説明

有機発光装置

有機発光装置であって、アノード、カソード、前記アノードおよび前記カソードの間に位置する発光層を含み、前記発光層は次の式1を有する発光金属錯体を含み、
【化1】


上記式において、Mは、Re(I)、W(0)、Ir(III)またはOs(II)を表し、L1は3座リガンドを表し、L2、L3およびL4はリガンドを表し、L1は次の式2を有し、
【化2】


上記式において、R1は架橋基を表し、Ar1、Ar2およびAr3はそれぞれヘテロアリール環を含む基を表し、*はMへの配位結合を表し、L1中のAr1、Ar2および/またはAr3を定義する本明細書を通じて、*はMへの配位結合を表す有機発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体を含む有機発光装置およびその製造方法に関するものである。本発明は、また、新規な金属錯体および有機発光装置に使用される金属錯体を含む新しい組成物にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
この10年間、高効率材料または高効率装置構造の開発による発光装置の発光効率の改良に多くの努力がなされてきた。
【0003】
図1は、典型的なLEDの断面図を示す。この装置は、アノード2、カソード5および前記アノードおよびカソードの間に位置する発光層4を有する。アノードは、例えば、透明なインジウム錫酸化物層である。カソードは、例えば、LiAlである。装置に注入される正孔および電子は発光層中で放射的に再結合する。この装置のさらなる特徴は、光学正孔輸送層3である。正孔輸送層は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である、これは、アノードから注入された正孔が発光層に到達するのを促進するエネルギーレベルを提供する。
【0004】
公知のLEDは構造は、カソード5および発光層4に間に位置する電子輸送層を有することができる。これは、カソードから注入された電子を発光層に到達するのを促進するエネルギーレベルを提供する。
【0005】
LEDにおいては、対向する電極から注入された電子と正孔は結合して2つのタイプの励起子、すなわち、スピンが対称の3重項とスピンが非対称の1重項を形成する。1重項からの放射性崩壊(蛍光)は速いが、3重項から(燐光)はスピン保存性から公式には禁じられている。
【0006】
過去数年間、燐光性材料を発光層に混合する多くの研究がなされてきた。しばしば、燐光材料は金属錯体であるが、これに限定されない。さらに、金属錯体もしばしば蛍光性である。
【0007】
金属錯体リガンドにより囲まれた金属イオンを含む。金属錯体中のリガンドはいくつかの役割を有する。リガンドは、金属から電子を受け取り発光する「発光」リガンドであり得る。あるいは、非放射性通路によるエネルギーロスを防ぐために金属エネルギーレベルに影響を与えるために単純に存在する(「支持」リガンド)。例えば、非放射性通路によるエネルギーロスを防ぐために、金属に配位される支持リガンドとして強結晶場リガンドを有することが有利になり得る。当業者に公知の一般的な強結晶場リガンドとしては、CO、PPh3および負電荷の炭素原子が金属に結合するリガンドがあげられる。N寄与リガンドも前述のものより弱いが強結晶場リガンドである。
【0008】
支持リガンドの影響は、金属錯体から発光されるメカニズムの理解から評価され得る。このメカニズムの評価を提供する発光金属錯体の検討については下記に示す。
【0009】
Chem.Rev.,87,711−7434は、有機金属錯体の発光特性に関するものである。この論文は、有機金属錯体において共通に見出された励起状態の簡単な要約を提供する。検討される励起状態は、金属中心軌道からリガンド局部軌道への電子遷移を含む、金属−リガンド電化転移(MLCT)状態を含む。このようにして、公式には、この励起は金属の酸化およびリガンドの還元をもたらす。室温発光の例の大多数はMLCT励起状態のためであると言われている。
【0010】
Analytical Chemistry,Vol.63,No,17,1991年9月1日,829A〜837Aは、高発光遷移金属錯体、特にプラチナ金属(Ru,Os,Re,RhおよびIr)を有するものの設計と応用に関するものである。この論文によれば、発光遷移金属錯体の最も重要な設計規則は、発光は常に最も低い励起状態から生じるということである。錯体の発光の制御は相対的な状態エネルギーおよび最低励起状態の性質およびエネルギーに影響を与える。
【0011】
金属中心に配位される3座リガンドを有するいくつかの発光金属錯体も公知である。
【0012】
WO2004/081017は、電子産業における活性成分としてのヘキサデンテートリガンドを有する金属錯体に関するものである。
【0013】
Delton Transactions 2005,1,110−115は、ヘテロレプティック半挟み錯体の合成の開始材料として適切であるといわれている
[RhCltpm]の合成について報告している。
【0014】
Inorganic Chemistry 2004,43(1),213−323は、2座金属錯体[(tmp)Ru(dppz)dpp]4+の2段階合成について開示している。
【0015】
Organometalllics(1998),17(10),1946−1955は、リンおよび窒素寄与リガンドを含む発光レニウム(V)ベンジリディネ錯体の励起状態特性の調整に関するものである。
【0016】
Inorganica Chimica Acta(1994),226(1−2),171−7は、[Ru(bpy)2+の誘導体である一連の二核錯体に関するものである。
【0017】
Inorganic Chemistry 1993,32(7),1167−78は、Ru−系発色団クエンチ錯体の製造および特性に関するものである。
【0018】
Polyhedron(1992),11(16),2119−22は、トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウムIIの励起状態の共有結合電子受容金属核による分子内求核置換クエンチに関するものである。
【0019】
Journal of the American Chemical Society(1988),110(23),7751−9は、レニウム(II)のリガンド置換モノ−2,2’−ビピリジン錯体に関するものである。
【0020】
J.Am.Chem.Soc.1998,120,8747−8754は、芳香族分子を有するTpRe(CO)(THF)の反応に関するものである。この論文はOLEDに関するものではなく、Re錯体からの発光については言及していない。
【0021】
US2005/0170207は、OLEDに使用される燐光性有機材料を開示している。この材料は、多座リガンド系を含む金属錯体である。金属は2または3以上のリガンドに結合され、2または3以上のリガンドは1または2以上の結合基によって共有結合される。
【特許文献1】国際公開2004/081017号パンフレット
【特許文献2】米国特許公開2005/0170207号明細書
【非特許文献1】Inorganic Chemistry 2004,43(1),213−323
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上記に鑑みて、効率、色および機能の導入を改良する機会を提供するLEDに使用される新規で安定した金属錯体を特定し設計する必要があることが理解されよう。
【0023】
したがって、LEDにおいて発光のために使用される新規な金属錯体およびそれを含むLEDを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の側面は、有機発光装置であって、
アノード、
カソード、
前記アノードおよび前記カソードの間に位置する発光層であって、前記発光層は次の式1を有する金属錯体を含み、
【化1】

【0025】
上記式において、Mは、Re(I)、W(0)、Ir(III)またはOs(II)を表し、Lは3座リガンドを表し、L、LおよびLはリガンドを表し、Lは次の式2を有し、
【化2】

【0026】
上記式において、Rは架橋基を表し、Ar、ArおよびArはそれぞれヘテロアリール環を含む基を表し、*はMへの配位結合を表す。
【0027】
中のAr、Arおよび/またはArを定義する本明細書を通じて、*はMへの配位結合を表し、
【化3】

【0028】
は、Rへの結合を表す。
【0029】
OLEDへの使用に適する金属錯体であるためには、室温において燐光によって可視光を発光できる必要があることが理解されよう。
【0030】
好ましくは、Lは発光3座リガンドを表す。好ましくは、L、LおよびLは支持リガンドを表す。
【0031】
第1の側面に関係して定義される金属錯体においては、Lは、非放射性通路、特に振電通路によって励起状態のクエンチを最小化するのを促進することが予期せずに発見された。これは、燐光性発光の効率を高め、放射寿命を延ばし、OLED効率を高める。有利には、第1の側面に関連して定義される金属錯体はIr核を有する金属錯体の代替として使用することができる。
【0032】
金属錯体はMLCT(金属リガンド電荷転移)であることができる。本出願の文脈において、MLCT発光体からの全ての発光またはMLCT発光体からの発光の1成分は金属リガンド転移からのものである。好ましくは、MLCT発光体からの少なくとも5%の発光は金属リガンド電荷転移からのものである。
【0033】
必須ではないが、金属錯体は青から緑のいずれかの範囲の色を有する光を放射する。緑色の光は、510〜580nm、好ましくは510〜570nmの範囲の波長を有する光の放射を意味する。青色の光は、400〜500nm、好ましくは430〜500nmの範囲の波長を有する放射を意味する。したがって、金属錯体は、400〜580nmの範囲のいずれの波長を発光することができる。
【0034】
金属錯体は赤色光を放射することができる。赤色の光は、600〜750nm、好ましくは600〜700nmの範囲、より好ましくは、610〜650nm、最も好ましくは650〜660nm周辺の発光ピークを有する波長の光の放射を意味する。
【0035】
好ましくは、MはRe(I)を表す。
【0036】
好ましくは、金属錯体は、必須ではないが、中性である。この目的のため、Mが帯電金属を表すとき、Lは好ましくは帯電している。好ましくは、L上の電荷はM上の電荷と均衡する。MがRe(I)を表すとき、Lは好ましくは単価アニオンリガンドである。MがRe(0)を表すとき、Lは好ましくは中性リガンドである。
【0037】
金属錯体が帯電しているとき、電荷を均衡させる対イオンが存在する。
【0038】
好ましくは、L、LおよびLは中性リガンドである。
【0039】
、LおよびLは同じであり得る。しかしながら、L、LおよびLの1つは残りの2つと異なり得る。これは金属錯体の対称性を減少させる。
【0040】
、LおよびLは互いに異なり得る。
【0041】
金属錯体は室温において可視光を発光する限り、いずれの適切な支持リガンドも使用することができる。適切な支持リガンドは、THFのような実質的にπ−酸性リガンドを有するリガンドを含むCOおよび他の弱い酸性リガンドからすることができる。
【0042】
1つの実施態様において、L=L=L=COである。
【0043】
単座リガンドLのπ−酸性は、Li−Ni(CO)錯体中のNi−Co結合の強度を参照して測定される。
【0044】
Lがよりπ−酸性であるほど、NiからCOへの電子寄与の戻りはより少なく、Ni−CO結合は弱くなる。
【化4】

【0045】
COリガンドの数を適切に減らすことによって、2座または3座リガンドのための同じ試験が実行された。
【0046】
適切な支持リガンドは、アルキン、アルキネ、アルキニル、ニトロシル、シアニド、イソシアニド、アミン、フラン、リンおよび亜燐酸塩から選択される。
【0047】
例えば、
【化5】

【化6】

である。
【0048】
本明細書において記載されるL、LおよびLが共に(i)2座リガンドおよび単座リガンドまたは(ii)3座リガンドを含むように、L、LおよびLの2つまたは全てが結合される。
【0049】
リガンドを支持する2座リガンドは次の式5を有する。
【化7】

【0050】
上記式において、それぞれのRは独立して、アルキル、アルコキシ、ハロゲン(好ましくはフッ素)またはアリールを表す。フェニルおよびN−ピロリルは好ましい置換基である。
【0051】
3座支持リガンドは式6を有する。
【化8】

【0052】
は上記のように定義される。Rはリガンド内の立体的障害を避けるために選択される。
【0053】
については、これは金属錯体への堅固性を与え、分子の振動を減らす。
【0054】
Ar、ArおよびArに含まれるヘテロアリール環は、リガンドを機能化する機会を与えるので、有利である。可溶性置換基および電荷輸送置換基のような機能性置換基によって、Ar、Arおよび/またはArに特定の機能が導入される。置換基を換えることによって、pi受領体およびリガンドのシグマ寄与特性に制御を与え、これによって多様なエネルギーレベル、これから発光の色および効率に影響を与える。
【0055】
Ar、ArおよびArは、任意の適切なヘテロアリール基、例えば、
【化9】

【化10】

を有し、RはHまたは置換基を表す。
【0056】
Ar、ArおよびArにおいては、ヘテロアリール環は好ましくはMに直接配位結合する。しかしながら、これは必須ではなく、Ar、Arおよび/またはArは上記の硫黄または酸素のような結合基によってMに配位することができる。Ar、Arおよび/またはArは、アミン結合基の窒素原子によってMに配位結合することができる。
【0057】
Ar、Arおよび/またはArにおいては、ヘテロアリール環中のヘテロ原子は好ましくは直接Mに配位結合することができる。
【0058】
Ar、ArおよびArに含まれるヘテロアリール環は、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの窒素ヘテロ原子、より好ましくは2または3の窒素へテロ原子を含む。
【0059】
Ar、ArおよびArに含まれるヘテロアリール環は、好ましくは5または6員環であり、より好ましくは1、2または3つの窒素ヘテロ原子を含む5または6員環である。
【0060】
Ar、ArおよびArは、同じであるか互いに異なる。
【0061】
Arにおいては、ヘテロアリールアリール環は、第2アリールまたはヘテロアリール基に共役的に結合することができる。同様に、Arにおいては、ヘテロアリール環は第2アリールまたはヘテロアリール基に共役的に結合することができる。同様に、Arにおいては、ヘテロアリール環は第2アリールまたはヘテロアリール基に共役的に結合することができる。第2アリールまたはヘテロアリール環は縮合してヘテロアリール環を形成するか、または単一直接鎖によってこれに結合される。
【0062】
Ar、ArおよびArは、式7〜15の1つによって示される式を有するヘテロアリール環を有することができる。Ar、Arおよび/またはArは、式7〜15によって示される式を有するヘテロアリール環を有することができる。
【化11】

【化12】

【0063】
上記式において、X,YおよびZは独立してヘテロ原子を表す。式13中のRはHまたは置換基を表す。ヘテロアリール環は未置換である。「未置換」とは、R以外によって置換されていないことを意味する。あるいは、ヘテロアリール環は、Rに加えて他の置換基を有することができる。X,YおよびZのそれぞれは独立してN,P,SまたはOを表すことができる。X、YおよびZは、それぞれ独立してN、P、SまたはOを表すことができる。X、YおよびZは同じか異なり得る。単一のヘテロアリール環においては、好ましくは全てのX、YおよびZは同じであり、好ましくはNを表す。
【0064】
式7〜9および12〜14は好ましい。
【0065】
Ar、Arおよび/またはArは、置換ヘテロアリール環、例えば、式16〜21の1つで示される例である。
【化13】

【化14】

【0066】
XおよびYは上記で定義される。R、RおよびRは独立して任意の置換基を表し、同じか異なり得る。適切な置換基は、フェニル、ヘテロアリール、アルキル(フルオロアルキルのような置換アルキルを含む)、アルコキシ、シアン、アミドおよびハロゲンから選択され得る。置換基はデンドロンを含むことができる。
【0067】
式16〜21においては、好ましくはXおよびYは同じであり、より好ましくは、X=Y=Nであり、式22〜26を与える。
【化15】

【化16】

【0068】
Ar、ArおよびAr中に含まれるヘテロアリール環は、置換基に共役的に結合され得る。例えば、式7〜15で示されるヘテロアリール環は、置換基に共役的に結合され得る。ヘテロアリール環は、式17におけるRおよび/またはRおよび/またはRに共役的に結合することができる。Lにおける共役の拡張の制御により、発光色を調整することができる。Lにおける共役の増加は、発光色の赤色シフトをすることが発見された。
【0069】
Ar、Arおよび/またはAr中のヘテロアリール環が置換基に有利に結合するとき、L、LおよびLは、同じであることができ、好ましくはCOである。あるいは、L、LおよびLの2つがCOであるとき、第3のリガンドは好ましくは弱いπ−酸性のリガンドである。
【0070】
Ar、Arおよび/またはAr中に含まれるヘテロアリール環が置換基に共役的に結合されていないとき、またはAr、Arおよび/またはArが未置換のヘテロアリール環からなるとき、好ましくは、L、LおよびLの2つ以下、より好ましくは1以下がCOを表す(または、他の同様のπ−酸性を有するリガンド)。Ar、Arおよび/またはAr中に含まれるヘテロアリール環が置換基に共役的に結合されていないとき、またはAr、Arおよび/またはArが未置換のヘテロアリール環からなるとき、好ましくは、L、LおよびLの2または全てがCO以外の弱いπ酸性COを表す。
【0071】
式7〜15において、2つの置換基(Rに加えて)はヘテロアリール環上に存在する、この2つの置換基は隣接する置換基である。置換されたヘテロアリール環が、ヘテロアリール環を共役的に結合して形成する第2の環を含むように、この2つの置換基は結合される。第2の環はヘテロアリールまたはアリールである。好ましくは、第2の環は6−員環である。例えば、置換されたヘテロアリール環が式27〜30に示されるような、共役的に結合してヘテロアリール環を形成するように、第2の環式17、19、23または25におけるRおよびRは結合され得る。
【化17】

【0072】
式27〜30のいずれかにおける環は、1、2、3または4つの置換基で置換されることができる。置換基は同じか異なることができる。適切な置換基は、フェニル、ヘテロアリール、アルキル(フルオロアルキルのような置換アルキルを含む)、アルコキシ、シアン、アミドおよびハロゲンから選択され得る。置換基はデンドロンを含むことができる。
【0073】
は、一般式31を有することができる。
【化18】

【0074】
上記式において、XおよびYはそれぞれ独立してヘテロ原子を表し、R1は架橋基を表し、Ar、ArおよびArは本明細書のいずれかで定義されるヘテロアリール環を有する基を表し、*はMへの配位結合を表す。
【0075】
式31において、XおよびYのそれぞれは独立してN、P、SまたはOを表すことができる。好ましくは、必須ではないが、L中において、Xは全て同じであり、Yは全て同じである。好ましくは、全てのXおよびYは同じであり、好ましくはNを表す。
【化19】

【0076】
Ar、ArおよびArが同じであるとき、便宜のため、式31は式33として描かれる。
【化20】

【0077】
上記式において、Arは本明細書のいずれかに記載されるヘテロアリール環を表す。
【0078】
架橋基Rについて言及すると、Rは通常、
【化21】

【0079】
を表し、Rは、Hまたは置換基である。適切な置換基は、アルキル、アリールおよびヘテロアリール基並びに溶解性または製造容易性を改良するための有機デンドロンを含む。Rが、
【化22】

【0080】
を表すとき、これはRに負電荷を与え、例えば、MがRe(1)であるとき、M上の電荷を均衡させるのに有益である。
他の適切なR基は、
【化23】

【0081】
を含み、上記式において、RはHまたは置換基である。Rは、Rに負電荷を与えるために、例えば、SO、BF、OまたはCOのアニオン基を表すことができる。
【0082】
は、例えば、共役をさらに増やすことにより発光波長を調整するため、選択される。したがって、RはAr、Arおよび/またはArに共役して結合することができる。
【0083】
金属錯体は、式34を有することができる。
【化24】

【0084】
上記式において、MおよびRは本明細書のいずれかで定義されるものであり、LはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、Mは、例えば、式35または式36に示されるReを表す。
【化25】

【0085】
上記式において、Rは、アルキル、アリール、ハロゲン、アルコキシ、アミドまたは窒素配位結合へテロ環を表す。窒素へテロ環は共役されることができ、例えば、ピロリルであり、非共役でもあり得る。
【化26】

【0086】
Rは、t−Buのようなアルキル基を表す。
【0087】
金属は、式37を有することができる。
【化27】

【0088】
上記式において、MおよびRは本明細書のいずれかで定義されるものであり、LはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、Mは、例えば、式38または式39に示されるReを表す。
【化28】

【0089】
上記式において、Rは、アルキル、アリール、ハロゲン、アルコキシ、アミドまたは窒素配位結合へテロ環を表す。窒素へテロ環は共役されることができ、例えば、ピロリルであり、非共役でもあり得る。
【化29】

【0090】
上記式において、Rは、t−Buのようなアルキル基を表す。
【0091】
式34〜39の1つのフェニル環は1、2、3または4つの置換基で置換することができる。置換基は、同じか異なる。適切な置換基は、フェニル、ヘテロアリール、アルキル(フルオロアルキルのような置換アルキルを含む)、アルコキシ、シアン、アミドおよびハロゲンから選択され得る。置換基はデンドロンを含むことができる。
【0092】
金属錯体は式67を有することができる。
【化30】

【0093】
上記式において、MおよびRは本明細書のいずれかで定義されるものであり、少なくとも1つのLおよびLはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、LおよびLはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、例えば、式40に示されるReを表す。
【化31】

【0094】
金属錯体は式41を有することができる。
【化32】

【0095】
上記式において、MおよびRは本明細書のいずれかで定義されるものであり、LおよびLは独立してCOまたはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、LおよびLの少なくとも1つはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。より好ましくは、LおよびLはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、Mは、例えば、式42に示されるReを表す。
【化33】

【0096】
金属錯体は、式43を有することができる。
【化34】

【0097】
上記式において、MおよびRは本明細書のいずれかで定義されるものであり、LおよびLは独立してCOまたはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、LおよびLの少なくとも1つはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、LおよびLはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す。好ましくは、Mは、例えば、式44に示されるReを表す。
【化35】

【0098】
式34、37、67、41および/または43におけるRは、例えば、さらに共役を増加させることによって発光波長を調整するために選択される。
【0099】
式34〜44および67において、示されたヘテロアリール環はさらに置換される。
【0100】
本発明の第2の側面は本発明の第1の側面で定義される新規な金属を提供する。特に、第2の側面は一般式1を有する発光金属錯体を提供する。
【化36】

【0101】
上記式において、Mは、Re(I)、W(0)、Ir(III)またはOs(II)を表し、Lは3座リガンドを表し、L、LおよびLは独立してリガンドを表し、Lは次の式2を有することを特徴とする。
【化37】

【0102】
上記式において、Rは架橋基を表し、Ar、ArおよびArはそれぞれヘテロアリール環を表し、*はMへの配位結合を表し、Ar、Arおよび/またはAr中のヘテロアリール環はそれぞれアリールまたはヘテロアリール基に独立して共役的に結合される。
【0103】
Arにおいて、ヘテロアリール環は共役的に縮合してそれぞれアリールまたはヘテロアリール基を形成し、または単一の直接結合によって共役的に結合してされている。同様に、Arにおいては、ヘテロアリール環は共役的に縮合してそれぞれアリールまたはヘテロアリール基を形成するか、または単一の直接結合によって共役的に結合してされている。同様に、Arおいては、ヘテロアリール環は共役的に縮合してそれぞれアリールまたはヘテロアリール基を形成するか、または単一の直接結合によって共役的に結合してされている。
【0104】
本発明の第2の側面の発光金属錯体は、Re(I)およびW(0)においては、3座リガンドL1は金属錯体の発光色を調整することを可能にする。
【0105】
本発明の第2の側面の金属錯体は、本発明の第1の側面の金属錯体に関連した上記のいずれかで定義され、ただし、Ar、ArおよびAr中のヘテロアリール環はそれぞれアリールまたはヘテロアリール基に独立して共役的に結合される。
【0106】
特に、好ましいM、並びに、支持リガンド、L、LおよびLは、本発明の第1の側面に関連して定義される。
【0107】
に関しては、MがRe(I)を表すとき、Lは好ましくは単座リガンドである。MがW(0)を表すとき、Lは好ましくは中性リガンドである。
【0108】
好ましいLは、本発明の第1の側面に関連して上記で記載され、ただし、Ar、ArおよびAr中のヘテロアリール環はそれぞれアリールまたはヘテロアリール基に独立して共役的に結合される。
【0109】
Ar、ArおよびAr中の適切なヘテロアリール環は本発明の第1の側面に関連して式7〜26において示されたものを含む。
【0110】
Ar、ArおよびAr中のアリールまたはヘテロアリール環は、フェニルのような6員環を好ましく含む。
【0111】
アリールまたはヘテロアリール置換基はヘテロアリール環上の任意の適切な位置に配置され得る。ヘテロアリール環上には、1または2以上、例えば、2つのアリールまたはヘテロアリール基が存在し得る。
【0112】
は、本発明の第1の側面に関連して一般式31、32または33を含むことができる。
【0113】
架橋基Rを参照すると、Rは、本発明の第1の側面に関連して上記のいずれかで記載される。
【0114】
本発明の第2の側面の金属錯体中のLリガンドは対称または対称ではない。
【0115】
本発明の第3の側面は本発明の第1の側面で定義される装置の製造方法を提供するものである。金属錯体を含む発光層は、溶液プロセス、例えば、スピンコートによって形成される。
【0116】
本発明の第4の側面は、本発明の第2の側面に関連して定義される金属錯体を製造する方法を提供する。望ましいリガンドは適切なリガンド交換反応によって金属錯体に導入され得る。このような反応は当業者に公知である。3座リガンドLは、例えば、金属錯体中の3座リガンドを交換することによって金属錯体に導入される。Lが帯電すると、リガンドが交換するものはLと同じ電荷を集合的に有さなければならない。例えば、Re(I)錯体の場合、Lは好ましくは−1の電荷を有する。したがって、それが交換するリガンドは集合的に−1の電荷、例えば、2つの中性単座リガンド(例えば、CO)およびモノアニオン単座リガンド(例えば、Cl)を有する。
【0117】
本発明は、図面を参照しながら詳細に説明される。
【0118】
追加の層、電荷輸送、電化注入または電荷遮断層がアノード2およびカソード3の間に位置され得る。
【0119】
特に、半導体ポリマー層中へのアノードからの正孔に注入を促進するために、アノード2と電子発光層3の間に位置するドープされた有機材料から形成される導電性正孔注入層を供給することが望ましい。ドープされた有機正孔注入材料の例は、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、特に、EP0901176およびEP0947123に開示されるポリスチレンスルファネート(PSS)を有するPEDT、またはUS5723873およびUS5798170に開示されるポリアニリンを含む。
【0120】
もし存在するならば、アノード2(または、存在するならば正孔注入層)および発光層3は、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは約4.8〜5.5eVのHOMOレベルを有する。
【0121】
もし存在するならば、発光層3およびカソード4の間に位置する電子輸送層は好ましくは、約3〜3.5eVのLUMOレベルを有する。
【0122】
発光層3は金属錯体およびホスト材料を有する。好ましくは、ホスト材料は、いくつかの場合に同じかわずかに低いが、発光体より高いTを有する。ホスト材料は金属錯体と混合され得るか、または金属錯体がホスト材料に共有結合される。発光層は1または2以上の追加の材料を有することができる。特に、金属錯体およびホスト材料は、例えば、WO99/48160に開示されるような正孔および/または電子材料と混合される。金属錯体は電荷輸送材料に共有結合され得る。
【0123】
CBPとして知られる4,4’−ビス(カルバゾール−9イル)ビフェニルのような「低分子」ホスト材料、およびIkai et al.に開示されるTCTAとして知られる(4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9イル)トリフェニルアミン)を含む多くの金属錯体のためのホスト材料が公知文献に記載されている。ポリマー、特に、例えば、Appl.Phys.Lett.2000,77(15),2280に開示されるポリ(ビニルカルバゾール)のようなホモポリマー、Synth.Met.2001,116,379,Phys.Rev.B2001,63,235206に開示されるポリフルオレン、Adv.Mater.1999,11(4),285に開示されるN−メチルアミノ)−N−(2,5−ジ−タートブチルフェニル−ナフタルイミドおよびJ.Mater.Chem.2003,13,50−55に開示されるポリ(パラフェニレン)のようなポリマーがホスト材料として知られる。コポリマーもホスト材料として知られている。
【0124】
カソード4は電子を電子発光層に注入することができる仕事関数を有する材料から選択される。例えば、カソードと電子発光材料の間に悪い相互作用の可能性のような他のファクターもカソードの選択に影響する。カソードはアルミニウム層のような単一層からなることができる。あるいは、複数の金属、例えば、WO98/10621に開示されるカルシウムおよびアルミニウムの2層、WO98/57381、Appl.Phys.Lett.2002,B1(4),634およびWO02/48258に開示されるバリウム元素、例えば、WO00/48258に開示されるフッ化リチウム、Appl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されるフッ化バリウムのような電子の注入を促進する誘電体の薄層を含む。装置への電子の注入を促進するために、カソードは好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、および最も好ましくは3eV未満の仕事関数を好ましくは有する。
【0125】
光学装置は、湿気および酸化に敏感な傾向にある。したがって、基板は好ましくは湿気および酸素が装置に侵入するのを防止するための良好な遮断特性を有する。基板は、通常はガラスであり、しかしながら、特に、装置の柔軟性が望ましい場合は、他の基板が使用され得る。例えば、プラスチックおよび遮断層の交互層基板、またはEP0949850に開示されるガラスおよびプラスチックのラミネートを開示するUS6268695に開示されるようにプラスチックを含む。
【0126】
この装置は、好ましくは、湿気および酸素の浸入を防止するためにカプセル材(図示しない)によってカプセル化される。適切なカプセル材は、ガラスのシート、例えば、WO01/81649に開示されるポリマーおよび誘電体層の交互積層のような遮断特性を有するガラスのシート、例えば、WO01/81649に開示されるような誘電体、例えば、WO01/19142に開示される密封容器を含む。基板またはカプセル材を貫通する湿気および酸素を吸収するためのゲッター材料は、基板とカプセル材の間に配置される。
【0127】
実用的なOLEDは、(光応答装置の場合には)光が吸収され、(OLEDの場合には)光が放射されるように、電極の少なくとも1つは半透明である。アノードが透明である場合、通常インジウム錫酸化物からなる。透明カソードの例は、例えば、GB2348316に開示される。
【0128】
図2の実施態様は、最初に、基板上にアノードを形成し、続いて電子発光層およびカソードを蒸着することより形成される装置を例示するが、本発明の装置は、最初に、基板上にカソードを形成し、続いてアノード上に電子発光層を蒸着することによっても形成できる。
【0129】
電荷輸送ポリマーは、アリーレン繰返し単位、特に、J.Appl.Phys.1996,79,934に開示される1,4−フェニレン繰返し単位、EP0842208に開示されるフルオレン繰返し単位、Macromolecules2000, 33(6),2016−2020に開示されるインデノフルオレン繰返し単位、および例えば、EP0707020に開示されるスピロフルオレン繰返し単位を含む第1の繰返し単位を含む。置換基の例は、C1−20アルキルまたはアルコキシのような可溶性基、フッ素のような電子誘引基、フッ素、窒素またはシアンのような電子誘引基、ポリマーのガラス転移温度(Tg)を増加させるための置換基を含む。
【0130】
特に、好ましい電荷輸送ポリマーは、任意に置換された、2,7−結合フルオレン、最も好ましくは式45の繰返し単位を含む。
【化38】

【0131】
上記式において、RおよびRは、水素または任意に置換されたアルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから独立して選択される。より好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは任意に置換されたC−C20アルキルまたはアリール基を含む。
【0132】
第1の繰返し単位を含むポリマーは、使用される装置の層および共繰返し単位の性質に応じて、正孔輸送、電子輸送および発光機能の1または2以上の機能を提供する。
【0133】
特に、
1)9、9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジイルのホモポリマーのような第1の繰返し単位のホモポリマーが電子輸送を提供するために利用される。
2)第1の繰返し単位およびトリアリールアミン繰返し単位を含むコポリマー、特に、式46〜51から選ばれる繰返し単位は正孔輸送を提供するために利用され得る。
【化39】

【0134】
上記式において、A、B、A、B、CおよびDは、Hまたは置換基から独立して選択される。より好ましくは、A、B、A、B、CおよびDは、任意に置換された、分岐状または直鎖アルキル、アリール、ペルフルオリアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル基からなる群より選択される。最も好ましくは、A、B、AおよびBは、C1−10アルキルである。
【0135】
このタイプの特に好ましい正孔輸送ポリマーは、第1の繰返し単位およびトリアリールアミンのABコポリマーである。
【0136】
第1の繰返し単位およびヘテロアリーレン繰返し単位を含むコポリマーは電荷輸送のために利用され得る。好ましいヘテロアリーレン繰返し単位は、式52〜66から選択される。
【化40】

【0137】
上記式において、RおよびRは同じか異なり、それぞれ、水素または置換基、好ましくは独立してアルキル、アリール、ペルフルオリアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基である。製造の容易のために、RおよびRは好ましくは同じである。より好ましくは、これらは同じであり、それぞれフェニル基である。
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【0138】
これら共役ポリマーの製造の好ましい方法は、例えば、WO00/53656に記載されるようなスズキ重合および例えば、T.Yamamoto,“Electrically Conducting And Thermally Stable p−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Process”,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されるようなヤマモト重合である。これらの重合技術は、共に、金属錯体触媒の金属原子がアリール基とモノマーの離脱基の間に挿入される「金属挿入」によって作動する。ヤマモト重合の場合、ニッケル触媒が使用され、スズキ重合の場合、パラジウム触媒が使用される。
【0139】
例えば、ヤマモト重合による直鎖ポリマーの合成においては、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様に、スズキ重合の方法によれば、少なくとも1つの反応基はボロン酸またはボロンエステルのようなボロン誘導基であり、他の反応基はハロゲンである。好ましいハロゲンは塩素、臭素およびヨウ素であり、最も好ましくは臭素である。
【0140】
この出願を通じて例示される繰返し単位およびアリール基を含む末端基は、適切な離脱基を有するモノマーから導かれる。
【0141】
スズキ重合は、規則、ブロックおよび不規則コポリマーを製造するために使用され得る。特に、ホモポリマーまたは不規則コポリマーは1つの反応基がハロゲンであり、他の反応基がボロン誘導基であるときに製造され得る。あるいは、ブロックまたは部分規則、特に、ABコポリマーは、第1モノマーの両反応基がボロンおよびであり、第2モノマーの両反応基がハロゲンである場合に製造され得る。
【0142】
ハロゲンの代替としては、金属挿入に参加することができる他の離脱基は、トシレート、メシレートおよびトリフレートを含む。
【0143】
OLEDを形成するためには、電荷輸送ポリマーは溶液から蒸着されて層を形成する。ポリアリーレン、特に、ポリフルオレンのための適切な溶媒はトルエンおよびキシレンのようなモノまたはポリアルキルベンゼンを含む。特に好ましい溶液技術はスピンコートおよびインクジェット印刷である。
【0144】
スピンコートは、電子発光材料のパターニングが必要ない装置、例えば、照明または単一モノクロ区域ディスプレイにおいて特に有用である。
【0145】
インクジェット印刷は高度情報コンテンツディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に適切である。OLEDのインクジェット印刷は、例えば、EP0880303に記載されている。
【0146】
もし、装置の多層が溶液プロセスによって形成されるならば、当業者は、隣接する層の相互混合の防止技術、例えば、次の層の蒸着の前に1つの層を架橋する方法、または第1の層が形成される材料が第2の層を蒸着するために使用される溶媒に溶解しないように隣接する層の材料を選択する方法について理解できるだろう。
実施例
【実施例1】
【0147】
[HB(インダゾリル)]Re(Co)(金属錯体1)の製造
反応は乾燥窒素ガスに雰囲気中で行われた。
【0148】
Re(CO)Cl(市販されている)およびK[HB(インダゾリル)](市販されている)の1:1w/w混合物中に、乾燥THFが加えられた。反応混合物は攪拌され、50℃で42時間過熱され、この間に固体が沈殿した。反応混合物はろ過され、揮発物が除去されて粗生成物が得られた、THF/へキサンからの固体の再結晶によって[HB(インダゾリル)]Re(Co)の無色結晶が得られた。
[HB(インダゾリル)]は、ヒドロトリス(インダゾリル)ボラトリガンドを表す。
【実施例2】
【0149】
[HB(インダゾリル)]Re(Co)(CNBu)(金属錯体2)の製造
反応は水晶グラスウェアを使用して行われた。
【0150】
実施例1からの[HB(インダゾリル)]Re(Co)の溶液およびTHF中の過剰な(CNBu)(市販されている)が、水銀アークランプを使用して15時間照らされた。15時間後、照明は中断され、溶液は真空下で濃縮され、メタノールの添加によって沈殿生成物が得られた。生成物はろ過され、THF/へキサンからの再結晶化によって純化された。
【実施例3】
【0151】
金属錯体1を含む装置(A)および金属錯体2を含む装置(B)の製造方法
(A)ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホネート)(PEDT/PSS)(BaytronP登録商標として、HC Starck of Levrkusen, Germanyから市販されている)がスピンコートによってガラス基板上に支持されたインジウム錫酸化物アノード上に蒸着された。F8−TFB(下記に示す)の正孔輸送層がキシレン溶液からスピンコートによってPEDT/PSS上に10nmの厚さに蒸着され、180℃で1時間加熱された。実施例1からの金属錯体1がPVKホスト中のキシレン溶液によってF8−TFB層の上に、約65nmの厚さに蒸着された。ホスト材料に対する金属錯体の比率は5wt%:95wt%である。Ba/Alカソードがバリウムカソードは、気相蒸着により、金属錯体層上に約10nmの厚さのバリウムの第1層および半導体ポリマー上に約100nmの厚さのアルミニウムバリウムの第2層が形成された。最終的に、装置上に置かれたゲッターを含む金属封入を使用して装置は封止され、気密シールを形成するために基板上に接着された。
【化45】

【0152】
(b)上記方法は本発明の第2の装置を形成するために、金属錯体1の代わりに金属錯体を使用して上記方法が繰り返された。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】通常のOLEDの断面図を示す。
【図2】本発明のOLEDの断面図を示す。
【図3】実施例1および2における金属錯体1および2の製造スキームを示す。
【符号の説明】
【0154】
1 ガラスまたはプラスチック基板
2 アノード
3 発光層
4 発光層
5 カソード





【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光装置であって、
アノード、
カソード、
前記アノードおよび前記カソードの間に位置する発光層を含み、前記発光層は次の式1を有する発光金属錯体を含み、
【化1】

上記式において、Mは、Re(I)、W(0)、Ir(III)またはOs(II)を表し、Lは3座リガンドを表し、L、LおよびLはリガンドを表し、Lは次の式2を有し、
【化2】

上記式において、Rは架橋基を表し、Ar、ArおよびArはそれぞれヘテロアリール環を含む基を表し、*はMへの配位結合を表す。
中のAr、Arおよび/またはArを定義する本明細書を通じて、*はMへの配位結合を表す有機発光装置。
【請求項2】
は発光3座リガンドを表し、L、LおよびLは独立して支持リガンドを表す請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
Mは、Re(I)を表す請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記金属錯体は中性である請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
Ar、Arおよび/またはAr中のヘテロアリール環はMに直接配位結合する請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
Ar、Arおよび/またはArにおいてヘテロアリール環中のヘテロ原子はMに直接配位結合する請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
Ar、ArおよびArに含まれるヘテロアリール環は、それぞれ少なくとも1つの窒素ヘテロ原子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
Ar、ArおよびArは、式7〜11の1つによって示される式を有するヘテロアリール環を有し、
【化3】

上記式において、*はMへの直接配位結合を表し、X,YおよびZはそれぞれ独立してヘテロ原子を表し、
【化4】

はRへの結合を表す請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
Ar、Arおよび/またはArは、式12〜14の1つによって示される式を有するヘテロアリール環を有する請求項8に記載の装置。
【化5】

上記式において、*はMへの配位結合を表し、RはHまたは置換基を表し、
【化6】

はRへの結合を表す請求項8に記載の装置。
【請求項10】
Ar、Arおよび/またはArは、式22〜26の1つによって示される式を有するヘテロアリール環を有し、
【化7】

上記式において、*はMへの直接配位結合を表し、R、RおよびRは、独立して置換基を表し、
【化8】

はRへの結合を表す請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記式22〜26のそれぞれのヘテロアリール環は、Rおよび/またはRおよび/またはRに共役的に結合している請求項10に記載の装置。
【請求項12】
に加わる2つの置換基は式7〜14のそれぞれのヘテロ環上に存在し、前記2つの置換基は結合してヘテロアリール環はそこに共役的に結合される第2の環を有する請求項8または9に記載の装置。
【請求項13】
Ar、Arおよび/またはArは、式27または28を有する基を含み、
【化9】

上記式において、*はMへの配位結合を表し、Xはヘテロ原子を表し、
【化10】

はRへの結合を表す請求項12に記載の装置。
【請求項14】
が一般式31を含む請求項1ないし13のいずれかに記載の装置であって、
【化11】

上記式において、XおよびYはそれぞれ独立してヘテロ原子を表し、Rは架橋基を表し、Ar、ArおよびArはそれぞれ独立して請求項1〜12に記載のヘテロアリール環を表し、*はMへの配位結合を表す請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
が一般式33を含む請求項1ないし13のいずれかに記載の装置であって、
【化12】

上記式において、XおよびYはそれぞれ独立してヘテロ原子を表し、Rは架橋基を表し、Arはヘテロアリール環を表し、*はMへの配位結合を表す請求項14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
XおよびYはNを表す請求項15に記載の装置。
【請求項17】

【化13】

を表し、RはHまたは置換基である請求項1ないし16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記金属錯体は、式34、37、67、41または43のいずれかを含み、
【化14】

上記式において、MおよびRは請求項1ないし17のいずれかで定義されるものであり、LはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表し、
【化15】

上記式において、MおよびRは請求項1ないし17のいずれかで定義されるものであり、LはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表し、
【化16】

上記式において、MおよびRは請求項1ないし17のいずれかで定義されるものであり、少なくともLおよびLの1つはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表し、
【化17】

上記式において、MおよびRは請求項1ないし17のいずれかで定義されるものであり、Lは独立してCOまたはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表し、
【化18】

上記式において、MおよびRは請求項1ないし17のいずれかで定義されるものであり、Lは独立してCOまたはCO以外の弱いπ−酸性リガンドを表す請求項15に記載の装置。
【請求項19】
一般式1を有する発光金属錯体であって、
【化19】

上記式において、Mは、Re(I)、W(0)、Ir(III)またはOs(II)を表し、Lは3座リガンドを表し、L、LおよびLは独立してリガンドを表し、Lは次の式2を有し、
【化20】

は架橋基を表し、Ar、ArおよびArはそれぞれヘテロアリール環を含む基を表し、*はMへの配位結合を表し、
Ar、ArおよびAr中に含まれるヘテロアリール環はそれぞれ独立して共役的にアリールまたはヘテロアリールに結合する発光金属錯体。
【請求項20】
は発光3座リガンドを表し、L、LおよびLは独立して支持リガンドを表す請求項19に記載の発光金属錯体。
【請求項21】
Ar、Arおよび/またはArは、式7〜11の1つのいずれかで示されるヘテロアリール環を含む請求項19または20に記載の金属錯体であって、
【化21】

上記式において、*はMへの配位結合を表し、X,YおよびZはそれぞれ独立してヘテロ原子を表し、
【化22】

はR1への結合を示す金属錯体。
【請求項22】
アリールおよびヘテロアリール基はAr,Arおよび/またはAr中のヘテロアリール環に結合される請求項19〜21のいずれかに記載の金属錯体。
【請求項23】
請求項1〜18のいずれかにに記載される装置の製造方法。
【請求項24】
請求項19〜22のいずれかに記載の金属錯体の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−509320(P2009−509320A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530620(P2008−530620)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003438
【国際公開番号】WO2007/031773
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(503419985)シーディーティー オックスフォード リミテッド (21)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】