説明

有機薄膜トランジスタ

本発明は、有機薄膜トランジスタにおいて、半導体層と電極との間のオーミックコンタクトを容易にし、かつ半導体層そのものとして作用する有機化合物を含む有機物層を有する有機薄膜トランジスタに関するものである。
本発明に係る有機薄膜トランジスタは、半導体層とソース電極/ドレーン電極との間の電気的接触に優れて、電気電子素子の構成部品として広く用いることができ、その結果、前記有機薄膜トランジスタのソース電極やドレーン電極用材料として仕事関数が比較的低くても低費用で、かつ加工性に優れた物質を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜トランジスタ(organic thin film transistor)において半導体層(semi-conducting layer)と電極(electrode)との間のオーミックコンタクト(ohmic contact)を容易にし、かつ半導体層そのものとして作用する有機化合物を含む有機物層を有する有機薄膜トランジスタに関するものである。
【0002】
本出願は、2005年6月30日および2005年11月11日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2005−0057717号および第10−2005−0107940号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
薄膜形態の電界効果トランジスタ(field-effect transistor, FET)は、マイクロ電子工学分野において基本となる構造体である。このようなFETは、3つの電極(例えば、ソース電極、ドレーン電極、およびゲート電極)、絶縁層、および半導体層を有する。FETは、前記半導体層が前記2つの電極、すなわちソース電極とドレーン電極との間の導電性チャネルである場合にキャパシタ(capacitor)として作用する。前記チャネルで電荷担体(charge carrier)の濃度はゲート電極を通して印加される電圧によって調整され、その結果ソース電極とドレーン電極との間の電気電荷の流れは、前記ゲート電極を通して印加される電圧によって調節され得る。
【0004】
最近、有機半導体性物質を用いるFETに対する関心が高まっている。FETにおいて有機半導体性物質を用いる場合、スクリーンプリンティング(screen-printing)、インクジェットプリンティング(ink-jet printing)、またはマイクロコンタクトプリンティング(micro-contact printing)のようなプリンティング方法によって電子素子を製造することができる。また、このような物質を用いる場合は、従来の通常の無機半導体性物質を用いる場合に比べて、はるかに低い基板温度および真空がほぼ必要のない状態でも工程が行われ得る。したがって、FETを含めて有機半導体性物質を用いる電子素子は、無機半導体性物質を用いる場合に比べて、その製造条件が非常に柔軟でかつ費用が節減できる。
【0005】
1980年代以後には、小さい分子、高分子およびオリゴマのような有機物質をFETにおける有機半導体性物質として用いるための研究が行われた。このような分野における研究の結果、FETにおける電荷担体の移動性(charge carrier mobility)の観点から見る時、有機FETの性能(performance)が10−5cm/Vsから1cm/Vsまで上昇した(J.M.Shaw,P.F.Seidler,IBM J.Res.& Dev.,Vol.45,3(2001))。有機薄膜トランジスタの性能は現在アモルファスシリコントランジスタ(amorphous silicon transistor)の性能に匹敵する程度であり、その結果、このような有機薄膜トランジスタは、電子ペーパー(E-paper)、スマートカード(smart card)、またはディスプレイ装置にまで適用され得る。
【0006】
半導体性有機物質を用いて製造され得る主な電子素子としては、有機発光ダイオード(organic light emitting diodes)、有機太陽電池(organic solar cell)、および有機トランジスタ(organic transistor)を含む。このような素子において前記半導体性有機物質と電極との間の電気的接触は、前記素子の性能を向上させるにあたって大変重要である。例えば、有機発光ダイオードの性能を向上させるために、半導体層と電極との間に正孔注入層(hole-injection)や電子注入(electron-injection)層のような電荷担体注入層が導入される。たとえ有機トランジスタの作動方式が前記有機発光ダイオードの作動方式と異なるとしても、有機トランジスタにおいても前記半導体層とソースおよびドレーン電極との間の電気的接触は、前記有機トランジスタの性能に相当影響を及ぼす。
【0007】
一方、有機トランジスタの性能はソース/ドレーン物質に依存すると報告されている(Y.Y.Lin et al.Materials Research Society Symposium Proceedings(1996)、413(Electrical,Optical,and Magnetic Properties of Organic Solid State Materials III),413−418.CODEN:MRSPDH ISSN:0272−9172)。上記報告書によれば、比較的に低い仕事関数(work function)を有する金属(例えば、Al)は相当劣った性能を示す一方、高い仕事関数を有する金属(例えば、Pd、Pt、およびAu)は優れた性能を示す。したがって、大部分の有機トランジスタでは、金のように高い仕事関数を有する金属がソース/ドレーン電極として用いられた。
【0008】
しかし、上記のように高い仕事関数を有する金属は貴金属で、その費用が高くて工業的な方法によって工程を行い難いため、有機トランジスタにおいてこれらの適用工程および適用構造が制約的である。
【技術的課題】
【0009】
そこで、本発明者らは、有機薄膜トランジスタにおいて前記半導体層と、ソース電極またはドレーン電極との間の電気的接触を向上させられる方法について研究した。また、有機トランジスタのソース電極やドレーン電極用材料として、低費用の物質を使うことのできる方法について研究した。すなわち、前記有機薄膜トランジスタのソース電極やドレーン電極の材料として、仕事関数が比較的に低くても低費用の物質を使うことのできるように研究した。
【0010】
本発明は、有機薄膜トランジスタにおいて半導体層と電極との間のオーミックコンタクトを容易にし、かつ半導体層そのものとして作用する有機化合物を含む有機物層を有する有機薄膜トランジスタ、その製造方法、および前記有機薄膜トランジスタを含む電子装置を提供しようとする。
【技術的解決方法】
【0011】
本発明は、ゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレーン電極、および半導体層をはじめとする1層以上の有機物層を含む有機薄膜トランジスタであって、前記有機物層のうちの1層以上が、下記化学式1と表示される化合物を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタを提供する。前記化学式1の化合物を含む有機物層は半導体層であり得、半導体層と別個に形成された有機物層であって、半導体層と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に形成された有機物層であり得る。
【化1】

前記化学式1において、
mおよびnは各々1または2で、
lは0または1で、
X1およびX2は各々独立してCHまたはNであり、
Y1およびY2は各々独立してn=1である時にNR0で、n=2である時にNであり、ここでR0は水素、置換または非置換されたアルキル基、および置換または非置換されたアリール基からなる群から選択され、
R1〜R8は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたアルキル基、置換または非置換されたアルコキシ基、置換または非置換されたアルケニル基、置換または非置換されたアリール基、置換または非置換されたアリールアミン基、置換または非置換された複素環基、置換または非置換されたシラン基、置換または非置換されたホウ素基、置換または非置換された脂肪族環基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、ハロゲン基、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エステル基(−COOR)、スルホニル基(−SOR)、スルホキシド基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONRR’)、スルホネート基(−SOR)、トリフルオロメチル基(−CF)、アミン基(−NHR、−NRR’)、および−L−Mからなる群から選択され、これらは互いに隣接する基と芳香族、脂肪族またはヘテロの縮合環を形成することができ、
前記Lはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアルキレン基;アミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアリーレン基;またはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換された5−7原子の複素環基であり、
Mはアルコール基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(−POH)、アミン基(−NHR、−NRR’)、置換または非置換されたポリオレフィン、置換または非置換されたポリビニール、置換または非置換されたポリアクリレート、置換または非置換されたポリチオフェン、置換または非置換されたポリピロール、および置換または非置換されたポリアニリンからなる群から選択され得、
前記RおよびR’は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたC−C60のアルキル基、置換または非置換されたC−C60のアリール基、または置換または非置換された5−7原子の複素環基である。
【0012】
好ましくは、前記化学式1においてR1〜R8は各々独立して置換または非置換された電子求引性基(electron withdrawing groups)から選択され得る。これは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によく知られている。
【0013】
前記化学式1の化合物は下記化学式2の化合物のうちから選択され得る:
【化2】

前記化学式2において、
nは0または1で、
R9〜R18は各々独立して、水素、ハロゲン基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、スルホニル基(−SOR)、スルホキシド基(SOR)、スルホンアミド基(−SONRR’)、スルホネート基(−SOR)、トリフルオロメチル基(−CF)、エステル基(CO−OR)、アミド基(−CO−NHR、−CO−NRR’)、置換または非置換された直鎖型または分枝型のC−C12のアルコキシ基、置換または非置換された直鎖型または分枝型のC−C12のアルキル基、置換または非置換された芳香族または非芳香族複素環基、置換または非置換されたC−C20のアリール基、置換または非置換されたアミン基(−NHR、−NRR’)、および−L−Mからなる群から選択され得、R9とR10、またはR11とR12が結合して芳香族または複素環を形成することができ、
前記Lはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)、およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアルキレン基;アミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアリーレン基;またはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)、およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換された5−7原子の複素環基であり、
Mはアルコール基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(−POH)、アミン基(−NHR、−NRR’)、置換または非置換されたポリオレフィン、置換または非置換されたポリビニール、置換または非置換されたポリアクリレート、置換または非置換されたポリチオフェン、置換または非置換されたポリピロール、および置換または非置換されたポリアニリンからなる群から選択され得、
前記RおよびR’は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたC−C60のアルキル基、置換または非置換されたC−C60のアリール基、または置換または非置換された5−7原子の複素環基である。
【0014】
前記化学式の置換基をより詳細に説明すれば次の通りである。
【0015】
前記化学式中、R0〜R18うちのアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ベンジル、ピレニル基、ペリレニル基、コロネニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
前記化学式中、R1〜R18のうちのアリールアミン基の例としては、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、カルバゾリル基、トリフェニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
前記化学式中、R1〜R18のうちの複素環基の例としては、ピリジル基、アクリジル基、チエニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基またはキノリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
前記化学式中、R1〜R18のうちのハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、ブロムまたはヨウ素がある。
【0019】
前記化学式中、R1〜R18のうちのシラン基の例としては、シロール基、シリレン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
前記化学式中、R1〜R18のうちのハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、ブロムまたはヨウ素がある。
【0021】
前記化学式中、R1〜R18の置換基が他の置換基を有する場合、これら置換基は、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アリールアミン基、複素環基、シラン基、ホウ素基、脂肪族環基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、ハロゲン基、アミド基、エステル基およびエーテル基からなる群から選択され得る。
【0022】
前記化学式2と表示される化合物のより具体的な例としては下記のような化合物があるが、これらに限定されるものではない。
【化3】





【0023】
前記化学式で、xは2〜10000000で、R19およびR20は各々独立して置換または非置換されたC−C60のアルキルまたは置換または非置換されたC−C60のアリールである。
【0024】
有機薄膜トランジスタは、ソース電極、ドレーン電極およびゲート電極と呼ばれる3つの端子を有する電子素子であって、数え切れない程の多様な構造が存在する。以下、本発明に係る有機薄膜トランジスタの構造を図面を参照してより具体的に説明するが、図面および図面に係る内容は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】
図1は、本発明に係る一実施状態に係る有機薄膜トランジスタの断面を示すものである。図1に示された有機薄膜トランジスタは、ボトムゲート(bottom- gate)のトップコンタクト(top-contact)構造であって、基板13、前記基板に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層12、前記絶縁層上に配置された半導体層14、前記半導体層と絶縁層上に配置されたソース電極15、およびドレーン電極11を含む。図1の有機薄膜トランジスタは、1層の有機物層を含む構造であり、前記半導体層14が前記化学式1の化合物を含む。
【0026】
図1の有機薄膜トランジスタは、基板13上にゲート電極16をパターニングして、前記基板とゲート電極上に絶縁層12を形成し、その上にp−型またはn−型半導体層14を形成した後、前記半導体層14と絶縁層12上にソース電極15およびドレーン電極11を形成することによって製造され得る。
【0027】
図2〜図5は、ボトムゲートのトップコンタクト構造であり、2層の有機物層を含む構造である。このような構造では、半導体層14が1層をなしており、前記半導体層14と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に挿入される有機物層17が他の層をなしている。前記有機物層17は前記化学式1の化合物を含む。
【0028】
図2〜図5に示すように、有機薄膜トランジスタは、基板13、前記基板に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層12、前記絶縁層上に配置された半導体層14、および前記半導体層と絶縁層上に配置されたソース電極15とドレーン電極11とを含む構造において、前記化学式1の化合物を含む有機物層17が、半導体層14とソース電極15およびドレーン電極11との間(図2)、半導体層14とソース電極15との間(図3)、または半導体層14とドレーン電極11との間(図4)にパターニングされて挿入されたり、パターニングなしでソース電極15およびドレーン電極11に接するように形成される(図5)。
【0029】
前記化学式1の化合物を含む有機物層17がパターニングされずにソース電極15とドレーン電極11との間を連結する場合、前記有機物層17の電気伝導度によってオフ状態の電流量が増加することができるため、前記有機物層17がパターニングされて挿入されるのが好ましいが、本発明に用いられる化学式1の化合物を含む有機物層17は、パターニングされない場合にもオフ状態の電流量の増加が大きくならないようにすることができる。
【0030】
上記のような構造の有機薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極16に電圧を印加することによって電荷担体が半導体層14に形成され得る。例えば、負のゲート電圧(negative gate voltage)を用いれば正の電荷担体(正孔)がp−型有機物層に形成され得、正のゲート電圧(positive gate voltage)を用いれば負の電荷担体(電子)がn−型有機物層に形成され得る。半導体層における電荷担体の密度はゲート電圧によって調節され得るため、ソース電極とドレーン電極との間の電流の流れは、ゲート電極に印加される電圧によって調節され得る。
【0031】
図6は、本発明に係る他の一実施状態に係る有機薄膜トランジスタの断面を示すものである。図6に示された有機薄膜トランジスタは、ボトムゲートのボトムコンタクト(bottom-contact)構造であり、基板13、前記基板に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層12、前記絶縁層上に配置されたソース電極15およびドレーン電極11、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に配置された半導体層14を含む。図6の有機薄膜トランジスタは1層の有機物層を含む構造であり、前記半導体層14が前記化学式1の化合物を含む。
【0032】
ボトムゲートのボトムコンタクト構造の有機薄膜トランジスタもまた2層の有機物層を含むように製造され得、この場合半導体層14が1層をなして、前記半導体層14と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に挿入される有機物層17が他の層をなす。前記有機物層17は前記化学式1の化合物を含む。具体的には、有機薄膜トランジスタは、基板13、前記基板に配置されたゲート電極16、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層12、前記絶縁層上に配置されたソース電極15およびドレーン電極11、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に配置された半導体層14を含む構造において、前記化学式1の化合物を含む有機物層17が、半導体層14とソース電極15およびドレーン電極11との間(図8)、半導体層14とソース電極15との間(図示せず)、または半導体層14とドレーン電極11との間(図示せず)にパターニングされて挿入されたり、パターニングなしに絶縁層12、ソース電極15およびドレーン電極11上に形成される(図7)。
【0033】
また、本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタは、基板13に配置されたソース電極15とドレーン電極11、前記基板13および前記ソース電極15とドレーン電極11上に配置された半導体層14、前記半導体層14上に配置された絶縁層12、前記絶縁層12に配置されたゲート電極16を含む構造であり得、前記半導体層14は前記化学式1の化合物を含む。
【0034】
また、本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタは、基板13に配置されたソース電極15とドレーン電極11、前記基板13および前記ソース電極15とドレーン電極11上に配置された半導体層14、前記半導体層14上に配置された絶縁層12、および前記絶縁層12に配置されたゲート電極16を含む構造において、前記化学式1の化合物を含む有機物層17が、前記半導体層14とソース電極15およびドレーン電極11との間、前記半導体層14とソース電極15との間、または前記半導体層14とドレーン電極11との間にさらに含む構造を有する。前記化学式1の化合物を含む有機物層17が、前記半導体層14とソース電極15およびドレーン電極11との間に挿入された構造が図10に例示されている。
【0035】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタは、基板13に配置された半導体層14、前記半導体層14に配置されたソース電極15とドレーン電極11、前記半導体層14および前記ソース電極15とドレーン電極11上に配置された絶縁層12、および前記絶縁層12上に配置されたゲート電極16を含む構造であり得、この場合前記半導体層14が前記化学式1の化合物を含む。
【0036】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタは、基板13に配置された半導体層14、前記半導体層14に配置されたソース電極15とドレーン電極11、前記半導体層14および前記ソース電極15とドレーン電極11上に配置された絶縁層12、および前記絶縁層12上に配置されたゲート電極16を含む構造において、前記化学式1を含む有機物層17が、半導体層14とソース電極15およびドレーン電極11との間、半導体層14とソース電極15との間、または半導体層14とドレーン電極11との間に挿入された構造を有する。
【0037】
本発明は、またゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレーン電極、および半導体層をはじめとする1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機薄膜トランジスタの製造方法であって、前記有機物層のうちの1層以上を前記化学式1と表示される化合物を含むように形成することを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法を提供する。前記化学式1の化合物を含む有機物層は、ソース電極、ドレーン電極、またはソース電極とドレーン電極全てに接するように形成されるのが好ましい。
【0038】
前記化学式1の化合物を含むように形成された有機物層は半導体層であり得、半導体層とは別個に形成された有機物層であって、半導体層と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に形成される有機物層であり得る。
【0039】
具体的に、本発明の一実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層と前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップとを含む。
【0040】
本発明の他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層と前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップとを含む。
【0041】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップとを含む。
【0042】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に半導体層を形成するステップとを含む。
【0043】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記基板と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層にゲート電極を形成するステップとを含む。
【0044】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記基板と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層にゲート電極を形成するステップとを含む。
【0045】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記半導体と前記ソース電極およびドレーン電極上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップとを含む。
【0046】
本発明のまた他の実施状態に係る有機薄膜トランジスタの製造方法は、基板に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記有機物層と前記ソース電極およびドレーン電極上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップとを含む。
【0047】
有機薄膜トランジスタに用いられる各々の構成要素および本発明の効果についてより詳細に説明する。
【0048】
基板
有機薄膜トランジスタのための熱力学的および機械的要求事項を満たすガラス、半導体ウェハ(semiconductor wafer)、金属酸化物、セラミック物質、およびプラスチックなどが基板13として用いられ得る。
【0049】
ゲート電極
導電性物質がゲート電極16として用いられ得るが、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、スズ、鉛、金属類似物および前記金属の合金、p−またはn−ドープシリコン、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物およびスズ類似酸化物またはスズ酸化物インジウム系複合化合物、ZnO:Al、SnO:Sbのような酸化物と金属の混合物、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール、およびポリアニリンのような導電性高分子を含む。
【0050】
絶縁層
絶縁層12として用いられ得る絶縁物質の非制限的な例としては、シリコン酸化物、シリコン窒化物、およびポリイミド、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリメチルメタクリレートのようなプラスチック絶縁体を含む。
【0051】
半導体層
半導体層として用いられ得るものとして2種類形態の分子があるが、これはp−型およびn−型有機半導体物質である。P−型半導体性物質では正孔が電荷担体であり、n−型半導体性物質では電子が電荷担体である。
P−型有機半導体性物質の非制限的な例としては、ペンタセン、アントラジチオフェン、ベンゾジチオフェン、チオフェンオリゴマ、ポリチオフェン、チオフェンオリゴマの下位単位混合物、酸素−機能基が結合したチオフェンオリゴマなどがある(H.E.Katz et al.,Acc.Chem.Res.34,359(2001))。
N−型有機半導体材料としては、例えば、フッ素化メタロフタロシアニン(Z.Bao,J.Am.Chem.Soc.120,207(1998))、ペルフルオロアレーン変形されたポリチオフェン(A.Facchetti,Angew.Chem.Int.Ed.42,3900(2003))などが含まれる。
【0052】
また、本発明の化学式1の化合物が半導体層に含まれ得る。
【0053】
ソース電極またはドレーン電極に接する有機物層(Organic layer)
前記有機物層は、前記化学式1と表示される化合物のうち少なくとも1つを含む。前記化学式1の化合物を含む有機物層は、半導体層とソース電極および/またはドレーン電極との間にオーミックコンタクトが形成されるのに役立つ。したがって、有機薄膜トランジスタにおいて駆動電圧(threshold voltage)および電荷担体の移動性は、上記で説明した化学式1と表示される化合物のうち少なくとも1つを含む有機物層によって向上させられる。
【0054】
前記化学式1の化合物を含む有機物層は、真空蒸着やスクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、SAM(Self−assembled Monolayer)などの溶液工程を用いて形成することができる。SAM工程の場合には、SAM工程が可能な化合物を用いて、前記化学式1の化合物のうちから選択される化合物をソース電極およびドレーン電極に選択的に塗布することができる。また、前記化学式1の化合物を含む有機物層は、単分子層から数十nm程度、好ましくは単分子層から100nmの薄膜の厚さでより良い効果を示す。
【0055】
ソース電極/ドレーン電極(Source Electrodes/Drain Electrodes)
導電性物質がソース電極/ドレーン電極として用いられ得るが、このような導電性物質の非制限的な例としては、炭素、アルミニウム、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、銀、金、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、スズ、鉛、ネオジム、白金、パラジウム、金属類似物および前記金属の合金、p−またはn−ドープ(doped)シリコン、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物およびスズ類似酸化物またはスズ酸化物インジウム系複合化合物、ZnO:Al、SnO:Sbのような酸化物と金属の混合物、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン]、ポリピロール、およびポリアニリンのような導電性高分子を含む。
【0056】
また、ソース電極/ドレーン電極用物質は、電荷担体注入バリアを減少させて有機物層とオーミックコンタクトを形成するための適切な仕事関数を有する。半導体層14としてp−型物質が用いられる場合、ソース電極/ドレーン電極物質の仕事関数は、p−型有機物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位と対応するかまたは非常に近接する。したがって、パラジウム、白金、および金のように非常に大きい仕事関数を有する金属がソース電極/ドレーン電極として用いられることが好ましい。一方、半導体層14としてn−型物質が用いられる場合、ソース電極/ドレーン電極物質の仕事関数は、n−型有機物質のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギー準位と対応するかまたは非常に近接する。したがって、アルミニウムのように小さい仕事関数を有する金属がソース電極/ドレーン電極として用いられることが好ましい。
【0057】
しかし、本発明に係る有機薄膜トランジスタの性能は、前記化学式1の化合物を含む有機物層によって、ソース電極/ドレーン電極物質に対して低い依存性を示す。これによって、スクリーンプリンティング、リール・トー・リール工程(reel−to−reel process,J.A.Rogers et al.,Adv.Mater.11,741(1999))、マイクロコンタクトプリンティングなどを含む多様な方法に適用できる多様な電極材料を用いて、有機薄膜トランジスタを製造することができる。すなわち、上記本発明は、前記化学式1の化合物を含む有機物層によって、有機薄膜トランジスタの性能が低下しないようにしつつ、多様な電極物質らをより容易な工程を用いてソース電極/ドレーン電極として用いることができる。
【0058】
例えば、前記化学式1と表示される化合物を含む有機物層を用いることによって、図10の構造においてアルミニウムをソース電極/ドレーン電極として用いることができる。図10に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチング方法を適用してアルミニウムをパターニングして、ソース電極15/ドレーン電極11の配列を容易にすることができる。また、スクリーンプリンティングが可能な導電性インクのうちの1つである銀ペーストを用い、スクリーンプリンティング方法によってソース電極15/ドレーン電極11としてパターニングして用いることができる。
【0059】
本発明では、特にソース電極およびドレーン電極としてアルミニウム、銀、金、ネオジム、パラジウム、白金、およびこれらの合金のうちから選択される材料を用いることが好ましい。
【0060】
本発明は、また、前述した本発明に係る有機薄膜トランジスタを含む電子装置を提供する。本発明に係る電子装置は、上記本発明の有機薄膜トランジスタを1つの構成要素としてするものであれば特にその種類に限定されず、例えば電子ペーパー、スマートカードまたはディスプレイ装置などがある。
【0061】
発明の効果
本発明による有機薄膜トランジスタは、半導体層とソース電極/ドレーン電極との間のオーミックコンタクトを容易にし、かつ半導体層そのものとして作用する有機化合物を含む有機物層を導入することによって、前記半導体層とソース電極/ドレーン電極との間の電気的接触を向上させる。その結果、前記有機薄膜トランジスタのソース電極やドレーン電極用材料として、仕事関数が比較的に低くても低費用で加工性に優れた物質を用いることができる。
【0062】
したがって、本発明による有機薄膜トランジスタは、半導体層とソース電極/ドレーン電極との間の電気的接触に優れて、電気電子素子の構成部品として広く用いられ得る。特に、本発明に係る有機薄膜トランジスタは、電子ペーパー、スマートカードまたはディスプレイ装置までにも適用され得る。
【0063】
本明細書では、本発明を説明するのに最も適切であると判断される、本発明の好ましい例示を中心に説明した。しかし、本発明を脱しない範囲で本発明に対する多様でかつ明らかな変形が可能である。
【発明の実施のための形態】
【0064】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、本発明をより容易に理解するために提供するのみであり、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0065】
実施例1
電界効果トランジスタは、図5のようなボトムゲートのトップコンタクト構造で製造された。基板13とゲート電極16としてはn−ドープシリコンウェハを用いた。ゲート誘電体または絶縁層12は、n−ドープシリコン上にシリコンジオキシド(SiO)を熱的に成長させて製造した。シリコンジオキシド(SiO)ゲート絶縁層の厚さは300nmであった。半導体層14は、前記シリコンジオキシド(SiO)絶縁層12の上に形成された。ペンタセンがp−型半導体物質として用いられた。ペンタセン層14は、1x10−6Torrのベース圧力下で0.3Å/sの速度で蒸着された。前記ペンタセン層の厚さは50nmであった。有機物層17および金(Au)からなるソース電極15/ドレーン電極11は、各々図5に示すようにシャドウマスク(shadow mask)によってペンタセン膜上に蒸着された。図5に示すように、金ソース電極15/ドレーン電極11を蒸着する前に、前記有機物層17を前記ペンタセン膜上にパターニングせずに蒸着した。前記化学式2−11と表示される化合物が有機物層17の形成のために用いられた。有機物層17は1x10−6Torrのベース圧力下で0.5Å/sの速度で蒸着され、前記有機物層17の厚さは20nmであった。図9に示すように、前記有機FETのチャネル長さ(L)および幅(W)は、前記有機薄膜トランジスタの性能に相当影響を及ぼす。本発明の実施例では、前記有機薄膜トランジスタのチャネル幅と長さは各々1mmと100μmにした。
【0066】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図11に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図12に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.03cm/Vsで計算される。
【0067】
実施例2
前記実施例1においてソース電極/ドレーン電極として金(Au)をアルミニウム(Al)に代えたのを除いては、実施例1で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0068】
ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.01cm/Vsで計算される。
【0069】
有機物層17を有する有機薄膜トランジスタは、ソース電極/ドレーン電極物質としてアルミニウムを用いても、金を用いる場合と類似する性能を示していることが分かる。
【0070】
実施例3
図2に示すように、前記有機物層17をシャドウマスクによって電極のような形態でパターニングして、ペンタセン膜上に蒸着したのを除いては、実施例2で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0071】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図13に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図14に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.01cm/Vsで計算される。
【0072】
実施例2のように有機物層17がパターニングされないトランジスタと本実施例3のように有機物層17がパターニングされたトランジスタとは、類似する水準の電界効果移動性を示した。また、有機物層17がパターニングされないトランジスタ(実施例2)におけるオフ(off)状態の電流量が、有機物層17がパターニングされたトランジスタ(実施例3)におけるものと類似する水準を示していることから、有機物層17がパターニングされなくても有機物層17による漏洩電流が大きくならないということが分かる。
【0073】
実施例4
有機物層17を形成する時に前記化学式2−30の化合物を用いたのを除いては、実施例2で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0074】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図15に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図16に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.02cm/Vsで計算される。
【0075】
比較例1
前記有機物層17を形成しないのを除いては、実施例1で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0076】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図17に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図18に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.01cm/Vsで計算される。
【0077】
同一のゲートバイアスの下で、ペンタセンと金電極との間に有機物層17が配置されたトランジスタの場合(実施例1、図11)には、有機物層17を含まないトランジスタの場合(図17)に比べて、より高いソース−ドレーン電流値を有する。有機物層17が配置されたトランジスタでは、半導体層と電極との間のオーミックコンタクトを容易にして性能が向上したことが分かる。
【0078】
比較例2
前記比較例1でソース電極/ドレーン電極として金(Au)をアルミニウム(Al)に代えたのを除いては、比較例1で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0079】
前記素子はトランジスタ特性を示さなかった。ソース電極/ドレーン電極としてアルミニウムを用いる場合、有機物層17がソース電極またはドレーン電極に接するように配置されて、オーミックコンタクトを容易にしてトランジスタとして作動するということが分かる。
【0080】
実施例5
電界効果トランジスタは、図7のようなボトムゲートのボトムコンタクト構造で製造された。基板13とゲート電極16としてn−ドープシリコンウェハを用いた。ゲート誘電体または絶縁層12は、n−ドープシリコン上にシリコンジオキシド(SiO)を熱的に成長させて製造した。シリコンジオキシド(SiO)ゲート絶縁層の厚さは300nmであった。金(Au)からなるソース電極15/ドレーン電極11は、各々図7に示すようにシャドウマスクによって前記シリコンジオキシド(SiO)絶縁層12の上に形成された。前記有機物層17を前記ソース電極15/ドレーン電極11が形成された基板上にパターニングせずに蒸着した。前記化学式2−11と表示される化合物が有機物層17の形成のために用いられた。前記有機物層17は、1x10−6Torrのベース圧力下で0.5Å/sの速度で蒸着され、前記有機物層17の厚さは20nmであった。前記有機物層17の上にp−型半導体物質であるペンタセンを用いて半導体層14を形成した。ペンタセン層14は、1x10−6Torrのベース圧力下で0.3Å/sの速度で蒸着された。前記ペンタセン層の厚さは50nmであった。
【0081】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図19に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図20に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.03cm/Vsで計算される。
【0082】
前記有機物層17が、ボトムコンタクト構造においてもトップコンタクト構造と同一効果を示すことが分かる。
【0083】
実施例6
前記有機物層17を形成する時、前記化学式2−38の化合物(数平均分子量(Mn)=8000))を溶媒に溶かしてスピンコーティングで形成したのを除いては、実施例4で説明したのと同一方法によって素子を製造した。溶媒としてはテトラヒドロフラン(THF)を用いて、1500rpmで20秒間回転させた後、80℃で2分間乾燥させた。
【0084】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図21に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図22に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.02cm/Vsで計算される。
【0085】
比較例3
前記有機物層17を形成しないのを除いては、実施例5で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0086】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図23に示されている。ペンタセントランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図24に示されている。ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=0.005cm/Vsで計算される。
【0087】
ボトムコンタクト構造においても有機物層17が配置されたトランジスタでは、半導体層と電極との間のオーミックコンタクトを容易にして性能が向上したことが分かる。
【0088】
実施例7
前記有機物層17を形成せず、前記半導体層14をペンタセン代わりに前記化学式2−30の化合物を用いたのを除いては、実施例5で説明したのと同一方法によって素子を製造した。
【0089】
いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(VDS)に対するドレーン−ソース電流(IDS)の特性を示すグラフが図25に示されている。前記トランジスタ(VDS=−40V)でVに対する前記(IDS1/2の特性は図26に示されている。前記化学式2−30の化合物を半導体層14として用いたトランジスタはn型トランジスタ特性を示しており、ドレーン−ソース電流の飽和状態における電界効果移動性は、μFET=1.5−10−5cm/Vsで計算される。
【0090】
前記化学式2を含む化合物は、有機薄膜トランジスタでn−型半導体物質として用いられる可能性があることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図2】図2は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図3】図3は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図4】図4は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図5】図5は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図6】図6は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図7】図7は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図8】図8は、本発明の実施状態に係る有機物層を有する有機薄膜トランジスタ各々の断面を例示する図である。
【図9】図9は、図2の断面を有する有機薄膜トランジスタの上面を示す図である(WとLは各々有機薄膜トランジスタチャネルの幅と長さに対応する)。
【図10】図10は、本発明の一実施状態に係る有機薄膜トランジスタの断面の概略図である。
【図11】図11は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図12】図12は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図13】図13は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図14】図14は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図15】図15は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図16】図16は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図17】図17は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図18】図18は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図19】図19は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図20】図20は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図21】図21は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図22】図22は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図23】図23は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図24】図24は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図25】図25は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。
【図26】図26は、いくつかのゲート電圧(V)でドレーン−ソース電圧(drain-source voltage, VDS)に対するドレーン−ソース電流(drain-source current, IDS)の特性グラフとVに対する(IDS1/2の特性グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレーン電極、および半導体層をはじめとする1層以上の有機物層を備えてなる有機薄膜トランジスタであって、
前記有機物層のうちの1層以上が下記化学式1と表示される化合物を含むことを特徴とする。有機薄膜トランジスタ。
【化1】

[前記化学式1において、
mおよびnは各々1または2であり、
lは0または1であり、
X1およびX2は各々独立してCHまたはNであり、
Y1およびY2は各々独立してn=1である時にNR0で、n=2である時にNであり、ここでR0は水素、置換または非置換されたアルキル基、および置換または非置換されたアリール基からなる群から選択され、
R1〜R8は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたアルキル基、置換または非置換されたアルコキシ基、置換または非置換されたアルケニル基、置換または非置換されたアリール基、置換または非置換されたアリールアミン基、置換または非置換された複素環基、置換または非置換されたシラン基、置換または非置換されたホウ素基、置換または非置換された脂肪族環基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、ハロゲン基、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エステル基(−COOR)、スルホニル基(−SOR)、スルホキシド基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONRR’)、スルホネート基(−SOR)、トリフルオロメチル基(−CF)、アミン基(−NHR、−NRR’)、および−L−Mからなる群から選択され、これらは互いに隣接する基と芳香族、脂肪族またはヘテロの縮合環を形成することができるものであり、
前記Lはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアルキレン基;アミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアリーレン基;またはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換された5−7原子の複素環基であり、
Mはアルコール基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(−POH)、アミン基(−NHR、−NRR’)、置換または非置換されたポリオレフィン、置換または非置換されたポリビニール、置換または非置換されたポリアクリレート、置換または非置換されたポリチオフェン、置換または非置換されたポリピロール、および置換または非置換されたポリアニリンからなる群から選択されてなり、
前記RおよびR’は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたC−C60のアルキル基、置換または非置換されたC−C60のアリール基、または置換または非置換された5−7原子の複素環基である。]
【請求項2】
前記化学式1の化合物を含む有機物層が半導体層である、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記化学式1の化合物を含む有機物層が、半導体層と別個の有機物層であって、半導体層と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に配置された有機物層である、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたゲート電極、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層、前記絶縁層上に配置された半導体層、および前記半導体層と前記絶縁層上に配置されたソース電極およびドレーン電極を含んでなり、
前記半導体層は、前記ソース電極およびドレーン電極に接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたゲート電極、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層、前記絶縁層上に配置された半導体層、前記半導体層上に配置された有機物層、および前記有機物層と前記絶縁層上に配置されたソース電極およびドレーン電極を含んでなり、
前記有機物層は、前記ソース電極、ドレーン電極またはソース電極とドレーン電極全てに接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたゲート電極、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層、前記絶縁層上に配置されたソース電極およびドレーン電極、および前記絶縁層、ソース電極およびドレーン電極上に配置された半導体層を含んでなり、
前記半導体層は、前記ソース電極およびドレーン電極に接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたゲート電極、前記ゲート電極と基板上に配置された絶縁層、前記絶縁層上に配置されたソース電極およびドレーン電極、前記絶縁層、ソース電極およびドレーン電極上に配置された有機物層、および前記有機物層上に配置された半導体層を含んでなり、
前記有機物層は、前記ソース電極、ドレーン電極またはソース電極とドレーン電極全てに接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたソース電極およびドレーン電極、前記基板、ソース電極およびドレーン電極上に配置された半導体層、前記半導体層上に配置された絶縁層、および前記絶縁層上に配置されたゲート電極を含んでなり、
前記半導体層は、前記ソース電極およびドレーン電極に接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置されたソース電極およびドレーン電極、前記基板、ソース電極およびドレーン電極上に配置された有機物層、前記有機物層上に配置された半導体層、前記半導体層上に配置された絶縁層、および前記絶縁層上に配置されたゲート電極を含んでなり、
前記有機物層は、前記ソース電極、ドレーン電極またはソース電極とドレーン電極全てに接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置された半導体層、前記半導体層上に配置されたソース電極およびドレーン電極、前記半導体層、ソース電極およびドレーン電極上に配置された絶縁層、および前記絶縁層上に配置されたゲート電極を含んでなり、
前記半導体層は、前記ソース電極およびドレーン電極に接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記有機薄膜トランジスタが、基板、前記基板に配置された半導体層、前記半導体層上に配置された有機物層、前記有機物層上に配置されたソース電極およびドレーン電極、前記有機物層、ソース電極およびドレーン電極上に配置された絶縁層、および前記絶縁層上に配置されたゲート電極を含んでなり、
前記有機物層が、前記ソース電極、ドレーン電極またはソース電極とドレーン電極全てに接するように配置され、前記化学式1の化合物を含む、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記化学式1の化合物は下記化学式2の化合物のうちから選択される、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【化2】

[前記化学式2において、
nは0または1であり、
R9〜R18は各々独立して、水素、ハロゲン基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、スルホニル基(−SOR)、スルホキシド基(SOR)、スルホンアミド基(−SONRR’)、スルホネート基(−SOR)、トリフルオロメチル基(−CF)、エステル基(CO−OR)、アミド基(−CO−NHR、−CO−NRR’)、置換または非置換された直鎖型または分枝型のC−C12のアルコキシ基、置換または非置換された直鎖型または分枝型のC−C12のアルキル基、置換または非置換された芳香族または非芳香族複素環基、置換または非置換されたC−C20のアリール基、置換または非置換されたアミン基(−NHR、−NRR’)、および−L−Mからなる群から選択されてなり
R9とR10、またはR11とR12が結合して芳香族または複素環を形成するものであり、
前記Lはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアルキレン基;アミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアリーレン基;またはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換された5−7原子の複素環基であり、
Mはアルコール基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(−POH)、アミン基(−NHR、−NRR’)、置換または非置換されたポリオレフィン、置換または非置換されたポリビニール、置換または非置換されたポリアクリレート、置換または非置換されたポリチオフェン、置換または非置換されたポリピロール、および置換または非置換されたポリアニリンからなる群から選択されるものであり、
前記RおよびR’は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたC−C60のアルキル基、置換または非置換されたC−C60のアリール基、または置換または非置換された5−7原子の複素環基である。]
【請求項13】
前記化学式1の化合物は下記化学式2−1〜2−41の化合物のうちから選択される、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【化3】






[前記化学式において、
xは2〜10000000であり、
R19およびR20は各々独立して置換または非置換されたC−C60のアルキルまたは置換または非置換されたC−C60のアリールである。]
【請求項14】
前記化学式1の化合物を含む有機物層は、その厚さが単分子層厚さ〜100nmである、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記ソース電極およびドレーン電極が、アルミニウム、銀、金、ネオジム、パラジウム、白金およびこれらの合金のうちから選択される材料からなる、請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項16】
ゲート電極、絶縁層、ソース電極、ドレーン電極、および半導体層をはじめとする1層以上の有機物層を形成するステップを含む有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記有機物層のうちの1層以上を下記化学式1で表示される化合物を含むように形成することを特徴とする、有機薄膜トランジスタの製造方法。
【化4】

[前記化学式1において、
mおよびnは各々1または2であり、
lは0または1であり、
X1およびX2は各々独立してCHまたはNであり、
Y1およびY2は各々独立してn=1である時にNR0で、n=2である時にNであり、ここでR0は水素、置換または非置換されたアルキル基、および置換または非置換されたアリール基からなる群から選択され、
R1〜R8は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたアルキル基、置換または非置換されたアルコキシ基、置換または非置換されたアルケニル基、置換または非置換されたアリール基、置換または非置換されたアリールアミン基、置換または非置換された複素環基、置換または非置換されたシラン基、置換または非置換されたホウ素基、置換または非置換された脂肪族環基、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、ハロゲン基、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エステル基(−COOR)、スルホニル基(−SOR)、スルホキシド基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONRR’)、スルホネート基(−SOR)、トリフルオロメチル基(−CF)、アミン基(−NHR、−NRR’)、および−L−Mからなる群から選択され、これらは互いに隣接する基と芳香族、脂肪族またはヘテロの縮合環を形成することができ、
前記Lはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアルキレン基;アミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換されたC−C60のアリーレン基;またはアミン基(−NHR、−NRR’)、アミド基(−NHCOR、−CONHR、−CONRR’)、エーテル基(−COR)およびエステル基(−COOR)からなる群から選択された1つ以上の基で置換または非置換された5−7原子の複素環基であり、
Mはアルコール基(−OH)、チオール基(−SH)、リン酸基(−POH)、アミン基(−NHR、−NRR’)、置換または非置換されたポリオレフィン、置換または非置換されたポリビニール、置換または非置換されたポリアクリレート、置換または非置換されたポリチオフェン、置換または非置換されたポリピロール、および置換または非置換されたポリアニリンからなる群から選択されるものであり、
前記RおよびR’は互いに同一または相異し、各々独立して水素、置換または非置換されたC−C60のアルキル基、置換または非置換されたC−C60のアリール基、または置換または非置換された5−7原子の複素環基である。]
【請求項17】
前記化学式1の化合物を含む有機物層が半導体層である、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
前記化学式1の化合物を含む有機物層が、半導体層と別個の有機物層であって、半導体層と、ソース電極およびドレーン電極のうち少なくとも1つとの間に配置された有機物層である、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項19】
前記化学式1の化合物を用いて形成した有機物層を、ソース電極、ドレーン電極またはソース電極とドレーン電極全てに接するように配置されるように形成する、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項20】
基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層と前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項21】
基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層と前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項22】
基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項23】
基板上にゲート電極を形成するステップと、前記ゲート電極と基板上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記絶縁層と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に半導体層を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項24】
基板上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記基板と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層にゲート電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項25】
基板上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記基板と前記ソース電極およびドレーン電極上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層にゲート電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項26】
基板に前記化学式1の化合物を含む半導体層を形成するステップと、前記半導体層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記半導体層と前記ソース電極およびドレーン電極上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項27】
基板に半導体層を形成するステップと、前記半導体層上に前記化学式1の化合物を含む有機物層を形成するステップと、前記有機物層上にソース電極およびドレーン電極を形成するステップと、前記有機物層と前記ソース電極およびドレーン電極上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップとを含む、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項28】
前記化学式1の化合物を用いて形成する有機物層の厚さを単分子層厚さ〜100nmで形成する、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項29】
前記化学式1の化合物を用いて形成する有機物層を、真空蒸着、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング 、マイクロコンタクトプリンティング、スピンコーティング、ディップコーティングおよびSAM(Self−assembled Monolayer)のうちから選択する方法によって形成する、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項30】
前記ソース電極およびドレーン電極を、アルミニウム、銀、金、ネオジム、パラジウム、白金および前記金属の合金からなる群から選択される材料で形成する、請求項16に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項31】
請求項1の有機薄膜トランジスタを含む、電子装置。
【請求項32】
電子ペーパー、スマートカードおよびディスプレイ装置のうちから選択される、請求項31に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2008−527754(P2008−527754A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552073(P2007−552073)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002504
【国際公開番号】WO2007/004803
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】