説明

有機発光表示装置

【課題】本発明は、不透明なカソード電極の干渉現象を防止して、透明領域が拡大された有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、画素領域が複数形成された基板本体を含む有機発光表示装置101であって、一つの画素領域は、不透明領域OA及び透明領域90を含み、不透明領域OAは、光を放出する表示領域30を含む。表示領域30及び透明領域90は、表示領域30と透明領域90との間に配置される導電ライン(共通電源ライン172)によって離隔して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置に関し、より詳しくは透明な有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置(organic light emitting diode display)は、光を放出する有機発光素子を有して、画像を表示する自発光型表示装置である。また、有機発光表示装置は、特性上、使用者が有機発光表示装置を透過して反対側に位置した事物またはイメージを見ることができる透明表示装置に形成される。例えば、透明な有機発光表示装置は、スイッチオフの状態で反対側に位置した事物またはイメージを透過させ、スイッチオンの状態で有機発光素子から放出された光で画像を表示することができる。従って、透明な有機発光表示装置は、有機発光素子及び薄膜トランジスタなどを含む画素が形成された不透明領域及び光を透過させる透明領域を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−2004−0062166号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、透明領域は、光が通過して反対側に位置した事物またはイメージが表示されるように、通常数マイクロメートル乃至数十マイクロメートル水準の幅を有して画素と画素との間に規則的に配列される。
【0005】
透明領域が広いほどより高い透過率を得ることができるが、不透明領域にカソード電極を形成するための蒸着工程において、工程マージンによって不透明な材質のカソード電極が透明領域にも形成される干渉現象が発生する。このように透明領域に不透明なカソード電極が干渉されて形成されると、透明領域が減少して透過性が低下するだけでなく、透過するイメージが歪む問題が発生する。
【0006】
上記課題に対して、本発明の目的とするところは、不透明なカソード電極の干渉現象を防止して、透明領域が拡大された有機発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態によれば、画素領域が複数形成された基板本体を含む有機発光表示装置であって、前記複数の画素領域のそれぞれは、不透明領域及び透明領域を含み、前記不透明領域は、光を放出する表示領域を含む。前記表示領域及び前記透明領域は、前記表示領域と前記透明領域との間に配置される導電ラインによって離隔して配置されることを特徴とする、有機発光表示装置が提供される。
【0008】
前記導電ラインは、共通電源ラインであってもよく、ゲートラインであってもよい。
【0009】
前記表示領域には、アノード電極、カソード電極、及び前記アノード電極と前記カソード電極との間に形成された有機発光層を含む有機発光素子が形成され、前記導電ラインは、前記透明領域と前記カソード電極との間に配置されてもよい。
【0010】
前記透明領域には、光透過性を有して両面発光する透明表示部が形成されてもよい。
【0011】
前記透明表示部は、透明なカソード電極を含んでもよい。前記透明なカソード電極は、Mg、Ag、またはYbを含んでもよい。前記不透明領域には、背面発光する不透明表示部が形成されてもよい。前記透明領域の透明表示部が含むアノード電極と前記不透明領域の不透明表示部が含むアノード電極とが互いに連結されてもよい。
【0012】
前記透明領域の透明表示部が含むアノード電極と前記不透明領域の不透明表示部が含むアノード電極とが互いに分離されてもよい。
【0013】
前記透明領域は、前記不透明領域に配置された副画素領域の数と同数の領域にパターン化されてもよい。
【0014】
前記透明領域は、前記不透明領域に配置された副画素領域の数より小さい数の領域にパターン化されてもよく、前記透明領域の数は一つであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、有機発光表示装置は、広い透明領域を確保して光透過性を向上させることができるだけでなく、イメージの歪みを最少化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置の配置図である。
【図2】図1の副画素を拡大して示した配置図である。
【図3】図2のIII-III線による断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置の配置図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る有機発光表示装置の配置図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る有機発光表示装置の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様な形態に具現され、ここで説明する実施形態に限られない。
【0018】
また、明細書全体にわたって、同一または類似した構成要素については、同一な参照符号を付けるようにする。また、多様な実施形態において、第1実施形態以外の実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0019】
また、図面に表示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明が必ずしも示されたとおりであるとは限らない。
【0020】
図面では、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして、図面では、説明の便宜のために、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にまたは「上部」にあるとする時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0021】
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置101について説明する。図1乃至図3に示したように、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置101は、複数の副画素(SPA、SPA、SPA)を含む画素領域(PA)が複数形成された基板本体111と、副画素(SPA、SPA、SPA)ごとに各々形成された有機発光素子(organic light emitting diode、OLED)70及び薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)10、20を含む。また、有機発光表示装置101は、薄膜トランジスタ10、20または有機発光素子70と連結される複数の導電ライン151、171、172をさらに含む。
基板本体111は、ガラス、石英、及びセラミックなどから形成された透明な絶縁性基板で形成されたり、プラスチックなどから形成された透明なフレキシブル(flexible)基板で形成される。
【0022】
画素領域(PA)は、ほぼ正方形に形成される。しかし、本発明の第1実施形態がこれに限定されるのではなく、画素領域(PA)は長方形に形成されてもよい。
【0023】
以下では、画素領域(PA)、複数の副画素(SPA、SPA、SPA)、及び後述する透明領域90及び表示領域30の形状が四角形であるというのは、必ずしも角部が直角を成す完全な四角形をいうのではなく、角部が曲線で形成されても、全体的な形状が正方形または長方形であることをいう。
【0024】
画素領域(PA)において、各副画素(SPA、SPA、SPA)は、不透明領域(OA)及び透明領域90を含む。また、不透明領域(OA)は、表示領域30及び薄膜トランジスタ領域60を含む。不透明領域(OA)には、図2に示したように、有機発光素子70、薄膜トランジスタ10、20、導電ライン151、171、172、及び蓄電素子80などが形成される。導電ラインは、ゲートライン151、データライン171、及び共通電源ライン172を含む。透明領域90には、光を透過させることができる透明な絶縁膜などが形成される。
【0025】
一方、本発明の第1実施形態において、表示領域30には、赤色表示部31、緑色表示部32、及び青色表示部33の3つの表示部が配置される。しかし、本発明による実施形態は、これによって限定されるのではない。従って、一つの表示領域に2つまたは4つ以上の表示部が配置されてもよい。
【0026】
第1実施形態により赤色表示部31に形成された有機発光素子70は、赤色系の光を放出し、緑色表示部32に形成された有機発光素子70は、緑色系の光を放出し、青色表示部33に形成された有機発光素子70は、青色系の光を放出する。しかし、本発明の実施形態では、各表示部から発光する光をある特定の色に限定しない。例えば、各表示部から発光する光は、表示領域に形成される表示部の数に応じて適正に調節される。
【0027】
全表示部31、32、33は、同一な面積を有したり、各々互いに異なる面積を有したり、または一部だけが同一な面積を有する。
【0028】
また、本発明の第1実施形態において、透明領域90は長方形からなり、一つのパターンに形成される。そして、複数の表示部31、32、33は、透明領域90の長さ方向に沿って並んで配列される。この時、表示領域30と透明領域90との間には共通電源ライン172が配置される。従って、表示領域30及び透明領域90は、共通電源ライン172を間において離隔配置される。
【0029】
この共通電源ライン172は、表示領域30に各表示部を構成する時に、不透明なカソード電極730を形成するための蒸着工程時の工程マージンによって不透明なカソード電極730が透明領域90にまで形成されて透明領域90の面積を減少させるのを防止する役割を果たす。つまり、カソード電極730を形成する時に、カソード電極730の形成範囲が一部表示領域30を逸脱しても、共通電源ライン172の領域内にだけ形成されれば、カソード電極730は、共通電源ライン172を越えて透明領域90にまで侵入しないようになる。ここで、カソード電極730は、Al、Agなどからなる。
【0030】
このように、第1実施形態においては、表示領域30及び透明領域90、つまり表示領域30のカソード電極730と透明領域90との間に導電ラインである共通電源ライン172が位置する。
【0031】
(実施例)
前述のように、表示領域30と透明領域90との間に共通電極ライン172が形成された状態で、カソード電極730の形成ための蒸着工程誤差が15μmであると仮定して、透明領域90の幅をdtとし、表示領域30の幅をdsとする時、表示領域30の幅(ds)を79μmに、透明領域90の幅(dt)を96.5μmに形成することができた。
【0032】
(比較例)
表示領域と透明領域との間に共通電極ラインなどの導電ラインなく表示領域及び透明領域が近接配置されて形成された場合、表示領域の幅(ds)は実施形態のように79μmに形成されるが、透明領域の幅(dt)は表示領域に配置されるカソード電極の干渉によって実施例より狭く70μmに形成されることが分かった。
【0033】
このように、本発明の第1実施形態に係る有機発光表示装置101は、透明領域の広さが拡大して、光透過性が向上するだけでなく、イメージの歪みを最少化させることができる。
【0034】
以下、図2及び図3を参照して、有機発光表示装置101の内部構造について、より詳しく説明する。図2及び図3においては、一つの画素に二つの薄膜トランジスタ10、20及び一つの蓄電素子(capacitor)80が形成された2Tr-1Cap構造のアクティブマトリックス(active matrix、AM)型有機発光表示装置101を示したが、本発明の実施形態がこれに限定されるのではない。
【0035】
従って、有機発光表示装置101は、一つの画素に三つ以上の薄膜トランジスタ及び二つ以上の蓄電素子が形成され、別途の配線がさらに形成されて、多様な構造を有するように形成されてもよい。ここで、画素は、画像を表示する最小単位をいい、画素領域ごとに配置される。有機発光表示装置101は、複数の画素を通して画像を表示する。
【0036】
図2及び図3に示したように、基板本体111上には一つの画素ごとに各々スイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、蓄電素子80、及び有機発光素子70などが形成される。ここで、スイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、及び蓄電素子80を含む構成を駆動回路部(DC)という。また、基板本体111と駆動回路部(DC)及び有機発光素子70との間にはバッファー層120がさらに形成されてもよい。バッファー層120は、窒化ケイ素(SiNx)の単一膜、または窒化ケイ素(SiNx)及び酸化ケイ素(SiO)が積層された二重膜構造に形成される。バッファー層120は、不純元素または水分などの不要な成分の浸透を防止すると同時に、表面を平坦化する役割を果たす。しかし、バッファー層120は、必ずしも必要な構成要素ではなく、基板本体111の種類及び工程条件に応じて省略してもよい。
【0037】
また、基板本体111上には、一方向に沿って配置されるゲートライン151、及びゲートライン151と絶縁交差するデータライン171及び共通電源ライン172がさらに形成される。
【0038】
一つの画素は、ゲートライン151、データライン171、及び共通電源ライン172を境界として定義されるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0039】
有機発光素子70は、アノード電極710、アノード電極710上に形成された有機発光層720、有機発光層720上に形成されたカソード電極730を含む。アノード電極710及びカソード電極730から各々正孔及び電子が有機発光層720の内部に注入される。注入された正孔及び電子が結合した励起子(exiton)が励起状態から基底状態に落ちる時に発光する。
【0040】
蓄電素子80は、層間絶縁膜160を間において配置された一対の蓄電板158、178を含む。ここで、層間絶縁膜160は誘電体となる。蓄電素子80で蓄電された電荷と両蓄電板158、178の間の電圧とによって蓄電容量が決定される。
【0041】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、スイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173、及びスイッチングドレイン電極174を含む。駆動薄膜トランジスタ20は、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176、及び駆動ドレイン電極177を含む。
【0042】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチングゲート電極152は、ゲートライン151と連結される。スイッチングソース電極173は、データライン171と連結される。スイッチングドレイン電極174は、スイッチングソース電極173から離隔配置されて、何れか一つの蓄電板158と連結される。
【0043】
駆動薄膜トランジスタ20は、選択した画素内の有機発光素子70の有機発光層720を発光させるための駆動電源を画素電極710に印加する。駆動ゲート電極155は、スイッチングドレイン電極174と連結された蓄電板158と連結される。駆動ソース電極176及び他の一つの蓄電板178は、各々共通電源ライン172と連結される。駆動ドレイン電極177は、接触孔(contact hole)を介して有機発光素子70の画素電極710と連結される。
【0044】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスタ10は、ゲートライン151に印加されるゲート電圧によって作動して、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ20に伝達する役割を果たす。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスタ20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタ10から伝達されたデータ電圧との差に相当する電圧が蓄電素子80に保存され、蓄電素子80に保存された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスタ20を介して有機発光素子70に流れて、有機発光素子70が発光するようになる。
【0045】
有機発光素子70上には、透明な封止部材210が配置される。封止部材210は、基板本体111とシーラント(図示せず)によって合着されて内部空間を密封して、有機発光素子70及び薄膜トランジスタ10、20を保護する。本発明の第1実施形態において、封止部材210は、ガラス(glass)基板またはプラスチック基板などの透明な絶縁性基板である。しかし、本発明の第1実施形態がこれに限定されるのではない。従って、封止部材210に順次に積層された複数の保護膜を含む透明な封止薄膜が使用されてもよい。
【0046】
また、薄膜トランジスタ10、20及び有機発光素子70の構造は、図2及び図3に示されたとおりであるとは限らない。つまり、薄膜トランジスタ10、20及び有機発光素子70の構造は、当該技術分野の従事者が容易に実施できる範囲内で多様に変更される。
【0047】
以下、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置102について説明する。図4に示したように、本発明の第2実施形態に係る有機発光表示装置102は、複数の副画素(SPA、SPA、SPA)を含む画素領域(PA)を形成するに当たり、この画素領域(PA)が、光透過性を有する透明領域290、複数の表示部271、272、273を含む表示領域270、及び表示領域270と透明領域290との間に配置されたゲートライン220を含む。さらに、画素領域(PA)は、透明領域290との間に表示領域270が配置されるようにする薄膜トランジスタ領域260、及びこの薄膜トランジスタ領域260に隣接配置された共通電源ライン250を含む。
【0048】
つまり、この第2実施形態においては、表示領域270及び透明領域290がゲートライン220を間において離隔配置され、表示領域290に形成された有機発光素子のカソード電極は、ゲートライン220を越えて透明領域290にまで形成されることがない。
【0049】
前述した第2実施形態のように、表示領域と透明領域との間にゲートラインを形成すると、表示領域に配置されたカソード電極が不透明な特性を有しても、透明領域に侵入して形成されるのを防止することができる。
【0050】
この第2実施形態においても、不透明領域に含まれる構成要素には、表示領域270、薄膜トランジスタ領域260、ゲートライン220、共通電源ライン250などが含まれる。
【0051】
以下、図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る有機発光表示装置103について説明する。図5に示したように、本発明の第3実施形態に係る有機発光表示装置103は、画素領域(PA)を形成するに当たり、この画素領域(PA)が、複数の透明表示部391、392、393を含む透明領域390、複数の不透明表示部371、372、373を含む表示領域370、及び表示領域370と透明領域390との間に配置された共通電源ライン320を含む。つまり、第3実施形態においては、表示領域370だけでなく、透明領域390からでも、光を放出することができるようにする。
【0052】
もちろん、第3実施形態においても、透明領域390及び表示領域370が共通電源ライン320を間において離隔配置されることによって、表示領域370に配置された有機発光素子のカソード電極が共通電源ライン320を越えて透明領域390にまで形成されない。
【0053】
さらに、表示領域370は、薄膜トランジスタが形成された薄膜トランジスタ領域360と透明領域390との間に位置し、薄膜トランジスタ領域360と隣接するようにゲートライン350が形成される。
【0054】
表示領域370に含まれている第1不透明表示部371は、赤色系の光を放出し、第2不透明表示部372は、緑色系の光を放出し、第3不透明表示部373は、青色系の光を放出する。この時、表示領域370は、背面発光で光を放出する。このために、表示領域370に形成される有機発光素子のカソード電極は、不透明で光を反射する物質(例:Al、Ag)で形成される。
【0055】
一方、透明領域390は、光透過性を有する両面発光型で光を放出するように構成される。つまり、透明領域390の第1透明表示部391からは赤色系の光を放出し、第2透明表示部392からは緑色系の光を放出し、第3透明表示部393からは青色系の光を放出し、この時、第1透明表示部391、第2透明表示部392、及び第3透明表示部393は、両面発光で光を放出する。このために、透明領域390に形成される有機発光素子のカソード電極は、Mg、Ag、またはYbなどの物質からなる。つまり、第3実施形態において、透明領域390に配置されるカソード電極は、透明であるか、完全に透明でなくても有機発光層から放出した光を透過させて色を表示することができる程度の物質で構成される。
【0056】
一方、この第3実施形態において、一つの画素領域において透明領域390及び不透明領域370に対応する各々のアノード電極は、互いに連結されたり分離されて、各々の駆動回路から連結される。
【0057】
両領域のアノード電極が連結された場合には、一つのパターンに形成することができて製作が容易になり、これらが分離された場合には、画素不良が発生した場合にこれに対する補修が容易になる。
【0058】
第3実施形態によれば、一つの画素領域において背面発光する表示領域370及び両面発光する透明領域390が共通電源ライン320で分離されて有機発光表示装置103が構成されるため、表示領域370に配置される有機発光素子のカソード電極が共通電源ライン320で遮断されて表示領域370に侵入することができないため、両面発光する透明領域390の広さを安定的に確保することができる。
【0059】
さらに、この第3実施形態の有機発光表示装置103は、前述した実施形態とは異なって、透明領域390にも表示部391、392、393を形成して、この透明領域390による透明効果が必要な場合には、透明領域390からも両面に光を放出することができるようになる。
【0060】
なお、図5では、透明領域390は、不透明領域370に配置された副画素領域の数と同数の領域にパターン化されているが、これに限らず、例えば、透明領域390は、不透明領域370に配置された副画素領域の数より小さい数の領域にパターン化されてもよい。
【0061】
図6は、本発明の第4実施形態に係る有機発光表示装置104を示した配置図である。この第4実施形態に係る有機発光表示装置104は、前述した実施形態と基本構成は同様であるが、透明領域490が表示領域470の副画素の数より小さい数の領域に形成されるように構成される。例えば、図6に示したように、表示領域470に配置される副画素(SPA、SPA、SPA)は、その数をR、G、Bに対応して3つにしているが、透明領域490は、3つの副画素(SPA、SPA、SPA)に対応して一つの領域になるようにパターン化されて構成される。このような、透明領域490の表示部パターンは、透明領域を通して透過するイメージの歪みの最少化に有利である。
【0062】
第4実施形態に係る有機発光表示装置104について、図6では、画素領域(PA)において透明領域490及び表示領域470を区分する導電ラインを電源共通ライン420にし、薄膜トランジスタ領域460に隣接してゲートライン450が配置されているとにしたが、必要に応じては、これらが逆に配置されてもよい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0064】
30、270、370 表示領域
60、260、360、460 薄膜トランジスタ領域
70 有機発光素子
90、290、390 透明領域
101、102、103 有機発光表示装置
172、250、320、420 電源共通ライン
151、220、350、450 ゲートライン
PA 画素領域
OA 不透明領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域が複数形成された基板本体を含む有機発光表示装置であって、
前記複数の画素領域のそれぞれは、不透明領域及び透明領域を含み、
前記不透明領域は、光を放出する表示領域を含み、
前記表示領域及び前記透明領域は、前記表示領域と前記透明領域との間に配置される導電ラインによって離隔して配置されることを特徴とする、有機発光表示装置。
【請求項2】
前記導電ラインは、共通電源ラインであることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記導電ラインは、ゲートラインであることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記表示領域には、アノード電極、カソード電極、及び前記アノード電極と前記カソード電極との間に形成された有機発光層を含む有機発光素子が形成され、
前記導電ラインは、前記透明領域と前記カソード電極との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記透明領域が、前記不透明領域に配置された副画素領域の数と同数の領域にパターン化されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記透明領域が、前記不透明領域に配置された副画素領域の数より小さい数の領域にパターン化されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記透明領域の数が一つであることを特徴とする、請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
画素領域が複数形成された基板本体を含む有機発光表示装置であって、
前記複数の画素領域のそれぞれは、不透明領域及び透明領域を含み、
前記不透明領域は、光を放出する表示領域を含み、
前記表示領域及び前記透明領域は、前記表示領域と前記透明領域との間に配置される導電ラインによって離隔して配置され、
前記透明領域には、光透過性を有して両面発光する透明表示部が形成されることを特徴とする、有機発光表示装置。
【請求項9】
前記導電ラインは、共通電源ラインであることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記導電ラインは、ゲートラインであることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記表示領域には、アノード電極、カソード電極、及び前記アノード電極と前記カソード電極との間に形成された有機発光層を含む有機発光素子が形成され、前記導電ラインは、前記透明領域と前記カソード電極との間に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記透明表示部は、透明なカソード電極を含むことを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記カソード電極は、Mg、Ag、またはYbを含むことを特徴とする、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記不透明領域には、背面発光する不透明表示部が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記透明領域の透明表示部が含むアノード電極と前記不透明領域の不透明表示部が含むアノード電極とが互いに連結されたことを特徴とする、請求項14に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記透明領域の透明表示部が含むアノード電極と前記不透明領域の不透明表示部が含むアノード電極とが互いに分離されたことを特徴とする、請求項14に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−134118(P2012−134118A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72302(P2011−72302)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】