説明

有機金属錯体、発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置

【課題】緑色から青色の波長域により幅広い発光スペクトルを有する新規な有機金属錯体を提供する。該有機金属錯体を用いた発光素子、該発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置を提供する。
【解決手段】一般式(G1)で表される有機金属錯体を提供する。一般式(G1)で表される有機金属錯体は、緑色から青色の波長域に幅広い発光スペクトルを有する新規な有機金属錯体である。さらに、該有機金属錯体を含む発光素子、該発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機金属錯体に関する。特に、三重項励起状態を発光に変換できる有機金属錯体に関する。また、該有機金属錯体を用いた発光素子、発光装置、電子機器、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光性の有機化合物や無機化合物を発光材料として用いた発光素子の開発が盛んである。特に、EL(Electro Luminescence)素子と呼ばれる発光素子の構成は、電極間に発光材料を含む発光層を設けただけの単純な構造であり、薄型軽量化できる、入力信号に高速に応答できる、直流低電圧駆動が可能であるなどの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、このような発光素子を用いたディスプレイは、コントラストや画質に優れ、視野角が広いという特徴も有している。さらに、これらの発光素子は面状光源であるため、液晶ディスプレイのバックライトや照明等の光源としての応用も考えられている。
【0003】
発光物質が発光性の有機化合物である場合、発光素子の発光機構は、キャリア注入型である。すなわち、電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から注入された電子及びホール(正孔)が再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。そして、励起状態の種類としては、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)が可能である。また、発光素子におけるその統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
【0004】
発光性の有機化合物は通常、基底状態が一重項状態である。したがって、一重項励起状態(S)からの発光は、同じ多重度間の電子遷移であるため蛍光と呼ばれる。一方、三重項励起状態(T)からの発光は、異なる多重度間の電子遷移であるため燐光と呼ばれる。ここで、蛍光を発する化合物(以下、蛍光性化合物と称す)は室温において、通常、燐光は観測されず蛍光のみが観測される。したがって、蛍光性化合物を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、S:T=1:3であることを根拠に25%とされている。
【0005】
一方、燐光性化合物を用いれば、内部量子効率は75〜100%にまで理論上は可能となる。つまり、蛍光性化合物に比べて3〜4倍の発光効率が可能となる。このような理由から、高効率な発光素子を実現するために、燐光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている。特に、燐光性化合物としては、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されており、例えば、特許文献1には、緑色から青色の波長域の発光を示す有機金属錯体が燐光材料として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−137872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、緑色や青色の発光を示す燐光材料の報告は多くはなく、高い発光効率を実現できる緑色や青色の発光を示す燐光材料が求められている。
【0008】
さらに、従来よりも広い範囲で緑色から青色の波長域の発光を示す燐光材料を用いることで、従来よりも演色性の高い発光素子を実現することができる。例えば、有機金属錯体を2色の光源から白色光を生成する照明装置に用いた場合は、一方の光源として用いる有機金属錯体がより広い発光スペクトルを有すると演色性も高く好ましい。また、2色の光源で白色光を生成する発光素子に限らず、演色性の高い発光素子が作製可能になる。
【0009】
したがって、本発明の一態様は、緑色から青色の波長域により幅広い発光スペクトルを有する新規な有機金属錯体を提供することを目的の一とする。又は、該有機金属錯体を用いた発光素子、該発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を配位子とし、イリジウムを中心金属とする有機金属錯体である。具体的な、本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機金属錯体である。
【0011】
【化1】

【0012】
式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0013】
特に、式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表すことが好ましい。
【0014】
本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機金属錯体である。
【0015】
【化2】

【0016】
式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜R10は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0017】
上記有機金属錯体において、Rがメチル基であると異性体ができず、目的物の収率が向上するため、好ましい。
【0018】
また、本発明の一態様は、一対の電極間に上記の有機金属錯体を有する発光素子である。特に、上記の有機金属錯体を発光層に含むことが好ましい。
【0019】
上記発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置も本発明の範疇に含めるものとする。なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、光源を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様は、緑色から青色の波長域により幅広い発光スペクトルを有する新規な有機金属錯体を提供することができる。本発明の一態様は、該有機金属錯体を用いた発光素子、該発光素子を用いた発光装置、電子機器、及び照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一態様の発光素子について説明する図。
【図2】構造式(100)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。
【図3】構造式(100)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
【図4】パッシブマトリクス型の発光装置を示す図。
【図5】パッシブマトリクス型の発光装置を示す図。
【図6】アクティブマトリクス型の発光装置を示す図。
【図7】電子機器について説明する図。
【図8】照明装置について説明する図。
【図9】実施例の発光素子について説明する図。
【図10】構造式(104)に示す有機金属錯体のH NMRチャート。
【図11】構造式(104)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
【図12】本発明の一態様である発光素子の電流密度−輝度特性。
【図13】本発明の一態様である発光素子の電圧−輝度特性。
【図14】本発明の一態様である発光素子の輝度−電流効率特性。
【図15】本発明の一態様である発光素子の発光スペクトル。
【図16】本発明の一態様である発光素子の電流密度−輝度特性。
【図17】本発明の一態様である発光素子の電圧−輝度特性。
【図18】本発明の一態様である発光素子の輝度−電流効率特性。
【図19】本発明の一態様である発光素子の発光スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の有機金属錯体について説明する。
【0024】
本発明の一態様は、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を配位子とし、イリジウムを中心金属とする有機金属錯体である。具体的な、本発明の一態様は、一般式(G1)で表される有機金属錯体である。
【0025】
【化3】

【0026】
一般式(G1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0027】
特に、一般式(G1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表すことが好ましい。
【0028】
本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機金属錯体である。
【0029】
【化4】

【0030】
一般式(G2)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜R10は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0031】
上記有機金属錯体において、Rがメチル基であると異性体ができず、目的物の収率が向上するため、好ましい。
【0032】
≪一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法≫
下記一般式(G1)で表される有機金属錯体の合成方法の一例について説明する。
【0033】
【化5】

【0034】
一般式(G1)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0035】
<ステップ1;3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体の合成法>
まず、下記一般式(G0)で表される3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体は新規物質であるので、その合成法の一例について説明する。
【0036】
【化6】

【0037】
一般式(G0)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0038】
なお、R及びRにおける炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。また、Rにおける置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基の具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基が挙げられる。また、R及びRにおける置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基、2,6−ジメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
【0039】
また、R〜Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、単数又は複数のメチル基で置換されたシクロヘキシル基、フェニル基、ビフェニル基、単数又は複数のメチル基で置換されたフェニル基、単数又は複数のエチル基で置換されたフェニル基、単数又は複数のイソプロピル基で置換されたフェニル基、tert−ブチル基で置換されたフェニル基、フルオロ基で置換されたフェニル基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が挙げられる。
【0040】
下記スキーム(a)に示すように、ピリジン−3−ヒドラジド化合物(A1)と、R及びRを含むチオエーテル化合物、又はR及びRを含むN−置換チオアミド化合物(A2)とを反応させることにより、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を得ることができる。
【0041】
【化7】

【0042】
スキーム(a)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0043】
ただし、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体の合成法は、スキーム(a)のみに限定されるものではない。例えば、他の合成法の一例として、3−ピリジル及びRを含むチオエーテル化合物、又は3−ピリジル及びRを含むN−置換チオアミド化合物を、Rを含むヒドラジド化合物と反応させる方法もある。
【0044】
また、下記スキーム(a’)に示すように、ジヒドラジド化合物(A1’)と第1級アミン化合物(A2’)とを反応させる方法もある。
【0045】
【化8】

【0046】
スキーム(a’)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。
【0047】
以上のように、一般式(G0)で表される3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体は、ごく簡便な合成スキームにより合成することができる。
【0048】
<ステップ2;3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を配位子とするオルトメタル錯体の合成法>
下記合成スキーム(b)に示すように、ステップ1で得られる3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体(G0)と、ハロゲンを含むイリジウムの金属化合物(塩化イリジウム水和物、ヘキサクロロイリジウム酸アンモニウム等)、又はイリジウムの有機金属錯体(アセチルアセトナト錯体、ジエチルスルフィド錯体、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を配位子とするμ−ハロゲン架橋複核錯体、3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体を配位子とするμ−オキソ架橋複核錯体等)とを混合した後、加熱することにより、一般式(G1)で表される有機金属錯体を得ることができる。
【0049】
加熱手段としては特に限定はないが、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロックを加熱手段として用いてもよい。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。また、この加熱プロセスは、ステップ1で得られる3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体(G0)と、ハロゲンを含むイリジウムの金属化合物、又はイリジウムの有機金属錯体化合物とをアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等)に溶解した後に行ってもよい。
【0050】
【化9】

【0051】
なお、上述の化合物(A1)、(A2)、(A1’)、(A2’)は、様々な種類が市販されている、又は合成可能であるため、一般式(G0)で表される3−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール誘導体は数多くの種類を合成することができる。したがって、一般式(G1)で表される本発明の一態様の有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富であるという特徴を有する。そして、このように配位子のバリエーションが豊富な有機金属錯体を発光素子の作製の際に用いることにより、発光素子に求められる素子特性の微調整を容易に行うことができる。
【0052】
以上、合成方法の一例について説明したが、開示する本発明の一態様である有機金属錯体は、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
【0053】
下記構造式(100)〜(135)に、本発明の一態様の有機金属錯体の具体的な構造式を列挙する。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
【0054】
【化10】

【0055】
【化11】

【0056】
【化12】

【0057】
【化13】

【0058】
【化14】

【0059】
なお、上記構造式(100)〜(135)で表される有機金属錯体には、配位子の種類によっては立体異性体が存在しうるが、本発明の一態様の有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含まれる。
【0060】
上述した本発明の一態様である有機金属錯体は、緑色から青色の波長域に幅広い発光スペクトルを有するため、発光材料や発光素子の発光物質として利用できる。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様として、実施の形態1で説明した有機金属錯体を発光層に用いた発光素子について図1(A)を用いて説明する。
【0062】
図1(A)は、第1の電極101と第2の電極103との間にEL層102を有する発光素子を示した図である。EL層102は、発光層113を含む。発光層113は、実施の形態1で説明した本発明の一態様の有機金属錯体を含む。
【0063】
このような発光素子に対して、電圧を印加することにより、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において、再結合し、有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の有機金属錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の一態様である有機金属錯体は、発光素子における発光物質として機能する。なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
【0064】
陽極として機能する、第1の電極101は、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム等が挙げられる。この他、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン等を用いることができる。
【0065】
但し、EL層102のうち、第1の電極101に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極101に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金(例えば、Al−Si)等も用いることもできる。
【0066】
第1の電極101は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により形成することができる。
【0067】
第1の電極101上に形成されるEL層102は、少なくとも発光層113を有しており、また、本発明の一態様である有機金属錯体を含んで形成される。EL層102の一部には公知の物質を用いることもでき、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層102を形成する物質には、有機化合物のみからなるものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0068】
EL層102は、発光層113の他、図1(A)に示すように正孔注入性の高い物質を含んでなる正孔注入層111、正孔輸送性の高い物質を含んでなる正孔輸送層112、電子輸送性の高い物質を含んでなる電子輸送層114、電子注入性の高い物質を含んでなる電子注入層115などを適宜組み合わせて積層することにより形成される。
【0069】
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0070】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0071】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0072】
また、正孔注入層111として、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した正孔の輸送に優れた材料(正孔輸送性の高い物質)であることが好ましい。
【0073】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0074】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0075】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0076】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0077】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0078】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111に用いてもよい。
【0079】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質としては、NPB、TPD、BPAFLP、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物が挙げられる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0080】
また、正孔輸送層112には、CBP、CzPA、PCzPAのようなカルバゾール誘導体や、t−BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。
【0081】
また、正孔輸送層112には、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0082】
発光層113は、本発明の一態様である有機金属錯体を含む層である。本発明の一態様の有機金属錯体からなる薄膜で発光層113が形成されていてもよいし、本発明の一態様である有機金属錯体よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質をホストとして用い、本発明の一態様である有機金属錯体がゲストとして分散された薄膜で発光層113を形成しても良い。これによって、有機金属錯体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
【0083】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、Alq、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Zn(BOX)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などの金属錯体が挙げられる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。
【0084】
また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0085】
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
【0086】
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0087】
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0088】
陰極として機能する、第2の電極103は、仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属及びこれらを含む合金の他、アルミニウムや銀などを用いることができる。
【0089】
但し、EL層102のうち、第2の電極103に接して形成される層が、上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いる場合には、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いることができる。
【0090】
なお、第2の電極103を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
【0091】
上述した発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101及び第2の電極103のいずれか一方又は両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101及び第2の電極103のいずれか一方、又は両方が可視光に対する透光性を有する電極となる。
【0092】
本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス型の発光装置や、薄膜トランジスタ(TFT)によって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発光装置を作製することができる。
【0093】
なお、アクティブマトリクス型の発光装置を作製する場合におけるTFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型や逆スタガ型のTFTを適宜用いることができる。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型及びP型のTFTからなるものでもよいし、N型のTFT又はP型のTFTのみからなるものであってもよい。さらに、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。例えば、非晶質半導体膜、結晶性半導体膜を用いることができる。また、半導体膜の材料としてはシリコン、ゲルマニウムなどの単体のほか、GaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム亜鉛、酸化ガリウム、インジウム酸化物、及び上記酸化物半導体の複数より構成される酸化物半導体などを用いることができる。
【0094】
なお、本実施の形態において、発光層113で用いた本発明の一態様である有機金属錯体は、緑色から青色の波長域により幅広い発光スペクトルを有する。従って、演色性の高い発光素子を実現することができる。
【0095】
本実施の形態においては、実施の形態1に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0096】
(実施の形態3)
本発明の一態様の発光素子は、複数の発光層を有するものであってもよい。複数の発光層を設け、それぞれの発光層から発光させることで、複数の発光が混合された発光を得ることができる。したがって、例えば白色光を得ることができる。本実施の形態では、複数の発光層を有する発光素子の態様について図1(B)を用いて説明する。
【0097】
図1(B)は、第1の電極101と第2の電極103との間に、EL層102を有する発光素子を示した図である。EL層102は、第1の発光層213と第2の発光層215を含むため、図1(B)に示す発光素子は、第1の発光層213における発光と第2の発光層215における発光が混合された発光を得ることができる。第1の発光層213と第2の発光層215との間には、分離層214を有することが好ましい。
【0098】
本実施の形態では、第1の発光層213に、本発明の一態様の有機金属錯体を含み、第2の発光層215に黄色〜赤色の発光を示す有機化合物を含んだ、白色光の発光素子を説明するが、本発明はこれに限らない。
【0099】
第2の発光層215に本発明の一態様である有機金属錯体を用い、第1の発光層213に他の発光物質を適用してもよい。
【0100】
EL層102は、発光層を3層以上有していても良い。
【0101】
第1の電極101の電位が第2の電極103の電位よりも高くなるように電圧を印加すると、第1の電極101と第2の電極103との間に電流が流れ、第1の発光層213、第2の発光層215、又は分離層214において正孔と電子とが再結合する。生じた励起エネルギーは、第1の発光層213と第2の発光層215の両方に分配され、第1の発光層213に含まれた第1の発光物質と第2の発光層215に含まれた第2の発光物質を励起状態にする。そして、励起状態になった第1の発光物質と第2の発光物質とは、それぞれ基底状態に戻るときに発光する。
【0102】
第1の発光層213は、本発明の一態様である有機金属錯体を含んでおり、青色の発光が得られる。第1の発光層213の構成は、実施の形態2で説明した発光層113と同様の構成とすればよい。
【0103】
第2の発光層215には、2−(2−{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:DCM1)、2−{2−メチル−6−[2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)、2−{2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、2−{2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:DCJTB)、2−(2,6−ビス{2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル}−4H−ピラン−4−イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDCM)、2−{2,6−ビス[2−(8−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン−4−イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)などの蛍光性化合物や、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))などの燐光性化合物に代表される発光物質が含まれており、560〜700nmに発光スペクトルのピークを有する発光(すなわち、黄色から赤色の発光)が得られる。
【0104】
また、第2の発光層215の構成は、第2の発光物質が蛍光性化合物の場合、第2の発光物質よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第2の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。また、第2の発光物質が燐光性化合物の場合、第2の発光物質よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質をホスト材料として用い、第2の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。ホスト材料としては、先に述べたNPB、CBP、TCTA等の他、DNA、t−BuDNA等を用いることができる。なお、一重項励起エネルギーとは、基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差である。また、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
【0105】
また、分離層214は、具体的には、上述したTPAQn、NPB、CBP、TCTA、Znpp、ZnBOX等を用いて形成することができる。このように、分離層214を設けることで、第1の発光層213と第2の発光層215のいずれか一方のみの発光強度が強くなってしまうという不具合を防ぐことができる。ただし、分離層214は必ずしも必要ではなく、第1の発光層213の発光強度と第2の発光層215の発光強度との割合を調節するため、適宜設ければよい。
【0106】
また、EL層102は、発光層の他に正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115を設けているが、これらの層の構成に関しても、実施の形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
【0107】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1又は実施の形態2に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0108】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様として、発光素子においてEL層を複数有する構造(以下、積層型素子という)について、図1(C)を用いて説明する。この発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に、複数のEL層(第1のEL層700、第2のEL層701)を有する積層型発光素子である。なお、本実施の形態では、EL層が2層の場合について示すが、3層以上としても良い。
【0109】
本実施の形態において、第1の電極101及び第2の電極103は実施の形態2に示した構成を適用すれば良い。
【0110】
本実施の形態において、複数のEL層(第1のEL層700、第2のEL層701)が実施の形態2で示したEL層と同様な構成であっても良いが、いずれかが同様の構成であっても良い。すなわち、第1のEL層700と第2のEL層701は、同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その構成は実施の形態2と同様なものを適用することができる。
【0111】
また、複数のEL層(第1のEL層700、第2のEL層701)の間には、電荷発生層305が設けられている。電荷発生層305は、第1の電極101と第2の電極103に電圧を印加したときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極101に第2の電極103よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層305から第1のEL層700に電子が注入され、第2のEL層701に正孔が注入される。
【0112】
なお、電荷発生層305は、光の取り出し効率の点から、可視光に対する透光性を有することが好ましい。また、電荷発生層305は、第1の電極101や第2の電極103よりも低い導電率であっても機能する。
【0113】
電荷発生層305は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0114】
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0115】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0116】
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0117】
また、電子供与体としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は希土類金属又は元素周期表における第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、インジウム、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0118】
なお、上述した材料を用いて電荷発生層305を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0119】
本実施の形態では、2つのEL層を有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上のEL層を積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数のEL層を電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力が低い発光装置を実現することができる。
【0120】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。
【0121】
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0122】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態3に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0123】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様として、発光素子を用いて作製される発光装置であるパッシブマトリクス型の発光装置、及びアクティブマトリクス型の発光装置について説明する。
【0124】
図4、図5にパッシブマトリクス型の発光装置の例を示す。
【0125】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)の発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0126】
図4(A)乃至図4(C)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図4(A)乃至図4(C)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図4(D)である。
【0127】
基板401上には、下地絶縁層として絶縁層402を形成する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層402上には、ストライプ状に複数の第1の電極403が等間隔で配置されている(図4(A))。
【0128】
また、第1の電極403上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁404が設けられ、開口部を有する隔壁404は絶縁材料(感光性又は非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン)、又はSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiO膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部405が発光領域となる(図4(B))。
【0129】
開口部を有する隔壁404上に、第1の電極403と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁406が設けられる(図4(C))。逆テーパ状の隔壁406はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量又は現像時間を調節することによって形成する。
【0130】
図4(C)に示すように逆テーパ状の隔壁406を形成した後、図4(D)に示すようにEL層407及び第2の電極408を順次形成する。開口部を有する隔壁404及び逆テーパ状の隔壁406を合わせた高さは、EL層407及び第2の電極408の膜厚より大きくなるように設定されているため、図4(D)に示すように複数の領域に分離されたEL層407と、第2の電極408とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。
【0131】
第2の電極408は、第1の電極403と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁406上にもEL層407及び第2の電極408を形成する導電層の一部が形成されるが、EL層407及び第2の電極408とは分断されている。
【0132】
なお、本実施の形態における第1の電極403及び第2の電極408は、一方が陽極であり、他方が陰極であればどちらであっても良い。なお、EL層407を構成する積層構造については、電極の極性に応じて適宜調整すればよい。
【0133】
また、必要であれば、基板401に封止缶やガラス基板などの封止材をシール材などの接着剤で貼り合わせて封止し、発光素子が密閉された空間に配置されるようにしても良い。これにより、発光素子の劣化を防止することができる。なお、密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填しても良い。さらに、水分などによる発光素子の劣化を防ぐために基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥剤によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。なお、乾燥剤としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸収する物質を用いることが可能である。その他の乾燥剤として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0134】
次に、図4(A)乃至図4(D)に示したパッシブマトリクス型の発光装置にFPCなどを実装した場合の上面図を図5に示す。
【0135】
図5において、画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
【0136】
ここで、図4における第1の電極403が、図5の走査線503に相当し、図4における第2の電極408が、図5のデータ線508に相当し、逆テーパ状の隔壁406が隔壁506に相当する。データ線508と走査線503の間には、図4のEL層407が挟まれており、領域505で示される交差部が画素1つ分となる。
【0137】
なお、走査線503は配線端で接続配線509と電気的に接続され、接続配線509が入力端子510を介してFPC511bに接続される。また、データ線は入力端子512を介してFPC511aに接続される。
【0138】
また、必要であれば、射出面に偏光板、円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0139】
なお、図5では、駆動回路を基板501上に設けない例を示したが、基板501上に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0140】
また、ICチップを実装させる場合には、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、及び走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。
【0141】
次に、アクティブマトリクス型の発光装置の例について、図6を用いて説明する。なお、図6(A)は発光装置を示す上面図であり、図6(B)は図6(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板601上に設けられた画素部602と、駆動回路部(ソース側駆動回路)603と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)604と、を有する。画素部602、駆動回路部603、及び駆動回路部604は、シール材605によって、素子基板601と封止基板606との間に封止されている。
【0142】
また、素子基板601上には、駆動回路部603、及び駆動回路部604に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線607が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)608を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0143】
次に、断面構造について図6(B)を用いて説明する。素子基板601上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部603と、画素部602が示されている。
【0144】
駆動回路部603はnチャネル型TFT609とpチャネル型TFT610とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0145】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612と電流制御用TFT612の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された陽極613とを含む複数の画素により形成される。なお、陽極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
【0146】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物614の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
【0147】
陽極613上には、EL層615及び陰極616が積層形成されている。なお、陽極613をITO膜とし、陽極613と接続する電流制御用TFT612の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、陰極616は外部入力端子であるFPC608に電気的に接続されている。
【0148】
なお、EL層615は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。陽極613、EL層615及び陰極616との積層構造で、発光素子617が形成されている。
【0149】
また、図6(B)に示す断面図では発光素子617を1つのみ図示しているが、画素部602において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部602には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0150】
さらにシール材605で封止基板606を素子基板601と貼り合わせることにより、素子基板601、封止基板606、及びシール材605で囲まれた空間618に発光素子617が備えられた構造になっている。なお、空間618には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される構成も含むものとする。
【0151】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板606に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0152】
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0153】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【0154】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を適用した一態様である発光装置を用いて完成させた様々な電子機器及び照明器具の一例について、図7、図8を用いて説明する。
【0155】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器及び照明器具の具体例を図7に示す。
【0156】
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0157】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0158】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0159】
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0160】
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304及び表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0161】
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0162】
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0163】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0164】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0165】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0166】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0167】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0168】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0169】
図7(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0170】
図8は、発光装置を、室内の照明装置801として用いた例である。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置802として用いることもできる。なお、図8に示すように、室内の照明装置801を備えた部屋で、図7(E)で説明した卓上照明器具803を併用してもよい。
【0171】
以上のようにして、発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0172】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態5に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0173】
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、トリス[5−メチル−4−フェニル−3−(5−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mpytz)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(Mpytz)]の構造を以下に示す。
【0174】
【化15】

【0175】
<ステップ1;3−メチル−4−フェニル−5−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール(略称:HMpytz)の合成>
まず、N−[1−(エチルスルファニル)エチリデン]アニリン3.64g、1−ブタノール20mL、ニコチン酸ヒドラジド2.78gを100mL三ツ口フラスコに入れ、130℃で22時間撹拌した。撹拌後、この反応溶液を減圧下にて濃縮し油状物を得た。この油状物を酢酸エチルで洗浄し、吸引ろ過して固体を得た。この固体を、酢酸エチルを展開溶媒とするアルミナカラムクロマトグラフィーにより精製した。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。この固体を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒にて洗浄して3−メチル−4−フェニル−5−(3−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾール(略称:HMpytz)を得た(白色固体、収率42%)。ステップ1の合成スキームを下記(a−1)に示す。
【0176】
【化16】

【0177】
<ステップ2; トリス[5−メチル−4−フェニル−3−(5−ピリジル)−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mpytz)]の合成>
次に、上記ステップ1にて得られた配位子HMpytz1.01g、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.42gを、三方コックを付けた反応容器に入れ、反応容器内をアルゴン置換した。その後、245℃にて48時間加熱し、反応させた。反応物をジクロロメタンに溶解し、この溶液をセライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)とシリカゲルの積層物をろ紙の上に敷いた状態で吸引ろ過した。得られたろ液の溶媒を留去し、残渣をアセトン、次いで酢酸エチルにて洗浄した。洗浄後の固体をエタノールとヘキサンの混合溶媒にて再結晶化し、目的物である黄色粉末を収率1%で得た。合成スキームを下記(b−1)に示す。
【0178】
【化17】

【0179】
上記ステップ2で得られた黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図2に示す。この結果から、本合成例1において、上述の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(Mpytz)]が得られたことがわかった。
【0180】
H−NMR.δ(CDCl):2.38(s,9H),7.23(m,6H),7.36(m,3H),7.48(s,3H),7.64(m,9H),7.70(d,3H).
【0181】
次に、[Ir(Mpytz)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図3に示す。横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)及び発光強度(任意単位)を表す。また、図3において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。なお、図3に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
【0182】
図3に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(Mpytz)]は、475、500nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは水色の発光が観測された。
【実施例2】
【0183】
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(104)で表される本発明の一態様である有機金属錯体、トリス[5−イソプロピル−3−(6−メチル−5−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrMpytz)])の合成例を具体的に例示する。なお、[Ir(iPrMpytz)]の構造を以下に示す。
【0184】
【化18】

【0185】
<ステップ1;2−メチルニコチン酸ヒドラジドの合成>
まず、2−メチルニコチン酸エチル4.12g、1−ブタノール15mL、ヒドラジン一水和物(NHNH・HO)1.25gを100mL三ツ口フラスコに入れて80℃で19時間加熱撹拌した。撹拌後、さらにヒドラジン一水和物2.38gを加えて15時間加熱撹拌した。撹拌後、反応溶液を飽和食塩水に注ぎ入れ、室温で30分間撹拌した。この混合物の有機層と水層を分液し、水層から有機物をクロロホルムで抽出した。得られた抽出溶液と該有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。乾燥後の混合物を自然ろ過し、ろ液を濃縮して固体を得た。得られた固体を酢酸エチルとヘキサンの混合溶媒で洗浄して、2−メチルニコチン酸ヒドラジドを得た(白色固体、収率42%)。ステップ1の合成スキームを下記(a−2)に示す。
【0186】
【化19】

【0187】
<ステップ2;3−イソプロピル−5−(2−メチル−3−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(略称:HiPrMpytz)の合成>
次に、上記ステップ1で得られた2−メチルニコチン酸ヒドラジド1.70g、1−ブタノール30mL、N−[1−(エチルスルファニル)イソブチリデン]アニリン2.30gを100mL三ツ口フラスコに入れ、130℃で9時間加熱撹拌した。撹拌後、さらにN−[1−(エチルスルファニル)イソブチリデン]アニリン1.15gを加えて130℃で18時間加熱撹拌した。撹拌後、1−ブタノールを減圧下にて留去し、油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には酢酸エチルを用いた。得られたフラクションを濃縮し固体を得た。この固体をさらにアルミナカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には酢酸エチルを用いた。得られたフラクションを濃縮して、固体を得た。この固体をヘキサンにて洗浄し、3−イソプロピル−5−(2−メチル−3−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(略称:HiPrMpytz)を得た(白色固体、収率28%)。ステップ2の合成スキームを下記(b−2)に示す。
【0188】
【化20】

【0189】
<ステップ3; トリス[5−イソプロピル−3−(6−メチル−5−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrMpytz)]の合成>
さらに、上記ステップ2にて得られた配位子HiPrMpytz0.87g、トリス(アセチルアセトナト)イリジウム(III)0.31gを、三方コックを付けた反応容器に入れ、反応容器内をアルゴン置換した。その後、250℃にて49時間加熱し、反応させた。反応物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。展開溶媒には酢酸エチルを用いた。得られたフラクションを濃縮して固体を得た。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、さらにアセトンにて再結晶化することにより、目的物の淡黄色粉末を収率28%で得た。合成スキームを下記(c−2)に示す。
【0190】
【化21】

【0191】
上記ステップ3で得られた淡黄色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図10に示す。この結果から、本合成例2において、上述の構造式(104)で表される本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(iPrMpytz)]が得られたことがわかった。
【0192】
H−NMR.δ(CDCl):1.14(d,9H),1.41(d,9H),1.62(d,9H),2.85−2.95(m,3H),6.82(d,3H),7.26−7.32(m,6H),7.43−7.60(m,9H),7.68(d,3H).
【0193】
次に、[Ir(iPrMpytz)]のジクロロメタン溶液の紫外可視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定した。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、ジクロロメタン溶液(0.073mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。また、発光スペクトルの測定には、蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.073mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定を行った。得られた吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を図11に示す。横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)及び発光強度(任意単位)を表す。また、図11において2本の実線が示されているが、細い実線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。なお、図11に示す吸収スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.073mmol/L)を石英セルに入れて測定した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた結果を示している。
【0194】
図11に示すとおり、本発明の一態様である有機金属錯体[Ir(iPrMpytz)]は、496nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは青緑色の発光が観測された。
【実施例3】
【0195】
本実施例では、実施例2にて合成したトリス[5−イソプロピル−3−(6−メチル−5−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrMpytz)])を発光物質として用いた発光素子について図9を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0196】
【化22】

【0197】
以下に、発光素子1の作製方法を示す。
【0198】
(発光素子1)
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0199】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0200】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0201】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、CBPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=CBP:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0202】
次に、正孔注入層1111上に、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(略称:dmCBP)を10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0203】
さらに、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)と、実施例2にて合成したトリス[5−イソプロピル−3−(6−メチル−5−ピリジル)−4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrMpytz)])を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、mCP、及び[Ir(iPrMpytz)]の重量比は、1:0.08(=mCP:[Ir(iPrMpytz)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0204】
次に、発光層1113上に2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)を10nmの膜厚となるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0205】
さらに、第1の電子輸送層1114a上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)を膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0206】
その後、第2の電子輸送層1114b上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、第3の電子輸送層1114cを形成した。
【0207】
さらに、第3の電子輸送層1114c上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0208】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
【0209】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0210】
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
【0211】
【表1】

【0212】
発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0213】
発光素子1の電流密度−輝度特性を図12に示す。図12において、横軸は、電流密度(mA/cm)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、電圧−輝度特性を図13に示す。図13において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図14に示す。図14において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、発光素子1における輝度1300cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表2に示す。
【0214】
【表2】

【0215】
また、発光素子に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図15に示す。図15に示す通り、発光素子1の発光スペクトルは、490nmにピークを有している。また、表2に示す通り、1300cd/mの輝度の時の発光素子1のCIE色度座標は(x,y)=(0.23,0.35)であった。発光素子1は、[Ir(iPrMpytz)]に由来する発光が得られたことがわかった。本発明の一態様の有機金属錯体を用いた発光素子は、短波長の発光を、効率よく発光させることができると示された。
【実施例4】
【0216】
本実施例では、実施例2にて合成した本発明の一態様の有機金属錯体[Ir(iPrMpytz)]を発光物質として用いた発光素子について図9を用いて説明する。本実施例で用いた材料は、前の実施例にて既に示した材料のため化学式は省略する。
【0217】
以下に、本実施例の発光素子2の作製方法を示す。
【0218】
(発光素子2)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0219】
次に、基板1100上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0220】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0221】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、CBPと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、CBPと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=CBP:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0222】
次に、正孔注入層1111上に、dmCBPを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0223】
さらに、CBPと、実施例2にて合成した[Ir(iPrMpytz)]を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、CBP、及び[Ir(iPrMpytz)]の重量比は、1:0.08(=CBP:[Ir(iPrMpytz)])となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0224】
次に、発光層1113上にmDBTBIm−IIを10nmの膜厚となるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0225】
さらに、第1の電子輸送層1114a上に、Alqを膜厚10nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0226】
その後、第2の電子輸送層1114b上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、第3の電子輸送層1114cを形成した。
【0227】
さらに、第3の電子輸送層1114c上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0228】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
【0229】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0230】
以上により得られた発光素子2の素子構造を表3に示す。
【0231】
【表3】

【0232】
発光素子2を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子2の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0233】
発光素子2の電流密度−輝度特性を図16に示す。図16において、横軸は、電流密度(mA/cm)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、電圧−輝度特性を図17に示す。図17において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図18に示す。図18において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、発光素子2における輝度1000cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、外部量子効率(%)を表4に示す。
【0234】
【表4】

【0235】
また、発光素子に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図19に示す。図19に示す通り、発光素子2の発光スペクトルは、500nmにピークを有している。また、表4に示す通り、1000cd/mの輝度の時の発光素子2のCIE色度座標は(x,y)=(0.27,0.39)であった。発光素子2は、[Ir(iPrMpytz)]に由来する発光が得られたことがわかった。本発明の一態様の有機金属錯体を用いた発光素子は、短波長の発光を、効率よく発光させることができると示された。
【0236】
(参考例1)
上記実施例で用いた、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)の合成方法について説明する。mDBTBIm−IIの構造を以下に示す。
【0237】
【化23】

【0238】
≪2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm−II)の合成≫
mDBTBIm−IIの合成スキームを(x−1)に示す。
【0239】
【化24】

【0240】
2−(3−ブロモフェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール1.2g(3.3mmol)と、ジベンゾチオフェン−4−ボロン酸0.8g(3.3mmol)と、トリ(オルト−トリル)ホスフィン50mg(0.2mmol)を50mLの三口フラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に2.0mmol/L炭酸カリウム水溶液3.3mLと、トルエン12mLと、エタノール4mLを加え、減圧下で攪拌することにより脱気した。この混合物に酢酸パラジウム(II)7.4mg(33μmol)を加え、窒素気流下、80℃で6時間攪拌した。
【0241】
所定時間経過後、得られた混合物の水層から有機物をトルエンで抽出した。得られた抽出溶液と有機層を合わせ、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物を自然濾過により濾別し、濾液を濃縮して油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、トルエンを展開溶媒に用いて行った。得られたフラクションを濃縮して油状物を得た。この油状物を高速液体クロマトグラフィーにより精製した。高速液体カラムクロマトグラフィーはクロロホルムを展開溶媒に用いて行った。得られたフラクションを濃縮して油状物を得た。この油状物をトルエンとヘキサンの混合溶媒で再結晶したところ、目的物である淡黄色粉末を収量0.8g、収率51%で得た。
【0242】
得られた淡黄色粉末0.8gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は、圧力3.0Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、淡黄色粉末を215℃で加熱して行った。昇華精製後、目的物の白色粉末を収量0.6g、収率82%で得た。
【0243】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるmDBTBIm−IIであることを確認した。
【0244】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.23−7.60(m,13H)、7.71−7.82(m,3H)、7.90−7.92(m,2H)、8.10−8.17(m,2H)。
【符号の説明】
【0245】
101 第1の電極
102 EL層
103 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
213 発光層
214 分離層
215 発光層
305 電荷発生層
401 基板
402 絶縁層
403 第1の電極
404 隔壁
405 開口部
406 隔壁
407 EL層
408 第2の電極
501 基板
503 走査線
505 領域
506 隔壁
508 データ線
509 接続配線
510 入力端子
512 入力端子
601 素子基板
602 画素部
603 駆動回路部
604 駆動回路部
605 シール材
606 封止基板
607 配線
608 FPC
609 nチャネル型TFT
610 pチャネル型TFT
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 陽極
614 絶縁物
615 EL層
616 陰極
617 発光素子
618 空間
700 EL層
701 EL層
801 照明装置
802 照明装置
803 卓上照明器具
1100 基板
1101 第1の電極
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114a 第1の電子輸送層
1114b 第2の電子輸送層
1114c 第3の電子輸送層
1115 電子注入層
511a FPC
511b FPC
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G1)で表される有機金属錯体。
【化1】

(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のハロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
【請求項2】
一般式(G1)で表される有機金属錯体。
【化2】


(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数5〜6のシクロアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜13のアリール基を表す。)
【請求項3】
一般式(G2)で表される有機金属錯体。
【化3】


(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R〜R10は、それぞれ独立に、水素、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
がメチル基である有機金属錯体。
【請求項5】
一対の電極間に、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機金属錯体を有する発光素子。
【請求項6】
一対の電極間に発光層を有し、
前記発光層は請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機金属錯体を有する発光素子。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の発光素子を有する発光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発光装置を有する電子機器。
【請求項9】
請求項7に記載の発光装置を有する照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−46492(P2012−46492A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158072(P2011−158072)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】