配線抵抗が高くなるという問題がある。
【0004】
また、上記有機発光表示装置は、使用中または製造過程で上記共通電極がその上部のカプセル化(encapsulation)部材により損傷される恐れがあって、このカプセル化部材から共通電極を保護する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、共通電極の配線抵抗を低減させ、共通電極を保護できる有機発光表示装置及びその製造方法を提供するところに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板上に備えられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記薄膜トランジスタと電気的に連結された第1電極と、前記第1電極を覆うように前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1電極の一部を露出させる開口を持つ第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上の一部及び前記第1電極上に形成された有機発光層と、前記第2絶縁膜及び有機発光層上に形成された第2電極と、前記第2電極上の第1領域上に形成されて第1エッジを持つキャッピング層と、前記第2電極上の前記第1領域以外の領域である第2領域上に形成され、前記キャッピング層の第1エッジの側面とその側面が互いに当接する第2エッジを持つ第3電極と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、透光可能に備えられる。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、Agを含む。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含む。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極の厚さは、前記第2電極の厚さより厚い。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、前記透過領域及びピクセル領域は、前記第1領域に位置し、前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置する。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、透光可能に備えられる。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極と前記第2電極との接着力より弱い。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含む。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極は、Mgを含む。
【0016】
本発明はまた前記の目的を達成するために、複数のピクセルと、前記各ピクセルに位置する複数の薄膜トランジスタと、前記各ピクセルに位置し、前記各薄膜トランジスタと電気的に連結された複数の第1電極と、前記複数のピクセルを覆う第2電極と、前記各第1電極と前記第2電極との間に介在された有機発光層と、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数のキャッピング層と、前記各ピクセルの間に位置し、前記各キャッピング層に隣接して前記第2電極と電気的に連結された第3電極と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、透光可能に備えられる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、Agを含む。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含む。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極の厚さは、前記第2電極の厚さより厚い。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各ピクセルは、外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置する。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、透光可能に備えられる。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極と前記第2電極との接着力より弱い。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含む。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極は、Mgを含む。
【0026】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層のあらゆるエッジと前記第3電極のエッジとが互いに当接する。
【0027】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層の面積は、少なくとも一ピクセルの発光が起きる領域の面積より広い。
【0028】
本発明はまた前記の目的を達成するために、複数のピクセルにそれぞれ位置する複数の薄膜トランジスタを形成する段階と、前記各薄膜トランジスタと電気的に連結され、前記複数のピクセルにそれぞれ位置し、第1電極、有機発光層及び第2電極を含む複数の有機発光素子を形成する段階と、前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数のキャッピング層を形成する段階と、前記ピクセル上に金属を蒸着し、前記各キャッピング層に隣接して前記第2電極と電気的に連結された第3電極を形成する段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法を提供する。
【0029】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、透光可能に形成される。
【0030】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、Agを含む。
【0031】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含む。
【0032】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極は、前記第2電極より厚く形成される。
【0033】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各ピクセルは、外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置する。
【0034】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、透光可能に形成される。
【0035】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極を形成する金属と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極を形成する金属と前記第2電極との接着力より弱い。
【0036】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含む。
【0037】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極は、Mgを含む。
【0038】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層を形成する段階は、前記キャッピング層に対応するパターンの開口を持つマスクを用いて行われる。
【0039】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第3電極を形成する段階は、前記キャッピング層上の及び前記キャッピング層に隣接した領域に前記金属を蒸着する段階を含む。
【0040】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記キャッピング層の面積は、少なくとも一ピクセルの発光が起きる領域の面積より広く形成される。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0042】
第3電極のパターニング工程を別途に行う必要なく、キャッピング層により自然にパターニング自在に形成される。したがって、第3電極をパターニングすることによる第2電極の損傷などの危険を回避できる。
【0043】
キャッピング層により第2電極を保護できる。
【0044】
第3電極により第2電極の電圧降下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【図2】本発明の望ましい他の一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【図3】図1または図2の有機発光部を示す断面図である。
【図4】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を製造する方法を順次に示す断面図である。
【図5】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を製造する方法を順次に示す断面図である。
【図6】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を製造する方法を順次に示す断面図である。
【図7】本発明の望ましい一実施形態による有機発光部の平面図である。
【図8】本発明の望ましい他の一実施形態による有機発光部の平面図である。
【図9】本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光部の平面図である。
【図10】本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光部の断面図である。
【図11】本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光部の平面図である。
【図12】図11の一ピクセルを示す断面図である。
【図13】本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光部の平面図である。
【図14】本発明の一実施形態による方法でキャッピング層及び第3電極を形成したときの、ピクセル発光領域における透光率を示すグラフである。
【図15】本発明の一実施形態による方法によって第3電極を形成したときの、第2電極の最大電圧降下量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0047】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【0048】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置は、基板1上に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板23と、を備える。
【0049】
密封基板23は、透明な部材で形成されて有機発光部21からの画像を具現可能にし、有機発光部21への外気及び水分の浸透を遮断する。
【0050】
基板1と密封基板23とは、そのエッジが密封材24により結合されて、基板1と密封基板23との間の空間25が密封される。空間25には、吸湿剤や充填材などが位置できる。
【0051】
密封基板23の代りに、図2に示したように、薄膜の密封フィルム26を有機発光部21上に形成することで、有機発光部21を外気から保護できる。密封フィルム26は、酸化ケイ素または窒化ケイ素などの無機物からなる膜とエポキシ、ポリイミドなどの有機物からなる膜が交互に成膜された構造を採用できるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、透明な薄膜状の密封構造ならば、いかなるものでも適用できる。
【0052】
図3は、図1及び図2に示した有機発光部21の一実施形態を示す断面図である。図3には、有機発光部21の一ピクセルを示し、有機発光部21は、これらのピクセルが複数備えられている。
【0053】
図3による本発明の望ましい一実施形態によれば、基板1の第1面上にバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に薄膜トランジスタTRが形成される。
【0054】
図3には、一つの薄膜トランジスタTRのみ図示されているが、上記ピクセルは、それ以外にも他の少なくとも一つの薄膜トランジスタとキャパシタとを備えたピクセル回路を構成できる。
【0055】
バッファ膜211上には、半導体活性層212が形成される。
【0056】
バッファ膜211は、不純元素の浸透を防止して表面を平坦化する役割を行うものであり、これらの役割を行える多様な物質で形成できる。一例として、バッファ膜211は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタンまたは窒化チタンなどの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物またはこれらの積層体で形成される。バッファ膜211は必須構成要素ではなく、必要に応じては備えられないこともある。
【0057】
半導体活性層212は多結晶シリコンからなるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、酸化物半導体からなってもよい。例えば、G−I−Z−O層[(In)a(Ga)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうる。
【0058】
半導体活性層212を覆うように、ゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214が形成される。
【0059】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上にソース電極216とドレイン電極217とが形成されて、それぞれ半導体活性層212とコンタクトホールとを通じてコンタクトされる。
【0060】
上記のような薄膜トランジスタTRの構造は必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。例えば、薄膜トランジスタTRはトップゲート構造で形成されたものであるが、ゲート電極214が半導体活性層212の下部に配されたボトムゲート構造で形成されてもよい。もちろん、これ以外にも適用可能なあらゆる薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0061】
薄膜トランジスタTRと共にキャパシタを含むピクセル回路(図示せず)が形成できる。
【0062】
これらの薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路を覆うように第1絶縁膜218が形成される。第1絶縁膜218は、上面の平坦化した単一または複数層の絶縁膜になりうる。この第1絶縁膜218は、無機物及び/または有機物からなる。
【0063】
第1絶縁膜218上には、図3に示したように、薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路と電気的に連結された第1電極221が形成される。第1電極221は、各ピクセルごとに互いに独立した島状に形成される。
【0064】
第1絶縁膜218上には、第1電極221のエッジを覆うように第2絶縁膜219が形成される。第2絶縁膜219には開口219aが形成されて、第1電極221のエッジを除外した中央部を露出させる。
【0065】
開口219aを通じて露出された第1電極221上には有機膜220が形成され、有機膜220を覆うように第2電極222が形成されて有機発光素子ELを形成する。
【0066】
有機膜220は、低分子または高分子有機膜が使われる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層して形成される。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成される。この時、発光層は赤色、緑色、青色のピクセルごとに独立して形成され、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は共通層であり、赤色、緑色、青色のピクセルに共通に適用される。
【0067】
正孔注入層(HIL)は、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物またはスターバスト型アミン類であるTCTA、m−MTDATA、m−MTDAPBなどで形成できる。
【0068】
正孔輸送層(HTL)は、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1、1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−DI(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)などで形成できる。
【0069】
電子注入層(EIL)は、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaO、Liqなどの物質を用いて形成できる。
【0070】
電子輸送層(ETL)は、Alq3を用いて形成できる。
【0071】
発光層(EML)は、ホスト物質及びドーパント物質を含む。
【0072】
ホスト物質としては、トリス(8−ヒドロキシ−キノリナト)アルミニウム(Alq3)、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(AND)、3−Tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(DPVBi)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(p−DMDPVBi)、Tert(9,9−ジアリールフルオレン)(TDAF)、2−(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(BSDF)、2,7−ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(TSDF)、ビス(9,9−ジアリールフルオレン)(BDAF)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジ−(tert−ブチル)フェニル(p−TDPVBi)、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(tCP)、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TcTa)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2、2’−ジメチル−ビフェニル(CBDP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(DMFL−CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−4CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ−トリル−フルオレン(DPFL−CBP)、9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)フルオレン(FL−2CBP)などが使われる。
【0073】
前記ドーパント物質としては、DPAVBi(4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ADN(9,10−ジ(ナフ−2−チル)アントラセン)、TBADN(3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフ−2−チル)アントラセン)などが使われる。
【0074】
第1電極221はアノード電極の機能を行い、第2電極222はカソード電極の機能を行うが、もちろん、これら第1電極221と第2電極222との極性は互いに逆になってもよい。
【0075】
第1電極221がアノード電極の機能を行う場合、第1電極221は仕事関数の高いITO、IZO、ZnO、またはInなどを含んで備えられる。もし、図3で基板1の逆方向に画像が具現される前面発光型である場合、第1電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、YbまたはCaなどで形成された反射膜をさらに含む。
【0076】
第2電極222がカソード電極の機能を行う場合、第2電極222は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、またはCaの金属からなる。もし、図3で前面発光型である場合、第2電極222は透光可能に備えられねばならない。このために、第2電極222は、透明な金属酸化物であるITO、IZO、ZnO、またはInなどを含んで備えられうる。または第2電極222は、Al、Ag及び/またはMgを用いて薄膜で形成できる。例えば、Mg:Ag及び/またはAgが単一層または積層構造で形成される。第2電極222は、第1電極221と異なってあらゆるピクセルにわたって共通の電圧が印加されるように形成されるが、このために、ピクセルごとにパターニングされていない共通電極で形成される。もちろん、共通電極である第2電極222を、発光領域に対応する領域以外の領域が除去されたメッシュ状にパターニングしてもよい。
【0077】
上述した前面発光型の場合、第2電極222が透明な金属酸化物または薄膜の金属を含むため、第2電極222が共通電極で形成される場合、第2電極222の面抵抗が大きくなって電圧降下現象が生じる。本発明は、かかる問題を解決するために第2電極222と電気的に連結されるように第3電極223をさらに形成した。
【0078】
そして、第2電極222の上面が図1での密封基板23により損傷する恐れがある。それだけでなく、図2のように密封フィルム26を形成する場合にも、密封フィルム26の形成時に第2電極222が損傷しやすい。本発明は、かかる問題を解決するために、第2電極222上にキャッピング層224を形成した。
【0079】
キャッピング層224は、第2電極222上の第1領域R1上に形成され、第1エッジ224aを持つ。
【0080】
第3電極223は、第2電極222上の第2領域R2上に形成され、第2エッジ223aを持つ。第3電極223は、キャッピング層224と水平の状態で互いに隣接して配される。
【0081】
第1領域R1は、少なくとも一つのピクセルで発光が起きる面積より広く、当該一つのピクセルで発光が起きる領域を覆う領域に該当する。第1領域R1の全体にキャッピング層224が形成され、第1領域R1のエッジは、キャッピング層224の第1エッジ224aとなる。そして第2領域R2は、第2電極222のうち第1領域R1以外の領域に該当するが、第2領域R2全体に第3電極223が形成され、第2領域R2のエッジは第3電極223の第2エッジ223aとなる。第2領域R2は、発光が起きる領域を除外した領域になる。
【0082】
キャッピング層224の第1エッジ224aの側面と、第3電極223の第2エッジ223aの側面とは互いに当接する状態となる。
【0083】
第3電極223は、第2電極222の面抵抗を低減させるように第2電極222の厚さより厚く形成することが望ましい。
【0084】
そして、キャッピング層224は、ピクセルで発光が起きる領域を覆うものであって、透光可能に形成されることが望ましい。キャッピング層224は、第3電極223より薄く薄膜で形成できるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0085】
本発明の一実施形態において、第3電極223とキャッピング層224との接着力は、第3電極223と第2電極222との接着力より弱くなるように物質を選択する。
【0086】
このために、キャッピング層224は、8−キノリノラトリチウム(Liq)、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン(HT01)、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン(HT211)、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾール(LG201)を含む物質で形成される。
【0087】
そして、第3電極223は、Mgで形成される。
【0088】
第3電極223となるMgは、第2電極222と同じ金属であるため接着性が良い。しかし、Mgは、上述したキャッピング層224の物質とはよく接着しない。したがって、これらの第3電極223とキャッピング層224との接着力特性を用いて第3電極223を簡単にパターニングできる。
【0089】
上述したように、第3電極223は、第2領域R2のみに形成されるようにパターニングされねばならない。ところが、有機発光素子ELの有機膜220を形成した後には、通常の金属膜のパターニング方法として多く使われるフォトリソグラフィなどの湿式工程を用いて、第3電極223をパターニングできない。これは、湿式工程で有機膜220に水分及び/または酸素が浸透されれば、有機発光素子ELの寿命が急激に低下するためである。
【0090】
このために、実際工程では、第3電極223のパターニングが非常に困難になる。
【0091】
本発明は、第3電極223とキャッピング層224との接着力特性を用いて第3電極223を簡単にパターニングできる。以下、その方法をさらに詳細に説明する。
【0092】
まず、図4に示したように、第2電極222まで形成した後、これに、図5に示したように、マスク3を用いてキャッピング層224を形成する。キャッピング層224は上述した有機物で形成できるため、マスク3を用いた熱蒸着方法で形成できる。マスク3には、キャッピング層224のパターンに対応するように開口31が形成されており、この開口31を通じてキャッピング層224を形成する物質M1が蒸着されて、キャッピング層224を形成する。
【0093】
次いで、図6に示したように、第3電極223形成用物質M2を全体的に成膜する。この時には、図面に図示していないが、あらゆるピクセルに対して開放されたオープンマスクを用いて物質M2を成膜するか、またはマスクなしに物質M2を成膜できる。
【0094】
この場合、第3電極223形成用物質M2は、キャッピング層224との接着力が悪いためキャッピング層224上には成膜されず、相対的に接着力の良い第2電極222上にのみ成膜される。
【0095】
したがって、第3電極223は、別途のマスクやパターニング工程なしでも自然にパターニングされる。
【0096】
キャッピング層224は、図7に示したように、一つのピクセルP当り一つずつ存在する島状に備えられる。図7には、キャッピング層224が一つのピクセルP全体を覆う面積になっているが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、上述したように、一つのピクセルPの発光が起きる面積を覆わせればよい。
【0097】
この場合、第3電極223は、各ピクセルPの間に通過する格子パターンをなす。
【0098】
キャッピング層224は、図8に示したように、複数のピクセルP当り一つずつ存在する島状に備えられる。この場合、第3電極223は、複数ピクセルPの間に通過する格子パターンをなす。
【0099】
キャッピング層224は、図9に示したように、一列に配された複数のピクセルPを覆うようにストライプ状に備えられる。この場合、第3電極223は、各ピクセル列の間に通過するストライプパターンをなす。
【0100】
図9の変形例として、図示していないが、たとえば、キャッピング層224が横方向に複数のピクセルPをさらに覆うようにストライプ状に備えられてもよい。
【0101】
一方、図6のように第3電極223形成用物質M2を蒸着する場合、第3電極223は、キャッピング層224以外の領域のみに成膜されるだけでなく、図10に示したように、キャッピング層224上にも、キャッピング層以外の領域に形成された第3電極223の第1厚さt1より薄い第2厚さt2を持つ薄膜223’が形成される。これは、たとえ、第3電極223形成用物質M2がキャッピング層224との接着力が悪いため、理論的にはキャッピング層224上には成膜されず、相対的に接着力の良い第2電極222上にのみ成膜されたとしても、図6のような工程は、別途のパターニングマスクを用いずにオープンマスクを用いて蒸着するものであるため、キャッピング層224上に第2厚さt2を持つ薄膜223’が薄く物理的に載せられて形成されることはできるからである。
【0102】
第2厚さt2は第1厚さt1より薄いため、第1領域R1で有機発光素子ELの輝度にあまり影響を及ぼさない。
【0103】
図11は、本発明の望ましいさらに他の一実施形態による有機発光表示装置の有機発光部21の平面図であり、図12は、図11の一ピクセルを示す断面図である。
【0104】
図11及び図12に示したように、本発明の望ましいさらに他の一実施形態によれば、有機発光部21は、外光が透過されるように備えられた透過領域TAと、この透過領域TAを介して互いに離隔した複数のピクセル領域PAと、に区切られる。
【0105】
図11に示したように、各ピクセル領域PA内にはピクセル回路部PCが位置し、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVなどの複数の導電ラインが、このピクセル回路部PCに電気的に連結される。図面に図示していないが、ピクセル回路部PCの構成によって、スキャンラインS、データラインD及び駆動電源であるVddラインV以外にもさらに多様な導電ラインが備えられうる。
【0106】
図11に示したように、ピクセル回路部PCは、スキャンラインSとデータラインDとに連結された第1薄膜トランジスタT1と、第1薄膜トランジスタT1とVddラインVとに連結された第2薄膜トランジスタT2と、第1薄膜トランジスタT1と第2薄膜トランジスタT2とに連結されたキャパシタCstと、を含む。この時、第1薄膜トランジスタT1はスイッチングトランジスタになり、第2薄膜トランジスタT2は駆動トランジスタになる。第2薄膜トランジスタT2は、第1電極221と電気的に連結されている。図10で、第1薄膜トランジスタT1と第2薄膜トランジスタT2とはP型に形成されるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、少なくとも一つがN型に形成されてもよい。上記のような薄膜トランジスタ及びキャパシタの数は必ずしも図示された実施形態に限定されるものではなく、ピクセル回路部PCによって2つ以上の薄膜トランジスタ、1つ以上のキャパシタが組合せられる。
【0107】
図11によれば、スキャンラインSが第1電極221と重なるように配される。しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインのうち少なくともいずれか一つが第1電極221と重なるように配置させ、場合によっては、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインいずれも第1電極221と重なるか、または第1電極221の側方に配置させる。
【0108】
本実施形態は、このようにピクセル領域PAと透過領域TAとの分離によって透過領域TAを通じて外部を観察する時に、外部光がピクセル回路部PC内の素子のパターンと関連して散乱することで生じる外部イメージ歪曲現象を回避できる。
【0109】
これらのピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積対比透過領域TAの面積の比率が5%ないし90%範囲に属するように、ピクセル領域PAと透過領域TAとが形成される。
【0110】
ピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積対比透過領域TAの面積の比率が5%より小さければ、有機発光部21を透過できる光が少なくて、ユーザが反対側に位置している事物またはイメージを見難い。すなわち、有機発光部21が透明であると表現し難い。しかし、透過領域TAの面積がピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積対比5%ほどであるとしても、実際には外部光の強度が強ければ、ユーザがディスプレイを透過して反対側に位置している事物またはイメージを十分に認識できるので、ユーザは透明ディスプレイとして認識可能になる。そして、後述するように、ピクセル回路部PCに備えられる薄膜トランジスタを、酸化物半導体のように透明薄膜トランジスタで形成し、有機発光素子も透明素子で形成する場合には、さらに透明ディスプレイとしての認識が大きくなる。
【0111】
ピクセル領域PAと透明領域TAとの全体面積対比透明領域TAの面積の比率が90%より大きければ、有機発光部21のピクセル集積度が過度に低くなって、ピクセル領域PAでの発光を通じて安定した画像を具現し難い。すなわち、ピクセル領域PAの面積が小さくなるほど、画像を具現するためには有機膜220で発光する光の輝度が高くならねばならない。このように、有機発光素子を高輝度状態で作動させれば、寿命が急激に低下するという問題点が生じる。
【0112】
ピクセル領域PAと透過領域TAとの全体面積対比透過領域TAの面積の比率は、20%ないし70%の範囲に属するようにすることが望ましい。
【0113】
20%未満では、透過領域TAに比べて前記ピクセル領域PAの面積が大き過ぎるので、ユーザが透過領域TAを通じて外部イメージを観察するところに限界がある。70%を超過する場合、ピクセル領域PA内に配置するピクセル回路部PCの設計に多くの制約を伴う。
【0114】
ピクセル領域PAには、ピクセル回路部PCと電気的に連結された第1電極221が備えられ、ピクセル回路部PCは、ピクセル電極221に覆われるように第1電極221と重なる。そして、上述したスキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインのうち少なくとも一つがこのピクセル電極221を過ぎるように配される。もちろん、これら導電ラインはピクセル回路部PCに比べて透過率を阻害する比率が少ないため、設計条件によってはいずれも第1電極221に隣接して配置させることができる。
【0115】
上述したように、もし、第1電極221が光反射の可能な導電性金属からなる反射膜を含む場合、第1電極221がピクセル回路部PCを遮蔽し、ピクセル領域PAでのピクセル回路部PCによる外部イメージ歪曲などを遮断する。
【0116】
図12に示したように、第1領域R1内にピクセル領域PA及び透過領域TAが位置する。
【0117】
この時、キャッピング層224は第1領域R1内に位置するので、ピクセル領域PAと透過領域TAをいずれも覆う。そして、第3電極223は、第1領域R1の外側の第2領域R2に備えられる。
【0118】
これらの実施形態において、キャッピング層224は、上述したように透明な有機物を使用するので、透過領域TAでの透光度に影響を及ぼさない。キャッピング層224及び第3電極223の材質及び形成方法などは、上述した実施形態と同一である。
【0119】
一方、たとえ図面に図示していないとしても、透過領域TAには、少なくとも第2電極222の一部が除去された透過体が形成されて、透過領域TAでの透光度をさらに高めることができる。この時、透過窓は第2電極222のみ除去されるのに止まらず、第2絶縁膜219、第1絶縁膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つの膜により形成される。
【0120】
図13は、図11及び図12を参照までに説明した透明型有機発光表示装置のさらに他の一実施形態を示すものである。
【0121】
図13の実施形態は、赤色、緑色、青色の3つのサブピクセルにより一つのピクセルが具現されて白色光を発現できる場合を示す。もちろん、赤色、緑色、青色以外にも他の色相により白色光を発現する場合を含む。
【0122】
この場合、3つのサブピクセルの第1電極221a、221b、221c当り一つの透過領域TAが形成される。第1データラインD1ないし第3データラインD3は、それぞれ前記3つのサブピクセルの第1電極221a、221b、221cに電気的に連結される。そして、第1 VddラインV1は、最初の第1電極221a及び2番目の第1電極221bに電気的に連結され、第2 VddラインV2は、3番目の第1電極221cに電気的に連結される。
【0123】
このような構造の場合、複数のサブピクセルに対して一つの大きい透過領域TAを備えているので、全体ディスプレイの透過率をさらに高めることができ、光散乱によるイメージ歪曲効果もさらに低減させる。
【0124】
図13には図示していないが、透過領域TAにも、上述したように少なくとも第2電極の一部が除去された一つの大きい透過窓が形成される。この時、透過窓は第2電極のみ除去されるのに止まらず、第2絶縁膜、第1絶縁膜、層間絶縁膜、ゲート絶縁膜及びバッファ膜のうち少なくとも一つの膜にさらに形成される。
【0125】
図11ないし図13による実施形態でも、図10のように第1領域R1のキャッピング層224上にも、第3電極形成用物質からなるさらに薄い厚さの薄膜が形成されることがある。この場合にも、上述したように上記薄膜の厚さが非常に薄いため、透過領域TAでの透光率などにあまり影響を及ぼさない。
【0126】
図14は、図4ないし図7の方法でキャッピング層224及び第3電極223を形成した時の、ピクセル発光領域での透光率を示したものである。
【0127】
キャッピング層224としては上述した各キャッピング層物質を使用し、30Åの厚さに蒸着した。第3電極223は、オープンマスクを用いてMgを全ピクセル領域に蒸着して形成したが、Mg 1,000Åを蒸着した。
【0128】
図14に示したように、可視光の全波長領域でほぼ100%に近い透光率を示すことが分かる。これは、上述したように、キャッピング層224が形成された領域にはMgがほとんど蒸着されていないことが分かる。
【0129】
したがって、本発明の場合、光損失なしでもキャッピング層224及び第3電極223を有効に形成可能になる。
【0130】
図15は、本発明によって第3電極223を形成した場合の第2電極の最大電圧降下量を示すものである。各例で第2電極222はMg:Ag/Agに、面抵抗が20ohm/sqになるように形成した。
【0131】
実験例Iは、19インチサイズのディスプレイで、図3及び図7のような形態でキャッピング層224及び第3電極223を形成したものである。この時の第3電極223は、Mgを3,500Å蒸着したものである。
【0132】
実験例IIは、40インチサイズのディスプレイで、図3及び図7のような形態でキャッピング層224及び第3電極223を形成したものである。この時の第3電極223は、Mgを3,500Å蒸着したものである。
【0133】
比較例IIIは、19インチサイズのディスプレイで、キャッピング層224及び第3電極223を形成していないものである。
【0134】
比較例IVは、40インチサイズのディスプレイで、キャッピング層224及び第3電極223を形成していないものである。
【0135】
図15に示したように、本発明による実験例I及びIIの第2電極電圧減少量が、比較例III及びIVの第2電極電圧減少量に比べて顕著に低いということが分かる。
【0136】
以上、前面発光型を中心として説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、基板1の方向に画像が具現される背面発光型、及び双方向に画像が具現される両面発光型にも同一に適用できる。
【0137】
本発明は、図面に示した一実施形態を参考までに説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び実施形態の変形が可能であるという点を理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0139】
1 基板、
21 有機発光部、
211 バッファ膜、
212 半導体活性層、
213 ゲート絶縁膜、
214 ゲート電極、
215 層間絶縁膜、
216 ソース電極、
217 ドレイン電極、
218 第1絶縁膜、
221 第1電極、
219 第2絶縁膜、
219a 開口、
220 有機膜、
221 第1電極、
222 第2電極、
223 第3電極、
223a 第2エッジ、
224 キャッピング層、
224a 第1エッジ、
EL 有機発光素子、
TR 薄膜トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に備えられた薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記薄膜トランジスタと電気的に連結された第1電極と、
前記第1電極を覆うように前記第1絶縁膜上に形成され、前記第1電極の一部を露出させる開口を持つ第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上の一部及び前記第1電極上に形成された有機発光層と、
前記第2絶縁膜及び有機発光層上に形成された第2電極と、
前記第2電極上の第1領域上に形成されて第1エッジを持つキャッピング層と、
前記第2電極上の前記第1領域以外の領域である第2領域上に形成され、前記キャッピング層の第1エッジの側面とその側面が互いに当接する第2エッジを持つ第3電極と、を備える有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第2電極は、透光可能に備えられたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第2電極は、Agを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第3電極の厚さは、前記第2電極の厚さより厚いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、
前記透過領域及びピクセル領域は、前記第1領域に位置し、
前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、
前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記キャッピング層は、透光可能に備えられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第3電極と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極と前記第2電極との接着力より弱いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第3電極は、Mgを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
複数のピクセルと、
前記各ピクセルに位置する複数の薄膜トランジスタと、
前記各ピクセルに位置し、前記各薄膜トランジスタと電気的に連結された複数の第1電極と、
前記複数のピクセルを覆う第2電極と、
前記各第1電極と前記第2電極との間に介在された有機発光層と、
前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数のキャッピング層と、
前記各ピクセルの間に位置し、前記各キャッピング層に隣接して前記第2電極と電気的に連結された第3電極と、を備える有機発光表示装置。
【請求項12】
前記第2電極は、透光可能に備えられたことを特徴とする請求項11に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第2電極は、Agを含むことを特徴とする請求項11または12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含むことを特徴とする請求項11または12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記第3電極の厚さは、前記第2電極の厚さより厚いことを特徴とする請求項11〜14のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記各ピクセルは、外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、
前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、
前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置することを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記キャッピング層は、透光可能に備えられたことを特徴とする請求項11〜16のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記第3電極と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極と前記第2電極との接着力より弱いことを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含むことを特徴とする請求項11〜18のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
前記第3電極は、Mgを含むことを特徴とする請求項11〜19のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記キャッピング層のあらゆるエッジと前記第3電極のエッジとが互いに当接することを特徴とする請求項11〜20のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記キャッピング層の面積は、少なくとも一ピクセルの発光が起きる領域の面積より広いことを特徴とする請求項11〜21のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項23】
複数のピクセルにそれぞれ位置する複数の薄膜トランジスタを形成する段階と、
前記各薄膜トランジスタと電気的に連結され、前記複数のピクセルにそれぞれ位置し、第1電極、有機発光層及び第2電極を含む複数の有機発光素子を形成する段階と、
前記ピクセルのうち少なくとも一つに対応するように位置する複数のキャッピング層を形成する段階と、
前記ピクセル上に金属を蒸着し、前記各キャッピング層に隣接して前記第2電極と電気的に連結された第3電極を形成する段階と、を含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項24】
前記第2電極は、透光可能に形成されることを特徴とする請求項23に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項25】
前記第2電極は、Agを含むことを特徴とする請求項23または24に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項26】
前記第2電極は、ITO、IZO、ZnOまたはInを含むことを特徴とする請求項23または24に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項27】
前記第3電極は、前記第2電極より厚く形成されることを特徴とする請求項23〜26のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項28】
前記各ピクセルは、外光の透過可能な透過領域と、前記透過領域に隣接して発光が行われるピクセル領域と、を含み、
前記第1電極は、ピクセル領域と重なり、
前記第1電極は、前記薄膜トランジスタを遮蔽するように位置することを特徴とする請求項23〜27のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項29】
前記キャッピング層は、透光可能に形成されることを特徴とする請求項23〜28のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項30】
前記第3電極を形成する金属と前記キャッピング層との接着力は、前記第3電極を形成する金属と前記第2電極との接着力より弱いことを特徴とする請求項23〜29のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項31】
前記キャッピング層は、8−キノリノラトリチウム、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、N(ジフェニル−4−イル)9,9−ジメチル−N−(4(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、または2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ−[D]イミダゾールを含むことを特徴とする請求項23〜30のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項32】
前記第3電極は、Mgを含むことを特徴とする請求項23〜31のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項33】
前記キャッピング層を形成する段階は、前記キャッピング層に対応するパターンの開口を持つマスクを用いて行われることを特徴とする請求項23〜32のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項34】
前記第3電極を形成する段階は、前記キャッピング層上の及び前記キャッピング層に隣接した領域に前記金属を蒸着する段階を含むことを特徴とする請求項23〜33のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項35】
前記キャッピング層の面積は、少なくとも一ピクセルの発光が起きる領域の面積より広く形成されることを特徴とする請求項23〜34のいずれか一項に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−253015(P2012−253015A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−114604(P2012−114604)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】