説明

有機金属化合物の調製方法

【課題】CVD前駆体として使用するための、超純粋有機金属化合物の新規な調製方法に対する継続的な要求が存在する。
【解決手段】例えば化学蒸着のようなプロセス用の超純粋アルキル金属化合物を製造するため金属ハロゲン化物をアルキル化剤反応させる合成のためのマイクロチャンネルデバイスを使用することを含む超純粋有機金属化合物の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物(OMC)の製造方法に関する。特に、本発明は、例えば化学蒸着などのプロセスのための高純度の有機金属化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の手段、例えば、化学蒸着(「CVD」)、物理蒸着(「PVD」)及びその他のエピタキシャル技術、例えば、液相エピタクシー(「LPE」)、分子ビームエピタクシー(「MBE」)、化学ビームエピタクシー(「CBE」)及び原子層堆積(「ALD」)などによって、金属膜を、表面、例えば、非導電性(電子材料用途)表面上に堆積させることができる。化学蒸着プロセス、例えば、金属有機化学蒸着(「MOCVD」)は、有機金属前駆体化合物を、上昇した温度、即ち、室温よりも高い温度のいずれかで、大気圧又は減圧で分解することによって、金属層を堆積させる。このようなCVD又はMOCVDプロセスを使用して、広範囲の種々の金属を堆積させることができる。
【0003】
半導体及び電子デバイス用途のために、有機金属前駆体化合物は、超純粋でなくてはならず、検出可能なレベルの、金属不純物(例えば、ケイ素及び亜鉛など)並びに他の不純物(炭化水素及び酸素化化合物を含む)の両方を実質的に含有していてはならない。理想的には、超純度は、<0.1重量%、好ましくは<1ppm又は<1ppbもの不純物のレベルを有する材料を作る。酸素化された不純物が、典型的に、このような有機金属化合物を調製するために使用される溶媒からもたらされ、また、他の外来の、水分又は酸素の供給源からもたらされる。超純度を達成することは、LED及び光電子デバイスのための化合物半導体を製造するためのCVDのための第III族及びV族OMC、またはアドバンストシリコンチップのための薄膜を成長させるためのALDのための有機金属前駆体を含む、電子用途のための材料を製造するときに重要である。幾つかの不純物は、有機金属前駆体化合物に関するのと同様の沸点を有しており、通常の蒸留技術によって高純度を達成することを困難にしている。
【0004】
超純粋有機金属前駆体化合物を製造するための合成方法を改良するための多くの研究がなされてきた。歴史的に、有機金属前駆体化合物は、バッチプロセスによって製造されてきたが、最近、米国特許第6,495,707号明細書及び米国特許公開第2004/0254389号明細書に開示されているように、有機金属化合物、例えば、トリメチルインジウム及びトリメチルガリウムを製造するための連続法が利用されるようになってきた。
【特許文献1】米国特許第6,495,707号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2004/0254389号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの進歩にもかかわらず、有機金属化合物の合成は、困難なままである。この反応の多くは、発熱性であり、特にこのような高純度での、大量の製造は困難である。更に、絶えず変動する需要に合致するように材料の製造を増減することが困難であり、有機金属化合物の貯蔵は、不純物及び分解生成物が導入され得るので望ましいことではない場合があり得る。
【0006】
精製のために使用される従来方法には、蒸留、結晶化、付加精製(adduct purification)、質量選択的超遠心分離(mass−selective ultracentrifuge)、及び蒸留と組み合わせた化学処理が含まれる。これらの方法は、不純物のレベルにおける幾らかの低下をもたらすが、今日の最も進歩した電子デバイスの性能要求に合致するための超純粋有機金属化合物を製造するための継続する要求が存在する。更に、現存する方法によって達成可能な純度レベルに対する経済的制約が、多くの場合存在する。過剰の資本又は運転コストは、不純物及び有機金属化合物の物理的及び/又は化学的特性に起因する、許容できない収率低下、エネルギー投入量又はプロセスサイクル時間のために、到達可能な純度を制限し得る。
【0007】
例えば、フェンスケ(Fenske)の式を使用して、成分の相対揮発度(α)及び所望の純度に基づく、蒸留のために必要な平衡段の最小数を推定することが可能である。最も問題のある近沸点不純物(α<1.2)を除去するために、段の数又は理論段相当高さ(HETP)は、50、100又は200をも超え得、これは、今日の最も進歩した充填物(HETP=0.05〜0.20m)によっても、>10メートルの塔高さを必要とする。このサイズの塔は、超純粋材料を製造しようとするとき、困難なスケールアップ及び困難な運転可能性並びに自然発火性の有機金属化合物の大量の在庫量による安全性の懸念をもたらす。
【0008】
従って、CVD前駆体として使用するための、超純粋有機金属化合物の新規な調製方法に対する継続的な要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マイクロチャンネルデバイスの利点を利用することによって、この前記の要求を満たすものである。マイクロチャンネルデバイスは、プロセス条件のより良い制御、向上された安全性及び研究室での開発から商業的生産までの市場化の促進をもたらす。マイクロチャンネルデバイスの一例である連続流マイクロ反応器は、反応条件を制御するための優れた熱及び物質移動により、向上された合成収率及び純度を達成すること、並びに材料の少ない在庫量により、反応暴走又は危険な漏出の危険を最小にすることに役に立つ。更に、マイクロチャンネルデバイスは「数を増やす(numbering−up)」多デバイスによって、製造スケールアップを可能にし、性能損失や、多くの時間を伴うことなく市場の要求を満たし、従来のプロセススケールアップ調査の必要なしにコスト節約する。
【0010】
マイクロチャンネルデバイスは、また、同様の利点により、試薬、溶媒、中間体又は最終製品の分離及び精製工程のために使用することもできる。マイクロチャンネル技術における利点の基礎は、相の間の高い交換速度を可能にする、デバイス内に設けられた高い表面積に起因する。分離の向上は、界面現象の増加した重要性並びに熱及び物質移動のための減少した距離により、典型的に1〜1000ミクロンのマイクロチャンネル構造寸法で達成される。これらのデバイスにおける優れた熱及び物質移動は、相の間の高い交換速度及びより効率的な分離段又はより低い理論段相当高さ(HETP)のためのより良好な温度制御をもたらす。これは、固定分離デバイス形状においてより高い純度のためのより多くの段を可能にする。また、熱交換のより良好な統合による向上されたエネルギー効率によって、より低い資本集約及びより低い運転コストにおける利益も存在する。
【0011】
マイクロチャンネルデバイスは、蒸留、吸着、抽出、吸収及びガスストリッピング(gas stripping)を含む、広範囲の分離用途において使用することができる。
【0012】
マイクロチャンネル技術の利点を利用すことによって、本発明は、超純粋有機金属前駆体化合物の製造において成功を収める。
【0013】
本発明の一つの態様において、金属塩(例えば金属ハロゲン化物)及びアルキル化剤(例えばアルキル金属)を、マイクロチャンネルデバイス内で反応させて、有機金属化合物を生成することを含む、超高純度の有機金属化合物の調製方法であって、得られる化合物が、化学蒸着プロセスのために必要な最低純度を有する方法が提供される。
【0014】
本発明の第二の態様において、不純物を含む有機金属化合物をマイクロチャンネルデバイス内で精製して、0.8<α<1.5の間の相対揮発度(α)を有する不純物のレベルを、電子材料用途において有用なレベルまで低下させることを含む、超高純度の有機金属化合物の調製方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書中に使用されるとき、用語「金属ハロゲン化物」は、金属及びこの金属に結合した少なくとも1種のハロゲンを含有する化合物を指す。また、この金属は、追加の非ハロゲン化物置換基を有していてもよい。
【0016】
本明細書中に使用されるとき、用語「電子材料用途」は、これらに限定されないが、化学蒸着(「CVD」)、物理蒸着(「PVD」)及びその他のエピタキシャル技術、例えば、液相エピタクシー(「LPE」)、分子ビームエピタクシー(「MBE」)、化学ビームエピタクシー(「CBE」)及び原子層堆積(「ALD」)を含む用途を指す。電子材料用途において、0.8<α<1.5の間の相対揮発度(α)を有する不純物のレベルは、典型的に、100ppmよりも低く、あるいは1ppmよりも低くなくてはならない。
【0017】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指し、「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。同様に、「ハロゲン化された」は、フッ素化された、塩素化された、臭素化された及びヨウ素化されたを指す。「アルキル」は、直鎖、分枝鎖及び環式アルキルを包含する。同様に、「アルケニル」及び「アルキニル」は、それぞれ、直鎖、分枝鎖及び環式のアルケニル及びアルキニルを含む。用語「第IV族金属」は、第IV族非金属、例えば、炭素を含むことを意図しない。同様に、用語「第VI族金属」は、第VI族非金属、例えば、酸素及び硫黄を含むことを意図しない。「アリール」は、任意の芳香族部分、好ましくは芳香族炭化水素を指す。
【0018】
本明細書中に使用されるとき、「CVD」は、化学蒸着の全ての形、例えば、金属有機化学蒸着(MOCVD)、金属有機蒸気相エピタクシー(MOVPE)、有機金属蒸気相エピタクシー(OMVPE)、有機金属化学蒸着(OMCVD)及びリモートプラズマ化学蒸着(RPCVD)を含むように意図される。CVDプロセスにおいて、有機金属化合物は、これらの有機金属化合物を使用して製造される半導性デバイスの厳しい電気的又は光電子的性能必要条件に適合するために、少なくとも99.9999%の純度を有していなくてはならない。
【0019】
他の方法で記載しない限り、すべての量は重量パーセントであり、全ての比はモル比である。全ての数字範囲は、境界値を含み、かかる数字範囲が、合計して100%までに制約されることが明らかである場合を除き、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0020】
マイクロチャンネルデバイスは、化学合成及び精製において、新規な機会を提供する。マイクロチャンネルデバイスは、0.1〜5,000マイクロメートル、好ましくは1〜1,000マイクロメートル、更に好ましくは1〜100マイクロメートルのチャンネル断面寸法(幅)を有する。マイクロチャンネルデバイスは、典型的に、主流方向に対して平行である、流体流のための複数のチャンネルを含んでいる。小さいチャンネル断面寸法により、マイクロチャンネルデバイスは、体積に対する高い表面積比率を有しており、非常に効率的な物質及び熱移動をもたらす。特に、物質移動は分子スケールであり、熱移動係数は、25キロワット/平方メートル・ケルビンまで又はそれ以上であり得る。比較のために、通常のジャケット付き反応器の熱移動係数は、典型的に、0.1〜0.2キロワット/平方メートル・ケルビンである。マイクロチャンネルデバイスにおける非常に効率的な物質及び熱移動によって、反応条件、例えば、温度、反応剤濃度及び滞留時間の、より非常に厳密な制御が可能になる。温度制御は、高純度有機金属生成物の調製のために特に重要である。発熱反応又は吸熱反応のための等温条件からの逸脱は、望ましくない副生成物の増加した量をもたらし得、より低い生成物収率及び純度を生じ得る。高純度生成物の製造における正確な温度制御は、続く精製の必要性を減少するか又は或る場合には排除し、従って、有機金属化合物を製造するために必要な資源の総量を減少する。
【0021】
それぞれのマイクロチャンネルデバイスが、主として、少量の有機金属前駆体を製造するときは、多数のマイクロチャンネルデバイスを平行にして使用してもよい。一連のマイクロチャンネルデバイスによって作られる合計体積は、任意の所定の時点で、使用するマイクロチャンネルデバイスの数を増加又は減少することによって制御することができ、従って、製品貯蔵の必要性を減少又は排除することができる。
【0022】
マイクロチャンネルデバイスは、これらに限定されないが、金属、ポリマー、セラミックス、ケイ素又はガラスをはじめとする、任意の通常の材料から製造することができる。例示的な金属には、これらに限定されないが、金属合金、例えば、Haynes International,Inc.から容易に入手可能なHastelloy(商標)合金、並びにオーステナイト系ステンレススチール、例えば、304、312及び316ステンレススチールが含まれる。製作方法には、これらに限定されないが、機械的マイクロ機械加工、モールディング、テープキャスティング(tape casting)、エッチング、レーザーパターン形成、サンドブラスティング、ホットエンボシング、リソグラフィー及びマイクロ−ステレオリソグラフィーが含まれる。このマイクロチャンネルデバイスは、平滑なチャンネル壁、または熱及び物質移動を向上するチャンネル壁上に構造的フィーチャー(structural feature)を有するチャンネル、またはこれら両方から構成することができる。マイクロ反応器は、マイクロチャンネルデバイスの一例である。
【0023】
反応を実施するために使用される幾つかのマイクロチャンネルデバイス実施形態において、マイクロ反応器は、それぞれの試薬のための入口を含んでいる。3種以上の試薬を使用する反応において、マイクロ反応領域内まで試薬の全数が組み合わせられないことを条件に、2種以上の試薬を組み合わせて、単一の入口を経てマイクロ反応器に供給することができる。例えば、反応が3種の試薬を使用するとき、試薬の2種類を同じ入口を経てマイクロ反応器に共供給することができ、かつ第三の試薬を第二の入口を経て供給することができる。
【0024】
このマイクロチャンネルデバイスは、外部冷却又は加熱源による温度制御のための、別個のチャンネルシステムを含むことができる。例示的なシステムには、これらに限定されないが、熱油、熱水、熱スチーム、冷油、冷水、冷浴及び冷却装置が含まれる。本明細書中に使用されるとき、「熱」によって、室温よりも高い温度、典型的に35℃よりも高い温度が意味される。本明細書中に使用されるとき、「冷」によって、室温よりも低い温度、典型的に15℃よりも低い温度が意味される。マイクロ反応器の場合には、このデバイスは、個々の合成反応のために適した温度で運転される。
【0025】
マイクロチャンネルデバイスは、更に、入口流を混合するためのマイクロミキサーを含み得る。
【0026】
マイクロチャンネルデバイスは、プロセス必要条件又はデバイス製作方法に依存して、1マイクロメートルから1メートルまたはそれより長い範囲内の長さを有することができる。所望の全体長さを達成するために必要な場合は、複数のマイクロチャンネルデバイスを逐次的に使用することができる。マイクロ反応器の場合に、マイクロチャンネルデバイスの長さは、流速及び温度に加えて、実施される個々の反応の速度によって決定される。より遅い反応は、マイクロ反応器内でのより長い滞留時間を必要とし、従って、より長いマイクロ反応器を必要とする。更に、逐次反応が望まれるとき、マイクロ反応器は、追加の試薬のための、デバイスの長さに沿った又はデバイスの間の追加の入口を含むことができる。
【0027】
マイクロチャンネルデバイスは、生成物を取り出すための出口を含んでいる。幾つかの実施形態において、マイクロチャンネルデバイスは、2個の出口、即ち、液体流のための1個の出口及び気体流のための1個の出口を含んでいる。次いで、マイクロ反応器からの生成物流を、一般的な精製方法、マイクロチャンネル精製又はこれらの組合せを使用する精製に付すことができる。
【0028】
マイクロ反応器の例は、米国特許第6,537,506号明細書に開示されており、これには、熱移動流体通路、反応剤流体通路、生成物通路、混合チャンバー及び反応チャンバーを組み込んだ、積層されたプレートの多チャンネル反応器が記載されている。
【0029】
マイクロチャンネルデバイスは、任意に、液膜厚さを制御し、界面現象を向上するためのウィック(wick)又は膜構造を含有することができる。マイクロチャンネルデバイスは、蒸留をはじめとする流体分離のために使用することができる。商業的に重要な蒸留用途へのマイクロチャンネルデバイスの利用は、エチレンからエタンを分離するCスプリッターである。マイクロチャンネル蒸留プロセスは、エチレン製造のためのエネルギー消費及び資本コストを減少させることができる。
【0030】
本発明は、金属塩をアルキル化剤と、マイクロチャンネルデバイス内で反応させて、例えば化学蒸着のようなプロセスのための超純粋アルキル金属化合物を製造することによる、有機金属化合物の調製方法を提供する。更に、本発明のアルキル化剤は、それ自体が精製され得る。
【0031】
金属塩とアルキル化剤の組み合わせの例には、これらに限定されないが、マイクロチャンネルデバイス、例えば、マイクロ反応器内で、金属ハロゲン化物をトリアルキルアルミニウム溶液と反応させ、又は金属ハロゲン化物溶液をアルキルマグネシウムハロゲン化物と反応させ、又は金属ハロゲン化物溶液をアルキルリチウム溶液と反応させて、アルキル金属化合物を製造することが含まれる。幾つかの実施形態において、アルキル化剤の金属塩に対するモル比は1以上である。幾つかの実施形態において、このモル比は2以上である。幾つかの実施形態において、このモル比は3以上である。
【0032】
金属ハロゲン化物は、第II族、第III族、第IV族又は第V族金属を含み得る。金属ハロゲン化物中には、中性化合物を形成するために十分な数のハロゲンが存在している。例示的な金属ハロゲン化物には、これらに限定されないが、ZnCl、GaCl、InCl、InBr、InI、GeCl、SiCl、SnCl、PCl、AsCl、SbCl及びBiClが含まれる。
【0033】
トリアルキルアルミニウム溶液は、同じか又は異なっていてよい3個のアルキル基を含む。それぞれのアルキル基は、1〜8個の炭素原子を含む。アルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよい。アルキルマグネシウムハロゲン化物及びアルキルリチウム化合物は、1〜8個の炭素原子を含む1個のアルキル基を含む。同様に、このアルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよい。
【0034】
金属塩溶液及びアルキル化剤溶液は、該2種の構成物質の間の反応に対して不活性である任意の有機溶媒であって、その反応から得られるいかなる生成物に対しても不活性である任意の有機溶媒も含有することができる。幾つかの実施形態において、金属塩溶液は溶媒を含有していない。即ち、金属塩は既に液状であり、「ニート(neat)」で添加される。溶媒は、進行する反応のための十分な溶解度を与えるように選択されるべきである。金属塩溶液及びアルキル化剤溶液は、同じ又は異なった溶媒を使用することができる。特に好適な有機溶媒には、これらに限定されないが、炭化水素及び芳香族炭化水素が含まれる。例示的な有機溶媒には、これらに限定されないが、ベンゼン;アルキル置換ベンゼン、例えば、トルエン、キシレン及び(C〜C20)アルキルベンゼン、例えば、(C10〜C12)アルキルベンゼン及び(C10〜C20)アルキルビフェニル;並びに脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、スクアラン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン;並びにこれらの混合物が含まれる。更に好ましくは、有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、(C〜C20)アルキルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンである。1より多くの有機溶媒を有利に使用できることが十分に理解される。かかる有機溶媒は、一般的に、種々の供給元、例えば、Aldrich Chemicals(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から商業的に入手可能である。このような溶媒は、そのままで使用することができ又は好ましくは使用する前に精製することができる。
【0035】
好ましくは、このような有機溶媒は、乾燥しており、使用する前に脱酸素される。溶媒は、種々の手段、例えば、不活性ガスによるパージ、真空中での溶媒の脱気又はこれらの組合せによって脱酸素することができる。好適な不活性ガスには、アルゴン、窒素及びヘリウムが含まれ、好ましくはアルゴン又は窒素が含まれる。
【0036】
代替の実施形態において、対象としている有機金属合成と相互作用せず、環境に優しい「グリーン溶媒」を提供するイオン性液体が、溶媒として使用される。イオン性液体は、一般的に、低温度で液体である塩であって、100℃よりも低い融点を有する塩である。多くのイオン性液体は、室温で液相のままであり、室温イオン性液体と称される。イオン性液体は、全体としてイオンから構成され、典型的に、これらは、バルキーな有機カチオンと無機アニオンとから構成される。これらの化合物内の高いクーロン力のために、イオン性液体は実際に蒸気圧を有しない。
【0037】
本発明において、任意の好適なイオン性液体を使用することができる。イオン性液体中に使用される例示的なカチオンには、これらに限定されないが、ヒドロカルビルアンモニウムカチオン、ヒドロカルビルホスホニウムカチオン、ヒドロカルビルピリジニウムカチオン及びジヒドロカルビルイミダゾリウムカチオンが含まれる。本発明のイオン性液体において有用である例示的なアニオンには、これらに限定されないが、クロロメタレートアニオン、フルオロボレートアニオン、例えば、テトラフルオロボレートアニオン及びヒドロカルビル置換フルオロボレートアニオン並びにフルオロホスフェートアニオン、例えば、ヘキサフルオロホスフェートアニオン及びヒドロカルビル置換フルオロホスフェートアニオンが含まれる。クロロメタレートアニオンの例には、これらに限定されないが、クロロアルミネートアニオン、例えば、テトラクロロアルミネートアニオン及びクロロトリアルキルアルミネートアニオン、クロロガラート(chlorogallate)アニオン、例えば、クロロトリメチルガラート及びテトラクロロガラート、クロロインデート(chloroindate)アニオン、例えば、テトラクロロインデート及びクロロトリメチルインデートが含まれる。
【0038】
好適なクロロアルミネート系イオン性液体には、これらに限定されないが、ヒドロカルビル置換アンモニウムハロゲン化物、ヒドロカルビル置換ホスホニウムハロゲン化物、ヒドロカルビル置換ピリジニウムハロゲン化物又はヒドロカルビル置換イミダゾリウムハロゲン化物を有するものが含まれる。例示的なクロロアルミネート系イオン性液体には、これらに限定されないが、トリメチルフェニルアンモニウムクロロアルミネート(「TMPACA」)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロロアルミネート(「BTMACA」)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロロアルミネート(「BTEACA」)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロロアルミネート(「BTBACA」)、トリメチルフェニルホスホニウムクロロアルミネート(「TMPPCA」)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロロアルミネート(「BTMPCA」)、ベンジルトリエチルホスホニウムクロロアルミネート(「BTEPCA」)、ベンジルトリブチルホスホニウムクロロアルミネート(「BTBPCA」)、1−ブチル−4−メチル−ピリジニウムクロロアルミネート(「BMPYCA」)、1−ブチル−ピリジニウムクロロアルミネート(「BPYCA」)、3−メチル−1−プロピル−ピリジニウムクロロアルミネート(「MPPYCA」)、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムクロロアルミネート(「BMIMCA」)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムクロロアルミネート(「EMIMCA」)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムブロモ−トリクロロアルミネート(「EMIMBTCA」)、1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムクロロアルミネート(「HMIMCA」)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロロトリメチルアルミネート(「BTMACTMA」)及び1−メチル−3−オクチル−イミダゾリウムクロロアルミネート(「MOIMCA」)が含まれる。
【0039】
他の適切なイオン性液体には、フルオロボレートアニオン又はフルオロホスフェートアニオンを有するもの、例えば、これらに限定されないが、トリメチルフェニルアンモニウムフルオロボレート(「TMPAFB」)、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオロボレート(「BTMAFB」)、ベンジルトリエチルアンモニウムフルオロボレート(「BTEAFB」)、ベンジルトリブチルアンモニウムフルオロボレート(「BTBAFB」)、トリメチルフェニルホスホニウムフルオロボレート(「TMPPFB」)、ベンジルトリメチルホスホニウムフルオロボレート(「BTMPFB」)、ベンジルトリエチルホスホニウムフルオロボレート(「BTEPFB」)、ベンジルトリブチルホスホニウムフルオロボレート(「BTBPFB」)、1−ブチル−4−メチル−ピリジニウムフルオロボレート(「BMPFB」)、1−ブチル−ピリジニウムフルオロボレート(「BPFB」)、3−メチル−1−プロピル−ピリジニウムフルオロボレート(「MPPFB」)、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウムフルオロボレート(「BMIMFB」)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムフルオロボレート(「EMIMFB」)、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムブロモ−トリフルオロボレート(「EMIMBTFB」)、1−ヘキシル−3−メチル−イミダゾリウムフルオロボレート(「HMIMFB」)、1−メチル−3−オクチル−イミダゾリウムフルオロボレート(「MOIMFB」)及びベンジルトリメチルアンモニウムフルオロホスフェート(「BTMAFP」)が含まれる。
【0040】
イオン性液体は、一般的に商業的に入手可能か、又は当該技術分野で公知の方法によって調製することができる。これらの化合物は、そのままで使用することができ又は好ましくは更に精製することができる。
【0041】
溶液の濃度及び量は、アルキル化剤化合物の金属塩に対するモル比が、個々のアルキル化反応のための化学量論的に必要とされる以上であるように選択される。
【0042】
金属ハロゲン化物とトリアルキルアルミニウム溶液との反応は、−10〜100℃で実施することができる。有用な圧力は1〜10バールである。
【0043】
金属ハロゲン化物溶液とアルキルマグネシウムハロゲン化物又はアルキルリチウム溶液との反応は、−50〜50℃で実施することができる。有用な圧力は1〜10バールである。
【0044】
本発明の他の実施形態において、原子層堆積(ALD)のために好適な有用な供給源である金属アミジナート化合物を調製するための方法が提供される。金属アミジナート組成物は、式(RNCRNR+m(m−n)(式中、R、R及びRは、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ジアルキルアミノ、ジ(シリル置換アルキル)アミノ、ジシリルアミノ、ジ(アルキル置換シリル)アミノ及びアリールから選択され;M=金属;L=アニオン性リガンド;L=中性リガンド;m=Mの原子価;n=0〜6;p=0〜3であり;かつm≧nである)を有する、ALD前駆体として使用するために好適な有機金属化合物である。金属アミジナートは、実際はホモレプティック又はヘテロレプティックであってよく、即ち、異なったアミジネートリガンド又はアミジネートと他のアニオン性リガンドとの組合せを含んでいてよい。このような化合物は、種々の蒸着方法、例えば、化学蒸着(「CVD」)に好適であり、特に、原子層堆積(「ALD」)のために好適である。また、上記の化合物及び有機溶媒を含有する組成物も提供される。このような組成物は、ALD及び直接液体注入(「DLI」)プロセスにおいて使用するために、特に好適である。
【0045】
有機金属アミジナート化合物の調製方法は、金属ハロゲン化物溶液をアミジナトリチウム溶液と、マイクロチャンネルデバイス、例えば、マイクロ反応器内で反応させて、金属アルキルアミジナート化合物を製造することを含み、ここで、アミジナトリチウム化合物の金属ハロゲン化物に対するモル比は、1以上である。幾つかの実施形態において、このモル比は2以上である。幾つかの実施形態において、このモル比は3以上である。
【0046】
金属ハロゲン化物は、第II族〜第VIII族金属を含み得る。金属ハロゲン化物中には、中性化合物を形成するために十分な数のハロゲンが存在している。例示的な金属ハロゲン化物には、ZnCl、GaCl、InBr、AlCl、HfCl、ZrCl、GeCl、SiCl、TaCl、WCl、SbCl及びRuClが含まれる。
【0047】
アミジナトリチウム化合物は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル又はアリール又は環式基を含む1個のアミジナト基を含む。このアルキル基は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよい。
【0048】
金属ハロゲン化物溶液及びアミジナトリチウム溶液は、金属ハロゲン化物とアミジナトリチウム溶液との間の反応に対して不活性であり、かつその反応から得られるいかなるな生成物に対しても不活性である、任意の有機溶媒を含有することができる。この溶媒及び試薬は、乾燥しており、脱酸素させることが必要である。この溶媒は、進行する反応のための十分な溶解度を与えるように選択されるべきである。金属ハロゲン化物溶液及びアミジナトリチウム溶液は、同じ又は異なった溶媒を使用することができる。例示的な溶媒には、これらに限定されないが、前記のリストが含まれる。
【0049】
幾つかの実施形態において、金属ハロゲン化物溶液は溶媒を含有していない。即ち、金属ハロゲン化物は既に液状であり、「ニート」で添加される。溶液の濃度及び量は、アミジナトリチウム化合物の金属ハロゲン化物に対するモル比が、所望の反応のために必要とされる化学量論比以上であるように選択される。
【0050】
この反応は、−50℃〜50℃で実施することができる。有用な圧力は1〜10バールである。
【0051】
更に他の実施形態において、有機金属化合物の調製方法は、第三級アミン、第三級ホスフィン、又は第三級アミンと第三級ホスフィンとの混合物の存在下で、金属ハロゲン化物溶液をアルキル金属溶液とマイクロチャンネルデバイス、例えば、マイクロ反応器内で反応させることを含む。
【0052】
特に、この方法は、式RMX4−mの金属ハロゲン化物を、式R3−nの第III族化合物と、第三級アミン若しくは第三級ホスフィン又は第三級アミンと第三級ホスフィンとの混合物の存在下で、有機溶媒中で反応させて、アルキル金属化合物を得ることを含み、ここで、上記の式中、それぞれのRは、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールから選択され;Mは、第IV族金属及ぶ第VI族金属から選択され;それぞれのXは、独立にハロゲンであり;それぞれのRは、(C〜C)アルキルから独立に選択され;Mは、第III族金属であり;それぞれのXは、独立にハロゲンであり;m=0〜3であり及びn=1〜3である。第IV族金属ハロゲン化物及び第VI族金属ハロゲン化物は、例えば、Gelest,Inc.(ペンシルベニア州Tullytown)などから、一般的に商業的に入手可能であるか又は文献で公知の方法によって調製することができる。このような化合物は、そのままで使用することができ又は使用する前に精製することができる。1種より多くの金属ハロゲン化物、1種より多くの第III族化合物及びこれらの組合せを使用できることが、当業者に十分理解される。
【0053】
例示的な第IV族金属には、これらに限定されないが、ケイ素、ゲルマニウム及びスズが含まれる。例示的な第VI族金属には、これらに限定されないが、テルル及びセレンが含まれる。Mは、好ましくは、ケイ素、ゲルマニウム又はスズであり、更に好ましくは、ゲルマニウムである。Xは、任意のハロゲンであり得る。それぞれのXは、同じか又は異なっていてよい。一つの実施形態において、m=0である。m=0であるとき、第IV族金属又は第VI族金属四ハロゲン化物が使用される。他の実施形態において、mは1、2又は3であり得る。
【0054】
広範囲の種々の、アルキル、アルケニル及びアルキニル基を、Rのために使用することができる。好適なアルキル基には、これらに限定されないが、(C〜C12)アルキル、典型的に(C〜C)アルキル、更に典型的に(C〜C)アルキルが含まれる。一つの実施形態において、アルキルはバルキーなアルキル基である。「バルキーなアルキル基」によって、任意の立体的に障害を受けているアルキル基が意味される。このようなバルキーなアルキル基は、少なくとも3個の炭素を有し、このような基の中の炭素の数に対する特別の上限は存在しない。バルキーなアルキル基は、それぞれ、3〜6個の炭素原子、更に好ましくは3〜5個の炭素原子を有することが好ましい。このようなバルキーなアルキル基は、好ましくは直鎖ではなく、好ましくは環式又は分枝鎖である。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル及びシクロヘキシルが含まれる。更に典型的に、好適なアルキル基には、エチル、イソ−プロピル及びtert−ブチルが含まれる。好適なアルケニル基には、これらに限定されないが、(C〜C12)アルケニル、典型的に(C〜C)アルケニル、更に典型的に(C〜C)アルケニルが含まれる。例示的なアルケニル基には、ビニル、アリル、メタリル及びクロチルが含まれる。典型的なアルキニル基には、これらに限定されないが、(C〜C12)アルキニル、典型的に(C〜C)アルキニル、更に典型的に(C〜C)アルキニルが含まれる。好適なアリール基は、これらに限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及びフェネチルをはじめとする(C〜C10)アリールである。2個以上のアルキル、アルケニル又はアルキニル基が存在するとき、かかる基は同じか又は異なっていてよい。
【0055】
上記のRのアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基の何れも、例えば、ハロゲン又はジアルキルアミノなどによって、任意に置換されていてよい。「置換された」によって、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアリール基上の1個以上の水素が、1個以上のハロゲン又はジアルキルアミノによって置き換わっていることが意味される。
【0056】
広範囲の種々の第III族化合物を使用することができる。本発明において有用な好適な第III族化合物は、典型的に、式R3−n(式中、それぞれのRは、(C〜C)アルキルから独立に選択され;Mは、第IIIA族金属であり;Xはハロゲンであり;nは1〜3の整数である)を有する。Mは、好適には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウム、好ましくはアルミニウムである。好ましくは、Xは、フッ素、塩素又は臭素から選択される。Rのための好適なアルキル基には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル及びtert−ブチルが含まれる。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル及びイソ−プロピルが含まれる。一つの実施形態において、nは3である。nが3であるこのような第III族化合物には、トリアルキルホウ素、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルガリウム、トリアルキルインジウム及びトリアルキルタリウムが含まれ、トリアルキルアルミニウム化合物が好ましい。代替の実施形態において、nは1又は2である。nが1又は2であるこのような第IIIA族化合物には、ジアルキルアルミニウムハライド、例えば、ジアルキルアルミニウムクロリドが含まれる。第III族化合物は、一般的に、種々の供給元、例えばGelestなどから商業的に入手可能であるか又は文献で公知の種々の方法によって調製することができる。このような化合物は、そのままで使用することができ又は使用する前に精製することができる。
【0057】
好適な第三級アミンには、これらに限定されないが、一般式NR(式中、R、R及びRは、独立に、(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルアミノ置換(C〜C)アルキル及びフェニルから選択され、RとRとは、それらが結合している窒素と一緒になって、5〜7員の複素環式環を形成することができる)を有するものが含まれる。このような複素環式環は、芳香族又は非芳香族であってよい。特に好適な第三級アミンには、これらに限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−イソ−プロピルアミン、トリ−イソ−ブチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、ジエチルアミノシクロヘキサン、ジメチルアミノシクロペンタン、ジエチルアミノシクロペンタン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−n−プロピルピロリジン、N−イソ−プロピルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソ−プロピルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジン、N,N’−ジプロピルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン及びこれらの混合物が含まれる。好ましいアミンには、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソ−プロピルアミン及びトリ−n−ブチルアミンが含まれる。一つの実施形態において、第三級アミンは、トリエチルアミン又はトリ−n−プロピルアミンである。
【0058】
代表的な第三級ホスフィンには、これらに限定されないが、一般式R10P(式中、R、R及びR10は、独立に、(C〜C)アルキル、フェニル及び(C〜C)アルキル置換フェニルから選択される)のものが含まれる。好適な第三級ホスフィンには、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、フェニルジエチルホスフィン及びブチルジエチルホスフィンが含まれる。
【0059】
1種より多くの第三級アミン又は第三級ホスフィンを使用できることが、当業者には十分に理解される。第三級アミン及び第三級ホスフィンの混合物も使用することができる。このような第三級アミン及び第三級ホスフィンは、一般的に、種々の供給業者から商業的に入手可能である。このような第三級アミン及び第三級ホスフィンは、そのままで使用することができ又は好ましくは使用する前に更に精製することができる。
【0060】
広範囲の種々の有機溶媒を使用することができる。典型的に、このような溶媒は、酸素化された種(例えばエーテル結合など)を含有しておらず、好ましくは酸素を含有していない。例示的な有機溶媒には、これらに限定されないが、炭化水素及び芳香族炭化水素が含まれる。好適な有機溶媒には、これらに限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、スクアラン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタン及びこれらの混合物が含まれる。本発明において、1種より多くの有機溶媒を有利に使用できることが十分に理解される。代替の実施形態において、第三級アミンを有機溶媒として使用することができる。このような有機溶媒は、一般的に、種々の供給元(例えばAldrich Chemicals(ウィスコンシン州ミルウォーキー)など)から商業的に入手可能である。このような溶媒は、そのままで使用することができ又は好ましくは使用する前に精製することができる。
【0061】
好ましくは、このような有機溶媒は、使用する前に脱酸素される。溶媒は、種々の手段、例えば、不活性ガスによるパージ、真空中での溶媒の脱気又はこれらの組合せによって脱酸素することができる。好適な不活性ガスには、アルゴン、窒素及びヘリウム、好ましくはアルゴン又は窒素が包含される。
【0062】
使用される具体的な第三級アミン、第三級ホスフィン及び有機溶媒は、所望される個々のアルキル金属化合物に依存する。例えば、有機溶媒及び第三級アミンは、これらが、所望のアルキル金属化合物よりも、揮発性がより高いか又は揮発性がより低いように選択することができる。揮発度におけるこのような差異によって、このアミン及び有機溶媒の両方からの、アルキル金属化合物のより容易な分離がもたらされる。第三級アミン及び有機溶媒の選択は、十分に、当業者の能力内である。
【0063】
一般的に、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィンは、第IIIA族化合物に対して化学量論的量で存在する。金属ハロゲン化物の第IIIA族化合物に対するモル比は、広い範囲に亘って変化することができ、例えば、1:0.1から1:5まで変化することができ、詳細なモル比は、所望のアルキル金属化合物に依存する。モル比の他の好適な範囲は、1:0.5〜1:2である。1:5よりも大きいモル比も、有効であると期待される。
【0064】
本発明の方法から得られる特定のアルキル金属化合物は、金属ハロゲン化物と第IIIA族化合物とのモル比の選択によって制御することができる。即ち、金属ハロゲン化物の化合物内で置き換わるハロゲンの数は、第III族化合物のモル数によって制御することができる。例えば、第IV族金属四ハロゲン化物(A)(例えば四塩化ゲルマニウムなど)と、トリアルキルアルミニウム(B)(例えばトリメチルアルミニウムなど)との反応において、1:0.5(A:B)のモル比は、アルキル第IV族金属三ハロゲン化物をもたらし、1:1(A:B)のモル比は、ジアルキル第IV族金属二ハロゲン化物をもたらし、1:1.5(A:B)のモル比は、トリアルキル第IV族金属ハロゲン化物をもたらし、1:2(A:B)のモル比は、テトラアルキル第IV族金属をもたらす。従って、金属ハロゲン化物化合物の1個、2個、3個又は4個のハロゲンを、本発明の方法に従って置き換えることができる。
【0065】
一つの実施形態において、第III族化合物、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィン並びに有機溶媒は、金属ハロゲン化物との反応の前に、任意の順序で組み合わせることができる。さらなる実施形態において、第III族化合物を最初に第三級アミン及び/又は第三級ホスフィンと組み合わせて、アミン−第III族付加物又はホスフィン−第III族付加物を形成させる。典型的に、アミン−第III族付加物は、広範囲の種々の温度で形成させることができる。この付加物を形成させるための好適な温度は、環境温度から90℃までである。次いで、金属ハロゲン化物を、アミン−第III族付加物と反応させて、所望のアルキル金属化合物を形成させる。金属ハロゲン化物を、ニートで又は炭化水素溶液として、アミン−第III族付加物に滴下により添加することが好ましい。あるいは、アミン−第III族付加物を金属ハロゲン化物に、ニートで又は炭化水素溶液として滴下により添加することができる。アルキル金属化合物を形成させるための好適な温度は、環境温度から80℃までである。従って、一実施形態において、本発明は、酸素化された種を含有していない有機溶媒中で、第III族化合物を第三級アミンと反応させてアミン−第III族付加物を形成させ、このアミン−第III族付加物を、第IV族金属ハロゲン化物、第VIA族金属ハロゲン化物又はこれらの混合物と有機溶媒中で反応させることを含む、アルキル金属化合物の調製方法を提供する。上記の反応において第三級ホスフィンを使用するとき、ホスフィン−第III族付加物が形成される。
【0066】
他の実施形態において、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィンと混合する前に、金属ハロゲン化物を、第III族化合物及び任意に有機溶媒と組合せることができる。次いで、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィン並びに任意に有機溶媒を、金属ハロゲン化物−第IIIA族化合物混合物と、マイクロチャンネルデバイス内の好適な混合領域又は通常の外部撹拌技術を使用して組み合わせることができる。あるいは、金属ハロゲン化物−第III族化合物を、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィン並びに任意に有機溶媒に添加することができる。理論によって束縛されることを意図しないが、金属ハロゲン化物、第III族化合物及び第三級アミンが組み合わされるまでは、アルキル交換反応は開始しないと考えられる。
【0067】
あるいは、アルキル金属化合物を、連続方式で調製することができる。例えば、金属ハロゲン化物及び第III族化合物を、独立に、連続方式で、マイクロチャンネル反応器に添加し、そして好適な溶媒、例えば、芳香族又は脂肪族炭化水素中で、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィンと接触させてもよい。金属ハロゲン化物及び第III族化合物の添加は、種々の好適な手段により制御することができ、例えば、質量流量コントローラーの使用により制御することができる。このような連続プロセスにおいて、金属ハロゲン化物及び第III族化合物を反応領域に添加しながら、所望のアルキル金属化合物を、例えば、蒸留によって回収することができる。さらなる代わりの方法において、金属ハロゲン化物及び第III族化合物の混合物を、第三級アミン及び/又は第三級ホスフィンと、好適な溶媒中で組み合わせることができる。このような連続プロセスにおいて、金属ハロゲン化物/第III族化合物混合物を反応領域に添加しながら、所望のアルキル金属化合物を、例えば、蒸留によって回収することができる。
【0068】
有機金属化合物は、そのままで使用することができ、又は種々の技術、例えば、蒸留、昇華及び再結晶によって好適に精製することができる。本発明の方法は、金属性不純物、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、カドミウム、水銀及び亜鉛を実質的に含有しない有機金属化合物を提供する。また、この有機金属化合物は、酸素化された不純物、例えば、エーテル系溶媒も実質的に含有せず、好ましくは、かかる酸素化された不純物を含有しない。「実質的に含有しない」によって、本発明の化合物が、0.5ppm未満のこのような不純物を含有することが意味される。本発明の有機金属化合物は、少なくとも99.99重量%、あるいは99.9999重量%の純度を有する。詳細には、本発明の有機金属化合物は、100ppm未満〜1ppm未満の重量基準の不純物レベルを含む。
【0069】
電子材料用途のための超高純度を有する有機金属化合物は、マイクロチャンネルデバイスを使用して更に精製することができる。マイクロチャンネルデバイスは、反応剤、中間体若しくは最終生成物又はこれらの組合せを精製して、電子用途のための超高純度化合物を達成するために使用することができる。有機金属化合物は、前述のようにマイクロチャンネル反応器内で又はバッチ攪拌槽、半バッチ、連続流攪拌槽、連続流管型反応器、反応蒸留反応器及び他の公知の方法をはじめとする従来の反応器内で製造することができる。電子用途のための超高純度材料は、一般的な熱分離方法、例えば、蒸留及び昇華などにより、又は低い濃度推進力のために、物質移動分離方法、例えば、抽出、吸収及び吸着によって達成することが困難である場合が多い。
【0070】
近い沸点を有する不純物を含有する有機金属化合物(相対揮発度、0.8<α<1.5、ここで、α=不純物の蒸気圧/所望の純粋な化合物の蒸気圧)は、通常の充填物を有する段階式蒸留プロセスによって精製することが特に困難である。塔は、多数の段、>50、>100、ときには>200、又は高い還流比、>10、>20、ときには>50、又は両方を必要とする場合があり、これは、投下資本及び運転コスト並びにプロセスの複雑性を増加させる。マイクロチャンネルデバイスは、これらの問題点に対する改良解を提供する。小さいチャンネル寸法は、より高い輸送勾配を生じて、熱及び物質移動を増大し、体積に対する増加した表面積は、一定形状で、より高い効率的な交換面積を提供する。両方の要因は、特に、高純度を達成するために有利である、精製のためのより効率的な分離(より小さい理論段相当高さ、HETP)に寄与する。
【0071】
超高純度有機金属化合物は、また、吸着又は化学精製技術、例えば、付加物−精製によって、マイクロチャンネルデバイス内で製造することもできる。選択的吸着剤又は付加物形成ルイス塩基、例えば、アミン、ホスフィン若しくはエーテルは、マイクロチャンネル表面上に担持されて、不純物含有流に接触するための非常に高い交換面積を提供することができる。他のマイクロチャンネルは、吸着と脱離ステップの間を効果的に調節し、循環する、デバイスの正確な温度制御のための熱移動流体の流れを提供することができる。
【0072】
マイクロチャンネル技術に基づく分離プロセス、例えば、蒸留、ストリッピング、抽出及び吸着は、超純粋生成物(ppm、ppb)を達成するために必要な、向上された熱及び物質移動をもたらす。これらの分離プロセスは、さらに、同様の沸点(相対揮発度、0.8<α<1.5)を有する流体混合物を高純度レベルまで分離することの問題点を解決するために必要な、移動段階の増強をもたらす。流体成分の1種以上が、液相状態にあり、蒸気状態又は収着媒上に吸着された状態への相変化を受けることができる有利な運転条件には、温度及び圧力が含まれる。これには、−25℃〜250℃の温度及び0.1Pa〜10MPaの圧力が含まれ得る。供給不純物レベルは、流体混合物の1ppmから10重量%まで、又はさらには50重量%までの範囲であり得る。
【0073】
本発明の有機金属化合物は、全ての蒸着方法、例えば、LPE、MBE、CBE、ALD、CVD、MOCVD及びMOVPEにおいて前駆体として使用するために特に好適である。本発明の化合物は、1種以上の第IV族金属、第VI族金属又は第IV族金属と第VI族金属との両方を含有する膜を堆積するために有用である。このような膜は、電子デバイス、例えば、これらに限定されないが、集積回路、光電子デバイス及び発光ダイオードの製造において有用である。
【0074】
第IV族金属及び/又は第VI族金属の膜は、典型的に、最初に、所望のアルキル金属化合物、即ち、供給源化合物又は前駆体化合物を、堆積チャンバーに連結された出口を有するデリバリーデバイス(例えばシリンダーなど)内に置くことによって堆積される。使用する個々の堆積装置に依存して、広範囲の種々のシリンダーを使用することができる。前駆体化合物が固体であるとき、米国特許第6,444,038号明細書(Rangarajanら)及び米国特許第6,607,785号明細書(Timmonsら)に開示されているシリンダー並びに他の設計を使用することができる。液体前駆体化合物のために、米国特許第4,506,815号明細書(Melasら)及び米国特許第5,755,885号明細書(Mikoshibaら)に開示されているシリンダー並びに他の液体前駆体シリンダーを使用することができる。供給源化合物は、シリンダー内に液体又は固体として維持される。固体供給源化合物は、堆積チャンバーへの移送の前に、典型的に蒸発又は昇華される。
【0075】
供給源化合物は、典型的に、シリンダーを通して担体ガスを通過させることによって、堆積チャンバーに移送される。好適な担体ガスには、窒素、水素及びこれらの混合物が含まれる。一般的に、担体ガスは、供給源化合物面の下に導入され、供給源化合物を通ってその上のヘッドスペースの方に上方に通過され、担体ガスの中に供給源化合物の蒸気を取り込み又は運ぶ。次いで、取り込まれ又は運ばれた蒸気は、堆積チャンバーの中に入る。
【0076】
堆積チャンバーは、典型的に、その中で、少なくとも1個の(できる限り多くの)基体が配置される、加熱された容器である。堆積チャンバーは、副生物をチャンバーから引き出し、適切である減圧を与えるために、典型的に真空ポンプに連結された出口を有する。MOCVDは、大気圧又は減圧で実施することができる。堆積チャンバーは、供給源化合物の分解を誘導するために十分に高い温度で維持されている。堆積チャンバー温度は、200〜1200℃であり、選択された正確な温度は、効果的な堆積を与えるように最適化される。任意に、基体が上昇した温度で維持されるならば、又は他のエネルギー(例えば、無線周波数(「RF」)エネルギー)がRF源によって発生されるならば、堆積チャンバー内の温度は、全体として低下させることができる。
【0077】
電子デバイス製造の場合において、堆積のための好適な基体は、ケイ素、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどであってよい。このような基体には、1個以上の追加の材料の層、例えば、これらに限定されないが、誘電層及び導電層(例えば金属など)が含有されていてよい。このような基体は、特に、集積回路、光電子デバイス及び発光ダイオードの製造において有用である。
【0078】
堆積は、所望の特性を有する膜を製造することを望む間続けられる。典型的に、膜厚さは、堆積が停止したとき、数百オングストローム〜数十ナノメートルから、数百ミクロンまでまたはそれより厚い。
【0079】
下記の実施例は、本発明の種々の態様を更に示すと期待されるが、如何なる態様においても本発明の範囲を限定することを意図しない。全ての操作は、不活性雰囲気内で、典型的に乾燥窒素の雰囲気下で実施される。
【実施例】
【0080】
〔比較例1〕
テトラメチルゲルマンを、下記の式に従って合成した。
GeCl+2(CHAl・PrN→(CHGe+2CHAlCl・Pr
【0081】
三つ口丸底フラスコ内で、150gの高沸点直鎖アルキルベンゼンに、窒素下で、トリメチルアルミニウム(40g、0.554モル)を添加した。これに、n−プロピルアミン(79.5g、0.554モル)を、室温で滴下により添加した。添加を30分間続け、その間に、混合物は暖かくなった(約50℃)。添加が完結した後、混合物を室温にまで冷却し、ニートの塩化ゲルマニウム(40g、0.186モル)を、形成された付加物に室温で滴下により添加した。添加を1時間行い、その間に、反応混合物は再び約60℃まで暖まった。室温にまで冷却した後、反応物を160〜170℃(油浴温度)まで加熱し、その間に、20gの粗生成物テトラメチルゲルマンを、U字型チューブに通してドライアイス冷却したリザーバーの中に蒸留した。生成物の同定は、H nmr(0.1ppmで−CH共鳴)によって確認され、それが幾らかのトリプロピルアミン(<5%)を含有していることを示した。粗生成物の収率は81.6%であった。残留するポット残渣のH nmr分析によって、単離しなかった更なるテトラメチルゲルマンの存在が示された。
【0082】
〔実施例1〕
テトラメチルゲルマンを、下記の式に従って合成する。
GeCl+2(CHAlPrN → (CHGe+2CHAlClPr
【0083】
トリメチルアルミニウム及びn−プロピルアミンの等モル濃度の溶液を、高沸点直鎖アルキルベンゼン溶媒中で窒素下で作る。トリメチルアルミニウム/n−プロピルアミンン溶液及びニートの塩化ゲルマニウムを、室温で、マイクロチャンネルデバイスに連続的に添加する。マイクロチャンネルデバイスは、試薬のための別々の流路を提供し、該流路は、混合領域内でお互いと連通しており、混合領域内で試薬はお互いに接触する。試薬流は、トリメチルアルミニウムの塩化ゲルマニウムに対するモル比3を維持するように制御される。この混合物は、マイクロチャンネルデバイス内の反応領域に入り、試薬の間に生じるアルキル化に至る。該反応領域は、1〜100マイクロメートルの範囲内の、流れ方向に対して垂直である幅を有する。該反応領域は、1マイクロメートル〜1メートルの範囲内の長さ(流れ方向における)を有し、この最適長さはアルキル化反応速度によって決定され、流速を調節することによって設定される適切な滞留時間(1秒〜10分間)を達成し、かつ少なくとも80%の転化率を与える。反応の温度は、マイクロチャンネルデバイス内の反応チャンネルに対して隔てられたフローチャンネル内の、熱移動流体、例えば、テルミノール(Therminol)の流れによって、+/−1℃以内に制御される。反応生成物流は、マイクロチャンネル反応器から出て、集められ、160〜170℃で蒸留されて、所望のMeGe生成物を生成する。MeGe生成物の純度は、FT−NMR及びICP−AESによって測定したとき、99.9999%純粋であると予想される。
【0084】
〔実施例2〕
高純度トリメチルアルミニウム−トリプロピルアミン付加物を、下記の式に従って、マイクロチャンネルデバイスを使用して合成した。
(CHAl+PrN → (CHAl・PrN付加物
【0085】
約1×3mmの断面寸法及び1mよりも長い長さを有する、316SSから構成された複数の平行なチャンネルを含むマイクロチャンネル反応器を、精製された有機アルミニウム−第三級アミン付加物の調製に使用した。マイクロチャンネルデバイスのそれぞれのチャンネルを、熱交換領域と接触状態にした。31.6ppmのSi(ICP技術によって検出した場合)を含有する室温のトリメチルアルミニウム(TMA)の供給物流を、この連続流反応器に、2.5kg/時で供給した。室温のトリプロピルアミンの供給物流を、別個の注入部を通してこの反応器に、5.0kg/時で共供給した。2つの供給物を、フローチャンネル内部で混合した。反応器温度を、反応器熱交換チャンネルに循環する冷却油(40℃)を使用して、〜50℃の安定したプロセス出口温度を維持するように制御した。反応器流出物(7.5kg/時)を、連続式薄膜蒸発器に供給して、付加物を精製した。蒸発器表面を、回転ブレードによって連続的に拭い、2トール及び80℃のジャケット温度で運転した。精製されたTMA:付加物を、98重量%よりも高い収率で集め、分析のためにサンプリングした。ICP分析によって、この生成物が、Si=31.6ppmから減少したSi=0.7ppmであることによって示されるように、出発材料よりも著しく減少したケイ素不純物を有することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属塩及びアルキル化剤を、マイクロチャンネルデバイス内で反応させて、有機金属化合物を生成することを含む、超高純度の有機金属化合物の調製方法であって、得られる該化合物が、化学蒸着プロセスのために必要な最低純度を有する方法。
【請求項2】
前記化合物の純度が、少なくとも99.99%純粋である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属塩が金属ハロゲン化物である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
更に、反応を溶媒の存在下で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
更に、アルキル化剤を精製することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
アルキル化剤を、マイクロチャンネルデバイスを使用して更に精製する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
アルキル化剤が、トリアルキルアルミニウム化合物、アルキルマグネシウムハロゲン化物化合物又はアルキルリチウム化合物を含み、アルキル化剤の金属ハロゲン化物に対するモル比が1以上である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
アルキル化剤がトリアルキルアルミニウム化合物であり、およびトリアルキルアルミニウムが、マイクロチャンネルデバイス内で第三級アミン、第三級ホスフィン又は第三級アミンと第三級ホスフィンとの混合物の存在下にある、請求項7記載の方法。
【請求項9】
不純物を含む有機金属化合物をマイクロチャンネルデバイス内で精製して、0.8<α<1.5の間の相対揮発度(α)を有する不純物のレベルを、電子材料用途のために有用であるレベルまで低下させることを含む、超高純度の有機金属化合物の調製方法。
【請求項10】
不純物を含む有機金属化合物をマイクロチャンネルデバイス内で精製して、0.8<α<1.5の間の相対揮発度(α)を有する不純物のレベルを、1ppmよりも低くまで低下させることを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
温度スウィング吸着を使用してマイクロチャンネルデバイス内で、不純物を含む有機金属化合物を精製して、付加物形成により不純物のレベルを低下させることを含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
マイクロチャンネルデバイスが、更に、5cmよりも小さい理論段相当高さ(HETP)を含む、請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2009−35539(P2009−35539A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−176566(P2008−176566)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】