説明

有機金属化合物精製および装置

【課題】有機金属化合物の非常に高純度な精製方法を提供する。
【解決手段】ストリッピングカラムおよびガス流れを用いて粗有機金属化合物を精製する。具体的には、(a)液相の粗有機金属化合物を提供し、(b)第1の入口15及び第1の出口20を伴う第1の部分12、並びに第2の入口25及び第2の出口30を伴う第2の部分14を有するストリッピングカラム10を提供し、(c)前記液相の粗有機金属化合物を前記第1の入口から前記ストリッピングカラムの第1の部分に供給し、(d)ガス流れを前記第2の入口から前記ストリッピングカラムの第2の部分に供給し、(e)前記粗有機金属化合物を、前記ストリッピングカラムを通して前記ガス流れの流れと反対に向かわせ、(f)液相の精製された有機金属化合物を前記第2の出口から集めることにより、有機金属化合物と比較して相対的により揮発性の不純物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属含有化合物の分野に関し、特に金属含有化合物の精製の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有化合物は様々な用途、例えば、触媒および金属膜を成長させるためのソースに使用される。そのような化合物の用途の1つは半導体のような電子デバイスの製造におけるものである。超純粋金属有機(有機金属)化合物を使用する充分に確立された堆積技術、例えば、有機金属気相成長法、有機金属分子線エピタキシー法、有機金属化学蒸着、および原子層堆積などを使用して多くの半導体材料が製造される。これらプロセスにおいて有用であるために、有機金属化合物は汚染物質および/または有害不純物を含まないものでなければならない。除かれない場合には、有機金属ソースに存在するこのような不純物は電子デバイスの電子特性および/または光電子特性に悪影響を生じさせうる。
【0003】
粗(crude)有機金属化合物は典型的には、反応副生成物、出発材料における不純物、残留溶媒、またはこれらの組み合わせから生じる様々な不純物を含む。このような不純物は、多くの場合、望まれる有機金属化合物から除去するのが非常に困難である。このような粗有機金属化合物を精製するのに使用される典型的なプロセスは蒸留、昇華、ソックスレー抽出および結晶化である。
【0004】
米国特許第6,495,707号は、三塩化ガリウムおよびトリメチルアルミニウムの双方を反応カラムの中央に添加し、生じたTMGを気化させ、そして反応カラムの頂部からTMGを集めることにより、おそらくは別の精製工程についての必要なしに、トリメチルガリウム(TMG)を製造する方法を開示する。しかし、このプロセスから得られるTMGの収率は低く、わずか50〜68%にすぎず、かつ得られるTMGの純度は議論されていない。
【0005】
中国特許出願公開第1872862号は米国特許第6,495,707号のプロセスに対する改良を開示し、その改良には、生じた気化したTMGは反応カラムからストリッピングカラムの底部に運ばれ、このストリッピングカラムは最上部の凝縮器セクションを有する。ストリッピングカラムの温度はTMGの沸点より高く保たれる。このストリッピングカラムの底部に窒素ガスも添加される。窒素ガスがこのストリッピングカラムを通って上方に移動するにつれて、その窒素ガスは気化したTMGをそれと共に運び、そして凝縮器セクションにおいて凝縮しないTMGの部分は窒素流れと共にストリッピングカラムの頂部からストリッピングカラムを出て、集められる。この改良されたプロセスは依然として比較的低収率(59%)でTMGを生じさせる。中国特許出願公開第1872862号に従って製造されるTMGは純度99.96%であることが開示されるが、これは多くの電子用途には依然として不充分な純度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,495,707号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1872862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非常に高純度で有機金属化合物を提供する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)液相の粗有機金属化合物を提供し;(b)第1の入口および第1の出口を伴う第1の部分、並びに第2の入口および第2の出口を伴う第2の部分を有するストリッピングカラムを提供し;(c)前記液相の粗有機金属化合物を前記第1の入口から前記ストリッピングカラムの第1の部分に供給し;(d)ガス流れを前記第2の入口から前記ストリッピングカラムの第2の部分に供給し;(e)前記粗有機金属化合物を、前記ストリッピングカラムを通して前記ガス流れの流れと反対に向かわせ;並びに(f)液相の精製された有機金属化合物を前記第2の出口から集める;ことを含む、有機金属化合物を精製する方法を提供する。前記ガス流れは有機金属化合物の流れの方向に対して反対方向に流れる。
【0009】
本発明は、(a)液相の粗有機金属化合物のソース;(b)ストリッピングガスのソース;(c)第1の入口および第1の出口を伴う第1の部分、並びに第2の入口および第2の出口を伴う第2の部分を有するストリッピングカラム;を含み、(d)前記第1の入口が前記粗有機金属化合物のソースと流体連通しており;(e)前記第2の入口が前記ストリッピングガスのソースと流体連通しており;並びに、(f)前記第2の出口が、精製された有機金属化合物のための受器(collector、receiver)と流体連通しており;前記ストリッピングカラムにおける前記粗有機金属化合物の流れが、前記ストリッピングカラムにおける前記ストリッピングガスの流れに対して反対である、有機金属化合物を連続的に精製するための装置をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の方法で使用するのに適する精製装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
他に示されない限りは、全ての量は重量パーセンテージであり、かつ全ての比率はモル比である。全ての数値範囲は包括的であり、かつそのような数値範囲が合計で100%になることに制約されることが明らかである場合を除いて任意に組み合わせ可能である。
【0012】
ある要素が別の要素の「上」にあると称される場合には、その要素が別の要素の直接上にあることができるか、または介在する要素がこれらの間に存在してもよいと理解される。これに対して、ある要素が別の要素の「直接上」にまたは「すぐ上」にあると称される場合には、介在する要素は存在していない。
【0013】
様々な要素、成分、領域、層、部分、またはセクションを説明するために、本明細書において第1の、第2の、第3のなどの用語が使用されうるが、これらの要素、成分、領域、層、部分、またはセクションはこれらの用語によって限定されるべきではないと理解される。これらの用語は1つの要素、成分、領域、層、部分、またはセクションを別の要素、成分、領域、層、部分、またはセクションと区別するだけのために使用される。よって、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層、部分、またはセクションは、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層またはセクションと称されることができる。
【0014】
さらに、「下部」または「底部」および「上部」または「頂部」のような相対的な用語が本明細書において、図面に示されうるような、1つの要素の別の要素に対する関連性を説明するために使用されうる。相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、その装置の別の向きも包含することを意図すると理解される。例えば、別の要素の「下部」側にあると説明される要素は、1つの図面における装置が上下逆にされる場合に、ひいてはその別の要素の「上部」側に位置付けられる。よって、典型的な用語「下部」は、その図面の具体的な方向に応じて「下部」および「上部」の方向を両方とも包含しうる。同様に、別の要素の「下」または「下方」と説明される要素は、1つの図面における装置が上下逆にされる場合に、ひいては、その別の要素の「上方」に位置付けられるであろう。よって、典型的な用語「下」または「下方」は、上および下の方向を両方とも包含しうる。
【0015】
用語「並流(cocurrent)」とは同じ方向の2つの流体の流れをいう。用語「向流(countercurrent)」とは、反対方向の2つの流体の流れをいう。「流体」とは、ガス、液体またはガスと液体との組み合わせをいう。「アルキル」には、直鎖、分岐および環式アルキルが挙げられる。用語「カラム」および「塔」は交換可能に使用される。「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素をいう。以下の略語は以下の意味を有するものとする:ppm=百万分率をいう;m=メートル;mm=ミリメートル;kPa=キロパスカル;hr=時間;およびpsi=ポンド/平方インチ。
【0016】
本発明は粗有機金属化合物を精製する方法を提供する。液相の粗有機金属化合物は、第1の入口および第1の出口を伴う第1の部分、並びに第2の入口および第2の出口を伴う第2の部分を有するストリッピングカラムに運ばれる。この粗液相有機金属化合物は第1の入口からストリッピングカラムの第1の部分に供給される。ガス流れは第2の入口からストリッピングカラムの第2の部分に供給される。この粗有機金属化合物は、ストリッピングカラムを通して、このガス流れの流れに対して反対に向かわせられ、すなわち、この液相有機金属化合物とガス流れとは向流の流れを有する。精製された有機金属化合物は第2の出口から集められる。本方法は、精製されるべき有機金属化合物と比較して、相対的により揮発性の不純物を有利に除去する。すなわち、本方法は、精製されるべき有機金属化合物と比較して、相対的により高い蒸気圧を有する不純物を除去する。
【0017】
図1は第1の部分12および第2の部分14を有するストリッピングカラム10を有する、本発明の方法で使用するのに適する装置の概略図である。ストリッピングカラム10は場合によっては、物質移動装置(mass transfer device)(示されていない)を含むことができる。第1の部分12は第1の入口15および第1の出口20を有する。第2の部分14は第2の入口25および第2の出口30を有する。第2の出口30は精製された有機金属化合物を受け取るための受器35と流体連通している。
【0018】
操作においては、液相の粗有機金属化合物は第1の入口15を経由してストリッピングカラム10の第1の部分12に運ばれ、ストリッピングカラム10を通って第2の部分14に向かわせられ、そして第2の出口30を通ってストリッピングカラムから出る。ガス流れは第2の入口25を経由してストリッピングカラム10の第2の部分14に運ばれ、ストリッピングカラム10を通って第1の部分12に向かわせられ、そして第1の出口20を経由してストリッピングカラムから出る。図1の装置においては、液相粗有機金属化合物は第1の部分12から第2の部分14の方に向かって下方に流れ、一方で、ガスは第2の部分14から第1の部分12に向かって上方に流れる。液相粗有機金属化合物およびガスは向流の流れを有する。第2の出口30から受器35に集められた有機金属化合物は、粗有機金属化合物が第1の入口15からストリッピングカラムに入る際の粗有機金属化合物と比較して、精製されている。
【0019】
ストリッピングカラム10は、精製されるべき有機金属化合物と反応しないであろう適切な材料から構成されることができる。適切な材料には、限定されないが、ガラス、例えば、ホウケイ酸ガラスおよびパイレックス(登録商標)ガラス;プラスチック、例えば、過フッ素化プラスチック、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン);石英または金属が挙げられる。金属が好ましく、特に適する金属には、限定されないが、ニッケル合金、およびステンレス鋼が挙げられる。適切なステンレス鋼には、限定されないが、304、304L、316、316L、321、347および430が挙げられる。適切なニッケル合金には、これに限定されないが、インコネル、モネルおよびハステロイ耐腐食性合金が挙げられる。ストリッピングカラムはガラスライニングステンレス鋼のような材料の混合物から構成されていて良い。ストリッピングカラムに適する材料の選択は充分に当業者の能力の範囲内のことである。
【0020】
ストリッピングカラムの寸法は重要ではなく、ストリッピングカラムはあらゆる適切な長さおよび直径を有することができる。このような長さおよび直径の選択は、精製されるべき粗有機金属化合物の体積、並びに液相粗有機金属化合物と不活性ガスとの間の望まれる接触量、当業者の能力の範囲内の他の要因などに応じて変化しうる。典型的な長さは1〜12m、より好ましくは1.5〜10m、さらにより好ましくは2〜8m、さらにより好ましくは2〜5mの範囲である。特に好ましい長さは、1.5、2、3、4、5、6、7、8および10mである。典型的な直径は、10mm〜3m、好ましくは15mm〜2m、より好ましくは15mm〜1m、さらにより好ましくは15〜500mm、さらにより好ましくは15mm〜250mm、より好ましくは25〜200mm、さらにより好ましくは25〜150mmの範囲である。特に好ましい直径は、10、15、20、25、30、35、40、50、75および100mmである。
【0021】
場合によっては、ストリッピングカラム10は1以上の熱伝達部分(図1には示されていない)を含むことができる。この熱伝達部分はストリッピングカラム10に沿ってどの部分に存在していてもよい。例えば、熱伝達部分は第1の部分12の一部分、第2の部分14、または第1および第2の部分の双方の一部分であってよい。この熱伝達部分には熱交換器、例えば、凝縮器、冷却装置およびヒーターが挙げられる。例えば、冷却装置は、有機金属化合物が液相のままであるようにカラムの温度を維持するために使用されうる。あるいは、有機金属化合物が相対的に低い融点の固体である場合には、有機金属化合物を液相に維持するためにヒーターが使用されうる。具体的な熱伝達部分の選択およびストリッピングカラムにおけるその位置は、ストリッピングカラムのサイズ、精製されるべき粗有機金属化合物の体積、粗有機金属化合物の温度、具体的な精製されるべき粗有機金属化合物、具体的な不純物および除去されるべき不純物の量、並びに当業者に知られている他の要因に応じて変化するであろう。熱伝達部分およびストリッピングカラムにおけるその位置のこのような選択は当業者の能力の範囲内のことである。
【0022】
ストリッピングカラムは、場合によっては、有機金属化合物と反応しないであろう適切な物質移動装置を含むことも可能である。このような物質移動装置はランダム充填、構造化充填、トレイまたはこれらの組み合わせであることができる。ランダム充填材料は様々な形状、例えば、これに限定されないが、バッフル、ビーズ、ロッド、チューブ、馬蹄形、プレート、環状、サドル状、ディスク、ソーサー、または任意の他の適切な形状、例えば、針状、十字形状、およびらせん状(コイルおよびスパイラル)などのいずれであってもよい。形状の混合が使用されても良い。使用されるランダム充填材料のサイズは多くの考慮事項、例えば、ストリッピングカラムのサイズ、および有機金属化合物から不純物を分離するのに望まれる理論段数などに応じて変化するであろう。適切なランダム充填材料は2mm以上のような様々なサイズ(例えば、直径)を有することができる。ランダム充填材料のサイズの適切な範囲は直径で2〜50mmである。構造化充填材料には、ワイヤガーゼ、波板、モノリシックハニカム、格子などが挙げられる。ワイヤガーゼは織られたまたは編まれたものであることができ、かつ穴あきおよび/または波形であることができる。波板は場合によっては穴が開けられているかおよび/またはテクスチャー化されていてよい。構造化充填がワイヤガーゼであることが好ましい。充填材料は均一なサイズのものであることができまたはサイズの混合であっても良い。様々なトレイが場合によっては本発明のストリッピングカラムに使用されて良い。典型的なトレイには、限定されないが、バッフル、フローティングバルブ、固定バルブ、シーブトレイ、デュアルフロートレイ、並流フロートレイ、などが挙げられる。カラム内の物質移動装置の種類、サイズ、量および位置の決定は充分に当業者の能力の範囲内のことである。物質移動装置は概して、ラシヒ(Raschig)、HATインターナショナル、コッホ−グリッシュ(Koch−Glitsch)、ACSセパレーションズ、およびサルザーケムテック(Sulzer Chemtech)のような様々なソースから入手可能である。
【0023】
物質移動装置は、精製されるべき有機金属化合物と反応しない適切な材料、または材料の混合物から構成されることができる。充填材料に有用な典型的な材料には、限定されないが、セラミックス、例えば、アルミナ、シリカ、アルミナシリケート、炭化ケイ素、および窒化ケイ素;ガラス、例えば、ホウケイ酸ガラス;石英;グラファイトボール、例えば、バッキー(Bucky)ボール;金属、例えば、上述のステンレス鋼およびニッケル合金、並びにチタンおよびジルコニウム;並びに熱硬化性プラスチックが挙げられる。ニッケルおよびクロムのような特定の金属は第13族有機金属化合物の分解を促進することが知られており、そして第13族有機金属化合物が精製される際に避けた方がよい。しかし、ニッケルまたはクロムを含む合金は第13族有機金属化合物が精製される際に使用されることができる。
【0024】
液相の粗有機金属化合物は第1の入口からストリッピングカラムの第1の部分に入る。液相で存在する粗有機金属化合物は本方法において適切に使用されうる。このような有機金属化合物には、精製工程中に使用される温度において液体である化合物が挙げられる。例えば、有機金属化合物が液体である場合には、それはその凝固点より高く、かつその沸点より低いどの温度においても本方法に従って精製されることができる。有機金属化合物の融点より高いがその沸点より低い温度までストリッピングカラムを適切に加熱することにより、相対的に低い融点の固体有機金属化合物が液相で精製されることができる。液体有機金属化合物が本方法に従って精製されるものである場合には、有機金属化合物がストリッピングカラムにおいて蒸発冷却により固化するのを妨げるようにストリッピングカラムを適切に加熱することが好ましい。好ましくは、液体有機金属化合物はその凝固点より5℃高い温度からその沸点より5℃低い温度で、より好ましくはその凝固点より10℃高い温度からその沸点より10℃低い温度で精製される。
【0025】
ストリッピングカラムの温度で固体または液体である有機金属化合物は溶媒中に溶解されて液相有機金属化合物を提供することができ、これは次いで本方法に従って精製される。適切な有機溶媒が使用されうる。有機溶媒が使用されうるが、ただし、それは有機金属化合物と反応せず、または有機金属化合物を不安定化させず、かつただし有機溶媒は除去されるべき不純物の蒸気圧より低い蒸気圧を有する。適切な溶媒は当業者に知られている。好ましい溶媒には、これに限定されないが、炭化水素、例えば、線状アルキルベンゼン、キシレン、メシチレン、ジュレン、キノリン、イソキノリン、インダン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、デカヒドロナフタレンおよびスクアラン;並びにイオン性液体が挙げられる。イオン性液体は、一般的には、100℃以下の融点を有し、低温で液体である塩である。イオン性液体は全体的にイオンからなり、および典型的にはイオン性液体は嵩高な有機カチオンおよび無機アニオンから構成される。これらの化合物における高いクーロン力のせいで、イオン性液体は、実質的には、蒸気圧を有さない。本発明においては、適切なイオン性液体は溶媒として使用されうる。イオン性液体に使用される典型的なカチオンには、これに限定されないが、ヒドロカルビルアンモニウムカチオン、ヒドロカルビルホスホニウムカチオン、ヒドロカルビルピリジニウムカチオンおよびジヒドロカルビルイミダゾリウムカチオンが挙げられる。本イオン性液体において有用な典型的なアニオンには、限定されないが、クロロメタラートアニオン;フルオロボラートアニオン、例えば、テトラフルオロボラートアニオン、およびヒドロカルビル置換フルオロボラートアニオン;並びに、フルオロホスファートアニオン、例えば、ヘキサフルオロホスファートアニオンおよびヒドロカルビル置換フルオロホスファートアニオンが挙げられる。典型的なクロロメタラートアニオンには、クロロアルミナートアニオン、例えば、テトラクロロアルミナートアニオンおよびクロロトリアルキルアルミナートアニオン;クロロガラートアニオン、例えば、クロロトリメチルガラートおよびテトラクロロガラート;クロロインダートアニオン、例えば、テトラクロロインダートおよびクロロトリメチルインダートが挙げられる。
【0026】
有機金属化合物を有機溶媒に溶解して液相を提供することは、他の方法では精製するのが困難な場合がある有機金属化合物を精製するために本方法が使用されるのを可能にする。例えば、トリメチルインジウムは88℃で溶融し、101〜103℃で爆発的に分解する。このことは、トリメチルインジウムがニート液体として分解することなく精製されうるには非常に小さな温度範囲しか残さない。しかし、トリメチルインジウムは溶液中で、例えば、スクアラン中で、125℃を超える温度で、長期間安定であることが知られている。トリメチルインジウムをスクアラン中に溶解することは、トリメチルインジウムを分解することなく本方法においてより大きな範囲の温度がストリッピングカラムにおいて使用されることを可能にする。180℃で溶融するジシクロペンタジエニルマグネシウムのようなある種の有機金属化合物は比較的高い融点であり、そして本方法に従って溶融物として精製するのが困難な場合がある。このような相対的により高い融点の有機金属化合物を溶媒中に提供することは、本方法に従った液相でこのような有機金属化合物の精製を可能にする。
【0027】
様々な有機金属化合物が本方法によって精製されうる。本明細書において使用される場合、「有機金属化合物」とは少なくとも1つの金属−炭素、金属−酸素、金属−窒素、または金属−リン結合を有する化合物をいう。適切な有機金属化合物は、第2族〜第14族から選択される、好ましくは第3族〜第14族から選択される、より好ましくは第3族〜第13族から選択される少なくとも1種の金属原子を含む。特に好ましい金属は、第3、4、5、8、9、10、11および13族のものであり、さらにより好ましくは第4、8、11および13族のものである。典型的な金属原子には、限定されないが、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズが挙げられる。好ましい金属原子には、マグネシウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムが挙げられる。金属原子が、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、ルテニウム、ローレンシウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、白金、パラジウム、銅、銀、金、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムであるのがより好ましく、さらにより好ましいのはマグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ルテニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムであり、さらにより好ましいのは、マグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムである。
【0028】
典型的な有機金属化合物は、式Rm−aL(式I)のものであり、式中、各Rは独立して、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C20)アリール(C−C10)アルキル、(C−C20)アルコキシ、(C−C10)カルバルコキシ(carbalkoxy)、アミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択され;各Xは独立してH、R、シアノおよびハロゲンから選択され;L=中性リガンド;a=R基の価数であって、かつ1以上の整数であり;M=第2族〜第14族金属;並びに、m=Mの価数である。「アミノ」基には、−NH、(C−C12)アルキルアミノ、およびジ(C−C12)アルキルアミノが挙げられる。好ましくは、アミノ基は−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノであり、より好ましくは、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノである。「ホスフィノ」基には、−PH、(C−C12)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C12)アルキルホスフィノが挙げられ、好ましくは−PH、(C−C)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C)アルキルホスフィノが挙げられ、より好ましくは−PH、(C−C)アルキルホスフィノ、およびジ(C−C)アルキルホスフィノが挙げられる。上記R基は、場合によっては、1以上の水素原子を1以上の置換基、例えば、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびアルコキシで置換えることによって置換されてよい。例えば、Rが(C−C20)アルキル基である場合には、この基はアルキル鎖内にカルボニルを含んでいても良い。適切な二価のリガンドには、限定されないが、β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、ホスホアミジナート、グアニジナート、β−ジケチミナート、2環式アミジナートおよび2環式グアニジナートが挙げられる。好ましい二価のリガンドには、β−ジケトナート、アミジナート、ホルムアミジナート、ホスホアミジナートおよびグアニジナートが挙げられる。具体的な金属原子に応じて、式IIの有機金属化合物は、場合によっては、1以上の中性リガンド(L)を含むことができる。この中性リガンドは全体的な電荷を有していない。中性リガンドには、限定されないが、CO、NO、窒素、アミン、エーテル、ホスフィン、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、ニトリル、アルケン、ジエン、トリエン、アルキンおよび芳香族化合物が挙げられる。式Iの有機金属化合物と、第三級アミンまたは第三級ホスフィンのようなアミンまたはホスフィンとの付加物は本発明によって企図される。
【0029】
好ましくは、式Iにおける各R基は独立して(C−C10)アルキル、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C15)アリール、(C−C10)アリール(C−C)アルキル、(C−C10)アルコキシ、(C−C10)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択され;より好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C10)アリール、(C−C)アリール(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択される。各Rが、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アリール、(C−C)アリール(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)カルバルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから独立して選択されることがさらに好ましく、さらにより好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アリール、(C−C)アルコキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから独立して選択される。
【0030】
好ましい有機金属化合物は式IIの構造を有する
(式II)Rn−xM2
式中、各Rは独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、(C−C10)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから選択され;各Xは独立してH、ハロゲン、(C−C10)アルコキシおよびRから選択され;M2は第2族、第4族または第13族金属であり;xはR基の価数であって、かつ整数であり;nはM2の価数であり;並びに1≦x≦nである。式IIの有機金属化合物と第三級アミンもしくは第三級ホスフィンのようなアミンもしくはホスフィンとの付加物は本発明によって企図される。各Rが独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから選択されることが好ましく、より好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから独立して選択される。Rとして好ましい基には、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、ブチル、tert−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、neo−ペンチル、ビニル、アリル、プロパルギル、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、ジメチルアミノプロピル、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ フェニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニルおよびペンタメチルシクロペンタジエニルが挙げられる。Xがハロゲンである場合には、塩素および臭素が好ましく、塩素がより好ましい。M2が第2族金属である場合には、x=1または2である。M2が第4族金属である場合には、x=1、2、3または4である。M2=第13族金属である場合には、x=1、2または3である。M2は好ましくは、マグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、インジウムまたはガリウムであり、より好ましくはアルミニウム、インジウムまたはガリウムである。
【0031】
好ましい有機金属化合物には、これに限定されないが、トリアルキルインジウム化合物、例えば、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、トリ−n−プロピルインジウム、トリ−イソ−プロピルインジウム、ジメチルイソ−プロピルインジウム、ジメチルエチルインジウム、ジメチルtert−ブチルインジウム、メチルジ−tert−ブチルインジウム、メチルジ−イソプロピルインジウム、およびトリ−第三級ブチルインジウム;トリアルキルインジウム−アミン付加物、例えば、トリアルキルインジウム−第三級アミン付加物;ジアルキルハロインジウム化合物、例えば、ジメチルインジウムクロリド;アルキルジハロインジウム化合物、例えば、メチルジクロロインジウム;シクロペンタジエニルインジウム;トリアルキルインジウム−トリアルキル−ホスフィン付加物、例えば、トリメチルインジウム−トリメチルホスフィン付加物;トリアルキルガリウム化合物、例えば、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリ−イソ−プロピルガリウム、トリ−tert−ブチルガリウム、ジメチルイソ−プロピルガリウム、ジエチルtert−ブチルガリウム、メチルジ−イソ−プロピルガリウム、ジメチルtert−ブチルガリウム、ジメチルneo−ペンチルガリウム、およびメチルエチルイソ−プロピルガリウム;トリアルキルガリウム−アミン付加物、例えば、トリアルキルガリウム−第三級アミン付加物;トリアルキルガリウム−ホスフィン付加物;アルキルジハロガリウム化合物、例えば、メチルジクロロガリウム、エチルジクロロガリウムおよびメチルジブロモガリウム;ジアルキルハロガリウム化合物、例えば、ジメチルガリウムクロリドおよびジエチルガリウムクロリド;トリアルキルアルミニウム化合物、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−イソ−プロピルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、ジメチルイソ−プロピルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジメチルtert−ブチルアルミニウム、メチルジ−tert−ブチルアルミニウム、およびメチルジ−イソ−プロピルアルミニウム;トリアルキルアルミニウム−アミン付加物、例えば、トリアルキルアルミニウム−第三級アミン付加物;ジアルキルハロアルミニウム化合物、例えば、ジメチルアルミニウムクロリドおよびジエチルアルミニウムクロリド;アルキルジハロアルミニウム化合物、例えば、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、およびエチルアルミニウムジブロミド;ジシクロペンタジエニルマグネシウム;金属ジアルキルアミド化合物、例えば、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウムおよびテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム;金属ベータ−ジケトナート、例えば、ハフニウムのベータジケトナート、ジルコニウムのベータジケトナート、タンタルのベータジケトナートおよびチタンのベータジケトナート;並びに金属アミジナート、例えば、銅のアミジナート、ランタンのアミジナート、ルテニウムのアミジナートおよびコバルトのアミジナートが挙げられる。このような有機金属化合物は、一般的には商業的に入手可能であり、または当該技術分野で既知の様々な手順によって製造されうる。例えば、第13族有機金属化合物は例えば、米国特許第5,756,786号;第6,680,397号;および第6,770,769号に説明される方法によって製造されうる。金属アミジナート化合物は、例えば、米国特許第7,638,645号および第7,816,550号に記載される方法によって製造されうる。
【0032】
ガス流れは第2の入口を経由してストリッピングカラムの第2の部分に運ばれ、そしてストリッピングカラムを通って第1の部分の方に向かわせられ、そして第1の出口を経由してストリッピングカラムから出る。ガス流れの流れは有機金属化合物の流れに対して反対向きである。場合によっては、このガスは加熱されても良い。様々なガス流量が使用されることができ、かつ当業者によって容易に決定される。この流れる不活性ガスは有機金属化合物から揮発性不純物を同伴するかまたは他の方法で取り出して、第1の出口からストリッピングカラムを出るようにこの揮発性不純物を不活性ガスと共に運ぶ。好ましくはこのガスは不活性である。有機金属化合物に対して不活性なガスが本発明において使用されうる。典型的な不活性ガスには、限定されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム、メタン、エタン、プロパンおよびCOが挙げられる。COは特定の有機金属化合物と複合体を形成する場合があるので、COはあらゆる有機金属化合物と共に使用するのには適していない場合があることが当業者によって認識されるであろう。このようなCO複合体は当業者に周知である。
【0033】
有機金属化合物はストリッピングカラムの第1の部分から第2の部分に向かって流れ、その一方で不活性ガスが反対方向に向流で流れる。第1の入口におけるストリッピングカラムに入る有機金属化合物と比べて、第2の出口からストリッピングカラムを出る有機金属化合物は精製されている。本明細書において使用される場合、「精製された有機金属化合物」とは、相対的により揮発性の不純物が除かれた有機金属化合物をいう。本方法によって得られた精製された有機金属化合物は、相対的により揮発性の不純物を低減された量でまたは非常に除かれた量で有する。本明細書において使用される場合、「相対的により揮発性」とは、ストリッピングカラムにおいて使用される条件下で有機金属化合物のよりも高い蒸気圧を有する不純物をいう。例えば、有機金属化合物が有機アルミニウム化合物、具体的にアルキルアルミニウム化合物、例えば、ジアルキルアルミニウムハライドまたはトリアルキルアルミニウムである場合には、相対的により揮発性のケイ素含有不純物が本方法によって除去される。精製された有機アルミニウム化合物はケイ素含有不純物を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、精製された有機金属化合物が、特定の不純物を5ppm未満、好ましくは3ppm未満、より好ましくは2ppm未満、さらにより好ましくは1ppm未満、さらにより好ましくは0.5ppm以下しか含まないことを意味する。好ましくは、精製された有機金属化合物は、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズから選択される金属不純物を0.5ppm以下しか含まない。
【0034】
本方法が相対的により揮発性の不純物を除去するので、本方法により得られた精製された有機金属化合物は、必要に応じて、さらに精製されることができて、例えば、相対的に低い揮発性の不純物を除去することができる。用語「相対的に低い揮発性」とは、精製されるべき有機金属化合物よりも低い蒸気圧を有する不純物をいう。有機金属化合物のさらなる精製のために、従来の技術、例えば、蒸留または昇華などが使用されることができる。このようなさらなる精製技術は当該技術分野において周知である。
【0035】
ストリッピングカラムを通る有機金属化合物とガス流れの向流の流れは粗有機金属化合物の連続精製のための方法を提供する。しかし、本方法はバッチ精製方法においても使用されうる。
【0036】
本発明の精製された有機金属化合物は、高純度有機金属化合物の使用を要求する様々な用途に、例えば、特定の触媒用途に、および発光ダイオードのような電子デバイスの製造に使用されることができる。本発明の精製された有機金属化合物は他の有機金属化合物の製造における中間体として使用されることも可能である。
【実施例】
【0037】
実施例1
以下の表は、本方法に従って精製される様々な有機金属化合物を示す。適切な有機溶媒はこのような溶媒が必要とされる場合に表示される。
【0038】
【表1】

略語は以下の意味を有する:LAB=線状アルキルベンゼン;Cp=シクロペンタジエニル;TDMA=テトラキス(ジメチルアミノ)すなわち[(CHN];および、TEMA=テトラキス(エチルメチルアミノ)すなわち[(CH)(CHCH)N]
【0039】
実施例2
わずかに過剰なトリプロピルアミンを伴うトリメチルアルミニウム−トリプロピルアミン付加物(TMA−TPA)からなる流れが、インテグラル凝縮器を備えた充填されたストリッピング塔の頂部セクションに、42単位/hrの流量でかつ136℃の温度で供給された。窒素ガス流れが2単位/hrの流量で周囲温度条件で、このストリッピング塔の底部に向流となるように流された。このストリッピング塔圧力は、大気圧より7〜14kPa(1〜2psi)大きい圧力に制御され、そして凝縮器は65〜75℃の温度を有する排出ガス流れを生じさせるように操作された。ストリッピング塔は24時間より長く主として連続的に運転され、ケイ素含有不純物を0.5ppm未満しか含んでおらずかつ測定可能な揮発性炭化水素の濃度が低減された液体TMA−TPA流れを生じさせた。相対的により揮発性の不純物の90%を超える除去効率が達成された。
【0040】
実施例3
TMA−TPAがTEMAZrで置換えられ、かつヘリウムがガス流れとして使用されることを除いて、実施例2の手順が繰り返される。ストリッピング塔の温度はTEMAZrが液体のままであるように維持される。
【0041】
実施例4
TMA−TPAがLABに溶解された(CHGaで置換えられることを除いて、実施例2の手順が繰り返される。ストリッピング塔の温度は110℃以下に維持される。
【0042】
実施例5
TEMAZrがTDMAHfで置換えられることを除いて、実施例3の手順が繰り返される。ストリッピング塔の温度は40℃以上に維持される。
【0043】
実施例6
TMA−TPAがスクアランに溶解された(CHInで置換えられ、ヘリウムがガスとして使用され、かつストリッピング塔の温度が120℃以下、好ましくは100℃以下に維持されることを除いて、実施例2の手順が繰り返される。
【0044】
実施例7
LABに溶解された(CHGaがスクアランに溶解されたCpMgで置換えられ、かつメタンがガスとして使用されることを除いて、実施例4の手順が繰り返される。ストリッピング塔の温度は175℃以下に維持される。
【符号の説明】
【0045】
10 ストリッピングカラム
12 第1の部分
14 第2の部分
15 第1の入口
20 第1の出口
25 第2の入口
30 第2の出口
35 受器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)液相の粗有機金属化合物を提供し;
(b)第1の入口および第1の出口を伴う第1の部分、並びに第2の入口および第2の出口を伴う第2の部分を有するストリッピングカラムを提供し;
(c)前記液相の粗有機金属化合物を前記第1の入口から前記ストリッピングカラムの第1の部分に供給し;
(d)ガス流れを前記第2の入口から前記ストリッピングカラムの第2の部分に供給し;
(e)前記粗有機金属化合物を、前記ストリッピングカラムを通して前記ガス流れの流れと反対に向かわせ;並びに
(f)液相の精製された有機金属化合物を前記第2の出口から集める;
ことを含む、有機金属化合物を連続的に精製する方法。
【請求項2】
工程(a)の前記粗有機金属化合物が有機溶媒に溶解されている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粗有機金属化合物がマグネシウム、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムから選択される1種以上の原子原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粗有機金属化合物が式 Rm−aLを有し、
式中、各Rは独立して、(C−C20)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C20)アリール(C−C10)アルキル、(C−C20)アルコキシ、(C−C10)カルバルコキシ、アミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ホスフィノおよび二価のリガンドから選択され;各Xは独立してH、R、シアノおよびハロゲンから選択され;L=中性リガンド;a=R基の価数であって、かつ1以上の整数であり;M=第2族〜第14族金属;並びに、m=Mの価数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粗有機金属化合物が式 Rn−xM2を有し、
式中、各Rは独立して、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、(C−C10)アリール、−NH、(C−C)アルキルアミノ、およびジ(C−C)アルキルアミノから選択され;各Xは独立してH、ハロゲン、(C−C10)アルコキシおよびRから選択され;M2は第2族、第4族または第13族金属であり;xはR基の価数であって、かつ整数であり;nはM2の価数であり;並びに1≦x≦nである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において前記粗有機金属化合物が加熱される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記精製された有機金属化合物が、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズから選択される金属不純物を0.5ppm以下しか含まない請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス流れが不活性である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス流れが窒素、アルゴン、ヘリウム、メタン、エタン、プロパンおよびCOから選択される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ストリッピングカラムが熱伝達ゾーンをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ストリッピングカラムが物質移動装置をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記物質移動装置がランダム充填、構造化充填、トレイおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)液相の粗有機金属化合物のソース;
(b)ストリッピングガスのソース;
(c)第1の入口および第1の出口を伴う第1の部分、並びに第2の入口および第2の出口を伴う第2の部分を有するストリッピングカラム;
を含み、
(d)前記第1の入口が前記粗有機金属化合物のソースと流体連通しており;
(e)前記第2の入口が前記ストリッピングガスのソースと流体連通しており;並びに、
(f)前記第2の出口が、精製された有機金属化合物のための受器と流体連通しており;
前記ストリッピングカラムにおける前記粗有機金属化合物の流れが、前記ストリッピングカラムにおける前記ストリッピングガスの流れに対して反対である、
有機金属化合物を連続的に精製するための装置。
【請求項14】
前記ストリッピングカラムが熱伝達ゾーンをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ストリッピングカラムが物質移動装置をさらに含む請求項13に記載の装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−32354(P2013−32354A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−156138(P2012−156138)
【出願日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】