説明

有機金属化合物の製造方法

【課題】低温を用いることなく、効率的に有機金属化合物、特にジアルキルメタロセン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】T−字型マイクロミキサーM1とマイクロチューブリアクターR1から構成されるマイクロリアクター中でシリンジポンプS1から送液されるテトラハロ金属化合物とシリンジポンプS2から送液されるアルキルリチウム化合物とを反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させ、次いで、該テトラアルキル金属化合物をT−字型マイクロミキサーM2とマイクロチューブリアクターR2から構成されるマイクロリアクター中でシリンジポンプS3より送液される活性プロトンを有する化合物と反応させる有機金属化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物、特にメタロセン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機金属化合物、特にメタロセン化合物は、オレフィンの重合触媒成分として広く用いられている。従来知られているメタロセン化合物において、中心金属原子の配位子には、通常、シクロペンタジエニル基等のパイ結合した配位子と塩素原子等のシグマ結合した配位子であるハロゲン原子が用いられている。また、当該ハロゲン原子の代わりにアルキル基、特にメチル基を有するジメチルメタロセン化合物が開発されており、オレフィン重合触媒成分として用いられている。
ここでジメチルメタロセン化合物の製造方法としては、シクロペンタジエニルリガンド金属塩を遷移金属化合物と反応させ、得られたメタロセンジハライドをアルキル化剤と反応させる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
また、ジメチルメタロセン化合物を製造する別の方法としては、メチルリチウムとインデンを反応させて、リチオインデンとメチルリチウムの混合物を得、当該混合物を四塩化ジルコニウムと反応させることにより、ビスインデニルジルコニウムジメチルを製造する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO96/19488号公報
【特許文献2】特表2001−516367号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ジメチルメタロセン化合物の収率が24%と低いにも関わらず、2段階の反応工程が必要である上、中間体であるメタロセンジハライドを単離精製しなければならず、工程が煩雑で効率が悪いという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法は、収率は80%程度と良好であるものの、−70〜−80℃の低温が必要である上にバッチ反応であるため、反応効率が低いという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温を用いることなく、効率的に有機金属化合物、特にジアルキルメタロセン化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、マイクロリアクターを用いて反応を行うことにより前記問題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の方法は、マイクロリアクター中でテトラハロ金属化合物をアルキルリチウム化合物と反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させ(以下、第1反応という)、次いで該テトラアルキル金属化合物をマイクロリアクター中で活性プロトンを有する化合物と反応させる(以下、第2反応という)ことを特徴とする有機金属化合物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低温を用いることなく、効率的に有機金属化合物、特にジアルキルメタロセン化合物を製造することができるため、工業的利用価値が高い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法は、マイクロリアクター中でテトラハロ金属化合物をアルキルリチウム化合物と反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させ、次いで該テトラアルキル金属化合物をマイクロリアクター中で活性プロトンを有する化合物と反応させて有機金属化合物を生成させることを特徴とする。
【0010】
本発明で使用されるマイクロリアクターとは、化学反応を行うために使用されるマイクロ空間を反応場とする反応装置であり、当該装置はマイクロミキサーとマイクロチューブから構成される。ここで、マイクロミキサーとは、2以上の流入路及び1以上の流出路並びに該2以上の流入路が合流する空間を有するものであって、合流空間に繋がる流入路の口径が0.01〜1000マイクロメーター程度であるものをいう。本発明で使用されるマイクロミキサーの形状等については特に制限はなく、T字型ミキサーやY字型ミキサー等の公知のものを使用できる。また、マイクロチューブは、通常、直径10〜1000マイクロメーターのものが用いられる。
【0011】
はじめに、第1反応について説明する。第1反応は、マイクロリアクター中でテトラハロ金属化合物をアルキルリチウム化合物と反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させる工程からなる。
【0012】
第1反応で用いられるテトラハロ金属化合物としては、式(1):
MX (1)
(式中、Mはジルコニウム、チタン又はハフニウムを示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表されるテトラハロ金属化合物が挙げられる。
【0013】
式(1)中、Mはジルコニウム、チタン又はハフニウムを示し、ジルコニウムが好ましい。Xはハロゲン原子を示し、具体的には塩素原子、臭素原子及び沃素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0014】
テトラハロ金属化合物として、具体的には四塩化ジルコニウム、四塩化チタン、四塩化ハフニウム等が挙げられる。
【0015】
アルキルリチウム化合物としては、例えば、式(2):
LiR (2)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
で表されるアルキルリチウム化合物が挙げられる。
【0016】
式(2)中、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
【0017】
アルキルリチウム化合物としては、具体的には、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、ブチルリチウム、イソブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等が挙げられ、メチルリチウムが好ましい。
【0018】
マイクロリアクター中でテトラハロ金属化合物をアルキルリチウム化合物と反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させる際の溶媒としては、通常、エーテル系溶媒が用いられる。用いられるエーテル系溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。エーテル系溶媒としては、具体的にはTHF,ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられ、THFが好ましい。
【0019】
テトラハロ金属化合物とアルキルリチウム化合物の混合は、前記マイクロミキサーを用いる。当該マイクロミキサーを用いることにより、混合効率が向上して反応の進行が速くなるため好ましい。
【0020】
テトラハロ金属化合物とアルキルリチウム化合物の使用比率は、特に制限されず、所望のテトラアルキル金属化合物が得られる量のアルキルリチウム化合物を使用すればよい。具体的には、通常、テトラハロ金属化合物1モルに対して4〜8モル、好ましくは4〜6モルである。
【0021】
第1反応では、テトラハロ金属化合物とアルキルリチウム化合物をマイクロリアクター内で反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させる。反応温度は特に制限されないが、通常、−10〜100℃程度、好ましくは0〜50℃程度、より好ましくは0〜35℃である。反応系を加熱又は冷却する場合には、例えば、マイクロリアクターを所定の温度に設定した熱媒に浸す方法を採用することができる。
【0022】
また、テトラハロ金属化合物とアルキルリチウム化合物をマイクロリアクターに供給する際の送液方法についても特に限定されず、公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、液体クロマトグラフィー用の送液ポンプ、シリンジポンプ等、一定の流量で送液できるものを用いればよい。
【0023】
テトラハロ金属化合物とアルキルリチウム化合物の混合物をマイクロリアクターに供給する際の送液速度については特に制限されないが、具体的には例えば、内径が1000マイクロメーター、長さ200センチメーター程度のリアクターの場合には、滞留時間12.4〜94.2秒程度、好ましくは12.4〜47.1秒程度となるように流量を調整すればよい。
【0024】
このようにして得られたテトラアルキル金属化合物は、通常、そのまま第2反応に使用される。得られるテトラアルキル金属化合物としては、具体的には例えば、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラプロピルジルコニウム、テトライソプロピルジルコニウム、テトラブチルジルコニウム、テトライソブチルジルコニウム、テトラsec−ブチルジルコニウム、テトラtert−ブチルジルコニウム、テトラメチルチタニウム、テトラエチルチタニウム、テトラプロピルチタニウム、テトライソプロピルチタニウム、テトラブチルチタニウム、テトライソブチルチタニウム、テトラsec−ブチルチタニウム、テトラtert−ブチルチタニウム、テトラメチルハフニウム、テトラエチルハフニウム、テトラプロピルハフニウム、テトライソプロピルハフニウム、テトラブチルハフニウム、テトライソブチルハフニウム、テトラsec−ブチルハフニウム、テトラtert−ブチルハフニウム等が挙げられる。
【0025】
次に第2反応について説明する。第2反応は、第1反応で得られたテトラアルキル金属化合物を、マイクロリアクター中で活性プロトンを有する化合物と反応させて有機金属化合物を生成させる工程からなる。
【0026】
活性プロトンを有する化合物としては、例えば、式(3)〜式(5)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0027】
式(3):
HNR (3)
(式中、R及びRは互いに同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基を示す。)、
【0028】
式(4):
【0029】
【化1】

(式中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はエステル基を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。)、
【0030】
式(5):
【0031】
【化2】

(式中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はエステル基を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。Bは炭素原子または珪素原子を有する架橋基を示す。)
【0032】
式(3)中、R及びRは、互いに同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基を示し、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
【0033】
式(3)で表される活性プロトンを有する化合物として、具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジtert−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン等が挙げられる。
【0034】
式(4)中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、エステル基又はハロゲン原子を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、具体的にはフェニル基、4−メチルフェニル基等が挙げられる。エステル基としては、具体的にはメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、tert−ブチルエステルなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、具体的には塩素、臭素、沃素等が挙げられる。
【0035】
式(4)で表される化合物として、具体的にはシクロペンタジエン、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ及びペンタメチルシクロペンタジエン、クロロシクロペンタジエン、ブロモシクロペンタジエン、ヨードシクロペンタジエン、シクロペンタジエンカルボン酸メチル、インデン、2−メチルインデン、2−メチル−4−フェニルインデン、2−エチル−4−フェニルインデン、2−イソプロピル−4−フェニルインデン、4−クロロインデン、4−ブロモインデン、4−ヨードインデン、2−メチル−4−クロロインデン、2−メチル−4−ブロモインデン、2−メチル−4−ヨードインデン、2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル等が挙げられる。
【0036】
式(5)中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はエステル基を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。Bは炭素原子または珪素原子を有する架橋基を示す。アルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。アリール基としては、具体的にはフェニル基、4−メチルフェニル基等が挙げられる。エステル基としては、具体的にはメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、tert−ブチルエステルなどが挙げられる。ハロゲン原子としては、具体的には塩素、臭素、沃素等が挙げられる。Bとしては、具体的にはジメチルシランジイル、メチルフェニルシランジイル、ジフェニルシランジイル、メチルシクロヘキシルシランジイル、エチレン等が挙げられ、ジメチルシランジイル及びエチレンが好ましい。
【0037】
式(5)で表される活性プロトンを有する化合物として、具体的には、ジメチルシランジイルビスシクロペンタジエン、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(ジメチルシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(トリメチルシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(ペンタメチルシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(クロロシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(ブロモシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(ヨードシクロペンタジエン)、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)、ジメチルシランジイルビスインデン、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデン)、ジメチルシランジイルビス(4−クロロインデン)、ジメチルシランジイルビス(4−ブロモインデン)、ジメチルシランジイルビス(4−ヨードインデン)、ジメチルシランジイルビス(インデン−4−カルボン酸メチル)、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−クロロインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ブロモインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ヨードインデン)、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)エチレンビス(シクロペンタジエン)、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)、エチレンビス(ジメチルシクロペンタジエン)、エチレンビス(トリメチルシクロペンタジエン)、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエン)、エチレンビス(ペンタメチルシクロペンタジエン)、エチレンビス(クロロシクロペンタジエン)、エチレンビス(ブロモシクロペンタジエン)、エチレンビス(ヨードシクロペンタジエン)、エチレンビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)、エチレンビスインデニルジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデン)、エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)、エチレンビス(2−エチル−4−フェニルインデン)、エチレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデン)、エチレンビス(4−クロロインデン)、エチレンビス(4−ブロモインデン)、エチレンビス(4−ヨードインデン)、エチレンビス(インデン−4−カルボン酸メチル)、エチレンビス(2−メチル−4−クロロインデン)、エチレンビス(2−メチル−4−ブロモインデン)、エチレンビス(2−メチル−4−ヨードインデン)、エチレンビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)等が挙げられる。
【0038】
テトラアルキル金属化合物を、マイクロリアクター中で活性プロトンを有する化合物と反応させて有機金属化合物を生成させる際の溶媒としては、通常エーテル系溶媒が用いられる。用いられるエーテル系溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。エーテル系溶媒としては、具体的にはTHF,ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられ、THFが好ましい。
【0039】
テトラアルキル金属化合物と活性プロトンを有する化合物の混合は、第1反応と同様に同様の装置で行うことができる。
【0040】
テトラアルキル金属化合物と活性プロトンを有する化合物の使用比率は、特に制限されず、所望の有機金属化合物が得られる量の活性プロトンを有する化合物を使用すればよい。具体的には、テトラアルキル金属化合物1モルに対して2〜10モル、好ましくは2〜5モルである。
【0041】
第2反応では、テトラアルキル金属化合物をマイクロリアクター内で活性プロトンを有する化合物と反応させて有機金属化合物を生成させる。反応温度は特に制限されないが、通常、−10〜100℃程度、好ましくは0〜50℃程度、より好ましくは0〜35℃程度で行えばよい。反応系を加熱又は冷却する場合には、例えば、マイクロリアクター本体を所定の温度に設定した熱媒に浸す方法を採用することができる。
【0042】
また、テトラアルキル金属化合物と活性プロトンを有する化合物をマイクロリアクターに供給する際の送液方法については、第1反応と同様の方法で行うことができる。
【0043】
テトラアルキル金属化合物と活性プロトンを有する化合物の混合物をマイクロリアクターに供給する際の送液速度については特に制限されないが、具体的には例えば、内径が1000マイクロメーター、長さ200センチメーター程度のリアクターの場合には、滞留時間12.4〜94.2秒程度、好ましくは12.4〜47.1秒程度となるように流量を調整すればよい。
【0044】
このようにして得られる有機金属化合物は、使用する活性プロトンを有する化合物が式(3)〜式(5)のいずれかで表される化合物である場合、それに応じて式(6)〜式(8)のいずれかで表される。
【0045】
式(6):
M(NR (6)
(式中、M、R及びRは前記と同じ。)、
【0046】
式(7):
【0047】
【化3】

(式中、M、R、R及びRは前記と同じ。)、
【0048】
式(8):
【0049】
【化4】

(式中、M、R、B、R及びRは前記と同じ。)
【0050】
式(6)で表される化合物としては、具体的には、テトラキスジメチルアミドジルコニウム、テトラキスジエチルアミドジルコニウム、テトラキスジプロピルアミドジルコニウム、テトラキスジイソプロピルアミドジルコニウム、テトラキスジブチルアミドジルコニウム、テトラキスジイソブチルアミドジルコニウム、テトラキスジsec−ブチルアミドジルコニウム、テトラキスジtert−ブチルアミドジルコニウム、テトラキスジペンチルアミドジルコニウム、テトラキスジヘキシルアミドジルコニウム、テトラキスジヘプチルアミドジルコニウム、テトラキスジオクチルアミドジルコニウム、テトラキスエチルメチルアミドジルコニウム、テトラキスメチルプロピルアミドジルコニウム、テトラキスメチルイソプロピルアミドジルコニウム、テトラキスエチルプロピルアミドジルコニウム、テトラキスエチルイソプロピルアミドジルコニウム、テトラキスジメチルアミドチタニウム、テトラキスジエチルアミドチタニウム、テトラキスジプロピルアミドチタニウム、テトラキスジイソプロピルアミドチタニウム、テトラキスジブチルアミドチタニウム、テトラキスジイソブチルアミドチタニウム、テトラキスジsec−ブチルアミドチタニウム、テトラキスジtert−ブチルアミドチタニウム、テトラキスジペンチルアミドチタニウム、テトラキスジヘキシルアミドチタニウム、テトラキスジヘプチルアミドチタニウム、テトラキスジオクチルアミドチタニウム、テトラキスエチルメチルアミドチタニウム、テトラキスメチルプロピルアミドチタニウム、テトラキスメチルイソプロピルアミドチタニウム、テトラキスエチルプロピルアミドチタニウム、テトラキスエチルイソプロピルアミドチタニウム、テトラキスジメチルアミドハフニウム、テトラキスジエチルアミドハフニウム、テトラキスジプロピルアミドハフニウム、テトラキスジイソプロピルアミドハフニウム、テトラキスジブチルアミドハフニウム、テトラキスジイソブチルアミドハフニウム、テトラキスジsec−ブチルアミドハフニウム、テトラキスジtert−ブチルアミドハフニウム、テトラキスジペンチルアミドハフニウム、テトラキスジヘキシルアミドハフニウム、テトラキスジヘプチルアミドハフニウム、テトラキスジオクチルアミドハフニウム、テトラキスエチルメチルアミドハフニウム、テトラキスメチルプロピルアミドハフニウム、テトラキスメチルイソプロピルアミドハフニウム、テトラキスエチルプロピルアミドハフニウム、テトラキスエチルイソプロピルアミドハフニウム等が挙げられる。
【0051】
式(7)で表される化合物としては、具体的には、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビスメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビスジメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビストリメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビステトラメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ビス(クロロシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ブロモシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ヨードシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、ビスインデニルジルコニウムジメチル、ビス(2−インデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、ビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビスメチルシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビスジメチルシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビストリメチルシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビステトラメチルシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ビス(クロロシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(ブロモシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(ヨードシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)チタニウムジメチル、ビスインデニルチタニウムジメチル、ビス(2−インデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ビス(4−クロロインデニル)チタニウムジメチル、ビス(4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、ビス(4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−クロロインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、ビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)チタニウムジメチル、ビスシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビスメチルシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビスジメチルシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビストリメチルシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビステトラメチルシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビスペンタメチルシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ビス(クロロシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(ブロモシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(ヨードシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、ビスインデニルハフニウムジメチル、ビス(2−インデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、ビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、等が挙げられる。
【0052】
式(8)で表される化合物としては、具体的には、ジメチルシランジイルビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(クロロシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ブロモシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ヨードシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビスインデニルジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(インデン−4−カルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(クロロシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(ブロモシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(ヨードシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、エチレンビスインデニルジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデン−4−カルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシランジイルビスシクロペンタジエニルチタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(クロロシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ブロモシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ヨードシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビスインデニルチタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−クロロインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(インデン−4−カルボン酸メチル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−クロロインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)チタニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(クロロシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(ブロモシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(ヨードシクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)チタニウムジメチル、エチレンビスインデニルチタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(4−クロロインデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(インデン−4−カルボン酸メチル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−クロロインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)チタニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)チタニウムジメチル、ジメチルシランジイルビスシクロペンタジエニルハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(クロロシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ブロモシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(ヨードシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビスインデニルハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(インデン−4−カルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシランジイルビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(クロロシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(ブロモシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(ヨードシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(シクロペンタジエンカルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、エチレンビスインデニルハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−エチル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(インデン−4−カルボン酸メチル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−クロロインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ブロモインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチル−4−ヨードインデニル)ハフニウムジメチル、エチレンビス(2−メチルインデン−4−カルボン酸メチル)ハフニウムジメチル等が挙げられる。
【0053】
このようにして得られた有機金属化合物は、抽出、晶析等の公知の方法によって単離され、さらに、再結晶等の公知の精製方法により精製することができる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例は、図1に示すマイクロリアクター装置を用いて実施した。
【0055】
実施例1
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(35℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ100cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は9.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率76%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0056】
実施例2
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(30℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ100cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は9.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率68%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0057】
実施例3
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(35℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率61%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0058】
実施例4
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(30℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率57%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0059】
実施例5
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(25℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率70%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0060】
実施例6
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(0℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ100cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.35MのエチルメチルアミンのTHF溶液を2.4mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、テトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は12.4秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率58%でテトラキス(N‐エチル‐N‐メチルアミド)ジルコニウムが得られた。
【0061】
実施例7
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(35℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ100cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径500μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ200cm)に、シリンジポンプS3にて0.9MのインデンのTHF溶液を1.1mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、ビスインデニルジルコニウムジメチルを製造した。R1における滞留時間は9.1秒、R2における滞留時間は15.0秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率55%でビスインデニルジルコニウムジメチルが得られた。
【0062】
実施例8
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(35℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ100cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径250μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ400cm)に、シリンジポンプS3にて0.9MのインデンのTHF溶液を1.1mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、ビスインデニルジルコニウムジメチルを製造した。R1における滞留時間は9.1秒、R2における滞留時間は29.9秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率56%でビスインデニルジルコニウムジメチルが得られた。
【0063】
実施例9
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(25℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径250μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ400cm)に、シリンジポンプS3にて0.9MのインデンのTHF溶液を1.1mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、ビスインデニルジルコニウムジメチルを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は29.9秒であった。得られた反応液を1分間サンプリングして、NMR内標分析したところ、収率61%でビスインデニルジルコニウムジメチルが得られた。
【0064】
実施例10
2つのT−字型マイクロミキサー(M1,M2)と2つのマイクロチューブリアクター(R1、R2)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(25℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。次に、M2(内径250μm)を経由してR2(内径1000μm、長さ400cm)に、シリンジポンプS3にて0.9MのシクロペンタジエンのTHF溶液を1.1mL/minの流速で送液し、同時にR1から排出された反応液を送液して、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルを製造した。R1における滞留時間は18.1秒、R2における滞留時間は29.9秒であった。得られた反応液を5分間サンプリングして、濃縮乾燥し、残渣をヘキサンで懸濁洗浄した。得られたヘキサン溶液を濃縮乾燥したところ、収率66%でビスシクロペンタジエニルジルコニウムジメチルが得られた。
【0065】
比較例1
T−字型マイクロミキサー(M1)とマイクロチューブリアクター(R1)から構成されるマイクロリアクターをウォーターバス(25℃)に浸した。
M1(内径500μm)を経由してR1(内径1000μm、長さ200cm)に、0.1Mに調製した四塩化ジルコニウムのTHF/トルエン(11/1)混合溶液と0.25MのMeLiのTHF/ジエチルエーテル(3/1)混合溶液をシリンジポンプS1、S2にてそれぞれ2.0mL/min、3.2mL/minの流速で送液した。R1における滞留時間は18.1秒であった。混合された反応液を0.9MのインデンのTHF溶液1.1mLに1分間滴下し、25℃で1時間反応させた。得られた反応液をNMR内標分析したところ、収率18%でビスインデニルジルコニウムジメチルが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例に用いた反応装置の概略図である。
【符号の説明】
【0067】
S1:シリンジポンプ1
S2:シリンジポンプ2
S3:シリンジポンプ3
M1:マイクロミキサー1
M2:マイクロミキサー2
R1:マイクロリアクター1
R2:マイクロリアクター2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリアクター中でテトラハロ金属化合物をアルキルリチウム化合物と反応させてテトラアルキル金属化合物を生成させ、次いで該テトラアルキル金属化合物をマイクロリアクター中で活性プロトンを有する化合物と反応させることを特徴とする有機金属化合物の製造方法。
【請求項2】
溶媒存在下に行う請求項1に記載の有機金属化合物の製造方法。
【請求項3】
テトラハロ金属化合物が、式(1)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機金属化合物の製造方法。
式(1):
MX (1)
(式中、Mはジルコニウム、チタン又はハフニウムを示し、Xはハロゲン原子を示す。)
【請求項4】
アルキルリチウム化合物が、式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機金属化合物の製造方法。
式(2):
LiR (2)
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【請求項5】
活性プロトンを有する化合物が、下記式(3)〜(5)のいずれかで表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機金属化合物の製造方法。
式(3):
HNR (3)
(式中、R及びRは互いに同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基を示す。)、
式(4):
【化1】

(式中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はエステル基を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。)、
式(5):
【化2】

(式中、R及びRは互いに同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又はエステル基を示すか、或いはR及びRが末端で互いに結合してアリール基、エステル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC5〜C6の環を形成する。Bは炭素原子又は珪素原子を有する架橋基を示す。)
【請求項6】
有機金属化合物が、下記式(6)〜(8)のいずれかで表されることを特徴とする請求項5に記載の有機金属化合物の製造方法。
式(6):
M(NR (6)
(式中、M、R及びRは前記と同じ。)、
式(7):
【化3】

(式中、M、R、R及びRは前記と同じ。)、
式(8):
【化4】

(式中、M、R、B、R及びRは前記と同じ。)

【図1】
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【公開番号】特開2012−140421(P2012−140421A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274274(P2011−274274)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【Fターム(参考)】