説明

有機製品の回収・焼却処分システム

【課題】地球温暖化ガスの排出量を削減することを目的とし、特に一般家庭からのゴミを処分する際のCO2排出量を削減させる有機製品の回収・焼却処分システムを提供する。
【解決手段】バイオマス由来成分を含む有機製品50の回収・焼却処分システム10において、前記バイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、この排出削減量を前記有機製品50の製品IDに関連付けて登録する登録手段11と、前記有機製品50に添付されている前記製品IDを読み取って前記排出削減量を排出権として独立に流通させる読取端末22と、を備え、前記排出権は、前記有機製品50を回収して焼却する焼却場IDに関連付けて前記登録手段11に登録されることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済の製品を焼却処分すると大気中に放出される地球温暖化ガスを削減することを目的とし、特に、バイオマス由来成分の配合量の高い製品の利用を促進するための有機製品の回収・焼却処分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化の原因になる温室効果ガス(二酸化炭素やメタン等)の大気中への排出量を削減することを目的とし、批准国に具体的な削減量を義務付けた国際的な枠組みである京都議定書が2005年2月16日に発効された。
この京都議定書においては、温室効果ガスの削減目標を達成するために、国家間での排出量取引を認めている。
これに倣って国内においても、事業者が、自らの温室効果ガスの排出量を算定・報告し、これに基づき国から排出枠の付与を受け、排出量を削減して余った排出枠を商品(排出権)として事業者間で売買することを可能にする、国内排出量取引制度の整備が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方で、バイオマス(生物資源)を工業的に有効利用し、石油由来物質の使用を削減させる取り組みも盛んである(例えば、非特許文献2参照)。ここで、バイオマスとは、太陽エネルギーを利用して大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により成長する動物や植物のうち再生可能な有機性資源を指す。このためバイオマスからなる工業製品は、焼却処分して大気中に二酸化炭素を放出してもCO2濃度増加に寄与しないため、カーボンニュートラル(カーボンフリー、カーボンオフセット)であるといわれている。
【0004】
また、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売店で商品を購入した場合、この商品の持ち帰り用に、ポリエチレンシートから作成され使い捨ての買物袋(通称;レジ袋)が、小売店から無料で配布されることが一般化している。
そして、このレジ袋は、耐水性、耐薬品性、機械的強度に優れるために、使用後は、家庭から排出したゴミの収集袋として再利用されるケースが多い。
一方、環境保護の観点から、マイバック運動を促進したりレジ袋を有料化したりして、この使い捨てのポリエチレン製のレジ袋の使用を差し控えようとする運動が高揚している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】環境省ホームページ「『自主参加型国内排出量取引制度』について」
【非特許文献2】農林水産省ホームページ「『バイオマス・ニッポン総合戦略』について」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、整備が進められている国内排出量取引制度は、主に産業部門を対象とするものであって、その他の特に家庭部門における削減目標の達成には懐疑的である。この家庭部門における削減目標については、地方自治体や地域レベルでの取り組みがなされているが、目標を達成するのにかかる負担が、商品の生産、販売、消費、処分の流通ルートの特定部分に集中する施策が多いために成果があがっていない。
また石油由来製品からバイオマス由来製品への代替は、コストアップ要因に阻まれて進捗が遅れているのが実情である。さらに、バイオマス由来成分の配合比率の高い製品を使用(又は製造)する直接的なユーザメリットが希薄であるために、バイオマス由来の新製品を開発する積極性に欠ける問題がある。
またレジ袋の使用削減についても、利便性を求める消費者の意向に逆行する強制力を伴うために進捗が困難であるのが実情である。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、バイオマス由来製品の開発及び利用の積極性を喚起し、環境に放出される温暖化ガスを削減する有機製品の回収・焼却処分システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、バイオマス由来成分を含む有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、前記バイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、この排出削減量を前記有機製品の製品IDに関連付けて登録する登録手段と、前記有機製品に添付されている前記製品IDを読み取って前記排出削減量を排出権として独立に流通させる読取端末と、を備え、前記排出権は、前記有機製品を回収して焼却する焼却場IDに関連付けて前記登録手段に登録されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、バイオマス由来製品の開発及び利用の積極性を喚起し、大気中に放出される二酸化炭素を削減し、地球温暖化を防止することができる。また商品の生産、販売、消費、処分の特定部署にコストの負担を集中させることなく、また強制力を発揮させることなく、一般家庭のゴミ処分に伴う二酸化炭素の排出を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る有機製品の回収・焼却処分システムの第1実施形態を示す全体構成図。
【図2】第1実施形態において利用される有機製品(レジ袋、ゴミ収集袋)の実施例を示す正面図。
【図3】本発明に係る有機製品の回収・焼却処分システムのユーザの本人確認を行うユーザIDを埋め込んで発行されるポイントカードの実施例を示す正面図。
【図4】(a)は第1実施形態において使用することが公認され、通信ネットワーク上の登録手段に登録されているレジ袋の情報リストの図、(b)は第1実施形態において登録されているユーザの個人情報とその登録ポイントを示すユーザリストの図。
【図5】第1実施形態に係る有機製品の回収・焼却処分システムの手続きを示すタイムチャートの図。
【図6】本発明に係る有機製品の回収・焼却処分システムの第2実施形態を示す全体構成図。
【図7】(a)は本発明の第2実施形態において利用される有機製品(収納ケース)の実施例を示す斜視図、(b)は第2実施形態において適用される製品IDのタグの正面図、(c)は第2実施形態において登録されている有機製品の情報リストの図。
【図8】第2実施形態に係る有機製品の回収・焼却処分システムの手続きを示すタイムチャートの図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1から図5を参照して第1実施形態に係る有機製品の回収・焼却処分システム10A(以下、単にシステム10Aと記載する)について説明する。
図1に示されるように第1実施形態に係るシステム10Aは、通信ネットワークNに接続される登録手段11を管理する認証機関Rと、有機製品50を製造するメーカMと、この有機製品50をユーザ30に提供する店舗20と、このユーザ30が使用して廃棄した有機製品50を回収し焼却処分する焼却場40と、の連携により実現される。
【0012】
焼却場40(40a,40b,40c)は、それぞれが管轄する区域A,B,Cにおける地域住民のユーザ30(30a,30b,30c)が排出する可燃ごみを焼却処分するものである。
店舗20(20a,20b,20c)は、各区域A,B,C毎に分類され、図面では各一つ記載されているが数に限定はなく、またそれらの間に業種や経営上の関連性は不必要である。
また、ある店舗20(例えば店舗20a)で販売(配布)された有機製品50は、その区域内(区域A)のユーザ30(30a)に購入され、その区域を管轄する焼却場40(40a)で処分されるものとする。
そのような有機製品50は、全ての商品が対象となるわけでないが、例えば購入する商品を清算するときに配布されるレジ袋又はゴミ収集袋等が挙げられる(図2参照)。
【0013】
店舗20(20a,20b,20c)は、来店した者に取扱商品を販売する店舗であって、購入商品の清算処理を行う複数の通信装置21(レジスタ)が配置されている。そして、これら通信装置21は、店舗20に設けられているルータ(図示略)を介して通信ネットワークNに接続し、登録手段11と各種情報(データ)の交換を行うことができる。なお通信ネットワークNは、専用回線を利用するものでも、インターネットを利用するものであってもよい。
【0014】
通信装置21は、付属する読取端末22によって、ポイントカード31(図3)のユーザID32を読み取ってユーザ30の識別を行うとともに、商品の清算処理を実行することができる。
さらに、通信装置21は、ユーザ30が購入する商品の持ち帰り用に配布されるレジ袋50(図2;有機製品50)の製品ID51を読取端末22で読み取って、そのコードデータを登録手段11に送信することができる。つまり、種類や大きさや製造メーカ等の属性が多種多様であるレジ袋50のうち、どの属性(適宜図4(a)参照)のものが配布されたか、さらにどれだけの枚数をユーザ30に配布したかについての情報を認証機関Rに伝達する。
【0015】
そして、登録手段11では、製品ID51に対応する排出削減量を当該レジ袋50を回収して焼却する焼却場40(焼却場ID)に関連付けて登録する。この焼却場IDに関連付けて登録された排出削減量は、その後、排出権として移転・取引が自由なものとなる。 このように読取端末22は、有機製品50に添付されている製品ID51を読み取ってレジ袋50を焼却させた場合の排出削減量を排出権として独立に流通させるものである。
【0016】
図2に示されるように、レジ袋50(有機製品50)には、読取端末22で読み取られる印刷コード51(製品ID51)が印刷されている。
この製品ID51は、図示されるバーコードに限定されるものではなく、2次元コード(例えばQRコード)であってもよく、また有機製品50がレジ袋(又はゴミ収集袋)に限定されないことから無線チップ(例えば、RFID)、磁気検出コードにより記録されるものであってもよい。
【0017】
この印刷コード51(製品ID)を読み取ることにより、ユーザ30に配布されたレジ袋50の属性を把握することができ(図4(a)参照)、このレジ袋50に付随する排出権を分離して独立に流通させることができる。
つまり、有機製品50が焼却されてCO2を排出しても、前記したカーボンオフセットの考え方により、バイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生するCO2排出量を削減したことになる。またこのCO2の排出削減量は、レジ袋50が焼却されたとしても消尽せず独立に流通させることができる排出権とみなすことができる。
【0018】
このレジ袋50は、合成樹脂にバイオマス由来成分を配合して成形した複合樹脂フィルムを袋状に貼り合せて構成されるものであって、店舗20から商品を収納して持ち帰った後は、ゴミ収集袋として再利用することができる。
このために、レジ袋50には、マーク52が必要に応じて印刷され、ゴミ回収事業者における指定ゴミ収集袋であることが視認できるようになっている。
【0019】
図4(a)は認証機関Rにおいて公認され、登録手段11に登録されているレジ袋50の情報リストである。
このレジ袋50に配合されるバイオマス由来成分としては、米に由来したデンプンであることが望ましく、食用に適さなくなった古米又は汚染米を使用することが発明の趣旨から相応しい。さらに、合成樹脂とデンプンとは、親和性が低いためにカルボン酸系の相溶化剤(界面活性剤)を配合することが望ましい。また、合成樹脂としては、ポリオレフィン系の樹脂が好適で、なかでも高密度ポリエチレンが望ましい。
【0020】
そのような複合樹脂フィルムの製造方法は、例えば、次の通りである。まず、含水させた生米をポリエチレンのペレットとともに100〜200℃の設定温度で押出機により加熱混練する。すると、ポリエチレンは融解し、生米が糊状デンプンになる。そして、前記した相溶化剤の作用も加わって、分子レベルで微細に混ざり合って均質なデンプン−ポリエチレン複合樹脂が製造される。このデンプン−ポリエチレン複合樹脂を延伸加工してフィルムに成形すると、100%ポリエチレンのフィルムと対比して遜色のない機械的性質が得られる。
この複合樹脂に配合されるバイオマス由来成分(デンプン)は、その比率が高いほど排出権ポイントが高く設定されるので好ましいが、レジ袋50として所望される諸性質も勘案して総重量に対し20〜80重量%の範囲に含まれることが求められる。
【0021】
登録手段11(図1)は、認証機関Rに配置されるルータ(図示略)を介して通信ネットワークNに接続し、有機製品50の情報リスト(図4(a))を登録するものである。 つまり、登録手段11は、レジ袋50(有機製品50)に含まれるバイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、この排出削減量をレジ袋50の印刷コード51(製品ID51)に関連付けて登録している。
【0022】
さらに登録手段11は、本システム10Aを利用する店舗20の店舗ID(図示略)及びこの店舗20が配布したレジ袋50を回収して焼却する焼却場40の焼却場ID(図示略)も登録している。
そして登録手段11は、店舗20において読取端末22でレジ袋50を処理すると、対応する店舗IDと製品ID51を通信ネットワークN経由で取得し、該当するレジ袋50における排出削減量を焼却場IDに関連付けて登録する。
なお、配布されたレジ袋50から発生した排出権の帰属先である焼却場40(40a,40b,40c)は、店舗ID又は製品IDのいずれかに予め関連付けされている。
ただし、帰属先の焼却場40を製品ID51に関連付ける場合、店舗20(20a,20b,20c)は、それぞれの区域A,B,Cを識別できる印刷コード51が印刷されたレジ袋50をメーカMから調達する必要がある。
【0023】
図3に示されるポイントカード31は、店舗20における商品の清算処理の際、通信装置21(レジスタ)の操作者に提示してユーザID32を読み取ることによって、ユーザ30(30a,30b,30c)の個人認証をするものである。
レジ袋50がユーザ30に配布されるのに伴って、このレジ袋50に付随するCO2排出権は、第一義的には、このレジ袋50が焼却される焼却場40に移転することになり、ゴミ処理費用に充てられる。
また、第二義的には、排出権の利益の一部をユーザ30に還元して、バイオマス由来成分が含有する製品利用の促進を図る。このために、ポイントカード31のユーザID32に関連付けて、受け取ったレジ袋50のCO2排出削減量に対応するポイントを、ユーザ30が取得できることにする。
【0024】
ポイントカード31は、ユーザ30本人が、それぞれの店舗20(20a,20b,20c)に申請することにより発行を受けることができ、本発明が対象とするCO2排出権ポイントを扱うだけでなく、店舗20における通常のお買物ポイントカードと併用するものであってもよい。
【0025】
図4(b)はユーザ30の個人情報と取得したポイントとを示すユーザリストである。 なお、このユーザリストの登録は、本システム10に参加している全店舗20で展開できるように登録手段11で管理するようにしてもよいが、それぞれの店舗20における独自の営業展開として、情報ネットワークNに接続される別個のサーバ(図示略)で管理されるものとしてもよい。
【0026】
このように、ユーザ30がレジ袋50の配布を受ける度に、そのユーザID32に関連付けられた通常ポイントYが、電子的に保存・登録される。
一方で、ユーザは、レジ袋50の配布を保留することもできる。この場合、留保期間中は、レジ袋50に含まれるバイオマス由来成分だけでなく石油由来成分における排出権ポイントも入手できる。そして、通信装置21がレジ袋50の配布は保留された旨の配布情報を取得すると、図4(b)に示されるようにボーナスポイントXが、ユーザのユーザID32に関連付けられて登録手段11に電子的に保存・登録される。
【0027】
そしてこのボーナスポイントXは、まとめて清算することによって、容量の大きなゴミ収集袋(レジ袋50)の配布を受けることができることとする。そして、このボーナスポイントX及び通常ポイントYの総計が、該当するユーザID32の利用可能な累積ポイントになる。
またユーザ30が店舗20において商品を購入する際に、この累積ポイントを還元する清算処理を通信装置21で実行できるようにする。つまり、現金支払いに代えて登録ポイントで決済できるようにする。
【0028】
さらに、有機製品50の情報リスト(図4(a))及び、ユーザリスト(図4(b))を、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯ゲーム機等の通信ネットワークNに接続可能なブラウザ(図示略)で閲覧可能とする。これによれば、ユーザ30は、自分が所持するCO2排出権の保有量を確認することができ、環境保全に貢献していることを実感できるとともに、システム10の利用に対するインセンティブが更に働く。
【0029】
図5に示すタイムチャートを参照して、システム10Aの手続きについて説明する。ここで、システム10を運用する認証機関Rは、行政が運営する場合が一般的であるが、民間がその一部又は全部を運営する場合も考えられる。
まず、認証機関Rは、可燃ゴミを焼却処分する焼却場40(40a,40b,40c)の焼却場IDを発行し(S11)、これらが管轄する区域A,B,Cを認定する(S12)。
【0030】
一方でメーカMは、バイオマス由来成分を含む有機製品50の開発・製造を行うとともに(S13)、本システム10Aに採用されるべく認証機関Rに対して登録申請する(S14)。登録申請を受けた認証機関Rは、提出された情報リスト(図4(a))に示される属性情報や、所望される特性(引張強度、引裂強度、風合い等)の内容に問題がないか審査したうえで、当該有機製品50に対応する製品IDを発行し(S15)、登録手段11に少なくとも排出削減量を登録する(S16)。
ここで、レジ袋50におけるバイオマスの配合割合と所望される一般的諸性質とはトレードオフの関係にある場合が多いところ、バイオマスの配合割合が高い程、排出削減量が多くなるので、認証機関Rはそのようなレジ袋50を積極的に採用すると考えられる。このためメーカMにとって、バイオマス配合率が高く品質に優れたレジ袋50の開発にインセンティブが働き、新たな産業の創出が期待される。
【0031】
一方で店舗20は、認証機関Rに対して本システム10Aの入会の申請を行い(S17)、店舗IDの発行を受ける(S18)。そして、店舗20は、このレジ袋50を、認証機関R又はメーカMから調達する(S19)。
また一方でユーザ30は、店舗20に対してポイントカード31の申請を行い(S20)、その発行を受ける(S21)。
そして、店舗20においてユーザ30が買物をするときは(S22)、商品を通信装置21(レジスタ)に持参して、商品の決済及びレジ袋50の配布を受ける(S23)。
このとき通信装置21の操作者は、読取端末22で読み取ったレジ袋50の製品IDを、その配布枚数の情報とともに通信ネットワークNを経由して登録手段11に送る(S24)。これにより、認証機関Rは、店舗IDと製品IDとを同時に受信して(S25)、情報リスト(図4(a))から参照される排出削減量を検出し(S26)、対応する焼却場IDに関連付ける(S27)。
【0032】
なお、レジ袋50は、そのほとんどが配布された区域A,B,Cのそれぞれにおいて、使用(S32)、廃棄(S33)、回収(34)、焼却処分(S35)されるとともに、この(S32)から(S35)に至るまでの期間は、極めて短期間である。
このために、店舗20において配布(決済)された時点(S23)をもって、当該有機製品50が焼却されて付随するCO2排出権のみが、対応する焼却場40に残留したとみなしても、この排出権の発生に関する時期的、定量的な誤差は無視できるといえる。
【0033】
あとユーザ30は、通信装置21(レジスタ)にて商品の決済をする際に、同時にポイントカード31を提示すれば(S28)、そのユーザID32が読取端末22で読み取られ(S29)、排出削減量に見合うポイント(図4(a))がこのユーザID32に関連付けされることになる(S30,S31)。
もしくは、ユーザ30は、このレジ袋50の配布を保留して(S23、S24;スキップ)、さらにボーナスポイントXを加算して、ポイントをためることができる。これにより、店舗20にマイバッグを持ち込み購入した商品を持ち帰ることにインセンティブが働く。
【0034】
そして、ユーザは、次回の商品の購入において、蓄積したポイントの全部又は一部をポイント還元して清算処理することができ、さらには、容量の大きなレジ袋50に引き換えてゴミ収集袋50として利用することができる。これにより、ゴミ収集袋50として利用価値の少ない小容量のレジ袋50の利用を削減して地球環境の保全に貢献することができる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、図6から図8を参照して第2実施形態に係る有機製品の回収・焼却処分システム10B(以下、単にシステム10Bと記載する)について説明する。
なお、図6に記載されている機能部のうち、図1に記載されているものと共通するものについては、同一の符号を付し前記した説明を引用して記載を省略する。
第2実施形態においては、有機製品50として収納ケース50d(図7(a))を取り扱い、さらにこれに添付される製品ID51はRFID51d(図7(b))であるとする。
【0036】
この収納ケース50d(有機製品50)は、図7(c)の情報リストに示されるように、所定の配合量からなるポリプロピレン及び木質繊維の材質から構成され、この属性情報に関連付けられた固有の製品ID(PPP-aaa-1)が記録されたRFID51dが貼付されている。
ここでRFID(Radio Frequency Identification)とは、電波による個体識別をすることができるものである。
【0037】
この収納ケース50dに配合されるバイオマス由来成分としては、具体的に、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマス(木材工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ・籾ガラ等)、アミロース又はアミロペクチンを主成分とするデンプン質系バイオマス(米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、タピオカ等)、甲殻類動物に由来するキチン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ等)が挙げられる。
【0038】
ここでRFID51dは、有機製品50の個体を識別するために一つ一つ別々の識別IDが付与されたものが添付されている。そしてこのRFID51dは、メーカMが、認証機関Rに申請して交付され、有機製品50の表面に貼付され、当該収納ケース50dと、登録されている排出削減量とを関連付ける。
【0039】
さらに本システム10Bにおいては、情報ネットワークNに接続する通信装置21、及び製品ID51を読み取る読取端末22が、焼却場40の側に設けられている。これにより、有機製品50に付随する排出権は、焼却処理されるのと同時に焼却場40に移転することとなり、排出権の発生に関する時期的な誤差が全くなくなる。
また、RFID51dによれば、大量の有機製品50の製品ID51をそれぞれ個別に読み取る必要がなく、一連の処理で複数の製品ID51を読取端末22で効率的に検出することができる。
【0040】
登録手段11には、RFID51dの申請時に提出された製品リスト(図7(c))に示される有機製品50の情報リストが登録されている。
この情報リストの「CO2排出削減量」の項目は、PPP-aaa-1の製品IDについては、収納ケース50dに含まれる木質繊維(バイオマス由来成分)の相当量に換算したポリプロピレン(石油由来成分)が燃焼して発生する二酸化炭素排出量(g)が入力される。この入力値は、収納ケース50dに配合されているポリプロピレン及び木質繊維の配合量a,bから決まるが、メーカの公表値を入力したり、実験から求められる一般式等により自動入力したりしてもよい。
さらに製品リストには、排出削減量として有機製品50dに付随する排出権がすでに移転しているか否かの情報が加えられている。これにより、一つの有機製品50dから重複して排出権が発生することが防止され、排出削減量の定量的な誤差が全くなくなる。
【0041】
なお、図6において、記載が省略されているが、店舗20に読取端末22を配置して、ユーザ30のユーザIDにポイントを発生させたり、図示略のブラウザでユーザ30が情報リスト(図7(c))を閲覧したりもすることができる。
【0042】
図8に示すタイムチャートを参照して、システム10Bの手続きについて説明する。
ここで、図8のステップS51からS57については、図5のステップS11からS17と同一のものなので、すでにした説明を援用して記載を省略する。
ユーザ30は、店舗20において収納ケース50d(有機製品50)の買物をして(S58)、その清算(決済)を済ませる(S59)。そして、この収納ケース50dを使用して(S60)、不要になればこれを廃棄する(S61)。
【0043】
この廃棄された収納ケース50dは、焼却場40に回収され(S62)、製品ID51が読取端末22で検出された後、焼却処分される(S63,S66)。これにより、認証機関Rは、焼却場IDと製品IDとを同時に受信して(S64)、情報リスト(図7(c))から参照される排出削減量を検出する(S65)。そして、対応する製品ID51における排出権の項目を「有」から「無」に変更し、この排出権を受信した焼却場IDに関連付ける(S67)。
【0044】
以上より、本システムを採用することにより、地球環境保全にかかるコストを、特定部分に負担を集中させることなく、商品の生産、販売、消費、処分にかかわる全ての部署に均等に負担させる制度設計が可能になる。
【0045】
本発明に係る有機製品の回収・焼却処分システムは、前記した実施形態に限定されることはない。つまり、有機製品に含まれるバイオマス由来成分に対応する二酸化炭素の排出削減量が排出権としてこの有機製品に付随されており、この有機製品をユーザが廃棄して焼却場で処分されると排出権が流通可能となって焼却場に移転するのであれば該当する。 例えば、有機製品が自治体指定のゴミ収集袋であるとして、含まれるバイオマス由来成分による排出削減量に関連付けした製品IDがこのゴミ収集袋に表示され、スーパーマーケット等の店舗で配布されるレジ袋にこのゴミ収集袋が採用されることで、このゴミ収集袋(レジ袋)に付随する排出権が焼却処分時に地元の焼却場に移転して利用される場合も含まれる。
また、実施形態においてゴミ収集袋は、店舗に置かれ、レジ袋と兼用又はレジ袋の配布を保留する代わりに提供されるものとして説明したが、可燃ゴミを収容するためのものとして販売により単独で提供される場合も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10(10A,10B)…有機製品の回収・焼却処分システム(システム)、11…登録手段、20(20a,20b,20c)…店舗、21…通信装置、22…読取端末、30(30a,30b,30c)…ユーザ、31…ポイントカード、32…ユーザID、40(40a,40b,40c)…焼却場、50(50a,50b,50c)…有機製品(レジ袋)、50(50d)…有機製品(収納ケース)、51…製品ID(印刷コード)、51d…製品ID(RFID)、52(52d)…マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス由来成分を含む有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記バイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、この排出削減量を前記有機製品の製品IDに関連付けて登録する登録手段と、
前記有機製品に添付されている前記製品IDを読み取って前記排出削減量を排出権として独立に流通させる読取端末と、を備え、
前記排出権は、前記有機製品を回収して焼却する焼却場の焼却場IDに関連付けて前記登録手段に登録されることを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項2】
請求項1に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記有機製品は、可燃ゴミを収容するゴミ収集袋であり、
前記読取端末は、前記ゴミ収集袋が提供される店舗に設置されるものであることを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記有機製品は、ユーザが購入した商品の持ち帰り用に配布される買物袋であり、
前記読取端末は、前記買物袋が配布される店舗に設置されるものであることを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記読取端末は、前記ユーザが前記店舗において清算処理を実行する際に、このユーザのユーザIDを前記製品IDと共に読み取り、
前記登録手段は、前記製品IDに関連付けられた前記排出削減量が換算されたポイントを前記ユーザIDに関連付けて登録することを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項5】
請求項4に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記登録手段は、前記ユーザIDに関連付けて登録されている前記ポイントを還元して前記ゴミ収集袋を配布することを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項6】
請求項5に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記登録手段は、前記買物袋の配布が保留された場合、ボーナスポイントを加算して前記ユーザIDに関連付けて登録することを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。
【請求項7】
請求項1に記載の有機製品の回収・焼却処分システムにおいて、
前記製品IDは、前記有機製品を個体毎に識別するものであり、
前記読取端末は、前記焼却場に設置されるものであることを特徴とする有機製品の回収・焼却処分システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−197704(P2011−197704A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187060(P2009−187060)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【特許番号】特許第4409627号(P4409627)
【特許公報発行日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(504004647)アグリフューチャー・じょうえつ株式会社 (24)