説明

有機金属化合物精製

【課題】有機金属化合物を精製する方法の提供。
【解決手段】有機金属化合物をトリアルキルアルミニウム化合物および触媒の存在下で加熱することにより有機金属化合物を精製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物の分野に関する。特に、本発明は、有機金属化合物、特に金属含有フィルムの気相堆積において使用されるものの精製の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有化合物は、金属薄膜の成長のための供給源などの様々な用途において使用される。このような化合物の利用の一つは、半導体などの電子装置の製造においてである。多くの半導体材料は、超高純度有機金属化合物を用いる、よく確立された堆積技術、例えば、有機金属気相エピタキシー(「MOVPE」)、有機金属分子線エピタキシー(「MOMBE」)、有機金属化学気相堆積法(「MOCVD」)および原子層堆積(「ALD」)を使用して製造される。これらのプロセスにおいて有用であるためには、有機金属化合物は、汚染物質および/または有害な不純物を含まないものでなければならない。除去されないならば、有機金属供給源中に存在するこのような不純物は、電子装置の電子および/または光電子工学特性に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
ケイ素および酸素は、どちらも、特にIII族−V族(「III−V」)およびII族−VI族(「II−VI」)化合物半導体の成長において有害な不純物である。ケイ素は、III−V化合物半導体の結晶格子においてこれが占める部位に応じて、n型またはp型ドーパントのいずれかとして作用し得る。微量のケイ素(1ppm程度の低いレベル)の存在は、堆積されたフィルムにおける合計キャリア濃度、そしてその後にこれらのフィルムから構成される装置の性能に関して、深刻な影響を及ぼし得る。酸素の取り込みは、製造された装置、特にAlGaAs化合物を含有するもののキャリア寿命および光学効率に影響を及ぼし得る。ケイ素および酸素は、一般に、典型的な有機金属合成において用いられる無機薬剤および/または有機溶媒中に存在する。これらの不純物は、その沸点および揮発度が目的の有機金属化合物のそれらと非常に近似しているので、一旦取り込まれると、有機金属化合物から分離することが非常に困難である。
【0004】
米国特許第5,783,717号(Ohsakiら)は、有機金属化合物を式X6−qAl(式中、Xは塩素であり、Rは1〜3個の炭素を有するアルキルであり、およびqは1〜5の整数である)の塩化アルミニウム化合物と混合することにより、酸素含有不純物を有機金属化合物から除去する方法を開示している。この方法は、有機金属化合物純度についての現在の産業界の要件を満たす十分な酸素含有不純物を有効に除去しない。
【特許文献1】米国特許第5,783,717号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、酸素含有不純物のレベルが減少した有機金属化合物を提供することにより、従来の精製法の問題を解決する。加えて、本発明は、従来の精製法を用いて得られるものと比較して、ケイ素含有不純物のレベルが減少した有機金属化合物を提供する。一具体例において本発明は、酸素含有不純物を実質的に含まず、且つケイ素含有不純物を実質的に含まない有機金属化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
「アルキル」とは、直鎖、分岐鎖および環状アルキルを指す。同様に、「アルケニル」および「アルキニル」とは、それぞれ、直鎖、分岐鎖および環状アルケニルおよびアルキニルを指す。本明細書において用いられる場合、以下の略語は次の意味を有する:%wt=重量%;g=グラム;ppm=百万分の1部;cm=センチメートル。全てのパーセンテージは特に他に記載しない限り重量基準である。すべての数値範囲は境界値を包含し、かかる数値範囲が合計して100%までに制限されることが明らかである場合を除いて、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0007】
本発明の一態様は、酸素含有不純物の量が減少した有機金属化合物を提供することであるので、本明細書に記載される全ての操作は、典型的には不活性雰囲気中、例えば窒素またはアルゴン中で行われる。
【0008】
本発明は、有機金属化合物を精製する方法であって、i)a)非対称ジメチルヒドラジンおよび式Rn−1の化合物(式中、Rは、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニルおよびアリールから選択され;各Rは独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、アリールおよびハロゲンから選択され;Mは、IIA族〜VIA族の金属であり;nはMの価数である)から選択される有機金属化合物;およびb)式R3−Xのアルキル−金属化合物(式中、Rは、(C−C20)アルキルであり;各Rは独立して、水素およびハロゲンから選択され;Mは、IIIA族金属であり;xは1〜3の整数である)および触媒化合物を含む精製組成物、を含む混合物を提供し;並びにii)前記混合物を加熱することを、含む方法を提供する。本発明の方法は、有機金属化合物中に存在する酸素含有およびケイ素含有不純物のレベルを減少させるために有用である。
【0009】
種々様々な有機金属化合物を本発明の方法に従って精製することができる。かかる有機金属化合物には、非対称ジメチルヒドラジンおよび式(I)Rn−1の化合物(式中、Rは、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニルおよびアリールから選択され;各Rは独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、アリールおよびハロゲンから選択され;Mは、IIA族〜VIA族の金属であり;nはMの価数である)が包含されるが、他の有機金属化合物を有利に精製することができる。Mは、IIA、IIIA、IVA、VAおよびVIA族の任意の金属である。本出願において用いられる場合、「金属」なる用語には、VA族の元素、すなわち、メタロイドであるリン、ヒ素、アンチモンおよびビスマスが包含されることが意図される。一具体例において、Mは、IIIA族、IVA族およびVA族金属から選択される。もう一つ別の具体例において、Mは、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ホウ素、亜鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマスおよびテルルから選択される。
【0010】
本発明の方法に従って精製することができる有機金属化合物の例としては、これらに限定されないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−イソ−ブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ジ−イソ−プロピルメチルインジウム、イソプロピルジメチルインジウム、トリエチルホウ素、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−イソプロピルテルリド、ジエチルテルリド、ジエチルセレニド、ジ−イソ−プロピルセレニド、トリメチルヒ素、トリメチルアンチモン、トリエチルアンチモン、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム、tert−ブチルホスフィン、エチルアルシン、tert−ブチルアルシン、ビスホスフィノエタン、トリス(ジメチルアミノ)スチビン、トリス(ジメチルアミノ)アルシン、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、テトラキス(ジメチルアミノ)シラン、テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマン、ジメチルアミノプロピルジメチルアルミニウム、イソブチルゲルマン、トリフェニルホスフィン、フェニル−ビス−(2−ジメチルアミノフェニル)ホスフィンおよびフェニル−ビス−(4−ジメチルアミノ)ホスフィンが挙げられる。有機金属化合物の混合物も本発明の方法に従って精製することができる。
【0011】
本発明の方法において、精製される有機金属化合物を、アルキル−金属化合物および触媒を含む精製組成物と接触させる。ここにおいて、アルキル−金属化合物と触媒は異なる。アルキル−金属化合物と有機金属化合物は異なる。同様に、触媒と有機金属化合物は異なる。アルキル−金属化合物は、式(II)R3−xの化合物であり、式中、Rは(C−C20)アルキルであり;各Rは独立して、水素およびハロゲンから選択され;MはIIIA族金属であり;xは1〜3の整数である。種々様々なアルキル−金属化合物を好適に使用することができる。一具体例において、アルキル−金属化合物は、(C−C)アルキル−IIIA族金属化合物である。もう一つ別の具体例において、アルキル−金属化合物は、トリアルキル−IIIA族金属化合物、典型的には、トリ(C−C)アルキル−IIIA族金属化合物である。アルキル−金属化合物の例としては、これらに限定されないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、ジメチルガリウムクロリド、トリメチルガリウム、トリエチルインジウムおよびトリメチルインジウムが挙げられる。アルキル−金属化合物の混合物も使用することができる。一具体例において、アルキル−金属化合物のアルキル基は、有機金属化合物中に存在するアルキル基と同じである。もう一つ別の具体例において、MおよびMがどちらもアルミニウムである場合、M上、すなわち、アルキル−金属化合物上のアルキル基は、M、すなわち、有機金属化合物上のものよりも、より高級のアルキル基であるのが好ましい。「より高級のアルキル基」とは、比較されるアルキル基よりも少なくとも1個多い炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0012】
触媒は、精製される有機金属化合物のアルコキシル交換(transalkoxylation)を向上させる、塩を包含する様々な化合物の任意のものであり得る。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、触媒は、有機金属化合物の酸素含有不純物、すなわちMも含有する酸素含有不純物、からアルキル−金属化合物へのアルコキシ基の移動を促進する働きをすると考える。好適な触媒には、これらに限定されないが、IA、IIA、およびVA族金属の化合物および塩が包含される。かかる触媒には、典型的には、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、およびジアルキルアミノアルキルから選択される1以上の基が包含される。アリール基は、例えば、1以上の水素を1以上の置換基、例えば、ハロゲン、シアノ、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルで置き換えることにより置換することができる。典型的には、触媒には酸素置換がない。触媒の例には、これらに制限されることはないが、リチウムジメチルアミド、tert−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、二塩化カルシウム、二フッ化バリウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、およびトリス(ジメチルアミノ)アルミニウムが挙げられる。触媒の混合物を使用することができる。
【0013】
精製組成物におけるアルキル−金属化合物と触媒の重量比は広範囲にわたって変化し得る。典型的には、アルキル−金属化合物と触媒の重量比は、10:1〜1:10である。さらに典型的には、該重量比は5:1〜1:5である。
【0014】
有機金属化合物、アルキル−金属化合物および触媒を任意の順序で組み合わせることができる。一具体例において、精製組成物は、まず、アルキル−金属化合物および触媒を組み合わせることにより調製することができ、次いで組成物を有機金属化合物と組み合わせることがでる。あるいは、アルキル−金属化合物および触媒をそれぞれ別々に、連続的かまたは同時のいずれかで有機金属に添加することができる。一般に、精製組成物は、有機金属化合物の重量基準で0.1〜10重量%の量で存在する。典型的には、精製組成物は、0.2〜8重量%の量で存在する。
【0015】
有機金属化合物をアルキル−金属化合物および触媒と組み合わせた後、混合物を加熱する。具体的な加熱温度は、用いられる有機金属化合物、アルキル−金属化合物および触媒に依存する。典型的には、かかる温度は、有機金属化合物が分解する温度よりも低い。温度の例としては、これらに限定されないが、30〜175℃の範囲が挙げられる。さらに典型的には、好適な温度は50〜150℃、さらに一層典型的には、70〜80℃である。加熱工程の期間は、例えば5分〜5時間のように広範囲にわたって変化し得るが、さらに短い時間または長い時間を用いることもできる。さらに典型的には、加熱工程は、15分〜5時間であり、さらに典型的には30分〜4時間、特に1〜2時間である。かかる加熱工程は、有機金属化合物中の不純物レベルの減少を促進する。
【0016】
加熱工程後、精製された有機金属化合物をアルキル−金属化合物および触媒から分離する。かかる分離は、任意の好適な技術、例えば、これらに限定されないが、蒸留または昇華により行うことができる。他の分離技術、例えば再結晶などを使用することができる。これらの分離技術は当業者にはよく知られている。
【0017】
減少したレベルの酸素含有不純物および減少したレベルのケイ素含有不純物を有する有機金属化合物を本発明の方法により得ることができる。一具体例において、精製された有機金属化合物は、酸素含有不純物を実質的に含まない。「酸素含有不純物を実質的に含まない」とは、精製された有機金属化合物が0.05ppm以下の酸素含有不純物を含有することを意味する。もう一つ別の具体例において、精製された有機金属化合物は、ケイ素含有不純物を実質的に含まない。すなわち、精製された有機金属化合物は0.03ppm以下のケイ素含有不純物を含有する。典型的には、精製された有機金属化合物は、酸素含有不純物およびケイ素含有不純物のどちらも実質的含有しない。不純物のレベルは、酸素含有不純物の場合には、通常のフーリエ変換核磁気共鳴(「FT−NMR」)分光分析により決定することができ、金属不純物の場合には、通常の誘導結合プラズマ(「ICP」)分析により決定することができる。本発明の方法により得られる精製された有機金属化合物は、典型的には、99.9999%以上の純度である。
【0018】
本発明の精製された有機金属化合物は、例えば音声/データ通信、発光ダイオード(「LED」)、およびDVD用途において使用される高性能装置を製造するためのMOCVD用途をはじめとする、高純度の有機金属化合物の使用を必要とする様々な用途において用いることができる。さらに、これらの精製された有機金属化合物の多くは、他の有機金属化合物の製造において、アルキル化薬剤として使用することができる。例えば、精製されたトリメチルアルミニウムは、ケイ素含有および酸素含有不純物のレベルが実質的に低いトリメチルインジウムを製造するために使用することができ、精製されたトリエチルアルミニウムは、ケイ素含有および酸素含有不純物のレベルが実質的に低いトリエチルガリウムを製造するために使用することができる。本発明の利点は、有機金属薬剤に必要な精製工程の数の減少、例えば、原材料および/または最終製品の蒸留の回数の減少をもたらすことである。従って、本発明はサイクル時間を著しく減少させ、これは関連する労力および全製造コストの量の全体的な減少につながる。
【0019】
次の実施例は、本発明の様々な態様を説明するものと期待される。
【実施例】
【0020】
実施例1
AlCl(1g)およびトリエチルアルミニウム(3g)を独立して、磁気撹拌棒を備えた丸底三口フラスコ中のトリエチルホウ素(200g)に添加した。トリエチルホウ素は、FT−NMR分析に基づき、294ppmの酸素化不純物を含有していることがわかっていた。混合物を60℃で1時間加熱し、次いで30cm充填カラムおよび部分テイクオフヘッド(partial take−off head)を通して大気圧で蒸留した。40gの前留分をとり、故意に捨て、前留分の最後のヘッド温度は95.1℃であった。その後の130gのメインフラクションが次に得られ、95.1℃の一定のヘッド温度が観察された。テイル(tail)フラクションは約30gであることが判明した。FT−NMRによるメインフラクションの分析により、酸素不純物は検出不可能(すなわち、0.05ppm未満)であることがわかった。精製されたトリエチルホウ素のICP技術による分析により、次の金属不純物は無いことがわかった:Al、Be、Ca、Cd、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Pb、Si(0.03ppm未満)、Sn、Sr、およびZn。
【0021】
実施例2
酸素含有不純物およびケイ素含有不純物を含むトリエチルアルミニウム(EtAl)を蒸留フラスコに添加する。トリ−イソ−ブチルアルミニウム(EtAlの重量基準で2〜5%)および三塩化アルミニウム(EtAlの重量基準で1%)を連続的に撹拌しながら蒸留フラスコに添加する。混合物を3時間約120℃に加熱し、その後、混合物を室温に冷却する。次に、真空を適用して、減圧で分別蒸留を行う。約15重量%の前留分をとり、少なくとも15重量%がテイルフラクションとして残る。酸素含有不純物およびケイ素含有不純物を実質的に含まない精製されたトリエチルアルミニウムが予想される。
【0022】
実施例3
蒸留塔および還流ヘッドを備えた5リットルのステンレス鋼製リボイラー(reboiler)を準備する。これに、300gのトリエチルアルミニウムを添加する。トリ−n−プロピルアルミニウム(10g)および三塩化インジウム(5g)を次に添加し、これは約5重量%に相当する。混合物を約120℃に加熱し、3時間撹拌し、その後、冷却する。冷却すると、システムを完全な真空下に置き、次に徐々に加熱して、穏やかな還流をもたらす。システムを約1時間還流させる。約15重量%の前留分(〜40g)をとる。メインフラクションを次に集める。約15重量%の混合物がテイルフラクションとして残る。メインフラクションをICP−発光分光分析(ICP−OES)およびFT−NMRにより分析する。精製されたトリエチルアルミニウムは酸素含有不純物およびケイ素含有不純物を実質的に含まないと予想される。
【0023】
実施例4
トリエチルアルミニウムを250gのジエチル亜鉛と置き換える以外は実施例2の手順を繰り返す。添加されるトリ−イソ−ブチルアルミニウムの量は10gであり、添加される三塩化アルミニウムの量は3gである。さらに、2gのフッ化カリウムを添加する。蒸留後、酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたジエチル亜鉛が得られると予想される。
【0024】
実施例5
トリエチルアルミニウムを200gのトリエチルガリウムと置き換え、10gのトリイソブチルアルミニウムを使用し、三塩化インジウムを2gの三塩化ガリウムと置き換える以外は実施例3の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたトリエチルガリウムが得られると予想される。
【0025】
実施例6
ジエチル亜鉛を220gの非対称ジメチルヒドラジンと置き換える以外は実施例4の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製された非対称ジメチルヒドラジンが得られると予想される。
【0026】
実施例7
トリエチルアルミニウムを300gのトリメチルヒ素と置き換え、14gのトリメチルアルミニウムを使用し、三塩化インジウムを4gのフッ化ナトリウムおよび2gの三臭化アルミニウムと置き換える以外は実施例2の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたトリメチルヒ素が得られると予想される。
【0027】
実施例8
トリエチルアルミニウムを275gのトリメチルアンチモンと置き換え、12gのトリメチルアルミニウムを使用する以外は実施例3の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたトリメチルアンチモンが得られると予想される。
【0028】
実施例9
ジエチル亜鉛を280gのトリメチルビスマスと置き換え、13gのトリ−イソ−ブチルアルミニウムを添加し、三塩化アルミニウムを5gの塩化カリウムおよび2gの三ヨウ化アルミニウムと置き換える以外は実施例4の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたトリメチルビスマスが得られると予想される。
【0029】
実施例10
トリエチルアルミニウムを290gのトリエチルアンチモンと置き換え、15gのトリ−n−プロピルアルミニウムを使用し、三塩化インジウムを5gの三塩化アルミニウムと置き換える以外は実施例3の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたトリエチルアンチモンが得られると予想される。
【0030】
実施例11
トリエチルアルミニウムを200gのジ−イソプロピルテルルと置き換え、10gのトリメチルアルミニウムを使用し、三塩化アルミニウムを3gのトリス(ジメチルアミノ)アルミニウムと置き換える以外は実施例2の手順を繰り返す。酸素含有不純物およびケイ素不純物を実質的に含まない精製されたジ−イソプロピルテルルが得られると予想される。
【0031】
実施例12
トリエチルアルミニウムをトリメチルアルミニウムと置き換える以外は実施例2の手順を繰り返す。
【0032】
実施例13
次の有機金属化合物、触媒化合物およびアルキル−金属化合物を使用する以外は実施例1の手順を繰り返す。
【0033】
【表1】

【0034】
前記表において、化合物およびリガンドについて次の略号が使用される:BPE=ビスホスフィノエタン、DIPMeIn=ジ−イソプロピルメチルインジウム、TDMAAs=トリス(ジメチルアミノ)ヒ素、TDMASb=トリス(ジメチルアミノ)アンチモン、TBA=ターシャリーブチルアルシン、TMAl=トリメチルアルミニウム、TEAl=トリエチルアルミニウム、TIPAl=トリイソプロピルアルミニウム、TNPAl=トリ−n−プロピルアルミニウム、TMIn=トリメチルインジウム、TDMAGe=テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマニウム、IBGe=イソブチルゲルマン、TMGe=テトラメチルゲルマニウム、TDMASi=テトラキス(ジメチルアミノ)ケイ素、DMAPDMAl=ジメチルアミノプロピルジメチルアルミニウム、DIPSe=ジ−イソプロピルセレニド、TEMAHf=テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機金属化合物を精製する方法であって、
i)a)非対称ジメチルヒドラジンおよび式Rn−1の化合物(式中、Rは、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニルおよびアリールから選択され;各Rは独立して、水素、(C−C20)アルキル、(C−C12)ジアルキルアミノ、(C−C12)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、ジ(C−C20)アルキルアミノ(C−C12)アルキル、(C−C20)アルケニル、(C−C20)アルキニル、アリールおよびハロゲンから選択され;Mは、IIA族〜VIA族の金属であり;nはMの価数である)から選択される有機金属化合物;および
b)式R3−Xのアルキル−金属化合物(式中、Rは、(C−C20)アルキルであり;各Rは独立して、水素およびハロゲンから選択され;Mは、IIIA族金属であり;xは1〜3の整数である)および触媒化合物を含む、精製組成物;
を含む混合物を提供し;並びに
ii)該混合物を加熱すること
を含む方法。
【請求項2】
触媒化合物が、IA族、IIA族、IIIA族またはVA族金属を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒化合物がさらに、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、およびジアルキルアミノアルキルから選択される基を含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
触媒化合物が、リチウムジメチルアミド、tert−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウム、三塩化ガリウム、三塩化インジウム、二塩化カルシウム、二フッ化バリウム、テトラメチルアンモニウムフルオリド、およびトリス(ジメチルアミノ)アルミニウムから選択される請求項1記載の方法。
【請求項5】
精製組成物が、有機金属化合物の重量基準で0.1〜10重量%の量で存在する請求項1記載の方法。
【請求項6】
アルキル−金属化合物と触媒化合物が10:1〜1:10の重量比で存在する請求項1記載の方法。
【請求項7】
がアルミニウムである請求項1記載の方法。
【請求項8】
が、IIIA族金属、IVA族金属およびVA族金属から選択される請求項1記載の方法。
【請求項9】
アルキル−金属化合物が、IIIA族トリアルキル化合物である請求項1記載の方法。
【請求項10】
精製組成物から有機金属化合物を取り除く工程をさらに含む請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2007−137883(P2007−137883A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−311645(P2006−311645)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】