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有機発光装置
説明

有機発光装置

【課題】マイクロディスプレイであっても意図しない領域における発光を抑えることが可能な発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の発光装置は、基板と、基板上に配置され、光透過性を有する第1電極と、第1電極と対向して配置され、半透過半反射性を有する第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置された有機発光層と、第1電極の端部を覆う第1絶縁層と、基板と第1電極との間に配置された第1反射層および第2反射層と、を備え、第1電極は、第1絶縁層と重ならない第1部分と、第1絶縁層と重なる第2部分とを有し、第1部分と重なる領域では、第1反射層と第2電極とで第1共振構造が形成され、第2部分と重なる領域では、第2反射層と第2電極とで第2共振構造が形成され、第1反射層と第2電極との間の光学的距離は、第2反射層と第2電極との間の光学的距離と等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上に有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を発光素子として形成し、発光素子の発光光を基板として反対側に取り出すトップエミッション方式の有機EL装置が電子機器の表示装置などとして多用されている。トップエミッション方式は、発光素子(有機EL素子)を挟み基板側に形成された一方の電極(例えば、画素電極)と基板との間に反射層を形成し、発光素子を挟む他方の電極(例えば、対向電極)側から光を取り出す方式であって、光の利用効率が高い方式である。このような有機EL素子は、薄型・軽量といった特徴を有し、直視型ディスプレイや各種の照明用途としての応用が提案されている。
【0003】
現在、対角1インチ未満のマイクロディスプレイが提案されている。例えば、デジタルカメラ向けの電子ビューファインダーの用途として、有機ELのマイクロディスプレイを応用する場合、精細度の制約上からRGBに対応する発光層を形成する際に、各色の発光材料の塗り分けが難しい。微細なマスクの製造が困難であったり、有機ELパネルの製造プロセスにおける位置合わせ等が困難になるなど、実現が難しい。
【0004】
そこで、白色の光を発する発光層を各色の画素に形成し、その上方にRGBのカラーフィルターを重ねることによってフルカラー表示を行う構成が知られている。また、キャビティ構造を用いて光路長をRGB毎に変えることにより各画素で異なる波長の光を射出する構成が知られている(特許文献1)。これらの構成を組み合わせることによりRGBの各スペクトルを持つ光を生成することができるとともに、カラーフィルターを光が通過することでさらにスペクトルピークが高められた光が射出されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−213174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL装置において、複数の画素電極間、あるいは画素電極と対向電極間の短絡を防止するために、画素電極の周囲を絶縁膜で覆う構成が一般的に知られている。このような有機EL装置において、ディスプレイのサイズが数インチ以上の場合、各画素を形成するための基板側の画素電極のサイズが数10μm〜100μm程度のオーダーであり、それに対して100〜300nmの膜厚を有する有機EL素子を形成していたため、基板側の画素電極の直上の発光層のみが発光するのが通常であった。
しかしながら、マイクロディスプレイの場合には、各画素を形成するための画素電極のサイズが数μmのオーダーであり、このような画素電極上に100〜300nmの膜厚を有する発光層を形成することになる。このような場合、特に、低電圧を画素電極に印加した場合、その直上の発光層だけでなく、横方向へもキャリアが移動してしまい、絶縁層に隔てられて画素電極と接していない領域の発光層も発光してしまうことがある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、マイクロディスプレイであっても意図しない波長の発光を抑えることが可能な発光装置を提供することを目的の一つとしている。また、この種の発光装置を備え、表示品位に優れた表示部を備えた電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、基板と、前記基板上に配置され、光透過性を有する第1電極と、前記第1電極と対向して配置され、半透過半反射性を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機発光層と、前記第1電極の端部を覆う第1絶縁層と、 前記基板と前記第1電極との間に配置された第1反射層と、前記基板と前記第1電極との間に配置された第2反射層と、を備え、前記第1電極は、前記基板に垂直な方向から見て前記第1絶縁層と重ならない第1部分と、前記基板に垂直な方向から見て前記第1絶縁層と重なる第2部分とを有し、前記基板に垂直な方向から見て前記第1部分と重なる領域では、前記第1反射層と前記第2電極とで第1共振構造が形成され、前記基板に垂直な方向から見て前記第2部分と重なる領域では、前記第2反射層と前記第2電極とで第2共振構造が形成され、前記第1反射層と前記第2電極との間の光学的距離は、前記第2反射層と前記第2電極との間の光学的距離と等しいことを特徴とする。
【0009】
本発明の発光装置においては、第1反射層と第2電極との間の光学的距離、すなわち、第1電極の第1部分に対応する領域における光学的距離と、第2反射層と第2電極との間の光学的距離、すなわち、第1電極の第2部分に対応する領域における光学的距離と、が等しい。そのため、例えば微小なサイズの第1電極を備えた発光装置において、横方向(基板面と平行な方向)のキャリアの移動により第1絶縁層上の有機発光層が発光したとしても、その光は、第1絶縁層上にない有機発光層、すなわち、第1反射層上の有機発光層から発せられた光と同様の共振を生じる。その結果、本発明の発光装置によれば、横方向へのキャリア移動に起因する、意図しない波長の発光を抑えることができる。
【0010】
また、第1電極の第1部分に対応する領域の光学的距離と、第2部分に対応する領域の光学的距離と、を等しくすることにより、第1部分に対応する領域での発光スペクトルと、第2部分に対応する領域での発光スペクトルと、を等しくすることができる。これにより、第1電極端部の第1絶縁層上の発光層が発光した場合においても、その光の色を第1電極中央部からの光の色と合わせることができる。その結果、色純度の低下や色ずれの虞の少ない発光装置を提供することができる。
【0011】
本発明の発光装置において、前記第1反射層と前記第2反射層とは、異なる層に配置されている構成としてもよい。
なお、本発明で言う「異なる層」とは、製造プロセスにおける異なる工程で形成される層のことであり、構成的には、下地となる層が異なる層を意味する。
【0012】
第1反射層と第2反射層とが異なる層に配置されている場合、第1反射層および第2反射層の基板に垂直な方向の位置を異ならせることで、第1共振構造の光学的距離と第2共振構造の光学的距離とを等しくすることができる。そのため、第1絶縁層等の屈折率を考慮する必要性が小さく、材料の選択の幅が広がり、設計が容易になる。
【0013】
本発明の発光装置において、前記第2反射層は、前記第1反射層と前記第1電極との間に位置する構成としてもよい。
【0014】
この構成によれば、第2反射層は第1反射層よりも上層側(第1電極側)に位置することになり、第2反射層の上方には第1絶縁層が位置することになる。したがって、第1共振構造を構成する第1反射層の上方に任意の膜厚および屈折率を有する絶縁膜を適宜設けることにより、第1共振構造の光学的距離と第2共振構造の光学的距離とを等しくすることができる。
【0015】
本発明の発光装置において、前記第1反射層と前記第1電極の間に配置され、前記基板に垂直な方向から見て前記第1部分と重なる第2絶縁層と、前記第2反射層と前記第1電極の間に配置され、前記基板に垂直な方向から見て前記第2部分と重なる第3絶縁層と、をさらに有し、前記第1反射層と前記第2反射層とは同層に設けられ、前記第2絶縁層と前記第3絶縁層とは同層に形成された構成としてもよい。
なお、本発明で言う「同層」とは、製造プロセスにおいて同一の工程で形成される層のことであり、構成的には、2つの層が別体に形成されるか、一体に形成されるかに係わらず、下地となる層が同じであることを意味する。
【0016】
この構成では、第1共振構造が第1反射層と第2電極との間に位置する第2絶縁層、第1電極、および有機発光層を有し、第2共振構造が第2反射層と第2電極との間に位置する第3絶縁層、第1電極、第1絶縁層および有機発光層を有する。したがって、第1絶縁層、第2絶縁層、および第3絶縁層の膜厚や屈折率を適宜決定することにより、第1共振構造の光学的距離と第2共振構造の光学的距離とを等しくすることができる。
【0017】
本発明の発光装置において、前記第2絶縁層と前記第3絶縁層とは、屈折率が異なる構成としてもよい。
【0018】
上記の第2絶縁層および第3絶縁層を備えた構成においては、第1共振構造と第2共振構造とを比較すると、第1反射層と第2電極との間の物理的な距離と第2反射層と第2電極との間の物理的な距離とが第1絶縁層の膜厚分だけ異なる。この場合、第2絶縁層の膜厚と第3絶縁層の膜厚とを等しくしたとしても、第2絶縁層の屈折率と第3絶縁層の屈折率を異ならせることにより、第1共振構造の光学的距離と第2共振構造の光学的距離とを等しくすることができる。
【0019】
本発明の発光装置において、前記第1絶縁層が無機材料からなる構成としてもよい。
【0020】
この構成によれば、有機材料では形成できない厚さの膜を設けることができる。また、吸水性が低い(耐水性に優れる)第1絶縁層が得られる。このように、無機材料からなる第1絶縁層が第1電極の端部を覆うことにより、第1電極の段差の影響が緩和される。これにより、有機発光層と第1電極とが接する部分がより平坦になり、有機発光層の膜厚が薄くなった部分に優先的に電流が流れることが防止されるため、電流効率を高めることができる。
【0021】
本発明の発光装置において、前記有機発光層は、前記第1電極と前記第1絶縁層とを覆っている構成としてもよい。
【0022】
この構成によれば、第1電極の中央部のみならず、第1電極の端部にあたる第1絶縁層上に位置する有機発光層も発光に寄与させることができる。
【0023】
本発明は、上記本発明の発光装置を備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、上記本発明の発光装置を備えたことにより、表示品位に優れた表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態である有機発光装置の全体構成を示す平面図。
【図2】実施形態における有機発光装置の全体構成を示す回路図。
【図3】表示単位画素の構造を示す平面図。
【図4】有機発光装置の構成を示す部分断面図。
【図5】画素電極の第1部分および第2部分に対応する各領域における光路長(光学的距離)を、それぞれ説明するための図。
【図6】第2実施形態の有機発光装置の構成を示す部分断面図。
【図7】画素電極の第1部分に対応する領域、および第2部分に対応する領域における光路長(光学的距離)をそれぞれ説明するための図。
【図8】RGBに対応する各サブ画素の第1領域(「ITO開口部」)のみから得られる有機発光層の発光スペクトルと、第1領域(「ITO開口部」)および第2領域(「周縁部」)から得られる有機発光層の発光スペクトルとを重ねて示す図。
【図9】RGBに対応する各サブ画素の第1領域(「ITO開口部」)のみから得られる有機発光層の発光スペクトルと、第1領域(「ITO開口部」)および第2領域(「周縁部」)から得られる有機発光層の発光スペクトルとを重ねて示す図。
【図10】(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図、(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図、(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態である有機発光装置の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の有機発光装置100は、アクティブマトリクス基板10上の表示領域4には、R,G,Bに対応して設けられた複数のサブ画素3R,3G,3Bがマトリクス状に規則的に配置されている。このとき、各サブ画素3R,3G,3Bの配列は、一方向にR,G,Bが繰り返し並ぶように配列されている。
【0028】
図2は、本実施形態における有機発光装置の全体構成を示す回路図である。
図2に示すように、本実施形態の有機発光装置100は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に平行して延在する複数の電源供給線103とがそれぞれ配列された回路構成を有するとともに、走査線101および信号線102の各交点付近に、R,G,Bに対応するサブ画素3R,3G,3Bが設けられている。これら3つのサブ画素3R,3G,3Bは、走査線101の延在方向に沿ってこの順番に設けられる。
【0029】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタおよびアナログスイッチ等を備えるデータ側駆動回路90が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタ等を備える走査側駆動回路80が接続されている。
【0030】
サブ画素3R,3G,3Bの各々には、走査線101を介して走査線信号がゲート電極に供給されるスイッチングトランジスタ112と、このスイッチングトランジスタ112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量113と、この保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動トランジスタ123と、この駆動トランジスタ123を介して電源供給線103に電気的に接続したときに当該電源供給線103から駆動電流が与えられる画素電極(第1電極)16と、この画素電極16と対向電極18との間に有機機能層19が挟み込まれてなる有機EL素子7と、が設けられている。
【0031】
図3は、表示単位画素の構造を示す平面図であり、図4は、有機発光装置の構成を示す部分断面図である。
図3、図4に示すように、R,G,Bに対応する3つのサブ画素3R,3G,3Bが一つの基本単位となって表示単位画素3を構成しており、これによって、表示単位画素3は、RGBの光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。表示単位画素3を構成するサブ画素3R,3G,3Bはそれぞれ、赤色の光を射出すべき領域、緑色の光を射出すべき領域、青色の光を射出すべき領域である。
【0032】
画素電極16R,16G,16Bは、平面視でほぼ等しい大きさを有する。そして、サブ画素3R,3G,3Bに対応して設けられた画素電極16R,16G,16B上には、その表面161の一部を露出させる開口22Aが設けられた第1絶縁層22が形成されている。本実施形態の画素電極16R,16G,16Bは、特許請求の範囲における「第1電極」に対応する。
【0033】
光路長調整層13は、対向電極18との間で所定の波長の光を共振させるための反射層14Aを備えている。光路長調整層13の膜厚は、各サブ画素3R,3G,3Bにおいて所定の波長の光が効率よく共振し得る光路長となるように調整される。本実施形態の対向電極18は、特許請求の範囲における「第2電極」に対応する。
【0034】
図4は、有機発光装置の構成を示す部分断面図である。
本実施形態の有機発光装置100は、トップエミッション構造であって、基板10A上の表示領域4(図1)内におけるサブ画素3R,3G,3Bごとに、図4に示すように、有機EL素子7とこの有機EL素子7を発光駆動させる駆動回路8とが設けられたアクティブマトリクス基板10と、アクティブマトリクス基板10上に対向配置されたカラーフィルター基板20とを備えている。
【0035】
以下、各構成要素について具体的に述べる。
図4に示すように、基板10A上に形成されたデバイス層12は、スイッチングトランジスタ(不図示)、駆動トランジスタ123、保持容量113等を含む層で、駆動回路8はこのデバイス層12の内部に形成されている。
【0036】
駆動トランジスタ123は、基板10A上に形成された半導体層41aのドレイン領域に接続されたドレイン電極41dと、半導体層41aのソース領域と接続されたソース電極41cと、半導体層41aを覆うゲート絶縁層41bと、ゲート絶縁層41b上に形成されたゲート電極41eと、で構成されている。そして、ソース電極41cは、電源供給線103に接続され、ドレイン電極41dは、ソース電極41cおよびドレイン電極41dを覆うように形成されたカバー層44、平坦化層45、光路長調整層13を貫通して形成された各コンタクトホールHを介して対応する各画素電極16R,16G,16Bと接続されている。
【0037】
本実施形態の有機発光装置100はトップエミッション構造を有していることから、有機EL素子7の発光光が対向電極18側から射出するように、画素電極16R,16G,16Bと基板10Aとの間には各サブ画素3R,3G,3Bに対応して反射層14Aが複数形成されている。
本実施形態のデバイス層12は、第1反射層14A、第2反射層14B、第2絶縁層23および第3絶縁層24を有する。
【0038】
第1反射層14Aは、平坦化層45の表面上にサブ画素3R,3G,3Bごとに設けられ、基板10Aに垂直な方向から見て、後述する画素電極16R,16G,16Bの第1部分162と重なるようにパターン形成されたものであり、光反射率の高い材料より所定の膜厚で形成されている。第1反射層14Aの形成材料として、例えば、アルミニウム、銀、あるいは銀の合金などが挙げられる。第1反射層14Aは、有機EL素子7の発光光のうち、画素電極16R,16G,16Bを通過して基板10Aに射出される光を反射して対向電極18側へと射出させる。
【0039】
第2反射層14Bは、基板10Aに垂直な方向から見て、後述する画素電極16R,16G,16Bの第2部分163と重なるようにパターン形成されたものであり、第1反射層14Aとは異なる層(上層)に存在する。第2反射層14Bは、第1反射層14Aと同一の材料を用いて形成されたものである。また、第2反射層14Bは、製造プロセスにおいて第1反射層14Aとは異なる工程で形成される。第1反射層14Aの下地は平坦化層45であり、第2反射層14Bの下地は第3絶縁層24である。すなわち、第1反射層14Aと第2反射層14Bとは、下地となる層が異なる。
【0040】
第2絶縁層23は、第1反射層14Aの表面上に、基板10Aに垂直な方向から見て、画素電極16R,16G,16Bの中央部162(第1部分A1)と重なるようにパターン形成される。
【0041】
第2反射層14Bと平坦化層45との間には、基板10Aに垂直な方向から見て、画素電極16R,16G,16Bの第2部分163と重なるように第3絶縁層24が形成されている。この第3絶縁層24は、第1絶縁層22とは異なる所定の屈折率n3を有する。
【0042】
このようなデバイス層12の表面上には、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bが形成されている。この画素電極16R,16G,16BはITOなどの透明電極膜からなる。
【0043】
各画素電極16R,16G,16Bにおける膜厚Tr,Tg,Tbの関係は、膜厚Tb<膜厚Tg<膜厚Trとなっている。具体的に、サブ画素3Rに対応する画素電極16Rの膜厚Trは100nm、サブ画素3Gに対応する画素電極16Gの膜厚Tgは60nm、サブ画素3Bに対応する画素電極16Bの膜厚Tbは20nmである。なお、平面視矩形状を呈する画素電極16R,16G,16Bの大きさ(表面積)は互いに等しい。
【0044】
画素電極16R,16G,16Bは、平面視で第2絶縁層23と重なるだけでなく、第2反射層14Bとも重なるように設けられているため、画素電極16R,16G,16Bと第2反射層14Bとの接触を避けるためにこれらの間には不図示の絶縁膜が存在する。
【0045】
ここで、デバイス層12の表面12aと各画素電極16R,16G,16Bの表面161との間には、画素電極16R,16G,16Bの膜厚に応じた段差が生じることになるが、この段差を覆うとともに、画素電極16R,16G,16Bの対向電極18側の表面161の一部を露出させる開口22Aが画素ごとに設けられた第1絶縁層22が存在する。
【0046】
第1絶縁層22は、デバイス層12の表面12a(露出した部分)を覆うとともに表面12aから画素電極16R,16G,16Bの各表面161上に一部乗り上げるようにして形成され、画素電極16R,16G,16Bの周縁部163を覆っている。ここで、隣り合う画素電極16R,16G,16Bどうしの膜厚は異なるものの、隣り合うサブ画素3R,3G,3B間に形成される第1絶縁層22の厚さは一定とされ、本実施形態における第1絶縁層22の膜厚は20nmである。なお、これに限定されることなく、第1絶縁層22の膜厚は、1nm以上20nm以下の範囲内で設定される。
【0047】
また、第1絶縁層22は、画素電極16R,16G,16Bの周縁部163(第2部分A2)を覆うようにして形成されるとともに、画素電極16R,16G,16Bの各表面161の中央部162(第1部分A1)を部分的に露出させる開口22Aを有している。第1絶縁層22のうち、平面視において画素電極16R,16G,16Bの周縁部163と重なる重畳部220は、画素電極16R,16G,16Bのエッジ部分を確実に被覆可能な膜厚を有する。第1絶縁層22は無機材料を用いて形成され、例えばSiO,SiN,SiONのいずれかからなる。
【0048】
このような第1絶縁層22とその各開口22Aから露出する画素電極16R,16G,16Bの表面161を覆うようにして有機機能層19が形成されている。
【0049】
上記した構成において、画素電極16R,16G,16Bと駆動回路8とをコンタクトさせるための接続領域には反射層14Bを形成することができないため共振構造とすることができない。そのため、この接続領域上に存在する有機機能層19の一部が発光しないように第1絶縁層22でカバーする。
【0050】
有機機能層19は、有機発光層を含む1層以上の有機層からなり、例えば、画素電極16R,16G,16B側から、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、赤色発光層(R−EML)、キャリア輸送層(CTL)、青色発光層(B−EML)、緑色発光層(G−EML)、電子注入層(EIL)が順に積層されてなり、発光領域から白色光を射出するように構成されている。積層された複数の機能層の層厚は、RGBの各サブ画素3R,3G,3Bにおいて同じ厚さである。本実施形態では、有機機能層19の総膜厚が100nmとなっている。
【0051】
なお、有機機能層19を構成する各機能層はこれに限定されず、正孔注入層と正孔輸送層とが同一層とされた構成や、有機機能層19の全ての機能層を兼ねた構成など、他の構成であっても良い。
【0052】
対向電極18は、半透過半反射性を有し、複数の画素3に共通して形成されている。すなわち、少なくとも表示領域4全体を覆って形成されている。上記した画素電極16は、導電性を有するとともに光透過性を有する材料で形成されているが、光路中に存在する対向電極18は、例えば光が透過する程度に薄く形成された金属材料や、光透過性と光反射性とを両方備えた材料(半透過半反射性を有する材料)で形成されている。なお、本明細書で言う「半透過半反射性」は、光透過性と光反射性の両方を備えていることを意味するのであり、透過光と反射光の割合が半分ずつであることを意味するのではない。これにより、第1反射層14Aにおいて反射された光は画素電極16を透過して対向電極18へと入射し、その一部が画素電極16側へ反射され、再び第1反射層14Aで反射されることになる。この結果、第1反射層14Aと対向電極18との間の光路長(第1の光学的距離:L1(r),L1(g),L1(b))に応じた波長を有するRGB光が第1反射層14Aと対向電極18との間で共振し、この共振した光が対向電極18側から射出されることになる。本実施形態の対向電極18は、マグネシウムと銀の共蒸着薄膜により、膜厚10〜15nmで構成されている。
【0053】
アクティブマトリクス基板10上に対向配置されるカラーフィルター基板20は、ガラス基板などの透明基板20A上に遮光膜21によって区画された赤色の光を透過するRフィルター2R、緑色の光を透過するGフィルター2G、青色の光を透過するBフィルター2Bが各色に対応するサブ画素3R,3G,3Bの配列に合わせて形成されたものであって、各フィルター2R,2G,2Bが各サブ画素3R,3G,3Bの発光領域と重なるように配置されている。各フィルター2R,2G,2Bは、平面視で第1部分A1および第2部分A2と重なるように設けられている。
【0054】
そして、サブ画素3R,3G,3Bの各発光領域から射出された各発光は、各フィルター2R,2G,2Bによってそれぞれさらに最適化されたR光,G光,B光に変換される。よって、各発光領域の波長に応じた色の光が各フィルター2R,2G,2Bから射出されることによって、それぞれ各サブ画素3R,3G,3Bを形成してカラー画像が表示される。
【0055】
本実施形態の有機発光装置100において、複数の波長の光が合成されて白色の光を発する有機機能層19が形成される基板10A側には、光の三原色であるR,G,Bに対応する各サブ画素3R,3G,3B内にそれぞれ膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bが形成されている。このように、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bを形成することで、反射層14Aと対向電極18との間にそれぞれ異なる光共振器構造を形成することができる。これにより、第1領域A1における反射層14Aと対向電極18との間の光路長L1(r)、L1(g)、L1(b)に対応して、それぞれ赤、緑、青に対応する波長の光が反射層14Aと対向電極18との間で共振し、この共振した光が半透過反射性を有する対向電極18側から射出されることになる。このようにして、白色の光を発する有機機能層19からRGBに対応した3種類の異なる発光スペクトルが得られる構成になっている。
【0056】
本実施形態では、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bを有し、これら画素電極16R,16G,16Bの各表面161とデバイス層12の表面12aとの間には、画素電極16R,16G,16Bの膜厚に応じた段差が生じる。このような段差が存在している基板10A上に一様に有機機能層19を成膜した場合、上記段差が陰となってその部分の有機機能層19の膜厚が他の部分に比べて薄い膜厚になってしまう場合がある。この場合、画素電極16と対向電極18との間に電界をかけた際に有機機能層19の膜厚の薄い部分に優先的に電流が流れる。これが所謂リーク成分になって表示に必要な発光に寄与しない電流になるため、電流効率が低下する。このリーク電流(リーク成分)は、特に画素電極16R,16G,16Bと対向電極18との間に低電圧を印加した際に生じやすい。
【0057】
さらに、サブ画素3R,3G,3Bには、各画素電極16R,16G,16Bと、駆動回路8(駆動トランジスタ)とを接続させるためのコンタクトホールHが形成されている。ところが、このようなコンタクトホールHに対応する領域には反射層を形成することができないため、共振器構造を形成することができない。
【0058】
そのため、画素電極16R,16G,16Bの周縁部分に形成される段差とコンタクトホールHとを覆うようにして第1絶縁層22を形成する。第1絶縁層22が少なくとも画素電極16R,16G,16Bの端部を覆うことで、段差の影響が緩和される。これによって有機機能層19と画素電極16R,16G,16Bとが接する部分が平坦になるので、有機機能層19のうち膜厚が薄くなった部分に優先的に電流が流れることが防止されるため、電流効率を高めることができる。
【0059】
ただし、上述したように画素電極16R,16G,16Bの周縁部分に生じる段差を覆うように第1絶縁層22を設けた場合、第1絶縁層22の開口22A側にも、画素電極16R,16G,16Bと第1絶縁層22との間に、第1絶縁層22の膜厚に応じた段差が形成されてしまう。そのため、このような段差が存在している状態で一様に有機機能層19を成膜した場合、上記段差が陰となってその部分の有機機能層19の膜厚が他の部分に比べて薄い膜厚になってしまう。この問題は、通常の大きさのディスプレイに比べて画素ピッチ(サブ画素間距離、表示単位画素間距離)の狭いマイクロディスプレイにおいて特に顕著になる。この場合も、上記したように薄膜化した有機機能層19の一部に優先的に電流が流れて第1絶縁層22上の有機機能層19が発光してしまうという問題が生じる。
【0060】
従来のように画素ごとに反射層が設けられた共振器構造の場合、第1絶縁層22上の有機機能層19から射出された発光は、その上に形成される対向電極18と反射層14との間の距離(光路長)が他の部分と異なり、意図しないスペクトルの光がサブ画素3R,3G,3Bの周辺で射出されて純粋な色の光が得られない。通常の大きさのディスプレイに比べてサブ画素の面積が小さいマイクロディスプレイは、上記のようなサブ画素の周縁で射出される本来意図した発光とは異なる色の発光が、サブ画素全体から射出される発光で占める割合が大きい。これが色ずれの原因となる。
【0061】
このため、本実施形態では、画素電極16B,16G,16Bから横方向へキャリアが流れて第1絶縁層22上の有機機能層19が発光した場合でも、その場合の発光スペクトルが、画素電極16B,16G,16B上で発光している有機機能層19の発光スペクトルと同等になるように、画素電極16B,16G,16Bのうち、第1絶縁層22の開口22Aから露出している部分と、第1絶縁層22によって覆われている部分との光路長(光学的距離)を調整する構成とした。
【0062】
図5は、画素電極の第1領域および第2領域に対応する各部分おける光路長(光学的距離)を、それぞれ説明するための図である。
図5に示すように、本実施形態では、第1反射層14Aの周囲に第3絶縁層24を形成し、第3絶縁層24の表面上に第2反射層14Bを形成することで、第1反射層14Aと第2反射層14Bとが互いに異なる層に存在するように構成した。このような光路長調整層13を備えた構成とすることにより、第1絶縁層22の開口22Aから露出する画素電極16(16B,16G,16B)の中央部162にあたる第1部分A1に対応する部分の光路長と、第1絶縁層22によって覆われた画素電極16の周縁部163にあたる第2部分A2に対応する部分の光路長、すなわち光学的距離L1,L2(第1反射層14Aもしくは第2反射層14Bと対向電極18との間の光学的な距離)が等しくなるような構成となっている。具体的には、対向電極18と各反射層14A,14Bとの間に存在する各層の形成材料の屈折率や膜厚等によって光路長が決定される。
【0063】
第1部分A1に対応する積層構造は、基板10A側から順に、第1反射層14A、第2絶縁層23、画素電極16(第1部分A1)、有機機能層19および対向電極18が積層されており、第1反射層14Aの表面(対向電極18に対向する面)から対向電極18の裏面(画素電極16に対向する面)までの距離を第1光学的距離(第1の光学的距離)L1としている。第1反射層14Aと対向電極18とで構成される共振構造は、特許請求の範囲における「第1共振構造」に対応する。
【0064】
また、第2部分A2に対応する積層構造は、基板10Aから順に、第3絶縁層24、第2反射層14B、画素電極16(第2部分A2)、第1絶縁層22、有機機能層19および対向電極18が形成されており、第2反射層14Bの表面(対向電極18に対向する面)から対向電極18の裏面(画素電極16に対向する面)までの距離を第2光学的距離(第2の光学的距離)L2としている。第2反射層14Bと対向電極18とで構成される共振構造は、特許請求の範囲における「第2共振構造」に対応する。
【0065】
光路長調整層13は、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2との関係が、
第1光学的距離L1=第2光学的距離L2±5(nm)
の範囲内となるように、上下方向に積層された各層の厚さdや屈折率nが調整される。ここでいう厚さd、屈折率nを持ったある層の光学的距離Lとは、L=n×dで定義される。
第1光学的距離L1は、第2絶縁層23、画素電極16および有機機能層19における各層の厚さdと屈折率nとの積の和から得られ、第2光学的距離L2は、画素電極16、第1絶縁層22および有機機能層19における各層の厚さdと屈折率nとの積の和から得られる。第1反射層14Aまたは第2反射層14Bと、対向電極18との間にさらに何らかの層が設けられている場合は、この層の厚さdと屈折率nとの積が、さらに加算される。なお、特許請求の範囲における「第1反射層と第2電極との間の光学的距離は、第2反射層と第2電極との間の光学的距離と等しい」とは、これらの光学的距離が上記の関係式を満足することを言う。
【0066】
上述したように、光路長調整層13を設けることで、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2とが等しくなるようにしてあるので、画素電極16R,16G,16B上で発光している有機機能層19の発光スペクトルと、画素電極16R,16G,16Bからのリーク電流によって第1絶縁層22上の有機機能層19の一部も発光した場合の発光スペクトルとを同じにすることができる。これにより、マイクロオーダーの画素電極16R,16G,16Bを形成した際に、横方向のキャリアの移動によって第1絶縁層22上の有機機能層19が発光した場合において、その光をディスプレイの発光として使用することができる。
【0067】
また、本実施形態の構成によれば、第1反射層14Aおよび第2反射層14Bの基板に垂直な方向の位置を異ならせることで、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2とを調整できる。そのため、第1絶縁層22、第2絶縁層23の屈折率を考慮する必要性が小さく、材料の選択の幅が広がり、設計が容易になる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の有機発光装置について述べる。
図6は、有機発光装置の構成を具体的に説明するための断面図である。
先の実施形態では、第1反射層14A,第2反射層14Bと第2絶縁層23,第3絶縁層24とが上下各層に混在した光路長調整層13を有していたが、図6に示すように、本実施形態の有機発光装置200は、第1反射層14Aおよび第2反射層14B、第2絶縁層23および第3絶縁層24がそれぞれ同層に形成された光路長調整層33を備える。なお、本実施形態において、第1反射層14Aと第2反射層14Bとは別体に形成してもよいし、一体に形成してもよい。以下では、簡単にするために、第1反射層14Aと第2反射層14Bとを一体に形成した形態について説明する。
【0069】
図6に示すように、光路長調整層33は、駆動回路8上を覆う平坦化層45の表面上に形成されている。その構成は、サブ画素3R,3G,3Bごとに設けられた複数の第1反射層14Aおよび第2反射層14Bと、第1反射層14Aと画素電極16R,16G,16Bとの間の層に形成された第2絶縁層23および第3絶縁層24を含んで構成される。第1反射層14Aが形成される層において、第1反射層14Aが形成されていない部分には、平坦化層46が設けられている。第2絶縁層23および第3絶縁層24は同層に形成されており、そのうち第2絶縁層23は平面視で画素電極16R,16G,16Bの第1部分162と重なるように形成され、第3絶縁層23は平面視で画素電極16R,16G,16Bの第2部分163と重なるように形成されている。
なお、平坦化層46は、反射層14Aと同じ厚さで成膜しても良い。
【0070】
本実施形態では、開口22Aから画素電極16R,16G,16Bの一部を露出させるようにして形成される第1絶縁層22は、膜厚10nmのSiOからなり、その屈折率は1.45である。
また、光路長調整層33を構成する第2絶縁層23は膜厚25nmのSiN膜からなり、第3絶縁層24は膜厚25nmのSiOからなる。第1部分A1に対応する部分に存在する第2絶縁層23(SiN膜)の屈折率n2は2.0であり、第2部分A2に対応する部分に存在する第3絶縁層24(SiO)の屈折率n3は1.45である。
【0071】
このように、第2絶縁層23と第3絶縁層24との屈折率n2,n3は互いに異なっており、第2絶縁層23の屈折率n2の方が第3絶縁層24の屈折率n3よりも相対的に大きい(n3<n2)。なお、第3絶縁層24の屈折率n3は、同じ材料からなる第1絶縁層22の屈折率n1と等しい。
【0072】
本実施形態においても、サブ画素3R,3G,3Bごとに膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bを形成することで、第1反射層14Aと対向電極18との間にそれぞれ異なる光共振器構造を形成することができる。その結果、第1反射層14Aと対向電極18との間の光路長(第1光学的距離:L1(r),L1(g),L1(b))に応じて、RGBに対応した波長のRGB光が得られることになる。
【0073】
画素電極16R,16G,16Bは、サブ画素3R,3G,3Bに対応する領域であって下層に存在する第1反射層14Aと平面視で重なる位置に、上記第2絶縁層23および第3絶縁層24に重なるように形成されている。
【0074】
第1絶縁層22には、上記実施形態同様に、画素電極16R,16G,16Bの表面161の一部を露出させる開口22Aが設けられており、この開口22Aから第1反射層14Aにおいて反射された光を取り出せる構成となっている。
【0075】
図7に示すように、本実施形態における第1光学的距離L1は、第1反射層14A、第2絶縁層23、画素電極16R,16G,16B、有機機能層19および対向電極18が基板10Aから順に積層された構造のうち、第1反射層14Aの表面(対向電極18に対向する面)から対向電極18の裏面(画素電極16に対向する面)までの距離である。
また、第2光学的距離L2は、第2反射層14B、第3絶縁層24、画素電極16R,16G,16B、第1絶縁層22、有機機能層19および対向電極18が基板10Aから順に積層された構造のうち、第2反射層14Bの表面から対向電極18の裏面までの距離である。
【0076】
光路長調整層33は、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2との関係が、
第1光学的距離L1=第2光学的距離L2±5(nm)
の範囲内となるように、第2絶縁層23および第3絶縁層24の屈折率n2,n3を調整する。第1反射層14Aと、対向電極18との間にさらに何らかの層が設けられている場合は、この層の厚さdと屈折率nとの積が、さらに加算される。なお、特許請求の範囲における「第1反射層と第2電極との間の光学的距離は、第2反射層と第2電極との間の光学的距離と等しい」とは、これらの光学的距離が上記の関係式を満足することを言う。
【0077】
本実施形態の構成では、第1部分A1と第2部分A2とでは、第1反射層14Aもしくは第2反射層14Bと対向電極18との間の物理的な距離が第1絶縁層22の膜厚分だけ異なっている。これに対して、光路長調整層33における第2絶縁層23および第3絶縁層24の屈折率n2,n3を異ならせることで、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2とを同じにすることができる。
【0078】
このように、光路長調整層33を設けることで、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2とが等しくなるようにしており、画素電極16R,16G,16B上で発光している有機機能層19の発光スペクトルと、画素電極16R,16G,16Bからのリーク電流によって第1絶縁層22上の有機機能層19の一部も発光した場合の発光スペクトルとを同じにすることができる。これにより、マイクロオーダーの画素電極16R,16G,16Bを形成した際に、横方向のキャリアの移動によって第1絶縁層22上の有機機能層19が発光した場合において、その光をディスプレイの発光として使用することができる。
【0079】
また、本実施形態の構成では、光路長調整層33において第1部分A1に対応する部分に存在する第2絶縁層23と、第2部分A2に対応する部分に存在する第3絶縁層24とが、互いに異なる無機材料でそれぞれ同じ膜厚で形成されているので、先の実施形態のように、第1反射層14Aと第2反射層14Bとの位置を積層方向で異ならせる必要がなくなる。すなわち、第1反射層14Aと第2反射層14Bとを平坦化層45上に一体の層として形成でき、製造プロセスが簡便になるという利点がある。
【0080】
[変形例]
上述した第1実施形態では第1反射層14Aと第2反射層14Bとを異なる層に、異なる工程で形成したが、この構成に代えて、第2反射層の下層側に第3絶縁層を形成せずに、第2反射層の厚みを第2反射層の厚みよりも大きくし、第1反射層と第2反射層とを一体に形成してもよい。この構成とした場合も、第1反射層の表面と第2反射層の表面との位置が異なる点は第1実施形態と同様であり、第1反射層の表面から対向電極の裏面までの積層構造、および第1反射層の表面から対向電極の裏面までの積層構造は第1実施形態と同様である。したがって、第1光学的距離L1と第2光学的距離L2とを等しくするための設計を第1実施形態と同様に行うことができる。
【0081】
この構成の場合、平面視で画素電極16R,16G,16Bの第1部分162および第2部分163と重なるように反射層を形成した後、第1部分162と重なる領域を掘り込むことで、第1部分と重なる部分の対向電極側の面と、第2部分と重なる部分の対向電極側の面の、基板に垂直な方向の位置を異ならせることができる。その後、掘り込んだ部分に第2絶縁層を形成すればよい。このような構成とすることで、第1実施形態と比較して製造プロセスをより簡便にすることができる。
【0082】
また、上述した第1、第2実施形態ではスイッチングトランジスタおよび駆動トランジスタが薄膜トランジスタである場合を示したが、これらのトランジスタは半導体基板を用いて形成される電界効果トランジスタ(MISFET)であってもよい。このような構成とすれば、より高精細な表示装置を実現できる。
【0083】
カラーフィルターはアクティブマトリクス基板10上に直接形成してもよい。この場合、対向電極18上に有機材料を用いて形成された有機層や、無機材料を用いて形成された無機層によって封止層を形成した後、これらの封止層上にカラーフィルターを形成する。かかる構成とすれば、カラーフィルター基板を貼り合わせるよりも小さな誤差で各サブ画素上にカラーフィルターを形成することができる。よって、より優れたフルカラー表示を実現できる。
【0084】
カラーフィルターにはブラックマトリクスとしての遮光膜21を設けなくてもよい。上述した各実施形態によれば、意図しない波長の光が射出されることを抑制できる。このため、ブラックマトリクスが設けられておらず、意図しない波長の発光を遮光できない表示装置において、より優れたフルカラー表示を実現することができる。
【実施例1】
【0085】
次に、上記した第1実施形態の構成を例として、本発明の効果を示す。
【0086】
表1に、有機EL発光素子の各機能層の膜厚を示す。
【表1】

【0087】
有機EL素子7は、第1反射層14A,第2反射層14B、第2絶縁層23および第3絶縁層24を含む光路長調整層13、画素電極16、第1絶縁層22、有機機能層19および対向電極18により構成され、このうち、有機機能層19は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、赤色発光層(R−EML)、キャリア輸送層(CTL)、青色発光層(B−EML)、緑色発光層(G−EML)、電子注入層(EIL)よりなる。
【0088】
本実施例では、第1反射層14A,第2反射層14BにそれぞれAl、第1絶縁層22、第2絶縁層23、第3絶縁層24にSiO、画素電極16R,16G,16BにITO、正孔注入層(HIL)に出光興産製のHI406、正孔輸送層(HTL)にHT320、赤色発光層(R−EML)に出光興産製のBH215+RD001、電子輸送層を構成する機能層の一つであるキャリア輸送層(CTL)にHT320、青色発光層(B−EML)にBH215+BD102、緑色発光層(G−EML)にBH215+GD206、電子注入層(EIL)にAlq(tris(8−hydroxyquinolinato)aluminium)、対向電極18にMgとAgの共蒸着層をそれぞれ用いた。
【0089】
ITOからなる画素電極16R,16G,16Bの膜厚は、RGBごとに異なる。画素電極16Rの膜厚Trは130nm、画素電極16Gの膜厚Tgは70nm、画素電極16Bの膜厚Tbは30nmであり、長波長側へシフトするに従い膜厚も厚くなる。つまり、サブ画素3Rの画素電極16Rの膜厚が最も大きい。また、画素電極16R,16G,16B以外の各機能層の膜厚は各サブ画素3R,3G,3Bで等しい。
【0090】
本例においては、各サブ画素3R,3G,3Bに対応する部分に設けられた膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bの一部を開口22Aから露出させるようにして、第1絶縁層22が形成されている。第1絶縁層22の膜厚は20nmである。
また、光路長調整層13を構成する第1反射層14A,第2反射層14B、第2絶縁層23および第3絶縁層24の膜厚もそれぞれ20nmである。
【0091】
図8は、RGBに対応する各サブ画素の第1部分A1(「ITO開口部」)のみに対応する部分の有機機能層19の発光スペクトルと、第1部分A1(「ITO開口部」)+第2部分A2(「周縁部」)に対応する部分の有機機能層19の発光スペクトルとを重ねて示す図である。
【0092】
画素電極16の第1部分A1に対応する部分における第1反射層14Aと対向電極18との間の光路長L1(第2絶縁層23、画素電極16、有機機能層19の各層の膜厚の和)と、第2部分A2に対応する部分における第2反射層14Bと対向電極18との間の光路長L2(画素電極16、第1絶縁層22、有機機能層19の各層の膜厚の和)とが略等しくなる構成となっている。このため、図8に示すように、RGBの各サブ画素では、第1部分A1に対応する部分において得られる発光スペクトルと、第2部分A2に対応する部分において得られる発光スペクトルとが同等のスペクトルとなり、本来得るべき、開口22Aに対応する部分から得られる発光の色度からのずれは少ないものとなる。
【0093】
表2に、実施例1における、第1部分A1に対応する部分の発光スペクトルから算出したCIE色度座標、および、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分の発光スペクトルから算出したCIE色度座標を示す。
【0094】
【表2】

【0095】
まず、実施例1における第1部分A1(第1絶縁層22の開口22A)のみから得られるRGB発光の各色度から計算すると、NTSC比115.2%と広色域の色再現範囲が得られる。
これに対し、第1部分A1(第1絶縁層22の開口22A)および第2部分A2(重畳部220)から得られるRGB発光による色再現範囲は、開口部分にその周辺部分からの発光が加わるものの、NTSC比は108.5%と僅かに低下しただけである。
よって、表2に示すように、RGBの各サブ画素では、第1部分A1に対応する部分において得られる発光スペクトルと、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分において得られる発光スペクトルとが同等の発光スペクトルとなり、本来得るべき、開口22Aに対応する部分から得られる発光の色度からのずれは少ないものとなる。
【実施例2】
【0096】
次に、上記した第2実施形態の構成を例として、本発明の効果を示す。
【0097】
表3に、有機EL発光素子の各機能層の膜厚を示す。
【表3】

【0098】
有機EL素子7は、第1反射層14Aおよび第2反射層14B、第2絶縁層23および第3絶縁層24を含む光路長調整層33、画素電極16、第1絶縁層22、有機機能層19および対向電極18により構成され、このうち、有機機能層19は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、赤色発光層(R−EML)、キャリア輸送層(CTL)、青色発光層(B−EML)、緑色発光層(G−EML)、電子注入層(EIL)よりなる。
【0099】
本実施例では、第1反射層14Aおよび第2反射層14BにAl、第1絶縁層22、第3絶縁層24にSiO、第2絶縁層23にSiN、画素電極16R,16G,16BにITO、正孔注入層(HIL)に出光興産製のHI406、正孔輸送層(HTL)にHT320、赤色発光層(R−EML)に出光興産製のBH215+RD001、電子輸送層を構成する機能層の一つであるキャリア輸送層(CTL)にHT320、青色発光層(B−EML)にBH215+BD102、緑色発光層(G−EML)にBH215+GD206、電子注入層(EIL)にAlq(tris(8−hydroxyquinolinato)aluminium)、対向電極18にMgとAgの共蒸着層をそれぞれ用いた。
【0100】
ITOからなる画素電極16R,16G,16Bの膜厚は、RGBごとに異なる。画素電極16Rの膜厚Trは130nm、画素電極16Gの膜厚Tgは70nm、画素電極16Bの膜厚Tbは30nmであり、長波長側へシフトするに従い膜厚も厚くなる。つまり、サブ画素3Rの画素電極16Rの膜厚が最も大きい。また、画素電極16R,16G,16B以外の各機能層の膜厚は各サブ画素3R,3G,3Bで等しい。
【0101】
本例においては、各サブ画素3R,3G,3Bに対応する部分に設けられた膜厚の異なる画素電極16R,16G,16Bの一部を開口22Aから露出させるようにして、第1絶縁層22が形成されている。本例における第1絶縁層22の膜厚は10nmである。
また、第2絶縁層23、第3絶縁層24の膜厚は25nmである。
【0102】
図9は、RGBに対応する各サブ画素の第1部分A1(「ITO開口部」)のみに対応する部分の有機機能層19の発光スペクトルと、第1部分A1(「ITO開口部」)+第2部分A2(「周縁部」)に対応する部分の有機機能層19の発光スペクトルとを重ねて示す図である。
【0103】
SiN膜(第2絶縁層23)に対応する部分における光路長nd:2.0×25(nm)=50.0
SiO膜(第3絶縁層24、第1絶縁層22)に対応する部分における光路長nd:1.45×(25+10)(nm)=50.75
【0104】
このように、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分にそれぞれ存在する絶縁膜部分の光路長は同等であることから、第1部分A1および第2部分A2において対応する部分における反射層14から対向電極18までの光路長も同等となる。
したがって、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分から得られる発光スペクトルは、第1部分A1のみから得られる発光スペクトルと同等の発光スペクトルとなり、本来得るべき第1部分A1に対応する部分において得られる発光スペクトルおよび色度からのずれは少ないものとなる。
【0105】
表4に、実施例2における、第1部分A1に対応する部分の発光スペクトルから算出したCIE色度座標、および、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分の発光スペクトルから算出したCIE色度座標を示す。
【0106】
【表4】

【0107】
まず、実施例2における第1部分A1(第1絶縁層22の開口22A)のみから得られるRGB発光の各色度から計算すると、NTSC比112.9%と広色域の色再現範囲が得られる。
これに対し、第1部分A1(第1絶縁層22の開口22A)および第2部分A2(重畳部220)から得られるRGB発光による色再現範囲は、開口部分にその周辺部分からの発光が加わるものの、NTSC比は101.6%と僅かに低下しただけである。
よって、表4に示すように、RGBの各サブ画素では、第1部分A1に対応する部分において得られる発光スペクトルと、第1部分A1および第2部分A2に対応する部分において得られる発光スペクトルとが同等の発光スペクトルとなり、本来得るべき、開口22Aに対応する部分から得られる発光の色度からのずれは少ないものとなる。
【0108】
(電子機器)
次に、前記実施形態の有機発光装置を備えた電子機器の例について説明する。
【0109】
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、符号1000は携帯電話本体(電子機器)を示し、符号1001は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0110】
図10(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(b)において、符号1100は時計本体(電子機器)を示し、符号1101は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0111】
図10(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(c)において、符号1200は情報処理装置(電子機器)、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理本体、符号1206は有機発光装置を備えた表示部を示している。
【0112】
図10(a)〜(c)に示す電子機器は、先の実施形態に示した有機発光装置が備えられたものであるので、表示特性が良好な電子機器となる。
【0113】
なお、電子機器としては、上記以外にも、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、テレビ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを挙げることができる。
【0114】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0115】
上記各実施形態によれば、第1部分A1のみにおける発光スペクトルと、第1部分A1および第2部分A2における発光スペクトルを等しくすることができるので、例えば、カラーフィルター基板20の各フィルター2R,2G,2Bの表面積は、必ずしも第1絶縁層22の開口22Aの開口面積に等しくなくてもよく、開口面積よりも若干大きく設定してもよい。
【符号の説明】
【0116】
3…表示単位画素、3B,3G,3R…サブ画素、d…厚さ、n,n1,n2,n3…屈折率、10A…基板、13,33…光路長調整層、14,14A,14B…反射層、16…画素電極(第1電極)、18…対向電極(第2電極)、19…有機発光層(発光層)、22…第1絶縁層、22A…開口、23…第2絶縁層、24…第3絶縁層、A1…第1部分、A2…第2部分、L1…第1光学的距離(第1の光学的距離:光路長)、L2…第2光学的距離(第2の光学的距離:光路長)、Tb,Tg,Tr…膜厚、100,200…有機発光装置、162…周縁部(端部)、163…中央部、1000…携帯電話本体(電子機器)、100…時計本体(電子機器)、1200…情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、光透過性を有する第1電極と、
前記第1電極と対向して配置され、半透過半反射性を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機発光層と、
前記第1電極の端部を覆う第1絶縁層と、
前記基板と前記第1電極との間に配置された第1反射層と、
前記基板と前記第1電極との間に配置された第2反射層と、を備え、
前記第1電極は、前記基板に垂直な方向から見て前記第1絶縁層と重ならない第1部分と、前記基板に垂直な方向から見て前記第1絶縁層と重なる第2部分とを有し、
前記基板に垂直な方向から見て前記第1部分と重なる領域では、前記第1反射層と前記第2電極とで第1共振構造が形成され、
前記基板に垂直な方向から見て前記第2部分と重なる領域では、前記第2反射層と前記第2電極とで第2共振構造が形成され、
前記第1反射層と前記第2電極との間の光学的距離は、前記第2反射層と前記第2電極との間の光学的距離と等しいことを特徴とする、有機発光装置。
【請求項2】
前記第1反射層と前記第2反射層とは、異なる層に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2反射層は、前記第1反射層と前記第1電極との間に位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1反射層と前記第1電極の間に配置され、前記基板に垂直な方向から見て前記第1部分と重なる第2絶縁層と、
前記第2反射層と前記第1電極の間に配置され、前記基板に垂直な方向から見て前記第2部分と重なる第3絶縁層と、をさらに有し、
前記第1反射層と前記第2反射層とは同層に設けられ、
前記第2絶縁層と前記第3絶縁層とは同層に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第2絶縁層と前記第3絶縁層とは、屈折率が異なることを特徴とする、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1絶縁層が無機材料からなることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記有機発光層は、前記第1電極と前記第1絶縁層とを覆っていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の発光装置を備えたことを特徴とする、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−109996(P2013−109996A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254700(P2011−254700)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】