説明

有機発光表示装置

【課題】有機発光層が発光する光の光効率を向上すると同時に、有機発光層が発光する光に生じる暗点を最小化できる有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る有機発光表示装置は、基板100、基板100上に位置する第1電極410、第1電極上に位置する有機層420、有機層420上に位置する半透過層430、半透過層430上に位置する有機発光層440、及び有機発光層440上に位置する第2電極450を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機発光表示装置に関し、より詳しくは、半透過層を含む有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置はさまざまな画像(イメージ)を表示する装置であって、最近、有機発光表示装置(organic light emitting diode display)が注目されている。
【0003】
従来の有機発光表示装置は、有機発光素子(organic light emitting diode)を有する第1基板、及び第1基板と対向配置されて第1基板の有機発光素子を保護する第2基板を含む。有機発光素子は光を発光する有機発光層と有機発光層を間において相互対向する第1電極及び第2電極を含む。
【0004】
従来の有機発光表示装置として、有機発光素子から発光された光が第2基板方向に照射される前面発光型、有機発光素子から発光された光が第1基板方向に照射される後面発光型及び有機発光素子から発光された光が第1基板及び第2基板方向に照射される両面発光型があった。
【0005】
この中で、前面発光型の有機発光表示装置の有機発光素子は、第1電極が光反射性であり、第2電極が光半透過性である構造を有するが、このような前面発光型の有機発光表示装置は共振構造(micro cavity structure)を形成するようになる。
【0006】
このような共振構造は一種のカラーフィルター(color filter)効果を実現し、各有機発光層が発光する赤色、緑色または青色などの各光の光効率を向上させる役割を果たす。これにより、赤色、緑色または青色などの各光を発光する各々の有機発光層の厚さはいかなる厚さでもいいわけではなく、各有機発光層が発光する光が有する色の波長に適合するように厚さが一定に定められる。
【0007】
しかし、有機発光層が発光する光が有する色の波長に適合するように有機発光層の厚さが薄く定められた場合、第1電極の表面状態または第1電極に位置するパーティクル(particle)によって有機発光層が発光する光に暗点(dark spot)が生じる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−2007−0087773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、有機発光層が発光する光の光効率を向上すると同時に、有機発光層が発光する光に生じる暗点を最小化できる有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した技術的課題を達成するための本発明の一側面は、基板、前記基板上に位置する第1電極、前記第1電極上に位置する有機層、前記有機層上に位置する半透過層、前記半透過層上に位置する有機発光層、及び前記有機発光層上に位置する第2電極を含む有機発光表示装置を提供する。
【0011】
前記有機層、前記半透過層及び前記有機発光層を合計した厚さは1000Å乃至3000Åであってもよい。
【0012】
前記有機発光層は青色(blue)光を発光する主発光層を含んでもよい。
【0013】
前記有機発光層の厚さは600Å乃至800Åであってもよい。
【0014】
前記第1電極は正極(anode)であり、前記有機層は前記半透過層と隣接する第1正孔注入層を含み、前記有機発光層は前記半透過層と隣接する第2正孔注入層をさらに含んでもよい。
【0015】
前記半透過層は金属を含んでもよい。
【0016】
前記半透過層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、カルシウム銀(CaAg)、マグネシウム銀(MgAg)及びアルミニウム銀(AlAg)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0017】
前記第1電極は光反射性であり、前記第2電極は光半透過性を有してもよい。
【発明の効果】
【0018】
前述した本発明によると、有機発光層が発光する光の光効率を向上すると同時に、有機発光層が発光する光に生じる暗点を最小化できる有機発光表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る有機発光表示装置を示した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の画素の構造を示した配置図である。
【図3】図2のIII−III線に沿って切断して示した断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の主要構成要素を示した断面図である。
【図5】有機発光層から発光する光の波長に応じて共振効果が具現される有機発光層の厚さを示した図表である。
【図6】有機発光層の厚さにより有機発光層が発光する光に生じる暗点の増加率を示したグラフである。
【図7】本発明の実験例に係る有機発光表示装置における主要構成要素を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な形態で実施でき、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。 本発明を明確に説明するために説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一する参照符号を付与するようにする。
【0021】
また、図面に示した各構成のサイズ及び厚さは説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも示されたとおりとは限らない。
【0022】
図面において複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。また、図面において説明の便宜のため、一部の層及び厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分がある部分の「上」にあるという時、これはある部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0023】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書全体において、「〜上に」ということは、対象の部分の上または下に位置することを意味し、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0024】
また、添付の図面においては、一つの画素に二つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)と一つのキャパシタ(capacitor)を備えた2Tr−1Cap構造のアクティブマトリックス(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明がこれに限定されるのではない。従って、有機発光表示装置は一つの画素に三つ以上の薄膜トランジスタと二つ以上のキャパシタを備えてもよく、別途の配線がさらに形成されて多様な構造を有するように形成してもよい。ここで、画素は画像を表示する最小単位を意味し、有機発光表示装置は複数の画素を介して画像を表示する。
【0025】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の実施形態に係る有機発光表示装置について説明する。
【0026】
図1は本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の断面図である。
【0027】
図1に示したように、本発明の実施形態に係る有機発光表示装置は、第1基板100、第2基板200、配線部300、有機発光素子400及びシーラント500を含む。
【0028】
第1基板100は、ガラス、ポリマー(樹脂)などからなる絶縁性基板、または基材としてステンレス鋼などの金属板(金属箔)を含み、少なくとも配線層が形成される表面をガラスやポリマーなどの絶縁材料で被覆して絶縁性を有するようにした絶縁性基板などである。また、第2基板200はガラス、ポリマー(樹脂)などからなる絶縁性基板であって、かつ光透過性材質からなる。第1基板100上には配線部300及び有機発光素子400が位置し、第2基板200は配線部300及び有機発光素子400を間において第1基板100と対向している。第1基板100と第2基板200は有機発光素子400を間においてシーラント500によって互いに合着密封されており、第1基板100及び第2基板200は配線部300及び有機発光素子400を外部の干渉から保護する。
【0029】
配線部300は第1及び第2薄膜トランジスタ10、20(図2に示す)を含み、有機発光素子400に信号を伝達して有機発光素子400を駆動する。有機発光素子400は配線部300から伝達された信号によって光を発光する。
【0030】
配線部300上には有機発光素子400が位置している。
【0031】
有機発光素子400は第1基板100上に位置し、配線部300から信号の伝達を受け、伝達された信号によって画像(イメージ(image))を表示する。
【0032】
以下、図2及び図3を参照して本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の内部構造について詳しく説明する。
【0033】
図2は本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の画素の構造を示した配置図である。図3は図2のIII−III線に沿って切断して示した断面図である。
【0034】
以下、配線部300及び有機発光素子400の具体的な構造は図2及び図3に示しているが、本発明の実施形態が図2及び図3に示された構造に限定されない。配線部300及び有機発光素子400は当業者が容易に変形実施できる範囲内において多様な構造で形成されてもよい。例えば、添付の図面においては、有機発光表示装置として、一つの画素に二つの薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)と一つのキャパシタ(capacitor)を備えた2Tr−1Cap構造のアクティブマトリックス(active matrix、AM)型有機発光表示装置を示しているが、本発明はこれに限定されない。従って、表示装置は薄膜トランジスタの数、キャパシタの数、及び配線の数が限定されない。一方、画素はイメージを表示する最小単位を意味し、有機発光表示装置は複数の画素を介してイメージを表示する。
【0035】
図2及び図3に示したように、有機発光表示装置は一つの画素ごとに各々形成されたスイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20、キャパシタ80及び有機発光素子400を含む。ここで、スイッチング薄膜トランジスタ10、駆動薄膜トランジスタ20及びキャパシタ80を含む構成を配線部300という。さらに、配線部300は、第1基板100の一方向に沿って配置されるゲートライン151、ゲートライン151と絶縁交差するデータライン171及び共通電源ライン172を含む。ここで、一つの画素はゲートライン151、データライン171及び共通電源ライン172を境界として定義されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0036】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、スイッチング半導体層131、スイッチングゲート電極152、スイッチングソース電極173及びスイッチングドレイン電極174を含む。駆動薄膜トランジスタ20は、駆動半導体層132、駆動ゲート電極155、駆動ソース電極176及び駆動ドレイン電極177を含む。
【0037】
スイッチング薄膜トランジスタ10は、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として使用される。スイッチングゲート電極152はゲートライン151と連結する。スイッチングソース電極173はデータライン171と連結する。スイッチングドレイン電極174はスイッチングソース電極173から離隔配置され、いずれか一つの蓄電板158と連結する。蓄電板158は、キャパシタ80を構成する一方の電極であり、蓄電板178がこれに対向する他方の電極となる。
【0038】
駆動薄膜トランジスタ20は、選択された画素内の有機発光素子400の有機発光層440を発光させるための駆動電源を第2電極450に印加する。駆動ゲート電極155はスイッチングドレイン電極174と連結した蓄電板158と連結する。駆動ソース電極176及び他の一つの蓄電板178は各々共通電源ライン172と連結する。駆動ドレイン電極177はコンタクトホール(contact hole)を介して有機発光素子400の第1電極410と連結する。
【0039】
キャパシタ80は層間絶縁膜161を間において配置された一対の蓄電板158、178を含む。ここで、層間絶縁膜161は誘電体となって、キャパシタ80で蓄電された電荷と両蓄電板158、178の間の電圧によってキャパシタ80の蓄電容量が決定される。
【0040】
このような構造によって、スイッチング薄膜トランジスタ10はゲートライン151に印加されるゲート電圧によって作動して、データライン171に印加されるデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ20に伝達する役割を果たす。共通電源ライン172から駆動薄膜トランジスタ20に印加される共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタ10から伝達されたデータ電圧との差に該当する電圧がキャパシタ80に貯蔵されて、キャパシタ80に貯蔵された電圧に対応する電流が駆動薄膜トランジスタ20を介して有機発光素子400に流れて有機発光素子400が発光するようになる。
【0041】
有機発光素子400は、第1電極410、第1電極410上に位置する有機層420、有機層420上に位置する半透過層430、半透過層430上に位置する有機発光層440及び有機発光層440上に位置する第2電極450を含む。ここで、半透過層430は青色(blue)光を発光する有機発光層440と対応する画素だけに位置する。
【0042】
図4は本発明の実施形態に係る有機発光表示装置において主要構成要素を示した断面図である。図4は説明の便宜のために、有機発光表示装置において隣接する画素間に位置する各有機発光素子を構成する構成要素のみを示した。
【0043】
図4に示したように、第1電極410は正孔注入電極である正極(anode)となり、第2電極450は電子注入電極である負極(cathode)となる。しかし、本発明の実施形態が必ずしもこれに限定されるものではなく、有機発光表示装置の駆動方法によって第1電極410が負極となって、第2電極450が正極となってもよい。第1電極410及び第2電極450から各々正孔と電子が有機発光層440内部に注入され、有機発光層440内部に注入された正孔と電子が結合した励起子(exciton)が励起状態から基底状態に落ちる時、有機発光層440が発光する。また、第1電極410は、アルミニウム(Al)及び銀(Ag)などのうちの一つ以上を含む単層または複層の光反射性導電物質を含む第1サブ電極411、及び第1サブ電極411上に位置して酸化インジウムスズ(indium tin oxide、ITO)等の仕事関数が高い導電物質を含む第2サブ電極412を含む。第2電極450は有機層420、半透過層430、有機発光層440を間において第1電極410と対向し、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、カルシウム銀(CaAg)、マグネシウム銀(MgAg)及びアルミニウム銀(AlAg)などのうち一つ以上を含む単層または複層の光半透過性導電物質を含む。第1電極410は1000Å乃至2000Åの厚さを有し、第2電極450は500Å乃至2000Åの厚さを有する。第1電極410上には有機層420が位置する。
【0044】
有機層420は第1電極410上において、第1電極410と半透過層430との間に位置している。有機層420は半透過層430と隣接する第1正孔注入層421を含む。第1正孔注入層421は第1電極410から注入される正孔が有機発光層440にスムーズに注入されることを助ける役割を果たす。有機層420は200Å乃至600Åの厚さを有する。
【0045】
半透過層430は有機層420上において、有機層420と有機発光層440との間に位置している。半透過層430は後述する青色(blue)光を発光する第3主発光層443と対応し、選択的に第3主発光層443から発光する青色光の一部は反射して一部は透過させる。半透過層430は金属を含み、より詳細には、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、カルシウム銀(CaAg)、マグネシウム銀(MgAg)及びアルミニウム銀(AlAg)などのうち一つ以上を含む単層または複層の光半透過性導電物質を含む。半透過層430は60Å乃至2000Åの厚さを有する。
【0046】
有機発光層440は、赤色(red)光を発光する第1主発光層441、緑色(green)光を発光する第2主発光層442及び青色(blue)光を発光する第3主発光層443を含む。各々の第1主発光層441、第2主発光層442及び第3主発光層443は、各々の第1電極410及び第2電極450から注入された正孔と電子が結合して各々の光を発光する層である。
【0047】
有機発光層440は、電子注入層444、電子輸送層445、第2正孔注入層446及び正孔輸送層447をさらに含む。
【0048】
電子注入層444及び電子輸送層445は、第2電極450と第1主発光層441、第2主発光層442及び第3主発光層443の各々の間に位置し、負極の第2電極450から注入された電子が第1主発光層441、第2主発光層442及び第3主発光層443にスムーズに注入されることを助ける役割を果たす。
【0049】
第2正孔注入層446及び正孔輸送層447は、第1電極410と第1主発光層441及び第2主発光層442の各々の間及び半透過層430と第3主発光層443との間に位置し、正極である第1電極410から注入された正孔が各々の第1主発光層441、第2主発光層442及び第3主発光層443にスムーズに注入されることを助ける役割を果たす。特に、半透過層430と第3主発光層443との間に位置する第2正孔注入層446は半透過層430と隣接し、第1電極410から第3主発光層443に注入される正孔が通る層である。
【0050】
第3主発光層443と対応する有機発光層440の第1厚さ(T1)は600Å乃至800Åであり、この範囲のうち第1厚さ(T1)は第3主発光層443が発光する青色光が有する色の波長に適合するように700Åの厚さを有する。また、第3主発光層443と対応する有機発光層440、有機層420及び半透過層430を合計した第2厚さ(T2)は1000Å乃至3000Åの厚さを有する。以上のように、有機発光層440が第3主発光層443が発光する青色光が有する色の波長に適合するように700Åの第1厚さ(T1)を有すると同時に、第3主発光層443と対応する有機発光層440、有機層420及び半透過層430を合計した第2厚さ(T2)が1000Å以上であることによって、有機発光層440が発光する光の光効率及び色再現率が向上すると同時に、有機発光層440が発光する光に暗点が生じることを抑制できる。本発明の実施形態に係る有機発光表示装置によってこのような効果が具現される理由については後述する。
【0051】
図5は有機発光層で発光する光の波長によって共振効果が具現される有機発光層の厚さを示した図表である。
【0052】
図5に示したように、有機発光層440が発光する光の光効率及び色再現率が向上する共振効果を具現するためには、赤色光を発光する第1主発光層441を含む有機発光層440の厚さは実質的に1300Åを有することが望ましく、緑色光を発光する第2主発光層442を含む有機発光層440の厚さは実質的に950Åを有することが望ましく、青色光を発光する第3主発光層443を含む有機発光層440の厚さは実質的に700Åを有することが望ましい。
【0053】
これにより、本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の有機発光素子400は、第2基板200方向に光を放出する前面発光型であり、半透過層430は青色光を発光する第3主発光層443を含む有機発光層440と有機層420との間に位置している。
【0054】
このような構造において、各々の第1電極410及び第2電極450から各々の正孔及び電子が青色光を発光する第3主発光層443に注入されると、第3主発光層443は第2電極450及び半透過層430方向に青色光を発光するが、第3主発光層443から第2電極450に照射された青色光のうちの一部は第2電極450によって反射し、その残りは第2電極450を透過する。また、第3主発光層443から半透過層430に照射されたり、第2電極450によって反射されて半透過層430に照射される青色光のうちの一部は半透過層430によって反射し、その残りは半透過層430を透過して第1電極410によって反射する。このように、第2電極450と半透過層430との間に共振構造(micro cavity structure)が形成され、半透過層430と第1電極410との間の厚さは共振構造から除外されることによって、第3主発光層443から発光される青色光は青色光が有する色の波長に対応する700Åの第1厚さ(T1)を有する第3主発光層443を含む有機発光層440内において共振効果(micro cavity effect)が具現されるため、有機発光表示装置の光効率及び色再現率が向上する。
【0055】
一方、図6は有機発光層の厚さにより有機発光層が発光する光に生じる暗点増加率を示したグラフである。
【0056】
ここでは有機層のうちの正孔輸送層(HTL(hole transport layer))の厚さを変えて有機層の総厚さを変えて暗点増加率を計った。各厚さごとに30個あまりのセルに対して暗点個数をカウンティングした後、セル個数で割って平均暗点増加率とした。
【0057】
図6に示したように、第1電極410と第2電極450との間に位置する発光層(EL層)が発光する光に生じる暗点(dark spot)は、発光層(EL層)が1000Å以上の厚さを有する場合に顕著に減少することが確認できた。
【0058】
そこで、本発明の実施形態に係る有機発光表示装置は、第3主発光層443と対応する有機発光層440、有機層420及び半透過層430を合計した第2厚さ(T2)が1000Å乃至3000Åを有するように設定することによって、第1電極410と第2電極450との間に位置する発光層(EL層)である第3主発光層443と対応する有機発光層440、有機層420及び半透過層430を合計した第2厚さ(T2)が1000Å以上となるため、有機発光層440が発光する青色光に暗点が生じることが抑制される。
【0059】
なお、厚さの上限値を3000Åとしたのは、下記の理由による。空振構造は基本的に厚さによって共振次数が決められる。1000Å以下の1次共振、2000〜3000Åの2次共振、3000Å以上となれば3次共振になる。ところが、共振次数が高くなるほど効率が減少するので、3次共振に行かない条件として3000Å以下を上限としたのである。
【0060】
以下、図7を参照して本発明の実施形態に係る有機発光表示装置の有機発光層440から発光される青色光の光効率及び色再現率が向上すると同時に、有機発光層440から発光する青色光に暗点が生じることが抑制されることを確認した実験例について説明する。以下で説明する各構成要素の厚さは括弧内の数字であり、厚さの単位はÅであることをまず明らかにする。
【0061】
図7は本発明の実験例に係る有機発光表示装置における主要構成要素を示した断面図である。図7では青色光を発光する第3主発光層443を含む有機発光層440を基準に示した。
【0062】
図7に示したように、本発明の実験例に係る有機発光表示装置は第1電極、有機層、半透過層、有機発光層及び第2電極を含む。
【0063】
第1電極(Ag 1000Å、ITO 70Å)上に第1正孔注入層(HIL1 400Å)を含む有機層、半透過層[金属(MgAg)120Å]、有機発光層及び第2電極[負極(MgAg)160Å]が積層されており、有機発光層は第2正孔注入層(HIL2 100Å)、正孔輸送層(HTL 150Å)、第3主発光層(EML 200Å)、電子輸送層(ETL 250Å)及び電子注入層(EIL 5Å)を含む。
【0064】
このような本発明の実験例に係る有機発光表示装置は、第2正孔注入層(HIL2 100Å)、正孔輸送層(HTL 150Å)、第3主発光層(EML 200Å)、電子輸送層(ETL 250Å)及び電子注入層(EIL 5Å)を含む有機発光層の厚さが、共振効果が具現される厚さである700Åと実質的に類似する705Å有することによって、第3主発光層(EML 200Å)から発光する青色光の光効率及び色再現率が向上することを確認し、第1電極(Ag 1000Å、ITO 70Å)と第2電極[負極(MgAg)160Å]との間に位置する第1正孔注入層(HIL1 400Å)を含む有機層、半透過層[金属(MgAg)120Å]及び有機発光層705を合計した厚さが、暗点発生が抑制される厚さである1000Å以上である1225Åを有することによって、第3主発光層(EML 200Å)から発光する青色光に暗点が生じないことを確認した。
【0065】
前述の実験によって確認されたように、本発明の実施形態に係る有機発光表示装置は、第2電極450と半透過層430との間に第3主発光層443から発光する青色光が有する色の波長に対応する第1厚さ(T1)を有する共振構造が形成されると同時に、第1電極410と第2電極450との間に位置する第3主発光層443と対応する有機発光層440、有機層420及び半透過層430を合計した厚さが第2厚さ(T2)を有することによって、有機発光表示装置の光効率及び色再現率が向上すると同時に、有機発光層440が発光する青色光に暗点が生じることが抑制される。
【0066】
以上、本発明を望ましい実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることは当業者には簡単に理解できる。
【符号の説明】
【0067】
100 第1基板、
200 第2基板、
300 配線部、
400 有機発光素子、
410 第1電極、
420 有機層、
430 半透過層、
440 有機発光層、
450 第2電極、
500 シーラント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置する有機層と、
前記有機層上に位置する半透過層と、
前記半透過層上に位置する有機発光層と、
前記有機発光層上に位置する第2電極と、を含むことを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
前記有機層、前記半透過層及び前記有機発光層を合計した厚さは1000Å乃至3000Åであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記有機発光層は青色光を発光する主発光層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記有機発光層の厚さは600Å乃至800Åであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は正極であり、
前記有機層は前記半透過層と隣接する第1正孔注入層を含み、
前記有機発光層は前記半透過層と隣接する第2正孔注入層をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記半透過層は金属を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記半透過層はアルミニウム(Al)、銀(Ag)、カルシウム(Ca)、カルシウム銀(CaAg)、マグネシウム銀(MgAg)及びアルミニウム銀(AlAg)のうち一つ以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第1電極は光反射性を有し、
前記第2電極は光半透過性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−44154(P2012−44154A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153000(P2011−153000)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】