説明

有機肥料製造システム

【課題】イエバエ幼虫による家畜糞尿の処理において、手作業を少なくし、効率良い有機肥料基材を製造するシステムを提供する。
【解決手段】卵Cから孵化した幼虫を育成する第1育成処理収納部41を設け、第1育成処理収納部41の下方で複数に分割された第2育成処理収納部42を配置し、幼虫自らが這い出すことを利用して落下する落下部4fを設けて、次段の第2育成処理収納部42に幼虫を該落下部4fから落下させ、この処理を数回繰り返し、各育成処理収納部は幼虫の飼育過程において排泄物を幼虫の体内で酵素分解し排泄されることで有機肥料基材Dを製造し、製造された有機肥料基材Dを集積して排出する有機肥料基材集積部8と、最終育成処理収納部45から這い出して落下する幼虫群を集積して排出する幼虫集積部6とを備えて有機肥料基材Dと該幼虫群とを搬出する有機肥料製造システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イエバエの幼虫を利用して家畜の排泄物から有機肥料を製造する有機肥料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、養豚や乳牛飼育等の畜産施設では、毎日飼育頭数に応じて糞尿が排出され、その処理は、微生物を使った堆肥化が一般的である。
しかし、家畜糞尿は含水率が高いため、微生物による処理では時間がかかり過ぎ、ある地域では大量に発生する家畜糞を処理しきれずに野積みされ、これが地下水の汚染源になるという社会問題を引き起こしており、その処理が問題となっている。特に、環境基準が厳しくなって来た最近は、悪臭を放つ不衛生な畜糞を簡単に投棄するようなことは認められない状況にある。
畜産規模の拡大に伴って大量に発生する家畜の排泄物を短期間に効率よく処理することは難しく、畜産農家にとって家畜の排泄物の処理が多大な負担となっている。このような負担を軽減するための畜糞を処理する昆虫バイオ処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示の昆虫バイオ処理システムは、畜糞が置かれる処理容器を順次搬送する処理容器搬送手段と、処理容器搬送手段により順次送られてくる空の処理容器に畜糞を供与する廃棄物供与手段と、畜糞が供与されて送られてくる処理容器中の未養生の畜糞にイエバエの卵または弱齢幼虫を付与する虫付与手段と、処理容器を多段に積み上げて必要な期間中保管して畜糞を養生する廃棄物養生手段と、養生中の処理容器より這い出してくるイエバエの幼虫または這い出した幼虫が変態して生じた蛹を回収する虫回収手段と、養生を済ませた処理容器搬送手段により順次送られてくる処理容器から養生済の畜糞を回収する廃棄物回収手段とを備えている。
この昆虫バイオ処理システムでは、畜糞をイエバエの幼虫に食させることによってその畜糞を無害化または低害化にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−11440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に開示された昆虫バイオ処理システムは、畜糞をイエバエの幼虫に食させてその畜糞を無害化処理または低害化処理するが、イエバエ幼虫を使用した有機肥料化処理は、温度及び湿度の調節が可能な処理室内に、容器に入れた廃棄物にイエバエ卵を接種して収容し、卵を孵化させて幼虫を生育させているものであり、搬入、搬出が全て手作業でなされ、また、幼虫が一定以上に生育すると培地外に出て蛹となる習性を利用しているため、容器外に這い出した幼虫の処理も手作業で行う必要がある。しかもこれらの作業が行われる処理室内は、糞尿の臭気が充満し、這い出た幼虫(ウジムシ)が一面に這い回る等、著しく作業環境が悪く、人の手作業には馴染まないという問題があった。
また、イエバエの幼虫は1週間で十分な飼育容積と餌があれば、餌である飼料処理量は爆発的に増大し、逆に、これに対応する飼育面積や餌が与えられないと、家畜糞が幼虫の体内で酵素分解されて排泄されることで製造された有機肥料基材も減り、幼虫の生育も鈍化してしまうといった問題もあった。
【0006】
本発明の課題は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、豚糞等の家畜糞尿の処理をイエバエ幼虫によって行わせるに際し、飼育面積を十分に得るとともに、餌も十分投与可能で幼虫の成長を促進させ、家畜糞が幼虫の体内で酵素分解され排泄する量を増進させ、かつ、処理収納室内での手作業を不要にすることから、少ない労力で効率良く、家畜糞尿を有機肥料化処理ができる有機肥料製造システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、各実施例、特に実施例1に対応するもので、イエバエの幼虫を利用して家畜の排泄物から有機肥料を製造する有機肥料製造システムであって、
卵から孵化した幼虫を育成する第1育成処理収納部を設け、該第1育成処理収納部の下方で複数に分割された第2育成処理収納部を配置し、前記第1育成処理収納部に幼虫自らが這い出すことを利用して落下する落下部を設けて排泄物を敷き詰めた第2育成処理収納部に幼虫を該落下部から落下させ、
同様に該第2育成処理収納部の下方で複数に分割された第3育成処理収納部を配置し、前記第2育成処理収納部に落下部を設けて排泄物を敷き詰めた第3育成処理収納部に幼虫を落下部から落下させ、
この処理を最終育成処理収納部まで数回繰り返し、前記各育成処理収納部は前記幼虫の飼育過程において前記排泄物を幼虫の体内で酵素分解して排泄されることで有機肥料基材を製造し、製造された該有機肥料基材を集積して排出する有機肥料基材集積部と、最終育成処理収納部から這い出して落下する幼虫群を集積して排出する幼虫集積部とを備え、これら集積した有機肥料基材と該幼虫群とを搬出することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、実施例1から請求項4に対応するもので、請求項1に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記各育成処理収納部は、幼虫の受取部と落下部を固定枠体に設けるとともに、底面上には底面全面を覆う板状体を移動可能に設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、主に、実施例5に対応するもので、請求項1に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記各育成処理収納部は、幼虫の受取部と落下部と底部を有するトレーとするとともに、該トレーは循環するコンベヤによって移動可能に設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、主に実施例1及び4に対応するもので、請求項1から請求項3に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記育成処理収納部には、上方の育成処理収納部の前記落下部に対応する受取部を設け、該受取部は落下部の幅を所望数に分割した幅の板状体とし、かつ、該板状体は外側に突き出た張出部を有する形状としたことを特徴とする。
請求項5の発明は、主に実施例2に対応するもので、請求項1から請求項4に記載の有機肥料製造システムに対応するもので、前記育成処理収納部には、上方の育成処理収納部の前記落下部に対応する受取部を設け、該受取部は落下部の幅を所望数に分割した幅のローラとし、かつ、該ローラの表面には幼虫を傷つける刃を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、主に実施例1に対応するもので、請求項1から請求項5に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記幼虫集積部には、幼虫群の一部、或いは蛹の1部を抽出してイエバエの成虫とする成虫抽出部を設け、該成虫抽出部で抽出して育成したイエバエの成虫を第1育成処理収納部の上方に配置した卵接種部に導く誘導部を設けたこと特徴とする。
請求項7の発明は、主に実施例1に対応するもので、請求項6に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記卵接種部は複数の回転する部屋を設けたものであって、該複数の部屋のうち上方に開口が位置した部屋では開口に餌を供給するとともに、該餌に紫外線を照射し、イエバエの成虫が卵を接種して所定期間経過後に段階的に回転し、その過程で卵から幼虫に育成させ、該幼虫を部屋が回転することによって下向きに位置した開口から第1育成処理収納部に落下させることを特徴とする。
請求項8の発明は、主に実施例1に対応するもので、請求項1から請求項7に記載の有機肥料製造システムにおいて、前記最終育成処理収納部からの集積して排出された幼虫は、殺処分して飼料として加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1から請求項4の有機肥料製造システムの発明によれば、家畜の排泄物がイエバエの幼虫の体内で酵素分解されてその幼虫から排泄されることで有機肥料基材が作られるので、焼却処分する場合の燃料の消費がなく、二酸化炭素を排出しないので環境への負荷が軽減され、細菌による従来の無害化処理と異なり、長期間の悪臭の発生や病原菌の繁殖もなく、イエバエの幼虫の食性を利用して排泄物を安全に処理することができる。
また、イエバエの幼虫の飼育面積・容積を十分に得るとともに、餌を十分投与可能であるので、幼虫の食性を増進させ、豚等の家畜の多量の排泄物を短期間に効率よく有機肥料基材に変えることができる。特に、幼虫の成長に伴いそれに合ったように育成処理収納部を小分けに分割しているので、満遍なく均一に餌を処理することができる。
また、本有機肥料製造システムは、有機肥料基材が豊富なキトサンを含むことから、それらの有機肥料基材により土壌改良や抗菌作用、植物の成長促進、植物の病気抑制効果、果実質の改良等に優れた有機肥料を作ることができる。
更に、処理収納室内での手作業をより少なくし、効率良く、少ない労力で有機肥料化処理ができる。
【0011】
また、請求項5の有機肥料製造システムの発明によれば、上記の効果に加えて、幼虫を受け取るローラの表面の刃によって、イエバエの幼虫の皮膚に擦過傷を負わせるので、傷つけられた幼虫が抗菌ペプチドを豊富に生成することができる。
請求項6の有機肥料製造システムの発明によれば、上記の効果に加えて、幼虫の一部をイエバエの成虫にして、産卵させることにより、外から幼虫を導入することなく、システム内でイエバエの幼虫を再生産して循環システムを形成することができる。
請求項7の有機肥料製造システムの発明によれば、請求項5の効果に加えて、イエバエの成虫を所定の産卵場所に誘導するので卵接種の効率を向上させることができる。
更に、請求項8の有機肥料製造システムの発明によれば、請求項1から請求項7の効果に加えて、最終育成処理収納部から集積して排出された幼虫を優良な飼料として排出し、これを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の前提となる有機肥料製造システムの全体の概略図、
【図2】イエバエの幼虫の成長に伴う餌食摂取量の変化を表したグラフの図、
【図3】本発明の実施例1の有機肥料製造システムの全体の概略図、
【図4】図3のz-z線での上面からの平面図、
【図5】実施例1の卵接種・孵化装置の側面からの断面図、
【図6】図5でのロータリーローラの正面からの断面図、
【図7】図7(a)は図3の育成処理収納部の展開図、図7(b)は図7(a)の育成処理収納部の拡大説明図、図7(c)は図3の一方の育成処理収納部の側面図、
【図8】育成処理収納部の拡大斜視図、
【図9】本発明の実施例2の育成処理収納部のローラ型受取部の拡大斜視図、
【図10】本発明の実施例3の有機肥料製造システムの全体の概略図、
【図11】本発明の実施例4の育成処理収納部の展開図、
【図12】本発明の実施例5の有機肥料製造システムの全体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の前提となる有機肥料製造システムの全体の概略を図1を参考にして説明する。
図1において、有機肥料製造システムは、主に、[1:餌食作成工程]、[2:餌食供給工程]、[3:卵接種・孵化工程]、[4:幼虫飼育工程]、[5:幼虫と肥料の分別工程]、[6:有機肥料作成工程]、[7:幼虫の殺処分工程]、[8:飼料加工工程]、[9:リサイクル工程]から構成されている。以下に各工程の概略を説明する。
【0014】
[1:餌食作成工程]
餌食作成工程は、イエバエの幼虫(蛆虫)の餌を作る工程であるが、主に栄養価が高い豚糞尿の他に、もみ殻、おから、水、米ぬかや豚の内臓を使用するが、本実施例ではイエバエの食性増進のため、おからともみ殻(約9:1)を豚糞(鶏糞)に2〜4割混ぜ、水分調整し攪拌する。さらに、家畜の排泄物に食物残渣も混入させ、食物残渣が排泄物中において腐敗して餌食が作られる。このように、食物残渣が排泄物中において腐敗して餌食が作られるため、家畜の排泄物とともに人間が出す大量の食物残渣(残飯)を処理することができる。
[2:餌食供給工程]
餌食供給工程は、上記の所定量の餌食を、図3.4で後述するホッパーから、複数段に積層されている第2育成処理収納部から最終育成処理収納部に供給し、これらの育成処理収納部を幼虫育成室2に移動させる。
[3:卵接種・孵化工程]
卵接種・孵化工程は、卵接種・孵化装置でイエバエの成虫を誘導して、成虫になってから4日以後は産卵可能となり14日で産卵量が減少するので、この期間に卵接種・孵化装置の餌食地にイエバエが好むスキンミルクと酒粕によるマーキングと紫外線を照射して産卵を促し、所定場所に産卵させ、1日程度で幼虫に孵化するので、最上段の第1育成処理収納部に1齢幼虫を落下させて収納する。
【0015】
[4:幼虫飼育工程]
幼虫飼育工程は、孵化直後に幼虫育成室2の暗中で飼育し、1回脱皮後の2齢幼虫も暗中または薄明中で飼育するとともに、2回脱皮後の蛹変態前の3齢幼虫を照明中で飼育して約6日程度飼育する。
イエバエの幼虫は餌食を求めて前進することを利用し、次段の複数の育成処理収納部に自ら落下し飼育され、同様に、更に次段の分割された複数の育成処理収納部に自ら落下し飼育される。
なお、実施例2では、育成処理収納部を落下して次の育成処理収納部に移動する際に幼虫(蛆虫:ウジ虫)の皮膚に擦過傷を付けることで治癒力による抗菌ペプチドを作らせている。
[5:幼虫と肥料の分別工程]
幼虫と肥料の分別工程は、蛹変態期を迎えた幼虫の活発な蠕動離散習性を利用して幼虫は所定の集積容器に自ら落下し幼虫は良質な飼料Eとして排出される。家畜糞を食した排泄物である育成処理収納部に残った有機肥料基材は飼育室から搬出される。
この幼虫と肥料の分別は、卵を接種してから4日目に始まって7日目に終了するが、3齢幼虫を照射中で飼育することにより蛹変態期を迎えた幼虫の走光性を利用して幼虫と肥料基材とを確実に分別することができる。
【0016】
[6:有機肥料作成工程]
有機肥料作成工程は、幼虫飼育工程において、餌食の65〜90%が幼虫に食され、餌食の10〜35%の残余の餌食が発酵した有機肥料基材にキトサンを豊富に含むイエバエの成虫の死骸とイエバエの脱け殻とを混合した有機有機肥料基材となる。
[7:幼虫の殺処分工程]
幼虫の殺処分工程は、餌食に卵を接種してから4日目に、有機肥料基材から分別され集積容器に自ら落下した幼虫群をスチーム・煮沸・焼却等で殺処分する。ここで、他の種類の昆虫の幼虫が紛れ込んだとしても他の昆虫の幼虫を幼虫群から排除できる。
[8:飼料加工工程]
飼料加工工程は、餌食に卵を接種してから5日目以降に、所定の集積容器に自ら落下した幼虫群をトロプス等の飼料Eに加工する。
[9:リサイクル工程]
リサイクル工程は、餌食に卵を接種してから5日目以降の幼虫群から一部の幼虫を抽出し、抽出した幼虫を成虫に成長させ、イエバエの正の走光性と走行性(光に向かう習性)を利用し、光と臭いでダクトを介して前記[3]の卵接種・孵化装置に誘導し、それら成虫に卵を産ませ、次世代の卵を餌食に接種することにより循環を構築するため、外部から新たに卵を調達する必要がない。
【実施例1】
【0017】
次に、上記各工程の実施例1の詳細を図2以下に沿って説明する。
本発明は、イエバエの幼虫の飼育容積(面積)を十分に得るとともに、餌を十分投与可能とするシステムであるが、これは図2に示すように、イエバエの幼虫の餌食摂取量は卵或いは産卵直後の1kgが、十分な飼育容積(面積)と餌食があると、7日後の170時間で約1600kgの1600倍の餌を摂取することができ、それだけ豚糞等を幼虫の体内で酵素分解して幼虫からの排泄物が優良な有機肥料基材となる。
したがって、従来のように同一のトレーで幼虫を飼育したのでは、十分な飼育容積(面積)と餌食を幼虫に与えることができない。
そこで、図3、図4(図3z-z線断面平面図)の実施例1に示すように育成処理収納部を多段(31段)とし、1つの育成処理収納部から、下位の育成処理収納部を複数に分割して乗数的に増加させ、イエバエの幼虫の飼育容積(面積)を十分に得るとともに、餌を十分投与するようにしたものである。
【0018】
(1)[産卵の流れ]
図3、4において、有機肥料製造システムの施設1は、主に、1対で多段の育成処理部1A、1Bから構成されており、ほぼ同じ構成であるので、一方の育成処理部1Aの構成を詳しく説明する。
育成処理部1Aは、温度が25〜30℃の範囲に維持され、飼育室内部の湿度が50〜70%の範囲に維持すべく、育成処理部1Aを覆うように幼虫育成室2が設けられ、その最上部には卵接種・孵化装置3が設けられている。
この卵接種・孵化装置3は、図4、図5に示すように、4本のロータリーローラ31が水平に掛け渡されており、図5の側断面図に示すように、4部屋に分割されて、回転軸32を中心にして約1日で段階的に180度回転するようになっており、卵から孵化するまでこの第1部屋311に卵と餌を存在するようにしており、この第1部屋311の位置に他の第2〜4部屋が存在するとロータリーローラ31の側面に設けた餌供給部34からスクリューコンベア341等により餌Bを供給するようになっている。
図5の状態で、第1部屋311は上方に開口部33が設けられ、その正面図の図6に示すように、軸32方向には大部分をカバー35で覆い、狭い開口部33としており、この第1部屋311には餌Bを供給されている。そして、この開口部33の餌食Bの表面の適所には、イエバエが好むスキンミルクと酒粕等からなるマーキング装置(図示せず)によるマーキングと、紫外線ランプ36により紫外線を照射できる構成になっており、イエバエの成虫の習性から自然とその場所に集まるようになっている。
【0019】
これは、成虫になってから4日以後は産卵可能となり14日で産卵量が減少するので、この期間に産卵させたい場所(開口部33)をマーキングして、この所定場所にイエバエを誘導させ、卵Cを産卵させる為である。また、産卵できない4日間、或いは、産卵以外の時に飛遊を休ませるために、卵接種・孵化装置3の天井付近に止まり木用のネット37が張ってある。
こうして、図5の第1部屋311は産卵部屋となっているが、これより先に産卵が終了し90度回転した状態の第2部屋312では孵化が開始しており、その先の更に90度回転した第3部屋313は開口部33が下向になって、餌食Bと孵化した幼虫Aが第1育成処理収納部41に落下するようになっている。更に90度回転した第4部屋314は次の産卵部屋となるよう準備する。
このように、卵接種部である卵接種・孵化装置3は、複数の回転する第1〜4部屋が部屋を設けたものであって、該複数の部屋のうち上方に開口が位置した部屋には、餌Bが供給させ、その餌Bに紫外線を照射し、イエバエの成虫を誘ってその場所にイエバエの成虫が卵を接種し、所定期間経過後に段階的に各第1〜4部屋が回転し、その過程で卵から幼虫に育成させ、該幼虫を部屋が回転することによって下向き位置した開口から第1育成処理収納部に落下させる。
【0020】
(2)[幼虫の流れ]
次に、前記育成処理部1Aの第1育成処理収納部41は、31段に積層された育成処理収納部4を4列並べた最上段(1)の1つであるが、育成処理収納部4の全体を図3〜図8に沿って説明する。図3の上方からの平面図が図4であり、その育成処理収納部4をそれぞれを展開したのが図7であり、さらに、3段目(4-1)と4段目(8-1)を拡大したのが図8である。
なお、図7(a)は図3の育成処理収納部の展開図、図7(b)は図7(a)の育成処理収納部の拡大説明図、図7(c)は図3の一方の育成処理収納部の側面図でり、更に詳しくは、図7(a)は、図3の31段に積層された各育成処理収納部4を、それぞれ上面から見た状態に展開したもので、符合(1)(2)・・・(31)は上からの順番を表し、各収納部内の数字1,2-1,4-1・・・は、増加する階層を表しており、例えば、「1」は最初の第1階層(第1育成処理収納部41)で、「2−1」は2倍に細分化さる第2階層(第2育成処理収納部42)の1番目の収納部「2−2」は第2階層(第2育成処理収納部42)での2番目の収納部、同様に、「4−1」は、更に2倍に細分され合計4倍に細分化された一番目で、第3階層(第3育成処理収納部43)での1番目の収納部「8−1」は、更に2倍に細分され合計8倍に細分化された一番目で、第4階層(第4育成処理収納部44)での1番目の収納部「16−1」は、更に2倍に細分され合計16倍に細分化され、第5階層(最終育成処理収納部45)での1番目の収納部を表す。また、図7(b)で、Xは受取部の箇所を、Yは落下部の箇所、ハッチング部分は側壁、矢印は幼虫の進行方向を表している。
【0021】
そこで説明するが、先ず、育成処理収納部4の1例として、図8の拡大斜視図を説明すると、図8は図3での3段目の第3育成処理収納部43(4-1)と、その下の4段目の第4育成処理収納部44(8-1)の斜視図の例示である。
第3育成処理収納部43(4-1)は全体が断面略U字型で、底部4aと両側壁4b,4cが幼虫育成室2に固定的(勿論、車輪で育成処理収納部4全体が移動することは妨げない。)に設けられ、手前側(図8)の壁4bの一部に切欠部4dを設け、その切欠部4dの底部4aには底部4aから外側に突き出た板状体の張出部(インデックス型)からなる受取部4eが設けられ、この受取部4eの幅4e1は全体壁幅の約1/4である。この受取部4eは上方から落下してくるイエバエの幼虫Aを受け取り、餌食が敷き詰められた内側の底部4aの上面の板状体5(53)に幼虫を導くためのものである。
図8で、底部4aの上面のステンレス製の板状体5(53)は、両側壁4b,4cに沿って往復動が可能であり、底部4a上をスライド可能に設けられ、板状体5の上面には、均一に幼虫のための餌食Bが敷き詰められている。
【0022】
背面側(図8)の壁4cにも一部に幼虫が下方に落下するための切欠した落下部4fを設け、この落下部4fの幅は全体壁(4b,4c)幅の約1/2である。ここで、餌食Bを求めて前進する幼虫Aは、この落下部4fから下の全体壁(4b,4c)幅の約1/4の受取部の2つの4段目と7段目の第4育成処理収納部44(8-1、8-2)に落下する。
この第3育成処理収納部43は他の育成処理収納部4も基本的には同じで、図7の展開図からも判るように、1つの第1育成処理収納部41から落下する幼虫は、落下の際にその下方の2つの第2育成処理収納部42(2段目2-1、17段目2-2)に分割され、更に、これが各々下方の2つの第3育成処理収納部43(3段目4-1、10段目4-2、18段目4-3、25段目4-4)の合計4つと増加し、更に各々下方の2つの第4育成処理収納部44(4段目8-1、7段目8-2、11段目8-3、14段目8-4、19段目8-5、22段目8-6、26段目8-7、29段目8-8)の合計8つに増加し、同様に、これらが最終育成処理収納部45(5段目16-1、6段目16-2、8段目16-3、9段目16-4、12段目16-5、13段目16-6、15段目16-7、16段目16-8、20段目16-9、21段目16-10、23段目16-11、24段目16-12、27段目16-13、28段目16-14、30段目16-15、31段目16-16)の合計16個、即ち、1つの第1育成処理収納部41が最終的には、16倍の16個の最終育成処理収納部45と「2」の乗数で増加する構成である。
【0023】
この場合、図8に示すように、イエバエの幼虫Aは側面から見ると、育成処理収納部4の段毎に左右交互に進行方向を変えていくので、複数の育成処理収納部4は縦方向に積み重ねるので、高層にはなるが、場所を取らず、スペース的には有利である。
また、第2階層を2列にしてもよく、この場合には、積層の高さは半分になり、かつ、落下部の位置は幅の設計に自由度が増すが、平面の育成処理収納部4の占有面積は倍になる。
このように、上方段の育成処理収納部4の幼虫の這い出す落下部4fの幅に対応して、下方の育成処理収納部4は前記幅を複数に分割し、その分割した幅の複数の外側に突き出た張出部からなる受取部を設けて、所望の数に増加させて育成処理収納部4とすれば、イエバエの幼虫の飼育容積を十分に得られ、餌も十分投与可能となる育成処理収納部4とすることができ、幼虫の食性を増進させるようにすることができる。
また、本実施例では、産卵から最終育成処理収納部45からの落下までの期間を6〜7日程度に設定したが、その設定に合うように幼虫が移動する長さとなる各育成処理収納部4の大きさを設定するか、上述したように育成処理収納部4の分割する数や段数を設定すればよい。
【0024】
ここで、育成処理収納部4での幼虫の移動について、その流れを纏めて説明すると、卵接種・孵化装置3の4本のロータリーローラ31が回転し、このロータリーローラ31の各部屋311〜314から孵化したイエバエの幼虫Aが第1育成処理収納部41に落下する。この第1育成処理収納部41の底部a上面の板状体51が、受取部4eを形成しており(他の育成処理収納部の受取部とは異なり、張出部を形成せずに板状体51自体が受取部となる。)、幼虫は第1育成処理収納部41の板状体51上の餌食Bを食べながら落下部4fに向かい、落下部4fに到達すると落下部4fから2手に分かれて、次の2つの第2育成処理収納部42(2-1,2-2)の受取部4eに向かって落下し受け取られる。
同様に、幼虫は第3育成処理収納部43、第4育成処理収納部44と2の倍数で増え、第5番目の最終育成処理収納部45の板状体5上の餌食を食べ尽くして、最終育成処理収納部45の落下部4fに到達して、最下位置にある育成処理収納部4の面積より大きな集積容器である幼虫集積部6A(6B)に集積する。なお、第5階層の最終育成処理収納部45の落下部4fは、それより下位の育成処理収納部4の板状体の受取部(X:インデックス型)4eに引っ掛からないように側壁4b,4cを設けて置けばよい。
【0025】
この幼虫集積部6Aに集積し5日以上を経過した幼虫群は、乾燥状態にしながら集積容器ごと幼虫育成室2から排出され、先ず、この幼虫群から一部の幼虫を抽出し、抽出した幼虫を成虫に成長させ、イエバエの正の走光性と走行性を利用し、光と臭いでダクト(図示せず)を介して、前述した卵接種・孵化装置3に循環させ、リサイクル利用する。
また、抽出の終わった幼虫集積部6Aの幼虫群Aは、スチーム・煮沸・焼却等で殺処分するが、チキン・キトサンが豊富な良質の飼料Eとすることができ、所定の加工を施して出荷する。
【0026】
(3)[家畜糞の流れ]
次に、家畜糞の流れを説明する。
本実施例1でのイエバエの幼虫の餌を作る餌食作成工程は、餌食作成装置7で、おからともみ殻(約9:1)を豚糞(鶏糞)に2〜4割混ぜ、水分調整し攪拌し、さらに、家畜の排泄物に食物残渣も混入させ、食物残渣が排泄物中において腐敗して餌食が作られ、食物残渣が排泄物中において腐敗して餌食が作られるため、家畜の排泄物とともに人間が出す大量の食物残渣(残飯)を処理するようにして作成される。
この作成した餌食は餌食供給工程で、所定量の餌食Bを、図3.4の餌食ホッパ71A,72Bに供給する。ここで餌食ホッパ71A,71Bの排出口のゲート72を制御して、図3で右側に移動する板状体5,51,52〜531の上面に、餌食Bを均一に覆うように供給する。ここで、板状体5,51,52〜531の移動はフィードローラ55に連結するモータ(図示せず)で制御されるが、板状体5,51,52〜531はベルトコンベア状にしてモータで速度調整可能の構成で、餌食Bが育成処理収納部4の領域の板状体5,51,52〜531の表面上に存在するように、板状体5の移動速度とゲート72の開閉を制御する。
この時、この幼虫育成室2の内部の温度は25〜30℃、湿度は50〜70%の範囲に維持する。
【0027】
次に、餌食Bが育成処理収納部4の領域の板状体5,51,52〜531の表面上に満遍なく供給されると、幼虫育成室2内の板状体5,51,52〜531の移動を止める。そして、孵化直後の幼虫育成室2の暗中で飼育し、1回脱皮後の2齢幼虫も暗中または薄明中で飼育し、2回脱皮後の蛹変態前の3齢幼虫を照明中で飼育して約6日程度飼育する。育成処理収納部4での家畜糞等の餌食Bを幼虫Aに食べさせ、幼虫Aの体内で酵素分解されて排泄されることで有機肥料基材となる。
各育成処理収納部4の板状体5,51,52〜531上の家畜糞等の餌食Bの大部分が、幼虫Aを幼虫Aの体内で酵素分解されて処理されて有機肥料基材Dとなる。なお、この工程では、通常、餌食の65〜90%が幼虫に食され、餌食の10〜35%の残余の餌食が発酵して上記有機肥料基材Dに、更に、キトサンを豊富に含むイエバエの成虫の死骸やイエバエの脱け殻とを混合しており、これが最終的な有機有機肥料基材Dである。
この出来上がった有機有機肥料基材Dを載せて停止していた板状体5,51,52〜531は、再び稼働して幼虫育成室2の外に移動(図4で右側)させる。この時、板状体5,51,52〜531上には幼虫育成室2側に固定された、掻き出し用のスクレイパー56が設けられ、有機肥料基材Dの進行方向を90度変えて落下させ、下方の有機肥料基材集積部8の集積容器に乾燥させながら集積して幼虫育成室2から搬出して出荷する。
【0028】
本発明の実施例1での有機肥料製造システムは、以上詳述したの(1)[産卵の流れ]、(2)[幼虫の流れ]、(3)[家畜糞の流れ]を約1週間のサイクルで繰り返して、自動的にイエバエの幼虫を用いた有機肥料基材を製造する。
この実施例1の有機肥料製造システムは、家畜の排泄物がイエバエの幼虫の体内で酵素分解され、その幼虫から排泄されることで有機肥料基材が作られるので、従来のように焼却処分する場合の燃料の消費がないことはもちろん、二酸化炭素を排出しないので環境に対する負荷が軽減され、細菌による従来の無害化処理と異なり、長期間の悪臭の発生や病原菌の繁殖もなく、イエバエの幼虫の食性を利用して排泄物を安全に処理することができる。
また、育成処理収納部4を31段にして、イエバエの幼虫の飼育容積を十分に得るとともに、餌も十分投与可能であるので、幼虫の食性を増進させ、豚等の家畜の多量の排泄物を短期間に効率よく有機肥料基材に変えることができる。特に、幼虫の成長に伴いそれに合わせて育成処理収納部を31の育成処理収納部に小分けに分割しているので、満遍なく均一に餌を処理することができる。
また、イエバエ幼虫による有機肥料基材が豊富なキトサンを含むから、それら有機肥料基材から土壌改良や抗菌作用、植物の成長促進、植物の病気抑制効果、果実質の改良等に優れた有機肥料を作ることができ、処理収納室内での手作業を極力少なくし、効率良く、少ない労力で有機肥料化処理ができる。
また、幼虫群や蛹の一部を抽出しイエバエの成虫にして、産卵させることにより、システム内でイエバエの幼虫を再生産して循環システムを形成しているので、外部から新たに卵を調達する必要がない。
更に、最終育成処理収納部からの集積して排出された幼虫を優良な飼料Eとして利用することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、実施例2を図9で説明するが、実施例2は、受取部の構成が実施例1と異なるだけで、他の構成は実施例1と同じであるので詳細は省略する。
実施例2は、実施例1での受取部4eの所望の1部又は全部を外側に突き出た板状体(インデックス型)に代えて、刃付き回転ローラ型としたものである。
図9に示すように、実施例1での上方の育成処理収納部4の幼虫の這い出す落下部4fの幅に対応して、下位の育成処理収納部4は前記幅を複数に分割した幅の刃付きローラ461からなる受取部46とし、この刃付きローラ461の表面には、幼虫の皮膚に擦過傷をつけるローラ軸方向の刃462が設けられている。
これは、イエバエの幼虫の皮膚に擦過傷をつけると、傷つけられた幼虫が抗菌ペプチドを豊富に生成することが知られており、これを利用して幼虫が育成処理収納部4を移動するために落下する際、受取部46を刃462付きの回転する刃付きローラ461にして、この刃462の上に幼虫を落下させて、幼虫に傷を付けるようにしている。
この刃付きローラ461は、幼虫が抗菌ペプチドを豊富に生成する位置の受取部に設ければよく、受取部4eの所望の1部又は全部に設ければよい。
実施例2の他の作用・効果は、実施例1と同じである。
【実施例3】
【0030】
次に、実施例3を図10で説明するが、実施例3は、図10に示すように、実施例1とは往復動するステンレス製の板状体5に代えて、合成樹脂製の長尺フィルム57とし、1方向に繰り出して巻き取るようにして、育成処理部1も一対ではなく単体とした構成が異なるだけで、他の構成は実施例1或いは実施例2と同じであるので詳細は省略する。
実施例3は、各板状体5,51,52〜531を往復動させる実施例1の構成とは異なり、装置の構成は簡単となるが、長尺フィルム57の再利用には清掃等に手間が掛かる。
しかし、実施例1に比べて、育成処理部1が単体でよく、板状体5も合成樹脂製の長尺フィルム57としているので、プラント全体を小型にできるという利点がある。
【実施例4】
【0031】
次に、実施例4を図11で説明するが、実施例1で、1つの第1育成処理収納部41が最終的には、16倍の最終育成処理収納部45となり、「2」の乗数で増加する構成となることから、1つの育成処理収納部4を3つの育成処理収納部4に分割するようにすれば、育成処理収納部4は「3」の乗数で増加する構成になる。
このようにした構成が実施例4である。図11に示すように(符合の表示方法は、図7と同じである。)、第1階層の1つの第1育成処理収納部471の落下部Yに対応して、下位の第2階層の第2育成処理収納部472の受取部Xを前記落下部Yの幅の1/3にして3つの育成処理収納部472に分割する。同様に、下位の第3階層の第3育成処理収納部473の受取部Xを前記落下部Yの幅の1/3にして3つの育成処理収納部473に分割する。これを繰り返し、下位の第4階層の第4(最終)育成処理収納部474の受取部Xを前記落下部Yの幅の1/3にして3つの育成処理収納部474に分割するするように構成すれば、育成処理収納部4は「3」の乗数的に増加する構成になる。即ち、最終的には、1×3×3×3=27倍の面積の最終育成処理収納部45となる。
このように、実施例1や本実施例4や同様の他の分割方法で、育成処理収納部4の階層毎に分割数を適当に設定して設計すれば、面積の増加割合を幼虫の成育度合いに合わせることができる。
なお、実施例4では、受取部の幅は実施例1に比べて狭くなるが、下位の育成処理収納部4の面積を大きくすることができる。また、同様に、第1階層の1つの第1育成処理収納部471の落下部に対応して、下位の第2階層の第2育成処理収納部472の受取部Xを落下部の幅の1/4にして、4つの育成処理収納部472に分割し、これを繰り返せば、育成処理収納部4は「4」の乗数的に増加する構成になる。
【実施例5】
【0032】
次に、実施例5を図12で説明するが、実施例1や実施例5では、各育成処理収納部4は幼虫の受取部と落下部を固定され、底面上の板状体を移動可能にしているが、実施例5では、実施例1や実施例4の各育成処理収納部を移動容器型(トレー)にし、図12に示すように、これら複数の育成処理収納部4自体を移動するようにしたもので、幼虫の受取部と落下部と底部4a との他に前後に区切りの区切壁481を有するトレー48とするとともに、このトレー48は循環するコンベア482によって移動可能に設けた移動容器型の育成処理収納部4としている。
図12に示すように、先ず、循環コンベア482に搭載されたトレー48は餌食ホッパ71から家畜糞等の所定量の餌食Bを供給を受け、供給が終了すると幼虫育成室2に移動し、幼虫育成室2の上部に設けた卵接種・孵化装置3(図5.6参照)からに実施例1と同様に幼虫の供給を受け、実施例1と同様に多段に設けたトレー48で配置させるが、幼虫は餌食を処理しながら、自ら下位のトレー48に落下しながら移動し、最終的には幼虫集積部6に集積する。
一方、幼虫により餌食の処理した有機肥料基材Dを積載したトレー48は、幼虫育成室2から次の有機肥料基材集積部8に移動し、有機肥料基材集積部8ではトレー48の底部4aを斜め或いは逆さにして有機肥料基材Dを落下させ容器に排出する。他の構成及び作用・効果は基本的には実施例1と同じであるので省略する。
【0033】
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
A・・幼虫、B・・餌食、C・・卵、D・・有機肥料基材、E・・飼料、
1,1A,1B・・育成処理部、
2・・幼虫育成室、
3・・卵接種・孵化装置、
31・・ロータリーローラ、
311・・第1部屋、312・・第2部屋、313・・第3部屋、314・・第4部屋、
32・・回転軸、33・・開口部、
34・・餌供給部、341・・スクリューコンベア、
35・・カバー、36・・紫外線ランプ、37・・止まり木用のネット、
4・・育成処理収納部、
4a・・底部、4b,4c・・側壁、4d・・ 切欠部、
4e・・受取部(X:板状体:インデックス型)、4e1・・幅、4f・・落下部(Y)、
41,471・・第1育成処理収納部、
42,472・・第2育成処理収納部、43,473・・第3育成処理収納部、
44,474・・第4育成処理収納部、
45・・最終育成処理収納部、
46・・受取部(X:ローラ型)、461・・刃付きローラ、462・・刃、
48・・トレー(移動容器型の育成処理収納部)、区切壁481、循環コンベア482、
5,51,52〜531・・板状体、55・・フィードローラ、56・・スクレイパー、
57・・板状体(長尺フィルム)、
6,6A,6B・・幼虫集積部、
7・・餌食作成装置、
71,71A,71B・・餌食ホッパ、72・・ゲート、
8・・有機肥料基材集積部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イエバエの幼虫を利用して家畜の排泄物から有機肥料を製造する有機肥料製造システムであって、
卵から孵化した幼虫を育成する第1育成処理収納部を設け、
該第1育成処理収納部の下方で複数に分割された第2育成処理収納部を配置し、前記第1育成処理収納部に幼虫自らが這い出すことを利用して落下する落下部を設けて排泄物を敷き詰めた第2育成処理収納部に幼虫を該落下部から落下させ、
同様に該第2育成処理収納部の下方で複数に分割された第3育成処理収納部を配置し、前記第2育成処理収納部に落下部を設けて排泄物を敷き詰めた第3育成処理収納部に幼虫を落下部から落下させ、
この処理を最終育成処理収納部まで数回繰り返し、
前記各育成処理収納部は前記幼虫の飼育過程において前記排泄物を幼虫の体内で酵素分解して排泄されることで有機肥料基材を製造し、
製造された該有機肥料基材を集積して排出する有機肥料基材集積部と、最終育成処理収納部から這い出して落下する幼虫群を集積して排出する幼虫集積部とを備え、これら集積した有機肥料基材と該幼虫群とを搬出することを特徴とする有機肥料製造システム。
【請求項2】
前記各育成処理収納部は、幼虫の受取部と落下部を固定枠体に設けるとともに、底面上には底面全面を覆う板状体を移動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機肥料製造システム。
【請求項3】
前記各育成処理収納部は、幼虫の受取部と落下部と底部を有するトレーとするとともに、該トレーは循環するコンベヤによって移動可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の有機肥料製造システム。
【請求項4】
前記育成処理収納部には、上方の育成処理収納部の前記落下部に対応する受取部を設け、該受取部は落下部の幅を所望数に分割した幅の板状体とし、かつ、該板状体は外側に突き出た張出部を有する形状としたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の有機肥料製造システム。
【請求項5】
前記育成処理収納部には、上方の育成処理収納部の前記落下部に対応する受取部を設け、該受取部は落下部の幅を所望数に分割した幅のローラとし、かつ、該ローラの表面には幼虫を傷つける刃を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の有機肥料製造システム。
【請求項6】
前記幼虫集積部には、幼虫群の一部、或いは蛹の1部を抽出してイエバエの成虫とする成虫抽出部を設け、該成虫抽出部で抽出して育成したイエバエの成虫を第1育成処理収納部の上方に配置した卵接種部に導く誘導部を設けたこと特徴とする請求項1から請求項5に記載の有機肥料製造システム。
【請求項7】
前記卵接種部は複数の回転する部屋を設けたものであって、該複数の部屋のうち上方に開口が位置した部屋では開口に餌を供給するとともに、該餌に紫外線を照射し、イエバエの成虫が卵を接種して所定期間経過後に段階的に回転し、その過程で卵から幼虫に育成させ、該幼虫を部屋が回転することによって下向きに位置した開口から第1育成処理収納部に落下させることを特徴とする請求項6に記載の有機肥料製造システム。
【請求項8】
前記最終育成処理収納部から集積して排出された幼虫は、殺処分して飼料として加工することを特徴とする請求項1から請求項7に記載の有機肥料製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−232858(P2012−232858A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100358(P2011−100358)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(504027657)株式会社イーズ (12)
【Fターム(参考)】