説明

有機電界発光素子および表示装置

【課題】低電圧での駆動が可能であり、かつ発光バランスが良好に制御された有機電界発光素子を提供し、表示装置における色変化を抑えて発光バランスの径時的な安定化を図る。
【解決手段】積層された複数の有機発光層を備えた第1発光ユニット15-1と、単層構造の有機発光層を備えた第2発光ユニット15-2とが、電荷を供給するための接続層17を介して積層された状態で、陽極13と陰極19との間に狭持されている有機電界発光素子1である。第1発光ユニット15-1は、有機発光層として赤色発光層15c-1と緑色発光層15c-2とを備えている。第2発光ユニット15-2は、有機発光層として青色発光層15c-3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置に関し、特には白色発光する有機電界発光素子と、これを用いたフルカラー表示の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electroluminescence)を利用した有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に、正孔輸送層や発光層等の有機層を積層させた発光ユニットを設けてなり、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている。
【0003】
このような有機電界発光素子を用いたフルカラーの表示装置の1つに、白色発光する有機電界発光素子(以下、白色発光素子)とカラーフィルタとを組み合わせた構成がある。このような構成を採用することにより、各色に発光する有機電界発光素子を作り分けることなく、すなわち発光層の形成においてメタルマスクを用いた高精細な塗り分けを行わずにフルカラーの表示装置を作製することができる。
【0004】
白色発光素子の構成としては、陽極と陰極との間に狭持された1つの発光ユニット内に2層の発光層を積層させ、これらを同時に発光させることにより、全体として白色発光を取り出す構成が有る。この様な構成として、電子輸送性発光層と正孔輸送性発光層とをキャリア再結合領域を挟んで積層し、素子からの発光スペクトルが可視光の青色領域、緑色領域、および赤色領域を含み、それが総合された発光色を白色とする構成が開示されている(下記特許文献1参照)。また、陽極側の発光層を青色系発光層とし、陰極側を黄色〜赤色系発光層とすることで、発光色の偏りを打ち消すことができるとした構成が開示されている(下記特許文献2参照)。
【0005】
また、白色発光素子の他の構成としては、陰極と陽極との間に電荷発生層を介して複数の発光ユニットを積層させた、いわゆるタンデム型も例示される。このようなタンデム型素子では、各発光ユニットからの発光の重ね合わせによって発光色が白色となるように、各発光ユニットに設けられた発光層を構成する(下記特許文献3,4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−78173号公報
【特許文献2】特開2003−272857号公報
【特許文献3】特開2003−272860号公報
【特許文献4】特開2004−39617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した構成の各白色発光素子には、次のような問題があった。
【0008】
すなわち、陽極と陰極との間に狭持させた1つの発光ユニット内に2層の発光層を積層させた構成では、単一の発光ユニット中において赤(R)、緑(G)、青(B)の色の発光バランスを整えることが要求されることになるが、このような調整は非常に困難である。このため、最も発光効率が低い青色発光を取り出す画素に配置された白色発光素子に対しては、他の画素に配置された素子よりも高い駆動電流値を設定し、これによって赤(R)、緑(G)、青(B)の色の発光バランスを整えることになる。ところが、このような駆動電流値の設定により、青色発光を取り出す画素の白色発光素子の劣化速度が他の画素に配置された素子よりも速くなる。このため、各色に対応する画素毎に白色発光素子の劣化速度に差が生じてくる。したがって、表示装置の発光バランスに径時的なズレが発生する。また、このような発光バランスのズレを緩和させるために、3種類の有機材料を共蒸着した層を多数用いる場合が多いが、これは製造上の制御が困難であり、再現性も乏しい場合が多い。
【0009】
また特に、特許文献2では、陽極側の発光層を青色系発光層とし、陰極側を黄色〜赤色系発光層とする構成が示されているが、このような2色の混色を用いて白色を実現した構成では、カラーフィルタと組み合わせ表示装置を構成した場合に、高い色純度を実現することができない。
【0010】
一方、タンデム型の白色発光素子では、カラーフィルタと組み合わせてフルカラーの表示装置を構成する場合、赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれに発光する発光層を備えた3つの発光ユニットを積層させた構成とすることで、高い色純度を実現することができる。しかしながら、タンデム型素子の原理から考えて、単一の発光ユニットを用いた白色発光素子と比較して、最低でも3倍の駆動電圧を印加することが必要となる。このため、特に薄膜トランジスタ(TFT)を用いて有機電界発光素子を駆動するアクティブマトリクス型の表示装置では、実用的な駆動電圧の上限値を超えてしまう場合が多い。したがって、このようなタンデム型の白色発光素子を用いて表示装置を構成することは、駆動電圧の観点からは実用的であるとは言い難い。
【0011】
そこで本発明は、低電圧での駆動が可能であり、かつ発光バランスが良好に制御された有機電界発光素子を提供すること、およびこのような有機電界発光素子を用いることにより色変化を抑えて発光バランスの径時的な安定化を図ることが可能で、長時間にわたる安定したカラー表示が可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明の有機電界発光素子は、接続層を介して積層された少なくとも1つの第1発光ユニットと少なくとも1つの第2発光ユニットとを、陽極と陰極との間に狭持させてなるタンデム型の有機電界発光素子である。そして、第1発光ユニットが、積層された複数の有機発光層を備えており、また第2発光ユニットが、単層構造の有機発光層を備えていることを特徴としている。尚、接続層は、第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに電荷を供給するための層である。
【0013】
このような構成の有機電界発光素子では、陽極と陰極との間に積層された2つの発光ユニット内に、合計で少なくとも3つの有機発光層が積層されている。このため、これらの少なくとも3つの有機発光層のそれぞれを、異なる発光色に発光するものとすることで、3色の混色による白色発光が実現される。したがって、1つの発光ユニット内に2層の発光層を積層させて白色発光とする従来構成と比較して、各色の発光層間での発光バランスを整えることが容易になる。しかも、白色発光を得るための赤(R)、緑(G)、青(B)の各色発光層が、それぞれ個別に設けられるため、各色発光層の製造上の制御も容易になり、再現性も向上する。また、3つの発光ユニットのそれぞれに各色の発光層を設けて白色発光とするタンデム型の従来構成と比較して、発光ユニットの積層数を2層とすることもできるため、駆動電圧が抑えられる。
【0014】
また本発明の表示装置は、上述した有機電界発光素子を基板上に配列形成してなる。
【0015】
そして、第1の表示装置においては、各有機電界発光素子における発光光の取り出し側に、所定の発光波長の光を透過するカラーフィルタを設けた。このような表示装置によれば、各色の発光層間での発光バランスが整えられた複数の有機電界発光素子からの発光が、カラーフィルタを透過して取り出されることになる。これにより、有機電界発光素子を駆動するための駆動電流値を調整することなく、各カラーフィルタから取りだされる光の発光バランス(色バランス)も良好になる。したがって、各有機電界発光素子の劣化速度が均一化される。
【0016】
また第2の表示装置においては、第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた各発光層で生じた発光光のうち、所定の発光波長の光が素子の内部で共振して取り出されるように陽極または陰極を構成する透明導電膜の膜厚を調整した。このような表示装置によれば、各色の発光層間での発光バランスが整えられたそれぞれの有機電界発光素子において、透明導電膜の膜厚を調整することで所定の発光波長の光が共振して取りだされる。これにより、有機電界発光素子を駆動するための駆動電流値を調整することなく、共振して取りだされる光の発光バランス(色バランス)も良好になる。したがって、各有機電界発光素子の劣化速度が均一化される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明の有機電界発光素子によれば、低電圧での駆動が可能であり、かつ発光バランスの制御が容易であるため良好に発光バランスが制御された発光を得ることが可能になる。そして、本発明の表示装置は、このような有機電界発光素子を用いることにより、複数の有機電界発光素子の劣化速度を均一化することができ、これにより色変化を抑えて発光バランスの径時的な安定化を図ることが可能で、長時間にわたる安定したカラー表示が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の有機電界発光素子の一構成例を示す断面図である。この図に示す有機電界発光素子1は、発光ユニットを積層してなるタンデム型であり、基板11上に設けられた陽極13、この陽極13上に重ねて設けられた複数の発光ユニット15-1、15-2、…(ここでは2個)、これらの発光ユニット15-1,15-2間に設けられた接続層17、そして最上層の発光ユニット15-2上に設けられた陰極19を備えている。ここで接続層17は、いわゆる電荷発生層であることとする。
【0019】
尚、以下の説明においては、陽極13から注入された正孔と接続層17において発生した電子とが発光ユニット15-1内で結合する際に生じた発光光、および陰極19から注入された電子と接続層17において発生した正孔とが発光ユニット15-2内で結合する際に生じた発光を、基板11と反対側の陰極19側から取り出す上面発光方式の有機電界発光素子の構成を説明する。
【0020】
先ず、有機電界発光素子1が設けられる基板11は、ガラスのような透明基板、シリコン基板、フィルム状のフレキシブル基板等の中から適宜選択して用いられる。また、この有機電界発光素子1を用いて構成される表示装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である場合、基板11として、画素毎にTFTを設けてなるTFT基板が用いられる。この場合、この表示装置は、上面発光方式の有機電界発光素子1を、TFTを用いて駆動する構造となる。
【0021】
そして、この基板11上に下部電極として設けられる陽極13は、効率良く正孔を注入するために電極材料の真空準位からの仕事関数が大きいもの、例えばクロム(Cr)、金(Au)、酸化スズ(SnO2)とアンチモン(Sb)との合金、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金、さらにはこれらの金属や合金の酸化物等を、単独または混在させた状態で用いることができる。
【0022】
この場合、陽極13を高反射率材料で構成することで、干渉効果及び高反射率効果で外部への光取り出し効率を改善することが可能であり、この様な電極材料には、例えばAl、Ag等を主成分とする電極を用いることが好ましい。これらの高反射率材料層上に、例えばITOのような仕事関数が大きい透明電極材料層を設けることで電荷注入効率を高めることも可能である。
【0023】
また、例えばITOのような透明電極材料を用いて陽極13を構成することで、発光光を陽極13側、陰極19側の両方から取り出す形式の両側取りだし素子を構成しても良い。
【0024】
尚、この有機電界発光素子1を用いて構成される表示装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である場合、陽極13は、TFTが設けられている画素毎にパターニングされていることとする。またこの場合、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。一方、この表示装置の駆動方式が単純マトリックス方式である場合、陽極13は例えばストライプ状に形成される。そして、以上のような各形状にパターニングされた陽極13の上層には、ここでの図示を省略した絶縁膜が設けられ、この絶縁膜の開口部から、各画素の陽極13表面を露出させていることとする。
【0025】
また、陽極13上に設けられた第1発光ユニット15-1は、陽極13側から順に、正孔注入層15a、正孔輸送層15b、赤色発光層15c-1、緑色発光層15c-2、および電子輸送層15dを積層してなる。
【0026】
これらの各層は、例えば真空蒸着法や、例えばスピンコート法などの他の方法によって形成された有機層からなる。
【0027】
このうち、正孔注入層15a、正孔輸送層15b、および電子輸送層15dを構成する材料に限定条件はない。例えば正孔注入層15aや正孔輸送層15bには、ベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体などの正孔輸送材料を用いることができる。具体的な一例としては、正孔注入層15aとして2−TNATA(4,4’,4”-Tris[N-2-(naphtyl)-N-phenylamino]triphenylamine)が10nmの膜厚で用いられ、正孔輸送層15bとしてα−NPD(α-naphtyl phenil diamine)が10nmの厚さで用いられる。また電子輸送層15dとしては、例えば8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )が20nm程度の膜厚で用いられる。
【0028】
また、以上の正孔注入層15a、正孔輸送層15b、および電子輸送層15dは、それぞれが複数層からなる積層構造であっても良い。
【0029】
本実施形態においては、第1発光ユニット15-1内において、発光波長の異なる2つの発光層(ここでは赤色発光層15c-1および緑色発光層15c-2)が積層されていることが特徴的である。ここで、各色に発光する発光層においては、より短波長の発光色を発する発光層ほど、発光に必要とされるエネルギーは高い。こためここでは、より短波長の発光色に発光する発光層で有利に発光が生じるような条件で、第1発光ニット15-1を構成することで、赤色発光層15c-1での赤色発光と緑色発光層15c-2での緑色発光とのバランスをとることが重要である。
【0030】
そこで本実施形態においては、より発光波長が大きな赤色発光層15c-1を陽極13側に配置し、より発光波長が小さな緑色発光層15c-2を陰極19側に配置した構成とする。
【0031】
ここで、赤色発光層15c-1は、主に正孔輸送性を有するホスト材料と、赤色発光性のゲスト材料とで構成されることとする。このうちゲスト材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよいが、発光特性の制御の容易さから蛍光性のものが好ましい。
【0032】
このような赤色発光層15c-1は、例えば、ホスト材料に正孔輸送性材料のα−NPD(α-naphtyl phenil diamine)を用い、赤色発光性のゲスト材料として2,6−ビス[(4’−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を30重量%混合したものにより、膜厚5nm程度に構成される。
【0033】
一方、緑色発光層15c-2は、ホスト材料と、緑色発光性のゲスト材料とで構成されることとする。このうち、ホスト材料は、赤色発光層15c-1を構成するホスト材料と比較して電子輸送性が高ければ良い。具体的には、赤色発光層15c-1のホストの最高占有軌道のエネルギー準位(以下、HOMOと略す)よりも、緑色発光層15c-2のHOMOが低い準位であり、より具体的には両者の差が0.2eV以上であれば良い。またゲスト材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでもよいが、発光特性の制御の容易さから蛍光性のものが好ましい。
【0034】
このような緑色発光層15c-2は、例えば、ホスト材料にADN(anthracene dinaphtyl)を用い、ゲスト材料としてクマリン6を5重量%混合したものにより、膜厚10nm程度に構成される。
【0035】
尚、以上のような赤色発光層15c-1と緑色発光層15c-2との間には、必要に応じて電荷制御層(図示省略)を設けても良い。電荷制御層とは、より発光波長が短い発光層側(ここでは緑色発光層15c-2側)から見て、正孔注入性、電子ブロック性が発揮される材料であれば、特に限定されることなない。本実施の形態では、電荷制御層として、例えばα−NPDからなる層を例示できる。
【0036】
そしてこのような電荷制御層を赤色発光層15c-1と緑色発光層15c-2との間に配置することにより、緑色発光層15c-2に対して正孔が注入され易くなる。一方、緑色発光層15c-2のホスト材料であるADNに注入された電子の赤色発光層15c-1側への流出がブロックされる。これにより、第1発光ユニット15-1中において、緑色発光層15c-2での発光が赤色発光層15c-1での発光に対して有利に行われる条件が整えられる。
【0037】
以上のようにして、第1発光ユニット15-1全体として、バランスの良い2色発光が実現される。
【0038】
また第1発光ユニット15-1全体としては、陽極13側から順に、正孔輸送性材料(正孔輸送層15a)、正孔輸送性ホスト(赤色発光層15c-1)、電子輸送性ホスト(緑色発光層15c-2)、電子輸送材料(電子輸送層15d)となり、有機電界発光素子として標準的なエネルギー準位の構成となる。このため、素子全体としてはバランスが良好に保たれており、色変化の少ない、長寿命な発光が可能な発光ユニットが実現される。
【0039】
そして、以上のような構成の第1発光ユニット15-1上に設けられた接続層17は、いわゆる電荷発生層として設けられている。そして、この接続層17と陽極13との間に配置されている発光ユニット(第1発光ユニット15-1)に対して電子を注入する。一方、この接続層17と陰極19との間に配置されている発光ユニット(第2発光ユニット15-2)に対して正孔を注入する。
【0040】
このような接続層17は、一般的に電荷発生層、中間電極層などとして用いられている構成であれば良く、例えば陽極13側から順に、電子注入層17a、電荷発生層17b、および正孔注入層17cを積層してなる。尚、接続層17は、このような積層構造に限定されることはなく、電子注入層17aが電荷発生層17bを兼ねても良い。また、接続層17は、上下に配置される発光ユニット15-1,15-2の界面層の構成によって適宜選択された構成とすることができる。例えば、正孔注入層17cが上部の第2発光ユニット15-2の電子輸送層15aを兼ねても良い。
【0041】
このような接続層17の一構成例としては、電子注入層17aとして、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3 )等の電子輸送性有機材料と、アルカリやアルカリ土類金属等の還元性金属との混合層を用いる。またこのような電子注入層17aに積層させた電荷発生層17bとして、V25からなる層を用いる(特開2003−45676号公報及び特開2003−272860号公報参照)。尚、電荷発生層17bとしては、この材料以外にも薄膜内で電子−正孔を発生させることができる材料であれば、これに限定されることはない。ただし、仕事関数が4.5eV以上の材料(有機物でも無機物でも良い)であることが好ましい。
【0042】
そして、このような接続層17上に設けられる第2発光ユニット15-2は、発光層が青色発光層15c-3の単層構造であることにおいてのみ、第1発光ユニット15-1と異なる構成となっている。つまり、第2発光ユニット15-2は、接続層17側から順に、正孔注入層15a、正孔輸送層15b、青色発光層15c-3、および電子輸送層15dを積層してなる。このうち、青色発光層15c-3以外の、正孔注入層15a、正孔輸送層15b、および電子輸送層15dは、第1発光ユニット15-1と同様であって良く、また異なる材料を用いて構成されても良い。
【0043】
そして、この第2発光ユニット15-2には、第1発光ユニット15-1に設けられる2つの発光層15c-1,15c-2よりも、短波長の発光色に発光する発光層が設けられていることが重要である。またこのような発光層として、青色発光層15c-3が設けられている。
【0044】
このような青色発光層15c-3は、正孔輸送性のホスト材料、電子輸送性のホスト材料、および両電荷輸送性のホスト材料の少なくとも1種と、青色発光性のゲスト材料とで構成されることとする。このうちゲスト材料は、蛍光性のものでも燐光性のものでも良い。
【0045】
このような青色発光層15c-3は、例えば、ホスト材料としてADNを用い、青色発光性のゲスト材料として4,4’−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5重量%混合したものにより、膜厚30nm程度に構成される。
【0046】
そして、以上のような青色発光層15c-3を備えた第2発光ユニット15-2上に、陰極19を形成する。この陰極19は、有機層15に対して電子を効率的に注入できるように、仕事関数の小さい材料のうちから光透過性の良好な導電性材料を用いて形成されることとする。このような導電性材料としては、例えば、Li、Mg、Ca等の活性な金属とAg、Al、In等の金属との合金、或いはこれらを積層した構造を使用できる。
【0047】
また陰極19は、上述した導電性材料からなる層と第2発光ユニット15-2との間に、例えばLi、Mg、Ca等の活性な金属とフッ素、臭素等のハロゲンや酸素等との化合物層を薄く挿入した積層構造としても良い。
【0048】
尚、ここでは、表示装置が上面発光型であることから、後述するように、上部電極である陰極19を半透過性として構成することにより、陰極19と陽極13との間で共振器構造を構成することで取り出し光の強度が高められるように設計されることが好ましい。
【0049】
以上のような陰極19の形成に際しては、下地に対して影響を及ぼすことのない程度に、成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、例えば蒸着法やCVD(chemical vapor deposition)法によって、上部電極19の成膜を行うこととする。例えば、MgAg(10重量%Ag)からなる陰極19を共通陰極として形成する場合、真空蒸着法により10nmの膜厚でMgAg膜を形成すれば良い。
【0050】
尚、この有機電界発光素子1を用いて構成される表示装置の駆動方式がアクティブマトリックス方式である場合、この陰極19は、陽極13と絶縁された状態で基板11上にベタ膜状で形成され、各画素に共通電極として用いても良い。この場合、陽極13と同一層で補助電極(図示省略)を形成し、この補助電極に対して陰極19を接続させることで、陰極19の電圧降下を防止する構成とすることができる。一方、この表示装置の駆動方式が単純マトリックス方式である場合、この陰極19は、例えば陽極13のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機電界発光素子1となる。
【0051】
以上説明した構成の有機電界発光素子1では、陽極13と陰極19との間に赤色発光層15c-1,緑色発光層15c-2,および青色発光層15c-3を積層し、これによって3色の混色による白色発光を実現している。そして、これらの各色発光層15c-1,15c-2,15c-3は、2つの発光ユニット15-1,15-2内に分割して配置されている。
【0052】
したがって、1つの発光ユニット内に2層の発光層を積層させて白色発光とする従来構成と比較して、各色の発光層15c-1,15c-2,15c-3間での発光バランスを整えることが容易になる。
【0053】
特に、本実施形態では、フルカラーに必要とされるRGB3色を発光させる中で最も発光波長の短い青色発光層15c-3を、単層構造の発光層として第2発光ユニット15-2内に設けた構成とした。これにより、3色の中で青色発光を最も有利に行うことができ、タンデム型の白色発光素子としての発光バランス、すなわちホワイトバランスを良好に得ることができる。
【0054】
しかも、白色発光を得るための赤(R)、緑(G)、青(B)の各色発光層が、それぞれ個別に設けられるため、各色発光層の製造上の制御も容易になり、再現性も向上する。また、3つの発光ユニットのそれぞれに各色の発光層を設けて白色発光とするタンデム型の従来構成と比較して、発光ユニットの積層数が2層であるため、駆動電圧が抑えられる。
【0055】
尚、以上の実施形態においては、陽極13上に、第1発光ユニット15-1、接続層17、および第2発光ユニット15-2をこの順に積層した構成を説明した。しかしながら、第1発光ユニット15-1と第2発光ユニット15-2との積層順は、逆であっても良い。すなわち、陽極13上に、第2発光ユニット15-2、接続層17、第1発光ユニット15-1の順に積層させても良い。
【0056】
また、以上の実施形態においては、上部電極として用いた陰極19側から発光を取り出す上面発光型の有機電界発光素子および表示装置に本発明を適用した構成を説明した。しかし本発明は、基板11を透明材料で構成することで、基板11側から発光を取り出す下面発光型の有機電界発光素子にも適用される。この場合、下部電極として用いた陽極13を透明電極とした構成が例示される。この場合、上部電極として用いた陰極19も光透過性材料で構成することにより、上面と下面の両方から発光を取り出すことも可能になる。
【0057】
一方、陰極19を高反射性材料で構成することにより、基板側(下面側)からのみ発光光が取り出される。さらに、基板11側から発光を取り出す下面発光型の有機電界発光素子の他の例としては、図1を用いて説明した積層構造を、基板11側から逆に積み上げた構成としても良い。この場合、基板側の下部電極が陰極となり、上部電極が陽極となる。
【0058】
さらに、以上説明した実施形態においては、第1発光ユニット15-1内に赤色発光層15c-1と緑色発光層15c-2とを積層し、第2発光ユニット15-2内に青色発光層15c-3を設けた構成を設けた構成を説明した。しかしながら、本発明においては、2つの発光層が積層配置される第1発光ユニット15-1における陽極13側に最も発光波長が長い発光層を配置し、第2発光ユニット15-2内に設ける単層構造の発光層として最も発光波長が短い発光層を配置することで、3つの発光層からの発光バランスを良好に保つ構成を実現することが可能である。
【0059】
図2には、以上のように構成された有機電界発光素子1を用いたフルカラー表示の表示装置3の構成を説明する。
【0060】
この図に示す表示装置3は、上述した構成の有機電界発光素子1を基板11上に複数配列形成してなる。各有機電界発光素子1は、基板11上にパターン形成された陽極13、第1発光ユニット15-1、接続層17、第2発光ユニット15-2、および陰極19をこの順に積層してなる。この場合、第1発光ユニット15-1、接続層17、および第2発光ユニット15-2は、各有機電界発光素子1に共通のベタ膜であって良い。尚、ここでの図示は省略したが、陽極13と同一層で陰極19の補助電極を設けた場合、このベタ膜の一部を除去して陰極19と補助電極とが接続された状態となっている。
【0061】
そして、このような有機電界発光素子1が配列形成された基板11上の全面には、保護膜23が設けられている。この保護膜23は、第1発光ユニット15-1、接続層17、および第2発光ユニット15-2等の有機材料からなる層への水分の到達防止を目的とし、透過水性,吸水性の低い材料を用いて十分な膜厚で形成されることとする。さらに、表示装置3が上面発光型である場合には、この保護膜23は第1発光ユニット15-1および第2発光ユニット15-2で発生した光を透過する材料からなり、例えば80%程度の透過率が確保されていることとする。
【0062】
このような保護膜23は、絶縁性材料で構成されていて良い。保護膜23を絶縁性材料で構成する場合には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(α−Si),アモルファス炭化シリコン(α−SiC),アモルファス窒化シリコン(α−Si1-x Nx )さらにはアモルファスカーボン(α−C)等を好適に用いることができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜23となる。
【0063】
例えば、アモルファス窒化シリコンからなる保護膜23を形成する場合には、CVD法によって2〜3μmの膜厚に形成されることとする。ただし、この際、下層を構成する有機材料の劣化による輝度の低下を防止するため成膜温度を常温に設定し、さらに、保護膜8の剥がれを防止するために膜のストレスを最小になる条件で成膜することが望ましい。
【0064】
また、表示装置3がアクティブマトリックス方式であって、基板11上の一面を覆う共通電極として陰極19が設けられている場合には、保護膜23は、導電性材料を用いて構成されても良い。保護膜23を導電性材料で構成する場合には、ITOやIXOのような透明導電性材料が用いられる。
【0065】
以上のような構成の保護膜23上には、赤色フィルタ25R、緑色フィルタ25G、および青色フィルタ25Bの各カラーフィルタが設けられている。これらのカラーフィルタ25R,25G,25Bは、有機電界発光素子1に対して1:1に対応して設けられている。これにより、有機電界発光素子1上に赤色フィルタ25Rが設けられた分部は赤色発光画素として機能する。また、有機電界発光素子1上に緑色フィルタ25Gが設けられた画素は緑色発光画素として機能する。そして、有機電界発光素子1上に青色フィルタ25Bが設けられた画素は青色発光画素として機能する。
【0066】
そして、このカラーフィルタ25R,25G,25Bが設けられた基板11上には、接着剤27を介して保護基板29が貼り合わせられて、これによりフルカラーの表示装置3が構成されている。ここで、接着剤27用の樹脂材料としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。また保護基板29としては例えばガラス基板が用いられる。ただし、表示装置3が上面発光型である場合には、接着用の樹脂材料および保護基板29は、光透過性を有する材料で構成されることが必須となる。
【0067】
このような構成の表示装置3では、上述したような各色発光層15c-1,15c-2,15c-3の発光バランスに優れた有機電界発光素子10を用いたことにより、赤、緑、青の各色のカラーフィルタ25R,25G,25Bを透過して取りだされる光の発光バランス(色バランス)も良好になる。したがって、各色の発光画素に設けられた各有機電界発光素子10の駆動電圧を均一化することができ、これらの各有機電界発光素子10の劣化速度を均一化させることが可能になる。
【0068】
この結果、これによりホワイトバランスの径時的な安定化を図ることが可能で、色再現性の高いフルカラー表示が長時間にわたって可能になる。
【0069】
尚、以上の表示装置3では、各色発光画素に同一構成で白色発光する有機電界発光素子1を配置する構成とした。しかしながら、本発明の表示装置は、各色発光画素に、それぞれに共振器構造設計された有機電界発光素子を配置する構成としても良い。この場合、各有機電界発光素子は、第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた各色発光層15c-1,15c-2,15c-3で生じた発光光のうち、所定の発光波長の光が素子の内部で共振して取り出されるように、陽極または陰極を構成する透明導電膜の膜厚が調整されていることとする。
【0070】
例えば、図1を用いて説明した構成において、陽極13が高反射率材料層上にITOのような透明導電膜を設けた構成である場合、この透明導電膜の膜厚を調整する。これにより、陽極13の高反射率材料層と、陰極19を構成する半透過性反射材料(例えばMg−Ag)との間で、所定波長の光を共振させる。そして共振させた波長の発光光のみを陰極19側から取り出す構成とする。
【0071】
そして、このような共振器構造の有機電界発光素子を用いてフルカラーの表示装置を構成する場合、赤、緑、青の各色波長の光が共振によって取り出されるようにそれぞれ設計された有機電界発光素子を基板上に配列させる。
【0072】
ここでは、各色発光層15c-1,15c-2,15c-3で生じる発光光の自体の発光バランスは、上述した有機電界発光素子と同様に設定されていることが重要である。
【0073】
このような共振器構造として設計された有機電界発光素子を用いた表示装置においては、各色発光層間15c-1,15c-2,15c-3での発光バランスが整えられたそれぞれの有機電界発光素子において、透明導電膜の膜厚を調整することで所定の発光波長の光が共振して取り出される。
【0074】
したがって、図2を用いて説明した表示装置と同様に、有機電界発光素子を駆動するための駆動電流値を調整することなく、共振して取りだされる光の発光バランス(色バランス)も良好になる。したがって、各有機電界発光素子の劣化速度が均一化され、ホワイトバランスの径時的な安定化を図ることが可能で、色再現性の高いフルカラー表示が長時間にわたって可能になる。
【0075】
そしてこのような共振器構造の有機電界発光素子と、カラーフィルタとを組み合わせることにより、さらに色純度の高い発光光を取り出すことが可能になる。
【実施例】
【0076】
次に、本発明の具体的な実施例として、図1を参照して有機電界発光素子の製造手順を説明し、次に作製された有機電界発光素子の評価結果を説明する。
【0077】
先ず、素子作成用基板となるガラス基板11の上に、銀合金層であるAPC(Ag-Pd-Cu)層(膜厚120nm)、および透明導電層としてITO膜(膜厚10nm)をこの順に成膜し、2層構造の陽極13を形成した。次いで、陽極13の周縁を覆う状態で酸化シリコンからなる絶縁膜をスパッタリング法により約2μmの厚さで成膜し、リソグラフィー法により陽極13を露出させ、画素領域とした。
【0078】
次に、正孔注入層15aとして、2−TNATAを10nmの膜厚で蒸着した。次いで、正孔輸送層15bとして、α−NPDを10nmの膜厚で蒸着した。その後、正孔輸送性のホスト材料としてα−NPDを用い、赤色発光性のゲスト材料としたBSNを30重量%混合したものを5nmの厚さで蒸着成膜した赤色発光層15c-1を形成した。次に、電荷制御層としてα−NPDを3nmの厚さで蒸着した。続いて電子輸送性のホスト材料としてADNを用い、緑色発光性のゲスト材料としてクマリン6を5重量%混合したものを10nmの厚さで蒸着成膜して緑色発光層15c-2を形成した。最後に電子輸送層15dとして、Alq3を10nmの膜厚に蒸着した。これにより、赤色発光層15c-1上に緑色発光層15c-2を積層させた第1発光ユニット15-1を形成した。
【0079】
次に、第1発光ユニット15-1上に、電子注入層17aとしてAlq3にリチウム(Li)を10重量%混合したものを5nmの膜厚で蒸着し、続いて電荷発生層17bとしてV25を10nmの膜厚で蒸着し、2層構造の接続層17を形成した。
【0080】
次いで、接続層17上に、正孔注入層15aとして、2−TNATAを10nmの膜厚で蒸着した。次いで、正孔輸送層15bとして、α−NPDを10nmの膜厚で蒸着した。その後、電子輸送性のホスト材料としてADNを用い、青色発光性のゲスト材料としてDPAVBiを2.5重量%混合したものを30nmの厚さで蒸着成膜することにより青色発光層15c-3を形成した。最後に、電子輸送層15dとしてAlq3を10nmの膜厚に蒸着した。これにより、青色発光層15c-3を備えた第2発光ユニット15-2を形成した。
【0081】
その後、第2発光ユニット15-2の上部に、陰極19としてLiFを0.5nmの膜厚で成膜し、さらにMg−Ag(Ag10重量%)合金層を15nmの膜厚で成膜した。
【0082】
以上により、赤色発光層15c-1と青色発光層15c-2との積層構造を備えた第1発光ユニット15-1と、単層構造の青色発光層15c-3を備えた第2発光ユニット15-2を積層してなるタンデム型白色発光の有機電界発光素子1を作製した。
【0083】
≪評価結果≫
以上のようにして作製した有機電界発光素子からの発光光を、各色発光画素に用いる赤、緑、青の各カラーフィルタを透過させて得た取出光について、色度および発光効率を測定した結果を下記表1に示す。また、測定された発光効率に基づいて、この有機電界発光素子を用いて表示装置を構成する場合にホワイトの色温度9300Kを得るための輝度割合と、それを得るための必要電流比を算出し、この結果を下記表1に合わせて示した。
【0084】
【表1】

【0085】
以上の表1に示したように、本発明を適用して構成された有機電界発光素子10を用いることによりホワイトの色温度9300Kを得るために、各色発光画素の有機電界発光素子10に供給する駆動電流を略同一に整えることが可能になり、容易にホワイトバランスが調整できるだけではなく、表示装置全体の輝度劣化も一定にでき、それにより、より高い表示品質が長期間にわたって保たれる表示装置が製造可能になることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態の有機電界発光素子の構成を示す断面図である。
【図2】実施形態の発光素子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…有機電界発光素子、3…表示装置、11…基板、13…陽極、15-1…第1発光ユニット、15-2…第2発光ユニット、15c-1…赤色発光層(有機発光層)、15c-2…緑色発光層(有機発光層)、15c-3…青色発光層(有機発光層)、17…接続層、19…陰極、25R…赤色フィルタ(カラーフィルタ)、25G…緑色フィルタ(カラーフィルタ)、25B…青色フィルタ(カラーフィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の有機発光層を備えた少なくとも1つの第1発光ユニットと、単層構造の有機発光層を備えた少なくとも1つの第2発光ユニットとを備えると共に、
前記各発光ユニットが、当該各発光ユニットに電荷を供給するための接続層を介して積層された状態で、陽極と陰極との間に狭持されている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
請求項1記載の有機電界発光素子において、
前記第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた前記有機発光層は、それぞれが異なる発光色に発光する
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項3】
請求項2記載の有機電界発光素子において、
前記第2発光ユニットの有機発光層は、前記第1発光ユニットの有機発光層よりも短波長の発光色に発光する
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項4】
請求項2記載の有機電界発光素子において、
前記第1発光ユニットは、前記有機発光層として赤色発光層と緑色発光層とを備え、
前記第2発光ユニットは、前記有機発光層として青色発光層を備えている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項5】
請求項2記載の有機電界発光素子において、
前記第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた前記有機発光層で生じた発光光の混色が白色光となる
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項6】
請求項5記載の有機電界発光素子において、
前記第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた前記有機発光層で生じた発光光のうち、所定の発光波長の光が素子の内部で共振して取り出されるように、前記陽極または陰極を構成する透明導電膜の膜厚が調整されている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項7】
請求項2記載の有機電界発光素子において、
前記第1発光ユニットに備えられた前記有機発光層のうち、
前記陽極側に設けられた第1有機発光層は正孔輸送性のホスト材料と発光性のゲスト材料とを用いて構成され、
前記陰極側に設けられた第2有機発光層は電子輸送性のホスト材料と発光性のゲスト材料とを用いて構成されると共に前記第1有機発光層よりも短波長の発光色に発光する
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項8】
基板上に複数の有機電界発光素子を配列形成してなる表示装置において、
前記各有機電界発光素子は、積層された複数の有機発光層を備えた第1発光ユニットと、単層構造の有機発光層を備えた第1発光ユニットとが、当該第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに電荷を供給するための接続層を介して積層された状態で、陽極と陰極との間に狭持されてなり、
前記各有機電界発光素子における発光光の取り出し側には、所定の発光波長の光を透過するカラーフィルタが設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項9】
基板上に複数の有機電界発光素子を配列形成してなる表示装置において、
前記各有機電界発光素子は、
積層された複数の有機発光層を備えた少なくとも1つの第1発光ユニットと、単層構造の有機発光層を備えた少なくとも1つの第2発光ユニットとを備えると共に、
前記各発光ユニットが、当該各発光ユニットに電荷を供給するための接続層を介して積層された状態で、陽極と陰極との間に狭持されてなり、
前記第1発光ユニットおよび第2発光ユニットに備えられた前記有機発光層で生じた発光光のうち、所定の発光波長の光が素子の内部で共振して取り出されるように、前記陽極または陰極を構成する透明導電膜の膜厚が調整されている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate