説明

有機金属錯体およびそれを利用した有機EL素子

【課題】高効率燐光を発する有機金属錯物及びそれを利用した有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される有機金属錯体:MLL’・・・(化学式1) 式中、 前記Mは、Ir、Os、Pt、Pb、Re、RuまたはPdであり、 前記LおよびL’は、異なる二座配位子であり、 mは、1、2または3であり、 nは、3−mである。該有機金属錯体は、例えば下記の構造を有する化合物であり、有機電界発光素子の発光層形成材料として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属錯体およびそれを利用した有機電界発光(Electroluminescent:EL)素子に関する。さらに詳細には、赤色領域の発光が可能な有機金属錯体と、それを有機膜の形成材料として採用する有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、蛍光性または燐光性の有機化合物薄膜(以下、有機膜とも称する)に電流を流すことにより、電子および正孔が有機膜で結合し、光が発生する現象を利用した能動発光型表示素子であり、軽量かつ部品が簡素であり、製作工程の簡単な構造を有しており、高画質で広視野角を確保している。
【0003】
また、高色純度および動画を完壁に実現でき、低消費電力および低電圧駆動で、携帯用電子機器に適した電気的特性を有している。
【0004】
一般的な有機EL素子は、基板の上部にアノードが形成されており、このアノードの上部に正孔輸送層(Hole Transport Layer:HTL)、発光層(Emision Layer:EML)、電子輸送層(Electron Transport Layer:ETL)およびカソードが順次に形成されている構造を有している。ここで、正孔輸送層、発光層および電子輸送層は、有機化合物からなる有機膜である。前述のような構造を有する有機EL素子の駆動原理は、次の通りである。
【0005】
前記アノードとカソードとの間に電圧を印加すると、アノードから注入された正孔は、正孔輸送層を経て発光層に移動する。一方、電子は、カソードから電子輸送層を経て発光層に注入されて、発光層領域でキャリアが再結合してエキシトンを生成する。このエキシトンが放射減衰されつつ、物質のバンドギャップに該当する波長の光が放出される。
【0006】
前記有機EL素子の発光層の形成材料は、その発光メカニズムによって一重項状態のエキシトンを利用する蛍光物質と、三重項状態を利用する燐光物質とに分類することができる。このような蛍光物質または燐光物質を、それ自体で、または適切なホスト物質にドーピングして発光層を形成し、電子励起の結果、ホストに一重項エキシトンおよび三重項エキシトンが形成される。このとき、一重項エキシトンおよび三重項エキシトンの統計的な生成比は1:3である(非特許文献1)。
【0007】
発光層の形成材料として蛍光物質を使用する有機EL素子において、ホストで生成された三重項が浪費されるという不利な点がある一方、発光層の形成材料として燐光物質を使用する場合には、一重項エキシトンおよび三重項エキシトンを何れも使用できるので、内部量子効率100%に到達できる長所を有している(非特許文献2)。したがって、発光層の形成材料として燐光物質を使用する場合、蛍光物質より非常に高い発光効率を有しうる。
【0008】
有機分子にIr、Pt、Rh、Pdのような重金属を導入すれば、重金属原子の効果により発生するスピン軌道結合を通じて三重項状態と一重項状態とが混ざるが、これにより、禁止された遷移が可能になり、常温でも効果的に燐光が発生する。
【0009】
前述のように、燐光を利用した高効率の発光材料として、イリジウム、白金などの遷移金属を含んだ遷移金属化合物を利用した多様な物質が発表されているが、高効率のフルカラー表示素子のための赤色領域の燐光物質が依然として要求されている。
【非特許文献1】Baldo,etal.,Phys.Rev.B,1999,60,14422
【非特許文献2】Baldo,etal.,Nature,Vol.395,151〜154,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、赤色波長領域で効率的に発光できる有機金属錯体を提供することである。
【0011】
また、本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記有機金属錯体を採用した有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記技術的課題を解決するために、本発明は、下記化学式1で表される有機金属錯体ELを提供する:
【0013】
【化1】

【0014】
式中、
前記Mは、Ir、Os、Pt、Pb、Re、RuまたはPdであり、
前記LおよびL’は、異なる二座配位子であり、
mは、1、2または3であり、
nは、3−mであり、
部分構造であるMLは、下記化学式2の構造を表す;
【0015】
【化2】

【0016】
式中、
Mおよびmは、前記化学式1で定義した通りであり、
AおよびBは、それぞれ独立して、炭素数3〜60のヘテロ環基またはヘテロアリール基を表し、
Xは、C、O、N、またはSであり、
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、または、置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る有機金属錯体は、赤色領域の光を効率的に発光でき、このような有機金属錯体は、有機EL素子の有機膜の形成時に利用でき、高効率の燐光材料として550〜650nmの波長領域で発光するだけでなく、緑色発光物質または青色発光物質と共に使用した場合、白色光を発することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明は、下記化学式1で表される有機金属錯体EL提供する:
【0020】
【化3】

【0021】
式中、
前記Mは、Ir、Os、Pt、Pb、Re、RuまたはPdであり、
前記LおよびL’は、異なる二座配位子であり、
mは、1、2または3であり、
nは、3−mであり、
部分構造であるMLは、下記化学式2の構造を表す;
【0022】
【化4】

【0023】
式中、
Mおよびmは、前記化学式1で定義した通りであり、
AおよびBは、それぞれ独立して、炭素数3〜60のヘテロ環基またはヘテロアリール基を表し、
Xは、C、O、N、またはSであり、
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、または、置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【0024】
下記に、上記置換基の具体例を列挙するが、これらは構造的に許容されれば、分岐鎖を有しても、直鎖であっても、環状になってもよい。
【0025】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子がある。
【0026】
炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル基、オクタデシル基およびイコシル基などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0027】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ、フルフリルオキシ基およびアリールオキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
炭素数2〜20のアルケニル基およびアルキニル基としては、特に制限はないが、それぞれ前記で定義されたアルキル基の中間または末端に炭素二重結合および三重結合を含有しているものを意味する。
【0029】
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル、ベンジル、フェネチル、o−,m−若しくはp−トリル、2,3−若しくは2,4−キシリル、メシチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、ビフェニリル、ベンズヒドリル、トリチル及びピレニルなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0030】
炭素数7〜30のアリールアルキル基としては、前記で定義されたアリール基において水素原子の一部がアルキル、例えばメチル、エチル、プロピルなどで置換されたものを意味する。例えば、ベンジル、フェニルエチルなどがある。
【0031】
炭素数5〜30のヘテロアリール基としては、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリジル基、チエニル基、ピロリジニル基、フリル基、アキサゾリル基、チアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基としては、上記のヘテロアリール基の1以上の位にアルキル基が結合した物などが挙げられる。
【0033】
本発明は、新規な構造のシクロメタル化配位子(シクロメタル化リガンド)を導入した下記化学式1の有機金属錯体を提供する。
【0034】
このような構造の有機金属錯体で、前記配位子は、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)と三重項MLCT(Metal−to−Ligand Charge−Transfer)状態とのエネルギーギャップを減少させて、発光波長を数nmほど赤色領域に移動させる。したがって、金属、例えば、Ir(III)錯体の三重項MLCT状態から得られる赤色領域は、有機EL素子で有用性を有する。
【0035】
前記化学式1の有機金属錯体においてMは、シクロメタル化配位子であるLおよび/または補助配位子であるL’と結合する中心金属であって、例えば、Ir、Os、Pt、Pb、Re、RuまたはPdを使用可能であり、好ましくは、IrまたはPt、さらに好ましくは、Irを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記化学式2の構造式は、前記化学式1の化合物における部分構造であるMLの構造を表したものであって、補助配位子であるL’の構造を省略した状態の有機金属錯体の構造を表す。
このような化学式2の部分構造式において、AおよびBは、中心金属であるMと直接的に配位結合を形成する、窒素原子を含むヘテロアリール基またはヘテロ環基を表す。
【0037】
ここで、AおよびBは、異なるものであっても、同一のものであってもよい。
【0038】
前記ヘテロ環基は、環を形成する主要元素としてN、O、Sおよび/またはPのようなヘテロ原子を含む炭素数3〜60の置換または非置換のヘテロ環基を表し、具体的な例として、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、チアゾリジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
前記ヘテロアリール基は、環を形成する主要元素としてN、O、Sおよび/またはPのようなヘテロ原子を含む炭素数3〜60の置換または非置換のヘテロアリール基であり、このようなヘテロアリール基は、単環芳香族または二環式もしくは三環式構造の縮合環であってもよい。
【0040】
すなわち、前記AおよびBが、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含む炭素数3〜60の、単環芳香族または二環式もしくは三環式芳香族縮合環であると好ましい。。
【0041】
具体的な例として、ピリジン、4−メトキシピリジン、キノリン、ピロール、インドール、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、ピリミジン、キナゾリン、チアゾール、オキサゾール、トリアジン、1,2,4−トリアゾール、チオフェン、チアントレン、フラン、イソチアゾール、イソベンゾフラン、イゾキサゾール、ピリジン、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、ピリダジン、1H−ピロリジン、フタラジン、インドリジン、1,8−ナフチリジン、イソインドール、キノキサリン、シンノリン、インダゾール、プテリジン、カルバゾール、フェナジン、フェノメルカジン、フェナントリジン、フェノホスファジン、アクリジン、ぺリミジン、フェノチアジン、フェノキサジンの官能基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
前記化学式2の化合物において、少なくとも1つの水素は、多様な置換基に置換可能であり、このような置換体は、例えば、ハロゲン原子、−OR、−N(R)、−P(R)、−POR、−POR、−POR、−SR、−Si(R)、−B(R)、−B(OR)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)、−CN、−NO、−SO、−SOR、−SOR、−SORなどが挙げられる。
【0043】
前記Rは、水素、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜40のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜40のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数7〜40のアルキルアリール基、置換もしくは非置換の炭素数2〜40のヘテロアリール基または置換もしくは非置換の炭素数3〜40のヘテロアリールアルキル基から選択される。
【0044】
前記mが、1〜3の整数であり、前記nは、3−mであり、好ましくは、mは、1または2であり、nは、2または1である。さらに好ましくは、mは、2であり、nは、1である。
【0045】
前記部分構造式であるMLとしては、下記化学式3〜9からなる群から選択されるいずれか1種を選択して使用できるが、これらに限定されるものではない:
【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】
前記式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換または非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【0054】
前記本発明に係る有機金属錯体である化学式1の化合物においてL’は、補助配位子として従来公知の有機金属錯体に使用される補助配位子である二座配位子を適宜選択して使用できるが、下記化学式11〜19からなる群から選択されるいずれか1種の由来の基が好ましく、特に、化学式11、化学式13が好ましい。
【0055】
なお、化学式11〜19中で、「M」と結合する部分は、非共有電子対を持っているN、Oなどである。
【0056】
【化12】

【0057】
【化13】

【0058】
【化14】

【0059】
【化15】

【0060】
【化16】

【0061】
【化17】

【0062】
【化18】

【0063】
【化19】

【0064】
【化20】

【0065】
式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【0066】
前記二座配位子である補助配位子L’において、ヘテロ原子にそれぞれ存在する2個の不対電子対は、中心金属であるMと配位結合を形成して、本発明に係る有機金属錯体を形成する。
【0067】
前記本発明に係る化学式1の有機金属錯体としては、特に制限はないが、下記化学式21〜28で表す化合物を使用することが好ましい。
【0068】
【化21】

【0069】
【化22】

【0070】
【化23】

【0071】
【化24】

【0072】
【化25】

【0073】
【化26】

【0074】
【化27】

【0075】
【化28】

【0076】
本発明に係る前記化学式1で表される有機金属錯体は、シクロメタル化モイエティを提供する出発物質である[Ir(C^N)Cl]誘導体を利用する、ワッツらにより報告された方法(F.O.Garces,R.J.Watts,Inorg.Chem.1988,(35),2450)を使用して合成可能である。
【0077】
本発明の有機EL素子は、前記化学式1で表される有機金属錯体を利用して有機膜を形成して作製されることができる。即ち、本発明は、一対の電極の間に有機膜を有する有機EL素子であって、前記有機膜が、本発明の有機金属錯体を含む有機EL素子を提供することができる。特に、前記有機膜は、発光層であることが好ましい。このとき、前記化学式1で表される有機金属錯体は、発光層等の有機膜の形成物質である燐光ドーパント材料として非常に有効であり、赤色波長領域で優れた発光特性を表す。
【0078】
前記化学式1で表される有機金属錯体を燐光ドーパントとして使用する場合、有機膜が少なくとも1種の高分子ホスト、高分子と低分子との混合物ホスト、低分子ホスト、および非発光高分子マトリックスからなる群から選択された少なくとも1種をさらに含みうる。
【0079】
ここで、高分子ホスト、低分子ホスト、非発光高分子マトリックスとしては、有機EL素子用発光層の形成時に通常的に使用されるものであれば従来公知のものを適宜選択して使用可能である。
【0080】
高分子ホストの例としては、PVK(ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリフルオレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
低分子ホストの例としては、CBP(4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル)、4,4’−ビス[9−(3,6−ビフェニルカルバゾリル)]−1−1,1’−ビフェニル、9,10−ビス[(2’,7’−t−ブチル)−9’,9”−スピロビフルオレニルアントラセン、テトラフルオレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
非発光高分子マトリックスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
前記化学式1で表される有機金属錯体の含有量は、有機膜、例えば、発光層の形成材料の総質量100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましい。1質量部未満であると、発光物質が足りず、効率および寿命が低下する虞があり好ましくなく、30質量部を超える場合には、三重項の消光現象が発生して、効率が低下する虞があり好ましくない。そして、このような有機金属錯体を発光層に導入しようとする場合には、真空蒸着法、スパッタリング法、プリンティング法、コーティング法、インクジェット方法などの従来公知な方法を利用できる。
【0084】
また、前記化学式1で表される有機金属錯体は、緑色発光物質または青色発光物質と共に使用して白色光を発光できる。
【0085】
図1A〜図1Fは、本発明の好ましい一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。ただし、当該積層構造が、図1A〜図1Fに限定されるということはなく、有機EL素子て機能するために、許容される構造であれば、如何なる構造を採用してよいのは言うまでもない。
【0086】
図1Aに示すように、第1電極10の上部に、前記化学式1のビフェニル誘導体を含む発光層12が積層され、前記発光層12の上部には、第2電極14が形成される。
【0087】
図1Bに示すように、第1電極10の上部に、前記化学式1のビフェニル誘導体を含む発光層12が積層され、前記発光層12の上部に、正孔阻止層(Hole Blocking Layer:HBL)13が積層されており、その上部には、第2電極14が形成される。
【0088】
図1Cの有機EL素子は、第1電極10と発光層12との間に正孔注入層(Hole Injection Layer:HIL)11が形成される。
【0089】
図1Dの有機EL素子は、発光層12の上部に形成された正孔阻止層13の代りに電子輸送層15が形成されたことを除いては、図1Cの場合と同じ積層構造を有する。
【0090】
図1Eの有機EL素子は、化学式1のビフェニル誘導体を含む発光層12の上部に形成された正孔阻止層13の代りに、正孔阻止層13および電子輸送層15が順次に積層された2層膜を使用することを除いては、図1Cの場合と同じ積層構造を有する。場合によっては、図1Eの有機EL素子において電子輸送層15と第2電極14との間には電子注入層がさらに形成される。
【0091】
図1Fの有機EL素子は、正孔注入層11と発光層12との間に正孔輸送層16をさらに形成したことを除いては、図1Eの有機EL素子と同じ構造を有している。このとき、正孔輸送層16は、正孔注入層11から発光層12への不純物の浸透を抑制する役割を行う。
【0092】
前述の積層構造を有する有機EL素子は、従来公知の製作方法によって形成可能であり、その製作方法が特別に限定されるものではない。
【0093】
ここで、前記有機膜の厚さは、30〜100nmであることが好ましい。前記有機膜の厚さが30nm未満である場合には、その効率および寿命が低下し、100nmを超えれば、駆動電圧が上昇して好ましくない場合がある。
【0094】
一方、前記有機膜は、発光層以外にも電子輸送層、正孔輸送層のように、有機EL素子において、一対の電極の間に形成される有機化合物からなる膜をも示す。
【0095】
前記有機EL素子では、各層の間にバッファ層が形成されうるが、このようなバッファ層の素材としては、従来公知の物質を適宜選択して使用することが可能であり、好ましくは、銅フタロシアニン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、またはこれらの誘導体を使用できるが、これに限定されるものではない。
【0096】
前記正孔輸送層の素材としては、従来公知の物質を適宜選択して使用することが可能であり、好ましくは、ポリトリフェニルアミンを使用できるが、これに限定されない。
【0097】
前記電子輸送層の素材としては、従来公知の物質を適宜選択して使用することが可能であり、好ましくは、ポリオキサジアゾールを使用できるが、これに限定されない。
【0098】
前記正孔遮断層(Hole Blocking Layer:HBL)の素材としては、従来公知の物質を適宜選択して使用することが可能であり、好ましくは、LiF、BaFまたはMgFなどを使用できるが、これに限定されない。
【0099】
本発明の有機EL素子の作成には、特別な装置や方法を必要とせず、通常の発光材料を利用した有機EL素子の従来公知の製作方法を適宜選択して作成されうる。
【0100】
前記本発明に係る化学式1の有機金属錯体は、特に、約550〜約650nmの領域で発光できる。このような有機金属錯体を利用した発光ダイオードは、フルカラー表示用光源照明、バックライト、屋外掲示板、光通信、内部装飾などに使用可能である。
【実施例】
【0101】
以下、本発明を、下記実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明が下記実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
<参考例1>
1,4−ジ−(イソキノリン)フェニルイリジウムダイマーの合成
【0103】
【化29】

【0104】
前記反応式1に記載されているように、500mLの分岐フラスコに、化学式31の1−クロロイソキノリン4g(24.5mmol)、化学式32のフェニルボロン酸2.03g(12.25mmol)、80mLテトラヒドロフラン、水40mLおよび2Mの炭酸ナトリウム溶液を加え、これを窒素雰囲気下、常温で光を遮断したまま48時間還流した。
【0105】
前記反応後、反応混合物の温度を常温に調節した後、酢酸エチルおよび水を利用して抽出した後、カラムクロマトグラフィ(トルエン:ヘキサン=10:1)で分離して、化学式33の1,4−ジ−イソキノリンフェノールを合成した。
【0106】
H NMR(CDCl):8.68(d,1H),8.24(d,1H),7.93−7.91(m,3H),7.75−7.65(m,5H),7.60−7.52(m,3H),7.50−7.47(m,3H)
前記過程によって合成した化学式33の1,4−ジ−イソキノリンフェノールモノマーおよびIrCl・3HOを利用して、化学式34の1,4−ジ−イソキノリンフェノールイリジウムダイマーを合成した。この際の合成法は、J.Am.Chem.Soc.,1984,106,6647−6653を参考した。
【0107】
<参考例2>
1,4−ジ−(キノリン)フェノールイリジウムダイマーの合成
【0108】
【化30】

【0109】
前記反応式2に記載されているように、
500mLの分岐フラスコに、化学式41の1−クロロキノリン4g(24.5mmol)、化学式42のフェニルボロン酸2.03g(12.25mmol)、80mLのテトラヒドロフラン、水40mLおよび2Mの炭酸ナトリウム溶液を加え、これを窒素雰囲気下の常温で光を遮断したまま48時間還流した。
【0110】
前記反応後、反応混合物の温度を常温に調節した後、酢酸エチルおよび水を利用して抽出した後、カラムクロマトグラフィ(トルエン:ヘキサン=10:1)で分離して、化学式43の1,4−ジ−キノリンフェノールを合成した。
【0111】
H NMR(CDCl):8.35(s,2H),8.22(dd,2H),7.96(d,1H),7.85(d,1H),7.73(t,1H),7.56(t,1H) H NMRの結果から前記化合物が対称構造を有するということが分かる。
【0112】
前記過程によって合成した化学式43の1,4−ジ−キノリンフェノールモノマーおよびIrCl・3HOを利用して、前記化学式44の1,4−ジ−キノリンフェノールイリジウムダイマーを合成した。
<実施例1>
化学式21で表される化合物の合成
【0113】
【化31】

【0114】
前記反応式3に表すように、窒素雰囲気下、250mlの分岐フラスコで、化学式34の[Ir(1,4−ジ−イソキノリンフェノール)Cl]0.1mmol、化学式51の4−ヒドロキシ−ペント−3−エン−2−オン0.25mmolを2−エトキシエタノール40mLに溶解させた後、常温で2〜10時間反応させた。反応終了後、反応液をセライトろ過し、ヘキサンに沈殿させて赤色粉末を得た。
【0115】
反応器で赤色粉末0.5mmolをクロロホルム20mlに溶解させ、炭酸ナトリウム2.0mmolを15mlのメタノールに溶解させて反応器に加えた後、常温で0.5〜24時間攪拌させた。
【0116】
反応終了後に反応液をセライトろ過し、ヘキサンに沈殿させて前記化学式21の化合物を70%固体として得た。得られた赤色の固体は、シリカゲルカラム(塩化メチレン:アセトン=10:1)を利用して精製した。前記最終の目的物の構造は、H−NMRスペクトルを使って分析して確認した:
H−NMR(CDCl,ppm):9.05(d,1H),8.5−8.39(m,3H),7.82(d,1H),7.72−7.63(m,4H),7.47−7.37(m,4H),7.16(t,1H),6.80(s,1H),5.23(s,1H),1.79(s,3H)
<実施例2>
化学式22で表される化合物の合成
【0117】
【化32】

【0118】
前記反応式4に表すように、1,4−ジ−イソキノリンフェノールイリジウムダイマーの代わりに前記化学式44の1,4−ジ−キノリンフェノールイリジウムダイマーを使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法を使用して前記化学式22の化合物を合成した。
【0119】
H−NMR(CDCl,ppm):8.57(d,1H),8.23(dd,2H),8.03(d,1H),7.99(d,1H),7.88−7.83(m,4H),7.63(dd,2H),7.63(dd,2H),7.50−7.41(m,2H),7.15(d,2H),4.68(s,1H),7.62(s,3H)
<実施例3>
化学式23で表される化合物の合成
【0120】
【化33】

【0121】
前記反応式5に表すように、前記実施例1で化学式51の4−ヒドロキシ−ペント−3−エン−2−オンの代わりに、前記化学式52のピリジン−2−カルボン酸を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で前記化学式23の化合物を合成した。
【0122】
<実施例4>
化学式24で表される化合物の合成
【0123】
【化34】

【0124】
前記反応式6に表すように、前記実施例1で化学式51の4−ヒドロキシ−ペント−3−エン−2−オンの代わりに、前記化学式53の4−ブチル−ピリジン−2−カルボン酸を使用したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で前記化学式24の化合物を合成した。
【0125】
<比較例1>
下記化学式61の化合物を使用した。
【0126】
【化35】

【0127】
前記実施例1〜4によって得た化学式21〜24、および比較例1の化学式61の化合物の発光特性は、前記化合物を塩化メチレンに溶解して10−4Mの溶液にした後、溶液状態での発光特性を調査し、ニートフィルム上に前記化合物をスピンコーティングして発光特性を調査した。
【0128】
前記実施例1〜実施例4から得た化学式21〜化学式24の化合物および前記化学式61の化合物の発光特性およびCIE(色座標)特性をまとめて下記表1に表した。
【0129】
【表1−1】

【0130】
【表1−2】

【0131】
前記表1から、新たな構造のシクロメタル化配位子を導入して、優れた燐光特性を有するドーパントが形成され、特に、置換基の導入によって強い電場効果により赤色領域で発光する燐光材料として適しているということが分かる。
【0132】
特に、前記実施例1、実施例2および実施例4で得られた有機金属錯体の熱質量測定の分析を行った結果、これらの分解温度がそれぞれ305℃、310℃および339℃に該当し、熱的安定性が非常に優れているということが分かる。このような熱安定性は、素子の製造時において耐塑性に優れているということを表す。
【0133】
<実施例5>
有機EL素子の製作
ITO(ndium Tin Oxide)がコーティングされた透明な電極基板をきれいに洗浄した後、ITOを感光性樹脂およびエッチング剤を利用してパターニングしてITO電極パターンを形成し、これを再びきれいに洗浄した。このように洗浄された結果物上にPEDOT{ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)}[AI 4083]を約50nmの厚さにコーティングした後、120℃で約5分間ベイキングして正孔注入層を形成した。
【0134】
クロロホルムにPVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、CBP(4,4−di(N−carbazole)biphenyl)(PVK:CBP=4:5)および前記化学式21のドーパント5質量%を混合した溶液を前記正孔注入層の上部にスピンコーティングして、厚さ85nmの発光層を形成した。
【0135】
次いで、前記高分子発光層の上部に真空蒸着器を利用して、真空度を4×10−6Torr以下に維持しつつ、Balq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate)aluminium)を真空蒸着して30nmの厚さに形成し、Alqを真空蒸着して15nmの厚さの電子輸送層を形成した後、この上部にLiFを、1×10−11m/secの速度で真空蒸着して0.8nmの厚さの電子注入層を形成した。
【0136】
次いで、Alを1×10−9m/secの速度で蒸着して、150nmの厚さのアノードを蒸着および封止することによって有機EL素子を完成した。
【0137】
このとき、封止過程は、乾燥した窒素ガス雰囲気下のグローブボックスにBaO粉末を取り入れて金属缶で密封した後、UV硬化剤で最終処理する過程を通じて行われた。
【0138】
前記素子の構造は、ITO/PEDOT−PSS(60nm)/PVK−CBP(4:5)−ドーパント5質量%(85nm)/Balq(20nm)/Alq(15nm)/LiF(0.8nm)/Al(150nm)である。前記EL素子は、多層型素子であって、概略的な構造は、図2に示す通りであり、発光面積は、6mmであった。
【0139】
前記EL素子は、多層型素子であって、概略的な構造は、図2に示す通りであり、発光面積は、6mmであった。
【0140】
<実施例6>
化学式21の化合物(実施例1で合成)の代わりに化学式22の化合物(実施例2で合成)を使用したことを除いては、実施例5と同様の方法でEL素子を製作した。
【0141】
<実施例7>
化学式21の化合物(実施例1で合成)の代わりに化学式23の化合物(実施例3で合成)を使用したことを除いては、実施例5と同様の方法でEL素子を製作した。
【0142】
<実施例8>
化学式21の化合物(実施例1で合成)の代わりに化学式22の化合物(実施例2で合成)を使用したことを除いては、実施例5と同様の方法でEL素子を製作した。
【0143】
<比較例2>
化学式21の化合物(実施例1で合成)の代わりに化学式61の化合物(比較例1)を使用したことを除いては、実施例5と同様の方法でEL素子を製作した。
【0144】
実施例5および実施例6、そして比較例2で得られた有機EL素子の電流効率、輝度特性を下記表2に表した。
【0145】
【表2】

【0146】
前記表2から、本発明に係る化合物を採用する電界発光素子は、赤色発光領域で高い輝度を表し、低電圧でも駆動可能であり、低電圧でも高い電流効率を表したということが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、有機EL素子に関連した技術分野で好適に適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1A】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図1B】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図1C】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図1D】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図1E】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図1F】本発明の一実施形態に係る有機EL素子の積層構造を概略的に示す図面である。
【図2】本発明によって製造された有機EL素子の一実施形態を示す図面である。
【符号の説明】
【0149】
10 第1電極
11 正孔注入層
12 発光層
13 正孔阻止層
14 第2電極
15 電子輸送層
16 正孔輸送層
20 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機金属錯体:
【化1】

式中、
前記Mは、Ir、Os、Pt、Pb、Re、RuまたはPdであり、
前記LおよびL’は、異なる二座配位子であり、
mは、1、2または3であり、
nは、3−mであり、
部分構造であるMLは、下記化学式2の構造を表す;
【化2】

式中、
Mおよびmは、前記化学式1で定義した通りであり、
AおよびBは、それぞれ独立して、炭素数3〜60のヘテロ環基またはヘテロアリール基を表し、
Xは、C、O、N、またはSであり、
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、または、置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【請求項2】
前記Mが、IrまたはPtであることを特徴とする、請求項1に記載の有機金属錯体。
【請求項3】
前記AおよびBが、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含む炭素数3〜60の、単環芳香族または二環式もしくは三環式芳香族縮合環であることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機金属錯体。
【請求項4】
前記部分構造であるMLが、下記化学式3〜9からなる群から選択されるいずれか1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機金属錯体:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

前記式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、あるいは置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【請求項5】
前記二座配位子であるL’は、下記化学式11〜19からなる群から選択されるいずれか1種の由来の基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機金属錯体:
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

式中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2〜20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素数7〜30のアリールアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数5〜30のヘテロアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数3〜30のヘテロアリールアルキル基を表す。
【請求項6】
前記化学式1の化合物は、下記化学式21〜化学式28からなる群から選択されるいずれか1種の化合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機金属錯体:
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【請求項7】
一対の電極の間に有機膜を有する有機EL素子であって、
前記有機膜が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機金属錯体を含むことを特徴とする、有機EL素子。
【請求項8】
前記有機膜が、発光層であることを特徴とする、請求項7に記載の有機EL素子。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機金属錯体の含有量が、前記発光層の形成材料の総質量100質量部に対して、1〜30質量部であることを特徴とする、請求項8に記載の有機EL素子。
【請求項10】
前記有機膜が、緑色発光物質または青色発光物質をさらに含むことを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機EL素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−224029(P2007−224029A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36903(P2007−36903)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】