説明

有機電界効果型トランジスタ

【課題】カーボンナノチューブを含有する活性層を有する有機電界効果型トランジスタにおいて、熱プロセス、経時変化、外部環境に対して、移動度、Von、ヒステリシスの性能を安定化すること。
【解決手段】ゲート電極、ゲート絶縁層、カーボンナノチューブを含有する活性層、該活性層に対して前記ゲート絶縁層と反対側に形成された架橋構造を持つポリシロキサンを含む第2絶縁層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界効果型トランジスタに関する。より詳しくは、カーボンナノチューブを含む活性層と、該活性層に対してゲート絶縁層と反対側に形成された架橋構造を持つポリシロキサンを含む第二絶縁層を有する有機電界効果型トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、成形性に優れた有機半導体を半導体層として用いた電界効果型トランジスタ(以下、FETという)が提案されている。有機半導体をインクとして利用することで、インクジェット技術やスクリーン印刷技術等により、基板上に直接回路パターンを形成することが可能になることから、従来の無機半導体を用いたFETにかわり、有機半導体を用いたFETが盛んに検討されている。
【0003】
FETの性能を示す重要な指標として、移動度とオンオフ比が挙げられる。移動度の向上は、すなわち、スイッチング特性を向上させることを意味する。一方、オンオフ比の向上は、オン電流を増加させるとともにオフ電流を減少させることを意味する。例えば液晶表示装置においては高階調を実現させることにつながる。例えば液晶表示装置の場合、移動度0.1cm/V・sec以上、オンオフ比10、ターンオン電圧−5V以下、ヒステリシス5V以下の性能が求められる。
【0004】
ヒステリシスとは、電圧履歴に対する電流値の変動幅を表しており、FETの安定駆動のためには、ヒステリシスの値を小さくする必要がある。ヒステリシスを小さく抑えることで、ゲート電圧に対してソース電極−ドレイン電極間電流の値が決まった値を示すようになり駆動が安定できる。
【0005】
さらに別の重要な特性に、ターンオン電圧がある。ゲート電圧の制御によってソース電極−ドレイン電極間の電流をオフからオンにする際に、電流が流れ始めるゲート電圧のことをターンオン電圧(以下Vonと言う)と言い、閾値電圧とも言う。FETを低電圧駆動するためにはVonの絶対値はより小さいことが好ましく、±10V以下が求められる。
【0006】
移動度を向上させるための技術として、ポリチオフェン類などの共役系重合体とカーボンナノチューブ(以下CNTと略す)を有する重合体コンポジットを用いる方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
有機半導体を用いたFETの性能の不安定化の要因としては、大気中の酸素、水などがあげられFETの大気中での保存安定性や駆動安定性を高める方法として、半導体層に対してゲート絶縁層と反対側にも絶縁層(オーバーコート)を設ける方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−265534号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2009−283924号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
CNTを含有した活性層を有するFETに従来の架橋構造のないポリシロキサンを用いて第2絶縁層を形成した場合、長時間の高温処理や長期間の大気中保存で移動度、Von、ヒステリシスの特性の変化があり、安定性が不十分であった。
【0010】
本発明はかかる課題を解決し、熱プロセス、経時変化、外部環境に対して、移動度、Von、ヒステリシスの性能が安定な有機電界効果型トランジスタ素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、ゲート電極、ゲート絶縁層、CNTを含む活性層、該活性層に対して前記ゲート絶縁層と反対側に形成された架橋構造を持つポリシロキサンを含む第2絶縁層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により熱プロセス、経時変化、外部環境に対して、移動度、Von、ヒステリシスの性能が安定な有機電界効果型トランジスタ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のFETの例を示す断面図
【図2】本発明のFETの別の例を示す断面図
【図3】本発明のFETの別の例を示す断面図
【図4】本発明のFETの別の例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のFETについて説明する。本発明のFETは、CNTを含有する活性層に対してゲート絶縁層と反対側に架橋構造を持つポリシロキサンを含む第2絶縁層を有することを特徴とする。ここで、活性層に対してゲート絶縁層と反対側とは、例えば、活性層の下側にゲート絶縁層を有する場合は半導体層の上側を指す。本発明は、活性層の面の表裏(上下)両面に各々ゲート絶縁層と第2絶縁層のいずれかを有することを特徴とする。
【0015】
CNTを含む材料をFETの活性層に用いることで高移動度、高オンオフ比のFET素子を得ることができる。
【0016】
ポリシロキサンは優れた絶縁性、耐熱性、透明性を有しており、FETのゲート絶縁層、保護膜、平坦化膜によく用いられる。
【0017】
CNTを含有した活性層を有するFETに従来の架橋構造のないポリシロキサンを第2絶縁層に用いた場合、長時間の高温処理や長期間の大気中保存で移動度、オンオフ比、Von、ヒステリシスの特性の変化があり、安定性が充分ではい。これは高熱をかけた際に第2絶縁層がCNTのネットワーク中に進入することにより、CNT同士の良好な接触の妨げとなり、電流が流れにくくなるためであると考えられる。
【0018】
本発明によれば高移動度・高オンオフ比を発現することができるCNTを含有する活性層を有するFETを、架橋構造を持つ第2絶縁層を有する特定の構成とすることによって、FET素子に高温をかけた際CNTのネットワーク中にポリマーが進入するのを抑えることができ、移動度、オンオフ比、Von、ヒステリシス、の変化を抑えることができる。
【0019】
架橋構造を持つポリシロキサンで第2絶縁層を形成することにより第2絶縁層がより密な構造を持ち、大気中に長期間保存した場合でも移動度、オンオフ比、Von、ヒステリシスの特性の変化が小さいFETを得ることができる。
【0020】
図1〜図4は、本発明のFETの例を示す模式断面図である。図1に示すFETは、ゲート絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、ソース電極5およびドレイン電極6が形成され、その上に活性層4、第2絶縁層7がこの順に形成されている。図2に示すFETは、ゲート絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に活性層4が形成され、その上にソース電極5およびドレイン電極6、第2絶縁層7がこの順に形成されている。図3に示すFETは、第2絶縁層7で覆われた基板1上に、ソース電極5およびドレイン電極6が形成され、その上に活性層4、ゲート絶縁層3、ゲート電極2がこの順に形成されている。図4に示すFETは、第2絶縁層7で覆われた基板1上に、活性層4が形成され、その上にソース電極5およびドレイン電極6、ゲート絶縁層3、ゲート電極2がこの順に形成されている。
【0021】
基板1に用いられる材料としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が挙げられる。
【0022】
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6に用いられる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など、ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
【0023】
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェットおよび印刷などが挙げられるが、導通を取ることができれば特に制限されない。また電極パターンの形成方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を公知のフォトリソグラフィー法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。
【0024】
ゲート絶縁層3に用いられる材料としては、特に限定されず、酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリイミドやその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサンやその誘導体、ポリビニルフェノールやその誘導体等の有機高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物や有機低分子材料と有機高分子材料の混合物を挙げることができるが、ポリシロキサンが最も好ましく用いられ、さらにポリシロキサンは第2絶縁層7と同一組成の材料、すなわち架橋構造を有するポリシロキサンを用いることが望ましい。
【0025】
ゲート絶縁層を第2絶縁層と同一組成とすることで耐薬品性、絶縁性の高いゲート絶縁層を得ると共にゲート絶縁層と第2絶縁層の親和性を高め、両絶縁層の剥がれを防止できる。また、ゲート絶縁層が架橋構造を持つことによって両絶縁層ポリマーがCNTネットワーク中に侵入することを防ぎCNTの良好な接触を保つことができる。
【0026】
なお、本発明における有機高分子材料とは分子量3000を超える有機材料を示し、有機低分子材料とは分子量3000以下の有機材料を示す。ゲート絶縁層3の膜厚は、好ましくは50nm〜3μm、より好ましくは100nm〜1μmである。ゲート絶縁層3は単層でも複数層でもよい。
【0027】
また、1つの層を複数の絶縁性材料から形成してもよいし、複数の絶縁性材料を積層して形成しても構わない。
【0028】
上記ゲート絶縁層3の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法として、具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、ドロップキャスト法などを好ましく用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
【0029】
活性層4には、CNTと共役系ポリマーの複合体、分散剤が付着したCNT、CNT単体、有機半導体中にCNTを分散したコンポジット、CNTと絶縁性材料との混合体を用いることができる。CNTを活性層に使用することは高移動度の電解有機効果型トランジスタを得る手段として好ましく用いられる。
【0030】
CNTの直径は特に限定されないが、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以下である。
【0031】
CNTの長さは少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが好ましい。これよりも長い場合、電極間を短絡させる原因となりうる。このため、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いCNTを用いるか、またはCNTをチャネル長よりも短くする工程を経ることが好ましい。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。そこでCNTをチャネル長よりも短くする工程を加えたほうがよく、電極間の短絡を確実に防ぐことができる。CNTの平均長さは電極間距離によるが、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下で使用される。
【0032】
活性層4の好ましい形態として、共役系重合体とCNTの複合体(以下、CNT複合体という)を用いる方法が挙げられる。CNT複合体を活性層4に用いることにより均一なCNTネットワークを得ることができる。表面の少なくとも一部に共役系重合体を付着したCNTでは、CNT同士の接点においてCNT同士が接するか、半導体もしくは導電性に優れた共役系重合体を介して接するため、良好なFET特性を得ることができる。
【0033】
上述のCNT複合体には、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着している。CNTの表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した状態とは、CNTの表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのは、それぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判断できる。定量的にはX線光電子分光(XPS)などの元素分析によって、付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。
【0034】
CNTに共役系重合体を被覆させる方法は(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTをあらかじめ超音波等で予備分散させておき、そこへ共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTをいれ、この混合系へ超音波を照射して混合する方法などが挙げられる。本発明では、いずれの方法を用いてもよく、いずれかの方法を組み合わせてもよい。
【0035】
上記のCNTを被覆する共役系重合体は、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられるが、特に限定されない。上記重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。上記重合体の中でも本発明においては、CNTへの付着が容易であり、CNT複合体を形成しやすいポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
【0036】
活性層4には、CNT単体を用いることもできる。例えば化学的気相成長CVD法などで合成し捕集網上に薄膜状態で堆積したCNTネットワークを転写して活性層4を形成することもできる。この場合、CNTのネットワークの密度を制御することでFET特性を得ることができる。
【0037】
活性層4には、表面の少なくとも一部に界面活性剤などの分散剤が付着したCNTも用いることができる。
【0038】
また活性層4は、CNTの他に絶縁性材料を含んでもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子材料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0039】
活性層4には有機半導体をマトリクスとし、少量のCNTを添加したコンポジットを用いることもできる。有機半導体中にCNTを添加することは有機半導体の移動度を向上させる手段として好ましく用いられる。
【0040】
このコンポジットにおけるCNTとしては前述のCNT複合体、CNT単体、一部に分散剤が付着したCNTのどれも用いることができるが、CNT複合体を用いることが望ましい。これにより、CNTを有機半導体中により均一に分散することができ、高い移動度とともに高いオンオフ比を実現できる。
【0041】
有機半導体とCNTのコンポジット中のCNTと有機半導体の割合は特に限定されないが、有機半導体に対し0.1〜200重量%であることが好ましい。
【0042】
有機半導体は、半導体性を示す材料であれば分子量にかかわらず用いることができ、キャリア移動度の高い材料が好ましく用いることができる。また、有機溶媒に可溶のものがより好ましく、溶液をガラス基板やプラスチック基板に塗布することで簡便に半導体層を形成することができる。有機半導体の種類は特に限定されないが、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリ(2,5−ビス(2−チエニル)−3,6−ジペンタデシルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(4,8−ジヘキシル−2,6−ビス(3−ヘキシルチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン)、ポリ(4−オクチル−2−(3−オクチルチオフェン−2−イル)チアゾール)、ポリ(5,5’−ビス(4−オクチルチアゾール−2−イル)−2,2’−ビチオフェン)などのチオフェンユニットを主鎖中に含む化合物、ポリピロール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリカルバゾール類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、などのヘテロアリール類、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ルブレンなどの縮合多環芳香族化合物、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニルに代表される芳香族アミン誘導体、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、銅ポルフィリンなどの金属ポルフィリン類、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミドなどの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、メロシアニン、フェノキサジン、ローダミンなどの有機色素などが例として挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。また、これらの共重合体でもよい。中でも、ポリチオフェン類やチオフェンユニットを主鎖中に含む化合物のように、チオフェン骨格を有する有機半導体が好ましい。
【0043】
活性層4の形成工程は、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から、および本発明のゲート絶縁膜を含むゲート絶縁層3において、塗液のはじきが抑制されている利点を生かすためには、塗布法を用いることが好ましい。具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などを好ましく用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。また、プラスチック基板への影響を低減するために、溶液塗布後の加熱処理は220℃以下であることが好ましい。
【0044】
また、ゲート絶縁層3と活性層4の間に配向性層を設けることもできる。配向性層には、シラン化合物、チタン化合物、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の材料を用いることができ、特に有機シラン化合物が好ましい。前記有機シラン化合物としては、特に限定されないが、具体的には、フェニルトリクロロシラン、ナフチルトリクロロシラン、アントラセントリクロロシラン、ピレントリクロロシラン、ペリレントリクロロシラン、コロネントリクロロシラン、チオフェントリクロロシラン、ピロールトリクロロシラン、ピリジントリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アントラセントリメトキシシラン、アントラセントリエトキシシラン、ピレントリメトキシシラン、ピレントリエトキシシラン、チオフェントリメトキシシラン、チオフェントリエトキシシラン、フェニルメチルトリクロロシラン、フェニルエチルトリクロロシラン、フェニルプロピルトリクロロシラン、フェニルブチルトリクロロシラン、フェニルヘキシルトリクロロシラン、フェニルオクチルトリクロロシラン、ナフチルメチルトリクロロシラン、ナフチルエチルトリクロロシラン、アントラセンメチルトリクロロシラン、アントラセンエチルトリクロロシラン、ピレンメチルトリクロロシラン、ピレンエチルトリクロロシラン、チオフェンメチルトリクロロシラン、チオフェンエチルトリクロロシラン、アミノフェニルトリクロロシラン、ヒドロキシフェニルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ジクロロフェニルトリクロロシラン、トリクロロフェニルトリクロロシラン、ブロモフェニルトリクロロシラン、フルオロフェニルトリクロロシラン、ジフルオロフェニルトリクロロシラン、トリフルオロフェニルトリクロロシラン、テトラフルオロフェニルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルトリクロロシラン、ヨードフェニルトリクロロシラン、シアノフェニルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0045】
配向性層は、好ましくは有機シラン化合物を含む単分子層または分子の集合体で形成されるが、配向性層の抵抗を考慮すると、配向性層の膜厚は10nm以下が好ましく、さらに好ましくは単分子膜である。またシラン化合物を含む配向性層は、シラン化合物中の官能基とゲート絶縁層表面とが化学結合して形成されたものも含む。前記官能基(例えば、トリクロロシリル基)とゲート絶縁層表面が化学的に反応することで、緻密で強固な膜を形成することができる。反応後の強固な膜の上に、未反応のシラン化合物が積層している場合は、洗浄などをすることによって、未反応のシラン化合物を除去し、前記官能基とゲート絶縁層表面とが化学結合して形成された単分子膜を得ることができる。
配向性層の形成方法としては、特に限定されないが、CVD法などの気相法や、スピンコート法や浸漬引き上げ法などの液相を用いた方法が挙げられる。
【0046】
配向性層を形成する前に、その下地となるゲート絶縁層表面をUVオゾン法や酸素プラズマ法などの方法を用いて親水化処理してもよい。これにより、前記官能基とゲート絶縁層表面の化学反応を容易にすることができる。
【0047】
本発明では、活性層4に対してゲート絶縁層3と反対側に架橋構造を持つポリシロキサンで形成された第2絶縁層7を有する。
【0048】
第2絶縁層7に含まれるポリシロキサンは架橋構造を持つ。架橋構造とはポリマーとポリマーの間の3次元的な網目構造のことを指す。本発明では第2絶縁層を形成する際分子量が比較的小さいポリシロキサンに硬化剤を添加して加熱することにより架橋反応を生じさせ高分子量化と3次元の架橋構造を形成させる。充分な架橋反応により硬化が進み耐溶剤性と耐熱性が向上することによってCNTを含む活性層を有するTFTにおいて、熱プロセス、経時変化、外部環境に対し移動度、オンオフ比、Von、ヒステリシスの性能を安定化することができる。
【0049】
第2絶縁層7に用いられるポリシロキサンについて説明する。本発明のFETに適したポリシロキサンの一例として、一般式(1)で表されるシラン化合物および一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物を共重合成分とするポリシロキサンを架橋させたものがある。以下、架橋前のポリシロキサンは「ポリシロキサン材料」として、架橋構造を持つポリシロキサンとは区別する。
【0050】
一般式(1)で表されるシラン化合物について説明する。
Si(OR4−m (1)
ここで、Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。mは1〜3の整数を示す。
【0051】
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有している場合の追加の置換基には特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これらはさらに置換基を有していてもよい。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
【0052】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。置換基を有する場合、置換基には特に制限はなく、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、これら置換基はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、以下の記載にも共通する。シクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
【0053】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0054】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6以上40以下の範囲が好ましい。
【0055】
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、2以上30以下の範囲が好ましい。
【0056】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
【0057】
また上記で置換基として挙げたアルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
【0058】
第2絶縁層7に用いられるポリシロキサンの構成単位として一般式(1)で表されるシラン化合物を導入することにより、可視光領域において高い透明性を保ちつつ、絶縁性、耐薬品性を高め、かつヒステリシスの原因となる絶縁膜内のトラップが少ない第2絶縁層を形成できる。
【0059】
また、一般式(1)におけるm個のRの少なくとも1つがアリール基またはヘテロアリール基であると、第2絶縁層の柔軟性が向上し、クラック発生が防止できるため好ましい。
【0060】
本発明に用いられる一般式(1)で表されるシラン化合物としては、具体的に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリエトキシシラン、トリフルオロエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロエチルエチルジメトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジエトキシシラン、トリフルオロエチルエチルジイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリルオロプロピルエチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルエチルジイソプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルエチルジイソプロポキシシラン、p−トリフルオロフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0061】
上記シラン化合物のうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、m=1であるビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、p−トリフルオロフェニルトリエトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、Rがメチル基であるビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、α−ナフチルトリメトキシシラン、β−ナフチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
【0062】
また、一般式(1)で表されるシラン化合物を2種以上組み合わせることが好ましい例として挙げられる。中でも、アルキル基を有するシラン化合物とアリール基またはヘテロアリール基を有するシラン化合物を組み合わせることにより、高い絶縁性とクラック防止のための柔軟性を両立できるため、特に好ましい。
【0063】
次に一般式(2)で表されるエポキシ含有シラン化合物について説明する。
Si(OR4−n−l (2)
ここで、Rは1つ以上のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rは水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。Rはアルキル基またはシクロアルキル基を示し、Rが複数存在する場合、それぞれのRは同じでも異なっていてもよい。lは0〜2の整数、nは1または2を示す。ただし、l+n≦3である。
【0064】
のエポキシ基を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基とは、隣り合う2つの炭素原子が1つの酸素原子と結合して形成される3員環エーテル構造を鎖の一部に有するアルキル基またはシクロアルキル基を示す。
【0065】
その他のR〜Rの説明は、上記RおよびRの説明と同様である。
【0066】
第2絶縁層7に用いられるポリシロキサンの構成単位として一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物を有することにより、ゲート絶縁膜上へのレジストや有機半導体塗液の塗布性を良好にすることができ、かつヒステリシスが小さい優れたFETが得られる。
【0067】
一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物としては、具体的に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0068】
これらのうち、架橋密度を上げ、耐薬品性と絶縁特性を向上させるために、n=1、l=0であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが好ましい。また、量産性の観点から、Rがメチル基であるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシランを用いることが特に好ましい。
【0069】
第2絶縁層7に用いられるポリシロキサンは、一般式(1)または(2)で表されるシラン化合物以外に、その他のシラン化合物を共重合成分として含むことができる。その他のシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
【0070】
また、ポリシロキサンのうち、一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物に由来する構成単位の含有量は、ポリシロキサンの共重合成分であるシラン化合物の全構成単位に対して0.1モル%〜40モル%であることが好ましい。
【0071】
第2絶縁層7を形成するために用いられるポリシロキサン材料は、例えば次の方法で得ることができる。溶媒中に全シラン化合物を溶解し、ここに酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温〜80℃で1〜180分加水分解反応させる。加水分解反応時の温度は、室温〜55℃がより好ましい。この反応液を、50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことにより、エポキシ基含有ポリシロキサンを得ることができる。この場合、一般式(2)で表されるエポキシ基含有シラン化合物のエポキシ基に水を付加させてジオールを形成させるため、全シラン化合物中のアルコキシル基と当量の水に加えて、エポキシ基と当量以上の水を添加する必要がある。
【0072】
また、加水分解における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、例えば、酸濃度、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
【0073】
シラン化合物の加水分解反応に利用される酸触媒としては、蟻酸、蓚酸、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。酸触媒の含有量は、ポリシロキサンの共重合成分である全シラン化合物100重量部に対して0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。酸触媒の含有量が、0.05重量部以上であれば加水分解反応が十分進行し、また、10重量部以下であれば、急激な反応を抑制することができる。
【0074】
加水分解反応に用いられる溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。溶媒の量は、ポリシロキサンの共重合成分である全シラン化合物100重量部に対して、50重量部〜500重量部の範囲が好ましい。50重量部以上であれば、急激な反応を抑制でき、500重量部以下であれば、加水分解を十分進行させることができる。
【0075】
また、加水分解に用いられる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は、任意に選択可能であるが、シラン化合物中のアルコキシル基と当量モルの水に加えて、エポキシ基と当量モル以上の水を添加するのがよい。ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
【0076】
第2絶縁層7を形成するための材料には上記ポリシロキサンを1種または2種以上含んでもよい。また、1種以上のポリシロキサンと1種以上の前記シラン化合物を混合して用いてもよい。
【0077】
架橋構造を持つポリシロキサンは、上記ポリシロキサン材料を硬化剤の存在下で加熱させて得られるものであることが好ましい。
【0078】
ポリシロキサン材料における架橋反応は熱を加えることで進むが、そのスピードは遅く充分な架橋構造を持ったポリシロキサンを得ることは難しい。硬化剤の存在下でポリシロキサン材料を加熱することにより硬化剤がポリシロキサン分子間を橋渡しするような架橋構造が形成され、充分な架橋構造を持った耐熱性、耐溶剤性の高いポリシロキサンを得ることができる。
【0079】
第2絶縁層7を形成するための材料は架橋構造を形成するために硬化剤を含むことが好ましい。
【0080】
硬化剤には、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、銅化合物、インジウム化合物、ランタニウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、アルミニウム化合物などの金属化合物を何れか1つ以上を含むことが好ましい。
【0081】
硬化剤の含有量としては、ポリシロキサン材料100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましい。0.1重量部以上であれば、架橋反応が十分進行した第2絶縁層7が得られる。一方、30重量部以下であれば、第2絶縁層7を形成するための材料の保存安定性が良好となり、第2絶縁層も非常に平滑で安定な膜が得られる。
【0082】
硬化剤として用いられる金属化合物は、溶媒中に均一溶解できるものが好ましいが、懸濁するものであっても濾過などにより粒径が1μm以下であれば好ましく用いることができる。好ましくは金属キレート化合物もしくは金属アルコキシド化合物があげられ、具体的な例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムn − ブトキシド、アルミニウムt − ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、アルミニウムトリフルオロアセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)アルミニウム等のアルミニウム化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウム化合物、亜鉛ビス(エチルアセトアセテート)、亜鉛ビス(アセチルアセトネート)等の亜鉛化合物、銅ビス(エチルアセトアセテート)、銅ビス(アセチルアセトネート)等の銅化合物、ニッケルビス(エチルアセトアセテート)、ニッケルビス(アセチルアセトネート)等のニッケル化合物、クロムトリス(エチルアセトアセテート)、クロムトリス(アセチルアセトネート)等のクロム化合物、コバルトトリス(エチルアセトアセテート)、コバルトトリス(アセチルアセトネート)等のコバルト化合物、鉄トリス(エチルアセトアセテート)、鉄トリス(アセチルアセトネート)等の鉄化合物、インジウムトリス(エチルアセトアセテート)、インジウムトリス(アセチルアセトネート)等のインジウム化合物、ランタントリス(エチルアセトアセテート)、ランタントリス(アセチルアセトネート)等のランタン化合物、ジルコニアテトラキス(エチルアセトアセテート)、ジルコニアテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ジルコニウム、ジルコニウムサルフェートテトラヒドレート、等のジルコニア化合物、錫テトラキス(エチルアセトアセテート)、錫テトラキス(アセチルアセトネート)、等の錫化合物、チタンテトラキス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンテトライソプロポキシド、チタニウムn−ブトキシド、チタニウムt−ブトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム2−エチルヘキソキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウム(ジイソプロポキシド)ビス(アセチルアセトナート) 、チタニウムオキシドビス(アセチルアセトナート)、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)チタニウム、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)チタニウム、(トリメチル)ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウム、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシド、テトラクロロビス(シクロヘキシルメルカプト) チタニウム、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)チタニウム、テトラクロロジアミンチタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジカルボニルチタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)オキソチタニウム、クロロチタニウムトリイソプロポキシド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ジクロロビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)チタニウム、ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウム、ジ(イソプロポキシド)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)チタニウム等のチタン化合物、ハフニウムn−ブトキシド、ハフニウムt−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウムイソプロポキシド、ハフニウムイソプロポキシドモノイソプロピレート、ハフニウムアセチルアセナート、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム等のハフニウム化合物があり、何れも用いることができる。
【0083】
第2絶縁層7を形成するための材料には一般式(1)および(2)で表されるシラン化合物やその他シラン化合物の加水分解物、すなわちシラノールが存在する。シラノールは酸や塩基の作用により縮合してシロキサンとなるが、第2絶縁層形成用材料の保管中に縮合が進行すると粘度が上昇し、塗膜の膜厚が変化する要因となる。また、ゲート絶縁層3と第2絶縁層7を同一のポリシロキサンで形成する場合、膜厚変化はゲート電圧印加時すなわちオン状態での蓄えられるゲート絶縁層中の電荷容量が変化するため、FET特性のばらつき要因となる。そこで、第2絶縁層形成用材料のpHを、シラノールの縮合速度の遅い条件である2〜7、好ましくは3〜6に制御して、粘度上昇を抑制することが好ましい。pHは第2絶縁層形成用材料と同重量の水と接触撹拌させ、その水溶液相のpHを測定することで調べることができる。pH制御方法としては、第2絶縁層形成用材料を水洗いする方法、イオン交換樹脂で過剰の酸や塩基を取り除く方法などが好ましく用いられる。
【0084】
また、本発明の第2絶縁層7形成用材料は、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤などを含有することができる。
【0085】
界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤などを挙げることができる。
【0086】
フッ素系界面活性剤の具体的な例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N′−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製))、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15、FTX−218((株)ネオス製)などを挙げることができる。
【0087】
シリコーン系界面活性剤としては、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、BYK−333(ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。その他の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジステアレートなどが挙げられる。
【0088】
界面活性剤の含有量は、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.0001〜1重量部である。界面活性剤は2種以上を同時に使用してもよい。
【0089】
第2絶縁層7の形成方法としては、特に限定されず、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法として、具体的には、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、ドロップキャスト法などを好ましく用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。
【0090】
第2絶縁層7の膜厚は、一般的には50nmから10μm、好ましくは100nm〜3μmである。第2絶縁層は単層でも複数層でも構わない。
【0091】
第2絶縁層7を塗布法で形成する場合、その塗布液は1気圧における沸点が110〜200℃の溶媒を含有することが好ましい。このような溶媒としては、具体的に、エチレングリゴールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。沸点が110℃以上であれば、第2絶縁層形成用材料の塗布時、溶媒の揮発が抑制されて、塗布性が良好となる。また、200℃以下であれば、膜中に残存する溶媒が少なく、より良好な耐薬品性や絶縁性に優れた第2絶縁層が得られる。さらに好ましくは沸点が130℃〜190℃である。これら溶媒は単独あるいは2種以上用いてもかまわない。
【0092】
これらの溶媒の好ましい含有量は、ポリシロキサン100重量部に対して、100重量部〜1500重量部である。100重量部以上であれば、ゲート絶縁材料塗布時、溶媒の揮発が抑制され塗布性が良好となり、1500重量部以下であれば、膜中に残存する溶媒が少なく、耐薬品性や絶縁性に優れた第2絶縁層が得られる。
【0093】
溶媒を2種以上用いる場合、大気圧下沸点が110℃を下回る低沸点溶媒あるいは、大気圧下沸点が200℃を越える高沸点溶媒を1種以上含有することも可能である。また形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行っても良い。
【0094】
また、本発明の第2絶縁層形成用材料は、アルカリ金属や、ハロゲンイオンの濃度が少ないことが好ましい。具体的には、アルカリ金属やハロゲンイオンがいずれも第2絶縁層材料の100ppm以下が好ましく、より好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下である。
【0095】
架橋構造を有する第2絶縁層材料と同じ構造を持つ膜は耐溶剤性が向上し膜減りも少ないが、架橋構造を有しない第2絶縁層材料と同じ構造を持つ膜では耐溶剤性が低いので30nm以上の膜減りが起こる。
【0096】
第2絶縁層材料が架橋構造を持つことはIRスペクトルを測定した際のSi−OH基に由来するピークの有無や、架橋反応の際発生する水蒸気やメタノールの量をTG−MS法で分析することでも確認できる。
【0097】
このようにして形成されたFETは、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流をゲート電圧を変化させることによって制御することができる。FETの移動度μは、下記の(a)式を用いて算出することができる。
【0098】
μ=(δId/δVg)L・D/(W・εr・ε・Vsd) (a)
ただしIdはソース・ドレイン間の電流(A)、Vsdはソース・ドレイン間の電圧(V)、Vgはゲート電圧(V)、Dはゲート絶縁層の厚み(m)、Lはチャネル長(m)、Wはチャネル幅(m)、εrはゲート絶縁層の比誘電率、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
【0099】
また、あるマイナスのゲート電圧におけるId(オン電流)の値と、あるプラスのゲート電圧におけるId(オフ電流)の値の比からオンオフ比を求めることができる。
【0100】
ターンオン電圧VonはId−VgグラフにおいてIdの増加が始まるゲート電圧を読み取ることで求めることができる。
【0101】
ヒステリシスは、Vgを正から負へと印加した際のId=10−8Aにおけるゲート電圧Vgと、Vgを負から正へと印加した際のId=10−8Aにおけるゲート電圧Vgとの差(行きと帰りのゲート電圧差)の絶対値|Vg−Vg|から求めることができる。
【実施例】
【0102】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
【0103】
実施例1
(1)CNT複合体分散液の作成
共役系重合体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、数平均分子量(Mn):13000、以下P3HTという)0.10gをクロロホルム5mlの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mlと0.1規定塩酸10mlの混合溶液の中に0.5mlずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTをメンブレンフィルター(孔径0.1μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)によって濾別捕集し、メタノールでよくすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
【0104】
次に、CNT(Carbon Nanotechnology Inc.製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)1.5mgと、上記P3HT1.5mgを30mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌した。超音波照射を30分行った時点で一度照射を停止し、P3HTを1.5mg追加し、さらに1分間超音波照射することによって、CNT複合体分散液A(溶媒に対するCNT濃度0.05g/l)を得た。
【0105】
上記CNT複合体分散液A中で、P3HTがCNTに付着しているかどうかを調べるため、分散液A5mlをメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、フィルター上にCNTを捕集した。捕集したCNTを、溶媒が乾かないうちに素早くシリコンウエハー上に転写し、乾燥したCNTを得た。このCNTを、X線光電子分光法(XPS)を用いて元素分析したところP3HTに含まれる硫黄元素が検出された。従って、CNT複合体分散液A中のCNTにはP3HTが付着していることが確認できた。
【0106】
上記CNT複合体分散液Aにo−ジクロロベンゼン(沸点180℃、以下o−DCBという)5mlを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、溶媒をo−DCBで置換し、CNT複合体分散液Bを得た。次に分散液Bをメンブレンフィルター(孔径3μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ3μm以上のCNTを除去した。得られたろ液にo−DCBを加えて希釈し、CNT複合体分散液C(溶媒に対するCNT濃度0.06g/l)とした。
【0107】
(2)第2絶縁層形成用材料およびゲート絶縁層用ポリマー溶液の作製
メチルトリメトキシシラン61.29g(0.45モル)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.05モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.5モル)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)203.36gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出した。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出した後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0重量%のポリマー溶液A(ポリシロキサンA)を得た。
【0108】
得られたポリマー溶液Aを50gはかり取り、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)16.6gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリマー溶液B(固形分濃度19.5重量%)(ポリシロキサンB)を得た。
【0109】
さらにポリマー溶液B中に、硬化剤としてジルコニアテトラキスアセチルアセトナート(以下、Zr(acac)と表記)0.65g(ポリマー固形分に対して5重量%)と、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(以下、Al(acac)と表記)0.65gを添加して室温で2時間攪拌して溶解し、ポリマー溶液C(ポリシロキサンC)を得た。
【0110】
(3)FET素子の作製
図1のFETを作製した。ガラス基板1上に、抵抗加熱法により、メタルマスクを介して、クロムを厚み5nm、続いて金を厚み50nmで真空蒸着し、ゲート電極2を形成した。次に上記(2)で作製したポリマー溶液Cを上記ゲート電極が形成されたガラス基板上にスピンコート塗布(2000rpm×30秒)し、得られたコーティング膜を窒素気流下200℃、1時間加熱処理することによって、膜厚が600nmのゲート絶縁層3を形成した。このゲート絶縁層が形成された基板上に、金を厚み50nmになるように真空蒸着した。次に、ポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。得られたレジスト膜に対して、露光機を用いて、フォトマスクを通して紫外線照射を行った。続いて、基板をアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、電極形状にパターン加工されたレジスト膜を得た。得られた基板を金エッチング液(アルドリッチ社製、Gold etchant,standard)中に浸漬し、レジスト膜が除去された部分の金を溶解・除去した。得られた基板をアセトン中に浸漬し、レジストを除去した後、純水で洗浄し、100℃のホットプレートで30分間乾燥した。このようにして、電極の幅(チャネル幅)0.2mm、電極の間隔(チャネル長)20μm、厚み50nmの金ソース・ドレイン電極を持つ基板Aを得た。
【0111】
次に、基板A上に、上述の(1)で調製したCNT複合体分散液Cをインクジェット法を用いて塗布し、ホットプレート上で窒素気流下、150℃、30分間の熱処理を行い、活性層4を形成した。この際、インクジェット装置に、簡易吐出実験セットPIJL−1(クラスターテクノロジー(株)製)を用いた。
【0112】
次に、ポリマー溶液Cを活性層4上に10μLドロップキャストし30℃で5分風乾した後、ホットプレート上で窒素気流下、140℃、30分の熱処理を行い、第2絶縁層7を形成した。第2絶縁層形成後の特性を測定したところVg=+30〜−30Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、0.35cm/V・secであった。また、Id−VgグラフにおいてIdが増加を始めるVgを読み取ったところ+8.6Vであった。さらに、Id=10−8Aにおける行きと帰りのゲート電圧差の絶対値|Vg−Vg|からヒステリシスを求めたところ、+5.1Vであった。
【0113】
次に上記で第2絶縁層形成後のFET素子をホットプレート上で窒素気流下、180℃、60分の熱処理を行い、FET1を作製し、特性を測定した。Vg=+30〜−30Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、0.37cm/V・secであった。また、Id−VgグラフにおいてIdが増加を始めるVgを読み取ったところ+8.4Vであった。さらに、Id=10−8における行きと帰りのゲート電圧差の絶対値|Vg−Vg|からヒステリシスを求めたところ、+5.7Vであった。FET1の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が+0.02cm/V・sec、Vonが−0.2V、ヒステリシスが+0.6Vであった。
【0114】
実施例2
第2絶縁層7を形成、1回目の特性測定後、150℃180分の熱処理を行ったこと以外はFET1と同様の操作を行いFET2を作製し、2回目の特性測定をした。FET2の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が+0.01cm/V・sec、Vonが−0.3V、ヒステリシスが−0.1Vであった。
【0115】
実施例3
実施例1の第2絶縁層7を形成、1回目の特性測定後、30日間大気中で保管し、150℃、30分の熱処理を行った事以外はFET1と同様の操作を行いFET3を作製し、2回目の特性測定をした。FET3の第2絶縁層形成後の大気中保存による特性の変化量は、移動度が−0.02cm/V・sec、Vonが−0.3V、ヒステリシスが−0.3Vであった。
【0116】
実施例4
単層CNT1mgを10mlの1%コール酸ナトリウム(和光純薬(株)製)水溶液中に加え氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wで30分間超音波攪拌し、CNT分散液Aを得た。次にCNT分散液Aを15,000rpm、60分間遠心分離し、上澄みを分取しCNT分散液Bを得た。CNT分散液B100μlをイオン交換水900μlで希釈しCNT分散液C(CNT濃度約0.01g/l)を得た。活性層4をCNT水分散液を用いてドロップキャストで作成した以外は実施例1のFET1と同様の操作を行い、FET4を作製した。FET4の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は移動度が−0.01cm/V・sec、Vonの変化値が−0.4V、ヒステリシスが−0.5Vであった。
【0117】
実施例5
熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)上にポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。次いで露光機を用いて、フォトマスクを介した紫外線照射を行った。次いでレジスト膜の付いたウエハーをアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、櫛形電極が抜けた形状になっているレジスト膜を得た。このレジスト膜付きのウエハー上に、クロムを厚み5nmになるよう真空蒸着し、次いで金を厚み35nmになるように真空蒸着した。次いで、金/クロムとレジストの付いたウエハーをアセトン中に浸漬し、超音波洗浄機で超音波照射することによって、レジスト上の余分な金/クロムを除去した。このようにして熱酸化膜をゲート絶縁層とし、電極の幅(チャネル幅)0.2mm、電極の間隔(チャネル長)20μm、厚み50nmの金ソース・ドレイン電極を持つ基板Bを作製した。基板Bを用いたこと以外は、実施例1のFET1と同様の操作を行いFET5を作製した。FET5の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が0.03cm/V・sec、Vonが−0.2V、ヒステリシスが0.5Vであった。
【0118】
実施例6
2−チオフェンエタノール17gを0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%油性)7.1gをテトラヒドロフラン110mlに加えた懸濁液を滴下した。溶液を窒素雰囲気下0℃にて20分間撹拌し、1−ブロモノナン27gを滴下した。得られた溶液を90℃に昇温し、8時間加熱撹拌した。反応溶液に水100mlおよびジクロロメタン100mlを加えて有機層を分取した。有機層を飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、2−(2−ノニルオキシエチル)チオフェン20gを得た。
【0119】
2−(2−ノニルオキシエチル)チオフェン12gをテトラヒドロフラン90mlに溶解し、−80℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム溶液(1.6mol/lのヘキサン溶液)34mlを滴下し、6時間撹拌した。得られた溶液を−30℃まで昇温し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン10gを滴下し、室温にて18時間撹拌した。得られた溶液に水100mlおよびヘキサン100mlを加え、有機層を分取した。有機層を水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液からロータリーエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、下記式に示す5−NOET−BPin8.8gを得た。
【0120】
【化1】

【0121】
4,4’−ジブロモスチルベン0.21g、上記5−NOET−BPin0.69g、トルエン20ml、エタノール4mlおよび2M炭酸ナトリウム水溶液5mlの混合溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)67mgを加え、窒素雰囲気下、100℃にて10時間加熱撹拌した。得られた溶液にジクロロメタン70ml、水50mlを加えて有機層を分取した。有機層を水150mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン/ジクロロメタン)で精製し、薄黄色粉末80mgを得た。得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、下記有機半導体1であることを確認した。
【0122】
【化2】

【0123】
H−NMR(CDCl(d=ppm)):0.85-0.90(m,6H),1.27(m,24H),1.57-1.63(m,4H), 3.07-3.12(t,4H),3.45-3.50(t,4H),3.66-3.70(t,4H),6.81-6.82(d,2H),7.10(s,2H),7.15-7.17(d,2H), 7.48-7.57(dd,8H)
活性層4にCNT複合体分散液C1mlに有機半導体1を2.5mgの割合で添加したCNT複合体分散液と有機半導体1の混合物を用いて活性層4を作製した以外は実施例1のFET1と同様の操作、測定を行った。FET6の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が0.01cm/V・sec、Vonが−0.4V、ヒステリシスが0.2Vであった。
【0124】
実施例7
メチルトリメトキシシラン122.58g(0.90モル)とβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.10モル)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)203.36gに溶解し、これに、水54.90g、リン酸0.864gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出した。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出した後、室温まで冷却し、固形分濃度26.0重量%のポリマー溶液D(ポリシロキサンD)を得た。
【0125】
得られたポリマー溶液Dを50gはかり取り、プロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)16.6gを混合して、室温にて2時間撹拌し、ポリマー溶液E(固形分濃度19.5重量%)(ポリシロキサンE)を得た。
【0126】
さらにポリマー溶液E中に、硬化剤としてジルコニアテトラキスアセチルアセトナート(以下、Zr(acac)と表記)0.65g(ポリマー固形分に対して5重量%)と、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(以下、Al(acac)と表記)0.65gを添加して室温で2時間攪拌して溶解し、ポリマー溶液F(ポリシロキサンF)を得た。
【0127】
第2絶縁層7を形成する際にポリマー溶液Fを用いたこと以外は実施例1のFET1と同様の操作を行いFET7を作製し、特性を測定した。FET7の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が0.01cm/V・sec、Vonが−0.2V、ヒステリシスが−0.4Vであった。
【0128】
比較例1
実施例1の(2)で作製したポリマー溶液Bを用いて第2絶縁層7を形成したこと以外は、実施例1のFET1と同様の操作をしてFET8を作製し、特性を測定した。FET8の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が−0.16cm/V・sec、Vonが−5.5V、ヒステリシスが−3.7Vであった。
【0129】
比較例2
実施例1の(2)で作製したポリマー溶液Bを用いて第2絶縁層7を形成したこと以外は、実施例2のFET2と同様の操作をしてFET9を作製し、特性を測定した。FET9の第2絶縁層形成後の熱処理による特性の変化量は、移動度が−0.17cm/V・sec、Vonが−5.1V、ヒステリシスが−3.7Vであった。
【0130】
比較例3
実施例1の(2)で作製したポリマー溶液Bを用いて第2絶縁層7を形成したこと以外は、実施例3のFET3と同様の操作をしてFET10を作製し、特性を測定した。FET10の第2絶縁層形成後大気中保存による特性の変化量は、移動度が−0.18cm/V・sec、Vonが−8.7V、ヒステリシスが−2.5Vであった。
【0131】
【表1】

【0132】
架橋構造を持つポリシロキサンを含む第2絶縁層を備えた実施例1〜7のFETは移動度の変化値、Vonの変化値、ヒステリシスの変化値が非常に小さくすることができるので、高温の熱処理や大気中保存の影響をほぼ受けていないといえる。比べて比較例1〜3のFETは架橋構造を持たないポリシロキサンを含む第2絶縁層が形成されているため、熱処理や大気中保存の影響を大きく受けている。
【符号の説明】
【0133】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁層
4 活性層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 第2絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極、ゲート絶縁層、カーボンナノチューブを含む活性層、該活性層に対して前記ゲート絶縁層と反対側に形成された架橋構造を持つポリシロキサンを含む第2絶縁層、ソース電極およびドレイン電極を有する有機電界効果型トランジスタ。
【請求項2】
架橋構造を持つポリシロキサンが、シラン化合物を加水分解、縮合させた後、硬化剤の存在下で加熱して得られるものである請求項1記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項3】
カーボンナノチューブが、少なくとも表面の一部に共役系重合体の付着したカーボンナノチューブである請求項1または2記載の有機電界効果型トランジスタ。
【請求項4】
ゲート絶縁層と第2絶縁層が同一のポリシロキサンで形成される請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界効果型トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−62391(P2013−62391A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200238(P2011−200238)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】