説明

有機電界発光素子、及び表示媒体

【課題】素子寿命が長い有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】本発明の有機電界発光素子は、前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層を有し、前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする。但し、一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子、及び表示媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、自発光性の全固体素子であり、視認性が高く衝撃にも強いため、広く応用が期待されている。現在は無機蛍光体を用いたものが主流であり広く使用されている。
一方、有機化合物を用いた電界発光素子研究は、最初アントラセン等の単結晶を用いて始まり、蒸着法による薄膜化が試みられている(例えば、非特許文献1参照)。この素子の発光は、電極の一方から電子が注入され、もう一方の電極から正孔が注入されることにより、素子中の発光材料が高いエネルギー準位に励起され、励起された発光体が基底状態に戻る際の余分なエネルギーを光として放出する現象である。
【0003】
また、1987年にTangらにより、機能分離型の有機電界発光素子が報告された(例えば、非特許文献2及び特許文献1参照)。この素子は、正孔輸送性有機低分子化合物と電子輸送能を持つ蛍光性有機低分子化合物とを、真空蒸着法により薄膜として透明基板上に順次積層するものである。この機能分離型の有機電界発光素子は、10V程度の低電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られると報告されている。以来、有機電界発光素子の研究・開発が活発に行われている。
【0004】
前記積層構造の電界発光素子は、有機発光体と電荷輸送性の有機物(電荷輸送材料)を電極に積層した構造であり、それぞれの正孔と電子が電荷輸送材料中を移動して、再結合することにより発光する。
有機発光体としては、8−キノリノールアルミニウム錯体やクマリン化合物など蛍光を発する有機色素などが用いられる。
電荷輸送材料としては、N,N−ジ(m−トリル)N,N‘−ジフェニルベンジジンや1,1−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノフェニル]シクロヘキサンなどの芳香族アミン誘導体、m−MTDATAなどのスターバーストアミン類(非特許文献3)、4−(N,N−ジフェニル)アミノベンズアルデヒドーN,N−ジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体や、4,4’−ジカルバゾリルビフェニルジアミンなどのカルバゾール誘導体(特許文献2)等が提案されている。
【0005】
また、チアゾロチアゾール誘導体の公知例として、例えば非特許文献4、5には下記化学式2から4で表されるチアゾロチアゾール誘導体が知られている。
【0006】
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭59−194393号公報
【特許文献2】特開平10−92576号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Thin Solid Films,94,171(1982)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett., 51,913(1987)
【非特許文献3】第40回応用物理学関係連合講演会予稿集,30a-SZK-14(1993)
【非特許文献4】S.Ando,J.Nishida,et al.,J.Mater.Chem.,vol.14,p.1787-1790 (2004).
【非特許文献5】S.Ando,J.Nishida,et al.,Chemistry Letters,vol.33,No.9,p.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、
前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有し、
前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【0011】
【化2】

【0012】
(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。)
【0013】
請求項2に係る発明は、
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数が3以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が3以上12以下の分岐状の置換基であり、Rが、それぞれ独立に、炭素数が1以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が2以上12以下の分岐状の置換基である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【0014】
請求項3に係る発明は、
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数3以上12以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上12以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上12以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上12以下の分岐状アルコキシ基である請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
【0015】
請求項4に係る発明は、
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上8以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上8以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上8以下の分岐状アルコキシ基である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0016】
請求項5に係る発明は、
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、電子輸送層及び電子注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0017】
請求項6に係る発明は、
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、正孔輸送層及び正孔注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0018】
請求項7に係る発明は、
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0019】
請求項8に係る発明は、
前記有機化合物層が、電荷輸送機能を持つ発光層のみで構成され、
前記電荷輸送機能を持つ発光層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【0020】
請求項9に係る発明は、
少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有し、前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有する、マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列された有機電界発光素子と、
マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列された前記有機電界発光素子を駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする表示媒体。
【0021】
【化3】


(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。)
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子が得られる。
請求項2に係る発明によれば、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子が得られる。
請求項3に係る発明によれば、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子が得られる。
請求項4に係る発明によれば、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子が得られる。
請求項5に係る発明によれば、有機化合物層が少なくとも発光層と電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層とを含む層構成を有していない場合に比べ、発光効率が優れた有機電界発光素子が得られる。
請求項6に係る発明によれば、有機化合物層が少なくとも発光層と正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層とを含む層構成を有していない場合に比べ、耐久性に優れた有機電界発光素子が得られる。
請求項7に係る発明によれば、有機化合物層が少なくとも発光層と正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層とを含む層構成を有していない場合に比べ、より低電圧で駆動する有機電界発光素子が得られる。
請求項8に係る発明によれば、有機化合物層が電荷輸送機能を持つ発光層のみの層構成を有していない場合に比べ、製造が容易な有機電界発光素子が得られる。
請求項9に係る発明によれば、上記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた有機電界発光素子に比べ、素子寿命が長い表示媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る表示装置を示した概略構成図である。
【図2】他の本実施形態に係る表示装置を示した概略構成図である。
【図3】他の本実施形態に係る表示装置を示した概略構成図である。
【図4】他の本実施形態に係る表示装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、本実施形態の有機電界発光素子について詳細に説明する。
【0025】
本実施形態の有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有する。前記有機化合物層を構成する少なくとも1層は、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有する。
【0026】
本実施形態の有機電界発光素子では、上記構成とすることで、素子寿命が長い有機電界発光素子となる。まず、下記一般式(I)で表される化合物について詳述する。
【0027】
一般式(I)で表される化合物は、チアゾロチアゾール誘導体である。以下、一般式(I)で表される化合物を、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体と称することがある。
【0028】
【化4】

【0029】
一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。
【0030】
なかでも、前記一般式(I)のRが、炭素数が3以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が3以上12以下の分岐状の置換基であり、Rが、炭素数が1以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が2以上12以下の分岐状の置換基である態様が好適である。
ここで、炭素数が3以上12以下の直鎖状の置換基としては、炭素数3以上12以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上12以下の直鎖状アルコキシ基が挙げられ、また、主鎖部分を構成する炭素数が3以上12以下の分岐状の置換基としては、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基であって、アルキル基、もしくはアルコキシ基の分岐鎖を除いた直鎖状の主鎖部分における炭素数が2以上12以下である置換基が挙げられる。
【0031】
一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、分子構造的に芳香環の平面性が高くπ電子の共役が広がった状態によって電荷輸送性に優れた性能を発揮しているものと考えられる。
一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、チオフェン環に隣接する置換基をフェニル基にすることにより、溶解性が向上する。これは末端のフェニル置換基とチオフェン環の結合がフリーに回転することによるものと推測される。また、Rにアルキル基、又はアルコキシ基を導入することで有機溶媒との疎水性相互作用が増し、有機溶媒への溶解性を向上するものと考えられる。さらに、Rにアルキル基、又はアルコキシ基を導入することにより有機溶媒との疎水性相互作用が増し、溶解性を大幅に向上するものと考えられる。また、イオン化ポテンシャルを小さくするなどの効果もある。また、フェニル基の置換基としてアルキル基、又はアルコキシ基を導入することにより分子量が増加し、良好な耐熱性を呈するものと推測される。
特に一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体において、置換基R及びRの長さを、炭素数が20以下、望ましくは12以下、さらにRにあっては望ましくは8以下のアルキル基、又はアルコキシ基とすることによって、置換基同志の絡まり合いを抑えられ、これによっても溶解性が向上したものと考えられる。
【0032】
なお、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体ではない下記化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体は、結晶で得られるが、有機溶媒に溶解しにくいために塗布溶液を作製すると結晶が析出し、塗布溶液は経時安定性が不良であり、使用しにくい。また、化学式3で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いて製膜したときの膜厚にむらが生じるが、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた場合には、塗布による膜厚むらの発生が抑制される。
【0033】
【化5】

【0034】
したがって、上記特定の構造を持つ一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を有機化合物層の少なくとも一層に含む有機電界発光素子は、長寿命化されると考えられる。しかし、本実施形態は上記した推測によって限定されることはない。
【0035】
以下、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体について詳細に説明する。
【0036】
における炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基として具体的には、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、又はイコシル基であり、望ましくは炭素数3以上12以下の直鎖状アルキル基であり、具体的にはプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、又はドデシル基であり、望ましくは、ブチル基、ヘキシル基、n-オクチル基、又はドデシル基である。
【0037】
における炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、又はイコシルオキシ基であり、望ましくは炭素数3以上12以下の直鎖状アルコキシ基であり、具体的にはプロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクトキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、又はドデシルオキシ基であり、望ましくは、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクトキシ基、又はドデシルオキシ基である。
【0038】
における炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、1−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、tert-オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2―メチルオクチル基、2,2−ジメチルへプチル基、2,2−ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、2,6−ジメチル−4−へプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、2,2−ジメチルデシル基、2,3−ジメチルデシル基、2,2ジエチルデシル基、1−ヘキシルへプチル基、1−メチルヘキサデシル基、又は1,1−ジメチルヘキサデシル基であり、望ましくは炭素数3以上12以下の分岐状アルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、tert-ブチル基、2−メチル−ヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、2−メチルデシル基、2,2-ジメチルデシル基、又は2,3−ジメチルデシル基であり、望ましくは、tert-ブチル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、又は2,2−ジメチルデシル基である。
【0039】
における炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、2,2−ジメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2−ジメチルオクチルオキシ基、2,3−ジメチルオクチルオキシ基、2−メチルデシルオキシ基、2,2−ジメチルデシルオキシ基、2,3−ジメチルデシルオキシ基、2−メチルドデシル基、2−メチルテトラデシル基、2−メチルヘキサデシル基、又は2−メチルオクタデシル基、望ましくは炭素数3以上12以下の分岐状アルコキシ基であり、具体的にはイソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、2,2-ジメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2-ジメチルオクチルオキシ基、2,3−ジメチルオクチルオキシ基、2−メチルデシルオキシ基、2,2ジメチルデシルオキシ基、又は2,3−ジメチルデシルオキシ基であり、さらに望ましくは、tert-ブトキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2-ジメチルオクチルオキシ基、又は2,3−ジメチルデシルオキシ基である。
フェニル基におけるRの結合部位として望ましくは、チオフェン環に対して3位又は4位であり、さらに望ましくは4位である。Rにおけるアルキル基又はアルキル基は置換基を有していてもよいが、望ましくは置換基を有さないことがよい。
【0040】
また、Rにおける炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、又はイコシル基であり、望ましくは炭素数1以上8以下の直鎖状アルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はヘキシル基、オクチル基であり、さらに望ましくは、メチル基、ブチル基、ヘキシル基、又はオクチル基である。さらに望ましくはRにおける炭素数3以上8以下の直鎖状アルキル基であり、プロピル基、ブチル基、又はヘキシル基、オクチル基が望ましい。
【0041】
における炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、又はイコシルオキシ基であり、望ましくは炭素数1以上8以下の直鎖状アルコキシ基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、又はオクチルオキシ基であり、さらに望ましくは、メトキシ基、ブトキシ基、又はヘキシルオキシ基である。さらに望ましくは炭素数3以上8以下の直鎖状アルコキシ基であり、ブトキシ基、又はヘキシルオキシ基が望ましい。
【0042】
における炭素数1以上20以下の分岐状アルキル基として具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、1−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、tert-オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2―メチルオクチル基、2,2−ジメチルへプチル基、2,2−ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、2,6−ジメチル−4−へプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、2,2−ジメチルデシル基、2,3−ジメチルデシル基、2,2ジエチルデシル基、1−ヘキシルへプチル基、1−メチルヘキサデシル基、又は1,1−ジメチルヘキサデシル基であり、望ましくは炭素数3以上12以下の分岐状アルキル基であり、具体的にはイソプロピル基、tert-ブチル基、2−メチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、2−メチルデシル基、2,2-ジメチルデシル基、又は2,3−ジメチルデシル基であり、望ましくは、tert-ブチル基、2,2-ジメチルヘキシル基、2−メチルオクチル基、2,2-ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、又は2,2−ジメチルデシル基である。さらに望ましくは炭素数3以上8以下の分岐状アルキル基であり、tert-ブチル基、又は2,2-ジメチルヘキシル基、が望ましい。
【0043】
における炭素数1以上20以下の分岐状アルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、2,2−ジメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2−ジメチルオクチルオキシ基、2,3−ジメチルオクチルオキシ基、2−メチルデシルオキシ基、2,2−ジメチルデシルオキシ基、2,3−ジメチルデシルオキシ基、2−メチルドデシル基、2−メチルテトラデシル基、2−メチルヘキサデシル基、又は2−メチルオクタデシル基、望ましくは炭素数3以上12以下の分岐状アルコキシ基であり、具体的にはイソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、2−メチルヘキシルオキシ基、2,2-ジメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2-ジメチルオクチルオキシ基、2,3−ジメチルオクチルオキシ基、2−メチルデシルオキシ基、2,2−ジメチルデシルオキシ基、又は2,3−ジメチルデシルオキシ基であり、さらに望ましくは、tert-ブトキシ基、2−メチルオクチルオキシ基、2,2-ジメチルオクチルオキシ基、又は2,3−ジメチルデシルオキシ基である。さらに望ましくは炭素数3以上8以下の分岐状アルコキシ基であり、tert-ブトキシ基、又はイソプロポキシ基が望ましい。
チオフェン環におけるRの結合部位として望ましくはフェニル基に対して3位である。Rにおけるアルキル基又はアルキル基は置換基を有していてもよいが、望ましくは置換基を有さないことがよい。
【0044】
特に、前記一般式(I)のRが、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基であり、且つRが、炭素数3以上8以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上8以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上8以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上8以下の分岐状アルコキシ基であることが望ましく、これによってハロゲン系の有機溶媒だけでなく、非ハロゲン系の有機溶媒にも溶解性が良好となる。
前記構造を有するチアゾロチアゾール誘導体の製造が容易になったり、精製が容易で高純度のものを容易に得やすく、また前記構造を有するチアゾロチアゾール誘導体を用いて、例えば電荷輸送材料を製造することが容易になる。
【0045】
なお、本実施形態において溶解とは、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を有機溶剤に添加し、目視により結晶が確認できなくなった状態を指す。また、溶解性が良好であるとは、有機溶剤の沸点において溶解した状態を示す。
【0046】
一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を溶解する有機溶剤としては、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を溶解するものであれば如何なるものでも使用する。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、キシレン、メシチレン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の通常の有機溶剤、あるいは下記のハロゲン化有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いる。
【0047】
ハロゲン化有機溶剤としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などのハロゲン原子を1個以上有する炭化水素系化合物、芳香族炭化水素系化合物であり、沸点が30℃以上300℃以下の範囲であることが望ましい。より望ましくは沸点が50℃以上200℃以下の範囲であるハロゲン原子を1個以上有する炭化水素系化合物、芳香族炭化水素系化合物である。
【0048】
ハロゲン化有機溶剤の具体例としては、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、、などのハロゲン化炭化水素類、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、、2−クロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、などのハロゲン化芳香族炭化水素などである。
【0049】
一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、例えば下記のようにして合成されるがこれに限定されるものではない。
【0050】
(1)チアゾロチアゾール部位に隣接するチオフェンの5位をハロゲン化した後、アルキル基又はアルコキシ基置換フェニルボロン酸又はピナコールボロン類と前述したハロゲン体との鈴木反応により合成される。
【0051】
(2)アルキル又はアルコキシ基置換臭化フェニルとチオフェンボロン酸との鈴木反応からアルキル又はアルコキシ基置換フェニルチオフェンを合成した後、このアルキル又はアルコキシ基置換フェニルチオフェンチオフェンの5位をホルミル化し、次いでルベアン酸等との環化反応により合成される。
【0052】
ここで、(2)の合成法は、例えば、特開平2006−206503号公報に記載されている方法である。一方、(1)の合成法では、例えば、先にチオフェン含有チアゾロチアゾール骨格を形成した後、チオフェンの5位をハロゲン化して、さらにアルキル又はアルコキシフェニルボロン酸又はピナコールボロン類との鈴木反応から末端の置換基を導入する手法により、各段階において、精製される。
【0053】
チアゾロチアゾール誘導体の製造方法について具体的に説明する。実施の形態においては、例えば、J.R.Johnson,D.H.Rotenberg,and R.Ketcham,J.Am.Chem.Soc.,vol92,4046(1970)に記載されている方法のようにルベアン酸と下記一般式(II−1)で示されるチオフェンアルデヒド誘導体とを環化反応させることにより、チオフェン含有チアゾロチアゾール〔下記一般式(III−1)〕を合成し、次いで、公知の方法であるN-ブロモスクシンイミド(以下、NBSと称する。)などによりハロゲン化して下記一般式(IV−1)で示されるハロゲン化合物を合成し、さらにこれを下記一般式(V−1)で示される置換フェニルボロン酸又は置換フェニルピナコールボロンとパラジウム触媒による鈴木反応でカップリング反応を行うことにより、チアゾロチアゾール誘導体〔一般式(I)〕を合成する。
【0054】
【化6】

【0055】
一般式(II−1)におけるR、及び一般式(III−1)におけるRは、いずれも一般式(I)のRと同義である。
【0056】
【化7】

【0057】
一般式(IV−1)において、Rは上記一般式(I)のRと同義である。また、Xは臭素原子又はヨウ素原子を表す。
【0058】
【化8】

【0059】
一般式(V−1)において、Rは上記一般式(I−1)のRと同義である。また、Gはボロン酸基、またはホウ酸エステル基類を表す。
【0060】
ホウ酸エステル基類としては、例えば以下に示すものが試薬の入手性の観点から好適に用いられる。
具体的には、ホウ酸エステル基類としては、例えばホウ酸ピナコレートエステル基、ホウ酸1,3−プロパンジオールエステル基、又はホウ酸ネオペンチルグリコールエステル基が挙げられる。
【0061】
【化9】

【0062】
一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体の具体的化合物を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0063】
【化10】

【0064】
【化11】

【0065】
【化12】

【0066】
【化13】

【0067】
次に、本実施形態に係る有機電界発光素子の構成について詳述する。
本実施形態に係る有機電界発光素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有する。そして、前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を1種以上含有する。
上記構成を有すれば、本実施形態に係る有機電界発光素子における層構成は特に限定されない。
【0068】
本実施形態の有機電界発光素子においては、有機化合物層が発光層のみから構成される場合は、有機化合物層は電荷輸送能を持つ発光層を意味し、この電荷輸送能を有する発光層が、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を含有してなる。
ここで、発光層のみから構成される場合では、他の層構成に比べ、素子の大面積化及び製造が容易である。これは、層数が少なく、例えば湿式塗布等により作製されるためのである。
【0069】
また、本実施形態の有機電界発光素子は、有機化合物層が複数層で構成される、いわゆる各層が異なる機能を有する機能分離型の素子であってもよい。この場合、少なくとも1層は発光層であり、その他の層としては、電荷輸送層、すなわち、正孔輸送層、電子輸送層、又は正孔輸送層及び電子輸送層が挙げられる。これらの少なくとも一層に前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体が含まれる。なお、機能分離型の素子における発光層は電荷輸送能を持つ発光層であってもよい。
前記発光層あるいは前記電荷輸送能を持つ発光層と、その他の層からなる層構成の具体例な有機化合物層の構成としては、下記(1)乃至(3)が挙げられる。
【0070】
(1)少なくとも1層の発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含む構成。
ここで、この層構成では、他の層構成に比べ、製造容易性と発光効率との両立が図られる。これは、全て機能分離した層構成に比べ層数が少ない一方で、一般に正孔に比較して移動度が低い電子の注入効率を補い、発光層での電荷の均衡が図られるためであると考えられる。
【0071】
(2)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、少なくとも1層の発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含む構成。
ここで、この層構成では、他の層構成の素子に比べ、発光効率に優れ、低電圧駆動が実現される。これは、全て機能分離することで、他の層構成に比べ、電荷の注入効率が最も高くなり、発光層で電荷が再結合されるためであると考えられる。
【0072】
(3)正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、少なくとも1層の発光層と、を含む層構成。
ここで、この層構成では、他の構成に比べ、製造容易性と耐久性との両立が図れる。これは、全て機能分離した層構成に比べ層数が少ない一方で、発光層への正孔の注入効率が向上し、発光層で過剰な電子の注入が抑制されるためであると考えられる。
【0073】
これらの少なくとも一層(正孔輸送層、電子輸送層、発光層)のいずれかに前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体が含まれていれば、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を含有する層については特に制限されない。
好適には正孔輸送層用材料として前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体が含まれていることが望ましい。
【0074】
また、本実施形態に係る有機電界発光素子において、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層は、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体以外の電荷輸送化合物(正孔輸送材料、電子輸送材料)を更に含んでもよい。この電荷輸送化合物の詳細については後述する。
【0075】
更に、本実施形態の有機電界発光素子において、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、及び電子注入層は、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体以外の電荷輸送化合物(正孔輸送材料、電子輸送材料)を含んでもよい。このようなその他の電荷輸送化合物の詳細については後述する。
【0076】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の有機電界発光素子について、より詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
図1乃至図4は、本実施形態の有機電界発光素子の層構成を説明するための模式的断面図であって、図1、図2、及び図3の場合は、有機化合物層が複数層で構成される場合の一例であり、図4の場合は、有機化合物層が1層で構成される場合の例を示す。なお、図1乃至図4において、同一の機能を有するものは同じ符号を付して説明する。
【0077】
図1に示す有機電界発光素子10は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、発光層4、電子輸送層5、及び背面電極7を順次積層してなり、層構成(1)に相当するものである。
なお、電子輸送層5は、電子注入層で構成されていてもよい。また、電子輸送層及び電子注入層で構成されていてもよく、その場合には、発光層4側から背面電極7側へ、電子輸送層、電子注入層、背面電極7、の順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を持つ発光層6、電子輸送層5、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
【0078】
図2に示す有機電界発光素子10は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、及び背面電極7が順次積層されたもので、層構成(2)に相当するものである。
なお、正孔輸送層3は、正孔注入層で構成されていてもよい。また、正孔輸送層及び正孔注入層で構成されていてもよく、その場合には、透明電極2側から背面電極7側へ、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4、の順に積層される。
なお、電子輸送層5は、電子注入層で構成されていてもよい。また、電子輸送層及び電子注入層で構成されていてもよく、その場合には、発光層4側から背面電極7側へ、電子輸送層、電子注入層、背面電極7の順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、電荷輸送能を持つ発光層6、電子輸送層5、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
【0079】
図3に示す有機電界発光素子10は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、発光層4、及び背面電極7が順次積層されたもので、層構成(3)に相当するものである。
なお、正孔輸送層3は、正孔注入層で構成されていてもよい。また、正孔輸送層及び正孔注入層で構成されていてもよく、その場合には、透明電極2側から背面電極7側へ、正孔注入層、正孔輸送層、発光層4、の順に積層される。
また、発光層4は電荷輸送能を持つ発光層6であってもよい。つまり、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、正孔輸送層3、電荷輸送能を持つ発光層6、及び背面電極7を順次積層したものであってもよい。
【0080】
図4に示す有機電界発光素子10は、透明絶縁体基板1上に、透明電極2、電荷輸送能を持つ発光層6及び背面電極7が順次積層されたものである。
【0081】
また、トップエミッション構造や陰極・陽極共に透明電極を用いて透過型にする場合、さらには図1乃至図4の層構成を複数段積重ねた構造としてもよい。
【0082】
前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体が含まれる層は、それを含んで形成される有機化合物層の機能によって、発光能、正孔輸送能、電子輸送能のいずれの機能をも付与される。
【0083】
例えば、図1に示される有機電界発光素子10の層構成の場合、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、発光層4又は電子輸送層5のいずれに含有されてもよく、発光層4又は電子輸送層5としていずれも作用する。
【0084】
図2に示される有機電界発光素子10の層構成の場合、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、正孔輸送層3、発光層4又は電子輸送層5のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層3、発光層4又は電電子輸送層5としていずれも作用する。
【0085】
図3に示される有機電界発光素子10の層構成の場合、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は、正孔輸送層3又は発光層4のいずれに含有されてもよく、正孔輸送層3又は発光層4としていずれも作用する。
【0086】
図4に示される有機電界発光素子10の層構成の場合、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体は発光層6に含有され、電荷輸送能を有する発光層6として作用する。
【0087】
以下、各々を詳しく説明する。以下、符号を省略して説明する。
図1乃至図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、透明絶縁体基板は、発光を取り出すため透明又は半透明なものが望ましく、例えば、ガラス、石英、金属箔、又は樹脂製のフィルム等が挙げられるが、これらの材料に限定されるものではない。樹脂フィルムの構成樹脂としては、例えば、メタクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等)、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等)、又はポリカーボネート樹脂が挙げられる。また、透水性や透ガス性を抑える透湿防止層を、透明絶縁体基板の表面又は裏面に設けてもよい。透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層は、例えばスパッタリング法などにより形成する。
なお、上記透明又は半透明とは、可視領域の光の透過率が10%以上であることを意味し、更に透過率が75%以上であることが望ましい。
【0088】
透明電極は、透明絶縁体基板と同様に発光を取り出すため透明又は半透明であって、かつ正孔の注入を行うため仕事関数の大きなものが良く、例えば、仕事関数が4eV以上のものが望ましい。
【0089】
透明電極の具体例としては、例えば、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等の酸化膜、又は、蒸着若しくはスパッタされた金、白金、パラジウム等が挙げられる。
透明電極2のシート抵抗は、低いほど望ましく、数百Ω/□以下が望ましく、さらには100Ω/□以下がより望ましい。
また、透明電極における可視領域の光の透過率は10%以上で、更に透過率が75%以上であることが望ましい。
【0090】
図1乃至図3に示される有機電界発光素子の層構成の場合、電子輸送層や正孔輸送層等は、目的に応じて機能(電子輸送能、正孔輸送能)が付与された前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体単独で形成されていてもよいが、正孔移動度を調節するために、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体以外の正孔輸送材料を、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲で混合分散して形成されてもよい。
この正孔輸送材料としては、例えば、テトラフェニレンジアミン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、アリールヒドラゾン誘導体、又はポルフィリン系化合物が挙げられるが、テトラフェニレンジアミン誘導体、又はトリフェニルアミン誘導体が望ましい。
【0091】
また、同様に、電子移動度を調整する場合は、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体以外の電子輸送材料を、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲で混合分散して形成されてもよい。
この電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、シロール誘導体、キレート型有機金属錯体、多核若しくは縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、トリアゾール誘導体、又はフルオレニリデンメタン誘導体等が挙げられる。
【0092】
また、正孔移動度及び電子移動度の両方の調整が必要な場合は、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体に正孔輸送材料及び電子輸送材料の両方を一緒に混在させて形成してもよい。
【0093】
さらに、一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体に樹脂(ポリマー)や添加剤を加えて形成してもよい。
具体的な樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリチオフェン、又はポリピロール等の導電性樹脂等が挙げられる。また、添加剤としては、例えば、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
【0094】
また、正孔注入層及び電子注入層の少なくも一方を設ける場合、当該層にはそれぞれ正孔注入材料又は電子注入材料を添加することがよい。
正孔注入材料としては、例えば、フェニレンジアミン誘導体、フタロシアニン誘導体、インダンスレン誘導体、ポリアルキレンジオキシチオフェン誘導体等が挙げられる。また、これらには、ルイス酸、スルホン酸等を混合してもよい。
電子注入材料としては、例えば、金属(例えばLi、Ca、Sr等)、金属フッ化物(例えばLiF、MgF等)、又は金属酸化物(例えばMgO、Al、LiO等)等が挙げられる。
【0095】
図1乃至図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、発光層は、発光材料を含んで構成される。特に、発光層には、発光材料と共に、前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体を含んでもよいが、電荷輸送能を持つ発光層の場合、発光材料と前記一般式(I)で表されるチアゾロチアゾール誘導体とを併用する。
【0096】
発光材料としては、例えば、固体状態の化合物を用いる。発光材料は、低分子化合物又は高分子化合物どちらでもよい。発光材料が低分子化合物である場合の好適な例としては、例えば、キレート型有機金属錯体、多核若しくは縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、又はオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。発光材料が高分子化合物の場合、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又はポリアセチレン誘導体等が挙げられる。
【0097】
発光材料の好適な具体例としては、下記発光材料(VII−1)乃至(VII−17)が挙げられるが、これらに限られるものではない。なお、発光材料(VII−17)中、Zは以下の(VII−18)乃至(VII−28)から選択された基が挙げられ、n、h及びgは1以上の整数を示す。
【0098】
【化14】

【0099】
【化15】

【0100】
【化16】

【0101】
また、発光層には、上記発光材料の中にゲスト材料として発光材料とは異なる色素化合物をドーピングしてもよい。前記色素化合物のドーピングの割合としては0.001質量%以上40質量%以下程度、望ましくは0.001質量%以上10質量%以下程度である。
この色素化合物として好適には、クマリン誘導体、DCM誘導体、キナクリドン誘導体、ペリミドン誘導体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン誘導体、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体(例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスニウム、イリジウム、白金、ネオジム、ユーロピウム及び金などの錯体化合物)等が挙げられる。特に、望ましい発光化合物として、イリジウム金属錯体、ユーロピウム錯体及び白金錯体が挙げられる。好適な具体例として、下記の発光化合物(VIII−1)乃至(VIII−6)が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0102】
【化17】

【0103】
図1乃至図4に示される有機電界発光素子の層構成の場合、背面電極には、例えば、金属、金属酸化物、又は金属フッ化物等が挙げられる。
金属としては、例えばマグネシウム、アルミニウム、金、銀、インジウム、リチウム、カルシウム又はこれらの合金が挙げられる。前記金属酸化物としては、例えば、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、又は酸化インジウム亜鉛等が挙げられる。また、前記金属フッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、又はフッ化アルミニウムが挙げられる。
【0104】
また、背面電極上には、保護層(図示せず)を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、金属(例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al等)、金属酸化物(例えばMgO、SiO、TiO等)、樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等)が挙げられる。保護層の形成には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーテング法が適用される。
【0105】
これら図1乃至図4に示される有機電界発光素子は、まず透明電極の上に各有機電界発光素子の層構成に応じた個々の層を順次形成することにより作製される。なお、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電荷輸送能を持つ発光層、並びに正孔注入層、電子注入層は、上記各材料を真空蒸着法、又は適切な有機溶媒に溶解或いは分散し、得られた塗布液を用いて前記透明電極上にスピンコーティング法、キャスト法、ディップ法、インクジェット法等により形成される。
【0106】
尚、このうち、前記インクジェット法を用いることが望ましく、具体的には、有機電界発光素子の製造方法として、有機化合物層の構成成分を溶媒中に溶解させた塗布溶液をインクジェット法により塗布する塗布工程を有することが特に望ましい。
【0107】
インクジェット法を用いる場合、インクの代わりに、有機化合物層用塗布液を用いて、液滴吐出ヘッドのノズルから液滴状の有機化合物層用塗布液を吐出させることによって、基板上の所望の位置に所望の膜厚・形状の有機化合物層が形成される。
また、液滴吐出ヘッドとしても、基本的な構成や原理は、インクジェットプリンターに用いられている記録ヘッドと同様のものが利用される。すなわち、有機化合物層用塗布液に圧力や熱等の外部刺激を付与することによって、有機化合物層用塗布液をノズルから液滴状に吐出する方法(いわゆる圧電素子を用いたピエゾインクジェット方式、熱沸騰現象を利用した熱インクジェット方式等)が利用される。
そして、本実施形態に係る有機電界発光素子の製造に際しては、外部刺激は熱よりも圧力であることがより望ましい。
【0108】
また、インクジェット法を利用した本実施形態に係る有機電界発光素子の製造に用いられる装置としては、上述した液滴吐出ヘッドの他に、必要に応じて、例えば、有機電界発光素子を形成する対象である基板等の固定あるいは搬送手段や、液滴吐出ヘッドを基板平面方向に対して走査する液滴吐出ヘッド走査手段等を有していてもよい。
【0109】
正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電荷輸送能を持つ発光層、並びに正孔注入層、電子注入層の膜厚は、各々10μm以下、特に0.001μm以上5μm以下の範囲であることが望ましい。
上記各材料(前記非共役系高分子、発光材料等)の分散状態は分子分散状態でも微結晶などの粒子状態でも構わない。
【0110】
また、図1及び図2に示す有機電界発光素子の場合には、電子輸送層又は電子注入層の上に背面電極を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより本実施形態に係る有機電界発光素子が得られる。
また、図3及び図4に示す有機電界発光素子の場合には、発光層(電荷輸送能を持つ発光層を含む)の上に背面電極を真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することにより本実施形態に係る有機電界発光素子が得られる。
【0111】
なお、本実施形態に係る有機電界発光素子は、例えば、表示装置、電子ペーパー、バックライト、照明光源、電子写真用露光装置、標識、看板等の分野に好適に使用される。
【0112】
なお、インクジェット法で用いる有機化合物層用塗布液は、その組成や物性は特に限定されるものではないが、有機化合物層用塗布液の粘度は、25℃において0.01cps以上1000cps以下の範囲内であることが望ましく、1cps以上100cps以下の範囲内であることが望ましい。
【0113】
次に、本実施形態に係る表示媒体(装置)の構成について詳述する。
本実施の形態の表示装置は、上記本実施の形態の有機電界発光素子と、有機電界発光素子を駆動するための駆動手段と、を有する。
表示装置として具体的には例えば、図1乃至図4に示すように、有機電界発光素子の一対の電極(電極2、背面電極7)に連結され、当該一対の電極間に直流電圧を印加するための電圧印加装置9を、駆動手段として備えたものが挙げられる。
電圧印加装置9を用いた有機電界発光素子の駆動方法としては、例えば、一対の電極間に、4V以上20V以下で、電流密度1mA/cm以上200mA/cm以下の直流電圧を印加することによって有機電界発光素子を発光させる。
【0114】
また、本実施の形態の有機電界発光素子は、最小単位(1画素単位)の構成について説明したが、例えば、当該1画素単位(有機電界発光素子)をマトリクス状及びセグメント状の少なくとも一方で配置した表示装置に適用される。有機電界発光素子をマトリクス状に配置する場合、電極のみをマトリクス状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をマトリクス状に配置する態様であってもよい。また、本実施形態において有機電界発光素子をセグメント状に配置する場合、電極のみをセグメント状に配置する態様であってもよいし、電極及び有機化合物層の両方をセグメント状に配置する態様であってもよい。なお、マトリクス状又はセグメント状の有機化合物層は、例えば、前述したインクジェット法を用いることにより容易に形成され得る。
【0115】
また、表示装置の駆動方式としては、従来公知の技術が適用される。例えば、複数の行電極及び列電極を配し、行電極を走査駆動しながら各行電極に対応する画像情報に応じて列電極を一括して駆動させる単純マトリクス駆動や、各画素毎に配された画素電極によるアクティブマトリックス駆動等が利用される。
【実施例】
【0116】
以下、本実施形態を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。だだし、これら各実施例は、本実施形態を制限するものではない。
【0117】
ここで、目的物の同定には、1H−NMRスペクトル(1H−NMR、溶媒:CDCl、VARIAN株式会社製、UNITY−300、300MHz)と、IRスペクトル(KBr錠剤法にてフーリェ変換赤外分光光度計(株式会社 堀場製作所、FT−730、分解能4cm−1))を用いた。
【0118】
〔合成例1〕
(例示化合物1の合成)
<化合物III−aの合成>
200ml三口フラスコにルベアン酸5.3g(45mmol)、2−チオフェンアルデヒド20g(180mmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと称する)100mlに溶解させた。これを150℃で5時間磁気撹拌した後、25℃まで冷却した。この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。得られた結晶をさらにメタノール100mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。乾燥後結晶をテトラヒドロフラン(以下、THFと称する) 100mlに溶解させ、シリカゲルショートカラムを行うことでIII−aを6.4g得た。H−NMR、及びIRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0119】
【化18】

【0120】
<化合物IV−aの合成>
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに化合物III−aを4.5g(15mmol)、NBS8.0g(45mmol)を入れ、DMF200mlに溶解させた。これを60℃で7時間磁気撹拌して反応を完結させた。25℃まで冷却後、この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。60℃で15時間真空乾燥した後、結晶をN−メチルピロリドン(以下、NMPと称する。)から2度再結晶して黄色結晶の化合物IV−a 3.3gを得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0121】
【化19】

【0122】
<例示化合物1の合成>
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.23g(0.20mmol)をNMP100mlに溶解させた。これに化合物IV−a 1.84g(4.0mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液8.0ml、4−n−ブチルフェニルボロン酸1.56g(8.8mmol)の順に加え、オイルバス220℃で5時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を2Lビーカー(純水1L)にあけ、30分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。得られた結晶をさらにメタノール100ml、トルエン100mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。この結晶にNMP 150ml加え再結晶して、さらに昇華精製することによりオレンジ色結晶の例示化合物1を1.0g得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0123】
【化20】

【0124】
〔合成例2〕
(例示化合物4の合成)
<化合物V−aの合成>
窒素雰囲気下、−80℃に冷却された100ml三口フラスコへ1.6Mのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液を10ml(16mmol)加えた。これを−80℃に冷却後、滴下漏斗より−60℃を保ったままTHF10mlを滴下した。次いで、滴下漏斗より−60℃を保ったまま1−ブロモ−4−n−オクチルベンゼン3.1g(16mmol)を滴下した。これを−40℃で1時間撹拌した後、ホウ酸トリメチル2.3g(22mmol)/THF(10ml)溶液を滴下漏斗より−40℃を保ったまま加えた。その後、ゆっくり2時間かけて10℃まで昇温した後、0℃で10%HCl水溶液50mlを加え、トルエン100mlで抽出した。これを純水100mlで3回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。トルエンを減圧下、留去して残留物を3.3g得た。さらにこの残留物を純水100ml/ヘキサン100mlの混合液で洗浄することで4−n−オクチルフェニルボロン酸である化合物V−aを2.0g得た。H−NMR、IRより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0125】
【化21】

【0126】
<例示化合物4の合成>
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.11g(0.10mmol)をNMP100mlに溶解させた。これに化合物IV−a 1.4g(3.0mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液9.0ml、4−n−オクチルフェニルボロン酸(化合物V−a) 1.4g(6.0mmol)の順に加え、オイルバス200℃で5時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、20分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水300mlで洗浄した。得られた結晶をさらにメタノール200ml、トルエン100mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。この結晶をNMP200mlを用いて再結晶して次いで昇華精製を行うことで、オレンジ色結晶の例示化合物4を0.60g得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0127】
【化22】

【0128】
〔合成例3〕
(例示化合物7の合成)
<化合物III−bの合成>
1L三口フラスコにルベアン酸18g(150mmol)、3−メチルチオフェン−2−アルデヒド75g(600mmol)を加え、DMF350mlに溶解させた。これをオイルバス150℃で5時間磁気撹拌した後、25℃まで冷却した。この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。べたついた黒色の結晶にトルエン100ml、メタノール200mlを加え10分間超音波磁気撹拌することで洗浄した。洗浄した結晶を吸引ろ過によりろ取して粗結晶を34g得た。さらに、メタノール200mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。乾燥後結晶をモノクロロベンゼン500mlに溶解させ、シリカゲルショートカラムを行うことで化合物III−bを19g得た。H−NMR、IRより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0129】
【化23】

【0130】
<化合物IV−bの合成>
窒素雰囲気下、1L三口フラスコに化合物III−bを19g(57mmol)、NBS23g(129mmol)を入れ、DMF500mlに溶解させた。これを60℃で4時間磁気撹拌して反応を完結させた。25℃まで冷却後、この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、30分間10℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1L、メタノール200mlで洗浄した。60℃で15時間真空乾燥した後、結晶をNMP300mlで2度再結晶して黄色結晶の化合物IV−bを21g得た。H−NMR、IRより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0131】
【化24】

【0132】
<例示化合物7の合成>
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.16g(0.14mmol)をNMP100mlに溶解させた。これに化合物IV−b 2.2g(4.5mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液9.0ml、4−n−ブチルフェニルボロン酸1.78g(10mmol)の順に加え、オイルバス220℃で6時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を純水500mlが入った1Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水300mlで洗浄した。得られた結晶をさらにメタノール200ml、ヘキサン100mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。この結晶をTHF200ml/トルエン100mlに加熱溶解させ、シリカゲルショートカラムを行った。次いでトルエン300mlで再結晶してオレンジ色結晶の例示化合物7を0.70g得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0133】
【化25】

【0134】
〔合成例4〕
<例示化合物8の合成>
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.090g(0.080mmol)をTHF50mlに溶解させた。これに化合物IV−b 1.23g(2.5mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液6.0ml、化合物V−a 1.24g(5.3mmol)の順に加え、12時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を5%塩酸水溶液100mlと、トルエン200mlとが入った1Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。トルエン層を分液して、純水200mlで3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、減圧下溶媒を留去してオレンジ色固体物1.7gを得た。トルエンとTHFとの混合溶剤(混合質量比1:2)からシリカゲルカラム精製し、ついで、トルエンから再結晶して、15時間真空乾燥させることで、オレンジ色結晶の例示化合物8を1.2g(収率:70%)得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0135】
【化26】

【0136】
〔合成例5〕
<例示化合物11の合成>
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.14g(0.12mmol)をNMP100mlに溶解させた。これに化合物IV−a 1.85g(4.0mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液8.0ml、4−n−ブトキシフェニルボロン酸1.71g(8.8mmol)の順に加え、オイルバス220℃で4時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を純水1Lが入った2Lビーカーに加え、20分25℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。得られた結晶をさらにメタノール200ml、トルエン250mlで洗浄して、60℃で15時間真空乾燥させた。この結晶にNMPを150ml加え再結晶して、さらに昇華精製することでオレンジ色結晶の例示化合物11を1.0g得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0137】
【化27】

【0138】
〔合成例6〕
(例示化合物25の合成)
<化合物VI−aの合成>
500ml四口フラスコに3−n−オクチルチオフェン60g(305mmol)、DMF100mlに溶解させた。この溶液を5℃まで冷却し、N−ブロモコハク酸イミド(以下、NBSと称する)55g(310mmol)/DMF50mlに予め溶解させた溶液を等圧滴下ロートより5分かけて滴下した。その後、25℃で1時間磁気撹拌した後、純水500mlが入った1Lビーカーに加え、25℃で20分磁気撹拌した。この溶液へ酢酸エチル300mlを加え、25℃で10分磁気撹拌した。酢酸エチル層を分液し、純水300mlで3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過、減圧下溶媒留去して黄色油状物83gを得た。これを真空蒸留(1乃至3mmHg、120乃至130℃)して淡黄色油状物(化合物VI−a)76g(収率93%)を得た。
【0139】
【化28】

【0140】
<化合物VI−bの合成>
充分乾燥させた500ml四口フラスコに窒素雰囲気下、マグネシウム9.1g(374mmol)、THF100mlを入れた。ここに、ヨウ素粒状物を3粒入れ、マグネシウム表面を活性化させた。続いて、60℃まで加熱し、化合物VI−a100g(363mmol)/THF50ml溶液を反応の進行と共に滴下した。滴下終了後、マグネシウムがなくなるまで還流撹拌し、40℃まで冷却した。この溶液へ、あらかじめ水素化カルシウムで乾燥させたDMF30mlを10分かけて滴下し、その後30分、50℃で磁気撹拌した。反応終了後5℃まで冷却し、10%塩酸400mlと、トルエン300mlとが入っている1Lビーカー中に入れた。これを25℃で30分磁気撹拌した後、トルエン層を分液して純水300mlで3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、減圧下溶媒を留去して、赤色油状物94gを得た。これを真空蒸留(1乃至3mmHg、140乃至150℃)して黄色油状物(化合物VI−b)52g(収率64%)を得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0141】
【化29】

【0142】
<化合物VI−cの合成>
300ml四口フラスコにルベアン酸8.0g(67mmol)、化合物VI−b 60g(267mmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド60mlに溶解させた。これを150℃で4時間磁気撹拌した後、25℃まで冷却した。この反応液を純水300mlの入った1Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。さらにトルエン300mlを加え10分磁気撹拌した後、トルエン層を分液して純水300mlで3回洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し、減圧下溶媒を留去して、茶色油状物を得た。これに、メタノール200mlを加えデカンテーションにより、原料を除いた。残渣にヘキサン200mlを加え、5℃まで冷却することで結晶化させた。これを吸引ろ過でろ取して、その残渣をメタノール100mlでかけ洗いして、オレンジ色結晶(化合物VI−c)12g(収率38%)を得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0143】
【化30】

【0144】
<化合物VI−dの合成>
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに化合物VI−cを12g(23mmol)、NBS8.9g(50mmol)を入れ、DMF200mlに溶解させた。これを40℃で1時間磁気撹拌して反応を完結させた。25℃まで冷却後、この反応液を純水500mlの入った2Lビーカーに加え、30分5℃で磁気撹拌した。撹拌終了後、析出した結晶を吸引ろ過によりろ取して、純水1Lで洗浄した。次いでメタノール100mlで洗浄した後、60℃で15時間真空乾燥させオレンジ色結晶(化合物VI−d)12.2g(収率76%)を得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0145】
【化31】

【0146】
<例示化合物25の合成>
窒素雰囲気下、200ml三口フラスコにテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.10g(0.090mmol)をTHF60mlに溶解させた。これに化合物VI−d2.06g(3.0mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液7.0ml、4−n−ブチルフェニルボロン酸1.18g(6.6mmol)の順に加え、8時間磁気還流撹拌した。H−NMRで反応完結を確認後、25℃まで冷却し、この反応液を5%塩酸水溶液80mlと、トルエン200mlとが入った1Lビーカーに加え、30分25℃で磁気撹拌した。トルエン層を分液して、純水200mlで3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過、減圧下溶媒を留去して赤色油状物2.8gを得た。シリカゲルろ過カラムでパラジウムを除いた後、メタノール50ml、ヘキサン20mlで洗浄、次いでヘキサン100mlで再結晶した。15時間真空乾燥させた。オレンジ色結晶の例示化合物25を1.8g(収率:78%)得た。H−NMR、IRにより目的物と矛盾しないことを確認した。
【0147】
【化32】

【0148】
[実施例1]
透明絶縁基板(25mm×25mm、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板)上に形成されたITO(三容真空社製)を短冊状のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィによりパターニングし、さらにエッチング処理することにより短冊状のITO電極(幅2mm)を形成した。
次に、このITOガラス基板を中性洗剤、純水、アセトン(電子工業用、関東化学製)及びイソプロパノール(電子工業用、関東化学製)で超音波洗浄を各5分間行った後、スピンコーターで乾燥させた。
次に、正孔輸送材料として、上記例示化合物25を真空蒸着して、厚さ0.050μmの薄膜を形成し、正孔輸送層を形成した。
次に、この正孔輸送層の上に、発光材料として、前記発光材料(VII−1)を蒸着して、厚さ0.055μmの発光層を形成した。
更に、この発光層の上に、続いて短冊状の穴が設けられている金属性マスクを用いて、最後にこのマスクを設置してMg−Ag合金を共蒸着により蒸着して、2mm幅、0.15μm厚の背面電極をITO電極と交差するように形成した。
形成された有機電界発光素子の有効面積は0.04cmであった。
【0149】
[実施例2]
例示化合物25の代わりに、例示化合物4を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0150】
[実施例3]
例示化合物25の代わりに、例示化合物11を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0151】
[実施例4]
例示化合物25の代わりに、例示化合物7を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0152】
[実施例5]
例示化合物25の代わりに、例示化合物8を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0153】
[比較例1]
例示化合物25の代わりに、下記化合物(IX)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0154】
【化33】

【0155】
[比較例2]
例示化合物25の代わりに、下記化合物(X)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0156】
【化34】

【0157】
[比較例3]
例示化合物25の代わりに、下記化合物(XI)を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0158】
【化35】

【0159】
[比較例4]
例示化合物25の代わりに、下記化学式(XII)で示されるチアゾロチアゾール誘導体を用いた以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
【0160】
【化36】

【0161】
<素子寿命の評価>
以上のように作製した有機電界発光素子を、乾燥窒素中で接着剤によりガラスで封止し、ITO電極側をプラス、他方の背面電極をマイナスとして評価を行った。
そして、発光寿命の評価は、室温(25℃)において、比較例1の素子の輝度(初期輝度L:400cd/m)が輝度L/初期輝度L=0.5となった時点の駆動時間を1.0とした場合の相対時間、及び、素子の輝度が輝度L/初期輝度L=0.5となった時点での電圧上昇分(=電圧/初期駆動電圧)により評価した。結果を表1に示す。
【0162】
【表1】

【0163】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、素子寿命が長い有機電界発光素子であることがわかる。
【符号の説明】
【0164】
1 透明絶縁体基板
2 透明電極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 電荷輸送能を有する発光層
7 背面電極
9 電圧印加装置
10 有機電界発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、
前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有し、
前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】


(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。)
【請求項2】
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数が3以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が3以上12以下の分岐状の置換基であり、Rが、それぞれ独立に、炭素数が1以上12以下の直鎖状の置換基、又は、主鎖部分を構成する炭素数が2以上12以下の分岐状の置換基である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数3以上12以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上12以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上12以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上12以下の分岐状アルコキシ基である請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記一般式(I)のRが、それぞれ独立に、炭素数1以上8以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上8以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上8以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上8以下の分岐状アルコキシ基である請求項1から請求項3いずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、電子輸送層及び電子注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、正孔輸送層及び正孔注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記有機化合物層が、少なくとも、発光層と、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層と、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1層と、を含み、
前記発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層から選択される少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記有機化合物層が、電荷輸送機能を持つ発光層のみで構成され、
前記電荷輸送機能を持つ発光層が、前記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
少なくとも一方が透明又は半透明である陽極及び陰極よりなる一対の電極と、前記一対の電極間に挟まれた1つ以上の層で構成される有機化合物層と、を有し、前記有機化合物層を構成する少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される化合物を1種以上含有する、マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列された有機電界発光素子と、
マトリックス状及びセグメント状の少なくとも一方で配列された前記有機電界発光素子を駆動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする表示媒体。
【化2】


(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数3以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数3以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表し、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上20以下の直鎖状アルキル基、炭素数1以上20以下の直鎖状アルコキシ基、炭素数3以上20以下の分岐状アルキル基、又は炭素数3以上20以下の分岐状アルコキシ基を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−262995(P2010−262995A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110982(P2009−110982)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】