説明

有機発光表示装置

【課題】有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】異なる色相の第1副画素、第2副画素及び第3副画素を備える有機発光表示装置において、基板と、基板上に配された第1電極と、第1電極上に第1電極と対向するように配された第2電極と、第1電極と第2電極との間に配され、第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層を備える有機発光層と、第1電極と第2電極との間に有機発光層と接するように配される電子アクセプター層と、を備え、第1有機発光層は、第1副画素に配され、第2有機発光層は、第2副画素に配され、第3有機発光層は、第1副画素、第2副画素及び第3副画素に共通に配され、電子アクセプター層は、第1副画素で第1有機発光層と第3有機発光層との間、及び第2副画素で第2有機発光層と第3有機発光層との間に配される有機発光表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に係り、さらに詳細には、画質特性及び寿命を容易に向上できる有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、ディスプレイ装置は、携帯可能な薄型の平板表示装置に代替されている。平板ディスプレイ装置のうちでも、有機または無機発光表示装置は、自発光型ディスプレイ装置であって、視野角が広く、コントラストに優れているだけでなく、応答速度が速いという長所があって、次世代ディスプレイ装置として注目されている。また、発光層の形成物質が有機物で構成される有機発光表示装置は、無機発光表示装置に比べて、輝度、駆動電圧及び応答速度特性に優れ、多様な色相を具現できる長所を有している。
【0003】
有機発光表示装置は、有機発光層を中心にカソード電極、アノード電極が配され、このような両電極に電圧を加えれば、両電極に連結された有機発光層から可視光線を発生させる。
【0004】
有機発光層は、赤色、緑色及び青色など、他の色の可視光線を発光させる有機発光層を備える。有機発光層は、正孔と電子とが再結合して可視光線を発生させる。この時、再結合に参加しない余りの電子は、正孔注入層、正孔輸送層または第1電極方向に移動する。これは、有機発光表示装置の光効率を低下し、寿命を短縮する。
【0005】
特に、青色有機発光層を全体副画素に共通に使用する構造で、このような余りの電子は、所望ではない有機発光層から可視光線を発生させて混色を発生させ、画質特性を低下させるために画質向上に限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、画質特性及び寿命を容易に向上できる有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明は、異なる色相の第1副画素、第2副画素及び第3副画素を備える有機発光表示装置において、基板、前記基板上に配された第1電極、前記第1電極上に前記第1電極と対向するように配された第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に配され、第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層を備える有機発光層、及び前記第1電極と前記第2電極との間に前記有機発光層と接するように配される電子アクセプター層を備え、前記第1有機発光層は、前記第1副画素に配され、前記第2有機発光層は、前記第2副画素に配され、前記第3有機発光層は、前記第1副画素、第2副画素及び第3副画素に共通に配され、前記電子アクセプター層は、前記第1副画素で前記第1有機発光層と前記第3有機発光層との間、及び前記第2副画素で前記第2有機発光層と前記第3有機発光層との間に配される有機発光表示装置を開示する。
【0008】
本発明において、前記第1有機発光層は、赤色可視光線を発光し、前記第2有機発光層は、緑色可視光線を発光し、前記第3有機発光層は、青色可視光線を発光できる。
本発明において、前記電子アクセプター層は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。
【0009】
本発明において、前記第3有機発光層は、前記第1電極と前記第1有機発光層との間、及び前記第1電極と前記第2有機発光層との間に配されうる。
【0010】
本発明において、前記電子アクセプター層と前記第1有機発光層との間及び前記電子アクセプター層と前記第2有機発光層との間にバッファ層をさらに備えうる。
【0011】
本発明において、前記バッファ層は、正孔注入物質または正孔輸送物質でありうる。
【0012】
本発明において、前記基板と前記第3有機発光層との間に正孔輸送層及び正孔注入層が配されうる。
【0013】
本発明において、前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に配された中間層をさらに備えうる。
【0014】
本発明において、前記中間層は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有機発光表示装置によれば、画質特性及び寿命を容易に向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置を示す概略的な断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施形態に関する有機発光表示装置を示す概略的な断面図である。
【図4】本発明の有機発光表示装置の寿命を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面に示された本発明に関する実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に関する有機発光表示装置を示した概略的な断面図である。
【0019】
本実施形態の有機発光表示装置100は、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3を含む。これらの各副画素SP1,SP2,SP3は、異なる色の副画素でありうるが、本実施形態では、第1副画素SP1は、赤色副画素、第2副画素SP2は、緑色副画素、及び第3副画素SP3は、青色副画素と定義する。
【0020】
図1には、一つの第1副画素SP1、一つの第2副画素SP2、及び一つの第3副画素SP3が示されているが、これは、説明の便宜のためのものであり、有機発光表示装置100は、複数の第1副画素SP1、複数の第2副画素SP2、及び複数の第3副画素SP3を備えうる。
【0021】
第1副画素SP1は、第1電極110、第3有機発光層133、電子アクセプター層125、第1有機発光層131及び第2電極150を備える。第2副画素SP2は、第1電極110、第3有機発光層133、電子アクセプター層125、第2有機発光層132及び第2電極150を備える。第3副画素SP3は、第1電極110、第3有機発光層133及び第2電極150を備える。
【0022】
具体的には、各部材の構成について説明する。
【0023】
まず、基板101は、SiOを主成分とする透明なガラス材質で形成されうる。基板101は、必ずしもこれに限定されず、透明なプラスチック材質で形成することもある。プラスチック材質は、絶縁性有機物であるポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなる群から選択される有機物でありうる。
【0024】
また、金属で基板101を形成できる。金属で基板101を形成する場合、基板101は、炭素、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、インバー合金、インコネル合金及びコバール合金からなる群から選択された一つ以上を含みうるが、これに限定されるものではない。基板101は、金属フォイルで形成することもある。
【0025】
基板101の上部に平滑な面を形成し、基板101の上部への不純元素の浸透を遮断するために、基板101の上部に保護層(図示せず)を形成できる。保護層(図示せず)は、SiO及び/またはSiNxで形成できる。
【0026】
第1電極110は、フォトリソグラフィ法によって所定のパターンで形成できる。第1電極110は、反射型電極または透過型電極でありうる。第1電極110が反射型電極である場合、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で反射膜を形成した後、その上に仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはInを配置して第1電極110を形成する。第1電極110が透過型電極である場合、第1電極110は、仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはInで形成される。
【0027】
本実施形態では、第1電極110をアノード電極、第2電極140をカソード電極と仮定したものであるが、電極の極性が逆になってもよい。
【0028】
第1電極110上に正孔注入層121及び正孔輸送層122が形成される。しかし、本発明は、これに限定されない。正孔注入層121及び正孔輸送層122が配されないこともあり、二つの層のうち、一つの層のみが配されることもある。
【0029】
正孔輸送層122上に有機発光層130が形成される。有機発光層130は、第1有機発光層131、第2有機発光層132及び第3有機発光層133を備える。
【0030】
具体的に説明すれば、まず、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3の全体にわたって、正孔輸送層122上に第3有機発光層133が形成される。
【0031】
第3有機発光層133は、青色可視光線を発光し、青色発光材料であるオキサジアゾールダイマー染料(Bis−DAPOXP)、スピロ化合物(Spiro−DPVBi,Spiro−6P)、トリアリルアミン化合物、ビス(スチリル)アミン(DPVBi,DSA)、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TPBe)、9H−カルバゾール−3,3’−(1,4−フェニレン−ジ−2,1−エテン−ジイル)ビス[9−エチル−(9C)](BCzVB)、4,4−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、4,4’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)、ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(FIrPic)を含んでもよく、それ以外に、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子のような高分子発光物質を含んでもよい。
【0032】
第1副画素SP1及び第2副画素SP2には、第3有機発光層133上に電子アクセプター層125が配される。電子アクセプター層125は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。特に、電子アクセプター層125は、1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルを含みうる。
【0033】
電子アクセプター層125は、電子と正孔とが再結合した後、余りの電子をトラップできる。
【0034】
そして、第1副画素SP1で、電子アクセプター層125上には、第1有機発光層131が形成される。第1有機発光層131は、赤色可視光線を発光し、テトラフェニルナフタセン、ルブレン、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(btp)(acac))、トリス(ジベゾイルメタン)フェナントロリンユロピウム(III)(Eu(dbm)(phen))、トリス[4,4’−ジ−tert−ブチル−(2,2’)−ビピリジン]ルテニウム(III)錯体(Ru(dtb−bpy)*2(PF))、DCM1、DCM2、Eu(三フッ化テノイルアセトン)3)(Eu(TTA)3)、ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)を含んでもよく、それ以外に、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子のような高分子発光物質を含んでもよい。
【0035】
第2副画素SP2には、電子アクセプター層125上に第2有機発光層132が形成される。第2有機発光層132は、緑色発光材料である3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン(Coumarin6)2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7、−テトラメチル−1H,5H,11H−10−(2−ベンゾチアゾリル)キノリジノ−[9,9a,1gh]クマリン(C545T)、N,N’−ジメチル−キナクリドン(DMQA)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))を含んでもよく、それ以外に、ポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子のような高分子発光物質を含んでもよい。
【0036】
そして、全体副画素にわたって有機発光層130上に電子輸送層141及び電子注入層142が順次に配される。本発明は、これに限定されず、電子輸送層141及び電子注入層142が配されないこともあり、二つの層のうち一つの層のみが配されることもある。
【0037】
電子注入層142上に第2電極150が配される。第2電極150は、透過型電極または反射型電極でありうる。第2電極150が透過型電極である場合、第2電極150は、仕事関数の小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物を蒸着した後、その上にITO、IZO、ZnOまたはInなどの透明導電物質で補助電極層やバス電極ラインを形成できる。
【0038】
第2電極150が反射型電極である場合、第2電極150は、仕事関数の小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caで形成されうる。
【0039】
基板101の一面に対向するように、すなわち、第2電極150の上部に密封部材(図示せず)が配されうる。密封部材(図示せず)は、外部の水分や酸素から有機発光層を保護するために形成するものであって、密封部材(図示せず)は、透明な材質で形成される。このために、密封部材は、ガラス、プラスチックまたは有機物及び無機物の複数の重畳された構造で形成されることもある。
【0040】
本実施形態の有機発光表示装置100は、第1副画素SP1の第3有機発光層133と第1有機発光層131との間、及び第2副画素SP2の第3有機発光層133と第2有機発光層132との間に電子アクセプター層125が配される。
【0041】
電子アクセプター層125は、第2電極150を通じて注入された電子が第1有機発光層131、第2有機発光層132及び第3有機発光層133を通過して正孔輸送層122及び正孔注入層121に流入することを防止する。
【0042】
具体的には、第1副画素SP1から第2電極150を通じて注入された電子が第1有機発光層131で正孔と再結合した後に、余りの電子が電子アクセプター層125にトラップされて、余りの電子が第3有機発光層133または正孔輸送層122の方向に流入することを防止する。また、第2副画素SP2で第2有機発光層132で電子が正孔と再結合した後に、余りの電子が電子アクセプター層125にトラップされて、余りの電子が第3有機発光層133または正孔輸送層122の方向に流入することを防止する。
【0043】
このような余りの電子が第3有機発光層133、正孔注入層121または正孔輸送層122など、所望ではない有機層に流入すれば、有機発光表示装置100の寿命を短縮させうる。しかし、本実施形態では、このような余りの電子が電子アクセプター層125にトラップされ、結果的に、有機発光表示装置100の寿命が延長する。
【0044】
特に、第3有機発光層133より第1有機発光層131及び第2有機発光層132が第2電極150に近く位置するので、余りの電子による寿命短縮がさらに顕著になりうるが、本実施形態の電子アクセプター層125は、このような寿命短縮を効果的に防止する。
【0045】
また、第1副画素SP1で第2電極150を通じて注入された電子が第1有機発光層131で正孔と再結合した後に、余りの電子が第3有機発光層133に流入すれば、第3有機発光層133でこのような余りの電子と正孔とが再結合し、青色可視光線が発光しうる。これにより、第1副画素SP1で青色可視光線と赤色可視光線とが混色された可視光線が発光しうる。そして、同様に、第2副画素SP2でも余りの電子が第3有機発光層133で正孔と再結合して、第2副画素SP2で所望の緑色可視光線ではない、混色された可視光線が発光しうる。
【0046】
このような混色現象は、有機発光表示装置100の画質特性を顕著に落とす。しかし、本実施形態では、第1有機発光層131と第3有機発光層133との間及び第2有機発光層132と第3有機発光層133との間に電子アクセプター層125を配置し、余りの電子をトラップして混色を防止し、結果的に、有機発光表示装置100の画質特性が向上する。
【0047】
また、本実施形態で各副画素別に第1電極110と第2電極150との間の長さを差別化して、有機発光層130から発生した可視光線の光路長を各副画素別に異ならせてマイクロキャビティー効果を具現できる。
【0048】
図2は、本発明の他の実施形態に関する有機発光表示装置を示した概略的な断面図である。説明の便宜上、前述した実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
本実施形態の有機発光表示装置200は、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3を含む。これらの各副画素SP1,SP2,SP3は、異なる色の副画素でありうるが、本実施形態では、第1副画素SP1は赤色副画素、第2副画素SP2は緑色副画素、及び第3副画素SP3は青色副画素と定義する。
【0050】
図2には、一つの第1副画素SP1、一つの第2副画素SP2、及び一つの第3副画素SP3が示されているが、これは、説明の便宜上のものであり、有機発光表示装置200は、複数の第1副画素SP1、複数の第2副画素SP2及び複数の第3副画素SP3を具備できる。
【0051】
第1副画素SP1は、第1電極210、第3有機発光層233、電子アクセプター層225、バッファ層226、第1有機発光層231、及び第2電極250を備える。第2副画素SP2は、第1電極210、第3有機発光層233、電子アクセプター層225、バッファ層226、第2有機発光層232及び第2電極250を備える。第3副画素SP3は、第1電極210、第3有機発光層233及び第2電極250を備える。
【0052】
基板201上に第1電極210が形成される。基板201及び第1電極210の具体的な構成は、前述した実施形態で説明した通りであるので、具体的な説明は、省略する。
【0053】
第1電極210上に正孔注入層221及び正孔輸送層222が形成される。しかし、本発明は、これに限定されない。正孔注入層221及び正孔輸送層222が配されないこともあり、二つの層のうち一つの層のみが配されることもある。
【0054】
正孔輸送層222上に有機発光層230が形成される。有機発光層230は、第1有機発光層231、第2有機発光層232及び第3有機発光層233を備える。
【0055】
具体的に説明すれば、まず、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3の全体にわたって、正孔輸送層222上に第3有機発光層233が形成される。
【0056】
第3有機発光層233は、青色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0057】
第1副画素SP1及び第2副画素SP2には、第3有機発光層233上にバッファ層226及び電子アクセプター層225が配される。具体的には、バッファ層226は、第1有機発光層231と電子アクセプター層225との間に配される。
【0058】
電子アクセプター層225は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。特に、電子アクセプター層225は、1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルを含みうる。
【0059】
バッファ層226は、正孔輸送物質または正孔注入物質を含む。バッファ層226は、電子アクセプター層225にトラップされる電子の量を制御する。
【0060】
そして、第1副画素SP1でバッファ層226上には、第1有機発光層231が形成される。第1有機発光層231は、赤色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0061】
第2副画素SP2には、バッファ層226上に第2有機発光層232が形成される。第2有機発光層232は、緑色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0062】
全体副画素にわたって、有機発光層230上に電子輸送層241及び電子注入層242が順次に配される。本発明は、これに限定されず、電子輸送層241及び電子注入層242が配されないこともあり、二つの層のうち一つの層のみが配されることもある。
【0063】
電子注入層242上に第2電極250が配される。第2電極250上に密封部材(図示せず)が配されうる。第2電極250及び密封部材についての具体的な説明は、前述した実施形態と同一であるので、省略する。
【0064】
本実施形態の有機発光表示装置200は、第1副画素SP1の第3有機発光層233と第1有機発光層231との間及び第2副画素SP2の第3有機発光層233と第2有機発光層232との間に電子アクセプター層225が配される。電子アクセプター層225には、余りの電子がトラップされ、結果的に、有機発光表示装置200の寿命が向上する。また、第1副画素SP1及び第2副画素SP2で余りの電子が第3有機発光層233で正孔と再結合して発光することを防止して混色を防止し、結果的に、有機発光表示装置200の画質特性を向上する。
【0065】
特に、本実施形態は、バッファ層226によって、このような効果を増大させる。すなわち、第1副画素SP1で第2電極250を通じて注入された電子は、第1有機発光層231で正孔と再結合して赤色可視光線を発光する。この時、電子アクセプター層225によって、第1有機発光層231で実際に再結合に寄与する電子が減少できる。
【0066】
バッファ層226は、第1有機発光層231と電子アクセプター層225との間に配され、電子が第1有機発光層231から電子アクセプター層225に流入することを制御する。これを通じて、第1有機発光層231での電子と正孔との再結合効率は、向上する。
【0067】
結果的に、有機発光表示装置200の画質特性及び寿命延長効果が増大する。
【0068】
また、本実施形態で、各副画素別に第1電極210と第2電極250との間の長さを差別化し、有機発光層230から発生した可視光線の光路長を各副画素別に異ならせることによって、マイクロキャビティー効果を具現できる。
【0069】
図3は、本発明のさらに他の実施形態に関する有機発光表示装置を示した概略的な断面図である。説明の便宜上、前述した実施形態と相異なる点を中心に説明する。
【0070】
本実施形態の有機発光表示装置300は、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3を含む。これらの各副画素SP1,SP2,SP3は、異なる色の副画素でありうるが、本実施形態では、第1副画素SP1は赤色副画素、第2副画素SP2は緑色副画素、及び第3副画素SP3は青色副画素と定義する。
【0071】
図3には、一つの第1副画素SP1、一つの第2副画素SP2、及び一つの第3副画素SP3が示されているが、これは、説明の便宜のためのものであって、有機発光表示装置300は、複数の第1副画素SP1、複数の第2副画素SP2、及び複数の第3副画素SP3を備えうる。
【0072】
第1副画素SP1は、第1電極310、中間層323、第3有機発光層333、電子アクセプター層325、バッファ層326、第1有機発光層331、及び第2電極350を備える。第2副画素SP2は、第1電極310、中間層323、第3有機発光層333、電子アクセプター層325、バッファ層326、第2有機発光層332及び第2電極350を備える。第3副画素SP3は、中間層323、第1電極310、第3有機発光層333及び第2電極350を備える。
【0073】
基板301上に第1電極310が形成される。基板301及び第1電極310の具体的な構成は、前述した実施形態で説明した通りであるので、具体的な説明は、省略する。
【0074】
第1電極310上に正孔注入層321及び正孔輸送層322が形成される。正孔注入層321と正孔輸送層322との間に中間層323が配される。中間層323は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。特に、中間層323は、1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルを含みうる。
【0075】
ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)は、電子をトラップするだけでなく、正孔の輸送性能に優れている。したがって、中間層323が正孔注入層321と正孔輸送層322との間に配されて、第1電極310を通じて注入された正孔を有機発光層330の方向に容易に移動する。
【0076】
一方、中間層323と正孔輸送層322との間に正孔輸送物質または正孔注入物質を含有する補助層324がさらに配されることもある。
【0077】
正孔輸送層322上に有機発光層330が形成される。有機発光層330は、第1有機発光層331、第2有機発光層332及び第3有機発光層333を備える。
【0078】
具体的に説明すれば、まず、第1副画素SP1、第2副画素SP2及び第3副画素SP3の全体にわたって、正孔輸送層322上に第3有機発光層333が形成される。
【0079】
第3有機発光層333は、青色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0080】
第1副画素SP1及び第2副画素SP2には、第3有機発光層333上にバッファ層326及び電子アクセプター層325が配される。
【0081】
電子アクセプター層325は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含みうる。特に、電子アクセプター層325は、1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルを含みうる。
【0082】
バッファ層326は、正孔輸送物質または正孔注入物質を含む。
【0083】
そして、第1副画素SP1で、バッファ層326上には、第1有機発光層331が形成される。第1有機発光層331は、赤色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0084】
第2副画素SP2には、バッファ層326上に第2有機発光層332が形成される。第2有機発光層332は、緑色可視光線を発光し、具体的な材料は、前述した実施形態で説明した通りである。
【0085】
全体副画素にわたって、有機発光層330上に電子輸送層341及び電子注入層342が順次に配される。本発明は、これに限定されず、電子輸送層341及び電子注入層342が配されないこともあり、二つの層のうち一つの層のみが配されることもある。
電子注入層342上に第2電極350が配される。第2電極350上に密封部材(図示せず)が配されうる。第2電極350及び密封部材についての具体的な説明は、前述した実施形態と同一であるので、省略する。
【0086】
本実施形態の有機発光表示装置300は、第1副画素SP1の第3有機発光層333と第1有機発光層331との間、及び第2副画素SP2の第3有機発光層333と第2有機発光層332との間に電子アクセプター層325が配される。電子アクセプター層325には、余りの電子がトラップされ、結果的に、有機発光表示装置300の寿命が向上する。また、混色が防止され、有機発光表示装置300の画質特性が向上する。特に、バッファ層326によって、有機発光表示装置300の画質特性及び寿命延長効果が増大する。
【0087】
また、本実施形態の有機発光表示装置300は、正孔注入層321と正孔輸送層322との間に電子アクセプター層325と同じ材料で形成される中間層323が配される。中間層323によって正孔の輸送効率が向上する。これを通じて、有機発光層330で電子と正孔との再結合効率を向上し、結果的に、有機発光表示装置300の光効率が向上する。
【0088】
また、本実施形態で可視光線の光路長を各副画素別に異ならせることによって、マイクロキャビティー効果を具現できる。
【0089】
図4は、本発明の有機発光表示装置の寿命を示したグラフである。具体的には、図4は、使用時間の変化による有機発光表示装置の相対輝度を示した図面である。ここで、相対輝度とは、有機発光表示装置の寿命を表す指標であって、最初輝度に対する各時刻での輝度の比である。図4で、(a)は、本発明の有機発光表示装置の例であり、(b)は、電子アクセプター層を使用しない従来の有機発光表示装置の例である。
【0090】
図4の(a)を参照すれば、有機発光表示装置を1000時間連続使用しても、相対輝度が約95%である。すなわち、1000時間が過ぎても、最初輝度に比べて、5%だけ低下した輝度を表す。図4の(b)を参照すれば、有機発光表示装置を1000時間連続使用すれば、相対輝度が約80%である。すなわち、1000時間が過ぎれば、最初輝度に比べて、20%も低下した輝度を表す。
【0091】
図4に示したように、本発明の有機発光表示装置は、時間変化による輝度低下が小さくて、寿命が顕著に向上する。
【0092】
図面に示された実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということは理解されたい。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、表示装置関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
100,200,300 有機発光表示装置
101,201,301 基板
110,210,310 第1電極
121,221,321 正孔注入層
122,222,322 正孔輸送層
125,225,325 電子アクセプター層
130,230,330 有機発光層
131,231,331 第1有機発光層
132,232,332 第2有機発光層
133,233,333 第3有機発光層
141,241,341 電子輸送層
142,242,342 電子注入層
150,250,350 第2電極
226,326 バッファ層
323 中間層
324 補助層
SP1 第1副画素
SP2 第2副画素
SP3 第3副画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色相の第1副画素、第2副画素及び第3副画素を備える有機発光表示装置において、
基板と、
前記基板上に配された第1電極と、
前記第1電極上に前記第1電極と対向するように配された第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配され、第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層を備える有機発光層と、
前記第1電極と前記第2電極との間に前記有機発光層と接するように配される電子アクセプター層と、を備え、
前記第1有機発光層は、前記第1副画素に配され、前記第2有機発光層は、前記第2副画素に配され、前記第3有機発光層は、前記第1副画素、第2副画素及び第3副画素に共通に配され、
前記電子アクセプター層は、前記第1副画素で前記第1有機発光層と前記第3有機発光層との間、及び前記第2副画素で前記第2有機発光層と前記第3有機発光層との間に配される有機発光表示装置。
【請求項2】
前記第1有機発光層は、赤色可視光線を発光し、前記第2有機発光層は、緑色可視光線を発光し、前記第3有機発光層は、青色可視光線を発光することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記電子アクセプター層は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第3有機発光層は、前記第1電極と前記第1有機発光層との間、及び前記第1電極と前記第2有機発光層との間に配されることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記電子アクセプター層と前記第1有機発光層との間、及び前記電子アクセプター層と前記第2有機発光層との間にバッファ層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記バッファ層は、正孔注入物質または正孔輸送物質であることを特徴とする請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記基板と前記第3有機発光層との間に正孔輸送層及び正孔注入層が配されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に配された中間層をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記中間層は、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、MoO及びフラーレン(C60)からなる群から選択されたいずれか一つを含むことを特徴とする請求項8に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216470(P2011−216470A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31763(P2011−31763)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】